(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(54)【発明の名称】試験測定装置データ収集及び交換システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20220120BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20220120BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20220120BHJP
【FI】
H04Q9/00 311H
G01R31/00
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530098
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019063494
(87)【国際公開番号】W WO2020112928
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ビー・クールマン・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】シェーン・エル・アーノルド
【テーマコード(参考)】
2G036
5K048
5L049
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BA30
5K048AA02
5K048AA04
5K048BA34
5K048EB02
5K048EB04
5K048EB10
5K048EB15
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
5L049CC04
(57)【要約】
通信デバイスを使用して計器データを取込む方法であって、カメラに作動信号を送信して少なくとも1つの計器の写真を撮る処理と、通信デバイスと少なくとも1つの計器との間でトリガ・メッセージを送信又は受信する処理と、通信デバイスのメモリに写真を記憶する処理と、写真関連情報を決定する処理と、写真、関連情報及びユーザ情報をネットワークに送信する処理を有する。通信デバイスは、アクチュエータを有するカメラと、少なくとも1つの通信リンクと、メモリと、プロセッサを有し、ユーザがアクチュエータをアクティブにすると、プロセッサにカメラへ作動信号を送信させて計器の写真を撮らさせ、トリガ・メッセージを計器に送信して計器データを保存させ、ユーザ情報を含む写真関連情報と共に写真をメモリに記憶させ、少なくとも写真、関連情報及びユーザ情報を遠隔地に送信させる命令を実行するようプロセッサが構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信デバイスを使用して計器データをキャプチャする方法であって、
上記通信デバイスのカメラに作動信号を送信して少なくとも1つの計器の写真を撮る処理と、
上記通信デバイスと少なくとも1つの計器との間でトリガ・メッセージを送信する処理又は受信する処理のいずれかと、
上記通信デバイスのメモリに上記写真を記憶する処理と、
上記写真に関連する情報を決定する処理と、
上記写真、関連情報及びユーザ情報をネットワークに送信する処理と
を具える計器データをキャプチャする方法。
【請求項2】
上記写真が撮られるのに応答して、上記通信デバイスが、少なくとも1つの上記計器に上記トリガ・メッセージを送信する請求項1の方法。
【請求項3】
上記作動信号をカメラに送信する前に、上記通信デバイスが上記トリガ・メッセージを受信する請求項1の方法。
【請求項4】
上記計器からメッセージを受信する処理を更に具え、上記メッセージが計器データを含み、上記写真に関する関連情報が計器データを含む請求項1の方法。
【請求項5】
上記写真、関連情報及び上記ユーザ情報をサーバに送信する処理を更に具え、保存する処理が上記サーバ上で発生し、上記サーバがクラウド・サーバ又は所有者専用サーバのいずれかを含む請求項1の方法。
【請求項6】
上記写真、関連情報及び上記ユーザ情報をサーバに送信する処理を更に具え、上記関連情報は計器データを含まず、上記計器データを上記写真、関連情報と結合させる処理は、上記サーバ上で行われる請求項1の方法。
【請求項7】
上記通信デバイスから少なくとも1つの上記計器に上記トリガ・メッセージを送信する処理は、上記トリガ・メッセージをセンサに送信する処理を有し、上記計器から収集された計器データは、センサ・データを含む請求項2の方法。
【請求項8】
クラウド・ベースのサービスにおいて、上記センサに関するストリーミング・データ・バケットを作成する処理を更に具える請求項7の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの上記計器に上記トリガ・メッセージを送信する処理が、試験測定装置に上記トリガ・メッセージを送信する処理を有し、計器データが、上記試験測定装置の構成、波形データ、測定データ、上記試験測定装置上のチャンネルの接続関係、被試験デバイスの種類、時刻スタンプ、日付スタンプ、上記試験測定装置の状態情報及び場所の中の少なくとも1つを有する請求項2の方法。
【請求項10】
上記トリガ・メッセージを送信する前に少なくとも1つの上記計器の識別子を取得する処理を更に具え、上記識別子は、上記通信デバイスを用いて上記計器から得られるQRコード(登録商標)、UPCコードの中の1つか、又は、上記通信デバイスのユーザ・インタフェース上の計器識別子のメニューからユーザが選択したものを含む請求項1の方法。
【請求項11】
通信デバイスであって、
アクチュエータを有するカメラと、
少なくとも1つの通信リンクと、
メモリと、
プロセッサと
を具え、
該プロセッサに、
ユーザが上記アクチュエータをアクティブにすると、上記カメラへ作動信号を送信させて計器の写真を撮らさせ、
トリガ・メッセージを上記計器に送信して計器データを保存させ、
ユーザ情報を含む上記写真に関する関連情報と共に上記写真をメモリに記憶させ、
少なくとも上記写真、関連情報及び上記ユーザ情報を遠隔地に送信させる命令を実行するよう上記プロセッサが構成された通信デバイス。
【請求項12】
上記通信デバイスは、スマートフォン、タブレット、又はカメラを有するコンピューティング・デバイスの中の1つから構成される請求項11の通信デバイス。
【請求項13】
少なくとも1つの上記通信リンクが、セルラー接続、Wi-Fi、NFC(近距離無線通信)、イーサネット、USB接続、Z-wave、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)からなるグループの中の少なくとも1つから構成される請求項11の通信デバイス。
【請求項14】
上記プロセッサに上記トリガ・メッセージを送信させる命令が、更に、上記プロセッサに、上記計器から上記計器データを受けて上記通信デバイスに記憶させる請求項11の通信デバイス。
【請求項15】
上記関連情報が、上記計器からの上記計器データを含む請求項14の通信デバイス。
【請求項16】
上記計器データが、画像、波形、測定値、計器の構成の設定、センサ・データ及び計器識別データの中の少なくとも1つを含む請求項11の通信デバイス。
【請求項17】
上記トリガ・メッセージを送信する前に、上記プロセッサに上記計器を特定させる命令を実行するように上記プロセッサが更に構成される請求項11の通信デバイス。
【請求項18】
試験測定装置であって、
少なくとも1つの通信リンクと、
メモリと、
プロセッサと
を具え、
該プロセッサに、上記通信リンクを介してトリガ・メッセージを受信させ、上記メモリに計器データを保存させ、上記試験測定装置に対して遠隔にある場所に上記計器データを送信させる命令を実行するように上記プロセッサが構成される試験測定装置。
【請求項19】
上記プロセッサに上記通信リンクを介して上記トリガ・メッセージを送信させる命令を実行するように上記プロセッサが更に構成される請求項18の試験測定装置。
【請求項20】
上記プロセッサに上記通信リンクを介して受信した情報を保存させる命令を実行するように上記プロセッサが更に構成され、上記情報が、上記試験測定装置の写真を含む請求項18の試験測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、計器のセットアップに関し、特に、計器からのデータの収集と交換を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
オシロスコープなどの試験測定装置のユーザは、多くの場合、特殊なアダプタ、ケーブル又はプローブを介して1つ以上の被試験デバイス(DUT)に接続された複数の装置を含む複雑なセットアップにおいて、試験測定装置を使用する。このような計器(instrument)のセットアップは、DUTについての特定の形式の試験又は特定の測定を実行するために使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0095717号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、多くの場合、試験のセットアップを文書化して、例えば、複数のDUTからの試験データを比較するために、試験のセットアップを後で複製又は再作成できるようにする必要がある。また、ユーザは、多くの場合、セットアップに係る1つ以上の試験測定装置からデータを取得する必要があり、そのデータを他のユーザ、他の試験測定装置又は他のシステムと、直接的にか、又は、例えば、ネットワーク・クラウド・ベースのサービスを介するような間接的にかのいずれかで共有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態において、開示される技術は、スマートフォンその他の通信デバイス上のアプリケーションを含み、これによって、ユーザは、例えば、試験測定装置のセットアップの写真を1つ以上撮るといったアクションを実行可能になる。このアクションによって、システムは、物理的なセットアップの1つ以上の写真と、オシロスコープその他の試験測定装置からの他のデータと組み合わせる動作を開始する。物理的なセットアップの写真は、各計器チャンネルが接続されている場所、プローブされているハードウェアの種類(つまり、接続されている被試験デバイス(DUT)の種類)、モデル番号やシリアル番号その他の識別(ID)情報のような使用されている試験測定装置を特定する画像、そして、物理的なセットアップの他の特性を示すものであっても良い。オシロスコープその他の試験測定装置からのデータは、その装置の構成に関する情報、その装置の現在の状態のスクリーン・ショット、そして、組み立てられた(structured)波形及び測定データ・ファイルを含んでいても良い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、通信デバイス、試験計器のセットアップ及びサーバを有するシステムの実施形態を示す。
【
図3】
図3は、記憶及び交換するために計器データを捕捉する方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明では、様々なトピックを網羅するためにいくつかの用語を使用する。「通信デバイス」とは、スマートフォン、タブレット、Webカメラを搭載したコンピューティング・デバイス、又は、スマートフォンに代わる可能性のある将来のデバイスのようなデバイスを意味し、これは、ネットワークやその他の接続機能を備えた独立型のデジタル・カメラ、回路カメラ、顕微鏡、又はサーマル・カメラを含めても良い。通信デバイスには、通信リンクが少なくとも1つあり、これによって、このデバイスは、写真を撮られる計器と通信することが(少なくとも計器にメッセージを送信することまでは)可能であり、また、同じ又は別の通信リンクを使って、遠隔のサーバ又は記憶装置と通信しても良い。通信デバイスには、プロセッサがあり、これは、カメラ、アクチュエータとの通信を可能にするコードを実行して、カメラ及びメモリを動作させる。
【0008】
この「写真(photograph)」という用語は、通信デバイス上のカメラによってキャプチャされる視覚画像、サーマル画像(thermal images)、又は、スペクトル技術などの他の技術から生じる画像などの任意の写真(pictures)又は画像(images)を包含し、典型的には、デジタル画像ファイルとして保存される。これらの用語は、このキャプチャされた画像又は写真に言及するために、言い換え可能なものとして使用される。
【0009】
本願で用いられる「計器(instrument)」とは、データを収集する装置、即ち、本願で測定装置として言及する、オシロスコープ、各種メーター(Meter:計測器、計量器)のような試験測定装置であるか、又は、温度、風速、湿度、光強度、音(サウンド)レベルなどの何らかの環境データを収集するセンサであるか、どちらでも良い。これらは、ほんの一部の例であり、これらの特定の例に説明を限定するものではない。
【0010】
用語「計器データ(instrument data)」とは、計器が収集したものであり、限定するものではないが、計器データが、セットアップ中に含まれる計器の構成や計器の設定、1つ以上の計器のディスプレイのスクリーン・ショット、1つ以上の計器の型番とシリアル番号、計器が被試験デバイスに対して行う特定の試験又は試験の特定の工程(ステップ)、被試験デバイスに対して印可するか又は被試験デバイスから取得する組み立てられた波形(structured waveform)、計器の状態(CPUの負荷、計器のセットアップ情報、その計器で有効なソフトウェア・ライセンス、他の状態に基づく情報)を有していても良い。測定装置の場合では、情報には、計器と他の測定装置のような他の装置との間の関係性と、測定データ・ファイルが含まれても良い。
【0011】
計器がセンサの実施形態では、計器データには、センサの種類、その現在の状態、センサのメーカーとモデル、センサが検知しているパラメータのセンサが保存したサンプルの時刻や日付のスタンプなどが含まれても良い。
【0012】
用語「関連情報」とは、通信デバイスによって収集された写真に関連する情報を意味する。関連情報の種類によっては、計器データとしてリストされている情報と類似又は同じ情報が含まれる場合があるが、計器データと関連情報との違いは、計器データが計器によって収集され、関連情報が通信デバイスによって収集されることである。一実施形態では、例えば、関連情報が、計器データを含んでも良く、ある実施形態では、通信デバイスが計器から計器データを直接受信するのであるが、その計器データは、最初は、計器によって収集されたものである。関連情報には、写真が撮影された時点で通信デバイスによって収集することができる日付や時刻のスタンプ、場所、手動又は自動タグ、その他の多くの種類の情報が含まれていても良い。
【0013】
本願で使用される「ユーザ情報」は、通常、通信デバイスから収集される。これは、ユーザを特定(識別)するもので、電子メール・アカウント、クラウド・アカウント、その他のストレージ・アカウント(ユーザ名やパスワードなど)の情報を提供する。これにより、写真、関連データ、そして、計器データ(別個の場合)を、そのユーザのアカウントに保存することができる。
【0014】
アプリケーションを使用すると、ユーザは物理的な試験のセットアップ写真をキャプチャし、計器に計器データを送信させることができる。このデータの集合(collection)は、画像、写真、波形、測定値、手動又は自動のユーザ・タグ、日付や時刻のスタンプ、場所などを含み、スマートフォン上にローカルに保存されるか、中央記憶場所(central storage location)に自動的に送信されても良い。
【0015】
図1は、システム10の実施形態を示し、通信デバイス12と計器14は、それぞれ通信リンク22及び24を通して、ネットワーク20を介して接続されている。サーバ18は、計器14と、場合によってはユーザの通信デバイス12とを所有するエンティティが所有する専用サーバであっても良いし、又は、エンティティがアカウントを持つクラウド・サーバであっても良い。サーバ18は、接続線23によって、ネットワーク20を介して他のデバイスに接続される。また、通信デバイス12と計器14は、ポート15を通した通信リンク26を有していても良い。計器14は、ディスプレイ13に加えて、プロセッサ19とメモリ17を有しても良い。図は、通信リンク26を双方向として示しているが、後述のように、実際には、通信デバイス12と計器14との間の一方向リンクであっても良い。また、計器14が被試験デバイス(DUT)16に接続されるとして図示されているが、これは単に1つの実施形態であり、計器14はセンサとすることもでき、その場合、DUTは、そこには存在しないことになろう。
【0016】
上述のように、通信デバイスは、一般的にスマートフォンと呼ばれるもの、又は、スマートフォンから必然的に生じる将来の実施形態であっても良い。
図2は、デバイス12のようなものの1つの実施形態を示す。このデバイスには、カメラ30があり、これは、ユーザがアクチュエータを作動したときに計器の写真を撮ることになる。例えば、現在のスマートフォンでは、アクチュエータは、34のようなユーザ・インタフェース(典型的には、タッチ・スクリーン・ディスプレイである)上のボタン33の画像である。アクチュエータ32をアクティブにすること(activation)により、デバイスは通信リンク40を通して計器にメッセージを送信する。これは、次いで、結果として写真が生じ、これは、少なくとも一時的には、メモリ36に保存される。プロセッサ38は、これらのプロセスを制御すると共に、カメラ、アクチュエータ、メモリ、通信リンク及びユーザ・インタフェースに接続されていても良い。
【0017】
図3は、プロセスのいくつかの実施形態のフローチャートを示す。第1の実施形態では、ユーザは、50において、通信デバイス上のアプリケーションを開き、計器のセットアップの写真を撮るが、このとき、計器のセットアップには、少なくとも1つの計器を含み、そして、DUTを含んでいても良い。次いで、プロセスは、52において、写真と関連情報を通信デバイスに保存する。
【0018】
54において、ユーザは、必要に応じて、計器の識別子をキャプチャする必要があるかもしれない。これには、ユーザが関連する計器を選択できるように、通信デバイスのユーザ・インターフェイス上に、可能性のある計器のリストをユーザに提示することが含まれても良い。そのような選択処理は、計器のモデル番号(型番)及びシリアル番号、又は、別のユニークな(一意に決まる)識別子によって行われても良い。これに代えて、ユーザは、通信デバイスを使って、アプリケーション内から、計器上のQRコード(登録商標)又はUPCをスキャンしたり、RFIDタグを読み取ったりすることができ、このとき、
図1の11のような、これらコード又はタグは、計器を特定(識別:indentify)するものである。識別子のキャプチャは、後述するように、写真をキャプチャする処理の前又は後に加えて、トリガ・メッセージの送信の前又は後に発生する可能性があることに注意されたい。
【0019】
識別子は、必要に応じて、写真に関連付けられた情報に含まれることがあるであろう。識別子のキャプチャは必要ない場合があることに注意されたい。システムは、計器のメーカーやモデルを特定(識別)するのに、写真を分析するなど、計器を特定するために他の手段を使用することができる。
【0020】
通信デバイスは、56において、計器にトリガ・メッセージを送信することを示すのに、写真の撮影処理を使用する。58において、計器は、トリガ・メッセージに応じて計器データを保存する動作を行う(トリガされる)。一実施形態では、通信デバイスは、60において、
図1のネットワークを通して、写真、関連情報及びユーザ情報をサーバ18に送信する。次いで、計器は、62において、この情報を別個のリンクを介してネットワークに送信し、サーバ又は通信デバイスから離れた他の場所で結合する。これは、機密情報などに関するセキュリティ上の懸念を理由とすることがある。
【0021】
別の実施形態では、計器が、56においてトリガ・メッセージを受信し、58において計器データを保存し、次いで、計器データを通信デバイスに送り返す。このため、通信デバイスは、写真に関連する情報の中に計器データを有し、次いで、その情報を、60においてサーバ18に送信し、62は、オプションのステップとする。計器のプロセッサ19は、この方法でプロセッサを動作させる命令をプロセッサが実行するときに、メモリ17に計器データを保存させても良い。
【0022】
加えて、いくつかの実施形態では、通信デバイス上のアプリケーションが、USBフラッシュ・ドライブのようなメモリ・デバイスをエミュレートすることができ、通信デバイス上のローカル・メモリを、計器のセットアップ又はセンサのためのデータ転送機構(メカニズム)として機能するように利用できる。このデータ転送機構は、ある試験測定装置から別の試験測定装置へのように、あるデバイスから別のデバイスへとデータを移動させるのに利用しても良いし、又は、電話機のデータ接続を使用して、上述のように、データを中央記憶場所(central storage location)に転送するのに利用しても良い。USBメモリとして使用すると、通信デバイスが、その後、異なるセットアップの異なる計器に接続されても良く、次いで、通信デバイスから情報がアップロードされて、現在のセットアップが、以前の計器のセットアップを複製できるようにすることができる。加えて、アプリケーションは、保存されたセットアップとデータを、その計器又は別の計器に、遠隔にある場所から呼び出すこともできる。また、複数のユーザは、サーバ上に情報を記憶し、別のユーザにアクセス権を与えるのに加えて、複数のユーザ自身の間で情報を共有することもできる。
【0023】
図3のプロセスの流れから、これらのプロセスは、特定の順序で出現しなければならないと結論付けるかもしれないが、こうした限定を意図したものではないし、示唆するものでもない。例えば、通信デバイスの作動信号(actuation signal)は、通信デバイスから計器へのトリガ・メッセージの送信とほぼ同時に発生しても良く、写真及び関連情報の管理は、後で行われても良い。
【0024】
別の実施形態では、計器がトリガ・メッセージを通信デバイスに送信し、通信デバイスが画像を撮るようにし、合わせて、計器が計器自身にデータを保存する動作を開始させても(トリガしても)良い。計器の動作開始(トリガ)は、計器上の専用ボタン又は他の操作装置から生じても良いし、計器におけるイベントの結果で生じても良い。ユーザは、通信デバイス上でアプリケーションを既に開いていても良く、通信デバイスがトリガ・メッセージを受信すると、通信デバイスは、画像を撮影する。他の実施形態では、ユーザは、三脚又は他の固定取付ポイントにデジタル・カメラを搭載した通信デバイスをセットアップし、計器がトリガ・メッセージをデバイスに送信して写真を撮るようにしても良い。
【0025】
多くの試験装置は、トリガ機能を有しており、特にオシロスコープとの関連では、アクイジション(データ取り込み)トリガと呼ばれるトリガ機能を有している。計器は、その全てのシーケンスを開始できる。計器のアクイジション・トリガが起動されると、計器は、トリガ・メッセージを送信する。一部の計器には、トリガ時にデータを保存する機能がある。その後、計器は、アクイジション・トリガに応答して保存する。
図3は、プロセス56を破線の箱で示しているが、これは、プロセス56が、他のやり方で示唆されるものとは異なる順序で発生する可能性があるからである。
【0026】
開示された技術の実施形態は、データの測定を開始したり、収集及び転送をするために、オシロスコープ又は他の試験測定装置への様々な接続オプションを使用しても良い。例えば、スマートフォンのアプリケーション又は通信デバイスの他の実施形態と、試験測定装置との間の接続オプションとしては、ローカルLAN、クラウド接続、USB接続、そして、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)、近距離無線通信(NFC)、Z-wave、セルラー(cellular)、赤外線のような他の通信インタフェースを含んでよい。このリンクは、QR、UPC、OCR(光学式文字認識)のような計器の識別子の画像から構成されても良いし、波形の画像から波形を再現できる画像処理から構成されても良い。これら識別子は、計器と通信デバイスの間でデータを転送するために使用できる。
【0027】
開示された技術は、全ての試験測定機器に適用できる。そのような計装には、センサさえ含めることもできる。例えば、開示された技術の実施形態は、50において、スマートフォン・アプリケーションを用いて、センサの写真を撮ることも含み、52において、その写真を保存する。この撮影動作によって、56において、トリガ・メッセージが送信され、58において、センサ又は通信デバイスのセンサの現在の状態をキャプチャする。また、撮影動作は、54において、センサの識別子をキャプチャしても良い。60においてサーバに送信されるデータは、データの収集、視覚化、分析のためのクラウド・ベースのサービス(例えば、イニシャル・ステート社が、www.initialstate.com において提供するサービス)において、そのセンサに関するストリーミング・データ・バケットを作成する形式を取っても良い。
【0028】
計器の多くの種類の計器データは、写真と1つにまとめる(バンドルする)ことができる。タグ付け、時間/日付、場所、その他ホストなどは、計器又は通信デバイスのいずれでキャプチャされたかにかかわらず、全て、収集され、保存又は転送されるデータ・パッケージの一部としても良い。上述のように、関連情報は、通信デバイスによって収集され、計器データを含む場合があるが、計器データは、最初は、計器によって収集される。
【0029】
本開示では、単数形「ある1つの(a、an)」及び「その1つの(the)」は、状況的に別段の指定がある場合を除き、複数の指示対象を含む。用語「又は」は、包括的であることを意味し、列挙された項目の中の任意のもの、いくつか又は全てのいずれかを意味する。用語「からなる(comprises)」、「からなっている(comprising)」、「を含む(includes)」、「を含んでいる(including)」又はその他のバリエーションは、非排他的な包含をカバーすることが意図されており、要素のリストからなるプロセス、方法、物品又は製品が、必ずしもこれら要素だけを含むのではなく、明示的に列挙されていないか又はこうしたプロセス、方法、物品又は装置に固有の他の要素を含んでいても良い。相対的な用語、例えば、「約(about)」、「おおよそ(approximately)」、「ほぼ(substantially)」及び「概して(generally)」などは、述べた値又は理解される値の±10%のあり得るバリエーションを示すのに使用される。
【0030】
本開示技術の態様は、様々な変更を行ったり、代替の形態へと容易に変り得る。本願では、例として特定の態様を図に示し、詳細に説明している。しかし、本願で開示されるこれらの例は、説明を明確する目的で提示されたものであり、明確に限定しない限り、本願で説明した特定の態様で開示された大まかな概念に限定しようと意図したものではない。よって、本開示技術は、添付の図面及び請求項の観点から、説明した態様に関するあらゆる変更、等価なもの、代替をカバーすることを意図している。
【0031】
明細書における態様、実施例などへの言及は、記載された項目が特定の特徴、構造又は特性を含み得ることを示す。しかしながら、開示される各態様は、そうした特定の特徴、構造又は特性を含んでいても良いし、必ずしも含んでいなくても良い。更に、このような言い回しは、特に明記しない限り、必ずしも同じ態様を指しているとは限らない。更に、特定の態様に関連して特定の特徴、構造又は特性が記載されている場合、そのような特徴、構造又は特性は、そのような特徴が他の開示された態様と明示的に関連して記載されているか否かに関わらず、そうした他の開示された態様と関連して使用しても良い。
【0032】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。例えば、ある特定の特徴が特定の態様に関連して開示される場合、その特徴は、可能な限り、他の態様との関連でも利用できる。
【0033】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0034】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0035】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0036】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含むことができる。
【0037】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。例えば、ある特定の特徴が特定の態様に関連して開示される場合、その特徴は、可能な限り、他の態様との関連でも利用できる。
【0038】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
実施例
【0039】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0040】
実施例1は、通信デバイスを使用して計器データをキャプチャする方法であって、通信デバイスのカメラに作動信号を送信して少なくとも1つの計器の写真を撮る処理と、通信デバイスと少なくとも1つの計器との間でトリガ・メッセージを送信する処理又は受信する処理のいずれかと、通信デバイスのメモリに写真を記憶する処理と、写真に関連する情報を決定する処理と、写真、関連情報及びユーザ情報をネットワークに送信する処理とを具える。
【0041】
実施例2は、実施例1の方法であって、通信デバイスが、写真が撮られるのに応答して、少なくとも1つの計器にトリガ・メッセージを送信する。
【0042】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの方法であって、作動信号をカメラに送信する前に通信デバイスがトリガ・メッセージを受信する。
【0043】
実施例4は、実施例1~3のいずれかの方法であって、計器からメッセージを受信する処理を更に具え、上記メッセージが計器データを含み、写真に関する関連情報が計器データを含む。
【0044】
実施例5は、実施例1~4のいずれかの方法であって、写真、関連情報及びユーザ情報をサーバに送信する処理を更に具え、保存する処理がサーバ上で発生し、上記サーバがクラウド・サーバ又は所有者専用サーバのいずれかを含む。
【0045】
実施例6は、実施例1~5のいずれかの方法であって、写真、関連情報及びユーザ情報をサーバに送信する処理を更に具え、関連情報は計器データを含まず、計器データを写真、関連情報と結合させる処理は、サーバ上で行われる。
【0046】
実施例7は、実施例2の方法であって、通信デバイスから少なくとも1つの計器にトリガ・メッセージを送信する処理は、トリガ・メッセージをセンサに送信する処理を有し、計器から収集された計器データは、センサ・データを含む。
【0047】
実施例8は、実施例7の方法であって、クラウド・ベースのサービスにおいて、センサに関するストリーミング・データ・バケットを作成する処理を更に具える。
【0048】
実施例9は、実施例2の方法であって、少なくとも1つの計器にトリガ・メッセージを送信する処理が、試験測定装置にトリガ・メッセージを送信する処理を有し、計器データが、試験測定装置の構成、波形データ、測定データ、試験測定装置のチャンネルの接続関係、被試験デバイスの種類、時刻スタンプ、日付スタンプ、試験測定装置の状態情報及び場所の中の少なくとも1つを有している。
【0049】
実施例10は、実施例1~9のいずれかの方法であって、トリガ・メッセージを送信する前に少なくとも1つの計器の識別子を取得する処理を更に具え、上記識別子は、通信デバイスを用いて計器から得られるQRコード(登録商標)、UPCコードの中の1つか、又は、通信デバイスのユーザ・インタフェース上の計器の識別子のメニューからユーザが選択したものを含む。
【0050】
実施例11は、通信デバイスであって、アクチュエータを有するカメラと、少なくとも1つの通信リンクと、メモリと、プロセッサとを具え、プロセッサに、ユーザがアクチュエータをアクティブにすると、カメラへ作動信号を送信させて計器の写真を撮らさせ、トリガ・メッセージを計器に送信して計器データを保存させ、ユーザ情報を含む写真に関する関連情報と共に写真をメモリに記憶させ、少なくとも写真、関連情報及びユーザ情報を遠隔地に送信させる命令を実行するようにプロセッサが構成されている。
【0051】
実施例12は、実施例11の通信デバイスであって、通信デバイスが、スマートフォン、タブレット、又はカメラを有するコンピューティング・デバイスの中の1つから構成される。
【0052】
実施例13は、実施例11又は12のいずれかの通信デバイスであって、少なくとも1つの通信リンクが、セルラー接続、Wi-Fi(wireless fidelity)、NFC(近距離無線通信:near field communications)、イーサネット、USB接続、Z-wave、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)からなるグループの中の少なくとも1つから構成される。
【0053】
実施例14は、実施例11~13のいずれかの方法であって、プロセッサにトリガ・メッセージを送信させる命令が、更に、プロセッサに、計器から計器データを受けて通信デバイスに記憶させる。
【0054】
実施例15は、実施例14の通信デバイスであって、関連情報が、計器からの計器データを含む。
【0055】
実施例16は、実施例11~15のいずれかの方法であって、計器データには、画像、波形、測定値、計器の構成の設定、センサ・データ及び計器識別データの中の少なくとも1つが含まれる。
【0056】
実施例17は、実施例11~16のいずれかの方法であって、トリガ・メッセージを送信する前に、プロセッサに計器を特定(識別)させる命令を実行するようにプロセッサが更に構成される。
【0057】
実施例18は、試験測定装置であって、少なくとも1つの通信リンクと、メモリと、プロセッサとを具え、該プロセッサに、上記通信リンクを介してトリガ・メッセージを受信させ、上記メモリに計器データを保存させ、上記試験測定装置に対して遠隔にある場所に上記計器データを送信させる命令を実行するように上記プロセッサが構成される。
【0058】
実施例19は、実施例18の試験測定装置であって、上記プロセッサに上記通信リンクを介して上記トリガ・メッセージを送信させる命令を実行するように上記プロセッサが更に構成される。
【0059】
実施例20は、実施例18又は実施例19のいずれかの試験測定装置であって、上記プロセッサに通信リンクを介して受信した情報を保存させる命令を実行するように上記プロセッサが更に構成され、上記情報が、上記試験測定装置の写真を含む。
【0060】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0061】
説明の都合上、具体的な実施形態を図示し、説明してきたが、本開示技術の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【国際調査報告】