(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】多孔質高分子中空フィルター膜
(51)【国際特許分類】
B01D 69/08 20060101AFI20220222BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20220222BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20220222BHJP
B01D 71/26 20060101ALI20220222BHJP
B01D 71/56 20060101ALI20220222BHJP
B01D 71/68 20060101ALI20220222BHJP
B01D 71/32 20060101ALI20220222BHJP
B01D 71/34 20060101ALI20220222BHJP
B01D 67/00 20060101ALI20220222BHJP
B29C 48/88 20190101ALI20220222BHJP
D01D 5/088 20060101ALI20220222BHJP
D01D 5/24 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B01D69/08
B01D69/00
B01D69/02
B01D71/26
B01D71/56
B01D71/68
B01D71/32
B01D71/34
B01D67/00
B29C48/88
D01D5/088
D01D5/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539639
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 US2020012766
(87)【国際公開番号】W WO2020146516
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パテル, ライニ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, クウォク‐シュン
(72)【発明者】
【氏名】ガニョン, ブライアン アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】アイヤー, ガナパシスブラマニアン
【テーマコード(参考)】
4D006
4F207
4L045
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA03
4D006HA91
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(57)【要約】
中空繊維多孔質ポリマーフィルター膜およびこれらの膜を調製する方法が記載される。方法は、ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液を押出成形することと、押出ポリマーを液体金属と接触させることによって押出ポリマーの温度を低下させることとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー多孔質膜を調製する方法であって、
押出温度で、ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液を押出成形して、押出中空繊維を形成することと、
押出中空繊維を液体金属と接触させることによって、押出中空繊維の温度を低下させることと
を含む、方法。
【請求項2】
液体金属が摂氏100度未満の温度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体金属が、摂氏100度未満の融点を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
液体金属が、摂氏50度未満の融点を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
液体金属が、
少なくとも50重量パーセントのガリウム、
少なくとも5重量パーセントのスズ、および
少なくとも10重量パーセントのインジウム
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
液体金属が、
65~72重量パーセントのガリウム、
5~15重量パーセントのスズ、および
15~25重量パーセントのインジウム
を含む、請求項1~5のいずれかの一項に記載の方法。
【請求項7】
ポリマー多孔質膜を調製する方法であって、
押出温度でポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液を押出成形して、押出中空繊維を形成することと、
押出中空繊維を、少なくとも3ワット/メートル/ケルビン度の熱伝導率を有する液体と接触させることによって、押出中空繊維の温度を低下させることと
を含む、方法。
【請求項8】
押出温度が少なくとも摂氏180度である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリマーが、ポリオレフィン、フッ素化ポリマー、過フッ素化ポリマー、ナイロン、ポリスルホン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性樹脂ポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ポリマーがポリエチレンである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ポリマーが、ポリビニリデンフルオリド、エチレン-テトラフルオロ-エチレン、フッ素化エチレン-プロピレンまたはナイロンである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ポリマー溶液が、ポリマー溶液の総重量に基づいて、
10~40重量パーセントのポリマー、および
60~90重量パーセントの溶媒
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶媒が、
押出温度でポリマーが可溶性である第1の溶媒、および
押出温度でポリマーが第1の溶媒よりも可溶性が低い第2の溶媒
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ポリマー多孔質膜が、0.01~10ミクロンの範囲の平均サイズの孔を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ポリマー多孔質膜が、方法および材料は同じだが、押出中空繊維を水と接触させて押出中空繊維の温度を低下させることによって形成される同等の多孔質膜のバブルポイントよりも高いバブルポイントを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ポリマー多孔質膜が、摂氏22度の温度でHFE-7200液体流体を使用して測定した場合に、少なくとも50ポンド/平方インチのバブルポイントを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
多孔質膜が、10~1000の範囲の厚さを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法によって調製された多孔質膜。
【請求項19】
請求項18に記載の多孔質膜を含むフィルターカートリッジ。
【請求項20】
請求項18に記載の多孔質膜を含むフィルター。
【請求項21】
溶媒含有液体をフィルター膜に通過させることを含む、請求項18に記載の多孔質膜、請求項19に記載のフィルターカートリッジ、または請求項20に記載のフィルターを使用する方法。
【請求項22】
溶媒含有液体が半導体リソグラフィー溶媒である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
溶媒が、乳酸エチル、ガンマ-ブチロラクトン、ヘキサメチルジシラザン、メチル-2-ヒドロキシイソブチレート、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、酢酸n-ブチル、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、酢酸イソアミル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21または22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年1月11日に出願された米国特許出願第62/791,462号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
以下の説明は、多孔質ポリマーフィルター膜およびそのような膜を調製する方法に関する。方法は、ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液を押出すこと、および押出ポリマーを液体金属と接触させることによって押出ポリマーの温度を低下させることを含む。フィルター膜は、比較的高いバブルポイントなど、望ましい特性を示すことができる。
【背景技術】
【0003】
フィルター膜およびフィルター製品は、有用な流体のフローから不要な物質(夾雑物、微粒子、不純物など)を除去するために使用される、現代産業の不可欠なツールである。フィルターを使用して処理される有用な流体には、とりわけ、水、液体の工業用溶媒および処理流体、製造に使用される工業用ガス、ならびに医学的または薬学的用途を有する液体が含まれる。流体から除去される不要な物質には、粒子、微生物、揮発性有機物質、および気体または液体流体に含まれる化学種などの不純物および夾雑物が含まれる。
【0004】
フィルター膜の特徴、例えば、化学組成、サイズまたは寸法、物理的特性(例えば、多孔度、孔径)、および測定された性能特性(例えば、「バブルポイント」、「フロー時間」など)は、全体的な濾過性能に関連する。これらの特徴の範囲の存在する限度内で、フィルターは、特定の種類の流体を用いて特定の流量(体積による)で使用される場合に、濾過性能に有用なバランスを有するサイズ(例えば、厚さ)、多孔度、および孔径の特徴を含むことができる。典型的な孔径は、ミクロンまたはサブミクロンの範囲、例えば約0.001ミクロン~約10ミクロンである。約0.001~約0.05ミクロンの平均孔径を有する膜は、限外濾過膜として分類されることがある。約0.05~10ミクロンの孔径を有する膜は、マイクロポーラス膜として分類されることがある。
【0005】
商業的使用では、フィルター膜は、効率的かつ信頼性の高い方法でフィルターとして機能できることが必要であり、例えば、フィルター膜を通過する流体の連続フローから大量の不純物を効率的に除去できることが必要である。濾過性能は、例えば、フロー時間(FT)および保持率によって評価することができる。フロー時間は、フィルターまたはフィルター膜を通って流れる流体の速度の尺度であり、フィルターを商業的に使用できるようにするのに十分でなければならない。保持率は、フィルターを通る流体のフローから除去される不純物の量(パーセント)を指す。孔径およびバブルポイントは、フロー時間および保持率に影響を及ぼし得る。より小さい孔の膜は、保持率を改善するのに望ましい可能性があり、より高いバブルポイントおよびより長い(しかし依然として有用な)フロー時間を有し得る。より大きい孔径は、より短いフロー時間およびより低いバブルポイントの他、比較的低い保持率に相関し得る。商業的使用のためには、フィルター膜は、流動時間、バブルポイント、および濾過性能の良好な組み合わせを提供しなければならない。
【0006】
液体(例えば、半導体およびマイクロ電子デバイス処理液)を濾過するのに有用な多孔質ポリマーフィルター膜の特定の過去のバージョンには、超高分子量ポリエチレン(「UPE」、一般に少なくとも100万ダルトンの分子量を有すると考えられている)から、例えば熱誘起相分離または「溶融鋳造」技術によって作製されたフィルター膜が含まれる。そのようなUPEフィルター膜は、液体のフロー特性と良好な濾過性能との有用な組み合わせを示すように調製することができる。しかし、これらの存在するフィルター膜を製造するための現在知られている技術は、これらの特性が改善され、かつバランスが保たれる程度を制限している。
【発明の概要】
【0007】
孔径に大きく依存する、フロー特性と濾過特性との組み合わせがこれまで以上に改善された多孔質フィルター膜が、現在継続して必要とされている。高い濾過効率を提供するために、より高いバブルポイントおよびより小さい孔が望まれ得る。
【0008】
ポリエチレンフィルター膜を含む従来のフィルター膜は、様々な方法によって調製される。これらの従来の方法のいくつかは、加熱液体ポリマー材料を水の液体急冷浴と接触させることによって、加熱成形(押出)されたポリマー材料を冷却して、ポリマー材料を多孔質膜へと凝固させる工程を使用する。これらの従来の技術を使用して調製された膜の孔のサイズ(およびバブルポイント)は、膜を製造する従来の押出および冷却技術の使用による最小限であり得るレベルまで縮小した(バブルポイントは上昇した)。
【0009】
本明細書によれば、水の代わりとして、液体金属が急冷液として有利に使用され得ることが決定されている。水は、加熱押出されたポリマーの典型的な温度よりも低い沸点を有する。これにより、水は、加熱押出されたポリマーと接触すると水蒸気を形成することができる。蒸気および気体は、すべての相の中で最も低い熱伝導率を有する。さらに、水(ならびに一般的な有機および無機液体)自体の熱伝導率は、金属(平板急冷に使用される冷却ロール)と比較して非常に低く、水は、溶融したポリマーを、孔が小さい、かつバブルポイントが高い膜を作製するために十分迅速に冷却する効率が低い。
【0010】
したがって、液体金属を急冷浴として使用することは、同一のプロセスおよび材料であるが水を急冷浴液体として用いて形成された同等のフィルター膜と比較して、より小さい孔径およびより高いバブルポイントを有するように多孔質ポリマーフィルター膜を形成するのに有用または有利であり得る。液体金属急冷浴を用いて形成された本発明の膜のバブルポイントは、急冷浴として水を用いて形成された膜のバブルポイントよりも少なくとも25、50、75、または100%高くなり得る。
【0011】
一態様では、本発明は、ポリマー多孔質膜を調製する方法に関する。方法は、押出温度で、ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液を押出して、押出中空繊維を形成することと、押出中空繊維を液体金属と接触させることによって、押出中空繊維の温度を低下させることとを含む。
【0012】
別の態様では、本発明は、ポリマー多孔質膜を調製する方法に関する。方法は、押出温度で、ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液を押出して、押出中空繊維を形成することと、押出中空繊維を、少なくとも3ワット/メートル/ケルビン度の熱伝導率を有する液体と接触させることによって押出中空繊維の温度を低下させることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書に従って有用な方法およびシステムの概略図である。
【
図2】フィルターの例示的な実施形態、および本明細書の複合中空繊維フィルター膜を含むフィルターの構成要素を示す。
【
図3】フィルターの例示的な実施形態、および本明細書の複合中空繊維フィルター膜を含むフィルターの構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明は、本明細書では便宜上単に「膜」と呼ばれることもある、ポリマー中空繊維多孔質フィルター膜を製造する方法に関する。有用な方法の例には、一般に押出溶融鋳造法と呼ばれる方法の特徴を含むもの、例えば、しばしば「熱誘起液液相分離」法と呼ばれる、液体金属急冷浴の使用に関して本明細書に記載された詳細に基づいてさらに実行される方法が含まれる。
【0015】
例示的な方法によれば、フィルター膜を形成するポリマー材料は、高温(「押出温度」)で溶媒に溶解されて、加熱ポリマー溶液を形成する。場合により、溶媒は、単一の化学的種類の溶媒であってもよく、または2つ以上の異なる化学溶媒材料の組み合わせであってもよい。加熱ポリマー溶液は、例えば加熱された押出機中でポリマーを溶媒とブレンドすることによって高温に処理された均一溶液である。次いで、ポリマー溶液は、例えば、圧力下でダイにポリマー溶液を通過させることによって成形される。次いで、押出成形されたポリマー材料を液体急冷浴中で冷却して、溶液中で相変化(例えば、液体-液体(L-L)相分離)を誘導する。ポリマーは、小さな孔が内部に形成された固化ポリマー材料を含む、固化成形ポリマー体を形成する。孔は元の溶媒の一部を含み、これはその後除去されて孔を開いた状態で残す。
【0016】
この種の一般的な方法を使用して、これらに限定されないが、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)などのフッ素化ポリマー、ポリ(エチレン-co-アクリル酸)(EAA)、ナイロン、およびポリスチレン(PS)を含む様々なポリマー材料から多孔質膜を過去に調製してきた。この種の従来の方法では、液体急冷浴は、水、ジオクチルフタレートもしくはジブチルセバケートなどの有機溶媒、または室温もしくは室温付近で液体である油、例えばシリコン油もしくは液体鉱油で作られてきた。
【0017】
以前の従来方法とは対照的に、本明細書によれば、押出溶融鋳造法、特に「熱誘起液液相分離」法と呼ばれるものを含む、多孔質ポリマー中空繊維膜を調製するためのこれらの一般的な種類の加熱押出法は、急冷浴用の液体として、水の代わりに液体金属を使用して実施され得ることが判明している。具体的には、ポリマー溶液の押出中空繊維を押出機のダイから液体金属を含む液体急冷浴に流して、ポリマー中空繊維膜を形成することができる。
【0018】
加熱ポリマー溶液が急冷浴によって冷却される速度は、孔径を含む多孔質膜の形態を含む、多孔質膜の最終形態に影響を及ぼし得る。(閉孔構造とは対照的に)開孔構造を形成するのに有用であり得る特定の処理条件下では、加熱ポリマー溶液の冷却速度が遅くなると、バブルポイントの低下と共にフィルター膜内に形成される孔の拡大を引き起こす傾向があり得る。加熱ポリマー溶液を比較的速い速度で冷却することにより、より小さい孔およびより高いバブルポイントがもたらされ得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、液体金属は、水または油などの他の液体と比較して、はるかに高い熱伝導率を有するので、液体金属が急冷浴用の液体として有利であることが分かっている。液体金属が急冷浴として使用される場合、より高い熱伝導率によって、加熱ポリマー溶液が急冷浴液体で冷却される速度が速くなり、これは、同じ温度の水急冷浴を使用して形成された孔のサイズと比較して、より小さい孔およびより高い膜のバブルポイントを可能にすることができる。
【0020】
例えば、液体金属は、少なくとも3、4、5、または6ワット/メートル/ケルビン度(W/mK)の熱伝導率を有することができる。比較のために、水は0.6W/mKの熱伝導率を有する。熱伝導率の増加によって、押出されたポリマーからの熱が急冷浴の液体によってより迅速に除去され得、ポリマーの冷却速度を上げ、それは次に、より小さい孔およびより高いバブルポイントをもたらす。
【0021】
液体金属は、液体金属が急冷浴中の押出ポリマー溶液の温度を低下させるのに有用となり得る融点を有することができる。有用または好ましい液体金属の融点の例は、摂氏約100度未満、例えば摂氏75度未満もしくは摂氏50度未満であり得るか、または好ましくは、室温もしくは室温近辺(例えば、摂氏20度、25度、または30度)で液体であり得る。
【0022】
液体金属は、任意の単一の金属または複数の異なる金属の合金から構成されてもよい。単独で、または液体金属合金の一部として、摂氏100、75、50、または25度未満の温度で液体であり得る金属の例としては、水銀、インジウム、ガリウム、スズ、ビスマス、鉛、カドミウム、およびタリウムが挙げられる。これらの金属を2種以上組み合わせて含む合金としては、例えば、「ローズメタル」、「セロセーフ」、「ウッドメタル」、「フィールドメタル」、「セロロー136」、「セロロー117」、「Bi-Pb-Sn-Cd-In-Tl」、「Indalloy(登録商標)」、および「ガリンスタン」として知られる液体金属組成物が挙げられる。これらの、または類似の金属合金のいずれも、低い融点および高い熱伝導率を有するので、上述の急冷浴における液体としての使用に有効であり得る。
【0023】
好ましい可能性がある液体金属合金は、比較的低い融点、例えば摂氏20、25、30、35、または40度未満の融点を有するものである。これらには、ガリンスタンおよび類似または同等の化学的構造を有する合金が含まれる。ガリンスタンは、室温(例えば、摂氏25度)で液体であり、68~69重量%のガリウム、21~22重量%のインジウム、9.5~10.5重量%のスズ、1.5重量%未満のビスマス、1.5重量%未満のアンチモン、および亜鉛などの他の任意の量の添加剤(例えば、1%未満)を含む金属であると見なすことができる。より一般的には、有用であり得るガリンスタンおよび類似の金属合金は、摂氏50度未満または30度未満で液体であり、少なくとも50重量パーセントのガリウム、少なくとも5重量パーセントのスズ、および少なくとも10重量パーセントのインジウムを含むか、または、65~72重量パーセントのガリウム、5~15重量パーセントのスズ、および15~25重量パーセントのインジウムを含むものであり得る。
【0024】
急冷浴の液体として、液体金属は、急冷浴の液体の総量のかなりの部分を構成すべきであり、例えば、急冷浴は、急冷浴中の全液体に基づいて、少なくとも60、70、80、90、95、98、または99重量パーセントの液体金属を含有し得る。液体金属以外に、急冷浴は、例えば使用中の蓄積に起因して、ポリマー膜を調製する際に使用される他の処理流体、例えば、有機溶媒(本明細書に記載されるような)、油、または水を、1、2、5、10、または20重量パーセントまでの量で含有してもよい。
【0025】
より詳細には、記載される方法は、溶媒に溶解したポリマー(本明細書に記載)を含有するように加熱ポリマー溶液を調製する工程を含むことができる。溶媒は、単一の種類の溶媒であってもよく、または溶解鋳造押出法において、第1の(「強」)溶媒および第2の(「弱」)溶媒(通称、「非溶媒」または「ポロゲン(poragen)」)と呼ばれることがある、2つの異なる溶媒の組み合わせであってもよい。強溶媒は、加熱ポリマー溶液にポリマーを実質的に溶解することができる。有用な強溶媒の例には、押出温度でポリマーの可溶性が高く、冷却温度でポリマーの溶解度が低い有機液体が含まれる。有用な強溶媒の特定の非限定的な例としては、鉱油およびジトリアクトンタン(C32H66)などのn-アルカンが挙げられる。
【0026】
弱溶媒とは、押出温度および冷却温度においてポリマーの溶解度が低く、押出温度において強溶媒と混和し、冷却温度において強溶媒と混和しないものである。弱溶媒の特定の非限定的な例としては、ジオクチルフタレートおよびジブチルセバケート(DBS)、ならびに脂肪酸の分類、例えば少なくとも10炭素原子のアルキル基を有するもの、C14H29OOHおよびC19H39OOH)が挙げられる。
【0027】
加熱ポリマー溶液中のポリマーの量は、加熱ポリマー溶液が押出機およびダイを使用して加工および成形されることを可能にするのに十分に多く、同時に、成形および冷却時にポリマー溶液中のポリマーが合体して所望の多孔質形態に形成されるのに十分な量であり得る。記載される加熱ポリマー溶液中のポリマーの有用なまたは好ましい量は、ポリマー溶液の総重量に基づいて、10~40重量パーセント、例えば12~35重量パーセントの範囲であり得る。加熱ポリマー溶液の残部は、溶媒、例えば、1つ以上の弱溶媒と1つ以上の強溶媒との組み合わせであり得る。したがって、有用または好ましい加熱ポリマー溶液は、例えば、60~90重量パーセント、例えば、65~88重量パーセントの溶媒(例えば、弱溶媒と強溶媒の組み合わせ)を含有することができる。
【0028】
強溶媒と弱溶媒とを併用する方法では、多孔質膜の所望の孔構造を得るために、強溶媒と弱溶媒との相対量を所望に応じて選択することができる。ポリマーとしてのUPEの場合、弱溶媒対強溶媒の有用な相対量は、(弱溶媒:強溶媒)10:90~90:10、20:80~80:20、25:75~75:25、および40:60~60:40を含む範囲内で変化し得る。これらの範囲は、他のポリマーにも有効であり得、または他のポリマーは、異なる有用なまたは好ましい範囲を有してもよい。
【0029】
有用なプロセスは、より詳細には、弱溶媒および強溶媒(溶解したポリマーを含む)の液液相分離を含む熱誘起相分離プロセスに基づくことができる。このような方法によれば、追加的に第2の溶媒(「弱溶媒」、さらには「非溶媒」または「ポロゲン(poragen)」と呼ばれる)と組み合わせた強溶媒に溶解したポリマーを含む加熱ポリマー溶液は、均一な、加熱ポリマー溶液を形成する。この加熱ポリマー材料は、加熱ポリマー材料が、強溶媒と弱溶媒との組み合わせに溶解したポリマーの均一な溶液の状態を維持する温度範囲と、溶液が相分離するであろう第2の(より低い)温度範囲とを有することを特徴とする。
【0030】
加熱ポリマー溶液を高温(「押出」)から低温(「冷却」)に冷却することにより、加熱ポリマー溶液は、最初に2つの液相、すなわち、ポリマーリッチ相およびポリマー希薄(lean)相に分離する。溶液が凝固温度未満に冷却されると、高ポリマー含有量相は凝固して三次元膜構造を形成する。十分に迅速な冷却により、ポリマー希薄(lean)相の小さな粒子または液滴が凝固した膜構造内に形成され、三次元膜構造内に孔を形成する。
【0031】
例示的な方法によれば、ポリマーおよび溶媒(例えば、弱溶媒および強溶媒)から形成された加熱ポリマー溶液は、押出機内で均一(均質)に混合され、押出ダイを通過して、加熱ポリマー溶液を所望の形状に形成する。押出装置の多くの例は公知であり、市販されており、高分子多孔質中空繊維フィルター膜を形成するのに有用である。押出された加熱ポリマー溶液を成形して、例えば中空繊維膜を形成するための従来のダイも知られており、本明細書に従って有用であると理解される。
【0032】
有用な、または好ましい押出温度、すなわち押出機ダイから出る加熱ポリマー溶液の温度は、摂氏180~270度、例えば摂氏200~260度の範囲であり得る。
【0033】
押出された加熱ポリマー溶液は、成形され押出された加熱ポリマー溶液を、液体金属を含有する記載された急冷浴と接触させることによって冷却することができる。急冷浴の温度(すなわち、「冷却温度」)は、押出された加熱ポリマー溶液の温度より低く、例えば摂氏100度以下でなければならない。有用な、または好ましい冷却温度は、摂氏0~100度、例えば摂氏10または15度~摂氏50または60度の範囲であり得る。
【0034】
図1を参照すると、記載される方法を実行するためのシステムの一例が示されている。システム100は、押出機102、ポンプ106、フィルター108、ダイ110、急冷浴120(槽122およびその中に含まれる急冷液124を含む)、ゴデットロール130、および巻取りロール140を含む。システムは概略的に示されており、必ずしも一定の縮尺ではない。
【0035】
使用時には、ポリマー供給物104が押出機102に導入され、そこでポリマー供給物が加熱され、混合され、本明細書に記載の溶媒(図示せず)と組み合わされて、加熱ポリマー溶液を形成する。ポリマーと溶媒との組み合わせ(ポリマー溶液)は、押出機を通って進められ、(任意選択的に)ポンプ106およびフィルター108を使用してポンプ輸送および濾過され、ダイ110を通過する。図示のように、ダイ110は、加熱ポリマー溶液を中空繊維に成形するように設計されている(他の形状も有用であることが見出され得る)。ダイにおいて、加熱ポリマー溶液に流体も導入され、中空繊維膜の中空内部の隙間を形成する。流体(例えば、「内部充填剤」)は、気体または液体、例えば油であってもよい。
【0036】
ダイを出ると、成形された加熱ポリマー押出物(中空繊維の形態)は急冷浴120に入り、液体(記載される液体金属)が中空繊維ポリマー押出物の外面に接触するように急冷浴液体124に浸漬される。冷却された中空繊維は、急冷浴から取り出し、所望に応じて処理することができる。例えば、冷却した中空繊維を、「ゴデットロール」を用いて延長または延伸した後、ロールに巻き取ってもよい。
【0037】
ポリマー溶液およびポリマー膜を調製するために使用されるポリマーは、記載されたように処理されて、溶媒に溶解したポリマーを含有するポリマー溶液を調製すること、ポリマー溶液を成形すること(例えば、押出成形および圧力下でのダイの通過によって)、および成形されたポリマー溶液を液体金属急冷浴中で冷却することによって多孔質ポリマー膜を形成することができる、任意のポリマーまたはポリマーのブレンドであり得る。ポリマーは、膜が濾過工程で使用される場合、ポリマーから形成されるフィルター膜を通過する液体に対して耐薬品性を有する(例えば、化学分解されない)べきである。有用な例には、半導体およびマイクロ電子加工で使用される流体(例えば、溶媒またはプロセス流体)を濾過するための中空繊維フィルター膜として使用されている、または有用であることが分かっているポリマーが含まれる。
【0038】
これらのタイプのポリマーの例は公知であり、特に、フッ素化(部分フッ素化および過フッ素化を含む)ポリマー、例えば、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロ-エチレン(ETFE)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)他;ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)およびそれらのブレンドまたは共重合体;アクリレートおよびメタクリレートポリマーおよび共重合体、例えばポリ(エチレン-co-アクリル酸)(EAA);ポリスチレン(PS);ポリアミドおよびポリイミド(例えば、ナイロン、特に半導体製造に使用されるフォトリソグラフィー溶媒と適合するもの);ポリスルホン(例えば、ポリエーテルスルホンまたは「PES」);ならびにこれらの共重合体およびブレンドが挙げられる。
【0039】
特定の例では、ポリマーは、ポリエチレンまたはポリエチレンブレンドである。「ポリエチレン」という用語は、部分的または実質的に、-CH2-CH2-単位の繰り返しの直鎖状分子構造を有するポリマーを指す。ポリエチレンは、エチレンモノマーを含むか、エチレンモノマーからなるか、または本質的にエチレンモノマーからなるモノマーを含むモノマー組成物を反応させることによって製造することができる。したがって、ポリエチレンポリマーは、エチレンモノマーからなるか、または本質的にエチレンモノマーからなるモノマーを反応させることによって調製されたポリエチレンホモポリマーであり得る。あるいは、ポリエチレンポリマーは、別の種類のモノマー、例えばブテン、ヘキセン、またはオクタン、またはこれらの組み合わせなどの別のα-オレフィンモノマーと組み合わせたエチレンモノマーを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる、エチレンモノマーと非エチレンモノマーの組み合わせを反応させることによって調製されたポリエチレン共重合体であってもよい。ポリエチレン共重合体の場合、共重合体を製造するために使用されるエチレンモノマーの、非エチレンモノマーに対する量は、任意の有用な量、例えば、エチレン共重合体を調製するために使用されるモノマー組成物中の全モノマー(エチレンモノマーおよび非エチレンモノマー)の総重量あたり、少なくとも50、60、70、80、または90重量%のエチレンモノマーの量であり得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、特定の成分または特定の成分の組み合わせ「から本質的になる」と記載される組成物(例えば、モノマー組成物)は、その成分または特定の成分の組み合わせ、および少量またはわずかな量を超えない他の材料、例えば3、2、1、0.5、0.1、または0.05重量%以下の任意の他の成分または成分の組み合わせを含有する組成物である。エチレンモノマー「から本質的になる」モノマーを含有すると記載されるモノマー組成物は、エチレンモノマー、および少量またはわずかな量を超えない他のモノマー材料、例えば3、2、1、0.5、0.1、または0.05重量%以下の任意の他のモノマーを含有するモノマー組成物である。
【0041】
本明細書による中空繊維フィルター膜の調製に有用であると考えられる一般的なポリエチレンの一例は、超高分子量ポリエチレン(UPE)である。超高分子量ポリエチレンは、よく知られており、多孔質フィルター膜を調製するために一般的に使用されるポリエチレンの一種である。超高分子量ポリエチレンは、典型的には、少なくとも100万ダルトンの分子量を有する。「ダルトン」で報告されているポリマーの分子量は、既知のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られている)技術および機器を使用して測定することができる。
【0042】
記載される方法によって調製された中空繊維フィルター膜は、流体から望ましくない夾雑物または不純物を効果的に除去しながら、有用な流体を有用な量かつ有用な流速で膜を通過させることによって、フィルター膜としての使用に有効であり得る。膜は、ポリマー性、多孔質であり、膜をフィルター製品の形態に組み立てて使用できるようにする機械的特性を有する(例えば、十分に剛性であるが柔軟性がある)。膜は、性能特性(特に保持率、フロー時間)を含む膜の特性に共に寄与する、多孔度、孔径、厚さ、および組成(すなわち、ポリマー構造)などの特徴を有する。膜は、多量(例えば、パーセンテージ)の望ましくない夾雑物または不純物を液体から除去しながら、液体流体が、膜が商業的な濾過用途で使用されるのに十分な流量で膜を通過できるように、十分な多孔質および適切な孔径を有するべきである。
【0043】
フィルター膜は多孔質であり、フィルター膜の一方の表面からフィルター膜の厚さを通過してフィルター膜の他方の側への、流体(例えば、液体)の所望のフローを可能にする「開孔」構造を有する。2つの対向する表面の間には、膜の厚さに沿って、多孔質の、三次元の、密閉された穴の形態の空隙微細構造、すなわち、流体に膜の厚さを通過させる「開放孔」または「孔」がある。開放孔は、隙間、孔、チャネル、または通路と呼ばれてもよく、それらは、大部分が隣接する孔間で相互接続されて、流体が孔の中、孔間、および膜の厚さを通って流れることを可能にする。
【0044】
孔は、膜の厚さ全体に分布し、位置、形状、およびサイズに基づく任意の様式で、例えば、対称、非対称、等方的、または均一な形態を有するなどの観点で均一または不均一に配置され得る。膜全体に均一に分布した実質的に均一なサイズの孔を有する膜は、等方的または「均一」と呼ばれることが多い。異方的(通称、「非対称」)膜は、孔径勾配が膜を横切って存在する形態を有すると考えられ得る。例えば、膜は、一方の膜表面に比較的大きな孔を有し、他方の膜表面に比較的小さな孔を有する構造を有し得る。「非対称」という用語は、「異方的」という用語と互換的に使用されることが多い。
【0045】
中空繊維フィルター膜は、フィルター膜の所望の使用に有効であろう厚さ、内径、および外径寸法を有することができる。膜の有用な厚さの例は、10~300ミクロン、例えば50または100ミクロン~200ミクロンの範囲であり得る。膜の有用な内径の例は、50~1000ミクロン、例えば200~500ミクロンの範囲であり得る。膜の有用な外径の例は、300~2000ミクロン、例えば300~800ミクロンの範囲であり得る。
【0046】
膜は、本明細書に記載のように膜を効果的にする多孔度を有して、液体から高レベルの夾雑物または不純物を除去しながら、適切な流量の液体に膜を通過させることができる。有用な膜の例は、最大80%の多孔度、例えば60~80、例えば60~70%または40~60%の範囲の多孔度を有することができる。本明細書で使用される場合、および多孔質体の当該技術分野では、多孔質体の「多孔度」(「空隙率」と呼ばれることもある)は、本体の総体積のパーセントとしての本体内の空隙(すなわち、「空」)空間の尺度であり、本体の総体積に対する本体の空隙の体積の割合として計算される。0%の多孔度を有する本体は、完全に固体である。
【0047】
膜の孔のサイズ(「孔径」)(すなわち、膜全体の孔の平均サイズ)は、膜の多孔度、厚さ、ならびに内径および外径寸法と組み合わせて、所望の高レベルの濾過も行いながら、膜を通る液体流体の所望のフローを提供するサイズであり得る。有利には、液体金属を急冷浴液として使用する記載の方法によって調製された膜の孔径は、同じポリマー溶液、同じ押出およびダイ条件、ならびに同じ急冷浴温を使用するが、水を急冷浴液として使用して製造された同等の膜の孔径(同等に測定される)よりも小さくすることができる。
【0048】
特定の中空繊維膜に有用であろう孔径は、以下のような要因、すなわち膜の厚さ;膜を通る流体の所望のフロー特性(例えば、流量または「フロー時間」);濾過の所望のレベル(例えば、「保持率」によって測定されるように);膜を通過することによって処理(濾過)される流体の特定の種類;膜を通過する流体から除去される特定の夾雑物;ならびに他の要因に依存し得る。特定の現在理解されている例では、有用な孔径は、約10、20、30もしくはナノメートル、または0.05ミクロンから、約10ミクロンまでの範囲であり得、例えば、「マイクロポーラス」、「ウルトラポーラス」、または「ナノポーラス」として分類されることがあるサイズであってもよい。本明細書および特許請求の範囲の目的のために、「マイクロポーラス」という用語は、より大きな孔径を有する材料と区別する方法として、すなわち「マクロポーラス」であると見なされる材料を区別するために、マイクロポーラスおよび準マイクロポーラスサイズを含む、これらのサイズ範囲のいずれかにある孔を指すために使用されることがある。記載される膜の平均孔径の例は、少なくとも10、20、30ナノメートルもしくは50ナノメートル、または少なくとも0.1ミクロン、例えば0.1~0.5ミクロン、および約4、6、または8ミクロンまでであり得る。
【0049】
膜の孔径は、必ずしも直接測定される必要はないが、多孔質フィルター膜の理解された特性である「バブルポイント」として知られている特性との相関に基づいて評価することができる。バブルポイントは、孔径に対応し、例えば、保持率によって測定される濾過性能に対応し得る。より小さい孔径は、より高いバブルポイント、および多くの場合、より高い濾過性能(より高い保持率)に相関し得る。しかしながら、通常、より高いバブルポイントはまた、多孔質材料を通るフローの比較的高い抵抗、およびより高いフロー時間(所与の圧力損失による流量の低下)に相関する。本明細書の例示的なフィルター膜は、比較的高いバブルポイント、良好な濾過性能、および有用なレベルのフロー、例えば、商業的濾過プロセスにおいてフィルター膜の使用を可能にする流量の組み合わせを示すことができる。
【0050】
多孔質材料のバブルポイントを決定する1つの方法により、多孔質材料の試料を既知の表面張力を有する液体に浸漬して湿潤させ、試料の片側にガス圧を印加する。ガス圧を徐々に増加させる。ガスが試料を通って流れる最小圧力が、バブルポイントと呼ばれる。
【0051】
本明細書によれば、本明細書に提示される試験方法を使用することにより、特定の多孔質フィルター膜のバブルポイントは、同等の(例えば、他の点では同一である)方法だが、同等のフィルター(より低いバブルポイント)膜用の急冷液としての水と比較して、本発明の(より高いバブルポイント)膜用に急冷液として液体金属を使用して調製された同等の(例えば、他の点では同一である)フィルター膜のバブルポイントよりも(例えば、同一の試験方法を使用する場合、25%超、50%超、80%超、または100%超)高くなり得る。
【0052】
本明細書の以下の実施例に記載の試験方法を使用して測定される、記載される多孔質フィルター膜の有用なバブルポイントの例は、少なくとも50、80、90,100、または120ポンド/平方インチ(psi)以上、例えば最大200または300ポンド/平方インチであり得、一方で膜はまた、本明細書の他の箇所に記載の有用なフロー時間および保持率の特性を示す(摂氏22度の温度で、HFE-7200(3M)を使用して測定される)。
【0053】
所望のバブルポイントおよび濾過性能(例えば、保持率によって測定される)と組み合わせて、記載される膜は、膜を通る液体のフローに対して有用な抵抗を示すことができる。液体フローに対する抵抗は、流量またはフロー時間の観点から測定することができる(これは流量に対する逆性である)。記載される膜は、好ましくは比較的高いバブルポイントおよび良好な濾過性能と組み合わせて、有用なまたは比較的低いフロー時間を有し得ることが好ましい。有用なまたは好ましいフロー時間の例は、本明細書における以下の、本明細書の実施例のセクションに記載されるように測定される場合、約60,000秒未満、例えば約50,000または40,000秒未満であり得る。
【0054】
液体から望ましくない物質(すなわち、「夾雑物」)を除去する際のフィルター膜の効率のレベルは、1つの方法で、「保持率」として測定することができる。フィルター膜(例えば、記載されるようなフィルター膜)の効率に関して、保持率とは、一般に、不純物を含有する液体から除去される不純物(実際のまたは性能試験中)の、液体がフィルター膜を通過するときに液体中にあった不純物の総量に対する総量を指す。したがって、フィルター膜の「保持率」値は、パーセンテージであり、保持率値がより高い(パーセンテージがより高い)フィルターは、液体から粒子を除去する効果が比較的高く、保持率値がより低い(パーセンテージがより低い)フィルターは、液体から粒子を除去する効果が比較的低い。
【0055】
本明細書に記載される例示的な方法に従って調製された膜の例示的な実施形態では、膜は、実施例のセクションに記載される試験を使用して測定すると、膜を通る有用な流量で、1.0%の単層被覆率に対して50%を超える保持率を示すことができる。
【0056】
記載のフィルター膜は、液体にフィルター膜を通過させることによって液体から夾雑物を除去して、濾過(または「精製」)された液体を生成するのに有用であり得る。濾過された液体は、液体がフィルター膜を通過する前の液体中に存在する夾雑物のレベルと比較して、含まれる夾雑物のレベルが低下するだろう。
【0057】
本明細書に記載のフィルター膜、またはフィルター膜を含むフィルターもしくはフィルター構成要素は、精製するため、またはそれ以外では不要な物質を液体化学物質から除去するため、特に非常に高レベルの純度を有する化学物質の投入を必要とする工業プロセスに有用な高純度の液体化学物質を製造するための、液体化学物質を濾過する方法において有用であり得る。一般に、液体化学物質は、種々の有用な市販材料のいずれかであってもよく、種々の異なる工業的または商業的用途のいずれかにおいて有用な液体化学物質であってもよい。記載されるフィルター膜の特定の例は、半導体またはマイクロ電子製造用途で使用される、または有用である液体化学物質を精製するために、例えば、半導体フォトリソグラフィー方法(例えば、液体フォトレジスト溶液)、ウェットエッチングまたは洗浄工程、スピンオンガラス(SOG)形成方法、裏面反射防止コーティング(BARC)方法などで使用される液体溶媒またはその他の処理溶液を濾過するために使用することができる。
【0058】
記載されるようなフィルター膜を使用して濾過することができる液体溶媒のいくつかの特定の非限定的な例には、酢酸n-ブチル(nBA)、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸2-エトキシエチル(2EEA)、キシレン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、ガンマ-ブチロラクトン、ヘキサメチルジシラザン、メチル-2-ヒドロキシイソブチレート、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、酢酸n-ブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸イソアミル、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が含まれる。
【0059】
膜は、濾過システムで使用されるフィルターハウジングまたはフィルターカートリッジなどの、より大きなフィルター構造内に収容することができる。濾過システムは、膜を、例えばフィルターまたはフィルターカートリッジの一部として液体化学物質の流路に配置して、膜が液状化学物質からある量の不純物または夾雑物を除去するように、液状化学物質のフローの少なくとも一部を膜に通過させる。フィルターまたはフィルターカートリッジの構造は、フィルター内の膜を支持して流体をフィルター入口から膜を通ってフィルター出口を通って流れさせ、それによってフィルター通過時に膜を通過させる、様々な追加の材料および構造のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0060】
有用なフィルターおよびフィルターを組み立てる方法の例は、国際公開第2017/007683号パンフレットに記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
本出願の
図2および
図3は、本明細書の膜を含む流体分離装置またはフィルターの一例を示す。
図2は、フィルターの外観図であり、
図3は、膜(複数の膜)、および分離される液体の、液体が流体分離装置に出入りする場合のフローを示す。流体分離装置(フィルター)は、複数の膜212を含有するハウジング210を含む。各膜212は、2つの対向する端部領域の各々でポッティングされて、端部領域で液密封止、すなわち、中空膜の端部の縁と、端部の縁がポッティングされる隙間を含有する平坦なエンドピースとの間の封止を形成する。領域207において繊維の表面上のポッティングは、流体が各膜212の中空内部に出入りできるように開いたままでなければならない。膜のポッティングされた端部、すなわち、各中空繊維の端部の縁と平坦なエンドピースとのポッティングされた接続部(
図3参照)は、中空繊維膜の端部とエンドピースとの間で液体を通過(漏出)させない。ポッティングされた中空繊維膜の端部と平坦なエンドピースとの間の各接続部は、したがって「液密」であり、流体(例えば、供給物)は、膜の壁を通過することなく、膜のポッティングされた端部において膜212の端部を超えて空間203bに漏出することはできない。
【0062】
使用時には、1つの動作モードによって、液体供給物が開口部201でハウジングに入り、ハウジング内の膜212に導入される。膜212は、ハウジング内の空間を第1の容積203aと第2の容積203bとに分離する。膜212に液体供給物が曝露されると、膜212を通過する材料である透過液が第2の容積203bに入り、膜202を通過しない材料である保持液が第1の容積に入る。保持液は、コネクタ205を通ってハウジングから抽出されると、次いで収集またはさらに濾過することができる。透過液は、異なるコネクタ206を通って出て行き、そこで濃縮されるか、廃棄されるか、またはシステムに戻って再循環されることができる。
【0063】
図3のフィルターの実施形態では、供給液の一部は膜212のうちの1つを通過して透過液を形成し、供給液の別の部分は膜212を通過することなくフィルターを通過する。他のフィルターの実施形態によれば、供給液の全量が膜212を通過して透過液を形成し、膜212を迂回して保持液を形成する供給液の部分はない。
【0064】
図示のようなフィルターの代替動作モードでは、液体はコネクタ205を通ってフィルターに入り、フィルターシェル空間203bに流入することができる。コネクタ206を使用して、流入する流体によって移動した空気および気泡をパージする。繊維の底部は完全にポッティングされているため、保持液の再循環はない。また、セクション203bおよび203aは、互いに接続または開放されている。液体は、203bから膜212を通って201に交差する。液体は、ポート201を通ってフィルターを出る。
図3のフィルターによれば、ポート205は供給物ポートであり、ポート206はパージポートであり、ポート201は透過液ポートである。
【0065】
フィルターハウジングは、任意の有用かつ所望のサイズ、形状、および材料であってもよく、好ましくはフッ素化または非フッ素化ポリマー、例えばナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはフッ素化ポリマー、例えばポリ(テトラフルオロエチレン-co-パーフルオロ(アルキビニルエーテル))、TEFLON(登録商標)パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロメチルアルコキシ(MFA)、または別の適切なフルオロポリマー(例えば、パーフルオロポリマー)であってもよい。
【実施例】
【0066】
以下の表は、急冷液として液体金属を使用して作製された2つのフィルター膜(S1およびS2)からの性能データ、およびその性能データと急冷液として水を使用して作製された膜(C1、およびC2)との比較を示す。
【0067】
比較例1、比較例2、試料1(本発明)および試料2(本発明)の各々は、旭化成製の超高分子量ポリエチレン(UPE)を30重量%の固体濃度で含有するスラリーを使用して調製した。2つの異なるグレードのUPE、UH901/BM840を75/25の比で使用した。固体を、セバシン酸ジブチル(DBS)と鉱油(MO)とのDBS/MO比75/25の液体混合物に分散させた。調製方法は、示されるように、急冷液の種類以外は同じであった。試験液Aは、液体金属であった。
【0068】
データは、同じ急冷浴温では、高熱伝導性液体金属を使用して形成された膜が、急冷液として水を使用して形成された膜よりも少なくとも100%高いバブルポイントを有することを示す。すなわち、本発明の膜のバブルポイントは、本発明でない膜のバブルポイントの2倍である。
【0069】
これらの実施例のデータについての試験を以下のように行った。
【0070】
バブルポイント試験
平均バブルポイントを測定するために、試料中空繊維膜をホルダに入れる。空気はホルダを通して加圧され、流量は圧力の関数として測定される。次いで、低表面張力流体HFE-7200(3M)を膜に導入して膜を濡らす。ホルダを通して中空繊維膜の内部で空気を加圧し、圧力の関数として空気フローを測定する。平均バブルポイントは、乾燥膜の空気フローに対する濡れた膜の空気フローの比が0.5である圧力である。試験は、摂氏20度~22度の範囲の温度で行われる。
【0071】
被覆率試験
「粒子保持率」または「被覆率」は、流体流の流体経路に配置された膜によって流体流から除去することができる粒子の数の割合を指す。試料フィルター膜ディスクの粒子保持率は、公称直径0.03ミクロンの8ppmポリスチレン粒子を含有する、0.1%Triton X-100の水性供給溶液(Duke Scientific G25Bから入手可能)を十分な量で通過させて、7mL/分の一定流量で膜を通して1%の単層被覆率を達成し、透過液を収集することによって測定することができる。透過液中のポリスチレン粒子の濃度は、透過液の吸光度から算出することができる。次いで、以下の式を使用して粒子保持率を計算する。
粒子保持率
供給物-濾液
供給物
【0072】
1%の単層被覆率を達成するために必要な粒子の数(#)は、以下の式から計算することができる。
1%単層のための粒子数#
式中、
α=有効膜表面積
d
p=粒子の直径
本明細書で使用される「公称直径」は、光子相関分光法(PCS)、レーザー回折、または光学もしくはSEM顕微鏡観察法によって決定される粒子の直径である。通常、計算された直径、または公称直径は、粒子の投影画像と同じ投影面積を有する球の直径として表される。PCS、レーザー回折および光学顕微鏡観察法技術は、当該技術分野で周知である。例えば、Jillavenkatesa,A.et al.;「Particle Size Characterization」;「NIST Recommended Practice Guide」;米国標準技術研究所Special Publication 960-1;2001年1月を参照されたい。
【0073】
「フロー時間」試験(イソプロパノールを使用)
イソプロパノール透過率(「フロー」)は、内部フロー試験を使用して決定することができる。膜を、第1側面を上流に向けてホルダ内に入れる。摂氏20~22度の温度で所定の区間の間、特定の圧力、すなわち14.2psiでイソプロパノールを試料に供給した。次いで、膜を通って流れるイソプロパノールを収集し、測定する。イソプロパノール透過率は、以下の式から計算される。
式中、
V=収集されたイソプロパノールの容積
t=収集の時間
α=有効膜表面積
p=膜全体の圧力損失
【0074】
さらに、フロー時間は、14.2psiで13.8cm
2の表面積を有する膜を通して500mlの流体を収集するのにかかる時間として定義される。そのため、14.2psiで所与の膜表面積(a)を使用して、一定容積のIPA(V)をある時間(t)にわたって収集することができる。フロー時間(T)は、以下の式を使用して計算することができる。
【0075】
性能データによって示されるように、本発明の実施例は、市販の比較フィルターと比較して改善された濾過性能を示す。
【0076】
第1の態様では、ポリマー多孔質膜を調製する方法であって、押出温度でポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液を押出成形して、押出中空繊維を形成することと、押出中空繊維を液体金属と接触させることによって、押出中空繊維の温度を低下させることとを含む方法が開示される。
【0077】
液体金属が摂氏100度未満の温度である、第1の態様に記載の第2の態様。
【0078】
液体金属が摂氏100度未満の融点を有する、第1または第2の態様に記載の第3の態様。
【0079】
液体金属が摂氏50度未満の融点を有する、第1~3のいずれかの態様に記載の第4の態様。
【0080】
液体金属が、少なくとも50重量パーセントのガリウム、少なくとも5重量パーセントのスズ、および少なくとも10重量パーセントのインジウムを含む、第1~4のいずれかの態様に記載の第5の態様。
【0081】
液体金属が、65~72重量パーセントのガリウム、5~15重量パーセントのスズ、および15~25重量パーセントのインジウムを含む、第1~5のいずれかの態様に記載の第6の態様。
【0082】
押出温度が少なくとも摂氏180度である、第1~6のいずれかの態様に記載の第7の態様。
【0083】
ポリマーが、ポリオレフィン、フッ素化ポリマー、過フッ素化ポリマー、ナイロン、ポリスルホン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性樹脂ポリマーを含む、第1~7のいずれかの態様に記載の第8の態様。
【0084】
ポリマーがポリエチレンである、第1~8のいずれかの態様に記載の第9の態様。
【0085】
ポリマーが、ポリビニリデンフルオリド、エチレン-テトラフルオロ-エチレン、フッ素化エチレン-プロピレン、またはナイロンである、第1~9のいずれかの態様に記載の第10の態様。
【0086】
ポリマー溶液が、ポリマー溶液の総重量に基づいて、10~40重量パーセントのポリマーおよび60~90重量パーセントの溶媒を含む、第1~10のいずれかの態様に記載の第11の態様。
【0087】
溶媒が、押出温度でポリマーが可溶性である第1の溶媒と、押出温度でポリマーが第1の溶媒よりも可溶性が低い第2の溶媒とを含む、第1~11のいずれかの態様に記載の第12の態様。
【0088】
ポリマー多孔質膜が、0.01~10ミクロンの範囲の平均サイズの孔を有する、第1~12のいずれかの態様に記載の第13の態様。
【0089】
ポリマー多孔質膜が、方法および材料は同じだが、押出中空繊維を水と接触させて押出中空繊維の温度を低下させることによって形成される同等の多孔質膜のバブルポイントよりも高いバブルポイントを有する、第1~13のいずれかの態様に記載の第14の態様。
【0090】
ポリマー多孔質膜が、摂氏22度の温度でHFE-7200液体流体を使用して測定した場合に、少なくとも50ポンド/平方インチのバブルポイントを有する、第1~14のいずれかの態様に記載の第15の態様。
【0091】
多孔質膜が10~1000の範囲の厚さを有する、第1~15のいずれかの態様に記載の第16の態様。
【0092】
第17の態様では、ポリマー多孔質膜を調製する方法であって、押出温度でポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液を押出成形して、押出中空繊維を形成することと、押出中空繊維を、少なくとも3ワット/メートル/ケルビン度の熱伝導率を有する液体と接触させることによって、押出中空繊維の温度を低下させることとを含む方法が開示される。
【0093】
液体が液体金属であり、液体金属が摂氏100度未満の温度である、第17の態様に記載の第18の態様。
【0094】
液体が、摂氏100度未満の融点を有する液体金属である、第17または第18の態様に記載の第19の態様。
【0095】
液体金属が摂氏50°度未満の融点を有する、第17~19の態様のいずれかに記載の第20の態様。
【0096】
液体が、少なくとも50重量パーセントのガリウム、少なくとも5重量パーセントのスズ、および少なくとも10重量パーセントのインジウムを含む液体金属である、第17~20のいずれかの態様に記載の第21の態様。
【0097】
液体が、65~72重量パーセントのガリウム、5~15重量パーセントのスズ、および15~25重量パーセントのインジウムを含む液体金属である、第17~21の態様のいずれかに記載の第22の態様。
【0098】
押出温度が少なくとも摂氏180度である、第17~22の態様のいずれかに記載の第23の態様。
【0099】
ポリマーが、ポリオレフィン、フッ素化ポリマー、過フッ素化ポリマー、ナイロン、ポリスルホン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性樹脂ポリマーを含む、第17~23のいずれかの態様に記載の第24の態様。
【0100】
ポリマーがポリエチレンである、第17~24のいずれかの態様に記載の第25の態様。
【0101】
ポリマーが、ポリビニリデンフルオリド、エチレン-テトラフルオロ-エチレン、フッ素化エチレン-プロピレン、またはナイロンである、第17~25のいずれかの態様に記載の第26の態様。
【0102】
ポリマー溶液が、ポリマー溶液の総重量に基づいて、10~40重量パーセントのポリマーおよび60~90重量パーセントの溶媒を含む、第17~26のいずれかの態様に記載の第27の態様。
【0103】
溶媒が、押出温度でポリマーが可溶性である第1の溶媒と、押出温度でポリマーが第1の溶媒よりも可溶性が低い第2の溶媒とを含む、第17~27のいずれかの態様に記載の第28の態様。
【0104】
ポリマー多孔質膜が、0.01~10ミクロンの範囲の平均サイズの孔を有する、第17~28のいずれかの態様に記載の第29の態様。
【0105】
ポリマー多孔質膜が、方法および材料は同じだが、押出中空繊維を水と接触させて押出中空繊維の温度を低下させることによって形成される同等の多孔質膜のバブルポイントよりも高いバブルポイントを有する、第17~29のいずれかの態様に記載の第30の態様。
【0106】
ポリマー多孔質膜が、摂氏22度の温度でHFE-7200液体流体を使用して測定した場合に、少なくとも50ポンド/平方インチのバブルポイントを有する、第17~30のいずれかの態様に記載の第31の態様。
【0107】
多孔質膜の厚さが10~1000の範囲である、第17~31のいずれかの態様に記載の第32の態様。
【0108】
第33の態様では、第1~32の態様のいずれかの方法によって調製された多孔質膜が開示される。
【0109】
第34の態様では、第33の態様の多孔質膜を含むフィルターカートリッジが開示される。
【0110】
第35の態様では、第3-3の態様の多孔質膜を含むフィルターが開示される。
【0111】
第36の態様では、第33の態様の多孔質膜、第34の態様のフィルターカートリッジ、または第35の態様のフィルターを使用する方法であって、溶媒含有液をフィルター膜に通過させることを含む方法が開示される。
【0112】
溶媒含有液が、半導体リソグラフィー溶媒である、第36の態様に記載の第37の態様。
【0113】
溶媒が、乳酸エチル、ガンマ-ブチロラクトン、ヘキサメチルジシラザン、メチル-2-ヒドロキシイソブチレート、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、酢酸n-ブチル、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、酢酸イソアミル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、第36または第37の態様に記載の第38の態様。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー多孔質膜を調製する方法であって、
押出温度で、ポリマー
及び溶媒を含むポリマー溶液を押出成形して、押出中空繊維を形成することと、
押出中空繊維を液体金属と接触させることによって、押出中空繊維の温度を低下させることと
を含む、方法。
【請求項2】
液体金属が、摂氏100度未満の融点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体金属が、
少なくとも50重量パーセントのガリウム、
少なくとも5重量パーセントのスズ、
及び
少なくとも10重量パーセントのインジウム
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
ポリマーが、ポリオレフィン、フッ素化ポリマー、過フッ素化ポリマー、ナイロン、ポリスルホン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性樹脂ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
溶媒が、
押出温度でポリマーが可溶性である第1の溶媒、及び
押出温度でポリマーが第1の溶媒よりも可溶性が低い第2の溶媒
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリマー多孔質膜を調製する方法であって、
押出温度でポリマー
及び溶媒を含むポリマー溶液を押出成形して、押出中空繊維を形成することと、
押出中空繊維を、少なくとも3ワット/メートル/ケルビン度の熱伝導率を有する液体と接触させることによって、押出中空繊維の温度を低下させることと
を含む、方法。
【請求項7】
ポリマーが、ポリオレフィン、フッ素化ポリマー、過フッ素化ポリマー、ナイロン、ポリスルホン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性樹脂ポリマーを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
溶媒が、
押出温度でポリマーが可溶性である第1の溶媒、及び
押出温度でポリマーが第1の溶媒よりも可溶性が低い第2の溶媒
を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法によって調製された多孔質膜。
【請求項10】
請求項
6に記載の方法によって調製された多孔質膜。
【国際調査報告】