(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】還元性共反応物の存在下でタングステンまたはモリブデン層を堆積させる方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/06 20060101AFI20220202BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20220202BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C23C16/06
H01L21/285 C
H01L21/88 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534298
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 US2019066209
(87)【国際公開番号】W WO2020131614
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ロバート,ジュニア.
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリックス, ブライアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】バウム, トーマス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェケナー, ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
5F033
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA13
4K030AA17
4K030BA12
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4K030JA01
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4K030LA15
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5F033HH19
5F033HH20
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5F033NN29
5F033PP06
5F033XX04
(57)【要約】
金属膜または層を基材上に堆積させる蒸着法であって、例えば、金属がモリブデンまたはタングステンである、方法が記載される。方法は、還元性ガス(例えば、水素)および窒素含有還元性化合物の存在下で金属含有前駆体からの、基材上への金属層の蒸着を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有前駆体から基材上に導電性金属を堆積させる方法であって、
金属含有前駆体を気化させること、
気化した前駆体を、基材を含む堆積チャンバーに流すこと、
還元性共反応物ガスを堆積チャンバーに流すこと、および
前駆体の金属を基材上に堆積させるために、ガス状窒素含有還元性化合物を堆積チャンバーに流すことであって、窒素含有還元性化合物が、式H-NR
1R
2
[式中、
R
1およびR
2の各々は水素であるか、
R
1は水素でありかつR
2は低級アルキルであるか、
R
1は=NH
2でありかつR
2は水素であるか、
R
1は低級アルキルでありかつR
2は低級アルキルであるか、あるいは
R
1およびR
2は結合して、窒素含有環式化合物を形成する]
を有する、ガス状窒素含有還元性化合物を堆積チャンバーに流すこと
を含む、方法。
【請求項2】
前駆体が、ハロゲン化物またはオキシハロゲン化物であり、堆積時に窒素含有還元性化合物の窒素含有部分が、前駆体の非金属成分と会合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
窒素含有還元性化合物が、アンモニア(NH
3)、アルキルアミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、t-ブチルアミン)、ジアルキルアミン、ピリジン、ヒドラジンおよびアルキル化ヒドラジンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
金属含有前駆体が、金属原子およびハロゲン(塩素、臭素またはヨウ素)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
金属含有前駆体が、MoCl
5、MoOCl
4、MoO
2Cl
2、WCl
6、WCl
5、WOCl
4、およびWO
2Cl
3から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
堆積温度が、摂氏480度未満である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
方法が、堆積チャンバーに窒素含有還元性化合物を、前駆体1sccm当たり2.5~25,000sccmの流量の窒素含有還元性ガス(例えば、NH
3)と共に、2.5~25,000sccmの範囲の量の水素(H
2)を流すことを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
基材が、TiN、AlN、GaN、InN、TaN、ZrN、HfN、NbN、Mo2N、WN、および他の金属窒化物から選択される表面を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
基材が、SiO
2、SiN、SiOC、SiOCN、Al
2O
3、HfO
2、ZrO
2、他の金属酸化物およびそれらの組み合わせから選択される表面を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
基材が、3次元表面を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
基材が、少なくとも20:1のアスペクト比を有する表面を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属膜または層を基材上に堆積させる蒸着法であって、例えば、金属がモリブデンまたはタングステンである、方法に関する。この方法は、還元性ガス(例えば、水素)および窒素含有還元性化合物の存在下での、金属含有前駆体から基材上への金属層の蒸着を含む。
【背景技術】
【0002】
モリブデンおよびタングステンを含む金属は、精製された形態で、メモリ、論理チップ、およびポリシリコン-メタルゲート電極構造を含むその他のデバイスなどのマイクロエレクトロニクスデバイスで使用される低抵抗の高融点金属である。これらの用途のために、モリブデンまたはタングステンの薄い金属層を堆積させるために、様々な原材料を投入する種々の蒸着技術が使用されてきた。蒸着技術により、金属を含む「前駆体」化合物は、基材を含む堆積チャンバー内で処理され、プロセス材料および条件(例えば、高温)は、前駆体からの金属を金属薄膜層として基材上に堆積させるのに効果的である。
【0003】
蒸着技術には、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、および原子層堆積(ALD)技術と呼ばれる方法が含まれ、とりわけ、UVレーザー光解離CVD、プラズマ支援CVD、およびプラズマ支援ALDなどのこれらの派生版も多数含まれる。2次元または3次元のマイクロエレクトロニクスデバイス基材上に高純度の金属を堆積させる場合、この種の蒸着法は、堆積した金属の高レベルの純度を与えることができ、多くの場合、高度に非平面のマイクロエレクトロニクスデバイス形状上で良好な共形のステップカバレッジを与えることができるため、望ましい可能性がある。
【0004】
典型的な蒸着法では、気化した(ガス状の)前駆体を、低圧または大気圧の堆積チャンバー内で、場合によっては加熱することができる基材(例えば、ウエハ)と接触させる。堆積チャンバーの条件で、前駆体は金属原子を生成し、これは、基材に導入されると、基材表面に堆積して、高純度の堆積金属の薄層(または「膜」)を形成する。揮発性の副生物は、堆積チャンバーを通るガス流によって除去される。
【0005】
ガス状前駆体と共に、蒸着プロセスは、通常、堆積時に、1つまたは複数の追加のガス(時には「反応ガス」または「共反応物」と呼ばれる)を反応チャンバーに供給することを含む。様々な方法で、反応ガスは、堆積プロセスをより効率的に、または改善された堆積結果で実施することを可能にするように機能し得る。一部の反応ガスは、前駆体の一部と反応して、前駆体の金属の放出および安定したガス状副生物の形成を促進する。他の反応ガスは、堆積した膜の性能や使用寿命を改善したり、膜の抵抗率を下げたりするなど、様々な異なる機能を実施することができる。
【0006】
前駆体について、タングステンおよびモリブデン膜は、フッ化タングステン(例えば、六フッ化タングステン、五フッ化タングステン)などのフッ素含有前駆体および塩素含有前駆体を含むいくつかの周知のハロゲン化物含有前駆体を使用する蒸着法によって形成されてきた。フッ素含有前駆体は30年間広く用いられてきたが、フッ素系前駆体は、フッ素の存在、特別な取り扱い上の注意の必要性、および集積回路の長期性能に対するフッ素の悪影響のために、現在敬遠される可能性がある。
【0007】
非フッ素化前駆体代替物、例えば、塩素、臭素またはヨウ素含有前駆体:五塩化モリブデン、五臭化モリブデンおよびモリブデンオキシハライド、例えば、MoO2Cl2、MoO2Br2、およびMoOCl4、五塩化タングステン、六塩化タングステンが開発されてきた。これらのハロゲン含有前駆体を使用することの難しさは、これらの前駆体を使用する蒸着法が、通常、基材を少なくとも約400℃または450℃、そして最大800℃の温度に加熱することを伴うことである。これらの高温は、処理装置を複雑にし、温度に敏感なデバイスの熱収支を消費し、これは、ロジックデバイスなどの温度に敏感な基材が損傷する可能性があることを意味する。より低い動作温度、より安価でより複雑でない装置の使用を可能にすることにより、より低い温度で金属層を堆積させることができる前駆体が好ましく、ロジックデバイスなどの温度に敏感なデバイスを製造するのに特に有益であろう。
【0008】
さらに他の種類の前駆体は、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)およびタングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)などのカルボニル含有前駆体、イミドアミド前駆体、および金属原子に結合したシクロペンタジエニル、アルキルシクロペンタジエニル(alkylcyclopentadineyl)、アリールおよびアルキアリール(alkyaryl)配位子、および水素化物(他の多くの中で)など、有機配位子を含むものなどの有機金属前駆体を含む。この種の前駆体の有用な例は、ハロゲン化物およびオキシハロゲン化物(oxyhalde)前駆体に必要な温度よりも低い温度で堆積させることができる。しかし、前駆体からの炭素および酸素が夾雑物として堆積した金属に取り込まれる可能性があるため、堆積した金属構造は高い抵抗率を示す可能性がある。また、ステップカバレッジは十分な品質を欠いている可能性があるが、堆積温度が低いほど改善される可能性がある。
【0009】
温度に敏感であるか、耐薬品性が高くない可能性のある材料で作られた2次元または3次元の特徴を持つナノスケール構造に金属層を正確に堆積させる必要があるため、蒸着プロセス中に様々な異なる種類の課題が提示される。基材は、堆積された金属を使用して充填する必要がある高アスペクト比の穴、ビア、トレンチ、またはチャネルを含む形状を含み得るか、または化学的劣化(例えば、「エッチング」または「汚染」)を起こしやすい窒化チタンなどの敏感な材料でできていてもよい。また、均一性、ステップカバレッジ、3次元基材上のコンフォーマリティを含めた良好なコーティング特性も必要である。他の課題は、使用する前駆体の種類により表される。金属カルボニルおよび有機金属前駆体などの炭素または酸素を含む前駆体は、前駆体に由来し、堆積金属層に残る酸素および炭素汚染物質をもたらす可能性があり、これは、堆積した金属層の性能特性(すなわち、抵抗率)に悪影響を与える。
【0010】
これらの考慮事項に基づいて、とりわけ、メモリおよびロジックデバイスなどの様々な基材上にモリブデンおよびタングステンの金属膜および金属層を堆積させる方法であって、膜成長に使用される前駆体を含む、方法を改善する必要がある。改善方法は、より低い堆積温度で実施され、好ましくは堆積した金属層の非常に高い純度を達成しながら、侵食、エッチングなど、またはその両方の形で基材に物理的損傷を引き起こすことなく堆積させることができる、方法であり得る。
【発明の概要】
【0011】
マイクロエレクトロニクス産業では、モリブデンおよびタングステン層は、種々のロジックおよびメモリ装置で使用される。これらの金属層は、フッ素化、塩素化、有機金属などであってもよいタングステンおよびモリブデン含有前駆体から蒸着により形成される。基材および前駆体に応じて、様々な蒸着プロセスは、様々な技術的課題を伴う。一般的な意味で、方法が十分に効率的かつ効果的に実施することができるかぎりにおいて、蒸着法の温度は低いほうが望ましい。前駆体の一部の種類(例えば、ハロゲン化前駆体)は、他のもの(例えば、金属カルボニル)と比較して、通常、より高い温度を必要とする。前駆体の一部の種類、例えば、金属カルボニルは、酸素または炭素の形態である好ましくないレベルの汚染を有する金属を製造することができる。様々な種類の基材を考慮すると、堆積工程時に化学的影響による損傷を受けやすいものもあれば(例えば、窒化チタンは、エッチングを受ける可能性がある)、堆積した金属層の非常に特殊な配置および均一性が必要なものあり(例えば、良好な均一性およびステップカバレッジを必要とする3次元NANDまたは他のメモリ装置)、さらに他のもの(ロジックデバイス基材)は、温度に敏感であり、特定の種類の前駆体(例えば、ハロゲン化前駆体)を使用する蒸着法で必要になり得る温度にさらすことができない。
【0012】
本出願人の発明によれば、蒸着法は、基材を含む堆積チャンバーにガス状流体の組み合わせを導入することにより実施することができる。ガス状流体は、ガス状金属含有前駆体、還元性ガスである共反応物、任意選択の不活性ガス、および塩基でもある窒素含有還元性ガスを含む。本発明は、前駆体から基材上への金属の特に有用または効果的な蒸着をもたらす。
【0013】
潜在的な利点の1つとして、蒸着工程を実施するために必要な温度は、窒素含有還元性化合物を使用しない類似のプロセスで必要とされる温度よりも比較的低くてもよい。前駆体の種類および基材の種類に応じて、1つまたは複数の他の利点も潜在的に生じ得る。他の潜在的な利点の例は、例えば、特に堆積した金属層中に存在するこの種の夾雑物を生じ得る蒸着法で金属層内の夾雑物(例えば、酸素または炭素)の存在を低減すること;特定の基材(例えば、寸法形状の特徴を有する基材)との均一性の観点からなど、コーティングとしての金属層の形態を改善すること;エッチングや腐食など、基材への蒸着プロセスの化学的悪影響を低減することによる、堆積した金属層の改善した特徴または品質の1つまたは複数を含むことができる。
【0014】
蒸着法は、本明細書で様々に記載されるような任意の適切な方法で、原子層堆積法により、化学蒸着法、物理蒸着法により、またはこれらのうちの1つの修正版または派生版により実施することができる。方法は、前駆体、還元性ガス(例えば、水素)、および窒素含有還元性ガスの流量を含むプロセスパラメーターおよび条件を用いて実施される。
【0015】
有用であることが見出されている窒素含有還元性化合物の例は、一般式
H-NR1R2
[式中、
R1およびR2は、以下の組み合わせの1つを含むように選択することができる:
R1およびR2の各々は水素である(すなわち、化合物はNH3である)、
R1は水素でありかつR2は低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)である、
R1は=NH2でありかつR2は水素である、
R1は低級アルキルでありかつR2は低級アルキルである、または
R1およびR2は結合して、窒素含有環式化合物を形成する]
により特徴付けられるものを含む。これらの非限定的で例示的な化合物は、NH3;ヒドラジン(H2N=NH2);アルキルヒドラジン、およびアルキルアミンおよびジアルキルアミン化合物、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど、およびピリジンを含む。
【0016】
記載された蒸着法で使用される前駆体は、タングステンまたはモリブデンの金属層を堆積させるのに効果的であることが知られている様々な前駆体のいずれかとすることができる。前駆体は、タングステンまたはモリブデンのいずれかである金属、およびフッ素(任意選択の酸素と共に)または塩素(任意選択の酸素と共に)などの1つまたは複数の関連する残留化学物質を含む化合物である。
【0017】
モリブデンまたはタングステン層は、任意の所望の基材および基材の任意の特定の材料上に堆積させることができ、例示的基材は、「インプロセス」である、すなわち製造中であるが未完成であるマイクロエレクトロニクスデバイス基材である。マイクロエレクトロニクスデバイスは、メモリ機能を提供するものでも、論理機能を提供するものでもよい。堆積したモリブデンは、所望の機能を実施するのに効果的な厚さを有し得、連続的とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】記載するように、蒸着工程を実施するためのシステムを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の記載は、モリブデンまたはタングステン金属の高純度層を基材上に堆積させるのに有用な蒸着法に関する。蒸着法は、堆積用の基材を含む堆積チャンバーの内部に、ガス状金属含有前駆体を、還元性化合物(例えば水素)である第1の共反応物、および窒素を含む還元性化合物である第2の共反応物と共に流すことを含む。堆積チャンバーの条件(例えば、高温)、および前駆体、第1の共反応物、および第2の共反応物の流量および圧力が組み合わさって、前駆体からのタングステンまたはモリブデン金属が、実質的に純粋な堆積した金属膜として基材の表面に堆積させられるようになる。
【0020】
蒸着法は、一般に原子層堆積と呼ばれる方法、一般に化学蒸着と呼ばれる方法、一般にプラズマ蒸着と呼ばれるもの、およびこれらを変更したものを含めた、任意の種類の蒸着法とすることができる。
【0021】
化学蒸着(CVD)および原子層堆積(ALD)は、化学材料(前駆体と呼ばれる)を、場合によってはおよび通常、共反応物などの他の1つまたは複数の材料と組み合わせて、堆積チャンバー内の基材に導入する化学プロセスであり、前駆体に由来する材料の薄い「層」または「膜」を基材の表面上に形成する結果をもたらす。化学蒸着プロセスまたは物理蒸着プロセスでは、堆積された材料の厚さは、基材が前駆体にさらされる時間の長さなどの堆積パラメーターによって制御することができる。原子層堆積工程では、堆積した層の厚さは、選択された堆積温度、圧力、および時間(パルス持続時間)などのプロセス条件に基づいて「自己制限的」である可能性がある。
【0022】
本発明の蒸着法により、モリブデンまたはタングステンを金属として含むガス状金属含有前駆体は、還元性化合物である第1の共反応物、および窒素含有還元性化合物である第2の共反応物と共に、基材を含む堆積チャンバー(「反応チャンバー」としても知られている)に導入される。ガス状金属含有前駆体は、ハロゲン原子および任意選択の酸素原子と化学的に結合した金属原子中心、または任意選択の酸素と結合した塩素原子を含む化学化合物である。前駆体と共反応物のガス流の圧力と流量、および堆積チャンバーの条件(例えば、温度、圧力、基材の温度などの条件)は、堆積チャンバー内の他の前駆体成分(配位子)から前駆体の金属原子を放出させ、金属が原子金属の実質的に純粋な層の一部として基材の表面に堆積されるようになるために十分である。堆積プロセスの揮発性副生物は、堆積チャンバーを通るガス流によって除去することができる。
【0023】
必要または所望の場合、ガス状金属含有前駆体は、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノン、クリプトン、またはそれらの組み合わせなどの不活性ガスであってもよいキャリアガスを用いて堆積チャンバーに運ぶことができる。キャリアガスをガス状金属含有前駆体と組み合わせて、キャリアガスが所望の濃度および所望の総量のガス状金属含有前駆体を堆積チャンバーおよび基材に運ぶことを可能にすることができる。キャリアガス中のガス状前駆体の濃度、および堆積チャンバーへのガス状キャリアガス-前駆体混合物の流量は、特定の堆積プロセス中に、所望の堆積金属層を生成するために、要望通り、および効果的であり得、これらのパラメーターの特定の値は、堆積チャンバーの大きさ(体積)、共反応物ガスの流量、基材温度、堆積チャンバー圧力など、堆積プロセスの他のパラメーターと組み合わせて選択される。
【0024】
蒸着法は、様々な効果的フローオプションを使用してガス状流体を堆積チャンバーに導入することにより実施することができる。堆積チャンバーへのガス状流体の各流れは、所望の速度、圧力、および温度で制御され、連続的(定常的、均一)またはパルス的(例えば、中断された)方法のいずれかで提供され得る。不均一な流れとは、連続的でない、すなわち、時間および持続時間が定期的に中断される流れのことである。流れは「パルス化」されるか、またはオンフロー期間中に堆積チャンバーに流れ込み、オフフロー期間中に堆積チャンバーに流れ込まないようにする。所望の場合、蒸着法中にパージまたは真空期間を含めることもできる。
【0025】
本発明によれば、堆積チャンバー内の前駆体と反応するために、還元性ガスが蒸着法で使用される。還元性ガスは、堆積チャンバー内の前駆体化合物から原子金属を放出して原子金属を連続膜として基材上に堆積させるように、前駆体と反応するのに有効な任意のガス状反応物であってもよい。有用な還元性ガスは水素である。
【0026】
また、本発明によれば、堆積法を改善するために、窒素含有還元剤が堆積法に含まれる。窒素含有還元性化合物は、塩基の性質の化合物である。この理由のため、記載された蒸着法中の窒素含有還元性化合物の存在は、還元性ガス(例えば、水素)および前駆体の反応を反応副生物の方向に向かって熱力学的に進めるのに効果的であり得る。利点は、蒸着温度を下げることである。記載した有用なまたは好ましい蒸着プロセスは、同じ反応物を使用して、窒素含有還元性化合物はないが、同じ量(圧力、温度、流量)、同じ堆積条件(圧力、温度)で実施される類似の方法の堆積温度と比較した場合に比較的低い堆積温度で実施することができる。
【0027】
異なる基材(基材形状)、または基材材料を用いた蒸着法で窒素含有化合物を用いる場合、1つまたは複数の他の利点も、潜在的に生じる可能性がある。他の潜在的な利点の例としては、以下の1つまたは複数を挙げることができる:特定の基材(例えば、寸法形状の特徴を有する基材)とのコーティングの均一性に関してなど、コーティングの形態を改善すること;およびエッチングに関連する副生物の除去を支援することにより、エッチングや侵食などの基材上の蒸着プロセスの化学的悪影響を低減すること。
【0028】
窒素含有還元剤は、蒸着プロセスに所望の量および純度レベルで提供することができ、本明細書に記載される工程時に所望の効果を生じることになる、任意の化学材料とすることができる。窒素含有還元性化合物のいくつかの非限定例は、一般式:
H-NR1R2
[式中、
R1およびR2は、以下の組み合わせの1つを含むように選択することができる;
R1およびR2の各々は水素であり(すなわち、化合物はNH3である)、
R1は水素でありかつR2は低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)である、
R1は=NH2でありかつR2は水素である、
R1は低級アルキルでありかつR2は低級アルキルである、または
R1およびR2は結合して、窒素含有環式化合物を形成する]
により特徴付けられるものを含む。これらの非限定的で例示的な化合物は、NH3;ヒドラジン(H2N=NH2);アルキル置換ヒドラジン、およびアルキルアミンおよびジアルキルアミン化合物、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど、およびピリジンを含む。
【0029】
記載した蒸着法で使用する前駆体は、タングステンまたはモリブデンの金属層を堆積させるのに効果的であることが知られている様々な前駆体のいずれかとすることができる。前駆体は、タングステンまたはモリブデンのいずれかである金属、および金属原子に結合したフッ素原子(任意選択の酸素と共に)、塩素原子(任意選択の酸素と共に)などの1つまたは複数の関連する残留化学物質を含む化合物である。
【0030】
前駆体の1つの種類は、フッ素化前駆体のクラスである。これらには、金属(WまたはMo)、フッ素、および場合によっては酸素が含まれる。これらは、一般にフッ化モリブデン、オキシフッ化モリブデン、フッ化タングステン、およびオキシフッ化タングステンと称される。特定の例には、五フッ化モリブデン、六フッ化モリブデン、五塩化タングステン、および六フッ化タングステンが含まれる。
【0031】
他の例は、モリブデンおよびタングステンの塩素化およびオキシ塩素化化合物である。例には、五塩化モリブデン、およびオキシ塩化モリブデン、例えば、MoCl5、MoOCl4、MoO2Cl2、WCl6、WCl5、WOCl4、およびWO2Cl3が含まれる。臭素化およびヨウ化前駆体を含めた、WおよびMoの他のハロゲン化前駆体は、当業者に明らかであろう。
【0032】
モリブデンまたはタングステンを堆積させる基材および表面は、任意の2次元または3次元構造を含むことができ、マイクロエレクトロニクスデバイス基材の特定の例は、DRAMデバイスや3DNANDデバイスなどのメモリデバイス、および「ロジック」デバイスである。例示的なメモリ装置は、高度に成形された高いアスペクト比(例えば、少なくとも40:1、少なくとも60:1、またはそれ以上)の表面、および窒化チタンなどの化学的に敏感な材料を含む表面を含むことができる。ロジックデバイスは、マイクロプロセッサーを含むマイクロエレクトロニクスデバイスであってもよい。例には、プログラマブルインターコネクトとリンクした設定可能ロジックおよびフリップフロップを有するプログラマブルロジックデバイス(PLD)が含まれる。
【0033】
記載されたような金属層が堆積されることになるメモリタイプまたはロジックタイプの基材の表面の特定の化学組成は、堆積したモリブデンまたはタングステンの層を提供するためのデバイスに有用な任意の化学組成とすることができる。一般に、金属層は、誘電体層、セラミック層、核形成層、またはモリブデンまたはタングステン金属層が有用に堆積され得る別の層上に堆積させることができる。モリブデンまたはタングステンが堆積し得る、基材表面の材料の非限定例は、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、他のシリコン系材料、窒化チタン(TiN)、モリブデン(金属)、炭化モリブデン(MoC)、ホウ素(B)、タングステン(W)、およびタングステン窒化炭素(WCN)、AlN、GaN、InN、TaN、ZrN、HfN、NbN、Mo2N、WN、および他の金属窒化物を含む。他の酸化物、例えば、Al2O3、HFO2、ZrO2、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、Y2O3、RuO2、IrO2、La2O3およびランタニド系列からの他の酸化物ならびにそれらの組み合わせ。
【0034】
本明細書中に記載される蒸着法は、ある特定の種類の前駆体からある特定の種類の基材上にタングステンまたはモリブデンを堆積させる方法に組み込まれると、特定のレベルの有用性または利点を見出すことができる。一例として、窒素含有還元性化合物の使用は、ハロゲン含有、例えば塩素含有前駆体から窒化チタンを含む基材上に堆積する金属層を生成する蒸着法で使用することができる。これらの方法の反応スキームの例には、以下が含まれる。
【0035】
比較のため、窒素含有還元性化合物を含まない非発明的方法では、金属層としてモリブデン原子を基材上に堆積させる反応は、以下のようになり得る。
MoOCl4(g)+3H2(g)→Mo+H2O(g)+4HCl(g) (I)
窒素含有還元性化合物(NH3として例示される)が反応に添加される場合、本明細書によれば、反応は、以下を含む。
MoOCl4(g)+3H2(g)+(X)NH3→Mo+H2O(g)+4HCl(g)+(X)NH4Cl+(他の考えられる反応生成物) (II)
これらの2つの反応スキームおよび他のすべてに関するものを含め、本明細書全体を通して、本明細書に提示される反応スキームは、特定の前駆体および共反応物を使用する蒸着法中に起こるすべての化学的相互作用の完全な説明を表すことを意図しない。反応スキームは、記載するように、各例示的なスキームの反応物または反応生成物が、窒素含有還元性化合物の使用によって影響を受ける可能性がある方法を例示するために提供される。
【0036】
上記2つの例示的反応スキームをさらに参照すると、窒素含有還元性化合物は、特に還元性ガスとしての水素が普通なら適切な化学量論比に追加する量で蒸着法において存在する場合、反応物として存在する追加の(モル)量の塩基性還元性化合物を提供する。この追加量の塩基性還元性化合物は、反応を方程式の「反応物」側から「反応生成物」側に熱力学的に進めることになる。その結果、窒素含有還元性化合物の存在は、窒素含有還元性化合物の非存在下での反応と比較して、反応をより速い速度で進行させる熱力学的効果を有し、また、堆積プロセスの温度を低下させることができる。
【0037】
別の利点として、反応が、普通なら窒化チタンのエッチングを生じ得る前駆体およびプロセスを用い、表面に窒化チタンを含む基材(例えば、また、構造に高いアスペクト比の特徴を有する)上に金属層を堆積させる蒸着法の一部である場合、窒素含有還元性ガス(例えば、アンモニア(NH3))が、窒化チタンのエッチングを低減または防止するのに効果的である可能性がある。窒化チタンのエッチングを生じる反応は、以下のように記載することができる(エッチングを引き起こす例示的前駆体としてMoOCl4を用いて):
4MoOCl4(g)+1.5H2(g)+TiN→4MoOCl3(g)+TiCl4(g)+NH3(g) (III)
反応生成物側のアンモニアは、反応を阻害し、基材の窒化チタン表面のエッチング効果を低減する熱力学的効果を有する。NH3は、反応機構を変更し、HCl副生物と調整することができるため、TiN層のエッチングが減少する。
【0038】
通常、塩素含有前駆体の蒸着によって金属(例えば、モリブデンまたはタングステン)層を基材上に堆積させる方法(上記のスキームIを参照)は、少なくとも摂氏480度の温度で、例えば、100トール未満などの低圧で(例えば、60トールで)実施される。本発明によれば、窒素含有塩基性化合物の使用を組み込んだ方法は、窒素含有塩基性化合物なし(他の反応物および条件が同じである)で必要な温度に比べて低下した温度で実施することができる。例示的な方法は、摂氏480度未満、例えば、摂氏450度または400度未満の温度で効果的に実施することができる。
【0039】
記載したガス状金属含有前駆体(モリブデンまたはタングステンおよび1つまたは複数の炭素含有配位子を含む)を用いたモリブデン原子またはタングステン原子の堆積は、本明細書に記載されるように、ハロゲン化前駆体および還元性ガスからモリブデン原子またはタングステン原子の層を堆積させるために使用するように適合された、利用可能な蒸着装置および一般に理解される技術を使用して、さらに窒素含有還元性ガス(これは、塩基でもある)を堆積チャンバーに導入して、実施することができる。
【0040】
本明細書の方法のための有用なシステムの例として、
図1は、化学蒸着、原子層堆積、またはこれらのいずれかの修正版または派生版であってもよい、記載した蒸着プロセスを実施するのに有用であり得るシステムを模式的(そして縮尺どおりではない)に示す。
図1は、基材16を支持するプラテン14を含む内部12を有する堆積チャンバー10を含めた、蒸着システム2を示す。例示した内部12は、単一の基材16のみを収容するようにサイズ設定されているが、代わりに、蒸着処理のために複数の基材を収容するために望まれる任意の大きさであってもよい。
【0041】
さらに
図1を参照すれば、シリンダー40、42、44および46は、ガス状流体が各シリンダーから内部12に選択的に流れることを可能にするために内部12に接続されている。各シリンダーは、蒸着工程で使用するためにガス状で内部12に供給される液体またはガス状の原料を含むことができる。例えば、シリンダー46は、記載されたようなガス状金属含有前駆体を含むことができる。シリンダー44は、金属含有前駆体の濃度を内部12に運ぶためのキャリアガスとしての使用のための不活性ガスを含み得る。使用中、キャリアガス含有シリンダー44からのキャリアガスは、前駆体を含むシリンダー46に開放弁を介して接続することもできる導管を通って流れることができる。キャリアガスおよび前駆体の組み合わせは、内部12に流入するように制御することができる。
【0042】
シリンダー42は、還元性ガス、例えば、水素ガスなどの(第1の)共反応物を含み得る。1つまたは複数のさらなる任意選択のシリンダー(図示せず)も存在して、他の様々な有用なもしくは共反応物、または別の不活性ガス(例えば、パージ工程用)などの他のガス状流体のいずれかを含み、内部12に供給することができる。
【0043】
シリンダー40は、本明細書に記載される窒素含有還元性ガスを含む。
【0044】
具体的には示されていないが、種々の既知の測定または流量制御装置のいずれも、システム2に存在させて、シリンダーからの各ガス状流体の流量および相対量、ならびにガス流の温度または圧力、内部12の温度、プラテン14または基材16の温度などの条件を監視および調整することができる。これらは、圧力調整器、流量調整器(例えば、質量流量調整器)、センサー(圧力センサー、温度センサー)などを含み得る。コンピュータ、中央処理ユニット(CPU)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)などであってもよく、またはそれらを含み得る制御システム50は、蒸着システム2のバルブ、センサー、または他の流量制御装置を選択するために制御システム50に電子的に接続するための配線52または他の(例えば、無線)通信デバイスを含む。制御システム50は、バルブおよび場合によっては他の流れ制御機構を制御することにより、および圧力および温度センサーを監視することにより、シリンダーの各ガス状流体の流量を制御して、シリンダーから内部12へのガス状流体の流量の所望の組み合わせを提供するのに効果的である。
【0045】
記載された方法は堆積チャンバー中で実施することができ、堆積チャンバーは、使用中に雰囲気として、ガス状前駆体、任意選択のキャリアガス、共反応物ガス(例えば、水素などの還元性ガス)、窒素含有還元性ガス、および任意選択の不活性パージガスのみを実質的に含む(例えば、含む、からなる、または本質的にからなる)。本開示の目的のために、ガス状物質の特定の組み合わせから本質的になる堆積チャンバーまたは関連するガス流またはガス流の組み合わせは、ガス状物質および実質的でない量以下の他の任意のガス状物質、例えば、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、または0.005%(質量比)以下の他の任意のガス状物質の特定の組み合わせを含むと考えられる。
【0046】
各々堆積チャンバーに供給される、ガス状前駆体(前駆体蒸気としても知られている)の量、共反応物ガス(例えば、水素などの還元性ガス)の量、任意選択のパージガスの量、および窒素含有還元性化合物の量は、方法の結果としてモリブデンまたはタングステンの金属層を生成するために、各ガス状流体の所望の効果を生じるのに有用となる各々の量とすることができる。堆積チャンバーに供給されるそれぞれのガスの量は、それぞれの流量に関して、他の加工パラメーター、堆積した金属層の所望の量(例えば、厚さ)、所望の堆積速度、堆積チャンバーの大きさ(体積)、および堆積チャンバーの内部圧力を含めた要因に基づくことができる。また、堆積チャンバーに供給するのに有用であると記載された各ガス状流体の例示的な量および範囲は、互いに一貫している可能性があるが、用いる堆積チャンバーの大きさにより決定される同様の数学的要因に基づいて、より大きくまたはより小さくなり得る。
【0047】
金属前駆体の反応成分当たり1~10,000モルの範囲の量の各還元性ガスを提供するために、各還元性ガスの量(流量)を堆積チャンバーに含めるべきである。「反応成分」は、ハロゲン化またはオキシハロゲン化前駆体のハロゲン基またはオキシハロゲン基である。したがって、5つの反応成分を含むMoCl5である前駆体では、堆積法は、1sccmの前駆体当たり2.5~25,000sccmの流量の窒素含有還元性ガス(例えば、NH3)と共に2.5~25,000sccm(標準立方センチメートル/分)の流量の水素(H2)を含み得る。
【0048】
堆積チャンバーの内圧は、記載するように、金属層の堆積に効果的なものとすることができる。通常、化学蒸着に使用する堆積チャンバーは、ほぼ周囲圧力以下の圧力で動作し、通常、約760トールであると理解されている。多くの場合、堆積チャンバーは、実質的に大気圧より低い圧力で、例えば、0.1~300トールの範囲の、例えば、1、5、または10トール~40、60、または100トールの範囲の内部圧力で動作することになる。
【0049】
基材は、堆積時に、本明細書によれば、モリブデンまたはタングステンを基材上に堆積させるのに有効な任意の温度で保持することができる。有用な温度は、記載された前駆体のいずれか1つから、記載するように金属層の堆積を効果的に可能にするものとすることができる。有用な温度は、使用する基材の種類および温度に依存することになる。有用なまたは好ましい堆積温度(例えば、基材温度)は、摂氏480度、450度、または400度未満(例えば、100トール未満の圧力で、例えば、約60トールで)であってもよい。
【0050】
記載された方法は、本明細書に記載されたものを含めて、処理パラメーターを単独でも、組み合わせでも含み、処理された基材の様々な所望の物性の1つまたは望ましくは組み合わせをもたらすことになる堆積工程によって実施することができる。所望の物性には、基材の水平面または表面上の金属層の所望のレベルの均一性、または相互接続、接点、電極などを生成するための;3次元基材上に堆積した金属層の所望のレベルの均一性、コンフォーマリティ、ステップカバレッジ、またはこれらの組み合わせ;堆積した金属層の所望の組成、例えば、低レベルの不純物(例えば、炭素または他の非金属材料);堆積した金属層の低い電気抵抗率;またはこれらの組み合わせの1つまたは複数が含まれる。
【0051】
記載された方法により基材上に堆積した金属層は、望ましくは高濃度の元素金属、すなわち、モリブデンまたはタングステンのいずれか、例えば、少なくとも99.5、99.9、または99.99原子純度%のモリブデンまたはタングステン、またはそれ以上を有することができる。堆積した金属の層中の全不純物である非金属材料の量は、好ましくは、金属層の総量を基準にして、0.5、0.1、または0.01原子%未満の全非金属不純物とすることができる。不純物として存在する炭素の量は、既知の分析技術、例えば、X線蛍光方法(XRF)を用いて測定することができる。
【0052】
堆積したモリブデンまたはタングステンの所望の層は、低い抵抗率、例えば、5ナノメートルの厚さを有するモリブデンまたはタングステン膜に対して10μΩcmもの、または30μΩcmもの低い抵抗率を有することができる。
【0053】
堆積したモリブデンまたはタングステンの層は、任意の所望の厚さ、例えば、10~5000オングストローム、または30~500オングストロームの範囲の厚さを有し得る。
【国際調査報告】