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特表2022-512852He孔着火/アーク放電を防止する特徴を有する高出力静電チャック
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  • 特表-He孔着火/アーク放電を防止する特徴を有する高出力静電チャック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(54)【発明の名称】He孔着火/アーク放電を防止する特徴を有する高出力静電チャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220131BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H05H1/46 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523336
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 US2019058626
(87)【国際公開番号】W WO2020092412
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】62/754,308
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マチュシュキン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】コメンダント・キース
(72)【発明者】
【氏名】アーリック・ダレル
(72)【発明者】
【氏名】サミュロン・エリック
【テーマコード(参考)】
2G084
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB07
2G084FF06
2G084FF31
5F131AA02
5F131BA19
5F131CA04
5F131EA03
5F131EB12
5F131EB13
5F131EB16
5F131EB82
5F131EB84
(57)【要約】
プラズマ処理チャンバ内の静電チャック内にヘリウムライン用火花抑制装置を提供する。火花抑制装置は、ヘリウムライン内に誘電体多管腔プラグを備え、誘電体多管腔プラグは、複数の管腔を備え、複数の管腔は、合わせて30~100,000の間の管腔になり、1ミクロン~200ミクロンの間の幅を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバ内における静電チャック内のヘリウムライン用火花抑制装置であって、前記ヘリウムライン内に誘電体多管腔プラグを備え、前記誘電体多管腔プラグは、複数の管腔を有し、前記複数の管腔は、合わせて30~100,000の間の管腔であり、1ミクロン~200ミクロンの間の幅を有する、火花抑制装置。
【請求項2】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、さらに、前記誘電体多管腔プラグの第1の側に第1のプレナムを備え、前記誘電体多管腔プラグの第2の側に第2のプレナムを備え、前記第2の側は前記第1の側の反対側であり、前記複数の管腔は前記第1のプレナムから前記第2のプレナムまで延伸する火花抑制装置。
【請求項3】
請求項2に記載の火花抑制装置であって、前記ヘリウムラインは前記誘電体多管腔プラグの前記第1の側に第1の部分を有し、前記誘電体多管腔プラグの前記第2の側に第2の部分を有し、前記複数の管腔は前記ヘリウムラインの前記第1の部分と前記ヘリウムラインの前記第2の部分の間の直線に沿って配置されていない、火花抑制装置。
【請求項4】
請求項3に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは前記ヘリウムラインの前記第1の部分と前記ヘリウムラインの前記第2の部分の間に固体状コアをさらに備え、前記複数の管腔は前記固体状コアを取り囲む、火花抑制装置。
【請求項5】
請求項2に記載の火花抑制装置であって、さらに、前記誘電体多管腔プラグから前記第2のプレナムの前記第2のプレナムの反対側に間隔を置いて配置されている、前記第2のプレナムに近接する誘電体プラグを備える、火花抑制装置。
【請求項6】
請求項5に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体プラグは、多孔性誘電体プラグである、または前記誘電体プラグを通って延伸する複数の管腔を備える、火花抑制装置。
【請求項7】
請求項2に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、前記第1のプレナムおよび前記第2のプレナムのうち少なくとも一方の中に延伸する、火花抑制装置。
【請求項8】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは誘電体セラミックプラグである、火花抑制装置。
【請求項9】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、前記静電チャックに接合されている、火花抑制装置。
【請求項10】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグはT字形であり、T字形キャビティ内に搭載され、前記T字形キャビティの最下部まで延伸しない、火花抑制装置。
【請求項11】
請求項10に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、さらに、前記誘電体多管腔プラグ内部に第1のプレナムを備え、前記複数の管腔は、前記第1のプレナムから前記誘電体多管腔プラグの表面まで延伸する、火花抑制装置。
【請求項12】
請求項11に記載の火花抑制装置であって、さらに、前記複数の管腔が延伸する前記誘電体多管腔プラグの前記表面に近接する第2のプレナムを備える、火花抑制装置。
【請求項13】
請求項10に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグの最上部は、前記T字形キャビティの最上部に接合され、さらに、前記T字形キャビティの前記最上部の下方に、前記T字形キャビティと前記誘電体多管腔プラグの間にギャップを備える、火花抑制装置。
【請求項14】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記静電チャックは、ベースプレート、セラミックプレート、および前記ベースプレートと前記セラミックプレートの間の接合層を備え、前記火花抑制装置は、前記ベースプレートと前記セラミックプレートの間に第1のプレナムをさらに備え、前記第1のプレナムは、前記誘電体多管腔プラグに近接し、前記複数の管腔は、前記第1のプレナムまで延伸する、火花抑制装置。
【請求項15】
請求項14に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは前記ベースプレートまたは前記セラミックプレートに接合されている、火花抑制装置。
【請求項16】
請求項14に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、前記セラミックプレートに接合され、前記火花抑制装置は、さらに、前記第1のプレナムと反対側にある前記誘電体多管腔プラグの側に第2のプレナムを備え、前記複数の管腔は、前記第1のプレナムから前記第2のプレナムまで延伸する、火花抑制装置。
【請求項17】
請求項16に記載の火花抑制装置であって、さらに、
前記誘電体多管腔プラグと反対側にある前記第1のプレナムの側にある誘電体プラグと、
前記第1のプレナムの反対側にある前記誘電体プラグの側にある第3のプレナムと、を備え前記誘電体プラグは前記第1のプレナムから前記第3のプレナムまで延伸している複数の管腔を備える、
火花抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に事実上組み込まれる、2018年11月1日に提出された米国特許出願公開第62/754,308号明細書の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、基板を処理するための装置に関する。より具体的には、本開示は、基板を処理するプラズマ用装置に関する。
【背景技術】
【0003】
さまざまなプラズマ処理チャンバでは、温度制御を提供するために静電チャック(electrostatic chuck、ESC)上で基板の裏側にヘリウム(He)を流す。プラズマを形成するために使用する無線周波数(radio frequency、RF)電力は、プラズマ形成に関連する高電圧に起因してESCキャビティ内で2次プラズマ着火の原因となることがある。着火は、表面間で高い電位差を伴う任意の2つの表面間でアーク放電を促進する。そのようなアーク放電は、ESCに損傷を引き起こす。
【発明の概要】
【0004】
前述を達成するために、本開示の目的によれば、プラズマ処理チャンバ内の静電チャック内にヘリウムライン用火花抑制装置を提供する。火花抑制装置は、複数の管腔を備える誘電体多管腔プラグをヘリウムライン内に備え、複数の管腔は、合わせて30~100,000の間の管腔になり、1ミクロン~200ミクロンの間の幅を有する。
【0005】
本開示のこれらの特徴および他の特徴について以下の図と併せて詳細な記述で、以下でより詳細に記述する。
【0006】
本出願は、添付図面の図で限定するためではなく例として示され、添付図面では、同様の参照番号は類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ある実施形態で使用してよい静電チャック(ESC)の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0008】
図2】別の実施形態で使用してよいESCの一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0009】
図3】別の実施形態で使用してよいESCの一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0010】
図4】別の実施形態で使用してよいESCの一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0011】
図5】別の実施形態で使用してよいESCの一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0012】
図6】別の実施形態で使用してよいESCの一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0013】
図7】別の実施形態で使用してよいESCの一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0014】
図8】別の実施形態で使用してよいESCの一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0015】
図9】別の実施形態で使用してよいESCの一部での火花抑制装置の概略横断面図である。
【0016】
図10】ある実施形態で使用してよい処理チャンバの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面に例示するような本発明のいくつかの実施形態を参照して本開示について詳細に記述する。以下の記述では、本開示を十分に理解できるようにするために、数多くの具体的な詳細について示す。しかしながら、これらの具体的な詳細の一部またはすべてなしに本開示を実施してよいことは当業者に明らかであろう。他の実例では、本開示を不必要に不明瞭にしないために、周知の処理ステップおよび/または構造について詳細に記述していない。
【0018】
最近の半導体製造処理は、非常に高いRF電力プラズマを必要とする。RF電力を増大させることは、静電チャック(ESC-ウエハサセプタ)に加えるRF電流およびRF総電圧が増大する原因となる。同時に、最近のプラズマエッチング処理は、これまで必要であったよりも著しく低いRF周波数(たとえば、2MHz、400kHz、またはそれ以下)を必要とする。低いRF周波数は、ESCセラミック全体にわたり加えるRF電圧がさらに増大する原因となる。セラミック全体にわたり加える高電圧は、ウエハとベースプレートの間の放電(アーク放電)、またはガス供給孔内の伝熱ガス(たとえば、He)の点火(着火)の原因となることがある。ESCのアーク放電は、通常はウエハ破壊を伴う部分の破局的破壊、他のチャンバ構成要素を損傷する可能性、および製造処理中断の原因となる。伝熱ガス着火の場合、ESC破壊は、破局的となる、またはゆっくりと展開する可能性があり、半導体装置損傷を伴い多数のウエハに影響を及ぼし、製造処理のかなり後の工程でしか検出されない。いずれの場合もESC故障は、ウエハ製造および製造者の収入に著しい損失をもたらす。
【0019】
低電圧の用途では、セラミックプレート内の孔と対向して直線で見通せないようにする、ベースプレート内のセラミックスリーブと共に、セラミックプレート内の直線状の孔を使用することが一般的である。中低電圧の用途では、ベースプレート内のセラミックプレートは、多孔性プラグと置換され、セラミックスリーブよりも高い耐電圧を提供する。中電圧の用途では、ベースプレート内のスリーブに加えて、セラミックプレートの中に多孔性プラグを挿入する。破壊電圧をさらに改善するには、新しい解決手段を必要とする。
【0020】
ある実施形態は、He孔の中へ入る小さな(直径0.1マイクロメートル~100マイクロメートルの)開口部を伴う(セラミック材料、たとえばアルミナAl23または窒化アルミニウムAINから作られた)プラグを導入することにより、ESCアーク放電およびHe着火の問題に対する解決手段を提供する。プラグは、He孔の体積を区画に分けてより小さな微小体積にし、より小さな微小体積は、荷電粒子の衝突数を低減することにより着火確率を制限し、ウエハの裏側を冷却するために孔を通る、必要なHeの流れを確保しながら、最上部のセラミックプレート下方でウエハとチャックの金属部分の間を見通せないようにする。
【0021】
理解を容易にするために、図1は、ある実施形態で使用してよい静電チャック(ESC)100の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC100は、接合層112によりセラミックプレート108に接合されたベースプレート104を備える。この実施形態では、ベースプレート104は、導電性金属ベースプレート104、たとえばアルミニウムである。ベースプレート104は、He供給ライン孔116を有する。He供給ライン孔116の出力端部には、多孔性プラグ120がある。He供給ライン孔116は、多孔性プラグ120の第1の側にある。この実施形態では、多孔性プラグ120は、30%~50%の多孔度を有するセラミックアルミナまたは窒化アルミニウムからなる多孔性誘電体プラグである。この実施形態では、多孔性プラグ120は、供給ライン孔116の特性寸法(直径または幅)の3倍を超える3mm~10mmの直径を有する。この例では、多孔性プラグ120は、ベースプレート104の最上部表面まで延伸する。多孔性プラグ120は、さまざまな形状を有してよい、たとえば、図1に示すように直線状であってよい、または図6図7図8、または図9に示すようにT字形の外側包絡面を有してよい。
【0022】
多孔性プラグの第1の側と反対の位置にある、多孔性プラグ120の第2の側には、第1のプレナム124がある。多孔性プラグ120は、第1のプレナム124の第1の側にある。第1のプレナム124は、接合層112内に形成される。第1の側と反対の位置にある、第1のプレナム124の第2の側には、複数の小さな貫通孔およびセラミックプレート108を伴う、アルミナまたは窒化アルミニウムから作られた誘電体多管腔プラグ128がある。この実施形態では、誘電体多管腔プラグ128は、セラミックプレート108に接合されている。この例では、誘電体多管腔プラグ128は、50~100,000の管腔を有する誘電体プラグであり、この場合、各管腔は、1ミクロン~200ミクロンの間の直径を有する。管腔は、第1のプレナム124に近接する、誘電体多管腔プラグ128の第1の側から、第1の側と反対の位置にある、誘電体多管腔プラグ128の第2の側まで延伸する。セラミックプレート108は、0.5mm~3mmの間の厚さを有する。誘電体多管腔プラグ128は、0.1mm~2.5mmの間の高さを有する。この実施形態では、管腔は、蜂の巣状の横断面を形成する直線状の円管である。管腔は、直線状であり、かつ誘電体多管腔プラグ128の端から端まで延伸するので、0.1mm~2.5mmの間の長さを有する。この実施形態では、誘電体多管腔プラグ128は、3mm~5mmの直径を有する。この実施形態では、誘電体多管腔プラグ128は、アルミナから作られる。
【0023】
第2のプレナム132は、誘電体多管腔プラグ128の第2の側にある。少なくとも1つのHe孔136は、第2のプレナム132からセラミックプレート108の表面まで延伸する。この例では、少なくとも1つのHe孔136は、0.02mm~0.3mmの間の直径を有する。この実施形態では、ESC100の他の部分は、他のHe供給ライン孔116、多孔性プラグ120、第1のプレナム124、誘電体多管腔プラグ128、第2のプレナム132、およびHe孔136を有する。セラミックプレート108の最上部表面で、少なくとも1つのHe孔136がより広くなるように示されているのは、より広い部分は、セラミックプレート108の最上部表面で複数のHe孔136の間で接続された溝またはチャネルの一部になってよいためである。He供給ライン孔116および少なくとも1つのHe孔136は、ヘリウムラインを形成し、そこでは、He供給ライン孔116は、Heラインの第1の部分であり、少なくとも1つのHe孔136は、Heラインの第2の部分である。第2のプレナムは、ある幅148を有する。第1のプレナム124は、ある幅を有する。第1のプレナム124の幅は、多孔性プラグ120の多孔性部分の直径とほぼ同じであり、第2のプレナム132の幅148は、誘電体多管腔プラグ128の直径の約80%であり、He供給ライン孔116の幅の少なくとも2倍である。
【0024】
この実施形態は、アーク放電を低減することが分かっている。その結果、ウエハへの損傷は低減されている。追加で利用時間/係数は改善されている。理論により制限されることなく、多数の管腔を提供することによりアーク放電が著しく低減され、十分なHeの流れを可能にすると考えられる。追加で、多孔性プラグ120は、導電性材料に到達するために電気が移動しなければならないパス長を増大させる。これにより、アーク放電はさらに低減される。
【0025】
図2は、別の実施形態で使用してよいESC200の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC200は、接合層212によりセラミックプレート208に接合されたベースプレート204を備える。この実施形態では、ベースプレート204は、導電性金属ベースプレート204、たとえばアルミニウムである。ベースプレート204は、He供給ライン孔216を有する。He供給ライン孔216の出力端部には、多孔性プラグ220がある。He供給ライン孔216は、多孔性プラグ220の第1の側にある。この実施形態では、多孔性プラグ220は、30%~50%の多孔度を有するセラミックアルミナまたは窒化アルミニウムである。この実施形態では、多孔性プラグ220は、3mm~10mmの直径を有する。この例では、多孔性プラグ220は、ベースプレート204の最上部表面まで延伸する。
【0026】
多孔性プラグ220の第1の側と反対の位置にある、多孔性プラグ220の第2の側には、第1のプレナム224がある。多孔性プラグ220は、第1のプレナム224の第1の側にある。第1のプレナム224は、接合層212内に形成される。第1の側と反対の位置にある、第1のプレナム224の第2の側には、複数の小さな貫通孔およびセラミックプレート208を伴う、アルミナまたは窒化アルミニウムから作られた誘電体多管腔プラグ228がある。この実施形態では、誘電体多管腔プラグ228は、中心に固体状コア230を有する。誘電体多管腔プラグ228は、セラミックプレート208に接合されている。この例では、誘電体多管腔プラグ228は、30~100,000の管腔を有し、この場合、各管腔は、1ミクロン~200ミクロンの間の直径を有する。管腔は、第1のプレナム224に近接する、誘電体多管腔プラグ228の第1の側から、第1の側と反対の位置にある、誘電体多管腔プラグ228の第2の側まで延伸する。
【0027】
第2のプレナム232は、誘電体多管腔プラグ228の第2の側にある。少なくとも1つのHe孔236は、第2のプレナム232からセラミックプレート208の表面まで延伸する。この例では、少なくとも1つのHe孔236は、0.05mm~0.3mmの間の直径を有する。この実施形態では、固体状コア230は、He孔のクラスタ(場所あたり1~6の孔)などの少なくとも1つのHe孔236の直径よりも大きな直径を有する。固体状コア230は、ある幅を有し、誘電体多管腔プラグ228の管腔を通してHe供給ライン孔216から少なくとも1つのHe孔236までのパスを見通せないようにするように位置決めされる。この実施形態では、Heの流れの見通しをさらに低減することにより、アーク放電がさらに低減される。He供給ライン孔216および少なくとも1つのHe孔236は、ヘリウムラインを形成し、そこでは、He供給ライン孔216は、Heラインの第1の部分であり、少なくとも1つのHe孔236は、Heラインの第2の部分である。
【0028】
図3は、別の実施形態で使用してよいESC300の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC300は、接合層312によりセラミックプレート308に接合されたベースプレート304を備える。この実施形態では、ベースプレート304は、導電性金属ベースプレート304、たとえばアルミニウムである。ベースプレート304は、He供給ライン孔316を有する。He供給ライン孔316の出力端部には、第1のプレナム318がある。He供給ライン孔316は、第1のプレナム318の第1の側にある。第1のプレナム318の第2の側には、複数の小さな貫通孔を伴う、アルミナまたは窒化アルミニウムから作られた第1の誘電体多管腔プラグ320の第1の側がある。この実施形態では、第1の誘電体多管腔プラグ320は、中心に固体状コア322を有する。第1の誘電体多管腔プラグ320は、ベースプレート304に接合されている。この例では、第1の誘電体多管腔プラグ320は、30~100,000の管腔を有し、この場合、各管腔は、1ミクロン~200ミクロンの間の直径を有する。管腔は、第1のプレナム318に近接する、第1の誘電体多管腔プラグ320の第1の側から、第1の側と反対の位置にある、第1の誘電体多管腔プラグ320の第2の側まで延伸する。この例では、第1の誘電体多管腔プラグ320は、ベースプレート304の最上部表面まで延伸する。
【0029】
第1の誘電体多管腔プラグ320の第1の側と反対の位置にある、第1の誘電体多管腔プラグ320の第2の側には、第2のプレナム324がある。第1の誘電体多管腔プラグ320は、第2のプレナム324の第1の側にある。第2のプレナム324は、接合層312内に形成される。第1の側と反対の位置にある、第2のプレナム324の第2の側には、複数の小さな貫通孔およびセラミックプレート308を伴う、アルミナまたは窒化アルミニウムから作られた第2の誘電体多管腔プラグ328がある。この実施形態では、第2の誘電体多管腔プラグ328は、中心に固体状コア330を有する。第2の誘電体多管腔プラグ328は、セラミックプレート308に接合されている。この例では、第2の誘電体多管腔プラグ328は、30~100,000の管腔を有し、この場合、各管腔は、1ミクロン~200ミクロンの間の直径を有する。管腔は、第2のプレナム324に近接する、第2の誘電体多管腔プラグ328の第1の側から、第1の側と反対の位置にある、第2の誘電体多管腔プラグ328の第2の側まで延伸する。
【0030】
第3のプレナム332は、第2の誘電体多管腔プラグ328の第2の側にある。少なくとも1つのHe孔336は、第3のプレナム332からセラミックプレート308の表面まで延伸する。この例では、少なくとも1つのHe孔336は、0.05mm~0.3mmの間の直径を有する。第2の誘電体多管腔プラグ328の固体状コア330は、少なくとも1つのHe孔336の直径よりも大きな直径を有する。第1の誘電体多管腔プラグ320の固体状コア322は、第2の誘電体多管腔プラグ328の固体状コア330の直径よりも大きく、かつHe供給ライン孔316の直径よりも大きな直径を有する。第1の誘電体多管腔プラグ320の固体状コア322,および第2の誘電体多管腔プラグ328の固体状コア330は、それぞれある幅を有し、第1の誘電体多管腔プラグ320および第2の誘電体多管腔プラグ328の管腔を通る、He供給ライン孔316から少なくとも1つのHe孔336までのパスを見通せないようにするように位置決めされる。管腔は、Heの流れを増大できるようにする。He供給ライン孔316および少なくとも1つのHe孔336は、ヘリウムラインを形成し、そこでは、He供給ライン孔316は、Heラインの第1の部分であり、少なくとも1つのHe孔336は、Heラインの第2の部分である。
【0031】
他の実施形態では、第1の誘電体多管腔プラグ320の固体状コア322、および/または第2の誘電体多管腔プラグ328の固体状コア330は、多数の管腔により置換されてよい。4つの組合せを提供してよい。固体状コアの幅はまた、追加の実施形態を加えるために変動してよい。
【0032】
図4は、別の実施形態で使用してよいESC400の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC400は、接合層412によりセラミックプレート408に接合されたベースプレート404を備える。この実施形態では、ベースプレート404は、導電性金属ベースプレート404である。ベースプレート404は、He供給ライン孔416を有する。He供給ライン孔416の出力端部には、第1のプレナム418がある。He供給ライン孔416は、第1のプレナム418の第1の側にある。第1のプレナム418の第2の側には、誘電体多管腔プラグ420の第1の側がある。この実施形態では、誘電体多管腔プラグ420は、中心に固体状コア422を有する。誘電体多管腔プラグ420は、ベースプレート404に接合されている。この例では、誘電体多管腔プラグ420は、30~100,000の管腔を有し、この場合、各管腔は、1ミクロン~200ミクロンの間の幅を有する。管腔は、第1のプレナム418に近接する、誘電体多管腔プラグ420の第1の側から、第1の側と反対の位置にある、誘電体多管腔プラグ420の第2の側まで延伸する。この例では、誘電体多管腔プラグ420は、ベースプレート404の表面まで延伸する。
【0033】
誘電体多管腔プラグ420の第1の側と反対の位置にある、誘電体多管腔プラグ420の第2の側には、接合層412内に配置された第2のプレナム424がある。誘電体多管腔プラグ420は、第2のプレナム424の第1の側にある。
【0034】
第1の側と反対の位置にある、第2のプレナム424の第2の側は、第2のプレナム424からセラミックプレート408の表面まで延伸する少なくとも1つのHe孔436がある。この例では、少なくとも1つのHe孔436は、0.03mm~0.3mmの間の直径を有する。誘電体多管腔プラグ420の固体状コア422は、ある幅を有し、He供給ライン孔416から、誘電体多管腔プラグ420の管腔を通る、より小さなHe孔のクラスタなどの少なくとも1つのHe孔436までのパスを見通せないようにするように位置決めされる。
【0035】
この実施形態は、単一プラグだけを使用する。ベースプレート404内に誘電体多管腔プラグ420を接合することにより、誘電体多管腔プラグ420は、より大きくてよく、単一プラグを可能にする。この実施形態では、セラミックプレート408は、0.5mm~1.5mmの間の厚さを有する。誘電体多管腔プラグ420は、1mmよりもはるかに大きな厚さを有する。たとえば、誘電体多管腔プラグ420は、2mm~10mmの間の厚さまたは高さ421を有する。この例では、固体状コア422は、1mm~2mmの直径を有する。He供給ライン孔416および少なくとも1つのHe孔436は、ヘリウムラインを形成し、そこでは、He供給ライン孔416は、Heラインの第1の部分であり、少なくとも1つのHe孔436は、Heラインの第2の部分である。
【0036】
図5は、別の実施形態で使用してよいESC500の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC500は、接合層512によりセラミックプレート508に接合されたベースプレート504を備える。この実施形態では、ベースプレート504は、導電性金属ベースプレート504、たとえばアルミニウムである。ベースプレート504は、He供給ライン孔516を有する。He供給ライン孔516の出力端部には、第1のプレナム518がある。He供給ライン孔516は、第1のプレナム518の第1の側にある。第1のプレナム518の第2の側には、第1の誘電体多管腔プラグ520の第1の側がある。この実施形態では、第1の誘電体多管腔プラグ520は、中心に固体状コア522を有する。第1の誘電体多管腔プラグ520は、ベースプレート504に接合されている。この例では、第1の誘電体多管腔プラグ520は、30~100,000の管腔を有し、この場合、各管腔は、1ミクロン~200ミクロンの間の直径を有する。管腔は、第1のプレナム518に近接する、第1の誘電体多管腔プラグ520の第1の側から、第1の側と反対の位置にある、第1の誘電体多管腔プラグ520の第2の側まで延伸する。この例では、第1の誘電体多管腔プラグ520は、ベースプレート504の表面まで延伸する。
【0037】
第1の誘電体多管腔プラグ520の第1の側と反対の位置にある、第1の誘電体多管腔プラグ520の第2の側には、第2のプレナム524がある。第1の誘電体多管腔プラグ520は、第2のプレナム524の第1の側にある。第2のプレナム524は、接合層512内に形成される。第1の側と反対の位置にある、第2のプレナム524の第2の側には、複数の小さな貫通孔およびセラミックプレート508を伴う、アルミナまたは窒化アルミニウムから作られた第2の誘電体多管腔プラグ528がある。この実施形態では、第2の誘電体多管腔プラグ528は、中心に固体状コア530を有する。第2の誘電体多管腔プラグ528は、セラミックプレート508に接合されている。この例では、第2の誘電体多管腔プラグ528は、30~100,000の管腔を有し、この場合、各管腔は、1ミクロン~200ミクロンの間の直径を有する。管腔は、第2のプレナム524に近接する、第2の誘電体多管腔プラグ528の第1の側から、第1の側と反対の位置にある、第2の誘電体多管腔プラグ528の第2の側まで延伸する。この実施形態では、第2の誘電体多管腔プラグ528は、第2のプレナム524の中に延伸する。第2の誘電体多管腔プラグ528の第1の側は、セラミックプレート508の表面を通過して、接合層512により画定される層または領域の中に延伸する。この実施形態では、第2の誘電体多管腔プラグ528は、第2のプレナム524の中に延伸して、ギャップ距離が約50%~80の、この具体的事例では0.01mm~0.25mmの間の張り出し部を形成する。この例では、ギャップ距離は、接合層512の厚さである。
【0038】
第3のプレナム532は、第2の誘電体多管腔プラグ528の第2の側にある。少なくとも1つのHe孔536は、第3のプレナム532からセラミックプレート508の表面まで延伸する。この例では、少なくとも1つのHe孔536は、0.2mm~0.3mmの間の直径を有する。第1の誘電体多管腔プラグ520の固体状コア522および第2の誘電体多管腔プラグ528の固体状コア530は、それぞれある幅を有し、第1の誘電体多管腔プラグ520および第2の誘電体多管腔プラグ528の管腔を通る、供給ライン孔516から少なくとも1つのHe孔536までのパスを見通せないように位置決めされる。管腔は、Heの流れを増大できるようにする。第2の誘電体多管腔プラグ528を第2のプレナム524の中に延伸させることにより、第2のプレナム524の高さは低減され、アーク放電はさらに低減される。
【0039】
図6は、別の実施形態で使用してよいESC600の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC600は、接合層612によりセラミックプレート608に接合されたベースプレート604を備える。この実施形態では、ベースプレート604は、導電性金属ベースプレート604、たとえばアルミニウムである。ベースプレート604は、He供給ライン孔616を有する。He供給ライン孔616の出力端部には、キャビティ618がある。この実施形態では、キャビティ618はT字形である。T字形キャビティ618を部分的に埋めるのは、誘電体多管腔プラグ620である。この実施形態では、誘電体多管腔プラグ620は、自身の中心を部分的に通り延伸する、2mm~10mmの直径を有する中央内腔622を有する。複数のHe通過孔623は、誘電体多管腔プラグ620内部で中央内腔622から第1のプレナム624まで延伸する。この実施形態では、第1のプレナム624は、1mm~10mmの間の直径および0.01mm~0.5mmの高さを有する。この実施形態では、30ミクロン~1mmの直径を有する、1~300の間のHe通過孔623が存在する。複数の管腔628は、第1のプレナム624から誘電体多管腔プラグ620の表面に近接する第2のプレナム632まで延伸する。この例では、誘電体多管腔プラグ620は、30~500の管腔628を有し、この場合、各管腔628は、30ミクロン~150ミクロンの間の直径を有する。同心円を形成するために、複数の管腔628を置いてよい。第1の側と反対の位置にある、第2のプレナム632の第2の側には、第2のプレナム632からセラミックプレート608の表面まで延伸する少なくとも1つのHe孔636がある。この例では、少なくとも1つのHe孔636は、0.2mm~0.3mmの間の直径を有する。He供給ライン孔616および少なくとも1つのHe孔636は、ヘリウムラインを形成し、そこでは、He供給ライン孔616は、Heラインの第1の部分であり、少なくとも1つのHe孔636は、Heラインの第2の部分である。
【0040】
He通過孔623および複数の管腔628は、誘電体多管腔プラグ620の最上部から誘電体多管腔プラグ620の最下部まで直線でまったく見通せないように配置される。たとえば、円形に配列された場合、He通過孔623による円の直径は、複数の管腔628により形成された円の直径と著しく異なる。この実施形態では、接合、またはセラミック積層、または他の処理により外部プラグ644に多管腔コア640を付着させて、誘電体多管腔プラグ620を形成する。図示するように、多管腔コア640を通過するように複数の管腔628を形成する。多管腔コア640の最下部を外部プラグ644内で中央キャビティの最上部から離して間隔を置いて配置して、第1のプレナム624を形成する空間を提供する。そのような構成は、誘電体多管腔プラグ620をより容易に形成できるようにする。誘電体多管腔プラグ620はT字形である。この実施形態では、T字形誘電体多管腔プラグ620の最上部は、ベースプレート604のT字形キャビティ618の最上部に接合されている。T字形誘電体多管腔プラグ620の最下部とT字形キャビティ618の間にギャップ652がある。この実施形態では、ギャップは0.1mm~1mmの間である。
【0041】
電荷は、T字形誘電体多管腔プラグ620の表面に沿って移動して、導電性ベースプレート604に到達してよい。ギャップ652は、少なくとも1つのHe孔636から第2のプレナム632、複数の管腔628、第1のプレナム624、複数のHe通過孔623、中央内腔622、および外部プラグ644の最下部の外部表面を通りベースプレート604に至る、より長い表面長を生み出す。表面長が増大することによりアーク放電は低減される。T字形誘電体多管腔プラグ620の最上部は、ガス漏れしないシールを用いてベースプレート604のT字形キャビティ618の最上部に接合されているので、ギャップ652はガス漏れせず、その結果、He供給ライン孔616から通過するHeは、中央内腔622、複数のHe通過孔623、第1のプレナム624、管腔628、第2のプレナム632を通りHe孔636まで流れる。この実施形態は、50kWを超えてアーク放電を防止することが分かっている。
【0042】
図7は、別の実施形態で使用してよいESC700の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC700は、接合層712によりセラミックプレート708に接合されたベースプレート704を備える。この実施形態では、ベースプレート704は、導電性金属ベースプレート704である。ベースプレート704は、He供給ライン孔716を有する。He供給ライン孔716の出力端部には、キャビティ718がある。この実施形態では、キャビティ718はT字形である。キャビティ718を部分的に埋めるのは、誘電体多管腔プラグ720である。この実施形態では、誘電体多管腔プラグ720は、自身の内部で自身の中心を部分的に通り第1のプレナム724まで延伸する、2mm~10mmの直径を有する中心内腔722を伴う中央コア740を有する。複数の管腔728は、第1のプレナム724から誘電体多管腔プラグ720の表面に近接する第2のプレナム732まで延伸する。この例では、誘電体多管腔プラグ720は、30~500の管腔728を有し、この場合、各管腔728は、1ミクロン~150ミクロンの間の直径を有する。同心円を形成するために、複数の管腔728を置いてよい。すべての管腔728は、誘電体多管腔プラグ720の最上部から誘電体多管腔プラグ720の最下部まで直線で見通すことを回避するように、中心内腔722から離して配置されなければならない。第1の側と反対の位置にある、第2のプレナム732の第2の側には、第2のプレナム732からセラミックプレート708の表面まで延伸する少なくとも1つのHe孔736がある。この例では、少なくとも1つのHe孔736は、0.02mm~0.3mmの間の直径を有する。He供給ライン孔716および少なくとも1つのHe孔736は、ヘリウムラインを形成し、そこでは、He供給ライン孔716は、Heラインの第1の部分であり、少なくとも1つのHe孔736は、Heラインの第2の部分である。
【0043】
複数の管腔728は、誘電体多管腔プラグ720の最上部から誘電体多管腔プラグ720の最下部まで直線でまったく見通せないように配置される。この実施形態では、外部プラグ744内で中央コア740を接合して、誘電体多管腔プラグ720を形成する。図示するように、外部プラグ744を通過するように管腔728を形成する。中央コア740の最上部表面を外部プラグ744内で中央キャビティの表面から離して間隔を置いて配置して、第1のプレナム724を形成する空間を提供する。そのような構成は、誘電体多管腔プラグ720をより容易に形成できるようにする。誘電体多管腔プラグ720はT字形である。この実施形態では、T字形誘電体多管腔プラグ720の最上部は、ベースプレート704のT字形キャビティ718の最上部に接合されている。前の実施形態で説明したように、アーク放電を低減するために、T字形誘電体多管腔プラグ720の最下部とT字形キャビティ718の間にギャップがある。この実施形態では、ギャップは0.1mm~1mmの間である。
【0044】
図8は、別の実施形態で使用してよいESC800の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC800は、接合層812によりセラミックプレート808に接合されたベースプレート804を備える。この実施形態では、ベースプレート804は、導電性金属ベースプレート804である。ベースプレート804は、He供給ライン孔816を有する。He供給ライン孔816の出力端部には、キャビティ818がある。この実施形態では、キャビティ818はT字形である。キャビティ818を部分的に埋めるのは、誘電体多管腔プラグ820である。この実施形態では、誘電体多管腔プラグ820は、中央コア840および外部プラグ844を備える。中央コア840と外部プラグの間には円筒状ギャップ822がある。中央コアは、外部プラグ844に付着したフランジを伴う上下逆のT字形を有する。Heが円筒状ギャップ822の中に容易に通過するように、中央コア840のフランジ内に多数の開口部または切り抜きがある。円筒状ギャップ822は、第1のプレナム824まで延伸する。図示するように、外部プラグ844を通過するように管腔828を形成する。中央コア840の最上部表面を外部プラグ844内で中央キャビティの表面から離して間隔を置いて配置して、第1のプレナム824を形成する空間を提供する。複数の管腔828は、第1のプレナム824から誘電体多管腔プラグ820の表面に近接する第2のプレナム832まで延伸する。この例では、誘電体多管腔プラグ820は、30~500の管腔828を有し、この場合、各管腔828は、1ミクロン~150ミクロンの間の直径を有する。同心円を形成するために、複数の管腔828を置いてよい。第1の側と反対の位置にある、第2のプレナム832の第2の側には、第2のプレナム832からセラミックプレート808の表面まで延伸する少なくとも1つのHe孔836がある。この例では、少なくとも1つのHe孔836は、0.2mm~0.3mmの間の直径を有する。中央コア840の最下部にあるスリット848は、ガスがHe供給ライン孔816から円筒状ギャップ822まで通過できるようにする。
【0045】
誘電体多管腔プラグ820はT字形である。この実施形態では、T字形誘電体多管腔プラグ820の最上部は、ベースプレート804のT字形キャビティ818の最上部に接合されている。アーク放電を低減するために、T字形誘電体多管腔プラグ820の最下部とT字形キャビティ818の間にギャップがある。この実施形態では、ギャップは0.1mm~1mmの間である。管腔828は、誘電体多管腔プラグ820の最上部から誘電体多管腔プラグ820の最下部まで直線で見通すのを回避するように、円筒状ギャップ822から離して配置される。
【0046】
図9は、別の実施形態で使用してよいESC900の一部での火花抑制装置の概略横断面図である。この実施形態では、ESC900は、接合層912によりセラミックプレート908に接合されたベースプレート904を備える。この実施形態では、ベースプレート904は、導電性金属ベースプレート904である。ベースプレート904は、He供給ライン孔916を有する。He供給ライン孔916の出力端部には、キャビティ918がある。この実施形態では、キャビティ918はT字形である。キャビティ918を部分的に埋めるのは、誘電体多管腔プラグ920である。円筒状溝922は、誘電体多管腔プラグ920内に形成され、誘電体多管腔プラグ920の最下部から誘電体多管腔プラグ920の最上部に向けて延伸する。円筒状溝922は、第1のプレナムを形成する。管腔928は、円筒状溝922から誘電体多管腔プラグ920の最上部まで、および誘電体多管腔プラグ920の表面に近接する第2のプレナム932まで通過するように形成される。この例では、誘電体多管腔プラグ920は、30~500の管腔928を有し、この場合、各管腔928は、1ミクロン~150ミクロンの間の直径を有する。同心円を形成するために、複数の管腔928を置いてよい。第1の側と反対の位置にある、第2のプレナム932の第2の側には、第2のプレナム932からセラミックプレート908の表面まで延伸する少なくとも1つのHe孔936がある。この例では、少なくとも1つのHe孔936は、0.02mm~0.3mmの間の直径を有する。He供給ライン孔916および少なくとも1つのHe孔936は、ヘリウムラインを形成し、そこでは、He供給ライン孔916は、Heラインの第1の部分であり、少なくとも1つのHe孔936は、Heラインの第2の部分である。
【0047】
誘電体多管腔プラグ920はT字形である。この実施形態では、T字形誘電体多管腔プラグ920の最上部は、ベースプレート904のT字形キャビティ918の最上部に接合されている。アーク放電を低減するために、T字形誘電体多管腔プラグ920の最下部とT字形キャビティ918の間にギャップがある。この実施形態では、ギャップは0.1mm~1mmの間である。
【0048】
他の実施形態は、異なる実施形態のさまざまな特徴の組合せが異なってよい。たとえば、図5に示す実施形態の第2の誘電体多管腔プラグ528および第3のプレナム532などの誘電体多管腔プラグは、図6図7図8、および図9に示す実施形態のセラミックプレート608、708、808、および908内に形成されてよい。
【0049】
図10は、半導体ウエハを処理するために使用してよい半導体処理チャンバ1000のある実施形態の概略図である。1つまたは複数の実施形態では、半導体処理チャンバ1000は、ガス注入口を提供するガス分配プレート1006と、チャンバ壁1052により封じ込められた、エッチングチャンバ1049内部の静電チャック(ESC)1008とを備える。エッチングチャンバ1049内部で、ESC1008の上にウエハ1003を位置決めする。ESC1008はウエハ支持物である。縁部リング1009は、ESC1008を取り囲む。ESC供給源1048は、ESC1008にバイアスを提供してよい。ガス供給源1010は、ガス分配プレート1006を通してエッチングチャンバ1049に接続される。ESCのHe供給源1050は、ESC1008に接続される。
【0050】
無線周波数(RF)供給源1030は、下部電極、上部外部電極1016、および上部内部電極にRF電力を提供する。この実施形態では、ESC1008は下部電極であり、ガス分配プレート1006は上部内部電極である。代表的な実施形態では、400キロヘルツ(kHz)、60メガヘルツ(MHz)、2MHz、13.56MHz、および/または27MHzの電源は、RF供給源1030およびESC供給源1048を構成する。この実施形態では、周波数ごとに1つの発生器が提供される。他の実施形態では、発生器は別個のRF供給源であってよい、または別個のRF発生器は異なる電極に接続されてよい。RF供給源および電極の他の配列を他の実施形態で使用してよい。他の実施形態では、電極は誘導コイルであってよい。
【0051】
コントローラ1035は、RF供給源1030、ESC供給源1048、排出ポンプ1020、およびガス供給源1010に制御可能に接続される。高流動ライナ1004は、エッチングチャンバ1049内部のライナである。高流動ライナ1004は、この実施形態ではCシュラウドであり、ガス供給源から得られるガスを閉じ込め、スロット1002を有する。高流動ライナ1004は、制御されたガス流がガス供給源1010から排出ポンプ1020まで通過できるようにする。
【0052】
処理中、Heガスは、熱伝達を提供するために、ESCのHe供給源1050からESC1008の裏側へ提供されてよい。RF供給源1030は、電力を提供して、プラズマを形成する。プラズマは、アーク放電の原因となることがある。アーク放電は、He供給源の方へ向けて通過して、ESC1008を損傷する可能性がある。上記の実施形態は、アーク放電を低減し、したがって、ESC1008の損傷を低減する。
【0053】
いくつかの実施形態に関して本開示について記述してきたが、本開示の範囲に入る変形形態、修正形態、置換形態、およびさまざまな代用均等物が存在する。また、本開示の方法および装置を実装する代替方法が多く存在することにも留意されたい。したがって、以下に添付する特許請求の範囲は、本開示の真の精神および範囲の中に入るようなそのようなすべての変形形態、修正形態、置換形態、およびさまざまな代用均等物を含むとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバ内における静電チャック内のウエハ裏側冷却ライン用火花抑制装置であって、前記ウエハ裏側冷却ライン内に誘電体多管腔プラグを備え、前記誘電体多管腔プラグは、複数の管腔を有し、前記ウエハ裏側冷却ラインは、前記誘電体多管腔プラグの第1の側に第1の部分を、および前記誘電体多管腔プラグの第2の側に第2の部分を有し、前記複数の管腔の中の管腔は、前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第1の部分と前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第2の部分の間の直線に沿って配置されていない、火花抑制装置。
【請求項2】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、さらに、前記誘電体多管腔プラグの第1の側に第1のプレナムを備え、前記誘電体多管腔プラグの第2の側に第2のプレナムを備え、前記第2の側は前記第1の側の反対側であり、前記複数の管腔は前記第1のプレナムから前記第2のプレナムまで延伸する火花抑制装置。
【請求項3】
請求項に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第1の部分と前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第2の部分の間に固体状コアをさらに備え、前記複数の管腔は前記固体状コアを取り囲む、火花抑制装置。
【請求項4】
請求項2に記載の火花抑制装置であって、さらに、前記誘電体多管腔プラグから前記第2のプレナムの反対側に間隔を置いて配置されている、前記第2のプレナムに近接する誘電体プラグを備える、火花抑制装置。
【請求項5】
請求項に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体プラグは、多孔性誘電体プラグである、または前記誘電体プラグを通って延伸する複数の管腔を備える、火花抑制装置。
【請求項6】
請求項2に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、前記第1のプレナムおよび前記第2のプレナムのうち少なくとも一方の中に延伸する、火花抑制装置。
【請求項7】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは誘電体セラミックプラグである、火花抑制装置。
【請求項8】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、前記静電チャックに接合されている、火花抑制装置。
【請求項9】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグはT字形であり、T字形キャビティ内に搭載され、前記T字形キャビティの最下部まで延伸しない、火花抑制装置。
【請求項10】
請求項に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、さらに、前記誘電体多管腔プラグ内部に第1のプレナムを備え、前記複数の管腔は、前記第1のプレナムから前記誘電体多管腔プラグの表面まで延伸する、火花抑制装置。
【請求項11】
請求項10に記載の火花抑制装置であって、さらに、前記複数の管腔が延伸する前記誘電体多管腔プラグの前記表面に近接する第2のプレナムを備える、火花抑制装置。
【請求項12】
請求項に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグの最上部は、前記T字形キャビティの最上部に接合され、さらに、前記T字形キャビティの前記最上部の下方に、前記T字形キャビティと前記誘電体多管腔プラグの間にギャップを備える、火花抑制装置。
【請求項13】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記静電チャックは、ベースプレート、セラミックプレート、および前記ベースプレートと前記セラミックプレートの間の接合層を備え、前記火花抑制装置は、前記ベースプレートと前記セラミックプレートの間に第1のプレナムをさらに備え、前記第1のプレナムは、前記誘電体多管腔プラグに近接し、前記複数の管腔は、前記第1のプレナムまで延伸する、火花抑制装置。
【請求項14】
請求項13に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは前記ベースプレートまたは前記セラミックプレートに接合されている、火花抑制装置。
【請求項15】
請求項13に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、前記セラミックプレートに接合され、前記火花抑制装置は、さらに、前記第1のプレナムと反対側にある前記誘電体多管腔プラグの側に第2のプレナムを備え、前記複数の管腔は、前記第1のプレナムから前記第2のプレナムまで延伸する、火花抑制装置。
【請求項16】
請求項15に記載の火花抑制装置であって、さらに、
前記誘電体多管腔プラグと反対側にある前記第1のプレナムの側にある誘電体プラグと、
前記第1のプレナムの反対側にある前記誘電体プラグの側にある第3のプレナムと、を備え前記誘電体プラグは前記第1のプレナムから前記第3のプレナムまで延伸している複数の管腔を備える、
火花抑制装置。
【請求項17】
請求項5に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体多管腔プラグは、前記誘電体多管腔プラグが張り出し部を形成するように、前記第1のプレナムの中に延伸する、火花抑制装置。
【請求項18】
請求項17に記載の火花抑制装置であって、前記第1のプレナムの中に延伸する前記誘電体多管腔プラグの端部は、前記誘電体多管腔プラグの前記端部と前記誘電体プラグの間に0.01mm~0.25mmの範囲のギャップを形成する、火花抑制装置。
【請求項19】
請求項4に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体プラグは、第2の複数の管腔を備え、前記第2の複数の管腔の中の管腔は、前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第1の部分と前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第2の部分の間の直線に沿って配置されていない、火花抑制装置。
【請求項20】
請求項19に記載の火花抑制装置であって、前記誘電体プラグは、前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第1の部分と前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第2の部分の間に固体状コアをさらに備え、前記複数の管腔は、前記固体状コアを取り囲む、火花抑制装置。
【請求項21】
請求項1に記載の火花抑制装置であって、前記複数の管腔は、合わせて30~100,000の範囲の管腔になり、合わせて1ミクロン~200ミクロンの幅を有する、火花抑制装置。
【請求項22】
プラズマ処理チャンバ内の電磁チャック内のウエハ裏側冷却ライン用火花抑制装置であって、前記ウエハ裏側冷却ライン内にT字形誘電体多管腔プラグを備え、前記T字形誘電体多管腔プラグは複数の管腔を備え、T字形誘電体多管腔プラグはT字形キャビティ内に搭載される、火花抑制装置。
【請求項23】
請求項22に記載の火花抑制装置であって、前記静電チャックは、ベースプレート、セラミックプレート、および前記ベースプレートと前記セラミックプレートとの間の接合層を備え、前記T字形誘電体多管腔プラグは、前記接合層から前記ベースプレートの中に延伸し、前記接合層に近接する第1の端部、および前記第1の端部から間離して間隔を置いて配置されている第2の端部を有し、前記第2の端部は、前記ベースプレートに接触しない、火花抑制装置。
【請求項24】
請求項23に記載の火花抑制装置であって、前記接合層は、前記T字形誘電体多管腔プラグの前記第1の端部が前記ベースプレートに接触する領域を覆う、火花抑制装置。
【請求項25】
請求項22に記載の火花抑制装置であって、前記ウエハ裏側冷却ラインは、前記T字形誘電体多管腔プラグの第1の側に第1の部分を、および前記T字形誘電体多管腔プラグの第2の側に第2の部分を有し、前記複数の管腔は、前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第1の部分と前記ウエハ裏側冷却ラインの前記第2の部分の間の直線に沿って配置されていない、火花抑制装置。
【請求項26】
請求項22に記載の火花抑制装置であって、前記複数の管腔は、合わせて30~100,000の間の範囲の管腔になり、合わせて1ミクロン~200ミクロンの幅を有する、火花抑制装置。
【請求項27】
請求項22に記載の火花抑制装置であって、前記T字形誘電体多管腔プラグの最上部は、前記T字形キャビティの最上部に接合され、前記T字形キャビティの前記最上部の下方に、前記T字形キャビティと前記T字形誘電体多管腔プラグの間にギャップをさらに備えている、火花抑制装置。
【国際調査報告】