(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
C09K 11/08 20060101AFI20220112BHJP
C09K 11/02 20060101ALI20220112BHJP
C09K 11/70 20060101ALI20220112BHJP
C09K 11/74 20060101ALI20220112BHJP
B82Y 20/00 20110101ALI20220112BHJP
【FI】
C09K11/08 G ZNM
C09K11/02 Z
C09K11/70
C09K11/74
B82Y20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545320
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2019077586
(87)【国際公開番号】W WO2020078843
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】リーバーマン,イタイ
【テーマコード(参考)】
4H001
【Fターム(参考)】
4H001CA02
4H001CC07
4H001CC09
4H001CC13
4H001XA13
4H001XA15
4H001XA22
4H001XA30
4H001XA31
4H001XA33
4H001XA48
4H001XA49
4H001XA51
4H001XB22
4H001XB32
4H001XB62
(57)【要約】
本発明は、ナノ粒子、およびナノ粒子を含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
i)第1半電導性材料、
ii)任意に少なくとも1つのシェル層、
iii)以下の化学式(I)
【化1】
式中、
XおよびYは、各々独立してまたは互いに従属して、O、S、PまたはN、好ましくはOまたはSであり、
nは、YがOまたはSである場合0であり、nは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
mは、XがOまたはSである場合0であり、mは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
R
1は、付着基であり、好ましくは該付着基は、S、Se、O、PまたはNから選択される少なくとも1つの元素、より好ましくは硫黄またはセレンを含有する基を含み、なおより好ましくは該付着基は、1つまたは2つのS原子を含み、なおより好ましくは該付着基は、
【化2】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「
*」は、コアの表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
R
2は、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する線状のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有する分枝のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有するシクロアルカン基、2~40個の炭素原子、好ましくは2~25個の炭素原子を有するアルケニル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するアリール基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するヘテロアリール基、および4~40個の炭素原子、好ましくは4~25個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群の1以上の要素(member)から選択され、ここで各場合において1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=NR
a、SO、SO2、NR
a、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2、または、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、
R
aは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または、5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接する置換基R
aは、相互に、モノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもまたよく、
R
3は、二価の結合であり、好ましくはそれは、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、なおより好ましくは1~5個の炭素原子を有する線状のアルキレン基またはアルコキシレン基からなる群の1以上の要素から選択され、ここで1以上の非隣接するCH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=NR
a、SO、SO2、NR
a、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2、または、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、好ましくは非隣接するCH
2基のいずれも置換されていない、
R
4は、H原子、D原子、またはR
2からなる群の1以上の要素から選択され、
R
5は、H原子、D原子、またはR
2からなる群の1以上の要素から選択され、
で表される化学化合物、
を含む半電導性発光ナノ粒子。
【請求項2】
少なくとも
i)第1半電導性材料
ii)任意に少なくとも1つのシェル層
iii)以下の化学式(I)で表される化学化合物
をこの順番で含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
以下の化学式(II)
ZnS
xSe
(1-x-z)Te
z、-(II)
式中
0≦x≦1、0≦z≦1、およびx+z≦1、好ましくはシェル層は、ZnSe、ZnS
xSe
(1-x)、ZnSe
(1-x)Te
z、ZnS、Znであり、より好ましくはそれは、ZnSeまたはZnSである、で表される少なくとも1つのシェル層を含む、請求項1または2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
第1半電導性材料が、周期表の13族元素または12族元素の少なくとも1つの元素、および周期表の16族元素の1つの元素を含み、好ましくは該13族の元素は、In、Ga、Al、Tiから選択され、該12族の元素はZnまたはCdであり、および該15族の元素は、P、As、Sbから選択され、より好ましくは該第1半電導性材料は、以下の化学式(III)
In
(1-x-y)Ga1.5
xZn
yP (III)
式中0≦x<1、0≦y<1、0≦x+y<1で表され、好ましくは該第1半電導性材料は、InP、InP:Zn、InP:ZnS、InP:ZnSe、InP:ZnSSe、InP:Gaからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項5】
少なくとも
a)コア、任意に少なくとも1つのシェル層を含む1つの半電導性発光ナノ粒子、
b)以下の化学式(I)
【化3】
式中、
XおよびYは、各々独立してまたは互いに従属して、O、S、PまたはN、好ましくはOまたはNであり、
nは、YがOまたはSである場合0であり、nは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
mは、XがOまたはSである場合0であり、mは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
R
1は、付着基であり、好ましくは該付着基は、S、Se、O、PまたはNから選択される少なくとも1つの元素を含み、より好ましくは該付着基は、1つまたは2つのS原子を含み、なおより好ましくは該付着基は、
【化4】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「
*」は、コアの表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
R
2は、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する線状のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有する分枝のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有するシクロアルカン基、2~40個の炭素原子、好ましくは2~25個の炭素原子を有するアルケニル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するアリール基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するヘテロアリール基、および4~40個の炭素原子、好ましくは4~25個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群の1以上の要素(member)から選択され、ここで各場合において1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=NR
a、SO、SO2、NR
a、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2、または、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、
R
aは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または、5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接する置換基R
aは、相互に、モノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもまたよく、
R
3は、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、なおより好ましくは1~5個の炭素原子を有する線状のアルキレン基またはアルコキシレン基からなる群の1以上の要素から選択され、ここで1以上の非隣接するCH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=NR
a、SO、SO2、NR
a、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2、または、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、好ましくは非隣接するCH
2基のいずれも置換されていない、
R
4は、H原子、D原子、またはR
2からなる群の1以上の要素から選択され、
R
5は、H原子、D原子、またはR
2からなる群の1以上の要素から選択され、
で表される1つの化学化合物、および
c)別の化合物
を含む組成物。
【請求項6】
少なくとも
A)請求項1~4のいずれか一項に記載の1つの半電導性発光ナノ粒子、および
B)別の化合物、
を含む組成物。
【請求項7】
組成物が、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
該別の材料が、有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、散乱粒子、ホスト材料、ナノサイズのプラズモン粒子、光開始剤、およびマトリックス材料からなる群から選択される、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの、請求項1~4のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子、または請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物、および、
少なくとも1つの溶媒、好ましくは該溶媒は、有機溶媒、なおより好ましくはシクロヘキシルベンゼン、3-フェノキシトルエン、n-オクチルベンゼン、ブチルベンゾアート、1-オクタノール、3,4-ジメチルアニソール、2-フェノキシエタノール、メチルイソバレラート、ジメチルスルホキシド、2-フェノキシプロパノールまたはこれらの任意の組み合わせである、
を含む配合物。
【請求項10】
以下の化学式(I)で表される化学化合物の総量が、配合物の総量に基づき、0.001wt.%から50wt.%まで、好ましくは0.005wt.%から30wt.%まで、より好ましくは0,01wt.%から15wt.%までの範囲である、請求項9に記載の配合物。
【請求項11】
ナノ粒子の総量が、配合物の総量に基づき、0.01wt.%から90wt.%まで、好ましくは0.1wt.%から70wt.%まで、より好ましくは1wt.%から50wt.%までの範囲である、請求項9または10に記載の配合物。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子、または請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物、または請求項9~11のいずれか一項に記載の配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、またはバイオメディカルデバイスにおける使用。
【請求項13】
少なくとも1つの、請求項1~4のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子、または請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物を含む光学媒体。
【請求項14】
アノードおよびカソード、および、少なくとも1つの請求項1~4のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子、または請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物を含む少なくとも1つの有機層を含む、好ましくは該1つの有機層は、光放射層である、より好ましくは媒体が、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホールブロッキング層、電子ブロッキング層、および電子注入層からなる群から選択される1以上の層をさらに含む、請求項13に記載の光学媒体。
【請求項15】
有機層が、少なくとも1つの請求項1~4のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子、または請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物を、およびホスト材料を含む、好ましくはホスト材料は有機ホスト材料である、請求項13または14に記載の光学媒体。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか一項に記載の該光学媒体を少なくとも含む、光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、半電導性発光ナノ粒子、半電導性発光ナノ粒子を含む組成物、配合物、半電導性発光ナノ粒子の使用、組成物の使用、配合物の使用、光学媒体、および光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
US 2010/0068522 A1には、結合基としてカルボキシラート基および官能基の好適な末端不飽和基としてビニル基を有する表面結合リガンドをもつ量子ドットナノ粒子が開示される。
US 9,666,768 B2には、量子ドットナノ粒子のために好適なリガンドとして化学式(1)~(6)で表されるジチオリガンドを使用することが記述される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 2016-0289552 A1
【特許文献2】US 9,666,768 B2
【非特許文献】
【0004】
なし
【発明の概要】
【0005】
本発明の概要
しかしながら、本発明者らは、以下に列挙されるとおりの、改善が所望される1以上の相当な問題がなお存在することを新しく見出した。
ナノ粒子の量子収量の改善、より高いデバイス効率、ナノ粒子のトラップ放射を低下させること、ナノ粒子のシェル部分の表面状態を最適化すること、ナノ粒子のシェル層の格子欠陥を低減させること、シェル層のダングリングボンドの形成の低減/防止すること、より良好な熱安定性、改善された酸化安定性、ラジカル物質への改善された安定性、QYの著しい低下を引き起こさない長期保存の間の改善された安定性、より良好な化学的安定性、ナノ粒子の製作プロセスを最適化すること、シェル層の格子欠陥を低減するための新しい製作プロセス、および、環境にやさしく、およびより安全な製作プロセスを提供すること。
【0006】
本発明者らは、上述の問題の1以上を解決することを目指した。
次いで、少なくとも、
i)第1半電導性材料、
ii)任意に少なくとも1つのシェル層、
iii)以下の化学式(I)
【化1】
式中、
【0007】
XおよびYは、各々独立してまたは互いに従属して、O、S、PまたはN、好ましくはOまたはSであり、
nは、YがOまたはSである場合0であり、nは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
mは、XがOまたはSである場合0であり、mは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
【0008】
R
1は、付着基であり、好ましくは該付着基は、S、Se、O、PまたはNから選択される少なくとも1つの元素、より好ましくは硫黄またはセレンを含有する基を含み、なおより好ましくは該付着基は、1つまたは2つのS原子を含み、なおより好ましくは該付着基は、
【化2】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「
*」は、第1半電導性材料の表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0009】
ナノ粒子が2より多くのシェル層を含む場合、「*」は、半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0010】
R2は、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する線状のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有する分枝のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有するシクロアルカン基、2~40個の炭素原子、好ましくは2~25個の炭素原子を有するアルケニル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するアリール基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するヘテロアリール基、および4~40個の炭素原子、好ましくは4~25個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群の1以上の要素(member)から選択され、ここで各場合において1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよい、
【0011】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または、5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接する置換基Raは、相互に、モノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもまたよく、
【0012】
R3は、二価の結合であり、好ましくはそれは、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、なおより好ましくは1~5個の炭素原子を有する線状のアルキレン基またはアルコキシレン基からなる群の1以上の要素から選択され、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、好ましくは非隣接するCH2基のいずれも置換されていない、
【0013】
R4は、H原子、D原子、またはR2からなる群の1以上の要素から選択され、
【0014】
R5は、H原子、D原子、またはR2からなる群の1以上の要素から選択され、
で表される化学化合物、
を含む、本質的にからなる、またはからなる新規な半電導性発光ナノ粒子を見出した。
【0015】
別の側面において、本発明は、少なくとも
a)コア、任意に少なくとも1つのシェル層を含む1つの半電導性発光ナノ粒子、
b)以下の化学式(I)
【化3】
式中、
【0016】
XおよびYは、各々独立してまたは互いに従属して、O、S、PまたはN、好ましくはOまたはNであり、
nは、YがOまたはSである場合0であり、nは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
mは、XがOまたはSである場合0であり、mは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
【0017】
R
1は、付着基であり、好ましくは該付着基は、S、Se、O、PまたはNから選択される少なくとも1つの元素を含み、より好ましくは該付着基は、1つまたは2つのS原子を含み、なおより好ましくは該付着基は、
【化4】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「
*」は、第1半電導性材料の表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0018】
ナノ粒子が2より多くのシェル層を含む場合、「*」は、半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0019】
R2は、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する線状のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有する分枝のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有するシクロアルカン基、2~40個の炭素原子、好ましくは2~25個の炭素原子を有するアルケニル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するアリール基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するヘテロアリール基、および4~40個の炭素原子、好ましくは4~25個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群の1以上の要素(member)から選択され、ここで各場合において1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよい、
【0020】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または、5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接する置換基Raは、相互に、モノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもまたよく、
【0021】
R3は、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、なおより好ましくは1~5個の炭素原子を有する線状のアルキレン基またはアルコキシレン基からなる群の1以上の要素から選択され、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、好ましくは非隣接するCH2基のいずれも置換されていない、
【0022】
R4は、H原子、D原子、またはR2からなる群の1以上の要素から選択され、
【0023】
R5は、H原子、D原子、またはR2からなる群の1以上の要素から選択され、
で表される化学化合物、および
c)別の化合物
を含む組成物にも関する。
【0024】
別の側面において、本発明は、少なくとも
A)本発明に従う1つの半電導性発光ナノ粒子、および
B)別の化合物
を含む、本質的にからなる、またはからなる組成物に関する。
【0025】
別の側面において、本発明はさらに、本発明に従う少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子、および、
少なくとも1つの溶媒、好ましくは該溶媒は有機溶媒であり、なおより好ましくは、シクロヘキシルベンゼン、3-フェノキシトルエン、n-オクチルベンゼン、ブチルベンゾアート、1-オクタノール、3,4-ジメチルアニソール、2-フェノキシエタノール、メチルイソバレラート、ジメチルスルホキシド、2-フェノキシプロパノールまたはこれらの任意の組み合わせである、を含む、本質的にからなる、またはからなる配合物に関する。
【0026】
別の側面において、本発明は、発光ナノ粒子、組成物、または配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、バイオメディカルデバイスにおける、または電子デバイス、光学デバイスまたはバイオメディカルデバイスを製作するための使用にも関する。
【0027】
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも1つの本発明の発光ナノ粒子または組成物を含む光学媒体に関する。
別の側面において、本発明はさらに、該光学媒体を少なくとも含む光学デバイスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【0029】
本発明の詳細な記載
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子は、少なくとも、
i)第1半電導性材料、
ii)任意に少なくとも1つのシェル層、
iii)以下の化学式(I)で表される化学化合物
を含む。
-化学化合物
【化5】
式中、
【0030】
XおよびYは、各々独立してまたは互いに従属して、O、S、PまたはN、好ましくはOまたはSであり、
nは、YがOまたはSである場合0であり、nは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
mは、XがOまたはSである場合0であり、mは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
【0031】
R
1は、付着基であり、好ましくは該付着基は、S、Se、O、PまたはNから選択される少なくとも1つの元素、より好ましくは硫黄またはセレンを含有する基を含み、なおより好ましくは該付着基は、1つまたは2つのS原子を含み、なおより好ましくは該付着基は、
【化6-1】
【化6-2】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「
*」は、第1半電導性材料の表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0032】
ナノ粒子が2より多くのシェル層を含む場合、「*」は、半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0033】
R2は、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する線状のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有する分枝のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有するシクロアルカン基、2~40個の炭素原子、好ましくは2~25個の炭素原子を有するアルケニル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するアリール基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するヘテロアリール基、および4~40個の炭素原子、好ましくは4~25個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群の1以上の要素(member)から選択され、ここで各場合において1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよい、
【0034】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または、5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接する置換基Raは、相互に、モノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもまたよく、
【0035】
R3は、二価の結合であり、好ましくはそれは、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、なおより好ましくは1~5個の炭素原子を有する線状のアルキレン基またはアルコキシレン基からなる群の1以上の要素から選択され、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、好ましくは非隣接するCH2基のいずれも置換されていない、
【0036】
R4は、H原子、D原子、またはR2からなる群の1以上の要素から選択され、
【0037】
R5は、H原子、D原子、またはR2からなる群の1以上の要素から選択され、
で表される。
【0038】
本発明のいくつかの態様において、コアの表面または半電導性発光ナノ粒子の1つ以上のシェル層の最も外側の表面は、化学化合物によって部分的にまたは完全にコーティングされ得る。
【0039】
本発明のいくつかの態様において、化学式(I)で表される少なくとも2つのリガンドは、第1半電導性材料の表面またはシェル層の最も外側の表面に付着され、好ましくは複数の該リガンドは、第1半電導性材料の表面またはシェル層の最も外側の表面に付着されている。
【0040】
本発明に従って、いくつかの態様において、該化学化合物の含量は、半電導性発光ナノ粒子の総重量に対し、1%から80重量%までの範囲、より好ましくは20%から70重量%までの範囲、なおより好ましくは40%から65重量%までの範囲である。
【0041】
本発明の好ましい態様において、化学化合物の重量平均分子量(Mw)は、200g/molから30,000g/molまでの範囲、好ましくは250g/molから2,000g/molまで、より好ましくは400g/molから1,000g/molまでの範囲である。
【0042】
分子量Mwは、ポリスチレン内部標準に対し、GPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
【0043】
好ましい態様において、化学化合物は、以下の式(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)で表され、
【化7-1】
【化7-2】
より好ましくは化学化合物は、以下の化学式(le)、(lf)、(Ig)または(Ih)で表され、
【化8】
【0044】
式中
XおよびYは、各々独立してまたは互いに従属して、OまたはSであり、好ましくはそれは、Oであり、
【0045】
「*」は、第1半電導性材料の表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0046】
ナノ粒子が2より多くのシェル層を含む場合、「*」は、半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0047】
R2は、1~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する線状のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する分枝のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有するシクロアルカン基、2~40個の炭素原子、好ましくは2~25個の炭素原子を有するアルケニル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するアリール基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するヘテロアリール基、および4~40個の炭素原子、好ましくは4~25個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群の1以上の要素(member)から選択され、ここで各場合において1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、
【0048】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または、5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Raは、相互に、モノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもまたよく、
【0049】
R3は、二価の結合であり、好ましくはそれは、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、なおより好ましくは1~5個の炭素原子を有する線状のアルキレン基またはアルコキシレン基からなる群の1以上の要素から選択され、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、好ましくは非隣接するCH2基のいずれも置換されていない。
【0050】
好ましくはR
3は、以下の表1の群から選択され、
【表1】
ここでおよび、「
*」は別のユニットへの連結点を表す。
【0051】
より好ましくはR
3は、以下の表2の群から選択され、
【表2】
ここでおよび、「
*」は別のユニットへの連結点を表す。
【0052】
好ましくは、R2は、1~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する置換または非置換の線状のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する置換または非置換の分枝のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有する置換または非置換のシクロアルカン基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有する置換または非置換のアリール基である。
【0053】
より好ましくは、R2は、1~40個の炭素原子を有する置換された線状のアルキル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは5~15個の炭素原子を有する非置換の分枝のアルキル基またはアルコキシル基である。
【0054】
より好ましくはR
2は、以下の表3の群から選択され、
【表3】
ここでおよび、「
*」は別のユニットへの連結点を表す。
【0055】
化学化合物として、公的に入手可能なメルカプトアセタートおよび/またはメルカプトプロピオナートは、混合物において、好ましくは溶液において、とくに光開始剤の存在下において、半電導性発光ナノ粒子の量子収率の低下を予防/低減するための化学化合物としてさらにまた好適である。
【0056】
公的に入手可能な以下の化学化合物は、とくに好適である。
【化9-1】
【化9-2】
【0057】
-半電導性発光ナノ粒子
本発明に従って、用語「半導体」は、室温にて伝導体(銅など)のものと絶縁体(ガラスなど)のものとの間の度合いの電気伝導率を有する材料を意味する。好ましくは半導体は、温度とともに電気伝導率が増加する材料である。
【0058】
用語「ナノ」は、0.1nmと999nmとの間、好ましくは1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmにおけるサイズを意味する。
よって、本発明に従って、「半電導性発光ナノ粒子」は、サイズが0.1nmと999nmとの間、好ましくは1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmである、室温にて伝導体(銅など)のものと絶縁体(ガラスなど)のものとの間の度合いの電気伝導率を有する、好ましくは半導体は、温度とともに電気伝導率が増加する材料であり、およびサイズが0.1nmと999nmとの間、好ましくは0.5nm~150nm、より好ましくは1nm~50nmである、発光材料を意味すると解釈される。
【0059】
本発明に従って、用語「サイズ」は、半電導性ナノサイズ発光粒子の最長軸の平均直径を意味する。
【0060】
半電導性ナノサイズ発光粒子の平均直径は、Tecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeにより作成されるTEM画像において100個の半電導性発光ナノ粒子に基づき計算される。
本発明の好ましい態様において、本発明の半電導性発光ナノ粒子は、量子ドットなどの量子サイズ材料である。
【0061】
本発明に従って、量子ドットの形状は特に限定されない。例えば、球形の形状の、細長い形状の、星形状の、多面体形形状の、ピラミッド形状の、テトラポッド形状の、四面体形状の、小平板形状の、円錐形状の、および不規則な形状の量子ドットが使用され得る。
本発明に従って、用語「量子サイズ」は、リガンドも別の表面修飾もない半電導性材料自体のサイズを意味し、例えばISBN:978-3-662-44822-9に記載されるなどの、量子閉じ込め効果を表し得る。
【0062】
本発明の好ましい態様において、ナノ粒子は、少なくとも
i)第1半電導性材料、
ii)任意に少なくとも1つのシェル層、
iii)以下の化学式(I)で表される化学化合物
をこの順番で含む。
【0063】
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPZnSe、InCdP、InPCdS、InPCdSe、InGaP、InGaPZn、InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、TiO2合金およびこれらの任意の組み合わせは、コアとして使用され得る。
【0064】
本発明の好ましい態様において、第1半電導性材料は、周期表の13族元素または12族元素の少なくとも1つの元素、および周期表の16族元素の1つの元素を含み、好ましくは該13族元素は、In、Ga、Al、Tiから選択され、該12族元素はZnまたはCdであり、および該15族元素は、P、As、Sbから選択され、より好ましくは該第1半電導性材料は、以下の化学式(III)
In(1-x-y)Ga1.5xZnyP (III)
式中0≦x<1、0≦y<1、0≦x+y<1で表され、好ましくは該第1半電導性材料は、InP、InP:Zn、InP:ZnS、InP:ZnSe、InP:ZnSSe、InP:Gaからなる群から選択される。
【0065】
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子の第1半電導性材料の形状のタイプ、および合成される半電導性発光ナノ粒子の形状は、具体的に限定されない。
例えば、球形の形状の、細長い形状の、星形状の、多面体形形状の、ピラミッド形状の、テトラポッド形状の、四面体形状の、小平板形状の、円錐形状の、および不規則な形状の第1半導体材料、および-または半電導性発光ナノ粒子を合成され得る。
【0066】
本発明のいくつかの態様において、第1半電導性材料の平均直径は、1.5nmから3.5nmまでの範囲である。
本発明のいくつかの態様において、該半電導性発光ナノ粒子は、周期表の12族の第1の元素、および周期表の16族の第2の元素を含むまたはからなる少なくとも1つのシェル層を含み、好ましくは、第1の元素はZnであり、および第2の元素はS、Se、またはTeである。
【0067】
本発明の好ましい態様において、シェル層は、以下の式(II)
ZnSxSe(1-x-z)Tez、-(II)
式中、0≦x≦1、0≦z≦1、およびx+z≦1で表され、好ましくは、シェル層は、ZnSe、ZnSxSe(1-x)、ZnSe(1-x)Tez、ZnS、Znであり、より好ましくはそれは、ZnSeまたはZnSである。
【0068】
本発明のいくつかの態様において,該シェル層は、合金(alloyed)シェル層または傾斜(graded)シェル層であり、好ましくは該傾斜シェル層は、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTez,であり、より好ましくはそれは、ZnSxSeyである。
【0069】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子は、該シェル層上に第2のシェル層をさらに含み、好ましくは第2のシェル層は、周期表の12族の第3の元素、および周期表の16族の第4の元素を含むまたはからなり、より好ましくは第3の元素はZnであり、および第4の元素はS、Se、またはTeであり、ただし第4の元素と第2の元素とは同じでない。
【0070】
本発明の好ましい態様において、第2のシェル層は、以下の式(II´)
ZnSxSeyTez、-(II´)
式(II´)中、
0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1で表され、好ましくは、シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezであり、ただしシェル層と第2のシェル層とは同じでない。
【0071】
本発明のいくつかの態様において、該第2のシェル層は、合金シェル層であり得る。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子は、該第2のシェル層上に、マルチシェル層として1以上の追加のシェル層をさらに含み得る。
【0072】
本発明に従って、用語「マルチシェル」は、3以上のシェル層からなる積層(stacked)シェル層を表す。
例えば、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS、InZnPS/ZnS、InZnPSZnSe、InZnPS/ZnSe/ZnS、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnSまたはこれらの任意の組み合わせが使用され得る。好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS。
【0073】
-追加のリガンド
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子は、式(I)で表される化学化合物に加えて、リガンドとして異なるタイプの化学化合物を任意に含み得る。
【0074】
よって、本発明のいくつかの態様において、第1半電導性材料の最も外側の表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層は、所望される場合、式(I)で表される化学化合物と一緒に1以上の他の化合物で上にコーティングされ得る。
【0075】
1以上の該別の化学化合物が、第1半電導性材料または第1半電導性材料の最も外側の表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層上に付着される場合、式(I)で表される化学化合物の量は、第1半電導性材料の最も外側の表面またはシェル層上に付着される総リガンドの1wt.%から99.9wt%までの範囲であり、好ましくは10wt%から50wt%までの範囲であり、より好ましくはそれは15wt.%から40wt.%までの範囲である。
【0076】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、1以上の添加剤をさらに含んでもよい。
好ましくは、該添加剤は、別のリガンドからなる群から選択される。
理論によって拘束されることは望まないが、かかる表面リガンドは、ナノサイズ蛍光材料を溶媒により容易に分散させることに繋がり得ると考えられている。
【0077】
一般的な使用において、表面リガンドは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などのホスフィンおよびホスフィンオキシド、ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などのホスホン酸、オレイルアミン、デデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)などのアミン、1-オクタデセン(ODE)、ヘキサデカンチオールおよびヘキサンチオールなどのチオール、メルカプトプロピオン酸およびメルカプトウンデカン酸などのメルカプトカルボン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、酢酸などのカルボン酸、およびこれらの任意の組み合わせを包含する。およびまた、好ましくはポリエチレンイミン(PEI)もまた使用され得る。
【0078】
表面リガンドの例は、例えば公開された国際特許出願No.WO 2012/059931Aに記載される。
【0079】
-組成物
別の側面において、本発明はまた、少なくとも
a)コア、任意に少なくとも1つのシェル層を含む1つの半電導性発光ナノ粒子、
b)以下の化学式(I)
【化10】
式中、
【0080】
XおよびYは、各々独立してまたは互いに従属して、O、S、PまたはN、好ましくはOまたはNであり、
nは、YがOまたはSである場合0であり、nは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
mは、XがOまたはSである場合0であり、mは、YがNまたはPである場合1であり、好ましくはnは、0であり、
【0081】
R
1は、付着基であり、好ましくは該付着基は、S、Se、O、PまたはNから選択される少なくとも1つの元素を含み、より好ましくは該付着基は、1つまたは2つのS原子を含み、なおより好ましくは該付着基は、
【化11】
であり、ここで「#」は、基Yへの連結点を表し、および「
*」は、第1半電導性材料の表面または半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0082】
ナノ粒子が2より多くのシェル層を含む場合、「*」は、半電導性発光ナノ粒子のシェル層の最も外側の表面への連結点を表し、
【0083】
R2は、1~40個の炭素原子、好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する線状のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有する分枝のアルキル基またはアルコキシル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子を有するシクロアルカン基、2~40個の炭素原子、好ましくは2~25個の炭素原子を有するアルケニル基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するアリール基、3~40個の炭素原子、好ましくは3~25個の炭素原子を有するヘテロアリール基、および4~40個の炭素原子、好ましくは4~25個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群の1以上の要素(member)から選択され、ここで各場合において1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、
【0084】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または、5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接する置換基Raは、相互に、モノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもまたよく、
【0085】
R3は、1~25個の炭素原子、好ましくは1~15個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、なおより好ましくは1~5個の炭素原子を有する線状のアルキレン基またはアルコキシレン基からなる群の1以上の要素から選択され、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=NRa、SO、SO2、NRa、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2、または、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよい5~60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香環系によって置き換えられていてもよく、好ましくは非隣接するCH2基のいずれも置換されていない、
【0086】
R4は、H原子、D原子、またはR2からなる群の1以上の要素から選択され、
【0087】
R5は、H原子、D原子、またはR2からなる群の1以上の要素から選択され、
で表される1つの化学化合物、
、および
c)別の化合物
を含む、本質的にからなる、またはからなる組成物にも関する。
【0088】
化学式(I)で表される化学化合物のより詳細は、上の「化学化合物」のセクションに記載される。
【0089】
別の側面において、本発明は、少なくとも
A)本発明に従う1つの半電導性発光ナノ粒子、および
B)別の化合物
を含む、本質的にからなる、またはからなる組成物に関する。
【0090】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは5wt.%から70wt.%、より好ましくは20wt.%から50wt.%までの範囲である。
【0091】
本発明のいくつかの態様において、以下の化学式(I)で表される化学化合物の総量は、組成物の総量に基づき、0.001wt.%から50wt.%まで、好ましくは0.005wt.%から30wt.%まで、より好ましくは0,01wt.%から15wt.%までの範囲である。
本発明のいくつかの態様において、該別の材料は、溶媒、有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、散乱粒子、ホスト材料、ナノサイズのプラズモン粒子、光開始剤、およびマトリックス材料からなる群の1以上の要素から選択される。
【0092】
例えば、該無機蛍光材料は、硫化物、チオガレート、窒化物、酸窒化物、ケイ酸塩、アルミン酸塩、アパタイト、ホウ酸塩、酸化物、リン酸塩、ハロリン酸塩、硫酸塩、タングステン酸塩、タンタル酸塩、バナジン酸塩、モリブデン酸塩、ニオブ酸塩、チタン酸塩、ゲルミネート(germinates)、ハロゲン化物ベースの蛍光体、およびこれらの任意の組み合わせからなる群の1以上の要素から選択され得る。
【0093】
かかる好適な無機蛍光材料は、phosphor handbook, 2nd edition (CRC Press, 2006), pp. 155 - pp. 338 (W.M.Yen, S.Shionoya および H.Yamamoto), WO2011/147517A, WO2012/034625A, および WO2010/095140Aに記述などの量子サイズ材料、ナノサイズの蛍光体を包含する周知である蛍光体でもよい。
【0094】
本発明に従って、該有機発光材料、電荷輸送材料として、任意のタイプの公知の材料は好ましくは使用され得る。例えば、周知の有機蛍光材料、有機ホスト材料、有機色素、有機電子輸送材料、有機金属コンプレックス、および有機ホール輸送材料。
【0095】
散乱粒子の例について、SiO2、SnO2、CuO、CoO、Al2O3 TiO2、Fe2O3、Y2O3、ZnO、MgOなどの無機オキシドの小粒子、ポリマー化ポリスチレン、ポリマー化PMMAなどの有機粒子、中空シリカなどの無機中空オキシド、またはこれらの任意の組み合わせは好ましくは使用され得る。
-マトリックス材料
本発明に従って、光学デバイスのために好適な多種多様な公知の透き通った ポリマーが、マトリックス 材料として好ましくは使用され得る。
【0096】
本発明に従って、用語「透き通った」は、入射光の少なくともほぼ60%が、光学媒体において使用される厚さにて、および光学媒体の操作中に使用される波長または波長範囲にて透過することを意味する。好ましくは、それは70%を超え、より好ましくは75%を超え、最も好ましくは80%を超える。
本発明の好ましい態様において、例えば、WO2016/134820Aに記載される任意のタイプの公知の透き通ったポリマーが使用され得る。
【0097】
本発明に従って、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有し、および重量平均分子量(Mw)1000g/mol以上を有する材料を意味する。
分子量Mwは、内部標準ポリスチレンに対し、GPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
【0098】
本発明のいくつかの態様において、透き通ったポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上および250℃以下である。
Tgは、http://pslc.ws/macrog/dsc.htm; Rickey J Seyler, Assignment of the Glass Transition, ASTM publication code number (PCN) 04-012490-50に記載などの示差走査熱量測定で観察された熱容量の変化に基づき測定される。
【0099】
例えば、透き通ったマトリックス材料のための透き通ったポリマーとして、ポリ(メタ)アクリラート、エポキシ、ポリウレタン、ポリシロキサンが好ましくは使用され得る。
本発明の好ましい態様において、透き通ったマトリックス材料として、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/molまで、より好ましくはそれは、10,000から250,000g/molまでの範囲である。
【0100】
-配合物
別の側面において、本発明は、少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子、および
少なくとも1つの溶媒、好ましくは該溶媒は、有機溶媒であり、より好ましくはシクロヘキシルベンゼン、3-フェノキシトルエン、n-オクチルベンゼン、ブチルベンゾアート、1-オクタノール、3,4-ジメチルアニソール、2-フェノキシエタノール、メチルイソバレラート、ジメチルスルホキシド、2-フェノキシプロパノールからなる群の1以上の要素から選択される、を含む、本質的にからなる、またはからなる配合物に関する。
【0101】
好ましくは、該配合物は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
別の側面において、本発明はまた、組成物、および
少なくとも1つの溶媒、好ましくはそれは、有機溶媒であり、より好ましくは芳香族、ハロゲン化、および脂肪族炭化水素溶媒からなる群の1以上の要素から選択され、より好ましくはトルエン、キシレン、エーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびヘプタン、精製水、エステルアセタート、アルコール、スルホキシド、ホルムアミド、窒化物、ケトンからなる群の1以上の要素から選択される、を含む、本質的にからなる、またはからなる配合物にも関する。
【0102】
配合物における溶媒の量は、組成物のコーティング方法に従って自由に制御され得る。例えば、組成物がスプレーコーティングされる場合、それは90wt.%以上の量の溶媒を含み得る。さらに、大型基体のコーティングによく採用されるスリットコーティング法が行われる場合、溶媒の含量は通常60wt.%以上、好ましくは70wt.%以上である。
本発明のいくつかの態様において、配合物は、複数の半電導性発光ナノ粒子および/または複数の半電導性材料を含む。
【0103】
いくつかの態様において、以下の化学式(I)で表される化学化合物の総量は、配合物の総量に基づき、0.001wt.%から50wt.%まで、好ましくは0.005wt.%から30wt.%まで、より好ましくは0,01wt.%から15wt.%までの範囲である。
いくつかの態様において、ナノ粒子の総量は、配合物の総量に基づき、0.01wt.%から90wt.%まで、好ましくは0,1wt.%から70wt.%まで、より好ましくは1wt.%から50wt.%までの範囲である。
【0104】
-使用
別の側面において、本発明は、半電導性発光ナノ粒子、組成物、または配合物の、電子デバイス、光学デバイスにおける、バイオメディカルデバイスにおける、または電子デバイス、光学デバイスまたはバイオメディカルデバイスを製作するための使用に関する。
【0105】
-光学媒体
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子または組成物を含む光学媒体に関する。
本発明のいくつかの態様において、光学媒体は、光学シート、例えば、カラーフィルター、色変換フィルム、遠隔蛍光テープ、または別のフィルムまたはフィルターでもよい。
【0106】
本発明に従って、用語「シート」は、構造化された媒体などのフィルムおよび/または層を包含する。
本発明のいくつかの態様において、光学媒体は、アノードおよびカソード、および、少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子または本発明の組成物を含む少なくとも1つの有機層を含み、好ましくは該1つの有機層は、光放射層であり、より好ましくは媒体は、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホールブロッキング層、電子ブロッキング層、および電子注入層からなる群から選択される1以上の追加の層をさらに含む。
【0107】
本発明に従って、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、光放射層、ホールブロッキング層、電子ブロッキング層、および電子注入層のために、好ましくはWO 2018/024719 A1、US2016/233444 A2、US7754841 B、WO 2004/037887およびWO 2010/097155に記載されるなどの、任意の種類の公的に入手可能な無機および/または有機材料が使用され得る。
本発明の好ましい態様において、光学媒体は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
【0108】
好ましくは、光学媒体のアノードおよびカソードは、有機層を挟む。
より好ましくは、前記追加の層もまた、アノードおよびカソードによって挟まれる。
【0109】
本発明のいくつかの態様において、有機層は、本発明の少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子、およびホスト材料を含み、好ましくはホスト材料は、有機ホスト材料である。
本発明の好ましい態様において、光学媒体は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
【0110】
-光学デバイス
別の側面において、本発明はさらに、少なくとも1つの本発明の光学媒体を含む光学デバイスに関する。
本発明のいくつかの態様において、光学デバイスは、液晶ディスプレーデバイス(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、光学ディスプレーのためのバックライトユニット、発光ダイオードデバイス(LED)、微小電気機械システム(以後「MEMS」)、エレクトロウェッティングディスプレー、または電気泳動ディスプレー、照明デバイス、および/または太陽電池であり得る。
【0111】
技術的効果
本発明は、以下の技術的効果の1以上を提供する。
ナノ粒子の量子収量の改善、より高いデバイス効率、ナノ粒子のトラップ放射を低下させること、ナノ粒子のシェル部分の表面状態を最適化すること、ナノ粒子のシェル層の格子欠陥を低減させること、シェル層のダングリングボンドの形成の低減/防止すること、より良好な熱安定性、改善された酸化安定性、ラジカル物質への改善された安定性、QYの著しい低下を引き起こさない長期保存の間の改善された安定性、より良好な化学的安定性、ナノ粒子の製作プロセスを最適化すること、シェル層の格子欠陥を低減するための新しい製作プロセス、および、環境にやさしく、およびより安全な製作プロセスを提供すること。
以下の実施例1~6は、本発明の説明、ならびにそれらの製造の詳細な説明を提供する。
【0112】
実施例
比較例1:トルエン中においてドデカンチオール、ステアリン酸、ミリスチン酸、およびパルミチン酸のリガンドをもつ量子ドット
【0113】
トルエン中においてドデカンチオール、ステアリン酸、ミリスチン酸、およびパルミチン酸のリガンドをもつRed InP ベースの量子ドット(QD)を、US7,588,828 Bに記載されるとおり調製する。
次いでQDを乾燥トルエン中において0.08mg/mLの濃度にて溶解させ、および初期量子収率(以後、初期QY)についてHamamatsu Quantaurusにおいて測定する。
【0114】
その後、100mgのQDを2mLの乾燥トルエン中において溶解させ、および3mgの光開始剤Irgacure@TPOと混合し、およびアルゴン下、365nmをもつ光源に60min間曝露させながら室温にて撹拌させる。試料を採取する。次いで試料を0.08mg/mLに希釈する。および次いで、試料の量子収率をHamamatsu Quantaurusにより測定する。
【0115】
各試料の初期QYを、以下の式を使用することによって100%に設定する。
正規化された初期QY(100%)=各試料の初期QY*α
正規化されたQYは、以下の式に基づき計算される。
正規化されたQY=(QY*α/初期QY)*100
測定の結果を表4に示す。
【0116】
【0117】
実施例1:トルエン中において化学化合物イソ-オクチルメルカプトアセタート(IOMA)をもつ量子ドット
トルエン中においてドデカンチオール、ステアリン酸、ミリスチン酸、およびパルミチン酸のリガンドをもつRed InP ベースの量子ドット(QD)を、US7,588,828 Bに記載されるとおり調製する。
【0118】
-リガンド交換
5mLのQD溶液(トルエン中において50mg/mL)を0,098gのIOMA(Bruno Bock イソ-オクチル チオグリコラート、dist.40286)と混合し、およびアルゴン下で50℃にて終夜撹拌する。混合物を遠心分離バイアルに移し、および5mLの乾燥メタノールを添加する。混合物をアルゴン下で4000rpm、5min間遠心分離する。その後、無色の上澄みを除去し、および赤色の沈殿物を5mLの乾燥トルエン中において懸濁させ、QDを0.08mg/mLの濃度にて乾燥トルエン中において溶解させる。
【0119】
次いでそれを、初期量子収率(以下、初期QY)についてHamamatsu Quantaurusにおいて測定する。
その後、100mgのQDを2mLの乾燥トルエン中において溶解させ、および3mgの光開始剤Irgacure@TPOと混合し、およびアルゴン下、365nmをもつ光源に60min間曝露させながら室温にて撹拌させる。試料を採取する。次いで試料を0.08mg/mLに希釈する。および次いで、試料の量子収率をHamamatsu Quantaurusにより測定する。
測定の結果を表5に示す。
【0120】
【0121】
実施例2:トルエン中において化学化合物イソ-オクチルメルカプトプロピオナート(IOMP)をもつ量子ドット
トルエン中において化学化合物IOMPをもつ量子ドットを、IOMAの代わりにIOMPを使用することを除き、実施例1に記載されるとおりと同じやり方において調製する。
QY測定の結果を表6に示す。
【0122】
【0123】
実施例3:トルエン中において化学化合物イソ-トリデクチルメルカプトプロピオナート(ITMP)をもつ量子ドット
トルエン中において化学化合物ITMPをもつ量子ドットを、IOMAの代わりにITMPを使用することを除き、実施例1に記載されるとおりと同じやり方において調製する。
QY測定の結果を表7に示す。
【0124】
【0125】
実施例4:トルエン中において化学化合物イソ-トリデクチルメルカプトアセタート(ITMA)をもつ量子ドット
トルエン中において化学化合物ITMAをもつ量子ドットを、IOMAの代わりにITMAを使用することを除き、実施例1に記載されるとおりと同じやり方において調製する。
QY測定の結果を表8に示す。
【0126】
【0127】
実施例5:トルエン中において化学化合物フェニルメルカプトアセタート(PMA)をもつ量子ドット
トルエン中において化学化合物PMAをもつ量子ドットを、IOMAの代わりにPMAを使用することを除き、実施例1に記載されるとおりと同じやり方において調製する。次いで試料をQY測定のために採取する。
【0128】
実施例6:QY測定
実施例6におけるQY測定において、比較例1からの試料、実施例1からの試料、および実施例5からの試料を測定し、本発明の効果を比較する。
本実施例において、量子収率を、Hamamatsu Quantaurusを使用して、比較例1に記載のとおりに正規化せずに測定する。したがって、
図1において用語「量子収率(またはQY)」は、絶対量子収率を意味する。
図1は、QY測定の結果を示す。
【国際調査報告】