(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ケラチン繊維のケアおよび形状付与のための多糖類と組み合わせたビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20220113BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220113BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/73
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547937
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2019079767
(87)【国際公開番号】W WO2020089353
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018127185.9
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】レネ・クローン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シュルツェ・ツーア・ヴィーシェ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC911
4C083AD211
4C083BB53
4C083CC37
(57)【要約】
本発明は、ヒトの毛髪の形状変形および表面改質のための活性成分組成物に関する。特に本発明は、a)少なくとも1種の有機ケイ素化合物、およびb)少なくとも1種の多糖を含んでなる、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物に関し、この化粧品組成物は色を保護するのに特に適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
b)少なくとも1種の多糖
を含んでなる、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、式(I)および/または(II)で示される化合物を含んでなり、
式(I):
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (I)
で示される有機ケイ素化合物において、
-R
1、R
2は、共に水素原子を表し、
-Lは、直鎖二価のC
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
-R
3およびR
4は、独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を表し、
-bは数0を表し、
式(II):
で示される有機ケイ素化合物において、
-R
5、R
5'、R
5"、R
6、R
6'およびR
6"は独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
-R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R
6")
d"(OR
5")
c" (III)
で示される基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c"は、1~3の整数を表し、
-d"は、整数3-c"を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる
ことを特徴とする、請求項1に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項3】
前記ケラチン物質を処理するための剤は、
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
からなる群から選択される式(I)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とするか、または
前記ケラチン物質を処理するための剤は、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される式(II)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする、
請求項1または2に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項4】
前記式(I)で示される有機ケイ素化合物は、化粧品組成物中に、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~8重量%、より好ましくは0.05~6重量%、最も好ましくは0.1~4重量%の量で含まれることを特徴とする、および/または前記式(II)で示される有機ケイ素化合物は、化粧品組成物中に、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~9重量%、より好ましくは0.05~8重量%、さらにより好ましくは0.1~7重量%、最も好ましくは0.1~6重量%の量で含まれることを特徴とする、および/または前記式(I)で示される有機ケイ素化合物は3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンである、および/または前記式(II)で示される有機ケイ素化合物は(3-アミノプロピル)トリエトキシシランであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項5】
前記ケラチン物質を処理するための剤は、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-プロピルトリメトキシシラン
-プロピルトリエトキシシラン
-ヘキシルトリメトキシシラン
-ヘキシルトリエトキシシラン
-オクチルトリメトキシシラン
-オクチルトリエトキシシラン
-ドデシルトリメトキシシラン
-ドデシルトリエトキシシラン
-オクタデシルトリメトキシシランおよび
-オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択される式(IV):
R
9Si(OR
10)
k(R
11)
m (IV)
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項6】
前記多糖は、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.1~25重量%、好ましくは0.15~20重量%、より好ましくは0.5~15重量%、最も好ましくは1~10重量%の量で化粧品組成物中に存在することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項7】
前記多糖は、グリセリンアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、グルコース、マンノース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトースおよびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーで構成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項8】
前記多糖は、酸化、還元、硫酸化、スルホン化、アミド化、アミノ化、アルキル化、リン酸化、ホスホン化、カルボン酸エステル化またはエーテル化に付されたモノマーで構成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項9】
前記ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、相互に構造的に異なる少なくとも2種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項10】
前記ケラチン物質を処理するための組成物は、前記ケラチン物質を処理するための組成物の総重量を基準にして、
-0.5~3重量の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される第一の有機ケイ素化合物の少なくとも1種、および
-3.2~7重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される第二の有機ケイ素化合物の少なくとも1種
を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項11】
染色されたケラチン物質の洗い流し保護のための、
ケラチン物質の表面の形状付与のための、および/または
ケラチン物質のケアのための、
請求項1~10のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物および少なくとも1種の多糖を含んでなる、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物、並びに化粧品組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な発生源からの化学物質への毛髪の外部暴露は、化粧品ケア製品の開発に課題をもたらしている。大気および水の汚染は、肌および毛髪に悪影響を及ぼす。他の大気汚染物質の存在およびUV照射は、様々な大気汚染物質の影響を高め得る。
【0003】
二酸化硫黄、オゾンおよび窒素酸化物などの空気中のガス状汚染物質の毒性は、フリーラジカルに対するそれらの開始剤活性に特に依存し、それが生物に損傷を与えることが知られている。フリーラジカルは、体内でも自然に発生する代謝産物である。このような場合は、酸化的損傷と称されている。フリーラジカルはまた、例えば毛髪の色のグリップおよび/または退色だけでなく光沢の低下によっても明らかになる、毛髪の損傷も招き得る。
【0004】
また、毛髪の特定の仕上げに関する頻繁に変わる消費者の要求は、毛髪への繰り返しの化学的ストレスにつながる。例えば、染毛剤は毛髪にストレスを与えるため、集中的なケアが必要になることがある。
【0005】
シランの群からのシリカの有機化合物は、従来技術において記載されており、少なくとも1個のヒドロキシ基および/または加水分解性基を含む。ヒドロキシ基および/または加水分解性基が存在するため、シランは、水の存在下で加水分解またはオリゴマー化または重合する反応性物質である。ケラチン物質に使用する場合、水の存在によって開始されるシランのオリゴマー化または重合は、最終的に、保護を提供し得るフィルムの形成をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、毛髪に良好に形状を付与し、化学的ストレスに対する構造保護を向上させる化粧品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、
a)少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
b)少なくとも1種の多糖
を含んでなる、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手指の爪および/または足指の爪)を意味する。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に含まれる。
【0009】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪(特に、手指の爪および足指の爪)を意味すると理解される。極めて好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、特に頭髪および/または髭を意味すると理解される。
【0010】
本発明に必須の第一の成分として、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。好ましい有機ケイ素化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランであって、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む有機ケイ素化合物から選択される。
【0011】
オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有するか、または炭素が酸素、窒素またはイオウ原子を介してケイ素原子に結合している化合物である。有機ケイ素化合物は、1個~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0012】
IUPAC命名法によると、用語「シラン」は、ケイ素骨格および水素をベースにした一群の化合物を意味する。有機シランにおいて、水素原子は(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により、完全にまたは部分的に、置換されている。有機シランにおいて、いくつかの水素原子は、ヒドロキシ基により置換されていてもよい。
【0013】
ケラチン物質を処理するための剤は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから好ましくは選択される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0014】
特に好ましい実施態様の一部では、ケラチン物質を処理するための製品は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を特徴とし、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上の塩基性基および1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む。
【0015】
この塩基性基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であってよく、これは、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合されている。塩基性基は、好ましくは、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0016】
加水分解性基は、好ましくは、C1-C6アルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合していることが好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基の場合、有機ケイ素化合物は好ましくは、構造単位R'R"R"'Si-O-CH2-CH3を含む。基R'、R"およびR"'は、ケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0017】
特に良好な結果は、ケラチン物質を処理するための剤が式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む場合に得られる。
【0018】
式(I)および(II)で示される化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0019】
別の極めて好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための剤は、式(I)および/または(II):
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (I)
[式中、
-R
1、R
2は、共に水素原子を表し、
-Lは、直鎖二価のC
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
-R
3およびR
4は、独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数3であり、
-bは数0である]
[式中、
-R5、R5'、R5"は、独立して水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
-R
6、R
6'およびR
6"は、独立してC
1-C
6アルキル基を表し、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
-R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R
6")
d"(OR
5")
c
" (III)
で示される基を表し、
-cは、1~3の整数であり、
-dは、整数3-cであり、
-c'は、1~3の整数であり、
-d'は、整数3-c'であり、
-c"は、1~3の整数であり、
-d"は、整数3-c"であり、
-eは、0または1であり、
-fは、0または1であり、
-gは、0または1であり、
-hは、0または1であり、
-ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる]
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0020】
式(I)および式(II)で示される化合物中の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5'、R5"、R6、R6'、R6"、R7、R8、L、A、A'、A"、A"'およびA""は、下記例で説明される:
C1-C6アルキル基の例は、基メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルである。プロピル、エチルおよびメチルが、好ましいアルキル基である。C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖二価のC1-C20アルキレン基の例には、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が含まれる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3C原子の鎖長から、二価のアルキレン基が分岐していてもよい。分岐二価のC3-C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0021】
式(I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
で示される有機ケイ素化合物において、基R1およびR2は、相互に独立して水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。特に、基R1およびR2は、共に水素原子である。
【0022】
有機ケイ素化合物の中央部には、構造単位またはリンカー-L-が存在し、これは、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を意味する。
【0023】
好ましくは、-L-は、直鎖二価のC1-C20アルキレン基である。さらに好ましくは、-L-は、直鎖二価のC1-C6アルキレン基である。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)である。Lは、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)である。
【0024】
式(I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
で示される有機ケイ素化合物は、一端にケイ素含有基-Si(OR3)a(R4)bを有する。
【0025】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、R3は、水素またはC1-C6アルキル基であり、R4は、C1-C6アルキル基である。R3およびR4は、相互に独立して、メチル基またはエチル基を表す。
【0026】
ここで、aは、1~3の整数であり、bは、整数3-aである。aが数3である場合、bは0に等しい。aが数2である場合、bは1に等しい。aが数1である場合、bは2に等しい。
【0027】
水および/または大気汚染の負の効果に対する最良の保護(「抗汚染」効果)およびストレスを受けた毛髪の最良のケアは、ケラチン物質を処理するための剤が、式(I)[式中、基R3、R4は独立してメチル基またはエチル基を表す]で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む場合に得られる。
【0028】
式(I)で示される特に適当な有機ケイ素化合物は、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-1-(2-アミノエチル)シラントリオール
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、
および/または
-1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
である。
【0029】
式(I)で示される有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、Sigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもSigma-Aldrichから市販品として入手できる。
【0030】
別の実施態様では、ケラチン物質を処理するための製品は、式(II):
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0031】
式(II)で示されるオルガノシリコン化合物は、2つの末端それぞれに、ケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6')d'(OR5')c'を有する。
【0032】
式(II)で示される分子の中央部には、基-(A)e-および-[NR7-(A')]f-および-[O-(A")]g-および-[NR8-(A"')]h-が存在する。ここで、e、f、gおよびhのそれぞれは、相互に独立して、数0または1であり、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。換言すれば、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A')]-および-[O-(A")]-および-[NR8-(A"')]-からなる群から選択される基を少なくとも1つ含む。
【0033】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6')d'(OR5')c'において、R5、R5'、R5"は、相互に独立して、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。基R6、R6'およびR6"は、独立してC1-C6アルキル基を表す。
【0034】
ここで、cは、1~3の整数であり、dは、整数3-cである。cが数3である場合、dは0に等しい。cが数2である場合、dは1に等しい。cが数1である場合、dは2に等しい。
【0035】
同様に、c'は、1~3の整数であり、d'は、整数3-c'である。c'が数3である場合、d'は0である。c'が数2である場合、d'は1である。c'が数1である場合、d'は2である。
【0036】
基cおよびc'が共に数3である場合、ケラチン物質を処理するための製品の極めて高い汚染防止効果が得られる。この場合、dおよびd'は、共に数0である。
【0037】
別の好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための製品は、式(II):
[式中、
-R
5およびR
5'は独立して、メチル基またはエチル基であり、
-cおよびc'は、共に数3であり、
-dおよびd'は、共に数0である]
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0038】
cおよびc'が共に数3であり、dおよびd'が共に数0である場合、有機ケイ素化合物は、式(IIa):
(R5O)3Si-(A)e-[NR7-(A')]f-[O-(A")]g-[NR8-(A"')]h-Si(OR5')3 (IIa)
に相当する。
【0039】
e、f、gおよびhは独立して、数0または1であってよく、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。従って、記号e、f、gおよびhは、基-(A)e-および-[NR7-(A')]f-および-[O-(A")]g-および-[NR8-(A"')]h-のいずれが、式(II)で示される有機ケイ素化合物の中央部に位置するかを決定している。
【0040】
本発明では、特定の基の存在が、「汚染防止」効果を高める観点から特に有利であることが見出された。特に良好な結果は、e、f、gおよびhの少なくとも2つが数1である場合に得られる。特に好ましくは、eおよびfは共に数1を意味する。さらに、gおよびhは共に数0を意味する。
【0041】
eおよびfが共に数1であり、gおよびhが共に数0である場合、本発明における有機ケイ素化合物は、式(IIb):
(R5O)c(R6)dSi-(A)-[NR7-(A')]-Si(R6')d'(OR5')c' (IIb)
に相当する。
【0042】
基A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、直鎖二価のC1-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、直鎖二価のC1-C6アルキレン基を表す。特に、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に、基A、A'、A"、A"'およびA""は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)である。
【0043】
fが数1である場合、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造基-[NR7-(A')]-を含む。
【0044】
hが数1である場合、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造基-[NR8-(A"')]-を含む。
【0045】
式中、R7およびR8は独立して、水素原子、C1-C6アルキル基、ヒドロキシC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、アミノC1-C6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R6")d"(OR5")c" (III)
で示される基を表す。
【0046】
極めて好ましくは、R7およびR8は独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す。
【0047】
fが数1であり、hが数0である場合、本発明における有機ケイ素化合物は、基-[NR7-(A')]-を含むが、基-[NR8-(A"')]-を含まない。基R7が式(III)で示される基である場合、ケラチン物質を処理するための剤は、3個の反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0048】
別の好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための製品は、式(II):
[式中、
-eおよびfは、共に数1であり、
-gおよびhは、共に数0であり、
-AおよびA'は相互に独立して、直鎖二価のC
1-C
6アルキレン基であり、
-R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0049】
別の好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための製品は、式(II)[式中、
-eおよびfは、共に数1であり、
-gおよびhは、共に数0であり、
-AおよびA'は相互に独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)であり、
-R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0050】
課題の解決に適した式(II)で示される有機ケイ素化合物は、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
である。
【0051】
式(II)で示される有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
【0052】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0053】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンとしても知られ、例えば、Sigma-Aldrichから購入でき、または、Evonikから商品名Dynasylan 1122で市販品として入手できる。
【0054】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも称され、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0055】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0056】
毛髪に使用されるケラチン物質を処理するための製品が、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む場合に有利であることも見出された。
【0057】
式(IV)で示される化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0058】
式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示される有機ケイ素化合物はまた、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランと称されることもある。
【0059】
さらに好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための製品は、式(I)で示される有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示されるさらなる有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0060】
同様に好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための製品は、式(II)で示される有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示されるさらなる有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0061】
別の好ましい実施態様では、ケラチン物質を処理するための製品は、式(I)および(II)で示される有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kである]
で示されるさらなる有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む。
【0062】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R9は、C1-C12アルキル基を表す。このC1-C12アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐であってよい。好ましくはR9は、直鎖C1-C8アルキル基である。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基またはn-ドデシル基である。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基またはn-オクチル基である。
【0063】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R10は、メチル基またはエチル基である。
【0064】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R11は、C1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R11は、メチル基またはエチル基を表す。
【0065】
さらに、kは、1~3の整数であり、mは、整数3-kである。kが数3である場合、mは0に等しい。kが数2である場合、mは1に等しい。kが数1である場合、mは2に等しい。
【0066】
極めて高い「汚染防止」効果は、ケラチン物質を処理するための製品が、kが数3である式(IV)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含む場合に得られる。この場合、残りのmは数0である。
【0067】
課題の解決に特に適した式(IV)で示される有機ケイ素化合物は、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-n-ヘキシルトリメトキシシラン
-n-ヘキシルトリエトキシシラン
-n-オクチルトリメトキシシラン
-n-オクチルトリエトキシシラン
-n-ドデシルトリメトキシシランおよび/または
-n-ドデシルトリエトキシシラン
およびプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはオクタデシルトリエトキシシランである。
【0068】
上記有機ケイ素化合物は、反応性化合物である。
【0069】
これに関連して、製品が有機ケイ素化合物として、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、すなわちアミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、および/または3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、すなわちビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンを含む場合に、特に好ましいことが見出された。
【0070】
本発明の好ましい実施態様では、式(I)で示される有機ケイ素化合物、特に(3-アミノプロピル)トリエトキシシランは、化粧品中に、化粧品の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~8重量%、より好ましくは0.05~6重量%、最も好ましくは0.1~4重量%の量で存在する、および/または式(II)で示される有機ケイ素化合物、特に3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、化粧品組成物中に、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~9重量%、より好ましくは0.05~8重量%、最も好ましくは0.1~7重量%の量で存在する。
【0071】
剤が、構造的に異なる2種の有機ケイ素化合物を含む場合、特に安定かつ均一なフィルムが、ケラチン物質上に得られることが見出された。
【0072】
好ましい実施態様では、剤は、式(I)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種および式(IV)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0073】
明らかに極めて特に好ましい実施態様では、剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される式(I)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含み、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)で示される有機ケイ素化合物の少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする。
【0074】
別の好ましい実施態様では、剤は、剤の総重量を基準にして、
-0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される第一の有機ケイ素化合物の少なくとも1種、および
-3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される第二の有機ケイ素化合物の少なくとも1種
を含むことを特徴とする。
【0075】
少なくとも1個の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物では、少量の水の添加であっても、加水分解が生じる。加水分解生成物および/または少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応で相互に反応し得る。このため、少なくとも1個の加水分解性基を有するオルガノシリコン化合物およびそれらの加水分解および/または縮合生成物の両方が、組成物中に存在し得る。少なくとも1個のヒドロキシル基を有するオルガノシリコン化合物を使用する場合、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびその縮合生成物の両方が、組成物中に存在し得る。
【0076】
縮合生成物は、1分子当たり少なくとも1個のヒドロキシル基または加水分解性基をそれぞれが有する少なくとも2種の有機ケイ素化合物の、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴う反応により形成された生成物であると理解される。縮合生成物は、例えば、ダイマーであり得るが、トリマーまたはオリゴマーである場合もあり、縮合生成物はモノマーと平衡状態にある。加水分解で使用または消費される水の量に応じて、平衡は、モノマー有機ケイ素化合物側から縮合生成物側にシフトする。
【0077】
本発明では、重量%単位の数値は、特に記載のない限り常に、化粧品の総重量に基づく。
【0078】
本発明に必須の第二の成分として、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、少なくとも1種の多糖を含む。本発明の組成物に含まれ得る少なくとも1種の多糖は、植物もしくは動物由来、または微生物の代謝産物、およびその分解変性生成物であってよい。本発明において、多糖は、2超、好ましくは10超の単糖がグリコシド結合を介して結合しているポリマーとして理解される。好ましい実施態様において、単糖は、開環構造または閉環構造で使用されてよい。
【0079】
本発明に至る検討の過程で、構造の保護と同時に毛髪の形状付与に関して有利な特性を達成するためには、有機ケイ素化合物、特に、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、すなわちビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、および/または(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、すなわちアミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)を、多糖と組み合わせる場合が有利であることが見出された。
【0080】
好ましい実施態様では、多糖は、グリセリンアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、グルコース、マンノース、リキソース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトースからなる群から選択されるモノマーで構成されている。多糖は、さらに好ましくは、グリコーゲン、デンプン、カロース、セルロース、ツニシン、ペクチン、アルギン、イヌリン、キチン、キトサン、ヘパリン、カラギーナン、寒天、アラビアゴム、トラガント、ローカストビーンガム、カラヤガム、ガティガム、グアーガム、タラガム、ゲランガム、キサンタンガム、デキストラン、スクロース、ニゲランガム、並びにキシランおよびアラバンなどのペントサン、それらの誘導体および混合物からなる群から選択される。
【0081】
さらに、多糖は、変性されていてよいモノマーからなっていてもよい。好ましい実施態様では、多糖は、酸化、還元、硫酸化、スルホン化、アミド化、アミノ化、アルキル化、リン酸化、ホスホン化、カルボン酸エステル化またはエーテル化に付されたモノマーで構成されている。これは、1以上のモノマーが、まず前記処理の1つに付され、次いで重合されて多糖を形成しているか、または多糖が前記処理の1つ付された状態であることを意味する。
【0082】
いくつかの実施態様では、多糖はまた、例えば、その主成分が、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸、D-ガラクツロン酸メチルエステル、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-およびL-ガラクトース、3,6-アンヒドロ-D-ガラクトース、L-ラムノースおよびD-グルクロン酸、2-アミノ-2-デオキシ-D-グルコース、2-アミノ-2-デオキシ-D-ガラクトース、およびそれらのN-アセチル誘導体からなる、グリコーゲン、デンプン(アミロースおよびアミロペクチン)、カロース、セルロース、ツニシン、ペクチン、アルギン、イヌリン、キチン、キトサン、ヘパリン、カラギーナン、寒天、アラビアゴム、トラガント、ローカストビーンガム、カラヤガム、ガティガム、グアーガム、タラガム、ゲラン、キサンタン、デキストラン、スクロース、ニゲラン、並びにキシランおよびアラバンなどのペントサンであり得る。上記の誘導体、例えば上記の混合物も適している。化学変性多糖、すなわち、上記処理のいずれかに付された多糖は、限定されるものではないが、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、スルホエチルセルロース、カルボキシメチルスルホエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース、ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、メチルスルホエチルセルロースおよびエチルスルホエチルセルロースを包含する。
【0083】
いくつかの実施態様では、少なくとも1種の多糖は、好ましくは、デンプン、熱的および/または機械的に処理されたデンプン、酸化的、加水分解的または酸化酵素的に分解されたデンプン、酸化加水分解的または酸化酵素的に分解されたデンプン、および化学修飾デンプンである。本発明では、基本的に、全てのデンプンが適している。いくつかの実施態様では、それらは例えば、限定されるわけではないが、とうもろこし、小麦、米、エンドウ豆、大麦、ライ麦、キャッサバ、タピオカ、サツマイモまたはジャガイモに由来するデンプンであり得、いくつかの実施態様では、例えば天然のデンプンが好ましく使用される。天然のデンプンとは、上記したもののような天然資源から入手されるデンプンを指す。天然のデンプンは、一般的に市販されており、従って、容易に入手できる。
【0084】
本発明の一実施態様では、少なくとも1種の多糖は、とうもろこし、小麦、米、エンドウ豆、大麦、ライ麦、キャッサバ、タピオカ、サツマイモまたはジャガイモのデンプンである。本発明の一実施態様では、少なくとも1種の多糖は、この種類の対応する天然のデンプンである。混合物もまた適している。一実施態様では、少なくとも1種の多糖は、好ましくはコーンスターチ、特に天然のコーンスターチである。最も好ましくは、Agrabne Wien社のコーンスターチCollamyl 8412である。
【0085】
有機ケイ素化合物、例えばビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンおよび/またはアミノプロピルトリエトキシシランと多糖との組み合わせは、毛髪上に層を形成する。これにより、毛髪が一時的に良好に形状付与されること、および良好なヘアスタイルが保持されることが確実になる。また、酸化的損傷を受けた毛髪において、毛髪表面が再度疎水化され、これにより縮れが低減される。さらに、化学的作用に対する構造的保護が改善される。
【0086】
ケラチン物質に一時的に形状付与するための1つの剤(=スタイリング物質)としてのケラチン物質を処理するための製品に対する様々な要件に対処するために、既に多数の合成ポリマーが固定化化合物として開発されており、それらはケラチン物質の処理のための製品に使用できる。本発明の課題の十分な解決のためには、有機シラン化合物と組み合わせた、本発明の化粧品組成物に使用される多糖が非常に適していることが見出された。
【0087】
本発明の好ましい実施態様では、多糖の量は、化粧品において、化粧品の総重量に基づいて、0.1~25重量%、好ましくは0.15~20重量%、より好ましくは0.5~15重量%、最も好ましくは1~10重量%である。
【0088】
以下に、前記必須成分および任意成分に加えて製品中に含まれてもよい、化粧品のさらなる成分を記載する。
【0089】
ケラチン物質を処理するための製品が、0.001~20重量%の少なくとも1種の四級化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。これは、ケラチン物質にケア特性をもたらす剤に特に当てはまる。
【0090】
少なくとも1種の四級化合物が、
i)モノアルキルクワット、および/または
ii)エステルクワット、および/または
iii)式(Tkat2):
[式中、基Rは相互に独立して、8~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖の炭化水素基であり、Aは、生理学的に許容性のアニオンである]
で示される四級イミダゾリン、および/または
iv)アミドアミンおよび/またはカチオン化アミドアミン、および/または
v)ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム化合物)、および/または
vi)四級化セルロース誘導体、特に、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、および/または
vii)カチオン性アルキルポリグリコシド、および/または
viii)カチオン化蜂蜜、および/または
ix)カチオン性グアー誘導体、および/または
x)キトサン、および/または
xi)四級化ポリビニルアルコール
およびそれらの混合物
からなる群の少なくとも1から選択されることが好ましい。
【0091】
また、化粧品は、ワックスおよび他の合成ポリマーからなる群から好ましくは選択される固定化化合物を含むことができる。すなわち、ワックスおよび/または他の合成ポリマーをサプリメントとして固定化化合物に添加することができる。理想的には、多糖および他の固定化化合物は、ケラチン物質に使用されると、一方では髪型を強く保持するが、他方では十分に柔軟であるため応力を受けても破壊されない、ポリマーフィルムを残す。
【0092】
例えば、ポリカルボン酸が、フィルム形成剤として化粧品において使用される。これらは毛髪に沈着し、毛髪の一時的な変形能を確立する。このフィルム形成剤は、イタコン酸由来のホモポリマーまたはコポリマーであってよい。このフィルム形成剤がもっぱら重合イタコン酸および/またはイタコン酸塩の形態で存在する場合、フィルム形成剤はホモポリマーを形成している。そのようなポリマーの例は、PVP/VA/イタコン酸コポリマー(INCI)である。
【0093】
他の合成ポリマーは、カチオン性、アニオン性、非イオン性および両性の固定化ポリマーに分類できる。
【0094】
好適な合成ポリマーとしては、例えば、次のINCI名を有するポリマーが挙げられる:アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー、アクリルアミド/DMAPAアクリレート/メトキシPEGメタクリレートコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、アクリレート/t-ブチルアクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/C1-2スクシナート/ヒドロキシアクリレートコポリマー、アクリレート/ラウリルアクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミド/ジフェニルアモジメチコンコポリマー、アクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/VAコポリマー、アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー、アクリレート/VPコポリマー、アジピン酸/ジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/イソフタル酸/ネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパンコポリマー、アリルステアレート/VAコポリマー、アミノエチルアクリレートホスフェート/アクリレートコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アンモニウム/VA/アクリレートコポリマー、AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/アリルメタクリレートコポリマー、AMP-アクリレート/C1-18アルキルアクリレート/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、バシルス/ライスブランエキストラクト/大豆エキストラクトフェルメントフィルトレート、ビス-ブチルオキシアモジメチコン/PEG-60コポリマー、ブチルアクリレート/エチルヘキシルメタクリレートコポリマー、ブチルアクリレート/ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、ブチル化PVP、エチレン/MAコポリマーのブチルエステル、PVM/MAコポリマーのブチルエステル、カルシウム/ナトリウムPVM/MAコポリマー、コーンスターチ/アクリルアミド/ナトリウムアクリレートコポリマー、ジエチレングリコールアミン/エピクロロヒドリン/ピペラジンコポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジフェニルアモジメチコン、PVM/MAコポリマーのエチルエステル、加水分解小麦タンパク質/PVPクロスポリマー、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー、イソブチレン/MAコポリマー、イソブチルメタクリレート/ビス-ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、PVM/MAコポリマーのイソプロピルエステル、ラウリルアクリレートクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、MEA-サルファイト、メタクリル酸/ナトリウムアクリルアミドメチルプロパンスルホネートコポリマー、メタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、PEG/PPG-25/25ジメチコン/アクリレートコポリマー、PEG-8/SMDIコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート-6、ポリβ-アラニン/グルタル酸クロスポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル-1、ポリエチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリロイルエチルベタイン、ポリペンタエリスリチルテレフタレート、ポリペルフルオロペルヒドロフェナントレン、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリシリコーン-9、ポリウレタン-1、ポリウレタン-6、ポリウレタン-10、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルイミダゾリニウムアセテート、ポリビニルメチルエーテル、PVM/MAコポリマーのカリウムブチルエステル、PVM/MAコポリマーのカリウムエチルエステル、PPG-70ポリグリセリル-10エーテル、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、PPG-10ソルビトール、PVM/MAコポリマー、PVP、PVP/VA/イタコン酸コポリマー、PVP/VA/ビニルプロピオネートコポリマー、リゾビアンガム、ロジンアクリレート、シェラク、PVM/MAコポリマーのナトリウムブチルエステル、PVM/MAコポリマーのナトリウムエチルエステル、ナトリウムポリアクリレート、カラヤガム、テレフタル酸/イソフタル酸/ナトリウムイソフタル酸スルホネート/グリコールコポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチルシロキシシリルカルバモイルプルラン、VA/クロトネートコポリマー、VA/クロトネート/メタクリロキシベンゾフェノン-1コポリマー、VA/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー、VA/クロトネート/ビニルプロピオネートコポリマー、VA/DBMコポリマー、VA/ビニルブチルベンゾエート/クロトネートコポリマー、ビニルアミン/ビニルアルコールコポリマー、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/DMAPAアクリレートコポリマー、VP/ヘキサデセンコポリマー、VP/VAコポリマー、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー、イーストパルミテートおよびスチレン/VPコポリマー。セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースも適している。
【0095】
好ましくは、固定化化合物は、ビニルピロリドン含有ポリマーを含んでなる。特に好ましくは、固定化化合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含んでなる。
【0096】
従って、固定化化合物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、およびそれらの混合物からなる群から選択される合成ポリマーを含んでなることが特に好ましい。
【0097】
また、化粧品は、固定化化合物として、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)を含むこともできる。このコポリマーは、様々な形態で、Amphomer(登録商標)、Amphomer(登録商標)HC、Amphomer(登録商標)4961、Amphomer(登録商標)EDGEおよびAmphomer(登録商標)LV 71の名称でAkzo Nobelから販売されている。
【0098】
ケラチン物質を処理するための製品は特に、ケラチン物質に一時的に形状付与するための剤、ケラチン物質を洗浄するための剤、ケラチン物質をケアするための剤、ケラチン物質をケアするための剤および/またはケラチン物質をケアおよび洗浄するための剤を包含し得る。
【0099】
化粧品組成物は、合成ポリマーに加えてまたは代えて、固定化化合物として、37℃を超える融点を有する、少なくとも1種の天然または合成ワックスを含んでよい。
【0100】
天然または合成ワックスとして、固体パラフィンまたはイソパラフィン;カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、アフリカハネガヤワックス、和蝋、コルクワックス、サトウキビワックス、オーリクリー蝋、モンタン蝋、ヒマワリワックス、フルーツワックスなどの植物蝋;蜜ろうおよび他の虫白蝋、鯨蝋、シェラックワックス、羊毛脂およびブラッシンググリース(brushing grease)などの動物蝋、さらに、セレシンおよびオゾケライトなどの鉱蝋;またはペトロラタム、ケロシンワックス、ポリエチレンもしくはポリプロピレンのマイクロワックス、およびポリエチレングリコールワックスなどの石油化学ワックスを使用できる。水素添加または硬化ワックスの使用が有利な場合もある。化学修飾ワックス、特に、モンタンエステルワックス、サソールワックスおよび水素添加ホホバワックスなどの樹脂蝋も使用できる。
【0101】
さらに、任意にヒドロキシル化されていてよい飽和C16-C30脂肪酸のトリグリセリド、例えば、硬化トリグリセリド油脂(水素添加パーム油、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油)、グリセリルトリベヘネートまたはグリセリルトリ-12-ヒドロキシステアレートが適している。
【0102】
ワックス成分は、22~44個の炭素原子の鎖長を有する飽和非分岐鎖アルカンカルボン酸と22~44個の炭素原子の鎖長を有する飽和非分岐鎖アルコールとのエステルからなる群から選択することもできる。ただし、ワックス成分またはワックス成分全体は室温で固体である。シリコーンワックス、例えば、ステアリルトリメチルシラン/ステアリルアルコールも有利であり得る。
【0103】
天然、化学修飾および合成ワックスは、単独でまたは組み合わせて使用できる。従って、複数のワックスを使用することもできる。さらに、おそらく他の添加物と混合された、複数のワックス混合物は、市販もされている。「Special Wax 7686 OE」(融解範囲73~75℃の、セチルパルミテート、蜜ろう、微結晶性ワックスおよびポリエチレンの混合物、製造業者:Kahl&Co)、「Polywax(登録商標)GP 200」(融点47~51℃の、ステアリルアルコールおよびポリエチレングリコールステアレートの混合物、製造業者:Croda)および「Weichceresin(登録商標)FL 400」(融点50~54℃の、ワセリン/ワセリンオイル/ワックス混合物、製造業者:Parafluid Mineral Oil Company)の名称で販売されている製品が、使用できる混合物の例である。
【0104】
好ましくは、ワックスは、カルナウバ蝋(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、蜜ろう(INCI:蜜ろう)、ペトロラタム(INCI)、微結晶性ワックスおよび特にそれらの混合物から選択される。
【0105】
好ましい混合物には、カルナウバ蝋(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、ペトロラタムおよび微結晶性ワックスの組み合わせ、または蜜ろう(INCI:蜜ろう)およびペトロラタムの組み合わせが包含される。
【0106】
ワックスまたはワックス成分は、25℃で固体でなければならず、37℃より高い範囲で融解しなければならない。
【0107】
ケラチン物質を処理するための製品は、好ましくは、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは1.5~30重量%、さらにより好ましくは2~25重量%の合計量で固定化化合物を含む。
【0108】
他の好適な成分には、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、(他の)カチオン性ポリマー、ワックス、タンパク質加水分解物、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、プロビタミン、ビタミン前駆物質、ベタイン、バイオキノン、プリン(誘導体)、ケア物質、植物抽出物、シリコーン、エステル油、UV光保護フィルター、増粘剤、電解質、pH調節剤、膨張剤、染料、フケ防止剤、錯化剤、乳白剤、真珠光沢剤、顔料、安定剤、噴射剤、抗酸化剤、香油および/または防腐剤が包含される。
【0109】
好ましい実施態様1~138では、下記表の好ましい有機ケイ素化合物を下記表のモノマーからなる多糖と組み合わせる。下記組み合わせは、先に述べた他の成分と一緒に、本発明の好ましい実施態様において化粧品中に存在する。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
少なくとも1種の有機ケイ素化合物および多糖の活性成分の組み合わせは、ケラチン物質を処理するための剤中に既に存在していてもよい。この実施態様では、ケラチン物質を処理するための製品は、すぐに使える形態で既に販売されている。貯蔵中に可能な限り安定な組成物を提供するために、製品自体が低水分状態または無水状態で梱包されていることが好ましい。
【0117】
あるいは、少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、ケラチン物質処理製品の使用の、最大12時間前、好ましくは最大6時間前、より好ましくは最大3時間前、さらにより好ましくは最大1時間前に、少なくとも1種の有機ケイ素化合物以外のケラチン物質処理製品の成分の全てを含む基剤に添加される。
【0118】
あるいは、有機ケイ素化合物および多糖は、もっぱら使用直前に、すなわち、使用の1分~12時間前、好ましくは2分~6時間前、特に好ましくは1分~3時間前、とりわけ好ましくは1分~1時間前に化粧品に添加される。
【0119】
さらなる代替実施態様では、有機ケイ素化合物は、毛髪に適用される水溶液に添加され、第二のステップで、多糖を含む水溶液または化粧品が毛髪に適用される。
【0120】
例えば、使用者はまず、有機ケイ素化合物を含む剤(α)と、ケラチン物質を処理するための製品の残りの成分を含む剤(β)とを混合または震盪してよい。使用者は次に、この(α)および(β)の混合物を、その調製の直後に、または1分~20分の短い反応時間の後に、ケラチン物質に適用してよい。剤(β)は、水、特に、ケラチン物質を処理するための剤の総重量を基準にして30重量%を超える量の水を含んでもよい。
【0121】
本出願のさらなる対象は、
染色されたケラチン物質の洗い流し保護のための、
ケラチン物質の表面の形状付与のための、および/または
ケラチン物質のケアのための、
本発明のケラチン物質を処理するための化粧品の使用である。
【0122】
使用のさらなる好ましい実施態様に関しては、必要な変更を加えて、化粧品と同じ実施態様が適用される。
【国際調査報告】