(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】キャビティに覆い被さった膜を備えるデバイスを製作する方法
(51)【国際特許分類】
B81C 1/00 20060101AFI20220202BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B81C1/00
B81C3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532882
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 FR2019053039
(87)【国際公開番号】W WO2020128245
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
【住所又は居所原語表記】Parc Technologique des fontaines chemin Des Franques 38190 Bernin, France
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ギスレン, ブルーノ
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA17
3C081BA08
3C081BA21
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA55
3C081CA15
3C081CA20
3C081CA32
3C081DA03
3C081DA06
3C081DA08
3C081DA29
3C081EA41
(57)【要約】
本発明は、有用なキャビティに覆い被さった膜を含むデバイスを製作するプロセスに関し、このプロセスは、
主平面に延在しキャリア基板の第1の面に配置された表層を含む、一般的構造を用意するステップであって、前記キャリア基板は、表層の下において開口した基本キャビティと、各基本キャビティの境界を定める隔壁とを含み、前記隔壁は、キャリア基板の第1の面のすべて又は一部を形成する上面を有する、ステップと、
隣り合う基本キャビティの群を、前記基本キャビティの群の輪郭が主平面において有用なキャビティの輪郭に一致するように、画定するステップと、
有用なキャビティを形成するため、及び前記有用なキャビティの上に配置された表層を解放するために、基本キャビティの群の輪郭の内側に位置する隔壁を除去して、膜を形成するステップとを含む。
【選択図】
図5d
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有用なキャビティ(230)に覆い被さった膜(210)を含むデバイス(200)を製作するプロセスであって、前記プロセスは、
主平面(x、y)に延在しキャリア基板(20)の第1の面(21)に配置された表層(10)を含む、一般的構造(100)を用意するステップであって、前記キャリア基板(20)は、前記表層(10)の下において開口した複数の基本キャビティ(23)と、各基本キャビティ(23)の境界を定める複数の隔壁(24)とを含み、前記複数の隔壁(24)は、前記キャリア基板(20)の前記第1の面(21)のすべて又は一部を形成する上面を有する、ステップと、
隣り合う複数の基本キャビティ(23)の群(23g)を、前記複数の基本キャビティ(23)の群(23g)の輪郭が前記主平面(x、y)において前記有用なキャビティ(230)の輪郭に一致するように、画定するステップと、
前記有用なキャビティ(230)を形成するため、及び前記有用なキャビティ(230)の上に配置された前記表層(10)を解放するために、前記複数の基本キャビティ(23)の群(23g)の前記輪郭の内側に位置する前記複数の隔壁(24g)を除去して、前記膜(210)を形成するステップとを含む、製作するプロセス。
【請求項2】
前記複数の隔壁(24)が、前記複数の基本キャビティ(23)を互いから分離している、請求項1に記載の製作するプロセス。
【請求項3】
前記複数の隔壁(24)が、前記複数の基本キャビティ(23)間の連通を可能にする複数の隔壁の網目構造に従って前記主平面(x、y)において分布しており、各基本キャビティ(23)は、前記複数の隔壁の網目構造の基本パターン(23e)によって境界が定められている、請求項1に記載の製作するプロセス。
【請求項4】
前記一般的構造(100)を用意するステップが、
ドナー基板(1)を用意することと、
前記開口した複数の基本キャビティ(23)と、各基本キャビティ(23)の境界を定める前記複数の隔壁(24)とを含む前記キャリア基板(20)を用意することであって、前記複数の隔壁(24)の前記上面は前記キャリア基板(20)の前記第1の面(21)のすべて又は一部を形成する、用意することと、
前記キャリア基板(20)の前記第1の面(21)において前記ドナー基板(1)と前記キャリア基板(20)とを接合することと、
前記表層(10)を形成するように、前記ドナー基板(1)を薄化することとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の製作するプロセス。
【請求項5】
前記ドナー基板(1)を用意することが、前記ドナー基板(1)の第1の部分(3)であって、該部分は前記表層(10)を形成するように意図されている、第1の部分(3)と、前記ドナー基板(1)の第2の部分(4)であって、該部分は前記ドナー基板(1)の残部を形成するように意図されている、第2の部分(4)との間に位置する埋め込み脆弱領域(2)を形成するように、前記ドナー基板(1)に軽い種を注入することを含み、
前記ドナー基板(1)を薄化することが、前記埋め込み脆弱領域(2)によって、前記ドナー基板(1)の前記表層(10)を前記ドナー基板(1)の前記残部(4)から分離することを含む、請求項4に記載の製作するプロセス。
【請求項6】
前記ドナー基板(1)の前記第1の部分(3)が、0.2マイクロメートル(ミクロン)~2マイクロメートル(ミクロン)に含まれる厚さを有する、請求項5に記載の製作するプロセス。
【請求項7】
前記接合することが、一方では前記ドナー基板(1)と、他方では前記キャリア基板(20)の前記第1の面(21)とを分子付着によって結合することを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の製作するプロセス。
【請求項8】
前記複数の基本キャビティ(23)の群(23g)の前記輪郭の内側に位置する前記複数の隔壁(24g)を除去することが、前記表層(10)を貫通する少なくとも1つの開口部(13)を形成するための、前記表層(10)の局所エッチングと、前記開口部(13)を介した前記複数の隔壁(24g)の化学エッチングとを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製作するプロセス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの開口部(13)が、前記複数の隔壁(24g)と垂直に作られる、請求項8に記載の製作するプロセス。
【請求項10】
開口部(13)が、前記複数の基本キャビティの群(23g)の各基本キャビティ(23)と垂直に作られる、請求項8に記載の製作するプロセス。
【請求項11】
前記複数の基本キャビティ(23)の群(23g)の前記輪郭の内側に位置する前記複数の隔壁(24g)を除去することが、前記複数の基本キャビティ(23)の群(23g)の前記複数のキャビティ(23)のうちの1つに開口した少なくとも1つの開口部(13)を形成するための、前記キャリア基板(20)の第2の面(22)の局所エッチングと、前記開口部(13)を介した前記複数の隔壁(24g)の化学エッチングとを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製作するプロセス。
【請求項12】
前記複数の隔壁(24)が、シリコン酸化物、シリコン窒化物、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、又は多孔質シリコンから選択される少なくとも1種の材料を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の製作するプロセス。
【請求項13】
前記ドナー基板(1)が、少なくとも1種の半導体材料又は圧電材料を含む、請求項4~12のいずれか一項に記載の製作するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロニクス及びマイクロシステムの分野に関する。特に、本発明は、有用なキャビティに覆い被さった膜を備えるデバイスを製作するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSデバイス(MEMSは、microelectromechanical systems(微小電気機械システム)の頭字語である)は、多くの用途のための様々なセンサを製作するために広く使用されており、例えば、圧力センサ、マイクロホン、高周波スイッチ、電気音響トランスデューサ及び超音波トランスデューサ(例えば、圧電微細加工超音波トランスデューサ(pMUT:piezoelectric micromachined ultrasonic transducer))等に言及することができる。
【0003】
これらのMEMSデバイスの多くは、有用なキャビティに覆い被さった可撓性膜に基づいている。動作中、物理的パラメータ(例えばpMUTについては音波の伝播)に関連する膜の湾曲は、電気信号に変換される(又はデバイスがレシーバーモードにあるか、若しくはエミッターモードにあるかに応じて、逆もまた同様である)。
【0004】
実現されるデバイスの種類に応じて、各有用なキャビティの形状寸法(形状、側方寸法、深さ)、膜の形状寸法(厚さ)及びそれらの平面分布(キャビティ間距離)は異なるであろう。
【0005】
Lu Yipeng及びDavid A. Horsleyによる刊行物「Modeling, fabrication, and characterization of piezoelectric micromachined ultrasonic transducer arrays based on cavity SOI wafers.」(Journal of Microelectromechanical Systems 24.4(2015年)第1142~1149頁)は、埋め込まれた有用なキャビティを有するシリコンオンインシュレータ(SOI:silicon on insulator)基板からのpMUTデバイスの製作の例を示している。このプロセスは、基板に予め形成された有用なキャビティを活用して、使用する必要があるフォトリソグラフィマスクのレベルの数を制限している。
【0006】
このアプローチは魅力的であるが、音響デバイスの設計になされる尽力のうちの一部を基板の製造業者が負担しなければならないことを意味する。特に、基板の製造業者は、デバイスに必要とされるトポロジー(キャビティの形状寸法、キャビティ間間隔)に精密に一致する有用なキャビティを含む基板を設計し、製作することができなければならない。しかしながら、デバイストポロジーは、多くの場合、デバイス製造業者が一般に明かしたくない有益な機密情報である。
【0007】
加えて、基板製造業者は、各トポロジーに特有の基板製作プロセスを開発しなければならない。これを行うために必要とされる尽力は、デバイスの迅速で経済的な開発をより困難にする。
【0008】
従って、有用なキャビティに覆い被さった膜に基づく広範囲のデバイスを製作するために使用することができ、従って、デバイス毎に基板に特有な製作プロセスの特別な開発を必要としない基板を提供できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前述の目標を達成することにある。本発明の目的は、有用なキャビティに覆い被さった膜を備えるデバイスを製作するプロセスに関し、該プロセスは一般的基板の使用により簡素化される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有用なキャビティに覆い被さった膜を含むデバイスを製作するプロセスに関し、このプロセスは、
主平面に延在しキャリア基板の第1の面に配置された表層を含む、一般的構造(generic structure)を用意するステップであって、前記キャリア基板は、表層の下において開口した基本キャビティと、各基本キャビティの境界を定める隔壁とを含み、前記隔壁の上面は、キャリア基板の第1の面のすべて又は一部を形成する、ステップと、
隣り合う基本キャビティの群を、前記基本キャビティの群の輪郭が前記主平面において有用なキャビティの輪郭に一致するように、画定するステップと、
有用なキャビティを形成するため、及び前記有用なキャビティの上に配置された表層を解放するために、基本キャビティの群の輪郭の内側に位置する隔壁を除去して、膜を形成するステップとを含む。
【0011】
本発明の他の有利で限定されない特徴によれば、単独で又は任意の技術的に実現可能な組み合わせで、
隔壁は、基本キャビティを互いから分離している、
隔壁は、基本キャビティ間の連通を可能にする隔壁の網目構造(network)に従って主平面において分布しており、各基本キャビティは、隔壁の網目構造の基本パターンによって境界が定められている、
一般的構造を用意するステップは、
ドナー基板を用意することと、
開口した基本キャビティと、各基本キャビティの境界を定める隔壁とを含むキャリア基板を用意することであって、隔壁の上面はキャリア基板の第1の面のすべて又は一部を形成する、用意することと、
キャリア基板の第1の面においてドナー基板とキャリア基板とを接合することと、
表層を形成するように、ドナー基板を薄化することとを含む、
ドナー基板を用意することは、ドナー基板の第1の部分であって、該部分は表層を形成するように意図されている、第1の部分と、ドナー基板の第2の部分であって、該部分はドナー基板の残部を形成するように意図されている、第2の部分との間に位置する埋め込み脆弱領域を形成するように、前記ドナー基板に軽い種(light species)を注入することを含む、
ドナー基板を薄化することは、埋め込み脆弱領域によって、ドナー基板の表層をドナー基板の残部から分離することを含む、
ドナー基板の第1の部分は、0.2マイクロメートル(ミクロン)~2マイクロメートル(ミクロン)に含まれる厚さを有する、
接合することは、一方ではドナー基板と、他方ではキャリア基板の第1の面とを分子付着によって結合することを含む、
基本キャビティの群の輪郭の内側に位置する隔壁を除去することは、前記表層を貫通する少なくとも1つの開口部を形成するための、表層の局所エッチングと、前記開口部を介した前記隔壁の化学エッチングとを含む、
少なくとも1つの開口部は、隔壁と垂直に(plumb with)作られる、
開口部は、基本キャビティの群の各基本キャビティと垂直に作られる、
基本キャビティの群の輪郭の内側に位置する隔壁を除去することは、基本キャビティの群のキャビティのうちの1つに開口した少なくとも1つの開口部を形成するための、キャリア基板の第2の面の局所エッチングと、前記開口部を介した前記隔壁の化学エッチングとを含む、
隔壁は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、又は多孔質シリコンから選択される少なくとも1種の材料を含む、
ドナー基板は、少なくとも1種の半導体材料又は圧電材料を含む、
ことが挙げられる。
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。説明は、添付された図に関連して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1a】本発明による有用なキャビティ上に配置された膜を備えるデバイスを製作するプロセスを示す図である。
【
図1b】本発明による有用なキャビティ上に配置された膜を備えるデバイスを製作するプロセスを示す図である。
【
図1c】本発明による有用なキャビティ上に配置された膜を備えるデバイスを製作するプロセスを示す図である。
【
図1d】本発明による有用なキャビティ上に配置された膜を備えるデバイスを製作するプロセスを示す図である。
【
図1e】本発明による有用なキャビティ上に配置された膜を備えるデバイスを製作するプロセスを示す図である。
【
図1f】本発明による有用なキャビティ上に配置された膜を備えるデバイスを製作するプロセスを示す図である。
【
図2a】本発明による製作プロセスのステップを示す図である。
【
図2b】本発明による製作プロセスのステップを示す図である。
【
図3a】本発明による製作プロセスの他のステップを示す図である。
【
図3b】本発明による製作プロセスの他のステップを示す図である。
【
図3c】本発明による製作プロセスの他のステップを示す図である。
【
図4a】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4b】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4c】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4d】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4e】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4f】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4g】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4h】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4i】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図4j】本発明による製作プロセスの実施形態の実施例を示す図である。
【
図5a】本発明による製作プロセスのステップを示す図である。
【
図5b】本発明による製作プロセスのステップを示す図である。
【
図5c】本発明による製作プロセスのステップを示す図である。
【
図5d】本発明による製作プロセスのステップを示す図である。
【
図5e】本発明による製作プロセスのステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本説明では、図中の同一の参照符は同種の要素に使用され得る。図は、読みやすくするために正確な縮尺ではない概略図である。特に、z軸に沿った層の厚さは、x軸及びy軸に沿った側方寸法に対して正確な縮尺ではなく、また互いに対する層の相対的な厚さは、図において必ずしも重視されていない。
【0015】
本発明は、有用なキャビティ230に覆い被さった膜210を含むデバイス200を製作するプロセスに関する(
図1e及び
図1f)。例えば、前記デバイス200は、超音波トランスデューサ又は音響トランスデューサから成ることができる。
【0016】
本発明による製作プロセスは、第1に、主平面(x、y)に延在しキャリア基板20の第1の面21に配置された表層10を含む、一般的構造100を用意するステップを含む。キャリア基板20は、表層10の下において開口した基本キャビティ23と、主平面(x、y)に垂直であり、各基本キャビティ23の境界を定める隔壁24とを含んでいる(
図1a、
図5a)。隔壁24の上面は、キャリア基板20の第1の面21を少なくとも部分的に形成する。
【0017】
例として、限定されない方法で、隔壁24は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、又は多孔質シリコンからの少なくとも1種の材料を含む。
【0018】
第1の有利な実施形態によれば、隔壁24は、基本キャビティ23を互いから完全に分離している。
図1bの平面図に示すように、隔壁24は、各基本キャビティ23をその近隣のキャビティから分離することを可能にする、主平面(x、y)において格子状に配列された隔壁を有利に形成し、従って各基本キャビティ23の境界を定める。
【0019】
基本キャビティ23は、この場合、正方形として表されているが、これに代わって、基本キャビティ23は、矩形、円形、又は任意の他の幾何学的形状を有することができる。
【0020】
本発明の第2の実施形態によれば、基本キャビティ23は互いから分離されていない。隔壁24は、
図5bに示した例のように、隔壁24の網目構造に従って、主平面(x、y)において、優先的には均一な方法で、分布している。隔壁24のいずれも互いに接せず、それらの隔壁24は局所的な隔壁及び/又は支柱を形成する。この実施形態では、基本キャビティ23とは、隔壁24の網目構造の基本パターン23eの内側のキャビティを指す。
図5bの例では、基本パターン23eは、4つの隣り合う隔壁24によって想像上画定される正方形パターンに一致し、基本キャビティ23は、4つの隣り合う隔壁24によって境界を定められ、この基本パターン23eの内部領域に一致する。
【0021】
隔壁24の(主平面(x、Y)における)上面は、この場合、正方形として表されているが、前記上面は、矩形、円形、又は任意の他の幾何学的形状を有することができる。隔壁24はまた、格子状の網目構造又は別の均一な分布に従って分布することもできる。例として、限定されない方法で、主平面(x、y)における隔壁24の寸法は、約5マイクロメートル(ミクロン)、7マイクロメートル(ミクロン)、10マイクロメートル(ミクロン)、又は15マイクロメートル(ミクロン)とすることができる。
【0022】
次に、製造プロセスは、隣り合う基本キャビティ23の群23gを画定するためのステップを含み、隣り合う基本キャビティ23の群23gの外輪郭は、主平面(x、y)において有用なキャビティ230の輪郭に一致する(
図1c、
図5c)。もちろん、この場合、基本キャビティの少なくとも1つの群23gの定義が参照される。実際、100mm~300mmの直径を有したキャリア基板20から形成される一般的構造100の場合、複数の群23gが、主平面(x、y)において、決定された分布に従って画定されるであろう。
【0023】
この画定するステップは、意図されるデバイス200の種類に依存し、特に、主平面(x、y)における有用なキャビティ(複数可)230の必要とされる側方寸法に依存する。これらの側方寸法は、数十マイクロメートル(ミクロン)から数百マイクロメートル(ミクロン)まで、又は数ミリメートルまで変化し得る。画定するステップはまた、前記デバイス200に必要とされる有用なキャビティ間の間隔にも依存し、この間隔は、例えば、数十マイクロメートル(ミクロン)から数百マイクロメートル(ミクロン)まで、又は数ミリメートルまで変化し得る。
【0024】
この画定するステップ及び後のステップは、デバイス製造業者によって優先的に実施されることが可能であり、基板製造業者は一般的構造100を用意することのみを担当することに留意されたい。これに代わって、基板製造業者は、顧客の要求により、顧客によって設定された仕様に従って、画定するステップを実施することができる。
【0025】
次に、本発明による製作プロセスは、基本キャビティ23の群23gの輪郭の内側に位置する隔壁24を除去するステップを含み、前記隔壁は、以後、仮の隔壁24gと称する。
【0026】
仮の隔壁24gの除去は、基本キャビティの群23gの画定された領域において、前記表層10を貫通する少なくとも1つの開口部13を形成するための、表層10の局所エッチングを有利に含む(
図2a及び
図2b)。
【0027】
そのような局所エッチングは、フォトリソグラフィ及び乾式又は湿式化学エッチングによって行われ得る。特に、表層10の自由面12’に堆積されたマスク(図示せず)により、開口部13を形成するためにエッチングされる領域の境界を定め、自由表面12’の残部を保護することが可能となる。キャリア基板20上における基本キャビティ23及び隔壁24の形成中に、キャリア基板20の周囲、並びに/又はキャリア基板20の第1の面21及び/若しくはキャリア基板20の第2の面22においてレーンを切断するために設けられた領域に画定された位置合せマークにより、この除去するステップ中に、前記隔壁24及び埋め込みキャビティ23に対して正確な配置を達成することが可能となることに留意されたい。これらのマークはまた、デバイス200の有用なキャビティ(複数可)230に対して位置合せを必要とする後のステップに使用することができる。
【0028】
図2bに示した第1の変形例によれば、(少なくとも1つの)開口部13は、仮の隔壁24gと垂直に(plumb with)作られる。
【0029】
特に本発明の第1の実施形態に使用することができる第2の変形例によれば、開口部13は、(表示されていない)基本キャビティの群23gの基本キャビティ23のうちの少なくとも1つと垂直に形成される。
【0030】
前述の変形例について、例えば、真空雰囲気下又は制御雰囲気下で多結晶シリコンを堆積することにより、(少なくとも1つの)開口部13を再び埋めることができる。
【0031】
第3の変形例(表示せず)によれば、仮の隔壁24gを除去することは、キャリア基板20の第2の面22を基本キャビティ23の群23gのキャビティまで局所エッチングすることによって、少なくとも1つの開口部13を形成することを含み得る。第2の面22におけるそのようなエッチングは、特にキャリア基板20が、例えば、400、200、100、50マイクロメートル(ミクロン)以下に薄化される場合、MEMSデバイス200の製作の終わりに行われることが有利である。これにより、既知の化学エッチング技術を用いて到達できる開口部のエッチングされた厚さ/寸法の比の内にとどまりながら、小サイズの開口部13を生成することが可能となる。この変形例は、開口部13が膜を貫通するのを避けることにより、膜(基本キャビティ23の群23gと垂直に位置する表層10の部分)を完全なままとすることができることに留意されたい。
【0032】
記載した変形例のいずれにおいても、仮の隔壁24gを除去して(
図1d、
図5d)、(膜210を形成する)表層10を有用なキャビティ230全体にわたって解放するために、次に、開口部13を介して、隔壁24の材料を侵食するのに適した乾式又は湿式化学エッチングを行う。
【0033】
仮の隔壁24gを除去するためのステップが終わると、有用なキャビティ230に覆い被さった膜210を含むデバイス200(
図1e)が得られる。
【0034】
このデバイス200のための本発明による製作プロセスは、いわゆる一般的構造100の使用によって簡素化される。一般的構造100は、その開発中に有用なキャビティ230の形状寸法及び分布についての知識を必要としない。一般的構造100は、複数の基本キャビティ23と複数の隔壁24とを含み、隔壁24のうちの一部24gは、基本キャビティの1つ(又は複数)の群23gから画定された1つ(又は複数)の有用なキャビティ230を形成するために除去されることを意図されているので、隔壁24のうちの一部24gは仮のものである。
【0035】
一般的構造100が隔壁24によって互いから分離された基本キャビティ23を備える本発明の第1の実施形態では、仮の隔壁24gの除去後の有用なキャビティ230の上に位置する膜210は、その周囲全体にわたって隔壁24によって保持される(
図1d及び
図1e)。一般的構造100の隔壁24が基本キャビティ23を互いに分離しない本発明の第2の実施形態では、仮の隔壁24gの除去後の有用なキャビティ230の上に位置する膜210は、その周囲にわたって隔壁24によって局所的に保持される(
図5d及び
図5e)。意図されるデバイス200の種類に応じて、実施形態のいずれかを想定することができる。
【0036】
従って、一般的構造100は、基本キャビティ23の群23gから形成することができる有用なキャビティ230の様々なトポロジーに基づいて、多くのデバイス200を製作するために使用することができるという利点を有する。
【0037】
さらに、仮の隔壁24gを除去することによる有用なキャビティ230の開発は、材料、即ち低減された幅を有する隔壁、のわずかな除去のみを必要とし、これにより、エッチング時間が制限され、有用なキャビティ230について正確な寸法を達成することが可能となるという点で有利である。
【0038】
製作プロセスは(実施形態にかかわらず)また、表層10において、特に膜210において、及びそれらの周囲において、デバイス200を製作するための付加的なステップを含むこともできる。これらの付加的なステップは、各膜210の上に、例えば、電極220を画定し形成するために、フォトリソグラフィのステップ、エッチングのステップ、並びに絶縁層及び/又は導電層を堆積するステップをとりわけ含むことができる(
図1f)。
【0039】
これに代わって、(主平面(x、y)において)構造100全体にわたって前記下にある仮の隔壁24gの結果としての表層10の機械的強度を利用するために、これらの付加的なステップを、仮の隔壁24gを除去するためのステップの前に実施することができることに留意されたい。
【0040】
本発明を実施する有利なモードによれば、一般的構造100を用意するためのステップは、第1に、ドナー基板1を用意することを含む。ドナー基板1は、キャリア基板20に接合されるように意図された前面11と、背面12とを有する。例として、限定されない方法で、ドナー基板1は、少なくとも1種の半導体、例えばシリコン、シリコンカーバイド等、又は圧電材料、例えばタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等を含む可能性がある。
【0041】
第2に、一般的構造100を用意するためのステップは、ドナー基板1に接合されるように意図された第1の面21と、第2の面22とを含むキャリア基板20を用意することを含む。キャリア基板は、第1の面21において開口した基本キャビティ23と隔壁24とをさらに含み、隔壁24の上面は、第1の面21のすべて又は一部を形成する。
【0042】
限定されない例として、キャリア基板20は、シリコン、ガラス、サファイア、等を含むことができる。
【0043】
主平面(x、y)における基本キャビティ23の形状は、円形、正方形、矩形、又は多角形とすることができる。主平面(x、y)における基本キャビティ23の側方寸法は、50マイクロメートル(ミクロン)未満、又は25マイクロメートル(ミクロン)未満、又は10マイクロメートル(ミクロン)未満であることが有利である。隔壁24の幅に一致する基本キャビティ23間の間隔は、1マイクロメートル(ミクロン)から数十マイクロメートル(ミクロン)まで変化し得る。例として、限定されない方法で、隔壁24の幅は、約5マイクロメートル(ミクロン)、7マイクロメートル(ミクロン)、10マイクロメートル(ミクロン)又は15マイクロメートル(ミクロン)とすることができる。隔壁24の上面は、円形、正方形、矩形、又は多角形の形状を有することができる。
【0044】
主平面(x、y)に垂直なz軸に沿った基本キャビティ23の深さ(また隔壁24の高さに一致する)は、意図されるデバイス200に応じて、数十ナノメートルから数十マイクロメートル(ミクロン)まで、又は数百マイクロメートル(ミクロン)まで変化し得る。
【0045】
第3に、一般的構造100を用意するためのステップは、ドナー基板1の前面11とキャリア基板20の第1の面21とを接合することを含む。接合操作は、分子付着による直接結合(direct bonding)を優先的に含む。従来技術においてよく知られている分子付着の原理は、ここではさらに詳細に説明しない。接合される基板は、良質の接合を得るためには、非常に良好な表面仕上げ(清浄度、低粗度、等)を有していなければならないことに留意されたい。
【0046】
良質の接合を保証するためには、接合ステップは、ドナー基板1及びキャリア基板20の接合される表面を、前記表面を接触させる前に、清浄にすることを含むことが有利である。例として、マイクロエレクトロニクスにおいて用いられる従来のシーケンスは、特にシリコンベース基板について、オゾン洗浄、SC1洗浄(SC1はStandard Clean 1の頭字語である)、及びSC2洗浄(SC2はStandard Clean 2の頭字語である)を含み、中間の濯ぎを伴う。接合される表面はまた、前記表面間における高い結合エネルギーを促進するために、接触させる前に、例えばプラズマを使用して、活性化される可能性がある。
【0047】
任意選択で、ドナー基板1及び/又はキャリア基板20は、それらの界面の結合品質及び結合エネルギーを促進するために、前面11及び/又は第1の面21の上に結合層をそれぞれ備える可能性がある。
【0048】
第4に、一般的構造100を用意するためのステップは、表層10を形成するために、ドナー基板1の薄化を含む。
【0049】
実施のこの有利なモードの第1の変形例によれば、ドナー基板1の薄化は、ドナー基板1の背面12における、機械的研削、化学機械研磨、及び/又は化学エッチングによって行われる。薄化ステップが終わると、キャリア基板20上に配置され、薄化された自由面12’を有する表層10が得られる(
図1a)。
【0050】
この変形例によれば、表層10の厚さは、数マイクロメートル(ミクロン)~数十マイクロメートル(ミクロン)又は何百マイクロメートル(ミクロン)とすることができる。
【0051】
実施のこの有利なモードの第2の変形例によれば、薄化は、軽イオンの注入及び注入領域における剥離に基づくスマートカット(Smart Cut)(商標)プロセスを用いて行われる。
【0052】
よって、この第2の変形例によれば、ドナー基板1を用意する前述のステップは、ドナー基板1の第1の部分3であって、該部分は表層10を形成するように意図されている、第1の部分3と、ドナー基板1の第2の部分4であって、該部分はドナー基板の残部を形成するように意図されている、第2の部分4との間に位置する埋め込み脆弱領域2を形成するように、前記ドナー基板1に軽い種を注入することを含む(
図3a)。注入の前に、ドナー基板1の前面11に中間層5を配置することが優先的である。この中間層5は、保持されること、接合するステップの前に、除去されること、及び/又は結合層によって置き換えられることが可能である。
【0053】
第1の部分3の厚さ、及び従って将来の表層10の厚さは、軽い種(例えば、水素又はヘリウム)の注入エネルギーによって決まる。ドナー基板1の第1の部分3が、約0.2マイクロメートル(ミクロン)~2マイクロメートル(ミクロン)の厚さを有するように、注入エネルギーが選択されることが有利である。
【0054】
次に、ドナー基板1は、本プロセスの接合ステップに従ってキャリア基板20に接合される(
図3b)。
【0055】
さらにこの第2の変形例によれば、ドナー基板1を薄化するステップは、埋め込み脆弱領域2において、ドナー基板1の表層10(切り離された第1の部分3によって形成される)と残部4とを分離することを含む(
図3c)。この分離は、数百度~700℃に含まれる温度での熱処理中に行われることが好ましい。これに代わって、前記分離は、熱処理後に、機械的応力によって、機械的に支援又は達成されてもよい。
【0056】
薄化ステップが終わると、キャリア基板20に転写された表層10が得られる(
図3c)。スマートカット(商標)プロセスにより、優れた厚さ均一性を有する薄層を得ることが可能となることが想起されるであろう。
【0057】
スマートカット(商標)プロセスを用いて転写された表層10の厚さが不十分である特定の場合には、下記に記載する仕上げ処理中に、例えばエピタキシャル成長又は他の既知の堆積プロセスにより、表層10の自由表面12’に付加層を堆積することによって、この厚さを再び増大させることができる。
【0058】
上述した薄化の変形例の双方において、表層10がキャリア基板20に配置される場合、薄化ステップは、結晶品質の向上(層からの欠陥の除去)、表面品質の向上(自由表面12’からの残留する粗さの除去)、及び/又は表層10の厚さの修正を目的とした仕上げ処理を含んでもよい。この仕上げ処理は、1つ又は複数の熱処理、化学機械研磨、化学エッチ、付加層のエピタキシャル成長及び/又は堆積を含む可能性がある。
【0059】
実施の実施例
本実施例では、意図されるデバイス200は、一辺あたり約104マイクロメートル(ミクロン)の正方形で深さ1マイクロメートル(ミクロン)を有する有用なキャビティ230に覆い被さった1.5マイクロメートル(ミクロン)の厚さを有するシリコン膜210を必要とする。
【0060】
本発明による製作プロセスは、第1に、1.5マイクロメートル(ミクロン)のシリコン表層と、一辺あたり20マイクロメートル(ミクロン)の正方形で、深さ1マイクロメートル(ミクロン)を有し、8マイクロメートル(ミクロン)の間隔を置かれた基本キャビティ23とを含む、一般的構造100を用意することを提案する。
【0061】
ドナー基板1はシリコン製の基板である(
図4a)。軽い種の注入前に、例えば約100nmのシリコン酸化物層5を、(例えば熱酸化によって)前面11上に形成する。注入エネルギーは210キロ電子ボルト(keV)に設定し、水素種は約7×10
16(7
E16)/cm2の線量とする。こうして、埋め込み脆弱領域2を形成し、この埋め込み脆弱領域2は、基板1の第1の部分3と第2の部分4との間の主平面(x、y)内にあり、約1.9マイクロメートル(ミクロン)の深さに位置する。
【0062】
酸化物層5は、保持されるか、又はキャリア基板20に接合するステップの前に除去される可能性がある。
【0063】
キャリア基板20はシリコン製の基板である。2マイクロメートル(ミクロン)の厚さを有する熱酸化物層24aを前記基板20上に形成する。この熱酸化物層24aは、基板20の第1の面21及び第2の面22に形成される。第2の面22に存在する熱酸化物層は、状況に応じて、全体的又は部分的に、保持又は除去される可能性がある。これに代わって、酸化物層は、キャリア基板20の第1の面21のみに(既知の堆積技術を用いて)堆積される可能性がある。
【0064】
次に、フォトリソグラフィによって、マスク25をキャリア基板20の第1の面21上に画定し、第1の面21は、熱酸化物層24aがエッチングされることが可能なマスクされていない領域と、前記層24aが保護されるマスクされた領域とを有する(
図4b)。基本キャビティ23が表層10の下に埋められるときに、基本キャビティ23の座標を再決定することを目指すであろう後のフォトリソグラフィステップのために、キャリア基板20の周囲及び/又は切断レーンの領域に位置合せマークも画定されることに留意されたい。
【0065】
マスクされていない領域は、一般的構造100の基本キャビティ23のサイズ及び目標の平面分布に従って画定される。これらのマスクされていない領域において、熱酸化物層24aの乾式又は湿式化学エッチングを、その厚さ全体、即ち2マイクロメートル(ミクロン)にわたって行う(
図4c)。次に、マスク25を除去する(
図4d)。
【0066】
典型的には、この実施例では、各基本キャビティ23は、一辺あたり20マイクロメートル(ミクロン)の寸法を有し、幅8マイクロメートル(ミクロン)の格子状に分布した隔壁24は、基本キャビティ23を互いから分離している(
図4e)。
【0067】
洗浄及び活性化シーケンスの後、ドナー基板1の前面11とキャリア基板20の第1の面21とを接触させて、分子付着によって結合させる(
図4f)。直接結合は、周囲雰囲気下、又は制御雰囲気(ガスの圧力及び性質)下で行われる可能性があることに留意されたい。結合した構造に、結合界面を強固にするためのアニールを約350℃の温度で施してもよい。
【0068】
埋め込み脆弱区域2による分離を、剥離熱処理中に、約500℃の温度で行う。
【0069】
そして、これによりキャリア基板20の複数の基本キャビティ23上に配置された表層10を備える一般的構造100が得られる(
図4g)。
【0070】
転写された表層10が良好な表面及び構造の品質を有することを保証し、1.5マイクロメートル(ミクロン)の厚さを得るために、熱酸化工程及び化学機械研磨などの仕上げ処理作業を行うことが好ましい。
【0071】
次に、その外輪郭が主平面(x、y)において有用なキャビティ230の輪郭に一致する、隣り合う基本キャビティ23の少なくとも1つの群23gを画定するためのステップを行う。
図4hに示すように、一辺あたり約104マイクロメートル(ミクロン)の有用なキャビティ230を形成するために、16個の基本キャビティ23の群23gが画定される。これらの16個の基本キャビティ23を分離している隔壁は、製作プロセスの次のステップ中に除去されるように意図された仮のキャビティ24gである。
【0072】
仮の隔壁24を除去するステップについて、表層10を貫通する開口部13が形成されるマスクされていない領域の境界を定めるために、キャリア基板20上に設けられた位置合せマークを使用して、フォトリソグラフィによって、例えばシリコン窒化物製の、マスク14を画定し、表層10の自由面12の残部はマスクされ、従って保護される。開口部13を形成するために、シリコン製の表層10の乾式又は湿式局所エッチングを行い、各開口部13の断面積は、ここでは隔壁24gの上面より小さくなるように選択されており(
図4i)、仮の隔壁24gを形成する格子の交差部に配置されている。
【0073】
開口部13が存在している状態で、化学エッチ、例えばフッ化水素酸(HF)蒸気に基づく乾式化学エッチを行って、仮の隔壁24gを形成している熱酸化物を除去し、よって膜210を形成するために、有用なキャビティ230全体にわたって表層10を解放する。
【0074】
マスク14は、仮の隔壁24gの化学エッチングの前、又は隔壁24gを除去するステップの終わりに、除去されてもよい。
【0075】
仮の隔壁24gを除去するステップのために選択されたプロセスに応じて、有用なキャビティ230を画定する隔壁24においてオーバーエッチングが行われることが可能であり、従って、前記有用なキャビティ230及び関連する膜210の寸法を実質的に変更し得ることに留意されたい。従って、オーバーエッチングのこれらの潜在的な効果を考慮に入れ、及び/又は仮の隔壁24gを除去するステップのために選択されたプロセスを適合させて、正しい寸法を有した有用なキャビティ230を得ることが必要であろう。
【0076】
次に、必要により、開口部13を再び埋めてもよい。
【0077】
これにより、有用なキャビティ230に覆い被さった膜210を含む意図したデバイス200が得られ、表層10(膜210)の厚さ及び有用なキャビティ230の形状寸法は上記に示した仕様に準拠している。
【0078】
もちろん、本発明は説明した実施のモード及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、異なる実施形態を本発明に取り入れることができる。
【国際調査報告】