(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】毛髪ストランドの灰色レベルを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220209BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20220209BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20220209BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A61B5/00 101A
G01J3/46 Z
G01N21/17 A
A61B5/107 700
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535191
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019085603
(87)【国際公開番号】W WO2020127228
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ゲオルク・クヌーベル
(72)【発明者】
【氏名】ルツィーレ・ボニン
(72)【発明者】
【氏名】アストリート・クロース
【テーマコード(参考)】
2G020
2G059
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA04
2G020DA34
2G020DA51
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059EE02
2G059EE13
2G059FF01
2G059FF06
2G059FF08
2G059HH02
2G059KK04
2G059MM02
2G059MM05
2G059MM14
2G059NN05
4C038VA04
4C038VB21
4C038VC05
4C117XA02
4C117XB01
4C117XD02
4C117XE43
4C117XJ13
(57)【要約】
毛髪ストランドの灰色レベルを決定するための方法、及び、該方法を実行するに適したシステム。第一に、事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示する、毛髪ストランドの画像を得る。該画像は、毛髪ストランドをピクセルで表示する部分を含む。次いで、該部分の各ピクセルについて、輝度値を決定する。その後、決定された輝度値が閾値輝度値を超える、該部分におけるピクセルの量を決定する。最後に、該部分のピクセルの総量に対する決定された量の割合を評価することによって、毛髪ストランドの灰色レベルを決定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・毛髪ストランドの画像(11-17)を取得すること(310)、該画像は事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示する画像であり、該画像は、ピクセルで毛髪ストランドを表示する部分(100)を含む;
・該部分の各ピクセルについて、輝度値を決定すること(320)、
・決定された輝度値が閾値輝度値を超える、該部分におけるピクセルの量を決定すること(330);
・該部分のピクセルの合計量に対する、決定されたピクセルの量の割合を評価することによって、毛髪ストランドの灰色レベルを決定すること(340)
を含む、毛髪ストランド(1)の灰色レベルを決定するための方法(300)。
【請求項2】
閾値輝度値を、毛髪の参照ストランドにおける毛髪繊維の総量の50%に等しい既知の割合の白髪繊維を有する毛髪(2-3)の参照ストランドの画像において測定された中央輝度値として設定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・既知の灰色レベルの毛髪の参照ストランドの画像を取得すること、該画像は、事前に定められた表示基準に従い毛髪の参照ストランドを表示し、該画像は、毛髪の参照ストランドをピクセルで表示する参照部分を含む;
・参照部分の各ピクセルについて、輝度値を決定すること;
・パーセンタイルに従い、決定された輝度値を配置すること;
・閾値輝度値を、毛髪の参照ストランドにおける着色毛髪繊維の合計パーセンテージに等しい輝度値のパーセンタイルについて観察された輝度値に設定すること
をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
・少なくとも2つの、異なりかつ既知の灰色度の毛髪の参照ストランドを取得すること;
・各毛髪の参照ストランドについて、事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示する画像を取得すること、該画像は毛髪の参照ストランドをピクセルで表示する参照部分を含む;
・各画像の参照部分の各ピクセルについて、輝度値を決定すること;
・各画像の参照部分について、パーセンタイルに従い決定された輝度値を配置すること;
・各画像の参照部分について、臨界輝度値を、毛髪の参照ストランドにおける、着色毛髪繊維の合計パーセンテージに等しい輝度値のパーセンタイルについて見られた輝度値として決定すること、
・閾値輝度値を決定された臨界輝度値の平均値として設定すること
をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
閾値輝度値を、異なりかつ既知の灰色度の少なくとも5つの参照ストランドを用いて設定する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
・既知の灰色度値及び異なる毛髪色を含む、毛髪の参照ストランドのセットの各毛髪参照ストランドについて閾値輝度値を設定すること
をさらに含む、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
・画像の該部分内の各ピクセルの色をグレースケールに変換すること
をさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
・毛髪ストランドの原画像を取得すること、該原画像は、毛髪ストランドと、既知の寸法及び色のキャリブレーションバーとを表示する;
・事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示するために、該原画像の画角、倍率及び輝度のうちの少なくとも1つを変更することが可能な画像処理を使用して、該原画像の表示パラメータを調整することによって、該原画像を変換すること、該表示パラメータは少なくとも画角、倍率、及び輝度を含む、
をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
事前に定められた表示基準は、以下:
画角、倍率、照射条件、毛髪ストランドの繊維の空間的配置、毛髪ストランドと毛髪ストランドを照らす光源との相対位置、光源のスペクトル及び強度
の少なくとも1つ又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
・毛髪ストランドをピクセルで表示する画像の部分を、該部分が実質的に平行な毛髪繊維を含むように、選択すること
をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
毛髪(1)のストランドの灰色レベルを決定するためのシステム(400)であって、該システムは以下:
・毛髪ストランドの画像(11-17)を受信するように構成された画像取得デバイス(420)、該画像は、事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示する、
・画像取得デバイスからデータを受信することができ、以下:
・該画像内の部分(100)を選択する、該部分は毛髪ストランドをピクセルで表示する;
・該部分の各ピクセルについて輝度値を決定する;
・決定された輝度値が閾値輝度値を超える、該部分におけるピクセルの量を推定する;
・該部分のピクセルの総量に対する、推定されたピクセルの量の割合を計算することによって、毛髪ストランドの灰色レベルを決定する
のように構成された、少なくとも1つの非一時的データ処理デバイス(430)
を含む、システム。
【請求項12】
・画像取得デバイスを受けるに適し、毛髪ストランドに対して事前に定められた距離、事前に定められた位置及び事前に定められた角度で配置された、位置選択メカニズム(450)
をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
・光源(410)、該光源は、毛髪ストランドに対して事前に定められた距離、事前に定められた位置及び事前に定められた角度で配置され、以下:
放出される光のスペクトル、放出される光の強度
の少なくとも1つから選択される事前に定められた特性を有する光を放出するように構成される
をさらに含む、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
・曲面を含む基材(440)、該局面は毛髪ストランドを受けるように構成される
をさらに含む、請求項11~13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
請求項1~10のいずれかに記載の毛髪ストランドの灰色レベルを決定するための方法を実行するための指示を含む、コンピュータプログラムが格納された、非一時的コンピュータ可読貯蔵媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪色の特徴付けの分野に関し、特に毛髪ストランドにおける白髪の割合の決定に関する。この割合は、一般に、灰色レベル(greyness level)と称される。
【背景技術】
【0002】
自分の髪の状態、特に毛髪色に関する知識は、入手可能な製品の中から適切な毛髪処理組成物を選択するために有するべき重要な情報である。シャンプー又は毛髪着色組成物(染毛剤とも称される)などの毛髪処理製品は、異なるユーザーに塗布された際に、異なる効果を有し得る。毛髪処理製品、特にヘアカラー製品の選択に影響を与え得るパラメータの中で、白髪の存在及び量を考慮に入れる必要がある。
【0003】
従来、ユーザーの毛髪の灰色レベルの評価は、ユーザー自身、又はさまざまな毛髪タイプの取り扱いの経験がよりあるヘアスタイリストのいずれかによって、主観的に行われる。しかし、このようなアプローチは経験豊富な専門家の存在を必要とし、さらに人の本当の毛髪灰色レベルの主観的な評価のままである。
【0004】
より客観的なアプローチは、比色分析などの画像分析ツールを使用して灰色レベルを決定することからなり得る。特に、毛髪ストランドの画像を分析し、色空間(例えばL*a*b色空間、ここでLは明度、aは緑成分及び赤成分を表し、bは青成分及び黄成分を表す、又は他には、RGB、ここで、Rは赤を表し、Gは緑を表し、Bは青を表す)における画像内のピクセルの色の数値成分の平均を計算することによって、平均毛髪色値を決定することができる。
【0005】
灰色レベルの決定における比色分析測定の別の落とし穴は、測定スポットが、通常、0.5cm2~1cm2の領域をカバーするという事実にある。白髪は毛髪ストランドにおいて、着色繊維及び非着色繊維のランダムな混合物として現れ、「塩とコショウ」の印象をもたらす。したがって、比色分析アプローチは、白髪繊維と着色毛髪繊維を個々にカウントし区別することなく、色を平均化する。
【0006】
言い換えると、比色分析はユーザーの毛髪の灰色レベルを決定するに有用ではない。
【0007】
マイクロメートル又はサブマイクロメートルの空間解像度でピクセルを記録できる高解像度カメラを使用した場合でさえ、照明条件と画角が観察される色に強い影響を与え、照明条件の違いが、ある毛髪ストランドから別の毛髪ストランドへと測定値を変えるため、灰色レベルの客観的な決定は精度に欠けるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、毛髪ストランドの灰色レベルの決定の客観性及び精度を改善するための方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の欠点を克服するために、本発明は、毛髪ストランドの灰色レベルを決定するための方法を提供し、この方法は、以下を含む:
-毛髪ストランドの画像を取得すること、該画像は、事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示し、該画像は、毛髪ストランドをピクセルで表示する部分を含む;
-該部分の各ピクセルについて、輝度値を決定すること;
-決定された輝度値が閾値輝度値を超える、該部分におけるピクセルの量を決定すること;
-該部分のピクセルの総量に対する、決定されたピクセルの量の比率を評価することにより、毛髪ストランドの灰色レベルを決定すること。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1a】
図1aは、毛髪ストランドの画像の図である。
【
図1b】
図1bは、
図1aの画像からのピクセルの輝度のヒストグラムである。
【
図2】
図2a及び2cは、異なる照明条件下で観察された
図1aの毛髪ストランドの画像の図である。
図2b及び2dは、それぞれ
図2a及び2cの画像からのピクセルの輝度のヒストグラムである。
【
図3】
図3は、例示的実施形態の方法のステップを示すフローチャートの概略図である。
【
図4】
図4は、例示的実施形態のシステムの概略図である。
【
図5】
図5a~5dは、それぞれ30%、50%、70%及び90%の白髪繊維を含む、既知の灰色レベルの毛髪の参照ストランドのグレースケール画像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この方法は、ユーザーの毛髪ストランドの1つの画像で観察された輝度の分析に基づいて、ユーザーの毛髪の灰色レベルの決定に客観性を追加する。白髪繊維は、着色毛髪繊維よりも明るく、すなわち、より高い輝度で見えると考えられる。したがって、画像上で、白髪繊維に対応するピクセルを、着色繊維に対応するピクセルから、その輝度に基づいて区別することが可能である。しかしこれは、事前に定められた表示基準に従い繊維を表示する画像に対して実行すべきである。「事前に定められた表示基準」という用語は、本発明の文脈において、毛髪繊維が画像化された幾何学的および物理的条件に戻すものとして理解されるべきである。例えば、このような条件には以下が包含される:画像の解像度(倍率)、照明条件(毛髪ストランドに入射する光のスペクトル、光の強度)、毛髪ストランドが表示される視点(画角、画像取得ツールと毛髪ストランドの繊維との間の距離)。このような条件が事前に定められている場合、任意の毛髪ストランドの灰色レベルを決定するための信頼できるワークフローを確立することができる。そのために、任意の画像上で着色毛髪繊維を白髪繊維から区別することができる閾値輝度の基準値が使用される。1つのアプローチは、この閾値輝度値を、灰色レベルが既知の毛髪ストランドの画像上の着色毛髪繊維と白髪繊維とを区別することができる輝度値に固定することである。これは、例えば、画像分析ツールを使用して全ての輝度値の分布を決定し、画像の最も明るいピクセルに属するものと最も暗いピクセルに属するものを確認することで実行できる。閾値は輝度レベルにあり、それを超えると、より高い輝度を有するピクセルのパーセンテージが、灰色レベルが既知の毛髪ストランドの白髪繊維のパーセンテージに等しくなる。例えば、毛髪ストランドを表示する画像のコントラストが非常に高いために着色繊維に属するピクセルと白髪繊維に属するピクセルが明確に区別される場合、閾値輝度値の他の定義を使用することができる。この場合、閾値輝度を、例えば最も明るいピクセルと最も暗いピクセルの中間の輝度値に設定することができる。
【0012】
「画像の部分」は、画像の部分要素だけでなく、画像自体全体であってもよいことに留意されたい。
【0013】
一実施形態によれば、閾値輝度値は、毛髪の参照ストランドにおける毛髪繊維の総量の50%に等しい白髪繊維の既知の割合を有する、毛髪の参照ストランドの画像上で測定された中央輝度値として設定される。
【0014】
閾値輝度値のこのような定義は、任意のタイプの毛髪繊維を同数の白髪繊維と混合し、そのようにして得られた毛髪の参照ストランドの画像の部分の全ピクセルに対する中央輝度値を測定することによって、容易に定めることができる。毛髪の参照ストランドを画像化した条件は、未知の灰色レベルの毛髪ストランドで行われるさらなる測定のための、事前に定められた表示基準を決める。閾値輝度値は、事前に定められた表示基準で毛髪繊維を表示する毛髪ストランドの画像に対して行われる場合、又は事前に定められた表示基準に対応する形式に変換される場合、全てのさらなる測定の参照として使用できる。
【0015】
一実施形態によれば、該方法はさらに以下を含んでよい:
・毛髪ストランドの着色繊維の色に応じて、閾値輝度値を設定すること。
【0016】
様々な毛髪繊維が様々な方法で光を反射し、画像のピクセルに様々な輝度値で表示される。したがって、毛髪ストランドの着色繊維の色に従って閾値輝度値を設定することが有利である。例えば、閾値輝度値は、次のように分類される毛髪ストランドの着色繊維の色に応じて、順々に増加し得る:黒、ダークブラウン、ライトブラウン、ダークブロンド、ミディアムブロンド、ライトブロンド。
【0017】
一実施形態によれば、該方法はさらに以下を含み得る:
・既知の灰色レベルの毛髪の参照ストランドの画像を取得すること、該画像は、事前に定められた表示基準に従い毛髪の参照ストランドを表示し、該画像は、毛髪の参照ストランドをピクセルで表示する参照部分を含む;
・参照部分の各ピクセルについて、輝度値を決定すること;
・決定された輝度値を、パーセンタイル(percentiles)に従い配置すること;
・閾値輝度値を、毛髪の参照ストランドにおける着色毛髪繊維の合計パーセンテージに等しい輝度値のパーセンタイルについて観察された輝度値として設定すること。
【0018】
全ての毛髪繊維の半分が白髪繊維である毛髪の参照ストランドを使用する必要はない。任意の割合の白髪繊維を有する毛髪の参照ストランドを、閾値輝度値の決定に使用することができる。しかし、白髪繊維の割合が毛髪繊維の総量の50%に等しくない場合、毛髪の参照ストランドの部分のピクセルについて測定した中央輝度値はもはや適切な値ではない。代わりに、パーセンタイルに従い輝度値をランク付けすることによって、より信頼性の高い結果が得られる。例えば、毛髪の参照ストランドが70%の白髪繊維を含む場合、それは、30%の着色毛髪繊維を含む。輝度値の30番目のパーセンタイルに対応する輝度値は、臨界輝度値を与える。この例の臨界輝度値において、全てのピクセルの30%が、臨界閾値より低い輝度値を有し、したがって、着色毛髪繊維に対応するものとして識別することができ(画像の一部の、全体の平均30%の「より暗い」情報を表す)、全てのピクセルの70%が、臨界輝度値よりも高い輝度値を有し、白髪繊維に関連する、画像の一部の「より明るい」情報に対応する。該臨界輝度値を、次いで閾値輝度値として設定する。
【0019】
一実施形態によれば、該方法はさらに以下を含み得る:
・異なる既知の灰色度の毛髪の少なくとも2つの参照ストランドを取得すること;
・毛髪の各参照ストランドについて、事前に定められた表示基準に従い、毛髪ストランドを表示する画像を取得すること、該画像は毛髪の参照ストランドをピクセルで表示する参照部分を含む;
・各画像の参照部分の各ピクセルについて、輝度値を決定すること;
・各画像の参照部分について、決定された輝度値をパーセンタイルに従い配置すること;
・各画像の参照部分について、臨界輝度値を、毛髪の参照ストランドにおける着色毛髪繊維の合計パーセンテージに等しい輝度値のパーセンタイルについて観察された輝度値として決定すること、
・閾値輝度値を、決定された臨界輝度値の平均値として設定すること。
【0020】
臨界閾値の決定に使用する毛髪の参照ストランドの数を増やすことによって、閾値輝度値を決定するためのより高い精度に到達することができる。理論的には、全ての臨界輝度値は同じであるか、実質的に同一であるべきである。平均値は、閾値輝度値の決定における任意のノイズを減らす可能性がある。
【0021】
一態様によれば、異なる既知の灰色レベルの少なくとも5つの参照ストランドを使用して、閾値輝度値を設定してよい。
【0022】
5つの参照ストランドを使用すると、毛髪の各参照ストランドについて決定された臨界輝度値を平均することにより、閾値輝度値のより正確な決定が可能である。特に、その灰色レベルが、白髪割合の広い範囲(例えば10%、30%、50%、70%及び90%)をカバーする毛髪のストランドを使用することが可能である。
【0023】
一態様によれば、該方法はさらに以下を含んでよい:
・異なる毛髪色を含み既知の灰色度の毛髪の参照ストランドのセットの、毛髪の各参照ストランドについて、閾値輝度値を設定すること。
【0024】
一態様によれば、該方法はさらに以下を含んでよい:
・画像の該部分内の各ピクセルの色を、グレースケールに変換すること。
【0025】
カラー画像をグレースケール画像へ変換することにより、毛髪ストランドの灰色レベルの決定に、さらなる精度を付加することができる。実際に、灰色の色味は、カラーよりも、毛髪繊維を表示するピクセルの輝度の測定に、より標準化されたアプローチをもたらす。例えばブロンドの毛髪繊維は、通常、黒又はブラウンの毛髪繊維よりも、より高い輝度を有するものとして画像に現れるであろう。それによって、灰色レベルの決定の正確性が変わる。あるいは、毛髪色の各タイプについて閾値輝度値を決定して、該方法の正確性を改善することも可能である。
【0026】
一態様によれば、該方法はさらに以下を含んでよい:
・毛髪ストランドの原画像を取得すること、該原画像は、毛髪ストランドと既知の寸法及び色のキャリブレーションバーとを表示する;
・事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示するために、原画像の画角、倍率及び輝度のうちの少なくとも1つを変更することが可能な画像処理を使用して、原画像の表示パラメータを調整することによって、原画像を変換すること、該表示パラメータは、少なくとも画角及び倍率を含む。
【0027】
既知の色、形状、サイズ及び場合により既知の光反射特性を有するキャリブレーションバーを使用すると、固定された表示パラメータを使用して画像を取得する必要性を回避することができる。代わりに、キャリブレーションバーが、画像を取得する際に使用した、遠近法、倍率及び照明条件についての必要とされる情報を提供することができるため、画像をその原状態から事前に定められた表示基準に適合する変換状態へと処理し修正することができる。
【0028】
原画像の画角、倍率、及び輝度のうちの少なくとも1つを変更することができる画像処理は、通常、画像の変形、例えば画角の変化を模した上部の縮小及び底部の拡大を、傾斜又は追加するために使用されるソフトウェアであってよい。原画像の輝度は、画像を処理するためのソフトウェアにおけるガンマパラメータを用いて変更することができる。様々なマスクを適用し、画像内のピクセルのプロパティを変更することができる。
【0029】
一実施形態によれば、事前に定められた表示基準は以下の少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせを含み得る:画角、倍率、照明条件、毛髪ストランドの繊維の空間的配置、毛髪ストランドと毛髪ストランドを照らす光源との相対位置、及び、光源のスペクトル及び強度。
【0030】
これらのパラメータについて、多くの異なる値を選択することができる。有利には、これらのパラメータは、毛髪の少なくとも1つの参照ストランドに基づいて閾値輝度値を設定する際に使用した値に対応すべきである。
【0031】
一実施形態によれば、該方法はさらに以下を含み得る:
・毛髪ストランドをピクセルで表示する画像の部分を、該部分が実質的に平行な毛髪繊維を含むように選択すること。
【0032】
画像の部分において、重なり合った毛髪繊維を有するものを回避することが特に有利である。そのために、毛髪ストランドは、例えば該毛髪繊維を互いに実質的に平行に配置するのを助ける基材上に置くことができる。毛髪の厚さは、灰色レベルの評価の結果に影響を与えないが、毛髪の長さに対して異なる厚さを有し得る毛髪繊維のセクションを含めないことが好ましい。例えば、髪の長さを優先し、毛根又は毛先は避けることができる。毛髪ストランドがユーザーの頭にある場合、皮膚を含む部分を含まないように注意すべきであるか、又はこのような部分を排除する該部分のさらなる処理が推奨されるであろう。
【0033】
本発明はまた、上記の方法を実施するに適したシステムに関する。特に、毛髪ストランドの灰色レベルを決定するためのこのようなシステムは、以下を含み得る:
・毛髪ストランドの画像を受信するように構成された画像取得デバイス、該画像は、事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示する;
・画像取得デバイスからデータを受信することができ、次のように構成された、少なくとも1つの非一時的(non-transitory)データ処理デバイス:
・該画像内の部分を選択する、該部分は毛髪ストランドをピクセルで表示する;
・該部分の各ピクセルについて、輝度値を決定する;
・決定された輝度値が閾値輝度値を超える、該部分内のピクセルの量を推定する;
・該部分のピクセルの総量に対する推定されたピクセル量の割合を計算することによって、毛髪ストランドの灰色レベルを決定する。
【0034】
用語「画像取得デバイス」は、事前に記録された画像を数字形式で受信することができる電子部品を表し得る。この場合において、「画像取得デバイス」は、例えばプロセッサを含む回路などのハードウェア部品である。それは、カメラ、光検出器、又は毛髪ストランドにより反射された光を測定することによって画像を記録することができる任意の他のデバイスでもあり得る。この光検出器の光学的分解能は、画像の部分における個々の毛髪繊維を検出可能とするために、有利には、マイクロメーター又はサブマイクロメーターレベルである。「少なくとも1つの非一時的データ処理デバイス」は、典型的には、画像取得デバイスより供される画像の数値情報を分析する、プロセッサを含む回路などのハードウェア部品である。コンピュータ又はコンピュータのネットワークなどのデバイスの一部である場合、異なる部品が該方法の実行に寄与し得る。例えば、第1の回路またはコンピュータは、該イメージを処理し、その適当な部分を選択し得る。第2の回路またはコンピュータは、ピクセルの輝度特性のデータシートを構築し、その輝度が閾値輝度値を下回るものを数えることができる。
【0035】
一実施形態によれば、該システムはさらに以下を含んでよい:
・画像取得デバイスを受けるに適し、毛髪ストランドに対して事前に定められた距離、事前に定められた位置、及び事前に定められた角度で配置された、位置選択メカニズム。
【0036】
このような位置選択メカニズムは、例えばフレームなどの物理的要素であってよい。このようなフレームは、毛髪ストランドに対する画像取得デバイスの異なる位置及び向きを選択するための、調整可能な要素を含み得る。あるいは、このメカニズムは、例えば、毛髪の参照ストランド及び画像取得デバイスについての第1の配置設定を記録し、さらなる毛髪ストランドと画像取得デバイスとが、第1の配置設定に従い配置されているかどうかを確認する、センサーのセットを含み得る。
【0037】
一実施形態によれば、該システムはさらに以下を含み得る:
・光源、該光源は毛髪ストランドに対して事前に定められた距離、事前に定められた位置、及び事前に定められた角度で配置され、以下:
放出される光のスペクトル、放出される光の強度
の少なくとも1つから選択される事前に定められた特性を有する光を放出するように構成される。
【0038】
光源は、その特性、特に放出される光のスペクトル、放出される光の強度、及び光源の向きが事前に定められた、周囲光、又は人工光源であってよい。光源のスペクトル、強度及び向きを固定することで、毛髪ストランドの真の灰色レベルの決定において、該方法の精度がさらに改善される。
【0039】
一実施形態によれば、該システムはさらに以下を含んでよい:
・曲面を含む基材、該局面は毛髪ストランドを受けるように構成されている。
【0040】
この基材は、特に、異なる入射角から、光源からの光を画像取得デバイスへ反射するために、毛髪繊維をその上に配置することが意図される曲面を備えた、レセプタクルを有していてよい。該光源は、周囲光、又は、その特性(特に放出される光のスペクトル、放出される光の強度、及び光源の向き)が事前に定められた光源であってよい。これにより、照明条件の影響の可能性を平均化することによって、灰色レベルのより正確な推定が可能となる。実際に、異なる入射角から光が到達する際、毛髪繊維は光を異なって反射する。毛髪ストランドのための曲面(例えば円筒形の表面)は、毛髪ストランドに投影され画像取得デバイスへと反射される光の、入射角の勾配を作り出す。
【0041】
本発明はまた、上記のような毛髪ストランドの灰色レベルを決定する方法を実行するための指示を含むコンピュータプログラムが格納された、非一時的コンピュータ可読貯蔵媒体に関する。
【0042】
言い換えると、本発明は、上記のような毛髪ストランドの灰色レベルを決定するための方法を実行するための命令を含む、コンピュータプログラム製品にも関する。
【0043】
本開示は、次の図面と組み合わせて以下に説明され、ここで、同様の数値は同様の要素を示し、以下の通りである。
【0044】
図1aは、毛髪ストランドの画像の図である。
図1bは、
図1aの画像からのピクセルの輝度のヒストグラムである。
図2a及び2cは、異なる照明条件下で観察された
図1aの毛髪ストランドの画像の図である。
図2b及び2dは、それぞれ
図2a及び2cの画像からのピクセルの輝度のヒストグラムである。
図3は、例示的実施形態の方法のステップを示すフローチャートの概略図である。
図4は、例示的実施形態のシステムの概略図である。
図5a~5dは、それぞれ30%、50%、70%及び90%の白髪繊維を含む、既知の灰色レベルの毛髪の参照ストランドのグレースケール画像の図である。
【0045】
明確性のために、これらの図に示されている特徴の寸法は、対応する要素の実際のサイズの比率に必ずしも対応しているとは限らない。
【0046】
〔詳細な説明〕
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本明細書に記載される主題の開示、又は適用、並びに、使用を制限することを何ら意図するものではない。さらに、前述の背景又は以下の詳細な説明に示す任意の理論に何ら拘束されることを意図しない。
【0047】
本発明は、毛髪繊維の灰色レベルの決定を、より客観的及び正確にする方法を提供する。この方法は、「事前に定められた表示基準」とも称される「キャリブレーションスタンダード」を形成する、事前に定められた条件の下で得られた、毛髪ストランドの画像における明るいピクセルの数の(カウントによる)評価に依存する。明るいピクセルの評価は、白髪繊維又は着色毛髪繊維に属するような2つのカテゴリーへのピクセルの分類を可能にする、閾値輝度値の固定によっても導かれる。この閾値輝度値は、灰色レベルが既知の毛髪の参照ストランドを用いることによって設定することができ、これについて、「キャリブレーションスタンダード」の下で、毛髪繊維の画像のピクセルをどのようにして白髪繊維又は着色毛髪繊維に属することを特定できるかを決定することも可能である。この閾値は、より高い輝度を有する全てのピクセルが白髪繊維に対応するものとして識別されるように、ピクセルの輝度の限度を設定する臨界輝度レベルに設定される。臨界輝度値において、画像内のより高輝度のピクセルの割合が、参照毛髪における白髪繊維の割合に等しくなる。
【0048】
用語「輝度」又は明るさは、L*a*b色空間で表される明度L、又は、例えば明るさを表す物理的パラメータ、すなわち、単位立体角あたりの光束、カンデラcdで表される光度、カンデラ/平方メートルであらわされる単位投影ソース面積あたりの単位立体角あたりの光束を表し得る。この用語は、これらの唯一の定義に解釈されるべきではない。例えば、L*a*b色空間以外の任意の他の色空間における明度Lと同等であってよく、光検出器によって感知される光学的シグナルの強度を定量化するために使用される任意の他の単位であってもよい。明度、明るさ、及び輝度は、本明細書及び添付の請求項において交換可能である。
【0049】
本発明の方法を理解するために、
図1a、1b、2a-2fに、このような毛髪ストランドの画像のピクセルに適用される統計ツールを用いて毛髪ストランドの特性を分析する際に何が起こるかを示す。
【0050】
図1aに、毛髪1のストランドの画像11が表されている。毛髪1のストランドは、50%の白髪繊維と50%の着色毛髪繊維とを含有するように意図的に選択した。画像11を見たときの一般的な印象は「塩とコショウ」の外観である。該毛髪ストランドは曲面を有する基材(図示せず)上に置かれ、これは、画像11の上部から下部へ、明るさの勾配をもたらす。画像11の撮影に用いた遠近法は、画像11の端部20に見られるように、毛髪繊維における曲げももたらす。画像11に基づいて、この毛髪ストランドの灰色レベルの算出を試みる際、ホワイトピクセルを白髪繊維に属するとし、ダークピクセルを着色毛髪繊維に対応すると分類することを試みるであろう。ピクセルの総数に対するホワイトピクセルの割合は、灰色レベルを示唆するであろう。
【0051】
図1bに見られるように、このアプローチは、ホワイトピクセルの明らかな定義がないため、簡単ではないであろう。
図1bは、
図1aに表される画像11のピクセルについての、(L
*a
*b色空間の標準を用いる、L、明度、成分について、0~255にランク付けられる)輝度値のヒストグラムを示す。水平軸110は0~255の輝度値を示し、垂直軸120は、決定された輝度値を有するピクセルの数に対応する。このヒストグラムは、白髪繊維に属するピクセルと、着色毛髪繊維に属するピクセルとを明確に区別していないことがわかる。ヒストグラムの統計分析は、中央輝度値が78と測定されたことを示す。詳しく見ると、この数値が、一方では白髪繊維を識別し、他方では着色毛髪繊維を識別する、二つのカテゴリーへのピクセルの分類に最も適するパラメータではないことがわかる。
【0052】
この分類における不確実性の1つの原因は、上記に記載するような端部効果、又は照射条件からの影響に起因し得る。これらの効果は、例えば実質的に平行な重なり合わない毛髪繊維を含む、
図1aの画像11の部分100を選択することによって軽減され得る。
【0053】
図2a及び2cは、異なる証明条件下での、
図1aと同じ毛髪1のストランドを示す。画像12を示す
図2aにおける感知された明るさは、画像13を示す
図2cにおける感知された明るさと異なる。
図2b及び2dのヒストグラムはこの違いを確認する。特に、
図2aの画像12の中央輝度値は54であることがわかり、
図2cの画像13の中央輝度値は103であることがわる。これらの値はいずれも、
図1bの中央値78に対応しない。さらに、該ヒストグラムは輝度の分布における著しい不均衡性を示す。
【0054】
灰色レベルの決定に信頼性を追加するために、本発明は、毛髪ストランドの画像のためのキャリブレーションスタンダードとも称され得る表示基準を定義する。全ての画像が、事前に定められた照明条件下で、事前に定められた毛髪ストランドからの距離で、事前に定められた倍率で、かつ、事前に定められた視野角下でのいずれかで得られる際、例えば、
図1aの毛髪ストランドについての輝度値のヒストグラムが、閾値輝度値を定義するための参照として役立つ。そのため、
図1の毛髪1のストランドの例について、50%の明るいピクセルが白髪に起因し、50%の暗いピクセルが着色毛髪に起因していることがわかっているために、閾値輝度値を輝度の中央値に固定することができる。画像11からのピクセルの輝度に関する統計分析によって、65の中央輝度値が導かれ、これは、中央輝度値より導かれた78の値とは実質的に異なる。
図1の例における中央輝度値の使用は、
図1に示す毛髪ストランド1は既知の割合の白髪及び着色毛髪を含むため、着色毛髪から白髪を区別するのに有効な基準であること、及び、この毛髪1のストランド中に着色毛髪と同じくらいの白髪が存在することに留意すべきである。
【0055】
図3に、本発明の一実施形態による方法を説明するために使用され得る主なステップを、フローチャートでまとめる。第1に、毛髪ストランドの灰色レベルを決定するための方法300は、画像が事前に定められた表示基準に従い毛髪ストランドを表示するように毛髪ストランドの画像を取得すること310からなり得る。この事前に定められた表示基準は、例えば光検出器デバイスを用いて、画像が取得される条件を定義するために使用され得る。あるいは、事前に定められた表示基準は、元の不適切なフォーマット及び遠近法から、その画角、倍率、解像度、及び照明条件が「事前に定められた表示基準」のものに合致する画像へと変換するための、既存画像の加工における参照として役立つ。
【0056】
事前に定められた表示基準は複数のパラメータを含み得る。例えば、画角、倍率、照明条件、毛髪ストランドの繊維の空間的配置、毛髪ストランドと毛髪ストランドを照らす光源との相対的位置、光源のスペクトル及び強度を定義し得る。
【0057】
画像が、事前に定められた表示基準と互換性でない場合、又は、閾値輝度値が得られた条件を十分に厳密に再現する手段がない場合に、キャリブレーションバーなどのキャリブレーションオブジェクトをさらに含む毛髪ストランドの画像を取得することが可能である。このようなオブジェクトは既知の形状、寸法、色、光反射特性を有し、該画像の遠近法を事前に定められた表示基準へと変換するのに役立つ碑文をさらに含んでよい。
【0058】
事前に定められた表示基準における画像は、特に、1つの部分100を含み、これは、皮膚、又は根本、又は先端を避けるように有利に選択され得る。画像の変換に使用する場合には、キャリブレーションバーを避けることも有利である。
【0059】
画像が事前に定められた表示基準において毛髪ストランドを表示すると、部分100の各ピクセルについて輝度値を決定すること320によって、該方法が継続され得る。
【0060】
この輝度値は、決定された輝度値が閾値輝度値を超える部分におけるピクセルの量を決定すること330のためのさらなるステップにおいて、使用され得る。
【0061】
最後に、該方法は、部分100におけるピクセルの総量に対する決定されたピクセルの量の割合を評価することによって毛髪ストランドの灰色レベルを決定すること340により進行する。
【0062】
さらに、該方法は毛髪ストランドの着色された繊維の色を考慮してもよい。この色は、閾値輝度値の設定における関連するパラメータとなり得る。実際に、ブロンドの毛髪繊維の画像のピクセルの輝度値は、灰色の毛髪繊維の値と似ており、一方、黒い毛髪繊維の輝度値は、灰色の毛髪繊維の値よりもかなり小さい。したがって、毛髪ストランドの着色毛髪繊維の色を決定し、それに応じて閾値輝度値を設定することが有利である。毛髪繊維色の以下の分類は、最も暗いものから最も明るいものまで定義することができる:黒、ダークブラウン、ミディアムブラウン、ライトブラウン、ダークブロンド、ミディアムブロンド、ライトブロンド。閾値輝度値は、着色毛髪繊維の色が黒からライトブロンドへと変化するに従い、ますますより高い値に設定される。本発明の方法は、画像内の輝度値の分布を分析し、閾値輝度値を、該閾値よりも高い輝度を有するピクセルの割合が本発明の方法が適用される既知の灰色度の毛髪ストランドにおける白色毛髪の割合に等しい値に設定することによって、この課題を克服するものであることに留意すべきである。
【0063】
しかしながら、灰色レベルの決定の精度をさらに改善するために、着色毛髪繊維の対応する色を識別するために、毛髪ストランドの画像における最も暗いピクセルの色を分析することも可能である。未知の毛髪ストランドの灰色度を解析する際、着色毛髪の対応する色を特定するために、まず、最も暗いピクセルの色を分析する。次いで、未知の灰色度の毛髪の画像におけるピクセルの輝度を、類似の毛髪色の既知の灰色度値の毛髪ストランドを用いて固定された閾値で、上記に述べた方法を用いて分析する。用語「類似の」毛髪色は、色空間において、未知の灰色度の毛髪ストランドの毛髪色に対する距離が最小である毛髪色を表す。それにより、この方法の正確性はさらに改善され、着色された毛髪色の幅広いスペクトルについて閾値輝度値を決定するに有利である。
【0064】
この方法300を実施するために、
図4に示すようなシステム400を使用することが可能である。
図4は、側面から見た毛髪繊維401を表し、該毛髪繊維401は毛髪ストランドの部分である。毛髪繊維401、ならびにそれがその部分である毛髪ストランドは、毛髪ストランドに入射する光が異なる方向に反射されピクセルの輝度のヒストグラムの決定における照射条件の影響の低減を生じるように、曲面を有する基材440上に載っている。入射光411は、周囲光から、又は、人工光源410のいずれかから発生し得る。反射光421は、例えばカメラ又は電荷結合素子などの光検出器等の画像取得デバイス420によって検出することができる。画像取得デバイスは、単にファイルを無線又は有線接続を介して受信することが可能な、電子部品であってもよく、ここで、画像は既に例えばデータベースからアクセス可能であるべきである。
【0065】
画像取得デバイス420にて取得した画像は、次いで、無線422で、又は、有線接続を介するいずれかによって、非一時的データ処理デバイス430へと転送される。非一時的データ処理デバイス430は、例えば、コンピュータ431、プロセッサ、プロセッサのネットワーク、電子回路又はコンピュータであってよく、これは、上記に述べたステップに従い毛髪ストランドの灰色レベルを決定するために、画像を処理する。
【0066】
あるいは、非一時的データ処理デバイス430は、携帯電話、タブレット、又は任意の同様のデバイスなどのモバイルデバイス432であってもよいし、上記に述べたステップのいずれかにおいて、モバイルデバイス432を含んでもよい。
【0067】
毛髪ストランド、画像取得デバイス420、及び場合により光源410が、事前に定められた表示基準に適合する画像を生じることを可能にする、事前に定められたセットアップに従い配置されることを確実にするために、位置選択メカニズム450(例えばフレーム又はセンサーアレーなど)を使用することも可能である。位置選択メカニズム450が
図4に概略的に表されるようなフレームである場合、これは距離及び画角を選択することが可能な調整可能要素を含んでよい。あるいは、位置選択メカニズムは、毛髪の参照ストランド及び画像取得デバイスについて第1キャリブレーションセッティングを記録し、さらなる毛髪ストランド及び画像取得デバイスが第1キャリブレーションセッティングに従い配置されているかどうかをチェックする、センサーのセットを含んでなることも可能である。
【0068】
閾値輝度値を設定するための方法の一般化を、
図5a~5dに関連して以下に説明する。
【0069】
閾値輝度値を設定するには、既知の灰色レベルの毛髪の参照ストランドの画像に見られる輝度値を推定することで十分である。ピクセル輝度のヒストグラムが入手できれば、毛髪の参照ストランド中に存在することが既知の白髪繊維の割合に等しいピクセルの割合まで、ピクセルの数を数える必要があり、該輝度は明るさである。
【0070】
図5a~5dは、カラービューからグレースケール画像に変換された、既知の灰色レベルを有する毛髪の参照ストランドの画像14-17を示す。この変換により、信頼性が改善され、着色毛髪繊維の色に関係なく、その後に画像上で観察される輝度値がさらに標準化される。
【0071】
図5aは、30%の灰色レベルを有することが既知の毛髪2の参照ストランドを示す。言い換えると、該毛髪2の参照ストランドにおいて、70%の毛髪繊維が着色され、30%の毛髪繊維が白髪繊維である。この毛髪ストランドの事前に定められた表示基準における画像14が得られると、部分100を選択することができる。あるいは、部分100は、画像14全体を包含することもできる。特に輝度値のパーセンタイルにアクセスするために、決定されたピクセル輝度について統計を実行する。例えば、輝度値の70番目のパーセンタイルは臨界輝度値に対応し、そのもとにおいて、70%のピクセルは臨界輝度値よりも低い輝度を有し、30%のピクセルは臨界輝度値を超える輝度値を有する。次いで、該臨界輝度値を閾値輝度値として設定することができる。
【0072】
図5bは、50%の灰色レベルを有することが既知の毛髪1のストランドを示す。画像15は画像11のグレースケール画像である。
【0073】
図5cは、70%の灰色レベルを有することが既知の毛髪3の参照ストランドを示す。言い換えると、該毛髪3の参照ストランドにおいて、30%の毛髪繊維が着色され、70%の毛髪繊維が白髪繊維である。
図5aに関して記載したステップを、輝度値の30番目のパーセンタイルについて見られた輝度値に臨界輝度値を設定することによって繰り返す。
【0074】
図5dは、90%の灰色レベルを有することが既知の毛髪4の参照ストランドを示す。言い換えると、該毛髪4の参照ストランドにおいて、10%の毛髪繊維が着色され、90%の毛髪繊維が白髪繊維である。
図5aに関して記載したステップを、輝度値の10番目のパーセンタイルについて見られた輝度値に臨界輝度値を設定することによって繰り返す。
【0075】
画像を好ましい部分に限定することなく、画像14-17から得た臨界閾値は、該臨界輝度値にいくらかの違いをもたらす。画像14について、臨界輝度値は72であると特定され、画像15について、臨界輝度値は65であると特定され、画像16について、臨界輝度値は76であると特定され、かつ、画像17について、臨界輝度値は85であると特定される。閾値輝度値についてのより良好な選択は、これら4つの値の平均値に設定することであり得、全てが75に近い。
【0076】
臨界閾値間の差は、
図2a-2dにおける白い四角で表されるもののように、より小さい部分100を注意深く選択することによって、減らすことができる。
【0077】
次いで、未知の灰色度の毛髪ストランドの任意の他の画像における白髪繊維に対応するピクセルの数を特定し数えるために、閾値輝度値を使用することができる。
【0078】
本発明の方法は、毛髪ストランドの灰色レベルを出力する。この情報は、例えばカスタマイズされた毛髪処理製品提案をするために使用することができる。通常、ユーザーの灰色レベルが分かれば、決定された灰色レベルに適合する毛髪着色処理又はシャンプーの選択をもたらすことができる。製品提案の出力、又は、決定された灰色レベルの出力は、視覚的形式又は聴覚的形式で、マンマシンインターフェースを介して行うことができる。さらに、このようなマンマシンインターフェースは、ユーザーに表示されるメニューからの選択を介して書面で、あるいは、選択を口述することによる、又は、ソフトフェア支援インターフェースとの口頭でのコミュニケーションによる、口頭によって、ユーザーからのインプットを受信し得る。
【0079】
上記に述べた例及び実施形態のステップは、コンピュータなどのプロセッサによって行うことができる。上記に述べた方法のステップを含むコンピュータプログラム製品を、コンピュータ上の方法を実行するために使用することができる。
【0080】
本発明の方法を実行する指示を含むコンピュータプログラムを有する、異なる種類の非一時的なコンピュータ可読記録媒体も使用することができる。これらは例えば、プロセッサ又はチップ、いくつかのプロセッサ又はチップを含む電子回路、ハードドライブ、フラッシュ又はSDカード、USBスティック、CD-ROM又はDVD-ROM又はブルーレイディスク、又はディスケット又はフロッピーディスクを含み得る。
【0081】
上記の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的実施形態を示したが、膨大な数の変形例が存在することを理解すべきである。また、例示的実施形態は例にすぎず、種々の実施形態の範囲、適用性、又は構成を何ら制限することを意図するものではないことも理解すべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、本明細書において期待されるような例示的実施形態の実施にあたり、当業者に便利なロードマップを提供するであろう。添付のクレームに記載されるような種々の実施形態の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される要素の機能及び配置において、種々の変更を行ってよいことも理解される。
【国際調査報告】