(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】レイアウトパターン選択の方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/70 20120101AFI20220307BHJP
G03F 1/36 20120101ALI20220307BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G03F1/70
G03F1/36
G03F7/20 501
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539427
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(85)【翻訳文提出日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2020050494
(87)【国際公開番号】W WO2020156777
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/073714
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェイ-ジエ
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BA01
2H195BA07
2H195BA10
2H195BA12
2H195BB02
2H195BC09
2H197AA09
2H197BA11
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA10
2H197CB01
2H197CC25
2H197DA02
2H197DB21
2H197GA01
2H197JA05
2H197JA26
(57)【要約】
本明細書に記載するのは、レイアウトパターニングプロセスにおける訓練パターンを決定するための方法である。この方法は、パターンセット中のパターンから複数のフィーチャを生成することと、パターンセット中のパターンを、複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて個々のグループにグループ分けすることと、個々のグループから代表的なパターンを選択して、訓練パターンを決定することと、を含む。実施形態によっては、この方法は、レイアウトパターニングプロセスにおける機械学習モデルを訓練するための方法である。この方法は、例えば、個々のグループからの代表的なパターンを機械学習モデルに提供して、機械学習モデルを訓練して、レイアウトパターニングプロセスにおける光近接効果補正(OPC)のための連続透過マスク(CTM)マップを予測することを含むことがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイアウトパターニングプロセスのための訓練パターンを決定するための方法であって、
パターンセット中のパターンから複数のフィーチャを生成することと、
前記複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、前記パターンセット中の前記パターンを個々のグループにグループ分けすることと、
前記個々のグループから代表的なパターンを選択して前記訓練パターンを決定することと、を含む方法。
【請求項2】
前記複数の生成されたフィーチャは、幾何学的フィーチャ及びリソグラフィを意識したフィーチャを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記幾何学的フィーチャは、ターゲットマスク像、頻度マップ、パターン密度マップ、又は前記パターンセット中の一意のパターンのパターン出現件数、のうちの1つ又は複数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リソグラフィを意識したフィーチャは、前記パターンセット中の一意のパターンの、サブレゾリューション・アシスト・フィーチャ・ガイダンス・マップ(SGM)、回折次数、又は回折パターン、のうちの1つ又は複数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記パターンセット中の前記パターンから生成される前記複数のフィーチャは、前記パターンセットに既に含まれている幾何学的情報及び/又は頂点情報を補うものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の生成されたフィーチャに基づいて、前記パターンセット中の前記パターンをグループにグループ分けすることは、教師なし機械学習を使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の生成されたフィーチャにおける前記類似度に基づいて、前記パターンセット中の前記パターンを個々のグループにグループ分けすることは、前記複数の生成されたフィーチャにおける前記類似度に基づいて、前記パターンセット中の前記パターンを個々のグループにクラスター化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記クラスター化することは、異なるクラスター化ステップに対しては前記複数の生成されたフィーチャのうちの異なるものを使用して実施される、連続した一連のクラスター化ステップを含み、前記連続した一連のクラスター化ステップは、前記パターンセット中の一意のパターンのサブグループを形成し、それにより、前記サブグループから前記代表的なパターンが選択されて、前記訓練パターンが決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記クラスター化することは、機械学習クラスタリング方法を含み、及び/又は、前記連続した一連のクラスター化ステップは、所与のステップに対して所与のフィーチャを使用して行われる交差検証ステップを含み、交差検証は、所与のサブグループにどのパターンが含まれるかを調節することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記個々のグループから代表的なパターンを選択して前記訓練パターンを決定することは、代表的なパターンのターゲット数を選択することを含み、及び/又は、代表的なパターンの前記ターゲット数は、停止基準に基づいて決定され、前記停止基準は、前記訓練パターンにおける変動を促進するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記訓練パターンにおける変動量を決定することを更に含み、及び/又は、前記停止基準は、前記訓練パターンにおける前記変動量が変動量閾値を確実に超えるように更に構成され、及び/又は、代表的なパターンの前記ターゲット数は前記個々のグループからランダムに選択され、及び/又は、代表的なパターンの前記ターゲット数は、前記訓練パターンにおける前記変動量が前記変動量閾値を超えないことに応答して、再びランダムに選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記個々のグループから代表的なパターンを選択して前記訓練パターンを決定することは、前記個々のグループのそれぞれから最も中央のパターンを選択することを含み、前記最も中央のパターンは、前記個々のグループ内の他のパターンに比べて、その個々のグループに対する特定のフィーチャ空間の重心に最も近いものである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記特定のフィーチャ空間とは、ターゲットマスク像フィーチャ空間、頻度マップフィーチャ空間、パターン密度マップフィーチャ空間、パターン出現件数フィーチャ空間、SGMフィーチャ空間、回折次数フィーチャ空間、又は回折パターンフィーチャ空間である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記訓練パターンを畳み込み型深層ニューラルネットワークに提供して前記畳み込み型深層ニューラルネットワークを訓練することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
命令が記録された非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラムであって、前記命令が、コンピュータによって実行されると、請求項1に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年1月29日に出願された中国特許出願第PCT/CN2019/073714号の優先権を主張するものであり、該出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書の記載は、一般的に、マスク製造及びパターニングプロセスに関する。より具体的には、本明細書の記載は、機械学習モデルを訓練するためにレイアウトパターンを選択する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ投影装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において使用され得る。このような場合、パターニングデバイス(例えば、マスク)は、ICの個々の層に対応するパターン(「設計レイアウト」)を含むこと、又は提供することができ、及びこのパターンは、パターニングデバイス上のパターンを通してターゲット部分を照射するなどの方法により、放射感応性材料(「レジスト」)の層でコートされた基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に転写され得る。一般に、単一の基板は、パターンがリソグラフィ投影装置によって連続して転写される複数の隣接するターゲット部分(一度に1つのターゲット部分)を含む。あるタイプのリソグラフィ投影装置においては、パターニングデバイス全体上のパターンが、一つの動作で1つのターゲット部分上に転写され、このような装置は、一般にステッパと呼ばれる。一般にステップアンドスキャン装置と呼ばれる代替装置では、投影ビームが、所与の基準方向(「スキャン」方向)にパターニングデバイスをスキャンすることに同期して、この基準方向に平行又は逆平行に基板を移動させる。パターニングデバイス上のパターンの異なる部分が、1つのターゲット部分に漸進的に転写される。一般に、リソグラフィ投影装置は、縮小率M(例えば、4)を有するので、基板を移動させる速度Fは、投影ビームがパターニングデバイスをスキャンする速度×1/Mとなる。本明細書に記載するようなリソグラフィデバイスに関するさらなる情報は、例えば、本明細書に援用される米国特許第6,046,792号から学ぶことができる。
【0004】
[0004] パターニングデバイスから基板にパターンを転写する前に、基板は、プライミング、レジストコーティング、及びソフトベークなどの様々なプロシージャを経てもよい。露光後に、基板は、ポストベーク(PEB)、現像、ハードベーク、及び転写されたパターンの測定/インスペクションなどの他のプロシージャ(「露光後プロシージャ」)を受けてもよい。この多数のプロシージャは、デバイス、例えばICの個々の層を作るための基礎として使用される。基板は、次に、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学機械研磨など(全て、デバイスの個々の層を仕上げることを意図したもの)の様々なプロセスを経てもよい。デバイスに幾つかの層が必要とされる場合、プロシージャ全体又はそれの異形が、各層に対して繰り返される。最終的に、基板上の各ターゲット部分にデバイスが存在する。これらのデバイスは、次に、ダイシング又はソーイングなどの技術によって互いに分離され、その結果、個々のデバイスがキャリア上に取り付けられること、ピンに接続されることなどが可能である。
【0005】
[0005] 半導体デバイスなどの製造デバイスは、一般的に、デバイスの様々なフィーチャ及び複数の層を形成するための多数の製作プロセスを用いて、基板(例えば半導体ウェーハ)を処理することを含む。このような層及びフィーチャは、一般的に、例えば、堆積、リソグラフィ、エッチング、化学機械研磨、及びイオン注入を用いて、製造及び処理される。複数のデバイスが、基板上の複数のダイ上で製作され、その後、個々のデバイスに分離されてもよい。このデバイス製造プロセスは、パターニングプロセスと見なすことができる。パターニングプロセスは、パターニングデバイス上のパターンを基板に転写するために、リソグラフィ装置においてパターニングデバイスを用いる光及び/又はナノインプリントリソグラフィなどのパターニングステップを含み、及び一般的に(但し任意選択的に)、現像装置によるレジスト現像、ベークツールを用いた基板のベーク、エッチング装置を用いたパターンを使用するエッチングなどの1つ又は複数の関連のパターン処理ステップを含む。1つ又は複数のメトロロジプロセスは、一般的に、パターニングプロセスに関与する。
【0006】
[0006] 上述の通り、リソグラフィは、基板上に形成されたパターンが、マイクロプロセッサ、メモリチップなどのデバイスの機能素子を定義する、ICなどのデバイスの製造における中心的ステップである。フラットパネルディスプレイ、微小電子機械システム(MEMS)、及び他のデバイスの形成においても、類似のリソグラフィ技術が使用される。
【0007】
[0007] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれて、機能素子の寸法は、継続的に小さくなっている一方で、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って、1つのデバイス当たりのトランジスタなどの機能素子の数は、何十年にもわたり、着実に増加している。現在の技術状況では、デバイスの層は、深紫外線照明源からの照明を用いて、設計レイアウトを基板上に投影し、100nmをはるかに下回る(すなわち、照明源(例えば、193nm照明源)からの放射の波長の半分未満)寸法を有する個々の機能素子を生成するリソグラフィ投影装置を用いて製造される。
【0008】
[0008] リソグラフィ投影装置の古典的限界解像度未満の寸法を持つフィーチャが印刷されるこのプロセスは、一般に、解像度式CD=k1×λ/NAによる低k1リソグラフィとして知られ、式中、λは、用いられた放射の波長(現在、ほとんどの場合、248nm又は193nm)であり、NAは、リソグラフィ投影装置における投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンジョン」(一般に、印刷される最小のフィーチャサイズ)であり、及びk1は、経験的解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能性及び性能を達成するために設計者によって計画された形状及び寸法に酷似するパターンを基板上に再現することがより難しくなる。これらの困難を克服するために、最新式の微調整ステップが、リソグラフィ投影装置、設計レイアウト、又はパターニングデバイスに適用される。これらは、例えば、限定されないが、NA及び光学コヒーレンス設定の最適化、カスタマイズ照明方式、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光近接効果補正(OPC、「光学及びプロセス補正(optical and process correction)」とも呼ばれることがある)、又は一般に「解像度向上技術」(RET)と定義される他の方法も含む。本明細書で使用する「投影光学系」という用語は、例えば、屈折光学系、反射光学系、アパーチャ、及び反射屈折光学系を含む、様々なタイプの光学システムを網羅すると広く解釈されるものとする。「投影光学系」という用語は、まとめて、又は単独で、放射の投影ビームの誘導、整形、又は制御を行うためにこれらの設計タイプの何れかに従って動作するコンポーネントも含み得る。「投影光学系」という用語は、光学コンポーネントがリソグラフィ投影装置の光路上のどこに位置するかにかかわらず、リソグラフィ投影装置内の何れの光学コンポーネントも含み得る。投影光学系は、ソースからの放射がパターニングデバイスを通過する前に、放射を整形、調節、及び/又は投影するための光学コンポーネント、及び/又は放射がパターニングデバイスを通過した後に、放射を整形、調節、及び/又は投影するための光学コンポーネントを含み得る。投影光学系は、一般に、ソース及びパターニングデバイスを除く。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 一実施形態によれば、ウェーハパターニングプロセスのための機械学習モデルを訓練する方法が提供される。この方法は、パターンセット中のパターン毎に複数のフィーチャを生成することと、パターンセット中のパターンを、複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて個々のグループにグループ分けすることと、個々のグループからの代表的なパターンを、ウェーハパターニングプロセスのための計算機リソグラフィアプリケーションに提供することと、を含む。アプリケーションには、ソース-マスク最適化(SMO)、光近接効果補正(OPC)、リソグラフィ製造可能性チェック(LMC)が含まれることがある。
【0010】
[0010] 一実施形態では、パターンセット中のパターンから生成される複数のフィーチャは、パターンセットに既に含まれている幾何学的情報及び/又は頂点情報を補うものである。一実施形態では、SMOは、ウェーハパターニングプロセスにおけるウェーハのフルチップレイアウトのための、ソース(光源)及びマスクの相互最適化を含む。一実施形態では、OPCは、ウェーハパターニングプロセスにおけるウェーハのフルチップOPCを含む。一実施形態では、LMCは、ウェーハパターニングプロセスにおけるウェーハのフルチップレイアウトのための、リソグラフィ製造可能性及びリソグラフィ性能チェックを含む。一実施形態では、複数の生成されたフィーチャは、幾何学的フィーチャ及びリソグラフィを意識したフィーチャを含む。一実施形態では、複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、パターンセット中のパターンを個々のグループにグループ分けすることは、機械学習クラスタリング方法を使用して、複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、パターンセット中のパターンを個々のグループにクラスター化することを含む。
【0011】
[0011] 別の実施形態によれば、ウェーハパターニングプロセスのための訓練パターンを決定する方法が提供される。この方法は、パターンセット中のパターンから複数のフィーチャを生成することと、パターンセット中のパターンを、複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて個々のグループにグループ分けすることと、個々のグループから代表的なパターンを選択して、訓練パターンを決定することと、を含む。
【0012】
[0012] 一実施形態では、複数の生成されたフィーチャは、幾何学的フィーチャ及びリソグラフィを意識したフィーチャを含む。幾何学的フィーチャは、ターゲットマスク像、頻度マップ、パターン密度マップ、又はパターンセット中の一意のパターンのパターン出現件数、のうちの1つ又は複数を含む。リソグラフィを意識したフィーチャは、パターンセット中のパターンの、サブレゾリューション・アシスト・フィーチャ・ガイダンス・マップ(SGM)、回折次数、又は回折パターン、のうちの1つ又は複数を含む。一実施形態では、パターンセット中のパターンから生成される複数のフィーチャは、パターンセットに既に含まれている幾何学的情報及び/又は頂点情報を補うものである。
【0013】
[0013] 一実施形態では、複数の生成されたフィーチャに基づいて、パターンセット中のパターンをグループにグループ分けすることは、教師なし機械学習を使用して行われる。一実施形態では、複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、パターンセット中のパターンを個々のグループにグループ分けすることは、複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、パターンセット中の一意のパターンを個々のグループにクラスター化することを含む。このクラスター化には、異なるクラスター化ステップに対しては複数の生成されたフィーチャのうちの異なるものを使用して実施される、連続した一連のクラスター化ステップが含まれ、この連続した一連のクラスター化ステップは、パターンセット中のパターンのサブグループを形成し、その結果、サブグループから代表的なパターンが選択されて、訓練パターンが決定される。一実施形態では、クラスター化は、機械学習クラスタリング方法(例えば、k平均法)を含む。
【0014】
[0014] 一実施形態では、連続した一連のクラスター化ステップは、所与のステップについて所与のフィーチャを使用して実施される、交差検証ステップを含む。交差検証ステップは、所与のサブグループにどのパターンが含まれるかを調節することを含む。
【0015】
[0015] 一実施形態では、個々のグループから代表的なパターンを選択して訓練パターンを決定することは、代表的なパターンのターゲット数を選択することを含む。代表的なパターンのターゲット数は、停止基準に基づいて決定される。停止基準は、訓練パターンにおける変動量を促進するように構成される。一実施形態では、この方法は更に、訓練パターンにおける変動の量を決定することを含む。一実施形態では、停止基準は、訓練パターンにおける変動の量が変動量閾値を確実に超えるように、更に構成される。
【0016】
[0016] 一実施形態では、代表的なパターンのターゲット数は、個々のグループからランダムに選択される。一実施形態では、代表的なパターンのターゲット数は、訓練パターンにおける変動の量が変動量閾値を超えないことに応答して、再びランダムに選択される。
【0017】
[0017] 一実施形態では、個々のグループから代表的なパターンを選択して訓練パターンを決定することは、それぞれの個々のグループから最も中央のパターンを選択することを含む。最も中央のパターンとは、個々のグループ内の他のパターンと比べて、その個々のグループの、特定のフィーチャ空間の重心に最も近いパターンである。一実施形態では、特定のフィーチャ空間とは、ターゲットマスク像フィーチャ空間、頻度マップフィーチャ空間、パターン密度マップフィーチャ空間、パターン出現件数フィーチャ空間、SGMフィーチャ空間、回折次数フィーチャ空間、又は回折パターンフィーチャ空間、である。
【0018】
[0018] 一実施形態では、この方法は更に、訓練パターンを畳み込み型深層ニューラルネットワークに提供して畳み込み型深層ニューラルネットワークを訓練することを含む。一実施形態では、この方法は更に、訓練された畳み込み型深層ニューラルネットワークを使用して、ウェーハパターニングプロセスの一部として、光近接効果補正を実施することを含む。
【0019】
[0019] 別の実施形態によれば、命令が記録された非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラムであって、命令が、コンピュータによって実行されると、上記の方法を実施する、コンピュータプログラムが提供される。
【0020】
[0020] 本明細書に組み込まれ、及び本明細書の一部を構成する添付の図面は、1つ又は複数の実施形態を示し、発明の詳細な説明と共に、これらの実施形態を説明する。単なる例として、対応する参照記号が対応する部分を示す添付の模式図を参照して、本発明の実施形態をこれより説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】[0021]ある実施形態による、リソグラフィシステムの様々なサブシステムのブロック図を示す。
【
図2】[0022]一実施形態による、リソグラフィプロセスを伴うパターニングプロセスを介して基板上に印刷されることになるターゲットパターンに対応する像(例えば、連続透過マスク像、バイナリマスク像、曲線マスク像、等)から、パターニングデバイスパターン(又はマスクパターン)を決定するための方法の流れ図である。
【
図3】[0023]ある実施形態による、リソグラフィ投影装置においてリソグラフィをシミュレーションするための例示的フローチャートを示す。
【
図4】[0024]一実施形態による、ウェーハパターニングプロセスにおける訓練パターンを決定するための本方法の動作の概要を示す。
【
図5】[0025]一実施形態による、フィーチャ生成の態様を示す。
【
図6】[0026]一実施形態による、一意のパターンに対して生成された複数のフィーチャにおける類似度に基づいて、パターンセット中のパターンを個々のグループにクラスター化する様子を示す。
【
図7】[0027]一実施形態による、クラスター化検証動作の一部である、kの値に対する二乗誤差の合計の、例示的なプロットを示す。
【
図8】[0028]一実施形態による、k重の交差検証を示す。
【
図9】[0029]一実施形態による、訓練パターンとして使用するための代表的な例示的パターンセットを形成するためのパターン選択を示す。
【
図10】[0030]ある実施形態による、コンピュータシステム例のブロック図である。
【
図11】[0031]ある実施形態による、リソグラフィ投影装置の模式図である。
【
図12】[0032]ある実施形態による、別のリソグラフィ投影装置の模式図である。
【
図13】[0033]ある実施形態による、
図12の装置のより詳細な図である。
【
図14】[0034]ある実施形態による、
図12及び
図13の装置のソースコレクタモジュールSOのより詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0035] フルチップグラフィックデータベースシステム(GDS)ファイル(例えば、GDSIIファイル)からのパターン選択を行うことは、難しい仕事である。訓練パターンは、畳み込み型深層ニューラルネットワーク(DCNN)を訓練するために、及び/又はフルチップ光近接効果補正(OPC)アプリケーション、ソース-マスク最適化(SMO)アプリケーション、リソグラフィ製造可能性チェック(LMC)アプリケーションの一部である他の機械学習モデルを訓練するために使用されるか、及び/又は他の目的のために使用される。ユーザが、レイアウトパターンについて、十分に代表的であるとは言えないパターン、又は不十分なパターンを用いて、訓練パターンセットを生成し、そのような訓練データを訓練のために機械学習モデル(例えば、DCNN)に提供した場合、フルチップOPCアプリケーションのためには、その機械学習モデル(例えば、DCNN)によって、正確なCTMマップは予測されないであろう。不正確なCTMマップは、リソグラフィホットスポットの出現及びプロセスウィンドウの制限につながることがあり、及び/又は、リソグラフィ性能仕様を満足しようとすると、その後のマスク補正動作中に困難が生じることがある。現在、ユーザは、フルチップGDSから訓練パターンを手動で選択している。手動での選択は、ユーザによる膨大な作業を必要とし、レイアウトパターン選択(例えば、様々なパターンの代表的なカバレッジ)は、フルチップGDS設計に対するユーザの経験及び予備知識に依存する。有利にも、本方法及び装置は、フルチップGDSパターンを系統立って分析し、代表的なパターンを選択して、機械学習モデル訓練セットを構築し、このとき、パターンカバレッジは、フルチップGDSファイル全体に渡ってターゲットレイアウトパターンを適切に代表している。
【0023】
[0036] 簡単な導入部として、本明細書において、ICの製造に対して具体的な言及がなされる場合があるが、本明細書の記載は、多くの他の可能な適用例を有することが明白に理解されるものとする。例えば、それは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、液晶ディスプレイパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造において用いられ得る。このような代替適用例において、当業者は、このような代替適用例の文脈において、本明細書における「レチクル」、「ウェーハ」、又は「ダイ」という用語の使用が、それぞれ、より一般的な用語である「マスク」、「基板」、及び「ターゲット部分」と同義であると見なされるべきであることを認識するだろう。加えて、本明細書に記載される方法は、言語処理システム、自動運転車、医用イメージング及び診断、意味的セグメンテーション、ノイズ除去、チップ設計、電子設計自動化などの多様な分野において、多くの他の可能な適用例を有し得ることに留意されたい。本方法は、機械学習モデル予測の不確実性を数値化することが有利なあらゆる分野において適用され得る。
【0024】
[0037] 本明細書において、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線、例えば、約5~100nmの範囲内の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅するために使用される。
【0025】
[0038] パターニングデバイスは、1つ又は複数の設計レイアウトを含み、又は形成することができる。設計レイアウトは、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムを利用して生成することができ、このプロセスは、EDA(電子設計自動化)と呼ばれることが多い。ほとんどのCADプログラムは、機能設計レイアウト/パターニングデバイスを生成するために、所定の設計ルールセットに従う。これらのルールは、処理及び設計の限界に基づいて設定される。例えば、設計ルールは、デバイス(ゲート、キャパシタなど)又は相互接続ライン間のスペース公差を、デバイス又はラインが望ましくない形で互いに作用しないことを確実にするように定義する。設計ルール限界の1つ又は複数は、「クリティカルディメンジョン」(CD)と呼ばれ得る。デバイスのクリティカルディメンジョンは、ライン若しくは孔の最小幅、又は2つのライン若しくは2つの孔間の最小のスペースと定義することができる。従って、CDは、設計されたデバイスの全体のサイズ及び密度を制御する。デバイス製作における目標の1つは、基板上に(パターニングデバイスを用いて)元の設計意図を忠実に再現することである。
【0026】
[0039] 本明細書で用いられる「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、入ってくる放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応したパターン付き断面を与えるために使用することができる一般的パターニングデバイスを指すと広く解釈することができ、「ライトバルブ」という用語も、この文脈で使用され得る。従来のマスク(透過型又は反射型;バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のこのようなパターニングデバイスの例には、以下が含まれる:
-プログラマブルミラーアレイ。このようなデバイスの一例は、粘弾性制御層及び反射面を有するマトリックスアドレス可能面である。このような装置の背後にある基本原理は、(例えば)反射面のアドレスエリアが、入射放射を回折放射として反射し、非アドレスエリアが、入射放射を非回折放射として反射することである。適宜のフィルタを使用して、上記非回折放射が反射ビームから除去され、回折放射のみを後に残すことができ、このようにして、ビームが、マトリックスアドレス可能面のアドレッシングパターンに従ってパターン付けされる。必要とされるマトリックスアドレッシングは、適宜の電子手段を使用して行うことができる。他のこのようなパターニングデバイスの例には、プログラマブルLCDアレイも含まれる。このような構造の一例は、本明細書に援用される米国特許第5,229,872号によって与えられる。
【0027】
[0040]
図1は、例示的リソグラフィ投影装置10Aを示す。主なコンポーネントは、深紫外線(DUV)エキシマレーザ源、又は極端紫外線(EUV)源を含む他のタイプのソースでもよい放射源12A(本明細書に説明するように、リソグラフィ投影装置自体は、放射源を有する必要がない)と、部分コヒーレンス(シグマで表す)をたとえば定義し、並びにソース12Aからの放射を整形する光学系14A、16Aa、及び16Abを含み得る照明光学系と;パターニングデバイス18Aと;パターニングデバイスパターンの像を基板面22A上に投影する透過光学系16Acとである。投影光学系の瞳面における調節可能フィルタ又はアパーチャ20Aは、基板面22Aに衝突するビーム角の範囲を制限することができ、ここで、可能な最大角が、投影光学系の開口数NA=n sin(Θmax)を定義し、式中、nは、基板と投影光学系の最後の素子との間の媒体の屈折率であり、及びΘmaxは、まだ基板面22Aに衝突し得る投影光学系から出るビームの最大角である。
【0028】
[0041] リソグラフィ投影装置では、ソースは、照明(すなわち、放射)をパターニングデバイスに提供し、並びに投影光学系は、パターニングデバイスを介して、基板上へと照明の誘導及び整形を行う。投影光学系は、コンポーネント14A、16Aa、16Ab、及び16Acの少なくとも幾つかを含み得る。空間像(AI)は、基板レベルにおける放射強度分布である。レジストモデルを使用して、空間像からレジスト像を計算することができ、その一例は、その開示内容が全体として本明細書に援用される米国特許出願公開第2009-0157630号に見つけることができる。レジストモデルは、レジスト層の特性(例えば、露光、露光後ベーク(PEB)、及び現像中に生じる化学プロセスの影響)に関係する。リソグラフィ投影装置の光学特性(例えば、照明、パターニングデバイス、及び投影光学系の特性)が、空間像を決定付け、光学モデルで定義できる。リソグラフィ投影装置で使用されるパターニングデバイスは変更され得るので、パターニングデバイスの光学特性を、少なくともソース及び投影光学系を含む、リソグラフィ投影装置の残りの部分の光学特性から切り離すことが望ましい。設計レイアウトを様々なリソグラフィ像(例えば、空間像、レジスト像など)に変換するため、技法及びモデルを用いて光近接効果補正(OPC)を適用するため、並びに(例えば、プロセスウィンドウの観点から)性能を評価するために使用される上記技法及びモデルの詳細は、米国特許出願公開第2008-0301620号、同第2007-0050749号、同第2007-0031745号、同第2008-0309897号、同第2010-0162197号、及び同第2010-0180251号に記載されており、各開示内容は、本明細書に全体として援用される。
【0029】
[0042] 光近接効果補正(OPC)は、処理中に発生する歪みを補償することにより、集積回路パターニングプロセスを強化する。歪みが処理中に発生する、というのも、ウェーハに印刷されるフィーチャは、パターニング及び印刷プロセスで使用される光の波長よりも小さいからである。OPC検証により、ウェーハ上のパターニング欠陥に潜在的につながる可能性のある、OPC後ウェーハ設計におけるOPCエラー又は弱点が特定される。例えば、ASML Tachyonリソグラフィ製造可能性チェック(LMC)は、OPC検証製品である。
【0030】
[0043] OPCは、基板に投影される設計レイアウトの像の最終的なサイズ及び配置が、パターニングデバイス上の設計レイアウトのサイズ及び配置と同一にはならないか、又は単にパターニングデバイス上の設計レイアウトのサイズ及び配置にのみ依存しない、という事実に対処する。OPCなどの解像度向上技術(RET)の文脈においては、物理的なパターニングデバイスは必ずしも使用されず、設計レイアウトを使用して、物理的なパターニングデバイスを表すことができる。一部の設計レイアウトに存在するようにフィーチャサイズが小さくフィーチャ密度が高い場合、所与のフィーチャの特定のエッジの位置は、他の隣接するフィーチャの有無によって、一定程度影響を受ける。これらの近接効果は、あるフィーチャから別のフィーチャに結合される微量の放射、又は回折及び干渉などの非幾何学的な光学的効果から、生じる。同様に、近接効果は、一般的にリソグラフィに続く露光後ベーク(PEB)、レジスト現像、及びエッチング中の、拡散及び他の化学的効果から生じることもある。
【0031】
[0044] 設計レイアウトの投影像が所与のターゲット回路設計の要件に従う可能性を高めるために、高度な数値モデル、設計レイアウトの補正又は予歪を使用して、近接効果を予測し補償することができる。論文“Full-Chip Lithography Simulation and Design Analysis - How OPC Is Changing IC Design”, C. Spence, Proc.SPIE, Vol.5751, pp1-14 (2005)は、現在の「モデルベース」の光近接効果補正処理の概要を提供している。典型的なハイエンドの設計では、ターゲット設計に対する投影像の忠実性を高めるために、設計レイアウトの殆ど全てのフィーチャに、何らかの修正が加えられる。これらの修正には、エッジ位置又は線幅のシフト又はバイアス、並びに、他のフィーチャの投影を支援するように意図された「アシスト(支援)」フィーチャの適用が含まれることがある。
【0032】
[0045] OPCの最も単純な形態の1つは、選択的バイアスである。CD対ピッチ曲線が与えられると、パターニングデバイスレベルでCDを変更することにより、少なくとも最高の焦点と露光で、異なるピッチの全てを、同じCDを生成するように強制することができる。従って、基板レベルでフィーチャがあまりに小さく印刷される場合、パターニングデバイスレベルのフィーチャは、公称値よりも僅かに大きくなるようにバイアスされ、逆も同様である。パターニングデバイスレベルから基板レベルへのパターン転写処理は非線形であるので、バイアスの量は、単純に、最高の焦点及び露光で測定されたCDエラーに縮小率を掛けたものにはならず、モデリング及び実験を用いて、適切なバイアスを決定することができる。選択的バイアスは、特に、公称の処理条件でのみ適用される場合には、近接効果の問題に対しては不完全な解決策である。そのようなバイアスは、原理的には、最高の焦点及び露光で均一のCD対ピッチ曲線を与えるように適用することができるものの、一旦、露光処理が公称条件から変動すると、それぞれのバイアスされたピッチ曲線は異なる態様で応答し、その結果、異なるフィーチャに対して異なるプロセスウィンドウがもたらされる。フィーチャを十分に適切に生成する(例えば、フィーチャのCDが、±10%又は±5%などの一定の範囲内になる)ような2つ以上のプロセスパラメータ(例えば、リソグラフィ装置における焦点及び放射ドーズ量)の値の範囲であるプロセスウィンドウ。従って、同一のCD対ピッチを与える「最良の」バイアスは、全体的なプロセスウィンドウに悪影響を及ぼすことさえあり、全てのターゲットフィーチャを所望のプロセス許容範囲内で基板に印刷する焦点及び露光の範囲を、拡大するのではなく低減することがある。
【0033】
[0046] 上記の1次元のバイアス例を超えて適用するために、より複雑な他のOPC技術が開発されてきた。2次元の近接効果は、ラインエンドショートニングである。ラインエンドは、露光及び焦点の関数として、それらの所望のエンドポイント位置から「プルバック」される傾向がある。多くの場合、長いラインエンドのエンドショートニングの程度は、対応するライン細線化よりも数倍大きいことがある。この種のラインエンドプルバックは、ラインエンドが、ソース-ドレイン領域上のポリシリコンゲート層などの、そのラインエンドが覆うように意図されていた下層を完全に横切ることができない場合、製造されるデバイスの壊滅的な故障につながることがある。この種のパターンは、焦点及び露光に非常に敏感であるので、単純にラインエンドを設計長よりも長くなるようにバイアスすることは不適切である、というのも、最良の焦点及び露光での又は露光不足の状態でのラインは、過剰に長くなり、その結果、延長されたラインエンドが隣接する構造物に接触するので短絡につながったり、又は、回路内の個々のフィーチャ間により多くのスペースが追加される場合、不必要に大きな回路サイズにつながったりする。集積回路の設計及び製造の目標の1つは、1チップ当たりに必要とされる面積を最小化しながら、機能要素の数を最大化することであるので、余分なスペースを追加することは望ましくない解決策である。
【0034】
[0047] 2次元のOPC方式は、ラインエンドのプルバック問題を解決するのに役立つことがある。「ハンマーヘッド」又は「セリフ」などの追加の構造物(「アシストフィーチャ」としても知られる)をラインエンドに追加して、効果的にラインエンドを所定の位置に固定し、プロセスウィンドウ全体に渡りプルバックを低減することができる。最良の焦点及び露光においてでさえ、これらの追加の構造物は分解されないが、これらは、主要なフィーチャの外観を、それら自体では完全に分解されることなく、変更する。本明細書で使用する場合、「主要なフィーチャ」とは、プロセスウィンドウにおける一部の又は全ての条件の下で基板に印刷されることが意図されたフィーチャを意味する。アシストフィーチャは、ラインエンドに追加される単純なハンマーヘッドよりもはるかに意欲的な形態を取ることがあり、これは、パターニングデバイス上のパターンが、もはや単純に縮小率だけ大型化された所望の基板パターンではない、という程度に及ぶ。セリフなどのアシストフィーチャは、単にラインエンドプルバックを低減するだけでなく、より多くの状況に適用することができる。内側又は外側のセリフを、任意のエッジ、特に2次元のエッジに適用して、角の丸まり又はエッジの押し出しを減らすことができる。十分な選択的バイアス並びに全てのサイズ及び極性のアシストフィーチャを用いると、パターニングデバイス上のフィーチャは、基板レベルで望まれる最終パターンとの類似度がどんどん低くなる。一般的に、パターニングデバイスのパターンは、基板レベルのパターンの予歪されたバージョンになり、この歪みは、製造プロセス中に発生するパターン変形を相殺するか又は逆転させて、出来る限り設計者が意図したパターンに近いパターンを基板上に生成するように、意図されている。
【0035】
[0048] 別のOPC技術は、主要フィーチャに接続されたアシストフィーチャ(例えば、セリフ)の代わりに又はそれに加えて、完全に独立した非分解性のアシストフィーチャを使用することを含む。ここでの「独立した」という用語は、これらのアシストフィーチャのエッジが、主要フィーチャのエッジに接続されていないことを意味する。これらの独立したアシストフィーチャは、基板上にフィーチャとして印刷されることを意図した又は望んだものではなく、むしろ、近くの主要フィーチャの空間像を修正して、その主要フィーチャの印刷可能性及びプロセス許容値を高めることが意図されている。これらのアシストフィーチャ(しばしば、「散乱バー」又は「SBAR」と呼ばれる)は、主要フィーチャのエッジの外側のフィーチャである、サブレゾリューションアシストフィーチャ(SRAF)と、主要フィーチャのエッジの内側からすくいだされたフィーチャである、サブレゾリューションインバースフィーチャ(SRIF)と、を含むことがある。SBARの存在は、パターニングデバイスのパターンの複雑さを更に深める。散乱バーの使用の単純な例は、非分解性の散乱バーの規則的な配列が、孤立ラインフィーチャの両側に引きのばされる場合である。これには、空間像の観点から、密なラインの配列の中の単一のラインをよりよく表すように、孤立ラインを見えるようにする効果があり、その結果、プロセスウィンドウの焦点及び露光許容値が、密なパターンの焦点及び露光許容値にはるかに近づく。そのような装飾された孤立フィーチャと密なパターンとの間の共通のプロセスウィンドウは、パターニングデバイスレベルで孤立して引きのばされたフィーチャの許容値よりも、焦点及び露光の変動に対してより大きな共通許容値を有する。
【0036】
[0049] アシストフィーチャは、パターニングデバイス上のフィーチャと、設計レイアウトにおけるフィーチャとの相違として見ることができる。「主要なフィーチャ」及び「アシストフィーチャ」という用語は、パターニングデバイス上の特定のフィーチャを、どちらか一方としてラベル付けしなくてはならない、ということを示唆するものではない。
【0037】
[0050] リソグラフィプロセスを理解する別の態様は、放射とパターニングデバイスとの相互作用を理解することである。放射がパターニングデバイスを通過した後の放射の電磁場は、放射がパターニングデバイスに到達する前の放射の電磁場と、相互作用を特徴付ける関数とから、決定することができる。この関数は、マスク透過関数と呼ばれることもある(この関数を使用して、透過型パターニングデバイス及び/又は反射型パターニングデバイスによる相互作用を説明することができる)。
【0038】
[0051] マスク透過関数は、様々な異なる形式を有することがある。1つの形式は、バイナリである。バイナリマスク透過関数は、パターニングデバイス上の所与の位置において2つの値(例えば、ゼロ及び正の定数)のいずれかを有する。バイナリ形式のマスク透過関数は、バイナリマスクと呼ばれることがある。別の形式は、連続式である。即ち、パターニングデバイスの透過率(又は反射率)は、パターニングデバイスの位置の連続的な関数である。透過率(又は反射率)の位相も、パターニングデバイスの位置の連続的な関数であり得る。連続的な形式のマスク透過関数は、連続トーンマスク又は連続透過マスク(CTM)と呼ばれることがある。例えば、CTMは、ピクセル化された像として表わされることがあり、各ピクセルは、0又は1のバイナリ値の代わりに、0~1の間の値(例えば、0.1、0.2、0.3、等)を割り当てられることがある。一実施形態では、CTMは、ピクセル化されたグレースケール像であることがあり、各ピクセルは様々な値を有する(例えば、[-255、255]の範囲内、[0、1]若しくは[-1、1]の範囲内に正規化された値、又は他の適切な範囲で)。
【0039】
[0052] 放射とパターニングデバイスとの相互作用の決定を単純化するために、キルヒホッフ境界条件とも呼ばれる、薄いマスク近似が、広く使用されている。薄いマスク近似では、パターニングデバイス上の構造物の厚さは、波長と比較すると非常に小さく、マスク上の構造物の幅は、波長と比較すると非常に大きい、と仮定する。従って、薄いマスク近似は、パターニングデバイスの後の電磁場は、入射電磁場とマスク透過関数との乗算であると仮定する。しかしながら、リソグラフィプロセスは、ますます短くなる波長の放射を使用しており、パターニングデバイス上の構造物はますます小さくなっているので、薄いマスク近似での仮定が崩れることがある。例えば、有限の厚さに起因して、放射と構造物(例えば、上面と側壁との間のエッジ)との相互作用(「マスク3D効果」又は「M3D」)が、重大になることがある。この散乱をマスク透過関数に含めることにより、マスク透過関数が、放射とパターニングデバイスとの相互作用をより良く取り込むことができることがある。薄いマスク近似の下でのマスク透過関数は、薄いマスクの透過関数と呼ばれることがある。M3Dを包含するマスク透過関数は、M3Dマスク透過関数と呼ばれることがある。
【0040】
[0053]
図2は、リソグラフィプロセスを伴うパターニングプロセスを介して基板上に印刷されることになるターゲットパターンに対応する像(例えば、連続透過マスク像、バイナリマスク像、曲線マスク像、等)から、パターニングデバイスパターン(又は、これ以降ではマスクパターン)を決定するための方法200の流れ図である。一実施形態では、設計レイアウト又はターゲットパターンは、バイナリ設計レイアウト、連続トーン設計レイアウト、又は別の適切な形式の設計レイアウトであり得る。
【0041】
[0054] 方法200は反復プロセスであり、初期像(例えば、強調像、CTM像から初期化されたマスク変数、など)が、徐々に修正されて、本開示の様々なプロセスに従う様々な種類の像が生成されて、最終的に、マスクパターン、又はマスクを製造/生産するために更に使用される像(例えば、最終曲線マスクに対応するマスク変数)、を含む情報が生成される。初期像の反復的な修正は、費用関数に基づくことがあり、反復中、初期像は、費用関数が減少するように、一実施形態では最小化するように、修正されることがある。一実施形態では、方法200は、二値化CTMプロセスと呼ばれることもあり、ここでは、初期像は、曲線マスクパターン(例えば、曲線マスク又は曲線パターンの、ジオメトリ又は多角形の代表的形状)を生成するために本開示に従って更に処理される、最適化されたCTM像である。一実施形態では、初期像はCTM像の強調像であり得る。曲線マスクパターンは、ベクトル、表、数式の形式、又は幾何学的な/多角形の形状を表す他の形式であり得る。
【0042】
[0055] 一実施形態では、プロセスP201は、初期像(例えば、CTM像若しくは最適化されたCTM像、又はバイナリマスク像)を取得することを含むことがある。一実施形態では、初期像201は、基板上に印刷されることになるターゲットパターンに基づいて、CTM生成プロセスによって生成されたCTM像であり得る。次いで、このCTM像はプロセスP201によって受け取られることがある。一実施形態では、プロセスP201は、CTM像を生成するように構成されることがある。例えば、CTM生成技術では、逆リソグラフィ問題が最適化問題として定式化されている。変数は、マスク像のピクセルの値に関連付けられ、EPE又はサイドローブプリンティングなどのリソグラフィ指標が、費用関数として使用される。最適化の反復においては、変数からマスク像が構築され、その後、プロセスモデル(例えば、Tachyonモデル)を適用して光学像又はレジスト像を取得し、費用関数を計算する。次いで、費用計算により、変数(例えば、ピクセル強度)を更新するために最適化解法で使用される勾配値が提供される。最適化中に何回か反復した後で、最終マスク像が生成され、これは、(例えば、Tachyon SMOソフトウェアで実装されるように)パターン抽出用のガイダンスマップとして更に使用される。そのような初期像(例えば、CTM像)には、パターニングプロセスを介して基板に印刷されることになるターゲットパターンに対応する、1つ又は複数のフィーチャ(例えば、ターゲットパターンのフィーチャ、SRAF、SRIF、等)が含まれることがある。
【0043】
[0056] 一実施形態では、CTM像(又は、CTM像の強調版)を使用して、初期像201として使用することができるマスク変数を初期化することがあり、この初期像201は、以下に説明するように、反復して修正される。
【0044】
[0057] プロセスP201は、初期像201に基づいて強調像202を生成することを含むことがある。強調像202は、初期像201内の特定の選択されたピクセルが増幅された像であり得る。選択されたピクセルは、初期像201内で比較的に低い値(又は弱い信号)を有するピクセルであり得る。一実施形態では、選択されたピクセルは、例えば、初期像全体のピクセルの平均強度又は所与の閾値よりも低い信号値を有するピクセルである。言い換えると、初期像201内の弱い信号を有するピクセルが増幅され、従って、初期像201内の1つ又は複数のフィーチャが強調される。例えば、ターゲットフィーチャの周囲にある2次SRAFは、増幅されることがある弱い信号を有することがある。従って、強調像202は、(この方法で後に生成される)マスク像内に含まれることがある追加のフィーチャ(又は構造物)をハイライトするか又は特定することがある。マスク像を決定する従来の方法(例えば、CTM法)では、初期像内の弱い信号は無視されることがあり、従って、マスク像は、初期像201における弱い信号から形成されることがあるフィーチャを含まないことがある。
【0045】
[0058] 強調像202の生成には、初期像201内の弱い信号を増幅するためのフィルタ(例えば、エッジ検出フィルタ)などの、像処理操作を施すことが含まれる。その代わりに又はこれに加えて、像処理操作は、ぼけ修正、平均化、及び/又はフィーチャ抽出若しくは他の類似の操作であり得る。エッジ検出フィルタの例としては、プレウィット(Prewitt)演算子、ラプラシアン(Laplacian)演算子、LoG(Laplacian of Gaussian)フィルタ、等が挙げられる。この生成ステップには、初期像201の元の強い信号を修正するかどうかに関わらず、初期像201の増幅された信号を初期像201の元の信号と組み合わせることが、更に含まれることがある。例えば、一実施形態では、初期像201全体で1つ又は複数の位置における(例えば、コンタクトホールにおける)1つ又は複数のピクセル値については、元の信号は比較的に強い(例えば、150などの一定の閾値を超えるか、又は-50を下回る)ことがあり、そのとき、その1つ又は複数の位置における(例えば、コンタクトホールにおける)元の信号は、修正されないか、又はその位置の増幅信号とは組み合わされないことがある。
【0046】
[0059] 一実施形態では、初期像201におけるノイズ(例えば、輝度又は色又はピクセル値におけるランダムな変動)も、増幅されることがある。そこで、その代わりに又はこれに加えて、組み合わされた像おけるノイズ(例えば、輝度又は色又はピクセル値におけるランダムな変動)を低減するために、平滑化プロセスが施されることがある。像平滑化方法の例としては、ガウスぼかし、移動平均、ローパスフィルタ等が挙げられる。
【0047】
[0060] 一実施形態では、強調像202は、エッジ検出フィルタを使用して生成されることがある。例えば、エッジ検出フィルタを初期像201に適用して、初期像201内の1つ又は複数のフィーチャのエッジをハイライトするフィルタ済像を生成することができる。結果として得られるフィルタ済像を、元の像(即ち、初期像201)と更に組み合わせて、強調像202を生成することができる。一実施形態では、初期像201とエッジフィルタリングの後に得られた像とを組み合わせることには、強い信号を有する領域を修正することなく、弱い信号を有する初期像201の部分だけを修正することが含まれることがあり、この組み合わせるプロセスは、信号強度に基づいて重み付けされることがある。一実施形態では、弱い信号を増幅することは、フィルタ済像内のノイズを増幅することもある。従って、一実施形態によれば、組み合わされた像に対して平滑化プロセスが行われることがある。像の平滑化とは、ノイズ又は他の微細な構造物/急激な現象を除外しながら、像内の重要なパターン(例えば、ターゲットパターン、SRAF)を取り込むように試みる近似関数を指すことがある。平滑化では、信号のデータポイントが修正され得るので、個々のポイントが(おそらくはノイズのせいで)低減されることがあり、隣接するポイントよりも低いことがあるポイントが増加されることがあり、その結果、より滑らかな信号又はより滑らかな像がもたらされる。従って、本開示の一実施形態によれば、平滑化操作により、ノイズが低減した強調像202の更に滑らかな像が得られることがある。
【0048】
[0061] この方法は、プロセスP203で、強調像202に基づいてマスク変数203を生成することを含むことがある。最初の反復では、強調像202を使用して、マスク変数203を初期化することができる。後の反復では、マスク変数203を反復して更新することができる。
【0049】
[0062] n個の実変数の実数値の関数fの輪郭線抽出は、以下の形式の組である。
Lc(f)={(x1,x2,...xn)|f(x1,x2,...xn)=c}
2次元空間では、この組は、この関数fが所与の値cに等しくなる表面上のポイントを定義する。2次元空間では、関数fは、マスク像にレンダリングされる閉じた輪郭線を抽出することができる。
【0050】
[0063] 上記の式では、x1、x2、...xnは、個々のピクセルの強度などのマスク変数を指しており、これは、所与の定数値c(例えば、以下のプロセスP205で説明するような閾値平面)を有する曲線マスクエッジが存在する位置を決定する。
【0051】
[0064] 一実施形態では、ある反復において、マスク変数203を生成することは、例えば、初期化条件又は勾配マップ(これは、本方法において後で生成されることがある)に基づいて、強調像202内の変数の1つ又は複数の値(例えば、1つ又は複数の位置でのピクセル値)を修正することを含むことがある。例えば、その1つ又は複数のピクセル値は、増加されることも又は低減されることもある。言い換えると、強調像202内の1つ又は複数の信号の振幅は、増加されることも又は低減されることもある。信号の振幅をそのように修正することにより、信号の振幅の変化量に応じて、異なる曲線パターンを生成することが可能になる。従って、曲線パターンは、費用関数が低減されるまで、一実施形態では最小化されるまで、徐々に進化する。一実施形態では、レベルマスク変数203に対して更なる平滑化が行われることがある。
【0052】
[0065] 更に、プロセスP205は、マスク変数203に基づいて、曲線マスクパターン205(例えば、ベクトル形式で表わされる多角形形状を有する)を生成することを含む。曲線マスクパターン205を生成することは、マスク変数203のしきい値処理をして、マスク変数203から曲線の(又は湾曲した)パターンをトレース又は生成することを含むことがある。例えば、しきい値処理は、マスク変数203の信号と交差する固定値を有する閾値平面(例えば、x-y平面)を使用して、実施されることがある。閾値平面とマスク変数203の信号との交点は、曲線マスクパターン205用の曲線パターンとしてはたらく多角形形状を形成するトレース又は輪郭(即ち、湾曲した多角形の形状)を生成する。例えば、マスク変数203は、(x、y)平面と平行なゼロ平面と交差することがある。従って、曲線マスクパターン205は、上記のように生成された任意の曲線パターンであり得る。一実施形態では、マスク変数203からトレースされた又は生成された曲線パターンは、強調像202の信号に依存する。従って、像強調プロセスP203は、最終曲線マスクパターン用に生成されるパターンの改善を容易にする。最終曲線マスクパターンは、リソグラフィプロセスで使用するためのマスクを製造するために、マスク製造業者によって更に使用されることがある。
【0053】
[0066] プロセスP207は、曲線マスクパターン205をレンダリングしてマスク像207を生成することを含むことがある。レンダリングは、曲線マスクパターンに対して実施される操作であり、矩形のマスク多角形を離散グレースケール像表現に変換するのと類似のプロセスである。そのようなプロセスは、一般的に、連続的な座標(多角形)のボックス関数を、像ピクセルの各ポイントにおける値にサンプリングすることとして、理解することができる。
【0054】
[0067] この方法は更に、マスク像207に基づいて基板に印刷されることがあるパターン209を生成又は予測するプロセスモデルを使用した、パターニングプロセスの順方向シミュレーションを含む。例えば、プロセスP209は、入力としてマスク像207を使用してプロセスモデルを実行すること及び/又はシミュレーションすることと、基板上にプロセス像209(例えば、空間像、レジスト像、エッチング像、等)を生成することと、を含むことがある。一実施形態では、プロセスモデルは、(例えば、以下に説明するような)レジストモデル及び/又はエッチングモデルに更に結合される光学系モデルに結合される、マスク透過モデルを含むことがある。プロセスモデルの出力は、シミュレーションプロセス中の異なるプロセス変動を考慮に入れたプロセス像209であり得る。プロセス像は、例えば、プロセス像内のパターンの輪郭線をトレースすることにより、パターニングプロセスのパラメータ(例えば、EPE、CD、オーバーレイ、サイドローブ、等)を決定するために、更に使用されることがある。それらのパラメータを使用して、更に費用関数を定義することができ、費用関数を使用して、更に、費用関数が低減されるように、一実施形態では最小化されるように、マスク像207が最適化される。
【0055】
[0068] プロセスP211では、プロセスモデル像209(シミュレーションされた基板像又は基板像又はウェーハ像とも呼ばれる)に基づいて、費用関数が評価されることがある。従って、費用関数は、パターニングプロセスが変動している場所で、プロセスを意識しているとみなすことができ、パターニングプロセスの変動を説明する曲線マスクパターンの生成を可能にする。例えば、費用関数は、エッジ配置誤差(EPE)、サイドローブ、平均二乗誤差(MSE)、パターン配置誤差(PPE)、正規化像ログ、又はプロセス像におけるパターンの輪郭線に基づいて定義される他の適切な変数、であり得る。EPEは、1つ又は複数のパターンに関連したエッジ配置誤差、及び/又は、プロセスモデル像209の全てのパターン及び対応するターゲットパターンに関連した全てのエッジ配置誤差の合計、であり得る。一実施形態では、費用関数は、同時に低減又は最小化することができる複数の条件を含むことがある。例えば、MRC違反の確率に加えて、欠陥の数、EPE、オーバーレイ、CD、又は他のパラメータを含めることができ、全ての条件を同時に低減(又は最小化)することができる。
【0056】
[0069] 更に、費用関数(例えば、EPE)に基づいて1つ又は複数の勾配マップを生成することができ、そのような勾配マップに基づいて、マスク変数を修正することができる。マスク変数(MV)は、
【数1】
の強度を指す。従って、勾配計算は、
【数2】
として表わすことができ、勾配値は、マスク像(MI)から曲線マスク多角形への、更にマスク変数への逆数学的関係を捉えることにより、更新される。従って、マスク像に関して、マスク像から曲線マスク多角形への、及び曲線マスク多角形からマスク変数への、費用関数の導関数のチェーンを計算することができ、それにより、マスク変数におけるマスク変数の値の修正が可能になる。
【0057】
[0070] 一実施形態では、生成することができるマスクパターンの複雑さを低減するために、像の正則化を追加することができる。そのような像の正則化は、マスクルールチェック(MRC)であり得る。MRCは、マスク製造プロセス又は装置の制限条件を指す。従って、費用関数は、例えば、EPE及びMRC違反ペナルティに基づいて、異なるコンポーネントを含むことがある。ペナルティは、費用関数の一項であることがあり、これは、違反量、例えば、マスク測定値と所与のMRC又はマスクパラメータ(例えば、マスクパターンの幅、及び許容される(例えば、最小又は最大の)マスクパターン幅)との間の差、に依存する。従って、本開示の一実施形態によれば、マスクパターンを設計することができ、対応するマスクを、パターニングプロセスの順方向シミュレーションに基づくだけでなく、更にはマスク製造装置/プロセスの製造制約にも基づいて、製造することができる。従って、例えば、EPE又は印刷されるパターンのオーバーレイの点で、高い歩留まり(即ち、最少の欠陥)及び高い精度をもたらす、製造可能な曲線マスクを取得することができる。
【0058】
[0071] プロセス像に対応するパターンは、ターゲットパターンと正確に同じである必要があるが、しかしながら、そのような正確なターゲットパターンは実現可能ではないことがあり(例えば、典型的には鋭い角)、パターニングプロセス自体の変動、及び/又はパターニングプロセスのモデルにおける近似に起因して、何らかの衝突が持ち込まれる。この方法の最初の反復では、マスク像207は、ターゲットパターンに似た(レジスト像における)パターンを生成しないことがある。レジスト像(又はエッチング像)における印刷されるパターンの精度又は受容の決定は、EPEなどの費用関数に基づくことがある。例えば、レジストパターンのEPEが高い場合、これは、マスク像207を使用して印刷されるパターンが許容可能ではなく、マスク変数203内のパターンを修正する必要があることを、示す。
【0059】
[0072] マスク像207が許容可能であるかどうかを決定するために、プロセスP213は、費用関数が低減されたか若しくは最小化されたかどうか、又は、所与の反復数に達したかどうかを決定することを含むことがある。例えば、前の反復のEPE値を現在の反復のEPE値と比較して、EPEが減少したか、最小化したか、又は収束した(即ち、印刷パターンにおいて実質的な改善が観察されない)かどうかを決定することがある。費用関数が最小化されると、この方法は停止し、生成された曲線マスクパターンの情報は、最適化された結果とみなされる。
【0060】
[0073] しかしながら、費用関数が低減又は最小化されない場合、マスクに関連した変数又は強調像に関連した変数(例えば、ピクセル値)が更新されることがある。一実施形態では、この更新は、勾配ベースの方法に基づくことがある。例えば、費用関数が低減されない場合、方法200はマスク変数203を更に修正する方法を示すプロセスP215及びP217を実施した後でマスク像を生成する次の反復に進む。
【0061】
[0074] プロセスP215は、費用関数に基づいて勾配マップ215を生成することを含むことがある。勾配マップは、費用関数の導関数及び/又は偏導関数であり得る。一実施形態では、費用関数の偏導関数を、マスク像のピクセルに対して決定することができ、導関数は、マスク変数203に対して偏導関数を決定するように更に連鎖させることがある。そのような勾配計算は、マスク像207とマスク変数203との間の逆の関係を決定することを含むことがある。更に、プロセスP205及びP203で行われる平滑化操作(又は関数)の逆の関係を考慮する必要がある。
【0062】
[0075] 勾配マップ215は、費用関数の値を低減させる、一実施形態では最小化させるように、マスク変数の値を増加させるか又は減少させるかについての助言を提供することができる。一実施形態では、勾配マップ215に最適化アルゴリズムを適用してマスク変数の値を決定することがある。一実施形態では、最適化解法を使用して、(プロセスP217における)勾配ベースの計算を行うことがある。
【0063】
[0076] 一実施形態では、ある反復の間、費用関数を徐々に低減又は最小化するために、閾値平面を固定又は変化しないままに保ちながら、マスク変数を変更することがある。従って、生成される曲線パターンは、費用関数を低減、一実施形態では最小化させるように、反復中に徐々に進化することがある。別の実施形態では、マスク変数並びに閾値平面を両方共変化させて、最適化プロセスのより速い収束を達成することがある。何回かの反復時、及び/又は、費用関数の最小化により、二値化CTM結果の最終の組(即ち、強調像、マスク像、又は曲線マスクの修正版)がもたらされることがある。
【0064】
[0077] 本開示の一実施形態では、グレースケール像を用いたCTM最適化から曲線マスクを用いた二値化CTM最適化への移行は、しきい値処理プロセス(即ち、P203及びP205)を、シグモイド変換(sigmoid transformation)を強調像202に適用し、及び勾配計算における対応する変更を行う、別のプロセスで置き換えることによって、単純化されることがある。強調像202のシグモイド変換は、最適化プロセス(例えば、費用関数を最小化する)中に徐々に曲線パターンに進化する変換済像を生成する。反復又は最適化ステップの間、シグモイド関数に関連した変数(例えば、急峻さ及び/又は閾値)が、勾配計算に基づいて修正されることがある。連続する反復において、シグモイド変換がより鋭くなる(例えば、シグモイド変換の勾配の急峻さが増加する)につれて、CTM像から最終的な二値化CTM像への段階的な移行を達成させることができ、その結果、曲線マスクパターンを用いた最終的な二値化CTM最適化の結果が改善される。
【0065】
[0078] 本開示の一実施形態では、最適化の反復のループの中に追加のステップ/プロセスを挿入して、結果が、選択された又は所望の特性を有するように、強制することがある。例えば、平滑化ステップを追加することにより滑らかさを確保することがあり、又は、他のフィルタを使用して、像が水平/垂直構造に有利であるように強制することがある。
【0066】
[0079] 本方法は、幾つかの特徴又は態様を有する。例えば、像強調方法を用いて最適化されたCTMマスク像を使用して、最適化フローにおけるシードとして更に使用することができる信号を改善すること。別の態様では、CTM技術を用いたしきい値処理方法(二値化CTMと呼ばれる)を使用すると、曲線マスクパターンの生成が可能になる。更に別の態様では、勾配計算の完全な構築(即ち、閉ループ構築)により、マスク変数最適化のための勾配ベースの解法も可能になる。二値化CTM結果は、局所的ソリューションとして(ホットスポット修復として)使用されることも、又はフルチップソリューションとして使用されることもある。二値化CTM結果は、入力として機械学習と共に使用されることがある。これにより、機械学習を使用して二値化CTMを高速化させることが可能になり得る。更に別の態様では、この方法は、結果を改善するための像正則化方法を含む。別の態様では、この方法は、連続的な最適化ステージを含んで、グレースケール像CTMから二値の曲線マスク二値化CTMへのよりスムーズな移行を実現する。この方法では、結果を改善するように最適化の閾値を調節することができる。この方法は、(二値化CTM像の滑らかさを必要とする)結果の良好な特性を強制するために、最適化の反復に追加の変換を含める。
【0067】
[0080] リソグラフィノードが縮小し続けているので、ますます複雑なマスクが必要である。本方法は、DUVスキャナ、EUVスキャナ、及び/又は他のスキャナを用いて重要な層で使用されることがある。本開示による方法は、ソース-マスク最適化(SMO)、マスク最適化、及び/又はOPCを含む、マスク最適化プロセスの様々な側面に、含まれることがある。
【0068】
[0081] 上述のように、多くの場合、どの程度パターニングプロセスが基板上に所望のパターンを生じさせるかを計算的に決定することができることが望ましい。従って、プロセスの1つ又は複数の部分をシミュレーションするために、シミュレーションが提供され得る。例えば、パターニングデバイスパターンを基板のレジスト層上に転写するリソグラフィプロセス、及びレジストの現像後のそのレジスト層の生成パターンをシミュレーションすることができることが望ましい。
【0069】
[0082] リソグラフィ投影装置においてリソグラフィをシミュレーションするための例示的フローチャートを
図3に示す。照明モデル331は、照明の光学特徴(放射強度分布及び/又は位相分布を含む)を表す。投影光学系モデル332は、投影光学系の光学特徴(投影光学系によって生じた放射強度分布及び/又は位相分布に対する変化を含む)を表す。設計レイアウトモデル335は、設計レイアウト(これは、パターニングデバイス上の、又はパターニングデバイスによって形成されるフィーチャの配置の表現である)の光学特徴(所与の設計レイアウトによって生じた放射強度分布及び/又は位相分布に対する変化を含む)を表す。空間像336は、照明モデル331、投影光学系モデル332、及び設計レイアウトモデル335を用いてシミュレーションされることが可能である。レジスト像338は、レジストモデル337を用いて空間像336からシミュレーションされることが可能である。例えば、リソグラフィのシミュレーションは、レジスト像のコンター及び/又はCDを予測することができる。
【0070】
[0083] より具体的には、照明モデル331は、限定されないが、NA-シグマ(σ)設定、及び任意の特定の照明形状(例えば、環状、四極、ダイポールなどのオフアクシス照明)を含む照明の光学特徴を表し得る。投影光学系モデル332は、例えば、収差、ディストーション、屈折率、物理的サイズ、又は物理的寸法などを含む投影光学系の光学特徴を表し得る。設計レイアウトモデル335は、例えば、全体として援用される米国特許第7,587,704号に記載されるような、物理的パターニングデバイスの1つ又は複数の物理的特性も表し得る。リソグラフィ投影装置に関連付けられた光学特性(例えば、照明、パターニングデバイス、及び投影光学系の特性)が、空間像を決定付ける。リソグラフィ投影装置で使用されるパターニングデバイスが変更され得るので、パターニングデバイスの光学特性を、少なくとも照明及び投影光学系(従って、設計レイアウトモデル335)を含むリソグラフィ投影装置の残りの部分の光学特性と分けることが望ましい。
【0071】
[0084] レジストモデル337は、空間像からレジスト像を計算するために使用することができ、その一例は、本明細書に全体として援用される米国特許第8,200,468号に見つけることができる。レジストモデルは、一般的に、レジスト層の特性(例えば、露光、ポストベーク、及び/又は現像中に生じる化学プロセスの影響)に関係する。
【0072】
[0085] シミュレーションの目的は、例えば、エッジ配置、空間像強度傾き、及び/又はCDを正確に予測することであり、これらは、その後、意図した設計と比較され得る。意図した設計は、一般に、GDSII、OASIS又は別のファイルフォーマットなどの標準デジタルファイルフォーマットで提供され得るプリOPC設計レイアウトとして定義される。
【0073】
[0086] 設計レイアウトから、1つ又は複数の部分(これらは、「クリップ」と呼ばれる)を識別することができる。ある実施形態では、設計レイアウト内の複雑なパターン(例えば、パターンセット)を表すクリップの一セットが抽出される(任意の数のクリップが使用され得るが、一般的に約50~1000個のクリップ)。当業者には理解されるように、これらのパターン又はクリップは、設計の小さな部分(例えば、回路、セルなど)を表し、特別な注意及び/又は検証が必要とされる(例えば、パターンセット)。つまり、クリップは、設計レイアウトの部分でもよく、又は類似していてもよく、又はクリティカルフィーチャが、経験(顧客によって提供されたクリップを含む)によって、試行錯誤によって、若しくはフルチップシミュレーションを実行することによって識別される設計レイアウトの部分の類似挙動を有してもよい。クリップは、1つ又は複数のテストパターン又はゲージパターンを含むことが多い。初期のより大きなクリップのセットが、特定の像最適化を必要とする設計レイアウト内の既知のクリティカルフィーチャエリアに基づいて、顧客によって先験的に提供されてもよい。代替的に、別の実施形態では、初期のより大きなクリップのセットは、クリティカルフィーチャエリアを識別する、以下に説明するようなプロセスを用いて、設計レイアウト全体から抽出されてもよい。
【0074】
[0087] 例えば、シミュレーション及びモデリングは、パターニングデバイスパターンの1つ若しくは複数のフィーチャ(例えば、光近接効果補正を行うこと)、照明の1つ若しくは複数のフィーチャ(例えば、形状の変更などの照明の空間/角度強度分布の1つ若しくは複数の特徴を変更すること)、及び/又は投影光学系の1つ若しくは複数のフィーチャ(例えば、開口数など)を構成するために使用され得る。このような構成は、一般に、それぞれマスク最適化、ソース最適化、及び投影最適化と呼ばれることがある。このような最適化は、単独で行われてもよく、又は異なる組み合わせで組み合わせられてもよい。そのような1つの例は、ソース-マスク最適化(SMO)であり、これは、照明の1つ又は複数のフィーチャと共にパターニングデバイスパターンの1つ又は複数のフィーチャを構成することに関与する。これらの最適化技法は、クリップの1つ又は複数に注目し得る。これらの最適化は、本明細書に記載される機械学習モデルを用いて、様々なパラメータ(像などを含む)の値を予測することができる。
【0075】
[0088] 幾つかの実施形態では、照明モデル331、投影光学系モデル332、設計レイアウトモデル335、レジストモデル337、SMOモデル、及び/又は集積回路製造プロセスに関連した、及び/又は集積回路製造プロセスに含まれる他のモデルは、本明細書に記載される方法の動作を行う経験的モデルでもよい。経験的モデルは、様々な入力(例えば、マスク又はウェーハ像の1つ又は複数の特徴、設計レイアウトの1つ又は複数の特徴、パターニングデバイスの1つ又は複数の特徴、波長などのリソグラフィプロセスで使用される照明の1つ又は複数の特徴など)間の相関に基づいて、出力を予測することができる。
【0076】
[0089] 一例として、経験的モデルは、機械学習モデルでもよい。幾つかの実施形態では、機械学習モデルは、数学的方程式、アルゴリズム、プロット、チャート、ネットワーク(例えば、ニューラルネットワーク)、及び/又は他のツール及び機械学習モデル成分でもよく、及び/又はそれらを含んでもよい。例えば、機械学習モデルは、入力層、出力層、及び1つ若しくは複数の中間層若しくは隠れ層を有する1つ若しくは複数のニューラルネットワークでもよく、及び/又はそれ(ら)を含んでもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク(例えば、入力層と出力層との間に、1つ若しくは複数の中間層若しくは隠れ層を有するニューラルネットワーク)でもよく、及び/又はそれらを含んでもよい。
【0077】
[0090] 一例として、1つ又は複数のニューラルネットワークは、ニューラルユニット(又は人工ニューロン)の大群に基づいてもよい。1つ又は複数のニューラルネットワークは、(例えば、軸索によって接続された生物学的ニューロンの大きなクラスタによって)生物学的脳の機能の仕方を大まかに模倣し得る。あるニューラルネットワークの各ニューラルユニットは、このニューラルネットワークの多数の他のニューラルユニットと接続されてもよい。このような接続は、接続されたニューラルユニットの活性化状態に対するそれらの影響において強制的又は抑制的となり得る。幾つかの実施形態では、各個々のニューラルユニットは、それの全ての入力の値を合計する総和関数を有し得る。幾つかの実施形態では、各接続(又はニューラルユニット自体)は、信号が他のニューラルユニットに伝搬することを許可されるには閾値を超えなければならないような閾値関数を有し得る。これらのニューラルネットワークシステムは、明示的にプログラミングされるのではなく、自己学習及び訓練されてもよく、従来のコンピュータプログラムと比較して、問題解決の特定の分野で、かなり良く機能し得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のニューラルネットワークは、(例えば、信号経路が前方層から後方層へと横断する)複数の層を含み得る。幾つかの実施形態では、バックプロパゲーション技法が、ニューラルネットワーク(ニューラルネットワークでは、「前方の」ニューラルユニットに対する重みをリセットするために、前方刺激が使用される)によって利用されてもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のニューラルネットワークに関する刺激及び抑制は、接続がより無秩序且つ複雑なやり方で相互作用する状態で、より自由に流れてもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のニューラルネットワークの中間層は、1つ若しくは複数の畳み込み層、1つ若しくは複数の回帰層、及び/又は他の層を含む。
【0078】
[0091] 1つ又は複数のニューラルネットワークは、訓練データの一セットを用いて訓練され得る(すなわち、それ(ら)のパラメータが決定される)。訓練データは、訓練サンプルの一セットを含み得る。各サンプルは、入力オブジェクト(一般的に、ベクトル(これは、フィーチャベクトルと呼ばれることがある))及び所望の出力値(監視信号とも呼ばれる)を含むペアでもよい。訓練アルゴリズムは、訓練データを分析し、及び訓練データに基づいてニューラルネットワークのパラメータ(例えば、1つ又は複数の層の重み)を調整することによって、ニューラルネットワークの挙動を調整する。例えば、xiが、i番目の例のフィーチャベクトルであり、及びyiが、それの監視信号であるような{(x1、y1)、(x2、y2)、…、(xN、yN)}の形のN個の訓練サンプルの一セットを所与として、訓練アルゴリズムは、ニューラルネットワークg:X→Yを求める(式中、Xは、入力空間であり、及びYは、出力空間である)。フィーチャベクトルは、あるオブジェクト(例えば、上記の例のウェーハ設計)を表す数値的フィーチャのn次元ベクトルである。これらのベクトルに関連付けられたベクトル空間は、フィーチャ空間と呼ばれることが多い。訓練後に、ニューラルネットワークは、新しいサンプルを用いて予測するために使用され得る。
【0079】
[0092] 上述のように、DCNN及び/又は他の機械学習モデルを訓練してCTMマップを予測するためには、例えば、ユーザが、(例えば、ASML Tachyon製品を介して)訓練データとしてCTM像を生成する必要がある。しかしながら、DCNNを訓練してCTMマップを予測するための訓練パターンセットとして、フルチップGDSにおいてパターンの適切で代表的な部分を選択することは、困難である。手動で選択するには、ユーザが、フルチップGDS設計について膨大な予備知識を持っており、選択プロセスのために多大な時間を費やすことが必要である。手動での選択に比べれば、ランダム選択は時間がかからないものの、ランダム選択に関連したパターンカバレッジの不確かさ及び安定性の低さにより、ランダム選択は、現実のアプリケーションには不適格である。
【0080】
[0093] 従来のシステムのこれらの及び他の欠点に対処するために、本方法及び装置は、フルチップGDSファイルからの訓練パターンの選択を自動的に行う効果的なツールをユーザに提供する。本方法及び装置は、従来技術のシステムと比べてより短時間で、パターンセットから代表的なパターンを自動的に選択するように構成される。
【0081】
[0094]
図4は、ウェーハパターニングプロセスにおける訓練パターンを決定するための本方法400の動作の概要を示す。
図4に示す方法は、(例えば、本明細書で説明するような)ウェーハパターニングプロセスにおいて機械学習モデルを訓練するための方法であるか、又は方法の一部である。この動作は、追加のフィーチャ445を用いた強調済パターンセットを形成するために、パターンセット443内の一意のパターンから複数のフィーチャを(例えば、フィーチャ生成エンジンを用いて)生成すること441と、強調済パターンセット445内のパターンを、複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、個々のグループ447に(例えば、パターンクラスタリングエンジンを用いて)グループ分けすること442と、訓練パターン449を決定するために、個々のグループ447から代表的なパターン448を(例えば、パターン選択エンジンを用いて)選択すること444と、を含む。個々のグループ447から選択された代表的なパターン448(例えば、これは訓練パターン449を形成する)を、機械学習モデル(例えば、DCNN-
図4には図示せず)に提供して、その機械学習モデルを訓練して、ウェーハパターニングプロセスにおける光近接効果補正(OPC)用の連続透過マスク(CTM)を予測することがあるか、及び/又は、代表的なパターン448を他のアプリケーションのために提供することがある。パターンセット443内のパターンは、例えば、フルチップレイアウトGDSファイル453に基づいて、例えば、Tachyon PRO(パターン認識及び最適化)製品(及び/又は、他の類似の製品)451におけるレイアウトからのパターンコレクタ(PCL)機能により生成される、一意のパターンライブラリ446であるか、及び/又はその一部であり得る。
【0082】
[0095] 動作441では、複数の生成されたフィーチャは、幾何学的フィーチャ、リソグラフィを意識したフィーチャ、及び/又は他のフィーチャを含む。幾何学的フィーチャは、ターゲットマスク像、頻度マップ、パターン密度マップ、パターンセット中の一意のパターンのパターン出現件数、及び/又は他の幾何学的フィーチャ、のうちの1つ又は複数を含む。リソグラフィを意識したフィーチャは、パターンセット中の一意のパターンの、サブレゾリューション・アシスト・フィーチャ・ガイダンス・マップ(SGM)、回折次数、回折パターン、及び/又は、他のリソグラフィを意識したフィーチャ、のうちの1つ又は複数を含む。幾何学的フィーチャ及びリソグラフィを意識したフィーチャは、パターンセット中のパターン毎に生成される。一実施形態では、一組のフィーチャ(幾何学的フィーチャ及び/又はリソグラフィを意識したフィーチャを含む)が、(セット443内の)パターン毎に生成される。パターンセット中のパターンから生成される複数のフィーチャは、パターンセットに既に含まれている幾何学的情報及び/又は頂点情報を補うものである。
【0083】
[0096] 例えば、PCL451によって生成されるパターンセット446(例えば、パターンライブラリ(PLIB))は、個々の一意のパターンに関連した幾何学的情報を含むことがある。しかしながら、個々のパターンの頂点情報のみが、特定のパターン設計を表すために、パターンセット446の一部として記憶されることがある。頂点情報は、正確なパターンマッチングのために容易に使用することができるが、頂点情報は、(正確には同じではない)類似のパターンを十分にグループ分けするようにパターングループ化方法を導くには不十分である、というのも、そのようなプロセスは、例えば、ファジーマッチングプロセスであるからである。動作442におけるパターングループ分けのロバスト性を改善するために、動作441は、幾何学的フィーチャ及びリソグラフィを意識したフィーチャの両方を含む、(例えば、頂点幾何学情報に加えて)個々のパターンに対する追加のフィーチャを生成することを含む。上述のように、幾何学的フィーチャは、ターゲットマスク像、頻度マップ、パターン密度マップ、パターンセット中の一意のパターンのパターン出現件数、及び/又は他の幾何学的フィーチャ、のうちの1つ又は複数を含む。リソグラフィを意識したフィーチャは、パターンセット中の一意のパターンの、サブレゾリューション・アシスト・フィーチャ・ガイダンス・マップ(SGM)、回折次数、回折パターン、及び/又は、他のリソグラフィを意識したフィーチャ、のうちの1つ又は複数を含む。しかしながら、この説明は、限定することを意図したものではない。動作441は、ユーザの仕様に従って生成される追加のフィーチャ及び/又は異なるフィーチャに拡張するように、ユーザによってカスタマイズされることがある。
【0084】
[0097]
図5は、
図4に示すフィーチャ生成動作441の態様を示す。
図5に示すように、動作441は、幾何学的フィーチャ502及びリソグラフィを意識したフィーチャ504を生成することを含む。幾何学的フィーチャ502及びリソグラフィを意識したフィーチャ504は、一組のフィーチャ502、504がパターン501毎に生成されるように、パターンセット443(
図4)内のパターン501のそれぞれに対して生成される。(例えば、フィーチャ生成エンジンにより)動作441の一部として生成される幾何学的フィーチャ502の例としては、ターゲットマスク像506、頻度マップ508、パターン密度マップ510、及びパターンセット中のパターンのパターン出現件数(カウント)512、が挙げられる。(例えば、フィーチャ生成エンジンにより)動作441の一部として生成されるリソグラフィを意識したフィーチャ504の例としては、SGMマップ514、回折次数516、及び回折パターン518が挙げられる。これらのフィーチャは単なる例に過ぎず、限定することを意図したものではない。
【0085】
[0098]
図4に戻ると、動作442では、強調済パターンセット445内のパターンを個々のグループにグループ分けすることは、(例えば、動作441で生成された)複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づく。動作442は、教師無し機械学習を使用して行われる。一実施形態では、グループ分けすることは、クラスター化及び/又は他のグループ分け動作を含む。クラスター化は、連続した一連のクラスター化ステップ455、457、459を含み、これらのステップは、異なるクラスター化ステップ455、457、459に対して、複数の生成されたフィーチャのうちの異なるものを使用して実施される。
図4に示す例では、クラスター化ステップ455は第1のフィーチャに基づいて行われることがあり、クラスター化ステップ457は第2のフィーチャに基づいて行われることがあり、クラスター化ステップ459(及び/又は任意の他の中間クラスター化ステップ)は、第nのフィーチャに基づいて行われることがある。連続した一連のクラスター化ステップ455、457、459は、サブグループ461、463、465から代表的なパターン448(動作444)を選択して訓練パターン449を決定するように、パターンセット中の一意のパターンの対応するサブグループ461、463、465を形成する。
【0086】
[0099]
図6は、
図4に示す動作442に関連した追加の詳細を示す。例えば、
図6は、(例えばフィーチャ生成エンジンによって、例えば
図4に示す動作441において生成された)複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、強調済パターンセット445中のパターンを個々のグループにクラスター化することを示す。パターンは多次元のフィーチャを呈するので、クラスター化は、個々のフィーチャに基づいて実行されることがある。
図6に示すクラスター化は、各パターンに対して教師無し機械学習によって行われることがあり、この際、パターン毎に複数のフィーチャを段階的に検討して、多次元のフィーチャにおける類似性を共に共有するパターンをグループ分けする(例えば、
図6に示すグループのブランチ及びサブブランチを形成する)。ユーザは、例えば、パターンをクラスター化するために使用すべきフィーチャ、及びクラスター化するためのフィーチャの順序、を定義することがある。
図6に示す例では、クラスター化は、連続した一連のクラスター化ステップ455、457、459を含み、これらのステップは、異なるクラスター化ステップ455、457、459に対して、複数の生成されたフィーチャのうちの(例えば、ユーザによって独自性及び順序が定義された)異なるものを使用して実施される。例えば、クラスター化ステップ455は第1のフィーチャに基づいて行われることがあり、クラスター化ステップ457は第2のフィーチャに基づいて行われることがあり、クラスター化ステップ459(及び/又は任意の他の中間クラスター化ステップ)は、第nのフィーチャに基づいて行われることがある。連続した一連のクラスター化ステップ455、457、459は、一意のパターンの、対応するサブグループ461(例えば、グループA及びB)、463(例えば、グループA-a、A-b、B-a、B-b、B-c)、及び465(例えば、A-a-n、A-b-n、B-a-n、B-b-n、B-c-n等)を形成する。
図6(クラスター化ステップ459)に示す階層の第n層におけるグループのパターンは、例えば、n種類のフィーチャにおける類似度を共有する。
【0087】
[00100] 一実施形態では、連続した一連のクラスター化ステップ455、457、459は、所与のステップについて所与のフィーチャを使用して実施される、交差検証ステップを含む。交差検証ステップは、個々のクラスター化ステップ455、457、459においてクラスター化されるグループの数を調節すること、所与のサブグループにどの一意のパターンが含まれるかを決定及び/又は調節すること、及び/又は他の交差検証動作、を含む。一実施形態では、交差検証ステップは、個々のクラスター化ステップ455、457、459においてクラスター化されるグループの数を最適化すること、所与のサブグループにどの一意のパターンが含まれるかを最適化すること、及び/又は他の交差検証動作、を含む。
【0088】
[00101] 一実施形態では、クラスター化及び/又は交差検証は、k平均法及び/又は他のクラスタリング方法などの、機械学習クラスタリング方法を含む。k平均法は、n個の観測値をk個のクラスターに分割するように構成され、ここでは、各観測値は、クラスターの代表的な例としてはたらく、最も近い平均値を持つクラスターに属する。これは、結果的に、データ空間をボロノイセルに分割する。一組のパターン(x
1、x
2、...、x
n)及びそれに対応するフィーチャのうちの1つが与えられると、k平均法が、n個の観測値をk(≦n)個の組S={S
1、S
2、...、S
k}に分割して、クラスター内の二乗和を最小化するように構成されるように、フィーチャがd次元の実ベクトルとして扱われることがある。正式には、目的は、以下を見つけることである。
【数3】
但し、μ
iは、S
iにおけるポイントの平均である。
【0089】
[00102] k平均法は効率的なクラスタリング方法であるが、欠点の1つは、クラスター化を行う前に、クラスターの数kを指定する必要があることである。k平均法プロセス毎にクラスターの数を予め選択する必要性を解決するために、本装置及び方法は、kの値(例えば、最適な値)を決定するためのエルボー方法を用いて、k重の交差検証チェックを行うように構成される。エルボー方法は、ある範囲のkの値(例えば、1~14のk、これは、限定することを意図したものではない)に渡って、データセットに対してk平均法を実行することと、kの各値について、二乗誤差の合計(SSE)を決定することと、を含む。SSEが決定された後、kの各値についてSSEの折れ線グラフがプロットされる。
【0090】
[00103]
図7は、kの値704に対するSSE702の例示的な折れ線グラフプロット700を示す。折れ線グラフプロット700が腕のよう見える場合、腕の「エルボー(肘)」706は、kの最適な値に対応する。原則的に、比較的に小さいSSEが好ましいが、SSEは、kが増加するにつれてゼロに向かって減少する傾向がある(kが、データセット内のデータポイントの数に等しいとき、SSEは0である。というのも、このとき、各データポイントはそれ自体のクラスターとなり、これとそのクラスターの中心との間の誤差はなくなるからである)。本方法及び装置は、依然として低いSSEを有する小さな値のkを決定するように構成され、折れ線グラフプロット700の「エルボー(肘)」706は、kを増加させると収穫逓減がもたらされる折れ線グラフプロット700の位置に相当する。例えば、
図7では、「エルボー(肘)」706はk=5にあり、この例示的なデータセットの最適なkは5であることを示している。kが5を超えて増加すると、SSE702は、ゼロに近づくように次第に変化が小さくなる。
【0091】
[00104] 本方法及び装置は、kの値毎に二乗誤差の合計を決定するために、k重の交差検証チェックが行われるように構成される。k重の交差検証では、元のサンプルが、p個の等しいサイズのサブサンプルにランダムに分割される。p個のサブサンプルのうち、単一のサブサンプルが、二乗誤差の合計を決定するための検証データとして保持され、残りの(p-1)個のサブサンプルは、k平均法の訓練データとして使用される。次いで、交差検証プロセスがp回繰り返され、その際、p個のサブサンプルのそれぞれが、検証データとして1回だけ使用される。次いで、p個の結果を平均して、二乗誤差の合計の単一の推定値を生成することができる。ランダムなサブサンプリングの繰り返しに対するこの方法の利点は、個々の観測値が訓練と検証との両方に使用されること、及び、個々の観測値が1回だけ検証に使用されること、である。
【0092】
[00105] 非限定的な例として、
図8は、k=4であるk重の交差検証を示す。
図8に示すように、元のサンプル800は、p個の等しいサイズのサブサンプル802(例えば、各サブサンプル802内に5個のドットがある)にランダムに分割される。
図8では、サンプル800にはp=4個のサブサンプルがある。p=4個のサブサンプルのうち、単一のサブサンプル804が、二乗誤差の合計を決定するための検証データ806として保持され、残りの(p-1)個のサブサンプル802は、k平均法の訓練データ808として使用される。次いで、交差検証プロセスがp回繰り返され、その際、p個のサブサンプルのそれぞれが、検証データ(例えば、810、812、814)として1回だけ使用される。次いで、p個の結果を平均して、二乗誤差の合計の単一の推定値を生成することができる。
【0093】
[00106]
図4に戻ると、訓練パターン105を決定するために個々のグループ447から代表的なパターン448を選択すること444は、対応する数のグループ447(例えば、グループG(1)、G(2)、...、G(M))からターゲット数(「M」)467の代表的なパターン448を選択することを含む。一実施形態では、訓練パターン449を決定するためにターゲット数467の個々のグループ447から代表的なパターン448を選択することは、ターゲット数467(G(1)、G(2)、...、G(M))の個々のグループ447から、最も中央のパターン469(
図4に示すように、CP(1)、CP(2)、...、CP(M))を選択することを含む。
【0094】
[00107] 一実施形態では、所与のグループ(CP(1)、CP(2)、...、CP(M))からの最も中央のパターン469とは、個々のグループ内の他のパターンと比べて、その個々のグループの、特定のフィーチャ空間の重心に最も近いパターンである。例えば、特定のフィーチャ空間とは、ターゲットマスク像フィーチャ空間、頻度マップフィーチャ空間、パターン密度マップフィーチャ空間、パターン出現件数フィーチャ空間、SGMフィーチャ空間、回折次数フィーチャ空間、回折パターンフィーチャ空間、及び/又は他のフィーチャ空間であり得る。一実施形態では、本方法及び装置は、デフォルトで、ターゲットマスク像フィーチャ空間を使用して中央サンプルを選択するように構成されることがある。しかしながら、強調済パターンセット(例えば、
図4の445)における各サンプルは、多次元フィーチャ(例えば、頻度マップ、パターン密度マップ、等)を含むので、本方法及び装置は、ユーザが、フィーチャ空間を指定するか、及び/又は呼応してターゲットフィーチャに基づいて中央サンプルを選択することができるように、構成されることがある。
【0095】
[00108] 本方法及び装置は、総数(N)の個々のグループ447があると仮定し、Nが代表的なパターン448のターゲット数M467よりも大きいことに応答して、代表的な例示的パターンセットとしてM個のパターンをN個のグループから選択して、訓練パターン449として使用するように、構成される。M個の選択されたパターンは、所与の(例えば、ユーザが選択した)フィーチャ空間(例えば、デフォルトでターゲットマスク像フィーチャ空間)における、訓練パターン449の変動量を最大化するように構成される。
【0096】
[00109]
図9は、訓練パターン(例えば、
図4の449)として使用するための代表的な例示的パターンセットを形成するための、n個のグループ900(例えば、
図9の「n」は上述した「N」と同様)からのパターン選択を示す。グループ900は、像901(例えば、クリップ)C1 902、C2 904、...、Cn 906によって形成される。
図9に示すように、Hピクセル×Wピクセル(例えば、H×W)のサンプル像サイズを伴う、n個のサンプル(例えば、異なるパターンのn個の像(又はクリップ))を含むパターンセットの場合、C
jP
iは、j番目の像(クリップ)におけるi番目のピクセルを示し、ここで、
j∈[1,n],i∈[1,H
*W]
である。ピクセルP
iについて、異なる像に沿ったP
iの変動量は、次式で与えられる。
【数4】
上記の式における各項(P
ij-P
i)
2について、同じピクセル位置のn個の像の中のj番目のピクセルの変動量が決定され、全てのH×Wピクセルのピクセル変動量を合計して、代表的な例示的パターンセットとしてN個のグループからM個のパターンを選択するための基準を示し、この選択基準は、訓練パターンにおける変動量を最大化するように構成される。
【0097】
[00110]
図4に戻ると、上述のように、本方法及び装置は、(例えば、ターゲットマスク像フィーチャ空間における)訓練パターン449の変動量を最大化するように、N個の候補からM個のサンプルを選択する(M<N)ように、構成される。一実施形態では、訓練パターン449を決定することは、訓練パターン449が最大量の変動を有するように、全てのN個の候補に渡ってグローバル検索方法を実施することを含むことがある。グローバル検索方法は、非勾配検索であるので、候補のパターン及びグループの全ての順列を横断することを含む。順列の総数は、次式の通りである。
【数5】
【0098】
[00111] 一般的に、MとNは両方とも、数百更には数千よりも大きい場合が多い。従って、順列の総数は、非常に大きな数になる。これにより、限られた実行可能な量の時間内に全ての順列を横断することは、困難になる。
【0099】
[00112] 一実施形態では、N個の候補からM個のサンプルを選択するために、異なる方法を使用することがある。一実施形態では、代表的なパターン448のターゲット数467は、停止基準及び/又は他の情報に基づいて決定される。停止基準は、訓練パターン449における変動量を促進するように構成される。停止基準は、以前の訓練パターンからの情報に基づいて決定されることも、ユーザによって入力及び/又は選択されることも、本装置の製造時に決定されることも、及び/又は他の方法で決定されることもある。一実施形態では、方法400は、訓練パターン449における変動の量を決定することを含む。一実施形態では、停止基準は、訓練パターン449における変動の量が変動量閾値を確実に超えるように、構成される。変動量閾値は、以前の訓練パターンからの情報に基づいて決定されることも、ユーザによって入力及び/又は選択されることも、本装置の製造時に決定されることも、及び/又は他の方法で決定されることもある。
【0100】
[00113] 一実施形態では、代表的なパターン448のターゲット数467は、総数(N)の個々のグループ447からランダムに選択される(M個のグループからランダムにパターンを選択する)。一実施形態では、代表的なパターンのターゲット数は、訓練パターンにおける変動量が変動量閾値を超えないことに応答して、及び/又は、後で選択される訓練パターン449における変動量が訓練パターン449の直前の反復に比べて増加していることに応答して、及び/又は他の理由で、再びランダムに選択される。例えば、訓練パターン449における変動量は、総数NのグループからのM個のグループからパターンをランダムに選択する反復の後で、決定されることがある。現在の反復の変動が、以前の反復よりも大きい場合(例えば、変動量が増加することが望ましいので)、訓練パターン449が更新されることがある(例えば、訓練パターン449を構成するランダムに選択されたパターンが、ランダムに再選択されることがある)。停止基準は、反復の最大回数(例えば、N_iter>max_iter)、閾値を超える変動量(例えば、変動量≧閾値)、最大反復時間の超過、及び/又は他の停止基準であり得るか、及び/又はそれらを含むことがある。この検索方法は、時間的に実行可能であり、(例えば、十分な)変動量を有する訓練セットを駆動することができる。
【0101】
[00114] 一実施形態では、方法400は更に、畳み込み型深層ニューラルネットワーク及び/又は他の機械学習モデルに訓練パターン449を提供して(
図4には図示せず)、畳み込み型深層ニューラルネットワークを訓練することを含む。一実施形態では、方法400は更に、訓練された畳み込み型深層ニューラルネットワークを使用して、ウェーハパターニングプロセスの一部として、光近接効果補正を実施すること(やはり
図4には図示せず)を含む。例えば、訓練パターン449(例えば、本明細書に記載するように、フルチップGDSに基づいて生成される)を、畳み込み型深層ニューラルネットワーク及び/又は他の機械学習モデルを訓練してCTMマップを予測するために、提供することがある。訓練パターン449(例えば、連続透過マスク(CTM)像)は、訓練のために機械学習モデル(例えば、DCNN)に提供される代表的なパターンセットであり、それにより、例えば、フルチップOPC用途のために、機械学習モデル(例えば、DCNN)によって、正確なCTMマップが予測されるようになる。このより正確なCTMマップにより、リソグラフィホットスポットがより少なくなり、及びプロセスウィンドウの制限がより小さくなり、及び/又は、(例えば、空間像、レジスト像等に関連した)リソグラフィ性能仕様を満足しようとする場合に、後続のマスク補正動作中の難しさが低減されることがある。方法400の他の用途も想定されている。
【0102】
[00115]
図10は、本明細書に開示する方法、フロー、装置の実施を支援し得るコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータシステム100は、バス102又は情報を通信するための他の通信機構と、情報を処理するためにバス102と結合されたプロセッサ104(又は複数のプロセッサ104及び105)とを含む。コンピュータシステム100は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイスなどの、プロセッサ104によって実行される情報及び命令を保存するためにバス102に結合されたメインメモリ106も含む。メインメモリ106は、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に、一時変数又は他の中間情報を保存するためにも使用されてもよい。コンピュータシステム100は、リードオンリーメモリ(ROM)108、又はプロセッサ104のための静的情報及び命令を保存するためにバス102に結合された他の静的ストレージデバイスをさらに含む。情報及び命令を保存するための磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が設けられると共に、バス102に結合される。
【0103】
[00116] コンピュータシステム100は、バス102を介して、情報をコンピュータユーザに表示するための、陰極線管(CRT)、フラットパネル、又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合されてもよい。英数字及び他のキーを含む入力デバイス114が、情報及びコマンド選択をプロセッサ104に通信するためにバス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ104に方向情報及びコマンド選択を通信するため、及びディスプレイ112上でカーソルの移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソル制御部116である。この入力デバイスは、一般的に、2つの軸(第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy))において、デバイスがある面内で位置を特定することを可能にする2つの自由度を有する。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイが、入力デバイスとして使用されてもよい。
【0104】
[00117] ある実施形態によれば、本明細書における1つ又は複数の方法の部分は、メインメモリ106に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ104に応答して、コンピュータシステム100によって行われてもよい。このような命令は、ストレージデバイス110などの別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込まれてもよい。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に本明細書に記載のプロセスステップを行わせる。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスを実行するために、多重処理構成の1つ又は複数のプロセッサが用いられてもよい。ある代替実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と一緒に、ハードワイヤード回路が用いられてもよい。従って、本明細書の記載は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0105】
[00118] 本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。このような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などの動的メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバ(バス102を含むワイヤを含む)を含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの、音波又は光波の形態もとり得る。コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、その他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、その他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有したその他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM、その他のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載されるような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができるその他の媒体を含む。
【0106】
[00119] コンピュータ可読媒体の様々な形態が、実行のためにプロセッサ104に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを運ぶことに関与してもよい。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスクにある場合がある。リモートコンピュータは、命令をそれの動的メモリにロードし、及びモデムを使用して電話回線上で命令を送ることができる。コンピュータシステム100にローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信し、及び赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器が、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、及びそのデータをバス102にのせることができる。バス102は、データをメインメモリ106に搬送し、そこからプロセッサ104が、命令の読み出し及び実行を行う。メインメモリ106によって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサ104による実行の前又は後に、ストレージデバイス110に保存されてもよい。
【0107】
[00120] コンピュータシステム100は、バス102に結合された通信インターフェース118も含み得る。通信インターフェース118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120に結合する双方向データ通信も提供する。例えば、通信インターフェース118は、対応するタイプの電話回線にデータ通信接続を提供するデジタル総合サービス網(ISDN)カード又はモデムでもよい。別の例として、通信インターフェース118は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードでもよい。ワイヤレスリンクが実施されてもよい。このような実施において、通信インターフェース118は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号の送信及び受信を行う。
【0108】
[00121] ネットワークリンク120は、一般的に、1つ又は複数のネットワークを通して、他のデータデバイスにデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122を通して、ホストコンピュータ124又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)126によって操作されるデータ機器への接続を提供することができる。ISP126は、次に、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在、一般に「インターネット」128と呼ばれる)によるデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122及びインターネット128は共に、デジタルデータストリームを搬送する電気、電磁、又は光信号を使用する。コンピュータシステム100に対して、及びコンピュータシステム100からデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号、及びネットワークリンク120上の、及び通信インターフェース118を通る信号は、情報を運ぶ搬送波の形態例である。
【0109】
[00122] コンピュータシステム100は、1つ又は複数のネットワーク、ネットワークリンク120、及び通信インターフェース118を通して、メッセージを送信すること、及びプログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネット例では、サーバ130は、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122、及び通信インターフェース118を通して、アプリケーションプログラムの要求コードを送信する場合がある。そのようなダウンロードされたあるアプリケーションは、本明細書における方法の全て又は一部を提供することができる。受信されたコードは、受信された際にプロセッサ104によって実行されてもよく、及び/又は後で実行するためにストレージデバイス110又は他の不揮発性ストレージに保存されてもよい。このようにして、コンピュータシステム100は、搬送波の形態のアプリケーションコードを取得してもよい。
【0110】
[00123]
図11は、本明細書に記載する技術と組み合わせて使用できる例示的リソグラフィ投影装置を模式的に描く。この装置は、以下を含む:
-放射ビームBを調節するための照明システムIL。この特定のケースでは、照明システムは、放射源SOも含む;
-パターニングデバイスMA(例えば、レチクル)を保持するためのパターニングデバイスホルダを備え、且つアイテムPSに対してパターニングデバイスを正確に位置決めするための第1のポジショナに接続された第1のオブジェクトテーブル(例えば、パターニングデバイステーブル)MT;
-基板W(例えば、レジストコートシリコンウェーハ)を保持するための基板ホルダを備え、且つアイテムPSに対して基板を正確に位置決めするための第2のポジショナに接続された第2のオブジェクトテーブル(基板テーブル)WT;
-パターニングデバイスMAの照射部分を基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に結像する投影システム(「レンズ」)PS(例えば、屈折型、反射型、又は反射屈折型光学システム)。
【0111】
[00124] 本明細書で描かれるように、本装置は、透過型(すなわち、透過型パターニングデバイスを有する)である。しかし一般に、それは、例えば反射型(反射型パターニングデバイスを有する)でもよい。本装置は、従来のマスクとは異なる種類のパターニングデバイスを用いてもよく、例には、プログラマブルミラーアレイ又はLCDマトリックスが含まれる。
【0112】
[00125] ソースSO(例えば、水銀ランプ又はエキシマレーザ、LPP(レーザ生成プラズマ)EUVソース)は、放射ビームを生成する。このビームは、照明システム(イルミネータ)ILに対して、そのまま、又は例えばビームエキスパンダExなどの調節手段を横断した後に、供給される。イルミネータILは、ビームの強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般的に、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を設定するための調節手段ADを含み得る。さらにそれは、一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの様々な他のコンポーネントを含む。このようにして、パターニングデバイスMAに衝突するビームBは、断面に所望の均一性及び強度分布を有する。
【0113】
[00126]
図10に関して、ソースSOは、リソグラフィ投影装置のハウジング内に位置してもよいが(大抵の場合、ソースSOが、例えば水銀ランプのとき)、リソグラフィ投影装置から離れた位置にあり、それが生成する放射ビームが装置内に導き入れられてもよい(例えば、適宜の誘導ミラーを用いて)ことに留意されたい。この後者のシナリオは、ソースSOがエキシマレーザ(例えば、KrF、ArF、又はF2レージングに基づく)であるケースが多い。
【0114】
[00127] 続いて、ビームPBは、パターニングデバイステーブルMT上に保持されるパターニングデバイスMAと交差する。ビームBは、パターニングデバイスMAを横断した後、ビームBの焦点を基板Wのターゲット部分Cに合わせるレンズPLを通過する。第2の位置決め手段(及び干渉測定手段IF)を用いて、例えば異なるターゲット部分CをビームPBのパス内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、例えば、パターニングデバイスライブラリからのパターニングデバイスMAの機械検索後に、又はスキャン中に、第1の位置決め手段を用いて、ビームBのパスに対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMT、WTの移動は、
図11には明示的に描かれない、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現される。但しステッパの場合は(ステップアンドスキャンツールとは対照的に)、パターニングデバイステーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されてもよく、又は固定されてもよい。
【0115】
[00128] 描かれたツールは、2つの異なるモードで使用され得る:
-ステップモードでは、パターニングデバイステーブルMTは、基本的に静止したままであり、及びパターニングデバイス像全体が、一回(すなわち、単一の「フラッシュ」)でターゲット部分C上に投影される。次いで、異なるターゲット部分CがビームPBによって照射され得るように、基板テーブルWTが、x及び/又はy方向にシフトされる;
-スキャンモードでは、所与のターゲット部分Cが、単一の「フラッシュ」で露光されないことを除き、基本的に同じシナリオが当てはまる。代わりに、パターニングデバイステーブルMTは、投影ビームBがパターニングデバイス像上をスキャンさせられるように、速度vで、所与の方向(いわゆる「スキャン方向」、例えば、y方向)に移動可能である。並行して、基板テーブルWTが、速度V=Mv(Mは、レンズPLの倍率である(一般的に、M=1/4又は1/5))で、同じ又は反対方向に同時に移動される。このようにして、解像度を妥協する必要なしに、比較的大きなターゲット部分Cを露光させることができる。
【0116】
[00129]
図12は、本明細書に記載される技術と共に利用することができる別の例示的リソグラフィ投影装置1000を模式的に示す。
【0117】
[00130] リソグラフィ投影装置1000は、以下を含む:
-ソースコレクタモジュールSO
-放射ビームB(例えば、EUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)IL。
-パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、且つパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたサポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MT;
-基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、且つ基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT;及び
-パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、反射型投影システム)PS。
【0118】
[00131]
図12に描かれるように、装置1000は、反射型(例えば、反射型パターニングデバイスを用いる)である。ほとんどの材料が、EUV波長範囲内で吸収性であるので、パターニングデバイスは、例えば、モリブデン及びシリコンのマルチスタックを含む多層リフレクタを有し得ることに留意されたい。一例では、マルチスタックリフレクタは、各層の厚さが4分の1波長である、モリブデン及びシリコンの40層ペアを有する。さらに小さな波長が、X線リソグラフィを用いて生成され得る。ほとんどの材料が、EUV及びx線波長で吸収性であるので、パターニングデバイストポグラフィ上の薄い一片のパターン付き吸収材料(例えば、多層リフレクタ上のTaNアブゾーバ)は、どこにフィーチャが印刷され(ポジ型レジスト)、又は印刷されないか(ネガ型レジスト)を定義する。
【0119】
[00132] イルミネータILが、ソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射(EUV)ビームを受ける。EUV放射を生成する方法は、必ずしも限定されないが、EUV範囲において1つ又は複数の輝線を備えた少なくとも1つの元素(例えば、キセノン、リチウム、又はスズ)を有するプラズマ状態に材料を変換することを含む。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多い、そのような1つの方法では、プラズマは、線発光元素を有する材料の小滴、ストリーム、又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することによって生成され得る。ソースコレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザ(
図12では不図示)を含むEUV放射システムの一部でもよい。その結果生じるプラズマが、出力放射(例えば、EUV放射)を放出し、これが、ソースコレクタモジュールに配置される放射コレクタを用いて収集される。レーザ及びソースコレクタモジュールは、例えば、燃料励起用のレーザビームを提供するためにCO2レーザが使用される場合には、別個のエンティティでもよい。
【0120】
[00133] このようなケースでは、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、及び放射ビームは、例えば、適宜の誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを用いて、レーザからソースコレクタモジュールへと渡される。他のケースでは、例えばソースが、DPPソースと呼ばれることが多い、放電生成プラズマEUVジェネレータである場合に、ソースは、ソースコレクタモジュールの一体化部分でもよい。ある実施形態では、DUVレーザ源が使用されてもよい。
【0121】
[00134] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するためのアジャスタを含み得る。一般に、イルミネータの瞳面の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般的に、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)が、調節され得る。さらに、イルミネータILは、ファセットフィールド及び瞳ミラーデバイスなどの様々な他のコンポーネントを含み得る。イルミネータを使用して、断面に所望の均一性及び強度分布を有するように放射ビームを調整することができる。
【0122】
[00135] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MT上に保持されるパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、及びパターニングデバイスによってパターン付けされる。放射ビームBは、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、ビームの焦点を基板Wのターゲット部分Cに合わせる投影システムPSを通過する。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を用いて、例えば異なるターゲット部分Cを放射ビームBのパス内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を用いて、放射ビームBのパスに対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。
【0123】
[00136] 描かれた装置1000は、以下のモードの少なくとも1つで使用され得る:
【0124】
[00137] 1.ステップモードでは、放射ビームに付与されたパターン全体が、一回でターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止したままである(すなわち、単一静的露光)。次いで、異なるターゲット部分Cが露光され得るように、基板テーブルWTが、X及び/又はY方向にシフトされる。
【0125】
[00138] 2.スキャンモードでは、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MT及び基板テーブルWTは、同期してスキャンされる(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの縮小及び像反転特性によって決定され得る。
【0126】
[00139] 3.別のモードでは、放射ビームに付与されたパターンが、ターゲット部分C上に投影される間に、サポート構造(例えば、パターニングデバイステーブル)MTは、プログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止したままであり、且つ基板テーブルWTは、移動又はスキャンされる。このモードでは、一般にパルス放射源が用いられ、及びプログラマブルパターニングデバイスが、基板テーブルWTの各移動後に、又はスキャン中の連続する放射パルスの合間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0127】
[00140]
図13は、ソースコレクタモジュールSO、照明システムIL、及び投影システムPSを含む装置1000をより詳細に示す。ソースコレクタモジュールSOは、ソースコレクタモジュールSOの閉鎖構造220内で真空環境が維持され得るように、構築及び配置される。EUV放射放出プラズマ210は、放電生成プラズマ源によって形成され得る。EUV放射は、ガス又は蒸気(例えば、電磁スペクトルのEUV範囲内の放射を放出するために、超高温プラズマ210が作られるXeガス、Li蒸気、又はSn蒸気)によって生成され得る。超高温プラズマ210は、例えば、少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生じさせる放電によって作られる。Xe、Li、Sn蒸気又は任意のその他の適宜のガス若しくは蒸気の例えば10Paの分圧が、放射の効率的生成に必要とされ得る。ある実施形態では、励起スズ(Sn)のプラズマは、EUV放射を生成するために提供される。
【0128】
[00141] 高温プラズマ210によって放出された放射は、ソースチャンバ211から、ソースチャンバ211の開口内、又はその後ろに位置する任意選択的なガスバリア又は汚染物質トラップ230(場合によっては、汚染物質バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介して、コレクタチャンバ212内へと渡される。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含み得る。汚染物質トラップ230は、ガスバリア、又はガスバリア及びチャネル構造の組み合わせも含み得る。本明細書にさらに示される汚染物質トラップ又は汚染物質バリア230は、当該技術分野で知られているように、少なくともチャネル構造を含む。
【0129】
[00142] コレクタチャンバ211は、いわゆる斜入射型コレクタでもよい放射コレクタCOを含み得る。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251及び下流放射コレクタ側252を有する。コレクタCOを横断する放射は、格子スペクトルフィルタ240に反射して、一点鎖線「O」によって示される光軸に沿った仮想光源点IFに焦点を合わせることができる。仮想光源点IFは、一般的に中間焦点と呼ばれ、及びソースコレクタモジュールは、中間焦点IFが、閉鎖構造220の開口221に、又はその付近に位置するように配置される。仮想光源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。
【0130】
[00143] 続いて、放射は、パターニングデバイスMAにおいて放射ビーム21の所望の角度分布、及びパターニングデバイスMAにおいて放射強度の所望の均一性を提供するように配置されたファセットフィールドミラーデバイス22及びファセット瞳ミラーデバイス24を包含し得る照明システムILを横断する。サポート構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAにおける放射ビーム21の反射時に、パターン付きビーム26が形成され、及びパターン付きビーム26は、投影システムPSによって、反射要素28、30を介して、基板テーブルWTによって保持される基板W上に結像される。
【0131】
[00144] 一般に、図示されるよりも多くの要素が、照明光学系ユニットIL及び投影システムPS内に存在し得る。格子スペクトルフィルタ240が、リソグラフィ装置のタイプに応じて、任意選択的に存在してもよい。さらに、図面に示されるミラーよりも多くのミラーが存在してもよく、例えば、
図13に示されるよりも1~6個の追加の反射要素が、投影システムPSに存在してもよい。
【0132】
[00145]
図14に示されるようなコレクタ系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の単なる一例として、斜入射型リフレクタ253、254、及び255を備えた入れ子式コレクタとして描かれる。斜入射型リフレクタ253、254、及び255は、光軸Oに対して軸対称に配置され、及びこのタイプのコレクタ系COは、DPPソースと呼ばれることが多い、放電生成プラズマ源と組み合わせて使用され得る。
【0133】
[00146] 代替的に、ソースコレクタモジュールSOは、
図14に示すように、LPP放射システムの一部であってもよい。レーザLAは、レーザエネルギーをキセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料に堆積させ、数十eVの電子温度の高イオン化プラズマ210を生成するように配置される。脱励起及びこれらのイオンの再結合中に生成されるエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ系COによって収集され、及び閉鎖構造220の開口221上に焦点が合わせられる。
【0134】
[00147] 実施形態については、以下の条項を使用して更に説明することができる。
1.レイアウトパターニングプロセスのための機械学習モデルを訓練するための方法であって、
パターンセット中のパターンから複数のフィーチャを生成することと、
上記複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、上記パターンセット中の上記パターンを個々のグループにグループ分けすることと、
上記個々のグループからの代表的なパターンを上記機械学習モデルに提供して、上記機械学習モデルを訓練して、上記レイアウトパターニングプロセスのための光近接効果補正(OPC)のための連続透過マスク(CTM)マップを予測することと、を含む方法。
2.上記パターンセット中の上記パターンから生成される上記複数のフィーチャは、上記パターンセットに既に含まれている幾何学的情報及び/又は頂点情報を補うものである、条項1に記載の方法。
3.上記OPCは、上記レイアウトパターニングプロセスにおけるウェーハ用のフルチップOPCを含む、条項1又は2に記載の方法。
4.上記複数の生成されたフィーチャは、幾何学的フィーチャ及びリソグラフィを意識したフィーチャを含む、条項1~3の何れか一項に記載の方法。
5.上記複数の生成されたフィーチャにおける上記類似度に基づいて、上記パターンセット中の上記パターンを個々のグループにグループ分けすることは、機械学習クラスタリング方法を使用して、上記複数の生成されたフィーチャにおける上記類似度に基づいて、上記パターンセット中の一意のパターンを個々のグループにクラスター化することを含む、条項1~4の何れか一項に記載の方法。
6.レイアウトパターニングプロセスのための訓練パターンを決定するための方法であって、
パターンセット中のパターンから複数のフィーチャを生成することと、
上記複数の生成されたフィーチャにおける類似度に基づいて、上記パターンセット中の上記パターンを個々のグループにグループ分けすることと、
上記個々のグループから代表的なパターンを選択して上記訓練パターンを決定することと、を含む方法。
7.上記複数の生成されたフィーチャは、幾何学的フィーチャ及びリソグラフィを意識したフィーチャを含む、条項6に記載の方法。
8.上記幾何学的フィーチャは、ターゲットマスク像、頻度マップ、パターン密度マップ、又は上記パターンセット中の一意のパターンのパターン出現件数、のうちの1つ又は複数を含む、条項7に記載の方法。
9.上記リソグラフィを意識したフィーチャは、上記パターンセット中の上記一意のパターンの、サブレゾリューション・アシスト・フィーチャ・ガイダンス・マップ(SGM)、回折次数、又は回折パターン、のうちの1つ又は複数を含む、条項7又は8の何れか一項に記載の方法。
10.上記パターンセット中の上記パターンから生成される上記複数のフィーチャは、上記パターンセットに既に含まれている幾何学的情報及び/又は頂点情報を補うものである、条項6~9の何れか一項に記載の方法。
11.上記複数の生成されたフィーチャに基づいて、上記パターンセット中の上記パターンをグループにグループ分けすることは、教師なし機械学習を使用して行われる、条項6~10の何れか一項に記載の方法。
12.上記複数の生成されたフィーチャにおける上記類似度に基づいて、上記パターンセット中の上記パターンを個々のグループにグループ分けすることは、上記複数の生成されたフィーチャにおける上記類似度に基づいて、上記パターンセット中の上記パターンを個々のグループにクラスター化することを含む、条項6~11の何れか一項に記載の方法。
13.上記クラスター化することは、異なるクラスター化ステップに対しては上記複数の生成されたフィーチャのうちの異なるものを使用して実施される、連続した一連のクラスター化ステップを含み、上記連続した一連のクラスター化ステップは、上記パターンセット中の一意のパターンのサブグループを形成し、それにより、上記サブグループから上記代表的なパターンが選択されて、上記訓練パターンが決定される、条項12に記載の方法。
14.上記クラスター化することは、機械学習クラスタリング方法を含む、条項12又は13に記載の方法。
15.上記連続した一連のクラスター化ステップは、所与のステップに対して所与のフィーチャを使用して行われる交差検証ステップを含み、交差検証は、所与のサブグループにどのパターンが含まれるかを調節することを含む、条項13又は14に記載の方法。
16.上記個々のグループから代表的なパターンを選択して上記訓練パターンを決定することは、代表的なパターンのターゲット数を選択することを含む、条項6~15の何れか一項に記載の方法。
17.代表的なパターンの上記ターゲット数は、停止基準に基づいて決定され、上記停止基準は、上記訓練パターンにおける変動を促進するように構成される、条項16に記載の方法。
18.上記訓練パターンにおける変動の量を決定することを更に含む、条項17に記載の方法。
19.上記停止基準は、上記訓練パターンにおける上記変動の量が変動量閾値を確実に超えるように、更に構成される、条項18に記載の方法。
20.代表的なパターンの上記ターゲット数は、上記個々のグループからランダムに選択される、条項19に記載の方法。
21.代表的なパターンの上記ターゲット数は、上記訓練パターンにおける上記変動の量が上記変動量閾値を超えないことに応答して、再びランダムに選択される、条項20に記載の方法。
22.上記個々のグループから代表的なパターンを選択して上記訓練パターンを決定することは、上記個々のグループのそれぞれから最も中央のパターンを選択することを含み、上記最も中央のパターンは、上記個々のグループ内の他のパターンに比べて、その個々のグループに対する特定のフィーチャ空間の重心に最も近いものである、条項6~21の何れか一項に記載の方法。
23.上記特定のフィーチャ空間とは、ターゲットマスク像フィーチャ空間、頻度マップフィーチャ空間、パターン密度マップフィーチャ空間、パターン出現件数フィーチャ空間、SGMフィーチャ空間、回折次数フィーチャ空間、又は回折パターンフィーチャ空間である、条項22に記載の方法。
24.上記訓練パターンを畳み込み型深層ニューラルネットワークに提供して上記畳み込み型深層ニューラルネットワークを訓練することを更に含む、条項6~23の何れか一項に記載の方法。
25.上記訓練された畳み込み型深層ニューラルネットワークを使用して、ウェーハパターニングプロセスの一部として、光近接効果補正を実施することを更に含む、条項24に記載の方法。
26.命令が記録された非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラムであって、上記命令は、コンピュータによって実行されると、条項1~25の何れか一項に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム。
【0135】
[00148] 本明細書に開示する概念は、サブ波長フィーチャを結像するための一般的結像システムのシミュレーション又は数学的モデル化を行うことができ、及び特に、ますます短くなる波長を生成することが可能な新しい結像技術にとって有用となり得る。既に使用されている新しい技術には、EUV(極端紫外線)、ArFレーザを使用して193nmの波長、及びフッ素レーザを使用して157nmの波長さえ生成可能なDUVリソグラフィが含まれる。また、EUVリソグラフィは、20~5nmの範囲内で光子を生成するために、シンクロトロンを使用することによって、又は材料(固体又はプラズマ)に高エネルギー電子をぶつけることによって、この範囲内の波長を生成することが可能である。
【0136】
[00149] 本明細書に開示する概念は、シリコンウェーハなどの基板上の結像のために使用され得るが、開示した概念は、あらゆるタイプのリソグラフィ結像システム(例えば、シリコンウェーハ以外の基板上の結像に使用されるもの)に使用され得ることが理解されるものとする。
【0137】
[00150] 上記の記載は、説明のためのものであり、限定するものではないことが意図される。従って、当業者には、以下に記載される請求項の範囲から逸脱することなく、説明したように、変更が行われ得ることが明らかとなるだろう。
【国際調査報告】