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特表2022-516323非イソシアネートポリウレタンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】非イソシアネートポリウレタンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 71/00 20060101AFI20220217BHJP
   C07D 209/42 20060101ALI20220217BHJP
   C07D 235/30 20060101ALI20220217BHJP
   C07D 295/135 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
C08G71/00
C07D209/42
C07D235/30 A
C07D295/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539025
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2019084398
(87)【国際公開番号】W WO2020141046
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】19382006.5
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ミラリェス,ホセ
(72)【発明者】
【氏名】モレノ ルエダ,マリルス
(72)【発明者】
【氏名】ベヤスクルジュ,ゼイネプ
(72)【発明者】
【氏名】ガバラ カステル,ラケール
(72)【発明者】
【氏名】エリアス ペラ,ハビエル
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034SA02
4J034SB01
4J034SB05
4J034SC03
4J034SD02
4J034SD10
(57)【要約】
本出願は、非イソシアネートポリウレタンの製造方法に関する。より具体的には、本出願は、アミドインドール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、およびスクアラミド誘導体から選択される単一の触媒成分を用いる、非イソシアネートポリウレタンの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イソシアネート系ポリウレタンの製造方法であって、該方法は以下:
(1)環状カーボネート成分を提供すること、
(2)第1級アミン、第2級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン成分を提供すること、および
(3)以下:
(a)式(I)で表されるアミドインドール誘導体、
【化1】
[式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す]
(b)式(II)で表されるベンズイミダゾール誘導体、
【化2】
[式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す]
および、
(c)式(III)で表されるスクアラミド誘導体
【化3】
[式中、
及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表し、かつ、
は、シクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールを表し、これらは、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、フェニル、ナフチル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールにより、場合により置換されている]
からなる群から選択される、環状カーボネート成分とアミン成分との開環反応を行う、単一の触媒成分を提供すること
を含む、方法。
【請求項2】
環状カーボネート成分は、式(IV):
【化4】
[式中、Rは、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エーテル基、ポリエーテル基、エステル基、ポリエステル基、アミド基、ポリアミド基、ウレタン基、ポリウレタン基、尿素基、ポリウレア基、アセタール基、またはポリアセタール基を表す]
または式(V):
【化5】
[式中、Aは、エーテル基、ポリエーテル基、エステル基、ポリエステル基、アミド基、ポリアミド基、ウレタン基、ポリウレタン基、尿素基、ポリウレア基、アセタール基、およびポリアセタール基から選択される少なくとも1つの官能基を含有する有機基である]
で表される5員環状カーボネートである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
環状カーボネート成分は、次の化合物:
【化6】
から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アミンは、モノ-およびジプロピルアミン、モノ-およびジブチルアミン、モノ-およびジシクロヘキシルアミン、エチルメチルアミン、モルホリン、メチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジアルキルエチレンジアミン、N,N,N-トリアルキルエチレンジアミン、N,N'-ジアルキルプロパンジアミン、およびN,N,N'-トリアルキルペンタンジアミンから選択される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
単一の触媒成分は次の化合物:
【化7】
から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
開環反応は、0℃~80℃、好ましくは5℃~50℃、より好ましくは20℃~35℃の温度で行われる、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
単一の触媒成分は、環状カーボネート成分のモル数に基づいて、1~15mol%、好ましくは5~10mol%の量で存在する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
環状カーボネート成分とアミン成分との重量比は、2:1~1:2、好ましくは1:1~1:1.5である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
環状カーボネート成分およびアミン成分を用いて非イソシアネート系ポリウレタンポリマーを形成するための単一の触媒成分であって、該単一の触媒成分は以下:
(a)式(I):
【化8】
[式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す]
で表されるアミドインドール誘導体、
(b)式(II):
【化9】
[式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す]
で表されるベンズイミダゾール誘導体、および
(c)式(III):
【化10】
[式中、
及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表し、かつ、
は、シクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールを表し、これらは、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、またはシクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールによって、場合により置換されている]
で表されるスクアラミド誘導体
からなる群から選択される、単一の触媒成分。
【請求項10】
環状カーボネート成分とアミン成分との反応生成物であり、以下:
(a)式(I):
【化11】
[式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す]
で表されるアミドインドール誘導体、
(b)式(II):
【化12】
[式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す]
で表されるベンズイミダゾール誘導体、および
(c)式(III):
【化13】
[式中、
及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表し、かつ、
は、シクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールを表し、これらは、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、またはシクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、または、炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールにより、場合により置換されている]
で表されるスクアラミド誘導体
からなる群から選択される単一の触媒成分の存在下で形成されたウレタン結合を含む、非イソシアネート系ポリウレタンポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、非イソシアネートポリウレタンの製造方法に関する。より具体的には、本出願は、単一の触媒成分を使用することによる、非イソシアネートポリウレタンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シクロカーボネートのアミノリシスによって、ポリウレタン(PU)の有害試薬不含の類似体である、非イソシアネートポリウレタン(NIPU)の製造が可能になる。室温での第1級および第2級アミンによる環状カーボネートの開環反応は、数日かかる可能性があるため、工業規模で使用するには遅すぎる。そのため、触媒の作用によるモノマーの活性化を含む、非イソシアネート系ポリウレタンの形成を加速するための改良された触媒系を開発することが非常に重要である。室温でアミンを用いるシクロカーボネートのアミノリシスのための、そのような触媒を開発するための努力がなされてきた。
【0003】
ChemSusChem 2016、9、1-5には、尿素誘導体に基づく触媒系のスクリーニングが開示され、シクロヘキシルアミンを用いるプロピレンカーボネートの開環における、それらの挙動が、チオ尿素類似体によって示される挙動と比較されている。(チオ)尿素のpKaと不均等な置換パターンは、カーボネート開環の効率に重要である。より酸性又はより塩基性の(チオ)尿素は、より低い変換をもたらした。実際に、シクロヘキシルアミンは、最も酸性の(チオ)尿素誘導体を脱プロトン化することができる[25℃でpKa(シクロヘキシルアミン)=11.5]。その結果、脱プロトン化された触媒は、カーボネートを活性化することができない。反対に、酸性度の低い触媒は、アミンの求核攻撃を可能にするに十分強くカルボニルを活性化しない。
【0004】
米国特許第2016/9260564B2号には、室温での第一級アミンによる環状カーボネートの開環のためのルイス酸およびルイス塩基を含む共触媒システムが開示されている。ルイス酸(LiOTf)とルイス塩基(TBDとDBU)が共に作用し、求電子剤(該カーボネート)と求核剤(該アミン)を活性化し得る。しかし、一部の触媒は、安全衛生上の懸念があるか(DBU)、空気に敏感である(TBD及びDBU)。さらに、多量の各触媒(10%超)が反応を実行するために使用される。
【0005】
米国特許出願公開第2016/0326132A1号は、再生可能な植物油及び第一級ポリアミンに由来する5員環状ビスカーボネートの、場合により強塩基及び/又は求核剤の存在下での、逐次重合を使用するポリ(ヒドロキシウレタン)の製造方法を教示する。強塩基として、シュライナーチオ尿素触媒、グアニジンMTBD(7-メチル-1.5.7-トリアザビシクロ-[4.4.0]デカ-5-エン)、アミジン塩基DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)及びグアニジンTBD(1.5.7-トリアザビシクロ-[4.4.0]デカ-5-エン)が使用される。使用される求核剤としては、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)、塩LiCl及びZnAc(酢酸亜鉛)が含まれる。さらに、共触媒を添加してよい。しかし、反応は、60℃~105℃の間に含まれる温度範囲で実施され、これは、いくつかの産業用途にとって非常に高いと考えられるであろう。
【0006】
国際公開第2013/092011A1号は、ポリヒドロキシウレタン、ポリヒドロキシカーボネート及びヒドロキシスルファニルホルメートの製造における、2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-カルボキサミドの合成方法及び使用を教示する。硬化実験はIPDA(イソホロンジアミン)とTMD(ヘキサメチレンジアミン異性体混合物)を使用する。しかし、これらの新しいエステル活性化シクロカーボネートを用いる反応は、室温で長時間(3~7日)を要する。
【0007】
国際公開第2013060950A1号には、β-ヒドロキシウレタンユニットまたはヒドロキシ-γ-パターンウレタンを含む化合物の製造方法が開示されている。触媒系の存在下での、反応性シクロカーボネートとアミノ反応性ユニット(-NH)との間の反応が報告されている。触媒系は、触媒としての有機金属錯体、およびルイス塩基またはテトラアルキルアンモニウム塩の群から選択される共触媒を含む。それにもかかわらず、触媒及び共触媒のいずれもが危険であり有害であると考えられている。
【0008】
欧州特許出願公開第1070733A1号には、エポキシおよびシクロカーボネート基を含有する多官能性オリゴマーと脂肪族または脂環式アミンとの反応が記載されている。一方、該反応は窒素雰囲気下で行われ、さらには、さまざまな温度範囲(80~120℃)、ならびにいくつかの有機溶媒が使用されている。
【0009】
米国特許出願公開第2007151666A1号には、接着剤/シーラントとして使用される2つの成分を含む結合剤系が記載されている。環状カーボネート基及びそれらの混合物は、成分Aとして報告され、第1級及び第2級アミンは成分Bとして報告されている。しかし、結合剤の合成について、酢酸エチルが溶媒として使用されている。さらに、環状カーボネートは危険なイソシアネートを用いて得られた。
【0010】
Polym.Chem.2017,8,7054には、ラクチド、環状カーボネート、およびラクトンの3つの主要なタイプの環状エステルモノマーの開環重合のための用途の広いアプローチとして、スクアラミド(水素結合ドナー)とアミン共触媒の使用が開示されている。
【0011】
Chem. Eur. J. 2010, 16, 4196-4205には、2つのパートナー水素結合有機触媒によって触媒される、ラクチドの開環重合のメカニズムが記載されている。特定のアミドインドール、チオ-アミドインドール、アミドベンズイミダゾールおよびチオアミドベンズイミダゾールが、モノマーの活性剤として使用される。さらに、水素結合によって、成長するポリマー鎖を活性化する共触媒である第三級アミンも使用された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第2016/9260564B2号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0326132A1号明細書
【特許文献3】国際公開第2013/092011A1号明細書
【特許文献4】国際公開第2013060950A1号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1070733A1号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007151666A1号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ChemSusChem 2016、9、1-5
【非特許文献2】Polym.Chem.2017,8,7054
【非特許文献3】Chem. Eur. J. 2010, 16, 4196-4205
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、環状カーボネートとアミンとの開環反応に対して、複雑でなく、毒性のない触媒系を使用することにより、非イソシアネート系ポリウレタンを製造する改良された方法を開発する必要が依然としてある。さらに、該非イソシアネート系ポリウレタンの製造方法が工業規模に適するように、開環反応が室温で実施可能となるような触媒系が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、非イソシアネート系ポリウレタンの製造方法が提供され、該方法は以下を含む:
(1)環状カーボネート成分を提供すること、
(2)第1級アミン、第2級アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミン成分を提供すること、および
(3)(a)式(I)で表されるアミドインドール誘導体
【化1】
[ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す]
、(b)式(II)で表されるベンズイミダゾール誘導体
【化2】
[ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、および、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す]
、(c)式(III)で表されるスクアラミド誘導体
【化3】
[ここで、
及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表し、かつ、
は、シクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、あるいは、炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールを表し、これらは、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、またはシクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールで場合により置換されている]
からなる群から選択される、環状カーボネート成分とアミン成分との開環反応を行う単一の触媒成分を提供すること。
【0016】
本発明の別の態様は、環状カーボネート成分およびアミン成分を用いる、非イソシアネート系ポリウレタンポリマーを形成するための、本発明による単一の触媒成分である。
【0017】
本発明のさらなる別の態様は、本発明の単一の触媒成分の存在下で形成された、環状カーボネート成分とアミン成分との反応生成物であるウレタン結合を含む、非イソシアネート系ポリウレタンポリマーである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔定義〕
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0019】
用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」及び「含んでなる(comprised of)」は、本明細書において使用される場合、「含む(including)」、「含む(includes)」、「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、包含的又はオープンエンドであり、追加的な未記載のメンバー、要素又は方法ステップを除外するものではない。
【0020】
量、濃度、寸法および他のパラメータが、範囲、好ましい範囲、上限値、下限値または好ましい上限値および下限値の形態で示される場合、任意の上限値又は好ましい値と、任意の下限値又は好ましい値とを組み合わせることによって得られるあらゆる範囲が、該得られる範囲が文脈において明確に示されているかどうかの考慮はなしに、具体的に開示されていると理解すべきである。
【0021】
用語「好ましい(preferred)」、「好ましくは(preferably)」、「望ましくは(desirably)」、「特に(in particular)」及び「特に(particularly)」は、本明細書中でしばしば使用され、特定の事情下において、特別の利益をもたらし得る開示の態様を表す。しかし、1またはそれ以上の好ましいことの言及、または好ましい態様の言及は、他の態様が有用でないことを示すものではなく、かかる他の態様を本開示範囲から除くことを意図するものではない。
【0022】
本明細書において記載する分子量は、特記しない限り、重量平均分子量(Mw)を表す。全ての分子量データは、特記しない限り、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって得た値を表す。
【0023】
そうでないことが記載されない限り、与えられるアミン価は、ASTM D2572-91に従い、0.1N 塩酸を用いる滴定によって得て、その後、mg KOH/gに計算し戻すものである。
【0024】
本明細書において使用される場合、室温は23℃±2℃である。
【0025】
本明細書において使用される場合、用語「芳香族基」は、単核または多核芳香族炭化水素基を意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、「アルキル基」は、アルカンの残基である1価の基を表し、直鎖状および分枝状有機基を含み、該基は置換又は非置換であってよい。
【0027】
特に、本明細書において使用される場合、「C1-アルキル」基は、1~6個の炭素原子を含有するアルキル基を表す。アルキル基の例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;n-ブチル;イソブチル;sec-ブチル;tert-ブチル;n-ペンチル;及びn-ヘキシル。本発明において、このようなアルキル基は非置換であってよく、または、ハロ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルフォキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド及びヒドロキシなどの1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。上記の例示した炭化水素基のハロゲン化誘導体は、特に、適当な置換アルキル基の例として言及され得る。しかし、一般に、1-6個の炭素原子(C1-アルキル)を含有する非置換アルキル基-例えば1~4個の炭素原子(C1-アルキル)あるいは1または2個の炭素原子(C1-アルキル)を含有する非置換アルキル基-が好ましいことに注意すべきである。
【0028】
本明細書において使用される場合、「C1-アルキレン」は、1~6個の炭素原子を有する、2価の直鎖状または分枝状、飽和炭化水素基を意味し、該基は置換または非置換であってよい。完全性のために、適当な置換基は、アルキル基の定義において上記に言及したものである。その非限定例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレンおよびペンタメチレンが挙げられる。
【0029】
用語「ポリイソシアネート」は、前記の脂肪族、脂環式、芳香族およびヘテロ環状イソシアネートと、ポリオールとの、イソシアネート官能性オリゴマーを与える部分的反応によって形成されるプレポリマーを包含することが意図されることに留意すべきであり、該オリゴマーは単独で、または遊離イソシアネートと組み合わせて使用してよい。
【0030】
本明細書において使用される場合、用語「触媒量」は、反応物に対する触媒の準化学量論的な量を意味する。
【0031】
用語「本質的に不含」は、適用され得る基、化合物、混合物または成分が、定義される組成物の重量に基づいて、0.1重量%未満を構成することを意味することが意図される。
【0032】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の非イソシアネート系ポリウレタンは、以下に記載するように、単一の触媒成分の存在下での、環状カーボネート成分とアミン成分との開環反応によって製造される。この記載は、追加の触媒を除いて、開環反応におけるさらなる反応物の存在を排除するものではない。
【0033】
概して、環状カーボネート成分とアミン成分との開環反応を行う単一の触媒成分は、アミドインドール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体およびスクアラミド誘導体からなる群から選択される。本発明者は驚くべきことに、単一の触媒成分が、非イソシアネート系ポリウレタンの優れた収率を達成できることを見出した。
【0034】
本発明によれば、アミドインドール誘導体は以下のような式(I)によって表される:
【化4】
式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す。好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-アルキル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルキル基、またはアリールスルフォニル基を表す。より好ましくは、Rはハロゲン、C1-アルキル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルキル基、またはアリールスルフォニル基を表し、Rは水素を表す。
【0035】
一実施形態において、式(I)中、Rはハロゲン、例えばフッ素、塩素および臭素であり、Rは水素である。
【0036】
別の実施形態において、式(I)中、Rはハロ-C1-アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、およびジクロロプロピルであり、Rは水素である。
【0037】
さらなる別の実施形態において、式(I)中、Rは、C1-アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシであり、Rは水素である。
【0038】
さらなる別の実施形態において、式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立に、アリールスルフォニル基、例えばベンゼンスルフォニル、または水素を表す。
【0039】
本発明によれば、ベンズイミダゾール誘導体は以下の式(II)で表される:
【化5】
式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表す。好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-アルキル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルキル基、またはアリールスルフォニル基を表す。より好ましくは、Rは、ハロゲン、C1-アルキル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルキル基、またはアリールスルフォニル基を表し、Rは水素を表す。
【0040】
一実施形態において、式(II)中、Rはハロゲン、例えばフッ素、塩素および臭素であり、Rは水素である。
【0041】
別の実施形態において、式(II)中、Rは、ハロ-C1-アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、およびジクロロプロピルであり、Rは水素である。
【0042】
さらなる別の実施形態において、式(II)中、Rは、C1-アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシであり、Rは水素である。
【0043】
さらなる別の実施形態において、式(II)中、RおよびRは、それぞれ独立に、アリールスルフォニル基、例えばベンゼンスルフォニル、または水素を表す。
【0044】
本発明によれば、スクアラミド誘導体は以下の式(III)で表される:
【化6】
式中、
及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エステル基、カルボニル基、C1--アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1--アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1--アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、又はスルファモイル基を表し、かつ、
は、シクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、あるいは、炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員のヘテロアリールを表し、これらは、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、フェニル、ナフチル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールで場合により置換されている。
【0045】
好ましくは、R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、又はC1--アルキルスルフォニル基を表し、Rは、シクロ-C3-アルキル基、フェニル、あるいは、炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員のヘテロアリールを表し、これらは、ハロゲン、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、シクロ-C3-アルキル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、またはシクロ-C3-アルキル基、フェニル、ナフチル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールで場合により置換されている。
【0046】
一実施形態において、式(III)中、Rは、ハロ-C1-アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、およびジクロロプロピルであり、Rは水素であり、かつ、Rは、炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリール、例えば(1-ピペリジニル)シクロヘキシルで置換された、シクロ-C3-アルキル基である。
【0047】
別の実施形態において、式(III)中、R及びRはいずれも、ハロ-C1-アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、およびジクロロプロピルであり、Rは、ハロ-C1-アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、およびジクロロプロピルで置換された、フェニル基である。
【0048】
さらなる別の実施形態において、式(III)中、R及びRはいずれも、ハロ-C1-アルキル基、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、およびジクロロプロピルであり、Rはシクロ-C3-アルキル基、例えばシクロヘキシルである。
【0049】
さらなる別の実施形態において、式(III)中、R及びRはいずれも水素であり、Rはフェニル基である。
【0050】
さらなる別の実施形態において、式(III)中、R及びRは、それぞれ独立に、アリールスルフォニル基、例えばベンゼンスルフォニル、または水素を表し、Rは、シクロ-C3-アルキル基、フェニル、または炭素原子とN、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる5-10員ヘテロアリールである。
【0051】
本発明において、単一の触媒成分として使用するに適当な触媒の例は以下の化合物である:
【化7】
【0052】
好ましくは、該単一の触媒成分は以下の化合物から選択される:
【化8】
【0053】
化合物の適当な触媒量の決定は、当業者には容易であるが、単一の触媒成分が、環状カーボネート成分のモル数に基づいて1~15mol%、好ましくは5~10mol%の量で存在することが好ましい。
【0054】
触媒は、例えばSigma-Aldrichのような商業的供給源から入手可能であり得り、または、以下の引用に従い製造してよい: Chemistry - A European Journal 2010, 16, 14, 4196-4205、J. Med. Chem., 1997, 40 (8)、第1201~1210頁、およびJ. Am. Chem. Soc. 1947, 69, 2459-2461。
【0055】
本発明による非イソシアネート系ポリウレタンの製造方法の第1ステップにおいて、環状カーボネート成分を提供する。
【0056】
本方法における成分として使用する環状カーボネートに制限はないが、5員環状カーボネートが好ましい。該5員環状カーボネートは、式(IV)または(V)で表すことができる:
【化9】
〔式中、Rは、C1-アルキル基、ハロ-C1-アルキル基、ヒドロキシ-C1-アルキル基、C2-アルケニル基、C1-アルコキシ基、ハロ-C1-アルコキシ基、エーテル基、ポリエーテル基、エステル基、ポリエステル基、アミド基、ポリアミド基、ウレタン基、ポリウレタン基、尿素基、ポリウレア基、アセタール基、またはポリアセタール基を表し、好ましくは、Rは、C1-アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、エステル基、例えばメチルフォルメート基、メチルアセテート基、メチルプロピオネート基、エチルフォルメート基、またはアミド基、例えばN-C1-アルキルアミド基、例えばN-メチルアミド、N-エチルアミド、N-プロピルアミド、またはN-ブチルアミドを表す〕、
【化10】
〔式中、Aは、エーテル基、ポリエーテル基、エステル基、ポリエステル基、アミド基、ポリアミド基、ウレタン基、ポリウレタン基、尿素基、ポリウレア基、アセタール基、およびポリアセタール基から選択される少なくとも1つの官能基を含有する有機基であり、好ましくは、エーテル基、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル基、エチレングリコールモノフェニルエーテル基、ジエチレングリコールモノメチルエーテル基、ジエチレングリコールモノブチルエーテル基、ジエチレングリコールジメチルエーテル基、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル基、ジエチレングリコールジエチルエーテル基、トリエチルグリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル基、トリエチレングリコールモノエチルエーテル基、プロピレングリコールモノメチルエーテル基、プロピレングリコールモノエチルエーテル基、プロピレングリコールモノブチルエーテル基、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル基、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル基、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、またはヘキシレングリコールモノメチルエーテル、および/またはエステル基を含有する有機基である〕
【0057】
本発明によれば、該環状カーボネートは活性化または非活性化であり得る。非活性化カーボネートは、式(I)中のR基の位置に、例えばC1-アルキル基アルキル基などの電子放出性基を有する。このような非活性化環状カーボネートは、アミンに対して、遅い重合速度を示す。活性化カーボネートは、R基の位置(β位)、好ましくは環構造の近くに、ヘテロ原子、例えばN、O、またはSを有するものを表し、これはアミンに対するその反応性を改善/活性化し得る。
【0058】
驚くべきことに、本発明者は、本発明による非イソシアネート系ポリウレタンの製造方法において、単一の触媒成分を用いることにより、活性化カーボネートの、さらには非活性化カーボネートの、アミンとの開環反応を、より低い反応温度(5℃~50℃、例えば室温)下で、より高い変換率(少なくとも40%)で、より短い反応時間(24時間以内)で実施できることを見出した。
【0059】
本発明において成分として使用するに適当な環状カーボネートの例は、以下の化合物である:
【化11】
【0060】
環状カーボネートは、例えばSigma-Aldrichのような商業的供給源から入手可能であり得り、または、以下の引用に従い製造してよい:US 2014/0378648 A1、WO 2013/92011、EP 3098219 B1、またはEP 3401350 A1。
【0061】
本発明による非イソシアネート系ポリウレタンの製造方法の第2ステップにおいて、アミン成分を提供する。本発明において使用されるアミン成分は、第1級アミン、第2級アミン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好ましくは、該アミン成分は、以下からなる群から選択される:1,2-ジメチルプロピルアミン、3-(2-アミノエチルアミノ)-プロピルアミン、n-ブチルアミン、第2級ブチルアミン、第3級ブチルアミン、ジブチルアミン、第3級アミルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロへプチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N,N'-ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’-ジエチレンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,2-ジアミノエタン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,2-ジピぺリジンエタン、ジピぺリジンメタン、2-アミノ-3,3-ジメチルブタン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ネオペンチルアミン、アダマンチルアミン、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン、N-イソプロピルシクロヘキシルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、シクロブチルアミン、ノルボリルアミンおよびそれらの混合物。より好ましくは、アミン成分は、ブチルアミン、ジブチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0062】
ステップ(c)において、環状カーボネート成分とアミン成分との開環反応は、本発明の単一の触媒成分の助けにより行われる。
【0063】
ステップ(c)において、環状カーボネート成分とアミン成分との重量比は、2:1~1:2、好ましくは1:1~1:1.5に設定される。単一の触媒成分は、環状カーボネート成分のモル数に基づいて、1~15mol%、好ましくは5~10mol%の量で存在する。
【0064】
特定の理論に拘束されることを望まないが、開環反応は、水素結合性の単一の触媒成分と、水素結合受容体としての環状カーボネートとの間の特定の分子間相互作用のために行われると考えられる。
【0065】
驚くべきことに、本発明者は、本発明の単一の触媒成分が、室温での水素結合性効果によって環状カーボネートを活性化することにより、迅速な開環反応を効率的に促進でき、そのため工業規模での用途に適することを見出した。単一の触媒成分は、回避可能な不純物に限って、あらゆる他の触媒成分、例えば触媒または共触媒を意図的に含有しない。5員環状カーボネートとのスクアラミド誘導体の水素結合性効果は、以下のように説明され得る:
【化12】
【0066】
該プロセスのこの段階に最適な操作温度は、当業者が実験を通じて決定してよいが、0℃~80℃の適当な温度範囲が言及され得り、好ましい温度範囲は、5℃~50℃、20℃~35℃、または、さらには室温である。
【0067】
プロセス圧力は重要ではない。そのため、反応を準大気圧、大気圧、または超大気圧で行うことができるが、大気圧またはそれ以上の圧力が好ましい。
【0068】
開環反応が無水条件下で行われる場合、良好な結果が得られた。また、開環反応は空気雰囲気下で行うことができ、不活性雰囲気は、本発明による重要な点ではない。
【0069】
反応を、無溶媒条件または溶媒を使用して行うこともできる。使用する場合、適当な溶媒は不活性であるべきである:溶媒は出発化合物と反応する官能基を含有しないべきである。したがって、以下が挙げられ得る:ハロゲン化炭化水素、例示的には塩化メチレン、クロロホルム、パークロロエチレン、または1,2ジクロロエタン、芳香族炭化水素、例示的にはトルエンまたはベンゼン;5~12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素溶媒、例えばヘプタン、ヘキサンまたはオクタン;エーテル、例えばジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン;ならびにエステル、例えばエチルアセテート、アミルアセテート、およびメチルフォルメート。これらの溶媒の中で、ハロゲン化炭化水素が好ましい。
【0070】
反応物無水物の適切な変換を得るための反応時間は、種々の要因、例えば温度、触媒の種類および環状カーボネートの種類によって異なるであろう。反応を、1H NMRによって経時的にモニターすることができる。一般に、反応が起こるのに十分な時間は、2~36時間、例えば4~8時間または4~7時間であろう。
【0071】
一実施形態において、環状カーボネートの変換は、24時間で、少なくとも40%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%に達する。1つの特定の実施形態において、非活性化環状カーボネートの変換は、24時間で、少なくとも40%に達する。別の特定の態様において、活性化環状カーボネートの変換は、5時間で、少なくとも40%に達する。さらに別の実施形態において、活性化環状カーボネートの変換は、24時間で、少なくとも70%に達する。
【0072】
別の態様において、本発明は、環状カーボネート成分およびアミン成分を用いて非イソシアネート系ポリウレタンポリマーを形成するための単一の触媒成分に向けられ、該単一の触媒成分は、上記のように表される、アミドインドール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体およびスクアラミド誘導体からなる群から選択される。
【0073】
さらに別の態様において、本発明は、本発明による単一の触媒成分の存在下で形成された、環状カーボネート成分とアミン成分との反応生成物であるウレタン結合を含む、非イソシアネート系ポリウレタンポリマーを開示する。該非イソシアネート系ポリウレタンは、イソシアネート部分の非存在下で形成されたウレタン結合を有し、該結合は、隣接する第1級または第2級ヒドロキシル基を除いて、イソシアネート系ウレタン結合と構造的に類似し得る。
【0074】
以下の実施例において、本開示の種々の特徴および実施形態を記載するが、これらは例示的であり、限定的でないことが意図される。
【実施例
【0075】
次の材料および略語を実施例で使用する:
【0076】
〔環状カーボネートCCA1の調製〕:
(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアセテート(CCA1)を、US 2014/0378648A1の実施例2に従い調製した。
【化13】
【0077】
凝縮器を備えた2口フラスコに、グリセロールカーボネート(13.42g、0.11mol)および無水酢酸(11.17g、0.11mol)および1滴の硫酸を導入した。反応物を撹拌し、空気中で45分間、60℃で加熱撹拌した。次いで、反応物を室温まで冷却した。その後、生成物をクロロホルムで抽出し、蒸留水で10回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ローターエバポレートした。反応の収率は34%であった。
【0078】
〔環状カーボネートCCA2の調製〕:
(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)ブチルカルボキサミド(CCA2)を、JOC 2003, 68, 4999-5001、およびWO 2013/92011の実施例11に従い調製した。
【0079】
第1ステップにおいて、JOC 2003, 68, 4999-5001に報告されているのと同様の方法にしたがい、グリセロールカーボネートからカルボン酸誘導体を調製した。
【化14】
【0080】
グリセロールカーボネート(5.5g、0.042mol)を65mLのアセトンに溶解させ、0℃に冷却し、次いで、該溶液に、HO(0.762mL、0.042mol)、NaBr(0.218g、0.002mol)およびTEMPO(0.066g、0.000423mol)をゆっくりと加えた。最後に、トリクロロイソシアヌル酸(20.27g、0.084mol)を10分間ゆっくりと加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。次いで、混合物を25mLのイソプロパノールで処理し、焼結ガラスブフナー漏斗を通してろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、残留物を50mLのNaHCOの飽和溶液で処理した。水相をAcOEt(3×50mL)で洗浄し、次いで、1M HClを用いてpH約1まで酸性化した。生成物をAcOEt(3×100mL)で抽出し、有機相をMgSOで乾燥した。最後に、溶媒を蒸発させて、3.23gの2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-カルボン酸を得た。収率は58%であった。
【0081】
第2ステップにおいて、(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)ブチルカルボキサミド(CCA2)を、特許出願 WO 2013/092011 A1で報告された実施例9に従い調製したカルボン酸誘導体から合成した。
【化15】
【0082】
2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-カルボン酸(2.5g、0.019mol)を、アルゴン雰囲気下、無水THF(60mL)に溶解させた。次いで、n-ブチルイソシアネート(2.2mL、0.019mol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.023g、0.00019mol)を加えた。溶液を室温で5日間撹拌した。次いで、二酸化ケイ素を加え、混合物を45分間撹拌した。ろ過後、溶媒を蒸発させ、粗生成物をシクロヘキサンから再結晶させて、1.27gのCCA2を得た。収率は36%であった。
【0083】
〔環状カーボネート樹脂CCA3の調製〕:
次の式を有する環状カーボネート樹脂を、EP 3098219 B1に従い調製した。
【化16】
【0084】
〔環状カーボネート樹脂CCA4の調製〕:
次の式を有する環状カーボネート樹脂を、EP 3401350 A1に従い調製した。
【化17】
【0085】
〔アミドインドール誘導体C3の調製〕:
【化18】
インドール-2-カルボン酸(0.483g、0.003mol)および塩化チオニル(2.2mL、0.03mol)の乾燥CHCl(10mL)中の溶液を、アルゴン下で2時間加熱還流し、次いで、蒸発させた。残留物を真空下で30分間乾燥させ、乾燥CHCl(10mL)に溶解させ、乾燥CHCl(5mL)中のm-アニシジン(0.308g、0.0025mol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.517g、0.004mol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で滴下した。該溶液を、室温で20分間撹拌し、次いで、16時間加熱還流した。混合物を室温で冷却後、CHCl(30mL)で希釈し、次いで、飽和NaHCO水溶液(3×10mL)、飽和NHCl水溶液(2×10mL)、水(2×10mL)およびブライン(20mL)で十分に洗浄した。次に、有機相を、MgSOで乾燥させ、蒸発させた。得られた粗生成物をCHCl中で再結晶させ、27%の収率でC3を得た。
【0086】
〔ベンズイミダゾール誘導体C4の調製〕:
【化19】
3-トリフルオロメチルベンゾイルクロリド(0.498mL、0.0033mol)の乾燥THF(5mL)中の溶液を、2-アミノベンズイミダゾール(0.399g、0.003mol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.99mL、0.0057mol)の乾燥THF(15mL)中の溶液に滴下した。混合物をアルゴン雰囲気下、室温で16時間撹拌し、蒸発させた。残留物をCHCl(35mL)に溶解させ、該溶液を飽和NHCl(2×30mL)、飽和NaHCO水溶液(2×15mL)、水(2×15mL)およびブライン(15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。生成物は25%の収率で水相に析出した。
【0087】
〔ベンズイミダゾール誘導体C5の調製〕:
【化20】
3-メトキシベンゾイルクロリド(1.126g、0.0066mol)の乾燥THF(10mL)中の溶液を、2-アミノベンズイミダゾール(0.800g、0.006mol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2mL、0.0114mol)の乾燥THF(30mL)溶液に滴下した。混合物をアルゴン雰囲気下、室温で16時間撹拌し、蒸発させた。残留物をCHCl(70mL)に溶解させ、該溶液を、飽和NHCl(2×30mL)、飽和NaHCO水溶液(2×30mL)、水(2×30mL)およびブライン(1×30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。得られたサンプルをCHCl/MeOH中で再結晶させた。
【0088】
〔実施例1〕:触媒を用いることによる、または用いない、PCとMCAとの反応
等モル量の非活性化環状カーボネートPC(0.102g、0.001mol)およびN-メチルシクロヘキサミン(0.113g、0.001mol)および5mol%の触媒を、室温で混合し、反応を1H-NMRで追った。結果を表1にまとめる。
【0089】
【表1】
【0090】
上記に示したように、触媒BCA、C4、C5およびSQの効果は、前述の触媒が10%~20%の変換に達した、反応の短い時間(5時間)でより顕著であった。同じ5時間で、触媒を用いない反応は、事実上非反応性であった。さらに、より長い反応時間(1日)において、BCA、C4、C5およびSQは、約40%の変換に達するのに役立った。
【0091】
〔実施例2〕:
触媒を用いることによる、または用いない、溶媒中でのエーテル型環状カーボネートおよびBAの反応
CCA3(0.116g、0.0003mol)を、0.5mLのCDClに溶解させた。次いで、5mol%の触媒を加え、ブレンドが均質になるまで混合した(15-30分)。次いで、BA(0.044g、0.0006mol)を混合物に加え、撹拌した。反応をH-NMRによってモニターした。反応変換を、生成物の形成およびアミンの消費に関して計算した。結果を表2にまとめる。
【0092】
【表2】
【0093】
表2に見られるように、全ての本発明の触媒は、反応の3および5時間後の変換を増加させた。BCAおよびC4(電子吸引性基を有するベンズイミダゾール)を用いるゼロ時間でさえ、該変換は、触媒なしで達した変換よりも高かった。反応の1日後、全ての触媒がより高い変換に達した。対照的に、TBDはより低い変換に達した。その際、全ての触媒がCCA3とBAとの反応を効率的に促進し、ブランク反応よりも高い変換に達した。
【0094】
〔実施例3〕:触媒を用いることによる、または用いない、溶媒なしでの、エーテル型環状カーボネートおよびBAの反応
エーテル型シクロカーボネート樹脂とアミンとの間の反応は、触媒の有無にかかわらず、バルクにおいて実施された。アミンBA(0.044g、0.0006mol)を、5mol%の触媒と、該ブレンドが均一になるまで混合した(1~2分)。次いで、樹脂CCA3(0.116g、0.0003mol)を該混合物に加え、撹拌した。反応を1H-NMRでモニターした。反応変換は、生成物の形成およびアミンの消費に関して計算され、結果を表3にまとめる。
【0095】
【表3】
【0096】
これらの反応条件下で、触媒効果は非常に短時間で非常に大きく観察され、C4およびSQは、TDBがプロセスおよび最終生成物にもたらす欠点なしに、TDBと同等であった。さらに、BCA、C3およびC5は、非触媒化反応よりも高い変換を達成した。一方、反応の1時間後、全てのサンプルはブランク反応を含めて、約80%の変換に達した。
【0097】
〔実施例4〕:エステル型環状カーボネート樹脂とBAとの、溶媒を用い、触媒を用いることによる反応
エステル型シクロカーボネート樹脂とアミンとの間の反応を、2つの異なる溶媒、例えばエチルアセテートおよびクロロホルムを用いて行った。CCA4(0.218g、0.0003mol)、5mol%の触媒および0.5mLのエチルアセテートを、バイアルに入れ、触媒が完全に分散するまで撹拌した。次いで、BA(0.044g、0.0006mol)を加えた。反応をH-NMRでモニターした。反応変換は、生成物の形成に関して計算し、結果を表4にまとめる。
【0098】
【表4】
【0099】
表4に示すように、全ての触媒がより高い変換を達成した。一方、5時間の反応後、全てのサンプルは約80%の変換に達した。
【国際調査報告】