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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】放射測定システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220414BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20220414BHJP
   G01J 9/02 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G01J3/26
G01J9/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544730
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2020051861
(87)【国際公開番号】W WO2020173635
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】19159180.9
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドフリード,ヘルマン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】オプト ルート,ウィルヘルムス,パトリック,エリザベス,マリア
【テーマコード(参考)】
2G020
2H197
【Fターム(参考)】
2G020AA05
2G020BA20
2G020CB06
2G020CB23
2G020CC23
2G020CC63
2G020CD04
2G020CD14
2G020CD24
2G020CD36
2H197AA05
2H197CA03
2H197CA06
2H197CA10
2H197DB03
(57)【要約】
放射ビーム(210)を受け取り、及び放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビーム(215)を出力するように構成された光学装置(205)と、調節された放射ビームを受け取り、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータ(220)と、を含む放射測定システム(200)。放射測定システムは、リソグラフィ装置の一部を形成し得る。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームを受け取り、前記放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームを出力するように構成された光学装置と、
前記調節された放射ビームを受け取り、前記調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータと、
を含む、放射測定システム。
【請求項2】
前記スペクトロメータが、前記調節された放射ビームを干渉計自体と干渉させ、干渉パターンを生じさせるように構成された前記干渉計を含み、前記干渉パターンの1つ又は複数の特徴が、前記スペクトル成分を示す、請求項1に記載の放射測定システム。
【請求項3】
前記干渉計が、投影システムと、前記投影システムの対物面に、又は前記対物面に近接して位置付けられた干渉素子とを含む、請求項2に記載の放射測定システム。
【請求項4】
前記干渉素子が、少なくとも1つのエタロンを含む、請求項3に記載の放射測定システム。
【請求項5】
前記スペクトロメータが、前記投影システムの前記対物面における複数の位置で、前記調節された放射ビームの前記スペクトル成分を決定するように動作可能である、請求項3又は4に記載の放射測定システム。
【請求項6】
前記スペクトロメータが、前記干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成された少なくとも1つの放射センサを含む、請求項2~5の何れか一項に記載の放射測定システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの放射センサから前記干渉パターンの前記空間強度分布を示す信号を受信し、前記信号及び前記干渉計のスペクトル特性を使用して、前記調節された放射ビームの前記スペクトル成分を決定するように構成されたプロセッサをさらに含む、請求項6に記載の放射測定システム。
【請求項8】
前記プロセッサが、
前記調節された放射ビームのスペクトル強度分布、
前記調節された放射ビームの帯域幅、
前記調節された放射ビームの中心波長、
前記調節された放射ビームの前記帯域幅の空間分布、及び
前記調節された放射ビームの前記中心波長の空間分布、
のうちの少なくとも1つを決定するように構成される、請求項7に記載の放射測定システム。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記調節された放射ビームのスペックルに対する、前記調節された放射ビームの前記スペクトル成分の寄与を決定するようにさらに構成される、請求項7又は8に記載の放射測定システム。
【請求項10】
前記投影システムの前記対物面の複数の位置における前記スペクトル成分を使用して、前記調節された放射ビームの空間チャープを決定するように構成されたプロセッサをさらに含む、請求項5に記載の放射測定システム。
【請求項11】
光学装置が放射ビームの強度分布を変更した後に、前記放射ビームのスペクトル成分を決定する方法であって、
干渉計を使用して、前記放射ビームを前記干渉計自体と干渉させて干渉パターンを生じさせることであって、前記干渉パターンの1つ又は複数の特徴が前記スペクトル成分を示す、ことと、
前記干渉パターンの空間強度分布を検出することと、
前記干渉パターンの前記空間強度分布及び前記干渉計のスペクトル特性を使用して、前記放射ビームの前記スペクトル成分を決定することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記光学装置の対物面に、又は前記対物面に近接して前記干渉計の干渉素子を位置付けることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光学装置の前記対物面における複数の位置で前記スペクトル成分を決定するステップ、
前記対物面における、又は前記対物面に近接した異なる複数の位置から生じる前記干渉パターンの空間強度分布を検出するステップ、
前記調節された放射ビームの前記スペクトル強度分布を使用して、前記調節された放射ビームの帯域幅を決定するステップ、
前記調節された放射ビームの前記スペクトル強度分布を使用して、前記調節された放射ビームの中心波長を決定するステップ、
前記調節された放射ビームの前記帯域幅の空間分布を決定するステップ、及び
前記調節された放射ビームの前記中心波長の空間分布を決定するステップ、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記調節された放射ビームの前記帯域幅を使用して、前記調節された放射ビームのスペックルに対する、前記調節された放射ビームの前記スペクトル成分の寄与を決定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光学装置の前記対物面における複数の位置で前記スペクトル成分を使用して、前記調節された放射ビームの空間チャープを決定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照によって完全な形で本明細書に組み込まれている、2019年2月25日に出願された欧州特許出願第19159180.9号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002] 本発明は、放射測定システムに関する。放射測定システムは、リソグラフィ装置において、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に施すように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターン(「デザインレイアウト」又は「デザイン」と呼ばれることも多い)を、基板(例えば、ウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれて、トランジスタなどの機能素子のデバイス当たりの量が、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる動向に従って、何十年にもわたり、絶え間なく増加している一方で、回路素子の寸法は、継続的に縮小している。ムーアの法則に遅れをとらないために、半導体産業は、より小さなフィーチャの作製を可能にする技術を追い求めている。パターンを基板上に投影するために、リソグラフィ装置は、電磁放射を使用し得る。この放射の波長は、少なくとも部分的に、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている一般的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm、及び13.5nmである。4nm~20nmの範囲内の波長(例えば、6.7nm又は13.5nm)を有する極端紫外線(EUV)放射を用いるリソグラフィ装置は、例えば、193nmの波長を有する放射を用いるリソグラフィ装置と比較して、より小さなフィーチャを基板上に形成するために使用され得る。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置内で基板(例えば、レジストで覆われたウェーハ)に届けられる放射のドーズに対する正確な制御を提供することが望ましい。本明細書で特定されたものであれ、他で特定されたものであれ、先行技術の1つ又は複数の問題を除去又は軽減する放射測定システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本発明の第1の態様によれば、放射ビームを受け取り、及び放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームを出力するように構成された光学装置と、調節された放射ビームを受け取り、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータと、を含む、放射測定システムが提供される。
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様による放射測定システムは、これより述べるように、有利である。光学装置は、何らかの目的で、放射ビームを調節するため(例えば、放射の角度及び/又は空間強度分布を制御するために)使用され得る。例えば、光学装置は、放射ビームがマスク又はレチクルに入射する前に、放射ビームを調節するように構成され得るリソグラフィ装置の照明システムでもよい。本発明の発明者らは、放射ビームのこのような調節が、放射ビームのスペクトルに影響を与え得ることに気付いた。すなわち、調節された放射ビームのスペクトル成分は、光学装置によって受け取られる放射ビームのスペクトル成分とは異なり得る。有利に、スペクトロメータは、調節された放射ビームを受け取り、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能であり、従って、調節された放射のスペクトル(例えば、中心波長及び/又は帯域幅)を、それが上記目的に使用される前に、決定することができる。例えば、調節された放射が、基板(例えば、シリコンウェーハ)上にレチクル又はマスクの像を形成するために使用される実施形態の場合、スペクトル成分は、基板の部分によって受け取られる放射のドーズを制御するために使用され得る。
【0008】
[0008] スペクトロメータは、調節された放射ビームを干渉計自体と干渉させ、干渉パターンを生じさせるように構成された干渉計を含んでもよく、干渉パターンの1つ又は複数の特徴は、スペクトル成分を示す。
【0009】
[0009] 干渉計は、投影システムと、投影システムの対物面に、又はそれに近接して位置付けられた干渉素子とを含み得る。
【0010】
[00010] 投影システムは、投影システムの対物面に配置された物体の像を形成するように構成され得る。
【0011】
[00011] 干渉素子は、エタロンを含み得る。
【0012】
[00012] ほとんどの他の干渉素子と比較して、エタロンは、干渉パターンが展開する、及び放射の結果として生じる角度分布が目に見える、大幅に小さい空間を有利に必要とする。
【0013】
[00013] 干渉素子は、投影システムの対物面における、又はそれに近接した異なる複数の位置に配置された複数のエタロンを含み得る。
【0014】
[00014] スペクトロメータは、投影システムの対物面における複数の位置で、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能であり得る。
【0015】
[00015] スペクトロメータは、干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成された放射センサを含み得る。
【0016】
[00016] 放射センサは、CCD又はCMOSカメラなどの像センサでもよい。
【0017】
[00017] 放射センサは、対物面のフーリエ変換面に配置され得る。このフーリエ変換面は、瞳面と呼ばれることがある。
【0018】
[00018] 放射測定システムは、対物面と放射センサとの間の相対移動を生じさせるように構成された作動システムをさらに含み得る。
【0019】
[00019] スペクトロメータは、対物面に対して異なる複数の位置に配置された複数の放射センサを、各放射センサが対物面上の異なる位置から生じる干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成されるように含み得る。
【0020】
[00020] 放射測定システムは、放射センサから干渉パターンの空間強度分布を示す信号を受信し、この信号及び干渉計のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように構成されたプロセッサをさらに含み得る。
【0021】
[00021] 例えば、放射センサの面における位置(例えば、半径位置)は、干渉素子の面における角度に対応し得る。(例えば、干渉パターンの円形フリンジによって表されるような)半径位置の分布は、干渉素子の面における角度分布に変換され得る。次に、干渉素子の面における角度分布は、干渉計のスペクトル特性(すなわち、透過性材料の屈折率n及びエタロンの反射面間の距離d)を用いた干渉条件(2ndcosθ=mλ)を使用して、スペクトル分布に変換され得る。例えば、プロセッサは、対物面の単一点に関してスペクトル成分を決定し得る。
【0022】
[00022] プロセッサは、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を決定するように構成され得る。
【0023】
[00023] プロセッサは、調節された放射ビームの帯域幅を決定するように構成され得る。
【0024】
[00024] 例えば、帯域幅は、E95帯域幅でもよい。E95帯域幅は、スペクトルエネルギー全体の95%が調節された放射ビームに存在するスペクトル幅に対応し得る。
【0025】
[00025] プロセッサは、調節された放射ビームの中心波長を決定するように構成され得る。
【0026】
[00026] プロセッサは、調節された放射ビームの帯域幅の空間分布を決定するようにさらに構成され得る。
【0027】
[00027] 例えば、空間分布は、対物面(例えば、対物面の異なるx及びy座標における帯域幅)にわたり得る。
【0028】
[00028] プロセッサは、調節された放射ビームの中心波長の空間分布を決定するようにさらに構成され得る。
【0029】
[00029] 例えば、空間分布は、対物面(例えば、対物面の異なるx及びy座標における帯域幅)にわたり得る。
【0030】
[00030] プロセッサは、調節された放射ビームのスペックルに対する、調節された放射ビームの帯域幅の寄与を決定するようにさらに構成され得る。
【0031】
[00031] 放射測定システムは、投影システムの対物面の複数の位置におけるスペクトル成分を使用して、調節された放射ビームの空間チャープを決定するように構成されたプロセッサをさらに含み得る。
【0032】
[00032] 本発明の第2の態様によれば、放射ビームを受け取り、及び放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームを出力するように構成された照明システムと、レチクルが、調節された放射ビームを受け取り、及び調節された放射ビームの断面にパターンを付与するように配置されるように、リソグラフィ装置の対物面において、又はそれに近接してレチクルを支持するためのサポート構造と、基板を支持するための基板テーブルと、パターンを基板上に投影するように構成された投影システムと、調節された放射ビームを受け取り、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータと、を含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0033】
[00033] 上記照明システムは、本発明の第1の態様による光学装置と見なされ得る。上記スペクトロメータは、本発明の第1の態様によるスペクトロメータと見なされ得る。本発明の第1の態様に関連して述べられた利点は、ここでも実現され得る。例えば、空間像のコントラストが向上し、結像性能の向上がもたらされ得る。空間像のコントラストは、(例えば、基準光学系を用いて決定された)基準値と実質的に合致され得る。
【0034】
[00034] スペクトロメータは、調節された放射ビームを干渉計自体と干渉させ、干渉パターンを生じさせるように構成された干渉計を含んでもよく、干渉パターンの1つ又は複数の特徴は、スペクトル成分を示す。
【0035】
[00035] 干渉計は、投影システムの対物面に、又はそれに近接して位置付けられた干渉素子を含み得る。
【0036】
[00036] 干渉素子は、エタロンを含み得る。
【0037】
[00037] 干渉素子は、投影システムの対物面における、又はそれに近接した異なる複数の位置に配置された複数のエタロンを含み得る。
【0038】
[00038] スペクトロメータは、投影システムの対物面における複数の位置で、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能であり得る。
【0039】
[00039] スペクトロメータは、干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成された放射センサを含み得る。
【0040】
[00040] リソグラフィ装置は、対物面と放射センサとの間の相対移動を生じさせるように構成された作動システムをさらに含み得る。
【0041】
[00041] スペクトロメータは、対物面に対して異なる複数の位置に配置された複数の放射センサを、各放射センサが対物面上の異なる位置から生じる干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成されるように含み得る。
【0042】
[00042] リソグラフィ装置は、放射センサから干渉パターンの空間強度分布を示す信号を受信し、この信号及び干渉計のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように構成されたプロセッサをさらに含み得る。
【0043】
[00043] プロセッサは、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を決定するように構成され得る。
【0044】
[00044] プロセッサは、調節された放射ビームの帯域幅を決定するように構成され得る。
【0045】
[00045] プロセッサは、調節された放射ビームの中心波長を決定するように構成され得る。
【0046】
[00046] プロセッサは、調節された放射ビームの帯域幅の空間分布を決定するようにさらに構成され得る。
【0047】
[00047] プロセッサは、調節された放射ビームの中心波長の空間分布を決定するようにさらに構成され得る。
【0048】
[00048] プロセッサは、調節された放射ビームの帯域幅を使用して、調節された放射ビームのスペックルに対する、調節された放射ビームのスペクトル成分(例えば、帯域幅)の寄与を決定するようにさらに構成され得る。
【0049】
[00049] リソグラフィ装置は、投影システムの対物面の複数の位置におけるスペクトル成分を使用して、調節された放射ビームの空間チャープを決定するように構成されたプロセッサをさらに含み得る。
【0050】
[00050] 干渉素子は、レチクルの一部を形成し得る。
【0051】
[00051] レチクルは、干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含み得る。
【0052】
[00052] 干渉素子は、サポート構造の一部を形成し得る。これは、利用可能な別個のレチクルを有する必要性を有利に回避する。また、これは、レチクルを交換する必要性がないことによる可用性の向上によって、リソグラフィ装置のスループットを有利に増加させる。
【0053】
[00053] サポート構造は、干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含み得る。
【0054】
[00054] 放射センサは、基板テーブル上に位置し得る。
【0055】
[00055] リソグラフィ装置は、スペクトル成分に基づいて、リソグラフィ装置のコンポーネントを制御するように構成されたコントローラをさらに含み得る。
【0056】
[00056] 例えば、コントローラは、レーザ源、及び/又は投影システムの1つ又は複数の光学素子(例えば、レンズ)を制御し得る。
【0057】
[00057] 本発明の第3の態様によれば、リソグラフィ装置用のレチクルであって、エタロンを含むレチクルが提供される。
【0058】
[00058] これは、さらなる変更を必要とせずに、リソグラフィ装置の大多数に簡単に組み込まれること、又は後付けされることが可能なほど小さいサイズの、調節されたビームのスペクトル測定のための干渉計を有利に提供する。
【0059】
[00059] レチクルは、エタロンによって生成される干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含み得る。
【0060】
[00060] レチクルは、複数のエタロンを含み得る。
【0061】
[00061] レチクルは、各エタロンによって生成される干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含み得る。
【0062】
[00062] 本発明の第4の態様によれば、リソグラフィ装置の対物面において、又はそれに近接してレチクルを支持するように構築されたサポート構造であって、エタロンを含むサポート構造が提供される。
【0063】
[00063] これは、さらなる変更を必要とせずに、リソグラフィ装置の大多数に簡単に組み込まれること、又は後付けされることが可能なほど小さいサイズの、調節されたビームのスペクトル測定のための干渉計を有利に提供する。
【0064】
[00064] サポート構造は、エタロンによって生成される干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含み得る。
【0065】
[00065] サポート構造は、複数のエタロンを含み得る。
【0066】
[00066] サポート構造は、各エタロンによって生成される干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含み得る。
【0067】
[00067] 本発明の第5の態様によれば、光学装置が放射ビームの強度分布を変更した後に、放射ビームのスペクトル成分を決定する方法であって、干渉計を使用して、放射ビームを干渉計自体と干渉させて干渉パターンを生じさせることであって、干渉パターンの1つ又は複数の特徴がスペクトル成分を示す、ことと、干渉パターンの空間強度分布を検出することと、干渉パターンの空間強度分布及び干渉計のスペクトル特性を使用して、放射ビームのスペクトル成分を決定することと、を含む、方法が提供される。
【0068】
[00068] 本方法は、光学装置の対物面に、又はそれに近接して干渉計の干渉素子を位置付けることをさらに含み得る。
【0069】
[00069] 干渉素子は、エタロンを含み得る。干渉計を使用することは、放射ビームをエタロンと相互作用させることを含み得る。
【0070】
[00070] 干渉素子は、複数のエタロンを含み得る。本方法は、光学装置の対物面における、又はそれに近接する異なる複数の位置にエタロンを配置させることをさらに含み得る。
【0071】
[00071] 本方法は、光学装置の対物面における複数の位置でスペクトル成分を決定することをさらに含み得る。
【0072】
[00072] 本方法は、対物面における、又はそれに近接した異なる複数の位置から生じる干渉パターンの空間強度分布を検出することをさらに含み得る。
【0073】
[00073] 本方法は、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビームの帯域幅を決定することをさらに含み得る。
【0074】
[00074] 本方法は、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビームの中心波長を決定することをさらに含み得る。
【0075】
[00075] 本方法は、調節された放射ビームの帯域幅の空間分布を決定することをさらに含み得る。
【0076】
[00076] 本方法は、調節された放射ビームの中心波長の空間分布を決定することをさらに含み得る。
【0077】
[00077] 本方法は、調節された放射ビームの帯域幅を使用して、調節された放射ビームのスペックルに対する、調節された放射ビームのスペクトル成分(例えば、帯域幅)の寄与を決定することをさらに含み得る。
【0078】
[00078] 本方法は、光学装置の対物面における複数の位置でスペクトル成分を使用して、調節された放射ビームの空間チャープを決定することをさらに含み得る。
【0079】
[00079] 本発明の第6の態様によれば、リソグラフィ装置を使用してリソグラフィ露光を行う方法であって、放射ビームを受け取ることと、放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームを形成することと、リソグラフィ装置の投影システムの対物面において、又はそれに近接して、サポート構造によって保持されるレチクルを使用して、調節された放射ビームの断面にパターンを付与することと、パターンを基板上に投影することと、本発明の第5の態様の方法を使用して決定された、調節された放射ビームのスペクトル成分に基づいて、リソグラフィ装置のコンポーネントを制御することと、を含む方法が提供される。
【0080】
[00080] 本方法は、異なるリソグラフィ装置を使用して、別のリソグラフィ露光を行うことをさらに含んでもよく、スペクトル成分は、2つのリソグラフィ装置間の性能の差を減少させるために使用される。
【0081】
[00081] 本発明によれば、第1のリソグラフィ装置の第1の近接バイアス曲線を測定すること、第1のリソグラフィ装置の調節された放射ビームの第1のスペクトル成分(又は特徴)を測定して、第1の帯域幅を決定すること、第2のリソグラフィ装置の第2の近接バイアス曲線を測定すること、第2のリソグラフィ装置の調節された放射ビームの第2のスペクトル成分を測定して、第2の帯域幅を決定すること、並びに第1の帯域幅及び第2の帯域幅の少なくとも一方を調節することの後に、第1のリソグラフィ装置が、第2のリソグラフィ装置に合致される方法が提供される。これによって、第1及び第2のリソグラフィ装置が、決定された帯域幅を用いて、第1及び第2の近接バイアス曲線によって合致される。
【0082】
[00082] 以下では、添付の概略図面を参照して、本発明の実施形態をあくまで例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】本発明のある実施形態による、スペクトロメータを含むリソグラフィ装置の概要を概略的に示す。
図2】本発明のある実施形態による、複数のエタロンを含む放射測定システムを概略的に示す。
図3】本発明のある実施形態による、たった1つのエタロンを有する放射測定システムを概略的に示す。
図4】本発明のある実施形態による、エタロンを含むレチクルを概略的に示す。
図5】本発明のある実施形態による、リソグラフィ装置において、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するために使用されるエタロンのシミュレーション結果を示すグラフである。
図6】本発明のある実施形態による、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を決定する方法のフローチャートである。
図7】本発明のある実施形態による、リソグラフィ装置を使用してリソグラフィ露光を行う方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0084】
[00083] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、あらゆるタイプの電磁放射を包含するように使用され、そのような電磁放射には、紫外線(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する極端紫外線)が含まれる。
【0085】
[00084] 本明細書で使用される「レチクル」、「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に作成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を、入射する放射ビームに提供するために使用可能な一般的なパターニングデバイスを意味するものとして広義に解釈され得る。これに関連して「ライトバルブ」という用語も使用される場合がある。古典的なマスク(透過型又は反射型のマスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)に加えて、他のそのようなパターニングデバイスの例として、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイがある。
【0086】
[00085] 図1は、本発明のある実施形態による、スペクトロメータを含むリソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された(イルミネータとも呼ばれる)照明システムILと、パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築されて、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスク支持部(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築されて、特定のパラメータに従って基板サポートを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板サポート(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
【0087】
[00086] 稼働中、照明システムILは、放射源SOから(例えば、ビーム送達システムBDを介して)放射ビームを受ける。照明システムILは、放射の誘導、整形及び/又は制御のために様々なタイプの光学コンポーネントを含み得、例えば屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型及び/又は他のタイプの光学コンポーネント又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。イルミネータILは、放射ビームBがパターニングデバイスMAの面において所望の空間強度分布及び角度強度分布をその断面に有するように、放射ビームBを調節するために使用され得る。イルミネータILは、放射ビームを受け取り、及び放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームBを出力するように構成された光学装置と呼ばれることがある。
【0088】
[00087] 本明細書で使用される「投影システム」PSという用語は、様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されたい。そのようなシステムには、使用されている露光放射の必要に応じて及び/又は他の要因(例えば、液浸液の使用又は真空の使用)の必要に応じて、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁型及び/又は静電光学型のシステム又はこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用されている場合、それらは、全てより一般的な用語である「投影システム」PSと同義であると見なされ得る。
【0089】
[00088] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を埋めるように、基板の少なくとも一部分が、屈折率が比較的高い液体(例えば、水)で覆われ得るタイプであり得、これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細については、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6952253号に示されている。
【0090】
[00089] リソグラフィ装置LAは、基板サポートWTが2つ以上あるタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)であってもよい。そのような「複数ステージ」マシンでは、それらの基板サポートWTは並行して使用されてよく、及び/又は、それらの基板サポートWTの一方に載っている基板Wが、その基板Wにパターンを露光することに使用されている間に、他方の基板サポートWTに載っている別の基板Wに対して、その別の基板Wのその後の露光の準備の手順が実施されてよい。
【0091】
[00090] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを含んでよい。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニング装置を保持するように構成されている。センサは、投影システムPSの特性、及び/又は放射ビームBの特性を測定するように構成されてよい。測定ステージは複数のセンサを保持してよい。クリーニング装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部、又は液浸液を供給するシステムの一部をクリーニングするように構成されてよい。基板サポートWTは、1つ又は複数の放射センサを保持するように配置され得る。基板サポートWT上の放射センサは、投影システムPSの特性、及び/又は放射ビームBの特性を測定するように配置され得る。
【0092】
[00091] スペクトロメータは、調節された放射ビームBを受け取り、調節された放射ビームBのスペクトル成分を決定するように動作可能である。スペクトロメータは、以下で、より詳細に説明される。
【0093】
[00092] 稼働中は、放射ビームBが、パターニングデバイス(例えば、マスク支持物MT上に保持されたマスクMA)に入射し、パターニングデバイスMA上にあるパターン(設計レイアウト)によってパターニングされる。放射ビームBは、マスクMAを横断した後、投影システムPSを通り抜け、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上にフォーカスさせる。第2のポジショナPW及び位置測定システムPMSの支援により、基板サポートWTは正確に動くことが可能であり、例えば、様々なターゲット部分Cが、放射ビームBの経路中のフォーカス及びアライメントされる位置に位置決めされるように正確に動くことが可能である。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めするために、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(これは図1に明示されていない)とが使用されてよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされてよい。基板アライメントマークP1、P2は、図示されたように専用ターゲット部分を占有するが、ターゲット部分間の空間に配置されてよい。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に配置される場合には、スクライブラインアライメントマークと呼ばれる。
【0094】
[00093] 本発明を明確にするために、デカルト座標系が使用される。デカルト座標系は、3つの軸、すなわち、X軸、Y軸、及びZ軸を有する。これら3つの軸のそれぞれは、他の2つの軸と直交する。X軸周りの回転は、Rx回転と呼ばれる。Y軸周りの回転は、Ry回転と呼ばれる。Z軸周りの回転は、Rz回転と呼ばれる。X軸及びY軸は、水平面を定義し、Z軸は、垂直方向にある。デカルト座標系は、本発明を限定せず、明確にするためだけに使用されるものである。代わりに、本発明を明確にするために、円筒座標系又は球座標系などの別の座標系が使用されてもよい。デカルト座標系の配向は、例えば、Z軸が水平面に沿った成分を有するように異なってもよい。
【0095】
[00094] 既知のリソグラフィ装置及び方法では、リソグラフィプロセスの重要なパラメータ(例えば、クリティカルディメンジョン均一性)に影響を及ぼすリソグラフィエラーが生じる。これらのリソグラフィエラーの原因は、必ずしも十分に理解されるとは限らない。少なくとも幾つかのリソグラフィエラーの疑わしい原因の1つは、調節された放射ビームBのスペクトル成分の不要な変動である。例えば、放射ビームのスペクトル帯域幅は、それが基板W上の結像に影響を及ぼすため、重要な量である。基板W上に投影される空間像のコントラストは、少なくとも部分的に、放射ビームのスペクトル帯域幅によって決まる。これは、次に、基板W上に形成されるフィーチャのクリティカルディメンジョン均一性に影響を及ぼす。スペクトル帯域幅が、波長分布の幅を示す量であることが理解されるだろう。さらに、幅パラメータの多数の異なる定義が、(概ねガウシアン状であり得る)このような波長分布に関して定義され得ることが理解されるだろう。リソグラフィで使用される放射ビームのスペクトル帯域幅に関する、このような幅パラメータの一例は、放射の「E95帯域幅」である。これは、放射ビームの全パルスエネルギーの95%を含む放射ビームのスペクトル帯域幅(例えば、pmで表現される)である。
【0096】
[00095] 既知のリソグラフィ装置及び方法は、放射ビームのスペクトル成分をモニタリングするために、放射源SO自体の内部の放射測定及びフィードバックシステムを利用するか、又は放射源SOの購入時に、放射源SOの供給元によって提供されるスペクトル情報に頼るかのどちらかである。しかし、リソグラフィエラーは、これらの既知の装置及び方法が、放射ビームBのスペクトル成分が許容可能であることを示すにもかかわらず、基板Wにおいて依然として生じる。本発明の発明者らは、放射ビームBの調節が、放射ビームBのスペクトル成分に影響を与え得ることに気付いた。すなわち、調節された放射ビームBのスペクトルは、照明システムILによって調節される前の放射ビームのスペクトルとは異なり得る。例えば、照明システムILの透過特徴は、少なくとも部分的に、放射ビーム内の位置によって決まり得る。
【0097】
[00096] 既知のリソグラフィ装置は、放射源SO内の放射測定及びフィードバックシステムによって提供されたスペクトル情報、及び/又は放射源SOの供給元によって提供されたスペクトル情報を単独で検証するすべがない。さらに、幾つかの放射源SOは、放射ビームのE95を測定することができない。例えば、幾つかの既知の放射源SOは、例えば、放射ビームのE95帯域幅と比較して、決定に必要とされる確度が低い、放射ビームの半値全幅(FWHM)帯域幅などの幅パラメータのみを測定することができる。本発明の発明者らは、放射ビームのFWHM帯域幅が、リソグラフィ装置LAの正確な結像性能を保証するために、帯域幅の十分に正確な指標ではない場合があることに気付いた。
【0098】
[00097] 本発明の発明者らによって明らかにされた別の問題は、放射源SOによって出力された放射ビームが、空間チャープを含み得ることである。すなわち、放射源SOからの放出の中心波長は、放射ビーム内の空間位置によって決まり得る。空間チャープは、少なくとも部分的に、放射源SOによって放出されるスペクトルを狭めるために使用される光学素子(例えば、格子)によって生じ得る。既知のリソグラフィ装置及び方法では、一般に、照明システムILが、放射ビームBの異なる複数の部分からの放射を、放射ビームの波長の空間的差が実質的に平均されるように、混合すると仮定される。しかし、本発明の発明者らは、放射ビームBの空間チャープが、照明システムによって十分に考慮されないことがあり、リソグラフィ装置の結像性能に影響を及ぼし得る、無視できない影響をもたらすことに気付いた。
【0099】
[00098] 放射ビームBの調節及び放射ビームBの空間チャープは共に、放射源SOを出射する放射ビームBのスペクトル成分が、照明システムILを出射する、調節された放射ビームBのスペクトル成分とは異なることに寄与し得る。本発明のある実施形態は、リソグラフィ装置LAに設置され、調節された放射ビームのスペクトル成分をモニタリングするために使用され得る放射測定システムを提供する。調節された放射ビームのスペクトル成分は、調節された放射ビームを利用するプロセス(例えば、リソグラフィ露光)をモデル化及び/又は制御するために使用され得る。放射測定システムは、(例えば、2つの異なるリソグラフィ装置間で結像性能を合致させるために)較正目的で使用され得る。
【0100】
[00099] 加えて、本発明者らは、露光放射の帯域幅(これは、E95帯域幅によって定量化され得る)が、基板(ウェーハ)上のパターンフィーチャのコントラストに影響を及ぼすことに気付いた。これは、結果的に、これらのフィーチャのクリティカルディメンジョン(CD)に大きな影響を与える。露光中のE95帯域幅の変動は、(ウェーハ上CD均一性として知られる)ウェーハ上のCDの変動をもたらし得る。例えば、それぞれが、異なるE95帯域幅を持つレーザによって基板を露光した、2つの異なるリソグラフィ装置によって基板上に提供されるパターンは、コントラストの差により、CDが異なり得る。
【0101】
[000100] 図2は、放射測定システム200を概略的に示す。放射測定システム200は、放射ビーム210を受け取り、及び放射ビーム210の強度分布を変更して、調節された放射ビーム215を出力するように構成された光学装置205を含む。光学装置205は、例えば、放射ビーム210の異なる複数の部分を異なる方向に反射させ、それによって放射ビーム210の断面形状を制御するように構成されたミラーのアレイを含み得る。放射測定システム200は、調節された放射ビーム215を受け取り、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータ220をさらに含む。図2の例では、スペクトロメータ220は、調節された放射ビーム215を干渉計225自体と干渉させ、干渉パターン230を生じさせるように構成された干渉計225を含む。干渉パターン230の1つ又は複数の特徴は、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を示す。例えば、格子スペクトロメータ、プリズムスペクトロメータなどの他のタイプのスペクトロメータ220が使用されてもよい。
【0102】
[000101] スペクトロメータ220は、干渉パターン230の空間強度分布を検出するように構成された放射センサ260をさらに含む。放射センサ260は、複数のピクセル(図示せず)を含み得る。ピクセルは、例えば、アレイに配置され得る。放射センサ260は、例えば、CCD又はCMOSカメラなどの空間像センサでもよい。
【0103】
[000102] 干渉計225は、投影システム235(例えば、1つ又は複数のレンズ)、及び投影システム235の対物面245に、又はそれに近接して位置付けられた干渉素子240を含む。干渉素子240は、サポート241によって支持される。図2の例では、干渉素子240は、投影システム235の対物面245における、又はそれに近接した異なる複数の位置に配置された複数のエタロン251~255を含む。代替的に、対物面245の所望のエリアにわたる単一のエタロンが使用されてもよい(図3を参照)。図2の例では、干渉素子240は、5つのエタロン251~255を含む。干渉素子240は、より多くの、又はより少ないエタロン251~255を含んでもよい。例えば、干渉素子240は、1~15個のエタロン(例えば、7個のエタロン)を含み得る。エタロン251~255は、例えば、ファブリー・ペローエタロンでもよい。
【0104】
[000103] エタロンは、2つの対向する反射面を有する透過性材料(例えば、ガラス、融解石英、クォーツなど)の本体を含み得る。反射面は、(例えば、表面変動が、約λ/50以下のオーダーである(λは、エタロンと相互作用する放射の波長である)ような)非常に高確度に、互いに対して平行に研磨され得る。研磨された面は、例えば、それらを高反射率コーティング(例えば、約98%以上の反射率を有するコーティング)でコーティングすることによって、反射するように作られる。エタロンは、反射面間の逐次反射からの干渉により、共鳴透過を有する。
【0105】
[000104] エタロンの共鳴透過は、光学系の分野で周知であり、従って、ここでは、ごく簡潔に説明する。エタロンの反射面間の逐次反射間の位相差δは、方程式1によって与えられる。
【数1】

式中、nは、透過性材料の屈折率であり、dは、エタロンの反射面間の距離であり、θは、エタロン内の放射が、エタロンの反射面に垂直である面と成す内角であり、λは、入射放射の波長である。内角θは、スネルの法則により、エタロンに入射する放射の入射角θに関係する。
sin(θ)=nsin(θ) (2)
式中、nは、エタロンを取り囲む媒体の屈折率であり、nは、エタロンの透過性材料の屈折率である。各エタロン251~255は、約4mm以上の反射面間の距離を有し得る。各エタロン251~255は、約2cm以下の反射面間の距離を有し得る。例えば、各エタロン251~255は、約8mmの反射面間の距離を有し得る。最大透過は、放射の反射光線間の光路長差が、波長の整数倍であるときに生じる。この条件は、方程式3によって数学的に表現される。
2ndcosθ=mλ (3)
式中、mは、整数である。
【0106】
[000105] 隣接する透過ピーク間の波長の差Δλは、エタロンの自由スペクトル領域として知られ、方程式4によって与えられる。
【数2】

式中、λは、所与の透過ピークの中心波長である。エタロンは、エタロンの自由スペクトル領域が、エタロンの所望の解像度に合致されるように設計又は選択され得る。エタロン251~255の自由スペクトル領域は、エタロンを使用して測定される放射の線幅と実質的に合致するように、又はそれよりも僅かに大きくなるように選択され得る。例えば、測定される線幅が約0.3pmである場合、エタロン251~255の自由スペクトル領域は、約0.5pm~約2pmでもよい。別の例では、測定される線幅が約0.7pm~約1.4pmの場合、エタロン251~255の自由スペクトル領域は、約2pm~約4pmでもよい。例えば、各エタロン251~255の自由スペクトル領域は、約1pmでもよい。フィネスは、エタロン251~255の自由スペクトル領域及び最小分解可能波長差の比率であると理解され得る。各エタロン251~255のフィネスは、20以上でもよい。各エタロン251~255のフィネスは、100以下でもよい。
【0107】
[000106] 各エタロン251~255は、光学装置205からの調節された放射ビーム215によって、様々な異なる角度で照明される。所与の波長に関して、(エタロン251~255の共鳴透過に対応する)特定の角度下でのみ、共鳴条件(すなわち、方程式3)が満たされる。従って、対物面245に対して同じ角度を有する全ての光線が、(例えば、レンズを使用して)合成されると、(例えば、対物面245に対するフーリエ変換面246における)結果として得られる空間像は、上記特定の角度及び形成される干渉パターン230に対応する上記面246の部分において、非ゼロとなるだけである。フーリエ変換面は、投影システムの瞳面と呼ばれることがある。すなわち、広範囲の入射角を用いてエタロン253を照明することによって、フーリエ変換面246において、円形フリンジパターンが生じ、これらの円は、エタロン253の共鳴条件に対応する。各円形フリンジの正確な位置は、放射の波長、エタロンの透過性材料の屈折率n、及びエタロンの反射面間の距離d(これらは、既知である)によって決まる。従って、フリンジにおける放射の角度分布は、調節された放射ビーム215のスペクトル分布を示す。例えば、フリンジの位置は、スペクトルの中心波長λに依存し得、フリンジの厚さは、スペクトルの幅に依存し得る。円形フリンジの像は、投影システム235によって、放射センサ260上に形成される。放射センサ260における干渉パターン230の空間強度分布は、干渉パターン230における光の角度分布に対応し得る。
【0108】
[000107] フリンジは、投影システムの瞳面上に形成され得る。放射センサ260は、投影システムの瞳面に、又はそれに近接して位置し得る。放射センサ260は、投影システムの瞳面からオフセットされ得、この場合、放射センサ260は、フリンジの歪み像を受け取り得る。フリンジの歪み像は、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するために依然として使用され得る。例えば、放射センサ260と、投影システムの瞳面との間のオフセットの知識が、フリンジの像の歪みを考慮するために使用され得る。
【0109】
[000108] スペクトロメータ220は、投影システム235の対物面245における複数の位置で、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を決定するように動作可能である。図2の例では、放射測定システム200は、対物面245と放射センサ260との間の相対移動を生じさせるように構成された作動システム265をさらに含む。図2の例では、作動システム265は、放射センサ260をX方向に沿って移動させる。放射センサ260が、対物面245における、又はそれに近接した異なる複数の位置にあるエタロン251~255からの透過光を受け取るように、放射センサ260を移動させることによって、対物面245の異なる複数の位置における、調節された放射ビーム215のスペクトル成分の測定が提供される。この情報は、例えば、調節された放射ビーム215の空間チャープを決定するために使用され得る。代替的又は追加的に、放射測定システム200は、複数の放射センサを含み得る(図3を参照)。
【0110】
[000109] 放射測定システム200は、放射センサ260から干渉パターンの空間強度分布を示す信号を受信し、この信号を使用して、調節された放射ビーム215のスペクトル強度分布を決定するように構成されたプロセッサ270をさらに含む。プロセッサ270は、干渉パターン230の角度強度分布を決定するように構成され得る。プロセッサ270は、干渉パターン230の角度強度分布、及び干渉計225のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビーム215のスペクトル強度分布を決定するように構成され得る。干渉計225のスペクトル特性は、例えば、エタロン251~255の透過性材料の屈折率、及び/又はエタロン251~255の2つの反射面間の距離を含み得る。例えば、プロセッサ270は、対物面245の単一の位置において、調節された放射ビーム215のスペクトル強度分布を決定し得る。代替的又は追加的に、プロセッサ270は、対物面245の複数の位置にわたって、調節された放射ビーム215のスペクトル強度分布の空間分布を決定するように構成され得る。
【0111】
[000110] プロセッサ270は、調節された放射ビーム215のスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビーム215の帯域幅を決定するようにさらに構成され得る。代替的に、プロセッサ270は、検出された円形フリンジの測定された厚さ及び強度を用いて直接的に、調節された放射ビーム215の帯域幅(例えば、調節された放射ビームのE95帯域幅)を決定し得る。帯域幅は、E95帯域幅でもよい。E95帯域幅は、エネルギーの95%が調節された放射ビーム215に存在するスペクトル幅に対応し得る。プロセッサ270は、調節された放射ビーム215のスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビーム215の中心波長を決定するようにさらに構成され得る。代替的に、プロセッサ270は、検出された円形フリンジの測定された中心位置を用いて直接的に、調節された放射ビーム215の中心波長を決定し得る。調節された放射ビーム215の中心波長は、強度の最大関連値を有する、調節された放射ビーム215の波長であると定義され得る。代替的に、調節された放射ビーム215の中心波長は、調節された放射ビーム215のスペクトル分布の中心(例えば、スペクトル分布の重心)に最も近い波長であると定義され得る。
【0112】
[000111] 例えば、調節された放射ビーム215は、約0.3pmのE95帯域幅を有し得る。調節された放射ビーム215のE95帯域幅は、リソグラフィエラーをもたらし得る不要な光学的効果により、約10fm以上変動し得る。エタロン251~255は、約7.5mmの厚さ、及び例えば50のフィネスを有し得る。フィネスは、エタロン251~255を使用して達成可能な最小分解可能波長差に対する、エタロン251~255の自由スペクトル領域の比率であると理解され得る。エタロン251~255は、調節された放射ビーム215のスペクトル成分間の約0.03pmの差を完全に分解し、調節された放射ビーム215のE95帯域幅の測定を提供することができる。以下にさらに説明されるように、このようなエタロン251~255は、(例えば、図1に示されるタイプの)リソグラフィ装置LAのレチクルMA又はサポート構造241上に取り付けられてもよい。これらのエタロン251~255の幾つかを取り付け、基準光学系に準拠して、それらの分光透過曲線を較正及び/又は実質的に合致させることによって、複数のエタロン251~255を含むレチクルが、例えば、逸脱した様式で挙動するリソグラフィ装置LAのリソグラフィエラーの原因を調査するために使用され得る。較正は、基準光学系を使用して放射のスペクトルを測定することと、放射のスペクトル成分(例えば、放射のE95帯域幅)を決定することと、較正される光学系を使用して、これら2つのステップを繰り返すこととを伴い得る。基準光学系と、較正される光学系との間の決定されたスペクトル成分の差は、これらの光学系間の結像性能の差に関係し得る。較正中、スペクトル成分が、基準光学系を使用して決定されたスペクトル成分と実質的に合致するまで、較正される光学系の結像性能が制御され得る。
【0113】
[000112] 複数のエタロン251~255を含む、レチクルMA又はサポート構造241は、調節された放射ビーム215のスペクトル成分が、リソグラフィエラーに寄与しているか否かを決定し、もし寄与している場合は、どのようにリソグラフィ装置LAを制御することによってリソグラフィエラーが低減され得るかを決定するために使用され得る。
【0114】
[000113] 放射センサ260が、リソグラフィ装置LAの一部である場合、放射センサ260は、基板サポートWTに位置し得る。放射センサ260は、干渉センサ、空間像センサなどを含み得る。放射センサ260は、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を決定することに加えて、別の目的のために使用され得る。例えば、放射センサ260は、リソグラフィ装置LAに配置された集積レンズ干渉センサの一部を形成し得る。このようなセンサは、高次に至るまで光学収差の光学測定を行い得る干渉波面測定システムでもよい。本明細書に援用される米国特許第7282701B2号は、スペクトロメータと共に、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を決定するために使用され得る干渉波面センサの一例を開示する。
【0115】
[000114] 代替的に、放射センサ260は、波面(すなわち、同じ位相を有する点の軌跡)を測定するように構成されたシヤリング干渉計を含む、平行レンズ干渉センサの一部を形成し得る。シヤリング干渉計は、リソグラフィ装置の像面における、又はそれに近接した回折格子マーク(例えば、2次元グリッド)、及び干渉パターンを検出するために配置された光検出器を含み得る。干渉パターンは、シヤリング方向の瞳面の座標に対する、放射の位相の導関数に関係する。光検出器は、例えば、電荷結合デバイス(CCD)などのセンシング素子のアレイを含み得る。リソグラフィ装置LAの投影システムPSに起因する収差の決定は、ゼルニケ係数を取得するために、ゼルニケ多項式に対して、放射センサ260によって行われた測定をフィットさせることを含み得る。異なるゼルニケ係数は、投影システムPSに起因する、異なる形態の収差に関する情報を提供し得る。ステッピングは、回折格子の面において、及び測定のスキャン方向に垂直な方向で行われ得る。回折格子のこのステッピングは、位相変動を強度変動に効果的に変換し、それによって、位相情報が決定されることが可能となる。
【0116】
[000115] プロセッサ270は、干渉パターン230の角度強度分布及び干渉計225のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビーム215の帯域幅の空間分布を決定するようにさらに構成され得る。例えば、空間分布は、対物面245(例えば、対物面245の異なるX及びY座標における帯域幅)にわたり得る。プロセッサ270は、干渉パターン230の角度強度分布及び干渉計225のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビーム215の中心波長の空間分布を決定するようにさらに構成され得る。
【0117】
[000116] プロセッサ270は、調節された放射ビーム215の帯域幅を使用して、調節された放射ビーム215のスペックルに対する、調節された放射ビーム215の帯域幅の寄与を決定するようにさらに構成され得る。スペックルは、放射ビーム内の異なる複数の位置から観察点(例えば、スペクトル測定中は、放射センサ260、又は露光中は、基板W)に到達する放射、及び/又は観察点へと異なる複数の光路に沿って進んだ後の放射間の干渉により生じ得る。放射が干渉するためには、電場の位相がコヒーレントでなければならない。これは、少なくとも部分的に、時間コヒーレンス長(これは、放射が実質的にコヒーレントなままである、放射の伝搬方向の長さとして定義され得る)によって定量化される。このコヒーレンス長は、放射の帯域幅に反比例する。すなわち、放射ビームの単色性が増すほど、コヒーレンス長は長くなり、逆の場合も同様である。スペックルは、少なくとも部分的に、放射ビームのコヒーレンス長によって決まる。従って、スペックルは、少なくとも部分的に、放射ビームのスペクトル帯域幅によって決まる。放射ビームのスペクトル帯域幅の測定は、それによって、放射ビームの時間コヒーレンスからの放射ビームのスペックルに対する寄与の表示を有利に提供する。
【0118】
[000117] プロセッサ270は、投影システム235の対物面245の複数の位置における、調節された放射ビームのスペクトル成分を使用して、調節された放射ビーム215の空間チャープを決定するようにさらに構成され得る。これは、例えば、対物面の異なる複数の部分から得られた測定を比較することによって達成され得る。波長チャープは、放射センサ上の干渉パターンのフリンジの中心位置の(対物面にわたる)シフトとして測定され得る。放射210のE95帯域幅の変化が、放射センサ260上の干渉パターンのフリンジの形状及び/又は幅の(対物面にわたる)変化として測定され得る。
【0119】
[000118] 図3は、代替放射測定システム300を概略的に示す。共通の参照番号を共有する図3及び図2のフィーチャは、互いに概ね同等であり、従って、以下に詳細に説明されない。放射測定システム300は、放射ビーム210を受け取り、及び放射ビーム210の強度分布を変更して、調節された放射ビーム215を出力するように構成された光学装置205を含む。放射測定システム300は、調節された放射ビーム215を受け取り、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータ220をさらに含む。スペクトロメータ220は、調節された放射ビーム215を干渉計225自体と干渉させ、干渉パターン230を生じさせるように構成された干渉計225を含む。干渉パターン230の1つ又は複数の特徴は、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を示す。スペクトロメータ220は、複数の放射センサ361~365をさらに含む。各放射センサ361~365は、複数のピクセル(図示せず)を含み得る。ピクセルは、例えば、アレイに配置され得る。各放射センサ361~365は、例えば、CCD又はCMOSカメラを含む空間像センサでもよい。各放射センサ361~365は、上述のような干渉波面センサの一部を形成し得る。
【0120】
[000119] 干渉計225は、投影システム235(例えば、1つ又は複数のレンズ)、及び投影システム235の対物面245に、又はそれに近接して位置付けられた干渉素子240を含む。干渉素子240は、サポート241によって保持される。図3の例では、干渉素子240は、対物面245の所望の部分にわたる単一のエタロン351を含む。エタロン351は、複数のより小さなエタロンとして扱われ得る。すなわち、エタロン351は、より小さな個々のエタロンとして機能する個々のエリアにわたる要件(例えば、反射面間の所望の分離、反射面の所望の平坦性、透過性材料の光学的均質性など)に従うだけでよい場合がある。図2の実施形態(すなわち、複数の別個のエタロン251~255)と比較して、この配置は、エタロン351の所望の光学的特性に意図せず悪影響を与えることなく、サポートにエタロン351を取り付けるプロセスを有利に簡略化し得る。複数のエタロン251~255ではなく、単一のエタロン351を使用することは、対物面245の個々の場所ではなく、対物面245における、又はそれに近接した実質的に全ての場所において、調節された放射ビームのスペクトル成分を有利にサンプリングし得る。
【0121】
[000120] スペクトロメータ220は、投影システム235の対物面245における複数の位置で、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を決定するように動作可能である。図3の例では、スペクトロメータ220は、各放射センサ361~365が、対物面245における異なる位置から生じる干渉パターン230の空間強度分布を検出するように構成されるように、対物面245に対して異なる位置に配置された複数の放射センサ361~365を含む。この情報は、例えば、調節された放射ビーム215の空間チャープを決定するために使用され得る。複数の放射センサ361~365は、調節された放射ビーム215のスペクトル成分の並行測定を提供するために同時に使用され得る。
【0122】
[000121] 図3の例では、放射測定システム300は、対物面245と放射センサ361~365との間の相対移動を生じさせるように構成された作動システム265をさらに含む。図3の例では、作動システム265は、放射センサ361~365をX方向に沿って移動させる。作動システム265は、投影システム235の対物面245における複数の位置で、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を決定するために、大きな単一のエタロン351及び複数の放射センサ361~365と組み合わせて使用され得る。
【0123】
[000122] 放射測定システム300は、調節された放射ビーム215のスペクトル成分を決定するために、図2に示されたプロセッサに関連して上記で説明したのと同様に動作するように構成され得るプロセッサ270をさらに含む。
【0124】
[000123] 図1を再び参照して、リソグラフィ装置LAは、放射ビームを受け取り、及び放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームBを出力するように構成された照明システムILを含む。照明システムILは、図2及び図3に示されるような光学装置205の一例と見なされ得る。リソグラフィ装置LAは、レチクルMAが、調節された放射ビームBを受け取り、及び調節された放射ビームBの断面にパターンを付与するように配置されるように、リソグラフィ装置LAの投影システムPSの対物面145において、又はそれに近接してレチクルMAを支持するためのサポート構造MTをさらに含む。基板サポートMT及び/又はレチクルMAは、図2及び図3に示されるようなサポート241の一例と見なされ得る。リソグラフィ装置LAは、リソグラフィ装置LAの像面において、又はそれに近接して基板Wを支持するための基板テーブルWTをさらに含む。基板サポートWTは、リソグラフィ装置LAの対物面に対して基板サポートWTを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続される。基板サポートWT及び第2のポジショナPWは、図2及び図3に示されるような作動システム265の一例と見なされ得る。リソグラフィ装置LAは、パターンを基板W上に投影するように構成された投影システムPSをさらに含む。投影システムPSは、図2及び図3に示されるような投影システム235の一例と見なされ得る。
【0125】
[000124] リソグラフィ装置LAは、調節された放射ビームBを受け取り、及び調節された放射ビームBのスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータをさらに含む。リソグラフィ装置LAの一部を形成するスペクトロメータは、図2及び図3に示されるようなスペクトロメータ220の一例と見なされ得る。リソグラフィ装置LAの一部を形成するスペクトロメータは、調節された放射ビームBを干渉計自体と干渉させ、干渉パターン(図示せず)を生じさせるように構成された干渉計を含む。干渉パターンの1つ又は複数の特徴は、調節された放射ビームBのスペクトル成分を示す。干渉計は、投影システムPSの対物面に、又はそれに近接して位置付けられた干渉素子110を含む。図1の例では、干渉素子110は、投影システムPSの対物面145における、又はそれに近接した異なる複数の位置に配置された複数のエタロン151~154を含む。
【0126】
[000125] リソグラフィ装置LAの一部を形成するスペクトロメータは、投影システムPSの対物面145の複数の位置で、調節された放射ビームBのスペクトル成分を決定するように動作可能であり得る。リソグラフィ装置LAの一部を形成するスペクトロメータは、干渉計によって生成された干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成された放射センサ160を含む。先述した通り、リソグラフィ装置LAは、図2及び図3に示されるような作動システム265の一例と見なされ得る基板サポートWT及び第2のポジショナPWをさらに含む。作動システムWT、PWは、投影システムPSの対物面145と、放射センサ160との間の相対移動を生じさせるように構成される。リソグラフィ装置LAの一部を形成するスペクトロメータは、代替的に、各放射センサが、対物面145における異なる位置から生じる干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成されるように、投影システムPSの対物面145に対して異なる位置に配置された複数の放射センサを含み得る。
【0127】
[000126] リソグラフィ装置LAは、放射センサ160から干渉パターンの空間強度分布を示す信号を受信し、この信号を使用して、調節された放射ビームBのスペクトル強度分布を決定するように構成されたプロセッサ120をさらに含む。プロセッサ120は、干渉パターンの角度強度分布を決定するように構成され得る。プロセッサ120は、干渉パターンの角度強度分布、及び干渉素子110のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を決定するように構成され得る。干渉素子110のスペクトル特性は、例えば、エタロン151~154の透過性材料の屈折率、及び/又はエタロン151~154の2つの反射面間の距離を含み得る。プロセッサ120は、調節された放射ビームBのスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビームBの帯域幅を決定するようにさらに構成され得る。プロセッサ120は、調節された放射ビームBのスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビームBの中心波長を決定するようにさらに構成され得る。
【0128】
[000127] プロセッサ120は、干渉パターンの角度強度分布及び干渉素子110のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビームBの帯域幅の空間分布を決定するようにさらに構成され得る。プロセッサ120は、干渉パターンの角度強度分布及び干渉素子110のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビームBの中心波長の空間分布を決定するようにさらに構成され得る。
【0129】
[000128] プロセッサ120は、調節された放射ビームBの帯域幅を使用して、調節された放射ビームBのスペックルに対する、調節された放射ビームBの帯域幅の寄与を決定するようにさらに構成され得る。
【0130】
[000129] 図1の例では、(エタロン151~154を含む)干渉素子110は、レチクルMAの一部を形成し得る。代替的又は追加的に、エタロン151~154は、サポート構造MTの一部を形成し得る。例えば、エタロン151~154は、基準板に設けられ得る。放射センサ160は、基板テーブルWTに位置する。リソグラフィ装置LAは、プロセッサ120から調節された放射ビームBのスペクトル成分を示す信号を受信し、及びスペクトロメータによって決定されたスペクトル成分に基づいて、リソグラフィ装置LAのコンポーネントを制御するように構成されたコントローラ130をさらに含み得る。
【0131】
[000130] 図4は、エタロン420、及びエタロン420によって生成される干渉パターン480の角度範囲を拡大するための拡張光学系を含むレチクル400を概略的に示す。図4の例では、図4の明瞭さを向上させるために、たった1つのエタロン420が示される。レチクル400は、複数のエタロン(例えば、7個以上のエタロン)を含み得る。レチクル400は、図1に示されるリソグラフィ装置LAなどのリソグラフィ装置での使用に適し、並びに図2及び図3に示されるような放射測定システムでの使用に適する。レチクル400は、ハウジング410を含む。ハウジング410は、エタロン420、第1のリフレクタ430、第1のフォーカス素子440、第2のフォーカス素子450、及び第2のリフレクタ460を含む。調節された放射ビーム470は、エタロン420と相互作用する。調節された放射ビーム470は、例えば、約10mradの角度範囲を有し得る。10mradの角度範囲は、例えば、リソグラフィ装置LAの開口数の約0.04倍に相当し得る。エタロン420は、調節された放射ビーム470をそれ自体と干渉させ、干渉パターン480を生じさせる。エタロン420は、例えば、約9mmの直径、及び約6mmの厚さ又は長さ(すなわち、反射面間の距離)を有した円筒でもよい。エタロン420は、例えば、約50のフィネスを有し得る。干渉パターン480は、第1のリフレクタ430に入射する。第1のリフレクタ430は、第1のフォーカス素子440に向けて干渉パターン480を反射する。第1のフォーカス素子440は、レンズでもよい。第1のフォーカス素子440は、例えば、約120mmの焦点距離を有し得る。第1のフォーカス素子440は、干渉パターンの焦点を第2のフォーカス素子450に合わせ、干渉パターンを第2のフォーカス素子450に誘導する。第2のフォーカス素子450は、レンズでもよい。第2のフォーカス素子450は、例えば、約-4mmの焦点距離を有し得る。第2のフォーカス素子450は、干渉パターン480の焦点を第2のリフレクタ460に向け、干渉パターン480を第2のリフレクタ460に向けて誘導する。第2のリフレクタ460は、スペクトロメータ(図示せず)の放射センサ(図示せず)に向けて干渉パターン480を誘導する。
【0132】
[000131] 図4に示されるレチクル400は、異なるように配置されてもよい。例えば、エタロン420の位置及び第1のリフレクタ430の位置が入れ替えられてもよく、エタロン420は、90°回転されてもよい。この配置例では、調節された放射ビーム470は、エタロン420に入射する前に、第1のリフレクタ430に反射する。次に、エタロン420は、調節された放射ビーム470をそれ自体と干渉させ、干渉パターン480を生じさせる。次に、干渉パターン480は、第1のフォーカス素子440に入射する。次に、第1のフォーカス素子440は、干渉パターンの焦点を第2のフォーカス素子450に合わせ、干渉パターンを第2のフォーカス素子450へと誘導する。次に、第2のフォーカス素子450は、干渉パターン480の焦点を第2のリフレクタ460に向け、干渉パターン480を第2のリフレクタ460に向けて誘導する。次に、第2のリフレクタ460は、干渉パターン480をスペクトロメータ(図示せず)の放射センサ(図示せず)へと誘導する。
【0133】
[000132] ハウジング410を出射する放射ビームは、その角度範囲が、フォーカス素子440、450によって拡大されているため、拡張放射ビーム490と呼ばれることがある。先述の通り、(一般に、図1図2、及び図3に示されるスペクトロメータ220の形態を有し得る)レチクル400を含むスペクトロメータは、次に、干渉パターンを使用して、調節された放射ビーム470のスペクトル成分を決定し得る。この例では、拡張光学系(すなわち、第1及び第2のフォーカス素子440、450)は、入ってくる、調節された放射ビーム470の角度範囲を約30倍に増加させるように機能する。すなわち、調節された放射ビーム470は、約10mradの角度範囲を有し、拡張放射ビーム490は、約0.3radの角度範囲を有する。約0.3radの角度範囲は、例えば、拡張放射ビーム490を受け取る光学系(例えば、リソグラフィ装置LA)の開口数の約1.2倍に相当し得る。放射ビームの角度範囲を増加させることは、使用される放射センサのはるかに多くのピクセル(例えば、30倍のピクセル)にわたって各フリンジを有利に広げ、それによって、スペクトル測定の解像度を向上させる。レチクル400が複数のエタロンを含む場合、各エタロンは、それ自体の関連拡張光学系を有し得る。
【0134】
[000133] 代替的に、ハウジング410、エタロン420、第1のリフレクタ430、第1のフォーカス素子440、第2のフォーカス素子450、及び第2のリフレクタ460は、図1のリソグラフィ装置LAに示されるサポート構造MTなどの、リソグラフィ装置で使用されるサポート構造に組み込まれてもよい。例えば、ハウジング410、エタロン420、第1のリフレクタ430、第1のフォーカス素子440、第2のフォーカス素子450、及び第2のリフレクタ460は、基準板に組み込まれてもよい。サポート構造が複数のエタロンを含む場合、各エタロンは、それ自体の関連拡張光学系を有し得る。
【0135】
[000134] 当業者は、第1のリフレクタ430及び第1のフォーカス素子440によって取得され得るのと同じ効果を達成するために、第1の反射フォーカス素子(例えば、非平坦ミラー)が使用され得ることを理解するだろう。第2の反射素子によって置き換えられ得る第2のフォーカス素子450及び第2のリフレクタ460に関しても同じことが言える。従って、これにより、拡張光学系は、第1及び第2の反射フォーカス素子によって形成され得る。
【0136】
[000135] 代替的に、拡張光学系は、部分的に、透過及び反射光学素子によって形成されてもよい。
【0137】
[000136] 図5は、リソグラフィ装置において、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するために使用されるエタロンのシミュレーション結果を示すグラフである。エタロンによって生成され、及び放射センサによって検出される第1及び第2のフリンジ510、520が、図5に示される。フリンジ530間の距離は、エタロンの自由スペクトル領域に対応する。第1のフリンジ510の中心位置550は、放射ビームの中心波長に対応し得る。このシミュレーションでは、放射ビームは、約193nmの中心波長を有し、エタロンは、約50のフィネスを有する。y軸は、放射センサによって検出される強度に対応する。x軸は、放射センサ260上の半径位置に対応し、「0」は、瞳面の中心に対応し、「1000」は、瞳面のエッジに対応する(すなわち、リソグラフィ装置LAの開口数に対応する)。x軸は、瞳面の半径座標に対応し得る。放射センサの感光性領域(例えば、ピクセルのエリア)は、リソグラフィ装置の開口数の範囲に対応し得る。(異なる色を持つ)5つのプロットのそれぞれは、異なる入力E95帯域幅を表す。E95は、放射ビームのスペクトルエネルギーの95%が存在するスペクトル幅を表し(これは、±2σである)、σは、分布の標準偏差である。図5から分かるように、第1のフリンジ510の幅540は、入力E95帯域幅に依存する。放射センサ260の解像度は、フリンジの1つ(例えば、第1のフリンジ510)が、E95帯域幅を所望の確度まで決定することができるような十分な数のピクセルにわたって広がるように選択され得る。つまり、E95帯域幅を0.05pmの確度まで決定することが望まれる場合、放射センサ260の解像度は、フリンジの1つ(例えば、第1のフリンジ510)が、5つのプロット(5つのプロットは、0.05pmの間隔を有する、異なるE95帯域幅を表す)が区別され得るような十分な数のピクセルにわたって広がるように選択され得る。放射ビームの角度範囲は、各フリンジ510、520を放射センサのより多くのピクセルにわたって広げることによって、スペクトル測定の解像度を向上させるために、(例えば、図4に示されるような)拡張光学系を使用して、(30倍に)増加されている。代替的に、より大きな空間解像度を持つ放射センサ260が使用され得ることが理解されるだろう。拡張光学系を使用する利点は、所与の空間解像度を持つカメラを使用して、より良いE95帯域幅が取得できる点である。これによって、所望の確度を依然として達成しながら、別の目的(例えば、収差測定)のために使用することもできる既存の放射センサがE95帯域幅の測定に使用されることが可能となり得る。
【0138】
[000137] 放射の中心波長によっては、干渉パターンのフリンジ(例えば、フリンジの中心)が、放射センサの望ましい位置に位置しないことが起こり得る。例えば、この状況は、エタロンの自由スペクトル領域がとても小さいため、全フリンジではなく、1つ又は2つのフリンジの一部のみが放射センサ上で見える場合に、起こり得る。これに対する解決策は、放射センサ上のフリンジの位置をシフトさせるために、放射の中心波長を変更することを含む。例えば、中心波長は、エタロンの自由スペクトル領域の約半分に変更され得る。この中心波長の変更は、少なくとも1つの全フリンジが放射センサに入射するように、放射センサ上のフリンジをシフトさせ得る。従って、幾つかの実施形態では、スペクトロメータは、放射センサ上のフリンジの位置をシフトさせるように、放射の中心波長を変更するように配置された波長シフト光学系をさらに含み得る。このような波長シフト光学系は、干渉計(例えば、エタロン)の上流に設けられてもよく、すなわち、放射は、干渉計内に伝搬する前に、波長シフト光学系と相互作用(例えば、波長シフト光学系中を伝搬)し得る。
【0139】
[000138] 図6は、光学装置が放射ビームの強度分布を変更した後に、放射ビームのスペクトル成分を決定する方法のフローチャートを示す。この方法は、干渉計を使用して、放射ビームを干渉計自体と干渉させ、干渉パターンを生じさせる第1のステップS1を含む。干渉パターンの1つ又は複数の特徴は、放射ビームのスペクトル成分を示す。本方法は、干渉パターンの空間強度分布を検出する第2のステップS2を含む。本方法は、干渉パターンの空間強度分布を使用して、干渉パターンの角度強度分布を決定する第3のステップS3を含む。本方法は、干渉パターンの角度強度分布及び干渉計のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を決定する第4のステップS4を含む。第3のステップS3及び第4のステップS4は、統合されてもよい。
【0140】
[000139] 本方法は、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビームの帯域幅、及び/又は調節された放射ビームの中心波長、及び/又はそれらの空間分布を決定することをさらに含み得る。
【0141】
[000140] 図7は、リソグラフィ装置を使用してリソグラフィ露光を行う方法のフローチャートを示す。本方法は、放射ビームを受け取る第1のステップS11を含む。本方法は、放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームを形成する第2のステップS12を含む。本方法は、リソグラフィ装置の投影システムの対物面において、又はそれに近接して、サポート構造によって保持されるレチクルを使用して、調節された放射ビームの断面にパターンを付与する第3のステップS13を含む。本方法は、パターンを基板上に投影する第4のステップS14を含む。本方法は、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定する第5のステップS15を含む。スペクトル成分は、投影システムの対物面における、又はそれに近接した複数の位置で決定され得る。スペクトル成分は、調節された放射ビームのスペクトル強度分布、帯域幅(例えば、E95帯域幅)、及び/又は中心波長、及び/又はそれらの空間分布を含み得る。本方法は、調節された放射ビームのスペクトル成分に基づいて、リソグラフィ装置のコンポーネントを制御することをさらに含み得る。
【0142】
[000141] 図7の方法は、異なるリソグラフィ装置を使用して、別のリソグラフィ露光を行うことをさらに含み得る。スペクトル成分は、リソグラフィ装置の一方又は両方を制御し、それによって、2つのリソグラフィ装置間の性能の差を減少させるために使用され得る。すなわち、スペクトル成分は、二重露光プロセスのために、異なるリソグラフィ装置を互いに合致させるために使用され得る。例えば、2つのリソグラフィ装置のE95帯域幅が測定され得、リソグラフィ装置の少なくとも一方が、2つのリソグラフィ装置のE95帯域幅の測定値間の差を減少させるように制御され得る。スペクトル成分は、各リソグラフィ装置においてリソグラフィ露光を受ける基板の感光性層ごとに、各リソグラフィ装置に関して決定され得る。代替的に、スペクトル成分は、リソグラフィ装置のコンポーネントのメンテナンス(例えば、リソグラフィ装置に放射を供給するレーザ源のメンテナンス)の後及び/又は前に、各リソグラフィ装置に関して決定され得る。異なるリソグラフィ装置のスペクトロメータ、例えば、空間像を測定するための放射センサが、較正され、及び合致され得る。
【0143】
[000142] 加えて、異なるリソグラフィ装置の近接バイアス曲線を合致させるための方法が使用され得る。すなわち、ある特定のCDを有する基板上にパターンを形成するために、パターニングデバイス上のパターンは、形成されるパターンの単なる拡大ではない。代わりに、パターンのピッチ(すなわち、基板上に設けられるパターンに対する、他のパターンの近接(又は近接バイアス))が、考慮される必要がある。それぞれが異なる帯域幅(例えば、異なるE95帯域幅)を有する、2つ(以上)のリソグラフィ装置は、異なる近接バイアス曲線を有する。上記のような放射測定システムを用いて、調節された放射ビームBのスペクトル特徴(例えば、E95帯域幅)を測定することによって、放射源SOは、2つ(以上)のリソグラフィ装置間の近接バイアス曲線を合致させるように調整され得る。2つ(以上)のリソグラフィ装置を合致させる方法は、第1のリソグラフィ装置の第1の近接バイアス曲線を測定する第1のステップを含む。本方法は、第1のリソグラフィ装置の調節された放射ビームの第1のスペクトル成分(又は特徴)を測定して、第1のE95帯域幅を決定する第2のステップを含む。本方法は、第2のリソグラフィ装置の第2の近接バイアス曲線を測定する第3のステップを含む。本方法は、第2のリソグラフィ装置の調節された放射ビームの第2のスペクトル特徴を測定して、第2のE95帯域幅を決定する第4のステップを含む。本方法は、第1及び第2の近接バイアス曲線を合致させるために、第1のE95帯域幅及び第2のE95帯域幅の少なくとも一方を調節する第5のステップをさらに含む。これにより、2つ(以上)のリソグラフィ装置をそれらのE95帯域幅に基づいて合致させる。
【0144】
[000143] 本明細書では、リソグラフィ装置をICの製造で使用することが具体的に参照されているが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は、他の用途を有し得ることが理解されるべきである。可能な他の用途として、一体型光学系、磁区メモリのガイダンスパターン及び検出パターン、平面パネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造がある。
【0145】
[000144] 本明細書では、本発明の実施形態をリソグラフィ装置に関連して具体的に参照している場合があるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用され得る。本発明の実施形態は、メトロロジ装置或いはウェーハ(若しくは他の基板)又はマスク(若しくは他のパターニングデバイス)等の物体を測定又はプロセスする任意の装置の一部をなし得る。これらの装置は、まとめてリソグラフィツールと呼ばれ得る。そのようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を用い得る。
【0146】
[000145] 状況が許す場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装され得る。本発明の実施形態は、1つ又は複数のプロセッサによって読み取り及び実行が行われ得る、機械可読媒体に保存された命令としても実装され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態で情報の保存又は送信を行うための任意の機構を含み得る。例えば、機械可読媒体には、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光学式記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響、又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)などが含まれ得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、本明細書では、特定のアクションを行うと記載される場合がある。しかし、このような記載は、単に便宜上のものであること、及びこのようなアクションは、実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスによって生じ、それを行う際に、アクチュエータ(図1の作動システムWT、PWなど)又は他のデバイスを物質界と相互作用させ得ることが理解されるものとする。
【0147】
[000146] 本発明の態様は、以下の条項に記載される。
条項:
1.放射ビームを受け取り、及び放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームを出力するように構成された光学装置と、調節された放射ビームを受け取り、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータと、
を含む、放射測定システム。
2.スペクトロメータが、調節された放射ビームを干渉計自体と干渉させ、干渉パターンを生じさせるように構成された干渉計を含み、干渉パターンの1つ又は複数の特徴が、スペクトル成分を示す、条項1に記載の放射測定システム。
3.干渉計が、投影システムと、投影システムの対物面に、又はそれに近接して位置付けられた干渉素子とを含む、条項2に記載の放射測定システム。
4.干渉素子が、エタロンを含む、条項3に記載の放射測定システム。
5.干渉素子が、投影システムの対物面における、又はそれに近接した異なる複数の位置に配置された複数のエタロンを含む、条項3に記載の放射測定システム。
6.スペクトロメータが、投影システムの対物面における複数の位置で、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能である、条項3~5の何れか一項に記載の放射測定システム。
7.スペクトロメータが、干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成された放射センサを含む、条項2~6の何れか一項に記載の放射測定システム。
8.対物面と放射センサとの間の相対移動を生じさせるように構成された作動システムをさらに含む、条項7に記載の放射測定システム。
9.スペクトロメータが、対物面に対して異なる複数の位置に配置された複数の放射センサを、各放射センサが対物面上の異なる位置から生じる干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成されるように含む、条項7又は条項8に記載の放射測定システム。
10.放射センサから干渉パターンの空間強度分布を示す信号を受信し、この信号及び干渉計のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように構成されたプロセッサをさらに含む、条項7~9の何れか一項に記載の放射測定システム。
11.プロセッサが、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を決定するように構成される、条項10に記載の放射測定システム。
12.プロセッサが、調節された放射ビームの帯域幅を決定するように構成される、条項10又は条項11に記載の放射測定システム。
13.プロセッサが、調節された放射ビームの中心波長を決定するように構成される、条項10~12の何れか一項に記載の放射測定システム。
14.プロセッサが、調節された放射ビームの帯域幅の空間分布を決定するようにさらに構成される、条項10~13の何れか一項に記載の放射測定システム。
15.プロセッサが、調節された放射ビームの中心波長の空間分布を決定するようにさらに構成される、条項10~14の何れか一項に記載の放射測定システム。
16.プロセッサが、調節された放射ビームのスペックルに対する、調節された放射ビームのスペクトル成分の寄与を決定するようにさらに構成される、条項11~15の何れか一項に記載の放射測定システム。
17.投影システムの対物面の複数の位置におけるスペクトル成分を使用して、調節された放射ビームの空間チャープを決定するように構成されたプロセッサをさらに含む、条項6に記載の放射測定システム。
18.放射ビームを受け取り、及び放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームを出力するように構成された照明システムと、
レチクルが、調節された放射ビームを受け取り、及び調節された放射ビームの断面にパターンを付与するように配置されるように、リソグラフィ装置の対物面において、又はそれに近接してレチクルを支持するためのサポート構造と、
基板を支持するための基板テーブルと、
パターンを基板上に投影するように構成された投影システムと、
調節された放射ビームを受け取り、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能なスペクトロメータと、
を含む、リソグラフィ装置。
19.スペクトロメータが、調節された放射ビームを干渉計自体と干渉させ、干渉パターンを生じさせるように構成された干渉計を含み、干渉パターンの1つ又は複数の特徴が、スペクトル成分を示す、条項18に記載のリソグラフィ装置。
20.干渉計が、投影システムの対物面に、又はそれに近接して位置付けられた干渉素子を含む、条項19に記載のリソグラフィ装置。
21.干渉素子が、エタロンを含む、条項20に記載のリソグラフィ装置。
22.干渉素子が、投影システムの対物面における、又はそれに近接した異なる複数の位置に配置された複数のエタロンを含む、条項21に記載のリソグラフィ装置。
23.スペクトロメータが、投影システムの対物面における複数の位置で、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように動作可能である、条項20~22の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
24.スペクトロメータが、干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成された放射センサを含む、条項23に記載のリソグラフィ装置。
25.対物面と放射センサとの間の相対移動を生じさせるように構成された作動システムをさらに含む、条項24に記載のリソグラフィ装置。
26.スペクトロメータが、対物面に対して異なる複数の位置に配置された複数の放射センサを、各放射センサが対物面上の異なる位置から生じる干渉パターンの空間強度分布を検出するように構成されるように含む、条項24に記載のリソグラフィ装置。
27.放射センサから干渉パターンの空間強度分布を示す信号を受信し、この信号及び干渉計のスペクトル特性を使用して、調節された放射ビームのスペクトル成分を決定するように構成されたプロセッサをさらに含む、条項24~26の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
28.プロセッサが、調節された放射ビームのスペクトル強度分布を決定するように構成される、条項27に記載のリソグラフィ装置。
29.プロセッサが、調節された放射ビームの帯域幅を決定するように構成される、条項27又は条項28に記載のリソグラフィ装置。
30.プロセッサが、調節された放射ビームの中心波長を決定するように構成される、条項27~29の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
31.プロセッサが、調節された放射ビームの帯域幅の空間分布を決定するようにさらに構成される、条項28~30の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
32.プロセッサが、調節された放射ビームの中心波長の空間分布を決定するようにさらに構成される、条項28~31の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
33.プロセッサが、調節された放射ビームの帯域幅を使用して、調節された放射ビームのスペックルに対する、調節された放射ビームの帯域幅の寄与を決定するようにさらに構成される、条項29に記載のリソグラフィ装置。
34.投影システムの対物面の複数の位置におけるスペクトル成分を使用して、調節された放射ビームの空間チャープを決定するように構成されたプロセッサをさらに含む、条項23に記載のリソグラフィ装置。
35.干渉素子が、レチクルの一部を形成する、条項20~34の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
36.レチクルが、干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含む、条項35に記載のリソグラフィ装置。
37.干渉素子が、サポート構造の一部を形成する、条項20~34の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
38.サポート構造が、干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含む、条項37に記載のリソグラフィ装置。
39.放射センサが、基板テーブル上に位置する、条項24~38の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
40.スペクトル成分に基づいて、リソグラフィ装置のコンポーネントを制御するように構成されたコントローラをさらに含む、条項18~39の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
41.リソグラフィ装置用のレチクルであって、レチクルがエタロンを含む、レチクル。
42.エタロンによって生成される干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含む、条項41に記載のレチクル。
43.レチクルが複数のエタロンを含む、条項41に記載のレチクル。
44.各エタロンによって生成される干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含む、条項43に記載のレチクル。
45.リソグラフィ装置の対物面において、又はそれに近接してレチクルを支持するように構築されたサポート構造であって、サポート構造がエタロンを含む、サポート構造。
46.エタロンによって生成される干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含む、条項45に記載のサポート構造。
47.サポート構造が、複数のエタロンを含む、条項45に記載のサポート構造。
48.各エタロンによって生成される干渉パターンの角度範囲を拡大するように構成された拡張光学系をさらに含む、条項47に記載のサポート構造。
49.光学装置が放射ビームの強度分布を変更した後に、放射ビームのスペクトル成分を決定する方法であって、
干渉計を使用して、放射ビームを干渉計自体と干渉させて干渉パターンを生じさせることであって、干渉パターンの1つ又は複数の特徴がスペクトル成分を示す、ことと、
干渉パターンの空間強度分布を検出することと、
干渉パターンの空間強度分布及び干渉計のスペクトル特性を使用して、放射ビームのスペクトル成分を決定することと、
を含む、方法。
50.光学装置の対物面に、又はそれに近接して干渉計の干渉素子を位置付けることをさらに含む、条項49に記載の方法。
51.干渉素子がエタロンを含み、干渉計を使用することが、放射ビームをエタロンと相互作用させることを含む、条項49又は条項50に記載の方法。
52.干渉素子が、複数のエタロンを含み、方法が、光学装置の対物面における、又はそれに近接する異なる複数の位置にエタロンを配置させることをさらに含む、条項51に記載の方法。
53.光学装置の対物面における複数の位置でスペクトル成分を決定することをさらに含む、条項50~52の何れか一項に記載の方法。
54.対物面における、又はそれに近接した異なる複数の位置から生じる干渉パターンの空間強度分布を検出することをさらに含む、条項49~53の何れか一項に記載の方法。
55.調節された放射ビームのスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビームの帯域幅を決定することをさらに含む、条項49~54の何れか一項に記載の方法。
56.調節された放射ビームのスペクトル強度分布を使用して、調節された放射ビームの中心波長を決定することをさらに含む、条項49~55の何れか一項に記載の方法。
57.調節された放射ビームの帯域幅の空間分布を決定することをさらに含む、条項49~56の何れか一項に記載の方法。
58.調節された放射ビームの中心波長の空間分布を決定することをさらに含む、条項49~57の何れか一項に記載の方法。
59.調節された放射ビームの帯域幅を使用して、調節された放射ビームのスペックルに対する、調節された放射ビームのスペクトル成分の寄与を決定することをさらに含む、条項49~58の何れか一項に記載の方法。
60.光学装置の対物面の複数の位置におけるスペクトル成分を使用して、調節された放射ビームの空間チャープを決定することをさらに含む、条項49~58の何れか一項に記載の方法。
61.リソグラフィ装置を使用してリソグラフィ露光を行う方法であって、
放射ビームを受け取ることと、
放射ビームの強度分布を変更して、調節された放射ビームを形成することと、
リソグラフィ装置の投影システムの対物面において、又はそれに近接して、サポート構造によって保持されるレチクルを使用して、調節された放射ビームの断面にパターンを付与することと、
パターンを基板上に投影することと、
条項49~60の何れか一項に記載の方法を使用して決定された、調節された放射ビームのスペクトル成分に基づいて、リソグラフィ装置のコンポーネントを制御することと、
を含む、方法。
62.異なるリソグラフィ装置を使用して、別のリソグラフィ露光を行うことをさらに含み、スペクトル成分が、2つのリソグラフィ装置間の性能の差を減少させるために使用される、条項61に記載の方法。
63.第1のリソグラフィ装置及び第2のリソグラフィ装置を合致させる方法であって、
第1のリソグラフィ装置の第1の近接バイアス曲線を測定することと、
第1のリソグラフィ装置の調節された放射ビームの第1のスペクトル成分を測定して、第1の帯域幅を決定することと、
第2のリソグラフィ装置の第2の近接バイアス曲線を測定することと、
第2のリソグラフィ装置の調節された放射ビームの第2のスペクトル成分を測定して、第2の帯域幅を決定することと、
第1の帯域幅及び第2の帯域幅の少なくとも一方を調節して、第1及び第2の近接バイアス曲線を合致させることと、
を含む、方法。
【0148】
[000147] ここまで本発明の特定の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明は、説明された以外の方法で実施され得る。上述の説明は、限定的ではなく、例示的であるものとする。従って、当業者であれば明らかなように、以下に示される特許請求項の範囲から逸脱しない限り、記載された本発明に対する修正形態がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】