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特表2022-512529より低い溶融粘度を有するホットメルト接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】より低い溶融粘度を有するホットメルト接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/00 20060101AFI20220131BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20220131BHJP
   C09J 123/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61F 13/15 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C09J153/00
C09J11/08
C09J123/00
A61F13/15 355A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021503726
(86)(22)【出願日】2018-07-24
(85)【翻訳文提出日】2021-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2018096758
(87)【国際公開番号】W WO2020019146
(87)【国際公開日】2020-01-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】リィ・ウェイイー
(72)【発明者】
【氏名】ミンルイ・チェン
【テーマコード(参考)】
3B200
4J040
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200AA11
3B200AA12
3B200BB20
3B200EA23
4J040DA011
4J040DA091
4J040DA131
4J040DK022
4J040DM011
4J040JA02
4J040JA09
4J040KA26
4J040LA01
4J040LA06
4J040MA10
4J040MB02
4J040NA02
4J040NA05
4J040NA10
(57)【要約】
本発明は、ホットメルト接着剤組成物に関する。特に、本発明は、より低い塗布温度下でより低い溶融粘度、硬化時の優れた剥離強度、およびより低い臭気を有するホットメルト感圧接着剤組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1) 飽和ミッドブロック、少なくとも25g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローレートおよび10重量%以下のジブロック含有量を有するスチレンブロックコポリマー16重量%~30重量%、
(2) 粘着付与剤40重量%~65重量%、
(3) 可塑剤5重量%~30重量%、および
(4) ポリオレフィン0重量%~10重量%、
ここで、成分の重量比は、ホットメルト接着剤組成物の総重量に基づく
を含むホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
スチレンブロックコポリマーの重量比は20重量%~28重量%である、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
粘着付与剤の重量比は53重量%~62重量%である、請求項1または2に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
可塑剤の重量比が15重量%~20重量%である、請求項1~3のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
スチレンブロックコポリマーは、少なくとも18重量%、好ましくは18重量%~25重量%のスチレン含有量を有する、請求項1~4のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
スチレンブロックコポリマーは、5重量%以下のジブロック含有量を有する、請求項1~5のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
スチレンブロックコポリマーは、25g/10分(190℃、2.16kg)~200g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローレートを有する、請求項1~6のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
粘着付与剤は、脂肪族C5樹脂、脂肪族樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、C5/C9混合樹脂およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~7のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ならびにそれらのコポリマーおよびターポリマーのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1~8のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
ホットメルト接着剤組成物は、本質的にポリオレフィンを含まず、好ましくはポリオレフィンを含まない、請求項1~9のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
ホットメルト接着剤組成物の溶融粘度は、140℃で4000センチポアズ以下、好ましくは3,500センチポアズ以下である、請求項1~10のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
ホットメルト接着剤組成物の軟化点は、60℃以上、好ましくは70℃以上である、請求項1~11のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
ホットメルト接着剤組成物のポリエチレンに対する剥離強度は、140℃で50gsmのコーティング重量で硬化した場合に、10N/インチ以上である、請求項1~12のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
サミットスプレーによるホットメルト接着剤組成物のポリエチレン/トップシートへの剥離強度は、140℃で2gsmのコーティング重量で硬化した場合、0.6N/インチ以上である、請求項1~13のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項15】
サミットスプレーによるホットメルト接着剤組成物のポリエチレン/バックシートへの剥離強度は、140℃で2gsmのコーティング重量で硬化した場合、0.7N/インチ以上である、請求項1~14のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物の硬化生成物を含む使い捨て吸収性物品。
【請求項17】
乳児用おむつ、女性用ナプキン、および成人用失禁用品からなる群から選択される、請求項16に記載の使い捨て吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤組成物に関する。特に、本発明は、より低い塗布温度下でより低い溶融粘度、硬化時の優れた剥離強度、およびより低い臭気を有するホットメルト感圧接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、溶融状態の基材に塗布され、冷却されて接着剤層を硬化させる。このような接着剤は、製品の組み立てや包装などのさまざまな商業および産業用途に広く使用されており、不織布業界では乳児用おむつや成人用失禁製品の製造に広く使用されている。これらの用途では、接着剤は、例えば、フィルム基材(例えば、ポリエチレン)、不織布基材(例えば、ポリオレフィン)、または弾性基材(例えば、スパンデックス)などの少なくとも1つの基材に塗布されて、基材を第2の類似または異なる基材と接合する。
【0003】
スチレンブロック共重合体をベースにしたホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤のベースポリマーとして商業的に使用されており、おむつなどの使い捨て吸収剤、女性用衛生用品、成人用失禁デバイスなどの不織布構造用途で広く使用されている。これらの製品は通常、150°Cを超える温度で使用される。このような製品の製造に使用される接着剤の塗布温度を150°C未満に下げると、塗布装置の熱老化が改善され、感熱性またはより低い坪量基材の問題が軽減される。しかし、現在の塗布技術を使用して150°C未満で接着剤を塗布するには、粘度が十分に低く、スプレーと押出をきれいに行う必要がある。粘度を下げるために、ホットメルト接着剤の性能を犠牲にして、低分子量のポリマーと高レベルの希釈剤が使用されてきた。これらのアプローチにより、機械的強度が低下し、さらに重要なことに剥離強度が低下する可能性がある。
【0004】
低温で塗布できる、すなわち約150℃以下の温度でも溶融粘度が低く、硬化時に基材に対する優れた剥離強度と低臭気を維持するホットメルト接着剤が引き続き必要とされている。このような特性により、接着剤は使い捨て製品の製造での使用に特に適したものになる。本発明は、この必要性を対象としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
原文に記載なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のホットメルト接着剤の上記の欠点の少なくとも1つを克服するホットメルト接着剤組成物を提供する。本発明のホットメルト接着剤組成物は、適用温度下で加熱されたときに溶融粘度を著しく低下させることができる。本発明のホットメルト接着剤組成物は、硬化時に吸収性物品に使用される基材に対して優れた剥離強度を有する。また、本発明のホットメルト接着剤組成物は、硬化時の臭気が少ない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下を含むホットメルト接着剤組成物を提供する。
(1) 飽和ミッドブロック、少なくとも25g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローレートおよび10重量%以下のジブロック含有量を有するスチレンブロックコポリマー16重量%~30重量%、
(2) 粘着付与剤40重量%~65重量%、
(3) 可塑剤5重量%~30重量%、および
(4) ポリオレフィン0重量%~10重量%、
ここで、成分重量比は、ホットメルト接着剤組成物の総重量に基づく。
【0008】
本発明はまた、本発明によるホットメルト接着剤組成物の硬化生成物を含む使い捨て吸収物品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の節では、本発明をより詳細に説明する。そのように記載された各態様は、反対に明確に示されない限り、他の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示される任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示される任意の他の特徴または複数の特徴と組み合わせることができる。
【0010】
本発明の文脈において、使用される用語は、文脈が別段の指示をしない限り、以下の定義に従って解釈されるべきである。
【0011】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、単数および複数の指示対象の両方を含む。
【0012】
本明細書で使用される「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」および「含まれる(comprised of)」という用語は、「含んでいる(including)」、「含んでいる(containing)」または「含む(containing)」、「含む(contains)」と同義であり、包含的またはオープンエンドであり、追加の非記載の部材、要素、またはプロセスステップを排除しない。
【0013】
数値の終点の列挙には、それぞれの範囲内に含まれるすべての数値と分数、および列挙された終点が含まれる。
【0014】
本明細書で引用されているすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0015】
別段の定義がない限り、技術用語および科学用語を含む、本発明の開示に使用されるすべての用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味を有する。さらなるガイダンスによって、本発明の教示をよりよく理解するために用語の定義が含まれている。
【0016】
本発明によれば、ホットメルト接着剤組成物は、飽和ミッドブロック、少なくとも25g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローレート、および10重量%以下のジブロック含有量を有するスチレンブロックコポリマーを含む。
【0017】
スチレンブロックコポリマーは、芳香族ビニルポリマーブロックおよび飽和ミッドブロック、好ましくは水素化共役ジエンポリマーブロックを含む。ブロックは、例えば、線形、分岐、放射状、星型、およびそれらの組み合わせを含む様々な構成で配置できる。芳香族ビニルポリマーブロックは、例えば、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、o-、m-、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン-2,4,6-トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、1,3-ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセナフチレン、およびそれらの組み合わせを含む様々な芳香族ビニル化合物から誘導できる。水素化ジエンポリマーブロックは、例えば、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、およびそれらの組み合わせを含む、様々なジエン含有化合物から誘導できる。有用なスチレンブロックコポリマーには、例えば、トリブロック、マルチアーム、および例えば、スチレン-エチレン/ブテン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEEPS)、スチレン/イソブチレン/スチレン(SIBS)、およびそれらの組み合わせを含む放射状コポリマーが含まれる。
【0018】
好ましくは、スチレンブロックコポリマーのメルトフローレートは、少なくとも25g/10分(190℃、2.16kg)であり、より好ましくは、少なくとも30g/10分(190℃、2.16kg)である。
【0019】
好ましくは、スチレンブロックコポリマーのジブロック含有量は、スチレンブロックコポリマーの重量に基づいて、5重量%以下、3重量%以下、または1重量%以下でさえある。
【0020】
スチレンブロックコポリマーは、スチレンブロック共重合体の重量に基づいて、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも18重量%、35重量%以下、40重量%以下、10重量%から40重量%、15重量%から40重量%、18重量%から35重量%、18重量%から30重量%、さらには20重量%から30重量%のスチレン含有量を有し得る。
【0021】
好ましくは、スチレンブロックコポリマーは、本質的に不飽和ミッドブロックを含まず、好ましくは含まない。すなわち、ミッドブロックは飽和しているか、ジエンポリマーブロックから水素化されている。本発明における適切なスチレンブロックコポリマーには、SEBS、例えば、Kraton Polymers US LLCから市販されているKRATON MD 1648が含まれる。
【0022】
スチレンブロックコポリマーは、ホットメルト接着剤組成物の総重量に基づいて、16重量%から30重量%、好ましくは20重量%から30重量%、より好ましくは20重量%から28重量%の量で存在する。スチレンブロック共重合体の含有量が16%未満の場合、硬化物の剥離強度が十分でない場合がある。スチレンブロック共重合体の含有量が30%を超えると、接着剤組成物の溶融粘度が高すぎる可能性があり、サミットスプレー後の硬化物の剥離強度が劣る(interior)ことになる。
【0023】
ホットメルト接着剤組成物は、任意選択で、不飽和ミッドブロックを有するスチレンブロックコポリマーを含み得る。存在する場合、不飽和ミッドブロックを有するスチレンブロックコポリマーの量は、ホットメルト接着剤組成物の総重量に基づいて、7重量%以下、好ましくは、5重量%以下である。このような不飽和スチレンブロック共重合体の例には、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-イソブチレン-スチレン(SBBS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、およびそれらの組み合わせが含まれる。例には、Kraton Polymers USLLCから市販されているKRATOND 1162、SINOPECからのYH 1209、およびTSRCからのTaipol 4230が含まれる。
【0024】
本ホットメルト接着剤組成物に使用されるスチレンブロックコポリマーは、接着剤組成物が塗布されるときの塗布ウィンドウを改善できる。「塗布ウィンドウ」という用語は、ホットメルト接着剤組成物が製造ラインでよく使用される塗布条件の範囲を意味する。使い捨て製品の場合、塗布ウィンドウとは、スプレー温度、空気圧、スプレーパターン、オープン時間、硬化時間、グリーン強度などの条件を指す。ホットメルト接着剤の塗布ウィンドウを広くすることは、機械のダウンタイムとスクラップを削減するため、および、さまざまな作業条件に適した接着剤を作成するために非常に重要である。たとえば、ベビー用紙おむつの製造ラインでは、ホットメルト接着剤がノズルから最初の基材にスプレーコーティングされ、次に基材がコンベア上で10メートル前進し、この位置の接着のオープン時間として2秒かかる。ホットメルト接着剤は、オープン時間内に粘着性を維持する必要があるため、2秒後であっても第2の基材への接着が可能である。使い捨て製品の最新の高速製造ラインは、毎分400~500メートルの速度で稼働し、ホットメルト接着剤が塗布ウィンドウに落ちないと、ホットメルト接着剤の接着性能が連続生産の要件を満たさなくなる可能性が非常に高くなる。別の例では、製造ラインが必ずしも生産条件を固定するとは限らない。ライン速度、基材タイプ、環境温度などの動作条件が変動または変化する場合があり、さまざまな作業条件に対応するために、ホットメルト接着剤は広い塗布ウィンドウを備えている必要があり、例えば、ホットメルト接着剤は、様々なタイプの基材と良く接合する必要があり、又は、ホットメルト接着剤は、特定のオープン時間の冬の極低温下で粘着性を維持する必要がある。この開示において、SEBSは、低臭気を特徴とする、改善された弾性および延長されたオープン時間を提供するのに役立つ。SEBSを含む調製物の物理的性能は、SBSまたはSIS、あるいは両方の組み合わせを含む従来の調製物に匹敵する。
【0025】
本発明によれば、ホットメルト接着剤組成物は粘着付与剤を含む。適切な粘着付与剤には、任意の適合性樹脂またはそれらの混合物が含まれる:例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量体ロジン、および重合ロジンなどの天然または修飾ロジンなど;天然または修飾ロジンのグリセロールおよびペンタエリスリトールエステル、例えば、淡い(pale)ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、およびロジンのフェノール修飾ペンタエリスリトールエステル;天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー、例えば、スチレン/テルペンおよびD-メチルスチレン/テルペン;ASTM法E28,58Tによって決定される、80°から150℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂;後者のポリテルペン樹脂は、一般に、適度な低温でのフリーデルクラフツ触媒の存在下での、ピネンとして知られる二環式モノテルペンなどのテルペン炭化水素の重合から生じる;水素化ポリテルペン樹脂も含まれる;例えば、酸性媒体中での二環式テルペンとフェノールの縮合から生じる樹脂生成物としてのフェノール変性テルペン樹脂およびその水素化誘導体;ボール&リング軟化点が70°~135℃の脂肪族石油炭化水素樹脂;後者の樹脂は、主にオレフィンとジオレフィンからなるモノマーの重合から生じる;水素化脂肪族石油炭化水素樹脂も含まれる;脂環式石油炭化水素樹脂およびその水素化誘導体;および脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族コポリマーおよびそれらの水素化誘導体。
【0026】
本明細書で使用するための好ましい粘着付与剤には、ポリテルペン、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、脂肪族/芳香族、脂環式/芳香族、および天然および修飾ロジンエステルが含まれる。より好ましいのは、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、ポリテルペン、天然および修飾ロジンエステルおよびそれらの混合物である。特に、粘着付与剤は、水素化脂肪族C5樹脂またはジシクロペンタジエン樹脂である。市販の粘着付与剤の例は、例えば、イーストマンのC100R、C100W、H130R、およびH130Wである;Henghe ChinaのH5-1000およびH5-1001;Kolon IndustriesのSU90、SU100、SU120、およびSU130;出光のI-Marv P90、I-Marv P100、およびI-Marv P120;EastmanのRegalite R1100、Regalite R1120、およびRegaliteS1100;Jinhai ChenguangのJH-6100およびJH-6125。
【0027】
粘着付与剤は、ホットメルト接着剤組成物の総重量に基づいて、40重量%から62重量%、好ましくは45重量%から62重量%の量で存在する。粘着付与剤の含有量が40%未満の場合、接着剤組成物の溶融粘度が高すぎて、硬化物の剥離強度が十分でない場合がある。スチレンブロック共重合体の含有量が62%を超えると、接着剤組成物の溶融粘度も低下する可能性がある。
【0028】
さらに、本発明によるホットメルト接着剤はまた、可塑剤を含む。可塑剤は、ホットメルト接着剤の溶融粘度を低下させ、軟化に寄与し、対象材料の濡れを促進する目的で添加され、また、スチレンブロックコポリマーと相互に溶解し、本発明の目的によるホットメルト接着剤を提供する限り、特に限定されない。
【0029】
可塑剤は、例えば、パラフィン系油、ナフテン系油または芳香族油であり得る。特に、パラフィン系油および/またはナフテン系油が好ましく、無色無臭のパラフィン系油が特に好ましい。
【0030】
可塑剤は商業的に入手可能であって、例えば、Kukdong Oil and Chemical Co.によって製造された白色鉱油LP 150、LP 350、またはIdemitsu Kosan Co.、Ltd.によって製造されたDiana Fresia S-32、Diana Process Oil PW-90、Daphne Oil KP-68、BP Chemicals、Ltd.製のEnerper M1930、Crompton Ltd.製のKaydol、Exxon Inc.製のPrimol 352、またはPetroChinaのLubricant CompanyによるKN 4006、4008、4010、NynasのNyflex 222B、PetroChina Process Oil製のPSホワイトミネラル油、Idemitsu Kosan Co., Ltd. 製のNS-100。これらは、単独で使用することも、組み合わせて使用することもできる。
【0031】
本発明によるホットメルト接着剤は、さらに10%以下、好ましくは5%以下の量のポリオレフィンを含み得る。ポリオレフィンの含有量が上記の範囲よりも多い場合、硬化物の剥離強度が著しく低下する可能性がある。一実施形態では、本発明によるホットメルト接着剤は、ポリオレフィンを本質的に含まず、好ましくは含まない。
【0032】
ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、およびブテンのランダムコポリマーまたはターポリマー、および他の実質的に非晶質または半結晶性のプロピレン-エチレンポリマーを含むことができるポリマーである非晶質ポリ-α-オレフィンであり得る。適切には、非晶質ポリ-α-オレフィン(APAO)は、20%から80%の間のコポリマーまたはターポリマー、および20%から80%の間の他の実質的に非晶質または半結晶性のプロピレン-エチレンポリマーを含む。あるいは、APAOは、30%から70%の間のコポリマーまたはターポリマー、および30%から70%の間の他の実質的に非晶質または半結晶性のプロピレン-エチレンポリマーを含む。さらに別の代替として、APAOは、40%から60%の間のコポリマーまたはターポリマー、および40%から60%の間の他の実質的に非晶質または半結晶性のプロピレン-エチレンポリマーを含む。APAOは、エチレンまたはプロピレンとの1-ブテンコポリマー、またはエチレンとプロピレンとの1-ブテンターポリマーであり得、数平均分子量は5,000から30,000、具体的には10,000から20,000である。1-ブテンコポリマーは、20重量%から65重量%の1-ブテン、または30重量%から55重量%の1-ブテン、およびコモノマーまたはモノマーのバランスを含むべきである。あるいは、APAOは、最大80%のエチレンを有するエチレン-プロピレンコポリマーを含み得る。本発明での使用に適した市販のAPAOの例は、Rextac(Rexene LLC)、EastoflexおよびAerafin(Eastman Corpoartion)およびVestoplast(Evonic Corporation)である。
【0033】
本発明によるホットメルト接着剤は、必要に応じて様々な他の添加剤を含み得る。そのような添加剤の例には、安定剤、ワックス、または微粒子充填剤などが含まれ得る。
【0034】
安定剤は、ホットメルト接着剤の安定性を高め、熱によるホットメルト接着剤の分子量の減少を防止するため、またはゲル化を促進する、着色を加える、または臭気などを防止するために混合される物質であって、本発明によるホットメルト接着剤の目的が達成される限り、特に限定されない。安定剤はまた、例えば、抗酸化剤または紫外線吸収剤であり得る。
【0035】
酸化防止剤には、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄関連酸化防止剤、またはリン関連酸化防止剤が含まれ得る。紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール関連紫外線吸収剤、またはベンゾフェノン関連紫外線吸収剤を含み得る。ラクトン安定剤を加えることもできる。これらは、単独で使用することも、組み合わせて使用することもできる。市販の酸化防止剤の例には、ヒンダードフェノール、ホスファイト、チオジプロピオネート、および上記の混合物が含まれる。ヒンダードフェノールの典型的な市販例は、EverspringのEvernox 10GF/1726、BASFのIrganox 1010/1726、RianlonのThanox 1010G/1726である;亜リン酸塩の市販例には、EverspringのEverfos 168、BASFのIrgafos 168、RianlonのThanox168が含まれる;チオジプロピオネートの市販例には、RianlonのThanox 412S/DSTP、AdekaのADK AO 412S、SumitomoのSumilizer TP-Dが含まれる。
【0036】
ワックスは、ホットメルト接着剤に一般的に使用されるものであり、本発明の目的によるホットメルト接着剤が得られる限り、特に限定されない。具体的には、これらには、例えば、フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス、パラフィンワックスまたはマイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス、またはヒマシワックスなどの天然ワックスが含まれ得る。フィッシャートロプシュワックスの典型的な市販例は、Sasol WaxのSasolwax H1、HoneywellのAC-400である; Marcus Oil CompanyのMC-400、Eastman ChemicalのEpolene C-18、HoneywellのAC-575P。
【0037】
本発明によるホットメルト接着剤は、粒子状充填剤をさらに含み得る。本発明の目的によるホットメルト接着剤が得られる限り、一般的に使用される任意の微粒子充填剤を制限なく使用できる。微粒子充填剤は、例えば、マイカ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、珪藻土、尿素樹脂、スチレン粒子、焼き粘土、デンプンなどを含み得る。その形態は球形であることが好ましく、寸法(球形の場合は直径)は特に限定されない。
【0038】
本発明によるホットメルト接着剤組成物は、一般に知られているホットメルト接着剤の製造方法を使用して、スチレンブロックコポリマー、粘着付与剤、可塑剤、ならびに必要に応じて他の添加剤を混合することによって製造できる。例えば、製造は、前述の成分を所定の量でブレンドし、それらを加熱することにより溶融することによって行うことができる。各成分の添加順序、加熱方法等は、目的に応じたホットメルト接着剤組成物が得られる限り、特に限定されない。
【0039】
好ましい実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、以下を含む。
(1) 飽和ミッドブロック、少なくとも25g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローレートおよび10重量%以下のジブロック含有量を有するスチレンブロックコポリマー20重量%~28重量%、
(2) 粘着付与剤45重量%~62重量%、
(3) 可塑剤15重量%~20重量%、および
(4) ポリオレフィン0重量%~5重量%、
ここで、成分重量比は、ホットメルト接着剤組成物の総重量に基づく。
【0040】
一実施形態では、本発明によるホットメルト組成物は、140℃で4,000センチポアズ(cPs)以下、好ましくは3,500cPs以下の溶融粘度を有する。
【0041】
別の実施形態では、本発明によるホットメルト組成物は、60℃以上、好ましくは70℃以上の軟化点を有する。
【0042】
さらに別の実施形態では、本発明のホットメルト接着剤組成物は、硬化時に2.3未満の臭気スコアを有する。いくつかの実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、硬化時に2.2以下の臭気スコアを有する。試験方法は、本出願の実施例のセクションに詳述されている。
【0043】
さらに別の実施形態では、本発明によるホットメルト組成物は、コーティング重量は50gsm(グラム/平方メートル)で、10N/インチ以上のポリエチレンプレートへの剥離強度を有する。試験方法は以下のとおりである。50gsmのホットメルト接着剤組成物をPETフィルム上にコーティングし、剥離フィルムで覆った。積層サンプルを24時間室温まで冷却した。次に、剥離フィルムを剥がし、ホットメルト接着剤組成物をPEプレートに接着し、2kgのローラーで300mm/分の速度で前後に積層した。積層サンプルを30分間滞留させ、次に180°剥離強度を、Instron 3365引張強度試験機で50mm/分の速度で試験した。
【0044】
さらに別の実施形態では、本発明によるホットメルト組成物は、2gsmのコーティング重量で、0.6N/インチ以上のサミットスプレーによるポリエチレンフィルムへの剥離強度を有する。コーティング温度は、溶融粘度が約2500cPsになるポイントに設定された。ホットメルトは、溶融粘度が約2500 cPsである特定の温度で、「サミット」ノズルから基材にスプレーされた。次いで、基材を1秒以内に100m /分の機械速度で別の基材上に積層した。
【0045】
本発明のホットメルト接着剤の組成は、固体成分の混合物を高温、例えば130℃以上で混合することによって得ることができ、その結果、固体を溶融して完全に混合し、次に他の成分と均質化できる。当技術分野で知られている任意の実行可能な混合方法を採用して、均質な混合物を調製できる。
【0046】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、乳児用おむつ、女性用ナプキン、および成人用失禁用品を含む使い捨て吸収性製品の用途に使用できる。ホットメルト接着剤の塗布装置は、ノードソン、ITW、ダイナテックなどによって提供される。通常、塗布装置は、溶融タンク、ホース、および塗布ヘッドで構成される。ホットメルト接着剤は、130℃などの特定の温度に設定されたタンクで事前に溶融されて液体になり、ホースによってヘッドに転写され、最後に高圧熱風または直接スロットの助けを借りてスプレーコートされ、又は基材上に直接スロットコートされて、ホットメルト接着剤組成物の硬化生成物を得る。そのような用途の好ましい例は、サミットスプレーである。
【0047】
この用途に利用できる基材は、不織布、PEフィルム、弾性フィルム、ライクラ弾性ストランド、ティッシュなどが含まれるが、これらに限定されない。ラミネーションには、不織布へのPE結合、PE/不織布へのティッシュ結合、PE/不織布へのライクラ弾性ストランド結合が含まれる。
【0048】
以下の実施例は、当業者が本発明をよりよく理解し、実施するのを支援することを意図している。本発明の範囲は、実施例によって限定されず、添付の特許請求の範囲で定義される。特に明記されていない限り、すべての部とパーセンテージは重量に基づく。
【実施例
【0049】
以下の材料を実施例で使用した。
【0050】
LP 150は、韓国のKukdongから市販されている無色の粘性鉱油である。
【0051】
Evernox 10GF(ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート))およびEverfos 168GF(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)は、Everspringから市販されている酸化防止剤である。
【0052】
Sasolwax H1は、融点100℃のフィッシャートロプシュワックスで、Sasol Waxから市販されている。
【0053】
KRATON MD 1648は、190℃、2.16kgで30g/ 10分より大きいメルトフローレートを有し、スチレン含量20%、及びジブロック含有率が0%、KRATONから市販されている合成SEBSブロックコポリマーである。
【0054】
Kraton MD 1653は、190℃、2.16kgでメルトフローレートが20g/10min、スチレン含有量が30%、ジブロック含有量が0%の合成SEBSブロックコポリマーであり、Kratonから市販されている。
【0055】
G1652は、溶液粘度4200cps(25%、トルエン中)、スチレン含有量13%、ジブロック含有量30%の合成SEBSブロック共重合体で、Kratonから市販されている。
【0056】
Kraton D1162PTは、溶液粘度が120cps(25%、トルエン中)、スチレン含有量が44%、ジブロック含有量が0%の合成SISブロックコポリマーであり、Kratonから市販されている。
【0057】
Taipol 4230は、溶液粘度500cps(25%、トルエン中)、スチレン含有量37.5%、ジブロック含有量0%の合成SBSブロックコポリマーであり、TSRCから市販されている。
【0058】
SU 100は、軟化点が100℃の水素化DCPD脂肪族石油粘着付与剤で、Kolonから市販されている。
【0059】
SU 90は、軟化点が90℃の水素化DCPD脂肪族石油粘着付与剤で、Kolonから市販されている。
【0060】
Aerafin 17は、190℃で溶融粘度が1700 cPsのプロピレンベースのオレフィンポリマーであり、Eastmanから市販されている。
【0061】
実施例1 (Ex 1)
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を17g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1648 を20g、SU 90を62g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで、混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0062】
実施例2
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を20 g、Evernox 10GFを0.5 g、Everfos 168GFを0.5 g、Sasolwax H1を1 g、Kraton MD 1648を20 g、SU 100を 58 g、加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0063】
実施例3
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1648 を23g、SU 100を58g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0064】
実施例4
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1648を28g、SU 100を53g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0065】
実施例5
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1648を33g、SU 100を48g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0066】
実施例6
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1648を20g、SU 90を61g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0067】
比較例1(CE 1)
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1648を33g、SU 100を48g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0068】
比較例2
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1648を38g、SU 100を43g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0069】
比較例3
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1653を23g、SU 100を58g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0070】
比較例5
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton D1162PTを23g、SU 100を58gを加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0071】
比較例7
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を18g、Evernox 10GFを0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Taipol 4230を23g、SU 100を58g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0072】
比較例8
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を25 g、Evernox 10GFを0.5 g、Everfos 168GFを0.5 g、Kraton MD 1648を15 g、SU 100を59 g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0073】
比較例9
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を17g、Evernox 10GF を0.5g、Everfos 168GFを0.5g、Kraton MD 1648 を19g、SU 100を63g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0074】
比較例10
160℃に予熱した金属ミキサーに、LP 150を20 g、Evernox 10GFを0.5 g、Everfos 168GFを0.5 g、Kraton MD 1648を18 g、Aerafin 17を12 g、SU 100を49g加えた。サンプルを酸化から保護し、また気泡を除去するために、真空システムで均一になるまで混合物を120分間撹拌した。得られたホットメルト接着剤組成物は、160℃で淡色の液体であり、剥離フィルム上に注ぎ出され、冷却されて固体になることができた。
【0075】
性能評価

溶融粘度
本発明のホットメルト接着剤組成物の溶融粘度は、ASTM D1084-1997に従って、140℃でスピンドルを備えたブルックフィールド回転粘度計(デジタルブルックフィールド粘度計、DV-II+、米国、BROOKFIELDから入手可能)を使用することによって測定された。
【0076】
臭気
ホットメルト接着剤組成物の硬化生成物の臭気を以下のように測定した。100グラムのホットメルト接着剤組成物を秤量し、その組成物を250mlのガラス瓶に入れた。ガラス瓶をアルミホイルで覆い、ガラス瓶を160℃で2時間加熱した。ガラス瓶を取り出し、ガラス瓶を25℃に冷却した。ガラス瓶を70°Cに1時間再加熱した。ガラス瓶を取り出し、ガラス瓶を25℃に冷却した。
【0077】
5人の試験パネルメンバーのグループを編成した。試験パネルメンバーは、喫煙や飲酒の習慣がない状態で選ばれた。試験パネルメンバーには、上記の方法で調製した同一のホットメルト接着剤を含むガラス瓶を与えた。試験パネルメンバーはアルミホイルを取り除き、ガラス瓶の開口部から5cmの距離でガラス瓶から臭いを嗅いだ。各試験パネルメンバーは、ガラス瓶からの臭気のスコアを個別に割り当てた。5人の試験パネルメンバーの平均スコアを、ホットメルト接着剤の臭気スコアとした。
【0078】
試験パネルメンバーがホットメルト接着剤にスコアを割り当てるための基準は次のとおりである。
【0079】
臭気のないホットメルト接着剤をスコア1で割り当てた。
わずかではあるが検出可能な臭気のあるホットメルト接着剤にスコア2を割り当てた。
多少の臭気はあるが強くはないホットメルト接着剤には、スコア3を割り当てた。
臭気の強いホットメルト接着剤にスコア4を割り当てた。
刺激臭のあるホットメルト接着剤にスコア5を割り当てた。
【0080】
PEプレートへの接着の剥離強度
各ホットメルト接着剤組成物50gsmをPETフィルム上にコーティングして、剥離フィルムで覆われた滑らかなホットメルトフィルムを形成した。各サンプルを24時間室温まで冷却した。次に、剥離フィルムを剥がし、ホットメルト接着剤層をきれいなポリエチレンプレートに接着し、2kgのローラーで300mm/分の速度で前後に積層した。積層サンプルを30分間滞留させた後、180°での剥離強度をInstron 3365引張強度試験機で50mm/分の速度で試験した。
【0081】
PEフィルムと親水性不織布の剥離強度
PEシート(Foshan Landi製の厚さ18gsmの通気性キャストフィルム)と親水性不織布シート(Nanliu Corporation製の厚さ25gsmの熱風不織布2AT-25)を一緒に接着し、130~160℃のサミットノズルヘッドを介して2gsmで2枚のシートの間にホットメルト接着剤組成物を塗布することにより、ラミネートサンプルを形成した。いわゆるサミットノズルには、接着剤組成物を噴霧するための小さな穴がある。熱風は、接着剤組成物と同じ方向に出て、接着剤組成物を取り囲み、接着剤組成物がばねの形状のような円形パターンに噴霧されるのを助けた。熱風が高速のため、接着剤組成物の幅は非常に薄かった。サミットパターンの溶融タンク、ホース、ノズルを含むスプレーシステム全体は、NortsonCorpによって提供され得る。PEシートと親水性不織布シートを、Instron 3365引張強度試験機を使用して、180°の角度で、300mm/分の速度で互いに剥離した。剥離強度は25℃、相対湿度50%で行った。ホットメルト接着剤組成物を塗布してから少なくとも24時間後に、ラミネートサンプルに剥離強度を行った。PEシートと親水性不織布シートを10cm離して引っ張り、その力を、使い捨て吸収物品のトップシートとして一般的に使用される、PEと親水性不織布を接着するためのホットメルト接着剤組成物の剥離強度として記録した。
【0082】
PEフィルムと疎水性不織布の剥離強度
PEシート(Foshan Landi製の厚さ18gsmの通気性キャストフィルム)と疎水性不織布シート(JOFO Nonwoven Ltd.製の厚さ15gsmのSS不織布)を、130~160℃のサミットノズルヘッドを介して2gsmで2枚のシートの間にホットメルト接着剤を塗布することにより一緒に接着して、ラミネートサンプルを形成した。PEシートと疎水性不織布シートを、Instron 3365引張強度試験機を使用して、180°の角度で、300mm/分の速度で互いに剥離した。剥離強度は25℃、相対湿度50%で行った。ホットメルト接着剤組成物を塗布してから少なくとも24時間後に、ラミネートサンプルに剥離強度を行った。PEシートと不織布疎水性布シートを10cm離して引っ張り、その力を、使い捨て吸収物品のバックシートとして一般的に使用される、PEと不織布疎水性布を接着するためのホットメルト接着剤組成物の剥離強度として記録した。
【0083】
本発明および比較のホットメルト接着剤組成物に関する性能評価の試験結果を、それぞれ表1および2に示す。
【0084】
【0085】
【0086】
表1および2に示すように、本発明のホットメルト接着剤組成物は、優れた溶融粘度、軟化点、臭気および剥離強度を含む特性プロファイルを示した。本発明による実施例と比較して、より多量のSEBSブロックコポリマー(CE 1および2)、より高いメルトインデックスを有するSEBSブロックコポリマー(CE 3)、より高いジブロック含有量を有するSEBSブロックコポリマー(CE 4)、SISブロックコポリマーのみ(CE 5および6)、SBSブロックコポリマーのみ(CE 7)、より少量のSEBSブロックコポリマー(CE 8)、より多量の粘着付与剤(CE 9)、SEBSブロックコポリマーに加えてより多量のポリオレフィン(CE 10)を含む比較組成物は、所望の特性の少なくとも1つを達成できなかった。
【国際調査報告】