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  • 特表-金属膜の蒸着 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】金属膜の蒸着
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/34 20060101AFI20220419BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20220419BHJP
   C23C 16/14 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
C23C16/34
H01L21/285 C
C23C16/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543355
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 US2020015241
(87)【国際公開番号】W WO2020159882
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/797,860
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ・ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ・グリフィン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バムノルカー・ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・クリーンプト・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラダラジャン・セシャサイー
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA07
4K030BA38
4K030BA42
4K030BB01
4K030BB05
4K030CA04
4M104AA01
4M104BB31
4M104BB33
4M104DD43
4M104GG09
4M104HH16
(57)【要約】
【解決手段】ロジックおよびメモリ用途のための低抵抗メタライゼーションスタック構造および関連の製造方法を本明細書に提供する。いくつかの実施形態において、薄い金属酸窒化物または金属窒化物の核形成層が蒸着され、それに続いて、純金属導体の蒸着がなされる。核形成層は非晶質であり、大きい純金属膜粒成長および低い抵抗率のテンプレートとなる。さらに、後述する方法の特定の実施形態は、金属酸窒化物核形成層のほとんどまたはすべてを純金属層に変換し、抵抗率をさらに低下させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
第1原子層蒸着(ALD)処理を用いて、金属酸塩化物前駆体およびアンモニアから第1層を蒸着させる工程と、
第2ALD処理を用いて、金属酸塩化物前駆体および水素から前記第1層上に元素金属層を蒸着させる工程と、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記第1層は、金属酸窒化物層または金属窒化物層である、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記第1層は、前記第2ALD処理の間または前に、元素金属層に変換される、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記変換後の元素金属層は、1(原子)%未満の不純物を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記第1層は、非晶質層である、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記元素層は、結晶質である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記第1および第2ALD処理は、同じチャンバ内で空気への暴露なしに実行される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記第1層は、前記第2層における金属粒子成長のためのテンプレートである、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記元素層は、1(原子)%未満の不純物を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記元素金属層は、元素タングステンである、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記元素金属層は、元素モリブデンである、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記第1層は、酸窒化モリブデンおよび窒化モリブデンの一方である、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記第1ALD処理は、400℃より低い温度で実行される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記第2ALD処理は、400℃より高い温度で実行される、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記第1層の蒸着および前記元素層の蒸着は、同じチャンバ内で実行される、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記第1層の蒸着および前記元素層の蒸着は、同じチャンバの異なるステーション内で実行される、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記第1層の蒸着は、第1チャンバ内で実行され、前記元素層の蒸着は、第2チャンバ内で実行される、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、さらに、前記元素層の蒸着の前に、前記第1層を空気に暴露させる工程を備える、方法。
【請求項19】
装置であって、
基板を収容するよう各々構成された第1および第2処理チャンバと、
前記処理チャンバの各々の中の基板支持体と、
前記処理チャンバの各々の中へガスを方向付けるよう構成されたガス流入口と、
各処理チャンバ内の前記基板支持体を加熱するよう構成されたヒータと、
コントローラであって、
(a)基板が前記第1処理チャンバ内に収容されている間に、金属酸塩化物前駆体およびアンモニアを順次に前記第1処理チャンバ内へ流入させるためのプログラム命令、
(b)(a)の後に、前記基板を前記第2処理チャンバへ移送するためのプログラム命令、ならびに、
(c)(b)の後に、前記基板が前記第2処理チャンバ内に収容されている間に、金属酸塩化物前駆体および水素を順次に前記第2処理チャンバ内へ流入させるためのプログラム命令、を備えた、コントローラと、
を備える、装置。
【請求項20】
装置であって、
基板を収容するよう各々構成された1または複数のステーションを有する処理チャンバと、
前記1または複数のステーションの各々の中の基板支持体と、
前記1または複数のステーションの各々の中へガスを方向付けるよう構成されたガス流入口と、
各ステーション内の前記基板支持体を加熱するよう構成されたヒータと、
コントローラであって、
金属酸塩化物前駆体およびアンモニアを順次に前記1または複数のステーションの1つへ流入させるためのプログラム命令、ならびに、
金属酸塩化物前駆体および水素を順次に前記1または複数のステーションの1つへ流入させるためのプログラム命令、を備えた、コントローラと、
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[参照による援用]
PCT要求フォームが、本願の一部として本明細書と同時に提出される。同時に提出されるPCT要求フォームで特定されるように本願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によって本明細書にその全体が全ての目的で援用される。
【0002】
化学蒸着(CVD)技術を用いたタングステン(W)膜蒸着は、半導体製造処理の不可欠な部分である。例えば、タングステン膜は、水平相互接続の形態の低抵抗電気接続、隣接する金属層の間のビア、ならびに、シリコン基板上の第1の金属層およびデバイスの間のコンタクトとして利用されうる。また、タングステン膜は、様々なメモリ用途(ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)のための埋め込みワード線(bWL)アーキテクチャ、3D NANDのためのワード線の形成など)およびロジック用途でも利用されうる。しかしながら、フィーチャサイズおよび膜厚の減少し続けていることで、より薄い膜の高い抵抗率など、様々な課題がもたらされている。他の金属(モリブデン(Mo)など)が、Wに対する低抵抗率の代替物として評価されている。
【0003】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、金属を蒸着させる方法に関する。その方法は、第1原子層蒸着(ALD)処理を用いて、金属酸塩化物前駆体およびアンモニアから第1層を蒸着させる工程を備える。方法は、さらに、第2ALD処理を用いて、金属酸塩化物前駆体および水素から前第1層上に元素金属層を蒸着させる工程を備える。
【0005】
実施例は、以下の特徴の内の1以上を含んでよい。方法において、第1層は、金属酸窒化物層または金属窒化物層である。方法において、第1層は、第2ALD処理の間または前に、元素金属層に変換される。方法において、変換後の元素金属層は、1(原子)%未満の不純物を含む。方法において、第1層は、非晶質層である。方法において、元素層は、結晶質である。方法において、第1および第2ALD処理は、同じチャンバ内で空気への暴露なしに実行される。方法において、第1層は、第2層における金属粒子成長のためのテンプレートである。方法において、元素層は、1(原子)%未満の不純物を含む。方法において、元素金属層は、元素タングステンである。方法において、元素金属層は、元素モリブデンである。方法において、第1層は、酸窒化モリブデンおよび窒化モリブデンの一方である。方法において、第1ALD処理は、400℃より低い温度で実行される。方法において、第2ALD処理は、400℃より高い温度で実行される。方法において、第1層の蒸着および元素層の蒸着は、同じチャンバ内で実行される。方法において、第1層の蒸着および元素層の蒸着は、同じチャンバの異なるステーション内で実行される。方法において、第1層の蒸着は、第1チャンバ内で実行され、元素層の蒸着は、第2チャンバ内で実行される。方法は、さらに、元素層の蒸着の前に、第1層を空気に暴露させる工程を備える。
【0006】
本開示の別の態様は、装置に関し、その装置は、基板を収容するよう各々構成された第1および第2処理チャンバと、処理チャンバの各々の中の基板支持体と、処理チャンバの各々の中へガスを方向付けるよう構成されたガス流入口と、各処理チャンバ内の基板支持体を加熱するよう構成されたヒータと、プログラム命令を備えたコントローラと、を備える。装置は、さらに、基板が第1処理チャンバ内に収容されている間に、金属酸塩化物前駆体およびアンモニアを順次に第1処理チャンバ内へ流入させることを含む。装置は、さらに、(a)の後に、基板を第2処理チャンバへ移送することを含む。装置は、さらに、(b)の後に、基板が第2処理チャンバ内に収容されている間に、金属酸塩化物前駆体および水素を順次に第2処理チャンバ内へ流入させることを含む。
【0007】
本開示の別の態様は、装置に関し、その装置は、基板を収容するよう各々構成された1または複数のステーションを有する処理チャンバと、1または複数のステーションの各々の中の基板支持体と、1または複数のステーションの各々の中へガスを方向付けるよう構成されたガス流入口と、各ステーション内の基板支持体を加熱するよう構成されたヒータと、コントローラと、を備え、コントローラは、金属酸塩化物前駆体およびアンモニアを順次に1または複数のステーションの1つへ流入させるためのプログラム命令と、金属酸塩化物前駆体および水素を順次に1または複数のステーションの1つへ流入させるためのプログラム命令と、を備える。
【0008】
これらの態様および他の態様について、図面を参照しつつ以下でさらに十分に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】金属成長のためのテンプレートとして核形成層を含む材料スタックの概略的な例を示す図。
図1B】金属成長のためのテンプレートとして核形成層を含む材料スタックの概略的な例を示す図。
【0010】
図2】実施形態に従って、材料スタックが利用されうる構造の例を提供する図。
図3A】実施形態に従って、材料スタックが利用されうる構造の例を提供する図。
図3B】実施形態に従って、材料スタックが利用されうる構造の例を提供する図。
【0011】
図4】様々な実施形態に従って、導電材料を蒸着する方法の工程を示す処理フローチャート。
【0012】
図5】アンモニア還元剤および酸塩化モリブデン前駆体を用いたモリブデン含有層の誘電体表面上での原子層蒸着の成長速度を示す図。
【0013】
図6】誘電体表面上への直接的な水素および酸塩化モリブデンからのモリブデン成長と比べて、本明細書に記載のように誘電体表面上に蒸着された核形成層上への水素および酸塩化モリブデンからのモリブデン成長を示す図。
【0014】
図7】窒化チタン上に蒸着されたモリブデン膜と比べて、本明細書に記載のように蒸着されたモリブデン膜の抵抗率を示すグラフ。
【0015】
図8】本明細書に記載の実施形態に従って、蒸着処理を実行するのに適した処理システムを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、提示した実施形態の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能である。また、開示した実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。開示した実施形態は、具体的な実施形態に関連して説明されているが、開示した実施形態を限定する意図はないことを理解されたい。
【0017】
ロジックおよびメモリ用途のための低抵抗メタライゼーションスタック構造および関連の製造方法を本明細書に提供する。いくつかの実施形態において、薄い金属酸窒化物または金属窒化物の核形成層が蒸着され、それに続いて、純金属導体の蒸着がなされる。核形成層は非晶質であり、大きい純金属膜粒成長および低い抵抗率のテンプレートとなる。さらに、後述する方法の特定の実施形態は、金属酸窒化物核形成層のほとんどまたはすべてを純金属層に変換し、抵抗率をさらに低下させる。
【0018】
様々な実施形態によれば、1または複数の利点が実現されうる。いくつかの実施形態において、酸化アルミニウムおよびその他の誘電体への直接的な金属(Moなど)の蒸着が実行されてよい。いくつかの実施形態において、これらの蒸着は、大きい核形成の遅延なしに、500℃未満またはさらには400℃未満の温度で実行されうる。低温での蒸着は、より良好なステップカバレッジにつながりうる。様々な実施形態において、大きい粒径の膜からより低い抵抗率の膜が得ることができ、および/または、窒化チタン(TiN)などの高抵抗率膜なしに、誘電体上に直接的に膜を蒸着できるからである。低温金属窒化物核形成層の追加が、600℃未満またはさらには500℃未満の温度でのその後の純金属蒸着を可能にしうる。これは、金属(窒化物)+純金属核形成スタックを、ウエハ処理のために600℃または500℃未満の熱履歴を有する半導体応用例に適したものにしうる。これは、TiNなどの高抵抗率層なしで、純粋な膜にとってアクセスできない温度での金属の蒸着を可能にする。例えば、純MoのALDのための温度は、誘電体上に直接蒸着される場合、600℃を超えうる。
【0019】
図1Aおよび図1Bは、金属成長のためのテンプレートとして核形成層を含む材料スタックの概略的な例である。図1Aおよび図1Bは、特定のスタックにおける材料の順序を示しており、図2図3A、および、図3Bに関して後に詳述するように、任意の適切なアーキテクチャおよび用途で用いられてよい。図1Aの例において、基板102が、その上に蒸着された核形成層108を有する。基板102は、シリコンまたはその他の半導体のウエハ、例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または、450mmウエハであってよく、誘電材料、導電材料、または、半導体材料などの1または複数の材料層を上に蒸着されたウエハを含みうる。方法は、その他の基板(ガラス、プラスチックなど)上にメタライゼーションスタック構造を形成するために適用されてもよい。
【0020】
図1Aでは、誘電体層104が、基板102の上にある。誘電体層104が基板102の半導体(例えば、Si)表面上に直接蒸着されてもよいし、任意の数の中間層が存在してもよい。誘電体層の例は、ドープおよび非ドープの酸化シリコン、窒化シリコン、および、酸化アルミニウムの層を含み、具体例としては、ドープまたは非ドープ層SiOおよびAlが挙げられる。また、図1Aでは、拡散バリア層106が、核形成層108と誘電体層104との間に配置されている。拡散バリア層の例は、窒化チタン(TiN)、チタン/窒化チタン(Ti/TiN)、窒化タングステン(WN)、および、炭窒化タングステン(WCN)を含む。金属層110が、核形成層108上に蒸着されており、金属成長のためのテンプレートを提供する核形成層108と共に構造の主導体(バルク導体またはバルク層とも呼ぶ)である。
【0021】
後に詳述するように、核形成層108は、非晶質膜として蒸着されている。大きい粒子を有する非晶質膜を金属成長のためのテンプレートとして用いることにより、大粒子かつ低抵抗率の金属を形成できる。金属層の例は、タングステン(W)層およびモリブデン(Mo)層を含む。
【0022】
図1Bは、材料スタックの別の例を示す。この例において、スタックは、基板102、誘電体層104を備え、核形成層108が誘電体層104上に直接蒸着されており、間に拡散バリア層はない。図1Aの例のように、金属層110が、核形成層108上に蒸着されており、構造の主導体である。
【0023】
図1Aおよび図1Bの例において、核形成層108は、金属酸窒化物層(例えば、酸窒化タングステンまたは酸窒化モリブデンの層)として蒸着されてよい。ただし、後の処理中に、特定の実施形態において、核形成層108のすべてまたはほとんどが、純金属に変換されうる。したがって、様々な実施形態によれば、核形成層108は、純金属層110と同じ組成であってもよいし、そうでなくてもよい。核形成層108は、非晶質性により特徴付けられ、純金属層110は、大きい粒径によって特徴付けられうる。
【0024】
いくつかの実施形態において、金属酸窒化物層の金属は、純金属導体の金属と同じであり、例えば、酸窒化モリブデン層が、モリブデン層の蒸着の前に核形成層として蒸着されてよく、また、酸窒化タングステン層が、タングステン層の蒸着の前に核形成層として蒸着されてよい。別の実施形態において、金属酸窒化物層は、純金属導体の金属とは異なる金属を有してもよく、例えば、タングステン層が、モリブデン含有核形成層上に蒸着されてよく、また、モリブデン層が、タングステン含有核形成層上に蒸着されてよい。
【0025】
図1Aおよび図1Bは、メタライゼーションスタックの例を示すが、方法および結果として得られるスタックは、そのように限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、核形成層は、金属成長のためのテンプレートとしてSiまたはその他の半導体基板の上に直接蒸着されてもよい。さらに、核形成層上でのタングステン(W)またはモリブデン(Mo)の成長について上述したが、核形成層は、その他の金属(コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)など)、および、これらの金属を含む合金(MoWなど)の低抵抗率成長のためのテンプレートとなってもよい。またさらに、核形成層は、酸窒化モリブデン、窒化モリブデン、酸窒化タングステン、窒化タングステン、窒化ニッケルなど、任意の適切な金属酸窒化物または金属窒化物の層であってよい。
【0026】
上述し以下でさらに説明する材料スタックは、様々な構造に実装されてよい。図2図3A、および、図3Bは、スタックが利用されうる構造の例を提供する。図2は、シリコン基板202内に埋め込みワード線(bWL)210を備えたDRAMアーキテクチャの概略的な例を示す。bWL210は、シリコン基板202にエッチングされたトレンチ内に形成されている。トレンチをライニングしているのは、共形核形成層208、および、共形核形成層208とシリコン基板202との間に配置された絶縁層204である。図2の例において、絶縁層204は、高k材料(酸化シリコンまたは窒化シリコン材料など)から形成された、ゲート酸化物層であってよい。いくつかの実施形態において、TiNまたはタングステン含有層などの共形バリア層が、核形成層208と絶縁層204との間に挟まれてもよい。
【0027】
図3Aは、3D NAND構造323内のワード線310の概略的な例を示す。ワード線310は、酸化物層311によって隔てられている。図3Bにおいて、酸化アルミニウム(Al)層304および核形成層308を含む、ワード線310と酸化物層311との間の境界の詳細が示されている。いくつかの実施形態において、核形成層308は、本明細書に記載するように、酸化物層311上もしくはTiNまたはその他のバリア層上に直接蒸着されてよい。核形成層は、例えば、約10nm~100nmの間の厚さのワード線310の蒸着のために、約10Å~100Åまたは10Å~50Åの間であってよい。
【0028】
図4は、導電材料を蒸着する方法の工程を示す処理フローチャートである。工程402において、共形核形成層が、原子層蒸着(ALD)によって構造上に形成される。ALD法において、基板は、最初に基板が適切な金属含有前駆体のパルスに暴露され、次いで、前駆体が任意選択的にパージされ、次いで、基板が還元剤のパルスに暴露され、次いで、還元剤が任意選択的にパージされるようにサイクルで暴露され、かかるサイクルは、所望の厚さの核形成層が基板用に形成されるまで繰り返されてよい。前駆体および還元剤の順序は、シーケンスが還元剤ドーズで開始された後に金属含有前駆体ドーズが続くように、逆転されてもよいことが理解される。
【0029】
いくつかの実施形態において、還元剤は、アンモニア(NH)またはその他の窒素含有還元剤(ヒドラジン(N)など)である。誘電体へのNH化学吸着は、水素(H)よりも起こりやすい。いくつかの実施形態において、還元剤および前駆体は、還元剤の解離なしに反応するように選択される。NHは、解離なしに金属酸塩化物および金属塩化物と反応する。これは、例えば、還元剤としてHを用いる金属酸塩化物からのALDとは対照的であり、後者では、Hが、表面上で解離して、吸着原子水素を形成し、その結果として、誘電体表面上での金属の初期の核形成中には、反応種の非常に低い濃度と、低い表面被覆率とにつながる。NHと、金属酸塩化物または金属塩化物の前駆体とを用いることにより、同じ金属前駆体のH還元によって用いられるよりも低い数百度までの蒸着温度で、核形成の遅延が低減または排除される。
【0030】
いくつかの実施形態において、還元剤は、ジボラン(B)または(SiH)など、ホウ素含有またはシリコン含有還元剤であってよい。これらの還元剤は、金属塩化物前駆体と共に、または、金属酸塩化物と共に、用いられてよいが、BおよびSiHは、ALD処理中に副生成物として形成される水と反応して、BおよびSiOを形成し、それらは、絶縁性であり、膜内に残って、抵抗率を高める。また、NHの利用で、Alを含む特定の表面に対して、BおよびSiHによるALDよりも付着性が改善する。
【0031】
金属酸塩化物および金属塩化物の前駆体の例は、五塩化モリブデン(MoCl)、モリブデン酸塩化物(二塩化二酸化モリブデン(MoOCl)および四塩化酸化モリブデン(MoOCl)など)、五塩化タングステン(WCl)、六塩化タングステン(WCl)、四塩化タングステン(WCl)、二塩化タングステン(WCl)、ならびに、タングステン酸塩化物(WOCl)(四塩化酸化タングステン(WOCl)など)を含む。
【0032】
金属塩化物および金属酸塩化物は、フッ素混入が懸念される実施形態で有用でありうる。しかしながら、いくつかの実施形態において、フッ素含有前駆体が用いられてよい。これらは、六フッ化タングステン(WF)、六フッ化モリブデン(MoF)、および、五フッ化モリブデン(MoF)などの金属フッ化物を含む。
【0033】
結果として得られる核形成層は、一般に、純粋な元素膜ではなく、金属窒化物または金属酸窒化物の膜である。いくつかの実施形態において、特に、低温で蒸着が実行される場合に、蒸着からの残留塩素または残留フッ素が存在しうる。いくつかの実施形態において、残留塩素または残留フッ素は微量にすぎない。いくつかの実施形態において、核形成層は、非晶質層である。膜内の不純物(例えば、酸素、NH、塩素、または、その他のハロゲン)が、非晶質微細構造の成長を促進する。いくつかの実施形態において、蒸着されたままの核形成層は、非晶質金属酸窒化物層または非晶質金属窒化物層である。非晶質性は、後に蒸着される導体における大粒成長のテンプレートとなる。酸化物表面に対する窒化物または酸窒化物の表面エネルギは、酸化物表面上の金属の表面エネルギよりもはるかに有利であり、誘電体上への連続的かつ平滑な膜の形成を容易にする。これは、薄い連続的な層の形成を可能にする。核形成膜の厚さの例は、蒸着直後で5~30Åの範囲である。温度に応じて、これは、例えば、約5~50のALDサイクルでありうる。
【0034】
後述するように、後続の処理中に、核形成層は、純粋な(または、あまり不純でない)元素金属膜に変換されて、厚さが減少しうる。
【0035】
核形成層蒸着のための基板温度は、例えば、300℃~600℃の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、低温が用いられてよい。かかる温度は、500℃未満、550℃未満、450℃未満、400℃未満、または、350℃未満であってよい。低温は、ステップカバレッジの改善のために用いられてよい。さらに、低温は、核形成層における不純物の量を増大させ、非晶質性を高めうるが、これが、ひいては、後に蒸着される導体の粒径を増大させうる。
【0036】
核形成層が蒸着される表面は、特定の応用例に依存する。いくつかの実施形態において、核形成層は、誘電体(例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、など)表面上に直接蒸着される。いくつかの実施形態において、核形成層は、窒化チタンまたはその他の表面上に直接蒸着される。後に詳述するように、工程402を実行することにより、後の元素金属蒸着は、任意の表面に実行されてよい。
【0037】
核形成層の蒸着後、任意選択的な工程404が実行されてよい。工程404において、金属導体および還元剤のより低い温度でのALDサイクルが実行される。
「より低い」温度とは、実行された場合の工程404の温度が後続の工程406よりも低いことを意味する。温度の例は、500℃未満、550℃未満、450℃未満、400℃未満、または、350℃未満であってよい。この工程において、還元剤は、工程402とは異なり、特に、その例は、水素(H)であってよい。特に、Hは、核形成層よりも大幅に少ない不純物を有する元素膜の蒸着につながりうる。温度は、いくつかの実施形態において、工程402で用いられるのと同じ温度であってよい。また、金属前駆体は、工程402で用いられるのと同じまたは異なる前駆体であってよい。いくつかの実施形態では、同じ前駆体が用いられ、還元剤だけが変更される。いくつかの実施形態において、工程404は、金属窒化物または金属酸窒化物の核形成層の元素金属膜への変換を促進しうる。様々な実施形態によると、工程404は、かなりの量の主導体膜を蒸着してもよいし、しなくてもよい。
【0038】
さらなる任意選択的な工程406において、基板温度が上げられる。工程404が実行される実施形態において、工程406も実行される。別の実施形態において、動作406が実行されてもよい。例えば、核形成層蒸着が比較的低い温度(例えば、400℃未満)で行われた場合に、動作406において、主導体の蒸着が実行される高温に温度が上げられてよい。いくつかの実施形態において、温度は、500℃より高くてよく、いくつかの実施形態において、600℃より高くてよい。いくつかの実施形態において、より低い温度(例えば、400℃~500℃の間、ただし両端を含む)が、バルク蒸着に用いられてもよい。温度は、前の工程の温度に応じて、上げられてもよいし、上げられなくてもよい。
【0039】
次いで、方法は、(工程402、404、または、406のいずれかから)主導体がALDによって蒸着される工程408へ進んでよい。工程404(実行された場合)と同様に、Hが、還元剤として用いられてよい。
【0040】
工程404および408で用いられてよい金属酸塩化物および金属塩化物の前駆体の例は、五塩化モリブデン(MoCl)および六塩化モリブデン(MoCl)、モリブデン酸塩化物(二塩化二酸化モリブデン(MoOCl)および四塩化酸化モリブデン(MoOCl)など)、五塩化タングステン(WCl)、六塩化タングステン(WCl)、四塩化タングステン(WCl)、二塩化タングステン(WCl)、ならびに、タングステン酸塩化物(WOCl)(四塩化酸化タングステン(WOCl)など)を含む。
【0041】
工程404~408の内の1または複数の間に、核形成層は、元素金属層に変換される。これは、不純物(すなわち、任意の非金属成分)の除去としても特徴付けられてよい。核形成層は、後に蒸着される元素層よりも多くの不純物を有しうるが、不純物は、スタックの抵抗率が、核形成層を含まないスタックと同じまたは同等になるように、十分に除去される。厚さも減少し、例えば、30Åの蒸着直後の膜が、約10Åの金属としてスタックに寄与しうる。
【0042】
様々な実施形態によると、以下の内の1または複数が、核形成層の元素金属膜への変換を促進するために用いられてよい:1)核形成層が蒸着されるよりも高温(例えば、550℃)でバルク導体を蒸着すること、2)上記の工程404を参照して説明したように、より低い温度のALD H/金属前駆体サイクルを実行すること、および、3)核形成層がバルク蒸着前に空気に暴露されないか他の方法で酸化されないようにバルク層のその場蒸着。Mo酸塩化物およびW酸塩化物は、特に、元素金属への変換が比較的容易である。結果として得られる変換された核形成層および純金属層は各々、1%以下の原子不純物を有するものとして特徴付けられてよい。
【0043】
図5は、核形成層を形成するためにNH還元剤および酸塩化モリブデン前駆体を用いてMo含有層を形成した後に、上述のようにMo含有層をMoに変換した結果を示す。図5は、Moへの変換後の核形成層の厚さをALDサイクルの関数として示している。各温度(350℃-低温、400℃-中温、450℃-高温)で、3つの異なる表面(Al表面、TiN表面、および、熱SiO表面)に対して蒸着を実行した:。各温度で、成長速度は、すべての表面で同じである。したがって、成長速度が温度の影響を受けず、基板表面の影響を受けない。特に、これが、非常に基板依存でありうる他の蒸着システムとは異なっている。例えば、Hおよび酸塩化モリブデンでのALD蒸着は、TiN上に蒸着させ、少量をSiO上に蒸着させ、Al上へはほとんど何も蒸着させない。
【0044】
図6は、550℃でAl表面上への直接的なHおよび酸塩化モリブデンのALDサイクルによるMo成長と比較して、上述のようなAl表面上に蒸着した核形成層上へのHおよび酸塩化モリブデンのALDサイクルによる後続のMo成長を示す。曲線Aは、NH/酸塩化Moから蒸着された約10Åの核形成層上へのMo成長を示しており、曲線Bは、Al上へのMo成長を示している。図からわかるように、Mo前駆体のH還元からのALD蒸着は、Mo前駆体のNH還元から蒸着されたMo核形成層上で安定した成長を示し、核形成の遅延がない。対照的に、H/Mo前駆体でのALDサイクルは、Al上への蒸着がない結果となっている。
【0045】
図7は、様々なMo膜の抵抗率を示す。曲線Aは、低温NH/酸塩化Moによる核形成層上のH/酸塩化MoによるALD膜の抵抗率を示し、曲線Bは、高温NH/酸塩化Moによる核形成層上のH/酸塩化MoによるALD膜の抵抗率を示し、曲線Cは、TiN上のH/酸塩化MoによるALD膜の抵抗率を示している。本明細書に記載の核形成層を用いると、ブランケット抵抗率の増大は見られず、核形成層が元素Mo膜に変換されることを示唆している。
【0046】
上記の説明では、金属酸塩化物および金属塩化物の前駆体に言及しているが、方法は、金属酸フッ化物および金属フッ化物の前駆体など、その他のハロゲン含有前駆体で実行されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、方法は金属酸窒化物または金属窒化物の核形成層の蒸着の後に、化学蒸着(CVD)による純金属層の蒸着を行う工程を備えてもよい。
【0048】
装置
任意の適切なチャンバを用いて、開示した実施形態を実施することができる。蒸着装置の例としては、例えば、カリフォルニア州フレモントのLam Research社製のALTUS(登録商標)およびALTUS(登録商標)Max、もしくは、様々な他の市販の処理システムのいずれかなど、様々なシステムが挙げられる。処理は、複数の蒸着ステーションで並行して実行できる。
【0049】
いくつかの実施形態では、核形成層蒸着処理が、単一の蒸着チャンバ内に配置された2、5、または、さらに多くの蒸着ステーションの内の1つである第1のステーションで実行される。例えば、核形成層蒸着が、第1ステーションで実行され、その後、第2ステーションで金属前駆体の低温水素還元が実行され、その後、第3ステーションで金属前駆体の高温水素還元が実行される。各ステーションは、独立温度制御を有してよい。いくつかの実施形態において、処理の様々な工程が、蒸着チャンバの2つの異なるステーションで実行される。例えば、基板は、基板表面に局所的な雰囲気を形成する個々のガス供給システムを用いて、第1ステーション内でNHに暴露されてよく、次いで、基板は、第2ステーションに移送され、核形成層を蒸着するために金属塩化物、金属フッ化物、または、金属酸塩化物の前駆体前駆体に暴露される。いくつかの実施形態において、基板は、その後、NHへの第2暴露のために第1のステーションに戻されてよい。次いで、基板は、金属前駆体への暴露に向けて第2ステーションへ移送されてよい。基板は、第1金属塩化物または金属酸塩化物の蒸着後に、別のステーションでNHに暴露されてもよい。 これは、核形成層蒸着を完了させて同じまたは異なるステーションにおけるバルク層蒸着を進めるため必要に応じて反復されてよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、複数のチャンバが、本明細書に記載の方法を実行するために用いられる。例えば、核形成層の蒸着が第1チャンバで実行され、バルク金属層の蒸着が第2チャンバで実行されてよい。2つのチャンバは、基板が暴露なしにそれらの間で移送されうるように、共通の真空チャンバに接続されてよい。他の実施形態において、チャンバは、真空下で接続されておらず、基板は移送中に空気に暴露される。任意の酸化が、上述のように後続の処理で還元されうる。
【0051】
図8は、本明細書に記載の実施形態に従って、蒸着処理を実行するのに適した処理システムを示すブロック図である。システム800は、搬送モジュール803を備える。搬送モジュール803は、処理中の基板が様々なリアクタモジュール間で移動される時の汚染のリスクを最小限に抑えるために、清浄な加圧環境を提供する。搬送モジュール803上には、本明細書に記載するようにALD蒸着を実行できるマルチステーションリアクタ809が取り付けられる。チャンバ809は、これらの動作を順に実行しうる複数のステーション811、813、815、および、817を備えてよい。例えば、チャンバ809は、ステーション811および813が核形成層蒸着を実行し、ステーション813および815がバルク層蒸着を実行するように構成されてよい。各蒸着ステーションは、加熱されたウエハペデスタルと、シャワーヘッド、拡散プレート、または、その他のガス流入口と、を備えてよい。
【0052】
また、プラズマ前洗浄または化学的な(非プラズマ)前洗浄を実行できる1または複数の単一ステーションモジュールまたはマルチステーションモジュール807が、搬送モジュール803上に取り付けられてよい。モジュールは、様々な他の処理(例えば、還元剤浸漬)に用いられてもよい。システム800は、ウエハが処理前後に収容される1または複数(この例では2つ)のウエハソースモジュール801も備える。大気搬送チャンバ819内の大気ロボット(図示せず)が、まず、ソースモジュール801からロードロック821にウエハを取り出す。搬送モジュール1103内のウエハ搬送装置(一般に、ロボットアームユニット)が、ロードロック821から搬送モジュール803上に取り付けられたモジュールに、そして、モジュールの間で、ウエハを移動させる。
【0053】
いくつかの実施形態において、高温シャワーヘッドが用いられる。これは、デュアルではなくシングルプレナムシャワーヘッドの利用を可能にする。シャワーヘッド内部の接液面を150℃または200℃超に維持することにより、NHClの凝結なしにシングルプレナムシャワーヘッドでNHおよび金属酸窒化物または金属塩化物の前駆体を利用できる。あるいは、NHが1つのプレナムを通して供給され、金属塩化物または金属酸塩化物の前駆体が他のプレナムを通して供給されうるデュアルプレナムシャワーヘッドが利用されてもよい。
【0054】
上述のように、いくつかの実施形態において、単一の処理チャンバ内で金属(窒化物)核形成および純金属の両方を蒸着することは、H、金属(酸塩化物)、および、それらの副生成物(HCl、OCl、金属-Cl、・・・)との高温反応による、蒸着直後の金属+O+NH+Clの核形成膜の純金属への変換を容易にする。これは、上述のように、第1蒸着ステーションでは低温で、そして、後続の蒸着ステーションでは高温で、マルチステーションリアクタ内でなされてよい。いくつかの実施形態において、マルチステーション蒸着リアクタ内の個々の蒸着ステーションは、ペデスタルを上げた処理位置において、2つのアセンブリが、ウエハ上方の小さい処理空間と、処理空間をメインチャンバから分離するための非常に狭いギャップとを形成するように、シャワーヘッドおよびペデスタルを成形することによって、互いから分離されうる。処理空間の縁部における狭いギャップは、ガスがメインチャンバから処理空間内へ拡散するのを困難にするために、不活性ガスパージバリアで強化されうる。また、処理空間の縁部における狭いギャップは、処理ガスがメインチャンバに入るのを防ぐために、局所的なポンピングプレナムを組み込むこともできる。これは、メインチャンバ内で蒸着または粒子生成が起きるリスクを排除できる。狭い縁部ギャップ自体は、ステーション間の相互干渉がないように、メインチャンバからのガスがウエハ処理空間内へ戻って拡散するリスクを排除できる。
【0055】
上述のように、特定の実施形態において、システムは、2つの異なる蒸着チャンバを備える。例えば、図8を参照すると、2つの蒸着チャンバが、搬送モジュール803に取り付けられてよい。かかる実施形態において、各蒸着チャンバは、シングルまたはマルチステーションチャンバであってよい。さらに、共通の真空下にない2つのチャンバが用いられてもよい。
【0056】
特定の実施形態において、システムコントローラ829が、蒸着中の処理条件を制御するために用いられる。コントローラは、通例、1または複数のメモリデバイスと、1または複数のプロセッサとを備える。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、ステッパモータコントローラボードなどを備えてよい。
【0057】
コントローラは、蒸着装置の動作すべてを制御してよい。システムコントローラは、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧、チャンバ温度、ウエハ温度、用いられる場合には高周波(RF)電力レベル、ウエハチャックまたはペデスタルの位置、ならびに、特定の処理の他のパラメータを制御するための一連の命令を含むシステム制御ソフトウェアを実行する。コントローラに関連するメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムが、いくつかの実施形態において用いられてもよい。
【0058】
典型的には、コントローラに関連付けられたユーザインターフェースが存在する。ユーザインターフェースは、ディスプレイスクリーン(装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ)と、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイスと、を含みうる。
【0059】
システム制御ロジックが、任意の適切な方法で構成されてよい。一般に、ロジックは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで設計または構成されうる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされてもよいし、ソフトウェアとして提供されてもよい。命令は、「プログラミング」によって提供されうる。かかるプログラミングは、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、および、ハードウェアとして実装された特定のアルゴリズムを有する他のデバイス内にハードコードされたロジックなど、任意の形態のロジックを含むと理解される。また、プログラミングは、汎用プロセッサ上で実行できるソフトウェア命令またはファームウェア命令を含むと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ読み取り可能プログラム言語でコードされてよい。あるいは、制御ロジックはコントローラにハードコードされてもよい。これらの目的で、特定用途向け集積回路、プログラム可能論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイすなわちFPGA)などが用いられてもよい。以下では、「ソフトウェア」または「コード」が利用される場合、機能的に同等のハードコードされたロジックが代わりに利用されうる。
【0060】
処理手順内の蒸着処理およびその他の処理を制御するためのコンピュータプログラムコードは、例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなど、任意の従来のコンピュータ読み取り可能なプログラミング言語で書かれうる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトが、プラグラム内に特定されたタスクを実行するために、プロセッサによって実行される。
【0061】
コントローラパラメータは、例えば、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧、ならびに、チャンバ壁温度などの処理条件に関する。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供され、ユーザインターフェースを用いて入力されうる。
【0062】
処理を監視するための信号が、システムコントローラのアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてよい。処理を制御するための信号が、蒸着装置のアナログおよびデジタル出力接続で出力される。
【0063】
システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成されうる。例えば、本明細書に記載されている蒸着処理を実行するために必要なチャンバ構成要素の動作を制御するために、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが書かれてよい。このためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、基板配置コード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、および、ヒータ制御コードを含む。
【0064】
いくつかの実施例において、コントローラ829は、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラ829は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、いくつかのシステムにおける高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0065】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0066】
コントローラ829は、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラ829は、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。一部の例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0067】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、CVDチャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0068】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
【0069】
コントローラ829は、様々なプログラムを備えてよい。 基板配置プログラムは、ペデスタルまたはチャック上に基板をロードするため、および、基板とチャンバの他の部品(ガス流入口および/またはガスターゲットなど)との間の間隔を制御するために用いられるチャンバ構成要素を制御するためのプログラムコードを備えてよい。処理ガス制御プログラムは、ガス組成および流量を制御するため、ならびに、任意選択的に、チャンバ内の圧力を安定させるために蒸着の前にチャンバ内にガスを流すためのコードを備えてよい。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムのスロットルバルブを調節することにより、チャンバ内の圧力を制御するためのコードを備えてよい。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために用いられる加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを備えてよい。あるいは、ヒータ制御プログラムは、ウエハチャックへの熱伝導ガス(ヘリウムなど)の供給を制御してもよい。
【0070】
蒸着中に監視されうるチャンバセンサの例は、マスフローコントローラ、圧力センサ(マノメータなど)、ならびに、ペデスタルまたはチャック内に配置された熱電対を含む。適切にプログラムされたフィードバックアルゴリズムおよび制御アルゴリズムが、所望の処理条件を維持するためにこれらのセンサからのデータと共に用いられてよい。
【0071】
以上、シングルチャンバまたはマルチチャンバの半導体処理ツールにおける本開示の実施形態の実施について説明した。
【0072】
以上、シングルチャンバまたはマルチチャンバの半導体処理ツールにおける開示された実施形態の実施について説明した。本明細書に記載の装置および処理は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電力パネルなどの加工または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたは処理と共に用いられてもよい。通例、必ずしもそうとは限らないが、かかるツール/処理は、共通の製造施設で一緒に利用または実行されている。薄膜のリソグラフィパターニングは、通例、以下の工程の一部または全部を含み、各工程は、複数の可能なツールで提供される:(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを用いて、ワークピース(すなわち、基板)上にフォトレジストを塗布する工程;(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させる工程;(3)ウエハステッパなどのツールで可視光またはUVまたはX線にフォトレジストを暴露させる工程;(4)ウェットベンチなどのツールを用いて、選択的にレジストを除去することによってパターニングするためにレジストを現像する工程;(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写する工程;ならびに、(6)RFプラズマまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを用いて、レジストを除去する工程。
【0073】
上記の記載および特許請求の範囲において、数値範囲は、範囲の端点を含む。例えば、「1~5nmの間の厚さ」は、1nmおよび5nmを含む。同様に、ダッシュ記号で表された範囲は、範囲の端点を含む。
【0074】
結び
理解を深めるために、本実施形態について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。本発明の処理、システム、および、装置を実施する多くの他の方法が存在することに注意されたい。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、実施形態は、本明細書に示した詳細に限定されない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】