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特表2022-522115液滴発生器性能を制御する装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】液滴発生器性能を制御する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220407BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547394
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2020052933
(87)【国際公開番号】W WO2020173677
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/810,768
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/928,429
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/959,275
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベイハギ,プーリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ローリンガー,ボブ
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA19
2H197GA24
4C092AA04
4C092AA15
4C092AB10
4C092AB12
4C092AC09
4C092BD18
(57)【要約】
EUV放射を発生させるために用いられる液滴の形成を制御する装置及び方法。液滴源は、ノズルを出ていく流体と、流体中に擾乱を生成する電子作動可能な素子を有するサブシステムとを含む。液滴源は流れを生成し、流れは分裂して液滴になり、液滴は照射領域に向かって進むにつれて合体しより大きな液滴になる。電子作動可能な素子は正弦波成分と矩形波成分とを有する制御信号によって駆動される。正弦波成分と矩形波成分との位相差などの様々なパラメータが測定され、流れにおける非合体サテライト滴の形成を最小化するように制御される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有し、前記ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するように適応されたターゲット材料ディスペンサと、
前記ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結されると共に適用される波形に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子であって、前記速度摂動は前記第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的に前記ノズルからある合体距離内で前記第1の液滴よりも大きい第2の液滴にする、電子作動可能な素子と、
前記電子作動可能な素子に電気的に連結されると共に前記適用される波形を発生するように適応された波形発生器であって、前記波形は正弦波成分と矩形波成分とを有し、前記正弦波成分は振幅を有し、前記矩形波成分は前記正弦波成分との位相差を有し、前記振幅及び前記位相差は前記合体距離の急変を回避しつつ前記合体距離を最小化するように選択される、波形発生器と、
を備える装置。
【請求項2】
前記電子作動可能な素子は圧電素子である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ノズルを有し、前記ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するように適応されたターゲット材料ディスペンサと、
前記ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結されると共に適用される波形に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子であって、前記速度摂動は前記第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的に前記ノズルからある合体距離内で前記第1の液滴よりも大きい第2の液滴にし、前記第2の液滴は前記第2の液滴が交差間隔で固定点を通過するように間隔を空けられている、電子作動可能な素子と、
前記第2の液滴の前記交差間隔を判定するように及び交差間隔信号を発生するように配置された交差間隔検出器と、
前記電子作動可能な素子に電気的に連結され、前記適用される波形を発生するように適応され、前記交差間隔信号に少なくとも部分的に基づいて前記適用される波形を発生するように適応された波形発生器と、
を備える装置。
【請求項4】
ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の流れを提供することであって、前記ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備える、提供することと、
前記流れがサテライト滴を含むかどうかを判定すると共に前記流れがサテライト滴を含むかどうかを示すサテライト検出信号を発生することと、
前記サテライト検出信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生することと、
前記波形を前記ターゲット材料ディスペンサに供給することと、
を備える、方法。
【請求項5】
前記流れの交差間隔を判定すると共に交差間隔信号を発生することを更に備え、前記波形を発生することは、前記交差間隔信号に少なくとも部分的に基づいて前記波形を発生することを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ターゲット材料ディスペンサのノズルの伝達関数を判定する方法であって、
前記ターゲット材料ディスペンサからEUVターゲット材料の流れを分注することと、
制御信号に応答して前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子に波形を適用することと、
前記流れがサテライトを含まない前記波形の正弦波成分の振幅の最小値を判定することと、
前記制御信号の前記正弦波成分と矩形波成分との位相差への合体長さの依存性を判定すると共に前記依存性の不連続性が生じるジャンプ境界位相差を判定することと、
前記最小値への前記ジャンプ境界位相の依存性の傾きを判定することと、
前記傾きに基づいて抗力係数を判定することと、
前記最小値及び前記抗力係数に基づいて前記正弦波成分の周波数での伝達関数を判定することと、
を備える、方法。
【請求項7】
ノズルを有するターゲット材料ディスペンサを用いて前記ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供することと、
適用される波形に基づき前記流れの中に速度摂動を誘発するように前記ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結された電子作動可能な素子を用いることであって、前記速度摂動は第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的に前記ノズルからある合体距離内で前記第1の液滴よりも大きい第2の液滴にする、用いることと、
前記適用される波形を発生するように前記電子作動可能な素子に電気的に連結された波形発生器を用いることであって、前記波形は正弦波成分と矩形波成分とを有し、前記正弦波成分は振幅を有し、前記矩形波成分は前記正弦波成分との位相差を有し、前記振幅及び前記位相差は前記合体距離の急変を回避しつつ前記合体距離を最小化するように選択される、用いることと、
を備える、方法。
【請求項8】
液滴発生器から第1のサイズの初期液滴の流れを電気信号の制御下で解放することであって、前記初期液滴の流れは少なくとも1回合体し合体長さを移動した後で前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズの最終液滴の流れになり、前記電気信号は第1の周期成分と前記第1の周期成分から位相差だけ位相がずれた第2の周期成分とを有する、解放することと、
前記最終液滴の流れが前記第2のサイズよりも小さいサテライト滴を含まない値の前記位相差で前記液滴発生器を動作させることと、
前記位相差の前記値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために前記位相差の前記値を前記最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じる値に変化させることと、
を備える、方法。
【請求項9】
前記最終液滴の流れが前記第2のサイズよりも小さいサテライト滴を含まない値の前記位相差で前記液滴発生器を動作させることは、前記最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じる前記値を下回ることが予期される値の前記位相差で前記液滴発生器を動作させることを備え、
前記位相差の前記値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために前記位相差位相の前記値を前記最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで変化させることは、前記位相差の前記値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために前記最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで前記位相差位相の前記値を増大させることを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の周期成分は第1の周波数を有しており、前記第2の周期成分は前記第1の周波数の1つを含む整数倍である第2の周波数を有している、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の周期成分と前記第2の周期成分とのうち一方は正弦波であり、前記第1の周期成分と前記第2の周期成分とのうち他方は矩形波である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の完全に合体した液滴の流れを提供することであって、前記ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備える、提供することと、
前記流れが更にサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定すると共に前記流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを示すサブ合体液滴検出信号を発生することと、
前記サブ合体液滴検出信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生することと、
前記波形を前記ターゲット材料ディスペンサの前記電子作動可能な素子に供給することと、
を備える、方法。
【請求項13】
前記流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定することは、任意のサテライト滴のサイズがサブ合体液滴の既知のサイズに対応するかどうかを判定することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定することは、完全に合体した液滴からの任意のサテライト滴の流れ方向の変位の規模を判定することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の合体した液滴の流れを提供することであって、前記ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、前記制御信号は正弦成分を有する、提供することと、
前記流れにサテライト微小液滴が出現する前記正弦成分の振幅の規模の最小値を判定することと、
前記最小値に基づいてサブ合体長さを判定することと、
前記判定されたサブ合体長さに基づいて前記ターゲット材料ディスペンサの動作を制御することと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2019年2月26日に提出された米国出願第62/810,768号、2019年10月31日に提出された米国特許出願第62/928,429号、及び2020年1月10日に提出された米国特許出願第62/959,275号の優先権を主張するものであり、これらの出願はいずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本願は、極端紫外線(「EUV:extreme ultraviolet」)光源と、その動作方法とに関する。これらの光源は、ソース材料又はターゲット材料からプラズマを作り出すことによってEUV光を提供する。ある適用においては、EUV光は、収集され、半導体集積回路を作製するためにフォトリソグラフィプロセスにおいて使用される。
【背景技術】
【0003】
[0003] シリコンウェーハなどのレジストコート基板を露光させて基板に極めて小さなフィーチャを作製するために、EUV光のパターン付与されたビームが用いられ得る。EUV光(軟X線と称されることもある)は、一般に、約5nm乃至約100nmの範囲の波長を有する電磁放射として定義される。フォトリソグラフィのための1つの特定の関心波長は13.5nm程度で発生する。
【0004】
[0004] EUV光を生成するための方法は、ソース材料をEUV領域に輝線を有する化学元素を有するプラズマ状態に変換することを含むが、必ずしもこれに限定されない。これらの元素は、キセノン、リチウム及びスズを含み得るが、これらに限定されない。
【0005】
[0005] レーザ生成プラズマ(「LPP:laser produced plasma」)と呼ばれることの多い一つのそのような方法においては、所望のプラズマは、例えば液滴、流れ、又はワイヤの形をとるソース材料をレーザビームで照射することによって生成可能である。放電生成プラズマ(「DPP:discharge produced plasma」)と呼ばれることの多い別の一つの方法においては、必要とされるプラズマは、適当な輝線を有するソース材料を一対の電極の間に位置決めして電極間に放電を生じさせることによって発生可能である。
【0006】
[0006] 液滴を発生させる一つの技術は、ソース材料と称されることもあるスズなどのターゲット材料を溶融し、次いでその溶融したソース材料を、高圧下で、例えば約0.1μmから約30μmの直径を有するオリフィスなど比較的小径のオリフィスに押し流し、約30m/sから約200m/sの範囲の速度を有する層状流体ジェットを生成することを伴う。ほとんどの条件下では、オリフィスを出ていく流れにおいて自然に生じる不安定性、例えば熱雑音又は渦放出が、流れを液滴に分裂させるであろう。これらの液滴は様々な速度を有しており、飛行中に互いに結合してより大きな液滴へと合体する。
【0007】
[0007] ここで検討されているEUV発生プロセスにおいては、分裂/合体プロセスを制御するのが望ましい。例えば、液滴をLPPドライブレーザの光パルスと同期させるために、ランダムノイズの振幅を超える振幅の繰り返し擾乱が、オリフィスから発散される連続的な層状流体ジェットに印加され得る。パルスレーザの繰り返し数と同じ周波数(又はその高調波)の擾乱を印加することによって、液滴はレーザパルスと同期される。例えば、擾乱は、電子作動可能な素子(圧電材料など)を流れに結合すると共にその電子作動可能な素子を周期波形で駆動することによって、流れに印加され得る。一実施形態においては、電子作動可能な素子は、直径が(数ナノメートル程度)伸縮する。この寸法変化は毛細管に機械的に連結されており、毛細管は対応して直径が伸縮する。この容積変位は、オリフィスで終端する毛細管において、音波及び弾性波を引き起こす。すると、オリフィス内のターゲット材料は、音波によって周期的に加速され、最終的には、流体マイクロジェットの自然なレイリ―分裂周波数をはるかに下回る周波数範囲で、ドライブレーザの周波数で広く間隔を空けた液滴を生じさせる。流体ジェットの自然な分裂周波数は約3から約15MHzの範囲内であるが、ドライブレーザ動作が予期されるのは約50から約160kHzの範囲内である。これは、所望の最終的な液滴を得るためには、多くの小さな微小液滴が、オリフィスの直径よりもずっと大きい液滴からなる周期的な液滴流に合流されなければならないことを意味する。
【0008】
[0008] 本明細書において用いられる場合、「電子作動可能な素子」という用語及びその派生語は、電圧、電界、磁界、又はこれらの組み合わせに曝されたときに寸法変化を経ると共に、圧電材料、電歪材料、及び磁歪材料を含むがこれらに限られない、材料又は構造物を意味する。液滴流を制御するために電子作動可能な素子を用いる装置及び方法は、例えば、「Laser Produced Plasma EUV Light Source Having a Droplet Stream Produced Using a Modulated Disturbance Wave」と題され2009年1月15日に公開された米国特許出願公開第2009/0014668A1号明細書、及び「Droplet Generator with Actuator Induced Nozzle Cleaning」と題され2013年8月20日に交付された米国特許第8,513,629号明細書に開示されている。両文献は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
[0009] このように、液滴発生器の課題は、液滴がEUV放射の生成のためのターゲット材料として用いられる、EUV放射を収集するために用いられる集光ミラーの主焦点に、適切なサイズの液滴を置くことである。液滴は、特定の空間的及び時間的な安定性基準内で、つまり、許容可能なマージン内で繰り返し可能な位置及びタイミングで、主焦点に到達しなければならない。また、液滴は、所与の周波数及び速度で到達しなければならない。更に、液滴は、完全に合体されなければならない。つまり、液滴は(均一なサイズの)単分散でなければならず、所与の駆動周波数で到達しなければならない。
【0010】
[0010] 例えば、液滴流は、「サテライト」滴、すなわちターゲット材料のより小さな液滴であって合体してメイン液滴になることができなかったものを、含んでいてはならない。これらの基準を満たすことは、小さなオリフィス及び大きな圧力については、電子作動可能な素子の駆動形態を用いて多くの微小液滴を合流することが必要であろうという事実によって、複雑化する。操作窓は通常は非常に小さく、システムを、経時的な性能変化などの性能のばらつきに敏感にする。例えば、液滴発生器の性能が変化すると、その液滴発生器は主焦点に到達する時刻までに完全に合体されない液滴を生成するかもしれない。やがて、液滴発生器の性能は、その液滴発生器が保守又は取り換えのためにオフラインにされなければならないところまで劣化するであろう。
【0011】
[0011] 合体を制御する一つの手法は、ノズルを出ていく溶融したターゲット材料にハイブリッド波形を付与するというものである。ハイブリッド波形とは、250Wなど様々な電力レベルで動作する様々なシステムの様々な液滴発生器において用いられる合体プロセスを制御及び最適化するために使用され得る、周期的なピエゾ励振波形である。例えば、2019年1月3日に提出され「Apparatus for and Method of Controlling Coalescence of Droplets in a Droplet Stream」と題された国際特許出願第PCT/EP2019/050100号を参照されたい。同出願は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0012】
[0012] 液滴の発生及び合体を、これらのプロセスの最適化を可能にするような手法で制御できる必要がある。
【発明の概要】
【0013】
[0013] 以下では、1つ以上の実施形態の簡単な概要を提示して、それらの実施形態の基本的な理解を提供する。この概要は、考えられる全ての実施形態の広範な概観ではなく、全ての実施形態の鍵となる要素又は重大な要素を特定することや、いずれか又は全ての実施形態の範囲を詳細に描写することを意図するものではない。唯一の目的は、1つ以上の実施形態のいくつかの構想を、簡易化した形で、後述するより詳細な説明の前置きとして提示することである。
【0014】
[0014] 一実施形態の一態様によれば、ノズルを有し、ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するように適応されたターゲット材料ディスペンサと、ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結されると共に適用される波形に基づいて流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子であって、速度摂動は第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的にノズルからある合体距離内で第1の液滴よりも大きい第2の液滴にする、電子作動可能な素子と、電子作動可能な素子に電気的に連結されると共に適用される波形を発生するように適応された波形発生器であって、波形は正弦波成分と矩形波成分とを有し、正弦波成分は振幅を有し、矩形波成分は正弦波成分との位相差を有し、振幅及び位相差は合体距離の急変を回避しつつ合体距離を最小化するように選択される、波形発生器と、を備える装置が開示される。電子作動可能な素子は、圧電素子であってもよい。
【0015】
[0015] 一実施形態の別の一態様によれば、ノズルを有し、ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するように適応されたターゲット材料ディスペンサと、ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結されると共に適用される波形に基づいて流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子であって、速度摂動は第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的にノズルからある合体距離内で第1の液滴よりも大きい第2の液滴にし、第2の液滴は第2の液滴が交差間隔で固定点を通過するように間隔を空けられている、電子作動可能な素子と、第2の液滴の交差間隔を判定するように及び交差間隔信号を発生するように配置された交差間隔検出器と、電子作動可能な素子に電気的に連結され、適用される波形を発生するように適応され、交差間隔信号に少なくとも部分的に基づいて適用される波形を発生するように適応された波形発生器と、を備える装置が開示される。
【0016】
[0016] 一実施形態の別の一態様によれば、ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の流れを提供するステップであって、ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備える、ステップと、流れがサテライト滴を含むかどうかを判定すると共に流れがサテライト滴を含むかどうかを示すサテライト検出信号を発生するステップと、サテライト検出信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生するステップと、波形をターゲット材料ディスペンサに供給するステップと、を備える方法が開示される。方法は更に、流れの交差間隔を判定すると共に交差間隔信号を発生するステップを備えていてもよく、波形を発生するステップは、交差間隔信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生することを備える。
【0017】
[0017] 一実施形態の別の一態様によれば、ターゲット材料ディスペンサのノズルの伝達関数を判定する方法が開示され、その方法は、ターゲット材料ディスペンサからEUVターゲット材料の流れを分注するステップと、制御信号に応答して流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子に波形を適用するステップと、流れがサテライトを含まない波形の正弦波成分の振幅の最小値を判定するステップと、制御信号の正弦波成分と矩形波成分との位相差への合体長さの依存性を判定すると共に依存性の不連続性が生じるジャンプ境界位相差を判定するステップと、最小値へのジャンプ境界位相の依存性の傾きを判定するステップと、傾きに基づいて抗力係数を判定するステップと、最小値及び抗力係数に基づいて正弦波成分の周波数での伝達関数を判定するステップと、を備える。
【0018】
[0018] 一実施形態の別の一態様によれば、ターゲット材料ディスペンサからのEUVターゲット材料の流れの合体挙動を最適化する方法が開示され、ターゲット材料ディスペンサは適用される制御信号に応答して流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、その方法は、流れがサテライトを含まない制御信号の正弦波成分の振幅の最小値を判定するステップと、制御信号の正弦波成分と矩形波成分との位相差への合体長さの依存性を判定すると共に依存性の不連続性が生じるジャンプ境界位相差を判定するステップと、最小値へのジャンプ境界位相の依存性の傾きを判定するステップと、傾きに基づいて抗力係数を判定するステップと、抗力係数に基づいて設計された位相遅延を判定するステップと、最適な位相差をジャンプ境界位相差と設計された位相遅延との差として判定するステップと、を備える。
【0019】
[0019] 一実施形態の別の一態様によれば、ターゲット材料ディスペンサからのEUVターゲット材料の流れの合体挙動を最適化する方法が開示され、ターゲット材料ディスペンサは正弦波成分と矩形波成分とを有する適用される信号に応答して流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、その方法は、流れがサテライトを含まない正弦波成分と矩形波成分との位相差の隣接する値の最大範囲の幅Lを判定するステップと、流れがサテライトを含む正弦波成分と矩形波成分との位相差の隣接する値の最大範囲の幅Lを判定するステップと、幅Lを有する範囲における流れ交差間隔のばらつきの統計的な尺度としての値Sを判定するステップと、ryがy方向の流れの安定性の統計的な尺度でありrzがz方向の流れの安定性の統計的な尺度であるところ、値YZStabilityをベクトル[ry,rz]の統計的な尺度として判定するステップと、
[0020] W,W,W,Wが何らかの正の実数であるところ、費用関数
【数1】

を決定するステップと、費用関数を最小化するように正弦波成分及び矩形波成分のパラメータを調節するステップと、を備える。
【0020】
[0021] 一実施形態の別の一態様によれば、ノズルを有するターゲット材料ディスペンサを用いてノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するステップと、適用される波形に基づき流れの中に速度摂動を誘発するようにターゲット材料ディスペンサに機械的に連結された電子作動可能な素子を用いるステップであって、速度摂動は第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的にノズルからある合体距離内で第1の液滴よりも大きい第2の液滴にする、ステップと、適用される波形を発生するように電子作動可能な素子に電気的に連結された波形発生器を用いるステップであって、波形は正弦波成分と矩形波成分とを有し、正弦波成分は振幅を有し、矩形波成分は正弦波成分との位相差を有し、振幅及び位相差は合体距離の急変を回避しつつ合体距離を最小化するように選択される、ステップと、を備える方法が開示される。
【0021】
[0022] 一実施形態の別の一態様によれば、EUV放射源においてターゲット材料ディスペンサを動作させる方法が開示され、その方法は、正弦波成分と矩形波成分とを有する波形を発生するステップであって、正弦波成分は振幅を有し、矩形波成分は正弦波成分との位相差を有する、ステップと、ターゲット材料の流れを提供するためのノズルを有するターゲット材料ディスペンサに機械的に連結された電子作動可能な素子に波形を適用するステップであって、ターゲット材料の流れはノズルを出た後で第1の液滴に分裂し、その後1つ以上の段階で合体してノズルからある合体距離内で第1の液滴よりも大きい第2の液滴になる、ステップと、複数の振幅について、複数の位相差をスキャンして、合体距離の急変が生じる振幅と位相差とのジャンプ境界組み合わせを識別し、ジャンプ境界曲線を発生するステップと、EUV放射源の動作中に、ジャンプ境界曲線に少なくとも部分的に基づいて振幅と位相差との組み合わせを使用するステップと、を備える。
【0022】
[0023] 一実施形態の別の一態様によれば、液滴発生器から第1のサイズの初期液滴の流れを電気信号の制御下で解放することであって、初期液滴の流れは少なくとも1回合体し合体長さを移動した後で第1のサイズよりも大きい第2のサイズの最終液滴の流れになり、電気信号は第1の周期成分と第1の周期成分から位相差だけ位相がずれた第2の周期成分とを有する、解放することと、最終液滴の流れが第2のサイズよりも小さいサテライト滴を含まない値の位相差で液滴発生器を動作させることと、位相差の値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで位相差位相の値を変化させることと、を備える方法が開示される。最終液滴の流れが第2のサイズよりも小さいサテライト滴を含まない値の位相差で液滴発生器を動作させることは、最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じる値を下回ることが予期される値の位相差で液滴発生器を動作させることを備えていてもよく、位相差の値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで位相差位相の値を変化させることは、位相差の値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで位相差位相の値を増大させることを備えていてもよい。第1の周期成分は第1の周波数を有していてもよく、第2の周期成分は第1の周波数の1つを含む整数倍である第2の周波数を有していてもよい。第1の周期成分と第2の周期成分とのうち一方は正弦波であってもよく、第1の周期成分と第2の周期成分とのうち他方は矩形波である。
【0023】
[0024] 一実施形態の別の一態様によれば、ターゲット材料ディスペンサからのEUVターゲット材料の流れの合体挙動を最適化する方法が開示され、ターゲット材料ディスペンサは正弦波成分と矩形波成分とを有する適用される信号に応答して流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、その方法は、流れがサテライトを含まない正弦波成分と矩形波成分との位相差の隣接する値の第1の数の範囲を判定することと、流れがサテライトを含む正弦波成分と矩形波成分との位相差の隣接する値の第2の数の範囲を判定するステップと、第1の数及び第2の数が1に等しい場合に許容可能となるEUVターゲット材料の流れの合体挙動を判定するステップと、を備える。
【0024】
[0025] 本発明の別の実施形態、特徴、及び利点、並びに様々な実施形態の構造及び動作を、添付図面を参照して以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
[0026] 本明細書に組み込まれ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の実施形態の方法及びシステムを、限定としてではなく例として説明する。図面は更に、詳細な説明と併せて、本明細書に提示されている方法及びシステムの原理を説明するように、また、当業者がこの方法及びシステムを作製し使用できるように機能する。図面中、同じ参照番号は同一の又は機能的に類似の要素を表す。
【0026】
図1】[0027] 露光デバイスと連結されたEUV光源の簡易化された概略図である。
図2】[0028] EUV光源の液滴発生サブシステムの模式図である。
図3】[0029] オリフィスを出ていく流れにおいて擾乱を作り出すために1つ以上の電子作動可能な素子を流体と連結させる技術を図示する。
図4】[0030] 液滴流における合体の状態を示す図である。
図5A】[0031] 一実施形態の一態様による用いられ得る合成ハイブリッド波形の成分を示す。
図5B】[0031] 一実施形態の一態様による用いられ得る合成ハイブリッド波形の成分を示す。
図6】[0032] 一実施形態の一態様による位相差の関数としてのサテライト形成の図である。
図7】[0033] 一実施形態の一態様による交差間隔とサテライトを有する領域とサテライトを有さない領域との長さの比率との関数としてのサテライト形成挙動の図である。
図8】[0034] 一実施形態の一態様による位相差への合体長さの依存性の図である。
図9】[0035] 一実施形態の一態様による正弦振幅と矩形位相との関数としての合体長さのマップである。
図10】[0036] 一実施形態の一態様による(1)ノズル伝達関数と正弦振幅との積と(2)矩形位相との間の関係に対する抗力規模の影響を示すグラフである。
図11】[0037] 一実施形態の一態様による(1)ノズル伝達関数と正弦振幅との積と(2)矩形位相との間の関係に対する時間の経過の影響を示すグラフである。
図12】[0038] 一実施形態の一態様による矩形位相とブレイキング正弦振幅(breaking sine amplitude)との関数としての動作のサテライトフリー領域の構成を示す図である。
図13】[0039] 一実施形態の一態様によるジャンプ境界の傾きと抗力係数との関係を示す図である。
図14】[0040] 一実施形態の一態様による抗力係数とノズル伝達関数及びブレイキング正弦振幅との関係を示す図である。
図15】[0041] 一実施形態の一態様によるジャンプ境界データを用いてサテライト滴の有無を推測するプロセスを示すフローチャートである。
図16】[0042] 一実施形態の一態様によるEUV放射発生を説明するために用いられる座標系における特定の慣行を示す図である。
図17】[0043] 一実施形態の一態様による液滴の位置間の関係を示す図である。
図18】[0044] 一実施形態の一態様による液滴位置がノズル伝達関数に関係するときの矩形位相と液滴位置との関係を示すグラフである。
図19】[0045] 一実施形態の一態様による液滴発生器の伝達関数を判定するプロセスを示すフローチャートである。
図20】[0046] 一実施形態の一態様による液滴の位置間の関係を示す図である。
図21】[0047] 一実施形態の一態様による液滴の位置間の関係を示す図である。
【0027】
[0048] 本発明の更なる特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作を、添付図面を参照し、以下において詳細に説明する。なお、本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態に限定されない。そのような実施形態は、例示のみを目的として本明細書中に提示される。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づいて、追加的な実施形態が明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0049] 次に、図面を参照して様々な実施形態を説明する。全文を通じて、同じ参照番号は同じ要素を参照して用いられる。以下の記載においては、説明の目的で、1つ以上の実施形態の完全な理解を促進するために、多くの具体的詳細が述べられる。もっとも、いくつかの又は全ての場合において、後述するいずれの実施形態も、後述する具体的な設計詳細を採用することなく実行可能であることは明らかであろう。他の場合においては、1つ以上の実施形態の記載を容易にするために、周知の構造及びデバイスがブロック図の形で示される。 以下では、1つ以上の実施形態の簡単な概要を提示して、それらの実施形態の基本的な理解を提供する。この概要は、考えられる全ての実施形態の広範な概観ではなく、全ての実施形態の鍵となる要素又は重大な要素を特定することや、いずれか又は全ての実施形態の範囲を詳細に描写することを意図するものではない。
【0029】
[0050] しかしながら、そのような実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態が実施され得る例示的な環境を提示することは有益である。以下の記載及び特許請求の範囲においては、「上(up)」、「下(down)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」及び同様の用語が使用され得る。これらの用語は、相対的な配向を示すことのみを意図されたものであり、重力に対する配向を示すことは意図されていない。
【0030】
[0051] 最初に図1を参照すると、本発明の一実施形態の一態様による例示的なEUV放射源、例えばレーザ生成プラズマEUV放射源10の概略図が示されている。図示するように、EUV放射源10はパルスレーザ源又は連続レーザ源22を含んでいてもよく、これは例えば、概して20μm未満、例えば約10.6μmの範囲内又は約0.5μ以下までの波長の放射のビーム12を生成するパルスガス放電COレーザ源であり得る。パルスガス放電COレーザ源は、高電力で及び高パルス繰り返し率で動作するDC又はRF励起を有していてもよい。
【0031】
[0052] EUV放射源10は、液体小滴又は連続液体流の形でソース材料を送出するターゲット送出システム24も含む。本例においてはソース材料は液体であるが、固体又は気体でもあり得る。ソース材料はスズ又はスズ化合物からなり得るが、他の材料が用いられてもよい。図示されるシステムにおいては、ソース材料送出システム24はソース材料の液滴14を真空チャンバ26の内部の照射領域28へ導入し、ソース材料はそこで照射されてプラズマを生成し得る。なお、本明細書において用いられるとき、照射領域とは、ソース材料の照射が起こり得る領域であり、実際に照射が起こっていないときであっても照射領域である。EUV光源は、図2との関連で下記においてより詳細に説明されるように、ビーム合焦及び操縦システム32も含み得る。
【0032】
[0053] 図示されるシステムにおいて、構成要素は、液滴14が略水平に移動するように配置される。レーザ源22から照射領域28に向かう方向、つまり、ビーム12の伝搬の公称方向がZ軸と考えられ得る。液滴14がソース材料送出システム24から照射領域28までとる経路がX軸と考えられ得る。したがって、図1の視点はXZ平面に垂直である。また、液滴14が略水平に移動するシステムが図示されているが、当業者には、液滴が垂直に又は重力に対して90度(水平)と0度(垂直)との間の90度及び0度を含むある角度で移動する他の配置を用いることができることは理解されるであろう。
【0033】
[0054] EUV放射源10は、EUV光源コントローラシステム60も含んでいてもよく、ビーム操縦システム32の他に、レーザ発射制御システム65も含んでいてもよい。EUV放射源10は液滴位置検出システムのような検出器も含んでいてもよく、これは例えば照射領域28に対する液滴の絶対位置又は相対位置を表す出力を発生すると共にこの出力をターゲット位置検出フィードバックシステム62に提供する1つ以上の液滴イメージャ70を含み得る。
【0034】
[0055] 液滴位置検出フィードバックシステム62は、液滴イメージャ70の出力を、液滴の位置及び軌道を計算するために用いてもよく、そこから液滴位置誤差が計算可能である。液滴位置誤差は、1滴毎に、又は平均して、又は他の原則に基づいて計算可能である。液滴位置誤差はその後、入力として光源コントローラ60に提供され得る。これに応じて、光源コントローラ60は、レーザ位置、方向、又はタイミング補正信号などの制御信号を発生すると共に、この制御信号をレーザビーム操縦システム32に提供することができる。レーザビーム操縦システム32は、制御信号を用いて、チャンバ26内におけるレーザビーム焦点の場所及び/又は集光力を変更することができる。レーザビーム操縦システム32は、制御信号を用いて、ビーム12と液滴14との相互作用のジオメトリも変更することができる。例えば、ビーム12は、中心を外れて又は真正面以外の入射角で液滴14に当たるようにされることができる。
【0035】
[0056] 図1に示されるように、ソース材料送出システム24は、ソース材料送達制御システム90を含んでいてもよい。ソース材料送達制御システム90は、信号、例えば上述した液滴位置誤差、又はシステムコントローラ60によって提供される液滴位置誤差から求められる何らかの量に応答して、照射領域28を通るソース材料の経路を調節するように動作可能である。これは、例えば、ソース材料送達機構92が液滴14を解放する点を再位置決めすることによって達成され得る。液滴解放点は、例えば、ターゲット送達機構92を傾けることによって又はターゲット送達機構92をシフトさせることによって再位置決めされ得る。ソース材料送達機構92はチャンバ26内へと延伸し、好適には外部からソース材料を供給されると共にソース材料をソース材料送達機構92において圧力下に置くためにガス源に接続されている。
【0036】
[0057] 引き続き図1を参照すると、放射源10は、1つ以上の光学素子も含み得る。以下の議論においては、そのような光学素子の一例としてコレクタ30が用いられるが、この議論は他の光学素子にも当てはまる。コレクタ30は、例えば、熱誘起された層間拡散を効果的に遮断するように各界面に積層された追加的な薄バリア層、例えばBC,ZrC,Si又はCを備えるMLMとして実装される法線入射リフレクタであってもよい。アルミニウム(Al)又はシリコン(Si)など、他の基板材料を用いることもできる。コレクタ30は長楕円形の形態であってもよく、レーザ放射12が通過して照射領域28に到達することを可能にするための中央アパーチャを備えている。コレクタ30は、例えば、照射領域28に第1の焦点を有し所謂中間点40に第2の焦点(中間焦点40とも称される)を有する楕円体の形状であってもよく、EUV放射はその中間点でEUV放射源10から出力され得ると共に、例えばレチクル又はマスク54を使用する既知の手法でシリコンウェーハワークピース52を加工するために放射を用いる、例えば集積回路リソグラフィスキャナ又はステッパ50に入力され得る。マスク54は透過性又は反射性であり得る。EUV用途の場合、マスク54は概して反射性である。シリコンウェーハワークピース52はその後更に、集積回路デバイスを得るために、既知の手法で加工される。
【0037】
[0058] 図2は、液滴発生システムをより詳細に図示する。ソース材料送出システム90は、チャンバ26内の照射サイト/主焦点48に液滴を送出する。波形発生器230が、液滴流中に速度摂動を引き起こす液滴発生器90内の電子作動可能な素子に駆動波形を提供する。波形発生器230は、データ処理モジュール252からのデータに少なくとも部分的に基づいて、コントローラ250の制御下で動作する。データ処理モジュールは1つ以上の検出器からデータを受信する。図示する例においては、検出器は、カメラ254及びフォトダイオード256を含む。液滴は1つ以上のレーザ258によって照明される。この典型的な配置においては、検出器は、流れの中の、合体が起こったと予期される点において、液滴を検出/撮像する。
【0038】
[0059] 図3は、簡易化された液滴源92の構成要素を概略的な形式で図示している。同図に示されるように、液滴源92は、流体96、例えば溶融スズを圧力下に保持するリザーバ94を含み得る。同じく図示するように、リザーバ94は、加圧流体96がリザーバ94から流出して後に複数の液滴に分裂する連続流を確立することを可能にするノズル98を備えて形成されていてもよい。波形発生器230によって発生される波形は、電子作動可能な素子150を駆動するために用いられて、EUV出力のための液滴を生成する。電子作動可能な素子150は流体中に擾乱を生成し、これが異なる初期速度を有する液滴を発生させ、少なくともいくつかの隣接する液滴対を照射領域に到達する前に合体させる。当初の微小液滴と合体した液滴との比は、例えば約10から約500までの範囲内の任意の数であり得る。
【0039】
[0060] 液滴合体プロセス全体が、ノズルからの距離の関数として展開する複数の合体ステップ又はレジームの連続であると見なされてもよい。これは図4に示されている。例えば、第1のレジームIにおいて、つまりターゲット材料が最初にオリフィス又はノズルを出ていくとき、ターゲット材料は速度摂動された層状流体ジェットの形態である。第2のレジームIIにおいて、流体ジェットは分裂して様々な速度を有する一連の微小液滴になる。第3のレジームIIIにおいて、飛行の時間で又はノズルからの距離によって測定され、微小液滴は合体して、サブ合体液滴と称される、互いに対して様々な速度を有する中間サイズの液滴になる。第4のレジームIVにおいて、サブ合体液滴は合体して、所望の最終的なサイズを有する液滴になる。サブ合体ステップの数は可変である。ノズルから液滴が最終的な合体状態に達する点までの距離は、合体距離又は長さLである。理想的には、液滴の合体距離は可能な限り短い。液滴は、合体してより大きな液滴になると、水素流量及びイオン衝撃などのソース条件の影響を受けにくくなる。
【0040】
[0061] したがって、励振信号によって制御されるときの合体プロセスは、およそ2μsの間隔を有する中間サイズの液滴(より高周波(典型的には500kHz)の液滴)を発生させる初期の部分的合体又はサブ合体レジームと、サブ合体液滴が合流しておよそ20μsの間隔(50kHz)のメイン液滴になるメイン合体とを有するものとして理解され得る。もっとも、他の実施形態においては他の間隔が生成される。
【0041】
[0062] したがって、分裂/合体プロセスの制御は、液滴を、照射領域に到達する前に液滴が十分に合体するように及び合体した液滴を照射するために用いられるレーザのパルスレートに対応する周波数を有するように制御することを伴う。レイリ―分裂微小液滴が合体してレーザパルスレートに対応する周波数の完全に合体した液滴になるプロセスを制御するために、ハイブリッド波形が電子作動可能な素子に供給されてもよい。ハイブリッド波形は、本質的には、第1の低周波周期波形と第2の高周波周期波形との組み合わせから構成され得る。一例として、ハイブリッド波形は、低周波正弦波と高周波矩形又はブロック波とからなっていてもよい。しかしながら、高周波周期波形は必ずしも矩形波でなくてもよいこと、そして矩形波が用いられる実施例に関係する本明細書中の教示は、文脈が許す限り、第2の高周波周期信号が矩形波ではない実施例にも等しく適用可能であると考えられ得ることは理解されるであろう。したがって、ハイブリッド波形信号は、図5Aに示される(例えば50kHzの)低周波正弦波と図5Bに示される(例えば500kHzの)高周波ブロック波とからなっていてもよい。図において、時間軸及び振幅軸の縮尺は任意である。このようなハイブリッド波形は、a)正弦振幅、b)矩形位相、つまり正弦波と矩形波との位相差、c)矩形振幅、d)矩形アップタイム(デューティサイクル)及びd)矩形周波数を含む5つの調節可能なパラメータの参照によって特徴付けられ得る。メイン合体プロセスは主に正弦振幅と矩形位相とに依存し、更に上記で挙げられた他の3つの調節可能なパラメータに依存し得る。
【0042】
[0063] 既に述べたように、完全合体が達成されない場合には、液滴流は、サテライト滴又はマイクロサテライトと称される、より小さな液滴を含むであろう。サテライト滴の存在は、いくつかの方法、例えば液滴検出モジュール(DDM:droplet detection module)、交差間隔、液滴形成カメラ(DFC:droplet formation camera)の使用のうちいずれか1つ又はこれらの組み合わせによって、あるいはEUV信号の変化の監視を通じてさえ、検出することができる。液滴流を監視するシステム及び方法は、例えば、2016年1月19日に交付され「System and Method for Controlling Droplet Timing in an LPP EUV Light Source」と題された米国特許第9,241,395号明細書に開示されている。同特許の全内容は参照によりここに組み込まれる。しかしながら、流れから比較的離れた監視設備を用いると、サテライトを直接的に観察すること又は合体距離を測定することは困難である。サテライトが存在するかどうか又は合体距離などの条件を、より直接的に確認可能なパラメータから推測する手法を有するのが有用であろう。
【0043】
[0064] サブ合体は、ハイブリッド波形励振信号を用いた合体プロセスの重要な一部である。なぜなら、サブ合体長さが増大すれば、メイン合体プロセスとサブ合体プロセスとが干渉して、合体長さが増大するからである。増大した合体長さは、照射領域からのプラズマ圧力によってサテライトが引き起こされる可能性を高める。
【0044】
[0065] また、不十分なサブ合体は(500kHzの周波数であり得る)サブ合体液滴の速度ジッタを高め、これは低周波サテライト(メイン液滴の一部の隣にサテライトが存在)又は液滴タイミング不良を引き起こし得る。サテライト及びタイミング不良はEUVシステムにおけるドーズ安定性及びコレクタ寿命に影響し得る。
【0045】
[0066] その結果、まずサブ合体プロセスを特徴付けると共に、その特徴付けを液滴発生器ノズルにおける圧力変動を生み出す時間変化信号を制御するための少なくとも部分的な根拠として用いるのが有利である。この判定は、例えば液滴の合体を改善する(例えばサテライト滴の発生率を低減させる)ために、繰り返し実施可能である。そのような判定がハイブリッド波形を改善するために用いられる状況において、その手順はハイブリッド波形最適化(HWO:hybrid waveform optimization)と称され得る。
【0046】
[0067] 上記で暗示されるように、ハイブリッド波形励振信号のパラメータを最適化するにあたっての主な課題の1つは、EUVシステムにおいて典型的に利用可能であろう低周波液滴メトロロジ設備によってサブ合体プロセスの特徴を判定することである。様々なシステムにおいて、照射領域(例えばコレクタの主焦点)での画像ベースの低周波サテライト検出のための用意があってもよい。この信号のサンプリング周波数(レート)は20Hz未満であってもよく、これは50kHzであり得るメイン液滴周波数よりも有意に小さい。2つの液滴間のタイミングである交差間隔を判定するための用意もあってもよい。この信号の周波数(レート)は、メイン液滴周波数(50kHzなど)と同じであり得る。y及びx方向の液滴の画像ベースの位置測定の用意もあってもよい。この信号の周波数(レート)は1kHzであってもよく、これはメイン液滴周波数よりも小さい。
【0047】
[0068] 概して、これらの測定及び検出からの信号はメイン液滴の状態についての情報しか含んでおらず、メトロロジ設備はサブ合体性能を直接測定するためには利用できないかもしれない。一実施形態の一態様によれば、本明細書には、上述したメトロロジを用いてサブ合体性能を定量化するためのシステム及び方法が開示されている。これは、典型的なメトロロジ設備によっては直接的には観察し得ないようなハイブリッド波形励振信号を調整した後の低周波サテライトの存在を検出することを可能にする。また、従来のメトロロジ設備から入手できる測定を用いたサブ合体性能の最適化も可能にする。また、安定的なサブ合体液滴の発生における液滴発生器ノズルの性能を特徴付けるための「健康メトリック」の特徴付けも可能にする。また、調整ソリューションのロバスト性を高めるためのサブ合体の最適化も可能にする。
【0048】
[0069] 一実施形態の一態様によれば、HWOは、上述したハイブリッド波形励振信号の5つのパラメータの組み合わせなどパラメータを最適化するために用いられ得る。例えば、最適化の様々な実施例において、これらのパラメータのうち2つ(矩形振幅及び矩形アップタイム)がサブ合体プロセスを制御するために用いられ得る。
【0049】
[0070] 特に、位相スキャンデータがサブ合体性能を定量化するために用いられてもよい。ここで用いられる場合、位相スキャンとは、矩形位相パラメータをスキャンしてスキャン位相の特定の値についての一連の条件を判定することを指す。条件の1つは、矩形位相のその値でサテライトが存在するかどうかである。これはブーリアン型の「yes又はno」判定であり、フラグを設定するために使用可能である。検出される条件の別の1つは、2つの液滴間のタイミングの広がりであってもよく、そのタイミングが交差間隔と称される。例えば、3シグマ、すなわち平均の3標準偏差内にある間隔など、この広がりの統計的な尺度が判定可能である。これは3シグマ交差間隔と称されてもよく、sで表される。検出され得る別の条件は、液滴流のy及びz位置の3シグマである。各設定において、y及びzの液滴の場所の3シグマの値が判定され、ry及びrzで表される。
【0050】
[0071] このデータはその後、サブ合体性能を最適化するために用いられ得る。まず、サテライトの有無を見ると、概して、サテライトを生み出す隣接した矩形位相設定の領域がある。隣接とは、その領域がサテライトを生み出さない値によって割り込まれないことを意味する。この領域はDFCを用いたサテライト検出によって判定可能であることに留意されたい。その結果が、矩形位相の関数としての3シグマ交差間隔のプロットである図6の代表例に示されている。図6において、サテライトを生み出さない矩形位相の値は普通の点によって示されている。サテライトを生み出す矩形位相の値は丸で囲まれた点によって示されている。サテライトが発生する領域(隣接した位相値の位相範囲)はサテライトアイランドSIと称され得る。サテライトがない領域は、同様に、サテライトフリーアイランドSFIと称され得る。このデータを分析する1つの技術によれば、最も幅広のサテライトフリーアイランドの矩形位相の幅Lが判定される。完全なサブ合体の場合のサテライトフリーアイランド幅はLと表される。換言すれば、Lは、合体プロセスが均一に分布した液滴で始まったと仮定したアイランド幅の理論値である。
【0051】
[0072] なお、Lは、TF(50kHzでのノズル伝達関数)と正弦Ampl(正弦波成分の振幅)との積と液滴抗力係数との関数である。測定されたアイランド幅がLと一致する場合には、均一に分布したサブ合体液滴が存在する。
【0052】
[0073] 次に、最も幅広のサテライトアイランドの幅が判定される。この幅はLで表される。完全なサブ合体の場合、この量は2π-Lに等しいであろう。
【0053】
[0074] 次のステップにおいては、サテライトフリー領域内の交差間隔のpノルムのような統計的な尺度が判定され、Sと表される。
【0054】
[0075] 次に、y安定性の3シグマのpノルムのような統計的な尺度がry_mとして判定され、z安定性の3シグマのpノルムのような統計的な尺度がrz_mとして判定される。その後、YZStabilityがベクトル[ry,rz]の重み付けpノルムとして判定される。
【0055】
[0076] 上記の判定に基づいて、サブ合体量化子(sub-coalescence quantifier)が、例えば次のように、費用関数を最小化する値として定義され得る。
【0056】
[0077]
【数2】
【0057】
[0078] ここで、W,W,W,Wは何らかの正の実数である。
【0058】
[0079] 上記のメトリックは、プラズマ誘起サテライトの存在の可能性の有用な推定を提供することができる。換言すれば、サブ合体パラメータは、上記の費用関数量の最小点(minimizer)に設定され得る。サブ合体パラメータを上記の費用関数量の最小点に設定することによって、サテライトの存在は最小化され得、したがってサブ合体性能が最適化される。
【0059】
[0080] サブ合体性能の別のメトリックとして、サブ合体性能は、複数のサテライトフリー領域が発見される場合には、許容できないものと見なされ得る。換言すれば、サブ合体性能が許容可能である場合には、矩形位相の関数としての3シグマ交差間隔の依存性は、1つのサテライトフリー領域と1つのサテライト領域とを有するはずである。
【0060】
[0081] 既に述べたように、サテライトはサブ合体性能が崩壊するときに出現する。サブ合体はノズル伝達関数の高周波成分に関係している。したがって、上記のようなサブ合体に関係するメトリックは、ノズル伝達関数のその成分についてのフィードバックを与える。
【0061】
[0082] 上記の技術/メトリックは、HWOの最適化プロセスのための目的関数も提供する。また、サブ合体プロセスに関して液滴発生器性能を定量化するためのメトリックも提供する。
【0062】
[0083] 本明細書に記載される技術は、プラズマ誘起サテライトを発生させる可能性を低減させ、HWOによって判定される調整ソリューションの寿命(ロバスト性)を増加させ、サブ合体性能に基づく性能インジケータを提供して交換の決定、すなわちDGを非起動状態にして交換する決定を支援することもできる。
【0063】
[0084] 位相スキャンのアンサンブルに関して、上記のメトリクス(より具体的にはL及びS)が計算され得ると共に、どの位相スキャンがプラズマ誘起サテライトを生み出すかが判定される。プラズマ誘起サテライトがある位相スキャンとプラズマ誘起サテライトがない位相スキャンとは、これらの2つのメトリクスの線形結合に基づいて分類することができる。図7においては、プラズマ誘起サテライトがある位相スキャンがアスタリスクによって示され、プラズマ誘起サテライトがない位相スキャンが白丸によって示されている。このように、位相スキャンデータに基づいてプラズマ誘起サテライトの確率を予測することが可能である。このデータは、液滴発生器の調整中にプラズマがないときに得ることができる。
【0064】
[0085] 合体長さは、合体シミュレーションと真空でのベンチ試験との両方に基づき、正弦振幅が増大するにつれて概ね直線的に減少する。最小合体長さは、矩形位相を変更することによって構築されるサテライトフリー領域の中心に位置している。
【0065】
[0086] 「ブレイキング正弦振幅」という用語は、サテライトフリー構成を生成することのできる正弦振幅の最小値を参照して用いられる。これは抗力係数の関数である。抗力を斟酌するように伝達関数を補正するために用いられ得る。典型的には、伝達関数は、EUV容器内の液滴に対する抗力の影響は無視できるという仮定に基づいて判定される。実際には、容器内の水素流量は液滴に無視できない量の抗力を経験させ得る。本質的には、抗力が判定され、そこからブレイキング正弦振幅が判定される。これは補正された伝達関数につながる。この伝達関数の計算は、抗力係数に基づいて補正される必要があり得る。
【0066】
[0087] 更に、液滴の付近の水素の流量から生じる抗力及び安定した容器圧力は合体プロセスに有意な影響を及ぼし得ることが判明している。合体した液滴に作用する抗力は、ハイブリッド波形のパラメータの最適化プロセスにおいて、特別な注意を必要とする。HWO手順におけるブレイキング正弦振幅に基づいた伝達関数の推定は、抗力の存在を考慮しなければ、正確ではないかもしれない。また、抗力が存在するときには、(矩形位相空間の)サテライトフリー領域の中心は、合体長さの最小点ではない。
【0067】
[0088] 抗力に関しては、検討中のレジームの液滴は、各々が直径dを有する球として扱われ得る。また、検討中のレジームにおいては、レイノルズ数は比較的小さく、したがって球を通過して流れる一定速度のガスの抗力FDは次のように近似することができる。
【0068】
[0089]
【数3】

ここで、μはガスの粘性、dは粒子直径、C(Kn)は2λ/dによって与えられるクヌーセン数のすべり補正係数、Vは粒子速度、Uは流体局所速度、C(Re)Re/24は流体慣性効果の非ストークス補正である。Daniel J. Rader, Anthony S. Geller, 3 - Transport and Deposition of Aerozol Particles、編集者Rajiv Kohli, K.L. Mittal, Developments in Surface Contamination and Cleaning, William Andrew Publishing、2008年、189~266ページを参照のこと。
【0069】
[0090] 抗力を勘案することの1つの影響は、合体長さの最小点の場所が部分的に容器圧力に依存するようになることである。合体長さは励振信号のパラメータの不連続関数であり、(不連続性に近い)合体長さの最小点はノズル伝達関数の変化に関してロバストな動作点ではない。
【0070】
[0091] 前述したように、HWO手順は、上述したハイブリッド波形励振信号の5つのパラメータを最適化し得る。この手順の様々な実施例において、これらのパラメータのうち2つ(正弦振幅及び矩形位相)はメイン合体プロセスを制御するために用いられてもよく、残りのパラメータはサブ合体を制御するために用いられてもよい。抗力を斟酌する最適化手順は、抗力を無視できると仮定する最適化と比較して性能の改良の可能性を提供する。これは、容器圧力が無視できる程度ではなく水素流量が存在する場合に、特にそうである。
【0071】
[0092] また、既に述べたように、合体長さは、全ての微小液滴が合流される、例えば50kHz液滴になる、ノズルからの最小距離である。合体長さがノズルとEUVコレクタの主焦点との間の距離未満であれば、サテライトフリー構成が得られる。理想的な動作点は、水素流量及びプラズマに由来する衝撃波に対するロバスト性を提供するために、小さな合体長さを有するであろう。
【0072】
[0093] 合体長さの矩形位相への関数的依存性は、抗力が存在するときには不連続性を有する。この不連続性の場所は、サテライトフリー領域の境界のうちの1つであり、図8に示されるようにジャンプ境界と称される。簡易化されたバージョンのHWO手順においては、動作矩形位相は単純にサテライトフリー領域の中心に設定されてもよく、これは抗力が存在するときの合体長さの最小点ではない。もっとも、ノズル性能バラつきに対してロバストでありより小さな合体長さを提供し得る動作矩形位相値を判定することのできるHWO手順を用いることには利点がある。なお、様々な実施例において、このプロセスは、主焦点/照射領域においてサテライト検出器ターゲット形成メトロロジ設備(TFM)及びDFCのみを用いて実行され得る。
【0073】
[0094] 要約すると、固定値の正弦振幅、矩形アップタイム、矩形振幅、及び矩形周波数の場合、合体長さは矩形位相の不連続関数である。つまり、矩形位相の関数としての合体長さのプロットは、いくつかの矩形位相の値について不連続性を示すであろう。不連続性の直前には合体長さは最小値又はその付近となり、不連続性においては合体長さは最大値又はその付近となる。この不連続性の場所は本明細書においてジャンプ境界と称される。
【0074】
[0095] この現象を評価する別の手法は、正弦成分の振幅の関数として不連続性を引き起こす矩形位相を検討することである。これは図9に示されている。図9において、x軸は増加する正弦振幅であり、y軸は増加する矩形位相である。濃いところから薄いところに及ぶグレーの影は合体長さの変化を表し、濃いほど短いことを表すと共に薄いほど長いことを表す。結果として生じる、最大合体長さのエリア(最も薄いところ)と最小合体長さのエリア(最も濃いところ)との境界は、正弦振幅の関数としてのジャンプ境界の場所の依存性を示す曲線を定義する。
【0075】
[0096] 図9のジャンプ境界曲線は、様々な値の正弦振幅のジャンプ境界の位置をジャンプ境界曲線のたった1つの位置の測定から判定するためのツールを提供する。換言すれば、いったん曲線の一部の形状が判定されると、曲線の他の部分の形状は補外によって判定することができる。曲線は、色々な抗力条件に関する曲線のy変位を示すルックアップテーブルを用いることによって、その色々な抗力条件について較正可能である。
【0076】
[0097] ジャンプ境界曲線は矩形アップタイム、矩形振幅に依存し、経時的にも変化し得る(位相ドリフト)。しかしながら、概して、この依存性によって定義される曲線の形状は時間又は抗力の変化と略同一のままであり、その代わりに、これらの変化の影響は位相ドリフトとなってこれらの曲線をy軸に沿ってシフトさせるであろう。これは図10及び図11に示されている。図10は3つのジャンプ境界曲線を示している。Large F0と標示されたものは抗力が比較的大きい曲線を示し、Small F0と標示されたものは抗力が比較的小さい曲線を示し、標示されていない中間の曲線は中間的な規模を有する抗力のものである。見てわかるように、これらの曲線は本質的に同じ形状を有しており、単純に互いに垂直にシフトされている。シフト量は抗力の規模を示す。しかし、図11は、曲線のシフトが少なくとも部分的には時間の経過にも起因し得ることを示している。
【0077】
[0098] 抗力及び伝達関数は、ブレイキング正弦振幅と、ジャンプ境界の正弦振幅への依存性を定義する曲線の傾きとから判定することもできる。図12においては、まず、様々な正弦振幅で再帰的な位相スキャンをすることによって、ブレイキング正弦振幅が判定される。ここから、ジャンプ境界の正弦振幅への依存性を定義する曲線が確立される。したがって、ジャンプ境界曲線は抗力係数を判定するためにも用いることができる(図13)。伝達関数は、ブレイキング正弦振幅と抗力係数とに基づいて計算することができる(図14)。なお、伝達関数は本質的にジャンプ曲線の正弦振幅への依存性の曲線の水平目盛であるから、ジャンプ境界は交差間隔を判定することなく判定することができる。
【0078】
[0099] ひとたびジャンプ境界が判定されると、合体長さをジャンプ境界に近づけない手法で合体長さを最小化する動作条件を選択することも可能である。この手順を用いて得られる合体長さは他の技術を用いて得られるものよりも小さく、これは流量及びプラズマの擾乱に対して余裕を持たせるので望ましい。上記の方法は、プラズマ誘起サテライトを発生させる可能性も最小化する。
【0079】
[0100] 伝達関数は単純に水平軸の目盛であるから、上記はノズル伝達関数を推定する方法を提供する。これはハイブリッド波形励振信号のパラメータを最適化する方法でもある。そして、容器圧力及び容器内の抗力係数を判定するための新たな方法も提供する。
【0080】
[0101] 交差間隔の3シグマの値のような交差間隔のばらつきの統計的な尺度は、ジャンプ境界の付近で増加するであろう。これは、サテライト検出器メトロロジを用いることなく交差間隔に基づいてジャンプ境界の位置を見つけるための代替的な手法である。
【0081】
[0102] 既に述べたように、これらのパラメータを定量化することは、サテライト形成、ジャンプ境界、及び合体長さの特徴付けを、たとえサテライト検出メトロロジがノズルから離れていてこれらの条件が直接的に観察可能でないとしても、可能にする。
【0082】
[0103] フローチャートで表すと、図15に示されるように、一態様によれば、合体長さなどの流れ条件又はサテライト条件(有無)は、ジャンプ境界データから推測することができる。第1のステップS10において、正弦振幅値が選択される。ステップS20において、矩形位相がそのときの正弦振幅に関してスキャンされ、ジャンプ境界が、合体長さが急増する、すなわち不連続性を示す正弦振幅と矩形位相との組み合わせとして判定される。ステップS30において、正弦振幅の全ての所望の値に関して矩形位相スキャンが行なわれたかどうかが判定される。YESであれば、ステップS40において、動作時にジャンプ境界データを用いて正弦振幅と矩形位相との所与の組み合わせにおける流れ条件(図中では、一例としてサテライト条件)を推測する。そうでなければ、ステップS35において、正弦振幅が変更され、プロセスはステップS10に戻る。
【0083】
[0104] 既に述べたように、ハイブリッド波形を用いて液滴を形成するときには、まず微小液滴、すなわち液滴発生器のノズルを離れる流れの分裂から最初に形成される液滴が、合体して、本明細書においてサブ合体液滴と称される高周波(典型的には500kHz)液滴となる。これらのサブ合体液滴はその後、合体して、完全に合体したメイン周波(典型的には50kHz)液滴となる。理想的には、動作時には、これらの微小液滴又はサブ合体液滴はいずれも照射サイトに到達しない。到達する場合、主焦点に到達するこれらの高周波サブ合体液滴はいずれも、本明細書においてはサブ合体サテライト滴と称される。主焦点に到達する微小液滴はいずれも、微小液滴サテライトと称される。ハイブリッド波形励振信号のパラメータを最適化するための更なる技術は、液滴及びサテライトの位置及びサイズ情報を用いる。
【0084】
[0105] 既に述べた通り、概して、基準座標系の場合、EUVシステムの図16の概念図に示されるように、Zは、レーザビーム12がそれに沿って伝搬する方向であると共に、コレクタ30から照射サイト又は主焦点28及びEUV中間焦点への方向でもある。Xは液滴伝搬平面内にある。YはXZ平面に直交する。これを右手座標系にするためには、液滴流14の軌道は-X方向にあるものとされる。原点は照射サイト28とされる。照射サイト28における流れの中のサテライト滴の存在は、いくつかの方法のうちいずれか1つ又は組み合わせ、例えば照射サイトにおける流れを観察するDDM又はDFCの使用によって、検出可能である。
【0085】
[0106] 図17に示されるように、完全に合体した液滴400の各々が、その付近に、完全に合体した液滴から本明細書において流れ方向とも称される矢印で示される流れの伝搬の-X方向に変位されたサブ合体サテライト滴410を有する、正弦振幅の範囲がある。図中で「A」と標識された液滴とサテライトとのX方向の距離は、STDD(Satellite-to-Droplet Distance)と称される。STDDは、図18に示されるように、矩形位相の1次関数である。図18において、450と標識された線はSTDD対第1の値の正弦振幅の矩形位相のシミュレーションを示し、460と標識された線はSTDD対第2の値の正弦振幅の矩形位相のシミュレーションを示し、470と標識された線はSTDD対第3の値の正弦振幅の矩形位相のシミュレーションを示す。これらの線の傾きは、伝達関数*正弦振幅の測定であり、したがってノズル伝達関数を判定するために用いることができる。
【0086】
[0107] φで示される、STDDと矩形位相との間の関係を定量化する解析式は、次のように判定される。
【数4】

ここで、TFは伝達関数であり、LDFCは液滴発生器ノズルの端部と流れを見るように位置決めされたカメラによって流れの画像が撮像される位置との間の流れ方向の距離であり、U0はメイン合体液滴の速度である。
【0087】
[0108] ノズル伝達関数は、液滴に所与の相対速度を課すために液滴発生器が必要とする電圧の量を示すという点で、液滴発生器の動作状態の重要な指標である。この相対速度が、液滴がどれほど素早く合体するのかを決定する。伝達関数は、交換決定、例えば、照射領域に到達する前に許容可能な距離で完全合体を達成するのに十分な相対速度を液滴発生器が最大入力電圧で発生できない場合にその液滴発生器を取り換えることを案内するために、用いることができる。
【0088】
[0109] フローチャートで表すと、図19に示されるように、一態様によれば、ステップS50において正弦振幅値が選択される。ステップS60において、選択された正弦振幅でのSTDDの矩形位相への関数的依存性が判定される。ステップS70において、ステップS60で判定された関数的依存性の傾きから伝達関数が判定される。ステップS80において、液滴発生器(図中ではDG)は判定された伝達関数に従って動作し、伝達関数に応じた保守又は取り換えのための液滴発生器の考え得る評価を含むがこれに限定されない。
【0089】
[0110] サブ合体サテライト滴が検出され得る方法は複数ある。別の1つは、DFCなどのイメージャを用いて、全てのサテライト滴のサイズがサブ合体液滴の既知のサイズに対応するかどうかを判定するというものである。ここでも他のどこでも、「対応する(correspond)」とは、サテライトのサイズが、完全に合体した液滴又は微小液滴のサイズよりもサブ合体液滴のサイズに近いこと、又は微小液滴が高周波液滴に等しいことを意味する。
【0090】
[0111] サブ合体サテライト滴を検出する別の1つの方法は、横(Z)方向のサテライトの位置の座標が液滴サイズの間接的な測定であることに基づく。チャンバ内の水素流量は、完全に合体した液滴とより小さい液滴とを横方向で分離する。したがって、サブ合体サテライト滴は、チャンバ内の所与の流量条件に関する図20に示されるように、メインの完全に合体した液滴からZ方向の特定の距離Bだけ並進移動される。
【0091】
[0112] 液滴及びサテライトの位置及びサイズ情報は、サブ合体長さ、つまりノズル出口から微小液滴が合体してサブ合体液滴になる位置までの距離を測定するためにも用いることができる。ハイブリッド波形調整における1つの技術的な課題は、正弦振幅を増大させることはメイン合体とサブ合体とを干渉させ得るということである。メイン合体長さが低減されるにつれて、サブ合体プロセスは信号の低周波(正弦)部分によって発生する強い速度に影響される。換言すれば、図21に示されるように、信号の低周波部分の電圧が増大するにつれて、微小液滴サテライトが観察されるであろう。サブ合体長さは、微小液滴サテライトを発生させる最小の正弦振幅値を測定することによって判定することができる。したがって、サブ合体長さは、サブ合体パラメータ(矩形アップタイム、矩形振幅)の最適化プロセスにおいて目的関数として用いることができる。プロセスは、正弦振幅の最適化に用いることのできる正弦振幅値の上限も提供する。これは液滴発生器の動作状態を査定するためのパラメータとして用いることができる。
【0092】
[0113] 本発明を、特定の機能及びそれらの関係の実施例を説明する機能的なビルディングブロックの助けによって上述した。これらの機能的なビルディングブロックの境界は、本明細書においては説明の便宜のために任意に定義されている。特定の機能及びそれらの関係が適切に実施される限りは、代替的な境界が定義されてもよい。
【0093】
[0114] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当該技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的構想から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。したがって、そのような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書における表現又は用語は限定でなく説明のためのものであるので、本明細書の用語又は表現は、当業者によって教示及び案内の観点から解釈されるべきであることを理解されたい。本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、以下の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるものである。
【0094】
[0115] 本発明の他の態様は、以下の番号を付した条項に記載する。
1.ノズルを有し、ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するように適応されたターゲット材料ディスペンサと、
ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結されると共に適用される波形に基づいて流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子であって、速度摂動は第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的にノズルからある合体距離内で第1の液滴よりも大きい第2の液滴にする、電子作動可能な素子と、
電子作動可能な素子に電気的に連結されると共に適用される波形を発生するように適応された波形発生器であって、波形は正弦波成分と矩形波成分とを有し、正弦波成分は振幅を有し、矩形波成分は正弦波成分との位相差を有し、振幅及び位相差は合体距離の急変を回避しつつ合体距離を最小化するように選択される、波形発生器と、
を備える装置。
2.電子作動可能な素子は圧電素子である、条項1に記載の装置。
3.ノズルを有し、ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するように適応されたターゲット材料ディスペンサと、
ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結されると共に適用される波形に基づいて流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子であって、速度摂動は第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的にノズルからある合体距離内で第1の液滴よりも大きい第2の液滴にし、第2の液滴は第2の液滴が交差間隔で固定点を通過するように間隔を空けられている、電子作動可能な素子と、
第2の液滴の交差間隔を判定するように及び交差間隔信号を発生するように配置された交差間隔検出器と、
電子作動可能な素子に電気的に連結され、適用される波形を発生するように適応され、交差間隔信号に少なくとも部分的に基づいて適用される波形を発生するように適応された波形発生器と、
を備える装置。
4.ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の流れを提供することであって、ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備える、提供することと、
流れがサテライト滴を含むかどうかを判定すると共に流れがサテライト滴を含むかどうかを示すサテライト検出信号を発生することと、
サテライト検出信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生することと、
波形をターゲット材料ディスペンサに供給することと、
を備える、方法。
5.流れの交差間隔を判定すると共に交差間隔信号を発生することを更に備え、波形を発生するステップは、交差間隔信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生することを備える、条項4に記載の方法。
6.ターゲット材料ディスペンサのノズルの伝達関数を判定する方法であって、
ターゲット材料ディスペンサからEUVターゲット材料の流れを分注することと、
制御信号に応答して流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子に波形を適用することと、
流れがサテライトを含まない波形の正弦波成分の振幅の最小値を判定することと、
制御信号の正弦波成分と矩形波成分との位相差への合体長さの依存性を判定すると共に依存性の不連続性が生じるジャンプ境界位相差を判定することと、
最小値へのジャンプ境界位相の依存性の傾きを判定することと、
傾きに基づいて抗力係数を判定することと、
最小値及び抗力係数に基づいて正弦波成分の周波数での伝達関数を判定することと、
を備える、方法。
7.ターゲット材料ディスペンサからのEUVターゲット材料の流れの合体挙動を最適化する方法であって、前記ターゲット材料ディスペンサは適用される制御信号に応答して流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、方法は、
流れがサテライトを含まない制御信号の正弦波成分の振幅の最小値を判定することと、
制御信号の正弦波成分と矩形波成分との位相差への合体長さの依存性を判定すると共に依存性の不連続性が生じるジャンプ境界位相差を判定することと、
最小値へのジャンプ境界位相の依存性の傾きを判定することと、
傾きに基づいて抗力係数を判定することと、
抗力係数に基づいて設計された位相遅延を判定することと、
最適な位相差をジャンプ境界位相差と設計された位相遅延との差として判定することと、
を備える、方法。
8.ターゲット材料ディスペンサからのEUVターゲット材料の流れの合体挙動を最適化する方法であって、ターゲット材料ディスペンサは正弦波成分と矩形波成分とを有する適用される信号に応答して流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、方法は、
流れがサテライトを含まない正弦波成分と矩形波成分との位相差の隣接する値の最大範囲の幅Lを判定することと、
流れがサテライトを含む正弦波成分と矩形波成分との位相差の隣接する値の最大範囲の幅Lを判定することと、
幅Lを有する範囲における流れ交差間隔のばらつきの統計的な尺度としての値Sを判定することと、
ryがy方向の流れの安定性の統計的な尺度でありrzがz方向の流れの安定性の統計的な尺度であるところ、値YZStabilityをベクトル[ry,rz]の統計的な尺度として判定することと、
,W,W,Wが何らかの正の実数であるところ、費用関数
【数5】

を決定することと、
費用関数を最小化するように正弦波成分及び矩形波成分のパラメータを調節することと、
を備える、方法。
9.ノズルを有するターゲット材料ディスペンサを用いてノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供することと、
適用される波形に基づき流れの中に速度摂動を誘発するようにターゲット材料ディスペンサに機械的に連結された電子作動可能な素子を用いることであって、速度摂動は第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的にノズルからある合体距離内で第1の液滴よりも大きい第2の液滴にする、用いることと、
適用される波形を発生するように電子作動可能な素子に電気的に連結された波形発生器を用いることであって、波形は正弦波成分と矩形波成分とを有し、正弦波成分は振幅を有し、矩形波成分は正弦波成分との位相差を有し、振幅及び位相差は合体距離の急変を回避しつつ合体距離を最小化するように選択される、用いることと、
を備える、方法。
10.EUV放射源においてターゲット材料ディスペンサを動作させる方法であって、
正弦波成分と矩形波成分とを有する波形を発生することであって、正弦波成分は振幅を有し、矩形波成分は正弦波成分との位相差を有する、発生することと、
ターゲット材料の流れを提供するためのノズルを有するターゲット材料ディスペンサに機械的に連結された電子作動可能な素子に波形を適用することであって、ターゲット材料の流れはノズルを出た後で第1の液滴に分裂し、その後1つ以上の段階で合体してノズルからある合体距離内で第1の液滴よりも大きい第2の液滴になる、適用することと、
複数の振幅について、複数の位相差をスキャンして、合体距離の急変が生じる振幅と位相差とのジャンプ境界組み合わせを識別し、ジャンプ境界曲線を発生することと、
EUV放射源の動作中に、ジャンプ境界曲線に少なくとも部分的に基づいて振幅と位相差との組み合わせを使用することと、
を備える方法。
11.液滴発生器から第1のサイズの初期液滴の流れを電気信号の制御下で解放することであって、初期液滴の流れは少なくとも1回合体し合体長さを移動した後で第1のサイズよりも大きい第2のサイズの最終液滴の流れになり、電気信号は第1の周期成分と第1の周期成分から位相差だけ位相がずれた第2の周期成分とを有する、解放することと、
最終液滴の流れが第2のサイズよりも小さいサテライト滴を含まない値の位相差で液滴発生器を動作させることと、
位相差の値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために位相差の値を最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じる値に変化させることと、
を備える、方法。
12.最終液滴の流れが第2のサイズよりも小さいサテライト滴を含まない値の位相差で液滴発生器を動作させることは、最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じる値を下回ることが予期される値の位相差で液滴発生器を動作させることを備え、
位相差の値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために位相差位相の値を最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで変化させることは、位相差の値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで位相差位相の値を増大させることを備える、条項11に記載の方法。
13.第1の周期成分は第1の周波数を有しており、第2の周期成分は第1の周波数の1つを含む整数倍である第2の周波数を有している、条項11に記載の方法。
14.第1の周期成分と第2の周期成分とのうち一方は正弦波であり、第1の周期成分と第2の周期成分とのうち他方は矩形波である、条項11に記載の方法。
15.ターゲット材料ディスペンサからのEUVターゲット材料の流れの合体挙動を最適化する方法であって、ターゲット材料ディスペンサは正弦波成分と矩形波成分とを有する適用される信号に応答して流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、方法は、
流れがサテライトを含まない正弦波成分と矩形波成分との位相差の隣接する値の第1の数の範囲を判定することと、
流れがサテライトを含む正弦波成分と矩形波成分との位相差の隣接する値の第2の数の範囲を判定することと、
第1の数及び第2の数が1に等しい場合に許容可能となるEUVターゲット材料の流れの合体挙動を判定することと、
を備える、方法。
16.ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の完全に合体した液滴の流れを提供することであって、ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備える、提供することと、
流れが更にサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定すると共に流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを示すサブ合体液滴検出信号を発生することと、
サブ合体液滴検出信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生することと、
波形をターゲット材料ディスペンサの電子作動可能な素子に供給することと、
を備える、方法。
17.流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定することは、任意のサテライト滴のサイズがサブ合体液滴の既知のサイズに対応するかどうかを判定することを備える、条項1に記載の方法。
18.流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定することは、完全に合体した液滴からの任意のサテライト滴の流れ方向の変位の規模を判定することを備える、条項1に記載の方法。
19.ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の合体した液滴の流れを提供することであって、ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、制御信号は正弦成分を有する、提供することと、
流れにサテライト微小液滴が出現する正弦成分の振幅の規模の最小値を判定することと、
最小値に基づいてサブ合体長さを判定することと、
判定されたサブ合体長さに基づいてターゲット材料ディスペンサの動作を制御することと、
を備える、方法。
20.ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の合体した液滴の流れを提供することであって、ターゲット材料ディスペンサは、ノズルと、分裂して微小液滴になる流れを生成するように液滴制御信号に基づいてノズルを出ていく流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子とを備えており、制御信号は、正弦成分と、正弦成分から位相差だけ位相がずれた矩形波成分とを有する、提供することと、
合体した液滴からの任意のサテライト微小液滴の流れ方向の変位の規模の、位相差の規模への依存性を判定することと、
依存性に基づいてノズルの出口における制御信号と速度摂動との伝達関数を判定することと、
判定された伝達関数に基づいてターゲット材料ディスペンサの動作を制御することと、
を備える、方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2021-10-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有し、前記ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するように適応されたターゲット材料ディスペンサと、
前記ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結されると共に適用される波形に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子であって、前記速度摂動は前記第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的に前記ノズルからある合体距離内で前記第1の液滴よりも大きい第2の液滴にする、電子作動可能な素子と、
前記電子作動可能な素子に電気的に連結されると共に前記適用される波形を発生するように適応された波形発生器であって、前記波形は正弦波成分と矩形波成分とを有し、前記正弦波成分は振幅を有し、前記矩形波成分は前記正弦波成分との位相差を有し、前記振幅及び前記位相差は前記合体距離の急変を回避しつつ前記合体距離を最小化するように選択される、波形発生器と、
を備える装置。
【請求項2】
前記電子作動可能な素子は圧電素子である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ノズルを有し、前記ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供するように適応されたターゲット材料ディスペンサと、
前記ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結されると共に適用される波形に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子であって、前記速度摂動は前記第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的に前記ノズルからある合体距離内で前記第1の液滴よりも大きい第2の液滴にし、前記第2の液滴は前記第2の液滴が交差間隔で固定点を通過するように間隔を空けられている、電子作動可能な素子と、
前記第2の液滴の前記交差間隔を判定するように及び交差間隔信号を発生するように配置された交差間隔検出器と、
前記電子作動可能な素子に電気的に連結され、前記適用される波形を発生するように適応され、前記交差間隔信号に少なくとも部分的に基づいて前記適用される波形を発生するように適応された波形発生器と、
を備える装置。
【請求項4】
ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の流れを提供することであって、前記ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備える、提供することと、
前記流れがサテライト滴を含むかどうかを判定すると共に前記流れがサテライト滴を含むかどうかを示すサテライト検出信号を発生することと、
前記サテライト検出信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生することと、
前記波形を前記ターゲット材料ディスペンサに供給することと、
を備える、方法。
【請求項5】
前記流れの交差間隔を判定すると共に交差間隔信号を発生することを更に備え、前記波形を発生することは、前記交差間隔信号に少なくとも部分的に基づいて前記波形を発生することを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ターゲット材料ディスペンサのノズルの伝達関数を判定する方法であって、
前記ターゲット材料ディスペンサからEUVターゲット材料の流れを分注することと、
制御信号に応答して前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子に波形を適用することと、
前記流れがサテライトを含まない前記波形の正弦波成分の振幅の最小値を判定することと、
前記制御信号の前記正弦波成分と矩形波成分との位相差への合体長さの依存性を判定すると共に前記依存性の不連続性が生じるジャンプ境界位相差を判定することと、
前記最小値への前記ジャンプ境界位相の依存性の傾きを判定することと、
前記傾きに基づいて抗力係数を判定することと、
前記最小値及び前記抗力係数に基づいて前記正弦波成分の周波数での伝達関数を判定することと、
を備える、方法。
【請求項7】
ノズルを有するターゲット材料ディスペンサを用いて前記ノズルを出た後で第1の液滴に分裂するターゲット材料の流れを提供することと、
適用される波形に基づき前記流れの中に速度摂動を誘発するように前記ターゲット材料ディスペンサに機械的に連結された電子作動可能な素子を用いることであって、前記速度摂動は前記第1の液滴を1つ以上の段階で合体させて最終的に前記ノズルからある合体距離内で前記第1の液滴よりも大きい第2の液滴にする、用いることと、
前記適用される波形を発生するように前記電子作動可能な素子に電気的に連結された波形発生器を用いることであって、前記波形は正弦波成分と矩形波成分とを有し、前記正弦波成分は振幅を有し、前記矩形波成分は前記正弦波成分との位相差を有し、前記振幅及び前記位相差は前記合体距離の急変を回避しつつ前記合体距離を最小化するように選択される、用いることと、
を備える、方法。
【請求項8】
液滴発生器から第1のサイズの初期液滴の流れを電気信号の制御下で解放することであって、前記初期液滴の流れは少なくとも1回合体し合体長さを移動した後で前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズの最終液滴の流れになり、前記電気信号は第1の周期成分と前記第1の周期成分から位相差だけ位相がずれた第2の周期成分とを有する、解放することと、
前記最終液滴の流れが前記第2のサイズよりも小さいサテライト滴を含まない値の前記位相差で前記液滴発生器を動作させることと、
前記位相差の前記値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために前記位相差の前記値を前記最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じる値に変化させることと、
を備える、方法。
【請求項9】
前記最終液滴の流れが前記第2のサイズよりも小さいサテライト滴を含まない値の前記位相差で前記液滴発生器を動作させることは、前記最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じる前記値を下回ることが予期される値の前記位相差で前記液滴発生器を動作させることを備え、
前記位相差の前記値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために前記位相差位相の前記値を前記最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで変化させることは、前記位相差の前記値への合体長さの関数的依存性におけるジャンプ境界を検出するために前記最終液滴の流れにおいてサテライト滴が生じるまで前記位相差位相の前記値を増大させることを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の周期成分は第1の周波数を有しており、前記第2の周期成分は前記第1の周波数の1つを含む整数倍である第2の周波数を有している、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の周期成分と前記第2の周期成分とのうち一方は正弦波であり、前記第1の周期成分と前記第2の周期成分とのうち他方は矩形波である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の完全に合体した液滴の流れを提供することであって、前記ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備える、提供することと、
前記流れが更にサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定すると共に前記流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを示すサブ合体液滴検出信号を発生することと、
前記サブ合体液滴検出信号に少なくとも部分的に基づいて波形を発生することと、
前記波形を前記ターゲット材料ディスペンサの前記電子作動可能な素子に供給することと、
を備える、方法。
【請求項13】
前記流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定することは、任意のサテライト滴のサイズがサブ合体液滴の既知のサイズに対応するかどうかを判定することを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記流れがサブ合体サテライト滴を含むかどうかを判定することは、完全に合体した液滴からの任意のサテライト滴の流れ方向の変位の規模を判定することを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ターゲット材料ディスペンサを用いてターゲット材料の合体した液滴の流れを提供することであって、前記ターゲット材料ディスペンサは液滴制御信号に基づいて前記流れの中に速度摂動を誘発するように配置された電子作動可能な素子を備えており、前記制御信号は正弦成分を有する、提供することと、
前記流れにサテライト微小液滴が出現する前記正弦成分の振幅の規模の最小値を判定することと、
前記最小値に基づいてサブ合体長さを判定することと、
前記判定されたサブ合体長さに基づいて前記ターゲット材料ディスペンサの動作を制御することと、
を備える、方法。
【国際調査報告】