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特表2022-522226高ステップカバレッジのタングステン堆積
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】高ステップカバレッジのタングステン堆積
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20220407BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20220407BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/285 C
H01L21/90 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559713
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 US2020027107
(87)【国際公開番号】W WO2020210260
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/832,291
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バウズ・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ツン-ハン
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラシェカー・アナンド
(72)【発明者】
【氏名】チャン・シン
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
5F033
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA06
4K030AA07
4K030AA12
4K030AA17
4K030BA20
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA03
4K030EA03
4K030EA11
4K030FA10
4K030GA02
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA05
4K030JA06
4K030JA10
4K030KA41
4K030LA15
4M104AA01
4M104BB04
4M104BB16
4M104BB18
4M104DD43
4M104DD44
4M104DD45
5F033JJ07
5F033JJ19
5F033JJ20
5F033PP06
5F033XX04
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】非常に優れたステップカバレッジを実現するタングステン核生成層を堆積する方法が提供される。この方法は、水素(H2)およびホウ素含有還元剤を並行に流す間の、タングステン含有前駆体およびホウ素含有還元剤の交互パルスのシーケンスを含む。H2流は、タングステン含有前駆体流よりも前に停止される。H2をタングステン含有前駆体流とではなくホウ素含有還元剤と並行して流すことにより、寄生CVD部品が減少し、より自己抑制的なプロセスがもたらされる。これは次に、核生成層のステップカバレッジおよび共形性を向上させる。関連装置も提供されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
上面、側壁、および底部に開口を有するフィーチャを備える基板をチャンバに提供する工程と、
前記フィーチャにタングステン核生成層を堆積する工程であって、
前記チャンバにホウ素含有還元剤パルスを流し、前記ホウ素含有還元剤は、前記フィーチャ側壁およびフィーチャ底部に吸着することと、
前記チャンバをパージすることと、
前記吸着したホウ素含有還元剤と反応させるために、前記チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流すことと、
前記チャンバをパージすること、の複数サイクルを実施することにより堆積する工程と、を含み、
水素(H2)は、前記ホウ素含有還元剤パルスの間に流され、前記タングステン含有前駆体パルスの間は流されず、H2は、前記ホウ素含有還元剤の熱分解を抑制する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記タングステン核生成層は、少なくとも10オングストロームの厚さであり、前記フィーチャ全体のステップカバレッジは、少なくとも90%であり、ステップカバレッジは、前記上面の前記タングステン核生成層の厚さに対する、前記フィーチャの任意の地点における前記タングステン核生成層の厚さの比率である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記核生成層を堆積する工程は、さらに、前記チャンバにシランパルスを流し、前記チャンバをパージし、前記チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流し、前記チャンバをパージすること、の少なくとも1サイクルを含み、
水素は、前記タングステン含有前駆体パルスの間は流されない、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
水素は、前記シランパルスの間は流されない、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、
水素は、前記シランパルスの間に流される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記タングステン核生成層は、10オングストロームから50オングストロームの厚さである、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれに記載の方法であって、
前記基板の温度は、350℃未満である、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の方法であって、
前記基板の温度は、約250℃から300℃である、方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の方法であって、
水素は、前記ホウ素含有還元剤の分解副生成物と反応する、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法であって、
前記チャンバ内の前記ホウ素含有還元剤パルスは、不活性キャリアガスと共に前記チャンバに流される、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の方法であって、
前記ホウ素含有還元剤に対する前記H2の体積流量比は、20:1から400:1である、方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の方法であって、
前記ホウ素含有還元剤は、ジボランである、方法。
【請求項13】
方法であって、
上面、側壁、および底部に開口を有するフィーチャを備える基板をチャンバに提供する工程と、
前記フィーチャにタングステン核生成層を堆積する工程であって、
前記チャンバにホウ素含有還元剤パルスを流すことと、
前記チャンバをパージすることと、
前記チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流すことと、
前記チャンバをパージすること、の複数サイクルを実施することにより堆積する工程と、を含み、
水素は、前記ホウ素含有還元剤パルスの間に流され、前記タングステン含有前駆体パルスの間は流されない、方法。
【請求項14】
装置であって、
(a)基板を保持するように構成された台座を有する少なくとも1つのステーションを備える処理チャンバと、
(b)真空に結合するための少なくとも1つの出口と、
(c)1つ以上の処理ガス源に結合された1つ以上の処理ガス入口と、
(d)前記装置における動作を制御するためのコントローラであって、
前記チャンバにホウ素含有還元剤パルスを流すことと、
前記チャンバをパージすることと、
前記チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流すことと、
前記チャンバをパージすること、のための機械可読命令を含む、コントローラと、
を備え、
水素は、前記ホウ素含有還元剤パルスの間に流され、前記タングステン含有前駆体パルスの間は流されない、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記コントローラは、台座温度を350℃未満に維持するための命令を含む、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、
前記コントローラは、台座温度を175℃から300℃に維持するための命令を含む、装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記チャンバにシランパルスを流し、前記チャンバをパージし、前記チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流し、前記チャンバをパージするための命令を含み、水素は、前記タングステン含有前駆体パルスの間は流されない、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
<参照による援用>
本願の一部として、本明細書と同時にPCT出願書が提出される。同時に出願されたPCT出願書に認められる利益または優先権を本願が主張する各出願は、その全てが全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
化学蒸着(CVD)技術を用いるタングステン(W)膜堆積は、半導体製造プロセスの不可欠な部分である。例えばタングステン膜は、水平インタコネクトの形の低抵抗率電気接続部、隣り合う金属層間のビア、およびシリコン基板上の第1金属層とデバイスとの間の接点として用いられてよい。タングステン膜は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の埋め込みワードライン(bWL)構造、3D NANDのワードライン、およびロジックアプリケーションの形成を含む様々なメモリアプリケーションで用いられてもよい。しかし、継続するフィーチャサイズの縮小および膜厚の減少は、優れたステップカバレッジを有する膜の堆積を含む様々な課題をもたらす。
【0003】
本明細書に記載の背景技術は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、方法であって、上面、側壁、および底部に開口を有するフィーチャを備える基板をチャンバに提供する工程と、フィーチャ側壁およびフィーチャ底部に吸着するホウ素含有還元剤パルスをチャンバに流すことと、チャンバをパージすることと、吸着したホウ素含有還元剤と反応させるためにタングステン含有前駆体パルスをチャンバに流すことと、チャンバをパージすること、を複数サイクル実施することにより、フィーチャにタングステン核生成層を堆積する工程と、を含む方法に関し、水素(H2)は、ホウ素含有還元剤パルスの間に流され、タングステン含有前駆体パルスの間には流されず、H2はホウ素含有還元剤の熱分解を抑制する。
【0005】
いくつかの実施形態では、タングステン核生成層は、少なくとも10オングストロームの厚さであり、フィーチャ全体のステップカバレッジは、少なくとも90%である。ステップカバレッジは、フィーチャ上面のタングステン核生成層の厚さに対する、フィーチャの任意の地点におけるタングステン核生成層の厚さの比率である。
【0006】
いくつかの実施形態では、核生成層を堆積する工程はさらに、チャンバにシランパルスを流し、チャンバをパージし、チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流し、チャンバをパージする工程の少なくとも1サイクルを含み、水素は、タングステン含有前駆体パルスの間に流されない。
【0007】
いくつかの実施形態では、水素はシランパルスの間に流されない。いくつかの実施形態では、水素はシランパルスの間に流される。いくつかの実施形態では、タングステン核生成層は、10オングストロームから50オングストロームの厚さである。いくつかの実施形態では、基板温度は350℃未満である。いくつかの実施形態では、基板温度は約250℃から300℃である。いくつかの実施形態では、水素は、ホウ素含有還元剤の分解副生成物と反応する。
【0008】
いくつかの実施形態では、チャンバ内のホウ素含有還元剤パルスは、不活性キャリアガスと共にチャンバに流される。
【0009】
いくつかの実施形態では、H2対ホウ素含有還元剤の体積流量比は、20:1から400:1である。いくつかの実施形態では、ホウ素含有還元剤はジボランである。
【0010】
本開示の別の態様は、方法であって、上面、側壁、および底部に開口を有するフィーチャを備える基板をチャンバに提供する工程と、ホウ素含有還元剤パルスをチャンバに流すことと、チャンバをパージすることと、タングステン含有前駆体パルスをチャンバに流すことと、チャンバをパージすること、を複数サイクル実施することにより、フィーチャにタングステン核生成層を堆積する工程と、を含む方法に関し、水素は、ホウ素含有還元剤パルスの間に流され、タングステン含有前駆体パルスの間には流されない。
【0011】
いくつかの実施形態では、タングステン核生成層は少なくとも10オングストロームの厚さであり、フィーチャ全体のステップカバレッジは少なくとも90%である。ステップカバレッジは、フィーチャ上面のタングステン核生成層の厚さに対する、フィーチャの任意の地点におけるタングステン核生成層の厚さの比率である。
【0012】
いくつかの実施形態では、核生成層を堆積する工程はさらに、チャンバにシランパルスを流し、チャンバをパージし、チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流し、チャンバをパージすることの少なくとも1サイクルを含み、水素はタングステン含有前駆体パルスの間に流されない。
【0013】
いくつかの実施形態では、水素はシランパルスの間に流されない。いくつかの実施形態では、水素はシランパルスの間に流される。いくつかの実施形態では、タングステン核生成層は、10オングストロームから50オングストロームの厚さである。いくつかの実施形態では、基板温度は350℃未満である。いくつかの実施形態では、基板温度は約250℃から300℃である。いくつかの実施形態では、水素は、ホウ素含有還元剤の分解副生成物と反応する。
【0014】
いくつかの実施形態では、チャンバ内のホウ素含有還元剤パルスは、不活性キャリアガスと共にチャンバに流される。
【0015】
いくつかの実施形態では、H2対ホウ素含有還元剤の体積流量比は、20:1から400:1である。いくつかの実施形態では、ホウ素含有還元剤はジボランである。
【0016】
本開示の別の態様は、装置であって、(a)基板を保持するように構成された台座を有する少なくとも1つのステーションを備える処理チャンバと、(b)真空に結合するための少なくとも1つの出口と、(c)1つ以上の処理ガス源に結合された1つ以上の処理ガス入口と、(d)装置における動作を制御するためのコントローラであって、チャンバにホウ素含有還元剤パルスを流すことと、チャンバをパージすることと、チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流すことと、チャンバをパージすること、のための機械可読命令を含むコントローラと、を備える装置に関し、水素はホウ素含有還元剤パルスの間に流され、タングステン含有前駆体パルスの間には流されない。
【0017】
いくつかの実施形態では、コントローラは、台座温度を350℃未満に維持するための命令を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、台座温度を175℃から300℃に維持するための命令を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、チャンバにシランパルスを流し、チャンバをパージし、チャンバにタングステン含有前駆体パルスを流し、チャンバをパージするための命令を含み、水素はタングステン含有前駆体パルスの間には流されない。
【0018】
これらおよび他の態様は、図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本明細書に開示の実施形態によるタングステンが充填されうるフィーチャの例。
図1B】本明細書に開示の実施形態によるタングステンが充填されうるフィーチャの例。
図1C】本明細書に開示の実施形態によるタングステンが充填されうるフィーチャの例。
図1D】本明細書に開示の実施形態によるタングステンが充填されうるフィーチャの例。
図1E】本明細書に開示の実施形態によるタングステンが充填されうるフィーチャの例。
図1F】本明細書に開示の実施形態によるタングステンが充填されうるフィーチャの例。
図1G】本明細書に開示の実施形態によるタングステンが充填されうるフィーチャの例。
図1H】本明細書に開示の実施形態によるタングステンが充填されうるフィーチャの例。
【0020】
図2】ジボランを用いてタングステン核生成層を堆積するための方法の例示的なサイクルを示すタイミングシーケンス図。
【0021】
図3】フィーチャと共に形成されたタングステン核生成層を備える部分的に製造された半導体基板に提供された例示的フィーチャの概略図。
【0022】
図4】実施形態による堆積プロセスを行うのに適した例示的プロセスシステムの概略図。
【0023】
図5】実施形態による堆積プロセスを行うのに適するとして描かれた例示的堆積ステーションの概略図。
【0024】
図6】様々な実施形態により用いられうる例示的マニホールドシステムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、本発明の十分な理解を提供するためにいくつかの特定の詳細が記載される。本発明は、これら特定の詳細の一部または全てなしで実施されてよい。他の例では、本発明を必要以上に分かりにくくしないように、周知のプロセス動作は詳細には説明されていない。本発明は特定の実施形態と併せて説明されるが、本発明を実施形態に限定する意図はないことが理解されるだろう。
【0026】
本明細書には、タングステンによってフィーチャを充填する方法、ならびに関連するシステムおよび装置が説明される。適用の例は、ロジックおよびメモリコンタクト充填、DRAM埋め込みワードライン充填、垂直集積メモリゲート/ワードライン充填、およびシリコン貫通ビア(TSV)による3D集積を含む。本明細書に記載の方法は、タングステンビアなどの垂直フィーチャ、垂直NAND(VNAND)ワードラインなどの水平フィーチャを充填するのに用いることができる。この方法は、共形かつボトムアップまたはインサイドアウト充填に用いられてよい。
【0027】
様々な実施形態により、フィーチャは、狭いおよび/または凹型の開口、フィーチャ内のくびれ、および高アスペクト比のうちの1つ以上を特徴とすることができる。充填されうるフィーチャの例は、図1A~1Cに示されている。図1Aは、タングステンによって充填される垂直フィーチャ101の断面図の例を示す。フィーチャは、基板103にフィーチャ穴105を含みうる。基板は、上に誘電材料、導電材料、または半導電材料などの材料の1つ以上の層を有するウエハを含むシリコンウエハ(例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、450mmウエハ)であってよい。いくつかの実施形態では、フィーチャ穴105は、少なくとも約2:1、少なくとも約4:1、少なくとも約6:1以上のアスペクト比を有してよい。フィーチャ穴105は開口付近に、例えば約10nmから500nm(例えば、約25nmから300nm)の開口直径またはライン幅の寸法を有してもよい。フィーチャ穴105は、非充填フィーチャ、または単にフィーチャと呼ばれうる。フィーチャおよびあらゆるフィーチャは、フィーチャの長さを通じて伸びる軸118を部分的に特徴としてよく、垂直配向フィーチャは垂直軸を有し、水平配向フィーチャは水平軸を有する。
【0028】
図1Bは、凹状プロファイルを有するフィーチャ101の例を示す。凹状プロファイルとは、フィーチャの底部、閉端部、または内面からフィーチャ開口部に向かって狭まるプロファイルである。様々な実施形態により、このプロファイルは徐々に狭まってよい、および/または、フィーチャ開口部に張り出しを備えてよい。図1Bは後者の例を示し、下層113がフィーチャ穴105の側壁または内面に沿っている。下層113は、例えば、拡散バリア層、接着層、核生成層、これらの組み合わせ、または、他の適用可能な材料であってよい。下層113は、フィーチャ101の内側よりもフィーチャ101の開口付近でより厚くなるように張り出し115を形成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、フィーチャ内に1つ以上のくびれを有するフィーチャが充填されてよい。図1Cは、くびれを有する様々な充填フィーチャの例の図を示す。図1Cの例(a)、(b)、および(c)は各々、フィーチャ内の中間地点にくびれ109を備える。くびれ109は、例えば約15nm~20nmの幅であってよい。くびれは、従来の技術を用いるフィーチャへのタングステン堆積中にピンチオフを引き起こす可能性があり、フィーチャ部分が充填される前に、堆積したタングステンがくびれを越えてさらに堆積するのを防ぐことで、フィーチャ内にボイドが生じる。例(b)はさらに、フィーチャの開口にライナ/バリア張り出し115を備える。かかる張り出しも、ピンチオフ点になる可能性がある。例(c)は、例(b)の張り出し115よりもフィールド領域から遠くにくびれ112を備える。以下にさらに説明されるように、本明細書に記載の方法は、図1Cに描かれたようなボイドフリー充填を可能にする。
【0030】
3Dメモリ構造などの水平フィーチャも充填できる。図1Dは、くびれ151を備えるVNAND構造148におけるワードライン150の例を示す。いくつかの実施形態では、くびれは、VNANDまたは他の構造におけるピラーの存在が原因の可能性がある。例えば図1Eは、VNAND構造のピラー125の平面図を示し、図1Fは、ピラー125の断面概略図を示す。図1Eの矢印は堆積材料を表し、ピラー125は、領域127とガス入口または他の堆積源との間に配置されているため、隣り合うピラーは、領域127のボイドフリー充填における課題を提示するくびれを引き起こしうる。
【0031】
図1Gは、例えばピラーのくびれ151を含むVNANDまたは他の構造の水平フィーチャの図の別の例を提供する。図1Gの例は開放端であり、堆積する材料は、矢印で示されるように両側から横方向に入ることができる(図1Gの例は、構造の2Dレンダリング3Dフィーチャとして見ることができ、図1Gは充填される領域の断面図であり、図に示されるピラーのくびれは、断面図ではなく平面視のくびれを表すことに注意されたい)。いくつかの実施形態では、3D構造は、3次元(例えば、図1Fの例のX、Y、およびZ方向)に沿って伸びる充填領域を特徴とすることができ、1次元または2次元に沿って伸びる充填穴またはトレンチよりも、充填がより難しいことを表してよい。例えば、堆積ガスは多次元からフィーチャに入り込むため、3D構造の充填を制御することは難しい可能性がある。この方法は、図1Hに示されるように、タングステンワードラインへのインタコネクトを充填するのに用いられてもよく、インタコネクトフィーチャ170は、タングステンワードライン172に接続するためにタングステンが充填されてよい。水平配向フィーチャおよび垂直配向フィーチャのフィーチャ充填の例は、以下に説明される。これらの例は、ほとんどの場合において水平配向フィーチャおよび垂直配向フィーチャの両方に適用可能であることに注意されたい。
【0032】
フィーチャ内の材料の分配は、そのステップカバレッジを特徴としてよい。この説明の目的として、「ステップカバレッジ」は、2つの厚さの比率(例えば、フィーチャの内側の材料の厚さを開口付近の材料の厚さで割った比率)として定義される。この説明の目的として、「フィーチャの内側」という用語は、フィーチャの軸に沿ったフィーチャのおおよそ中間地点に位置するフィーチャの中間部分(例えば、フィーチャの開口から、または、開口から測定したフィーチャの軸に沿った距離の約75%から95%に位置するフィーチャの端部から測定した、フィーチャの深さに沿った距離の約25%から75%の領域、または特定の実施形態では、その距離の約40%から60%の領域)を表す。「フィーチャの開口付近」または「フィーチャ開口付近」という用語は、開口端または開口端の他の代表要素の25%以内、より具体的には10%以内に位置するフィーチャの上部を表す。100%を超えるステップカバレッジは、例えば、フィーチャの中間もしくは底部においてフィーチャの開口よりも広いフィーチャを充填することにより、または、開口もしくはその付近よりも厚い膜がフィーチャ内に堆積される場合に実現できる。
【0033】
本明細書に記載の方法は、バルク層の堆積より前にタングステン核生成層を堆積することを含む。核生成層は通常、その上へのその後のバルクタングステン含有材料の堆積を容易にする薄い共形層である。様々な実施形態により、核生成層は、タングステンもしくはタングステン含有材料によるフィーチャの充填より前に、および/または、フィーチャ充填のその後の時点で、堆積されてよい。
【0034】
特定の実施形態では、核生成層は、反応チャンバからの還元剤、任意のパージガス、およびタングステン含有前駆体のパルスの注入に続いて堆積される。このプロセスは、所望の厚さに達するまで周期的に繰り返される。核生成層の厚さは、核生成層堆積方法だけでなく所望品質のバルク堆積にも依存しうる。一般に核生成層の厚さは、高品質かつ均一なバルク堆積を支持するのに十分である。例は、5Å~100Åまたは12Å~50Åの範囲であってよい。
【0035】
ALD技術は、反応物が同時に導入される化学蒸着(CVD)技術とは異なる。特定の実施形態では、核生成層は、パルス核生成層(PNL)技術を用いて堆積される。PNL技術では、還元剤、任意のパージガス、およびタングステン含有前駆体のパルスは、連続して反応チャンバに注入され、反応チャンバからパージされる。このプロセスは、所望の厚さに達するまで周期的に繰り返される。PNLはALD技術を含み、広義には、反応のための反応物を半導体基板に連続して追加する周期的プロセスを具体化する。
【0036】
本明細書には、非常に優れたステップカバレッジを実現するタングステン核生成層の堆積方法が説明される。この方法は、水素(H2)をホウ素含有還元剤と並行して流しながら、タングステン含有前駆体およびホウ素含有還元剤の交互パルスのシーケンスを含む。H2流は、タングステン含有前駆体流より前に停止される。H2をタングステン含有前駆体流とでなくホウ素含有還元剤と並行して流すことにより、寄生CVD構成要素が減少し、結果としてより多くの自己抑制プロセスがもたらされる。これにより今度は、核生成層のステップカバレッジおよび共形性が向上する。
【0037】
ALDタングステンプロセスは、2つ以上の共反応物の連続供給によって可能になる2つの半反応を用いてよい。1つの共反応物は、表面を官能化し、基板へのタングステン含有種の吸着を可能にするよう機能する。連続するサイクルは、共形薄膜の堆積をもたらす。タングステン含有前駆体ドーズ中に、水素を背後で、またはキャリアガスとして流すことは、より高い堆積速度、より厚い核生成層、および共形性の減少をもたらす。これは、タングステン含有前駆体の一部が水素との寄生CVD反応によって消費されることによる。しかし、H2をB26と並行して流すことで、共形性が向上することが分かっている。これは、ALDサイクル中にB26が分解(例えば、B26→2/3B3+3H2)できるため、次にCVD反応に貢献する寄生反応をもたらすからである。寄生CVD貢献は、プロセスのステップカバレッジを低下させる。B26とH2とを並行して流すことにより、B26の分解は抑制される。いくらかのB26は分解するかもしれないが、H2の存在はその量を大幅に低減できる。さらにH2は、B26分解生成物または他の反応副生成物と反応して、ジボランを生成する(例えば、2B3+9H2→3B26)。よって、堆積への寄生CVD貢献は、低減または最小化される。これにより、薄膜堆積プロセスは純粋なALDプロセスに近づくように転じ、ステップカバレッジおよび共形性を向上させる。
【0038】
水素をジボランと共に流すことにより、ジボランのホウ素への分解ではなくジボランの化学吸着および物理吸着が促進される。これは、ホウ素犠牲層を用いる他の堆積プロセスとは異なる。
【0039】
基板温度は、約350℃未満(例えば、約175℃から300℃、または約250℃から300℃)であってよい。低温は、より少ない分解をもたらし、また堆積に対するより多くの制御をもたらす。これらの比較的低温であっても、ジボランは分解の影響を受けやすい。例示的なチャンバ圧は、10トル(1333.22パスカル)から60トル(7999.34パスカル)、または10トル(1333.22パスカル)から40トル(5332.89パスカル)である。いくつかの実施形態では、チャンバ圧は10トル(1333.22パスカル)よりも大きい。チャンバ圧は、例えばフッ素の取り込みを低減するために10トル(1333.22パスカル)未満であってもよい。
【0040】
例示的な成長速度は、2Å~20Å/サイクル、または4Å~12Å/サイクルであってよく、この成長速度は、寄生CVD反応を抑制し、ステップカバレッジを増加させるのにより多くの水素が用いられるにつれて低下する。
【0041】
水素:ジボランの体積流量比は、特定の構造について所望の効果を提供するように調整されてよい。高すぎると、ジボランの物理吸着または化学吸着は必要以上に遅くなる可能性がある。低すぎると、ジボランは分解し、上記の寄生CVD効果を引き起こす可能性がある。H2:B26の例示的範囲は、20:1~400:1である。
【0042】
いくつかの実施形態では、ジボラン(または、他の還元剤)は、不活性ガスと共に供給される。例えばB26は、20:1の窒素(N2):B26比でN2と混合されてよい。その例では、20:1~400:1のH2:B26を得るために、H2対ジボラン/不活性ガス混合物は1:1~20:1であってよい。窒素は、ジボランまたは他の還元剤と混合されうるガスの例である。還元剤と化学的に相溶性があり、還元剤と反応しない任意の不活性ガスが用いられてよく、別の例としてヘリウム(He)がある。
【0043】
図2は、ジボランを用いてタングステン核生成層を堆積するための方法の例示的サイクルを示すタイミングシーケンス図の例を示す。図2に示されるように、水素はジボランパルスの間にのみ流される。
【0044】
タングステン核生成層は、ジボランに加えて、シリコン系前駆体(例えば、シラン(SiH4))を用いて堆積されてよい。いくつかの実施形態では、シランパルスは、シーケンスの一部として追加される(例えば、B/W/B/W/S/W)(Bはジボランパルス、Wはタングステン含有前駆体パルス、Sはシリコン含有前駆体パルスを表し、間のパージは明記されていない)。かかる実施形態では、シランまたは他のシリコン含有前駆体は、水素なしでパルス化されてよい。
【0045】
タングステン含有前駆体は、フッ化タングステン(例えば、WF6)および塩化タングステン(例えば、WCl5およびWCl6)を含むホウ素含有還元剤によって低減されうるハロゲン化タングステンであってよい。ジボランが上述されたが、この方法は、ALD処理温度での分解に影響されやすい任意の還元剤によって実施されてよい。例は、ヘキサボランおよびトリボランを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は少なくとも90%のステップカバレッジをもたらす。図3は、フィーチャ301が形成されたタングステン核生成層305を備える、部分的に製造された半導体基板303の概略図を示す。この図は、フィーチャ深さの%(パーセント)として測定された、フィーチャの上部、フィーチャの底部、および様々な側壁深さを含む、異なる地点の層厚さ測定値も明記する。ステップカバレッジは、指定されない限り、上部位置に対する底部または側壁位置における厚さの比率として測定される。
【0047】
本明細書の説明は、ジボランを用いるタングステン核生成層堆積に言及しているが、共反応物による水素のパルス化は、共反応物が分解の影響を受けやすく、水素化物であるときに、他の材料および他の共反応物のALD堆積中の共形性を向上させるために実施されてよい。堆積されうる他の金属の例は、モリブデン(Mo)およびルテニウム(Ru)を含む。
【0048】
実験
タングステン核生成層のALDは、プロセスAおよびBを用いて、同一寸法の構造上のフィーチャ内で実施された。
【0049】
プロセスA:一定のH2流で複数サイクルの(B26-Arパージ-WF6-Arパージ)。
【0050】
プロセスB:B26パルス中のみ一定のH2流で複数サイクルの(B26-Arパージ-WF6-Arパージ)。
【0051】
ステップカバレッジは、上部水平面に堆積した膜に対して上部側壁、中間側壁、底部側壁において測定された。上部側壁は、フィーチャ深さの約5%の地点、中間側壁は約50%の地点、底部側壁は約95%の地点を意味する。
【表1】
【0052】
上の表から分かるように、B26パルス中のみH2を並流することで、大幅に向上したステップカバレッジがもたらされる。第3のプロセスは異なる構造上で用いられた:
プロセスC:H2なしで複数サイクルの(B26-Arパージ-WF6-Arパージ)。
【表2】
【0053】
核生成層堆積の後に、フィーチャはバルクタングステン層で充填されてよい。いくつかの実施形態では、タングステンバルク堆積は、フィーチャにバルク充填層を堆積するために還元剤およびタングステン含有前駆体が堆積チャンバに流される、CVDプロセスによって生じうる。いくつかの実施形態では、タングステンバルク堆積は、フィーチャにバルク充填層を堆積するために還元剤およびタングステン含有前駆体が堆積チャンバに順次導入される、ALDプロセスによって生じうる。CVDが用いられた場合、この動作は、所望量が堆積されるまで反応物を継続して流す工程を含みうる。特定の実施形態では、CVD動作は複数段階で実施されてよく、反応物の連続流および並行流の複数期間は、分流された1つ以上の反応物流の期間によって区切られる。さらに、フィーチャの充填中にタングステン成長の抑制および/またはエッチングが実施されてよい。
【0054】
タングステン含有前駆体として、WF6、WCl6、およびW(CO)6を含むがこれらに限定されない様々なタングステン含有ガスが用いられうる。特定の実施形態では、タングステン含有前駆体は、WF6などのハロゲン含有化合物である。特定の実施形態では、還元剤は水素ガスであるが、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、ヒドラジン(N24)、ジボラン(B26)、およびゲルマン(GeH4)を含む他の還元剤が用いられてよい。多くの実施形態では、CVDプロセスにおいて水素ガスが還元剤として用いられる。いくつかの他の実施形態では、分解してバルクタングステン層を形成できるタングステン前駆体が用いられうる。バルク堆積は、ALDプロセスを含む他の種類のプロセスを用いて生じてもよい。
【0055】
堆積は、特定のフィーチャプロファイルが実現するまで、および/または、特定量のタングステンが堆積するまで、様々な実施形態により続行してよい。いくつかの実施形態では、堆積時間および他の関連パラメータは、モデリングおよび/またはトライアンドエラーによって決定されてよい。例えば、ピンチオフまでタングステンがフィーチャ内に共形に堆積できるインサイドアウト充填プロセスの初期堆積では、フィーチャ寸法、タングステン厚さ、およびピンチオフを引き起こすだろう対応する堆積時間に基づいて簡単に決定されてよい。いくつかの実施形態では、処理チャンバは、堆積動作のエンドポイント検出のためのin-situ計測測定を実施するために、様々なセンサを備えてよい。In-situ計測の例は、堆積膜の厚さを決定するための光学顕微鏡法および蛍光X線分析法(XRF)を含む。
【0056】
本明細書に記載のタングステン膜は、用いられる特定の前駆体およびプロセスによっては、ある程度の量の他の化合物、ドーパント、および/または不純物(窒素、炭素、酸素、ホウ素、亜リン酸、硫黄、シリコン、ゲルマニウムなど)を含んでよい。膜中のタングステン含有量は、20~100(原子)%のタングステンであってよい。多くの実施形態では、膜はタングステンに富み、少なくとも50(原子)%のタングステン、または、少なくとも約60、75、90、もしくは99(原子)%ものタングステンを有する。いくつかの実施形態では、膜は、金属、またはタングステン元素(W)、および他のタングステン含有化合物(炭化タングステン(WC)、窒化タングステン(WN)など)の混合物であってよい。
【0057】
これらの材料のCVDおよびALD堆積は、任意の適した前駆体を用いることを含みうる。例えば、窒化タングステンのCVDおよびALD堆積は、ハロゲン含有化合物、およびハロゲンフリーのタングステン含有化合物、および窒素含有化合物を用いることを含みうる。
【0058】
装置
本開示の実施形態を実施するために、任意の適したチャンバが用いられてよい。堆積装置の例は、様々なシステム(例えば、カリフォルニア州フレモントのラム・リサーチ・コーポレーションから入手可能なALTUS(登録商標)およびALTUS(登録商標)Max、または様々な他の市販の処理システム)を含む。いくつかの実施形態では、原子層堆積(ALD)は、単一堆積チャンバ内に設置された2つ、5つ、またはそれ以上の堆積ステーションの1つである第1ステーションで実施されてよい。よって、例えばジボラン(B26)/水素(H2)並行流および六フッ化タングステン(WF6)は、基板表面で局所雰囲気を生成する個別のガス供給システムを用いて、第1ステーションにおいて半導体基板の表面に交互パルスで導入されてよい。タングステンバルク層堆積に別のステーションが用いられてよい。並行処理でタングステンを堆積するために、2つ以上のステーションが用いられてよい。あるいは、2つ以上のステーションで連続して動作を実施するために、ウエハはインデキシングされてよい。
【0059】
図4は、実施形態により堆積プロセスを行うのに適した処理システムの図である。システム400は、搬送モジュール403を備える。搬送モジュール403は、処理されている基板が様々なリアクタモジュール間を移動する時の基板の汚染リスクを最小限にするために、クリーンな加圧環境を提供する。搬送モジュール403には、様々な実施形態によりALDおよびCVDを実施できるマルチステーションリアクタ409が取り付けられている。マルチステーションリアクタ409は、開示の実施形態により動作を連続して実施できる複数のステーション411、413、415、および417を備えてよい。例えばマルチステーションリアクタ409は、様々な実施形態により、ステーション411が塩素含有タングステン前駆体またはフッ素含有前駆体を用いてタングステン核生成層堆積を実施し、ステーション413がALDタングステン堆積動作を実施するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、ステーション415もALDタングステン堆積動作を構築し、ステーション417はCVD動作を実施してよい。
【0060】
ステーションは、加熱台座または加熱基板支持体、および、1つ以上のガス入口またはシャワーヘッドまたは分散板を備えてよい。基板支持体502およびシャワーヘッド503を備える堆積ステーション500の例が図5に示されている。台座部分501にはヒータが設けられてよい。
【0061】
図4に戻ると、搬送モジュール403には、プラズマまたは化学的(非プラズマ)プレクリーニング、他の堆積動作、またはエッチング動作を実施できる、1つ以上の単一またはマルチステーションモジュール407が取り付けられてよい。モジュールは、例えば基板を堆積プロセスに向けて準備するために、様々な処理に用いられてもよい。システム400は、処理の前後にウエハが格納される1つ以上のウエハソースモジュール401を備えてもよい。大気搬送チャンバ419内の大気ロボット(図示せず)は、最初にウエハをソースモジュール401からロードロック421に取り出してよい。搬送モジュール403のウエハ搬送装置(一般に、ロボットアームユニット)は、ウエハをロードロック421から搬送モジュール403に取り付けられたモジュールに、およびそれらモジュール間で移動する。
【0062】
様々な実施形態では、システムコントローラ429は、堆積中のプロセス条件を制御するのに用いられる。コントローラ429は通常、1つ以上のメモリデバイスおよび1つ以上のプロセッサを備えるだろう。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタルの入出力接続、ステッパモータコントローラ基板などを備えてよい。
【0063】
コントローラ429は、堆積装置の全ての動作を制御してよい。システムコントローラ429は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧、チャンバ温度、ウエハ温度、高周波(RF)電力レベル、ウエハチャックまたは台座位置、および特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令のセットを含むシステム制御ソフトウェアを実行する。いくつかの実施形態では、コントローラ429に関連付けられたメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムが用いられてよい。
【0064】
通常、コントローラ429に関連付けられたユーザインタフェースがあるだろう。ユーザインタフェースは、表示画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィックソフトウェア画面、ならびにユーザ入力装置(ポインティング装置、キーボード、タッチ画面、マイクなど)を含んでよい。
【0065】
システム制御ロジックは、任意の適した方法で構成されてよい。一般にロジックは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて設計または構成できる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされてよい、またはソフトウェアとして提供されてよい。命令は、「プログラミング」によって提供されてよい。かかるプログラミングは、デジタル信号プロセッサにおけるハードコードされたロジック、特定用途向け集積回路、およびハードウェアとして実装された特定のアルゴリズムを有する他のデバイスを含む、任意の形のロジックを含むと理解される。プログラミングは、汎用プロセッサで実行されうるソフトウェアまたはファームウェアの命令も含むと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適したコンピュータ可読プログラミング言語でコード化されてよい。
【0066】
ゲルマニウム含有還元剤パルス、水素流、タングステン含有前駆体パルス、およびプロセスシーケンスの他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来型コンピュータ可読プログラミング言語(例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートラン、またはその他)で書き込むことができる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プログラムにおいて識別されたタスクを実行するためにプロセッサによって実行される。示されたように、プログラムコードもハードコードされてよい。
【0067】
コントローラパラメータは、例えば、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧、基板温度、およびチャンバ壁温度などのプロセス条件に関する。これらのパラメータは、レシピの形でユーザに提供され、ユーザインタフェースを用いて入力されてよい。
【0068】
プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ429のアナログおよび/またはデジタルの入力接続によって提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、堆積装置400のアナログおよびデジタルの出力接続に出力される。
【0069】
システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成されてよい。例えば、様々なチャンバ構成部品のサブルーチンまたは制御オブジェクトは、本開示の実施形態により堆積プロセスを実行するのに必要なチャンバ構成部品の動作を制御するように書き込まれてよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、基板位置決めコード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、コントローラ429は、上述の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理構成部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を備える半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてよい。これらの電子機器は「コントローラ」と呼ばれてよく、システムの様々な構成部品または副部品を制御してよい。コントローラ429は、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、いくつかのシステムにおける高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールに対するウエハ搬入出、ならびに/または、特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示されたあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0071】
概してコントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形式でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、コントローラ429は、システムと統合もしくは結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、またはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えばコントローラ429は、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にあってよい、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータはシステムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または実施の基準を調査して、現行の処理のパラメータを変更し、現行の処理に続く処理工程を設定し、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータの形の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが結合するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって、上述のようにコントローラは、例えば互いにネットワーク接続される1つ以上の別々のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的に向けて協働することとによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)設置され、協働してチャンバでのプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバ内の1つ以上の集積回路だろう。
【0073】
制限するのではなく、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、CVDチャンバまたはCVDモジュール、ALDチャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他の半導体処理システムを含んでよい。
【0074】
上記のようにコントローラは、ツールによって実施される処理工程に応じて、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通してよい。
【0075】
コントローラ429は、様々なプログラムを含んでよい。基板位置決めプログラムは、基板を台座またはチャック上に載せ、基板と他のチャンバ部品(ガス入口および/または目標物など)との間の空間を制御するのに用いられるチャンバ構成部品を制御するためのプログラムコードを含んでよい。処理ガス制御プログラムは、ガス組成、流量、パルス時間を制御し、必要に応じて、チャンバ内の圧力を安定させるために堆積前にチャンバにガスを流すためのコードを含んでよい。圧力制御プログラムは、例えばチャンバの排気システムのスロットル弁を調節することによって、チャンバ内の圧力を制御するためのコードを含んでよい。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するのに用いられる加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでよい。あるいはヒータ制御プログラムは、ウエハチャックへのヘリウムなどの伝熱ガスの供給を制御してよい。
【0076】
堆積中に監視されうるチャンバセンサの例は、マスフローコントローラ、圧力計などの圧力センサ、および台座またはチャックに設置された熱電対を含む。所望のプロセス条件を維持するために、これらのセンサからのデータと共に、適切にプログラムされたフィードバック制御アルゴリズムが用いられてよい。
【0077】
装置は、図6に概略的に示された様々なガス分配ラインにライン電荷を提供するガスマニホールドシステムを備えてよい。マニホールド604は、蓄電池(図示せず)を含みうるタングステン含有前駆体ガスのソース601からの入力(蓄電量とも呼ばれうる)を有する。マニホールド611は、水素(H2)のソース609およびジボラン含有混合物または他の還元ガス(図示せず)のソース610からの入力を有する。これらソースの両方は、蓄電池(図示せず)を含んでよい。マニホールド621は、同様に蓄電池を含みうるパージガスのソース619からの入力を有する。マニホールド604、611、および6521は、それぞれ弁付き分配ライン605、613、および625を通じて、堆積チャンバにタングステン含有前駆体ガス、共反応ガス、およびパージガスを提供する。ライン電荷を提供するために、すなわち分配ラインを加圧するために、様々な弁が開閉されてよい。例えば、分配ライン605を加圧するために、真空弁606は閉じられ、弁608は閉じられる。適した時間が経過した後、弁608は開かれ、並行流ガスがチャンバに供給される。ガスが適した期間供給された後、弁608は閉じられる。その後チャンバは、真空弁606を開くことにより真空にパージされうる。
【0078】
同様のプロセスは、還元ガスを供給するのに用いられうる。還元ガスを導入するために、例えば分配ライン613は、弁615を閉め、真空弁617を閉めることにより荷電される。弁615の開放は、チャンバへの還元ガスの供給を可能にする。
【0079】
同様に、パージガスを導入するために、分配ライン625は、弁627を閉じ、真空弁623を閉じることにより荷電される。弁627の開放は、チャンバへのアルゴンまたは他の不活性パージガスの供給を可能にする。
【0080】
ジボランまたは他の還元ガスは、プロセスの任意の時点で水素と混合でき、図6の配置に限定されない。例えば、保管された水素/ジボラン混合物が用いられてよい。あるいはそれは別のソースから調達されるが、チャンバへの供給前のある時点のプロセス中に混合されてよい、または、チャンバ内で生じる混合とは別にチャンバに供給されてよい。
【0081】
図6は、弁606、617、および623がそれぞれシステムをパージするために開くことができる真空ポンプも示す。様々な分配ラインによるガスの供給は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなどによって制御されるマスフローコントローラなどのコントローラによって制御され、コントローラは、流量、流入期間、およびプロセスのシーケンスがプログラムされている。
【0082】
上記のプロセスは、堆積中に弁およびマスフローコントローラ(MFC)が半導体基板に試薬のパルスを供給する正確なタイミングを必要としうることに注意されたい。これを可能にする1つの方法では、弁およびMFCのコマンドは、全てまたは一部の堆積シーケンスの全ての時間制約的なコマンドのための命令を含む情報の断続的なパケットで、埋め込みデジタル入出力コントローラ(IOC)に提供される。ラム・リサーチのALTUSシステムは、少なくとも1つのIOCシーケンスを提供する。IOCは、装置内(例えばプロセスモジュール内、または、プロセスモジュールからある程度離れて位置する独立型電力ラック上)の様々な地点に物理的に設置できる。各モジュールには複数のIOC(例えば、3個/モジュール)があってよい。シーケンスに含まれる実際の命令に対して、弁を制御し、MFCの流れ(全てのキャリアガスおよび反応ガスについて)を設定するための全てのコマンドは、単一IOCシーケンスに含まれてよい。これにより、全ての装置のタイミングが絶対的見地から厳密に制御され、相互にも関連することが確実になる。通常、任意の所定時間に行う複数のIOCシーケンスがある。これは、例えばステーション1~2でALD核生成層を堆積するために必要な全てのハードウェア構成要素について全てのタイミングが制御されたALDが、これらのステーションで行われることを可能にする。同じモジュールの他の堆積ステーションでバルク金属を堆積するために、第2シーケンスが同時に行われてよい。ステーション3~4への試薬の供給を制御する装置の相対的タイミングは、その装置群において重要だが、ステーション1~2におけるALDプロセスの相対的タイミングは、ステーション3~4の相対的タイミングからオフセットできる。IOCは、パケット化シーケンスで情報を変換し、デジタルまたはアナログのコマンド信号をMFC、または弁を制御する空気式ソレノイドバンクに直接提供する。
【0083】
タングステン含有前駆体ガスのパルスは、以下のように生成されてよい。最初にシステムは、MFCまたは他の流量制御装置が安定している期間に、真空ポンプにWF6を流す。これは、一例では約0.5~5秒間行われてよい。次にシステムは、真空弁606および堆積チャンバへの弁608の両方を閉じることにより、タングステンガス供給マニホールドを加圧する。これは、例えば堆積チャンバへの弁が開いたときに試薬の初期バーストをもたらすように、約0.1~5秒間行われてよい。これは、一例では弁508を0.1~10秒間開くことにより実現される。
【0084】
その後、タングステン含有ガスは、適したパージガスを用いて堆積チャンバからパージされる。上記と同様に、システムは、弁623および弁627を閉じることによりパージガス供給マニホールドを加圧してよい。蓄電池(図示せず)を加圧できるように、蓄電池への弁も閉じられる。これは、例えば堆積チャンバへの弁が開いたときに堆積チャンバから試薬を速やかに流すために、約0.1~5秒間行われてよい。堆積チャンバへの弁527が開いているときは、蓄電池の排出弁は、堆積チャンバへのパージガスの質量流量を増加させるために、同時にまたはそのすぐ後に開かれる。単パルス動作中に、加圧された同じ反応物またはパージガスを順次チャンバに流すために、複数の蓄電池が用いられてよい。これにより、全質量流量を増やすことができる。
【0085】
上述の内容は、単一チャンバ半導体処理ツールまたはマルチチャンバ半導体処理ツールにおける開示の実施形態の実施を説明している。本明細書に記載の装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、表示装置、LED、光発電パネルなどの製作または製造用のリソグラフィパターニングツールと併せて用いられてよい。通常、必ずしもではないが、かかるツール/プロセスは、共通の製作設備において一緒に用いられる、または行われるだろう。膜のリソグラフィパターニングは通常、(1)スピンオンまたはスプレイオンツールを用いてワークピース(すなわち、基板)にフォトレジストを塗布する工程、(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを用いてフォトレジストを硬化する工程、(3)ウエハステッパなどのツールによってフォトレジストを可視光またはUV光またはX線光に露光する工程、(4)ウェットベンチなどのツールを用いて、レジストを現像して選択的にレジストを除去し、それによりレジストをパターニングする工程、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて、下地膜またはワークピースにレジストパターンを転写する工程、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジスト剥離剤などのツールを用いてレジストを除去する工程、のいくつかまたは全てを含み、各工程は、いくつかの可能なツールによって提供される。
【0086】
前述の実施形態は、明確な理解のためにある程度詳細に説明されたが、特定の変更および修正が添付の特許請求の範囲内で行われてよいことは明らかだろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置を実施する多くの他の方法があることに注意されたい。従って、本実施形態は、制限的ではなく例示的とみなされるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定されるべきでない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】