(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】VI族前駆体化合物
(51)【国際特許分類】
C23C 16/06 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
C23C16/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550070
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020020164
(87)【国際公開番号】W WO2020176767
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エルメルト, デビット エム.
(72)【発明者】
【氏名】バウム, トーマス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ロバート, ジュニア.
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA24
4K030BA06
4K030BA12
4K030BA20
(57)【要約】
本発明は、固体基板、特にマイクロ電子半導体デバイス基板上へのかかるVI族金属の蒸着に有用な様々なVI族前駆体化合物を調製するための簡易な方法を提供する。本方法は、このような揮発性の材料を取得するための有効な手段を提供し、それらは、ひいては、かかる基板上に堆積されるモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料の供給源とすることができる。さらに、本発明は、かかる化合物をマイクロ電子デバイス基板上に蒸着するための方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を式(I)の化合物、
(式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成する。)
に接触させることと、
蒸着条件下で、モリブデン、クロム、又はタングステン含有材料を基板上に堆積することと、を含む基板上に材料を形成するための方法。
【請求項2】
ヒドロカルビル配位子が、少なくとも1個の酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
L
1及びL
2が、独立して選択され、単座配位子を含むか、又は一緒になって二座配位子を形成し、ジアミン、トリアミン及びグリコールから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
L
1及びL
2が、独立して選択され、単座配位子を含み、又は一緒になって二座配位子を形成し、t-ブチルニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、及びアセトニトリルから選択され、かかる基は、任意選択的に、ハロ、シアノ、ニトロ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、テトラヒドロフラン、C
1~C
6アルコキシカルボニル、及びフェニル;1,2-ジメトキシエタン;1,2-ジエトキシエタン;1,2-ジメトキシプロパン;N,N-ジメチルアセトアミド;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルシアノアセトアミド;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、及びジエチレントリアミン;ジメチルスルホキシド;及びエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールから選択される1つ又は複数の基によって置換された基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
L
1及びL
2が一緒になって、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、及びジエチレントリアミンから選択される二座配位子を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Mがモリブデンであり、L
1及びL
2が1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
固体又は液体の形態である、式(I)の化合物。
(式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成する。)
【請求項8】
ヒドロカルビル配位子が、少なくとも1個の酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式(I)の化合物が、約3重量パーセント未満の不純物を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)の化合物が結晶形態である、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
L
1及びL
2がアセトニトリルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
Mがモリブデンである、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
Mがタングステンである、請求項7に記載の化合物。
【請求項14】
結晶形態の式MoO
2Cl
2(CH
3CN)
2を有し、1重量%未満の不純物を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
結晶形態の式WO
2Cl
2(CH
3CN)
2を有し、1重量%未満の不純物を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
結晶形態の式MoO
2Cl
2(CH
3CN)
2を有し、
図1に示すX線結晶構造を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項17】
結晶形態の式WO
2Cl
2(CH
3CN)
2を有し、
図2に示すX線結晶学的構造を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項18】
結晶形態の式MoO
2Cl
2(テトラヒドロフラン)
2を有し、1重量%未満の不純物を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項19】
式(I)の化合物
(式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成する。)
を調製する方法であって、
(A)式
の化合物を、(a)約0.1%(w/w)~約48%(w/w)の式HXの化合物を含有する水と、(b)式L
1及び/又はL
2の化合物とに接触させること、及びこれに続いて、
(B)式(I)の化合物を固体又は液体として単離すること、を含む方法。
【請求項20】
水不混和性溶媒が、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン及びペンタンから選択される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のVI族含有材料の蒸着のための特定の前駆体及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に高い融点、低い熱膨張係数、低い抵抗率、及び高い熱伝導率というその特性の結果として、モリブデン、クロム、及びタングステンなどのVI族金属は、拡散障壁、電極、フォトマスク、パワーエレクトロニクス基板、低抵抗率ゲート、フラットパネルディスプレイ、及び相互接続における使用を含む、半導体デバイスの製造においてますます利用されている。
【0003】
そのような有用性は、堆積された膜の高い適合性及び効率的な大量生産工程に対応するための高い堆積速度を特徴とするかかる用途に関して、モリブデン、クロム、及びタングステン膜の堆積を実現する取り組みを促してきた。これにより、蒸着工程において有用な改善されたモリブデン及びタングステン源試薬、並びに、そのような試薬を利用する改善されたプロセスパラメータを開発する取り組みが可能になった。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、固体基板、特にマイクロ電子半導体デバイス基板上への特定のVI族金属の蒸着に有用な様々なVI族前駆体化合物を調製するための簡易な方法を提供する。本方法は、このような揮発性の固体又は液体材料を取得して単離するための有効な手段を提供し、それらは、ひいては、かかる基板上に堆積されるモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料の供給源とすることができる。さらに、本発明は、かかる化合物をマイクロ電子デバイス基板上に蒸着するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、MoO
2Cl
2(CH
3CN)
2の三次元固体結晶構造図である。
【
図2】
図2は、WO
2Cl
2(CH
3CN)
2の三次元固体結晶構造図である。
【
図3】
図3は、MoO
2Cl
2(ジメトキシエタン)を前駆体として使用した窒化チタン基板上のモリブデン堆積速度(Å/サイクル)対基板温度(℃)のプロットである。
【
図4】
図4は、MoO
2Cl
2(ジメトキシエタン)
2を前駆体として使用した窒化チタン基板上のXRFカーボン(炭素の蛍光X線分析)(μgm/cm
2/100Å Mo)対基板温度(℃)のプロットである。したがって、
図3及び
図4は、MoがMoCに対して優先的に堆積されるプロセスパラメータを示す。
【
図5】
図5は、MoO
2Cl
2(テトラヒドロフラン)
2の三次元固体結晶構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物を調製する方法を提供し、
式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成し、
当該方法は、
(A)式
の化合物を、(a)約0.1%(w/w)から約48%(w/w)の式HXの化合物を含有する水と、(b)式L
1及び/又はL
2の化合物とに接触させること、及びこれに続いて、
(B)式(I)の化合物を固体又は液体として単離すること、を含む。
【0007】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」という用語は、炭素原子及び水素原子を含み、任意選択で、少なくとも1つの窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子を含むC2~C16基を表す。かかるヒドロカルビル基は、直鎖又は分岐鎖で、飽和、不飽和、及び多価不飽和のアルキレン基及びシクロアルキレン基を含んでいてもよく、例えば、C1~C6アルコキシ、カルボキシル、ニトロ、アミノ、C2~C6アミノカルボニル、C2~C6アミド、シアノ、C2~C7アルコキシカルボニル、C2~C7アルカノイルオキシ、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、チオール、チオエーテル、C2~C10ジアルキルアミノ、C3~C15トリアルキルアンモニウム、及びハロゲンから選択される1から5個の基で置換されていてもよい。「C1~C6アルコキシ」、「C2~C7アルコキシカルボニル」、及び「C2~C7アルカノイルオキシ」という用語は、それぞれ、構造-OR3、構造-CO2R3、及び構造-OCOR3に対応する基を示すために使用され、式中、R3は、C1~C6アルキル又は置換C1~C6アルキルである。「C2~C16アミノカルボニル」及び「C2~C16アミド」という用語は、それぞれ、構造-NHCOR4、構造-CONHR4に対応する基を示すために使用され、式中、R4は、C1~C7アルキルである。上記のように、L1及びL2は、かかるヒドロカルビル基を含み、少なくとも1つの窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子を含む。
【0008】
L1及びL2は独立して選択され、単座配位子を表すか、又は一緒になって二座配位子を形成する。一般に、L1及びL2は、少なくとも1個の酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を有するヒドロカルビル基を含む。かかる配位子は、例えば、t-ブチルニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン及びアセトニトリルから選択されてもよく、かかる基は、任意選択で、ハロ、シアノ、ニトロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、テトラヒドロフラン、C1~C6アルコキシカルボニル及びフェニルから選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。さらなる例としては、1,2-ジメトキシエタン;1,2-ジエトキシエタン;1,2-ジメトキシプロパン;N,N-ジメチルアセトアミド;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルシアノアセトアミド;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びジエチレントリアミンなどのジアミン及びトリアミン;ジメチルスルホキシド;及び、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールなどのグリコール類、が挙げられる。
【0009】
式(I)の化合物の単離工程(B)は、水不混和性溶媒を用いて水性反応混合物から化合物を抽出し、続いて溶媒を蒸発させるか又は結晶化することによって成され得る。別法として、アルコール(例えば、エタノール)などの水混和性溶媒を水溶液に添加して、式(I)の所望の化合物の沈殿を誘導することができる。式(I)の固体化合物は、所望であれば、結晶化及び/又は真空昇華によって精製され得る。
【0010】
本発明の化合物を示す上記の構造は2次元形式で描かれており、必ずしもその3次元配向を表しているとは限らないことが理解されよう。
【0011】
さらに、式(I)の化合物は、形成された後に、置換反応を介して、式L
1及び/又はL
2の追加の/異なる化合物と反応して、式(I)の異なる化合物を形成することができる。したがって、さらなる実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を、t-ブチルニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、及びアセトニトリルから選択される化合物と接触させるステップをさらに含む上述の方法を提供し、かかる基は、任意選択で、ハロ、シアノ、ニトロ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、テトラヒドロフラン、C
1~C
6アルコキシカルボニル、及びフェニル;1,2-ジメトキシエタン;1,2-ジエトキシエタン;1,2-ジメトキシプロパン;N,N-ジメチルアセトアミド;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルシアノアセトアミド;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジエチレントリアミン;ジメチルスルホキシド;及び、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオール、から選択される1つ以上の基によって置換されて、式L
1及び/又はL
2の異なる配位子を有する式(I)の化合物を得る。
さらなる実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を固体又は液体の形態で提供し、
式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成する。
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約3重量パーセント未満の不純物を有する。他の実施形態では、式(I)の化合物は、1重量パーセント未満の不純物を有する。他の実施形態では、式(I)の化合物は結晶形態で単離される。式(I)の化合物のかかる結晶形態の特定の例としては、MoO
2Cl
2(CH
3CN)
2及びWO
2Cl
2(CH
3CN)
2及びMoO
2Cl
2(テトラヒドロフラン)
2が挙げられる。さらなる実施形態では、本発明は、結晶形態の式MoO
2Cl
2(CH
3CN)
2を有し、
図1に示すX線結晶構造を有する化合物を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、結晶形態の式WO
2Cl
2(CH
3CN)
2を有し、
図2に示すX線結晶構造を有する化合物を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、結晶形態の式MoO
2Cl
2(テトラヒドロフラン)
2を有し、
図5に示すX線結晶構造を有する化合物を提供する。これらの結晶形態は、以下の実験セクションでさらに述べる。
【0012】
さらなる実施形態では、本発明は、式MoO2Cl2(CH3CN)2を有し、斜方晶系の結晶系を有し、約
a=12.0350(8)Å α=90°
b=11.5956(9)Å β=90°
c=26.5807(15)Å γ=90°の単位格子寸法を有する化合物を提供する。
【0013】
さらなる実施形態では、本発明は、式WO2Cl2(CH3CN)2を有し、斜方晶系の結晶系を有し、約
a=8.7091(6)Å α=90°
b=8.2536(7)Å β=90°
c=12.8021(8)Å γ=90°の単位格子寸法を有する化合物を提供する。
【0014】
さらなる実施形態では、本発明は、式MoO2Cl2(テトラヒドロフラン)2を有し、斜方晶系の結晶系を有し、約
a=7.4048(4)Å α=90°
b=12.5437(6)Å β=90°
c=13.7487(7)Å γ=90°の単位格子寸法を有する化合物を提供する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「単位格子」という用語は、結晶のパターンの単位を完全に表す、結晶の最小かつ最も単純な体積要素を指す。単位格子の寸法は、寸法a、b、及びc並びに角度α、β、及びγの6つの数字によって定義される。結晶は、多くの単位格子が効率的に集まって塊になったアレイである。
【0016】
本明細書で使用される場合、「斜方晶系単位格子」という用語は、a≠b≠cであって、α=β=γ=90°である単位格子を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「結晶格子」は、単結晶X線回折分析によって決定される、塊になった単位格子の頂点によって定義される点のアレイを指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「空間群」は、単位格子の対称性を指す。空間群の名称(例えば、C2)においては、大文字は格子タイプを示し、他の記号は単位格子に対してその外観を変えることなく実行することができる対称操作を表す。
【0019】
本発明の方法において、適切な水不混和性溶媒としては、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、ベンゼン、ペンタンなどが挙げられる。
【0020】
一実施形態では、本方法は、高温、例えば、約20℃から約100℃で行われる。
【0021】
式(I)の化合物はまた、式
の出発物質、すなわち、Mがクロム、モリブデン、又はタングステンから選択され、Aが第I族及び第II族金属又はアンモニウムカチオンから選択される一般式A
2MO
4の化合物を用いて調製することができる。かかるカチオンとしては、例えば、Li
+、Na
+、K
+、NH
4
+、アルキルアンモニウム化合物などが挙げられる。かかる化合物を、式L
1及び/又はL
2の化合物の存在下でHXと同様に反応させて、所望の前駆体化合物を得ることができる。
【0022】
本発明の方法は、マイクロ電子半導体デバイス基板を含む様々な基板上への特定のVI族金属の蒸着に有用な特定の化合物を提供する。したがって、別の態様では、本発明は、基板上に材料を形成する方法であって、基板を式(I)の化合物に接触させること、
式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成し、
蒸着条件下で、モリブデン、クロム、又はタングステン含有材料を当該基板上に堆積させること、を含む方法を提供する。
【0023】
本発明の堆積プロセスで利用される基板は、任意の適切な種類のものであってよく、例えば、半導体デバイス基板、例えば、シリコン基板、二酸化ケイ素基板、又は他のシリコン系基板を含み得る。様々な実施形態では、基板は、1つ以上の金属又は誘電体基板、例えば、Co、Cu、Al、W、WN、WC、TiN、Mo、MoC、SiO2、W、SiN、WCN、Al2O3、AlN、ZrO2、HfO2、SiO2、酸化ランタン(La2O3)、窒化タンタル(TaN)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イリジウム(IrO2)、酸化ニオブ(Nb2O3)、及び酸化イットリウム(Y2O3)を含んでいてもよい。
【0024】
特定の実施形態では、例えば、二酸化ケイ素などの酸化物基板、又はシリコン若しくはポリシリコン基板の場合、基板は、続いて堆積される材料のために、その上にバリア層、例えば、窒化チタンを含むように処理又は作製されてもよい。
【0025】
一実施形態では、基板表面に堆積されたモリブデン、クロム、又はタングステン含有層は、例えば、パルス化学気相成長(CVD)又は原子層成長(ALD)又は他の蒸着技術によって、核生成層を事前に形成することなく、すなわち、式(I)の化合物から生じた蒸気で直接形成することができる。それぞれの式(I)の蒸気接触ステップは、モリブデン、クロム、又はタングステン膜の所望の厚さを形成するために要求される数のサイクルにわたって、交互に繰り返し実行することができる。様々な実施形態では、基板(例えば、窒化チタン)層とかかる蒸気との接触は、350℃程度の低い温度で行われ、他の実施形態では、300℃から750℃の範囲で行われる。
【0026】
式(I)の化合物から生じた蒸気を用いて、モリブデン、クロム、又はタングステン含有材料を基板上に直接堆積させて、モリブデン元素、クロム元素、又はタングステン元素又はそれらの対応する酸化物のバルク堆積物を形成することができる。金属形成には4モル当量超又は過剰のH2が必要であるため、H2の濃度は金属又は酸化物の形成に重要である。4モル当量未満のH2は、かかる金属の様々な量の酸化物の形成をもたらし、その結果、形成された金属酸化物を還元するためにH2へのさらなる曝露を必要とする。
【0027】
様々な実施形態では、モリブデン、クロム、又はタングステン含有材料は、300℃から750℃の範囲の温度で基板表面に堆積される。このプロセスは、蒸着条件が、基板上に金属含有材料として、モリブデン元素、クロム元素、又はタングステン元素の堆積をもたらすように実行され得る。蒸着条件は、任意の適切な特徴をもつものであってよく、例えば、水素又は他の還元ガスの存在を含んで、基板上に、モリブデン元素、クロム元素、又はタングステン元素のバルク層を形成してもよい。
【0028】
より一般的には、本開示による、基板上にモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料を形成する広義の方法は、水素又は他の還元ガスの存在を含む蒸着条件を含むことができる。モリブデン、クロム、又はタングステン含有材料は、水素の存在下又は非存在下でバリア層又は表面に堆積させることができる。例えば、バリア層は窒化チタンで構成されてもよく、窒化チタン層は、水素の存在下で式(I)の化合物から生じる蒸気と接触してもよい。
【0029】
別の実施形態では、MoO2、WO3、及びCr2O3などの金属酸化物薄膜を堆積させる手段として式(I)の化合物を使用する場合、酸素などの酸化性共反応物をプロセスに添加することができる。
【0030】
本発明の方法は、多数の代替方法で、そして多種多様なプロセス条件下で実施され得ることが理解されよう。本発明の方法は、例えば、基板上に半導体デバイスを作製するためのプロセスにおいて実行されてもよい。半導体デバイスは、任意の適切なタイプのものであってもよく、例えば、DRAMデバイス、3D NANDデバイス、又は他のデバイス若しくはデバイス集積構造を含んでいてもよい。様々な実施形態では、基板は、モリブデン含有材料が堆積されるビアを含んでいてもよい。デバイスは、例えば、10:1から40:1の範囲の深さ方向対横方向寸法のアスペクト比を有していてもよい。さらに他の実施形態では、デバイスは、フラットパネルディスプレイ又はモバイル装置に使用される膜であってもよい。
【0031】
本発明によるモリブデン含有材料を堆積させるためのプロセス化学は、2MO2Cl2[(L1)(L2)]+6H2→2M(式中、M=モリブデン、クロム、又はタングステン)+4HCl+4H2Oの反応によるモリブデン元素、Mo(0)の堆積を含み得る。本発明の方法に従って堆積されたモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料(M)は、モリブデン、クロム、又はタングステン含有材料の堆積速度、堆積されたモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料の膜抵抗率、堆積されたモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料の膜形態、堆積されたモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料の膜応力、材料のステップカバレッジ、及び、適切なプロセス条件のプロセスウィンドウ又はプロセスエンベロープなどの任意の適切な評価メトリック及びパラメータによって特徴を明らかにすることができる。対応する半導体製品の大量生産を可能にするために、任意の適切な評価メトリック及びパラメータを使用して、堆積された材料の特徴を明らかにし、それを特定のプロセス条件と相関させることができる。有利には、本発明の方法は、高純度のモリブデン、クロム、又はタングステンの膜を半導体デバイス上に堆積することができる。したがって、さらなる態様では、本発明は、その上に堆積されたモリブデン膜を有する半導体デバイスを提供し、当該膜は、99%を超えるモリブデン、クロム、又はタングステンを含む。
【0032】
特定の実施形態では、本開示は、基板上にモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料を形成する方法に関し、式(I)の前駆体化合物を利用する化学蒸着(CVD)プロセスによって基板表面にモリブデン、クロム、又はタングステンを堆積させて、基板上にモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料を作製することを含む。
【0033】
かかるプロセスは、本明細書で種々説明する任意の適切な方法で実施し得る。特定の実施形態では、かかる方法は、化学気相成長、例えば、パルス化学気相成長を含む蒸着プロセスで実施することができる。その方法は、得られたモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料がモリブデン元素、クロム元素、又はタングステン元素から本質的に構成されるように実行されてもよく、様々な実施形態では、モリブデン、クロム、又はタングステンは、水素又は他の適切な還元ガスの存在下で基板表面に堆積されてもよい。本発明の他の実施形態では、式(I)の前駆体及び還元ガスを順次パルス化して、膜の適合性及び膜抵抗率のために最適化されたパルスシーケンスによるパルス化時にモリブデン膜を堆積させることができる。本方法は、DRAMデバイス、又は3D NAND、論理デバイス、フラットパネルディスプレイ、又はICパッケージコンポーネントなどの半導体デバイス製品の製造において実行することができる。
【0034】
一般に、モリブデン、クロム、又はタングステン含有材料を基板上に形成するための本開示の方法を実行することにより、高レベルのステップカバレッジ、例えば、約75%から約100%の範囲のステップカバレッジでのモリブデン、クロム、又はタングステン含有材料の堆積を実現し得る。
【0035】
本発明は、その好ましい実施形態の以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例は単に例示の目的で含まれるものであり、特に明記しない限り、本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されよう。
【0036】
実験セクション
以下の一般的手順を用いて、式(I)の化合物を調製することができる。
【0037】
合成手順番号1
MoO3(20.0g、138mmol)を、磁気撹拌子を備えた500mL丸底フラスコに入れた。HCl(200mL、37%)をMoO3に直接添加し、水冷コンデンサー(5℃)を装備した反応フラスコに入れ、得られた薄緑色の懸濁液を油浴を用いてほぼ還流(95℃)まで加熱した。約2時間後、反応物は透明な薄緑色の溶液として示された。反応物を室温に冷却した後、氷浴に入れた。この時点で、冷却した溶液にDME(50mL)を直接添加し、反応物を室温に加温し、一晩撹拌した。翌朝、薄緑色の溶液を1L分液漏斗に注ぎ、DCM(2×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、MgSO4を使用して乾燥させ、濾過し、磁気撹拌子を備えた1L丸底フラスコに入れ、溶媒を減圧下で除去して、MoO2Cl2(ジメトキシエタン)をオフホワイトの固体として得た。質量=12.68g、収率=31.8%。生成物を真空昇華(80℃、25mTorr)によって精製することができる。1H NMR(400MHz、C6D6、298K):δ3.29(s,6H);2.78(s,4H)ppm.13C{1H}NMR(100MHz、C6D6、298K):δ70.68,64.13ppm.
【0038】
合成手順番号2
一般式A2MO4(式中、M=クロム、モリブデン、又はタングステン、A=リチウム、ナトリウム、又はカリウム)
【0039】
ここで、一般的な合成手順及び後処理は、手順番号1とほぼ同様である。
すなわち、一般式A
2MO
4の化合物(式中、Mがクロム、モリブデン又はタングステンから選択され、Aが第I族及び第II族金属又はアンモニウムカチオンから選択される)例として、Li
+、Na
+、K
+、NH
4
+、アルキルアンモニウム化合物などが挙げられる。
【0040】
合成手順番号3
配位子置換を利用して、式(I)の化合物を合成することができる。例えば、上記手順番号1を用いてMoO2Cl2(N,N-ジメチルホルムアミド)2錯体を作製し、次いで、N,N-ジメチルホルムアミド配位子を加溶媒分解によってジメトキシエタンに置換してMoO2Cl2(ジメトキシエタン)を生成することができる。
【0041】
上記のように、
図1は、MoO
2Cl
2(CH
3CN)
2の三次元固体結晶構造図である。この化合物をX線結晶解析に供し、以下のデータを得た。
【0042】
表1.MoO2Cl2(CH3CN)2の結晶データ及び構造精密化
識別コード NB00618-002
実験式 C4 H6 Cl2 Mo N2 O2
式量 280.95
温度 100.0K
波長 0.71073Å
結晶系 斜方晶系
空間群 Pnma
単位格子寸法 a=12.0350(8)Å α=90°
b=11.5956(9)Å β=90°
c=26.5807(15)Å γ=90°
体積 3709.4(4)Å3
Z,Z’ 16,4
密度(計算値) 2.012Mg/m3
吸光係数 1.945mm-1
F(000) 2176
結晶サイズ 0.24x0.19x0.18mm3
データ収集のためのシータ範囲 1.857~26.718°
指数範囲 -15<=h<=15、-14<=k<=14、
-33<=l<=32
収集された反射 22254
独立した反射 4134[R(int)=0.0475]
シータ完全性=25.242° 99.9%
吸収補正 等価物から半経験的
最大及び最小送信 0.7454及び0.6516
精密化方法 F2上の全行列最小二乗
データ/拘束/パラメータ 4134/0/222
F2の適合度 1.008
最終R指数[I>2シグマ(I)] R1=0.0258、wR2=0.0518
R指数(全データ) R1=0.0388、wR2=0.0558
消光係数 0.00013(2)
最大のdiffピーク及びホール 0.492及び-0.462e.Å-3
【0043】
表2 原子座標(×104)及び等価等方性変位パラメータ(Å2×103)。U(eq)は、直交化Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。
________________________________________
x y z U(eq)
________________________________________
Mo(4) 7248(1) 2500 4414(1) 10(1)
Mo(2) 2330(1) 7500 3151(1) 10(1)
Mo(1) 2455(1) 2500 3069(1) 11(1)
Mo(3) 7667(1) 7500 4464(1) 12(1)
Cl(2) 4372(1) 2500 2868(1) 17(1)
Cl(3) 1038(1) 7500 2486(1) 19(1)
Cl(4) 4104(1) 7500 3531(1) 15(1)
Cl(5) 5845(1) 7500 4786(1) 20(1)
Cl(7) 7535(1) 2500 3536(1) 17(1)
Cl(8) 7804(1) 2500 5264(1) 16(1)
Cl(1) 877(1) 2500 3592(1) 19(1)
Cl(6) 9054(1) 7500 3833(1) 19(1)
O(1) 2102(2) 3651(1) 2715(1) 19(1)
N(2) 3254(2) 6256(2) 2597(1) 13(1)
N(1) 3109(2) 3737(2) 3706(1) 16(1)
N(3) 6849(2) 8742(2) 3887(1) 16(1)
O(4) 6389(2) 1350(2) 4438(1) 18(1)
O(3) 8142(2) 6347(2) 4788(1) 21(1)
C(2) 3871(2) 5026(2) 4428(1) 17(1)
C(1) 3436(2) 4302(2) 4022(1) 13(1)
C(4) 4342(2) 4940(2) 1977(1) 18(1)
C(7) 9534(2) 4320(2) 4355(1) 10(1)
N(4) 8773(2) 3745(2) 4367(1) 15(1)
C(8) 10517(2) 5057(2) 4342(1) 15(1)
O(2) 1813(2) 8648(2) 3461(1) 19(1)
C(3) 3728(2) 5680(2) 2325(1) 13(1)
C(6) 5822(2) 10073(2) 3259(1) 17(1)
C(5) 6407(2) 9324(2) 3608(1) 12(1)
________________________________________
【0044】
表3 MoO2Cl2(CH3CN)の結合長[Å]及び角度[°]
________________________________________
Mo(4)-Cl(7) 2.3601(9)
Mo(4)-Cl(8) 2.3561(9)
Mo(4)-O(4) 1.6885(17)
Mo(4)-O(4)#1 1.6885(17)
Mo(4)-N(4)#1 2.338(2)
Mo(4)-N(4) 2.338(2)
Mo(2)-Cl(3) 2.3547(9)
Mo(2)-Cl(4) 2.3623(9)
Mo(2)-N(2) 2.343(2)
Mo(2)-N(2)#2 2.343(2)
Mo(2)-O(2) 1.6846(17)
Mo(2)-O(2)#2 1.6846(17)
Mo(1)-Cl(2) 2.3672(10)
Mo(1)-Cl(1) 2.3534(10)
Mo(1)-O(1)#1 1.6867(17)
Mo(1)-O(1) 1.6867(17)
Mo(1)-N(1) 2.355(2)
Mo(1)-N(1)#1 2.355(2)
Mo(3)-Cl(5) 2.3528(10)
Mo(3)-Cl(6) 2.3671(10)
Mo(3)-N(3) 2.323(2)
Mo(3)-N(3)#2 2.323(2)
Mo(3)-O(3)#2 1.6885(17)
Mo(3)-O(3) 1.6885(17)
N(2)-C(3) 1.137(3)
N(1)-C(1) 1.135(3)
N(3)-C(5) 1.134(3)
C(2)-C(1) 1.462(3)
C(4)-C(3) 1.462(3)
C(7)-N(4) 1.133(3)
C(7)-C(8) 1.461(3)
C(6)-C(5) 1.453(3)
Cl(8)-Mo(4)-Cl(7) 155.09(4)
O(4)#1-Mo(4)-Cl(7) 97.26(6)
O(4)-Mo(4)-Cl(7) 97.26(6)
O(4)#1-Mo(4)-Cl(8) 97.95(6)
O(4)-Mo(4)-Cl(8) 97.94(6)
O(4)#1-Mo(4)-O(4) 104.33(13)
O(4)#1-Mo(4)-N(4)#1 165.97(8)
O(4)-Mo(4)-N(4) 165.97(8)
O(4)-Mo(4)-N(4)#1 89.70(8)
O(4)#1-Mo(4)-N(4) 89.70(8)
N(4)-Mo(4)-Cl(7) 80.39(5)
N(4)#1-Mo(4)-Cl(7) 80.39(5)
N(4)-Mo(4)-Cl(8) 80.08(5)
N(4)#1-Mo(4)-Cl(8) 80.08(5)
N(4)-Mo(4)-N(4)#1 76.27(11)
Cl(3)-Mo(2)-Cl(4) 156.61(3)
N(2)-Mo(2)-Cl(3) 80.86(5)
N(2)#2-Mo(2)-Cl(3) 80.86(5)
N(2)-Mo(2)-Cl(4) 80.76(5)
N(2)#2-Mo(2)-Cl(4) 80.76(5)
N(2)#2-Mo(2)-N(2) 76.03(10)
O(2)#2-Mo(2)-Cl(3) 97.08(6)
O(2)-Mo(2)-Cl(3) 97.08(6)
O(2)-Mo(2)-Cl(4) 97.18(7)
O(2)#2-Mo(2)-Cl(4) 97.18(7)
O(2)#2-Mo(2)-N(2) 89.75(8)
O(2)-Mo(2)-N(2)#2 89.75(8)
O(2)-Mo(2)-N(2) 165.78(8)
O(2)#2-Mo(2)-N(2)#2 165.78(8)
O(2)#2-Mo(2)-O(2) 104.47(12)
Cl(1)-Mo(1)-Cl(2) 156.82(4)
Cl(1)-Mo(1)-N(1)#1 81.08(6)
Cl(1)-Mo(1)-N(1) 81.08(6)
O(1)-Mo(1)-Cl(2) 96.88(6)
O(1)#1-Mo(1)-Cl(2) 96.88(6)
O(1)#1-Mo(1)-Cl(1) 97.24(6)
O(1)-Mo(1)-Cl(1) 97.24(6)
O(1)#1-Mo(1)-O(1) 104.56(12)
O(1)-Mo(1)-N(1)#1 165.24(8)
O(1)#1-Mo(1)-N(1)#1 90.19(8)
O(1)-Mo(1)-N(1) 90.20(8)
O(1)#1-Mo(1)-N(1) 165.24(8)
N(1)#1-Mo(1)-Cl(2) 80.59(6)
N(1)-Mo(1)-Cl(2) 80.59(6)
N(1)#1-Mo(1)-N(1) 75.05(10)
Cl(5)-Mo(3)-Cl(6) 156.17(4)
N(3)#2-Mo(3)-Cl(5) 81.11(6)
N(3)-Mo(3)-Cl(5) 81.11(6)
N(3)-Mo(3)-Cl(6) 80.24(6)
N(3)#2-Mo(3)-Cl(6) 80.24(6)
N(3)#2-Mo(3)-N(3) 76.59(10)
O(3)#2-Mo(3)-Cl(5) 97.49(7)
O(3)-Mo(3)-Cl(5) 97.49(7)
O(3)-Mo(3)-Cl(6) 97.00(7)
O(3)#2-Mo(3)-Cl(6) 97.00(7)
O(3)#2-Mo(3)-N(3) 89.38(8)
O(3)-Mo(3)-N(3) 165.95(8)
O(3)-Mo(3)-N(3)#2 89.38(8)
O(3)#2-Mo(3)-N(3)#2 165.95(8)
O(3)#2-Mo(3)-O(3) 104.65(13)
C(3)-N(2)-Mo(2) 177.7(2)
C(1)-N(1)-Mo(1) 177.7(2)
C(5)-N(3)-Mo(3) 177.0(2)
N(1)-C(1)-C(2) 179.3(3)
N(4)-C(7)-C(8) 179.7(3)
C(7)-N(4)-Mo(4) 177.4(2)
N(2)-C(3)-C(4) 179.7(3)
N(3)-C(5)-C(6) 178.8(3)
________________________________________
等価な原子を生成するために使用される対称変換:
#1x,-y+1/2,z #2x,-y+3/2,z
【0045】
表4 MoO2Cl2(CH3CN)の異方性変位パラメータ(Å2x103)。異方性変位係数指数は次の形式をとる:-2π2[h2a*2U11+...+2hka*b*U12]
________________________________________
U11 U22 U33 U23 U13 U12
________________________________________
Mo(4) 9(1) 9(1) 13(1) 0 2(1) 0
Mo(2) 9(1) 10(1) 10(1) 0 3(1) 0
Mo(1) 13(1) 10(1) 10(1) 0 -3(1) 0
Mo(3) 15(1) 9(1) 11(1) 0 -4(1) 0
Cl(2) 16(1) 18(1) 17(1) 0 3(1) 0
Cl(3) 12(1) 23(1) 22(1) 0 -4(1) 0
Cl(4) 13(1) 18(1) 13(1) 0 -1(1) 0
Cl(5) 20(1) 19(1) 21(1) 0 3(1) 0
Cl(7) 19(1) 20(1) 13(1) 0 0(1) 0
Cl(8) 19(1) 17(1) 13(1) 0 2(1) 0
Cl(1) 15(1) 20(1) 23(1) 0 4(1) 0
Cl(6) 17(1) 20(1) 21(1) 0 2(1) 0
O(1) 21(1) 16(1) 21(1) 5(1) -4(1) 1(1)
N(2) 11(1) 12(1) 17(1) 1(1) -1(1) 2(1)
N(1) 18(1) 14(1) 17(1) -2(1) 0(1 -1(1)
N(3) 18(1) 13(1) 17(1) -2(1) -1(1) 1(1)
O(4) 17(1) 15(1) 21(1) -1(1) 3(1)-5(1)
O(3) 25(1) 16(1) 22(1) 4(1) -2(1) 4(1)
C(2) 20(2) 16(2) 17(2) -5(1) 0(1) 1(1)
C(1) 11(1) 13(1) 15(1) 5(1) 4(1) 4(1)
C(4) 21(2) 16(2) 16(1) -2(1) 4(1) 2(1)
C(7) 16(1) 9(1) 6(1) 1(1) 1(1) 3(1)
N(4) 17(1) 14(1) 13(1) -1(1) 0(1) 2(1)
C(8) 14(2) 16(2) 15(1) 3(1) -3(1)-4(1)
O(2) 17(1) 21(1) 20(1) -4(1) 5(1) 3(1)
C(3) 12(1) 13(1) 13(1) 3(1) -4(1)-2(1)
C(6) 18(2) 15(2) 18(1) 7(1) -3(1)-1(1)
C(5) 13(1) 10(1) 14(1) -2(1) 2(1)-2(1)
________________________________________
【0046】
表5 MoO2Cl2(CH3CN)の水素座標(×104)及び等方性変位パラメータ(Å2×103)
________________________________________
x y z U(eq)
________________________________________
H(2A) 3835 5837 4327 26
H(2B) 4645 4814 4496 26
H(2C) 3425 4910 4732 26
H(4A) 3937 4884 1658 27
H(4B) 4422 4169 2124 27
H(4C) 5080 5270 1916 27
H(8A) 10874 4995 4012 22
H(8B) 11040 4812 4604 22
H(8C) 10298 5860 4402 22
H(6A) 6256 10150 2949 26
H(6B) 5722 10835 3412 26
H(6C) 5094 9740 3181 26
________________________________________
【0047】
上記のように、
図2は、WO
2Cl
2(CH
3CN)
2の三次元固体結晶構造図である。
【0048】
表6 WO2Cl2(CH3CN)2の結晶データ及び構造精密化
識別コード NB00666-001
実験式 C4 H6 Cl2 N2 O2 W
式量 368.86
温度 100.0K
波長 0.71073Å
結晶系 斜方晶系
空間群 Pbcn
単位格子寸法 a=8.7091(6)Å α=90°
b=8.2536(7)Å β=90°
c=12.8021(8)Å γ=90°
体積 920.23(12)Å3
Z 4
密度(計算値) 2.662Mg/m3
吸光係数 13.088mm-1
F(000) 672
結晶サイズ 0.37×0.35×0.33mm3
データ収集のためのシータ範囲 3.183~28.277°
指数範囲 -11<=h<=10、-11<=k<=6、
-16<=l<=16
収集された反射 5168
独立した反射 1139[R(int)=0.0281]
シータ完全性=25.242° 99.9%
吸収補正 等価物から半経験的
最大及び最小送信 0.6035及び0.3693
精密化方法 F2上の全行列最小二乗
データ/拘束/パラメータ 1139/0/52
F2の適合度 1.133
最終R指数[I>2シグマ(I)] R1=0.0183,wR2=0.0431
R指数(全データ) R1=0.0256,wR2=0.0459
消光係数 n/a
最大のdiffピーク及びホール 0.641及び-1.611e.Å-3
【0049】
表7 WO2Cl2(CH3CN)2の原子座標(x104)及び等価等方性変位パラメータ(Å2x103)。U(eq)は、直交化Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。
________________________________________
x y z U(eq)
________________________________________
W(1) 5000 3420(1) 2500 7(1)
Cl(1) 7382(1) 4003(1) 3276(1) 14(1)
O(1) 5680(3) 2149(3) 1552(2) 12(1)
N(1) 4324(4) 5646(4) 3495(2) 12(1)
C(2) 3798(5) 8375(4) 4431(3) 14(1)
C(1) 4080(4) 6841(4) 3911(3) 11(1)
________________________________________
【0050】
表8 WO2Cl2(CH3CN)2の結合長[Å]及び角度[°]
________________________________________
W(1)-Cl(1)#1 2.3502(9)
W(1)-Cl(1) 2.3502(9)
W(1)-O(1)#1 1.710(3)
W(1)-O(1) 1.710(3)
W(1)-N(1)#1 2.312(3)
W(1)-N(1) 2.312(3)
N(1)-C(1) 1.141(5)
C(2)-H(2A) 0.9800
C(2)-H(2B) 0.9800
C(2)-H(2C) 0.9800
C(2)-C(1) 1.452(5)
Cl(1)-W(1)-Cl(1)#1 156.36(4)
O(1)-W(1)-Cl(1) 96.89(9)
O(1)#1-W(1)-Cl(1) 97.55(9)
O(1)-W(1)-Cl(1)#1 97.55(9)
O(1)#1-W(1)-Cl(1)#1 96.89(9)
O(1)-W(1)-O(1)#1 104.30(17)
O(1)-W(1)-N(1) 165.20(12)
O(1)-W(1)-N(1)#1 90.48(11)
O(1)#1-W(1)-N(1) 90.48(11)
O(1)#1-W(1)-N(1)#1 165.20(12)
N(1)-W(1)-Cl(1)#1 81.11(8)
N(1)#1-W(1)-Cl(1)#1 80.15(8)
N(1)#1-W(1)-Cl(1) 81.11(8)
N(1)-W(1)-Cl(1) 80.15(8)
N(1)-W(1)-N(1)#1 74.75(15)
C(1)-N(1)-W(1) 172.6(3)
H(2A)-C(2)-H(2B) 109.5
H(2A)-C(2)-H(2C) 109.5
H(2B)-C(2)-H(2C) 109.5
C(1)-C(2)-H(2A) 109.5
C(1)-C(2)-H(2B) 109.5
C(1)-C(2)-H(2C) 109.5
N(1)-C(1)-C(2) 178.8(4)
______________________________________
等価な原子を生成するために使用される対称変換:
#1-x+1,y,-z+1/2
【0051】
表9 WO2Cl2(CH3CN)2の異方性変位パラメータ(Å2×103)。異方性変位係数指数は次の形式をとる:-2π2[h2a*2U11+...+2hka*b*U12]
________________________________________
U11 U22 U33 U23 U13 U12
________________________________________
W(1) 8(1) 5(1) 7(1) 0 -1(1) 0
Cl(1)11(1) 14(1) 16(1) -1(1) -4(1) -1(1)
O(1) 12(1) 11(1) 14(1) -1(1) -2(1) 1(1)
N(1) 10(2) 12(2) 12(2) 0(1) 0(1) -1(1)
C(2) 21(2) 8(2) 12(2) -3(1) -3(2) 2(1)
C(1) 11(2) 11(2) 11(2) 1(1) -4(2) -2(1)
【0052】
表10 WO2Cl2(CH3CN)2の水素座標(x104)及び等方性変位パラメータ(Å2x103)
________________________________________
x y z U(eq)
________________________________________
H(2A) 3864 9258 3921 16
H(2B) 4569 8540 4979 16
H(2C) 2772 8363 4744 16
________________________________________
【0053】
上記のように、
図5は、MoO
2Cl
2(THF)
2の三次元固体結晶構造図である。(THF=テトラヒドロフラン)この化合物をX線結晶解析に供し、以下のデータを得た。
【0054】
表11 MoO2Cl2(THF)2の結晶データ及び構造精密化
実験式 C8 H16 Cl2 Mo O4
分子式 C8 H16 Cl2 Mo O4
式量 343.05
温度 200K
波長 0.71073Å
結晶系 斜方晶系
空間群 P212121
単位格子寸法 a=7.4048(4)Å =90°.
b=12.5437(6)Å =90°.
c=13.7487(7)Å =90°.
体積 1277.03(11)Å3
Z 4
密度(計算値) 1.784Mg/m3
吸光係数 1.437mm-1
F(000) 688
結晶サイズ 0.15×0.15×0.1mm3
結晶色、晶癖 無色透明ブロック
データ収集のためのシータ範囲 2.198から26.382°
指数範囲 -9<=h<=9,-15<=k<=13,
-17<=l<=17
収集された反射 11549
独立した反射 2611[R(int)=0.0731]
シータ完全性=25.242° 99.9%
吸収補正 等価物から半経験的
最大及び最小送信 0.4652及び0.3891
精密化方法 F2上の全行列最小二乗
データ/拘束/パラメータ 2611/0/136
F2の適合度 1.065
最終R指数[I>2シグマ(I)] R1=0.0332、wR2=0.0838
R指数(全データ) R1=0.0361、wR2=0.0858
絶対構造パラメータ 0.00(5)
消光係数 n/a
最大のdiffピーク及びホール 0.360及び-0.510e.Å-3
【0055】
表12 原子座標(×104)及び等価等方性変位パラメータ(Å2×103)
実施例11では、U(eq)は、直交化Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。
________________________________________
x y z U(eq)
________________________________________
Mo(1) 5728(1) 5036(1) 4146(1) 36(1)
Cl(2) 6796(2) 6222(1) 2947(1) 42(1)
Cl(1) 5665(2) 3642(1) 5296(1) 59(1)
O(3) 7484(4) 3874(3) 3290(2) 33(1)
O(4) 8555(5) 5286(3) 4799(3) 37(1)
O(2) 3868(5) 4641(4) 3542(4) 60(1)
O(1) 4986(7) 6018(4) 4890(3) 63(1)
C(6) 10956(8) 5056(5) 5895(4) 56(2)
C(1) 7073(9) 2746(4) 3220(4) 44(1)
C(8) 9173(9) 6336(5) 5068(4) 54(2)
C(2) 8331(10) 2315(4) 2433(4) 52(2)
C(4) 9009(8) 4133(5) 2657(4) 45(1)
C(7) 10698(10) 6210(6) 5705(8) 97(3)
C(3) 9888(9) 3099(5) 2452(5) 53(2)
C(5) 9912(11) 4520(5) 5131(5) 64(2)
________________________________________
【0056】
表13 MoO2Cl2(THF)2の結合長[Å]及び角度[°]
_______________________________________
Mo(1)-Cl(2) 2.3575(14)
Mo(1)-Cl(1) 2.3576(15)
Mo(1)-O(3) 2.280(3)
Mo(1)-O(4) 2.300(4)
Mo(1)-O(2) 1.683(4)
Mo(1)-O(1) 1.692(4)
O(3)-C(1) 1.451(6)
O(3)-C(4) 1.462(6)
O(4)-C(8) 1.442(6)
O(4)-C(5) 1.463(8)
C(6)-H(6A) 0.9900
C(6)-H(6B) 0.9900
C(6)-C(7) 1.483(9)
C(6)-C(5) 1.469(8)
C(1)-H(1A) 0.9900
C(1)-H(1B) 0.9900
C(1)-C(2) 1.526(8)
C(8)-H(8A) 0.9900
C(8)-H(8B) 0.9900
C(8)-C(7) 1.438(9)
C(2)-H(2A) 0.9900
C(2)-H(2B) 0.9900
C(2)-C(3) 1.516(9)
C(4)-H(4A) 0.9900
C(4)-H(4B) 0.9900
C(4)-C(3) 1.478(8)
C(7)-H(7A) 0.9900
C(7)-H(7B) 0.9900
C(3)-H(3A) 0.9900
C(3)-H(3B) 0.9900
C(5)-H(5A) 0.9900
C(5)-H(5B) 0.9900
Cl(1)-Mo(1)-Cl(2) 160.67(6)
O(3)-Mo(1)-Cl(2) 81.43(9)
O(3)-Mo(1)-Cl(1) 83.31(10)
O(3)-Mo(1)-O(4) 76.68(12)
O(4)-Mo(1)-Cl(2) 83.21(10)
O(4)-Mo(1)-Cl(1) 81.78(10)
O(2)-Mo(1)-Cl(2) 96.61(17)
O(2)-Mo(1)-Cl(1) 95.55(17)
O(2)-Mo(1)-O(3) 91.38(18)
O(2)-Mo(1)-O(4) 167.97(18)
O(2)-Mo(1)-O(1) 104.3(2)
O(1)-Mo(1)-Cl(2) 94.13(16)
O(1)-Mo(1)-Cl(1) 97.36(16)
O(1)-Mo(1)-O(3) 164.1(2)
O(1)-Mo(1)-O(4) 87.7(2)
C(1)-O(3)-Mo(1) 122.6(3)
C(1)-O(3)-C(4) 109.8(4)
C(4)-O(3)-Mo(1) 127.3(3)
C(8)-O(4)-Mo(1) 120.9(3)
C(8)-O(4)-C(5) 107.6(5)
C(5)-O(4)-Mo(1) 131.1(4)
H(6A)-C(6)-H(6B) 108.9
C(7)-C(6)-H(6A) 110.8
C(7)-C(6)-H(6B) 110.8
C(5)-C(6)-H(6A) 110.8
C(5)-C(6)-H(6B) 110.8
C(5)-C(6)-C(7) 104.7(5)
O(3)-C(1)-H(1A) 110.7
O(3)-C(1)-H(1B) 110.7
O(3)-C(1)-C(2) 105.4(5)
H(1A)-C(1)-H(1B) 108.8
C(2)-C(1)-H(1A) 110.7
C(2)-C(1)-H(1B) 110.7
O(4)-C(8)-H(8A) 110.2
O(4)-C(8)-H(8B) 110.2
H(8A)-C(8)-H(8B) 108.5
C(7)-C(8)-O(4) 107.8(5)
C(7)-C(8)-H(8A) 110.2
C(7)-C(8)-H(8B) 110.2
C(1)-C(2)-H(2A) 111.2
C(1)-C(2)-H(2B) 111.2
H(2A)-C(2)-H(2B) 109.1
C(3)-C(2)-C(1) 102.9(5)
C(3)-C(2)-H(2A) 111.2
C(3)-C(2)-H(2B) 111.2
O(3)-C(4)-H(4A) 110.7
O(3)-C(4)-H(4B) 110.7
O(3)-C(4)-C(3) 105.0(4)
H(4A)-C(4)-H(4B) 108.8
C(3)-C(4)-H(4A) 110.7
C(3)-C(4)-H(4B) 110.7
C(6)-C(7)-H(7A) 110.0
C(6)-C(7)-H(7B) 110.0
C(8)-C(7)-C(6) 108.4(6)
C(8)-C(7)-H(7A) 110.0
C(8)-C(7)-H(7B) 110.0
H(7A)-C(7)-H(7B) 108.4
C(2)-C(3)-H(3A) 111.0
C(2)-C(3)-H(3B) 111.0
C(4)-C(3)-C(2) 103.7(5)
C(4)-C(3)-H(3A) 111.0
C(4)-C(3)-H(3B) 111.0
H(3A)-C(3)-H(3B) 109.0
O(4)-C(5)-C(6) 106.4(5)
O(4)-C(5)-H(5A) 110.4
O(4)-C(5)-H(5B) 110.4
C(6)-C(5)-H(5A) 110.4
C(6)-C(5)-H(5B) 110.4
H(5A)-C(5)-H(5B) 108.6
________________________________________
等価な原子を生成するために使用される対称変換:
【0057】
表14 MoO2Cl2(THF)2の異方性変位パラメータ(Å2×103)。異方性変位係数指数は次の形式をとる:-2 2[h2a*2U11+...+2hka*b*U12]
________________________________________
U11 U22 U33 U23 U13 U12
________________________________________
Mo(1)30(1)33(1)44(1) -1(1) 12(1) 0(1)
Cl(2)47(1)32(1)46(1) 7(1) -1(1) 0(1)
Cl(1)77(1)48(1)52(1) 10(1) 30(1) -8(1)
O(3) 35(2)24(2)38(2) -4(1) 9(2) -2(1)
O(4) 43(2)25(2)42(2) -5(2) -5(2) 0(2)
O(2) 31(2)63(3)87(3) 5(3) 1(2) -6(2)
O(1) 65(3)52(3)72(3)-10(2) 32(3) 12(2)
C(6) 43(3)66(5)59(4) 2(4) 4(2) -6(3)
C(1) 53(3)28(3)50(3) -8(2) -2(3) -7(3)
C(8) 75(4)31(3)56(4) -6(3) -11(3) -12(3)
C(2) 80(4)33(3)42(3) -8(3) -7(3) 16(3)
C(4) 49(3)39(3)46(3) -3(3) 19(3) 0(3)
C(7) 73(5)45(4)172(9)-34(5)-58(6) 10(4)
C(3) 58(3)42(4)59(4) -1(3) 20(3) 10(3)
C(5) 70(4)43(4)78(5) -5(3) -24(4) 13(3)
________________________________________
【0058】
表15 MoO2Cl2(THF)2の水素座標(×104)及び等方性変位パラメータ(Å2x103)
_______________________________________
x y z U(eq)
________________________________________
H(6A) 12249 4862 5854 67
H(6B) 10496 4862 6548 67
H(1A) 5794 2636 3035 52
H(1B) 7299 2385 3848 52
H(8A) 9528 6741 4481 64
H(8B) 8197 6730 5404 64
H(2A) 8745 1584 2591 62
H(2B) 7731 2309 1790 62
H(4A) 9857 4623 2988 54
H(4B) 8586 4471 2048 54
H(7A) 10480 6593 6324 116
H(7B) 11794 6512 5398 116
H(3A) 10766 2913 2968 64
H(3B) 10521 3115 1817 64
H(5A) 10710 4310 4586 76
H(5B) 9322 3872 5392 76
________________________________________
【0059】
以下の表は、式(I)の特定の化合物の様々な物理的特性を示す。
【0060】
STA-DSC:
同時熱分析-示差走査熱量測定
【手続補正書】
【提出日】2021-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を式(I)の化合物、
(式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成する。)
に接触させることと、
蒸着条件下で、モリブデン、クロム、又はタングステン含有材料を基板上に堆積することと、を含む基板上に材料を形成するための方法。
【請求項2】
ヒドロカルビル配位子が、少なくとも1個の酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
L
1及びL
2が、独立して選択され、単座配位子を含むか、又は一緒になって二座配位子を形成し、ジアミン、トリアミン及びグリコールから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
L
1及びL
2が、独立して選択され、単座配位子を含み、又は一緒になって二座配位子を形成し、t-ブチルニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、及びアセトニトリルから選択され、かかる基は、任意選択的に、ハロ、シアノ、ニトロ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、テトラヒドロフラン、C
1~C
6アルコキシカルボニル、及びフェニル;1,2-ジメトキシエタン;1,2-ジエトキシエタン;1,2-ジメトキシプロパン;N,N-ジメチルアセトアミド;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルシアノアセトアミド;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、及びジエチレントリアミン;ジメチルスルホキシド;及びエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールから選択される1つ又は複数の基によって置換された基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
L
1及びL
2が一緒になって、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、及びジエチレントリアミンから選択される二座配位子を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Mがモリブデンであり、L
1及びL
2が1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
固体又は液体の形態である、式(I)の化合物。
(式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成する。)
【請求項8】
ヒドロカルビル配位子が、少なくとも1個の酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子をさらに含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式(I)の化合物が、約3重量パーセント未満の不純物を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)の化合物が結晶形態である、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
L
1及びL
2がアセトニトリルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
結晶形態の式MoO
2Cl
2(CH
3CN)
2を有し、1重量%未満の不純物を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
結晶形態の式WO
2Cl
2(CH
3CN)
2を有し、1重量%未満の不純物を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
結晶形態の式MoO
2Cl
2(テトラヒドロフラン)
2を有し、1重量%未満の不純物を有する、請求項
9に記載の化合物。
【請求項15】
式(I)の化合物
(式中、Mは、モリブデン、クロム、及びタングステンから選択され、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択され、各L
1及びL
2は、同じものか又は異なるものであって、
(i)Mが配位した単座ヒドロカルビル配位子を構成するか、又は
(ii)一緒になって、Mが配位した二座ヒドロカルビル配位子を形成する。)
を調製する方法であって、
(A)式
の化合物を、(a)約0.1%(w/w)~約48%(w/w)の式HXの化合物を含有する水と、(b)式L
1及び/又はL
2の化合物とに接触させること、及びこれに続いて、
(B)式(I)の化合物を固体又は液体として単離すること、を含む方法。
【国際調査報告】