(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-19
(54)【発明の名称】側壁洗浄によるイオンビームエッチング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8239 20060101AFI20220412BHJP
H01L 43/12 20060101ALI20220412BHJP
H01L 43/08 20060101ALI20220412BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220412BHJP
H01L 21/302 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L43/12
H01L43/08 Z
H01L21/302 101C
H01L21/302 201B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549483
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 US2020019927
(87)【国際公開番号】W WO2020176640
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リル・ソーステン
(72)【発明者】
【氏名】ベリー・ザサード・イヴァン・エル.
【テーマコード(参考)】
4M119
5F004
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA19
4M119BB01
4M119DD05
4M119DD06
4M119JJ12
4M119JJ13
5F004AA09
5F004BA11
5F004BA20
5F004BB22
5F004CA05
5F004DA00
5F004DA22
5F004DA23
5F004DB03
5F004DB07
5F004DB08
5F004DB13
5F004DB29
5F004EA19
5F092AA11
5F092AB06
5F092AC12
5F092BB04
5F092BB12
5F092BB22
5F092BB23
5F092BB36
5F092BB42
5F092BB43
5F092BC04
5F092BC12
5F092BC13
5F092CA09
5F092EA06
5F092GA05
(57)【要約】
【解決手段】パターニングされた磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)スタックは、基板上に配置された複数のMRAM層を貫通してメインエッチングを実施することによって形成され、メインエッチングは、イオンビームエッチング(IBE)の使用を含む。メインエッチングの後、ギャップフィル誘電体材料がパターニングされたMRAMスタック間の空間に堆積され、ギャップフィル誘電体材料は、下層の深さよりも上のエッチング深さまで選択的にエッチングされるか、あるいは形成される。ギャップフィル誘電体材料が形成された後、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に堆積されたギャップフィル誘電体材料および導電性材料の少なくとも一部は、IBEトリムエッチングを実施することによって除去される。
【選択図】
図6E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームエッチングの方法であって、
基板上に配置された複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)層を貫通してエッチングし、パターニングされたMRAMスタックを形成することであって、前記複数のMRAM層は、1つまたは複数の磁性層およびトンネルバリア層を含み、前記複数のMRAM層を貫通するエッチングは、少なくとも前記トンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチング(IBE)を含むことと、
前記パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を形成することと、
IBEトリムエッチングを実施し、前記パターニングされたMRAMスタックの側壁上に堆積された前記ギャップフィル誘電体材料および導電性材料の少なくとも一部を除去することと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ギャップフィル誘電体材料は、前記基板と前記複数のMRAM層との間に配置された下層の上に十分な深さまで形成され、それにより前記IBEトリムエッチングを実施しても前記下層に凹みが生じない、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記下層の上の前記十分な深さは、前記下層の上面から約1nm~約20nmの間である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記パターニングされたMRAMスタック間の空間に前記ギャップフィル誘電体材料を形成することは、
前記パターニングされたMRAMスタック間の前記空間に、および前記パターニングされたMRAMスタックの上に、前記ギャップフィル誘電体材料を堆積すること
を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記パターニングされたMRAMスタック間の空間に前記ギャップフィル誘電体材料を形成することは、
前記トンネルバリア層の深さよりも上のエッチング深さまで前記ギャップフィル誘電体材料を選択的にエッチングすること
をさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記パターニングされたMRAMスタックの上に堆積された前記ギャップフィル誘電体材料を平坦化すること
をさらに含む、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ギャップフィル誘電体材料は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、窒化ゲルマニウム、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記ギャップフィル誘電体材料は、窒化ケイ素および酸化ケイ素の一方または両方を含む、方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のMRAM層を貫通してエッチングし、前記ギャップフィル誘電体材料を形成し、前記IBEトリムエッチングを実施する動作は、動作の間に真空破壊を導入することなく実施される、方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数のMRAM層は、第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間にある前記トンネルバリア層と、前記第2の磁性層の下に配置された下層とを含み、前記下層は、誘電体材料を含み、前記トンネルバリア層は、非磁性絶縁材料を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記複数のMRAM層を貫通するエッチングは、前記下層を貫通するエッチングをせずに、前記第1の磁性層、前記トンネルバリア層、および前記第2の磁性層を貫通するイオンビームエッチングを含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記複数のMRAM層を貫通するエッチングは、前記第1の磁性層を貫通する反応性イオンエッチング(RIE)、および前記トンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチングを含む、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記複数のMRAM層を貫通するエッチングは、前記第1の磁性層、前記トンネルバリア層、および前記第2の磁性層を貫通するエッチングを含み、前記複数のMRAM層を貫通するエッチングは、前記下層上で停止される、方法。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
少なくとも前記トンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチングは、約200eV~約10,000eVのエネルギーを有する第1のイオンビームを前記基板に適用することを含み、IBEトリムエッチングを実施することは、約20eV~約400eVのエネルギーを有する第2のイオンビームを前記基板に適用することを含む、方法。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
IBEトリムエッチングを実施することは、前記複数のMRAM層の下に配置された下層を貫通するエッチングをせずに行われる、方法。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記導電性材料は、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、またはそれらの組み合わせを含み、前記パターニングされたMRAMスタックの前記側壁は、前記IBEトリムエッチングを実施した後、前記パターニングされたMRAMスタックの前記側壁上に堆積された前記導電性材料を実質的に含まない、
方法。
【請求項17】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記IBEトリムエッチングを実施した後、前記パターニングされたMRAMスタックの少なくとも前記側壁上にカプセル化材料を共形的に堆積すること
をさらに含む、方法。
【請求項18】
イオンビームエッチングを実施するための装置であって、
イオンビーム源チャンバと、
前記イオンビーム源チャンバに結合された処理チャンバと、
制御部と、を備え、
前記制御部は:
前記処理チャンバ内の基板上に複数のMRAM層を配置することであって、前記複数のMRAM層は、1つまたは複数の磁性層およびトンネルバリア層を含むこと、
前記基板上に配置された前記複数のMRAM層を貫通してエッチングし、パターニングされたMRAMスタックを形成することであって、前記複数のMRAM層を貫通する前記エッチングは、少なくとも前記トンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチング(IBE)を含むこと、
前記パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を形成すること、および
IBEトリムエッチングを実施し、前記パターニングされたMRAMスタックの側壁上に堆積された前記ギャップフィル誘電体材料および導電性材料の少なくとも一部を除去すること
を実施するための命令を提供するように構成されている、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、
前記ギャップフィル誘電体材料を形成するための命令を提供するように構成された前記制御部は、
前記パターニングされたMRAMスタック間の前記空間に、および前記パターニングされたMRAMスタックの上に、前記ギャップフィル誘電体材料を堆積すること
を実施するための命令を提供するように、さらに構成される、装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、
前記ギャップフィル誘電体材料を形成するための命令を提供するように構成された前記制御部は、
前記トンネルバリア層の深さよりも上のエッチング深さまで前記ギャップフィル誘電体材料を選択的にエッチングすること
を実施するための命令を提供するように、さらに構成される、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、
前記制御部は、
前記ギャップフィル誘電体材料を選択的にエッチングする前に、前記パターニングされたMRAMスタックの上に堆積された前記ギャップフィル誘電体材料を平坦化すること
を実施するための命令を提供するようにさらに構成される、装置。
【請求項22】
請求項18~21のいずれか一項に記載の装置であって、
前記ギャップフィル誘電体材料は、窒化ケイ素および酸化ケイ素の一方または両方を含む、装置。
【請求項23】
請求項18~21のいずれか一項に記載の装置であって、
少なくとも前記トンネルバリア層を貫通してイオンビームエッチングするための命令を提供するように構成された前記制御部は、約200eV~約10,000eVのエネルギーを有する第1のイオンビームを前記基板に適用するための命令を提供するようにさらに構成され、前記IBEトリムエッチングを実施するための命令を提供するように構成された前記制御部は、約20eV~約400eVのエネルギーを有する第2のイオンビームを前記基板に適用するようにさらに構成される、装置。
【請求項24】
請求項18~21のいずれか一項に記載の装置であって、
前記ギャップフィル誘電体材料は、前記基板と前記複数のMRAM層との間に配置された下層の上に十分な深さまで形成され、それにより前記IBEトリムエッチングを実施しても前記下層に凹みが生じない、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[参照による援用]
本出願の一部として、本明細書と同時にPCT出願願書が提出される。この同時出願されたPCT出願願書に明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、トンネル磁気抵抗(TMR)などの磁気抵抗効果を利用した不揮発性メモリである。MRAMは、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)と同程度の高い統合密度、およびダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)と同程度の高速性能を有する。MRAMスタックの材料は不揮発性が高く、反応性化学物質に敏感であるため、典型的には、イオンビームエッチング技術を用いてMRAMスタックをエッチングする。
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
イオンビームエッチングの方法が、本明細書で提供される。方法は、基板上に配置された複数の磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)層を貫通してエッチングし、パターニングされたMRAMスタックを形成することであって、複数のMRAM層は、1つまたは複数の磁性層およびトンネルバリア層を含み、複数のMRAM層を貫通するエッチングは、少なくともトンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチング(IBE)を含むことを含む。方法は、パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を形成することと、IBEトリムエッチングを実施し、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に堆積されたギャップフィル誘電体材料および導電性材料の少なくとも一部を除去することとをさらに含む。
【0005】
いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料は、基板と複数のMRAM層との間に配置された下層の上に十分な深さまで形成され、それによりIBEトリムエッチングを実施しても下層に凹みが生じない。いくつかの実施態様では、下層の上の十分な深さは、下層の上面から約1nm~約20nmの間である。いくつかの実施態様では、パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を形成することは、パターニングされたMRAMスタック間の空間に、およびパターニングされたMRAMスタックの上に、ギャップフィル誘電体材料を堆積することを含む。いくつかの実施態様では、パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を形成することは、トンネルバリア層の深さよりも上のエッチング深さまでギャップフィル誘電体材料を選択的にエッチングすることを含む。いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、窒化ゲルマニウム、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、複数のMRAM層を貫通してエッチングし、ギャップフィル誘電体材料を形成し、IBEトリムエッチングを実施する動作は、動作の間に真空破壊を導入することなく実施される。いくつかの実施態様では、少なくともトンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチングは、約200eV~約10,000eVのエネルギーを有する第1のイオンビームを基板に適用することを含み、IBEトリムエッチングを実施することは、約20eV~約400eVのエネルギーを有する第2のイオンビームを基板に適用することを含む。いくつかの実施態様では、IBEトリムエッチングを実施することは、複数のMRAM層の下に配置された下層を貫通するエッチングをせずに行われる。
【0006】
別の態様は、イオンビームエッチングを実施するための装置を伴う。装置は、イオンビーム源チャンバと、イオンビーム源チャンバに結合された処理チャンバと、制御部とを含む。制御部は、以下の動作:処理チャンバに基板を配置すること、基板上に複数のMRAM層を配置することであって、複数のMRAM層は、1つまたは複数の磁性層およびトンネルバリア層を含むこと、基板上に配置された複数のMRAM層を貫通してエッチングし、パターニングされたMRAMスタックを形成することであって、複数のMRAM層を貫通するエッチングは、少なくともトンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチング(IBE)を含むこと、パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を形成すること、およびIBEトリムエッチングを実施し、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に堆積されたギャップフィル誘電体材料および導電性材料の少なくとも一部を除去することを実施するための命令を提供するように構成される。
【0007】
いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料を形成するための命令を提供するように構成された制御部は、以下の動作:パターニングされたMRAMスタック間の空間に、およびパターニングされたMRAMスタックの上に、ギャップフィル誘電体材料を堆積することを実施するための命令を提供するようにさらに構成される。いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料を形成するための命令を提供するように構成された制御部は、以下の動作:トンネルバリア層の深さよりも上のエッチング深さまでギャップフィル誘電体材料を選択的にエッチングすることを実施するための命令を提供するようにさらに構成される。いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料は、基板と複数のMRAM層との間に配置された下層の上に十分な深さまで形成され、それによりIBEトリムエッチングを実施しても下層に凹みが生じない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、いくつかの実施態様による、基板上の例示的なMRAMスタックの断面概略図である。
【0009】
【
図2】
図2は、イオンビームエッチング(IBE)および側壁再堆積を受けているMRAM層の断面概略図である。
【0010】
【
図3】
図3は、いくつかの実施態様による例示的なイオンビームエッチング装置の概略図である。
【0011】
【
図4A】
図4Aは、複数のMRAM層および下層を貫通するイオンビームエッチングの断面概略図である。
【
図4B】
図4Bは、複数のMRAM層および下層を貫通するイオンビームエッチングの断面概略図である。
【0012】
【
図5】
図5は、いくつかの実施態様によるイオンビームエッチングの例示的な方法の流れ図である。
【0013】
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施態様によるメインエッチング動作を実施するプロセスの断面概略図である。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施態様によるギャップフィル動作を実施するプロセスの断面概略図である。
【
図6C】
図6Cは、いくつかの実施態様による平坦化動作を実施するプロセスの断面概略図である。
【
図6D】
図6Dは、いくつかの実施態様によるエッチングバック動作を実施するプロセスの断面概略図である。
【
図6E】
図6Eは、いくつかの実施態様によるIBEトリムエッチング動作を実施するプロセスの断面概略図である。
【
図6F】
図6Fは、いくつかの実施態様によるカプセル化動作を実施するプロセスの断面概略図である。
【0014】
【
図7】
図7は、いくつかの実施態様による、堆積およびイオンビームエッチングプロセスを実施するための例示的な処理システムのブロック図である。
【0015】
【
図8】
図8は、いくつかの実施態様による、堆積およびイオンビームエッチングプロセスを実施するための例示的な処理システムの代替のブロック図である。
【0016】
【
図9】
図9は、いくつかの実施態様による平坦化および/またはエッチングプロセスを実施するための例示的な処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に製作された集積回路」という用語は、互換的に使用される。当業者は、「部分的に製作された集積回路」という用語が、集積回路を製作するための多くの段階のいずれかにあるシリコンウエハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス業界で使用されるウエハまたは基板は、典型的には、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。以下の詳細な説明は、本開示がウエハ上で実施されることを想定している。しかし、本開示は、そのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料のものであり得る。半導体ウエハに加えて、本開示を利用することができる他のワークピースとしては、プリント回路基板などの様々な製品が挙げられる。
【0018】
序論
電子機器は、メモリを含む集積回路を使用してデータを記憶する。電子回路で一般的に使用されるメモリの1つのタイプは、DRAMである。DRAMは、集積回路の別個のコンデンサにデータの各ビットを記憶する。コンデンサは、ビットの2つの状態を表す、充電または放電のいずれかが可能である。コンデンサの電荷はゆっくりと漏れ出すため、コンデンサの充電を定期的にリフレッシュしない限り、データは徐々に失われる。DRAMは、電源を切るとデータが失われるため、不揮発性メモリとは対照的に揮発性メモリの一種である。
【0019】
従来のRAMチップ技術とは異なり、MRAMのデータは電荷や電流の流れとしてではなく、磁気記憶要素によって記憶される。磁気記憶要素は、薄い非磁性絶縁層によって分離された、各々が磁化を保持することができる2つの強磁性プレートから形成され得る。2つの強磁性プレートのうちの一方は、特定の極性に設定された永久磁石であり得、2つの強磁性プレートのうちの他方は、メモリを記憶するために外部磁場のものと一致するように変更され得る。2つの強磁性プレートおよび薄い非磁性絶縁層を伴うこのような構成は、磁気トンネル接合として知られている。MRAMは、電源を切っても保存されたデータを保持することが可能であるため、不揮発性メモリの一種である。
【0020】
図1は、いくつかの実施態様による、基板上の例示的なMRAMスタックの断面概略図である。MRAMスタック100が誘電体層110、例えばSiO
2上に配置され、これはシリコンまたはガラス基板(図示せず)上に堆積されている。埋め込みMRAMの場合、埋め込みMRAMはメタライゼーション層などの非メモリ回路に埋め込まれたMRAMであり得るため、論理回路のトランジスタレベル、ならびに基板とMRAMスタック100との間の3~5つのメタライゼーション層を含む様々な構造(図示せず)が存在する。これらの構造はすべて、誘電体層110によって覆われるか、または誘電体層110内に挿入される。MRAMスタック100は、上部電極層120と、下部電極層130とを含むことができる。下部電極層130は、誘電体層110の上に配置され、単層金属、または複数の金属層および他の材料層(例えば、誘電体材料)を含む多層スタックを含むことができる。上部電極層120は、下部電極層130の上に配置され、単層金属、または複数の金属層および他の材料層(例えば、誘電体材料)を含む多層スタックを含むことができる。MRAMスタック100は、金属ワードおよびビットラインによって接続されたMRAMセルのアレイに配置され得る。いくつかの実施態様では、下部電極層130はワードラインに接続され、上部電極層120はビットラインに接続される。
【0021】
MRAMスタック100は、メモリ要素または磁気抵抗効果要素を含むことができ、メモリ要素または磁気抵抗効果要素は、上部電極層120と下部電極層130との間に配置することができる。メモリ要素または磁気抵抗効果要素は、多層膜または磁気トンネル接合(MTJ)スタック140であり得る。MTJスタック140は、磁性層150、160の間にバリア層170を備えた磁性層150、160を含み得る。さらに、MTJスタック140は、複数のMTJスタックと、複数のバリア層とを含むことができ、各バリア層は、一対の磁性層の間に配置される。MTJスタック140は限定ではなく例示的なものであり、
図1に示されていない多くの他の層を含むことができることが理解されよう。第1の磁性層150は、自由磁性層として機能するように設計され、第2の磁性層160は、固定された磁化方向を有する。いくつかの実施態様では、第1の磁性層150および第2の磁性層160の各々は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、またはそれらの組み合わせ(例えば、CoNi、CoFe、NiFe、CoNiFe)などの磁性材料を含む。第1の磁性層150および第2の磁性層160の各々は、ホウ素(B)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、またはリン(P)などの非磁性材料をさらに含み、磁性化合物(例えば、CoFeB)を形成し得る。第1の磁性層150および第2の磁性層160の各々は、1つまたは複数のサブ層を含み得ることを理解されたい。いくつかの実施態様では、第2の磁性層160は、反強磁性層(図示せず)に結合され、その上に配置され得る。MTJスタック140は、第1の磁性層150と第2の磁性層160との間にトンネルバリア層またはバリア層170をさらに含み、バリア層170は、酸化マグネシウム(MgO)などの非磁性絶縁材料を含むことができる。したがって、MTJスタック140は、磁気抵抗効果を集合的に発生する非磁性中間層(すなわち、バリア層170)を間に挟んだ一対の強磁性層(すなわち、第1の磁性層150および第2の磁性層160)を含むことができる。MTJスタック140の抵抗率は、第1の磁性層150の磁化が第2の磁性層160の磁化に対して方向を変えるときに変化し、一対の強磁性層の磁化配向が実質的に平行であるときに低抵抗状態を示し、一対の強磁性層の磁化配向が実質的に反平行であるときに高抵抗状態を示す。したがって、MRAMスタック100は、2つの安定状態を有し、MRAMスタック100が不揮発性メモリとして機能することを可能にすることができる。
【0022】
いくつかの実施態様では、上部電極層120は、ハードマスク層として機能することができる。処理中、上部電極層120を第1の磁性層150上に堆積させ、下にあるMTJスタック140をパターニングすることができる。しかし、第1の磁性層150と第2の磁性層160の位置を逆にして、上部電極層120を第2の磁性層160上に堆積させることができることを理解されたい。いくつかの実施態様では、上部電極層120は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、または他の高融点金属を含む。MTJスタック140は、下部電極層130上に形成することができ、下部電極層130は、Ta、Ti、W、TiN、TaN、Pt、Ruなどの導電性材料を含む。
【0023】
MRAMスタック100は、必ずしも
図1に示されていないいくつかの他の層を含み得ることを理解されたい。MRAMスタック100内の層は、必ずしも金属または導電性材料に限定されないが、誘電体材料の1つまたは複数の層も含むことができる。
【0024】
図1のMRAMスタック100を含むMRAMスタック内のエッチング材料は、多くの課題を提示し得る。硬質材料は通常、反応性イオンエッチング(RIE)などの化学エッチングプロセスでエッチングされる。しかし、コバルト、鉄、ニッケル、および他の磁性元素などの材料の反応性イオンエッチングは、これらの材料が典型的なエッチャント化学物質に曝されたときに容易に揮発性にならないため、困難である。したがって、MRAMスタック内の多くの材料は、より積極的なエッチャント化学物質を必要とする。一方、MRAMスタック内の特定の材料は、このような積極的なエッチャント化学物質を許容することができない。例えば、MgOなどのトンネルバリア層は、反応性化学物質を許容することができず、反応性化学物質は、ラジカル、イオン、およびフッ素、塩素、ヨウ素、酸素、または水素を含有する中性種を含む場合がある。これらの化学物質は、トンネルバリア層との反応を引き起こし、それによってトンネルバリア層に損傷を与え、MRAMスタックの電気的および磁気的性質に悪影響を及ぼす可能性がある。場合によっては、MRAMスタックにおけるトンネル磁気抵抗(TMR)効果が損なわれる。
【0025】
イオンビームエッチング(IBE)は、薄膜をパターニングするために様々な産業で広く使用されている。イオンミリングとも呼ばれ得るイオンビームエッチングは、基板上のフィーチャをエッチングするための荷電粒子の高指向性ビームを提供する。イオンビームエッチングは、純粋に物理的なエッチングプロセスに不活性ガスを使用して適用することができるが、場合によっては、反応種を使用してイオンビームエッチングを適用し、化学/反応性成分による材料エッチングを増加させることができる。一般的に言えば、イオンビームエッチングは、個々の粒子を使用して露出したターゲットをアブレーションして原子および分子を除去することによって、硬質材料を貫通して物理的にエッチングすることができる。イオンビームエッチングを使用すると、トンネルバリア層などの敏感な層を劣化させる可能性のある反応性化学物質を回避しながら、MRAMスタック内の材料をエッチングすることが可能である。
【0026】
MRAMスタック内のフィーチャは、イオンビームエッチングでパターニングすることができる。イオンビームエッチングは、一般に、化学反応がないものであり得、ハードマスクによって露出された層および材料を物理的にエッチングする。これにより、原子および分子がターゲットからスパッタされる。スパッタされた原子および分子は、MRAMスタックの露出した側壁に向けられ、露出した側壁上に再堆積し得る。したがって、エッチングと再堆積が同時に起こり得る。再堆積された材料は、MRAMスタックをパターニングするためにイオンビームエッチングよりも低いエネルギーおよび異なる衝突角度でイオンビームエッチングを実施することによって、MRAMスタックの側壁から洗浄することができる。
【0027】
図2は、イオンビームエッチングおよび側壁再堆積を受けているMRAM層の断面概略図である。MRAMスタック220a、220bが、基板210上に形成される。MRAMスタック220a、220bの各々は、一対の磁性層を含むことができ、トンネルバリア層(例えば、MgO)が磁性層の間に挟まれ得る。いくつかの実施態様では、MRAMスタック220a、220bの各々は、各々が一対の磁性層の間に挟まれている複数のトンネルバリア層を含み得ることを理解されたい。MRAMスタック220a、220b内の層および材料の例は、
図1のMRAMスタック100に関して上で説明されている。従来のMRAMパターニングプロセスには、ハードマスクパターニング、上部電極パターニング、MTJパターニング、および下部電極パターニングが挙げられる。イオンビームエッチングは、前述のパターニングプロセスの一部またはすべてで使用することができ、イオンビームエッチングは、MTJパターニングで使用することができることを理解されたい。反応性イオンエッチングまたはイオンビームエッチングは、上部電極パターニングおよび下部電極パターニングに使用することができる。MRAMスタック220a、220bをパターニングするために、イオンビーム225を基板210に適用し、ハードマスクによって露出された層および材料を物理的にエッチングすることができる。イオンビーム225は、イオンビーム225に曝された表面から原子および分子をスパッタさせる。
図2に示すように、スパッタされた原子および分子275は、MRAMスタック220a、220bの側壁に向けられ、側壁上に再堆積され得る。MTJスタックの層などの基板210上のいくつかの層は、Fe、Co、およびNi原子などの金属原子を含み得る。イオンビームエッチングがMTJスタックを通って進行するにつれて、そのような金属原子は除去され、MRAMスタック220a、220bの側壁上に再堆積し得る。わずか数ナノメートルの厚さであり得るトンネルバリア層の側壁上に導電性材料が再堆積されると、磁性層は、MRAMスタック220a、220bにおいて短絡される。
【0028】
基板210に適用されるイオンビーム225は、ある角度に向けることができる。イオンビーム225の入射角は、エッチング速度、均一性、形状、トポグラフィ、およびターゲット表面の組成などのパラメータを制御するように調整することができる。場合によっては、イオンビーム225の入射角は、再堆積された材料の側壁を洗浄するように調整される。イオンビーム225のより低い入射角(すなわち、垂直性が高い)は、材料のより多くの再堆積をもたらすことができ、一方、イオンビーム225の最適化されたより高い入射角(すなわち、垂直性が低い)は、再堆積された材料を除去することによって、より清浄な側壁表面をもたらすことができる。さらに、デバイス密度が増加し、アスペクト比が増加すると、側壁表面の洗浄により高い入射角を使用することの実現可能性がさらに制限される。
【0029】
イオンビームエッチング装置
図3は、いくつかの実施態様による例示的なイオンビームエッチング装置の概略図である。イオンビームエッチング装置310が、基板316を支持するための基板ホルダ314を備えた処理チャンバ312を含む。基板316は、半導体ウエハであり得る。前述のような複数のMRAM層を、基板316上に形成することができる。複数のMRAM層は、1つまたは複数の磁性層と、単一のトンネルバリア層または複数のトンネルバリア層とを含み得る。複数のMRAM層は、上部電極層と、下部電極層とをさらに含むことができる。基板316は、任意の適切な技術を使用して基板ホルダ314に取り付けることができる。例えば、基板316は、基板ホルダ314に機械的または静電的に接続されている。いくつかの実施態様では、基板ホルダ314は、正確な傾斜および回転を提供し、基板316と係合するための静電チャック(ESC)を含み得る。
【0030】
イオンビームエッチング装置310は、イオンビーム源チャンバ322をさらに含み、処理チャンバ312は、イオンビーム源チャンバ322の外側にあり、イオンビーム源チャンバ322に結合され得る。イオンビーム源チャンバ322は、イオン抽出器340および/または機械的シャッタ348によって処理チャンバ312から分離され得る。誘導コイル332を、イオンビーム源チャンバ322の外壁の周りに配置することができる。プラズマ発生器334が、RF電力を誘導コイル332に供給する。プラズマ発生器334は、RF源336と、整合ネットワーク338とを含み得る。使用中、ガス混合物がイオンビーム源チャンバ322に導入され、RF電力が誘導コイル332に供給されてイオンビーム源チャンバ322内でプラズマを生成し、プラズマがイオンを発生する。
【0031】
イオンビームエッチング装置310は、イオンビーム源チャンバ322に流体結合されたガス送給システム350をさらに含む。ガス送給システム350は、1つまたは複数のガス混合物をイオンビーム源チャンバ322に送給する。ガス送給システム350は、イオンビーム源チャンバ322と流体連通している1つまたは複数のガス源352、弁354、マスフローコントローラ(MFC)356、および混合マニホールド358を含み得る。いくつかの実施態様では、ガス送給システム350は、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、またはクリプトン(Kr)などの不活性ガスを送給するように構成される。いくつかの実施態様では、ガス送給システム350は、不活性ガスと共に反応性化学物質をさらに含むガス混合物を送給する。
【0032】
イオン抽出器340は、プラズマから陽イオンを抽出し、ビーム内の陽イオンを基板316に向けて加速する。イオン抽出器340は、グリッドまたはグリッドシステムを形成する複数の電極を含み得る。
図3に示すように、イオン抽出器340は、3つの電極を含み、第1の電極342、第2の電極344、および第3の電極346が、ガス送給システム350からこの順序で存在する。正の電圧が第1の電極342に適用され、負の電圧が第2の電極344に適用され、その結果、イオンはそれらの電位の差によって加速される。第3の電極346は、接地されている。第2の電極344と第3の電極346との間の電位差を制御することで、イオンビームのエネルギーおよび発散が制御される。機械的シャッタ348が、イオン抽出器340に隣接していてもよい。中和器360が、電子を処理チャンバ312に供給し、イオン抽出器340および機械的シャッタ348を通過するイオンビームの電荷を中和することができ、中和器360は、アルゴンまたはキセノンなどの不活性ガスを使用する独自のガス送給システムを有し得る。いくつかの実施態様では、イオン抽出器340および/または機械的シャッタ348は、イオンビームが連続的にまたはパルスで基板316に送給されるように制御することができる。
【0033】
位置制御部366を使用して、基板ホルダ314の位置を制御することができる。特に、位置制御部366は、傾斜軸の周りの傾斜角および基板ホルダ314の回転を制御し、基板316を配置することができる。いくつかの実施態様では、エンドポイント検出器368を使用して、基板316および/または基板ホルダ314に対するイオンビームの場所を検知することができる。ターボ分子ポンプなどのポンプ370を使用して、処理チャンバ312内の圧力を制御し、処理チャンバ312から反応物を排出することができる。
【0034】
イオンビームエッチング装置310は、制御部390をさらに含み得る。制御部390(1つまたは複数の物理的または論理的制御部を含み得る)は、イオンビームエッチング装置310の動作の一部またはすべてを制御する。いくつかの実施態様では、制御部390は、プラズマ発生器334、ガス送給システム350、中和器360、位置制御部366、およびポンプ370を制御するために使用され得る。制御部390は、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含むことができる。プロセッサは、中央処理装置(CPU)またはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータ制御部ボード、および他の同様の構成要素を含み得る。適切な制御動作を実施するための命令は、プロセッサ上で実行される。これらの命令は、制御部390に関連付けられたメモリデバイスに記憶することができ、ネットワークを介して提供され得る。特定の実施態様では、制御部390は、システム制御ソフトウェアを実行する。システム制御ソフトウェアは、以下のチャンバ動作条件のうちの任意の1つまたは複数の適用のタイミングおよび/または大きさを制御するための命令を含み得る:ガスの混合物および/または組成、ガスの流量、チャンバ圧力、チャンバ温度、基板/基板ホルダ温度、基板位置、基板ホルダ傾斜、基板ホルダ回転、グリッドに適用される電圧、コイルまたは他のプラズマ生成構成要素に適用される周波数および電力、ならびにツールによって実施される特定のプロセスの他のパラメータ。システム制御ソフトウェアは、ポンプ370を通してパージ動作および洗浄動作をさらに制御することができる。システム制御ソフトウェアは、任意の適切な方法で構成され得る。例えば、様々なプロセスツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、様々なプロセスツールプロセスを実行するために必要なプロセスツール構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。
【0035】
いくつかの実施態様では、システム制御ソフトウェアは、上述の様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を含む。例えば、半導体製作プロセスの各段階は、制御部390によって実行するための1つまたは複数の命令を含み得る。段階に対するプロセス条件を設定するための命令は、例えば、対応するレシピ段階に含まれてもよい。いくつかの実施態様では、レシピ段階は、イオンビームエッチングプロセスのステップがそのプロセス段階に対して特定の順序で実行されるように、順に配置されてもよい。例えば、レシピは、高エネルギーでのイオンビームエッチングを使用する分離エッチングおよび低エネルギーでのイオンビームエッチングを使用するトリムエッチングを実施するように構成され得る。
【0036】
他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが、いくつかの実施態様で用いられてもよい。この目的のためのプログラムの例またはプログラムのセクションの例は、基板配置プログラム、プロセスガス組成制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびRF電源制御プログラムを含む。
【0037】
制御部390は、センサ出力(例えば、電力、電位、圧力、ガスレベルなどが特定の閾値に達したとき)、動作のタイミング(例えば、プロセスの特定の時間に弁を開くとき)に基づいて、またはユーザから受け取った命令に基づいて、これらおよび他の態様を制御することができる。
【0038】
広義には、制御部390は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式で制御部390に通信される命令であって、特定のプロセスを半導体基板上で、または半導体基板用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施態様では、基板上のMRAMスタックのパターニングにおける1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0039】
制御部390は、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、制御部390は、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、基板処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、制御部390は命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、および制御部390が連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、制御部390は、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別の制御部を備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型制御部390の例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0040】
上述のように、ツールによって実施される1つまたは複数の処理ステップに応じて、制御部390は、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別の制御部、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対して基板の容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。前述の例は、制御部390が通信する可能性のある
図7~
図9に記載されている。
【0041】
側壁洗浄によるイオンビームエッチング
本開示では、誘電体ギャップフィル材料が、MRAMスタックをパターニングするためのIBE分離エッチングプロセスと、パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するためのIBEトリムエッチングプロセスとの間に堆積される。典型的には、パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するためのIBEトリムエッチングプロセスは、側壁上に再堆積することができる金属または導電性材料のスパッタリングを引き起こす。IBEトリムエッチングプロセスのエッチングフロントが金属または導電性材料を含む場合、金属または導電性材料のスパッタリングが発生し得る。このようなスパッタリングを回避するための1つのアプローチは、エッチングフロントとして酸化ケイ素(SiO2)などの誘電体材料の厚い層を提供することである。誘電体材料の厚い層は、MTJスタックにおけるMRAM層の下または磁性層の下に提供され得る。誘電体材料の厚い層は、少なくとも約40nmの厚さ、少なくとも約50nmの厚さ、少なくとも約75nmの厚さ、または少なくとも約100nmの厚さであり得る。このように、イオンビームエッチング中に側壁上に再堆積する材料は、導電性材料ではなく誘電体材料である。しかし、MTJスタックの磁性層の下に誘電体材料の厚い層を設けることは非現実的であり、運用上のオーバーヘッドが増加し、製造プロセスが複雑になり、コストが増加し、さらには性能が低下する可能性がある。例えば、多くのMRAMデバイスは、集積回路(IC)のメタライゼーション層の間に存在する埋め込みメモリであり、MRAMデバイスが存在する誘電体層の厚さは容易に変更することができない。
【0042】
図4Aおよび
図4Bは、複数のMRAM層および下層を貫通するイオンビームエッチングの断面概略図を示す。MRAMスタック400が、第1の磁性層450と、トンネルバリア層470と、第2の磁性層460とを含み得、トンネルバリア層470は、第1の磁性層450と第2の磁性層460との間にある。第1の磁性層450は、自由層とも呼ばれ得、自由磁性層として機能するように設計され、第2の磁性層460は、参照層と呼ばれ得、固定された磁化方向を有するように設計される。いくつかの実施態様では、第1の磁性層450および第2の磁性層460は、Co、Ni、Fe、Pt、またはそれらの組み合わせなどの磁性材料を含み得る。トンネルバリア層470は、MgOなどの非磁性絶縁材料を含み得る。第1の磁性層450、トンネルバリア層470、および第2の磁性層460の組み合わせは、磁気抵抗効果を発生する。MRAMスタック400は、基板410とMRAMスタック400との間に下層430を備えて基板410の上に配置される。下層430は、酸化ケイ素(SiO
2)などの誘電体材料の1つまたは複数の層を含むことができる。いくつかの実施態様では、ハードマスク層または電極層(図示せず)を、MRAMスタック400の上に配置することができる。いくつかの実施態様では、電極層(図示せず)は、下層430と基板410との間に配置され得る。いくつかの実施態様では、MRAMスタック400は、各々が第1の磁性層と第2の磁性層との間に挟まれている複数のトンネルバリア層を含み得る。
【0043】
MRAMスタック400の層を貫通するイオンビームエッチングを実施してパターニングされたMRAMスタックを形成することができ、パターニングされたMRAMスタックは、線、柱、または他のパターニングされたフィーチャを含むことができる。パターニングされたMRAMスタックを形成するためのイオンビームエッチングは、高電力および比較的低い入射角で実施することができる。加えて、イオンビームエッチングを実施して、パターニングされたMRAMスタックを形成した後に側壁上に再堆積された不要な材料を除去するために、パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄することができる。パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するためのイオンビームエッチングは、より低い電力でおよび基板表面の法線から比較的高い入射角で実施することができる。
【0044】
図4Aでは、イオンビーム425が、パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するためにある角度に向けることができる。例えば、基板410は、イオンビーム425のイオン衝突角度を調整するために傾斜または回転され得る。イオンビーム425は、パターニングされたMRAMスタックの側壁に衝突し、不要な材料を除去する。イオンビーム425はまた、MRAMスタック400の底面に衝突し、底面の原子および分子をスパッタさせる。スパッタされた原子および分子475は、パターニングされたMRAMスタックの側壁に向けられ得、その結果、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に再堆積する。イオンビーム425のエッチングフロントが導電性材料(例えば、金属)を有するとき、導電性材料の少なくとも一部は、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に再堆積され得る。
図4Aでは、イオンビーム425のエッチングフロントが第2の磁性層460を含むとき、Co、Ni、Pt、またはFeを有する磁性元素は、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に再堆積する場合があり、これはMRAMスタック400の電気的および磁気的性能を低下させる可能性がある。
【0045】
導電性材料のエッチングフロントを有するのではなく、エッチングフロントは、誘電体材料を含み得る。
図4Bでは、イオンビーム425は、MRAMスタック400の底面に衝突し、スパッタされた原子および分子475を、パターニングされたMRAMスタックの露出面に向けさせる。イオンビーム425のエッチングフロントは下層430を含み、SiO
2などの誘電体材料をパターニングされたMRAMスタックの側壁上に再堆積させることができる。下層430内の誘電体材料からのスパッタされた原子および分子475は、MRAMスタック400の電気的および磁気的性能を低下させる可能性は低い。したがって、オーバーエッチングは、パターニングされたMRAMスタックに無害なバックスパッタリングを提供しながら、下層430を貫通して実施することができる。下層430の厚さは、パターニングされたMRAMスタックの側壁を適切に洗浄するためのイオンビームエッチングのためのエッチングフロントとして機能するのに十分であり得る。しかし、上述のように、基板410とMRAMスタック400との間に十分に厚い下層430を組み込むことは望ましくない場合があり、特に厚い下層430を有することは、様々なデバイスにおいて非現実的であり得る。
【0046】
本開示では、誘電体材料がエッチング除去される前に再堆積された側壁材料の除去を可能にするのに十分な厚さを備えた誘電体材料を有する下層は、洗浄中にエッチングフロントとして機能するMRAMスタックを備えていない。本開示では、IBEメインエッチングプロセスを実施してパターニングされたMRAMスタックを形成し、続いて、パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を堆積させる。ギャップフィル誘電体材料は、堆積されたギャップフィル誘電体材料が後続のIBEトリムエッチング洗浄ステップのすべてまたは大部分を通して残るように、エッチングバックされるか、あるいは十分な深さまで形成され得る。いくつかの実施態様では、堆積されたギャップフィル誘電体材料の厚さは、トンネルバリア層の深さよりも上に及ぶ。ギャップフィル誘電体材料の堆積に続いて、パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するためにIBEオーバーエッチングまたはトリムエッチングプロセスが実施され、IBEトリムエッチングプロセス中のエッチングフロントは、ギャップフィル誘電体材料を含む。
【0047】
図5は、いくつかの実施態様によるイオンビームエッチングの例示的な方法の流れ図を示す。
図5のプロセス500の動作は、追加の、より少ない数の、または異なる動作を含み得る。
図5のプロセス500の説明に付随して、
図6A~
図6Fには、メインエッチング、ギャップフィル、平坦化、エッチングバック、IBEトリムエッチング、およびカプセル化動作を示す一連の断面概略図が示されている。プロセス500の動作は、
図3のイオンビームエッチング装置310などのイオンビームエッチング装置を使用して実施することができる。
【0048】
プロセス500のブロック510において、基板上に配置された複数のMRAM層が貫通してエッチングされてパターニングされたMRAMスタックを形成し、複数のMRAM層は、1つまたは複数の磁性層およびトンネルバリア層を含む。複数のMRAM層を貫通するエッチングは、少なくともトンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチング(IBE)を含む。いくつかの実施態様では、複数のMRAM層を貫通するエッチングは、複数のMRAM層を貫通するイオンビームエッチングを含む。いくつかの実施態様では、複数のMRAM層を貫通するエッチングは、複数のMRAM層のいくつかを貫通する反応性イオンエッチング(RIE)と、少なくともトンネルバリア層を貫通するイオンビームエッチングとを含む。いくつかの実施態様では、複数のMRAM層は、2つ以上のトンネルバリア層を含み、イオンビームエッチングは、2つ以上のトンネルバリア層を貫通して実施される。MRAMスタックをパターニングするために、ハードマスクを複数のMRAM層上に形成することができる。ハードマスクは、例えば、W、Ti、Ta、TiN、または他の高融点金属から作製することができる。ブロック510での複数のMRAM層を貫通するエッチングは、「メインエッチング」、「カットエッチング」、「分離エッチング」、「第1のエッチング」、または「IBE分離エッチング」と呼ばれることもある。
【0049】
複数のMRAM層を貫通するエッチングは、第1の磁性層、第2の磁性層、および第1の磁性層と第2の磁性層との間にあるトンネルバリア層を含むMTJスタックを貫通するエッチングを含み得る。第1の磁性層は、トンネルバリア層の上に配置することができ、第2の磁性層は、トンネルバリア層の下に配置することができる。トンネルバリア層は、MgOなどの非磁性絶縁材料を含み得る。第1の磁性層および第2の磁性層の各々は、Co、Ni、Pt、Fe、またはそれらの組み合わせなどの磁性元素を含んでもよい。いくつかの実施態様では、MTJスタックを貫通するエッチングは、MTJスタックを貫通するイオンビームエッチングを含み得る。エッチングは、少なくとも第2の磁性層を貫通してエッチングした後、下層または誘電体層で停止することができる。複数のMRAM層を貫通するエッチングは、下層を貫通するエッチングをせずに、第1の磁性層、トンネルバリア層、および第2の磁性層を貫通するイオンビームエッチングを含み得る。したがって、メインエッチングまたは分離エッチングは、エッチングされる下層と複数のMRAM層との間の界面まで実施することができ、下層は、SiO2などの誘電体材料を含むことができる。メインエッチングは、下層の上面に対して実施することができ、メインエッチングは、発光分光法またはエンドポイント検出器を使用して、下層上で停止することができる。
【0050】
少なくともいくつかのMRAM層を貫通してイオンビームエッチングを行うとき、不活性ガスのイオンビームが、イオンビーム源チャンバから生成され得る。イオンビーム源チャンバは、基板が位置する処理チャンバに結合することができる。イオンビームは、不活性ガスを含むガス混合物を使用して、イオンビーム源チャンバ内で生成することができる。不活性ガスは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施態様では、ガス混合物は、化学/反応性成分による材料エッチングを増加させるために、1つまたは複数の反応性ガスを含み得る。いくつかの実施態様では、ガス混合物は、反応性ガスを含まないか、または実質的に含まない。RF電力が、プラズマを生成するためにイオンビーム源チャンバを囲むコイルに適用され得、イオンはプラズマから抽出されてイオンビームを形成する。電圧がイオン抽出器(例えば、グリッド)に適用され、イオンを抽出してイオンビームを形成し、イオンビームは、処理チャンバに向けて加速され得る。イオン抽出器に適用される電圧の制御は、イオンビームエッチングを実施するときのエッチング速度を制御するために使用することができる。高電圧イオンビームは、高いエッチング速度で「高速」エッチングを実施するために約400V~約2000Vであり得、低電圧イオンビームは、低いエッチング速度で「ソフト」エッチングを実施するために約30V~約400Vであり得る。パターニングされたMRAMスタックを形成するための、トンネルバリア層を含む複数のMRAM層の少なくともいくつかを貫通するイオンビームエッチング(メインエッチングまたは分離エッチング)は、比較的高い電圧で実施され得る。したがって、複数のMRAM層を貫通してエッチングしてパターニングされたMRAMスタックを形成するために使用されるメインエッチングは、約400V~約2000Vの高電圧で実施することができる。他方、パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するために使用されるトリムエッチングまたはオーバーエッチングは、約30V~約400Vの低電圧で実施することができる。
【0051】
いくつかの実施態様では、複数のMRAM層の少なくともいくつかを貫通するエッチングは、約200eV~約10,000eVのイオンエネルギーを有するイオンビームを基板に適用することを含み得る。メインエッチングは、トリムエッチングと比較して、MRAM層内の材料を効率的にエッチングするために高イオンエネルギーで実施することができる。いくつかの実施態様では、メインエッチングまたは分離エッチングは、10分以下、3分以下、または1分以下で実施することができる。いくつかの実施態様では、メインエッチングは、処理チャンバに結合されたイオンビーム源チャンバを有するイオンビームエッチング装置で実施することができる。例示的なイオンビームエッチング装置は、上の
図3で説明されている。
【0052】
いくつかの実施態様では、MRAM層のいくつかは、反応性イオンエッチングを使用してエッチングされ得る。具体的には、反応性イオンエッチングからの反応種がトンネルバリア層を損傷する可能性があるため、反応性イオンエッチングをトンネルバリア層以外の層に適用することができる。反応性イオンエッチングに続いてイオンビームエッチングを実施し、トンネルバリア層を貫通してエッチングすることができる。いくつかの実施態様では、反応性イオンエッチングは、トンネルバリア層の上に配置されたハードマスク層または電極層に適用され得る。いくつかの実施態様では、反応性イオンエッチングは、トンネルバリア層の上に配置された第1の磁性層に適用されてもよい。いくつかの実施態様では、反応性イオンエッチングは、トンネルバリア層の下に配置された第2の磁性層に適用されてもよい。いくつかの実施態様では、反応性イオンエッチングは、第2の磁性層の下に配置された電極層に適用されてもよい。それにもかかわらず、前述のMRAM層のいずれも、反応性イオンエッチングではなく、イオンビームエッチングを使用してエッチングすることができる。したがって、複数のMRAM層を貫通するエッチングにおけるメインエッチングのシーケンスは、RIEに続いてIBE、RIEに続いてIBEおよびIBEに続いてRIE、IBEに続いてRIE、または全体を通してIBEを含み得る。
【0053】
メインエッチングにより、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に導電性材料が再堆積し得る。再堆積された導電性材料は、複数のMRAM層内の1つまたは複数の磁性層に由来し得る。典型的には、複数のMRAM層の1つまたは複数の磁性層をエッチングする際に、露出した表面上に再堆積され得るエッチング副生成物が発生する。エッチング副生成物は、金属または導電性材料の原子または分子を含み得る。これらのエッチング副生成物は、イオンビームが複数のMRAM層に適用されるときにスパッタされる。1つまたは複数の磁性層は、不揮発性材料を含み得、不揮発性材料は、Co、Ni、Pt、Feなどの磁性材料を含み得る。このようなエッチング副生成物がトンネルバリア層の側壁表面上に再堆積すると、MTJスタックが損なわれ、短絡につながる可能性がある。
【0054】
複数のMRAM層を貫通してエッチングすると、パターニングされたMRAMスタックが形成され、パターニングされたMRAMスタックは、線、柱、または他のパターニングされたフィーチャである。メインエッチングは、パターニングされたMRAMスタック間に空間を形成する。いくつかの実施態様では、パターニングされたMRAMスタックは、高いアスペクト比を有する柱であり、パターニングされたMRAMスタックの高さ対幅のアスペクト比は、少なくとも5:1、少なくとも7:1、少なくとも10:1、または少なくとも20:1である。いくつかの実施態様では、隣接するMRAMスタック間のピッチは、約300nm以下、約10nm~約300nm、または約30nm~約250nmであり得る。
【0055】
いくつかの実施態様では、プロセス500のブロック510の前に、基板は、イオンビームエッチング装置の処理チャンバ内に配置され得る。複数のMRAM層は、基板上に配置することができ、複数のMRAM層は、1つまたは複数の磁性層およびトンネルバリア層を含む。
【0056】
図6Aは、いくつかの実施態様による例示的なメインエッチングの断面概略図を示す。複数のMRAM層650、660、および670が、基板610の上に配置され、下層630が、複数のMRAM層650、660、および670と基板610との間に配置される。複数のMRAM層650、660、および670ならびに下層630の態様は、
図1および
図2に記載されている。複数のMRAM層650、660、および670は、少なくとも第1の磁性層650と、第2の磁性層660と、第1の磁性層650と第2の磁性層660との間にあるトンネルバリア層670とを含む。上述のように、複数のMRAM層650、660、および670は、各々が第1の磁性層と第2の磁性層との間に挟まれている複数のトンネルバリア層を含み得る。パターニングされたMRAMスタック620a、620bを形成するために、メインエッチングが実施される。メインエッチングは、下層630の上面上で停止することができる。いくつかの実施態様では、メインエッチングまたは分離エッチングは、パターニングされたMRAMスタック620a、620bを形成する際に、少なくともトンネルバリア層670を貫通して実施される。メインエッチングまたは分離エッチングのイオンビームは、比較的高いイオンエネルギーでおよび基板表面の法線への比較的低い入射角で提供され得る。金属または導電性材料を含む残留物605は、メインエッチングの結果として、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの側壁上に形成される。複数のMRAM層650、660、および670のイオンビームエッチングからのスパッタされた原子および/または分子は、残留物605の蓄積を引き起こし得る。残留物605は、トンネルバリア層670上に形成され、トンネルバリア層670の性能を低下させる可能性がある。
【0057】
図5に戻ると、プロセス500のブロック520において、ギャップフィル誘電体材料が、パターニングされたMRAMスタック間の空間に形成される。いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料は、パターニングされたMRAMスタックの側壁に沿っておよび底面上に形成され得る。いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料は、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)、またはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)を使用して堆積され得る。しかし、ギャップフィル誘電体材料は、原子層堆積(ALD)などの任意の他の適切な堆積技術を使用して堆積することができることを理解されたい。例えば、ギャップフィル誘電体材料は、ボトムアップ充填を達成するための堆積技術を使用して、パターニングされたMRAMスタック間の空間に堆積され得る。
【0058】
いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、酸化ゲルマニウム、窒化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、またはそれらの組み合わせなどの任意の適切な誘電体材料を含む。例えば、ギャップフィル誘電体材料は、窒化ケイ素および酸化ケイ素の一方または両方を含む。ギャップフィル誘電体材料は、窒化ケイ素の層および酸化ケイ素の層を含み得るか、または窒化ケイ素の層のみを含み得る。いくつかの実施態様では、酸化ケイ素がパターニングされたMRAMスタックに直接接触することを回避することが望ましい。前述の誘電体材料は、パターニングされたMRAMスタック間の空間を充填するか、または下層の上の空間を少なくとも充填することができる。パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を形成することは、「ギャップフィル」または「誘電体ギャップフィル」プロセスと呼ばれることもある。
【0059】
いくつかの実施態様では、ギャップフィルは、CVD、PVD、またはPECVDチャンバなどの堆積チャンバで実施され得る。ギャップフィルは、メインエッチングの後、およびIBEトリムエッチングの前に実施され得る。いくつかの実施態様では、メインエッチングおよびギャップフィルは、統合ツールまたはマルチステーション処理ツールによって実施され得る。ブロック510でのメインエッチングおよびブロック520でのギャップフィルの動作は、動作の間に真空破壊を導入することなく実施することができる。
【0060】
いくつかの実施態様では、パターニングされたMRAMスタック間の空間にギャップフィル誘電体材料を形成することは、パターニングされたMRAMスタック間の空間に、およびパターニングされたMRAMスタックの上に、ギャップフィル誘電体材料を堆積することと、下層の上の十分な深さまでギャップフィル誘電体材料を選択的にエッチングすることとを含む。いくつかの実施態様では、下層の上の十分な深さは、ブロック530での後続のトリムエッチング後にギャップフィル誘電体材料の少なくとも一部が残るように、十分な厚さに対応し得る。ギャップフィル誘電体材料は、パターニングされたMRAMスタックの上に最初に堆積され、オーバーバーデンを形成し得る。ギャップフィル堆積プロセスは、典型的には、ある程度共形的であり、パターニングされたMRAMスタックの側壁、底面、および上面に沿って材料が堆積される。パターニングされたMRAMスタックの上面とパターニングされたMRAMスタックの底面との間で堆積速度が変化する可能性があるため、ギャップフィル堆積プロセスは、いくらかの「ブレッドローフィング」をもたらす場合がある。これは典型的には、ギャップフィルからの不均一なトポグラフィにつながる。したがって、パターニングされたMRAMスタック間の空間を充填するときにギャップフィル誘電体材料のオーバーバーデンが堆積する可能性があり、ギャップフィル誘電体材料のオーバーバーデンは、ギャップフィル誘電体材料の上面全体で厚さが不均一であり得る。言い換えると、ギャップフィル誘電体材料の一部は、他の部分よりも厚い。
【0061】
パターニングされたMRAMスタックの上にギャップフィル誘電体材料のオーバーバーデンを堆積させた後、オーバーバーデンを除去することができる。いくつかの実施態様では、プロセス500は、パターニングされたMRAMスタック上に堆積されたギャップフィル誘電体材料を平坦化することをさらに含む。例えば、オーバーバーデンは、化学機械研磨(CMP)またはエッチングを使用して除去することができる。
【0062】
オーバーバーデンの平坦化に加えて、またはその代わりに、堆積されたギャップフィル誘電体材料は、ドライエッチングまたはウェットエッチング技術を使用して選択的にエッチングされ得、ギャップフィル誘電体材料は、下層の上の深さまで選択的にエッチングされる。いくつかの実施態様では、深さは、トンネルバリア層の上面と第1の磁性層の上面との間、トンネルバリア層の底面と第2の磁性層の底面との間、または第2の磁性層の底面と下層の上面との間であり得る。複数のMRAM層が複数の第1/第2の磁性層を有する複数のトンネルバリア層を含む場合、深さは、最も低いトンネルバリア層および最も低い第1/第2の磁性層に対して測定され得る。いくつかの実施態様では、選択的エッチングは、ハードマスク層またはMRAM層を除去することなく、または実質的に除去することなく、ギャップフィル誘電体材料を選択的に除去するプラズマエッチングである。エッチングは、ギャップフィル誘電体材料とハードマスク層またはMRAM層との間で約10:1を超えるエッチング選択性を有し得、これは、ギャップフィル誘電体材料がハードマスク層またはMRAM層の10倍を超えるエッチング速度でエッチングされることを意味する。例えば、ギャップフィル誘電体材料は、反応性イオンエッチング(RIE)または化学的下流エッチング(CDE)チャンバ内でフッ素プラズマを使用してエッチングすることができる。誘電体材料が酸化ケイ素である場合、フッ化水素(HF)蒸気で除去することも可能である。下層の上の十分な深さは、下層の深さから約1nm~約20nmの間、下層の深さから約2nm~約15nmの間、または下層の深さから約3nm~約10nmの間であってもよい。いくつかの実施態様では、選択的エッチングは、下層を露出することなくギャップフィル誘電体材料を除去するために進行し得る。いくつかの実施態様では、選択的エッチングは、下層を貫通して著しくエッチングすることなく、ギャップフィル誘電体材料を除去するために進行し得る。本明細書で使用する場合、下層を貫通して「著しくエッチングする」は、下層の少なくとも3nmまたは少なくとも5nmを貫通するエッチングを構成し得る。いくつかの実施態様では、下層の上の十分な深さは、トンネルバリア層の上にあり得る。上述のように、トンネルバリア層を反応性化学物質に曝すと、トンネルバリア層が損傷する可能性がある。選択的エッチングにより、残りのギャップフィル誘電体材料が残り、パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するためにIBEトリムエッチング中にエッチングフロントとして機能する。いくつかの実施態様では、選択的エッチングは、発光分光法(OES)または干渉計エンドポイント検出(IEP)などの適切なエンドポイント検出技術を使用して、トンネルバリア層の深さのすぐ上のエッチング深さで、または下層の上の十分な深さで停止され得る。選択的エッチングは、「エッチングバック」プロセスまたは「等方性エッチングバック」プロセスと呼ばれることもある。
【0063】
図6Bは、いくつかの実施態様による、
図6Aのメインエッチングに続く例示的なギャップフィルプロセスの断面概略図を示す。メインエッチングの後、ギャップフィル誘電体材料680は、CVD、PVD、またはPECVDなどの適切な堆積技術を使用して、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの間の空間に堆積される。いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料680は、ギャップフィルを実施するために、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの露出面(例えば、側壁)に沿って共形的に堆積される。したがって、凹み、ギャップ、トレンチ、開口部、または空間は、ギャップフィル誘電体材料680によって充填される。ギャップフィル誘電体材料680のオーバーバーデンは、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの上に堆積される。いくつかの実施態様では、ギャップフィル誘電体材料680は、窒化ケイ素、または窒化ケイ素と酸化ケイ素の組み合わせを含む。
【0064】
図6Cは、いくつかの実施態様による、
図6Bのギャップフィルプロセスに続く例示的な平坦化プロセスの断面概略図を示す。ギャップフィル誘電体材料680のオーバーバーデンが堆積された後、オーバーバーデンの上面は不均一になり得る。例えば、不均一なトポグラフィは、ギャップフィル領域と比較して、磁場領域においてより多くの誘電体ギャップフィル材料680をもたらす場合があり、これはブレッドローフィングにつながる可能性がある。トポグラフィを滑らかにし、オーバーバーデンを除去するために、CMPまたはエッチングなどの平坦化プロセスを実施することができる。
【0065】
図6Dは、いくつかの実施態様による、
図6Cの平坦化プロセスに続く例示的なエッチングバックプロセスの断面概略図を示す。平坦化プロセスまたはギャップフィルプロセスの後、エッチングバックプロセスを実施し、複数のMRAM層650、660、および670に対して、または少なくとも第1の磁性層650に対して選択的にギャップフィル誘電体材料680を除去する。いくつかの実施態様では、エッチングバックプロセスは、ハードマスク層に対して選択的にギャップフィル誘電体材料680を除去する。エッチングバックプロセスは、ドライエッチングまたはウェットエッチングであり得る。ドライエッチングは、プラズマエッチングであり得る。エッチングバックプロセスを実施し、下層630よりも上のエッチング深さまでギャップフィル誘電体材料680を除去することができる。いくつかの実施態様では、エッチングバックプロセスを実施し、トンネルバリア層670の深さよりもわずかに上のエッチング深さまでギャップフィル誘電体材料680を除去することができる。具体的には、エッチングバックプロセスは、トンネルバリア層670と第1の磁性層650との間の界面よりもわずかに上のエッチング深さまで実施され得る。例えば、残りのギャップフィル誘電体材料680は、トンネルバリア層670の上面から数ナノメートル上にあるエッチング深さにあり得る。このように、トンネルバリア層670は、エッチングバックプロセスに曝されない。しかし、共形堆積プロセスを伴ういくつかの実施態様は、このエッチングバックまたは平坦化プロセスを必要としない場合があることが理解されよう。
【0066】
図5に戻ると、プロセス500のブロック530において、イオンビームエッチングが実施され、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に堆積されたギャップフィル誘電体材料および導電性材料の少なくとも一部が除去される。下層の上にギャップフィル誘電体材料を形成した後のイオンビームエッチングは、パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するように機能する。パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するためのイオンビームエッチングは、トンネルバリア層の深さよりも下のエッチング深さまでギャップフィル誘電体材料を除去することができる。いくつかの実施態様では、トンネルバリア層の深さよりも下のエッチング深さは、下層の深さに達しない。パターニングされたMRAMスタックの側壁を洗浄するためのイオンビームエッチングは、「オーバーエッチング」、「トリムエッチング」、「IBEトリムエッチング」、「側壁洗浄エッチング」、または「低電力トリムエッチング」と呼ばれることもある。
【0067】
パターニングされたMRAMスタックの側壁上に堆積される材料は、金属または導電性材料を含み得る。金属または導電性材料は、ブロック510でメインエッチングを実施するときにスパッタされ、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に再堆積され得る。言い換えると、メインエッチングの後、バックスパッタされて損傷を受ける可能性のある材料が、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に位置し得る。いくつかの実施態様では、一部の金属は、ハードマスク層または電極層からのW、Ta、Ti、またはTiNを含み得、一部の金属は、第1または第2の磁性層からのCo、Ni、Pt、またはFeを含み得る。金属または導電性材料は、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に不要な残留物を形成し、MTJスタックの電気的および磁気的性質を低下させる可能性がある。イオンビームエッチングがブロック530で実施され、イオンビームエッチングは、不要な残留物を除去するために、低出力で最適化された入射角で実施される。
【0068】
パターニングされたMRAMスタックの側壁上に再堆積された材料を除去するためのイオンビームエッチングの場合、不活性ガスを含むガス混合物を使用して、イオンビーム源チャンバからイオンビームを生成することができる。いくつかの実施態様では、ガス混合物は、化学/反応性成分による材料エッチングを増加させるために、1つまたは複数の反応性ガスを含み得る。いくつかの実施態様では、ガス混合物は、反応性ガスを含まないか、または実質的に含まない。パターニングされたMRAMスタックの側壁上に再堆積された材料を除去するためのイオンビームエッチングは、比較的低い電圧で実施することができる。いくつかの実施態様では、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に再堆積された材料を除去するためのエッチングは、約20eV~約400eVのエネルギーを有するイオンビームを基板に適用することを含み得る。IBEトリムエッチングは、メインエッチングと比較して、不要な残留物を除去するために低イオンエネルギーで実施することができる。いくつかの実施態様では、IBEトリムエッチングは、約1分以上、3分以上、5分以上、または10分以上で実施することができる。いくつかの実施態様では、IBEトリムエッチングは、基板の回転の有無にかかわらず、第1および第2の方向を交互に実施することができる。MTJ層のイオン誘起混合の影響を低減するためのトリミングには、低イオンエネルギーが望ましい。
【0069】
いくつかの実施態様では、IBEトリムエッチングは、
図3で説明されているイオンビームエッチング装置などのイオンビームエッチング装置で実施され得る。IBEトリムエッチングは、ギャップフィルに続いて、平坦化に続いて、またはエッチングバックに続いて実施されてもよい。いくつかの実施態様では、IBEトリムエッチングおよびギャップフィルは、統合ツールまたはマルチステーション処理ツールによって実施され得る。ブロック520でのギャップフィルおよびブロック530でのIBEトリムエッチングの動作は、動作の間に真空破壊を導入することなく実施することができる。いくつかの実施態様では、ブロック510でのメインエッチング、ブロック520でのギャップフィル、およびブロック530でのIBEトリムエッチングの動作は、動作の間に真空破壊を導入することなく実施することができる。
【0070】
金属および他の導電性材料は、IBEトリムエッチング中に露出されないことが好ましい。残りのギャップフィル誘電体材料は、IBEトリムエッチング中のエッチングフロントとして機能するため、金属または導電性材料のバックスパッタリングが大幅に減少する。代わりに、ギャップフィル誘電体材料のエッチングフロントを使用すると、誘電体材料のバックスパッタリングがMTJスタックの電気的および磁気的性質に悪影響を及ぼすことはない。IBEトリムエッチングは、下層へのエッチングをせずに、トンネルバリア層と第2の磁性層との間の界面よりも下のエッチング深さまでギャップフィル誘電体材料を除去することができる。これにより、ブロック510でのメインエッチングからの最初のエッチングフロントが維持され、下層への凹みまたは著しい凹みが防止される。
【0071】
いくつかの実施態様では、IBEトリムエッチングにより、パターニングされたMRAMスタックの露出した側壁上に堆積された材料が除去される。パターニングされたMRAMスタックの露出した側壁は、パターニングされたMRAMスタックの側壁上に堆積された金属または導電性材料を含まないか、または実質的に含まない。側壁が十分に清浄であると見なされるときの閾値は、MRAMデバイスの短絡性能によって設定することができる。これは、すべてのデバイスの中で短絡したデバイスの比率として測定される。典型的には、100万個に1つ以下のデバイスのみが短絡することになる。したがって、残りの残留物は、MRAMデバイスのオフ状態抵抗への影響を最小限に抑えるのに十分な薄さである。例えば、再堆積された導電性材料に関して「実質的に含まない」とは、約1.5nm未満、約1.0nm未満、または約0.5nm未満の堆積厚さを指すことができる。したがって、IBEトリムエッチング後にトンネルバリア層上に再堆積される導電性材料は、無視することができるか、またはゼロである。IBEトリムエッチングは、不要な材料を除去するのに十分な時間実施することができるため、パターニングされたMRAMスタックの露出した側壁は、再堆積された導電性材料を含まないか、または実質的に含まない。
【0072】
図6Eは、いくつかの実施態様による、
図6Dのエッチングバックプロセスに続く例示的なIBEトリムエッチングプロセスの断面概略図を示す。残りのギャップフィル誘電体材料680は、IBEトリムエッチングプロセス中のエッチングフロントとして機能する。IBEトリムエッチングプロセス中、イオンビーム625が、比較的低いイオンエネルギーおよび最適化された入射角で提供され、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの側壁を洗浄する。イオンビーム625は、IBEトリムエッチングプロセスが進行するにつれて、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの側壁から残留物605を除去する。イオンビーム625からのスパッタされた原子および/または分子675は、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの側壁に向けられ得る。しかし、スパッタされた原子および/または分子675は、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの性質に悪影響を及ぼさない、残りのギャップフィル誘電体材料680からの誘電体材料を含む。IBEトリムエッチングプロセスは、トンネルバリア層670の深さよりも下であり、下層630よりも上であるエッチング深さまで進行する。いくつかの実施態様では、IBEトリムエッチングプロセスは、下層630内に著しく進行しない。パターニングされたMRAMスタック620a、620bの露出した側壁は、導電性材料または磁性材料を含む残留物605を含まない。
【0073】
いくつかの実施態様では、プロセス500は、ブロック530でIBEトリムエッチングを実施した後、パターニングされたMRAMスタックの少なくとも露出した側壁上にカプセル化材料を共形的に堆積することをさらに含む。カプセル化材料は、窒化ケイ素などの適切な誘電体材料を含み得る。カプセル化材料は、空気に曝される可能性のあるトンネルバリア層への損傷を防止または最小限に抑えるために堆積され得る。
【0074】
図6Fは、いくつかの実施態様による、
図6EのIBEトリムエッチングプロセスに続く例示的なカプセル化プロセスの断面概略図を示す。カプセル化層690が、窒化ケイ素などの誘電体材料を含み、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの露出面上に共形的に堆積される。カプセル化層690は、パターニングされたMRAMスタック620a、620bの側壁に沿って共形的に堆積され、トンネルバリア層670を周囲環境への曝露から少なくとも保護するように機能する。
【0075】
図7は、いくつかの実施態様による、堆積およびイオンビームエッチングプロセスを実施するための例示的な処理システムのブロック図を示す。処理システム700は、1つまたは複数のプロセスステーションを備えたマルチステーション処理ツールであり得る。処理システム700は、インバウンドロードロック702およびアウトバウンドロードロック704を含み得、これらのいずれかまたは両方がプラズマ生成源を含み得る。ロボット706が、大気圧において、ポッド708を通してロードされたカセットから、大気圧ポート710を介してインバウンドロードロック702に基板を移動させるように構成される。基板は、ロボット706によって、インバウンドロードロック702内の台座712上に載置され、大気圧ポート710が閉じられ、ロードロック702がポンプダウンされる。処理チャンバ714へのチャンバ搬送ポート716が開かれ、別のロボットとして機能する別の基板取り扱いシステム718が、処理のために処理ステーション780、782の1つ、または処理ステーション790へのローディングステーションに基板を載置する。
図7に図示される実施態様はロードロックを含んでいるが、いくつかの実施態様では、処理ステーションに基板を直接進入させてもよいことを理解されたい。
【0076】
図示の処理チャンバ714は、3つの処理ステーション780、782、および790を含む。処理ステーション790は、取り外し可能なモジュールであり得、一度に複数の基板を処理するのに適し得る。この例では、処理ステーション790は、
図7に示す実施態様において1から4まで番号が付けられた4つのサブステーションを含む。
【0077】
各処理ステーション(780、782、ならびに1、2、3、および4の各々)は、加熱台座と、ガスライン入口とを有することができる。いくつかの実施態様では、各処理ステーションは、異なる目的または複数の目的を有し得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施態様では、処理ステーション780は、基板上にギャップフィル誘電体材料を堆積するために使用され得、堆積技術は、CVD、PECVD、または他の適切な堆積技術であり得る。いくつかの実施態様では、処理ステーション782は、IBEによるメインエッチングを実施するために使用することができ、処理ステーション790は、IBEトリムエッチングを実施するために使用することができる。いくつかの他の実施態様では、処理ステーション790は、メインエッチングとIBEトリムエッチングの両方のイオンビームエッチングを実施するために使用されてもよい。処理ステーション782は、CMP、選択的エッチングバック、またはCVD/PECVD/PVDなどの他のプロセスを実施するために使用され得る。いくつかの実施態様では、処理ステーション790は、複数のIBEトリムエッチングプロセスまたは他のプロセスを実施するための複数のサブステーション1~4を有することができる。IBEトリムエッチングは、メインエッチングおよび堆積プロセスよりも時間がかかる場合がある。図示の処理ステーション790は4つのサブステーションを含むが、本開示による処理ステーションは、任意の適切な数のサブステーションを含み得ることが理解されよう。加えて、処理システム700は3つの処理ステーション(780、782、および790)を含むが、いくつかの実施態様では、各ステーションが取り外し可能または修正可能なモジュールであり得るため、装置は3つよりも多いまたは少ない数のステーションを含み得ることが理解されよう。例えば、いくつかの実施態様では、処理システム700は4つ以上のステーションを有し得るが、いくつかの他の実施態様では、処理システム700は2つ以下のステーションを有し得る。いくつかの実施態様では、CMPなどの平坦化プロセスを実施するために、追加の処理ステーションを使用することができる。いくつかの実施態様では、選択的エッチングバックを実施してギャップフィル誘電体材料を除去するために、追加の処理ステーションを使用することができる。
【0078】
いくつかの実施態様では、処理システム700は、IBE(メインエッチングおよびトリムエッチング)およびCVD/PECVD/PVDを実施するための統合されたマルチステーション処理ツールであり得る。例えば、処理ステーション780、782、および790は、メインエッチング、ギャップフィル、トリムエッチング、およびカプセル化動作を実施するために使用することができる。メインエッチング、ギャップフィル、トリムエッチング、およびカプセル化の動作は、動作の間に真空破壊を導入することなく行うことができる。平坦化(例えば、CMP)および/または選択的エッチングバック(例えば、プラズマエッチング)の追加の動作は、別個のツールまたは統合されたマルチステーション処理ツールで実施され得る。このような動作は、MTJスタックのトンネルバリア層が平坦化または選択的エッチングバック中に空気または周囲環境に曝されないので、別個のツールで実施され得ることを理解されたい。トンネルバリア層は、平坦化または選択的エッチングバック中にギャップフィル誘電体材料によって保護される。
【0079】
図7は、処理システム700内で基板を移送するための基板取り扱いシステム718を示す。いくつかの実施態様では、基板取り扱いシステム718は、様々な処理ステーション間および/または処理ステーションとロードロックとの間で基板を移送することができる。加えて、処理ステーション790は、基板を別のローディングステーション762から処理ステーション790に移動するために使用される別個の基板取り扱いシステム760を含むことができる。任意の適切な基板取り扱いシステムが用いられ得ることを理解されたい。非限定的な例として、基板カルーセルおよび基板取り扱いロボットが挙げられる。
【0080】
様々な実施態様において、様々なステーションの統合により、フットプリント削減の懸念に対処することができ、様々なステーションの統合により、真空破壊を導入することなく動作の間で基板を効率的に移送することができる。
図7はまた、処理システム700のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステム制御部750の一実施態様を図示する。システム制御部750は、1つまたは複数のメモリデバイス756と、1つまたは複数の大容量記憶デバイス754と、1つまたは複数のプロセッサ752とを含むことができる。システム制御部750の態様は、
図3に関して上で説明されている。ツールによって実施される1つまたは複数の処理ステップに応じて、システム制御部950は、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別の制御部、またはツール場所に対して基板の容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0081】
図8は、いくつかの実施態様による、堆積およびイオンビームエッチングプロセスを実施するための例示的な処理システムの代替のブロック図を示す。処理システム800は、移送モジュール803を含む。移送モジュール803は、基板が様々なリアクタモジュール間を移動するときに処理される基板の汚染のリスクを最小限に抑えるために、清浄な加圧環境を提供する。移送モジュール803には、マルチステーションリアクタ807、808、および809が取り付けられており、この文脈では、リアクタまたはツールモジュールまたは単にモジュールと呼ばれ、各々がイオンビームエッチングおよび/または堆積を実施することが可能である。リアクタ807、808、および809は、開示された実施態様に従って動作を順次または非順次に実施することができる複数のステーション811、813、815、および817を含むことができる。ステーション811、813、815、および817は各々、加熱台座もしくは基板支持体、1つまたは複数のガス入口もしくはシャワーヘッド、または分散プレートを含み得る。モジュール807、808、および809のうちの1つまたは複数は、イオンビームエッチングを実施することが可能であり得、イオンビームエッチングは、メインエッチングおよび/またはトリムエッチングを実施するために使用され得る。したがって、モジュール807、808、および809のうちの1つまたは複数は、
図3で上に説明したように、イオンビーム源チャンバおよび処理チャンバを備えたイオンビームエッチング装置を含み得る。モジュール807、808、および809のうちの別の1つまたは複数は、CVD/PECVD/PVDなどの堆積動作を実施することが可能であり得る。したがって、メインエッチング、ギャップフィル、トリムエッチング、およびカプセル化の動作は、動作の間に真空破壊を導入することなく行うことができる。
【0082】
処理システム800はまた、1つまたは複数の基板ソースモジュール801を含み得、基板は、処理の前後に格納される。大気圧ロボット804および大気移送チャンバ819は、最初に基板をソースモジュール801から取り外してロードロック821に移送することができる。移送モジュール803内の第2の基板移送デバイス(一般的には、ロボットアームユニット)805は、加圧(例えば、真空)環境において、基板をロードロック821から移送モジュール803に取り付けられたモジュールに移動させたり、モジュール間で移動させたりする。
【0083】
様々な実施態様において、システム制御部829は、処理中のプロセス条件および活動を制御するために用いられる。システム制御部829は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含む。システム制御部829の態様は、
図3に関して上で説明されている。ツールによって実施される1つまたは複数の処理ステップに応じて、システム制御部829は、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別の制御部、またはツール場所に対して基板の容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0084】
図9は、いくつかの実施態様による平坦化および/またはエッチングプロセスを実施するための例示的な処理システムのブロック図を示す。処理システム700および800は、イオンビームエッチングおよび堆積を実施するための統合されたマルチステーション処理ツールであり得、平坦化および/または選択的エッチングプロセスを実施するために基板を処理システム900に移送し得る。
【0085】
処理システム900は、真空移送モジュール938(VTM)を含み得る。複数の保管施設および処理モジュール間で基板を移送するための移送モジュールの配置は、「クラスタツールアーキテクチャ」システムと呼ばれることもある。ロードロックまたは移送モジュールとしても知られるエアロック930は、様々な動作を実施するために個々に最適化され得る4つの処理モジュール920a、920b、920c、および920dを備えた真空移送モジュール938に示されている。例として、処理モジュール920a、920b、920c、および920dのうちの1つまたは複数は、選択的エッチングを実施するために実装され得る。処理モジュール920a、920b、920c、および920dのうちの1つまたは複数は、CMPなどの平坦化プロセスを実施するために実装され得る。いくつかの実施態様では、処理モジュール920a、920b、920c、および920dのうちの1つまたは複数は、イオンビームエッチングまたは堆積を実施するために実装されてもよい。エアロック930および処理モジュール920a、920b、920c、および920dは、「ステーション」と呼ばれることもある。各ステーションは、ステーションを真空移送モジュール938にインターフェースするファセット936を有する。各ファセット936の内部では、センサ1~18を使用して、それぞれのステーション間を移動するときに基板926の通過を検出する。
【0086】
ロボット922を使用して、ステーション間で基板926を移送することができる。一実施態様では、ロボット922は1つのアームを有し、別の実施態様では、ロボット922は2つのアームを有し、各アームは、搬送のために基板926などの基板を選択するためのエンドエフェクタ924を有する。大気移送モジュール(ATM)940内のフロントエンドロボット932は、基板926をカセットから、またはロードポートモジュール(LPM)942内のフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)934からエアロック930に移送するために使用される。処理モジュール920a、920b、920c、および920d内のモジュール中心928は、基板926を載置するための1つの場所である。ATM940内のアライナ944は、基板を位置合わせするために使用される。
【0087】
例示的な処理方法では、基板は、LPM942内のFOUP934の1つに載置される。フロントエンドロボット932は、基板をFOUP934からアライナ944に移送し、これにより、基板926は、エッチングまたは処理される前に適切に中心に置かれることが可能である。位置合わせされた後、基板926は、フロントエンドロボット932によってエアロック930内に移動される。エアロックモジュールはATMとVTMとの間の環境を一致させることができるので、基板926は、損傷を受けることなく2つの圧力環境の間を移動することができる。エアロック930から、基板926は、ロボット922によって真空移送モジュール938を通って、処理モジュール920a、920b、920c、および920dのうちの1つに移動される。この基板の移動を達成するために、ロボット922は、そのアームの各々にエンドエフェクタ924を使用する。基板926が処理されると、基板926は、ロボット922によって処理モジュール920a、920b、920c、および920dからエアロック930に移動される。ここから、基板926は、フロントエンドロボット932によってFOUPの1つまたはアライナ944に移動され得る。
図3に関して上で説明した制御部は、
図9のツールを使用して実装することができる。ツールによって実施される1つまたは複数の処理ステップに応じて、制御部は、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別の制御部、またはツール場所に対して基板の容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0088】
結論
前述の説明では、提示された実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載されている。開示された実施形態は、これらの特定の詳細の一部またはすべてなしで実施されてもよい。他の例では、周知のプロセス動作は、開示された実施形態を不必要に不明瞭にしないために詳細に説明されていない。開示された実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されているが、開示された実施形態を限定することを意図していないことが理解されよう。
【0089】
前述の実施形態は、明確な理解のために多少詳しく説明されてきたが、一定の変更および修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実施されてもよいことは明らかであろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置の実施には多くの別の方法があることに注意されたい。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、それらの実施形態は本明細書に述べられる詳細に限定されるべきではない。
【国際調査報告】