(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】銅の電解採取方法
(51)【国際特許分類】
C25C 1/12 20060101AFI20220422BHJP
【FI】
C25C1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553094
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2020054196
(87)【国際公開番号】W WO2020182425
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501094270
【氏名又は名称】ユミコア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トム・ヘネベル
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・グレード
(72)【発明者】
【氏名】ダーン・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・ヴェルハーゲ
【テーマコード(参考)】
4K058
【Fターム(参考)】
4K058AA11
4K058BA21
4K058BB04
4K058CA04
4K058CA28
4K058DD30
4K058FA01
4K058FC01
(57)【要約】
本発明は、高度に汚染された電解液から向上した品質のカソードを製造するために適当な銅の電解採取方法に関する。該方法は、複数のアノード及びカソードを含み、それらの底にガススパージング要素を備えた電解採取電解槽で実施される。該方法は、カソードにわたってガスをスパージングする工程を含み、前記溶液が100mg/Lを超えるヒ素を含有することを特徴とする。本発明は、高度に汚染された電解液を取り扱う場合の、特に高濃度のヒ素を含有する場合のカソード品質の問題に対する代替的解決法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性の硫酸銅溶液から銅を電解採取する方法であって、複数のアノード及びカソードを含み、ガススパージング要素を備えた電解採取電解槽で実施され、カソードにわたってガスをスパージングする工程を含み、前記溶液が100mg/Lを超えるヒ素を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記溶液が、1mg/Lを超えるBiも含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液が、5g/LまでのAs及び/又は200mg/LまでのBiを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記スパージングガスが空気である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記スパージングガスの流速が、溶液の1m
3当たり標準状態で0.02から0.5m
3/時間の間である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記電解採取する方法が250A/m
2を超える電流密度で実施される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
最大で15ppmのAsを有する銅を電解採取する方法である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
最大で3ppmのBiを有する銅を電解採取する方法である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
酸性の硫酸銅溶液が、1種以上の原材料を硫酸水溶液中に溶解させることにより製造され、前記酸性の硫酸銅溶液は、その後請求項1から8のいずれか1項に記載の方法で処理される、銅の製造方法。
【請求項10】
前記酸性の硫酸銅溶液が、非電解溶解により製造される、請求項9に記載の銅の製造方法。
【請求項11】
前記酸性の硫酸銅溶液が、前記電解採取電解槽と別の反応器で製造される、請求項9又は10に記載の銅の製造方法。
【請求項12】
複数のアノード及びカソードを含み、前記カソードにわたって好ましくは均一にガスをスパージングするためのガススパージング要素を備えた、電解採取電解槽の使用であって、100mg/Lから5g/Lのヒ素も含む酸性の硫酸銅溶液から銅を回収するための使用。
【請求項13】
前記溶液が1から200mg/Lのビスマスを含む、請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度に汚染された電解液から向上した品質のカソードを製造するために適当な銅の電解採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含銅一次又は二次材料に適用される精錬方法は、典型的には銅を主成分とする金属の合金を製造することで終わる。この合金は、最も多くの場合、硫化物の性質があり、したがってそれは「マット」と呼ばれる。溶解炉に供給される材料に依存して、貴金属並びにヒ素、アンチモン、ビスマス、鉛、テルル、及びセレンなどの不純物群などのかなりの量の他の元素がこの段階で捕集されることもある。
【0003】
次に、銅主体の相は、貴金属を急速に及び高収率で回収する更なる方法の工程にかけられる。銅を取り出すことも必須である。既知の方法に従って、銅主体の合金又はマットは微細に粉砕されて、次に硫酸中の酸化条件下で浸出される。貴金属は残渣中に残留して、それらはデカンテーション及び/又は濾過により分離される。浸出物は硫酸銅を含有しており、次の銅がカソードの形態で回収される電解採取の方法の工程の観点から「電解液」と命名される。それは、合金又はマット中に含有される多くの不純物も含有するであろう。
【0004】
電解採取中に、硫酸はアノードで再生される。高度に酸性で、銅が枯渇した使用済み電解液は浸出工程に再循環される。この閉じたループのために、電解液は徐々に不純物を蓄積する。この蓄積は、緩和されるべきであるが、それは、通常、電解液の全ストリームの一部を転送し、専用の精製工程にかけることにより行われる。「ブリード」としても知られている転送流の分は、新鮮な酸溶液の添加により補われる。
【0005】
専用の精製工程は複雑で費用がかかるので、ブリードの量を制限することが一般的に望まれる。この目的に対して、電解液中の比較的高濃度の不純物が許容され得る。
【0006】
しかしながら、電解液中における不純物の存在は、銅カソードの純度に対する直接の影響を有する。実際、不純物は異なる機構によってカソードに含まれ得る。それらの不純物は、電気メッキにより銅と共堆積するか(例えば、銀及びビスマス)、又はカソード中に沈殿として(ヒ素、アンチモン、ビスマス)若しくは粒子として(鉛)包埋されることもある。カソードの市販の価格は、これらの不純物により直接影響される。この問題は、250A/m2を超える電流密度を適用する場合に、更に悪化する。
【0007】
カソード中における不純物のレベルは、処理される含銅一次又は二次材料中の不純物に依存する。ヒ素は、しばしば最も重要な元素であり、ビスマスがそれに続く。ASTM B115-10(2016年)は、電解銅の「等級1」カソード中における不純物の限界量を特定している。この規格により、ヒ素は5ppmまで、ビスマスは1ppmまで許容される。等級1のカソードの製造は、確かに望ましいが、必須ではない。
【0008】
高濃度の不純物を含有することを意味する、高度に汚染された電解液を取り扱う場合のカソード純度の問題は、しばしば、電解液ループに銅溶媒抽出方法を継ぎ足すことにより処理される。その場合、電解採取工程は、ほとんど純粋な硫酸銅溶液で実施されて、最高のカソード品質を保証する。しかしながら、溶媒抽出の追加は、装置の資本コスト、及び引火性の溶媒で作業するという操業上の難点などの無視できない不利点を必然的に伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高度に汚染された電解液を取り扱う場合の、特にそれらが高濃度のヒ素又はビスマスを含有する場合のカソード品質の問題に対して代替的解決法を提供することである。電解採取電解槽の底におけるガススパージングが使用される。
【0010】
銅を電解採取する電解槽における空気スパージング系は、例えば、US3,959,112(A)から知られる。これらの系は、カソード表面の平滑性を強化することが認識されている。このことは、アノードとカソードとの間の短絡回路をもたらし得る樹枝状結晶の形成を抑制するために重要であり得る。しかしながら、高度に汚染された電解液と組み合わされたスパージングの使用は開示されていない。
【0011】
ヒ素又はビスマスの混入を回避するための努力はほとんど実施されたことがなく、その理由は、大部分の電解採取工場は、不純物を除去するために、浸出と電解採取操作との間における溶媒抽出と取り組んでいるか又は浸出前に原材料中にこれらの元素を含有していないからである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、酸性の硫酸銅溶液から銅を電解採取する方法であって、複数のアノード及びカソードを含み、ガススパージング要素を備えた電解採取電解槽で実施され、好ましくはカソードにわたって均一にガスをスパージングする工程を含み、該溶液が100mg/Lを超えるヒ素を含むことを特徴とする、方法に関する。スパージングの効果は、該溶液が500mg/Lを超えるヒ素を含む場合に特に有益であり、溶液が2g/Lを超えるヒ素を含む場合に更に有益である。適当な溶液は、20から60g/Lの銅、及び80から220g/Lの遊離酸を含有することもあり、これらの濃度は、銅電解採取で通常遭遇する濃度である。
【0013】
電解採取においては、アノードは不活性なアノードであり、言い換えれば、使用される処理条件下で電解液中に著しくは溶解しないアノードであることに留意される。
【0014】
銅の電解採取において、アノードはそれ自体銅を含まない。
【0015】
ガススパージング要素は、好ましくは、カソードの最低の縁より下に置かれる。
【0016】
ガススパージング要素は、好ましくは、電解採取電解槽の底に置かれる。
【0017】
スパージングは、電解槽の長さに沿って設置されたチューブを通した、電解採取電解槽の底におけるガス噴射によって実施することができる。それらはカソードに対して垂直に配置してもよい。チューブは、それらの全長にわたって、微孔性であるか又はミリメートルのサイズの開口部を含有するかのいずれかであってもよく、それによりカソードにわたってガスの均一な分配を達成する。100mg/Lより十分低いヒ素濃度は、その場合、カソード中に包埋される量が許容される残留なので、250A/m2以上の電流密度を使用するときでさえあまり問題にならない。
【0018】
該方法は、特に該溶液が1mg/Lを超えるビスマスを含む場合に、ビスマスによるカソードの汚染を低下させるためにも有効である。スパージングは、10mg/L以上などのより多くのBiを含む溶液を処理する場合でも有用である。
【0019】
本発明によるスパージング技術は、カソード中のとりわけヒ素及びビスマスの著しい減少を実際にもたらす。
【0020】
カソードの品質は、5g/Lまでのヒ素及び/又は200mg/Lまでのビスマスを含む溶液について、依然として許容されるか、又は等級1に適合さえする。更により多くの不純物を含有する溶液は、その場合、たとえより低い品質のカソードが予想されても、本発明によりなお有利に処理され得る。銀などの他の不純物が、より低い濃度を保証するブリードレベルを決めるので、ヒ素又はビスマスについての上記最大値は、実用的状況では滅多に到達されないであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、最大で15ppmのAsを有する銅を電解採取するための方法である。
【0022】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、最大で3ppmのBiを有する銅を電解採取するための方法である。
【0023】
これら両方の限界は、ASTM B115-10(2016年)による「等級2の銅」について許容される上限と一致する。
【0024】
スパージングガスは、窒素などの任意の非反応性ガスであることができるが、酸素も含有していてもよい。空気が好ましい。1m3の溶液当たり標準状態で0.02から0.5m3/時間の間のガス流速が好ましい。それより低い速度は、カソード品質に対する明確な効果を保証するには不十分であり得るが、一方、より高い速度は電解液を通して泡立てるときに、禁制量の酸ミストを生ずる恐れがある。
【0025】
標準状態のm3という表示はISO 2533:1975で定義されて、1013ミリバールの圧力及び15℃の温度におけるガス体積の表現を示す。工学では、Nm3という記号がこのために使用される。
【0026】
経済的視点からは、250A/m2を超える電流密度で電解採取方法を実施することが有利である。
【0027】
本発明は、複数のアノード及びカソードを含み、好ましくはカソードにわたって均一にガスをスパージングするためのガススパージング要素を備え、100mg/Lから5g/Lのヒ素も含む酸性の硫酸銅溶液から銅を回収するための、電解採取電解槽の使用にも関する。
【0028】
好ましくは、ガススパージング要素は、電解採取電解槽の底に配置される。
【0029】
この上記の使用は、1から200mg/Lのビスマスを含む溶液のためにも好ましい。
【0030】
本発明は、銅を製造するための方法にも関し、該方法では、酸性の硫酸銅溶液が1種以上の原材料を硫酸水溶液中に溶解することにより製造され、該酸性硫酸銅溶液は、その後本発明による銅の電解採取ための方法で処理される。好ましくは、酸性の硫酸銅溶液は、非電解溶解により及び/又は電解採取電解槽と別の反応器中で製造される。
【0031】
種々の機構がヒ素及びビスマスなどの不純物の取込みを導き得ると考えられる:(i)ヒ素及びビスマスを含有する固体粒子の混入、(ii)ヒ素の還元及びその結果として起こるヒ素化銅の共堆積、(iii)ビスマスメッキ、及び(iv)電解液の混入。これらの機構は、高い電流密度で作業するときに及び銅の核形成が始まるときに、よりあからさまになる。より高い電流密度で作業する場合に、種板において混合した電位が得られ、局所的に非常に高い電流密度が生じる。後者は非常に多孔性の銅の堆積を生じて、それは電解液及び粒子の混入並びに表面における銅の涸渇をもたらし、それは結果として金属ビスマス及びヒ素化銅のメッキとともにビスマス及びヒ素の還元をもたらす。それ故、上記の電解液中における作業は、200A/m2未満の比較的低い及び不経済な電流密度に通常限定される。
【0032】
本発明により、上記の不純物のカプセル化はスパージングにより軽減又は回避され得る。スパージングはカソード表面におけるより十分な混合を確実にして、その結果、境界層の厚さが減少すると考えられる。特に電流が局所的に増大したときに起こる銅の涸渇は、このようにして回避することができる。例えば、電流密度は、カソードの収穫及び空所への再入中に大きく増大する。1000A/m2まで局所的に高まる電流密度の別の理由は、ステンレス鋼ブランクの不働態化層の厚さにおける差である。銀及びビスマスの共メッキ及びヒ素化銅の形成は、特にこれらのより高い電流密度の折に起こる。改善された混合のおかげのカソードへの十分な銅イオンの供給は、他の元素の減少したメッキを生ずる。減少した境界厚さは、鋼表面における、より十分な銅核形成及びより密な銅構造も生ずる。このことはヒ素及びビスマスの沈殿の混入を回避する。
【0033】
実施例1及び実施例2は、As及びBiをそれぞれ含有する合成溶液に基づく本発明を例示する。
【0034】
実施例3は、実際のタンクハウス溶液を使用して実施される。これらの溶液のビスマス含有率は、溶解炉により処理される材料によってかなり変わる。これらの3例において、電解採取は実験室規模の装置を使用して実施される。
【0035】
実施例4は、実際のタンクハウスで実施される。スパージング有り及び無しで得られる結果が比較される。
【0036】
全ての例で、鉛を主成分とするアノードを使用した。
【実施例1】
【0037】
硫酸銅の結晶、硫酸及びAs(H3As2O5として)を水に加えて、40g/LのCu、2.5g/LのAs及び180g/LのH2SO4を含有する水溶液を形成させた。およそ0.270リットルのこの電解液を、各々30cm2のアノード表面及び46cm2のカソード表面を有する2つの個々のHull電解槽に移す。整流器を用いて2Aの電流を適用し、75から2070A/m2の間のカソード電流密度を生じさせる。一方のHull電解槽では、電解液に微孔性チューブを用いてスパージングするが、他方の電解槽には空気を供しない。酸素発生がアノードにおける主反応であり、銅還元がカソードにおける主反応である。3時間後に、実験を停止して、堆積された銅の化学品質を、電流密度が変化する異なるゾーンについて決定する。大抵の電解採取装置に関係する電流密度(250から500A/m2)において、空気スパージング実験からのカソードにおけるヒ素濃度は1から2ppmになり、それに対してスパージングしない実験におけるAs濃度は1700から5800ppmになる。このことは、黒色の堆積物がヒ素化銅の形成、それ故Asの存在を示唆するので、カソードの物理的態様で明確に見ることができる。
【0038】
したがって、Asは、2.5g/Lの濃度で、スパージングにより強く抑制されて、等級1のカソードと適合し得るレベルに下がる。
【実施例2】
【0039】
硫酸銅の結晶、硫酸及びBi(BiSO4として)を水に加えて、40g/LのCu、200mg/LのBi及び180g/LのH2SO4を含有する水溶液を形成させた。およそ0.270リットルのこの電解液を、各々30cm2のアノード表面及び46cm2のカソード表面を有する2つの個々のHull電解槽に移す。整流器を用いて2Aの電流を適用すると、75から2070A/m2の間のカソードの電流密度を生ずる。一方のHull電解槽では、電解液を微孔性チューブでスパージングするが、それに対して他方の電解槽には空気を供しない。3時間後に実験を停止して、堆積された銅の化学品質を、電流密度が変化する異なるゾーンについて決定する。電解採取装置に最も関係する電流密度(250から500A/m2)で、空気スパージング実験からのカソードにおけるビスマスの濃度は、50から1100ppmになり、それに対してスパージングしない実験におけるBi濃度は3000から5000ppmになる。
【0040】
したがって、Biは200mg/Lの濃度で、たとえ、等級1の基準に望ましい適合性が常に得られるとは限らないとしても、スパージングにより十分顕著に抑制される。
【実施例3】
【0041】
37から50g/LのCu、1.5から3g/LのAs、10から200mg/LのBi、及び160から200g/LのH2SO4を含有する、銅の電解採取をするタンクハウスからの電解液を、この実験で使用した。およそ0.270リットルのこの電解液を、各々30cm2のアノード表面及び46cm2のカソード表面を有する2つの個々のHull電解槽に移す。整流器を用いて2Aの電流を適用すると、75から2070A/m2の間のカソード電流密度を生ずる。一方のHull電解槽では、電解液を微孔性チューブでスパージングするが、それに対して他方の電解槽には空気を供しない。3時間後に実験を停止して、堆積された銅の化学品質を、電流密度が変化する異なるゾーンについて決定する。最も電解採取装置に関係する電流密度(250から500A/m2)で、空気スパージング実験からのカソードにおける不純物の濃度は、1から2ppmのAs及び1から10ppmのBiであるが、それに対してスパージングしない実験における不純物濃度は、20から1000ppmのAs及び180から650ppmのBiである。
【0042】
As及びBiは、それぞれ3g/L及び200mg/Lまでの濃度で、スパージングにより、Asについて等級1のカソードと適合し得るレベルまで、十分抑制される。
【実施例4】
【0043】
この実験では、各々別の再循環槽を有するが整流器は共通の2つの市販の電解採取電解槽を使用した。各電解槽は、各々0.84m2の表面積を有する40個のアノード及び39個のカソードを含有した。一方の電解槽は電解槽の底にある空気スパージングチューブを用いて操作したが、それに対して他方の電解槽では空気スパージングを供しなかった。実験中、電流密度は275A/m2と425A/m2の間で変化した。この実験では、37から50g/LのCu、1.5から5g/LのAs、10から20mg/LのBi、及び160から200g/LのH2SO4になる典型的な電解液組成を使用した。カソードをおよそ7日間成長させて、厚さが6から10mmの間になったときに収穫した。収穫及びストリッピングの後、50kgの試料をカソードの対角で銅をたたくことにより捕集した。試料を誘導加熱器中で精練して、不純物濃度を発光分光分析により決定した。不純物の濃度をTable 1(表1)で報告する。
【0044】
【0045】
As及びBiは、それぞれ5g/L及び20mg/Lまでの濃度で、スパージングにより、As及びBiについて等級1のカソードの基準に適合するレベルまで十分顕著に抑制される。
【国際調査報告】