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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】深紫外線光源のための光学素子
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220325BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20220325BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220325BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
G03F7/20 502
H01S3/00 A
G02B5/20
G02B5/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544549
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 US2020016828
(87)【国際公開番号】W WO2020176205
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/809,983
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/835,646
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ダス,サプタパルナ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,エリック,アンダース
(72)【発明者】
【氏名】メルキオール,ジョン,セオドア
【テーマコード(参考)】
2H148
2H197
5F172
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA12
2H148AA19
2H148AA21
2H148FA05
2H148FA09
2H148FA18
2H148FA24
2H197AA05
2H197AA12
2H197BA06
2H197BA07
2H197BA09
2H197BA21
2H197BA23
2H197CA03
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA12
2H197CA20
2H197CB19
2H197DB03
2H197DB06
2H197FA03
5F172AD06
5F172EE22
5F172ZZ02
(57)【要約】
深紫外線光源のための光学素子は、結晶基板と、結晶基板の外部表面上のコーティングであって、外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有するコーティングと、コーティング上及び/又はコーティング内の構造であって、方向に沿って結晶基板から離れて延在する複数のフィーチャを含む構造と、を含む。フィーチャは、非晶質誘電体材料を含み、構造の屈折率が方向に沿って変動するように配置される。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深紫外線光源のための光学素子であって、前記光学素子は、
結晶基板と、
前記結晶基板の外部表面上のコーティングであって、前記コーティングは前記外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有する、コーティングと、
前記コーティング上及び/又は前記コーティング内の構造であって、前記構造は前記方向に沿って前記結晶基板から離れて延在する複数のフィーチャを備え、前記フィーチャは、非晶質誘電体材料を含み、前記構造の屈折率が前記方向に沿って変動するように配置される、構造と、
を備える、光学素子。
【請求項2】
前記結晶基板は、フッ化カルシウム(CaF)を含む、請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記方向に沿った前記フィーチャの範囲は前記厚みを超えることはない、請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記構造の前記フィーチャのすべては前記コーティング内部である、請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記フィーチャ及び前記コーティングは、同じ誘電体材料から作られる、請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
前記フィーチャの1つ以上は、前記コーティングの外側へ延在する、請求項1に記載の光学素子。
【請求項7】
前記非晶質誘電体材料は、融解石英又はアルミナを含む、請求項1に記載の光学素子。
【請求項8】
前記複数のフィーチャの各々は同じであり、前記複数のフィーチャは互いに関連して規則的及び反復的パターンで配置される、請求項1に記載の光学素子。
【請求項9】
前記複数のフィーチャの各々は同じであり、前記複数のフィーチャは互いに関連してランダム又は疑似ランダムに配置される、請求項1に記載の光学素子。
【請求項10】
前記複数のフィーチャの各々は空間特徴に関連付けられ、前記複数のフィーチャのうちの1つの少なくとも1つの空間特徴は、他のフィーチャのうちの少なくとも1つの空間特徴とは異なり、前記空間特徴は、高さ、幅、及び形状のいずれかを含む、請求項1に記載の光学素子。
【請求項11】
前記構造の前記屈折率は、前記方向に沿って線形に変動する、請求項1に記載の光学素子。
【請求項12】
前記構造の前記屈折率は、前記結晶基板の屈折率に実質的に等しい値から前記光学素子における流体の屈折率に実質的に等しい値へと、前記方向に沿って変動する、請求項1に記載の光学素子。
【請求項13】
前記流体は窒素(N)パージガスを含む、請求項12に記載の光学素子。
【請求項14】
前記フィーチャは、100ナノメートル(nm)以下の前記方向に沿った範囲を有する、請求項1に記載の光学素子。
【請求項15】
前記方向は、前記結晶基板の表面に対して実質的に垂直である、請求項1に記載の光学素子。
【請求項16】
動作使用中、193ナノメートル(nm)の波長を有する深紫外線(DUV)光が前記コーティング上に入射し、前記コーティングは、前記基板からのフッ素の除去を軽減することによってCaF基板を保護し、また前記基板の前記屈折率は、前記光学素子からの前記DUV光の反射が減少するように、前記DUV光の伝搬方向に沿って変動する、請求項2に記載の光学素子。
【請求項17】
前記コーティングは、前記結晶基板の表面を完全にカバーする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項18】
深紫外線(DUV)光源であって、
ガス利得媒体を封入するように構成されたハウジングを備えるチャンバ、及び、
DUV光を伝送するように構成された少なくとも1つの光学素子、
を備え、
前記少なくとも1つの光学素子は、
DUV光を伝送するように構成された結晶材料を含む基板と、
前記基板の外部表面上のコーティングであって、前記外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有するコーティングと、
前記コーティング上及び/又は前記コーティング内の構造であって、前記方向に沿って外部表面から離れて延在する複数のフィーチャを備える構造と、
を含み、前記フィーチャは非晶質材料を含み、前記フィーチャは、前記構造の屈折率が前記方向に沿って変動するように配置される、
深紫外線(DUV)光源。
【請求項19】
前記複数のフィーチャのうちの1つ以上は前記方向に沿った距離だけ延在し、前記距離は、前記少なくとも1つの光学素子によって伝送される前記DUV光の波長未満である、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項20】
前記複数のフィーチャは、任意の2つの近接フィーチャ間の間隔が、前記少なくとも1つの光学素子によって伝送される前記DUV光の波長の大きさ内であるように、互いに関連して配置される、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項21】
DUV光を伝送するように構成された前記結晶材料は、フッ化カルシウム(CaF)を含む、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項22】
前記構造の前記屈折率は、前記結晶基板の屈折率に実質的に等しい値から前記光学素子を取り囲む流体の屈折率に実質的に等しい値へと、前記方向に沿って変動する、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項23】
前記流体は窒素(N)パージガスを含む、請求項22に記載のDUV光源。
【請求項24】
前記構造は前記コーティング内部である、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項25】
前記構造は、前記構造が部分的に前記コーティング内部にあるように、前記コーティング内及び前記コーティング上にある、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項26】
前記チャンバは、
前記ハウジングの第1の側上の第1のウィンドウと、
前記ハウジングの第2の側上の第2のウィンドウと、
を更に備え、
前記ハウジングの前記第2の側は前記ハウジングの前記第1の側の反対側であり、前記少なくとも1つの光学素子は、前記第1のウィンドウ及び前記第2のウィンドウを備え、前記コーティングは前記第1のウィンドウ及び前記第2のウィンドウ上にある、
請求項18に記載のDUV光源。
【請求項27】
前記第1のウィンドウ上の前記コーティング及び前記第2のウィンドウ上の前記コーティングは、前記ハウジングの外部にある前記それぞれのウィンドウの表面上に配設される、請求項26に記載のDUV光源。
【請求項28】
第2のチャンバを更に備え、前記第2のチャンバは、
前記第2のハウジングの前記内部にガス利得媒体を保持するように構成された第2のハウジングと、
前記第2のハウジングの第1の側上の第3のウィンドウと、
前記第2のハウジングの第2の側上の第4のウィンドウと、
を備え、
前記第2のハウジングの前記第2の側は、前記第2のハウジングの前記第1の側の反対側であり、前記少なくとも1つの光学素子は、前記第3のウィンドウ及び前記第4のウィンドウを更に備える、
請求項26に記載のDUV光源。
【請求項29】
前記第1のウィンドウの外部表面及び前記第2のウィンドウの外部表面は、前記DUV光の伝搬の方向に対して非垂直である、請求項26に記載のDUV光源。
【請求項30】
前記少なくとも1つの光学素子は、プリズム、ビームスプリッタ、レンズ、及び光学補償器のうちの1つ以上を備える、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項31】
前記屈折率は、前記DUV光の伝搬の方向に沿って変動する、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項32】
動作使用中、193ナノメートル(nm)の波長を有するDUV光が前記コーティング上に入射し、前記コーティングは、前記基板からのフッ素の除去を軽減することによって前記CaF基板を保護し、また前記基板の前記屈折率は、前記光学素子からの前記DUV光の反射が減少するように、前記DUV光の伝搬方向に沿って変動する、請求項18に記載のDUV光源。
【請求項33】
前記コーティングは、前記結晶基板の表面を完全にカバーする、請求項18に記載のDUV光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2019年2月25日出願の「OPTICAL ELEMENT FOR A DEEP ULTRAVIOLET LIGHT SOURCE」という名称の米国出願第62/809,983号、及び2019年4月18日出願の「OPTICAL ELEMENT FOR A DEEP ULTRAVIOLET LIGHT SOURCE」という名称の米国出願第62/835,646号の優先権を主張し、どちらもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、深紫外線光(DUV)源のための光学素子に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] フォトリソグラフィは、半導体回路素子がシリコンウェーハなどの基板上にパターン付与されるプロセスである。フォトグラフィ光源は、ウェーハ上のフォトレジストを露光するために使用される深紫外線(DUV)光を提供する。フォトリソグラフィで使用される他のタイプのガス放電光源は、エキシマ光源又はレーザと呼ばれる。エキシマ光源は、典型的には、アルゴン、クリプトン、又はキセノンなどの1つ以上のノーブルガスの組み合わせであるガス混合物、及び、フッ素又は塩素などの反応種を使用する。エキシマ光源という名前は、電気的刺激(エネルギー供給)及び高い圧力(ガス混合物)の適切な条件の下で、高エネルギー状態においてのみ存在し、紫外線レンジ内で増幅光を生じさせる、エキシマと呼ばれる疑似分子が作り出される、という事実に由来する。エキシマ光源は、新紫外線(DUV)レンジ内の波長を有する光ビームを生成し、この光ビームは、フォトリソグラフィ装置内で半導体基板(又はウェーハ)にパターン付与するために使用される。エキシマ光源は、単一のガス放電チャンバを使用して、又は複数のガス放電チャンバを使用して、構築可能である。ガス放電チャンバ内のガス混合物は、ガス放電チャンバから排出され得る。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 一態様において、深紫外線光源のための光学素子は、結晶基板と、結晶基板の外部表面上のコーティングであって、外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有するコーティングと、コーティング上及び/又はコーティング内の構造であって、方向に沿って結晶基板から離れて延在する複数のフィーチャを含む構造と、を含む。フィーチャは、非晶質誘電体材料を含み、構造の屈折率が方向に沿って変動するように配置される。
【0005】
[0005] 実施例は、下記のフィーチャのうちの1つ以上を含むことができる。
【0006】
[0006] 結晶基板は、フッ化カルシウム(CaF)を含むことができる。いくつかの実施例において、動作使用中、193ナノメートル(nm)の波長を有する深紫外線(DUV)光がコーティング上に入射し、コーティングは、基板からのフッ素の除去を軽減することによってCaF基板を保護し、また基板の屈折率は、光学素子からのDUV光の反射が減少するように、DUV光の伝搬方向に沿って変動する。
【0007】
[0007] いくつかの実施例において、方向に沿ったフィーチャの範囲は厚みを超えることはない。構造のフィーチャはすべてコーティング内部とすることができる。
【0008】
[0008] フィーチャ及びコーティングは、同じ誘電体材料から作ることができる。
【0009】
[0009] 1つ以上のフィーチャは、コーティングの外側へ延在する。
【0010】
[0010] 非晶質誘電体材料は、融解石英又はアルミナを含むことができる。
【0011】
[0011] 複数のフィーチャの各々は同じとすることができ、複数のフィーチャは、互いに関連して規則的及び反復的パターンで配置可能である。
【0012】
[0012] 複数のフィーチャの各々は同じとすることができ、複数のフィーチャは、互いに関連してランダム又は疑似ランダムに配置可能である。
【0013】
[0013] 複数のフィーチャの各々は空間特徴に関連付けることができ、複数のフィーチャのうちの1つの少なくとも1つの空間特徴は、他のフィーチャのうちの少なくとも1つの空間特徴とは異なる。空間特徴は、高さ、幅、及び形状のいずれかを含むことができる。
【0014】
[0014] 構造の屈折率は、方向に沿って線形に変動することができる。
【0015】
[0015] 構造の屈折率は、結晶基板の屈折率に実質的に等しい値から光学素子における流体の屈折率に実質的に等しい値へと、方向に沿って変動することができる。流体は窒素(N)パージガスを含むことができる。
【0016】
[0016] フィーチャは、100ナノメートル(nm)以下の方向に沿った範囲を有することができる。
【0017】
[0017] 方向は、結晶基板の表面に対して実質的に垂直とすることができる。
【0018】
[0018] コーティングは、結晶基板の表面を完全にカバーすることができる。
【0019】
[0019] 別の態様において、深紫外線(DUV)光源は、ガス利得媒体を封入するように構成されたハウジングを含むチャンバ、及び、DUV光を伝送するように構成された少なくとも1つの光学素子を含む。少なくとも1つの光学素子は、DUV光を伝送するように構成された結晶材料を含む基板と、基板の外部表面上のコーティングであって、外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有するコーティングと、コーティング上及び/又はコーティング内の構造であって、方向に沿って外部表面から離れて延在する複数のフィーチャを含む構造と、を含む。フィーチャは非晶質材料を含み、フィーチャは、構造の屈折率が方向に沿って変動するように配置される。
【0020】
[0020] 実施例は下記の態様のうちの1つ以上を含むことができる。
【0021】
[0021] 複数のフィーチャのうちの1つ以上は方向に沿った距離だけ延在することができ、距離は、少なくとも1つの光学素子によって伝送されるDUV光の波長未満とすることができる。
【0022】
[0022] 複数のフィーチャは、任意の2つの近接フィーチャ間の間隔が、少なくとも1つの光学素子によって伝送されるDUV光の波長の大きさ内であるように、互いに関連して配置することができる。
【0023】
[0023] DUV光を伝送するように構成された結晶材料は、フッ化カルシウム(CaF)を含むことができる。
【0024】
[0024] 構造の屈折率は、結晶基板の屈折率に実質的に等しい値から光学素子を取り囲む流体の屈折率に実質的に等しい値へと、方向に沿って変動することができる。流体は窒素(N)パージガスを含むことができる。
【0025】
[0025] 構造はコーティング内部とすることができる。
【0026】
[0026] 構造は、構造が部分的にコーティング内部であるように、コーティング内及びコーティング上とすることができる。
【0027】
[0027] DUV光源のチャンバは、ハウジングの第1の側上の第1のウィンドウと、ハウジングの第2の側上の第2のウィンドウとを、を含むこともでき、ハウジングの第2の側はハウジングの第1の側の反対側である。少なくとも1つの光学素子は、第1のウィンドウ及び第2のウィンドウを含み、コーティングは第1のウィンドウ及び第2のウィンドウ上にある。第1のウィンドウ上のコーティング及び第2のウィンドウ上のコーティングは、ハウジングの外部にあるそれぞれのウィンドウの表面上に配設することができる。いくつかの実施例において、DUV光源は第2のチャンバも含み、第2のチャンバは、第2のハウジングの内部にガス利得媒体を保持するように構成された第2のハウジングと、第2のハウジングの第1の側上の第3のウィンドウと、第2のハウジングの第2の側上の第4のウィンドウとを含み、第2のハウジングの第2の側は、第2のハウジングの第1の側の反対側である。少なくとも1つの光学素子は、第3のウィンドウ及び第4のウィンドウを更に含む。第1のウィンドウの外部表面及び第2のウィンドウの外部表面は、DUV光の伝搬の方向に対して非垂直とすることができる。
【0028】
[0028] 少なくとも1つの光学素子は、プリズム、ビームスプリッタ、レンズ、及び光学補償器のうちの1つ以上を含むことができる。
【0029】
[0029] 屈折率は、DUV光の伝搬の方向に沿って変動することができる。
【0030】
[0030] いくつかの実施例において、動作使用中、193ナノメートル(nm)の波長を有するDUV光がコーティング上に入射し、コーティングは、基板からのフッ素の除去を軽減することによってCaF基板を保護し、また基板の屈折率は、光学素子からのDUV光の反射が減少するように、DUV光の伝搬方向に沿って変動する。
【0031】
[0031] コーティングは、結晶基板の表面を完全にカバーすることができる。
【0032】
[0032] 上記及び本明細書で説明する技法のうちのいずれかの実施例は、プロセス、装置、及び/又は方法を含むことができる。1つ以上の実施例の詳細を、添付の図面及び下記の説明に示す。他の特徴は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】[0033]光学素子を示す斜視図である。
図1B】[0034]図1Aの線B-B’に沿って見た図1Aの光学素子を示す側断面図である。
図1C】[0035]x-y面内の図1Aの光学素子を示す図である。
図1D】[0036]図1Aの光学素子の屈折率を位置の関数として示す図である。
図2A】[0037]他の光学素子を示す断面図である。
図2B】[0037]他の光学素子を示す断面図である。
図2C】[0038]図2Bの光学素子の屈折率を位置の関数として示す図である。
図3A】[0039]別の光学素子を示す斜視図である。
図3B】[0040]図3Aの線3B-3B’に沿って見た図3Aの光学素子を示す断面図である。
図3C】[0041]位置の関数として光学素子構造の屈折率を示すグラフである。
図4A】[0042]フォトリソグラフィシステムを示すブロック図である。
図4B】[0043]図4Aのフォトリソグラフィシステムで使用可能な投影光学システムを示すブロック図である。
図5】[0044]別のフォトリソグラフィシステムを示すブロック図である。
図6A】[0045]深紫外線(DUV)光源のためのパワー増幅器(PA)を示すブロック図である。
図6B】[0046]図6Aのチャンバ内で使用可能なウィンドウを示すブロック図である。
図6C】[0047]図6Aのチャンバと共に使用可能なビームターニング要素を示すブロック図である。
図6D】[0048]図6Aのチャンバと共に使用可能なビーム結合光学システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0049] 図1Aから図1Cを参照すると、光学素子100が示されている。図1Aは光学素子100の斜視図である。図1Bは、図1Aの線B-B’に沿って見た光学素子100の側断面図である。図1Cは、x-y面内の光学素子100の図である。図1Dは、光学素子100の屈折率をz方向に沿った位置の関数として示す。
【0035】
[0050] 光学素子100は光ビーム140を伝送する。光ビーム140は深紫外線(DUV)レンジ内の波長を含み、光学素子は、図4Aに示される光源460又は図5に示される光源560などの、DUV光源内で使用可能である。DUVレンジは、10ナノメートル(nm)から400nmの波長を含む。他の実施例において、光学素子100は様々な他の光学システムにおいて、また様々な他の光源に関連して、使用可能である。
【0036】
[0051] 図1Aから図1Cに示される実施例において、光学素子100は、コーティング104内に配設されているように示された構造101を含む。しかしながら、様々な実施例において、構造101は部分的又は完全にコーティング104内にあり得るか、又は、コーティング104の表面111上などの、コーティング104上にあり得る。下記で考察するように、構造101は勾配屈折率を提供し、またフレネル反射損失を減少させる。フレネル反射損失(又は反射損失)は、入力及び出力インターフェースにおけるコンポーネントの屈折率と媒体の屈折率との差に起因して、光学システム内のコンポーネントの入力及び出力インターフェースにおいて発生する損失である。コーティング104は、方向109に沿って表面106から外側に延在する保護コーティングである。表面106は、結晶基板108の外部表面である。コーティング104は、結晶基板108の外部表面106に取り付けられる。コーティング104は、コーティング104が外部表面106から除去できるように外部表面106に取り付けることができる。コーティング104は表面106全体をカバーすることができる。コーティング104は、方向109に沿って厚み107を有する。図1Aから図1Cの例において、方向109はz方向と平行である。
【0037】
[0052] 結晶基板108は、DUVレンジ内の光を伝送する、フッ化カルシウム(CaF)又はフッ化マグネシウム(MgF)などの結晶材料である。結晶材料は、(原子又はイオンなどの)成分が、結晶軸に沿って延在する結晶格子を形成する高秩序の微細構造で配置された固体材料である。
【0038】
[0053] コーティング104は、動作使用の間(例えば、光ビーム140が光学素子100と相互作用するとき)、結晶基板108の表面劣化を防止するか又は最小限にする。例えば、光ビーム140が193nmの波長を有し、結晶基板108がCaFである実施例において、光ビーム140は結晶基板108内にフッ素の空乏化を生じさせる。これらの実施例において、コーティング104は、光ビーム140が結晶基板108上に入射するときにフッ素が漏出するのを防ぐシール又はバリアとして作用することによって、結晶基板108を保護する。このようにしてコーティング104は、光学素子100をDUV光源内で効果的に使用できるようにする。
【0039】
[0054] コーティング104は、結晶基板108の屈折率n3に一致するように、すなわち、コーティング104が結晶材料108の屈折率と同じ屈折率n3を有するか、又は屈折率n3とほぼ同様の屈折率を有するように、設計される。しかしながら、結晶基板108の屈折率n3と、コーティング104の外側表面111における媒体112の屈折率n1とは異なる。したがって、従来の光学素子(構造101が欠けている)では、外側表面111においてフレネル反射損失が生じる(また加えて、表面106において最小損失が生じる)。フレネル反射損失は、例えば、n1=1及びn3=1.5018の実施例についての表面111における入射屈折力、及び光ビーム140のs及びp偏光コンポーネントに対する垂直入射角の、約4.00~5%とすることができる。フレネル反射損失は、光ビーム140をダウンストリーム光学コンポーネント(図4Aのリソグラフィ露光装置469など)に提供できるようにする、屈折力の量を減少させる。更に反射損失は、DUV光源の様々なコンポーネントを、反射損失を補うための試行において効率的及び/又は最適な動作レベルを超えて作業させることができる。これが、非効率的な動作、性能の低下、及び/又はDUV光源内のコンポーネントの寿命の短縮につながる可能性がある。
【0040】
[0055] 他方で、光学素子100は、方向109に沿った勾配率又は変動率を提供することによって、これらのフレネル損失を低下又は消去する構造101を含む。図1Dも参照すると、光学素子100は、方向109に沿った位置の関数としての屈折率である、屈折率プロファイル110を有する。構造101の屈折率はnsとして表される。屈折率nsは方向109に沿って一定ではなく、代わりに、表面106における屈折率n3から光学素子100の外側表面111におけるにおける屈折率n1へと、方向109に沿って変動する。図1Bの例において、屈折率nsは方向109に沿って線形に変動する。他の実施例において、屈折率nsは方向109に沿って他の様式で変動し得る。
【0041】
[0056] フィーチャ102を伴う構造101などの構造は、一般に、結晶材料上又は結晶材料内に直接形成することはできない。したがって構造101は、非晶質誘電体材料であるコーティング104上に、コーティング104内に部分的に、又はコーティング104内に完全に、形成される。したがって光学素子100において、コーティング104は、光学的劣化及び反射減少から基板108を保護することによる保護機能、又は構造101に起因する消去機能の両方を実行する。
【0042】
[0057] 構造101は、フィーチャ102の意図的な配置によって勾配屈折率を達成する。フィーチャ102は、図1Aの挿入図におけるy-z面に示されている。フィーチャ102は方向109に沿って延在し、図1Cに示されるようなパターンで配置されるが、フィーチャ102は他の実施例において、異なって配置され得る。図1Bにおいて、構造101はドットで陰影付けされた領域として表される。簡単にするために、図1A及び図1Cではフィーチャ102のうちの1つのみが標示されている。
【0043】
[0058] フィーチャ102は、構造101の屈折率が変動するか又は一定でないようなパターンで配置される。例えば、フィーチャ102のx、y、及び/又はz方向の寸法が、光ビーム140の波長に比べて小さいとき、フィーチャ102は、光ビーム140の伝搬方向に沿って変動し徐々に変化する屈折率nsを提示する。屈折率を変動させることによって、光ビーム140が光学素子100と相互作用するときに発生するフレネル反射損失は減少する。
【0044】
[0059] 更に、構造101は、DUV光レンジ内の光と共に使用するのに適している。光学素子のインターフェースにおけるフレネル反射損失を減少させるための1つの典型的な手法は、インターフェース上に反射防止(AR)コーティングを配置することである。ARコーティングはしばしば、異なる屈折率を伴う誘電体材料のスタックから形成され、多層誘電体スタック又はブラッグミラーと呼ばれることもある。しかしながら、これらのタイプのARコーティングは、一般に、DUV光レンジ内で使用するのに適切でない、及び/又は、DUV光の相対的に高い光子エネルギーによるARコーティング材料の劣化に起因して、典型的な寿命がコーティング104よりも短い。例えば、ARスタックのために193nmで使用するためのARコーティングは、三フッ化ランタン(LaF)、フッ化ガドリニウム(GdF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(III)(CeF)、フッ化リチウム(LiF)、及びフッ化マグネシウム(MgF)などの、フッ化物を含むことができる。しかしながらこれらの材料は、堆積されるときに多孔質構造を形成する傾向があり、193nmにおけるロバスト性のためにコーティングの密度を高くするための試行は、193nmにおける吸収を増加させる。修正不可能な多孔性は、寿命を短くすることに寄与する。更に、これらの材料の高密度化バージョンは、許容不能な熱吸収及びコーティング応力問題を有する傾向があり、結果として劣化(例えば、気泡化及び層間剥離)を生じさせる可能性がある。更に、誘電体コーティングスタックは、一般に製造変動性を被る可能性があり、結果として、一貫性のない生涯性能が生じる可能性がある。
【0045】
[0060] 他方で、構造101は、コーティング104と同じ材料から又は同じタイプの材料から形成されるか、或いは、同様の非晶質誘電体から形成され、したがって、一般にコーティング104と類似した寿命を有することになる。
【0046】
[0061] コーティング104及びフィーチャ102は、DUVレンジ内の光を伝送する非晶質誘電固体材料から作られる。非晶質固体材料は、結晶材料の特徴である長距離秩序に欠けた固体材料である。コーティング104及びフィーチャ102は、例えば、ガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、プラスチック、シリコン、又はアルミナで作ることができる。コーティング104及びフィーチャ102は、同じ非晶質誘電体材料で作るか、又は異なる誘電体材料から作ることができる。
【0047】
[0062] フィーチャ102の各々は、光学素子100の形成後に変化しない形状を有する。フィーチャの形状は、そのフィーチャによって占有される空間の容積を画定する。いくつかの実施例において、フィーチャのすべては同じ形状を有する。他の実施例において、フィーチャ102の形状は変動し(例えば、セミランダムであり)、すべてが同じではない。フィーチャ102は、図1A及び図1C内では楕円形に示されている。しかしながら、フィーチャ102は他の形状を有することができる。例えば、フィーチャ102は円錐形であり、円錐の最も広い部分が表面106に最も近いものとすることができる。
【0048】
[0063] 図1Aから図1Cの例において、構造101は完全にコーティング104内にあるものと示されている。言い換えれば、フィーチャ102のいずれも外側表面111を越えてz方向に延在しない。フィーチャ102は、例えばドライ又はウェットのエッチング手順、或いは化学エッチング手順を使用して、コーティング104内に形成することができる。
【0049】
[0064] 構造はコーティング104と同延であり得る。例えば、フィーチャ102のz方向に沿った範囲113は、コーティング104の厚み107と同じであり得る。範囲113は、図1Aの挿入図に示されている。いくつかの実施例において、範囲113はコーティング104の厚み107よりも小さい。更にいくつかの実施例では、範囲113は厚み107より大きく、構造101が部分的にコーティング104の内部にあるか、又はコーティング104上及びコーティング104内にあることになる。
【0050】
[0065] 図1Cを参照すると、フィーチャはx方向に中心間間隔115を有し、y方向に中心間間隔116を有する。間隔115、116は、2つの近接フィーチャ102間の距離を表す。フィーチャ102は直線格子に配置され得る。これらの実施例において、間隔115及び間隔116は、フィーチャのすべてが最も近いフィーチャからy方向に同じ間隔116だけ、及びx方向に同じ間隔115だけ離れるように、構造101全体を通じて均一である。更に、間隔116及び間隔115は同じであり得る。他の実施例において、フィーチャ102はランダム又は疑似ランダムに配置される。これらの実施例において、間隔115及び間隔116は不均一であり、任意の2つの近接フィーチャ102間の距離は構造101全体を通じて変動する。
【0051】
[0066] 範囲113は光ビーム140の波長よりも小さいことが可能であり、また間隔115、116は光ビーム140の波長と類似することが可能である。例えば、光ビーム140の波長が193nmである実施例において、範囲113は30nmから50nmの間であり得、間隔115、116は100nmから200nmの間であり得る。構造101は、空間的範囲において数百ナノメートル(nm)未満の寸法を有する(フィーチャ102などの)コンポーネントを有する構造である、ナノ構造であり得る。
【0052】
[0067] 図1Aから図1Cの例において、光ビーム140は媒体112内を-z方向に(図1Cのページ内へと)伝搬する。光ビーム140は、光学素子100の外側表面111上に衝突する。構造101に起因して、媒体112の屈折率n1と、外側表面111におけるコーティング104の屈折率nsとの間の差は減少又は消去され、屈折率n2と表面106における屈折率n1との間に差があれば、減少又は消去されている。
【0053】
[0068] 図1Aから図1Cに示される光学素子100において、表面106、111はx-y面内で実質的に平坦であり、結晶基板108及びコーティング104はプレート状の構造である。光学素子100は、例えばウィンドウとして使用可能である。基板108及びコーティング104は、図2Aに示されるように、異なる形状を有することができる。更に光学素子100は、図2Bに示されるように、光ビーム140の伝搬方向に対して或る角度で配向可能である。
【0054】
[0069] 図2A及び図2Bは、それぞれ光学素子200A及び200Bの断面図を示す。光学素子200A及び200Bは光学素子100の他の実施例の例である。光学素子200A及び200Bの断面図はy-z面内である。
【0055】
[0070] 光学素子200Aは、結晶基板208Aの表面206Aから方向209Aに沿って半径方向外側に延在するコーティング204Aを含む。構造201A(ドットによる陰影付けによって表される)は、コーティング204A内にある。構造201Aはコーティング204A内にあるが、他の実施例では、構造201Aはコーティング204A上にあるか、又は部分的にコーティング204A内にあり得る。構造201Aは、図1Aから図1Dに関して考察した構造101と同様である。構造201Aはコーティング204A内にある。構造201Aは、したがって光ビーム140のフレネル反射損失を減少させるために、方向209Aに沿って変動する屈折率を有する。図2Aの実施例において、構造201Aは表面206Aに対して垂直に延在するフィーチャを含む。表面206Aは湾曲しており、したがってすべてのフィーチャが同じ方向に延在するわけではない。
【0056】
[0071] 図2Bを参照すると、光学素子200Bは、結晶基板208Bと、結晶基板208Bの表面206Bから外に向かって延在するコーティング204Bとを含む。コーティング204Bは、表面206Bに対して垂直な方向に沿って厚み207Bを有する。光学素子200Bは、形状が光学素子100と同様である。しかしながら、光学素子200Bは、入射光ビーム140の伝搬方向(z)に対して角度θに位置決めされることが意図される。構造201B(ドットによる陰影付けで示される)は、コーティング204B内にある。構造202Bは、図1Aから図1Dに関して上記で考察したフィーチャ102と同様のフィーチャ201Bを含む。構造201B内のフィーチャは、構造201Bの屈折率nsが方向209Bに沿って変動するように配置される。例えばフィーチャ201Bは表面206Bに対して垂直に延在し得、構造201Bの屈折率nsは、図2Cに示されるように方向209Bに沿って変動するプロファイル210を有し得る。方向209Bは、光ビーム140の伝搬方向に平行であるが反対である。したがって、たとえ光学素子200Bがビーム140の伝搬方向に対して角度θで位置決めされる場合であっても、構造201Bの屈折率は光ビーム140の伝搬に沿って変動する。
【0057】
[0072] 図3A及び図3Bを参照すると、光学素子100の別の実施例が示されている。図3Aは光学素子300の斜視図である。図3Bは、図3Aの線3B-3B’に沿って見た光学素子300の断面図である。
【0058】
[0073] 光学素子300は、結晶基板308と、結晶基板308の(例えば、表面306上にコーティングされた)表面306に取り付けられた保護コーティング304とを含む。結晶基板308は、DUV光を伝送する結晶材料である。保護コーティング304は、表面306から方向309に延在する非晶質誘電体材料である。保護コーティング304は方向309に沿って厚み307を有する。厚み307は、表面306からコーティング304の端部319までの距離である。端部319は、図3Bでは破線様式で示される。
【0059】
[0074] 光学素子300は、フィーチャ302を含む構造301も含む。フィーチャ302は、保護コーティング304に使用される非晶質誘電体材料と同じであり得るか又は異なり得る、非晶質誘電体材料で作られる。構造101上のフィーチャ201と同様に、フィーチャ302は、構造301の屈折率nsが方向309に沿って変動するように配置される。方向309は、光ビーム140の伝搬方向と並行であり反対である。したがって、屈折率nsも光ビーム140の伝搬方向に沿って変動する。図3Cは、方向309に沿った位置の関数として構造301の屈折率を表すプロファイル310を示す。
【0060】
[0075] フィーチャ302は、コーティング304の外側の方向309に沿って延在する。図3A及び図3Bに示される例において、フィーチャ302は、保護コーティング304の端部319を越えて方向309に延在し、方向309のフィーチャ302の範囲313はコーティング304の厚み307より大きい。フィーチャ302は、コーティング304上にフィーチャ302をリソグラフィエッチングすること又は構築することによって、形成可能である。例えばフィーチャ302は、化学エッチングプロセス、例えばドライガスエッチングによって、及びそれに続く、フィーチャ302の頂部での保護コーティング304の堆積によって、構築可能である。
【0061】
[0076] 他の実施例において、フィーチャ302及びコーティング304は、様々な他の光学素子に関連して使用可能である。
【0062】
[0077] 図4A及び図5は、それぞれ、光学素子100、200A、200B、及び/又は300を使用することができる、DUV光源460及び560の例を提供する。
【0063】
[0078] 図4A及び図4Bを参照すると、フォトリソグラフィシステム450は、光ビーム441をリソグラフィ露光装置469に提供するDUV光源460を含み、リソグラフィ露光装置469は、ウェーハホルダ又はステージ471によって受け取ったウェーハ470を処理する。DUV光源460は、利得媒体461、カソード462a、及びアノード462bを封入する、放電チャンバ465を含む。利得媒体461はガス状利得媒体である。放電チャンバ465は、利得媒体461が放電チャンバ465内に留まるように、及び放電チャンバ465によって包含されるように、封止される。図4Aでは1つのガス放電チャンバ465のみが示されている。しかしながら光源460は、図5に示されるように複数の放電チャンバを含むことができる。
【0064】
[0079] DUV光源460は、ガス管理システム479も含む。ガス管理システム479は、DUV光源460の内部478と流体連結している。ガス管理システム479は、内部478における圧力及び/又は流体物質を管理するデバイスを含むことができる。例えばガス管理システム479は、ポンプ、ファン、フィルタ、及び/又は、ガス及びデブリを管理することができる他のデバイスを含むことができる。ガス管理システム479は、望ましくない化学物質、要素、又は混合物を内部478から除去することができる。例えばガス管理システム479は、例えば窒素(N)又はヘリウム(He)などの別の(ガスの形の)化学物質を使用して、内部478から酸素をパージアウトすることができる。望ましくない物質を除去するためにガス管理システム479によって使用されるガスは、パージガス412と呼ばれる。パージガス412は内部478にあり、放電チャンバ465を取り囲むことができるが、パージガス412は放電チャンバ465に侵入せず、利得媒体461の化学組成を妨げること又は変化させることはない。光ビーム441は内部478内を伝搬し、したがってパージガス412内を伝搬する。
【0065】
[0080] 光ビーム441は、互いに時間的に隔たった光のパルスを含む、パルス光ビームとすることができる。リソグラフィ露光装置469は、光ビーム441がウェーハ470に到達する前に通る投影光学システム475、及びメトロロジシステム472を含む。メトロロジシステム472は、例えば、ウェーハ470の像及び/又はウェーハ470における光ビーム441をキャプチャすることができる、カメラ又は他のデバイス、或いは、x-y面内のウェーハ470における光ビーム441の強度などの光ビーム441の特徴を記述するデータをキャプチャすることができる、光ディテクタを、含むことができる。リソグラフィ露光装置469は、液浸システム又はドライシステムとすることができる。フォトリソグラフィシステム450は、光源460及び/又はリソグラフィ露光装置469を制御するための、制御システム480も含む。
【0066】
[0081] 例えば、光ビーム441を用いてウェーハ470上で放射感応性フォトレジスト材料の層を露光することによって、マイクロ電子フィーチャがウェーハ470上に形成される。図4Bも参照すると、投影光学システム475は、スリット476、マスク474、及び、レンズシステム477を含む投影対物系を含む。レンズシステム477は、DUVレンジ内の光と相互作用可能な、1つ以上の反射又は屈折光学要素を含む。光ビーム441は光学システム475に入り、スリット476に衝突し、ビーム441の少なくとも一部はスリット476を通過する。図4A及び図4Bの例において、スリット476は矩形であり、光ビーム441を細長い矩形型の光ビームに整形する。マスク474はパターンを含み、このパターンは、整形された光ビームのどの部分がマスク474によって伝送されるか、及びマスク474によってブロックされるかを決定する。パターンの設計は、ウェーハ470上に形成されるべき特定のマイクロ電子回路設計によって決定される。
【0067】
[0082] 図5を参照すると、フォトリソグラフィシステム550のブロック図が示されている。システム550は、システム450(図4A)の実施例の一例である。例えば、フォトリソグラフィシステム550において、光源560は光源460(図4A)として使用される。光源560は、リソグラフィ露光装置469に提供されるパルス光ビーム541を生成する。フォトリソグラフィシステム550は制御システム580も含み、制御システム580は、図5の例において、システム550の様々な動作を制御するために、光源560のコンポーネント並びにリソグラフィ露光装置469に接続される。他の実施例において、制御システム580は、光源560の様々な態様を制御するための制御システムと、リソグラフィ露光装置469を制御するための制御システムの、2つの別々の制御システムとして実装可能である。更に他の実施例では、様々な他の制御システム580が実装可能である。
【0068】
[0083] 図5に示される例において、光源560は、シード光ビーム542をパワー増幅器(PA)568に提供する、主発振器(MO)567を含む、2ステージレーザシステムである。MO567及びPA568は、光源560のサブシステム、又は光源560の一部であるシステムとみなすことができる。PA568はMO567からシード光ビーム542を受け取り、リソグラフィ露光装置469内で使用するための光ビーム541を生成するためにシード光ビーム542を増幅する。例えば、いくつかの実施例において、MO567は、パルス当たりおよそ1ミリジュール(mJ)のシードパルスエネルギーを伴うパルスシード光ビームを放出することができ、これらのシードパルスはPA568によって約10から15mJに増幅され得る。
【0069】
[0084] MO567は、2つの細長い電極562a_1及び562b_1、ガス混合物である利得媒体561_1、及び、電極562a_1、562b_1の間でガス混合物を循環させるためのファン(図示せず)を有する、放電チャンバ565_1を含む。放電チャンバ565_1の一方の側のライン狭隘化モジュール586と、放電チャンバ565_1の第2の側の出力カップラ581との間に、共振器が形成される。
【0070】
[0085] 放電チャンバ565_1は、第1のチャンバウィンドウ563_1及び第2のチャンバウィンドウ564_1を含む。第1及び第2のチャンバウィンドウ563_1及び564_1は、放電チャンバ565_1の反対側にある。第1及び第2のチャンバウィンドウ563_1及び564_1はDUVレンジ内の光を伝送し、DUV光が放電チャンバ565_1に出入りできるようにする。
【0071】
[0086] ライン狭隘化モジュール586は、放電チャンバ565_1のスペクトル出力を精密に調整する、格子などの回折光学系を含むことができる。光源560は、出力カップラ581から出力光ビームを受け取るライン中心分析モジュール584、及び、ビーム結合光学システム583も含む。ライン中心分析モジュール584は、シード光ビーム542の波長を測定又は監視するために使用可能な、測定システムである。ライン中心分析モジュール584は、光源560内の他のロケーションに置くことができるか、又は光源560の出力に置くことができる。
【0072】
[0087] 利得媒体561_1であるガス混合物は、適用例に必要な波長及び帯域幅において光ビームを生成するのに適した任意のガスとすることができる。エキシマ源の場合、ガス混合物561_1は、例えばアルゴン又はクリプトンなどのノーブルガス(希ガス)、例えばフッ素又は塩素などのハロゲン、及び、ヘリウムなどの緩衝ガスとは別のキセノンの痕跡を含むことができる。ガス混合物の特定の例は、約193nmの波長の光を放出するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長の光を放出するフッ化クリプトン(KrF)、又は、約351nmの波長の光を放出する塩化キセノン(XeCl)を含む。したがって、光ビーム541及び542は、本実施例においてDUVレンジ内の波長を含む。エキシマ利得媒体(ガス混合物)は、細長い電極562a_1、562b_1に電圧を印加することによって、高電圧放電において短い(例えば、ナノ秒)電流パルスで励起される。
【0073】
[0088] PA568は、MO567からシード光ビーム542を受け取り、シード光ビーム542を放電チャンバ565_2を介してビーム転向光学素子582へと誘導する、ビーム結合光学システム583を含み、ビーム転向光学素子582は、シード光ビーム542が放電チャンバ565_2内に返送されるように、シード光ビーム542の方向を修正又は変更する。ビーム転向光学素子582及びビーム結合光学システム583は、リング増幅器内への入力が、ビーム結合光学システム583におけるリング増幅器の出力と交差する、循環及び閉ループ光路を形成する。
【0074】
[0089] 放電チャンバ565_2は、1対の細長い電極562a_2、562b_2、利得媒体561_2、及び、電極562a_2、562b_2間で利得媒体561_2を循環させるためのファン(図示せず)を含む。利得媒体561_2を形成するガス混合物は、利得媒体561_1を形成するガス混合物と同じであり得る。
【0075】
[0090] 放電チャンバ565_2は、第1のチャンバウィンドウ563_2及び第2のチャンバウィンドウ564_2を含む。第1及び第2のチャンバウィンドウ563_2及び564_2は、放電チャンバ565_2の両側にある。第1及び第2のチャンバウィンドウ563_2及び564_2は、DUVレンジ内の光を伝送し、DUV光が放電チャンバ565_2に出入りできるようにする。
【0076】
[0091] 出力光ビーム541は、リソグラフィ露光装置469に達する前にビーム伝搬システム585を介して誘導することができる。ビーム伝搬システム585は、ビーム541の様々なパラメータ(帯域幅又は波長など)を測定する、帯域幅分析モジュールを含むことができる。ビーム伝搬システム585は、出力光ビーム541の各パルスを時間内で延伸する、パルスストレッチャ(図示せず)を含むこともできる。ビーム伝搬システム585は、例えば、反射及び/又は屈折光学素子(例えば、レンズ及びミラーなど)、フィルタ、及び光学アパーチャ(自動シャッタ)などの、ビーム541に作用可能な他のコンポーネントを含むこともできる。
【0077】
[0092] DUV光源560は、DUV光源560の内部578と流体連結しているガス管理システム479も含む。前述のように、ガス管理システム479は内部578にパージガス412を提供する。図5の例において、パージガス412はチャンバ565_1及び565_2を取り囲み、DUV光源560のサブシステムのいくつかの光学コンポーネントも取り囲む。例えばパージガス412は、ライン狭隘化モジュール586、出力カップラ581、ライン中心分析モジュール584、ビーム結合光学システム583、及びビーム転向光学素子582内の、光学コンポーネントを取り囲む。パージガス412は内部578内にあり、放電チャンバ565_1及び565_2並びに様々な他の光学コンポーネントを取り囲むが、パージガス412は放電チャンバ565_1及び565_2に侵入せず、利得媒体561_1及び561_2の化学組成を妨げること又は変化させることはない。
【0078】
[0093] フォトリソグラフィシステム550は、制御システム580も含む。制御システム580は、1つ以上の信号を光源560に送信することによって、光源560が、光のパルス、又は1つ以上の光のパルスを含む光パルスのバーストを放出するタイミングを制御することができる。制御システム580は、リソグラフィ露光装置469にも接続される。したがって制御システム580は、リソグラフィ露光装置469の様々な態様を制御することもできる。例えば制御システム580は、ウェーハ470(図4A)の露光を制御することができ、したがって電子フィーチャがウェーハ470上にどのようにプリントされるかを制御するために使用することができる。いくつかの実施例において、制御システム580は、x-y面内のスリット476(図4B)の動きを制御することによって、ウェーハ470のスキャンを制御することができる。更に制御システム580は、メトロロジシステム472及び/又は光学システム475(図4B)と、データを交換することができる。
【0079】
[0094] リソグラフィ露光装置469は、例えば、温度制御デバイス(空調デバイス及び/又は加熱デバイス)、及び/又は様々な電気コンポーネントのための電力供給を含むこともできる。制御システム580は、これらのコンポーネントを制御することもできる。いくつかの実施例において、制御システム580は、リソグラフィ露光装置469の態様を制御するための専用の、少なくとも1つのサブコントロールシステム(リソグラフィコントローラ)を備える、複数のサブコントロールシステムを含むように実装される。これらの実施例において、制御システム580は、リソグラフィコントローラを使用する代わりに、又はそれに加えて、リソグラフィ露光装置469の態様を制御するために使用可能である。
【0080】
[0095] 利得媒体561_1又は561_2が、それぞれ、電極562a_1、562b_1又は562a_2、562b_2に電圧を印加することによって励起されるとき、利得媒体561_1及び/又は561_2は光を放出する。電圧が規則正しい時間間隔で電極に印加されるとき、光ビーム541はパルスを発する。したがって、パルス光ビーム541の繰り返し率は、電圧が電極に印加される割合によって決定される。パルスの繰り返し率の範囲は、様々な応用例について約500から6,000Hzの間であり得る。いくつかの実施例において、繰り返し率は6,000Hzより大きく、例えば12,000Hz以上であり得るが、他の実施例では他の繰り返し率が使用可能である。
【0081】
[0096] 光学素子100、200A、200B、及び/又は300は、フレネル反射損失を減少させるために光源460又は光源560で使用することができる。例えば、チャンバウィンドウ563_1、564_1、563_2、564_2のいずれか又はすべては、光学素子200B(図2B)と同様の光学素子の形とすることができる。更に、ビーム転向光学素子582、ビーム結合光学システム583、ライン中心分析モジュール584、出力カップラ581、及びライン狭隘化モジュール586として使用される、光学コンポーネントのいずれか又はすべては、フレネル反射を減少させるために勾配屈折率を生成するフィーチャ(フィーチャ102を含む構造101など)を含む構造を含むことができる。
【0082】
[0097] 様々な他の実施例において、光学素子100、200A、200B、及び/又は300は、様々な他の適切な光源において、及び様々な他のフォトリソグラフィシステムに関連して、使用可能である。
【0083】
[0098] 図6Aは、PA668のブロック図である。PA668は、PA568(図5)の実施例の一例である。PA668は、DUV光源560(図5)内でPA568の代わりに使用可能である。PA668は、放電チャンバ662_2、ビーム転向光学素子682、及びビーム結合光学システム683を含む。ビーム結合光学システム683は、図6Dでより詳細に示される。
【0084】
[0099] 放電チャンバ662_2は利得媒体561_2(図5)を封入する。放電チャンバ662_2は、第1のチャンバウィンドウ663_2及び第2のチャンバウィンドウ664_2を含む。第1のチャンバウィンドウ663_2及び第2のチャンバウィンドウ664_2は、DUV光が放電チャンバ662_2に出入りできるようにする。DUV光は第2のチャンバウィンドウ664_2に入り、利得媒体561_2を介して経路666上を伝搬し、第1のチャンバウィンドウ663_2を介して出る。
【0085】
[0100] 図示された例では、第1のチャンバウィンドウ663_2は放電チャンバ662_2の左壁687上にあり、第2のチャンバウィンドウ664_2は放電チャンバ662_2の右壁688上にある。壁687及び688は互いに平行に延在し、放電チャンバ662_2の反対側にある。ウィンドウ663_2、664_2の他の実施例及び他の相対的配向が可能である。ウィンドウ663_2、664_2は、中間光ビームiの伝搬方向に対して角度θで傾斜する。角度θは図6Bに示される。
【0086】
[0101] 図6Dも参照すると、ビーム結合光学システム683は、折り畳みミラー690においてシード光ビーム542を受け取り、折り畳みミラー690はシード光ビーム542を部分反射ミラー691(入力/出力カップラ691とも呼ばれる)に反射する。入力/出力カップラ691は、ビーム結合光学システム683及びビーム転向光学素子682によって形成されるリング共振器への入口及びリング共振器からの出口である。
【0087】
[0102] 入力/出力カップラ691は、DUV光を伝送する表面698aと、DUV光に対して部分的に反射性の、例えば20%から40%反射性の表面698bとを有し、シード光ビーム542の少なくとも一部が入力/出力カップラ691を通過し、入力/出力カップラ691の表面698b上に衝突する光の少なくとも一部が放電チャンバ662_2へと逆反射され、再生フィードバックを提供するようになっている。他の実施例では、他の反射度を使用することができる。放電チャンバ662_2に逆反射される光、及び入力/出力カップラ691を通過するシード光ビーム542の一部は、下記の考察において、中間ビームiと呼ばれる。
【0088】
[0103] 中間光ビームiはプリズム693及び694を通過する。プリズム693及び694は共にビーム圧縮システムを形成し、ビーム圧縮システムは、例えば数ミリメートル(mm)未満であり得る、利得媒体561_2の横サイズに実質的に一致するように、中間光ビームiを水平に圧縮する。プリズム694は、中間光ビームiを、第2のチャンバウィンドウ664_2、第1のチャンバウィンドウ663_2、及びビーム転向光学素子682と位置合わせする。中間光ビームiは、プリズム694及び第2のチャンバウィンドウ664_2を通過し、利得媒体561_2を介して経路666上を伝搬し、ビーム転向光学素子682によって反射される。中間光ビームiは第1のチャンバウィンドウ663_2を介してチャンバ662_2に再入し、利得媒体561_2を介して伝搬し、第2のチャンバウィンドウ664_2及びその後プリズム694を通過し、プリズム694はビームをプリズム695にシフトし、プリズム695は中間光ビームiを入力/出力カップラ691にシフトする。
【0089】
[0104] 第1のチャンバウィンドウ663_2及び/又は第2のチャンバウィンドウ664_2は、光学素子200B(図2B)として実装可能である。図6Bは、光学素子200Bのフィーチャと共に実装される第2のチャンバウィンドウ664_2を示す。この実施例では、第2のチャンバウィンドウ664_2は、結晶基板208Bの表面206Bから外側に延在する保護コーティング204Bを含む。構造201B(ドットによる陰影付けで示される)は、フレネル反射を減少させるための保護コーティング204B内又は保護コーティング204B上にある。構造201Bは、方向pに平行であり反対の、方向209Bに沿って変動する屈折率nsを有する。したがって屈折率nsは、中間光ビームiの伝搬方向に沿って変動する。図2Cは、屈折率nsを、209B方向に沿った位置の関数として示す。光学素子200Bが第2のチャンバウィンドウ664_2である例では、n1はパージガス412の屈折率であり、n3は結晶基板208Bの屈折率である。
【0090】
[0105] 図6Bを再度参照すると、中間光ビームiはパージガス412を介してp方向に伝搬する。中間光ビームiは表面211B上に入射し、構造201B及び結晶基板208B通過する。保護コーティング204Bの屈折率はパージガス412の屈折率とは異なるが、構造201Bの勾配屈折率は、その他の方法で表面211Bに発生するフレネル反射損失を減少させるか又は消去する。フレネル反射損失を減少させることによって、電極562a_2及び562b_2に供給されるエネルギーの量を増加させる必要なしに、より多くの中間光ビームiを増幅のために使用することができる。したがって、光学素子200Bをチャンバウィンドウ663_2及び/又は664_2として使用することで、チャンバ665_2の寿命を増加させる。
【0091】
[0106] 更に、構造101、201A、201B、又は301などの構造を含む光学素子の使用は、エンドユーザが要求する仕様を有する出力(出力ビーム541など)を生成するために、DUV光源550を通過する、及び/又はDUV光源550に印加される、総エネルギーを低下させることによって、DUV光源550全体の利益になる。構造101、201A、201B、又は301などの構造を含む光学素子なしに、DUV光源550は、光学素子との相互作用を介して発生するフレネル反射損失を補償するために、より多くの光を生成する。この追加の光は補償光と呼ばれる。構造101、201A、201B、又は301などの構造を含む光学素子を使用することで、補償光を最小限にするか又は消去することができるように、フレネル反射損失を減少させる。出力ビーム541内に同じ量の光を提供するためにより少ない総光量が生成されるため、より低い動作電圧を電極562a_1、562b_1、562a_2、及び/又は562b_2に印加することができる。更に、補償光の量を減少させることによって、光学素子上に、中間光ビームi及び/又はシードビーム542と相互作用するより低い熱負荷が存在する。したがって、これらの光学素子は、DUV光源550のパワー負荷が急速に変化するとき(例えば、DUV光源の動作状態が変化するとき)、より低く、より軽度の熱過渡を経験する。更に、補償光の量が減少すると、結果としてバルク基板及びコーティング上により少ないフルエンスを生じさせ、したがってこれらのコンポーネントの寿命を長くする。加えて、構造101、201A、201B、又は301などの構造内のフィーチャは、予期される入射角についてフレネル反射を減少させるように配置可能であるため、構造101、201A、201B、又は301などの構造を伴う光学素子を使用することで、結果として、フレネル反射損失についてそれほど懸念せずに、設計目標を達成するために光入射角を調整する際により多くの柔軟性を生じさせ、またより多くの設計柔軟性を生じさせることができる。また、フレネル反射損失を減少させることによって、散乱する迷光が減少する。したがって、DUV光源550の全体性能は、構造101、201A、201B、又は301などの構造を含む1つ以上の光学素子を使用することによって向上する。
【0092】
[0107] 加えて、PA568において構造101、201A、201B、又は301を有する光学素子を使用することで、PA568の効率を上昇させる。効率の上昇により、PA568のキャビティは、キャビティ内のより低いパワー及びキャビティ間ビーム幅(PA568内を伝搬するビームのビーム幅)を用いて、同量のパワーを生成できるようになる。キャビティ間ビーム幅がより小さいと、より小さいキャビティ光学系が使用可能となり、PA568の全体サイズ及び/又は費用を減少させることができる。最終的に、効率を上昇させることで、カップラ691内でより高反射性の光学系を使用することができる。より高反射性の光学系を使用することで、PA568は、出力パワーは同じであるがより長いパルス長を生成することができる。
【0093】
[0108] 他の光学素子は、フレネル反射を減少させるか又は消去するために勾配屈折率を生成する、構造101、201A、201B、又は301などの構造を含むように実装可能である。例えば、ビーム転向光学素子582は、図6Cに示すような2つの反射表面596a、596bを有するプリズムに機械加工された結晶構造(CaF2など)として実装可能である。これらの実施例において、中間光ビームiは、透過性表面596cによってビーム転向光学素子582内に伝送される。透過性表面は、保護コーティング104、204A、204C、及び304と同様の保護コーティング604C、及び、構造101、201B、201C、301と同様の構造601Cを含む。
【0094】
[0109] 他の実施例によれば、図6Aから図6Dに示されるような光学素子の様々な他の配置が使用可能である。
【0095】
[0110] 更に、光源560内の他の透過性光学コンポーネントは、構造101、201B、201C、301と同様の構造を含むことができる。例えば、プリズム693、694、及び695のうちの1つ以上は、構造101、201B、201C、301と同様の構造を含むことができる。
【0096】
[0111] 更に他の実施例が特許請求の範囲内である。
【0097】
[0112] 本発明の他の態様を、下記の番号付けされた条項に記載する。
1.深紫外線光源のための光学素子であって、光学素子は、
結晶基板と、
結晶基板の外部表面上のコーティングであって、コーティングは外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有する、コーティングと、
コーティング上及び/又はコーティング内の構造であって、構造は方向に沿って結晶基板から離れて延在する複数のフィーチャを備え、フィーチャは、非晶質誘電体材料を含み、構造の屈折率が方向に沿って変動するように配置される、構造と、
を備える、光学素子。
2.結晶基板は、フッ化カルシウム(CaF)を含む、条項1に記載の光学素子。
3.方向に沿ったフィーチャの範囲は厚みを超えることはない、条項1に記載の光学素子。
4.構造のフィーチャのすべてはコーティング内部である、条項3に記載の光学素子。
5.フィーチャ及びコーティングは、同じ誘電体材料から作られる、条項1に記載の光学素子。
6.フィーチャの1つ以上は、コーティングの外側へ延在する、条項1に記載の光学素子。
7.非晶質誘電体材料は、融解石英又はアルミナを含む、条項1に記載の光学素子。
8.複数のフィーチャの各々は同じであり、複数のフィーチャは互いに関連して規則的及び反復的パターンで配置される、条項1に記載の光学素子。
9.複数のフィーチャの各々は同じであり、複数のフィーチャは互いに関連してランダム又は疑似ランダムに配置される、条項1に記載の光学素子。
10.複数のフィーチャの各々は空間特徴に関連付けられ、複数のフィーチャのうちの1つの少なくとも1つの空間特徴は、他のフィーチャのうちの少なくとも1つの空間特徴とは異なり、空間特徴は、高さ、幅、及び形状のいずれかを含む、条項1に記載の光学素子。
11.構造の屈折率は、方向に沿って線形に変動する、条項1に記載の光学素子。
12.構造の屈折率は、結晶基板の屈折率に実質的に等しい値から光学素子における流体の屈折率に実質的に等しい値へと、方向に沿って変動する、条項1に記載の光学素子。
13.流体は窒素(N)パージガスを含む、条項12に記載の光学素子。
14.フィーチャは、100ナノメートル(nm)以下の方向に沿った範囲を有する、条項1に記載の光学素子。
15.方向は、結晶基板の表面に対して実質的に垂直である、条項1に記載の光学素子。
16.動作使用中、193ナノメートル(nm)の波長を有する深紫外線(DUV)光がコーティング上に入射し、コーティングは、基板からのフッ素の除去を軽減することによってCaF基板を保護し、また基板の屈折率は、光学素子からのDUV光の反射が減少するように、DUV光の伝搬方向に沿って変動する、条項2に記載の光学素子。
17.コーティングは、結晶基板の表面を完全にカバーする、条項1に記載の光学素子。
18.深紫外線(DUV)光源であって、
ガス利得媒体を封入するように構成されたハウジングを備えるチャンバ、及び、
DUV光を伝送するように構成された少なくとも1つの光学素子、
を備え、
少なくとも1つの光学素子は、
DUV光を伝送するように構成された結晶材料を含む基板と、
基板の外部表面上のコーティングであって、外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有するコーティングと、
コーティング上及び/又はコーティング内の構造であって、方向に沿って外部表面から離れて延在する複数のフィーチャを備える構造と、
を含み、フィーチャは非晶質材料を含み、フィーチャは、構造の屈折率が方向に沿って変動するように配置される、
深紫外線(DUV)光源。
19.複数のフィーチャのうちの1つ以上は方向に沿った距離だけ延在し、距離は、少なくとも1つの光学素子によって伝送されるDUV光の波長未満である、条項18に記載のDUV光源。
20.複数のフィーチャは、任意の2つの近接フィーチャ間の間隔が、少なくとも1つの光学素子によって伝送されるDUV光の波長の大きさ内であるように、互いに関連して配置される、条項18に記載のDUV光源。
21.DUV光を伝送するように構成された結晶材料は、フッ化カルシウム(CaF)を含む、条項18に記載のDUV光源。
22.構造の屈折率は、結晶基板の屈折率に実質的に等しい値から光学素子を取り囲む流体の屈折率に実質的に等しい値へと、方向に沿って変動する、条項18に記載のDUV光源。
23.流体は窒素(N)パージガスを含む、条項22に記載のDUV光源。
24.構造はコーティング内部である、条項18に記載のDUV光源。
25.構造は、構造が部分的にコーティング内部にあるように、コーティング内及びコーティング上にある、条項18に記載のDUV光源。
26.チャンバは、
ハウジングの第1の側上の第1のウィンドウと、
ハウジングの第2の側上の第2のウィンドウと、
を更に備え、
ハウジングの第2の側はハウジングの第1の側の反対側であり、少なくとも1つの光学素子は、第1のウィンドウ及び第2のウィンドウを備え、コーティングは第1のウィンドウ及び第2のウィンドウ上にある、
条項18に記載のDUV光源。
27.第1のウィンドウ上のコーティング及び第2のウィンドウ上のコーティングは、ハウジングの外部にあるそれぞれのウィンドウの表面上に配設される、条項26に記載のDUV光源。
28.第2のチャンバを更に備え、第2のチャンバは、
第2のハウジングの内部にガス利得媒体を保持するように構成された第2のハウジングと、
第2のハウジングの第1の側上の第3のウィンドウと、
第2のハウジングの第2の側上の第4のウィンドウと、
を備え、
第2のハウジングの第2の側は、第2のハウジングの第1の側の反対側であり、少なくとも1つの光学素子は、第3のウィンドウ及び第4のウィンドウを更に備える、
条項26に記載のDUV光源。
29.第1のウィンドウの外部表面及び第2のウィンドウの外部表面は、DUV光の伝搬の方向に対して非垂直である、条項26に記載のDUV光源。
30.少なくとも1つの光学素子は、プリズム、ビームスプリッタ、レンズ、及び光学補償器のうちの1つ以上を備える、条項18に記載のDUV光源。
31.屈折率は、DUV光の伝搬の方向に沿って変動する、条項18に記載のDUV光源。
32.動作使用中、193ナノメートル(nm)の波長を有するDUV光がコーティング上に入射し、コーティングは、基板からのフッ素の除去を軽減することによってCaF基板を保護し、また基板の屈折率は、光学素子からのDUV光の反射が減少するように、DUV光の伝搬方向に沿って変動する、条項18に記載のDUV光源。
33.コーティングは、結晶基板の表面を完全にカバーする、条項18に記載のDUV光源。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
【手続補正書】
【提出日】2021-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深紫外線光源のための光学素子であって、前記光学素子は、
結晶基板と、
前記結晶基板の外部表面上のコーティングであって、前記コーティングは前記外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有する、コーティングと、
前記コーティング上及び/又は前記コーティング内の構造であって、前記構造は前記方向に沿って前記結晶基板から離れて延在する複数のフィーチャを備え、前記フィーチャは、非晶質誘電体材料を含み、前記構造の屈折率が前記方向に沿って変動するように配置される、構造と、
を備える、光学素子。
【請求項2】
前記結晶基板は、フッ化カルシウム(CaF)を含む、請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記方向に沿った前記フィーチャの範囲は前記厚みを超えることはない、請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記フィーチャ及び前記コーティングは、同じ誘電体材料から作られる、請求項1に記載の光学素子。
【請求項5】
前記フィーチャの1つ以上は、前記コーティングの外側へ延在する、請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
前記複数のフィーチャの各々は同じであり、前記複数のフィーチャは互いに関連して規則的及び反復的パターンで配置される、請求項1に記載の光学素子。
【請求項7】
前記複数のフィーチャの各々は同じであり、前記複数のフィーチャは互いに関連してランダム又は疑似ランダムに配置される、請求項1に記載の光学素子。
【請求項8】
前記構造の前記屈折率は、前記結晶基板の屈折率に実質的に等しい値から前記光学素子における流体の屈折率に実質的に等しい値へと、前記方向に沿って変動する、請求項1に記載の光学素子。
【請求項9】
前記方向は、前記結晶基板の表面に対して実質的に垂直である、請求項1に記載の光学素子。
【請求項10】
深紫外線(DUV)光源であって、
ガス利得媒体を封入するように構成されたハウジングを備えるチャンバ、及び、
DUV光を伝送するように構成された少なくとも1つの光学素子、
を備え、
前記少なくとも1つの光学素子は、
DUV光を伝送するように構成された結晶材料を含む基板と、
前記基板の外部表面上のコーティングであって、前記外部表面から離れて延在する方向に沿った厚みを有するコーティングと、
前記コーティング上及び/又は前記コーティング内の構造であって、前記方向に沿って外部表面から離れて延在する複数のフィーチャを備える構造と、
を含み、前記フィーチャは非晶質材料を含み、前記フィーチャは、前記構造の屈折率が前記方向に沿って変動するように配置される、
深紫外線(DUV)光源。
【請求項11】
前記複数のフィーチャのうちの1つ以上は前記方向に沿った距離だけ延在し、前記距離は、前記少なくとも1つの光学素子によって伝送される前記DUV光の波長未満である、請求項10に記載のDUV光源。
【請求項12】
前記複数のフィーチャは、任意の2つの近接フィーチャ間の間隔が、前記少なくとも1つの光学素子によって伝送される前記DUV光の波長の大きさ内であるように、互いに関連して配置される、請求項10に記載のDUV光源。
【請求項13】
DUV光を伝送するように構成された前記結晶材料は、フッ化カルシウム(CaF)を含む、請求項10に記載のDUV光源。
【請求項14】
前記構造は、前記構造が部分的に前記コーティング内部にあるように、前記コーティング内及び前記コーティング上にある、請求項10に記載のDUV光源。
【請求項15】
前記チャンバは、
前記ハウジングの第1の側上の第1のウィンドウと、
前記ハウジングの第2の側上の第2のウィンドウと、
を更に備え、
前記ハウジングの前記第2の側は前記ハウジングの前記第1の側の反対側であり、前記少なくとも1つの光学素子は、前記第1のウィンドウ及び前記第2のウィンドウを備え、前記コーティングは前記第1のウィンドウ及び前記第2のウィンドウ上にある、
請求項10に記載のDUV光源。
【請求項16】
前記第1のウィンドウ上の前記コーティング及び前記第2のウィンドウ上の前記コーティングは、前記ハウジングの外部にある前記それぞれのウィンドウの表面上に配設される、請求項15に記載のDUV光源。
【請求項17】
前記第1のウィンドウの外部表面及び前記第2のウィンドウの外部表面は、前記DUV光の伝搬の方向に対して非垂直である、請求項15に記載のDUV光源。
【請求項18】
前記少なくとも1つの光学素子は、プリズム、ビームスプリッタ、レンズ、及び光学補償器のうちの1つ以上を備える、請求項10に記載のDUV光源。
【請求項19】
前記屈折率は、前記DUV光の伝搬の方向に沿って変動する、請求項10に記載のDUV光源。
【請求項20】
動作使用中、193ナノメートル(nm)の波長を有するDUV光が前記コーティング上に入射し、前記コーティングは、前記基板からのフッ素の除去を軽減することによって前記CaF基板を保護し、また前記基板の前記屈折率は、前記光学素子からの前記DUV光の反射が減少するように、前記DUV光の伝搬方向に沿って変動する、請求項10に記載のDUV光源。
【国際調査報告】