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特表2022-512187ルテニウムCMP用の酸化剤不含スラリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(54)【発明の名称】ルテニウムCMP用の酸化剤不含スラリー
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220126BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20220126BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20220126BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20220126BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
H01L21/304 622X
B24B37/00 H
C09K3/14 550F
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
C09G1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532969
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 US2019065136
(87)【国際公開番号】W WO2020123332
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/777,523
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】コ チョン-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン フン-ツン
(72)【発明者】
【氏名】タイラー ジェイ.カーター
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158CB10
3C158DA12
3C158EB01
3C158ED04
3C158ED05
3C158ED09
3C158ED12
3C158ED13
3C158ED22
3C158ED23
5F057AA09
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5F057AA51
5F057BA15
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5F057EA06
5F057EA08
5F057EA29
5F057EA31
5F057EA32
(57)【要約】
本発明は、(a)16GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および(b)液体担体を含む化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約7のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供する。本発明は、研磨組成物によって、基板、特にルテニウムを含む基板を研磨する方法をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)16GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および
(b)液体担体
を含む化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約8のpHを有する、研磨組成物。
【請求項2】
約1~約6のpHを有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
約2~約5のpHを有する、請求項2に記載の研磨組成物。
【請求項4】
前記研削剤が、40GPa以上のビッカース硬度を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項5】
前記研削剤が、50GPa以上のビッカース硬度を有する、請求項4に記載の研磨組成物。
【請求項6】
前記研削剤が、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、α-Al、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項7】
前記研削剤がダイヤモンドを含む、請求項6に記載の研磨組成物。
【請求項8】
前記研削剤が、約0.001重量%~約1重量%の濃度で前記研磨組成物中に存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項9】
前記研削剤が、約0.001重量%~約0.1重量%の濃度で前記研磨組成物中に存在する、請求項8に記載の研磨組成物。
【請求項10】
前記研削剤が、約0.001重量%~約0.05重量%の濃度で前記研磨組成物中に存在する、請求項9に記載の研磨組成物。
【請求項11】
前記研削剤が、約1nm~約1ミクロンの平均粒径を有する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項12】
前記研削剤が、約5nm~約500nmの平均粒径を有する、請求項11に記載の研磨組成物。
【請求項13】
前記研削剤が、約5nm~約200nmの平均粒径を有する、請求項12に記載の研磨組成物。
【請求項14】
基板を化学機械的に研磨する方法であって、
(i)基板の表面上にルテニウムを含む基板を提供すること、
(ii)研磨パッドを提供すること、
(iii)
(a)16GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および
(b)液体担体
を含む化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約7のpHを有する、研磨組成物を提供すること、
(iv)前記基板を前記研磨パッドおよび前記研磨組成物と接触させること、ならびに
(v)前記研磨パッドおよび前記研磨組成物を前記基板に対して動かして、前記基板の表面上のルテニウムの少なくとも一部を研削して、前記基板を研磨すること、を含む、方法。
【請求項15】
前記ルテニウムが、炭素、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記研磨組成物が、約1~約6のpHを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記研削剤が、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、α-Al、またはそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記研削剤がダイヤモンドを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記研削剤が、約0.001重量%~約1重量%の濃度で前記研磨組成物中に存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記研削剤が、約1nm~約1ミクロンの平均粒径を有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
基板の表面を平坦化または研磨するための組成物および方法は、当該技術分野において周知である。研磨組成物(研磨スラリーとしても知られる)は、一般に、液体担体中に研削剤料を含有しており、研磨組成物で飽和させた研磨パッドに表面を接触させることによって表面に適用される。一般的な研削剤料としては、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化スズが挙げられる。研磨組成物は、一般に、研磨パッド(例えば、研磨布またはディスク)と組み合わせて使用される。研磨組成物中に懸濁される代わりに、またはそれに加えて、研削剤料は、研磨パッドに組み込まれてもよい。
【0002】
マイクロ電子デバイスの製造においては、抵抗率が低く、ステップカバレッジが良好であり、かつ熱安定性が高いことから、ルテニウムが、次世代ライナーおよび導電性金属の潜在的な候補として浮上している。我々の知る限りでは、高いルテニウム除去速度をもたらす既存のすべてのプラットフォームでは、ルテニウムの物理蒸着から形成された基板と、強力な酸化剤および高充填量の研削粒子を含む研磨組成物とが利用されている。残念なことに、これらの従来のアプローチでは、ルテニウムの除去を補助するために必要な特定の酸化剤が有毒および/または爆発性である可能性があるので、安全上の懸念がもたらされる。さらに、酸化ルテニウムの特定の種(例えば、RuO(g))は、毒性および揮発性である。
【0003】
さらに、ルテニウムベースの部材を製作するための現在のアプローチは、物理蒸着から化学蒸着および/または原子層堆積に移行している。なぜなら、これらの方法は、基板表面上においてルテニウムのより良い適合性をもたらすからである。
【0004】
したがって、安全上の懸念に対処するために酸化剤を含まないが、十分なルテニウム除去速度をもたらすほど十分に強い、ルテニウムを含む基板を化学機械研磨するための改善された研磨組成物および方法がなおも必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(a)16GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および(b)液体担体を含む、これらから実質的に成る、またはこれらから成る化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約7のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供する。
【0006】
本発明はまた、化学機械的に基板を研磨する方法であって、(i)基板の表面上にルテニウムを含む基板を提供すること、(ii)研磨パッドを提供すること、(iii)(a)16GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および(b)液体担体を含む化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約8のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供すること、(iv)基板を研磨パッドおよび研磨組成物と接触させること、ならびに(v)研磨パッドおよび研磨組成物を基板に対して動かして、基板の表面上のルテニウムの少なくとも一部を研削して、基板を研磨すること、を含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、(a)そのバルク母材が16GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および(b)液体担体を含む、これらから実質的に成る、またはこれらから成る化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約8のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供する。
【0008】
化学機械研磨組成物は、望ましくは液体担体(例えば、水)に懸濁された研削剤(例えば、研削粒子)を含む。研削剤は、一般に粒子状である。研削剤は、16GPa以上(例えば、約30GPa以上、約40GPa以上、約50GPa以上、約60GPa以上、または約70GPa以上、または約80GPa以上)のビッカース硬度を有する任意の好適なバルク材料から形成されている。
【0009】
ビッカース硬度は、変形に抵抗することについての材料(すなわち、研削剤を形成する材料)の能力を評価する定量的な測定値である。例えば、セリアは、約4GPaのビッカース硬度を有し、ジルコニアは、約6GPaのビッカース硬度を有し、シリカ(石英)は、約10GPaのビッカース硬度を有し、アルミナは、約16~約30GPaのビッカース硬度を有し、立方晶窒化ホウ素は、約50のビッカース硬度を有し、ダイヤモンドは、約80の推定ビッカース硬度を有する(例えば、Microstructure-Property Correlations for Hard,Superhard,and Ultrahard Materials,Kanyanta,V.,Ed.,Springer,2016、Dubrovinsky et al.,Nature,2001,410(6829),653;Din et al.,Mater.Chem.Phys.,1998,53(1),48-54、およびMaschio et al.,J.Eur.Ceram.Soc.,1992,9(2),127-132を参照)。
ビッカース硬度は、任意の好適な方法、例えば、ASTM規格C1327-15などの手順によって測定することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、研削剤は、約5モース以上(例えば、約5.5モース以上、約6モース以上、約6.5モース以上、約7モース以上、約7.5モース以上、または約8モース以上)の硬度を有する。いくつかの実施形態では、研削剤は、約5モース~約15モース、例えば、約5.5モース~約15モース、約6モース~約15モース、約6.5モース~約15モース、約7モース~約15モース、約7.5モース~約15モース、または約8モース~約15モースの硬度を有する。特定の実施形態では、研削剤は、約8モース~約15モースの硬度を有する。モース硬度は、別の材料を引っ掻くことについての材料(すなわち、研削剤を形成する材料)の相対的な能力を評価する定性的な測定値である。
【0011】
いくつかの実施形態では、研削剤は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、アルミナ(Al)、炭化ケイ素(SiC)、チタニア(TiO)、炭化タングステン(WC)、ジルコニア(ZrO)、炭化ホウ素(BC)、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)、またはそれらの組み合わせを含む。ダイヤモンドは、任意の好適な形態のダイヤモンドであり得る。例えば、「ダイヤモンド」という用語は、天然または合成の単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、超デトネーションダイヤモンド(ultra-detonation diamond)、またはそれらの組み合わせのいずれかの粒子(例えば、ナノ粒子)を含む。本明細書で使用される場合、「立方晶窒化ホウ素」とは、ダイヤモンドに類似した結晶形態を有する窒化ホウ素の閃亜鉛鉱構造を指す。任意の好適なアルミナ、例えば、α-アルミナ(α-Al)が使用され得る。
【0012】
研削剤は、任意の好適な粒径を有し得る。本明細書で使用される場合、研削粒子の粒径は、粒子を包含する最小の球体の直径である。研削粒子は、約1nm以上、例えば、約5nm以上、約10nm以上、約15nm以上、約20nm以上、約30nm以上、約40nm以上、または約50nm以上の平均(すなわち、算術平均)粒径を有し得る。代替的または追加的に、研削粒子は、約10ミクロン以下、例えば、約1ミクロン以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、または約50nm以下の平均粒径を有し得る。したがって、研削粒子は、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲の平均粒径を有し得る。例えば、研削粒子は、約1nm~約10ミクロン、例えば、約1nm~約1ミクロン、約1nm~約500nm、約1nm~約250nm、約1nm~約200nm、約1nm~約100nm、約1nm~約50nm、約5nm~約1ミクロン、約5nm~約500nm、約5nm~約250nm、約5nm~約200nm、約5nm~約100nm、または約5nm~約50nmの平均粒径を有し得る。いくつかの実施形態では、研削粒子は、約1nm~約1ミクロンの平均粒径を有する。特定の実施形態では、研削粒子は、約5nm~約500nmの平均粒径を有する。
【0013】
研削剤は、処理済み(例えば、カチオン処理またはアニオン処理)であっても、または未処理であってもよい。いくつかの実施形態では、研削剤は処理済みである(例えば、US7,265,055に記載)。本明細書で使用される場合、処理される研削剤は、表面処理され得るか、または対応するカチオン性もしくはアニオン性の分子もしくは原子でドープされ得る。したがって、研削剤は、約4のpHで、約-100mV以上、例えば、約-75mV以上、約-50mV以上、約-25mV以上、または約0mV以上のゼータ電位を有し得る。代替的または追加的に、研削剤は、約4のpHで、約+100mV以下、例えば、約+75mV以下、約+50mV以下、約+25mV以下、または約0mV以下のゼータ電位を有し得る。したがって、研削剤は、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲のゼータ電位を有し得る。例えば、研削剤は、約4のpHで、-約100mV~約+100mV、例えば、約-75mV~約+75mV、約-50mV~約+50mV、約-100mV~約0mV、または約0mV~約+100mVのゼータ電位を有し得る。
【0014】
任意の好適な量の研削剤が研磨組成物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、研削剤は、約0.0005重量%以上、例えば、約0.001重量%以上、約0.0025重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.025重量%以上、または約0.05重量%以上の濃度で研磨組成物中に存在する。より一般には、研削剤は、約0.001重量%以上、例えば、約0.0025重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、0.025重量%以上、または約0.05重量%以上の濃度で研磨組成物中に存在する。代替的または追加的に、研削剤は、約30重量%以下、例えば、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、または約0.05重量%以下の濃度で研磨組成物中に存在する。より一般には、研削剤は、約1重量%以下、例えば、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、または約0.05重量%以下の濃度で研磨組成物中に存在する。したがって、研削剤は、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲で研磨組成物中に存在し得る。例えば、研削剤は、約0.0005重量%~約10重量%、例えば、約0.001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約1重量%、約0.001重量%~約0.5重量%、約0.001重量%~約0.1重量%、約0.001重量%~約0.05重量%、約0.005重量%~約10重量%、約0.005重量%~約1重量%、約0.005重量%~約0.5重量%、約0.005重量%~約0.1重量%、約0.005重量%~約0.05重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.01重量%~約1重量%、約0.01重量%~約0.5重量%、約0.01重量%~約0.1重量%、約0.01重量%~約0.05重量%、約0.05重量%~約10重量%、約0.05重量%~約1重量%、約0.05重量%~約0.5重量%、約0.05重量%~約0.1重量%、または約0.05重量%~約0.05重量%の濃度で研磨組成物中に存在し得る。特定の実施形態では、研削剤は、約0.001重量%~約1重量%の濃度で研磨組成物中に存在する。
【0015】
本明細書に記載の研磨組成物は、酸化剤を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「酸化剤を実質的に含まない」という語句は、約1ppm未満、例えば、約100ppb未満、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、約10ppt未満、または約1ppt未満の酸化剤を含む組成物を指す。特定の実施形態では、研磨組成物は、酸化剤を含まない(すなわち、検出レベル未満である)。本明細書で使用される場合、「酸化剤」という語句は、+4の酸化状態を上回ってルテニウムを酸化することができる、周囲空気以外の任意の化学物質を指す。そのような酸化剤の例示的な一覧は、過酸化物(例えば、H)、過ヨウ素酸、オキソン、臭素酸塩、亜臭素酸塩、次亜臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、過塩素酸塩、ヨウ素酸塩、次亜ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、セリウム(IV)塩、過マンガン酸塩、銀(III)塩、ペルオキシ酢酸、有機ハロオキシ化合物、モノペルオキシ硫酸塩、モノペルオキシ亜硫酸塩、モノペルオキシチオ硫酸塩、モノペルオキシリン酸塩、モノペルオキシピロリン酸塩、およびモノペルオキシ次亜リン酸塩を含むが、これらに限定されることはない。
【0016】
通常、化学機械研磨組成物は、約8以下、例えば、約7以下、例えば、約6.5以下、約6以下、約5.5以下、約5以下、約4.5以下、約4以下、約3.5以下、約3以下、約2.5以下、約2以下、約1.5以下、約1以下、または約0.5以下のpHを有する。代替的または追加的に、化学機械研磨組成物は、約0以上、例えば、約0.5以上、約1以上、約1.5以上、約2以上、約2.5以上、約3以上、約3.5以上、約4以上、または約4.5以上のpHを有し得る。したがって、化学機械研磨組成物は、前述の端点のいずれか2つによって区切られた範囲のpHを有し得る。例えば、研磨組成物は、約6~約7、約5.5~約6.5、約5~約6、約4.5~約5.5、約4~約5、約3.5~約4.5、約3~約4、約2.5~約3.5、約2~約3、約1.5~約2.5、約1~約2、約0.5~約1.5、または約0~約1のpHを有し得る。いくつかの実施形態では、研磨組成物は、約0~約7、例えば、約0~約6、約0~約5、約0~約4、約0~約3、約0~約2、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約2~約7、約2~約6、約2~約5、約2~約4、約3~約7、約3~約6、または約3~約5のpHを有する。特定の実施形態では、研磨組成物は、約2~約5、例えば、約2、約3、約4、または約5のpHを有する。
【0017】
化学機械研磨組成物は、研磨組成物のpHを調整することができる(すなわち、調整する)1つ以上の化合物(すなわち、pH調整化合物)を含み得る。研磨組成物のpHは、研磨組成物のpHを調整することができる任意の好適な化合物を使用して調整され得る。pH調整化合物は、望ましくは水溶性であり、研磨組成物の他の成分と適合性である。
【0018】
pHを調整および緩衝することができる化合物は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、カルボン酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、ホウ酸塩、有機酸(例えば、酢酸)、有機塩基(例えば、アミン)、およびそれらの混合物から選択され得る。特定の実施形態では、pHは、有機酸(例えば、酢酸および/または酢酸カリウム)によって調整または緩衝される。例えば、緩衝液は、酸性の化学薬品、塩基性の化学薬品、中性の化学薬品、またはそれらの組み合わせであり得る。緩衝液の例示的な一覧は、硝酸、硫酸、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、酢酸、水酸化アンモニウム、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム塩、アミン、ポリオール(例えば、トリス塩基)、アミノ酸などを含む。
【0019】
研磨組成物は、液体担体を含む。液体担体は、水(例えば、脱イオン水)を含有しており、任意選択的に、1つ以上の水混和性有機溶媒を含有している。使用可能な有機溶媒の例としては、プロペニルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、1-プロパノール、メタノール、1-ヘキサノールなどのアルコール、アセチルアルデヒドなどのアルデヒド、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトンなどのケトン、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリムなどのスルホキシドを含むエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドンなどのアミド、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールおよびその誘導体、ならびにアセトニトリル、アミルアミン、イソプロピルアミン、イミダゾール、ジメチルアミンなどの窒素含有有機化合物が挙げられる。好ましくは、液体担体は水のみであり、すなわち、有機溶媒が存在していない。
【0020】
研磨組成物は、任意選択的に、1つ以上の添加剤をさらに含む。例示的な添加剤としては、緩衝液、ディッシング制御剤、キレート剤、殺生物剤、スケール防止剤、腐食防止剤、分散剤などが挙げられる。いくつかの実施形態では、研磨組成物は、緩衝液、ディッシング制御剤、キレート剤、殺生物剤、腐食防止剤、分散剤、またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、研磨組成物は、緩衝液、ディッシング制御剤、および殺生物剤をさらに含む。他の実施形態では、研磨組成物は、緩衝液および殺生物剤をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、化学機械研磨組成物は、ディッシング制御剤をさらに含む。本明細書で使用される場合、「ディッシング制御剤」という語句は、上にあるルテニウム被覆が除去されると、ディッシング制御を含有していない化学機械研磨組成物と比較して、回路トレース内のルテニウムの損失を低減することができる任意の化学薬品を指す。ディッシングおよび侵食は、任意の好適な技術を使用して特定することができる。ディッシングおよび侵食を特定するための好適な技術の例としては、走査型電子顕微鏡法、スタイラスプロファイリング(stylus profiling)、および原子間力顕微鏡法が挙げられる。原子間力顕微鏡法は、Veeco(Plainview,NY)のDimension Atomic Force Profiler(AFP(商標))を使用して実施することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、化学機械組成物は、殺生物剤を含む。殺生物剤は、存在する場合、任意の好適な殺生物剤であり得て、研磨組成物中に任意の好適な量で存在し得る。例示的な殺生物剤は、イソチアゾリノン殺生物剤である。研磨組成物は、約1ppm~約200ppm、例えば、約10ppm~約200ppm、約10ppm~約150ppm、約20ppm~約150ppm、約50ppm~約150ppm、約1ppm~約150ppm、または約1ppm~約100ppmの殺生物剤を含み得る。
【0023】
研磨組成物は、その多くが当業者に知られている任意の好適な技術によって生成することができる。研磨組成物は、バッチプロセスまたは連続プロセスで調製することができる。通常、研磨組成物は、研磨組成物の成分を組み合わせることによって調製される。本明細書で使用される場合、「成分」という用語は、個々の成分(例えば、研削剤、緩衝剤、ディッシング制御剤、キレート剤、殺生物剤、スケール防止剤、腐食防止剤、分散剤など)、ならびに成分(例えば、研削剤、緩衝液、ディッシング制御剤、キレート剤、殺生物剤、スケール防止剤、腐食防止剤、分散剤など)の任意の組み合わせを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、化学機械組成物は、単一の容器に保存される。他の実施形態では、化学機械組成物は、2つ以上の容器に保存されるので、化学機械組成物は、使用ポイントまたはその近くで混合される。2つ以上の保管デバイスに収容される成分を混合して使用ポイントまたはその付近で研磨組成物を生成するために、保管デバイスには、一般に、各保管デバイスから研磨組成物の使用ポイント(例えば、プラテン、研磨パッド、または基板表面)につながる1つ以上のフローラインが提供される。本明細書で使用される場合、「使用ポイント」という用語は、研磨組成物が基板表面(例えば、研磨パッドまたは基板表面自体)に適用されるポイントを指す。「フローライン」という用語は、個別の保管容器からそこに保管されている成分の使用ポイントまでの、流れの経路を意味する。フローラインは各々使用ポイントに直接つながるか、または2つ以上のフローラインが、任意のポイントで、使用ポイントにつながる単一のフローラインに結合され得る。さらに、フローライン(例えば、個別のフローラインまたは結合されたフローライン)のいずれかも、成分(複数可)の使用ポイントに到達するのに先立ち、まず1つ以上の他のデバイス(例えば、ポンプデバイス、測定デバイス、混合デバイスなど)につながってもよい。
【0025】
研磨組成物の成分は、独立して使用ポイントに送達されてもよく(例えば、成分は基板表面に送達され、その後研磨プロセス中に成分が混合される)、または成分の1つ以上が、使用ポイントに送達される前、例えば使用ポイントへの送達の少し前もしくは直前に混合されてもよい。成分が、混合形態でプラテンに添加される前の約5分以内、例えば、混合形態でプラテンに添加される前の約4分以内、約3分以内、約2分以内、約1分以内、約45秒以内、約30秒以内、約10秒以内に組み合わされる場合、または使用ポイントにおける成分の送達と同時に組み合わされる場合(例えば、成分が、分注器にて組み合わされる場合)、成分は、「使用ポイントへの送達直前に」組み合わされる。また、成分が、使用ポイントから5分以内、例えば、使用ポイントから1分以内に組み合わされる場合にも、成分は、「使用ポイントへの送達の直前」に組み合わされる。
【0026】
研磨組成物の2つ以上の成分が使用ポイントに到達する前に混合される場合、成分をフローラインで混合し、混合デバイスを使用せずに使用ポイントに送達することができる。あるいは、1つ以上のフローラインは混合デバイスに繋がり、2つ以上の成分の混合を促進することができる。任意の好適な混合デバイスを使用することができる。例えば、混合デバイスは、2つ以上の成分が流れるノズルまたはジェット(例えば、高圧ノズルまたは高圧ジェット)であり得る。代替的に、混合デバイスは、研磨スラリーの2つ以上の成分がミキサーに導入される1つ以上の注入口と、混合された成分がミキサーから出て、直接または装置の他の要素を介してかのいずれかで(例えば、1つ以上のフローラインを介して)使用ポイントに送達される少なくとも1つの排出口とを含む、容器型混合デバイスであってもよい。さらに、混合デバイスは1つより多くのチャンバを備えていてもよく、各チャンバは少なくとも1つの注入口と少なくとも1つの排出口とを有し、各チャンバ内で2つ以上の成分が混合される。容器型混合デバイスを使用する場合、混合デバイスは成分の混合をさらに促進するための混合機構を備えることが好ましい。混合機構は、当該技術分野で一般に知られており、スターラー、ブレンダー、撹拌機、パドル付きバッフル、ガススパージャーシステム、バイブレーターなどを含む。
【0027】
研磨組成物はまた、使用前に適切な量の水で希釈することを意図する濃縮液として提供され得る。そのような実施形態では、研磨組成物濃縮液は、適切な量の水で濃縮液を希釈すると、研磨組成物の各成分が、研磨組成物中に上に列挙された各成分の適切な範囲内の量で存在するような量で、研磨組成物の成分を含み得る。例えば、研削剤および任意選択的な添加剤はそれぞれ、濃縮液中に、各成分について先に列挙された濃度の約2倍(例えば、約3倍、約4倍、または約5倍)の量で存在し得て、したがって、濃縮液が等量の水(例えば、それぞれ、2等量の水、3等量の水、または4等量の水)で希釈される場合、各成分は、研磨組成物中に、各成分について先に記載した範囲の量で存在することになる。
【0028】
本発明はまた、本明細書に記載の研磨組成物によって基板を研磨する方法を提供する。基板を研磨する方法は、(i)基板を提供すること、(ii)研磨パッドを提供すること、(iii)前述の化学機械研磨組成物を提供すること、(iv)基板を研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させること、(v)研磨パッドおよび化学機械研磨組成物を基板に対して動かして、基板の表面の少なくとも一部を研削して、基板を研磨すること、を含む。
【0029】
特に、本発明は、化学機械的に基板を研磨する方法であって、(i)基板の表面上にルテニウムを含む基板を提供すること、(ii)研磨パッドを提供すること、(iii)(a)20GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および(b)液体担体を含む化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約7のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供すること、(iv)基板を研磨パッドおよび研磨組成物と接触させること、ならびに(v)研磨パッドおよび研磨組成物を基板に対して動かして、基板の表面上のルテニウムの少なくとも一部を研削して、基板を研磨すること、を含む、方法をさらに提供する。
【0030】
この化学機械研磨組成物は、任意の好適な基板を研磨するために使用することができ、また低誘電材料、例えば低K誘電材料から成る少なくとも1つの層(一般に表面層)を含む基板の研磨に特に有用である。好適な基板としては、半導体産業で使用されるウェハが挙げられる。ウェハは、一般に、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属複合体、金属合金、低誘電材料、またはそれらの組み合わせを含むか、またはこれらから成る。本発明の方法は、ルテニウムを含む基板を研磨するのに特に有用である。
【0031】
好ましい実施形態では、基板はルテニウム(例えば、Ru)を含む。ルテニウムは、任意の好適な方法によって基板表面に適用することができる。例えば、ルテニウムは、物理蒸着(「PVD」)、化学蒸着(「CVD」)、原子層堆積(「ALD」)、電気化学めっき(「ECP」)、またはそれらの任意の組み合わせを使用して基板表面に適用することができる。特定の実施形態では、ルテニウムは、CVD、ECP、および/またはALDによって基板表面に適用することができる。
【0032】
ルテニウムがさらに酸素を含む実施形態では、ルテニウムは、任意の好適な酸化状態の任意の好適なルテニウム種であり得る。例えば、ルテニウムは、Ru(OH) 、Ru3+、Ru(OH)・HO、RuO・2HO、RuO、HRuO、Ru(OH)12 4+、Ru(OH) 2+、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態では、基板は、Ru、Ru(OH) 、Ru3+、Ru(OH)・HO、RuO・2HO、Ru(OH)12 4+、Ru(OH) 2+、またはそれらの組み合わせを含む。
【0033】
本発明の化学機械研磨組成物は、望ましくは、本発明の方法によってルテニウムを含む基板を研磨する場合、高い除去速度を呈する。例えば、本発明の実施形態によってルテニウムを含むシリコンウェハを研磨する場合、研磨組成物は、望ましくは、約100Å/分以上、例えば、150Å/分以上、約200Å/分以上、約250Å/分以上、約300Å/分以上、約350Å/分以上、約400Å/分以上、約450Å/分以上、または約500Å/分以上のルテニウム除去速度を呈する。
【0034】
本発明の化学機械研磨組成物および方法は、化学機械研磨装置とともに使用するのに特に適している。一般に、この装置は、使用時に、運動中に、軌道運動、直線運動、または円運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンと接触して運転時にプラテンとともに運動する研磨パッドと、研磨パッドの表面に対して接触して動かすことによって基板が研磨されるように保持する担体とを含む。基板の研磨は、基板が研磨パッドおよび本発明の研磨組成物と接触するように配置され、次いで研磨パッドを基板に対して動かして、基板の少なくとも一部を研削して、基板を研磨することによって行われる。
【0035】
基板は、任意の好適な研磨パッド(例えば、研磨表面)を使用して化学機械研磨組成物によって研磨することができる。好適な研磨パッドには、例えば、織布および不織布の研磨パッドが含まれる。さらに、好適な研磨パッドは、さまざまな密度、硬度、厚さ、圧縮率、圧縮時に反発する能力、および圧縮弾性率の任意の好適なポリマーを含み得る。好適なポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共形成生成物、およびそれらの混合物が挙げられる。軟質ポリウレタン研磨パッドは、本発明の研磨方法との併用において特に有用である。一般的なパッドとしては、SURFIN(商標)000、SURFIN(商標)SSW1、SPM3100(例えば、Eminess Technologiesから市販されている)、POLITEX(商標)、およびFujibo POLYPAS(商標)27が挙げられるが、これらに限定されることはない。特に好ましい研磨パッドは、EPIC(商標)D100パッド、およびCabot Microelectronicsから市販されているIC1010(商標)パッドから市販されているNEXPLANAR(商標)E6088パッド、およびDow Chemical Companyから市販されているIC1010(商標)パッドである。
【0036】
望ましくは、化学機械研磨装置は、その場で研磨の端点を検出するシステムをさらに備え、その多くは当該技術分野で知られている。研磨する基板の表面から反射する光または他の放射を分析することによる研磨プロセスを検査および監視する技術は、当該技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、米国特許第5,196,353号、米国特許第5,433,651号、米国特許第5,609,511号、米国特許第5,643,046号、米国特許第5,658,183号、米国特許第5,730,642号、米国特許第5,838,447号、米国特許第5,872,633号、米国特許第5,893,796号、米国特許第5,949,927号、および米国特許第5,964,643号に開示されている。望ましくは、研磨する基板に関する研磨プロセスの進行の検査または監視によって、研磨の端点の決定、すなわち、特定の基板に関する研磨プロセスをいつ終了するかの決定が可能になる。
【0037】
本発明は、以下の実施形態によってさらに説明される。
【0038】
実施形態
(1)実施形態(1)では、(a)16GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および(b)液体担体を含む化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約8のpHを有する、化学機械研磨組成物が提供される。
【0039】
(2)実施形態(2)では、約1~約6のpHを有する、実施形態(1)に記載の研磨組成物が提供される。
【0040】
(3)実施形態(3)では、約2~約5のpHを有する、実施形態(2)に記載の研磨組成物が提供される。
【0041】
(4)実施形態(4)では、研削剤が、40GPa以上のビッカース硬度を有する、実施形態(1)~(3)のいずれか1つに記載の研磨組成物が提供される。
【0042】
(5)実施形態(5)では、研削剤が、50GPa以上のビッカース硬度を有する、実施形態(4)に記載の研磨組成物が提供される。
【0043】
(6)実施形態(6)では、研削剤が、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、α-Al、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態(1)~(5)のいずれか1つに記載の研磨組成物が提供される。
【0044】
(7)実施形態(7)では、研削剤がダイヤモンドを含む、実施形態(6)に記載の研磨組成物が提供される。
【0045】
(8)実施形態(8)では、研削剤が、約0.001重量%~約1重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(1)~(7)のいずれか1つに記載の研磨組成物が提供される。
【0046】
(9)実施形態(9)では、研削剤が、約0.001重量%~約0.1重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(8)に記載の研磨組成物が提供される。
【0047】
(10)実施形態(10)では、研削剤が、約0.001重量%~約0.05重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(9)に記載の研磨組成物が提供される。
【0048】
(11)実施形態(11)では、研削剤が、約1nm~約1ミクロンの平均粒径を有する、実施形態(1)~(10)のいずれか1つに記載の研磨組成物が提供される。
【0049】
(12)実施形態(12)では、研削剤が、約5nm~約500nmの平均粒径を有する、実施形態(11)に記載の研磨組成物が提供される。
【0050】
(13)実施形態(13)では、研削剤が、約5nm~約200nmの平均粒径を有する、実施形態(12)に記載の研磨組成物が提供される。
【0051】
(14)実施形態(14)では、緩衝液、ディッシング制御剤、キレート剤、殺生物剤、腐食防止剤、分散剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態(1)~(13)のいずれか1つに記載の研磨組成物が提供される。
【0052】
(15)実施形態(15)では、緩衝液、ディッシング制御剤、および殺生物剤をさらに含む、実施形態(1)~(14)のいずれか1つに記載の研磨組成物が提供される。
【0053】
(16)実施形態(16)では、緩衝液および殺生物剤をさらに含む、実施形態(1)~(14)のいずれか1つに記載の研磨組成物が提供される。
【0054】
(17)実施形態(17)では、化学機械的に基板を研磨する方法であって、(i)基板の表面上にルテニウムを含む基板を提供すること、(ii)研磨パッドを提供すること、(iii)(a)20GPa以上のビッカース硬度を有する研削剤および(b)液体担体を含む化学機械研磨組成物であって、酸化剤を実質的に含まず、かつ約0~約7のpHを有する、化学機械研磨組成物を提供すること、(iv)基板を研磨パッドおよび研磨組成物と接触させること、ならびに(v)研磨パッドおよび研磨組成物を基板に対して動かして、基板の表面上のルテニウムの少なくとも一部を研削して、基板を研磨すること、を含む、方法が提供される。
【0055】
(18)実施形態(18)では、ルテニウムが、化学蒸着によって基板表面に適用される、実施形態(17)に記載の方法が提供される。
【0056】
(19)実施形態(19)では、ルテニウムが、原子層堆積によって基板表面に適用される、実施形態(17)に記載の方法が提供される。
【0057】
(20)実施形態(20)では、ルテニウムが、炭素、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態(17)~(19)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0058】
(21)実施形態(21)では、研磨組成物が、約1~約6のpHを有する、実施形態(17)~(20)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0059】
(22)実施形態(22)では、研磨組成物が、約2~約5のpHを有する、実施形態(21)に記載の方法が提供される。
【0060】
(23)実施形態(23)では、研削剤が、40GPa以上のビッカース硬度を有する、実施形態(17)~(22)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0061】
(24)実施形態(24)では、研削剤が、50GPa以上のビッカース硬度を有する、実施形態(23)に記載の方法が提供される。
【0062】
(25)実施形態(25)では、研削剤が、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、α-Al、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態(17)~(24)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0063】
(26)実施形態(26)では、研削剤がダイヤモンドを含む、実施形態(25)に記載の方法が提供される。
【0064】
(27)実施形態(27)では、研削剤が、約0.001重量%~約1重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(17)~(26)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0065】
(28)実施形態(28)では、研削剤が、約0.001重量%~約0.1重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(27)に記載の方法が提供される。
【0066】
(29)実施形態(29)では、研削剤が、約0.001重量%~約0.05重量%の濃度で研磨組成物中に存在する、実施形態(28)に記載の方法が提供される。
【0067】
(30)実施形態(30)では、研削剤が、約1nm~約1ミクロンの平均粒径を有する、実施形態(17)~(29)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0068】
(31)実施形態(31)では、研削剤が、約5nm~約500nmの平均粒径を有する、実施形態(30)に記載の方法が提供される。
【0069】
(32)実施形態(32)では、研削剤が、約5nm~約200nmの平均粒径を有する、実施形態(31)に記載の方法が提供される。
【0070】
(33)実施形態(33)では、研磨組成物が、緩衝液、ディッシング制御剤、キレート剤、殺生物剤、腐食防止剤、分散剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態(17)~(32)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0071】
(34)実施形態(34)では、研磨組成物が、緩衝液、ディッシング制御剤、および殺生物剤をさらに含む、実施形態(17)~(33)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0072】
(35)実施形態(35)では、研磨組成物が、緩衝液および殺生物剤をさらに含む、実施形態(17)~(33)のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0073】
これらの以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0074】
以下の略語を実施例全体で使用する:除去速度(RR)、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、ルテニウム(Ru)、ナノダイヤモンド(ND)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、α-Al(AA)、酢酸カリウム(AcOK)、およびテトラエチルオルトシリケート(TEOS)。
【0075】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0076】
実施例1
この実施例は、表面コーティングされたアルミナと過酸化水素とを含む比較用研磨スラリーによって呈されるように、ルテニウムの除去速度に対するルテニウム堆積方法の効果を示している。
【0077】
PVD(「基板1A」)およびCVD(「基板1B」)によって堆積されたルテニウムコーティングを含む別々の基板(すなわち、2×2インチのクーポンウェハ)を、8.4のpHで、1重量%の過酸化水素と、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマーによって表面コーティングされたAl粒子とを含む組成物によって研磨した。
これらの基板を、1.5PSI(10.3kPa)の下向きの力のもと、商業的にA82(3M,St.Paul,MN)として認識されている製品によって調整されたFujiboパッドを使用して、Logitech 2ベンチトップ研磨機上で研磨した。Logitech研磨パラメータは、以下の通りであった:ヘッド速度=93rpm、プラテン速度=87rpm、総流速=150mL/分。除去速度は、分光偏光解析法を使用して膜厚を測定し、初期の厚さから最終的な厚さを減算することによって計算した。研磨後に、ルテニウム除去速度を測定した。これらの結果は、表1に記載されている。
【表1】
【0078】
表1に記載の結果から明らかであるように、PVDから調製された基板1Aのルテニウム除去速度は、CVDから調製された基板1Bのルテニウム除去速度よりも効率的である。これらの結果は、研削剤と酸化剤とを含む研磨組成物が、PVDによって調製された基板に対しては十分なルテニウム除去をもたらし得るが、CVDによって調製された基板に対しては不十分なルテニウム除去をもたらし得ることを示している。
【0079】
実施例2
この実施例は、CVDによって堆積されたルテニウムを含む基板について、ルテニウム除去速度に対する酸化剤、研削剤、およびpHの影響を示している。
【0080】
CVDによって堆積されたルテニウムコーティングを含む別々の基板(すなわち、2×2インチのクーポンウェハ)を、12種の異なる研磨組成物、すなわち、研磨組成物2A~2Lによって研磨した(表2)。各研磨組成物は、表2に記載の種類および量の研削剤、酸化剤、および添加剤を含有しており、各研磨組成物は、表2に記載のpHを有していた。これらの基板を、1.5PSI(10.3kPa)の下向きの力のもと、商業的にA82(3M,St.Paul,MN)として認識されている製品によって調整されたFujiboパッドを使用して、Logitech 2ベンチトップ研磨機上で研磨した。Logitech研磨パラメータは、以下の通りであった:ヘッド速度=93rpm、プラテン速度=87rpm、総流速=150mL/分。除去速度は、分光偏光解析法を使用して膜厚を測定し、初期の厚さから最終的な厚さを減算することによって計算した。研磨後に、ルテニウム除去速度を測定した。これらの結果は、表2に記載されている。
【表2】
【0081】
表2に記載の結果から明らかであるように、pHが7および4であり酸化剤を含まない本発明の研磨組成物2Kおよび2Lはそれぞれ、pHが4、7、もしくは10であり酸化剤を含むか、またはpHが10であり酸化剤を含まない比較用研磨組成物2A~2Cおよび2E~2Hよりも高いルテニウム除去速度を呈した。
【0082】
ダイヤモンドを研削剤として含んでおり、かつ酸化剤を含んでいない本発明の研磨組成物2Kおよび2Lは、同様のpH値の場合、研削剤としてのダイヤモンドおよび酸化剤を含む比較用研磨組成物2Fおよび2Gよりも優れていた。さらに、10、7、および4のpH値を有する比較用研磨組成物2A、ならびに本発明の研磨組成物2Kおよび2Lはそれぞれ、ダイヤモンドなどの硬質研削剤を含んでおり、かつ酸化剤を含んでいない研磨組成物の場合、pHが低下するにつれて除去速度が増加することを示している。これらの結果は、ルテニウムコーティングがCVDによって堆積されている場合、ダイヤモンドなどの硬質研削剤を含有しており、酸化剤を含有しておらず、かつ7以下のpHを有する研磨組成物が、ダイヤモンドなどの硬質研削剤を含有しており、酸化剤を含有しており、かつ/また7超のpHを有する研磨組成物よりもルテニウム除去が効率的であることを示している。
【0083】
実施例3
この実施例は、CVDによって堆積されたルテニウムを含む基板のルテニウム除去速度に対する研削剤の影響を示している。
【0084】
CVDによって堆積されたルテニウムコーティングを含む別々の基板(すなわち、2×2インチのクーポンウェハ)を、9種の異なる研磨組成物、すなわち、研磨組成物3A~3Iによって研磨した(表3)。各研磨組成物は、表3に記載の研削剤および100ppmのAcOKを含有しており、それぞれ4のpHを有していた。いずれの研磨組成物も酸化剤を含有していなかった。これらの基板を、1.5PSI(10.3kPa)の下向きの力のもと、M2000(登録商標)パッド(Cabot Microelectronics Corporation,Aurora,IL)を使用して、Logitech 2ベンチトップ研磨機上で研磨し、A165調整剤(3M,St.Paul,MN)によって調整した。Logitech研磨パラメータは、以下の通りであった:ヘッド速度=93rpm、プラテン速度=87rpm、総流速=100mL/分。除去速度は、分光偏光解析法を使用して膜厚を測定し、初期の厚さから最終的な厚さを減算することによって計算した。研磨後に、ルテニウム除去速度を測定した。これらの結果は、表3に記載されている。
【表3】
【0085】
表3に記載の結果から明らかであるように、表面コーティングされた研削剤を含有している比較用研磨組成物3B~3Eは、ルテニウムコーティングがCVDによって堆積されている場合、低いルテニウム除去速度を呈した。これらの結果は、ルテニウムコーティングがCVDによって堆積されている場合、表面コーティングされた研削剤が、酸化剤の不在下では、ルテニウムの除去にとって十分な研削剤ではないことを示している。
【0086】
さらに、表3に記載のこれらの結果は、α-Al、cBN、またはNDを含有していた本発明の研磨組成物3F~3Iが、20GPa未満のビッカース硬度を有するより柔らかい研削剤である比較用研磨組成物3A~3Eよりも高いルテニウム除去速度を示している。表3はまた、最も硬い研削剤、すなわち、cBNおよびNDを含有している本発明の研磨組成物(研磨組成物3Hおよび3Iを参照)が、ルテニウム除去において最も効率的であることを示している。これらの結果は、ルテニウムコーティングがCVDによって堆積されている場合、α-Al、cBN、もしくはNDなどの硬質研削剤を含有している研磨組成物が、表面コーティングされた研削剤を含有している研磨組成物よりもルテニウム除去においてより効率的であることを示している。
【0087】
実施例4
この実施例は、CVDによって堆積されたルテニウムを含む基板のルテニウム除去速度に対する研削剤およびpHの影響を示している。
【0088】
CVDによって堆積されたルテニウムコーティングを含む別々の基板(すなわち、2×2インチのクーポンウェハ)を、6種の異なる研磨組成物、すなわち、研磨組成物4A~4Fによって研磨した(表4)。各研磨組成物は、表4に記載の種類および量の研削剤を含有しており、各研磨組成物は、表4に記載のpHを有していた。AcOKまたは他の添加剤を全く含有していなかった比較用研磨組成物4Aを除いて、各研磨組成物はまた、100ppmのAcOKを添加剤として含有していた。いずれの研磨組成物も酸化剤を含有していなかった。これらの基板を、1.5PSI(10.3kPa)の下向きの力のもと、A165調整剤によって調整されたM2000(登録商標)パッドを使用して、Logitech 2ベンチトップ研磨機上で研磨した。Logitech研磨パラメータは、以下の通りであった:ヘッド速度=93rpm、プラテン速度=87rpm、総流速=100mL/分。除去速度は、分光偏光解析法を使用して膜厚を測定し、初期の厚さから最終的な厚さを減算することによって計算した。研磨後に、ルテニウム除去速度を測定した。これらの結果は、表4に記載されている。
【表4】
【0089】
表4に記載の結果から明らかであるように、NDを研削剤として含有している本発明の研磨組成物4B~4Fは、表面コーティングされたα-アルミナを含有している比較用研磨組成物4Aよりも高いルテニウム除去速度を呈した。これらの結果は、ルテニウムコーティングがCVDによって堆積されている場合、ダイヤモンドなどの硬質研削剤を含有している研磨組成物が、表面コーティングされたα-Al研削剤を含む研磨組成物よりも効率的なルテニウム除去をもたらすことを示している。
【0090】
さらに、表4に記載の結果は、研磨組成物のpHが低下するにつれてルテニウム除去速度が増加すること(例えば、研磨組成物4C~4Eを参照)、および研削剤の濃度が増加するとルテニウム除去速度が増加すること(例えば、研磨組成物4A、4C、および4Fを参照)を示している。
【0091】
本明細書に引用された刊行物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個々にかつ具体的に参照によって組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで参照によって本明細書に組み込まれる。
【0092】
(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つの(at least one)」という用語および同様の指示語の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、単数および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。1つ以上の項目の列挙に続く「少なくとも1つの」という用語(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択される1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)の2つ以上の任意の組み合わせを意味すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」、および「含有する」という用語は、別段の記載がない限り、非限定的な用語として解釈されるべきである(すなわち、「を含むが、これに限定されることはない」を意味する)。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照する簡略方法としての役割を果たすことを単に意図しており、各別個の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適な順序で実行することができる。本明細書において提供されるありとあらゆる実施例または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須であるとしていかなる特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0093】
本発明を実施するための本発明者らに既知の最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことによって当業者に明らかとなるであろう。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切なものとして用いることを期待しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載された通りではなく別の方法で実践されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変形および同等物を含む。さらに、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、それらのすべての可能な変形における上記のあらゆる任意の組み合わせが本発明に包含される。
【国際調査報告】