(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】ポリイミド含有ろ過膜、フィルター及び方法
(51)【国際特許分類】
B01D 71/64 20060101AFI20220407BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20220407BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20220407BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20220407BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20220407BHJP
B01D 71/32 20060101ALI20220407BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B01D71/64
B01D61/14
B01D63/00 500
B01D63/00 510
B01D69/02
B01D69/10
B01D71/32
B01D71/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550071
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 US2020020123
(87)【国際公開番号】W WO2020176742
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大屋敷 靖
(72)【発明者】
【氏名】坂野 明広
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006HA01
4D006HA21
4D006HA41
4D006HA61
4D006HA74
4D006HA91
4D006JA12C
4D006JA13Z
4D006JA19C
4D006JA22C
4D006JA25C
4D006JA27C
4D006JB07
4D006MA01
4D006MA03
4D006MA22
4D006MA24
4D006MA31
4D006MB01
4D006MB06
4D006MC26
4D006MC28
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC58
4D006PA01
4D006PB13
4D006PB27
4D006PB68
4D006PC01
(57)【要約】
多孔質ポリイミド膜と熱的に安定なイオン基を含むろ過膜;これらのろ過膜を含むフィルター及びフィルターコンポーネント;ろ過膜、フィルター、及びフィルターコンポーネントの製造方法;及び流体から不要な物質を除去するための、ろ過膜、フィルターコンポーネント又フィルターの使用方法が説明される。
【選択図】
図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドポリマーを含み、エッジを有する多孔質ろ過膜と;
熱可塑性フルオロポリマーを含む支持片と
を含み、
エッジは支持片に熱的に結合されて、エッジと支持片との間に液密シールを提供する、フィルターコンポーネント。
【請求項2】
熱可塑性フルオロポリマーが軟化するのに十分な時間、ろ過膜及び支持片を少なくとも摂氏300度の温度にさらすことによって、エッジが支持片に熱的に結合されている、請求項1に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項3】
ポリイミドポリマーが、5mm当たり少なくとも1000mNの引張強度(機械方向)及び5mm当たり少なくとも1000mNの引張強度(交差方向)を有する、請求項1又は2に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項4】
ろ過膜が、10~200ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項5】
ろ過膜が、
摂氏25度の温度でエトキシ-ノナフルオロブタン(HFE-7200)を使用して測定した、1平方インチ当たり10~300ポンドの範囲のバブルポイント、
摂氏21度で測定された500ミリリットル当たり20,000秒未満のIPAフロー時間、又は
両方を示す、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項6】
多孔質膜が、少なくとも90パーセントのポリイミドポリマーを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項7】
熱可塑性フルオロポリマーが、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、及びポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル))(FPA)からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項8】
ろ過膜がシート又はプリーツが形成されたシートである、請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネントを含むフィルターであって、
ろ過膜を取り囲むフルオロポリマーハウジングと、
流体がハウジング中に流入することを可能にする入口と、
流体が膜を通過した後に、流体がハウジングから流出することを可能にする出口と
を含む、フィルター。
【請求項10】
入口と出口との間を流れる流体が接触する表面によって画定される流路を含み、流路のすべての表面が、フルオロポリマー又はろ過膜で作製されている、請求項9に記載のフィルター。
【請求項11】
流体をろ過膜に通過させることを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント又は請求項9若しくは10に記載のフィルターを使用する方法。
【請求項12】
流体が、n-ブチルアセテート(nBA)、イソプロピルアルコール(IPA)、2-エトキシエチルアセテート(2EEA)、キシレン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソアミルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME、又は(2-メトキシ-1-メチルエチルアセテート))、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)、NMP(1-メチル-2-ピロリドン)、ガンマ-ブチルラクトン、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル、及びトルエンからなる群から選択される溶媒を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
流体が、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される溶媒を含み、
フィルターが、ポリイミド膜とポリエチレンハウジングを含む同等のフィルターと比較して、低減された炭化水素浸出量を示す、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
フィルターが、ポリイミド膜とポリエチレンハウジングを含む同等のフィルターと比較して、炭化水素浸出において少なくとも50パーセントの低減を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
熱可塑性フルオロポリマーと接触する多孔質ろ過膜を含むフィルターコンポーネントを調製する方法であって、多孔質ろ過膜は、ポリイミドポリマーを含み、エッジを有し、方法が、熱可塑性フルオロポリマーを加熱して、熱可塑性フルオロポリマーを軟化させることを含む方法。
【請求項16】
熱可塑性フルオロポリマーが軟化するのに十分な時間、少なくとも摂氏400度の温度に熱可塑性フルオロポリマーを加熱することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性フルオロポリマーがエンドピースであり、
方法が、
ろ過膜及び熱可塑性フルオロポリマーを、熱可塑性フルオロポリマーが軟化するのに十分な時間、少なくとも摂氏400度の温度にさらすことと、
ろ過膜のエッジを軟化した熱可塑性フルオロポリマーに接触させ、次に熱可塑性フルオロポリマーの温度を下げて、エッジとエンドピースとの間に液密シールを提供することと
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
熱可塑性フルオロポリマーが、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、及びポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル))(FPA)からなる群が選択される、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年2月27日に出願された米国出願第62/811,334号の利益を主張し、これは参照によりその全体がここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、多孔質ポリイミド含有ろ過膜(「ポリイミド膜」又は「ポリイミドろ過膜」);ポリイミドろ過膜を含むフィルター及びフィルターコンポーネント(すなわち、フィルターの任意の部分、部品、サブコンポーネント、又は構造);フィルターコンポーネントとフィルターの作成方法;及びろ過膜、フィルター部品、又はポリイミド膜を含むフィルターを使用する方法に関する。
【0003】
ろ過膜とフィルター製品は、現代の産業に欠かせないツールであり、不要な材料を有用な流体材料から分離するために使用されている。不要な材料には、粒子、微生物、溶解した化学種などの不純物や汚染物質が含まれ、液体の工業用溶剤、原材料、又は処理液;又は医学的若しくは製薬的価値のある液体溶液のような有用な流体から除去することができる。フィルターの例は、製薬業界で緩衝液及び治療薬を含む溶液などの溶液から粒子や細菌を除去するため、マイクロエレクトロニクス及び半導体処理で使用するための超高純度の水性溶液並びに有機溶媒溶液を処理するため、及び浄水プロセスに使用されている。ある特定の一用途では、半導体処理のためのフォトリソグラフィー工程で使用される液体は、不純物を除去するためにフィルターを使用して処理されなければならない。
【0004】
ろ過機能を実行するために、フィルター製品には、流体から不要な物質を除去する役割を担うろ過膜が含まれている。過膜は、必要に応じて、巻くことができる(例えば、らせん状に)平らなシート、又はプリーツが形成された等の形態であり得る。あるいはまた、ろ過膜は、中空繊維又は毛細管の形態であり得る。ろ過膜は、入口及び出口を含むハウジング内に収容することができ、その結果、ろ過される流体は、入口を通って入り、出口を通過する前にろ過膜を通過する。
【0005】
流体中の不要な物質は、例えば、ふるい分け又は「非ふるい分け」メカニズム、あるいはその両方により、機械的又は静電的にろ過膜に捕捉されることにより、流体から除去される。ふるい分けメカニズムは、粒子の動きに対する細孔の機械的干渉による膜細孔での粒子の保持力によって、粒子が液体の流れから除去されるろ過のモードである。このメカニズムでは、粒径の少なくとも1つの寸法が孔径よりも大きい。「非ふるい分け」ろ過メカニズムは、ろ過膜が、機械的だけではない、粒子又は溶解した物質がろ過膜の外面若しくは内面に静電的に引き付けられて保持される静電メカニズム(深層ろ過)を含む方法で、ろ過膜を流れる液体に含まれる懸濁粒子又は溶解物質を保持するろ過モードである。
【0006】
ろ過膜は、フィルターの予想される使用、すなわち、フィルターを使用して実行されるろ過のタイプに基づいて選択することができる平均孔径を有する多孔質ポリマーフィルムであり得る。典型的な孔径は、ミクロン又はサブミクロンの範囲、例えば、約0.001ミクロン~約10ミクロンである。平均孔径が約0.001~約0.05ミクロンの膜は、時に、限外ろ過膜として分類される。孔径が約0.05~10ミクロンの膜は、時に、ミクロポーラス膜として分類される。
【0007】
商業的使用のために、ろ過膜はまた、効率的で信頼できるろ過機能を示さなければならず、例えば、ろ過膜を通過する流体の連続的な流れから大量の不純物を効率的に除去できなければならない。ろ過性能は通常、流束と保持力を含む2つのパラメータによって評価される。流束は、フィルター又はろ過膜を通過する流体の流速を評価し、フィルターを通過する高レベルの流れが可能であることを反映するのに十分な高さである必要があり、したがって、フィルターは経済的に実行可能である。保持力は、一般に、フィルターを通過する流体の流れから除去される不純物の量(パーセント)を指し、フィルター効率の指標である。膜の流束と保持力は両方とも膜の微細構造に大きく依存する。細孔が小さい膜は、バブルポイントが高く、流束が低くなる代わりにふるい分け能力が向上する(膜の形態と厚さが同じであると仮定)。孔径が大きければ大きいほど、バブルポイントは低く、ふるいの保持力が低くなるが、膜の形態と厚さが同じであると仮定すると、流束は高くなる。膜の非ふるい分け保持能力は、膜の微細構造と孔径に加えて、膜の表面特性(電荷など)に依存するより複雑な特性である。
【0008】
膜ろ過の主要な商業的関心の1つの分野は、半導体産業におけるフォトレジスト溶液からの汚染除去である。半導体産業がより小さなノードに移行するにつれて、より小さな寸法の粒子が半導体基板に欠陥を作成する可能性のある潜在的な汚染物質になるため、汚染の問題はより難しいものとなる。フォトレジスト液中の潜在的な汚染物質には、有機又は無機の性質のゲル、イオン、又はナノ粒子が含まれる。
【0009】
より大きな処理システム内で、例えば、半導体デバイスの製造に有用なフィルターは、ろ過膜及び他の非膜構造を含むハウジングを含むことになる。非膜構造の材料は、好ましくは不活性であり、フィルターによって処理されている流体に影響を及ぼさないものでなければならない。非膜構造は、汚染物質を流体に提示することによって流体の組成を変更するなど、いかなる方法でも流体に影響を与えてはならない。マイクロエレクトロニクスデバイス機能及び関連する処理機能の寸法が継続的に縮小されているため、半導体処理でますます小さな材料が潜在的な汚染物質になる可能性があり、それ故、フィルターハウジング及びその他の非膜フィルター構造の調製に使用される材料は、それらの材料(から抽出され)、フィルターを通過する流体中に存在するようになる。
【0010】
フッ素化ポリマー、例えば、熱可塑性フッ素化ポリマーは、フィルターハウジング又は他の非膜フィルター構造として有用であることが知られている。フルオロポリマーは比較的不活性であり、ポリオレフィン(ポリエチレンなど)などの他のポリマーによって生成されるレベルよりも低いレベルの有機材料汚染を抽出によって生成する可能性がある。しかしながら、すべてのタイプのポリマーろ過膜が、フルオロポリマー製のフィルターハウジングに組み込むことができるわけではない。フィルターの組み立て中、ろ過膜の端又はエッジは、その端又はエッジと支持体(例えば、「エンドピース」)との間に液密シールを生成する方法で、熱可塑性フルオロポリマー支持体表面(例えば、及び「エンドピース」)に固定されなければならない。「ポッティング」工程(「熱結合工程」としても知られる)と呼ばれることもあるこの工程では、ポリマーろ過膜及び熱可塑性フルオロポリマー支持体を比較的高温、例えば、少なくとも摂氏200、300、又は400度に加熱して、フルオロポリマーを軟化させる必要がある。ポリマーろ過膜を形成するために使用される多くのポリマーは、熱結合工程中に到達する温度に耐えるのに十分な熱安定性を備えていない。
【0011】
特に半導体製造業界におけるろ過技術では、有用な液体からこれまでになく小さい汚染物質を除去するのに効果的な新しいろ過膜とフィルターの特定に向けた継続的な進歩が必要であり、材料(有機材料など)がフィルター構造から汚染物質除去のために処理中の流体に放出されない新しいろ過膜とフィルターの特定に向けた継続的な進歩が必要である。
【発明の概要】
【0012】
以下の説明は、フルオロポリマーエンドピースなどの熱可塑性構造(非膜フィルターコンポーネントなど)に固定されている、ポリイミド含有ろ過膜(ここでは、略して「ポリイミドろ過膜」又は「ポリイミド膜」と呼ばれることもある)を含むフィルター構成要素及びフィルター。この説明はまた、記載されているようにフィルター及びフィルターコンポーネントを調製する方法、並びに記載されているようにろ過膜、フィルターコンポーネント、又はフィルターを使用する方法に関する。
【0013】
ポリイミド膜は、任意のタイプの任意の目的のフィルターで有用であり得るが、ここでは、半導体処理で使用される液体流体、例えば、フォトレジスト溶液又はフォトレジスト溶液の溶媒をろ過するのに有用であると記載される。マイクロエレクトロニクスデバイス処理の分野では、多種多様な液体材料が使用されており、その多くは非常に高純度で使用されている。一例として、マイクロエレクトロニクスデバイスのフォトリソグラフィー処理用の溶媒は、非常に高純度でなければならず、したがって、これらの材料の有用な供給源を提供するために、安定した清浄なろ過膜を必要とする。
【0014】
マイクロエレクトロニクス処理で使用される液体材料は、非常に酸性又は腐食性である可能性があり、通常、高温で使用される。これらの液体は、特に高温において、ポリオレフィン及びナイロンなどの、フィルターに使用される多くの一般的なポリマー材料を溶解又は弱める傾向がある。このため、マイクロエレクトロニクスデバイスの処理に使用される液体材料を処理するためのフィルターには、高レベルの化学的不活性と熱安定性を示すと考えられているポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)などのフッ素化ポリマーが使用されることが多い。
【0015】
半導体、LCDフラットパネルディスプレイ、ハードディスクドライブ、OLED(有機発光ダイオード)半導体構造、及びその他の電子機器製造業向けのフォトフォトケミカルディスペンスシステム;半導体、LCDフラットパネルディスプレイ、ハードディスクドライブ、OLED及びその他の電子機器製造業向けの有機溶剤ろ過;これらの特定の化学配合物の化学会社サプライヤーが使用するフォトレジストケミカル製造プロセス;有機溶媒の精製及び供給システム;並びに高純度有機溶剤製造プロセスを含む、様々な商業用途が、ここに記載のフィルターの性能特性から恩恵を受けることができる。
【0016】
本記載によれば、フィルター又はフィルターコンポーネントは、ポリイミド含有ろ過膜、及び非膜構造用のフルオロポリマー材料を使用して作製される。ポリイミド膜は、膜をエンドピースなどの熱可塑性フルオロポリマー支持片に固定するためのポッティング工程に必要な温度において温度安定性である。ポリイミド膜はまた、膜を通って流れることができる液体の有用なレベルの流れ(例えば、流束)、及び良好又は有利な粒子除去効率(例えば、「保持力」)などの有用又は有利なろ過特性を示す。非膜フィルター構造に使用されるフルオロポリマー材料は、他のタイプのポリマーフィルターハウジングと比較して、フィルターを通過する液体に抽出される有機材料のレベルが低くなる。
【0017】
ここに提示されるように、ポリイミド含有ポリマーで作製された膜は、これらのタイプのポリマーが、半導体製造プロセスのフォトリソグラフィー用途に一般的に使用される多くの有機溶媒との優れた化学的適合性を示し得るため、ろ過膜として有用であり得る。ポリイミド膜は、ふるい分け及び非ふるい分け(吸着)メカニズムによって優れた粒子除去性能を生み出す構造で調製することもでき、これらのポリマーは高い引張強度を示すことができる。
【0018】
一態様では、フィルターコンポーネントは:ポリイミドポリマーを含み、エッジを有し;及び熱可塑性フルオロポリマーを含む支持体を含む。エッジは支持片に熱的に結合され、エッジと支持片との間に液密シールを提供する。
【0019】
別の態様では、フィルターコンポーネントを調製する方法は、熱可塑性フルオロポリマーと接触する多孔質ろ過膜を含む。多孔質ろ過膜はポリイミドポリマーを含み、エッジを有する。この方法は、熱可塑性フルオロポリマーを加熱して、熱可塑性フルオロポリマーを軟化させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】記載されているようなポリイミド膜を含む例示的な多層構造を示している。
【
図1B-1C】記載されている例示的なフィルターコンポーネントの端面図を示している。
【
図1D】エンドピースに熱的に結合されたろ過膜を含む、記載されている例示的なフィルターコンポーネントの側面斜視図である。
【
図3】線状炭化水素浸出に関連するデータの表である。
【
図4A】
図4のAは、有機抽出物及び金属抽出物に関連するデータの表である。
【
図4B】
図4のBは、有機抽出物及び金属抽出物に関連するデータの表である。
【0021】
図面は概略図であり、原寸に比例しておらず、本説明のいかなる側面も制限するとは見なされない。
【発明を実施するための態様】
【0022】
ここに記載されているのは、ポリイミド含有ろ過膜(ここでは、略して「ポリイミドろ過膜」又は「ポリイミド膜」と呼ばれることもある。)を含むフィルターコンポーネント及びフィルターである。記載されているようにフィルター及びフィルターコンポーネントを調製する方法、並びに記載されているようにろ過膜、フィルターコンポーネント、又はフィルターを使用する方法も開示されている。
【0023】
フィルターコンポーネントは、ポリイミドろ過膜と、ポリイミドろ過膜が取り付けられているエンドピースなどのフルオロポリマー(例えば、熱可塑性フルオロポリマー)支持構造とを含む。ポリイミド膜は、ポリイミド膜とフルオロポリマー支持構造の両方をポッティング温度(少なくとも200℃)に加熱するポッティング工程によってフルオロポリマー支持構造に固定され、ポリイミドろ過膜のエッジとフルオロポリマー支持構造(例えば、エンドピース)との間に液密シールが生成される。
【0024】
ポリイミドろ過膜は、説明さえているような、フィルターコンポーネント又はフィルターに組み込むことができる、平坦な平らなシート、フラットディスク、プリーツが形成されたシート、巻かれたシート、中空繊維膜、又は組み込まれ得る別の形態の多孔質ろ過膜の形態であり得る多孔質膜であり得る。ポリイミドろ過膜は、物理的及び化学的特性を示すことができ、これにより、ポリイミド膜は、有機溶媒を商業規模で非常に高レベルの純度に処理(ろ過)するためのろ過膜として効果的であることができる。
【0025】
ポリイミド(PIと略されることもある。)は、イミド結合を含むポリマーである。ポリイミドポリマーは、アミド結合などのイミド結合に加えて、任意選択的に化学結合を含み得る。イミド結合及びアミド結合を含むポリマーは、「ポリイミド-ポリアミド」ポリマーと呼ばれる。アミド結合又は他の非イミド結合(例えば、エステル結合、エーテル結合)を含まないポリマーは、「純粋な」ポリイミドと呼ばれ;これらのポリマーは、イミド結合を含むが、エステル結合、アミド結合、又はエーテル結合を含まないか、あるいはイミド結合の総量あたり5、2、又は1パーセント未満の総エステル結合、エーテル結合、及びアミド結合などのイミド結合と比較して、その実質的でない量を含み得る。ここで「ポリイミド」という用語が使用される場合、それは、純粋なポリイミド及びポリイミド-ポリアミドポリマーの両方を総称して指す。
【0026】
ポリイミド及びポリイミドアミドは、ジアミン及び二無水物を含むモノマーの組み合わせを反応させて、複数のポリイミド結合を有するポリマーを生成することを含む、既知の方法によって調製することができる。別の経路により、これらの材料は、ジイソシアネートモノマーを二無水物モノマーと反応させることによって作製することができる。
【0027】
出願人によって現在理解されているように、ポリマーに沿って分布している芳香族基と共にイミド結合を含むポリイミドは、例えば、極性粒子又はゲルを用いて、有用な非ふるい分けろ過特性を示すことができ、これは、マイクロエレクトロニクスデバイス、半導体デバイスを処理するための溶媒、例えば、フォトリソグラフィープロセスで使用されるフォトレジスト溶液に時々見られる粒子のタイプである。したがって、例示的なポリイミドポリマーは、イミド結合と組み合わせて芳香族基を含むように作製される;すなわち、例示的なポリイミドポリマーは、芳香族ポリイミドを含む。
【0028】
有用又は好ましいポリイミドは、芳香族官能基を含むモノマーから調製することができ、その結果、ポリイミドは、ポリマー鎖に沿って芳香族官能基を含むことになる。芳香族官能基を含むポリイミドを提供するのに効果的なモノマーには、芳香族ジアミン及び芳香族二無水物が含まれる。脂肪族ジアミンはまた、単独で、又は芳香族ジアミンと組み合わせて有用であり得る。
【0029】
芳香族ジアミンの例には、ジアミノフェニル化合物、ジアミノジフェニル化合物などの芳香族ジアミノ化合物が含まれる。より具体的な例としては、フェニレンジアミン及びその誘導体、ジアミノビフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノジフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノトリフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノナフタレン及びその誘導体、アミノ-フェニル-アミノインダン及びその誘導体、ジアミノテトラフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノヘキサフェニル化合物及びその誘導体、並びにカルドフルオレンジアミン誘導体が含まれる。
【0030】
例示的なフェニレンジアミン化合物には、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、及びエチル基又はメチル基などの結合したアルキル基を有するフェニレンジアミン誘導体、例えば、2,4-ジアミノトルエンなどが含まれる。
【0031】
ジアミノビフェニル化合物の例には、4,4’-ジアミノジフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルなどが含まれる。
【0032】
ジアミノジフェニル化合物は、エーテル、スルホニル、チオエーテル、アルキレン基、イミノ基、アゾ基、ホスフィンオキシド基、アミド結合、ウレイレン結合などの別の(接続)基を介して互いに結合した2つのアミノフェニル基を有するものである。
【0033】
ジアミノジフェニル化合物の例には:3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルケトン、3,4’-ジアミノジフェニルケトン、2,2-ビス(p-アミノフェニル)プロパン、2,2’-ビス(p-アミノフェニル)to ヘキサフルオロプロパン、4-メチル-2,4-ビス(p-アミノフェニル)-1-ペンテン、4-メチル-2,4-ビス(p-アミノフェニル)-2-ペンテン、4-メチル-2,4-ビス(p-アミノフェニル)ペンタン、ビス(p-アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’-アミノアゾベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニル尿素、4,4’-ジアミノジフェニルアミド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]などが含まれる。
【0034】
ジアミノトリフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基と1つのフェニレン基とを含み、それぞれは、エーテル、スルホニル、チオエーテル、アルキレン基、イミノ基、アゾ基、ホスフィンオキシド基、アミド結合、ウレイレン結合等のような別の基を介して結合されている。例としては、1,3-ビス(m-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(p-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(p-アミノフェノキシ)ベンゼンなどが含まれる。
【0035】
ジアミノナフタレン化合物の例には、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレンなどが含まれる。
【0036】
アミノフェニル-アミノインダン化合物の例には、5又は6-アミノ-1-(p-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダンなどが含まれる。
【0037】
ジアミノテトラフェニル化合物の例には、4,4’-ビス(p-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’-ビス[p-(p’-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ビス[p-(p’-アミノフェノキシ)ビフェニル]プロパン、2,2’-ビス[p-(m-アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン等が含まれる。
【0038】
カルドフルオレンジアミン誘導体の例には、9,9-ビスアニリンフルオレンなどが含まれる。
【0039】
脂肪族ジアミンの例には、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの約2~15個の炭素原子を含むものが含まれる。
【0040】
有用な二無水物モノマーは、芳香族又は脂肪族であり得る。例には、一般に、芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物化合物が含まれる。
【0041】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の例には、ピロメリット酸二無水物、1,1-ビス(2,3-カルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-カルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-カルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2,6,6-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-カルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-カルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-カルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-カルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-カルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4-(p-フェニレン-オキシ)ジフタル酸無水物、4,4-(m-フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス無水フタル酸フルオレン、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物などが含まれる。
【0042】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物の例には、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物シクロヘキサン、1,2,4,5ヘキサン酸二無水物シクロヘキサン、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などが含まれる。
【0043】
ろ過膜で使用するためのポリイミドの別の望ましい特性は、高い機械的強度、例えば、引張強度である。記載されているようなろ過膜に有用な、有用な又は好ましいポリイミドは、5mm当たり少なくとも1000、2500、又は4000mNの引張強度(機械方向)、及び5mm当たり少なくとも1000、2500、又は4000mNの引張強度(交差方向)(例えば、Shimadzu AGS-H autographを使用して、クロスヘッド速度20mm/分、ロードセル100Nで測定した場合した場合)を示すことができる。
【0044】
市販のポリイミドの例としては、DuPontがその商品名Kapton(登録商標)で販売しているポリマー、DuPonが販売しているポリマー、及びTokyo Ohka Kogyo Co. Ltd.が販売しているポリイミドが挙げられる。
【0045】
「ポリイミド膜」は、その用語がここで使用される場合、記載されているような物理的特性及びろ過性能特性を有する多孔質(例えば、ミクロ多孔質、超多孔質など)のろ過膜を指し、記載されている有用又は大量のポリイミドが含まれる(純粋なポリイミドポリマー及びポリイミド-ポリアミドポリマーを含む。)。必要に応じて、しかしながら必ずしも好ましいとは限らないが、ポリイミド膜は、ポリイミドと、1つ又は複数の他のポリマーとのブレンドから作製され得る。有用なポリイミド膜は、ポリイミドを含むか、それからなるか、又は本質的にポリイミドからなることができる。例えば、ポリイミド膜は、熱可塑性ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)、ナイロン、ポリスルホン、又はフルオロポリマーなどの別のポリマーとブレンドされたポリイミドポリマーを含み得る。特定の例では、ポリイミド膜は、大部分がポリイミドポリマー、例えば、少なくとも70、80、90、90、98、又は99重量パーセントのポリイミドポリマーで作製することができる。本質的にポリイミド(ポリイミド-ポリアミドを含む。)からなる多孔質ポリイミド膜は、ポリイミドのみを含み、他のタイプのポリマーを2、1、0.5、又は0.1重量パーセント以下で含む膜である。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリイミド材料は、説明されているように、ある程度は、組み合わせの有用又は有利な処理及び性能特性を提供することができるポリイミドの特性により、フルオロポリマー支持片(例えば、エンドピース)と組み合わせて、ろ過膜としてフィルターで使用するために識別されている。ろ過膜としての使用に特に適したポリイミドポリマーの特定の特性には:所望の引張強度;高い熱安定性と高い化学的安定性、すなわち、高温に対する優れた耐性と化学的劣化に対する優れた耐性;有用又は有利なろ過性能(例えば、流動時間、バブルポイント、保持力)を示す多孔質ろ過膜にポリイミドを形成する能力が含まれる。
【0047】
膜材料としてのポリイミドの特定の利点は、高い熱安定性であり、これにより、ポリイミド膜を処理して、フルオロポリマーで作製された他の部分を含むフィルター又はフィルターコンポーネントを形成することができる。ポリイミド膜を処理してフィルターコンポーネントを形成するため、例えば、ポリイミド膜のエッジを、エンドピース又は他の支持体などの熱可塑性フルオロポリマーで作製されているフィルターコンポーネントの別の部分に取り付けるため、ポリイミドとポリイミド膜は熱的に安定していることができる。十分な熱安定性とは、膜を熱可塑性エンドピースに固定するためのポッティング工程で有用な温度で安定しているポリイミド膜を指し、例えば、膜は、ポッティング工程の温度に加熱された場合、所望の物理的及びろ過性能特性を保持する。そのような温度の例は、少なくとも摂氏200度、例えば、少なくとも摂氏250度又は300度、あるいは少なくとも摂氏400度又は500度であり得る。
【0048】
より詳細には、記載されたポリイミドろ過膜は、加熱時に十分に安定しており、ポリイミドろ過膜を段階的にフィルター構成要素又は完成したフィルターに変換するために使用される、エンドピースを加熱して熱可塑性フッ素化エンドピースを軟化又は溶融することにより、膜のエッジを熱可塑性フッ素化エンドピースに固定することを含む処理工程、例えば、「ポッティング」工程に耐える。エンドピースの材料であり得る熱処理可能なフルオロポリマーを使用して、例えば、ろ過膜のエッジをフィルターのエンドピース(又は他の支持構造)の表面に固定するために、ろ過膜を非膜フィルター構造に固定するために一般的に使用されるポッティング工程が使用されている。ポッティングステップを実行するために、熱可塑性フルオロポリマー(例えば、エンドピース)を、熱可塑性フルオロポリマーが十分に柔らかくなるか又は溶融して、フルオロポリマーが膜の端に接触することを可能にする温度に加熱することができ(圧力で)、膜のエッジにしっかりと接着し、エッジとエンドピースとの間に液密シールを形成する。必要な温度は、使用される熱可塑性フルオロポリマーのタイプに依存し、少なくとも摂氏200度、例えば、少なくとも摂氏250度又は300度、あるいは少なくとも摂氏400度又は500度であり得る。
【0049】
記載されているポリイミドろ過膜は多孔質であり、ろ過膜の片側又は表面からの流体(例えば、液体)の所望の流れを可能にする「オープンポア」構造を有し、ろ過膜の厚さを通して、ろ過膜の反対側又は表面から出る。膜の厚さに沿って、2つの対向する表面の間は、封止されたセルの形態の、セル状の3次元のボイド微細構造、つまり、液体流体が膜の厚さを通過できるようにする「オープンセル」又は「孔」である。オープンセルは、開口部、孔、チャネル、又は通路と呼ばれ、隣接するセル間で大部分が相互接続されて、液体流体がセル内、セル間、及びポリイミドろ過膜の厚さを通って流れ、第一の側から反対側の第二の側から出ることを可能にする。
【0050】
ろ過性能に関連するろ過膜の物理的特性には、多孔質、厚さ、及び孔径が含まれ、これらは、バブルポイントの所望の特性、ろ過効率(例えば、「保持力」によって測定される)、及びろ過膜を通る流量(又は流束)(例えば、流動時間によって測定される)に関連する。
【0051】
記載されているような有用なポリイミド膜の例は、シートの形態であり得、これは、任意選択的に平坦であるか、折り畳まれている(例えば、プリーツが形成されている)か、又はフィルターコンポーネント若しくはフィルターに組み込まれるときに巻かれ得る。シートは、任意の有用な厚さであり得、有用又は好ましい例は、5~100ミクロンの範囲、例えば、10~80ミクロン、又は20~50ミクロンである。
【0052】
膜は、膜がここに記載されているように効果的であることを可能にする多孔度を有することができ、液体から高レベルの汚染物質又は不純物を除去しながら、適切な流量の液体が膜を通過することを可能にする。有用な膜の例は、最大80パーセントの多孔度、例えば、60~80の範囲の多孔度、例えば、60~70パーセント又は40から60パーセントを有することができる。ここで使用される場合、及び多孔質体の分野では、多孔質体の「多孔度」(空隙率とも呼ばれる)は、該多孔質の本体内の空隙(すなわち「空の」)空間のパーセントとしての尺度であり、本体の総体積に対する本体の空隙の体積の割合として計算される。多孔度がゼロパーセントの本体は完全に固体である。
【0053】
特定のポリイミド膜に役立つ孔径は、膜の厚さなど;膜を通る流体の所望の流動特性(例えば、流量又は「流動時間」);ろ過の望ましいレベル(例えば、「保持力」によって測定される);膜を通過することによって処理(ろ過)される特定の種類の流体;膜を通過する流体から除去される特定の汚染物質;並びに他の要因に起因し得る。特定の現在理解されている例では、有用な孔径は、約10、20、30、又は40ナノメートルから最大約4、8、又は10ミクロンの範囲であり得、「ミクロ多孔質」、「超多孔質」、又は「ナノ多孔質」として分類されることがある孔径の範囲を含む。「ミクロ多孔質」という用語は、より大きな孔径を有する材料、つまり、「マクロ多孔質」と見なされる材料と区別する方法として、ミクロ多孔質及びサブミクロ多孔質のサイズを含む、これらのサイズ範囲のいずれか内の孔を指すために使用されることがある。孔径は、多孔質材料の平均孔径として報告されることが多く、これは、水銀ポロシメトリー(MP)、走査型電子顕微鏡(SEM)、液体変位(LLDP)、又は原子間力顕微鏡(AFM)などの既知の手法で測定できる。
【0054】
膜の孔径は、多孔質ろ過膜の理解されている特性である「バブルポイント」として知られる特性との相関関係に基づいて評価することもできる。バブルポイントは孔径に対応しており、これは、例えば、保持力によって測定されるようなろ過性能にも対応し得る。孔径が小さければ小さいほど、バブルポイントが高くなり、多くの場合、ろ過性能が高くなる(保持力が高くなる。)。しかしながら、通常、バブルポイントが高ければ高いほど、多孔質材料を通過する流れの抵抗が比較的高くなり、流れ時間が長くなる(特定の圧力降下に対する流量が低くなる。)。本記載の例示的なろ過膜は、比較的高いバブルポイント、有用又は有利なろ過性能、及び有用なレベルの流量、例えば、ろ過膜を商業的ろ過プロセスで使用することを可能にする流量の組み合わせを示すことができる。
【0055】
多孔質材料のバブルポイントを決定する1つの方法によって、多孔質材料のサンプルを、既知の表面張力を有する液体に浸漬して濡らし、ガス圧をサンプルの片側に加える。ガス圧は徐々に上昇する。ガスがサンプルを流れる最小圧力は、バブルポイントと呼ばれる。エトキシ-ノナフルオロブタン(HFE 7200)を使用して、摂氏20~25度(例えば、摂氏22度)の温度で測定された、本記載に従う有用な多孔質ポリイミド膜の有用なバブルポイントの例は、10~300ポンド/平方インチ(psi)の範囲、例えば、20~200psi又は30~150psiの範囲であり得る。
【0056】
有利なことに、ポリイミドを使用して作製された多孔質膜は、同等の(非ポリイミド)膜のバブルポイントよりも大きいバブルポイントを達成するように調製することができる。特定の例として、記載されているような熱的に安定なポリイミドを調製して、フルオロポリマー、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)又は多孔質ろ過膜の材料として一般的に使用される別のフルオロポリマー又はパーフルオロポリマーで作製された同等のろ過膜のバブルポイントよりも高いバブルポイントを達成することができる。多孔質膜の比較的高い気泡点は、より高い気泡点を有する膜による一般により高い程度の粒子又は汚染物質の除去のために、ろ過性能にとって望ましいか又は有利であり得;膜は、例えば、流速又は流動時間によって測定されるように、依然として望ましい流動特性を有するべきである。
【0057】
ろ過性能の別の尺度は、液体から不要な物質(つまり「汚染物質」)を除去する際のろ過膜の有効性のレベルを含み、「保持力」と呼ばれる。保持力は、ろ過膜(例えば、記載されているろ過膜)の有効性に関して、一般に、液体をろ過膜に通したときに液体に含まれていた不純物の総量に対する、不純物を含む液体から除去される不純物の総量(実際の又は性能試験中)を指す。したがって、ろ過膜の「保持力」値はパーセンテージであり、保持力値が高い(パーセンテージが高い)フィルターは液体から粒子を除去するのに比較的効果的であり、保持力値が低いフィルター(パーセンテージが低い)は、液体から粒子を除去する効果が比較的低い。
【0058】
記載されているポリプロピレン膜の例示的な実施形態において、膜は、実施例のセクションに記載されている試験を使用して測定されるように、1.0パーセントの単層被覆に対して80又は90パーセントを超える保持力を示すことができ、膜を通過する有用な流速、好ましくは、1.0パーセントの単層被覆に対して95、98、又は99パーセントを超える保持力を伴う。追加又は代替として、膜は、例のセクションで説明されている試験を使用して測定した場合、2.0パーセントの単層被覆に対して80又は90パーセントを超える保持力を示すことができ、膜を通過する有用な流速、好ましくは2.0パーセントの単層被覆に対して92又は95パーセントを超える保持力を伴う。
【0059】
また、以前のフィルターやろ過膜と比較するために、ポリイミド膜は、膜の厚さ、多孔質、形態などの2つの膜の同様の物理的特徴を考慮すると、同等のフルオロポリマーフィルターと比較してより高い除去効率(保持力によって測定)等を有することができるが、ポリイミド膜はより小さな孔径及びより高いバブルポイントを有し;例えば、ポリイミド膜は、1.0パーセントの単層被覆率での同等のフルオロポリマーフィルターの除去効率よりも少なくとも10又は20パーセント高い除去効率(保持力によって測定される)、代替的又は追加的に、2.0パーセントの単層被覆率での同等のフルオロポリマーフィルターの除去効率よりも少なくとも15、20、25、又は30パーセント高い除去効率(保持力によって測定される)を有することができる。
【0060】
所望のバブルポイント及びろ過性能(例えば、保持力によって測定される)と組み合わせて、記載されている膜は、膜を通る液体の流れに対する有用な(商業的に許容される)レベルの抵抗を示すことができる。液体の流れに対する抵抗は、流量又は流量時間(流量の逆数)で測定できる。記載されているポリイミド膜は、好ましくは、有用な又は比較的短い流動時間を有することができ、好ましくは、比較的高いバブルポイントと組み合わせて、良好又は有利なろ過性能(例えば、保持力によって測定される)を示す。有用な又は好ましい流動時間(すなわち、「IPA流動時間」)の例は、約60,000秒/500ミリリットル未満、例えば、500ml当たり約50,000又は40,000又は20,000秒未満であり得;「IPAフロー時間」は、500mlのイソプロピルアルコール(IPA)流体が、14.2psi、温度摂氏21度で表面積13.8cm2の膜を通過するのにかかる時間として測定される。
【0061】
ポリイミド膜は、流体が通過して流体内の望ましくない物質が膜によって流体から除去されることを可能にする、又は引き起こすことができるろ過膜を含むフィルターで(例えば、フィルターカートリッジのコンポーネントとして)使用することができる。「フィルター」は、ろ過膜と、フレーム、ハウジング、オプションの円筒形コア、支持体、積層フィルム、流れ制御構造などの追加の(任意選択的な)構造を含み、ろ過膜を通過する間、ろ過膜が流体から不要な物質をろ過するように機能するために、これらが一緒になって流体が通過することを可能にするフィルター構造を指す。フィルターのこれらの構造は、ここでは「非膜フィルター構造」と呼ばれることがある。
【0062】
例示的なフィルターは、入口と出口とを備え、ハウジング内に含まれ、入口と出口との間に配置されている、記載されているポリイミドろ過膜を備えたハウジングを含むことができる。ポリイミド膜は、フィルター入口に入る流体の一部又はすべてが、ハウジングの出口を通過してフィルターを出る前にろ過膜を通って流れることを必要とする方法で、ハウジング内に配置及び封止することができる。ハウジング内では、ろ過膜は、中空ろ過膜、ディスク状の膜、又は巻かれたり、プリーツが形成され得るシート状の膜など、任意の形状又は形態をとることができる。
【0063】
ろ過膜は、フィルター内のろ過膜を支持し又は封じ込め(収容し)、フィルターを通過するときに流体をろ過膜、すなわち非膜フィルター構造に流す様々な追加の材料及び構造によって、フィルター構造内に含まれ得る。円筒形のプリーツが形成されたろ過膜を含むフィルター用のそのような非膜フィルター構造の例には、以下が含まれ、それらのいずれもフィルター構造に含まれ得るが、必要ない場合がある:円筒形のプリーツが形成されたろ過膜の内部開口部で円筒形のプリーツが形成されたろ過膜を支持する剛性又は半剛性コア;プリーツが形成された膜の外側で円筒形のプリーツが形成されたろ過膜を支持する剛性又は半剛性のケージ;円筒状膜の長さ方向の継ぎ目に沿ってプリーツが形成されたろ過膜の長手方向エッジを接続して、膜をプリーツが形成された円筒体に形成する継ぎ目材料;流体が流れるろ過膜の一方又は両方の主要な表面を支持するが、ろ過材料として有効である必要はない、1つ又は複数の有窓膜支持材料(例えば、有窓ネット又はメッシュの形態);プリーツが形成された円筒形のろ過膜の2つの対向するプリーツが形成された端のそれぞれに位置するエンドピース(又は「エンドプレート」又は「パック」);ろ過膜のプリーツが形成されたエッジをエンドピースに熱接着するために使用できる、溶融加工可能なフルオロポリマーの形の任意選択的な(必須ではない)ポッティングコンパウンド;並びに円筒形のプリーツが形成された膜の対向するプリーツが形成された端エッジに配置され、そこでエッジがエンドピースと接触する、積層フィルム。
【0064】
記載されているようなフィルターカートリッジ及びフィルターの有用で好ましい実施形態によれば、ポリイミド膜以外のフィルターコンポーネントは、フルオロポリマー、例えば、熱可塑性フルオロポリマーを含むが必ずしもそうではない過フッ素化ポリマーから作製され得る。各非膜フィルター構造は、フッ素化(少なくとも部分的にフッ素化)又は過フッ素化(実質的に完全にフッ素化)のいずれかであり得る。
【0065】
一般的な用語に基づく過フッ素化ポリマー(「パーフルオロポリマー」)は、ポリマーの水素原子のすべて又は実質的にすべて(例えば、少なくとも95、98、又は99パーセント)がフッ素原子で置き換えられているポリマーである。一般的な用語に基づくフッ素化ポリマー(「フルオロポリマー」)は、水素原子の代わりにフッ素原子を有する炭素骨格を有するポリマーであるが、ポリマーに所望の熱及び化学的安定性特性を提供する、十分に高いフッ素原子含有量(例えば、50、60、70、又は80パーセント)を有する、炭素骨格に直接結合している、実体のない量を超える水素原子、塩素原子、又はその両方を含むこともできる。
【0066】
記載されているようなフィルターカートリッジ又はフィルターのコンポーネントとして有用なフッ素化及び過フッ素化ポリマーの例には、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル))(PFA)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、ポリ(ETFE)クロロトリフルオロエチレン)(CTFE)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン-コ-エチレン)(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリフッ化ビニル(PVF)が含まれる。
【0067】
本記載の好ましいフィルターによれば、フィルターは、部分的に、大部分、完全に、又は実質的に完全に、フッ素化(例えば、過フッ素化)ポリマー材料で作製されている非膜フィルター構造によって支持された、ポリイミド膜で作ることができ、独立して、「熱処理可能」、すなわち「熱可塑性」であり得る。好ましいフィルターは、完全にフッ素化材料又は過フッ素化材料である非膜フィルター構造で作製することができ、これは、非膜フィルター構造の少なくとも90、95、98、99、又は100パーセントがフッ素化又は過フッ素化されていることを意味する。
【0068】
さらに、非膜フィルター構造として他の(フッ素化されていない)タイプのポリマーを含むように作製された代替フィルター製品との比較のために、これらの構造のためのフッ素化材料は、非膜フィルター構造(すなわち、炭化水素浸出又は線状炭化水素浸出)からフィルターを通過する液体流体に抽出される、より少量の有機材料(例えば、線状炭化水素材料)を有利に生成することができる。具体的な比較として、完全にフルオロポリマーで作製された非膜フィルター構造を含むフィルターは、ポリエチレンやポリプロピレンを含むポリオレフィンなどの他の(フッ素化されていない)ポリマーから調製された非膜フィルター構造で作られた同等のフィルター製品と比較して、使用中又は試験中、抽出される線状炭化水素の量が大幅に少ない(例えば、20、40、50、70、又は80%の削減)ことを示す可能性がある。
【0069】
別の方法で考えると、液体流体がフィルターを通過するときに液体流体と接触するフィルターのすべての表面が過フッ素化材料のフッ素化物で作製されているように、特定の好ましいフィルター製品を構築することができる。これらの非膜フィルター構造には、必須及び任意選択的なコンポーネント、例えば、コア、ケージ、継ぎ目材料、膜の端にあるポリマー(例えば、熱可塑性)「積層フィルム」、膜の片面又は両面に延びるネットなどの膜支持材料、ポリマーエンドピース、並びにフローコントロールサーフェス、ガスケット、接着剤、シーラント、グロメット、インレット、アウトレット、ハウジングコンポーネントなど、フィルター構造の他のコンポーネントが含まれる。完全にフッ素化された非膜フィルター構造で作製されているフィルター、又はフィルターを通過する流体と接触するすべての場所にフッ素化された構造と表面とを含むフィルターは、「全Teflon」又は「全フルオロポリマー」フィルターと呼ばれることがある。これらのフィルターは、フルオロポリマー材料からなるか、又は本質的にそれからなる、例えば、パーフルオロポリマー材料からなるか、又は本質的に構成される非膜フィルター構造を有すると見なすことができる。本質的にフルオロポリマー材料又はパーフルオロポリマー材料からなる非膜フィルター構造を含むフィルター(又はフィルターコンポーネント)は、非メンブレンフィルター構造の総重量に基づいて、少なくとも98、99、又は99.5重量パーセントのフルオロポリマー又はパーフルオロポリマー材料(又はそれらの組み合わせ)、及び2、1、又は0.5重量パーセント以下の非フッ素化材料又は構造で作製されている非膜構造を含むフィルター(又はフィルターコンポーネント)である。
【0070】
特定の非膜フィルター構造は、好ましくは、熱処理可能(すなわち、「溶融処理可能」又は「熱可塑性」)であり、フィルターカートリッジ又はポリイミド膜のエッジがポッティング工程によって固定されるフィルターのエッジを含む。熱処理可能なフルオロポリマーは、ポリマー材料の軟化温度特性を超える温度に加熱されると、可逆的に軟化又は溶融して柔軟又は流動性になることができるフッ素化(例えば、部分フッ素化又は完全フッ素化(過フッ素化))ポリマーであり、軟化温度より低い温度に冷却されると再凝固する。好ましい熱処理可能なフルオロポリマーは、加熱されて可逆的に軟化又は溶融し、次いで冷却され、フルオロポリマーを実質的に分解することなく繰り返し再固化され得る。溶融加工可能なフルオロポリマーの具体例には、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)及びポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル))(PFA)が含まれる。
【0071】
ポリイミド膜のエッジをエンドピース(又は他の支持構造若しくはポッティングコンパウンド(例えば、接着剤))に固定することによってフィルター又はフィルターカートリッジを調製する有用で好ましい方法によれば、エンドピース(又は他の構造)は、摂氏200度以上の温度で軟化又は溶融する熱可塑性フルオロポリマーにすることができる。熱可塑性フルオロポリマーは、好ましくは、ポッティング工程中にポリイミド膜のエッジが取り付けられるエンドピースの材料であり得る。代替的又は追加的に、しかし必ずしもではないが、熱可塑性ポッティングコンパウンド(ここに記載のフルオロポリマーであり得る)などの追加の熱可塑性材料もまた、エッジとエンドピースとの間に配置され得る。しかしながら、特定の現在有用な実施形態によれば、熱可塑性ポッティングコンパウンドは必要ではなく、特に除外され得る。
【0072】
ここで
図1Aを参照すると、フィルターコンポーネントの一部として使用するためのプリーツが形成されたシートスタイルの膜の形態の、ここに記載のろ過膜の単一の非限定的な例が示されている。フィルターコンポーネント10は、ここに記載されているようなポリイミドろ過膜12を含む。ろ過膜12の2つの対向する主表面のそれぞれに対して配置されているのは、膜支持材料14(支持片)であり、これは、好ましくは、フルオロポリマーメッシュ又はネット材料(例えば、PFAなどのパーフルオロポリマー材料)である。膜12及び支持材料14の対向するエッジに沿って、組み合わされた層の2つの対向するプリーツが形成された端のそれぞれにおいて、任意選択的に、別個の層のエッジを一緒に保持するために端に沿って配置される量の積層フィルム(図示せず)であり得る。積層フィルムは、フルオロポリマー、好ましくは溶融加工可能なフルオロポリマー材料(例えば、パーフルオロ-エチレン-プロピレンポリマー(FEP)、PFAなど)で作製することができる。
【0073】
図1B及び
図1Cを参照すると、これらは、ろ過膜12及び長手方向にプリーツ20を含むプリーツが形成された円筒体を形成するように処理された支持材料14で作製されたプリーツが形成られた多層円筒形コンポーネント10を含むフィルターコンポーネント30の断面端面図(拡大
図1C)を示す。プリーツ20が形成された後、多層フィルム構造の対向する長手方向(プリーツなし)エッジが一緒にされてプリーツが形成された円筒体を形成し、継ぎ目材料(図示せず)を使用して一緒に接着され、これは、フッ素化接着剤又はポリマーなどの溶融加工可能なフルオロポリマー材料、例えば、PFAなどの溶融加工可能なパーフルオロポリマー材料であり得る。
【0074】
図1Cは、プリーツが形成された多層円筒形コンポーネント10、ケージ18、コア15、及び2つの対向する熱可塑性フッ素化エンドピース(図示せず)の製品であるフィルターコンポーネント30を示している(
図1Dを参照)。ケージ18は、好ましくは、PFAなどのフルオロポリマー材料であり得る。コア15はまた、好ましくは、PFAなどのフルオロポリマー材料であり得る。
【0075】
図1Dは、ケージ18又はコア15のないフィルターコンポーネント30の側面斜視図を示しており、ろ過膜12及び支持材料14で作製されたプリーツが形成された多層円筒形コンポーネント10のみを含み、ポッティング工程によってエンドピース22(サポートピース)に取り付けられた1つのプリーツが形成されたエッジを備えている。エンドピース22は、好ましくは、溶融加工可能なフルオロポリマー材料(例えば、PFAなどの溶融加工可能なパーフルオロポリマー材料)で作製することができる。プリーツが形成された多層円筒形コンポーネント10のプリーツが形成されたエッジをエンドピース22にポッティングする工程は、円筒形コンポーネント10及びエンドピース22を、エンドピース22の溶融加工可能なフルオロポリマー材料、及び任意選択的な積層フィルム16(これも溶融加工可能なフルオロポリマー材料で作製されている)を、反対側のプリーツが形成された端で軟化させる温度に加熱することと、プリーツが形成された端をエンドピース22の軟化又は溶融した表面に押し込むこととを含む。加熱温度、接触圧力、及びポッティング工程の時間は、溶融加工可能なフルオロポリマー材料の軟化又は溶融、及び円筒形コンポーネント10のプリーツが形成された端におけるエッジに対するフルオロポリマー材料の流れを可能にするのに十分であり得、これは、流体(例えば、液体)がエッジとエンドピース22の隣接する表面との間のエッジの周りを通過することを可能にしない、エッジに沿った「液密」シールを生成するために、すなわち、エンドピース22の表面に熱的に結合されたプリーツが形成された端の位置に液密(特に液密)シールを生成するために、ろ過膜12のエッジ全体が溶融処理可能なフルオロポリマーで覆われるか又は浸透されるようにするのに十分である。
【0076】
依然として
図1Dを参照すると、ろ過膜12をフィルターコンポーネント又はフィルターに変換する他の工程は、例えば、ポッティング工程の前に、プリーツが形成された円筒形コンポーネント10の内部開口部24に円筒形コア(例えば、15、図示せず)を、及びプリーツが形成された円筒形コンポーネント10の外側について円筒形ケージ(例えば、18、図示せず)を配置することを含む。
【0077】
さらに別の追加の工程は、第2のエンドピース(図示せず)を、
図1Dのプリーツが形成された円筒形コンポーネント30の第2のプリーツが形成された端に熱的に結合することであり得る。第2のエンドピースはまた、フッ素化熱可塑性ポリマーであり得る。得られたプリーツが形成された円筒形コンポーネントは、熱可塑性フルオロポリマーのエンドピースにポッティングによって固定された2つのプリーツが形成された端を有し、対向する液密シールを形成し、次に、任意選択的なコア及びケージピースを、入口及び出口を含み、入口でフィルターを出る前に入口に入る流体の全量が必然的にろ過膜12を通過しなければならないように構成されているフィルターハウジングに配置することができる。
【0078】
1つの有用な一連の工程によれば、記載されているろ過膜、及び任意選択的なフルオロポリマー支持層を最初に処理して、熱可塑性フルオロポリマーFEPを積層フィルムとして使用して、材料のシートの2つの対向するエッジを熱ラミネートすることができる。次に、そのろ過膜と、熱ラミネートされたエッジを備えた任意選択的な支持層(又は複数の層)にプリーツを形成し、プリーツが形成された膜をプリーツが形成されていないエッジに沿って継ぎ合わせて、FEPなどの熱可塑性フルオロポリマーを使用して円筒形の「プリーツパック」にし、残りの2つの(プリーツのない)エッジを接続する。熱可塑性フルオロポリマー(例えば、PFA)の円筒形コア構造をプリーツパックの中央に挿入し、プリーツパックを円筒形のフルオロポリマー(例えば、PFA)ケージに挿入する。このアセンブリ(又は「カートリッジ」)は、プリーツが形成された円筒体の2つの対向するプリーツが形成された端のそれぞれに1つのエンドピースを熱結合することにより、2つの熱可塑性フルオロポリマー(例えば、PFA)のエンドピース(又は「パック」)に熱結合する準備ができている。熱可塑性フルオロポリマーのエンドピースとプリーツが形成された円筒体の反対側のプリーツが形成された端(エッジ)の積層フィルムは、発熱体に5分間(例えば、3~7分間)さらすことによって柔らかくなり、5分後、カートリッジは柔らかくなったエンドピース中に下げられ、ポッティング工程が完了する。
【0079】
ポリイミド膜を含む記載されたカートリッジは、フィルター製品を形成するためにフィルターハウジングに含まれ得る。フィルターハウジングは、任意の有用で所望のサイズ、形状、及び材料であり得、好ましくは、ポリ(テトラフルオロエチレン-コパーフルオロ(アルキルビニルエーテル))、TEFLON(とうろく商標)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロメチルアルコキシ(MFA)、又は別の適切なフルオロポリマー(例えば、パーフルオロポリマー)などのフッ素化ポリマーであり得る。
【0080】
膜は、ろ過システムで使用されるフィルターハウジング又はフィルターカートリッジなどのより大きなフィルター構造内に含めることができる。ろ過システムは、例えば、フィルター又はフィルターカートリッジの一部として、膜を液体化学物質の流路に配置して、液体化学物質の流れの少なくとも一部を膜を通過させ、その結果、膜が液体化学物質から不純物又は汚染物質の量を除去する。フィルター又はフィルターカートリッジの構造は、フィルター内の膜を支持し、流体がフィルター入口から膜を通ってフィルター出口を通って流れるようにし、それにより、フィルターを通過するときに膜を通過する、様々な追加の材料及び構造(例えば、非膜フィルター構造)のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0081】
図2は、完全にフルオロポリマーで作製されている非膜フィルター構造を含むフィルターアセンブリ内に、本記載のポリイミド膜を含む流体分離装置又は「フィルター」の例を断面図で示している。流体分離装置(フィルター)200は、内部にポリイミド膜12を含むハウジング210を含む。膜12は、2つの対向するプリーツが形成された端のそれぞれに配置された2つの対向するエッジを含む。各プリーツが形成されたエッジは、熱可塑性フルオロポリマーエンドピース220a(上部エンドピース)及び220b(下部エンドピース)に熱結合されて、プリーツが形成された端のエッジと各平らなエンドピース220a、220bの表面との間に液密シールを形成する。膜12のプリーツが形成された端における熱的に結合されたエッジ、すなわち、端のプリーツが形成された端のエッジの平らなエンドピース220a、220bへの熱的に結合された接続は、膜12のプリーツが形成された端とエンドピース220a又は220bとの間を液体が通過(漏れ)することを可能にしない。したがって、熱的に結合された膜12の端と平らなエンドピース220a、220bとの間の各接続は、「流体密」である。
【0082】
図のフィルター200の非膜フィルター構造のための好ましい構築材料は、ネットサポートとしてのPFA(パーフルオロアルコキシポリマー)(
図1Aの14、
図2には示されていない。);ハウジング210、コア15、ケージ18、トップキャップ(トップエンドピース)220a、及びボトムキャップ(ボトムエンドピース)220bのためのPFA;及び膜12をネットサポート14(図示せず)に接続するエッジ積層フィルムとしてのFEP(パーフルオロエチレン-プロピレンポリマー)を含むフィルターである。ポッティング工程には接着剤、例えばポッティングコンパウンドは必要なく、ポッティングコンパウンドは好ましくは構造から除外され得る。非膜フィルター構造は、完全に過フッ素化ポリマーで構成することができ、流体(ポリイミド膜を除く)と接触する入口201と出口206との間の流路のすべての表面は、過フッ素化材料である。
【0083】
使用中、液体供給物は、開口部201でハウジングに入り、ハウジング内の膜12の第1の側に導入される。膜12は、ハウジング内の空間を第1の体積203a及び第2の体積203bに分離する。入口201を通って体積203aに導入された液体「供給物」は、膜12に接触して通過し、汚染物質又は不純物が膜12によって除去された後の元の供給物である「透過物」として体積203bに入る。透過液は、出口206を通って容積203bを出る。
【0084】
ここに記載のろ過膜、又はろ過膜を含むフィルター若しくはフィルターコンポーネントは、液体化学物質から不要な物質を精製又は除去するためのろ過方法において有用であり得る。液体化学物質は、様々な組成のいずれかであり得、そして、あらゆる用途、あらゆる工業的又は商業的用途に有用又は使用される液体化学物質であり得る。説明されているフィルターの特定の例は、半導体又はマイクロエレクトロニクス製造用途、例えば、半導体製造又は処理のためのフォトリソグラフィーの方法で使用される液体溶媒又は他のプロセス溶液(例えば、液体フォトレジスト溶液)をろ過するため、ウェットエッチング又は洗浄工程、スピンオングラス(SOG)を形成する方法、裏面反射防止コーティング(BARC)法などでの使用又は有用な液体化学物質を精製するために使用できる。
【0085】
流体は、半導体フォトリソグラフィーの方法で使用されるときに非常に高レベルの純度を示すことが必要とされる任意の流体、例えば、溶媒であり得、非常に低レベルの溶存金属、及び非常に低レベルの浮遊粒子又はその他の不純物若しくは汚染物質を含む。記載されているようにろ過膜を使用してろ過できる溶媒のいくつかの特定の非限定的な例には、n-ブチルアセテート(nBA)、イソプロピルアルコール(IPA)、2-エトキシエチルアセテート(2EEA)、キシレン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、ガンマ-ブチロラクトン、ヘキサメチルジシラザン、メチル-2-ヒドロキシイソブチレート、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、n-ブチルアセテート、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソアミルアセテート、水酸化テトラエチルアンモニウム(TMAH)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、2-ヘプタノン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が含まれる。
【実施例】
【0086】
図3は、2つの異なるタイプのフィルターハウジング(PEハウジング(比較)とPFAハウジング(発明))を使用して作製された2つのフィルター製品からの線状炭化水素抽出に関連する性能データを示している。フィルターPFAの例は、説明されているポリイミド膜と、完全にPFAで作製された非膜フィルター構造を使用して作製されている。比較例フィルターPEは、同じポリイミド膜とポリエチレン製の非膜フィルター構造を使用して作製されている。
図3の表のデータは、PFA非膜フィルター構造を有するPFAフィルターが、TOK Americaから入手可能なOK73シンナー、シクロヘキサノン(CHN)、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)を使用して、実質的に低レベルの炭化水素浸出を示すことを示している。
【0087】
線状炭化水素抽出の試験は、各フィルター装置に各溶媒を充填し、室温で放置し、24時間後にフィルター装置から溶媒を収集し、抽出した線状炭化水素をGC(ガスクロマトグラフィー)で測定することによって行った。フィルター装置に各溶媒を再度充填し、次に摂氏40度で24時間放置した。溶媒中の線状炭化水素をGCで測定した。
【0088】
図4Aは、2つの異なるタイプのフィルターハウジングを使用して作製された2つのフィルター製品からの有機抽出物に関連する性能データを示している。PEハウジング(比較)及びPFAハウジング(発明)。フィルターPFAの例は、説明されているポリイミド膜と、完全にPFAで作製された非膜フィルター構造を使用して作製されている。比較例フィルターPEは、同じポリイミド膜とポリエチレン製の非膜フィルター構造を使用して作製されている。
図4Aの表のデータは、PFA非膜フィルター構造を有するPFAフィルターが、実質的により低いレベルの炭化水素浸出を示すことを示している。
【0089】
線状炭化水素抽出の試験は、各フィルター装置にPGMEとPGMEAの組み合わせを充填し、室温で放置し、24時間後にフィルター装置から溶媒を収集し、次に抽出された線状炭化水素をGC(ガスクロマトグラフィー)で測定することによって実行され。
【0090】
図4Bは、PEハウジング(比較)とPFAハウジング(発明)の2つの異なるタイプのフィルターハウジングを使用して製造された2つのフィルター製品を試験することによる金属抽出物に関連する性能データを示している。フィルターPFAの例は、説明されているポリイミド膜と、完全にPFAで作製された非膜フィルター構造を使用して作製されている。比較例フィルターPEは、同じポリイミド膜とポリエチレン製の非膜フィルター構造を使用して作製されている。
図3の表のデータは、PFA非膜フィルター構造を有するPFAフィルターが、実質的に低いレベルの炭化水素浸出を示すことを示している。
【0091】
金属抽出物抽出の試験は、PGMEとPGMEAを組み合わせた各フィルター装置によって、室温で放置し、24時間後にフィルター装置から溶媒を収集し、次にICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)を使用して抽出された金属を測定することによって実行された。以下の表1に結果を示す。
【0092】
【0093】
図5は、4つのフィルター製品を比較することによる粒子除去効率(粒子保持力)に関連する性能スデータを示している。ポリイミドフィルター(発明)並びにフィルター1、2、及び3(比較)。実施例1(ポリイミドフィルター)は、記載されたようにポリイミド膜を使用して作製され、非膜フィルター構造は完全にPFAで作製されている。比較例フィルター1、2、及び3は、PTFE膜と完全にPFAで作製された非膜フィルター構造を使用して作製されている。
【0094】
図5の「粒子保持力」又は「被覆率」は、流体の流れの流体経路に配置された膜によって流体の流れから除去できる粒子の数のパーセンテージを指す。サンプルフィルター膜ディスクの粒子保持力は、十分な量の、公称直径0.03ミクロンの8ppmポリスチレン粒子(Duke Scientific G25Bから入手可能)を含む、7mL/分の一定流量で膜を通過し、透過液を収集するのに十分な量の0.1%TritonX-100の水溶液を通過させることによって測定することができる。透過液中のポリスチレン粒子の濃度は、透過液の吸光度から計算できる。次に、粒子の保持力は次の式を使用して計算される:
【0095】
【0096】
1%の単分子層被覆率を達成するために必要な粒子の数(#)は、次の式から計算できる。
【0097】
【0098】
式中、
a=有効な膜表面積
dp=粒子の直径
【0099】
ここで使用される「公称直径」は、光子相関分光法(PCS)、レーザー回折、あるいは光学又はSEM顕微鏡法によって決定される粒子の直径である。通常、計算された直径、又は公称直径は、粒子の投影画像と同じ投影面積を有する球の直径として表される。PCS、レーザー回折及び光学顕微鏡技術は当技術分野でよく知られている。
【0100】
第1の態様では、フィルターコンポーネントは、ポリイミドポリマーを含み、エッジを有する多孔質ろ過膜を含み;サポートピースは、熱可塑性フルオロポリマーを含み、エッジはサポートピースに熱的に結合され、エッジとサポートピースとの間に液密シールを提供する。
【0101】
第1の態様による第2の態様では、熱可塑性フルオロポリマーが軟化するのに十分な時間、ろ過膜及び支持体を少なくとも摂氏300度の温度にさらすことによって、エッジが支持体に熱的に結合される。
【0102】
第1又は第2の態様による第3の態様では、ポリイミドポリマーが5mm当たり少なくとも1000mNの引張強度(機械方向)及び5mm当たり少なくとも1000mNの引張強度(交差方向)を有する。
【0103】
先行する態様のいずれかによる第4の態様では、ろ過膜が10から200ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0104】
先行するいずれかの態様による第5の態様では、ろ過膜は、摂氏25度の温度でエトキシ-ノナフルオロブタン(HFE-7200)を使用して測定された1平方インチあたり10~300ポンドの範囲のバブルポイント、摂氏21度で測定された500ミリリットル当たり20,000秒未満のIPAフロー時間、又はその両方を示す。
【0105】
先行するいずれかの態様による第6の態様では、多孔質膜が少なくとも90パーセントのポリイミドポリマーを含む。
【0106】
先行するいずれかの態様による第7の態様では、熱可塑性フルオロポリマーは、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-co-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、及びポリ(テトラフルオロエチレン-co-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル))(FPA)からなるグループから選択されます。
【0107】
先行するいずれかの態様による第8の態様では、ろ過膜はシート又はプリーツが形成されたシートである。
【0108】
第9の態様では、フィルターは、先行するいずれかの態様のフィルターコンポーネントを含み、フィルターは、ろ過膜を取り囲むフルオロポリマーハウジング、流体がハウジングに流入することを可能にする入口、及び流体が膜を通過した後、流体がハウジングから流出することを可能にする出口を含む。
【0109】
第9の態様による第10の態様は、入口と出口との間を流れる流体が接触する表面によって画定される流路を含み、流路のすべての表面は、フルオロポリマー又はろ過膜で作製されている。
【0110】
第11の態様、第9又は第10の態様のフィルターを使用する方法において、該方法は、流体をろ過膜に通すことを含む。
【0111】
第11の態様による第12の態様では、流体が、n-ブチルアセテート(nBA)、イソプロピルアルコール(IPA)、2-エトキシエチルアセテート(2EEA)、キシレン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソアミルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME、若しくは(2-メトキシ-1-メチルエチルアセテート))、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)、NMP(1-メチル-2-ピロリドン)、ガンマ-ブチルラクトン、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル、及びトルエンからなる群から選択される溶媒を含む。
【0112】
第11の態様による第13の態様では、流体が、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される溶媒を含み、フィルターは、ポリイミド膜及びポリエチレンハウジングを含む同等のフィルターと比較して、低減された量の炭化水素の浸出量を示す。
【0113】
第13の態様による第14の態様では、フィルターは、ポリイミド膜とポリエチレンハウジングとを含む同等のフィルターと比較して、炭化水素の浸出において少なくとも50%減少を示す。
【0114】
第15の態様では、熱可塑性フルオロポリマーと接触する多孔質ろ過膜を含むフィルターコンポーネントを調製する方法であり、多孔質ろ過膜は、ポリイミドポリマーを含み、エッジを有し、方法は、熱可塑性フルオロポリマーを加熱して、熱可塑性フルオロポリマーを軟化させることを含む。
【0115】
第15の態様による第16の態様は、熱可塑性フルオロポリマーを軟化するのに十分な時間、少なくとも摂氏400度の温度に熱可塑性フルオロポリマーを加熱することをさらに含む。
【0116】
第15又は第16の態様による第17の態様は、熱可塑性フルオロポリマーはエンドピースであり、方法は、ろ過膜及び熱可塑性フルオロポリマーを、熱可塑性フルオロポリマーを軟化させるのに十分な時間、少なくとも摂氏400度の温度にさらすことと、ろ過膜の端を軟化した熱可塑性フルオロポリマーに接触させることと、次に、熱可塑性フルオロポリマーの温度を下げて、エッジとエンドピースとの間に液密シールを提供することとを含む。
【0117】
第15~第17のいずれか一つの態様による第19の態様では、熱可塑性フルオロポリマーは、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、及びポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル))(FPA)からなる群から選択される。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドポリマーを含み、エッジを有する多孔質ろ過膜と;
熱可塑性フルオロポリマーを含む支持片と
を含み、
エッジは支持片に熱的に結合されて、エッジと支持片との間に液密シールを提供する、フィルターコンポーネント。
【請求項2】
ポリイミドポリマーが、5mm当たり少なくとも1000mNの引張強度(機械方向)及び5mm当たり少なくとも1000mNの引張強度(交差方向)を有する、請求項1に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項3】
ろ過膜が、
摂氏25度の温度でエトキシ-ノナフルオロブタン(HFE-7200)を使用して測定した、1平方インチ当たり10~300ポンドの範囲のバブルポイント、
摂氏21度で測定された500ミリリットル当たり20,000秒未満のIPAフロー時間、又は
両方を示す、請求項1に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項4】
多孔質膜が、少なくとも90パーセントのポリイミドポリマーを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項5】
熱可塑性フルオロポリマーが、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、及びポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル))(FPA)からなる群から選択される、請求項1から
3のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント。
【請求項6】
請求項1から
3のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネントを含むフィルターであって、
ろ過膜を取り囲むフルオロポリマーハウジングと、
流体がハウジング中に流入することを可能にする入口と、
流体が膜を通過した後に、流体がハウジングから流出することを可能にする出口と
を含む、フィルター。
【請求項7】
流体をろ過膜に通過させることを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載のフィルターコンポーネント又は請求項
6に記載のフィルターを使用する方法。
【請求項8】
流体が、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される溶媒を含み、
フィルターが、ポリイミド膜とポリエチレンハウジングを含む同等のフィルターと比較して、低減された炭化水素浸出量を示す、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
熱可塑性フルオロポリマーと接触する多孔質ろ過膜を含むフィルターコンポーネントを調製する方法であって、多孔質ろ過膜は、ポリイミドポリマーを含み、エッジを有し、方法が、熱可塑性フルオロポリマーを加熱して、熱可塑性フルオロポリマーを軟化させることを含む方法。
【請求項10】
熱可塑性フルオロポリマーが軟化するのに十分な時間、少なくとも摂氏400度の温度に熱可塑性フルオロポリマーを加熱することを含む、請求項
9に記載の方法。
【国際調査報告】