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特表2022-521531改善された貯蔵寿命を有するハードマスク及び充填材料として有用な無機酸化物成分及びアルキニルオキシ置換スピンオン炭素成分を含むスピンオン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-08
(54)【発明の名称】改善された貯蔵寿命を有するハードマスク及び充填材料として有用な無機酸化物成分及びアルキニルオキシ置換スピンオン炭素成分を含むスピンオン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 65/02 20060101AFI20220401BHJP
   C08K 5/057 20060101ALI20220401BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20220401BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20220401BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20220401BHJP
   C09D 165/02 20060101ALI20220401BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20220401BHJP
   C09D 7/47 20180101ALI20220401BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20220401BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20220401BHJP
   C09D 7/20 20180101ALN20220401BHJP
【FI】
C08L65/02
C08K5/057
C08K5/05
C08K5/00
C09D201/00
C09D165/02
C09D7/63
C09D7/47
G03F7/26 511
G03F7/11 503
G03F7/11 502
C09D7/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549215
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2020054421
(87)【国際公開番号】W WO2020169702
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/809,072
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン・エム・ダリル
(72)【発明者】
【氏名】關藤 高志
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
4J002
4J038
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H225AM61N
2H225AN38N
2H225AN39N
2H225AN63N
2H225AN80N
4J002CE001
4J002EC008
4J002EC057
4J002EC076
4J002EH008
4J002EN007
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002GH00
4J002GP03
4J038DC011
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA09
4J038MA09
4J038NA04
4J038NA26
4J038PA19
4J038PB09
4J038PC01
(57)【要約】
本発明は、成分a)、b)及びd)を含む組成物であって、成分a)は、構造(I)を有する金属化合物であり、成分b)は、単環式芳香族炭化水素、縮合環式環状炭化水素部分またはこれらの混合物を含むポリマー主鎖を有し、炭素の重量%が約81重量%~約94重量%であり、スピンキャスト溶剤中に少なくとも約5重量%で可溶性である、スピンオン高炭素ポリマーであって、前記スピンオン高炭素ポリマー中に存在する前記単環式芳香族炭化水素または前記縮合環式環状炭化水素部分の少なくとも一つは、構造(VIII)の少なくとも一つのアルキニルオキシ部分で官能化されているスピンオン高炭素ポリマーであり、そして成分d)はスピンキャスト溶剤である、組成物に関する。
本発明は更に、半導体基材上の金属酸化物から構成される高K材料のパターン化されたフィルムの形成を介して、またはフッ素プラズマを用いて半導体基材を選択的にエッチングするために使用し得る、半導体基材を覆うパターン化金属酸化物構成層の形成を介して、電子デバイスを製造するための方法においてこの組成物を使用することにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分a)、b)、任意選択に及びc)、及びd)を含む組成物:
a)構造(I)を有する金属化合物:
【化1】
[式中、
Mは、4の価数を有する金属であり;
nは、1~20の整数であり;
、R、R、及びRは、それぞれ、次の1)、2)、3)及び4)からなる群から独立して選択される:
1)構造(II)を有する第一の有機部分:
【化2】
(式中、Rは、C~C10アルキレン、C~C12分岐状アルキレン、C~C12シクロアルキレン、C=C二重結合を含むC~C10アルキレン、C=C二重結合を含むC~C12分岐状アルキレン、及びC=C二重結合を含むC~C12シクロアルキレンからなる群から選択され;そしてRは水素または構造(III)を有するアルキルオキシカルボニルであり、
【化3】
ここで、RはC~Cアルキルである)
2)少なくとも二つの炭素を有し、かつ構造(IV)を有する、ケイ素含有有機部分:
【化4】
(式中、
及びRは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;
10は、C~Cアルキル、C~C16アリール、ヒドロキシル及び構造(V)を有するシロキサンからなる群から選択され:
【化5】
式中、
11は、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシルで置換されたC~Cアルキル、C~C16アリール、及び構造(IVa)を有するシリル部分からなる群から選択され、ここで、R8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;R10aは、C~Cアルキル及びC~C16アリールからなる群から選択され;
【化6】
12及びR13は、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;及び
pは、前記シロキサン部分(V)中の繰り返し単位の数を表す)
3)C~Cアルキル、C~Cアルキルカルボキシル、C~C20アリールカルボキシル、フルオレニルカルボキシル、フッ素化C~Cアルキルカルボキシル、C~Cアルキルスルホニル、フッ素化C~Cアルキルスルホニル、及びこれらの混合物からなる群から選択される第二の有機部分;及び
4)これらの混合]
b)単環式芳香族炭化水素部分、縮合環式環状炭化水素部分またはこれらの混合物を含むポリマー主鎖を有し、炭素の重量%が約81重量%~約94重量%であり、スピンキャスト溶剤中に少なくとも約5重量%で可溶性である、スピンオン高炭素ポリマーであって、前記スピンオン高炭素ポリマー中に存在する前記単環式芳香族炭化水素または前記縮合環式環状炭化水素部分の少なくとも一つが、構造(VIII)の少なくとも一つのアルキニルオキシ部分で官能化されている、スピンオン高炭素ポリマー;
【化7】
[式中、
【化8】
は、前記単環式芳香族炭化水素部分または前記縮合環式環状炭化水素部分への前記アルキニルオキシ部分の結合点を表し、そしてRa1は、水素、ハロゲン、シアノ、置換されていないC~Cアルキル;C~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~Cアルキル;置換されていないC~C20芳香族環;またはC~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~C20芳香族環であり、
a2及びRa3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換されていないC~Cアルキル;C~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~Cアルキル;置換されていないC~C20芳香族環;またはC~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~C20芳香族環である]
c)構造(VI)を有するポリオール添加剤から構成された任意選択の成分:
【化9】
[式中、
XはCまたはNであり;
rは少なくとも2であり;
qは0~2であり;
但し、XがCである場合はqとrとの合計は4であり、そしてXがNである場合はqとrとの合計は3であり;
14は、水素、C~Cアルキル及びC~Cヒドロキシアルキルからなる群から選択され:
XがNである場合は、YはC~Cアルキレンであり、またはXがCである場合は、Yは、直接原子価結合、C~Cアルキレン、及び構造(VII)を有する部分からなる群から選択され:
【化10】
式中、
15はC~Cアルキレンであり;
sは0~2であり;及び
tは1~2である]
d)スピンキャスト溶剤。
【請求項2】
前記スピンオン高炭素ポリマーの前記ポリマー主鎖が、次のものからなる群から選択される部分を含む、請求項1に記載の組成物:
【化11】
及びこれらの混合物。
【請求項3】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(X)を有する繰り返し単位を含む、請求項1または2に記載の組成物:
【化12】
式中、Aは、
【化13】
及びこれらの混合物からなる群から選択され、及び
Bは、
【化14】
からなる群から選択され、
x1及びRx2は、独立して、水素、C~Cアルキル、アリール部分、または構造(VIII)のアルキニルオキシ部分である。
【請求項4】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XI)を有する繰り返し単位を含む、請求項1~3のいずれか一つに記載の組成物。
【化15】
【請求項5】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XIa)を有する繰り返し単位を含む、請求項1~4のいずれか一つに記載の組成物。
【化16】
【請求項6】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XIb)を有する繰り返し単位を含む、請求項1~5のいずれか一つに記載の組成物。
【化17】
【請求項7】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XIc)を有する繰り返し単位を含む、請求項1~3のいずれか一つに記載の組成物。
【化18】
【請求項8】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XId)を有する繰り返し単位を含む、請求項1~3のいずれか一つに記載の組成物。
【化19】
【請求項9】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XII)の繰り返し単位を含み、ここでfArは縮合芳香族環であり、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素またはC~Cアルキルである、請求項1または2に記載の組成物。
【化20】
【請求項10】
fArが、2~8個の縮合芳香族環を含む基である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
fArがアントラセンである、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
前記繰り返し単位が構造(XIIa)を有する、請求項9~11のいずれか一つに記載の組成物。
【化21】
【請求項13】
前記繰り返し単位が構造(XIIb)を有する、請求項9~12のいずれか一つに記載の組成物。
【化22】
【請求項14】
前記繰り返し単位が構造(XIIc)を有する、請求項9~13のいずれか一つに記載の組成物。
【化23】
【請求項15】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XIII)、(XIIIa)、(XIIIb)、(XIIIc)及び(XIIId)を有する繰り返し単位、及びこれらの混合物からなる群から選択される繰り返し単位を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【化24】
【請求項16】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XIIIe)、(XIIIf)、(XIIIg)、(XIIIh)及び(XIIIi)を有する繰り返し単位、及びこれらの混合物からなる群から選択される繰り返し単位を含む、請求項1、2及び15のいずれか一つに記載の組成物。
【化25】
【請求項17】
16及びR17がC~Cアルキルである、請求項1、2、15及び16のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項18】
16及びR17がC~Cアルキルである、請求項1、2、15、16及び17のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項19】
16及びR17が水素である、請求項1、2、15及び16のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項20】
16及びR17がメチルである、請求項1、2、15~18のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項21】
a1、Ra2及びRa3が水素である、請求項1、2、15~20のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項22】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XIV)を有する繰り返し単位を含む、請求項1、2及び3のいずれか一つに記載の組成物。
【化26】
【請求項23】
前記スピンオン高炭素ポリマーが、構造(XIVa)を有する繰り返し単位を含む、請求項1、2、3及び22のいずれか一つに記載の組成物。
【化27】
【請求項24】
a1、Ra2及びRa3が水素である、請求項1、2、3、22及び23のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項25】
Mが、Zr、Ta、Hf、Ti、Sn、Si、Pb、Nb、Mo、Ge及びWからなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項26】
Mが、Zr、Hf、Ti、Ta、Nb及びSnからなる群から選択される、請求項1~25のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項27】
成分a)が、構造(I)を有する二種以上の異なる金属化合物の混合物である、請求項1~26のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項28】
構造(I)を有する二種以上の異なる金属化合物の混合物が異なるMを有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記混合物中の少なくとも一種の金属化合物が、Siに等しいMを持たない、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項30】
成分a)が、構造(I)を有する二種の異なる金属化合物、すなわち第一の金属化合物及び第二の金属化合物の混合物であり、ここで前記第一の金属化合物のMはSiであり、前記第二の金属化合物が、Zr、Ta、Hf、Ti、Sn、Pb、Nb、Mo、Ge及びWからなる群から選択されるMを有する、請求項1~29のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項31】
、R、R及びRのうちの少なくとも一つが、構造(II)を有する第一の有機部分、及び少なくとも2つの炭素を有しかつ構造(IV)を有するケイ素含有有機部分からなる群から選択される、請求項1~30のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項32】
、R、R及びRのうちの少なくとも一つが、次のものからなる群から選択される、請求項1~31のいずれか一つに記載の組成物。
【化28】
【請求項33】
、R、R及びRが、それぞれ、構造(II)を有する第一の有機部分、及び少なくとも2つの炭素を有しかつ構造(IV)を有するケイ素含有有機部分からなる群から独立して選択される、請求項1~31のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項34】
少なくとも2つの炭素を有しかつ構造(IV)を有する前記ケイ素含有有機部分が、構造(I)を有する金属化合物のR、R、R及びRの全モル数の30モル%~60モル%の範囲で存在する、請求項1~33のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項35】
nが2~20である、請求項1~34のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項36】
nが1である、請求項1~34のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項37】
がC~C10アルキレンである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項38】
が、C=C二重結合を含むC~C10アルキレンである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項39】
が、C~C12シクロアルキレンである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項40】
が、C~Cアルキルオキシカルボニルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項41】
が、C~Cアルキルオキシカルボニルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項42】
が、C~Cアルキルオキシカルボニルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項43】
が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項44】
が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項45】
が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項46】
が、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはt-ブチルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項47】
が、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から選択される、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項48】
が、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはt-ブチルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項49】
が、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から選択される、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項50】
10が構造(V)を有するシロキサンである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項51】
及びRが、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;R10が、構造(V)を有するシロキサンであり、ここでR11は構造(IVa)を有するシリル部分であり、ここでR8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシから独立して選択され、そしてR10aがC~C16アリールであり、そしてR12及びR13が、それぞれ、C~Cアルキルからなる群から独立して選択される、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項52】
及びRが、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;及びR10が、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から選択される、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項53】
10が、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはt-ブチルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項54】
10が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項55】
11が、C~Cアルキルまたは水素である、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項56】
11が、C~Cアルキルまたは水素である、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項57】
11が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項58】
11が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項59】
11が水素である、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項60】
12が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項61】
12が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項62】
12が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項63】
13が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項64】
13が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項65】
13が、C~Cアルキルである、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項66】
pが1~500である、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項67】
pが1~200である、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項68】
pが1~50である、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項69】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでR6a、R6b及びR6cは、C~Cアルキルから独立して選択され、及び更に、nが独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化29】
【請求項70】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでnは独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化30】
【請求項71】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここで、R11bは、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシルで置換されたC~Cアルキル、C~C16アリール、及び構造(IVb)を有するシリル部分からなる群から選択され、そしてR6a、R6b及びR6cはC~Cアルキルから独立して選択され、ここで更に、nは独立して1~20の整数であり、そしてpは独立して1~500の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化31】
【請求項72】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物、またはこれらの化合物の混合物を含み、ここで、R11aは、構造(IVc)を有するシリル部分であり、nは独立して1~20の整数であり、そしてpは独立して1~500の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化32】
【請求項73】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでnは独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化33】
【請求項74】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでnは独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化34】
【請求項75】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでnは独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化35】
【請求項76】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでnは独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化36】
【請求項77】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物、またはこれらの化合物の混合物を含み、ここで、R6a及びR6dは、C~Cアルキルから独立して選択され、そしてR8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;そしてR10aは、C~Cアルキル、及びC~C16アリールからなる群から選択され、ここでnは独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化37】
【請求項78】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでnは独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化38】
【請求項79】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物、またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでR6aは、C~Cアルキルから選択され、そしてR8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され、そしてR10aは、C~Cアルキル、及びC~C16アリールからなる群から選択され、nは独立して6~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化39】
【請求項80】
以下の構造のいずれか一つを有する金属化合物またはこれらの化合物の混合物を含み、ここでnは独立して1~20の整数である、請求項1~24のいずれか一つに記載の組成物。
【化40】
【請求項81】
成分c)である構造(VI)を有するポリオール添加剤において、XがCである、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項82】
成分c)である構造(VI)を有するポリオール添加剤において、XがNである、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項83】
成分c)である構造(VI)を有するポリオール添加剤において、Yが直接結合、メチレン、エチレンまたは構造(VII)を有する部分である、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項84】
rが2、3または4である、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項85】
14が水素である、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項86】
構造(VI)を有するポリオール添加剤が、qが0、1または2であるものである、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項87】
構造(VI)を有するポリオール添加剤が、Yが構造(VII)である場合に、sが0または2であるものである、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項88】
構造(VI)を有するポリオール添加剤が、Yが構造(VII)である場合に、R15がエチレンまたはプロピレンであるものである、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項89】
構造(VI)を有するポリオール添加剤が、Yが構造(VII)である場合に、tが1であるものである、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項90】
前記ポリオール添加剤が、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ネオペンチルグリコール、グリセロールプロポキシレート及びペンタエリトリトールエトキシレートからなる群から選択される、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項91】
前記ポリオール添加剤が、次のものからなる群から選択される、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【化41】
【請求項92】
前記ポリオール添加剤が、500未満の分子量を有する、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項93】
前記ポリオール添加剤が、300未満の分子量を有する、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項94】
前記ポリオール添加剤が、少なくとも200℃の沸点を有する、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項95】
前記ポリオール添加剤が、少なくとも250℃の沸点を有する、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項96】
前記ポリオール添加剤が、少なくとも400℃の沸点を有する、請求項1~80のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項97】
前記溶剤が、アルコール、エステル、ケトン、ラクトン、ジケトン、芳香族部分、カルボン酸、アミド及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~96のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項98】
界面活性剤、レベリング剤、架橋添加剤及び熱活性化触媒からなる群から選択される少なくとも一種の追加的な成分を更に含む、請求項1~97のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項99】
前記界面活性剤が、該組成物の全重量の1%未満である量で存在する、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
電子デバイスを製造する方法であって、
a)請求項1~99のいずれか一つに記載の組成物を基材上に施与して、コーティングフィルムを形成し;及び
b)前記コーティングフィルムを150℃と400℃との間の温度で、30秒間~240秒間の時間加熱して、硬化したコーティングフィルムを形成する、
ことを含む、前記方法。
【請求項101】
前記コーティングフィルムが最大で120秒間までの時間、加熱される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記組成物が、ステップa)において、スピンオンコーティング方法により基材上に施与され、コーティングフィルムが形成される、請求項100または101に記載の方法。
【請求項103】
前記組成物が、ワンステップ・スピンオンコーティングにより基材上に施与される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
請求項100~103のいずれか一つに記載の方法であって、前記基材が、トポグラフィ図形を含むパターン化された基材であり、及びステップa)においては前記コーティングフィルムが、ステップb)においては前記硬化されたコーティングフィルムが、前記トポグラフィを被覆し、及び更に、ステップb)の後に、次のステップc)、すなわち
c)トポグラフィの上面を覆う部分の前記硬化されたコーティングフィルムを、化学的ストリッパまたはフッ素化プラズマエッチングを用いて除去し、それによって、硬化されたコーティングフィルムが、前記トポグラフィ図形の上面と面一の充填されたトポグラフィ図形を生成するステップ、
を更に含む、前記方法。
【請求項105】
前記トポグラフィ図形が、ケイ素基材を覆う、パターン化されたスピンオン有機高炭素コーティングまたはパターン化されたフォトレジストコーティングによって形成される、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記トポグラフィ図形がビアである、請求項104または105に記載の方法。
【請求項107】
ステップc)の後に、以下のステップd)、すなわち
d)前記パターン化された有機高炭素コーティングまたは前記パターン化されたフォトレジストを、酸素プラズマにより除去し、それによって、前記パターン化されたフォトレジストまたは前記パターン化された有機高炭素コーティングのネガトーン画像を形成し、ここで、残った前記の充填されたトポグラフィ図形は、前記パターン化されたフォトレジストまたは前記パターン化された有機高炭素コーティングの除去の後に、金属酸化物から構成されるパターンを形成するステップ、
を更に含む、請求項104~106のいずれか一つに記載の方法。
【請求項108】
ステップd)の後に、以下のステップe)、すなわち
e)金属酸化物から構成される前記パターンを、パターン化されたハードマスク、すなわちプラズマエッチングバリアとして使用し、そしてフッ素化プラズマを用いて半導体基材中へエッチングするステップ、
を更に含む、請求項104~106のいずれか一つに記載の方法。
【請求項109】
前記トポグラフィ図形が1:1~10:1のアスペクト比を有する、請求項104~108のいずれか一つに記載の方法。
【請求項110】
前記トポグラフィ図形が1~10のアスペクト比を有し、そして微少寸法(CD)が5nm~100nm、好ましくは10nm~100nmの範囲のものから選択し得る、請求項104~109のいずれか一つに記載の方法。
【請求項111】
ステップb)において、250℃~400℃の温度でのフィルムのベークを、二つのベークステップb1)及びb2)で行い、ここでベークステップb1)は250℃~275℃で行われ、そしてベークステップb2)は300℃~400℃、好ましくは350℃~400℃で行われる、請求項104~110のいずれか一つに記載の方法。
【請求項112】
前記ベークステップb1)が200℃~250℃であり、そしてベークステップb2)が350~400℃である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記ベークステップb1)が30秒間~120秒間行われ、そして前記ベークステップb2)が60秒間~120秒間行われる、請求項111または112に記載の方法。
【請求項114】
前記ベークステップb1が60秒間~120秒間行われ、そして前記ベークステップb2)が90秒間~120秒間行われる、請求項111~113のいずれか一つに記載の方法。
【請求項115】
前記ベークステップb1)が60秒間~120秒間行われる、請求項111~114のいずれか一つに記載の方法。
【請求項116】
前記ベークステップb2)が90秒間~120秒間行われる、請求項111~115のいずれか一つに記載の方法。
【請求項117】
ケイ素基材上にハードマスク組成物をコーティングする方法であって、
a3)請求項1~99のいずれか一つに記載の組成物を前記基材上に施与して、コーティングフィルムを形成し、
b3)前記コーティングフィルムをベークして、ハードマスクフィルムを形成し、
c3)前記ハードマスクフィルムの上面に底面反射防止コーティングをコーティングし、
d3)上記反射防止コーティングの上面にフォトレジストをコーティングし、
e3)上記フォトレジストをパターン化してフォトレジストパターンを形成し、
f3)前記フォトレジストパターンで保護されていない前記底面反射防止コーティングを通して、前記ハードマスクコーティングに至るまで、フッ素化プラズマを用いてエッチングし、
g3)前記底面反射防止コーティング及び前記フォトレジストパターンで保護されていない前記ハードマスクフィルムを通して、ケイ素基材に至るまで、塩素プラズマでエッチングして、パターン化されたハードマスクフィルムを生成し、及び
h3)前記パターン化されたハードマスクフィルムによって保護されていない領域において、フッ素化プラズマを用いてケイ素基材中にエッチングして、ケイ素図形中にトポグラフィ図形を生成する、
ことを含む、前記方法。
【請求項118】
ステップb3)において、150℃~400℃の温度でのフィルムのベークを、二つのベークステップb1’)及びb2’)で行い、ここでベークステップb1’)は150℃~250℃で行われ、そしてベークステップb2’)は300℃~400℃で行われる、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記ベークステップb1’)が200℃~250℃であり、そしてベークステップb2’)が350℃~400℃である、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記ベークステップb1’)が30秒間~120秒間行われ、そして前記ベークステップb2’)が60秒間~120秒間行われる、請求項118または119に記載の方法。
【請求項121】
前記ベークステップb1’)が60秒間行われ、そして前記ベークステップb2’)が90秒間~120秒間行われる、請求項118~120のいずれか一つに記載の方法。
【請求項122】
前記ベークステップb1’)が60秒間~120秒間行われる、請求項118~121のいずれか一つに記載の方法。
【請求項123】
前記ベークステップb2’)が90秒間~120秒間行われる、請求項118~122のいずれか一つに記載の方法。
【請求項124】
構造(XII)の繰り返し単位を含み、但し、fArは縮合芳香族環であり、R16及びR17はそれぞれ独立して水素またはC~Cアルキルである、スピンオン高炭素ポリマー。
【化42】
【請求項125】
fArが、2~8個の縮合芳香族環を含む基である、請求項124に記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【請求項126】
fArがアントラセンである、請求項124または125に記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【請求項127】
前記繰り返し単位が構造(XIIa)を有する、請求項124~126のいずれか一つに記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【化43】
【請求項128】
前記繰り返し単位が構造(XIIb)を有する、請求項124~127のいずれか一つに記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【化44】
【請求項129】
前記繰り返し単位が構造(XIIc)を有する、請求項124~128のいずれか一つに記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【化45】
【請求項130】
構造(XIII)、(XIIIa)、(XIIIb)、(XIIIc)及び(XIIId)を有する繰り返し単位及びこれらの混合物からなる群から選択される繰り返し単位を含む、スピンオン高炭素ポリマー。
【化46】
【請求項131】
構造(XIIIe)、(XIIIf)、(XIIIg)、(XIIIh)及び(XIIIi)を有する繰り返し単位及びこれらの混合物からなる群から選択される繰り返し単位を含む、請求項130に記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【化47】
【請求項132】
16及びR17がC~Cアルキルである、請求項130または131に記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【請求項133】
16及びR17がC~Cアルキルである、請求項130~132のいずれか一つに記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【請求項134】
16及びR17が水素である、請求項130または131に記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【請求項135】
16及びR17がメチルである、請求項130~133のいずれか一つに記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【請求項136】
a1、Ra2及びRa3が水素である、請求項130~135のいずれか一つに記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【請求項137】
構造(XIV)を有する繰り返し単位を含むスピンオン高炭素ポリマー。
【化48】
【請求項138】
構造(XIVa)を有する繰り返し単位を含む、請求項137に記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【化49】
【請求項139】
a1、Ra2及びRa3が水素である、請求項137または138に記載のスピンオン高炭素ポリマー。
【請求項140】
好ましくは電子デバイスの製造において、基材上にコーティングフィルムを形成するための、請求項1~99のいずれか一つに記載の組成物のまたは請求項124~139のいずれか一つに記載のスピンオン高炭素ポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の配位子が置換した可溶性の金属化合物、及びアルキニルオキシ置換スピンオン炭素成分を含む、良好な貯蔵寿命を有する高K金属酸化物への空気安定性の前駆体として有用な組成物に関する。これらの前駆体は、トレンチまたはビアマイクロリソグラフィ図形のための良好な空隙充填能を示し、そしてこれらの充填されたリソグラフィ図形の加工の後に、化学蒸着(CVD)を使用せずに、パターン化された高K金属酸化物を含む基材を生成することができる。これらの材料は、ハードマスク材料としても使用し得る。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物フィルムは、例えばリソグラフィ用ハードマスク、反射防止コーティング用の下層及び電子光学的デバイスなど、半導体工業における様々な用途において有用である。
【0003】
一例としては、フォトレジスト組成物は、コンピュータチップ及び集積回路の製造など、微細化された電子部品の製造のためのマイクロリソグラフィプロセスに使用されている。一般的に、フォトレジスト組成物の薄いコーティングを、集積回路の製造に使用されるシリコンウェハなどの基材に施す。次いで、コーティングされた基材をベークして、フォトレジストから所望の量の溶媒を除去する。次いで、このフォトレジストフィルムを、可視光線、紫外線、極端紫外線、電子ビーム、粒子線及びX線などの化学線に像様に暴露しそして現像して、パターンを形成する。この放射線は、フォトレジストの暴露された領域において化学的な変化を引き起こす。この暴露されたコーティングは現像剤溶液で処理して、フォトレジストの放射線暴露された領域または暴露されていない領域のいずれかを溶解、除去する。
【0004】
半導体デバイスは微細化される傾向にあり、このような微細化に伴う問題を解消するために、より一層短い波長の放射線に感度のある新しいフォトレジストや、精巧なマルチレベルシステムも使用されてきている。
【0005】
フォトリソグラフィにおける吸光性コーティング及び下層は、多くの場合に反射性の高い基材から反射する放射線の結果生ずる問題を軽減するために使用される。反射された放射線は、薄膜干渉効果及び反射ノッチングを招く。薄膜干渉または定在波は、フォトレジストの厚さが変化した時にフォトレジストフィルム中の全光強度が変動することによって引き起こされる微小線幅寸法の変化を結果として招く。反射暴露放射線及び入射暴露放射線の干渉は、厚さ方向の放射線の均一性を歪める定在波効果を起こし得る。反射ノッチングは、フォトレジストフィルム中に光を散乱させて線幅変動を招き、極端なケースでは所望の寸法が完全に失われた領域をも形成するトポグラフィ図形を含む反射性基材上にパターンを形成する場合に、深刻になる。フォトレジストの下でかつ反射性基材の上にコーティングされる反射防止コーティングフィルムは、フォトレジストのリソグラフィ性能にかなりの改善をもたらす。典型的には、底面反射防止コーティングを基材に施用し、そして硬化し、その後にフォトレジストの層を設ける。このフォトレジストは像様に暴露されそして現像される。次いで、暴露された領域の反射防止コーティングは、典型的には、様々なエッチングガスを用いてドライエッチングし、そうしてフォトレジストパターンが基材へと転写される。
【0006】
多量の耐熱性元素を含む下層を、ハードマスクとして並びに反射防止コーティングとして使用することができる。ハードマスクは、その上にあるフォトレジストが、下にある半導体基材中に画像を転写するために使用されるドライエッチングに対して高い十分な耐性を供することができない場合に有用である。このような環境では、ハードマスクと呼ばれる材料が使用され、これは、その上に形成されている任意のパターンを下の半導体基材中に転写するために十分に高い耐エッチングを持つ。これは、有機フォトレジストが下にあるハードマスクと異なるため及びフォトレジスト中の画像を下にあるハードマスクへと転写することを可能にするエッチングガス混合物をあてがうことができるために、可能となる。次いで、このパターン化されたハードマスクは、適切なエッチング条件及びガス混合物を用いて、画像をハードマスクから半導体基材へと転写するために使用でき、これは、フォトレジストだけでは単一のエッチングプロセスで為し得ない仕事である。
【0007】
多層型の反射防止層及び下層が、新しいリソグラフィ技術において使用されつつある。フォトレジストが十分な耐ドライエッチング性を供しない場合には、ハードマスクとして働き及び基材エッチングの際に高耐エッチング性である、フォトレジスト用の下層及び/または反射防止コーティングが好ましい。一つの方策として、有機フォトレジスト層の下の層にケイ素、チタンまたは他の金属材料が組み入れられてきた。追加的に、他の高炭素含有率の反射防止またはマスク層を、金属含有反射防止層の下に配置することができ、例えば高炭素フィルム/ハードマスクフィルム/フォトレジストの三層が、画像形成プロセスのリソグラフィ性能を高めるために使用される。慣用のハードマスクは、スパッタリングなどの化学蒸着法で施用することができる。しかし、上記の慣用の方策に対するスピンコート法の相対的な簡単さの故に、フィルム中に金属材料を高濃度で含む新しいスピンオンハードマスクまたは反射防止コーティングの開発が非常に望ましい。
【0008】
金属酸化物を含む半導体用途の下層組成物は、耐ドライエッチング性及び反射防止性を供することが分かっている。しかし、金属アルコキシドなどの金属酸化物フィルムを形成するための慣用の可溶性金属化合物は、空気中の湿気に対して非常に不安定であり、そのため、貯蔵寿命安定性、コーティングの問題及び性能上の欠点など様々な問題を招くことが判明した。金属酸化物は、半導体工業において認められた典型的に使用される溶剤中での溶解性に関する問題を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US3474054B
【特許文献2】US4200729B
【特許文献3】US4251665B
【特許文献4】US5187019B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
数十年の間、二酸化ケイ素(SiO2)が、ゲート酸化物材料として使用されてきた。しかし、デバイスの性能を高めるために、トランジスタはサイズが小型化されているために、二酸化ケイ素ゲート誘電体の厚さは、ゲート容量、それにより駆動電量を高める目的で益々薄くなっている。等式1は、キャパシタンスゲート酸化物間のこの関係を示しており、ここでは、MOSFET(金属-酸化物-半導体電界効果レジスタ)は、Si基材及びゲートからの量子力学的及び枯渇効果は無視して、単純な平行板コンデンサとしてモデル化されている。等式1では、Aは、コンデンサの面積であり;κは、材料の比誘電率であり(二酸化ケイ素では3.9);εは、自由空間の誘電率であり、そしてtは、コンデンサ酸化物絶縁体の厚さである。
【0011】
【数1】
しかし、厚さは2nmよりもかなり薄いので、量子トンネルのためにリーク電流が劇的に大きくなる。これは、大きな電力消費及び低められたデバイス信頼性を招く。このリーク電流を招くことなくゲート容量を高めるためには、二酸化ケイ素ゲート誘電体を、高κ(高K)材料(別の言い方では、等式1におけるより大きなκ)と置き換える必要がある。或る種の金属酸化物が、10以上のK値を有する高K金属酸化物として有用である。しかし、これらの高K金属酸化物は、常にCVD(化学蒸着)を用いて堆積される。CVDは、特殊な装置を必要とし、また深いビアもしくはトレンチを有するパターン基材上で良好な平坦化をもたらさない、コストの高いプロセスである。それ故、空気に暴露された後にも安定しており、かつスピンキャスト溶剤溶液からスピンコートすることができるスピンオン高K材料を調製することに対する際だった要望がある。また、追加的に、非常に少ない空隙形成を示す良好なビア及びトレンチ充填材料として働くことができる、このような空気安定性でかつ熱安定性の高K金属酸化物調合物に対する要望もある。最後に、スピンキャスト溶剤を含むこのような調合物が、経時的に粒子を形成することのない良好な貯蔵寿命を持つことにも要望がある。これらの要望は、本発明による組成物により満足され、この組成物は、パターン化された基材を、高K金属酸化物材料で充填することができ、そして空気に対して安定しており、かつスピンキャスト溶剤溶液中での粒子の形成に対しても安定している。
【0012】
加工すると、これらの充填されたリソグラフィ図形は、本発明による組成物に由来するパターン化された高K金属酸化物を有する基材をもたらたす。高K材料としてのそれらの使用の他、これらの新規組成物は、ハードマスクとして有用であり、そしてこの能力において、これらは、半導体基材(例えばケイ素、ゲルマニウムなど)上にパターン化されたハードマスクを形成して、プラズマエッチングプロセスを介した基材のパターン化を可能にするために使用することもできる。これらのハードマスクパターンは、該新規組成物のコーティングを、慣用のフォトレジストパターン化法により、未パターン化基材上でパターン化することによって生成し得る。その代わりに、このパターンは、半導体基材中にまたは上にあるパターン化されたレジストもしくはパターン化されたスピンオン炭素層中に既に存在するトポグラフィの充填から生じ得る。いずれのハードマスク用途においても、基材中へのパターン転写が完了した後は、残りのハードマスクパターンは化学溶液中で剥離可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、成分a)、b)及びd)、任意選択的に成分c)を含む組成物であって、成分a)が、次の構造(I)を有する金属化合物である組成物に関する。
【0014】
【化1】
構造(I)において、Mは、4の価数を有する金属であり;nは、1~20の整数であり、そしてR、R、R及びRはそれぞれ、1)、2)及び3)からなる群から独立して選択される部分である。
【0015】
構造(I)において、部分1)は、構造(II)を有する第一の有機部分である。構造(II)において、Rは、C~C10アルキレン、C~C12分岐状アルキレン、C~C12シクロアルキレン、C=C二重結合を含むC~C10アルキレン、C=C二重結合を含むC~C12分岐状アルキレン、及びC=C二重結合を含むC~C12シクロアルキレンからなる群から選択され、そしてRは水素または構造(III)を有するアルキルオキシカルボニルである。構造(III)において、RはC~Cアルキルである。
【0016】
【化2】
構造(I)において、部分2)は、少なくとも二つの炭素を有し、かつ構造(IV)を有する、ケイ素含有有機部分である。構造(IV)において、R及びRは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;R10は、C~Cアルキル、C~C16アリール、及びヒドロキシ、及び構造(V)を有するシロキサンからなる群から選択される。構造(V)において、R11は、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシルで置換されたC~Cアルキル、C~C16アリール、構造(IVa)を有するシリル部分からなる群から選択され、R12及びR13は、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;そしてpは、シロキサン部分(V)中の繰り返し単位の数を表す。構造(IVa)において、R8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;R10aは、C~Cアルキル、及びC~C16アリールからなる群から選択される。
【0017】
【化3】
構造(I)において、部分3)は、C~Cアルキル、C~Cアルキルカルボキシル、C~C20アリールカルボキシル、フルオレニルカルボキシル、フッ素化C~Cアルキルカルボキシル、C~Cアルキルスルホニル、フッ素化C~Cアルキルスルホニル、及びこれらの混合物からなる群から選択される第二の有機部分である。
【0018】
構造(I)において、選択される部分は、この構造中で上記の部分の混合であってもよい。
【0019】
上記の本発明よる組成物において、成分b)は、単環式芳香族炭化水素部分、縮合環式環状炭化水素部分またはこれらの混合物を含むポリマー主鎖を有し、炭素の重量%が約81重量%~約94重量%であり、スピンキャスト溶剤中に少なくとも約5重量%で可溶性である、スピンオン高炭素ポリマーであり、及び前記スピンオン高炭素ポリマー中の前記単環式芳香族炭化水素または前記縮合環式環状炭化水素部分の少なくとも一つは、構造(VIII)の少なくとも一つのアルキニルオキシ部分で官能化されている。
【0020】
【化4】
構造(VIII)において、
【0021】
【化5】
は、前記単環式芳香族炭化水素へのまたは前記縮合環式環状炭化水素部分への前記アルキニルオキシ部分の結合点を表し、そしてRa1は、水素、ハロゲン、シアノ、置換されていないC~Cアルキル;C~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~Cアルキル;置換されていないC~C20芳香族環;またはC~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~C20芳香族環であり、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換されていないC~Cアルキル;C~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~Cアルキル;置換されていないC~C20芳香族環;またはC~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~C20芳香族環である。
【0022】
上記の本発明による組成物における任意選択の成分c)は、構造(VI)を有するポリオール添加剤であり、ここでXはCまたはNであり;rは少なくとも2であり;qは0~2であり;但し、q及びrの合計は、XがCの場合は4であり、そしてq及びrの合計は、XがNの場合は3であり;R14は、水素、C~Cアルキル及びC~Cヒドロキシアルキルからなる群から選択される。XがNである場合は、YはC~Cアルキレンである。XがCである場合は、Yは、直接原子価結合、C~Cアルキレン及び構造(VII)を有する部分からなる群から選択される。ここで、構造(VII)において、R15はC~Cアルキレンであり;sは0~2であり;そしてtは1~2である。
【0023】
【化6】
上記の本発明による組成物中の成分d)は溶剤である。
【0024】
また本発明は、上記の本発明による組成物を、高K金属酸化物の前駆体として使用する方法にも関する。本発明は更に、加工後に、パターン化された高K金属酸化物を含む基材をもたらす、基材上でリソグラフィ図形を充填するための本発明による組成物の使用にも関する。
【0025】
具体的には、本発明は、ビア、トレンチ、ホールまたは他の中空のトポグラフィ図形を含むパターン化されたフォトレジスト、パターン化されたスピンオン炭素、またはパターン化された半導体であるパターン化された基材をコーティングするためにこれらの新規空気安定性組成物を使用し、低空隙形成でこれらの空隙を充填し、及びこれらの充填されたパターンを、パターン化された金属酸化物を基材上に形成するプロセスで使用することに関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は双方とも例示、説明のためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を減縮するものではないと理解するべきである。本願において、他に具体的に記載がなければ、単数形の使用は複数を包含し、単数形は「少なくとも一つ」を意味し、そして「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分の両方を包含する。他に指示が無ければ、ここで使用する「及び」という接続詞は両立的であることを意図しており、「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0027】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の技術事項を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0028】
他に指示が無ければ、ここで使用する「及び」という接続詞は両立的であることを意図しており、「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。
【0029】
ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0030】
ここで使用する場合、「Mは、4の価数を有する金属である」という記載、M及び「金属」という用語は、他に記載がなければ、4の価数を有する半金属、例えばケイ素、ゲルマニウム及び類似物も含む。
【0031】
ここで使用する場合、「アルキル」という用語は、直鎖状または環状鎖アルキル置換基、並びにそれらの分岐異性体の全てを指す。より具体的には、ここで、他に記載がなければ、アルキルとは、線状、分岐状(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル及び類似物)、または環状(例えばシクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル及び類似物)、多環式(例えばノルボルニル、アダマンチル及び類似物)であることができる炭化水素基を指す。これらのアルキル部分は、以下に記載のように置換されていても、置換されていなくともよい。アルキルという用語は、C~C20炭素を有する部分を指す。構造的な理由から、線状アルキルはCから始まり、他方で分岐状アルキルはCから始まり、そして多環式アルキルはCから始まると理解される。更に、置換されたアルキルなどの以下に記載のアルキルから誘導される部分は、他に記載がなければ、同じ炭素数範囲を有するとも理解される。上記とは異なるアルキル基の長さが規定される場合は、アルキルの前記の定義は、前記の全てのタイプのアルキル部分を包含する点でなおも有効であり、及び所与のタイプのアルキル基の最小炭素数に関しての前記の構造に関する考察はなおも該当する。
【0032】
アルキルオキシ(別称ではアルコキシ)は、オキシ(-O-)部分を介して結合した先に定義したようなアルキル基を指す(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、1,2-イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及び類似物)。これらのアルキルオキシ部分は、以下に記載のように置換されていても、置換されていなくともよい。
【0033】
ここで、Cから始まる可能な炭素原子範囲を有するアルキル、アルキルオキシ部分、例えば非限定的な例として「C~C20アルキル」または「C~C20フルオロアルキル」に言及するときは、この範囲は、Cから始まる線状アルキル、アルキルオキシ、フルオロアルキル及びフルオロアルキルオキシを包含するが、Cから始まる分岐状アルキル、分岐状アルキルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、分岐状フルオロアルキル及び環状フルオロアルキルのみを指定する。
【0034】
ここで「アルキレン」という用語は、線状、分岐状または環状であることができ、二つ以上の結合点を有する炭化水素基を指す(二つの結合点を有するものでは、例えばメチレン、エチレン、1,2-イソプロピレン、1,4-シクロヘキシレン及び類似物、三つの結合点を有するものでは、例えば1,1,1-置換メタン、1,1,2-置換エタン、1,2,4-置換シクロヘキサン及び類似物)を指す。この場合もまた、可能な炭素範囲、例えば非限定的な例としてC~C20を指定する時は、この範囲は、Cから始まる線状アルキレンを包含するが、Cから始まる分岐状アルキレンまたはシクロアルキレンのみを指定する。これらのアルキレン部分は、以下に記載のように置換されていても、置換されていなくともよい。より具体的には、ここで使用する場合、「線状アルキレン」という用語は、一般式-CH-(CH-CH-を有する直鎖状二官能性アルキレン置換基を指し、「分岐状アルキレン」という用語は、ここで使用する場合、アルキル置換基を有するアルキレン置換基を指す。
【0035】
ここで使用する場合、「アリール」という用語は、芳香族環から誘導される任意の官能性基または置換基、例えばフェニル、ナフチル、チエニル、インドリルなどを指す。より具体的には、ここでは、アリールまたは芳香族基という用語は、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、アントラシル、ビフェニル類、ビス-フェニル類、トリス-フェニル類及び類似物などを始めとした、炭素原子数6~24のこのような基を指す。これらのアリール基は、前記の適当な置換のうちの任意のもの、例えば前記のアルキル、アルコキシ、アシル、またはアリール基によって更に置換されていてよい。
【0036】
ここで使用する場合、ハライドという用語は、F、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハロ置換基を指す。
【0037】
本明細書において他に記載がなければ、「置換された」という記載は、アリール、アルキル、アルキルオキシに言及するときは、置換されていないアルキル、置換されたアルキル、置換されていないアリール、アルキルオキシアリール(アルキル-O-アリール-)、ジアルキルオキシアリール((アルキル-O-)-アリール)、ハロアリール、アルキルオキシ、アルキルアリール、ハロアルキル、ハライド、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アセチル、アルキルカルボニルからなる群から選択される一つ以上の置換基も含むこれらの部分のうちの一つを指す。
【0038】
「置換された」という記載は、或る部分を指す時は、他に記載がなければ、置換基が、上記の置換基のうちのいずれかから選択される場合である。同様に、「置換されていない」という記載は、水素以外の置換基が存在しない同部分を指す。
【0039】
ここで使用する場合、「ジケトン」という用語は、二つのケトン基を有する任意の溶剤を指し、非限定的な例は、ジアセチル、アセチルアセトン、及びヘキサン-2,5-ジオンである。
【0040】
ここで使用する「組成物(composition)」及び「調合物(formulation)」という用語は、相互互換可能であり、同義である。
【0041】
ここで使用する場合、「スピンオン炭素層」及び「有機高炭素コーティング」という用語は相互互換可能であり、同じ意味である。
【0042】
ここで、他に記載がなければ、「パターン化された基材」という用語は以下を指す:1)パターン化された半導体基材;2)半導体基材を被覆するパターン化されたフォトレジスト、または反射防止膜などの下層でコーティングされた半導体;3)半導体基材上のパターン化された有機高炭素コーティング、ここで元の高炭素材料コーティングは、コーティングされた高炭素ポリマーフィルムから誘導され得る;コーティングされたスピンオン炭素材料;または他の手段、例えば蒸着法などの手段によって半導体基材上に堆積された高炭素含有率のフィルム。
【0043】
ここで使用する場合、高k材料、高k金属酸化物、及び金属酸化物から構成される高kという用語は、相互交換可能である。
【0044】
本発明は、成分a)、b)及びd)、及び任意選択的に成分c)を含む組成物に関する。
【0045】
成分a)は、構造(I)を有する金属化合物である。
【0046】
【化7】
構造(I)において、Mは、4の価数を有する金属であり;nは、1~20の整数であり、そしてR、R、R及びRはそれぞれ、1)、2)及び3)からなる群から独立して選択される部分である。
【0047】
構造(I)において、部分1)は、構造(II)を有する第一の有機部分である。構造(II)において、Rは、C~C10アルキレン、C~C12分岐状アルキレン、C~C12シクロアルキレン、C=C二重結合を含むC~C10アルキレン、C=C二重結合を含むC~C12分岐状アルキレン、及びC=C二重結合を含むC~C12シクロアルキレンからなる群から選択され、そしてRは水素または構造(III)を有するアルキルオキシカルボニルであり、ここで構造(III)において、RはC~Cアルキルである。
【0048】
【化8】
構造(I)において、部分2)は、少なくとも二つの炭素を有し、かつ構造(IV)を有する、ケイ素含有有機部分である。構造(IV)において、R及びRは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;R10は、C~Cアルキル、C~C16アリール、及びヒドロキシ、及び構造(V)を有するシロキサンからなる群から選択される。構造(V)において、R11は、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシルで置換されたC~Cアルキル、C~C16アリール、構造(IVa)を有するシリル部分からなる群から選択され、R12及びR13は、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;そしてpは、シロキサン部分(V)中の繰り返し単位の数を表す。構造(IVa)において、R8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;R10aは、C~Cアルキル、及びC~C16アリールからなる群から選択される。
【0049】
【化9】
構造(I)において、部分3)は、C~Cアルキル、C~Cアルキルカルボキシル、C~C20アリールカルボキシル、フルオレニルカルボキシル、フッ素化C~Cアルキルカルボキシル、C~Cアルキルスルホニル、フッ素化C~Cアルキルスルホニル、及びこれらの混合物からなる群から選択される第二の有機部分である。
【0050】
構造(I)において、選択される部分は、この構造中で上記の部分の混合であってもよい。
【0051】
成分b)は、単環式芳香族炭化水素部分、縮合環式環状炭化水素部分またはこれらの混合物を含むポリマー主鎖を有し、炭素の重量%が約81重量%~約94重量%であり、スピンキャスト溶剤中に少なくとも約5重量%で可溶性である、スピンオン高炭素ポリマーであり、及び前記スピンオン高炭素ポリマー中の前記単環式芳香族炭化水素部分または前記縮合環式環状炭化水素部分は、構造(VIII)の少なくとも一つのアルキニルオキシ部分で官能化されている。
【0052】
【化10】
構造(VIII)において、
【0053】
【化11】
は、前記単環式芳香族炭化水素へのまたは前記縮合環式環状炭化水素部分への前記アルキニルオキシ部分の結合点を表し、そしてRa1は、水素、ハロゲン、シアノ、置換されていないC~Cアルキル;C~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~Cアルキル;置換されていないC~C20芳香族環;またはC~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~C20芳香族環であり、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換されていないC~Cアルキル;C~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~Cアルキル;置換されていないC~C20芳香族環;またはC~Cアルキル、ハロゲン及びシアノからなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたC~C20芳香族環である。
【0054】
上記の本発明による組成物における任意選択の成分c)は、構造(VI)を有するポリオール添加剤であり、ここでXはCまたはNであり;rは少なくとも2であり;qは0~2であり;但し、q及びrの合計は、XがCの場合は4であり、そしてq及びrの合計は、XがNの場合は3であり;R14は、水素、C~Cアルキル及びC~Cヒドロキシアルキルからなる群から選択される。XがNである場合は、YはC~Cアルキレンである。XがCである場合は、Yは、直接原子価結合、C~Cアルキレン及び構造(VII)を有する部分からなる群から選択される。構造(VII)において、R15はC~Cアルキレンであり;sは0~2であり;そしてtは1~2である。
【0055】
【化12】
上記の本発明による組成物では成分d)はスピンキャスト溶剤である。
【0056】
組成物
成分a)、金属化合物
上記の本発明の組成物の一つの態様では、構造(I)において、Mは、Zr、Ta、Hf、Ti、Sn、Si、Pb、Nb、Mo、Ge及びWからなる群から選択される。本発明の組成物のこの観点の他の態様の一つでは、Mは、Zr、Hf、Ti、Ta、Nb及びSnからなる群から選択される。更に別の態様の一つでは、Mは、Zr、Hf及びTiから選択される。更に別の態様の一つでは、MはZrである。更に別の態様の一つでは、MはHfである。更に別の態様の一つでは、MはTiである。
【0057】
更に別の態様の一つでは、成分a)は、構造(I)を有する二種以上の異なる金属化合物の混合物である。
【0058】
更に別の態様の一つでは、成分a)は、異なるMを有する構造(I)を有する二種以上の異なる金属化合物の混合物である。
【0059】
他の態様の一つでは、成分a)は、構造(I)を有する二種以上の異なる金属化合物の混合物であり、但し、Mは、Si、Zr、Ta、Hf、Ti、Sn、Si、Pb、Nb、Mo、Ge及びWからなる群から選択され、更に、該混合物中の少なくとも一種の金属化合物は、Siに等しいMを持たない。
【0060】
他の態様の一つでは、成分a)は、構造(I)を有する二種の異なる金属化合物の混合物であり、但し、第一の金属化合物のMはSiであり、そして第二の金属化合物は、Zr、Ta、Hf、Ti、Sn、Si、Pb、Nb、Mo、Ge及びWからなる群から、好ましくはZr、Ta、Hf、Ti、Sn、Pb、Nb、Mo、Ge及びWからなる群から選択されるMを有する。この態様の更に別の観点では、第二の金属化合物はZrに等しいMを有する。この態様の他の観点の一つでは、第二の金属化合物はHfに等しいMを有する。この態様の更に別の観点の一つでは、第二の金属化合物はTiに等しいMを有する。
【0061】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(I)において、R、R、R及びRのための部分の少なくとも一つは、構造(II)を有する前記第一の有機部分、及び少なくとも2つの炭素を有しかつ構造(IV)を有する前記のケイ素含有有機部分からなる群から選択される。
【0062】
前記の本発明の組成物の他の観点の一つでは、構造(I)において、R、R、R及びRのための部分の少なくとも一つは、次のものからなる群から選択される:
【0063】
【化13】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(I)において、R、R、R及びRは、それぞれ、構造(II)を有する第一の有機部分、及び少なくとも2つの炭素を有しかつ構造(IV)を有するケイ素含有有機部分からなる群から独立して選択される。
【0064】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(I)において、少なくとも2つの炭素を有しかつ構造(IV)を有するケイ素含有有機部分は、構造(I)を有する金属化合物のR、R、R及びRの全モル数の30モル%~60モル%の範囲で存在する。
【0065】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(I)において、nは2~20である。
【0066】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(I)において、nは1である。
【0067】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(II)を有する第一の有機部分は、式中、RがC~C10アルキレン、C=C二重結合を含むC~C10アルキレン、またはC~C12シクロアルキレンであるものである。この態様の他の観点の一つでは、RはC~C10アルキレンである。この態様の他の観点の一つでは、Rは、C=C二重結合を含むC~C10アルキレンである。更に別の観点の一つでは、RはC~C12シクロアルキレンである。
【0068】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(II)を有する第一の有機部分は、式中、RがC~Cアルキルオキシカルボニルであるものである。この態様の他の観点の一つでは、RはC~Cアルキルオキシカルボニルである。更に別の観点の一つでは、RはC~Cアルキルオキシカルボニルである。
【0069】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(II)を有する第一の有機部分において、Rは構造(III)を有し、ここでRはC~Cアルキルである。この態様の他の観点の一つでは、RはC~Cアルキルである。更に別の観点の一つでは、RはC~Cアルキルである。
【0070】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)は、Rがメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはt-ブチルであるものである。
【0071】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)は、Rがメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはt-ブチルであるものである。
【0072】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)は、Rが、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から選択されるものである。
【0073】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)は、Rが、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から選択されるものである。
【0074】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)において、R10は、C~Cアルキル、C~C16アリール、またはヒドロキシルである。
【0075】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)において、R10は、C~Cアルキル、またはC~C16アリールである。
【0076】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)において、R10は、C~Cアルキルである。
【0077】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)において、R10は、構造(V)を有するシロキサンである。
【0078】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)は、R及びRが、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;R10が、構造(V)を有するシロキサンであり、ここでR11が、構造(IVa)を有するシリル部分であり、ここでR8a及びR9aが、それぞれ、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシから独立して選択され、そしてR10aが、C~C16アリールであるものである。好ましくは、この態様では、R12及びR13は、それぞれ、C~Cアルキルからなる群から独立して選択される。
【0079】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、この態様は、構造(IV)において、R及びRが、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;及びR10が、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から選択されるものである。
【0080】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)において、R10はメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはt-ブチルである。
【0081】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(IV)において、R10は、構造(V)を有するシロキサンである。
【0082】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(V)において、R11は、C~Cアルキルまたは水素である。この態様の他の観点の一つでは、R11はC~Cアルキルまたは水素である。更に別の態様の一つでは、R11はC~Cアルキルである。更に別の態様の一つでは、R11はC~Cアルキルである。なお更に別の態様の一つでは、R11は水素である。
【0083】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(V)において、R12は、C~Cアルキルである。この態様の他の観点の一つでは、R12はC~Cアルキルである。更に別の態様の一つでは、R12はC~Cアルキルである。
【0084】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(V)において、R13は、C~Cアルキルである。この態様の他の観点の一つでは、R13はC~Cアルキルである。なお更に別の態様の一つでは、R13はC~Cアルキルである。
【0085】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(V)において、pは1~500である。この態様の他の観点の一つでは、pは1~200である。なお更に別の観点の一つでは、pは1~50である。
【0086】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。ここで、前記構造は、構造(Ia1)、構造(Ia2)、構造(Ia3)または構造(Ia4)であり、式中、R6a、R6b及びR6cは、C~Cアルキルから独立して選択され、更にここで、nは独立して1~20の整数である。本発明のこの観点の他の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは6~10である。
【0087】
【化14】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。ここで、前記構造は、構造(Ib1)、構造(Ib2)、構造(Ib3)または構造(Ib4)であり、式中、nは独立して1~20の整数である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。本発明のこの観点の他の好ましい態様の一つでは、nは6~10である。
【0088】
【化15】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。前記構造は、構造(Ic1)、構造(Ic2)、構造(Ic3)、構造(Ic4)、構造(Ic5)または構造(Ic6)であり、ここで、R11bは、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシルで置換されたC~Cアルキル、C~C16アリール、及び構造(IVb)を有するシリル部分からなる群から選択され、そしてR6a、R6b及びR6cは独立してC~Cアルキルから選択され、ここで、nは独立して1~20の整数であり、そしてpは独立して1~500の整数である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1~20である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0089】
【化16】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。前記構造は、構造(Id1)、構造(Id2)、構造(Id3)、構造(Id4)、構造(Id5)または構造(Id6)であり、ここでR11aは、構造(IVc)を有するシリル部分であり、ここでnは独立して1~20の整数であり、そしてpは独立して1~500の整数である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0090】
【化17】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。前記構造は、構造(Ie1)、構造(Ie2)、構造(Ie3)、または構造(Ie4)であり、ここで、R6aは、C~Cアルキルから選択され、そしてR8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;そしてR10aは、C~Cアルキル、及びC~C16アリールからなる群から選択され、ここでnは独立して1~20の整数である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0091】
【化18】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。前記構造は、構造(If1)、構造(If2)または構造(If3)であり、ここでR6aは、C~Cアルキルから選択され、そしてR8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され、そしてR10aは、C~Cアルキル、及びC~C16アリールからなる群から選択され、ここでnは1~20である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0092】
【化19】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。前記構造は、構造(Ig1)、構造(Ig2)、構造(Ig3)または構造(Ig4)であり、ここでR6aは、C~Cアルキルから選択され、そしてR8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され、そしてR10aは、C~Cアルキル、及びC~C16アリールからなる群から選択され、ここでnは1~20である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0093】
【化20】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。ここで、前記構造は構造(Ih1)、構造(Ih2)、構造(Ih4)、または構造(Ih3)であり、nは1~20である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0094】
【化21】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。前記構造は、構造(Ii1)、構造(Ii2)、構造(Ii3)、または構造(Ii4)であり、ここで、R6a及びR6dは、C~Cアルキルから独立して選択され、そしてR8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;そしてR10aは、C~Cアルキル、及びC~C16アリールからなる群から選択され、ここでnは1~20である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0095】
【化22】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。ここで、前記構造は構造(Ij1)、構造(Ij2)、構造(Ij3)、または構造(Ij4)であり、nは1~20である。本発明のこの観点の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。更に別の態様の一つでは、nが2~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0096】
【化23】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。前記構造は、構造(Ik1)、構造(Ik2)、構造(Ik3)、または構造(Ik4)であり、ここで、R6aは、C~Cアルキルから選択され、そしてR8a及びR9aは、それぞれ、C~Cアルキル、C~C12分岐状アルキル、C~Cアルキルオキシ、C~C12分岐状アルキルオキシ、及びC~C16アリールからなる群から独立して選択され;そしてR10aは、C~Cアルキルであり、ここでnは6~20である。更に別の態様の一つでは、nが6~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0097】
【化24】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、これは、以下の構造を有する金属化合物、またはこれらの構造を有する化合物の混合物を含み、それらのそれぞれは、n(繰り返し単位の数)によって指定される繰り返し単位、及び二つの末端基を含む。ここで、前記構造は構造(Il1)、構造(Il2)、構造(Il3)、または構造(Il3)であり、nは1~20、好ましくは6~20である。更に別の態様の一つでは、nが6~20の場合に、金属化合物は、nで指定される繰り返し単位の混合物、及び前記の構造に見られる二つの末端基を含む。
【0098】
【化25】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分a)の金属化合物の重量%は、全固形物成分の全重量%として、成分c)であるポリオールが存在する場合は、約20重量%~約98重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約25重量%~約80重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約30重量%~約70重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約35重量%~約65重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約40重量%~約60重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約45重量%~約60重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約50重量%~約60重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約55重量%~約60重量%である。
【0099】
前記の本発明の組成物の他の好ましい態様の一つでは、成分c)であるポリオールが存在する場合は、成分a)である金属化合物の重量%は、約20重量%~約85重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分a)の重量%は、約30重量%~約80重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分a)の重量%は、約50重量%~約75重量%である。
【0100】
成分c)であるポリオールが存在する前記の態様の全てにおいて、組み合わせた全固形物含有率は、追加の固形成分が存在しない場合は、合計して100重量%である。追加的な固形成分が存在する場合は、成分a)、成分b)、成分c)及び追加的な成分(複数可)の全固形物の全固形物重量%は、追加的な固形成分が存在しない場合には、合計して、全固形物の100重量%である。追加的な固形成分が存在する場合は、成分a)、成分b)、成分c)及び追加的な成分(複数可)の全固形物の全固形物重量%は、合計して、全固形物の100重量%である。
【0101】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分a)の金属化合物の重量%は、全固形物成分の全重量%として、成分c)であるポリオールが存在しない場合は、約20重量%~約98重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約25重量%~約80重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約30重量%~約70重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約35重量%~約65重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約40重量%~約60重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約45重量%~約55重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形物成分の重量%は、約50重量%からである。成分c)が存在しない前記の態様の全てにおいて、他の追加的な固形成分が存在しない場合には、成分及び成分b)の全合計固形物重量%。追加的な固形成分が存在する場合は、成分a)、成分b)及び任意の追加的な他の成分(複数可)の全ての固形物の全固形物重量%は、合計して、全固形物の100重量%である。
【0102】
成分b)、スピンオン高炭素ポリマー
本発明の組成物の他の観点の一つでは、前記成分b)は、単環式芳香族炭化水素部分及び縮合環式環状炭化水素部分の両方を含むポリマー主鎖を有するスピンオン高炭素ポリマーである。
【0103】
本発明の組成物の他の観点の一つでは、前記成分b)は、単環式芳香族炭化水素部分のみを含むポリマー主鎖を有するスピンオン高炭素ポリマーである。
【0104】
本発明の組成物の他の観点の一つでは、前記成分b)は、縮合環式環状炭化水素部分のみを含むポリマー主鎖を有するスピンオン高炭素ポリマーである。
【0105】
本発明の組成物の一つの観点では、成分b)において、前記単環式芳香族炭化水素部分は、フェニレン類または一つ以上のこのようなフェニレン部分を含む置換されたフェニレン類であり、これらは、ポリマー主鎖に直接に他の芳香族炭化水素部分に対して結合しているか、またはこの単環式芳香族炭化水素を含んでいてよい一つ以上のアルキレン部分を介して、結合している。アルキレン部分を含むフェニレン部分の非限定的な例は、(-アルキレン-フェニレン-)、(-アルキレン-フェニレン-アルキレン-)部分、(-フェニレン-アルキレン-フェニレン-)部分である。前記の中間アルキレンスペーサは、フェニレン含有部分または縮合芳香族類含有部分のいずれかである芳香族部分も含んでいてよい、結合された線状、分岐状または環状部分から選択し得る。これらの単環式芳香族炭化水素部分は、アルキニル部分によるフェノール類のキャッピングによって存在するアルキニルオキシ置換基または任意のキャップされていないフリーのフェノール類の他に、芳香族環またはアルキレン部分上のいずれかで、線状もしくは分岐状アルキル部分、アリール部分、縮合芳香族部分、または(アルキル部分の一部としてオレフィン性もしくは芳香族不飽和を含んでよいかまたはこのような不飽和を含まない)環状アルキル部分で更に置換されていてよい。単環式芳香族炭化水素部分の非限定的な例は次のものである:
【0106】
【化26】
本発明の組成物の一つの観点では、成分b)の前記スピンオン高炭素ポリマーにおいて、前記縮合環炭化水素部分は、一つ以上の縮合環から構成され、この一つ以上の縮合環は、主鎖中の他の芳香族環に直接結合しているか、または前記の縮合環炭化水素部分を含んでいてよい一つ以上のアルキレン部分を介して他の芳香族炭化水素部分に間接的に結合している。アルキレン部分を含むこのような縮合環炭化水素部分の非限定的な例は、(-アルキレン-縮合環-)部分、(-アルキレン-縮合環-)部分、(縮合環-アルキレン-縮合環-)部分、及び類似物である。前記中間アルキレンスペーサは、フェニル含有部分または縮合芳香族類含有部分で置換されていてよい、線状、分岐状または環状であるものから選択し得る。前記縮合環炭化水素部分は、アルキニル部分によるフェノール類のキャッピングによって存在するアルキニルオキシ置換基または任意のキャップされていないフェノール類の他に、芳香族環またはアルキレン部分上のいずれかで、線状もしくは分岐状アルキル部分、アリール部分、縮合芳香族部分、または(アルキル部分の一部としてオレフィン性もしくは芳香族不飽和を含んでよいかまたはこのような不飽和を含まない)環状アルキル部分で更に置換されていてよい。縮合環炭化水素部分の非限定的な例は次のものである:
【0107】
【化27】
本発明の組成物の一つの観点では、成分b)は、前記縮合環炭化水素部分が2~8個の環を有する縮合芳香族部分を含むものである。この態様の他の一つの観点では、前記縮合環炭化水素部分は、2~5個の環を有する縮合芳香族部分を含むものである。
【0108】
本発明の組成物の成分b)の一つの観点では、前記単環式芳香族炭化水素部分及び前記縮合環式環状炭化水素部分は、次のものからなる群から選択し得る:
【0109】
【化28】
及びこれらの混合物。
【0110】
成分b)についてここに記載した態様において、この材料は、構造(VIII)のアルキニルオキシ部分を形成するアルキニル部分によってキャップされていない幾つかのフリーのフェノール性OH基を含み得る。しかし、フリーのフェノールと、構造(VIII)のアルキニルオキシ部分を形成するアルキニル部分でキャップされたフェノール類とのモル比は、約50:50より高くなくてもよいことが好ましい。本発明の他の観点では、この比率は、更により低いことができ、具体的には、一つの態様では、約40:60またはそれ以下、更に別の観点では約30:70またはそれ以下、更に別の観点では20:80またはそれ以下、更に別の観点では10:90またはそれ以下、更に別の観点では5:95またはそれ以下であることができ、そして最後に、他の態様は、フリーのフェノールは有意な量で存在せず、全てのフェノール性部分がアルキニル部分でキャップされて、構造(VIII)のアルキニルオキシを形成している態様である。
【0111】
上記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、前記成分b)である前記スピンオン高炭素ポリマーは、キャップされて構造(VIII)のアルキニルオキシ部分を形成するフェノール基を有する、(IX)、(IXa)、(IXb)、(IXc)、(IXd)、(IXe)、(IXf)、(IXg)、(IXh)、(IXi)及びこれらの混合物からなる群から選択してよい部分を含む。他のタイプの任意選択の部分も、この成分中に存在し得る。例えば、部分(IX)、(IXa)、(IXb)、(IXc)、(IXd)、(IXe)、(IXf)、(IXg)、(IXh)、(IXi)に相当するフリーのフェノール基を有するキャップされていない部分が、上述のようなアルキニルオキシ基に対するモル比で存在し得る。存在し得る他のタイプの任意選択の部分は、例えば部分(IX)、(IXa)、(IXb)、(IXc)、(IXd)、(IXe)、(IXf)、(IXg)、(IXh)、(IXi)中のアルキニルオキシ基が、水素、アリールまたはC~Cアルキル基に置き換えられている部分であり、これらのタイプの部分は、前記高炭素成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在し得、他の観点では、これらは、約10モル%までの割合で、更に別の観点では5モル%までの割合で、更に別の観点では1モル%までの割合で存在する。
【0112】
【化29】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、前記成分b)は、構造(X)を有する繰り返し単位を含む:
【0113】
【化30】
この態様では、Aは、部分(IX)、(IXa)、(IXb)、(IXc)、(IXd)、(IXe)、(IXf)、(IXg)、(IXh)、(IXi)及びこれらの混合物からなる群から選択され、そしてBは、(Xa)、(Xb)、(Xc)、(Xd)及びこれらの混合物からなる群から選択される部分であり、ここでRx1及びRx2は、独立して、水素、C~Cアルキル、アリール部分、または構造(VIII)のアルキニルオキシ部分である。同様に、成分b)のこの態様では、A中の前記の選択された部分中のアルキニルオキシ基が、上記のモル比でヒドロキシ基で置き換えられている任意選択の繰り返し単位が存在し得る。追加的に、他の任意選択の繰り返し単位では、Aのために選択された前記の部分中のアルキニルオキシ基は、水素、アリール、またはC~Cアルキル基で置き換えられていてよく、このような任意選択の部分は、成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在することができ、他の観点の一つでは、これらは約10モル%まで、更に別の観点では5モル%まで、更に別の観点では1モル%までの割合で存在する。
【0114】
【化31】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、前記成分b)の前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XI)を有する繰り返し単位を含む。この態様の他の観点の一つでは、前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XIa)を有する繰り返し単位を含む。この態様の更に別の観点の一つでは、前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XIb)を有する繰り返し単位を含む。同様に、成分b)のこの態様では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基が、前記のモル比でヒドロキシ基で置き換えられた任意選択の繰り返し単位が存在し得る。追加的に、他の任意選択の繰り返し単位では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基は、水素、アリール、またはC~Cアルキル基で置き換えられてよく、このような任意選択の繰り返し単位は、成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在することができ、他の観点の一つでは、これらは約10モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは5モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは1モル%までの割合で存在する。
【0115】
【化32】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、前記成分b)において、前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XIc)を有する繰り返し単位を含む。この態様の他の観点の一つでは、前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XId)を有する繰り返し単位を含む。同様に、成分b)のこれらの態様では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基が、前記のモル比でヒドロキシ基で置き換えられた任意選択の繰り返し単位が存在し得る。追加的に、他の任意選択の繰り返し単位では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基は、水素、アリール、またはC~Cアルキル基で置き換えられてよく、このような任意選択の繰り返し単位は、成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在することができ、他の観点の一つでは、これらは約10モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは5モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは1モル%までの割合で存在する。
【0116】
【化33】
前記の本発明の組成物の他の観点の一つでは、前記成分b)の前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XII)の繰り返し単位を含み、ここでfArは縮合芳香族環であり、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素またはC~Cアルキルである。この態様の他の観点の一つでは、fArは、2~8個の縮合芳香族環を含む基である。この態様の更に別の観点の一つでは、fArはアントラセンである。この態様の更に別の観点の一つでは、前記繰り返し単位は構造(XIIa)を有する。更に別の観点の一つでは、前記繰り返し単位は構造(XIIb)を有する。更に別の観点の一つでは、前記繰り返し単位は構造(XIIc)を有する。同様に、成分b)のこれらの態様では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基が、前記のモル比でヒドロキシ基で置き換えられた任意選択の繰り返し単位が存在し得る。追加的に、他の任意選択の繰り返し単位では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基は、水素、アリール、またはC~Cアルキル基で置き換えられてよく、このような任意選択の繰り返し単位は、成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在することができ、他の観点の一つでは、これらは約10モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは5モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは1モル%までの割合で存在する。
【0117】
【化34】
前記の本発明の組成物の他の観点の一つでは、前記成分b)の前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XIII)、(XIIIa)、(XIIIb)、(XIIIc)、及び(XIIId)を有する繰り返し単位及びこれらの混合物からなる群から選択される繰り返し単位を含む。この態様の他の観点の一つでは、これは、構造(XIIIe)、(XIIIf)、(XIIIg)、(XIIIh)、及び(XIIIi)を有する繰り返し単位及びこれらの混合物からなる群から選択される繰り返し単位を含む。この態様の他の観点の一つでは、R16及びR17は、C~Cアルキルである。更に別の態様の一つでは、R16及びR17は、C~Cアルキルである。更に別の態様の一つでは、R16及びR17は水素である。更に別の態様の一つでは、R16及びR17はメチルである。更に別の態様の一つでは、Ra1、Ra2及びRa3は水素である。同様に、成分b)のこれらの態様では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基が、前記のモル比でヒドロキシ基で置き換えられた任意選択の繰り返し単位が存在し得る。追加的に、他の任意選択の繰り返し単位では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基は、水素、アリール、またはC~Cアルキル基で置き換えられてよく、このような任意選択の繰り返し単位は、成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在することができ、他の観点の一つでは、これらは約10モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは5モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは1モル%までの割合で存在する。
【0118】
【化35】
前記の本発明の組成物の他の観点の一つでは、前記成分b)の前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XIV)を有する選択された繰り返し単位を含む。この態様の他の観点の一つでは、これは、構造(XIVa)を有する繰り返し単位からなる群から選択される繰り返し単位を含む。他の態様の一つでは、Ra1、Ra2及びRa3は水素である。同様に、成分b)のこれらの態様では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基が、前記のモル比でヒドロキシ基で置き換えられた任意選択の繰り返し単位が存在し得る。追加的に、他の任意選択の繰り返し単位では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基は、水素、アリール、またはC~Cアルキル基で置き換えられてよく、このような任意選択の繰り返し単位は、成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在することができ、他の観点の一つでは、これらは約10モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは5モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは1モル%までの割合で存在する。
【0119】
【化36】
ここに記載の本発明の組成物のいずれにおいても、前記成分b)の前記スピンオン高炭素ポリマーは、約500~約5000のMwを有するものである。この態様の他の観点の一つでは、前記高炭素ポリマーは、約600~約3000のMwを有するものである。この態様の更に他の観点の一つでは、これは、約600~約2500のMwを有する。この態様の更に他の観点の一つでは、これは、約600~約2300のMwを有する。更に他の態様の一つでは、これは、約600~約2200のMwを有する。更に他の態様の一つでは、これは、約600~約2000のMwを有する。更に他の態様の一つでは、これは、約600~約1500のMwを有する。更に他の態様の一つでは、これは、約600~約1300のMwを有する。更に他の態様の一つでは、これは、約700~約1200のMwを有する。
【0120】
前記の本発明の組成物の他の観点の一つでは、前記成分b)の前記スピンオン高炭素ポリマーは、アルキニルオキシ置換スピンオン炭素ポリマーが、金属化合物の約1重量%から最大で約50重量%の量で存在するものである。
【0121】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)であるポリオールが存在する場合には、成分b)のアルキニルオキシ置換スピンオン炭素ポリマーは、全固形成分の重量%として、約1重量%~約50重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分c)は約5重量%~約50重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分c)は約10重量%~約50重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分c)は約15重量%~約50重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分c)は約20重量%~約50重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分c)は約20重量%~約45重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分c)は約20重量%~約40重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分c)は約25重量%~約35重量%で存在する。これらの態様の全ての観点において、固形成分の成分a)、b)及びc)の全重量%は、追加的な固形成分が存在しない場合には、合計して100重量%である。追加的な固形成分が存在する場合は、成分a)、成分c)、成分b)及び追加的な成分(複数可)の全固形物の全固形物重量%は、合計して、全固形物の100重量%である。
【0122】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)が存在しない場合には、アルキニルオキシ置換スピンオン炭素ポリマー添加剤は、全固形物の重量%として、約1重量%~約60重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約5重量%~約60重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約10重量%~約60重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約15重量%~約55重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約20重量%~約55重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約25重量%~約55重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約30重量%~約55重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約35重量%~約55重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約40重量%~約55重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約45重量%~約55重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、成分b)は約50重量%からで存在する。これらの態様の全ての観点において、成分c)が存在しない場合は、固形成分の成分a)及びc)の全重量%は、他の追加的な固形成分が存在しない場合には、合計して100重量%である。追加的な固形成分が存在する場合は、成分a)、成分b)及び任意の他の追加的な成分(複数可)の全ての固形物の全固形物重量%は、合計して、全固形物の100重量%である。
【0123】
本発明による調合物の具体的な非限定的な例は次のものである:
ポリマーが構造(XIb)の繰り返し単位を含む成分b)と、構造(Il1)、(Il2)、(Il3)、(Il4)を有する金属化合物またはこれらの混合物からなる群から構成される成分a)から構成される非限定的な組成物、但し、nは6~20。具体的な態様の一つでは、この調合物は、約50:50比率の成分a)及び成分b)を含む。他の態様の一つでは、これは、約80:20:40の比率の成分a):任意選択の成分c):成分b)を含み、ここで任意選択の成分c)はトリエタノールアミンである。
【0124】
ポリマーが構造(XId)の繰り返し単位を含む成分b)と、構造(Il1)、(Il2)、(Il3)、(Il4)を有する金属化合物またはこれらの混合物からなる群から構成される成分a)から構成される非限定的な組成物、但し、nは6~20。具体的な態様の一つでは、この調合物は、約50:50比率の成分a)及び成分b)を含む。他の態様の一つでは、これは、約80:20:40の比率の成分a):任意選択の成分c):成分b)を含み、ここで任意選択の成分c)はトリエタノールアミンである。
【0125】
ポリマーが構造(XIIc)の繰り返し単位を含む成分b)と、構造(Il1)、(Il2)、(Il3)、(Il4)を有する金属化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される金属化合物から構成される成分a)から構成される非限定的な組成物、但し、nは6~20。具体的な態様の一つでは、この調合物は、約50:50比率の成分a)及び成分b)を含む。他の態様の一つでは、これは、約80:20:40の比率の成分a):任意選択の成分c):成分b)を含み、ここで任意選択の成分c)はトリエタノールアミンである。
【0126】
ポリマーが構造(XIIIc)の繰り返し単位を含む成分b)と、構造(Il1)、(Il2)、(Il3)、(Il4)を有する金属化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される金属化合物から構成される成分a)から構成される非限定的な組成物、但し、nは6~20。具体的な態様の一つでは、この調合物は、約50:50比率の成分a)及び成分b)を含む。他の態様の一つでは、これは、約80:20:40の比率の成分a):任意選択の成分c):成分b)を含み、ここで任意選択の成分c)はトリエタノールアミンである。
【0127】
ポリマーが構造(XIIIe)、(XIIIf)、(XIIIg)、(XIIIh)、(XIIIi)を有する構造単位の繰り返し単位及びこれらの混合物を含む成分b)(式中、R16及びR17はメチルであり、そしてRa1、Ra2及びRa3は水素である)と、構造(Il1)、(Il2)、(Il3)、(Il4)を有する金属化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される金属化合物から構成される成分a)とから構成される非限定的な組成物、但し、nは6~20。具体的な態様の一つでは、この調合物は、約50:50比率の成分a)及び成分b)を含む。他の態様の一つでは、これは、約80:20:40の比率の成分a):任意選択の成分c):成分b)を含み、ここで任意選択の成分c)はトリエタノールアミンである。
【0128】
ポリマーが構造(XIV)、(XVa)を有する構造単位の繰り返し単位及びこれらの混合物を含む成分b)(式中、Ra1、Ra2及びRa3は水素である)と、構造(Il1)、(Il2)、(Il3)、(Il4)を有する金属化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される金属化合物から構成される成分a)とから構成される非限定的な組成物、但し、nは6~20。具体的な態様の一つでは、この調合物は、約50:50比率の成分a)及び成分b)を含む。他の態様の一つでは、これは、約80:20:40の比率の成分a):任意選択の成分c):成分b)を含み、ここで任意選択の成分c)はトリエタノールアミンである。
【0129】
本発明による組成物の他の類似の非限定的な例は、前記の非限定的な例に相当するが、記載の成分a)が、各々の場合に、
構造(Id1)、構造(Id2)、構造(Id3)、構造(Id4)、構造(Id5)、または構造(Id6)(但し、R11aは、構造(IVc)を有するシリル部分であり、nは独立して1~20の整数であり、そしてpは独立して1~500の整数である)を有する金属錯体の混合物から構成される成分a)、
構造(If1)、構造(If2)、構造(If3)、構造(If4)(但し、nは1~20)を有する金属錯体の混合物から構成される成分a)(本発明のこの観点の他の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。なお更に他の態様の一つでは、nは2~20である。)、
構造(Ih1)、構造(Ih2)、構造(Ih3)、構造(Ih4)(但し、nは1~20)を有する金属錯体の混合物から構成される成分a)(本発明のこの観点の他の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。なお更に他の態様の一つでは、nは2~20である。)、及び
構造(Ij1)、構造(Ij2)、構造(Ij3)、構造(Ij4)(但し、nは1~20)を有する金属錯体の混合物から構成される成分a)(本発明のこの観点の他の一つの態様では、nは6~20である。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、nは1である。なお更に他の態様の一つでは、nは2~20である)、
からなる群から選択される他の金属錯体a)に置き換えられているものである。
【0130】
任意の成分c)、ポリオール
前記の本発明の組成物の一つの態様では、成分c)のポリオールが存在する。
【0131】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、XがCであるものである。
【0132】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、XがNであるものである。
【0133】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、Yが直接結合、メチレン、エチレンまたは構造(VII)を有する部分であるものである。
【0134】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、rが2、3または4であるものである。
【0135】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、R14が水素であるものである。
【0136】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、qが0、1または2であるものである。
【0137】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、sが0または2であるものである。
【0138】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、sが0であるものである。
【0139】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、sが2であるものである。
【0140】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、この態様は、sが1であるものである。
【0141】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、XがNであり、YがC~Cアルキレンである場合、またはXがCであり、Yが、直接原子価結合、C~Cアルキレン、及び構造(VII)を有する部分からなる群から選択される場合は、この態様は、R15がエチレンまたはプロピレンであるものである。
【0142】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)の構造(VI)を有するポリオール添加剤では、XがNであり、YがC~Cアルキレンである場合、またはXがCであり、Yが、直接原子価結合、C~Cアルキレン、及び構造(VII)を有する部分からなる群から選択される場合は、この態様は、tが1であるものである。
【0143】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)において、この態様は、ポリオール添加剤が、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ネオペンチルグリコール、グリセロールプロポキシレート及びペンタエリトリトールエトキシレートからなる群から選択されるものである。
【0144】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、成分c)が存在する場合は、この態様は、ポリオール添加剤が次から選択されるものである:
【0145】
【化37】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)が存在する場合は、これは、次からなる群から選択される:
【0146】
【化38】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分cは次から選択される:
【0147】
【化39】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分cは次から選択される。
【0148】
【化40】
前記の本発明の組成物の他の好ましい態様の一つでは、成分c)であるポリオールが存在する場合は、全ての固形成分の重量%としてのこの成分の重量%は、約1重量%~約30重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形成分の重量%は、約5重量%~約30重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形成分の重量%としての成分c)のこの重量%は、約10重量%~約25重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形成分の重量%としての成分c)のこの重量%は、約10重量%~約20重量%である。この態様の他の観点の一つでは、全固形成分の重量%としての成分c)のこの重量%は、約12重量%~約15重量%である。成分c)が存在する前記の全ての態様において、全合計固形物含有率は、追加的な成分が存在しない場合は、全固形物の100重量%となる。追加的な成分が存在する場合は、成分a)、成分b)、成分c)及びこれらの追加的な成分(複数可)のうちの任意のものの全固形物の全固形物重量%は、合計して、全固形物の100重量%である。
【0149】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、成分c)において、この態様は、ポリオール添加剤が500未満の分子量を有するものである。
【0150】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、成分c)において、この態様は、ポリオール添加剤が300未満の分子量を有するものである。
【0151】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、成分c)において、該ポリオール添加剤は、少なくとも200℃の沸点を有する。
【0152】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、該ポリオール添加剤は、少なくとも250℃の沸点を有する。
【0153】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、該ポリオール添加剤は、少なくとも400℃の沸点を有する。
【0154】
前記の本発明の組成物の他の態様では、成分b)のアルキニルオキシ置換スピンオン炭素ポリマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンからなる群から選択される。
【0155】
成分d)、溶剤
溶剤は、通常は、アルコール、エステル、ケトン、ラクトン及び/またはジケトン類を含む溶剤または溶剤混合物である。コーティングの品質を高めるために、界面活性剤などの追加的な成分(<1%)を加えることができる。ベークしたフィルムの組成は、前記条件下に20~70%の全酸化物を含む。
【0156】
前記の新規組成物において、固形成分は、有機溶剤である溶剤成分f)中に溶解させてよい。適当な有機溶剤の例には、限定はされないが、1-メトキシ-2-プロパニルアセテート(PGMEA)、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME)、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3-メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチル-3-エトキシプロパノエート、メチル-3-エトキシプロパノエート、メチル-3-メトキシプロパノエート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、ジアセトンアルコール、ピバル酸メチル、ピバル酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロパノエート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロパノエート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ガンマ-ブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、テトラメチレンスルホン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテル、及びアニソールなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独でまたは二種以上のものの混合物として使用し得る。
【0157】
一つの態様では、固形成分はPGMEA/PGME70:30中に溶解される。
【0158】
上記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分dである溶剤は、アルコール、エステル、ケトン、ラクトン、ジケトン、芳香族部分、カルボン酸、アミド及びこれらの混合物からなる群から選択される。一つの態様では、溶剤はシクロヘキサノンである。
【0159】
他の任意選択の成分
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分a)、b)、c)及びd)の他に、これらの組成物は、界面活性剤、レベリング剤、架橋添加剤及び熱活性化触媒からなる群から選択される少なくとも一種の追加的な成分を更に含んでよい。
【0160】
任意選択の界面活性剤
界面活性剤などの任意選択の成分は、コーティングの品質を高めるために、1重量%未満の濃度など少量で加えることができる。
【0161】
より具体的には、ここに開示及び特許請求される該新規組成物と適合性がありそして必要に応じてそれに添加できる他の任意選択の成分としては、表面上のコーティングされた組成物の性質などを改善するための補助樹脂、可塑剤、表面レベリング剤及び安定剤などが挙げられる。表面レベリング剤には、界面活性剤などを挙げ得る。界面活性剤には特に制限はなく、そしてそれの例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及びポリオキシエチレンオレインエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、及びソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレンソルビタントリオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート;フッ素化界面活性剤、例えばF-Top EF301、EF303及びEF352(ジェムコ社製)、Megafac F171、F172、F173、R08、R30、R90及びR94(DIC株式会社製)、Florad FC-430、FC-431、FC-4430及びFC-4432(住友スリーエム株式会社製)、Asahi Guard AG710、Surflon S-381、S-382、S-386、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、Surfinol E1004、KH-10、KH-20、KH-30及びKH-40(AGC株式会社製);有機シロキサンポリマー、例えばKP-341、X-70-092及びX-70-093(信越化学工業株式会社製);及びアクリル酸もしくはメタクリル酸ポリマー、例えばPolyflow No.75及びNo.95(共栄社化学株式会社製)などが挙げられる。
【0162】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、前記界面活性剤は、該組成物の全重量の1%未満の量で存在する。
【0163】
任意選択の架橋剤
架橋剤は、形成するべきコーティングのコーティング形成特性を向上して、上層(例えば、ケイ素含有中間層及びレジスト)との相互混合を防止し、そして上層中への低分子量成分の拡散を防ぐ目的のために、加えることができる。
【0164】
本発明で使用できる架橋剤の例示的な態様には、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシルオキシメチル基から選択される少なくとも一つの基によって置換されたメラミン、グアナミン、グリコールウリル及び尿素化合物;エポキシ化合物;チオエポキシ化合物;イソシアネート化合物;アジド化合物;及びアルケニルエーテル基などの二重結合含有基を有する化合物などが挙げられる。これらは添加剤として使用してもよいし、またはその代わりに、ポリマー側鎖中に懸垂基として導入してもよい。ヒドロキシ基を含む化合物も、架橋剤として使用することができる。
【0165】
前述のエポキシ化合物の例には、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、及びトリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。メラミン化合物の例示的な態様には、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、及びこのような化合物のうちで任意のものの任意の混合物などが挙げられる。グアナミン化合物の例には、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、及びこのような化合物のうちで任意のものの任意の混合物などが挙げられる。前記グリコールウリル化合物の例には、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、及びこのような化合物のうちで任意のものの任意の混合物などが挙げられる。前記尿素化合物の例には、テトラメチロール尿素及びテトラメトキシメチル尿素などが挙げられる。
【0166】
アルケニルエーテル基を含む前記化合物の例には、エチレングリコールジビニルエーテル及びトリエチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。
【0167】
本発明で使用される架橋剤の例には、構造(XV)によって表されるものなどが挙げられる。
【0168】
【化41】
構造(XV)において、Lは、直接結合、置換されたもしくは置換されていないC1-3アルキル、または置換されたもしくは置換されていないC7-16アラルキルである。Lは、好ましくは直接結合、Cアルキル、またはC15アラルキルである。前記アルキルまたはアラルキルの置換基は、好ましくは水素、メチル、C6-11アリール、または構造(XVI)もしくは構造(XVII)の置換基、より好ましくはメチル、構造(XVI)の置換基、または構造(XVII)の置換基である。好ましい観点の一つでは、Lは、置換されていないC1-3アルキルまたは置換されていないC1-3アラルキルである。
【0169】
【化42】
構造(XV)において、R11は水素またはメチルである。
【0170】
以下は、構造(XV)によって表される架橋剤の例示の態様である。本発明の範囲は、それらに限定されない。
【0171】
【化43】
以下は、平坦化コーティング形成組成物中に含まれ得る他の架橋剤の例示の態様である。本発明の範囲は、それらに限定されない。
【0172】
【化44】
これらの架橋剤は、例えば、三和ケミカル株式会社、本州化学工業株式会社、旭有機材株式会社、及び日本カーバイド工業株式会社から入手できる。
【0173】
本発明の一つの態様では、前記架橋剤の量は、全組成物の質量に対して好ましくは0~300,000ppmである。該組成物が架橋剤を含む場合には、その量は、好ましくは0.1~100,000ppm、より好ましくは1~50,000ppm、更に好ましくは10~10,000ppmである。
【0174】
また、有効量の架橋剤を加えない場合も、本発明の組成物はその効果を発揮できる。この場合、全組成物の質量に対する架橋剤の量は、好ましくは0~20,000ppm、より好ましくは0~5,000ppm、更に好ましくは0~1,000ppm、及び更に好ましくは0~100ppmである。
【0175】
本発明の態様の一つでは、架橋剤の量は、該組成物中に含まれる発明されたエチニル誘導複合体の全質量(または、二種以上の発明されたエチニル誘導複合体の全質量)に対して、好ましくは1~200質量%(より好ましくは、5~100質量%、更に好ましくは10~40質量%、更に好ましくは15~25質量%)である。該組成物中への架橋剤の配合は、以下の効果を奏することが期待される:架橋剤が、コーティングの形成中に、発明されたエチニル誘導複合体に結合して、架橋剤と該化合物との複合体全体の分子間捻れを制御し、及び該複合体の平面性を高める。
【0176】
プロセスコントロールの容易さを前提として、本発明は、発明されたエチニル誘導複合体を、架橋剤を添加せずに(これは、架橋剤の量が、発明されたエチニル誘導複合体の質量に対して0質量%であることを意味する)、それ自体によってコーティングとして形成されるような態様として実施し得る。
【0177】
任意選択の酸発生剤
本発明による組成物の一つの態様は、酸発生剤を更に含むことができる。該組成物中に含まれる酸発生剤の量は、発明されたエチニル誘導複合体の質量(または、二種以上の発明されたエチニル誘導複合体の全質量)に対して、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは1~7質量%、更に好ましくは1~5質量%である。
【0178】
前記酸発生剤は、加熱された時に強酸を生成することができる熱酸発生剤であることができる。本発明の一つの態様で使用される熱酸発生剤(TAG)は、発明されたエチニル誘導複合体と反応することができかつ該エチニル誘導複合体の架橋を促進することができる酸を、加熱された時に生成する一種以上の熱酸発生剤を含むことができる。この酸は、より好ましくは、スルホン酸類などの強酸である。該熱酸発生剤は、好ましくは、80℃を超える温度で活性化される。熱酸発生剤の例には、金属不含スルホニウム塩、例えば強非求核性酸のトリアリールスルホニウム、ジアルキルアリールスルホニウム、及びジアリールアルキルスルホニウム塩;強非求核性酸の金属不含ヨードニウム塩、例えばアルキルアリールヨードニウム及びジアリールヨードニウム塩;及び強非求核性酸のアンモニウム、アルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、及びテトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。また、共有結合型酸発生剤も添加剤として有用であると考えられ、そして例には、アルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸の2-ニトロベンジルエステル、及びフリーのスルホン酸に熱分解される他のスルホン酸エステルなどが挙げられる。それの例には、ジアリールヨードニウムパーフルオロアルキル及びスルホネートなどが挙げられる。不安定なエステルの例には、ニトロベンジルトシレート類、例えば2-ニトロベンジルトシレート、2,4-ジニトロベンジルトシレート、2,6-ジニトロベンジルトシレート、及び4-ニトロベンジルトシレート;ベンゼンスルホネート類、例えば2-トリフルオロメチル-6-ニトロベンジル4-クロロベンゼンスルホネート及び2-トリフルオロメチル-6-ニトロベンジル4-ニトロベンゼンスルホネート;フェノール系スルホネートエステル、例えばフェニル4-メトキシベンゼンスルホネート;第四級アンモニウムトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチド類;第四級アルキルアンモニウムビス(フルオロアルキルスルホニウム)イミド類;及び有機酸類のアルキルアンモニウム塩、例えば10-カンフルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などが挙げられる。US3474054B(特許文献1)、US4200729B(特許文献2)、US4251665B(特許文献3)、及びUS5187019B(特許文献4)に記載のものなどを始めとした、芳香族(アントラセン、ナフタレン、またはベンゼン誘導体)スルホン酸類の様々なアミン塩を、TAGとして使用できる。
【0179】
以下は、該組成物中に含まれ得る熱酸発生剤の例示的な態様である。本発明の範囲は、それらに限定されない。
【0180】
【化45】
プロセスコントロールの容易さを前提として、本発明は、酸発生剤が該組成物に加えられない(これは、酸発生剤の量が、発明されたエチニル誘導複合体の質量に対して0質量%であることを意味する)ような態様として実施し得る。
【0181】
本発明の一つの態様では、該酸発生剤の量は、全組成物の質量に対して、好ましくは0~50,000ppm、より好ましくは0~5,000ppm、更に好ましくは0~1,000ppm、更に好ましくは0~100ppmである。
【0182】
任意選択のラジカル発生剤
重合を開始するために、ラジカル発生剤を該組成物に加えることができる。該ラジカル発生剤は、加熱された時にラジカルを生成し、それらの例にはアゾ化合物及び過酸化物などが挙げられる。ラジカル発生剤の例示の態様には、有機過酸化物類、例えばヒドロパーオキシド類、例えばジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、及びt-ブチルヒドロパーオキシド、ジアルキルパーオキシド類、例えばα,α-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ケトンパーオキシド類、パーオキシケタール類、例えばn-ブチル4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、ジアシルパーオキシド類、パーオキシジカーボネート類、及びパーオキシエステル類;及びアゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-(シクロヘキサン-1-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオネート)、及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などが挙げられる。これらの熱ラジカル発生剤は、単独でも、または他との組み合わせでも使用でき、好ましくは単独で使用される。これらの既知のラジカル発生剤を該組成物中に使用でき、そしてこれらのラジカル発生剤は、例えばNOF社から得ることができる。
【0183】
組成:溶剤中の全固形成分の含有率
一つの態様では、これらの新規組成物の場合は、溶剤中の全固形成分の全固形物含有率重量%は、この溶剤中で約1重量%~約40重量%の範囲の全固形成分である。他の態様の一つでは、約2重量%~約40重量%である。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、約5重量%~約35重量%である。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、固形成分の重量%は約10重量%~約35重量%である。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、約10重量%~約35重量%である。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、固形成分の重量%は約15重量%~約30重量%である。他では、約20重量%~約30重量%である。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、固形成分の重量%は約25重量%である。
【0184】
組成物の使用方法
トポグラフィ図形を有する基材中の空隙を充填する方法。
【0185】
本発明の一つの観点は、前記の新規組成物のいずれかを用いたコーティングプロセスによってパターン化基材中のこのようなビア等の空隙を充填することにより製造されたパターン化高K材料を形成することで、電子デバイスを製造する方法である。前記のパターン化基材は、パターン化された半導体(ケイ素、ゲルマニウムなど)、パターン化されたスピンオン炭素、またはパターン化されたレジストであってよい。生じたパターン化材料は、高K材料としてのそれの用途の他に、ハードマスクの役割として電子デバイスの製造にも代替的に使用し得る。このパターン化ハードマスクは、本発明の組成物中に含まれる金属化合物の耐熱的な性質のおかげで、様々なプラズマに対する高い耐エッチング性を与え、基材中にパターンをエッチング及び転写することを可能にする。
【0186】
該新規組成物は、コーティングフィルムを形成するために、次のように基材(未パターン化もしくはパターン化基材)に施与することができる:
a)前記の本発明の組成物のいずれかを基材上に施与してコーティングフィルムを形成し;及び
b)コーティングフィルムを150℃と400℃との間の温度で、30秒間~240秒間の時間加熱して、硬化したコーティングフィルムを形成する。
【0187】
この態様の他の観点の一つでは、前記コーティングフィルムは最大で120秒間までの時間、加熱する。他の観点の一つでは、該ハードマスク組成物は、スピンオンコーティング法によって基材上に施与することができる。更に別の観点の一つでは、この組成物は、ステップa)において、ワンステップ・スピンオンコーティング法によって基材に施与され、コーティングフィルムを形成する。
【0188】
空隙充填材料としての本発明の組成物の使用に関してのこの方法の一つの態様では、コーティングフィルムを形成するために該組成物でコーティングされた基材は、トポグラフィ図形を含むパターン化基材である。この例では、前記コーティングフィルムは、ステップb)で形成された硬化コーティングフィルムが前記トポグラフィ図形を覆うのに十分な厚さでコーティングされ、更にここで、ステップb)でフィルムをベークした後に、該方法は、以下のような追加のステップとしてステップc)を含む。
【0189】
c)トポグラフィの上面を覆う部分の前記硬化フィルムを、化学的ストリッパまたはフッ素化プラズマエッチングを用いて除去し、それによって、充填されたトポグラフィ図形を生成し、この場合に、硬化コーティングフィルムが、上記トポグラフィ図形と面一である。
【0190】
本発明の方法のこの空隙充填観点の他の態様の一つでは、前記トポグラフィ図形は、ケイ素基材を覆うパターン化スピンオン炭素層中にある。この方法の他の態様の一つでは、前記トポグラフィ図形は、ケイ素、ゲルマニウムなどのパターン化半導体中にある。更に他の一つでは、前記トポグラフィ図形は、前記半導体基材を覆うパターン化レジスト中にある。これらの本発明の空隙充填方法のいずれにおいても、更に別の態様の一つでは、充填される前記トポグラフィ図形はビアである。これらの空隙充填方法のいずれにおいても、更に別の態様の一つでは、前記トポグラフィ図形はコンタクトホール、ビアまたはこれらの混合である。
【0191】
これらの方法のいずれにおいても、更に別の態様の一つでは、前記トポグラフィ図形が、半導体基材(例えばケイ素、ゲルマニウムなど)を覆うパターン化フォトレジストまたはパターン化有機高炭素コーティングである場合は、該方法は、ステップc)の後に、次のような追加のステップであるステップd)を更に含む:
d)前記パターン化有機高炭素コーティングまたは前記パターン化フォトレジストを、酸素プラズマにより除去し、それによって、前記パターン化フォトレジストまたは前記パターン化有機高炭素コーティングのネガトーン画像を形成し、ここで、残った前記の充填されたトポグラフィ図形は、前記パターン化フォトレジストまたは前記パターン化有機高炭素コーティングの除去の後に、金属酸化物から構成されるパターンを形成する。本発明の一つの観点では、金属酸化物から構成されるこのパターンは、パターン化高K材料として、またはこのようなK材料を組み入れた微細電子部品の製造に有用である。その代わりに、この発明の他の観点の一つでは、金属酸化物から構成されるパターンは、フッ素化プラズマなどの適切なプラズマを用いた下にある半導体基材中へのパターン転写のためのパターン化ハードマスクとして使用し得る。
【0192】
残ったパターン化新規組成物が、ステップd)の後に、パターン化高K材料としてではなく、パターン化ハードマスクとして使用される本発明の方法では、前記の本発明の方法は、ステップd)の後に、次のような追加のステップのステップe)を含む:
e)金属酸化物から構成される前記パターンを、パターン化ハードマスク、すなわちエッチングバリアとして使用し、そしてフッ素化プラズマを用いて半導体基材中へエッチングする。
【0193】
これらの前記方法(別の言い方では、パターン化高K材料またはパターン化ハードマスクのいずれかを形成するための方法)のいずれにおいても更に別の態様の一つでは、前記トポグラフィ図形は1:1~10:1のアスペクト比を有する。これらの方法のいずれにおいても更に別の態様の一つでは、前記トポグラフィ図形は1~10のアスペクト比を有し、そして微少寸法(CD)で5nm~100nm、好ましくは10nm~100nmの範囲であるものから選択し得る。
【0194】
前記の方法のいずれの場合も更に別の態様の一つでは、ステップb)において、150℃~400℃、好ましくは250℃~400℃の温度でのフィルムのベークを、二つのベークステップb1)及びb2)で行い、この際、ベークステップb1)は、250℃~275℃で行われ、そしてベークステップb2)は300℃~400℃、好ましくは350℃~400℃で行われる。この態様の他の観点の一つでは、前記ベークステップb1)は200℃~250℃であり、そしてベークステップb2)は350℃~400℃である。この観点の他の態様の一つでは、前記ベークステップb1)は250℃であり、そしてベークステップb2)は400℃である。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb1)は30~120秒間行われ、そして前記ベークステップb2)は60~120秒間行われる。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb1は60秒間~120秒間行われ、そして前記ベークステップb2)は90秒間~120秒間行われる。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb1)は60秒間~120秒間行われる。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb2)は90秒間~120秒間行われる。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb1)は60秒間行われる。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb2)は90秒間行われる。
【0195】
更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb1)は1分間行われ、そして前記ベークステップb2)は120秒間行われる。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb1)は60秒間行われる。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb2)は120秒間行われる。
【0196】
パターン化ハードマスクを製造するための、ケイ素基材上での本発明の組成物の使用方法
この発明の他の観点の一つは、前記の本発明のハードマスク組成物のいずれか一つを用いて、未パターン化基材上で、好ましくはケイ素基材上で、パターン化ハードマスクを製造し、そしてこのパターンを使用してパターン化基材を生成する方法であって、次のステップa3)~h3)を含む方法である:
a3)前記の組成物を基材上に施与して、コーティングフィルムを形成する、
b3)前記コーティングフィルムを150~400℃の温度でベークして、ハードマスクフィルムを形成する、
c3)前記ハードマスクフィルムの上面に底面反射防止コーティングをコーティングし、
d3)上記反射防止コーティングの上面にフォトレジストをコーティングし、
e3)上記フォトレジストをパターン化してフォトレジストパターンを形成し、
f3)前記フォトレジストパターンで保護されていない前記底面反射防止コーティングを通して、前記ハードマスクコーティングに至るまで、フッ素化プラズマを用いてエッチングし、
g3)前記底面反射防止コーティング及び前記フォトレジストパターンで保護されていない前記ハードマスクフィルムを通して、ケイ素基材に至るまで、塩素プラズマでエッチングして、パターン化ハードマスクフィルムを生成し、
h3)前記パターン化ハードマスクフィルムによって保護されていない領域において、フッ素化プラズマを用いてケイ素基材中にエッチングして、ケイ素図形中にトポグラフィ図形を形成する。
【0197】
この方法の他の観点の一つでは、ステップb3)において、150℃~400℃の温度でのフィルムのベークを、二つのベークステップb1’)及びb2’)で行い、ここで、ベークステップb1’)は150℃~250℃で行い、そしてベークステップb2’)は300℃~400℃で行う。この態様の他の観点の一つでは、前記ベークステップb1’)は200℃~250℃であり、そしてベークステップb2’)は350℃~400℃である。この態様の他の観点の一つでは、前記ベークステップb1’)は250℃であり、ベークステップb2’)は400℃である。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb1’)は30秒間~120秒間行われ、そして前記ベークステップb2’)は60秒間~120秒間行われる。
【0198】
更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb1’)は60~120秒間、好ましくは90~120秒間行われる。更に別の観点の一つでは、前記ベークステップb2’)は90秒間~120秒間行われる。
【0199】
更に他では、前記ベークステップb’1)は60秒間行われ、そして前記ベークステップb2’)は120秒間行われる。
【0200】
一つの態様では、先に記載のように硬化された本発明の組成物の硬化フィルムは、全金属酸化物の割合が約15重量%~約75重量%である。この態様の他の観点の一つでは、該硬化フィルムは、約20重量%~約70重量%の金属酸化物を含む。
【0201】
先に記載のように、パターン化ハードマスクとして使用されるパターン化及び硬化された本発明の組成物フィルムは、次のように二つの方法で製造される。1)半導体基材上のパターン化フォトレジストまたはパターン化有機高炭素コーティングから構成されるトポグラフィ図形の充填を介する方法;または2)未パターン化半導体基材上の本発明の組成物の硬化フィルムのフォトレジストパターン化プロセスを介する方法。いずれの場合も、フッ素プラズマでエッチング転写した後は、パターン化ハードマスクの一部が、この転写の後に。この例では、残ったハードマスクパターンは、化学液中で剥離可能である。
【0202】
本発明の他の観点の一つは、構造(XII)の繰り返し単位を含む新規のスピンオン高炭素ポリマーであり、ここでfArは縮合芳香族環であり、R16及びR17は、それぞれ独立して水素またはC~Cアルキルである。この態様の他の観点の一つでは、fArは、2~8個の縮合芳香族環を含む基である。更に別の観点の一つでは、fArはアントラセンである。更に別の観点の一つでは、前記繰り返し単位は構造(XIIa)を有する。更に別の観点の一つでは、これは構造(XIIb)を有する。更に別の観点の一つでは、これは構造(XIIc)を有する。更に別の観点の一つでは、これは構造(XIIb)を有する。
【0203】
【化46】
本発明の他の観点の一つは、構造(XIII)、(XIIIa)、(XIIIb)、(XIIIc)及び(XIIId)を有する繰り返し単位及びこれらの混合物からなる群から選択される繰り返し単位を含む新規のスピンオン高炭素ポリマーである。この態様の他の観点の一つは、(XIIIe)、(XIIIf)、(XIIIg)、(XIIIh)及び(XIIIi)、及びこれらの混合物から選択される繰り返し単位を含む前記新規のスピンオン高炭素ポリマーである。この態様の他の観点の一つでは、R16及びR17はC~Cアルキルである。更に別の態様の一つでは、R16及びR17はC~Cアルキルである。この観点の更に別の態様の一つでは、R16及びR17は水素である。更に別の態様の一つでは、R16及びR17はメチルである。更に別の態様の一つでは、Ra1、Ra2及びRa3は水素である。
【0204】
【化47】
本発明の他の観点の一つは、構造(XIV)を有する繰り返し単位を含む新規のスピンオン高炭素ポリマーである。この態様の他の観点の一つでは、これは、構造(XIVa)を有する繰り返し単位からなる群から選択される繰り返し単位を含む。他の態様の一つでは、Ra1、Ra2及びRa3は水素である。同様に、これらの態様では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基が、前記のモル比でヒドロキシ基で置き換えられた任意選択の繰り返し単位が存在し得る。追加的に、他の任意選択の繰り返し単位では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基は、水素、アリール、またはC~Cアルキル基で置き換えられてよく、このような任意選択の繰り返し単位は、成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在することができ、他の観点の一つでは、これらは約10モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは5モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは1モル%までの割合で存在する。
【0205】
【化48】
本発明の他の観点の一つは、構造(XIc)を有する繰り返し単位を含む新規のスピンオン高炭素ポリマーである。この態様の他の観点の一つでは、前記スピンオン高炭素ポリマーは、構造(XIb)を有する繰り返し単位を含む。同様に、成分b)のこれらの態様では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基が、前記のモル比でヒドロキシ基で置き換えられた任意選択の繰り返し単位が存在し得る。追加的に、他の任意選択の繰り返し単位では、これらの繰り返し単位中のアルキニルオキシ基は、水素、アリール、またはC~Cアルキル基で置き換えられてよく、このような任意選択の繰り返し単位は、成分b)中の全部分の約20モル%までの割合で存在することができ、他の観点の一つでは、これらは約10モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは5モル%までの割合で、更に別の観点の一つでは1モル%までの割合で存在する。
【0206】
【化49】
本発明の他の観点の一つは、好ましくは電子デバイスの製造において、基材上でのコーティングフィルムの形成のために、先に記載の組成物のまたはスピンオン高炭素ポリマーの使用である。
【実施例
【0207】
以下、本開示のより具体的な態様と、このような態様をサポートする実験結果について説明する。しかし、以下の開示は、例示のみを目的としたものであり、それ故、請求項に記載の発明の範囲を如何様にも限定することを意図したものではない点を指摘しておく。以下の記載に使用する「部」という用語は、他に記載がなければ、質量部を指す。
【0208】
ポリマーの分子量は、ウォーター2695アライアンス・セパレーション・モジュールを用いて、またはウォーターズ・デュアル・ウェーブレンジUVデテクタ-、モデル2487もしくは等価品及びウォーターズ・ディファレンシャル・リフラクトメータ、モデル2414、デテクター等価品、ショウデックスカラムセット(一つのショウデックスGPC KF-801(1.5×10)カラム、二つのショウデックスGPC KF-802(5×10)カラム及び一つのショウデックスGPC KF-804(4×10)カラム)を備えた等価品を用いてゲル透過クロマトグラフィで測定した。移動相は、UV安定化THF HPLCグレードであり、そして分子量標準は、アメリカン・スタンダーズ・コーポレーション及びミリポア・コーポレーションによって供給されているポリスチレン標準のセットまたは等価品であった。
【0209】
AZ(登録商標)ArF Thinner(ArFシンナー)(別称では70/30PGMEA/PGME)は、イー・エム・ディー・パフォーマンス・マテリアルズ・コーポレーション(ニュージャーシー州、サマービル、マイスターアベニュー70)から得た。Ti(IV)、ブトキシドポリマー(BTP)、ペンタエリトリトールエトキシレート(3/4EO/OH)及び他の化学品は、他に記載がなければ、シグマ・アルドリッヒ・コーポレーション(米国ミズーリ州、セントルイス)から購入した。
【0210】
以下において金属酸化物コーティング例の屈折率(n)及び吸光係数(k)値は、ジェー・エー・ウーラムVASE32エリプソメータで測定した。
【0211】
Ti重量%または他の金属の含有率を測定するために使用した熱重量分析法を、O雰囲気中で120℃/分の加熱速度で50℃から800℃に加熱し、そしてこの温度を60分間維持して、パーキンエルマー社製熱重量分析器TGA7を用いて行った。
【0212】
Tiまたは他の金属の含有率(重量%)及びSi含有率(重量%)を測定するために使用した元素分析は、ニュージャージー州ホワイトホースのインターテックにより行われた。
【0213】
成分b)の前記スピンオン炭素ポリマーの量は、通常は金属化合物の100%未満、好ましくは金属化合物の50%未満である。
【0214】
溶剤は、通常は、アルコール、エステル、ケトン、ラクトン、ジケトン類を含む溶剤または溶剤混合物である。コーティングの品質を高めるために、界面活性剤などの追加的な成分(<1%)を加えることができる。
【0215】
スピンオン炭素ポリマー合成
キャップされていない高炭素前駆体を、フェノール系部分で官能化された芳香族及び縮合芳香族材料が関与する酸触媒化縮合方法によって製造した。これらの前駆体の分子量は、縮合反応に関与する原料のモル比を変えるかまたは酸触媒のモル%を変化させることによって調整した。例えば、酸触媒(例えばトリフルオロメタンスルホン酸)をより少ないモル%の量で使用することによって、より大きい分子量を得た(例えば、ポリマー合成例2a及び3a)。代替的に、例えば9-フルオレノン様誘導体などの材料の共重合では、これらの9-フルオレノン様誘導体とコモノマーとのモル比を1:1モル比に近似するように高めると分子量を大きくし、他方で、この比率を低くすると、Mwは小さくなる(例えば、ポリマー合成例1aでは、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンのモル数に対する9-フルオレノンのモル数のモル比は0.167)。
【0216】
ポリマー合成例1a:9-フルオレノン及び9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンの重合
攪拌機、冷却器(リービッヒ冷却器)、加熱器、窒素入口管、及び温度コントローラを備えた反応容器を用意した。この反応容器に、9-フルオレノン(50g、0.227モル、東京化成工業)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(583g、1.667モル、大阪ガスケミカル株式会社)及びジクロロメタン(2656g)を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌し、そして40℃に加熱し、この温度を維持した。次いで、ジクロロメタン(200g)中に溶解したトリフルオロメタンスルホン酸(92g、TCI)及び3-メルカプトプロピオネート(5g、TCI)を、この反応容器にゆっくりと加え、そして40℃で4時間攪拌して反応させた。反応の完了後、反応溶液を室温まで冷却した。この反応溶液に十分な水を加え、そして余分な9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンを濾過して除去した。析出物をジクロロメタンで洗浄した。十分な水をそのジクロロメタン溶液に加えて、トリフルオロメタンスルホン酸を除去した。次いで、生じた溶液を40℃、10mmHgで蒸留して、ジクロロメタンを除去し、そしてP1前駆体(468g)を得た。Mn及びMwをGPC(テトラヒドロフラン)で測定した。Mnは727Daであった。Mwは991Daであった。分子量分布(Mw/Mn)は1.36であった。この材料のより大きな分子量は、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンに対する9-フルオレノンのモル比を1:1に近くなるまで高めることによって得ることができた。
【0217】
ポリマー合成例1b:例1aのポリマーのアルキニルキャップド
攪拌機、冷却器(リービッヒ冷却器)、加熱器、窒素入口管、及び温度コントローラを備えた反応容器を用意した。この反応容器に、ポリマー合成例1aのポリマー(200g)、炭酸カリウム(323g)及びアセトン(616g)を仕込み、そして窒素雰囲気下に攪拌しながら56℃に維持した。次いで、3-ブロモ-1-プロピン(278g)をこの反応容器に加え、そして3時間、攪拌しながら56℃に維持して反応させた。反応の完了後、反応溶液を通常の室温まで冷却した。余分な炭酸カリウム及びそれの塩を濾過して除去した。析出物をアセトンで洗浄した。次いで、そのアセトン溶液を40℃、10mmHgで蒸留してアセトンを除去し、そして乾燥固形物を得た。得られた乾燥固形物を酢酸エチル(820g)中に溶解した。十分な水をその酢酸エチル溶液に加えて、金属不純物を除去した。この酢酸エチル溶液を40℃、10mmHgで蒸留して酢酸エチルを除去して、乾燥固形物を得た。この乾燥固形物(185g)をアセトン(185g)中に溶解した。次いで、メタノール(1850g)を前記アセトン溶液中に加え、そして濾過して固形物を得た。この固形物を100℃、10mmHgで乾燥した。結果物はP1(76g)であった。Mn及びMwをGPC(テトラヒドロフラン)で測定した。Mnは789Daであった。Mwは1054Daであった。分子量分布(Mw/Mn)は1.34であった。このポリマーのより高分子量バージョンは、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンに対する9-フルオレノンのモル比が1:1に近づくように高められたポリマー合成例1aの変法で得られたポリマーを原料として使用することによって得られた。
【0218】
ポリマー合成例2a:9-アントラセンメタノール、4-ジビニルベンゼン、オルト-フェニルフェノール、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレノンの重合
104.1g(0.5モル)の9-アントラセンメタノール(Mw-208.26,B&C社)、42.5g(0.25モル)の2-フェニルフェノール(Mw-170.21,アルドリッヒ社)、65.1g(0.5モル)のジビニルベンゼン(Mw-130.19、アルドリッヒ社)、及び85.6g(0.25モル)の9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(Mw-350.42,TCI社)を、攪拌機、窒素パージ、冷却器、ディーンスタークトラップ及び温度コントローラを備えた3L四つ首丸底フラスコ中に加えた。700gのジグライム及び200gのシクロペンチルメチルエーテル(CPME)を加え、そして10分間、混合した。4.5g(1.5%)のトリフルオロメタンスルホン酸を加え、10分間、混合した。このフラスコを、140℃で2時間、還流下に加熱した。前記ディーンスタークトラップにより、反応から水及び溶剤を集めた(約80g)。反応を停止し、そして放冷した。その反応混合物を5Lの分離用フラスコに移し、そして反応混合物が60℃未満まで冷却された時に、400mLのCPMEを加え、そして10分間混合した。この反応混合物を400mLの脱イオン水で三回抽出した。生じた濃密な溶液を8Lのヘキサン中で析出させ、そして30分間混合した。析出物を濾過し、集め、そして減圧炉中で乾燥して、260gのポリマーを回収した。この回収されたポリマーを、THF中に溶解し(25重量%固形物)、そして8Lのヘキサン中で析出させた。析出物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、集めそして減圧炉中で一晩乾燥して、213gのポリマーを得た(71%収率)。GPC Mw-1918、Mn-1078、Pd-1.78。EA:[計算値 C:88.90%、H:6.09%、O:5.00;実測値:88.99%、H:5.89%、O:5.12%]。
【0219】
ポリマー合成例2b:例2aのアルキニルキャップドポリマー
攪拌機、冷却器(リービッヒ冷却器)、加熱器、窒素入口管、及び温度コントローラを備えた反応容器を用意した。この反応容器に、例2aのアルキニルキャップドポリマー(30g)、炭酸カリウム(39g)及びDMF(158g)を仕込み、そして窒素雰囲気下に攪拌しながら100℃に維持した。次いで、3-ブロモ-1-プロピン(36g)をこの反応容器に加え、そして4時間、攪拌しながら100℃に維持して反応させた。反応の完了後、反応溶液を通常の室温まで冷却した。この溶液を脱イオン水(1500g)中に注ぎ入れ、そして濾過した。析出物を酢酸エチル(1000g)で洗浄した。次いで、この酢酸エチル溶液を脱イオン水で洗浄して、金属不純物を除去した。その後、この酢酸エチル溶液を、60℃、35hPaで蒸留して酸エチルを除去して、乾燥固形物を得た。この固形物を100℃、10mmHgで乾燥した。Mn:1219、Mw:2211、FT-IRでは、OHピーク(3600cm-1)は観察されず、エチニル基上のHピーク(3300cm-1)が観察された。
【0220】
ポリマー合成例3a:9-アントラセンメタノール、4-ジビニルベンゼン及びオルト-フェニルフェノールの重合
100.0gの9-アントラセンメタノール(Mw-208.26,B&C社)、82.0gの2-フェニルフェノール(Mw-170.21,アルドリッヒ社)、及び63.0gのジビニルベンゼン(Mw-130.19、アルドリッヒ社)を、攪拌機、窒素パージ、冷却器、ディーンスタークトラップ及び温度コントローラを備えた3L四つ首丸底フラスコ中に加えた。150gのジグライム及び55gのシクロペンチルメチルエーテル(CPME)を加え、そして10分間、混合した。2.5gのトリフルオロメタンスルホン酸を加え、10分間、混合した。このフラスコを、140℃で1時間、還流下に加熱した。前記ディーンスタークトラップにより、反応から水及び溶剤を集めた(約6.9g)。反応を停止し、そして放冷した。その反応混合物を5Lの分離用フラスコに移し、そして反応混合物が60℃未満まで冷却された時に、400mLのCPMEを加え、そして10分間混合した。この反応混合物を400mLの脱イオン水で三回抽出した。生じた濃密な溶液を8Lのヘプタン中で析出させ、そして30分間混合した。この析出物を濾過し、集め、THF中に再溶解しそして再析出させ、そして乾燥し、そして同じ手順を更に二回繰り返した。生じた固形ポリマーをTHF中に溶解し、そしてメタノール中で析出させ、集めそして乾燥して、白色のポリマーを得た(70%収率)。GPC Mw:1714、多分散性(PD):1.8。EA:[EA 実測値C:91.16%、H:6.18%]。
【0221】
ポリマー例3b:例3aのアルキニルキャップドポリマー
攪拌機、冷却器(リービッヒ冷却器)、加熱器、窒素入口管、及び温度コントローラを備えた反応容器を用意した。この反応容器に、ポリマー例3a(2g)、炭酸カリウム(2.5g)及びDMF(8.5g)を仕込み、そして窒素雰囲気下に攪拌しながら60℃に維持した。次いで、3-ブロモ-1-プロピン(3.2g)をこの反応容器に加え、そして3時間、攪拌しながら60℃に維持して反応させた。反応の完了後、反応溶液を通常の室温まで冷却した。この溶液を脱イオン水(100g)中に注ぎ入れ、そして濾過した。析出物をジクロロメタン(50g)で洗浄した。次いで、このジクロロメタン溶液を脱イオン水で洗浄して、金属不純物を除去した。その後、このジクロロメタン溶液を、60℃、35hPaで蒸留してジクロロメタンを除去して、乾燥固形物を得た。次いで、この乾燥固形物(3g)をジクロロメタン(3g)中に溶解し、そしてこの溶液をヘプタン(30g)中に注ぎ入れた。その後、この溶液を濾過し、そして80℃で12時間乾燥した。次いで、この固形物(3g)をTHF(12g)中に溶解し、そしてこのポリマー溶液をヘプタン(15g)中に注ぎ入れた。この溶液を濾過して固形物を得た。この固形物を100℃、10mmHgで乾燥して、2gの白色のポリマーを得た。Mn:1659、Mw:1228、FT-IRでは、OHピーク(3600cm-1)は観察されず、エチニル基上のHピーク(3300cm-1)が観察された。
【0222】
ポリマー合成例4a:14-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-14H-ジベンゾ[a,j]キサンテン-3,11-ジオール、及び9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンの重合
288.32gの9-フルオレノン(1.6モル)、373.2g(0.8モル)の14-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-14H-ジベンゾ[a,j]キサンテン-3,11-ジオール、380.32g(0.8モル)の9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン及び2825gのメチレンクロライドを、攪拌機、窒素パージ、冷却器及び温度コントローラを備えた5L四つ首丸底フラスコ中に加えた。この混合物を室温で溶解し、そしてNを流した。溶解後、11.48gの3-メルカプトプロピオン酸(0.11モル)及び122gのトリフルオロメタンスルホン酸を加え、そしてこの混合物を、N下に38℃に加熱し、そして8時間反応させた。この時間の後に、900gのメチレンクロライドを留去した。その後、3LのCPMEを加え、そしてこの混合物を、中性のpHが達成されるまで蒸留水で洗浄した。この洗浄したCPME及び乾燥層を20LのIsopar C中で析出させた。生じた固形ポリマーを乾燥して白色のポリマーを得た(62%の収率)。GPC Mw:1934、多分散性(PD):1.5。
【0223】
ポリマー合成例4b:例4aのアルキニルキャップドポリマー
ポリマー合成例4aの材料を、3-ブロモ-1-プロピンのモル数に対するポリマー中のフェノール含有部分のモル数の類似のモル比を用いて、ポリマー合成例3bと同様にしてキャップした。このポリマーを、同様に類似の方法で単離して、乾燥後に、約60モル%収率の白色のポリマーを得た。
【0224】
ポリマー合成例5a:9-フルオレノン及びレゾルシノールの重合
攪拌機、冷却器(リービッヒ冷却器)、加熱器、窒素入口管、及び温度コントローラを備えた反応容器を用意した。この反応容器に9-フルオレノン(150g、東京化成工業製、以下、TCI)、レゾルシノール(100g、TCI)及びジクロロメタン(1300g)を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌し、そして40℃に加熱し、この温度に維持した。次いで、ジクロロメタン(200g)中に溶解したトリフルオロメタンスルホン酸(68g、TCI)及び3-メルカプトプロピオネート(4g、TCI)を、この反応容器にゆっくりと加え、そして40℃で4時間攪拌して反応させた。反応の完了後、反応溶液を室温まで冷却した。この反応溶液に十分な水を加え、そして余分なレゾルシノールを濾過して除去した。析出物をジクロロメタンで洗浄した。十分な水をそのジクロロメタン溶液に加えて、トリフルオロメタンスルホン酸を除去した。次いで、生じた溶液を40℃、10mmHgで蒸留して、ジクロロメタンを除去し、そして乾燥固形物を得た。次いで、この乾燥固形物をアセトン(1100g)中に溶解し、そしてこの溶液をヘプタン(550g)中に注ぎ入れた。その後、その溶液を濾過し、そして生じた溶液を50℃、10mmHgで蒸留してアセトン及びヘプタンを除去した。結果物は前駆体であった。(65g)。Mn及びMwをGPC(テトラヒドロフラン)で測定した。Mnは1364Daであった。Mwは2086Daであった。分子量分布(Mw/Mn)は1.51であった。
【0225】
ポリマー合成例5b:例5aのアルキニルキャップドポリマー
攪拌機、冷却器(リービッヒ冷却器)、加熱器、窒素入口管、及び温度コントローラを備えた反応容器を用意した。この反応容器に、前記前駆体(66g)、炭酸カリウム(202g)及びDMF(303g)を仕込み、そして窒素雰囲気下に攪拌しながら100℃に維持した。次いで、3-ブロモ-1-プロピン(182g)をこの反応容器に加え、そして3時間、攪拌しながら100℃に維持して反応させた。反応の完了後、反応溶液を通常の室温まで冷却した。この溶液を脱イオン水(1500g)中に注ぎ入れ、そして濾過した。析出物をジクロロメタン(150g)で洗浄した。次いで、このジクロロメタン溶液を脱イオン水で洗浄して、金属不純物を除去した。その後、このジクロロメタン溶液を、60℃、35hPaで蒸留してジクロロメタンを除去して、乾燥固形物を得た。次いで、この乾燥固形物(90g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(368g)中に溶解し、そしてこの溶液をヘプタン(184g)中に注ぎ入れた。その後、この溶液を濾過し、そして80℃で12時間乾燥した。生じたポリマーは合計22gであった。Mn及びMwをGPC(テトラヒドロフラン)で測定した。Mnは1104Daであった。Mwは1715Daであった。
分子量分布(Mw/Mn)は1.55であった。
【0226】
金属錯体
金属錯体合成例1
40gのチタン(IV)ブトキシドポリマー(Ti(IV)BTPポリマー)(ミズーリ州セントルイス在のシグマアルドリッヒ・コーポレーション製)(0.1174モル)を52gの70/30PGMEA/PGME溶剤中に溶解し、そしてN下に反応容器中に注ぎ入れた。この溶液を攪拌し、そしてその温度を、トリメチルシラノール12g(0.1330モル)をN下に滴下しながら50℃に高めた。この反応混合物を60℃に2時間維持し、その後、20gの1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(0.1297モル)及び20gの70/30PGMEA/PGMEを前記反応混合物と混合し、そして反応を60℃で約1時間継続した。一晩、室温に冷却した後、生成物を褐色のボトル中に入れ、そして注意深く封止した。この生成物溶液のFT-IRスペクトルをシクロヘキサン中で取得した。970cm-1での共鳴はTi-O-Si伸縮振動数に帰属した。測定された全金属酸化物含有率は、150℃で60秒間ベークした後のフィルム中で28重量%であった。
【0227】
金属錯体合成例2
200gのHf(IV)テトラn-ブトキシド(0.4247モル)を、276gの70/30PGMEA/PGME中に溶解し、そしてN下に反応容器に注ぎ入れた。攪拌しながら温度を50℃に高め、そしてトリメチルシラノール(76g、0.8426モル)をN下に攪拌しつつ前記溶液中に滴下した。この反応を60℃で2時間維持した。次いで、127gの1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(0.8238モル)及び127gの70/30PGMEA/PGMEを前記反応混合物と混合し、そして反応を60℃で約1時間継続した。一晩、室温に冷却した後、生成物を褐色のボトル中に入れ、そして注意深く封止した。測定された全Hf含有率は、250℃で60秒間ベークした後のフィルム中で45重量%であった。
【0228】
金属錯体合成例3
200gのZrテトラn-ブトキシド(n-ブタノール中80%)(0.4170モル)を、246.5gの70/30PGMEA/PGME中に溶解し、そしてN下に反応容器に注ぎ入れた。攪拌しながら温度を50℃に高め、そしてトリメチルシラノール77.5g(0.8592モル)をN下に攪拌しつつ前記溶液中に滴下した。この反応を60℃で2時間維持した。次いで、103gの1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(0.66814モル)及び103gの70/30PGMEA/PGMEを前記反応混合物と混合し、そして反応を60℃で約1時間継続した。一晩、室温に冷却した後、生成物を褐色のボトル中に入れ、そして注意深く封止した。この生成物溶液のFT-IRスペクトルをシクロヘキサン中で取得した。1559cm-1及び1456cm-1での共鳴は、Zr錯体のCOO伸縮振動数に帰属した。測定された全Zr含有率は、250℃で60秒間ベークした後のフィルム中で26.8重量%であった。
【0229】
金属錯体合成例4
20gのZrn-ブトキシド(n-ブタノール中80%)(0.0417モル)を、27.6gの70/30PGMEA/PGME中に溶解し、そしてN下に反応容器に注ぎ入れた。攪拌しながら温度を50℃に高めつつ、トリメチルシラノール7.6g(0.08426モル)をN下に攪拌しながら前記溶液中に滴下した。この反応を60℃で2時間維持した。次いで、9.3gのシトラコン酸無水物及び9.3g(0.08300モル)の70/30PGMEA/PGMEを前記反応混合物と混合し、そして反応を60℃で約1時間継続した。一晩、室温に冷却した後、生成物を褐色のボトル中に入れ、そして注意深く封止した。この生成物溶液のFT-IRスペクトルをシクロヘキサン中で取得した。1565cm-1及び1454cm-1での共鳴は、Zr錯体のCOO伸縮振動数に帰属した。測定された全Zr含有率は、250℃で60秒間ベークした後のフィルム中で25.4重量%であった。
【0230】
金属錯体合成例5
40gのTi(IV)BTPポリマー(0.1175モル)を、58gの70/30PGMEA/PGME溶剤中に溶解し、そしてN下に反応容器に注ぎ入れた。攪拌しながら温度を50℃に高め、そしてトリメチルシラノール18g(0.1996モル)をN下に滴下した。この反応を2時間60℃に維持した。次いで、20gの1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(0.1297モル)及び20gの70/30PGMEA/PGME溶剤を前記反応混合物と混合し、そして反応を60℃で約1時間継続した。一晩、室温に冷却した後、生成物を褐色のボトル中に入れ、そして注意深く封止した。測定された全金属酸化物含有率は、150℃で60秒間ベークした後のフィルム中で32重量%であった。
【0231】
金属錯体合成例6
7.99g[0.0235モル]のTi(IV)BTPポリマーを14.36gの70/30PGMEA/PGME溶剤中に溶解し、そしてN下に反応容器に注ぎ入れた。攪拌しながら温度を50℃に高め、次いで7.0g[0.0455モル]の1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物及び10.5gの70/30PGMEA/PGME溶剤をN下にゆっくりと添加した。この反応を2時間60℃に維持した。次いで、9.8g[0.0465モル]のp-トリルトリメトキシシランを加え、そして反応を60℃で約3時間継続した。一晩、室温に冷却した後、生成物を褐色のボトル中に入れ、そして注意深く封止した。この生成物溶液のFT-IRスペクトルを取得した。1568.06cm-1及び970cm-1での共鳴はTi-O-C及びTi-O-Si伸縮振動数にそれぞれ帰属した。
【0232】
ブレンド調合物
以下の例の成分を、これらの例に記載の割合で組み合わせ、次いで0.2ミクロンPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターに通して濾過して粒状物を除去した。
ブレンド調合物例1:ポリマー例1b、エタノールアミン、及び金属錯体合成例1のブレンド[80:20:40]
金属錯体合成例1、トリエタノールアミン及びポリマー例1bの80:20:40重量比ブレンド調合物を、0.2571gのトリエタノールアミンを加えた70/30PGMEA/PGME中の50重量%溶液2.0571g、ポリマー例1bの10重量%溶液5.1439g及び2.5429gを組み合わせることによって調製した。ArF-シンナー溶剤をボトルに加えた。それ故、前記調合物の全固形分は、充填試験に必要な目的の膜厚を達成するのに必要な18重量%であった。
【0233】
ブレンド調合物例2:ポリマー例1b及び金属錯体合成例1のブレンド[50:50]
金属錯体合成例1及びポリマー例1bの50:50重量比ブレンド調合物を、金属錯体合成例1のArFシンナー中の50重量%溶液1.40g、及びポリマー例1bの10重量%溶液7g、及びArFシンナー1.6gを組み合わせることによって調製した。これは、充填試験に必要な目的の膜厚を達成するのに必要な14重量%固形分溶液を与えた。
【0234】
ブレンド調合物例3:ポリマー例2b及び金属錯体合成例1のブレンド[50:50]
金属錯体合成例1及びポリマー例2bの50:50重量比ブレンド調合物を、ArFシンナー中の金属錯体例1の50重量%溶液1.40g、ArFシンナー中のポリマー例2bの10%溶液7g、及び1.6gのArFシンナー溶液を組み合わせることによって調製した。これは、充填試験に必要な目的の膜厚を達成するのに必要な14重量%固形分溶液を与えた。
【0235】
ブレンド調合物例4:ポリマー例2b、エタノールアミン、及び金属錯体合成例1のブレンド[80:20:40]
金属錯体合成例1の50重量%溶液1.8286gを、トリエタノールアミン0.2286g、及び3.3714gのArFシンナーに加えたArFシンナー中のポリマー例2bの10重量%溶液4.5714gに加えることによってサンプルを調製した。これは、充填試験に必要な目的の膜厚を達成するのに必要な14重量%固形分溶液を与えた。
【0236】
ブレンド調合物例5:ポリマー例2b及び金属錯体合成例1のブレンド[50:50]
金属錯体合成例1及びポリマー例3bの50:50重量比ブレンド調合物を、ArFシンナー中の金属錯体例1の50重量%溶液1.40g、ArFシンナー中のポリマー例3bの10%溶液7g、及びArFシンナー溶液1.6gを組み合わせることによって調製した。これは、充填試験に必要な目的の膜厚を達成するのに必要な14重量%固形分溶液を与えた。
【0237】
ブレンド調合物例6:ポリマー例2b、エタノールアミン、及び金属錯体合成例1のブレンド[80:20:40]
金属錯体合成例1の50重量%溶液1.8286gを、トリエタノールアミン0.2286g、及び3.3714gのArFシンナーに加えたポリマー例3bの10重量%溶液4.5714gに加えることによってサンプルを調製した。これは、充填試験に必要な目的の膜厚を達成するのに必要な14重量%固形分溶液を与えた。
【0238】
他の金属錯体のブレンド調合物
本発明による組成物は、ポリマー合成例1b、2b、3b、4b及び5bとブレンドした金属錯体例2~6に記載の金属錯体を包含するものにも広げ得ることが意図される。意図される特定のブレンドの一つの例は、これらの他の金属錯体とポリマー合成例1bとのブレンドである。また、これらの金属錯体とポリマー合成例2b、3b、4b及び5bとのブレンドも意図される。意図される上記のブレンドの具体的なブレンドは、約50:50の比率で金属錯体とポリマーとを含むものである。また、“金属錯体:エタノールアミン:ポリマー”の約80:20:40の比率も重要であり得ることも予期される。このようなブレンドは、金属錯体例1の代わりにそれぞれ金属錯体例2~6使用して、ブレンド調合物例1~6に記載の手順を使用して調製することができる。
【0239】
比較ブレンド調合物例1:ポリマー例3a及び金属錯体合成例1のブレンド[50:50]
金属錯体合成例1及びポリマー例2bの50:50重量比ブレンド調合物を、ArFシンナー中の金属錯体例1の50重量%溶液1.40g、ArFシンナー中のポリマー例3aの10重量%溶液7g、及び1.6gのArFシンナー溶液1.6gを組み合わせることによって調製した。これは、充填試験に必要な目的の膜厚を達成するのに必要な14重量%固形分溶液を与えた。
【0240】
ブレンド例の安定性の結果
比較ブレンド調合物例1の調合物は、1500rpmのスピン速度でコーティングした時は、最初は、KLA2350-IS高解像度イメージングインスペクションツール(カルフォルニア州ミルピタス在のKLAテンコール社)でi線で検出して、粒状物を原因する欠陥は低レベル(約0.08def/cm以下)のコーティングフィルムを与え、また、以下のように他のブレンドサンプルについて記載したのと同じ方法で決定して良好なビア充填性も与えた。しかし、-10℃で二週間後、2.43def/cmの欠陥レベルが観察され、40℃で2週間後には同様に、1.25def/cmの欠陥レベルが観察された。0℃または25℃のより温和な温度エージング状況下でも、僅か2ヶ月後には、粒子レベルは約0.60def/cmに高まった。これとは対照的に、ブレンド調合物例1~6は、KLA-2350-ISによって検査した時に、これらの同じエージング条件下に、同じ方法でコーティングされたフィルムにおいて初期の低い粒子レベルを維持し、そして欠陥数に大きな増加は示さなかった。
【0241】
ビア充填を評価するための試験ウェハ
ビア充填を評価するための試験ウェハは、130、140、160、200及び300nmのビアサイズを有する650nm深さのビアを含んでいた。ビアホールを、様々なピッチで、すなわちホール:スペース比率が1:1、1:1.4及び1:6の緻密な、半緻密な及び孤立したピッチでパターン化した。ビアのx断面画像を用いてビア充填を評価するために、走査電子顕微鏡下にウェハを検査した。
【0242】
ブレンド例の充填結果
ビア充填能を以下のように決定した。充填評価のために、ビアの深さが約650nmであるビア充填ピースを使用した。各々の材料の膜厚は、6インチまたは8インチケイ素ウェハを用いて決定した。基材の深さをベースとした目的の膜厚を決定した。このタイプのビアウェハのためには、ビア上面に多少過負荷のフィルムを持つビアを充填する250nmの膜厚を選択した。決定されたスピン速度を用いて、ビアピース上への充填を行った。次いで、これらのウェハを、先ずオプチトラック(Optitrac)で250℃でベークし、そして必要なベーク温度/時間に応じてACT12を400℃で使用した。次いで、ビア充填ピースを、画像化のためのSEM及びX-SEMによる膜厚測定に付した。
【0243】
ブレンド例1を用いた充填結果
金属化合物成分“金属錯体合成例1”、任意選択のポリオール成分“トリエタノールアミン”、及び高炭素ポリマー成分“合成例1b”(Mw=1041)の80:20:40重量比ブレンドを使用したこのブレンドは、顕著な空隙を形成せずに良好な充填結果を与えた。これらの成分の他の比率、すなわち80:20:30及び80:20:20も試験した。これらの比率のうち、80:20:40ブレンドが最良であり、最適なビア充填性能を与えたことが確認された。
【0244】
ブレンド例2を用いた充填結果
金属化合物成分“金属錯体合成例1”と50:50の比率でスピンオン高炭素ポリマー成分“合成例1b”(Mw=1041)を用いたこのブレンドは、顕著な空隙を形成せずに良好な充填結果を与えた。しかし、空隙の形成の比較的低いレベルに維持する一方で、モル質量を1041から1365から2536へと高めることによってスピンオン高炭素ポリマー成分のMwを大きくしても、Mwが増大に伴うビアに観察される空隙の数の上昇は示さなかったが、空隙充填のためのかなりの能力をなおも示した。上述の通り、このタイプのポリマーのMwは、酸触媒の使用量を減少することによって大きくすることができた。
【0245】
ブレンド例3~6を用いた充填結果
試験下のこれらのブレンドも、上述のように高温下、低温下どちらの場合も、エージングの間の粒子形成に対する安定性を維持しつつ、ビア充填に対し相当の能力を示した。
【0246】
他の金属錯体及びスピンオン高炭素ポリマーを含むブレンド用いた充填
ポリマー例1b、2b、3b、4b、5bのスピンオン高炭素ポリマーと、金属錯体例2~6との上記のブレンドの充填能を検証することに関心が持たれる。これらもまた、パターン化された基材上でのビア及び他の中空トポグラフィ図形のための充填能に相当な能力を与えるべきである。理論的に拘束されるものではないが、これらのポリマー例におけるフェノール性ヒドロキシ部分のキャッピングは、ポリマー例1b、2b、3b、4b、5bと金属錯体例1とのブレンドに見られるのと同じ、予期しない有害な粒子形成の問題に対する同じ利点を供し得る。これらの過剰のフリーのフェノール部分は、金属錯体との反応からのあまりに多くのフリーのフェノール性部分を有する材料となり得る。
【国際調査報告】