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特表2022-509948UVA領域にて光を吸収する日焼け止め組成物、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(54)【発明の名称】UVA領域にて光を吸収する日焼け止め組成物、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20220118BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220118BHJP
   C01F 17/235 20200101ALI20220118BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q17/04
C01F17/235
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527108
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 KR2019015887
(87)【国際公開番号】W WO2020106038
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0142924
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソク ジュ
【テーマコード(参考)】
4C083
4G076
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AC112
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD452
4C083BB01
4C083BB23
4C083CC19
4C083EE17
4C083FF01
4G076AA02
4G076AB07
4G076BA12
4G076BD01
4G076BE20
4G076CA04
4G076DA16
(57)【要約】
UVA領域において光を吸収する日焼け止め組成物、及び前記日焼け止め組成物の製造方法が開示される。前記UVA領域の光は、皮膚老化に影響を与える波長帯の光であって、皮膚内部の真皮(dermis)まで浸透するので、本発明の日焼け止め組成物を使用すれば、前記光を吸収するので、皮膚老化を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
320nm乃至400nm波長帯の光を吸収する酸化セリウム粒子を含むUVA領域において光を吸収する日焼け止め組成物。
【請求項2】
前記酸化セリウム(CeO)は、一次粒子径が10乃至30nmであり、二次粒子径が30乃至60nmであり、
一次粒子径に対する二次粒子径の割合が1乃至6である請求項1に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め組成物。
【請求項3】
前記酸化セリウム粒子の含量は、全体の日焼け止め組成物100重量部に対して5重量部乃至30重量部である請求項1に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め組成物。
【請求項4】
水酸化セリウム(cerium hydroxide)、酸化セリウム(cerium oxide)、炭酸セリウム(cerium carbonate)、硝酸セリウム(cerium nitrate)、塩化セリウム(cerium chloride)、硝酸アンモニウムセリウム(ammonium cerium nitrate)、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるセリウム前駆体物質を用意するステップと、
前記セリウム前駆体物質に第四級アンモニウム系物質を添加するステップと、
前記アンモニウム系物質が添加された混合物を反応させて、酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップと、を含むUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項5】
前記第四級アンモニウム系物質は、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質を含むものである請求項4に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項6】
前記前駆体物質の粒子及び第四級アンモニウム系物質の重量混合割合は、1:1乃至3であるものである請求項4に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項7】
前記反応は、ゾル-ゲル法(sol-gel method)、超臨界流体工程、水熱合成法、または共沈法によって行われるものである請求項4に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項8】
前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップは、100℃乃至240℃の温度で18時間乃至30時間の間反応させて行われるものである請求項4に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項9】
前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップにおいて得られた酸化セリウム粒子の一次粒子径は、10乃至30nmであるものである請求項4に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項10】
前記UVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップ以後に、前記得られた酸化セリウム粒子の未反応物を除去するステップをさらに含むものである請求項4に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項11】
前記UVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップの後に、前記酸化セリウム粒子(CeO)を水相媒質に添加するステップと、
前記水相媒質をミリングするステップと、をさらに含むものである請求項4に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項12】
前記水相媒質をミリングするステップの後に得られた酸化セリウム粒子の二次粒子径は、30乃至60nmである請求項11に記載のUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の水相媒質をミリングするステップ以後に、前記水相媒質をシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップを含むものであるUVA領域において光を吸収する日焼け止め組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UVA(Ultraviolet-A)領域にて光を吸収する日焼け止め(紫外線遮断剤;ultraviolet screener)組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1928年、米国で初めて日焼け止めが含有された化粧品が開発されて以来、日焼け止めへの需要は持続的に増えつつある傾向にある。日焼け止めは、紫外線による皮膚癌、日焼け(sunburn and sun tanning)、光老化等に対する予防のためのものであって、近年、美容を目的として、UVA1、UVA2波長に相当する紫外線を遮断する光老化の予防に対する関心が増えている。日焼け止めクリーム以外も、BBクリーム(beblesh balm)、CCクリーム(color control)、クッションファンデーション、サンスプレー、サンスティック等の殆どの剤形に対して日焼け止め機能が付加されている。
【0003】
紫外線を遮断するためには、日焼け止めを投入することとなるが、有機系日焼け止めと無機系日焼け止めに分けられうる。有機系日焼け止めには、代表的なものとして、光を熱に変換する化学的遮断剤があり、無機系日焼け止めには、代表的なものとして、光を反射、散乱、吸収する物理的遮断剤がある。基礎化粧品とは異なり、日焼け止めは、表皮上部、すなわち、皮膚の最外殻において紫外線を減衰させることを主な目的として用いられる。しかしながら、アボベンゾンといった有機系日焼け止めの場合、分子の大きさが小さく、皮膚に浸透する可能性がある。有機系日焼け止めは、白濁が少なく、吸収波長が多様であるという長所を有するが、皮膚トラブルを誘発するか、敏感な場合に、目の周りに塗ったときに目の痛みといった副作用が生じ得る。これに対して、無機系日焼け止めは、相対的に安全性において有利であり、遮断力が良い方であるが、屈折率の大きな白色顔料であるので、白濁現象といった問題が生じ得る。最近、化粧品素材の自然親和性(nature-friendly;自然に優しい)のトレンドにより、韓国では、機能性成分が無機系日焼け止めのみからなる「無機紫遮(ムギジャチャ;無機物紫外線遮断剤)」の剤形の日焼け止め製品への選好度が高くなっている。
【0004】
無機系日焼け止めとしては、二酸化チタン(TiO)及び酸化亜鉛(ZnO)が用いられているが、様々な短所が生じる。第一に、二酸化チタン及び酸化亜鉛のエネルギーバンドギャップは、それぞれ3.0eV及び3.2eVであり、UVB及びUVA2の吸収に有利であり、二酸化チタン及び酸化亜鉛のみでは、中間波長のUVA1の吸収を行うことができない。第二に、二酸化チタン及び酸化亜鉛の屈折率は、それぞれ2.7及び2.2であり、屈折率が高く、皮膚に塗ったとき、白く見える白濁現象が著しく現れることがありうる。第三に、二酸化チタン及び酸化亜鉛は、光エネルギーの下で、有機物、特に色素を分解または変性させる光触媒力が大きく、剤形における成分の変性及び色素の沈着を引き起こしうる。特に、光触媒力が大きい場合、安全性の理由のため、必ず第二の素材で表面を包み込まなければならないが、二酸化チタンの場合、酸化アルミニウム(Al)または二酸化ケイ素(SiO)で、多くは20重量分率以上を取り囲む。しかしながら、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素で表面を包み込むと、粉体質感が重くて、柔らかく塗れず、ごてごてした使用感を示し得るという短所が生じる。したがって、上記した短所を補完することができる日焼け止め組成物の開発が要求されるというのが実情である。
【0005】
ここに、本発明者は、上記した問題を解決するために研究するうちに、酸化セリウムを脂肪酸で表面改質して、日焼け止め組成物として用いる場合、UVA1の吸収が可能であり、屈折率が低く、白濁現象を抑制させ、光触媒力が低く、安定した日焼け止め組成物を形成できることを見出し、これについて出願したことがある(大韓民国特許出願第10-2017-0142617号)。
【0006】
上記した特許出願以後、本発明者は、続けて関連研究を進め、関連研究の進行中、酸化セリウム粒子の一次粒子径及び二次粒子径を調節すると、UVA領域内の相違した波長帯の光を吸収するようになることを見出し、本発明を完成するに至った。UVA領域の光は、皮膚老化に影響を与える波長帯の光であって、皮膚内部の真皮(dermis)まで浸透することから、本発明の日焼け止め組成物を使用すれば、前記光を吸収するので、皮膚老化を防止することができるという効果がある。
【0007】
これと関連して、大韓民国公開特許第10-2017-0038739号は、日焼け止め用化粧料組成物、及びその製造方法について開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであって、本発明の一実施例は、UVA領域にて光を吸収する日焼け止め組成物を提供する。
【0009】
また、本発明の他の一実施例は、前記UVA領域にて光を吸収する日焼け止め組成物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した技術的課題に限定されず、言及されなかったまた他の技術的課題は、下記の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一側面は、320nm乃至400nmの波長帯の光を吸収する酸化セリウム粒子を含む、UVA領域にて光を吸収する日焼け止め組成物を提供する。
【0012】
前記酸化セリウム(CeO)は、一次粒子径が10乃至30nmであり、二次粒子径が30乃至60nmであり、一次粒子径に対する二次粒子径の割合が1乃至6であるものでありうる。
【0013】
前記酸化セリウム粒子の含量は、全体の日焼け止め組成物100重量部に対して5重量部乃至30重量部でありうる。
【0014】
また、本発明の他の一側面は、水酸化セリウム(cerium hydroxide)、酸化セリウム(cerium oxide)、炭酸セリウム(cerium carbonate)、硝酸セリウム(cerium nitrate)、塩化セリウム(cerium chloride)、硝酸アンモニウムセリウム(ammonium cerium nitrate)、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるセリウム前駆体物質を用意するステップと、前記セリウム前駆体物質に第四級アンモニウム系物質を添加するステップと、前記アンモニウム系物質が添加された混合物を反応させて、酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップと、を含む、UVA領域にて光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法を提供する。
【0015】
前記第四級アンモニウム系物質は、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質を含むものであってもよい。
【0016】
前記前駆体物質の粒子と第四級アンモニウム系物質との重量混合割合は、1:1乃至3でありうる。
【0017】
前記反応は、ゾルーゲル法(sol-gel method)、超臨界流体工程、水熱合成法、または共沈法によって行われるものでありうる。
【0018】
前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップは、100℃乃至240℃の温度で18時間乃至30時間の間反応させて行われるものでありうる。
【0019】
前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップにおいて得られた酸化セリウム粒子の一次粒子径は、10乃至30nmでありうる。
【0020】
前記UVA領域にて光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップの後に、前記得られた酸化セリウム粒子の未反応物を除去するステップをさらに含むものであってもよい。
【0021】
前記UVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップ以後に、前記酸化セリウム粒子(CeO)を水相媒質に添加するステップと、前記水相媒質に対してミリング処理を行うステップと、をさらに含むものであってもよい。
【0022】
前記水相媒質に対してミリング処理を行うステップの後に得られた酸化セリウム粒子の二次粒子径は、30乃至60nmであるものであってもよい。
【0023】
また、本発明のまた他の一側面は、前記水相媒質をミリングするステップの後に、前記水相媒質をシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップを含むものである、UVA領域にて光を吸収する日焼け止め組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施例によれば、前記日焼け止め組成物は、酸化セリウム粒子の一次粒子径を10nm乃至30nm及び二次粒子径を30nm乃至60nmに調節することにより、320nm乃至400nmの波長帯のUVA領域の光を吸収することができる。前記UVA領域の光は、皮膚老化に影響を与える波長帯の光であって、皮膚内部の真皮(dermis)まで浸透することから、本発明の日焼け止め組成物を使用すれば、前記光を吸収するので、皮膚老化を防止することができるという効果がある。一方、前記日焼け止め組成物は、高い紫外線防御指数(sun protection factor、SPF)及びPA指数(Protection Grade of UVA)を有し、長時間経過しても、層分離が引き起こされず、優れた分散安定性を示すことができる。
【0025】
また、前記日焼け止め組成物は、低周波数領域及び高周波数領域において高い動的粘度を示すので、剤形が優れた乳化/分散相の安定性を有し、優れた塗り広がり性を有するので、日焼け止め用化粧品組成物として有用に用いられ得る。
【0026】
さらに、本発明の一実施例による日焼け止め組成物は、粒子の光屈折率が低いので、皮膚に塗布する場合、白く見える白濁現象が引き起こされず、自然な色合いを示す日焼け止め用化粧品組成物として用いられ得る。
【0027】
本発明の効果は、上述した効果に限定されるのではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な、あらゆる効果を含むものと理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例によるUVA領域及びUVB領域の光が皮膚に浸透することを概略的に示す模式図である。
図2】本発明の一実施例による酸化セリウム粒子の二次粒子径の分布を示すグラフである。
図3a】本発明の一実施例による水分散された酸化セリウム粒子を示す写真である。
図3b】本発明の一比較例による一般の酸化セリウム粒子を示す写真である。
図4】本発明の一実験例による日焼け止め組成物の波長帯による光の吸収率を示すグラフである。
図5a】本発明の一比較例による日焼け止め組成物の単色防御指数(MPF)を示すグラフである。
図5b】本発明の一実施例による日焼け止め組成物の単色防御指数(MPF)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明についてさらに詳述する。しかしながら、本発明は、様々な相違する形態で具現されてもよく、ここで説明する実施例により本願が限定されるのではなく、本発明は、後述する請求の範囲により定められるだけである。
【0030】
加えて、本発明において用いられる用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈からみて、明らかに異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。本発明の明細書の全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0031】
本願の第一の側面は、320nm乃至400nmの波長帯の光を吸収する酸化セリウム粒子を含むUVA領域において光を吸収する日焼け止め組成物を提供する。
【0032】
以下、本願の第一の側面による前記UVA領域において光を吸収する日焼け止め組成物について詳述する。
【0033】
本願の一具現例において、前記UVA領域の光は、皮膚老化に影響を与える波長帯の光であって、皮膚内部の真皮(dermis)まで浸透するので、本発明の日焼け止め組成物を使用すれば、前記光を吸収するので、皮膚老化を防止することができるという効果があり得る。図1において、前記UVA及びUVB領域の光が皮膚に浸透することを概略的に示した。
【0034】
本願の一具現例において、前記UVA領域の光は、通常、約315nm乃至380nmの波長帯の光を意味するのであるが、本発明では、320nm乃至400nmの波長帯の光をUVA領域と定義する。但し、通常のUVA領域の光波長帯を完全に排除するものではない。
【0035】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム(CeO)粒子は、一次粒子径が、3乃至50nmであり、好ましくは、5乃至40nmであり、より好ましくは、10乃至30nmであり、二次粒子径は、10乃至90nmであり、好ましくは、20乃至70nmであり、より好ましくは、30乃至60nmであり得る。前記一次粒子径に対する二次粒子径の割合は、0.2乃至30であり、好ましくは、0.5乃至14であり、より好ましくは、1乃至6であり得る。
【0036】
本願の一具現例において、前記酸化セリウムの一次粒子径が、10乃至30nmであり、二次粒子径が、30乃至60nmであることにより、前記酸化セリウム粒子が、320nm乃至400nmの波長帯の光を吸収するのでありうる。
【0037】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム粒子は、水酸化セリウム(cerium hydroxide)、酸化セリウム(cerium oxide)、炭酸セリウム(cerium carbonate)、硝酸セリウム(cerium nitrate)、塩化セリウム(cerium chloride)、硝酸アンモニウムセリウム(ammonium cerium nitrate)、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質のセリウム前駆体から製造されうるのであり、通常の酸化セリウムの製造方法で製造された酸化セリウム粒子であれば、特に制限されず、いずれも使用できる。
【0038】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム粒子は、キュービック(立方形;cubic)、ヘキサゴナル(六角形ないし亀甲形;hexagonal)、ポリゴナル(多角形;polygonal)、球形、または凝集した形態の球形であってもよく、前記形態を有する酸化セリウム粒子の混合物であってもよいが、酸化セリウム粒子の形態及び形状は、前記種類に限定されない。
【0039】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム粒子の含量は、全体の日焼け止め組成物100重量部に対して5重量部乃至30重量部であるものであってもよく、好ましくは、10重量部乃至20重量部であってもよく、より好ましくは、20重量部であるものであってもよい。前記酸化セリウム粒子の含量が5重量部未満であれば、酸化セリウム粒子の含量が少な過ぎ、UVA1領域の波長を吸収することができず、本願による日焼け止め組成物の効果を示すことができないのであり、前記酸化セリウム粒子の含量が30重量部を超過すれば、固形分含量が多過ぎ、化粧料の粘度があまりにも高くなり、塗り広がり性を阻害しうる。また、前記酸化セリウム粒子の含量が5重量部未満であれば、日焼け止め効果を期待し難いのでありうる。
【0040】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム粒子は、粉体の純度が90乃至99.99%であってもよく、好ましくは、95乃至99.9%であってもよく、より好ましくは、98乃至99.9%であってもよい。前記酸化セリウム粒子の粉体純度が98%未満であれば、酸化セリウム粒子以外の副産物により、日焼け止め組成物の肌安定性が低下することがある。
【0041】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム粒子は、表面電荷のゼータ電位が10乃至60mVであってもよく、好ましくは、20乃至50mVであってもよく、より好ましくは、30乃至50mVであってもよい。前記酸化セリウム粒子の表面電荷のゼータ電位が10mV未満であれば、イオン反発により分散性が微弱になり、60mV超過であれば、あまりにも高い電荷を呈して再凝集させうる。
【0042】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム粒子は、水相媒質に分散しているものであってもよく、前記水相媒質は、精製水またはpH5乃至7の酸性水であってもよい。
【0043】
本願の一具現例において、前記水相媒質の含量は、前記日焼け止め組成物100重量部に対して1重量部乃至60重量部であってもよく、好ましくは、5重量部乃至55重量部であってもよく、より好ましくは、10重量部乃至50重量部であってもよい。前記水相媒質の含量は、製造しようとする日焼け止め組成物の剤形により、上述した範囲内で自由に選択することができる。
【0044】
本願の一具現例において、前記日焼け止め組成物は、シリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、または精製水をさらに含んでもよい。
【0045】
本願の一具現例において、前記シリコーンオイルは、ジメチコン、セチルジメチコン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、またはステアリルジメチコン等が用いられてもよい。前記シリコーンオイルは、化粧料を乳化するにあたって、オイル状を形成し、使用感を改善する役割を果たす。
【0046】
本願の一具現例において、前記繊維剤としては、VGL silk等が用いられてもよい。前記繊維剤は、日焼け止め組成物の使用感を改善する役割を果たす。
【0047】
本願の一具現例において、前記乳化剤としては、PEG(polyethylene glycol)シリコーン乳化剤、ノニオン性W/О乳化剤、カチオン性乳化剤、またはアニオン性乳化剤等が用いられてもよい。前記乳化剤は、本発明による日焼け止め組成物のそれぞれの成分が乳化されるようにする。また、粒子を乳状のエマルション粒子に閉じ込め、剤形の安定性を向上させる役割を果たす。
【0048】
本願の一具現例において、前記保湿剤としては、1,2-ヘキサンジオール、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、またはトレハロース等のポリオール、アミノ酸、尿素、乳酸塩、またはPCA-Na(ピロリドンカルボン酸ナトリウム)等の天然保湿因子(NMF)、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、または加水分解コラーゲン等の高分子保湿剤等が用いられてもよい。前記保湿剤は、本発明による日焼け止め組成物の保湿力を高めるとともに、防腐剤の役割を果たす。
【0049】
本願の一具現例において、前記可塑剤としては、DPG(ジプロピレングリコール;Dipropylene glycol)等が用いられうる。
【0050】
本願の一具現例において、前記化粧料剤形組成物には、前記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、油脂、ワックス類、界面活性剤、増粘剤、色素、美容添加剤、粉末、糖類、酸化防止剤、緩衝剤、各種抽出液、安定化剤、防腐剤、香料等といった通常の化粧料組成物に配合される成分を適宜配合することができる。
【0051】
本願の一具現例において、前記油脂としては、月見草油、ローズヒップオイル、ひまし油、またはオリーブ油等の植物油、ミンク油またはスクアレン等の動物油、流動パラフィンまたはワセリン等の鉱物油、シリコーンオイルまたはミリスチン酸イソプロピル等の合成油等が用いられうる。
【0052】
本願の一具現例において、前記ワックス類としては、カルナウバロウ、カンデリラロウ、またはホホバオイル等の植物性ロウ、蜜蝋、またはラノリン等の動物性ロウ等が用いられてもよい。
【0053】
本願の一具現例において、前記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、またはノニオン界面活性剤等が用いられてもよい。
【0054】
本願の一具現例において、前記増粘剤は、例えば、水溶性高分子が用いられてもよい。
【0055】
本願の一具現例において、前記水溶性高分子としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントゴム、ペクチン、マンナン、または澱粉等の植物系(多糖類系)天然高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシニルグルカン(succinyl glucan)、カードラン、またはヒアルロン酸等の微生物系(多糖類系)天然高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、またはコラーゲン等の動物系(タンパク類系)天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはメチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系半合成高分子、可溶性澱粉、カルボキシメチル澱粉、またはメチル澱粉等の澱粉系半合成高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル、またはアルギン酸塩等のアルギン酸系半合成高分子、その他の多糖類系誘導体半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、またはポリアクリル酸ナトリウム等のビニル系合成高分子、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのブロック共重合体等のその他の合成高分子、ベントナイト、ラポナイト、微粒酸化ケイ素、コロイドアルミナ等の無機物等が用いられてもよい。
【0056】
本願の一具現例において、前記色素としては、例えば、合成色素または天然色素が用いられてもよく、前記合成色素としては、FD&C Yellow No 6またはFD&C Red No 4等の水溶性/油溶性染料、酸化鉄、またはウルトラマリン等の無機顔料、D&C Red No 30またはD&C Red No 36等の有機顔料、FD&C Yellow No 6 Al lake等のレーキ等が用いられてもよく、前記天然色素としては、β-カロチン、β-アポ-8-カロテナール、リロピン、カプサンチン、ビキシン、クロシン、またはカンタキサンチン等のカロテノイド系色素、シソニン、ラファニン、ニノシアニン、カルサミン、サフロールイエロー、ルチン、クエルセチン、カカオ色素等のフラボノイド系色素、リボフラビン等のフラビン系色素、ラッカイン酸、カルミン酸(コチニール)、ケルメス酸、アリザリン、シコニン、アルカニン、ニキノクローム等のキノン系色素、クロロフィル、または血色素等のポルフィリン系色素、クルクミン(ターメリック)等のジケトン系色素、ベタニン等のベタシアニジン系色素等が用いられてもよい。
【0057】
本願の一具現例において、前記美容添加剤としては、例えば、ビタミン、植物抽出物、または動物抽出物が用いられてもよく、前記ビタミンは、レチノール(ビタミンA)、トコフェロール(ビタミンE)、またはアスコルビン酸(ビタミンX)等が用いられてもよく、前記植物抽出物としては、メントール(ハッカ)、アズレン(カモミール)、アラントイン(小麦)、カフェイン(コーヒー)、甘草抽出物、桂皮抽出物、緑茶抽出物、ラベンダー抽出物、またはレモン抽出物等が用いられてもよく、前記動物抽出物は、プラセンタ(牛の胎盤)、ローヤルゼリー(蜂の分泌物)、カタツムリ抽出物(粘液分泌物)等が用いられてもよい。
【0058】
本願の第二の側面は、水酸化セリウム(cerium hydroxide)、酸化セリウム(cerium oxide)、炭酸セリウム(cerium carbonate)、硝酸セリウム(cerium nitrate)、塩化セリウム(cerium chloride)、硝酸アンモニウムセリウム(ammonium cerium nitrate)、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるセリウム前駆体物質を用意するステップと、前記セリウム前駆体物質に第四級アンモニウム系物質を添加するステップと、前記アンモニウム系物質が添加された混合物を反応させて、酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップと、を含むUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法を提供する。
【0059】
本願の第一の側面と重複する部分については、詳細な説明を省略するが、本願の第一の側面について説明した内容は、第二の側面において、その説明が省略されても、同様に適用され得る。
【0060】
以下、本願の第二の側面によるUVA領域において光を吸収する日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法について詳述する。
【0061】
まず、本願の一具現例において、前記日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、水酸化セリウム(cerium hydroxide)、酸化セリウム(cerium oxide)、炭酸セリウム(cerium carbonate)、硝酸セリウム(cerium nitrate)、塩化セリウム(cerium chloride)、硝酸アンモニウムセリウム(ammonium cerium nitrate)、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるセリウム前駆体物質を用意するステップを含む。
【0062】
本願の一具現例において、前記水酸化セリウム(cerium hydroxide)等のセリウム前駆体以外に、カルシウム塩をさらに添加してもよく、このとき、前記添加されるカルシウム塩の含量は、前記セリウム前駆体100重量部に対して0.1重量部乃至99.9重量部であってもよい。このとき、前記カルシウム塩は、例えば、水酸化カルシウム(calcium hydroxide)、酸化カルシウム(calcium oxide)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、硝酸カルシウム(calcium nitrate)、塩化カルシウム(calcium chloride)、硝酸カルシウムアンモニウム(ammonium calcium nitrate)、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質を含むものであってもよい。この場合、以降、得られる粒子は、カルシウム-酸化セリウム粒子であってもよい。
【0063】
本願の一具現例において、以降、得られる酸化セリウム粒子またはカルシウム-酸化セリウム粒子は、ジルコニアビーズと1:1の体積比で混合されるものであってもよい。このとき、前記混合は、ビーズミル装置によるミリングで行われるものであってもよい。
【0064】
次に、本願の一具現例において、前記日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、前記セリウム前駆体物質に第四級アンモニウム系物質を添加するステップを含む。
【0065】
本願の一具現例において、前記第四級アンモニウム系物質は、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質を含むものであってもよく、好ましくは、水酸化アンモニウムを含むものであってもよい。
【0066】
本願の一具現例において、前記セリウム前駆体物質及び第四級アンモニウム系物質の重量混合割合は、1:1乃至3であってもよく、好ましくは、1:1.5乃至2.5であってもよい。この場合、前記第四級アンモニウム系物質が混合された混合物のpHは、8乃至12であってもよく、好ましくは、9乃至11であってもよい。
【0067】
次に、本願の一具現例において、前記日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、前記アンモニウム系物質が添加された混合物を反応させて、酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップを含む。
【0068】
本願の一具現例において、前記反応は、ゾルーゲル法(sol-gel method)、超臨界流体工程、水熱合成法、または共沈法によって行われるものであってもよく、好ましくは、水熱合成法によって行われるものであってもよい。前記ゾルーゲル法(sol-gel method)、超臨界流体工程、水熱合成法、または共沈法は、一般に粒子を形成させるために用いられる工程であって、これは、公知の方法であるので、具体的な説明を省略する。但し、前記反応は、好ましくは、水熱合成法によって行われるものであってもよい。
【0069】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップは、100℃乃至240℃の温度で行われるものであってもよく、好ましくは、140℃乃至220℃の温度で行われるものであってもよく、より好ましくは、160℃乃至200℃の温度で行われるものであってもよい。また、酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップは、前記温度範囲で、18時間乃至30時間の間に行われるものであってもよく、好ましくは、20時間乃至28時間の間に行われるものであってもよく、より好ましくは、22時間乃至26時間の間に行われるものであってもよい。
【0070】
本願の一具現例において、前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップにおいて得られた酸化セリウム粒子の一次粒子径は、3乃至50nmであってもよく、好ましくは、5乃至40nmであってもよく、より好ましくは、10乃至30nmであってもよい。
【0071】
本願の一具現例において、前記日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップ以後に、前記得られた酸化セリウム粒子の未反応物を除去するステップをさらに含むものであってもよい。前記酸化セリウム粒子の未反応物を除去するステップは、一般の方法により行われるものであってもよく、例えば、遠心分離により行われるものであってもよい。
【0072】
次に、本願の一具現例において、前記日焼け止め用酸化セリウム粒子の製造方法は、前記酸化セリウム(CeO)粒子を得るステップの後に、前記酸化セリウム粒子(CeO)を水相媒質に添加するステップと、前記水相媒質をミリングするステップと、をさらに含むものであってもよい。
【0073】
本願の一具現例において、前記水相媒質は、精製水またはpH5乃至7の酸性水であってもよい。このとき、前記酸化セリウム(CeO)粒子の添加量は、前記水相媒質100重量部に対して60重量部乃至100重量部であってもよく、好ましくは、70重量部乃至90重量部であってもよい。
【0074】
本願の一具現例において、前記水相媒質をミリングするステップの後に得られた酸化セリウム粒子の二次粒子径は、10乃至90nmであってもよく、好ましくは、20乃至70nmであってもよく、より好ましくは、30乃至60nmであってもよい。
【0075】
本願の一具現例において、前記ミリングは、一般のミリング方法を用いるものであれば、大きく制限されず、例えば、ビーズミル装備で行われるものであってもよい。前記ミリングは、酸化セリウムの二次粒子が、30nm乃至60nmになるまで行われるものであってもよい。
【0076】
本願の一具現例において、前記水相媒質をミリングするステップ以後に得られた酸化セリウム粒子の一次粒子径及び二次粒子径が、それぞれ10乃至30nm及び30乃至60nmであることにより、前記日焼け止め用酸化セリウム粒子は、320nm乃至400nmの波長帯の光を吸収するものであってもよい。
【0077】
本願の第三の側面は、前記本願の第二の側面における水相媒質をミリングするステップの後に、前記水相媒質をシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップを含むものであるUVA領域において光を吸収する日焼け止め組成物の製造方法を提供する。
【0078】
本願の第一の側面及び第二の側面と重複する部分については、詳細な説明を省略するが、本願の第一の側面及び第二の側面について説明した内容は、第三の側面において、その説明が省略されても、同様に適用され得る。
【0079】
本願の一具現例において、前記水相媒質を、シリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップは、水相媒質上に分散された酸化セリウム粒子を、化粧料組成物の製造のための様々な混合物と混合して、化粧料組成物として用いられる剤形を製造するステップである。このとき、使用されるシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、及び可塑剤の種類は、前記本願の第一の側面において述べた通りである。
【0080】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について詳述する。しかしながら、本発明は、様々な相違した形態で具現されてもよく、ここで、説明する実施例に限定されない。
【0081】
製造例.水分散された酸化セリウム分散液の製造
本発明による日焼け止め組成物の製造のために、酸化セリウム粒子を製造した。
【0082】
ステップ1:酸化セリウム粒子の製造
酸化セリウム前駆体でもって硝酸セリウム(cerium nitrate)を上向き方式(Bottom up)にて、化学的合成方法である水熱反応により粒子を成長させた。前記硝酸セリウム100重量部、及び硝酸セリウム100重量部を基準として、脱イオン水500重量部と混合して撹拌しながら、アンモニア水200重量部を添加し、pHが10になっている前駆体溶液を製造した。前記前駆体溶液を水熱合成器に入れ、180℃で24時間の間、反応させて酸化セリウム粒子を製造した。前記粒子を遠心分離して未反応物を除去した。前記未反応物が除去された酸化セリウム粒子は、一次粒子径が14.1nmであった。
【0083】
ステップ2:水分散された酸化セリウム粒子の分散液の製造
脱イオン水2,500gにpH調節剤(硝酸等)50gを添加した後、撹拌した。前記製造された溶液に、前記ステップ1で製造した酸化セリウム粒子2,000gを添加した後、ビーズミル装備によるミリング(摩砕)を行って、水分散された酸化セリウム分散液を得た。ここで、前記得られた酸化セリウム粒子の二次粒子径の分布を図2に示したのであり、平均の二次粒子径は、41.59nmであった。また、前記得られた水分散された酸化セリウム粒子の分散液の写真を図3aに示した。
【0084】
実施例.日焼け止め組成物の製造
前記製造例で製造した水分散された酸化セリウム粒子の分散液溶液(54.55wt%)、シリコーンオイル(DC245,10wt%)、繊維剤(VGL silk、10wt%)、PEGシリコーン乳化剤(KF6017、3wt%)、ノニオン性W/О乳化剤(Abil em90、2.5wt%)、保湿剤(1,2-ヘキサンジオール、2wt%)、可塑剤(DPG、10wt%)、及び精製水(7.95wt%)を混合して日焼け止め組成物を製造した。
【0085】
比較例1.一般の酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の製造
一般の酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物を、下記のような方法で製造した。
【0086】
ステップ1:一般の酸化セリウム粒子の製造
水酸化セリウム、酸化セリウム、炭酸セリウム、硝酸セリウム、塩化セリウム、及び硝酸アンモニウムセリウムのうちの1種をるつぼ容器に入れ、加熱炉で400~1200℃の熱処理により、酸化セリウム粒子を得た。
【0087】
ステップ2:水分散された一般の酸化セリウム粒子の分散液の製造
脱イオン水2,500gにpH調節剤(硝酸等)50gを添加した後、撹拌させた。前記製造された溶液に、前記ステップ1で製造した一般の酸化セリウム粒子2,000gを添加した後、ビーズミル装備によるミリングを行って、水分散された一般の酸化セリウム分散液を得た。ここで、前記得られた水分散された一般の酸化セリウム粒子の分散液の写真を図3bに示した。
【0088】
ステップ3:一般の酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の製造
前記ステップ2で製造した水分散された一般の酸化セリウム粒子の分散液溶液(54.55wt%)、シリコーンオイル(DC245,10wt%)、繊維剤(VGL silk、10wt%)、PEGシリコーン乳化剤(KF6017、3wt%)、ノニオン性W/О乳化剤(Abil em90、2.5wt%)、保湿剤(1,2-ヘキサンジオール、2wt%)、可塑剤(DPG、10wt%)、及び精製水(7.95wt%)を混合して日焼け止め組成物を製造した。ここで、製造された一般の酸化セリウム粒子の平均の二次粒子径は、150nmであった。
【0089】
比較例2.酸化セリウム粒子を含まない日焼け止め組成物の製造
酸化セリウム粒子を含まない通常に用いられる日焼け止め組成物を用意した。
【0090】
実験例1.吸収される光の波長領域の分析(UV-Vis spectrophotometry)
前記製造例で製造した水分散された酸化セリウム粒子の分散液及び比較例1の一般の酸化セリウム粒子を含む分散液の吸収される光の波長領域を紫外可視分光法(UV-Vis(ultraviolet-visible) spectrophotometry)で分析したのであり、その結果を図4に示した。
【0091】
図4に示すように、比較例1における一般の酸化セリウム粒子を含む分散液の場合、約270nm乃至320nmの波長帯の光を吸収するのに対して、本発明の製造例で製造した、水分散された酸化セリウム粒子の分散液の場合、約320nm乃至400nmの波長帯の光を吸収することが確認された。したがって、本発明の水分散された酸化セリウム粒子の分散液は、UVA領域の光を吸収することが確認された。
【0092】
実験例2.紫外線防御指数(SPF)及びPA指数の測定実験
前記比較例2及び実施例における日焼け止め組成物の紫外線防御指数(SPF;Sun Protection Factor)及びPA指数(Protection grade of UVA;UV-A 防御指数)を測定するために、イギリスのレーザーコンポーネンツ社のSPF analyser 290Sを用いてSPF及びPAを測定し、その結果を下記の表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
前記表1に示したように、一次粒子径が14.1nmであり、二次粒子径が41.59nmである酸化セリウム粒子を含む実施例の日焼け止め組成物の場合、酸化セリウム粒子を含まない比較例2の日焼け止め組成物に比べて、著しく高いSPF及びPA指数を有することが確認された。
【0095】
また、前記比較例2及び実施例における日焼け止め組成物の単色防御指数(単一波長防御効率、MPF;Monochromatic Protection Factor)を測定し、図5a及び図5bにそれぞれ示した。図5a及び図5bに示すように、一次粒子径が14.1nmであり、二次粒子径が41.59nmである酸化セリウム粒子を含む、実施例の日焼け止め組成物の場合、酸化セリウム粒子を含まない比較例2の日焼け止め組成物に比べて、著しく高いMPF指数を有することが確認された。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
【国際調査報告】