(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(54)【発明の名称】硫黄‐ドーピングシリコン負極材、その製造方法、前記負極材を含むリチウム二次電池負極、及び前記負極を含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/38 20060101AFI20220111BHJP
C01B 33/02 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
C01B33/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529080
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 KR2020003204
(87)【国際公開番号】W WO2020184917
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0027137
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0028206
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520337569
【氏名又は名称】ポステック リサーチ アンド ビジネス デベロップメント ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】(Jigok-dong) 77, Cheongam-ro, Nam-gu, Pohang-si, Gyeongsangbuk-do 37673 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジャンベ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジェゴン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンヒョン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジヘ・ヤン
【テーマコード(参考)】
4G072
5H050
【Fターム(参考)】
4G072AA02
4G072BB05
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4G072UU30
5H050AA02
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5H050BA17
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5H050HA17
(57)【要約】
本発明は、平均幅が500nmないし3μmの内部空隙チャンネルを有し、平均外部直径が1μmないし5μmの硫黄‐ドーピングシリコン負極材、その製造方法、それを含むリチウム二次電池用負極;及び前記負極を含むリチウム二次電池を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均幅が500nmないし3μmの内部空隙チャンネルを有し、平均直径が1μmないし5μmの硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項2】
前記内部空隙チャンネルは、硫黄‐ドーピングシリコン粒子で取り囲まれて形成された形態であることを特徴とする請求項1に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項3】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、硫黄が0.1ないし5at%でドーピングされたことを特徴とする請求項1に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項4】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、電気伝導度が1ないし6S/mであることを特徴とする請求項1に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項5】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、リチウムイオン拡散係数が10
‐12ないし10
‐10cm
2/sであることを特徴とする請求項1に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項6】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、孔隙率が4ないし10%であることを特徴とする請求項1に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項7】
(a)シリカ、金属還元剤、金属ハライド塩、及び硫酸塩化合物を混合して混合物を製造する段階;及び
(b)前記混合物に対して還元反応を進める段階;を含む、硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項8】
前記(a)段階でシリカ、金属還元剤、金属ハライド塩、及び硫酸塩化合物は5~14:12~14:62~67:7~19の重量比で混合されることを特徴とする請求項7に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項9】
前記(b)段階において、還元反応は非活性雰囲気下で200ないし270℃の温度で加熱して進めることを特徴とする請求項7に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項10】
前記(a)段階において、硫酸塩化合物はMgSO
4、ZnSO
4、BaSO
4、Na
2SO
4、及びNiSO
4からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項11】
前記(a)段階において、前記金属還元剤はMg、Al、Ca、及びZnからなる群から選択される1種以上であり、
前記金属ハライド塩はAlCl
3、MgCl
2、及びZnCl
2からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項12】
前記(b)段階の還元反応が完了された後、反応物を水に分散させて未反応金属ハライド塩及び硫酸塩化合物を取り除く(c)段階をさらに行うことを特徴とする請求項7に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項13】
前記(c)段階を行った後、反応物を塩酸水溶液で処理して金属還元剤及び残留異物を取り除く(d)段階をさらに行うことを特徴とする請求項12に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項14】
未反応シリカは、0.1ないし10%(v/v)のフッ酸を使って取り除くことを特徴とする請求項7に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項15】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材を含むリチウム二次電池用負極。
【請求項16】
請求項15に記載のリチウム二次電池用負極を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年3月8日付韓国特許出願第10‐2019‐0027137号及び2020年3月6日付韓国特許出願第10‐2020‐0028206号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、硫黄‐ドーピングシリコン負極材、その製造方法、前記負極材を含むリチウム二次電池負極、及び前記負極を含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池市場は携帯用電子機器及び情報通信機器用電池、人体挿入型電池のような超小型電池、ハイブリッド自動車(HEV/PHEV)や電気自動車(EV)のような中大型電池、発電システムのエネルギー貯蔵用のような大型電池など様々な範囲に拡がっている。
【0004】
既存リチウム二次電池の負極活物質で商用化された炭素系活物質は電池の活物質として諸特性に優れるが、理論容量が372mAh/gに限定されていて高エネルギー密度に対するこの分野の要求を充たすには相応しくない。
【0005】
そのため、炭素系活物質の短所を解決するために非炭素負極素材に対する開発が絶え間なく行われており、この中でシリコン(Si)は4200mAh/gと高い放電容量を示すのはもちろん、リチウム反応電位が0.4V(Li/Li+)と非常に低いため、代替負極物質として期待されている。しかし、シリコン負極材は充電時に発生する体積膨脹によって電気的短絡を引き起こしたり、新しい表面の創出によって電解質分解反応を増加させ、電池の寿命特性を急激に低下させる短所を有する。また、低い電子伝導度と低いリチウムイオン拡散性のため高速充電の目的に適しないという短所を有する。
【0006】
このようなシリコン負極材の特性を改善するために、Si/C複合体製造など様々な試み(トップダウン、ボトムアップ、またはホウ素/窒素ドーピング)が行われているが、このようなシリコン負極材は製造過程が複雑で、商用化に適合せず、低い電気化学特性(特に、充電特性)を示すので、商用化し難い実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは前記のような従来技術の問題を解決するために鋭意努力した結果、低温還元法(Low temperature aluminum reduction reaction)によって負極材としての特性に優れる硫黄‐ドーピングシリコンを非常に効率的に製造する方法を見つけて本発明を完成した。
【0009】
よって、本発明は多孔性構造を有し、電子伝導度及びイオン伝導度に優れる硫黄‐ドーピングシリコン負極材を効率的に製造することができる硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は多孔性構造を有するので、シリコンが持つ大きい体積膨脹を緩和させることができ、電子伝導度及びイオン伝導度に優れ、電池に優秀な初期充放電特性、充放電寿命特性、及びC‐レート(rate)による充放電特性を提供する硫黄‐ドーピングシリコン負極材を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材を含む負極及び前記負極を含むリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、
平均幅が500nmないし3μmの内部空隙チャンネルを有し、平均直径が1μmないし5μmの硫黄‐ドーピングシリコン負極材を提供する。
【0013】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、硫黄が0.1ないし5at%でドーピングされた特徴を有することができる。
【0014】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、電気伝導度が1ないし6S/mである特徴を有する。
【0015】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、リチウムイオン拡散係数が10‐12ないし10‐10cm2/sの特徴を有することができる。
【0016】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は孔隙率が4ないし10%である特徴を有することができる。
【0017】
また、本発明は、
(a)シリカ、金属還元剤、金属ハライド塩、及び硫酸塩化合物を混合して混合物を製造する段階;及び
(b)前記混合物に対して還元反応を進める段階;を含む、硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、
前記本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材を含むリチウム二次電池用負極を提供する。
【0019】
また、本発明は、
前記本発明のリチウム二次電池用負極を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法は、既存の方法に比べて非常に簡単で効率的に多孔性構造を有し、電子伝導度及びイオン伝導度に優れる硫黄‐ドーピングシリコン負極材を製造することができる効果を提供する。
【0021】
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材は多孔性構造を有するので、シリコンが持つ大きい体積膨脹を緩和させることができ、電子伝導度及びイオン伝導度に優れ、電池に優れる初期充放電特性、充放電寿命特性、及びC‐レート(rate)による充放電特性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】シリカの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【
図2】実施例1で製造した硫黄‐ドーピングシリコンの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【
図3】比較例1で製造したシリコンの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【
図4】実施例1で製造した硫黄‐ドーピングシリコンの透過電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【
図5】実施例1で製造した硫黄‐ドーピングシリコンのエネルギー分散型分光分析(EDS)元素のマッピング写真を示す。
【
図6】比較例1で製造したシリコンの透過電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【
図7】実施例1と比較例1で製造した硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)とシリコンのXRDパターングラフであす。
【
図8】実施例1と比較例1で製造した硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)とシリコンの電気伝導度比較グラフである。
【
図9】実施例3及び比較例3で製造したコイン電池の初期充放電グラフである。
【
図10】実施例3及び比較例3で製造したコイン電池の充放電寿命特性を示すグラフである。
【
図11】実施例3及び比較例3で製造したコイン電池のC‐レート(rate)による充放電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0024】
本発明は、平均幅が500nmないし3μmの内部空隙チャンネルを有し、平均直径が1μmないし5μmの硫黄‐ドーピングシリコン負極材に関する。
【0025】
前記内部空隙チャンネルの平均直径は1μmないし3μmであることがより好ましく、1.5ないし2.5であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、シリカ、金属還元剤、金属ハライド塩と硫酸塩化合物の均一な混合物を低温還元法を利用して製造されてもよい。
【0027】
前記製造方法によれば、金属ハライド塩の融点付近で還元反応が行われるが、この時、金属還元剤と金属ハライド塩が反応して金属‐金属ハライド錯体(Metal‐metal halide complex、以下、MHC)を形成し、前記MHCは酸素を含有しているシリカと硫酸塩化合物を攻撃して選択的にシリコンと硫黄を還元させ、小さなサイズのシリコンと硫黄シード(Seed)を形成する。また、溶融塩がクラスタリングの雰囲気を作って、これらが互いに集まってマイクロメーターサイズの硫黄がドーピングされたシリコンを形成する。よって、本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、シリコンと硫黄シードが互いに混合された状態で集まった構造を有し、前記シードが集まって形成された内部空隙チャンネルを持つ。
【0028】
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、マイクロメーターサイズの多孔性構造によってシリコンが持つ大きい体積膨脹を緩和させることができ、向上された電子/イオン伝導度の効果によって、それを含む電池の高速充/放電を可能にすると同時に寿命向上効果を提供する。
【0029】
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材において、前記内部空隙チャンネルは硫黄‐ドーピングシリコン粒子で取り囲まれて形成された形態であってもよく、前記内部空隙チャンネルの形態は、例えば、円筒状管と類似な形態を有してもよい。しかし、内部空隙チャンネルの形態がこのような形態に限定されるものではなく、硫黄‐ドーピングシリコン粒子で取り囲まれて形成された形態のチャンネルであれば、いずれも本発明の内部空隙チャンネルに含まれることができる。
【0030】
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、硫黄が0.1ないし5at%でドーピングされ、より好ましくは0.3ないし2at%でドーピングされることができる。
【0031】
硫黄のドーピング量が前記範囲未満である場合、向上された電気伝導度を期待しがたく、前記範囲を超過する場合、過量のシリコン硫化物の形成による硫黄損失問題によって好ましくない。
【0032】
本発明の硫黄‐ドーピングシリコンは、電子伝導度が大きく向上されて半金属水準に至る(従来の報告によると、硫黄が一定水準以上シリコンにドーピングされると、絶縁体から金属への遷移(insulator‐to‐metal transition)が起きる、Phys.Rev.Lett.、2011、106、178701)。また、各シードが集まって形成された内部のナノチャンネルを通じてリチウムイオン伝導度も大きく向上される。構造的にチャンネルを形成してリチウムイオン伝導度を向上させたシリコン負極材は本発明で初めて発見されたものである。
【0033】
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、電気伝導度が1ないし6S/mである特徴を有する。また、リチウムイオン拡散係数が10‐12ないし10‐10cm2/sである特徴を有する。本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、上述した範囲の電子/イオン伝導度を有することで、それを含む電池の高速充/放電を可能にすると同時に寿命向上効果を提供することができる。
【0034】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、孔隙率が4ないし10%で、より好ましくは5ないし8%であってもよい。
【0035】
また、本発明は、
(a)シリカ、金属還元剤、金属ハライド塩、及び硫酸塩化合物を混合して混合物を製造する段階;及び
(b)前記混合物に対して還元反応を進める段階;を含む、硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法に関する。
【0036】
本発明の製造方法は、前記(a)段階でシリカ、金属還元剤、金属ハライド塩、及び硫酸塩化合物は5~14:12~14:62~67:7~19の重量比で混合されてもよい。
【0037】
前記シリカの使用量が上述した範囲を脱する場合は、還元されていない過量のシリカが残って収率が低くなる問題が発生するので好ましくない。
【0038】
また、前記金属還元剤の使用量が上述した範囲を脱する場合は、シリカ及び硫酸塩化合物の還元がまともに行われない問題が発生するので好ましくない。
【0039】
また、前記金属ハライド塩の使用量が上述した範囲を脱する場合は、シリカ及び硫酸塩化合物の還元がまともに行われない問題が発生するので好ましくない。
【0040】
特に、前記硫酸塩化合物の重量比は、前記のように7~19であってもよく、より好ましくは14~18であってもよい。
【0041】
前記硫酸塩化合物の重量比が7未満で含まれる場合は、電気伝導度の面で好ましくなく、19を超過する場合は、過量のシリコン硫化物形成による硫黄の損失面で好ましくない。
【0042】
本発明の製造方法は、前記(b)段階において、還元反応を非活性雰囲気下で200ないし270℃の温度、より好ましくは220ないし250℃の温度で加熱して行うことができる。前記還元反応が上述した範囲未満の温度で実施される場合、金属ハライド塩が溶けず、還元反応を導き出しにくいので好ましくなく、上述した範囲を超過して実施される場合は、反応容器内部の圧が大きく上昇して爆発の危険性が上昇するので好ましくない。
【0043】
前記で還元反応は5乃至15時間行われることが出来る。
【0044】
本発明の製造方法によって、シリカ、金属還元剤、金属ハライド塩と硫酸塩化合物の均一な混合物を低温還元法を利用して金属ハライド塩の融点付近で反応させると、金属還元剤と金属ハライド塩が反応して金属‐金属ハライド錯体(Metal‐metal halide complex、以下、MHC)を形成する。この時、前記MHCは酸素を含有しているシリカと硫酸塩化合物を攻撃して選択的に硫黄を還元させ、小さなサイズのシリコンと硫黄シード(Seed)を形成し、溶融塩がクラスタリング雰囲気を作って、互いに集まってマイクロメーターサイズの硫黄がドーピングされたシリコンを形成する。
【0045】
本発明の製造方法でシリカの還元反応式を例示すれば次のとおりである:
[反応式1]
3SiO2+4Al+2AlCl3→3Si+6AlOCl
【0046】
また、添加剤として硫酸塩化合物の還元反応式を例示すれば次のとおりである:
[反応式2]
MgSO4+2Al+4AlCl3→ S+ MgAl2Cl8+4AlOCl
【0047】
本発明の製造方法によると、金属還元剤と金属ハライド塩の様々な組み合わせによって前記反応が可能であり、従来のイオン注入(ion‐implantation)方法に比べて経済的に均一なドーピングが可能である。
【0048】
本発明の製造方法によれば、前述した硫黄‐ドーピングシリコンを90重量% 以上の高純度で得ることができる。
【0049】
前記(a)段階で硫酸塩化合物は、MgSO4、ZnSO4、BaSO4、Na2SO4、及びNiSO4などからなる群から選択される1種以上のものであってもよい。
【0050】
前記(a)段階で前記金属還元剤は、Mg、Al、Ca、及びZnからなる群から選択される1種以上であり、
前記金属ハライド塩は、AlCl3、MgCl2、及びZnCl2からなる群から選択される1種以上のものであってもよい。
【0051】
前記(b)段階の還元反応が完了された後、反応物を水に分散させて未反応金属ハライド塩及び硫酸塩化合物を取り除く(c)段階がさらに行われることができる。
【0052】
また、前記(c)段階を行った後、反応物を塩酸水溶液で処理し、金属還元剤及び残留異物を取り除く(d)段階をさらに行うことができる。
【0053】
本発明の製造方法において、未反応シリカは0.1ないし10%(v/v)のフッ酸を利用して取り除くことができる。
【0054】
また、本発明は、
前記本発明の硫黄‐ドーピングシリコン負極材を含むリチウム二次電池用負極及び前記リチウム二次電池用負極を含むリチウム二次電池に関する。
【0055】
本発明の負極及びリチウム二次電池は、前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材を使用して負極を製造し、前記負極を使用してリチウム二次電池を製造する特徴を除いては公知の技術を適用して構成及び製造されることができる。
【0056】
以下、前記リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池について例を挙げて説明する。
【0057】
本発明のリチウム二次電池は、負極;正極;前記正極と負極の間に備えられるセパレーター;及び電解質;を含むことができる。
【0058】
前記負極は負極活物質として前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材、バインダー、導電材を含むことができ、分散剤をさらに含んで製造されてもよい。
【0059】
前記負極活物質、バインダー、導電材、及び/または分散剤は負極活物質層を形成することができ、前記負極活物質層は前記成分を含むスラリーを集電体に塗布して乾燥させることで負極内に含まれる。ここで、前記集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケルまたは銅合金またはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどを挙げることができる。
【0060】
前記導電材は特に限定されないが、KS6のような黒鉛系物質、Super‐P、デンカブラック、カーボンブラックのようなカーボン系物質などの伝導性物質またはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールなどの伝導性高分子を単独または混合して使用することができる。
【0061】
本発明のリチウム二次電池において、正極はこの分野に知られた通常の方法によって正極活物質を集電体に結着させた形態で製造されてもよい。
【0062】
前記正極活物質は公知の正極活物質が使用可能であり、例えば、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウム鉄酸化物、3成分系正極材であるLiNixMnyCozO2(NMC)またはこれらを組み合わせたリチウム複合酸化物などが使われることができる。そして、集電体の例は、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどを挙げることができる。前記正極には本発明の分散剤がさらに含まれることができる。
【0063】
前記正極と負極の間に位置するセパレーターは正極と負極を互いに分離または絶縁させ、正極と負極の間にリチウムイオン輸送ができるようにする。本発明で使われるセパレーターは、この分野で通常使われる多孔性高分子基材であればいずれも使用可能で、例えば、ポリオレフィン系多孔性高分子膜(membrane)または不織布を使用することができるが、これに特に限定されるものではない。
【0064】
前記ポリオレフィン系多孔性高分子膜の例は、高密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独で、またはこれらを混合した高分子で形成した膜(membrane)を挙げることができる。
【0065】
前記不織布はポリオレフィン系不織布の他、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキシド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)などをそれぞれ単独で、またはこれらを混合した高分子で形成した不織布を挙げることができる。不織布の構造は長繊維で構成されたスパンボンド不織布またはメルトブローン不織布であってもよい。
【0066】
前記多孔性高分子基材の厚さは特に制限されないが、5μmないし50μmであってもよく、多孔性高分子基材に存在する気孔の大きさ及び気孔度も特に制限されないが、それぞれ0.01μmないし50μm及び10ないし95%であってもよい。
【0067】
また、前記セパレーターの機械的強度の向上及びリチウム二次電池の安全性を向上させるために、前記多孔性高分子基材の少なくとも一面に無機物粒子と高分子バインダーを含む多孔性コーティング層をさらに含むことができる。
【0068】
前記電解質では、この分野に公知されたものが使われることができ、例えば、非水電解液が使われることができる。前記非水電解液には電解質塩としてリチウム塩が含まれることができる。前記リチウム塩はリチウム二次電池用電解液に通常使われるものなどが制限されずに使われることができる。例えば、前記リチウム塩の陰イオンは、F‐、Cl‐、Br‐、I‐、NO3
‐、N(CN)2
‐、BF4
‐、ClO4
‐、PF6
‐、(CF3)2PF4
‐、(CF3)3PF3
‐、(CF3)4PF2
‐、(CF3)5PF‐、(CF3)6P‐、CF3SO3
‐、CF3CF2SO3
‐、(CF3SO2)2N‐、(FSO2)2N‐
、CF3CF2(CF3)2CO‐、(CF3SO2)2CH‐、(SF5)3C‐、(CF3SO2)3C‐、CF3(CF2)7SO3
‐、CF3CO2
‐、CH3CO2
‐、SCN‐及び(CF3CF2SO2)2N‐からなる群から選択されたいずれか一つ以上が使われることができる。
【0069】
前記非水電解液に含まれる有機溶媒は、リチウム二次電池用電解液に通常使われる有機溶媒が制限されずに使われることができ、例えば、エーテル、エステル、アミド、線形カーボネート、環形カーボネートなどがそれぞれ単独で、または2種以上の組み合わせで使われることができる。これらの中で代表的には環形カーボネート、線形カーボネート、またはこれらの混合物であるカーボネート化合物が使われることができる。
【0070】
前記非水電解液の注入は、最終製品の製造工程及び要求物性に応じてリチウム二次電池の製造工程中、適切な段階で行われることができる。すなわち、リチウム二次電池を組み立てる前、またはリチウム二次電池の組み立て最終段階などで適用されることができる。
【0071】
前記リチウム二次電池は前記本発明の特徴的な技術を除いては、この分野に公知された技術を適用して構成されることができる。
【0072】
本発明によるリチウム二次電池は、一般的な工程である巻取(winding)以外にもセパレーターと電極のスタック(stack、lamination)、フォールディング(folding)及びスタック/フォールディング工程が可能である。
【0073】
そして、リチウム二次電池の外形は特に制限しないが、カンを使った円筒状、角形、パウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などになることができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明であり、このような変更及び修正が添付の特許請求範囲に属することも当然である。
【0075】
実施例1:硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材の製造
1gのシリカ、3gの硫酸マグネシウム、2gのアルミニウム金属、及び10gの塩化アルミニウムを乳鉢を利用してグローブボックス内で均一にすりながら混ぜた。均一に混ざった混合物を反応容器に入れた後、250℃で10時間アルゴン雰囲気で加熱して還元反応を行った。
【0076】
前記還元反応を終えた半金属シリコンを200mLの水に分散させて反応させ、残った硫酸マグネシウムと塩化アルミニウムを一次的に溶かした後、真空フィルターを通して半金属シリコンを収得した。
【0077】
次に、前記半金属シリコンを0.5M塩酸200mLに入れて35℃で3時間混ぜて、残ったアルミニウム金属及びその他異物を取り除いた。
【0078】
反応後残ったシリカの除去は0.1ないし5%(v/v)のフッ酸に5ないし30分間半金属シリコンを混ぜて行った。真空フィルターを通して最終的に半金属シリコンを収得した。
【0079】
比較例1:シリコン負極材の製造
前記実施例1で添加剤として硫酸マグネシウムを添加しないことを除いては、実施例1と同様の方法でシリコン負極材を製造した。
【0080】
試験例1:硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材またはシリコン負極材の形態評価
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材の構造を確認するために、走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)を使って、シリカ、前記実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)及び比較例1で製造されたシリコンの形態を撮影して比べ(
図1ないし4)、内部空隙チャンネルの直径を測定した。測定結果、前記内部空隙チャンネルは平均直径が1μmないし5μmであると確認された。
【0081】
また、実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)に対するエネルギー分散型分光分析(EDS)によって元素マッピング写真を撮影した(
図5)。
【0082】
具体的に、
図1はシリカの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、
図2は実施例1で製造した硫黄‐ドーピングシリコンの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、
図3は比較例1で製造したシリコンの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【0083】
図4は実施例1で製造した硫黄‐ドーピングシリコンの透過電子顕微鏡(TEM)写真を示し、
図5は実施例1で製造した硫黄‐ドーピングシリコンのエネルギー分散型分光分析(EDS)元素マッピング写真を示す。
図6は比較例1で製造したシリコンの透過電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【0084】
前記
図1ないし6から本発明の硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材は比較例1のシリコンとはっきりと区別される構造を有することを確認することができた。
【0085】
試験例2:硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材またはシリコン負極材の物性評価
(1)結晶化可否評価
X線回折装置(X‐ray diffractometer)(Brucker、D8 ADVANCE)装置を使ってX線回折分析法で前記実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)及び比較例1で製造されたシリコンのXRDパターンを測定して
図7に示す。
【0086】
図7のXRDパターングラフで確認されるように、本発明の実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)と比較例1で製造されたシリコンは、いずれも結晶性シリコン特性を有することが分かる。
【0087】
(2)電気伝導度評価
ケースレー・ソース・メジャー・ユニット(Keithley Soure Measure Unit)(Keithley、SMU2400)装置を使って電圧掃引(Voltage sweep)方法で前記実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)、及び比較例1で製造されたシリコンの電気伝導度を測定して
図8に示す。
【0088】
図8で確認されるように、本発明の実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)は比較例1で製造されたシリコンと比べて著しく優れる電気伝導度を示す。
【0089】
実施例2:硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材を使った負極の製造
負極活物質として前記実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材1g;PAA(製造社:Sigma Aldrich)バインダー0.05g;CMC(製造社:Sigma Aldrich)バインダー0.05g;及びSuper P0.1gを混合し、水溶媒に分散させて負極形成用スラリー組成物を製造した。
【0090】
前記製造されたスラリー組成物を銅ホイルに塗布し、乾燥して負極を製造した。
【0091】
比較例2:シリコン負極材を使った負極の製造
前記実施例2において、実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材の代わりに比較例1で製造されたシリコン負極材を使ったことを除いては、前記実施例2と同様の方法で負極を製造した。
【0092】
実施例3:リチウム二次電池の製造
前記実施例2で製造した負極をコインセルの大きさに合わせて打ち抜いて、これを負極にするコインセル電池を製造した。
【0093】
アルゴン雰囲気のグローブボックスでステンレススチールの下板に負極、分離膜(ポリプロピレン(polypropylene))、リチウム金属ホイル対極、ガスケット、ステンレススチールコイン、スプリング、ステンレススチールの上板を順に載せ、圧力をかけてコインセルを組み立てた。
【0094】
電解液は、1.3M LiPF6 10wt%のFEC(フルオロエチレンカーボネート(Fluoroethylene carbonate))が溶解されたEC(エチレンカーボネート(ethylene carbonate))、DEC(ジエチルカーボネート(diethyl carbonate))混合液を打ち抜かれた正極の上に注液して使用した。
【0095】
比較例3:リチウム二次電池の製造
前記比較例2で製造した負極を使用したことを除いては、前記実施例3と同様の方法で3電極セルを準備した。
【0096】
試験例3:電池の初期充放電特性、充放電寿命特性、及びC‐rateによる充放電特性評価
前記実施例3及び比較例3で製造された電池を使って各電池の相対容量(Relative Capacity)及び面積容量(Areal Capacity)を次のように評価した。
【0097】
(1)初期充放電特性評価
充放電(Wonatech、WBCS3000K8)装置を使って定電流測定(Galvanostatic measurement)で各電池の初期充放電特性を確認し、その結果を
図9に示す。
図9より本発明の実施例3で製造された電池の初期充放電効率が比較例3で製造された電池に比べてより優れていることが分かる。
【0098】
(2)充放電寿命特性評価
充放電(Wonatech、WBCS3000K8)装置を使って定電流測定(Galvanostatic measurement)方法で各電池の充放電寿命特性を確認し、その結果を
図10に示す。
図10より本発明の実施例3で製造された電池の充放電寿命特性が比較例3で製造された電池に比べてより優れていることが分かる。
【0099】
(3)C‐rateによる充放電特性評価
充放電(Wonatech、WBCS3000K8)装置を使って定電流測定(Galvanostatic measurement)で各電池のC‐レート(rate)による充放電特性を確認し、その結果を
図11に示す。
図11より本発明の実施例3で製造された電池のC‐レート(rate)による充放電特性が比較例3で製造された電池に比べてより優れていることが分かる。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均幅が500nmないし3μmの内部空隙チャンネルを有し、平均
外部直径が1μmないし5μmの硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項2】
前記内部空隙チャンネルは、硫黄‐ドーピングシリコン粒子で取り囲まれて形成された形態であることを特徴とする請求項1に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項3】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、硫黄が0.1ないし5at%でドーピングされたことを特徴とする請求項1
又は2に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項4】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、電気伝導度が1ないし6S/mであることを特徴とする請求項1
から3のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項5】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、リチウムイオン拡散係数が10
‐12ないし10
‐10cm
2/sであることを特徴とする請求項1
から4のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項6】
前記硫黄‐ドーピングシリコン負極材は、孔隙率が4ないし10%であることを特徴とする請求項1
から5のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材。
【請求項7】
(a)シリカ、金属還元剤、金属ハライド塩、及び硫酸塩化合物を混合して混合物を製造する段階;及び
(b)前記混合物に対して還元反応を進める段階;を含む、硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項8】
前記(a)段階でシリカ、金属還元剤、金属ハライド塩、及び硫酸塩化合物は5~14:12~14:62~67:7~19の重量比で混合されることを特徴とする請求項7に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項9】
前記(b)段階において、還元反応は非活性雰囲気下で200ないし270℃の温度で加熱して進めることを特徴とする請求項7
又は8に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項10】
前記(a)段階において、硫酸塩化合物はMgSO
4、ZnSO
4、BaSO
4、Na
2SO
4、及びNiSO
4からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7
から9のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項11】
前記(a)段階において、前記金属還元剤はMg、Al、Ca、及びZnからなる群から選択される1種以上であり、
前記金属ハライド塩はAlCl
3、MgCl
2、及びZnCl
2からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7
から10のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項12】
前記(b)段階の還元反応が完了された後、反応物を水に分散させて未反応金属ハライド塩及び硫酸塩化合物を取り除く(c)段階をさらに行うことを特徴とする請求項7
から11のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項13】
前記(c)段階を行った後、反応物を塩酸水溶液で処理して金属還元剤及び残留異物を取り除く(d)段階をさらに行うことを特徴とする請求項12に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項14】
未反応シリカは、0.1ないし10%(v/v)のフッ酸を使って取り除くことを特徴とする請求項7
から13のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材の製造方法。
【請求項15】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の硫黄‐ドーピングシリコン負極材を含むリチウム二次電池用負極。
【請求項16】
請求項15に記載のリチウム二次電池用負極を含むリチウム二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、
平均幅が500nmないし3μmの内部空隙チャンネルを有し、平均外部直径が1μmないし5μmの硫黄‐ドーピングシリコン負極材を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本発明は、平均幅が500nmないし3μmの内部空隙チャンネルを有し、平均外部直径が1μmないし5μmの硫黄‐ドーピングシリコン負極材に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
試験例1:硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材またはシリコン負極材の形態評価
本発明の硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)負極材の構造を確認するために、走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)を使って、シリカ、前記実施例1で製造された硫黄‐ドーピングシリコン(半金属シリコン)及び比較例1で製造されたシリコンの形態を撮影して比べ(
図1ないし4)、内部空隙チャンネルの直径を測定した。測定結果、前記内部空隙チャンネルは平均
幅が500nmないし3μmであると確認された。
【国際調査報告】