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特表2022-524554オルガノシリコン化合物、着色性化合物、シーリング試薬、およびシリコーンの混合物の使用を含む、ケラチン性物質の着色方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-06
(54)【発明の名称】オルガノシリコン化合物、着色性化合物、シーリング試薬、およびシリコーンの混合物の使用を含む、ケラチン性物質の着色方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20220425BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20220425BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20220425BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220425BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
A61K8/58
A61Q5/10
A61K8/892
A61K8/49
A61K8/81
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555050
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2020055082
(87)【国際公開番号】W WO2020182476
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】102019203299.0
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】クローン,レネ
(72)【発明者】
【氏名】ヒッペ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘプフナー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダー,イェシカ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC731
4C083AC732
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD282
4C083BB21
4C083CC36
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、以下のステップを含む、ケラチン性物質、特に人毛を染色するための方法に関する:・剤(a)をケラチン性物質に適用する、ここで該剤(a)は:(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物を含む、・剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで該剤(b)は:(b1)少なくとも1種の被膜形成性ポリマーを含む、および、・剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで該剤(c)は:(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
・剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで剤(a)は以下:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物
を含む、
・剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで剤(b)は以下:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
を含む、および、
・剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで剤(c)は以下:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む、
を含む、ケラチン性物質、特に人毛を染色するための方法。
【請求項2】
剤(a)は、式(I)および/または(II):
【化1】
[式中、
・R、Rは独立して、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
・Lは直鎖状または分枝状の二価のC-C20アルキレン基であり、
・R、Rは互いに独立してC-Cアルキル基を表し、
・aは1~3の整数を表し、
・bは整数3-aを表す]

【化2】
[式(II)の有機ケイ素化合物中、
・R5、R5’、R5’’、R6、R6’およびR6’’は独立して、C-Cアルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、独立して、直鎖状または分枝状の二価のC-C20アルキレン基を表し、
・RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基、または式(III):
【化3】
〔・cは1~3の整数を表し、
・dは整数3-cを表し、
・c’は1~3の整数を表し、
・d’は整数3-c’を表し、
・c’’は1~3の整数を表し、
・d’’は整数3-c’’を表し、
・eは0または1を表し、
・fは0または1を表し、
・gは0または1を表し、
・hは0または1を表す、
・ただし、e、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なる〕
の基を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
剤(a)は、式(I):
【化4】
[式中、
・R、Rは共に水素原子を表し、
・Lは、直鎖状二価C1-アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
・R、Rは、独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・aは数3を表し、かつ
・bは数0を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
剤(a)は、式(II):
【化5】
[式中、
・eおよびfは共に数1を表し、
・gおよびhは共に数0を表し、
・AおよびA‘は、独立して、直鎖状二価のC1-アルキレン基を表し、
・Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)は、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択されることを特徴とする、および/または
剤(a)が、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される、式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
剤(a)は、式(IV):
【化6】
[式中、
・RはC-C18アルキル基を表し、
・R10は水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
・R11はC-Cアルキル基を表し、
・kは1~3の整数であり、
・mは整数3-kを表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
剤(a)は、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン、
・ドデシルトリエトキシシラン、
・オクタデシルトリメトキシシラン、
・オクタデシルトリエトキシシラン、および
・これらの混合物
からなる群から選択される、少なくとも1種の式(IV)の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
剤(a)が、少なくとも2種の構造的に異なる有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
剤(c)は、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンとして、式(I):
【化7】
[式中、
およびXは独立して、OH、OR、R、O-PDMSまたはO-fシロキサンであり、
は、水素、または、基1つあたりに1~8個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、PDMS、またはfシロキサンであり、
は、式:
【化8】
の残りであり、かつ、
aは1~100の数である、
ここで、
は、1~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、
は、元素N、P、S、O、Siおよびハロゲンで場合により置換され、基1つあたりに1~200個の炭素原子を有する、一価、飽和または不飽和の炭化水素基であり、
PDMSは、
【化9】
を表し、
fシロキサンは、
【化10】
を表し、
は、それぞれの場合において、互いに独立に、基1つあたりに1~200個の炭素原子を有し、元素N、P、S、O、Siおよびハロゲンで場合により置換されている、一価、飽和または不飽和の炭化水素基であり、
Aは式:R-[NR-R-]NR の基であり、
ここで、
は、3~18個の炭素原子を含有する2価の直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、
は、水素原子、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、またはアシル基であり、
は、1~6個の炭素原子を含有する2価の炭化水素基であり、
bは1~2000の数であり、
cは0または1~2000の数であり、
dは1~1000の数であり、
eは0または1~5の数であり、
fは0、1、2、3または4であり、
Zは、水素、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、または
【化11】
であり、
は、Nおよび/またはO原子を場合により含有し、1~18個の炭素原子を有する、1価の炭化水素基であり、
は、Nおよび/またはO原子を場合により含有し、3~12個の炭素原子を有する、2価の炭化水素基であり、
但し、式(I)のポリオルガノシロキサンは少なくとも1つの末端OH基を有する]
のポリオルガノシロキサンを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
式(I)のポリオルガノシロキサンは、基Xとしてモルホリノメチル基を含有することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
剤(c)は、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン(c1)として、アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーのINCI名で知られる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
剤(c)は、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと脂肪酸との反応生成物、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンとアミノ酸との反応生成物、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンとα-ヒドロキシ酸との反応生成物、および、これらの混合物からなる群から選択される、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸との反応生成物を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
剤(c)は、ジメチコノールとメドウフォーム種子油由来の脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールメドウフォーメイト)、ジメチコノールとステアリン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールステアレート)、およびこれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと脂肪酸との反応生成物を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
別個に包装された、
・剤(a’)を含む第1容器、ここで、該剤(a’)は:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物
を含む、および
・剤(a’’)を含む第2容器、該剤(a’’)は:
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物
を含む、
・剤(b)を含む第3容器、ここで、該剤(b)は:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
を含む、および
・剤(c)を含む第4容器、ここで、該剤は(c):
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む、
を含む、ケラチン性物質を染色するためのパーツのキット。
【請求項15】
前記第3容器は剤(c)を含み、該剤(c)は、
(c1)INCI名アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーとして既知の少なくとも1種の化合物を含む、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ジメチコノールとメドウフォーム種子油から得られる脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールメドウフォーメイト)、ジメチコノールとステアリン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールステアレート)、ジメチコノールとベヘン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールベヘネート)およびこれらの混合物からなる群から選択される、ジメチコノールと脂肪酸との反応生成物を含む、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含むことを特徴とする、請求項14に記載のパーツのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、3つの手段(a)、(b)および(c)を適用することを含む、ケラチン性物質、特に人毛を処理するための方法である。剤(a)は、少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)および少なくとも1種の着色性化合物(a2)を含むことを特徴とする。剤(b)は少なくとも1種のシーリング試薬を含有する。剤(c)の特徴は、選択されたシリコーンの混合物である。
【0002】
本出願のさらなる主題は、別々に組立てられた少なくとも4つの手段(a’)、(a’’)、(b)および(c)を含む、ケラチン性物質、特に人毛を染色するための多成分パッケージユニット(パーツのキット)である。剤(a’)および(a’’)は、上記の方法に使用される剤(a)を調製するために使用できる。
【背景技術】
【0003】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状および色の変化は現代の化粧料の重要な領域である。毛髪の色を変えるために、専門家は、カラーリング要件に応じた種々の着色システムを知っている。酸化染料は通常、良好な堅牢特性を有する、持続的な、しっかりとした染色のために使用され、良好に白髪がカバーされる。かかる染料は通常、過酸化水素などの酸化剤の影響下で互いに染料そのものを形成する酸化染料前駆体、いわゆるデベロッパー成分とカプラー成分を含有している。酸化染料は非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0004】
直接染料を使用する場合、既製の染料は着色料から毛髪繊維内へと拡散する。酸化的な毛染めと比べて、直接染料で得られる染色は色持ちが短く、すぐに洗い流される。直接染料での染色が毛髪上に残存する期間は、通常、洗髪5回~20回までである。
【0005】
着色顔料の使用は、毛髪および/または皮膚に対して短期間の色変化をもたらすことが知られている。着色顔料は一般的には不溶性のカラーリング物質であると理解されている。これは、小粒子の形態で染料配合物中に未溶解の状態で存在し、毛髪繊維および/または皮膚表面の外面に堆積されているにすぎない。したがって、これは、通常、界面活性剤を含有している洗浄剤で数回洗い流すことによって、残存することなく除去され得る。このタイプの種々の製品が、ヘアマスカラという名称で市場において入手可能である。
【0006】
ユーザーが特に長持ちする染色を望む場合、これまでは酸化染料の使用が唯一の選択肢であった。しかしながら、数多くの最適化の試みにもかかわらず、酸化的毛染めにおける不快なアンモニア臭やアミン臭は完全には回避することができない。また、酸化的染料の使用に依然として伴う毛髪へのダメージもユーザーの毛髪に対してマイナス効果を有する。
【0007】
欧州特許第2168633B1号明細書では、顔料を用いた長持ちする髪の着色をもたらすための課題に対処している。この文書には、顔料、有機ケイ素化合物、被膜形成性ポリマーおよび溶剤の組合せを毛髪に対して使用した場合、洗髪に対して特に耐久性のある着色をもたらすことが可能であることが教示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第2168633B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、酸化染料前駆体なしで、顔料および/または直接染料に基づく染色物の洗浄堅牢性を改善することへの要求がなお存在する。
【0010】
したがって、本発明の課題は、酸化染料と同等の堅牢性特性を有する染色システムを提供することである。洗浄堅牢性は卓越しているべきであるが、この目的で通常使用される酸化染料前駆体の使用は回避されるべきである。先行技術から既知の着色化合物(例えば顔料または直接染料など)を永続的な方法で毛髪に固定させることが可能である技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、この課題は、ケラチン性物質、特に人毛を、少なくとも3つの剤(a)、(b)および(c)をケラチン性物質(毛髪)に適用する方法によって着色する場合、見事に解決できることが分かった。ここで、第1の剤(a)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、少なくとも1種の着色化合物をさらに含む。媒体(a)において、有機ケイ素化合物および着色化合物はかくして一緒に調製される。第2の剤(b)は少なくとも1種のシーリング試薬を含有する。剤(c)は、選択されたヒドロキシ末端化シリコーンの混合物を含有する。
【発明の効果】
【0012】
この3つの剤(a)、(b)および(c)を染色方法において使用した場合、ケラチン性物質を特に高い色彩強度で染色することができるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の主題は、以下のステップ:
・剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで剤(a)は以下:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物
を含む、
・剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで剤(b)は以下:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
を含む、および、
・剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで剤(c)は以下:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む、
を含む、ケラチン性物質、特に人毛を着色するための方法である。
【0014】
本発明に至る研究において、剤(a)~(c)の優先的連続的適用によって、ケラチン性物質において非常に安定で洗浄堅牢性の着色をもたらすことが可能となることがわかった。この理論に制限されないが、これに関して、有機ケイ素化合物 (a1)と着色化合物 (a2)との併用が、ケラチン性物質上に、特に耐久性の第1被膜の形成をもたらすと思われる。第2の剤(b)の適用により、ケラチン性物質上に適用された被膜は、洗浄および/または摩耗に対して、より耐久性になる。ケラチン性物質上に形成された層または被膜は、剤(c)に含有されるヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンによって安定化されることがわかった。この理論に拘束されることを望まないが、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンは、形成された層中に含有される有機ケイ素化合物またはその反応生成物と共有結合を形成すると考えられる。
【0015】
この特別なタイプのパッケージ、すなわち、シラン(a1)と着色化合物(a2)の併用適用およびシーリング試薬(b1)の別途の適用のために、このようにして作製される被膜系(多層であってもよい)は、外部の影響に対して改善された耐久性を示した。このようにして、着色料化合物(a2)はケラチン性物質に永続的に定着され、そのため、洗髪に対して良好な耐久性を有する、極めて洗い流し堅牢性の着色を得ることができた。
【0016】
〔ケラチン性物質〕
ケラチン性物質としては、毛髪、皮膚、爪(例えば手の指の爪および/または足の指の爪)が挙げられる。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン性物質の定義に入る。
【0017】
好ましくは、ケラチン性物質は、人毛、ヒト皮膚およびヒト爪、特に手の指の爪および足の指の爪を意味すると理解される。ケラチン性物質は、人毛であると理解される。
【0018】
〔剤(a)、(b)および(c)〕
本発明の方法において、ケラチン性物質、特に人毛に、剤(a)、(b)および(c)が適用される。該3つの剤(a)、(b)および(c)は互いに異なる。
【0019】
言い換えると、本発明の第1の主題は、以下のステップ:
剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで、剤(a)は以下:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物を含む、
剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで、剤(b)は以下:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
を含む、および
剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで、剤(c)は以下:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと、酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む、
を含む、ケラチン性物質、特に人毛を処理するための方法であり、ここで、2つの手段(a)、(b)および(c)は互いに異なる。
【0020】
〔剤(a)〕
好ましくは、組成物(a)は、本発明に必須の成分(a1)および(a2)を化粧品担体中、特に好ましくは水性または水性-アルコール性の化粧品担体中に含む。この化粧品担体は、液状、ゲル状またはクリーム状であり得る。また、ペースト状、固形または粉末状の化粧品担体を剤(a)の調製に使用することもできる。毛髪の処理、特に毛髪のカラーリングのためには、かかる担体は例えば、クリーム、エマルション、ゲル、あるいは、界面活性剤含有起泡性溶液、例えばシャンプー、エアロゾルフォーム、フォーム配合物または毛髪への塗布に適した他の調製物でもある。
【0021】
好ましくは、化粧品担体は、その重量に対して、少なくとも2重量%の水を含む。さらに好ましくは、水分含有量は10重量%より上、さらにより好ましくは20重量%より上、特に好ましくは40重量%より上である。また、化粧品担体は水性アルコール性でもあり得る。[0206]本発明に関する水性/アルコール性溶液は、2~70重量%のC~Cのアルコール、より具体的にはエタノールまたはイソプロパノールを含有する水溶液である。本発明による剤は、他の有機溶媒、例えばメトキシブタノール、ベンジルアルコール、エチルジグリコールまたは1,2-プロピレングリコールをさらに含有してもよい。好ましいのは、すべての水溶性の有機溶媒である。
【0022】
〔シラン(a1)の群からの有機ケイ素化合物〕
本発明に必須の成分(a1)として、組成物(a)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの、少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含有する。
【0023】
特に好ましくは、剤(a)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含有し、該有機ケイ素化合物は1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0024】
剤(a)に含まれるこれらの有機ケイ素化合物(a1)または有機シランは、反応性化合物である。
【0025】
有機ケイ素化合物は、あるいはオルガノシリコン化合物とも称され、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有するか、または炭素がケイ素原子に酸素、窒素もしくはイオウ原子を介して結合しているかのいずれかである化合物である。本発明の有機ケイ素化合物は、1~3個のケイ素原子を含有する化合物である。有機ケイ素化合物は好ましくは1個または2個のケイ素原子を含有する。
【0026】
IUPAC規則によれば、シランという用語は、ケイ素骨格と水素に基づく化学物質化合物である。有機シランでは、水素原子が完全に、または部分的に、有機基、例えば(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基で置き換えられている。また、有機シランでは、一部の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられてもよい。
【0027】
特に好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)をケラチン性物質に適用することを特徴とし、前記剤(a)が、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される、少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物が1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む。
【0028】
非常に特に好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)をケラチン性物質に適用することであって、前記剤(a)が、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物が、1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能部と1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含むことを特徴とする。
【0029】
この塩基性基または塩基性化学官能部は、例えばアミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であってよく、これは好ましくはケイ素原子にリンカーを介して連結されている。好ましくは、塩基性基は、アミノ基、C-Cアルキルアミノ基またはジ(C-C)アルキルアミノ基である。
【0030】
加水分解性基は、好ましくはC-Cアルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合している場合が好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は好ましくは、構造単位R’R’’R’’’Si-O-CH2-CH3を含む。残基R’、R’’およびR’’’は、ケイ素原子の残りの3つの結合に使用されていない原子価を表す。
【0031】
本発明による特に好ましい方法の一例は、該組成物が、(a)1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物が、好ましくは1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能部と1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0032】
特に良好な結果が、剤(a)が式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素(a1)化合物を含有する場合に得られた。
【0033】
式(I)および(II)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0034】
別の非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤をケラチン性物質(または人毛)に適用することを特徴とし、剤(a)は、式(I)および/または(II):
【化1】
[式中、
・R、Rは独立して、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
・Lは直鎖状または分枝状の二価のC-C20アルキレン基であり、
・Rは水素原子またはC-Cアルキル基であり、
・RはC-Cアルキル基を表し、
・aは1~3の整数を表し、
・bは整数3-aを表す]

【化2】
[式中、
・R5、R5’、R5’’は独立して、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
・R6、R6’およびR6’’は独立して、C-Cアルキル基を表し、
・A、A’、A’’は互いに独立して、直鎖状または分枝状の二価のC-C20アルキレン基を表し、
・RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基、または式(III):
【化3】
〔・cは1~3の整数を表し、
・dは整数3-cを表し、
・c’は1~3の整数を表し、
・d’は整数3-c’を表し、
・c’’は1~3の整数を表し、
・d’’は整数3-c’’を表し、
・eは0または1を表し、
・fは0または1を表し、
・gは0または1を表し、
・hは0または1を表す、
・ただし、e、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なる〕
の基を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a)を含むことを特徴とする。
【0035】
式(I)および(II)の化合物における置換基R、R、R、R、R、R'、R''、R、R'、R''、R、R、L、A'、A''、A'''およびA''''を以下に一例として説明する。
【0036】
-Cアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基ならびにn-ヘキシル基である。プロピル、エチルおよびメチルが好ましいアルキル基である。C-Cアルケニル基の例はビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC-Cアルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC-Cアルキル基の好ましい例はヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC-Cアルキル基の例はアミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖状の二価のC-C20アルキレン基の例としては、メチレン基(-CH)、)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)およびブチレン基(-CH-CH-CH-)が挙げられる。プロピレン基(-CH-CH-CH-)が特に好ましい。また、3個のC原子の鎖長から、二価のアルキレン基は分枝状であってもよい。分枝状の二価のC-C20アルキレン基の例は(-CH-CH(CH)-)および(-CH-CH(CH)-CH-)である。
【0037】
式(I):
【化4】
の有機ケイ素化合物において、基RおよびRは互いに独立して、水素原子またはC-Cアルキル基を表す。特に、基RおよびRはともに水素原子を表す。
【0038】
有機ケイ素化合物の中央部分には、直鎖状または分枝状の二価のC-C20アルキレン基を表す構造単位またはリンカー-L-が存在する。
【0039】
二価のC-C20アルキレン基は、あるいは、二価または二価のC-C20アルキレン基とも称される場合があり、これは、各L基は2つの結合を形成してよいことを意図する。第1の結合はアミノ基R1R2NからリンカーLに対するものであり、第2の結合はリンカーLとケイ素原子間のものである。
【0040】
好ましくは、-L-は直鎖状の二価の(すなわち、二価の)C-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは-L-は直鎖状の二価のC-Cアルキレン基を表す。特に好ましい-Lは、メチレン基(CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン(-CH-CH-CH-CH-)を表す。Lはプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0041】
直鎖状プロピレン基(-CH-CH-CH-)は、あるいは、プロパン-1,3-ジイル基とも称され得る。
【0042】
式(I):
【化5】
の有機ケイ素化合物の各々の一端は、ケイ素含有基-Si(OR(Rを有する。
【0043】
末端の構造単位-Si(OR(Rにおいて、Rは水素またはC-Cアルキル基であり、RはC-Cアルキル基である。特に好ましくは、RおよびRは互いに独立して、メチル基またはエチル基を表す。
【0044】
ここで、aは1~3の整数を表し、bは整数3-aを表す。aが数値3を表す場合、bは0である。aが数値2を表す場合、bは1である。aが数値1を表す場合、bは2に等しい。
【0045】
特に耐久性のある被膜は、剤(a)が、基R、Rが互いに独立してメチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む場合に作製することができるであろう。
【0046】
本発明の方法を、ケラチン性物質を染色するために使用した場合、剤(a)が、基R、Rが互いに独立して、メチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合と同様に、最も高い洗浄堅牢性を有する染色を得ることができた。
【0047】
さらに、剤(a)が、残基のaが数値3を表す式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合、最も高い洗浄堅牢性を有する染色を得ることができた。この場合、残りのbは数値0を表す。
【0048】
さらに好ましい一実施形態において、 該方法に使用される剤(a)は、
・R、Rが互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・aが数値3を表し、
・bが数値0を表す、
式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0049】
さらに好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が式(I):
【化6】
[式中、
・R、Rがともに水素原子を表し、
・Lが、直鎖状の二価のC-C-アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
・Rが水素原子、エチル基またはメチル基を表し、
・Rがメチル基またはエチル基を表し、
・aが数値3を表し、
・bが数値0を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0050】
本発明の課題を解決するのに特に適当な式(I)の有機ケイ素化合物は、以下:
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【化7】
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【化8】
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
【化9】
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【化10】
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【化11】
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
【化12】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【化13】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【化14】
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
【化15】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【化16】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
【化17】
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【化18】
である。
【0051】
さらに好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が以下:
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
の群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0052】
式(I)の有機ケイ素化合物は市販されている。
(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、例えば、Sigma-Aldrichから購入することができる。また、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランはSigma-Aldrichから市販されている。
【0053】
さらなる一実施形態において、本発明の組成物は、式(II):
【化19】
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む。
【0054】
本発明による式(II)のオルガノシリコン化合物はそれぞれ両端に、ケイ素含有基(RO)(R)Si-および-Si(R’)’(OR’)’を有する。
【0055】
式(II)の分子の中央部には、基-(A)e-および-[NR-(A')]f-および-[O-(A'’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-が存在する。ここで、それぞれのe、f、g、およびhは、相互に独立に、数値0または1を表すことができ、ただし、e、f、g、およびhの少なくとも1つが0とは異なる。換言すれば、本発明の式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR8-(A’’’)]-からなる群から選択される少なくとも1種のグループを含む。
【0056】
2つの末端構造単位(RO)c(RSi-および-Si(R’)d’(OR’)cにおいて、基R、R’、R’’は、相互に独立に、水素原子またはC1-アルキル基を表す。基R、R’およびR’’は、独立にC1-アルキル基を表す。
【0057】
ここで、aは、1~3の整数を表し、dは整数3-cを表す。cが数値3を表す場合、dは0に等しい。cが数値2を表す場合、dは1に等しい。cが数値1を表す場合、dは2に等しい。
【0058】
同様に、c’は、1~3の整数を表し、d’は、整数3-c’を表す。c’が数値3を表す場合、d’は0である。c’が数値2を表す場合、d’は1である。c’が数値1を表す場合、d’は2である。
【0059】
cおよびc’がともに数値3を表す場合、最も高い安定性を有する被膜または最良の洗浄堅牢性を有する染料が得られるであろう。この場合、dおよびd’はともに数値0を表す。
【0060】
別の好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が式(II):
【化20】
[式中、
・RおよびR'は独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・cおよびc'は、共に数3を表し、
・dおよびd'は、共に数0を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0061】
cおよびc'が共に数3であり、dおよびd'が共に数0である場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIa):
【化21】
に相当する。
【0062】
e、f、gおよびhは独立して、数0または1を表してよく、ここで、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。従って、記号e、f、gおよびhは、グループ-(A)e-および-[NR-(A')]f-および-[O-(A'’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-のいずれが、式(II)の有機ケイ素化合物の中央部に存在しているかを規定している。
【0063】
これに関して、特定のグループの存在が洗浄性の増加に関して特に有効であることがわかった。特に良好な結果は、e、f、gおよびhの少なくとも2つが数1を表す場合に得られた。特に好ましくは、eおよびfは共に数1を表す。さらに、gおよびhは共に数0を表す。
【0064】
eおよびfが共に数1を表し、gおよびhが共に数0を表す場合、本発明による有機ケイ素化合物は、式(IIb):
【化22】
に相当する。
【0065】
基A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖状または分枝状の二価C-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は互いに独立して、直鎖状二価C-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖状二価C-Cアルキレン基を表す。特に、基A、A'、A''、A'''およびA''''は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。特に、基A、A'、A''、A'''およびA''''はプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0066】
二価のC-C20アルキレン基は、あるいは、二価または二価のC-C20アルキレン基と称される場合もあり、これは、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’の基の各々が2つの結合を形成し得ることを意図する。
【0067】
直鎖状プロピレン基(-CH-CH-CH-)は、あるいはプロパン-1,3-ジイル基と称される場合がある。
【0068】
fが数値1を表す場合、本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は構造グループ-[NR-(A’)]-を含有する。
【0069】
fが数値1を表す場合、本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は構造グループ-[NR-(A’’’)]-を含有する。
【0070】
ここで、RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシ-C-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノ-C-Cアルキル基、または式(III):
【化23】
の基を表す。
【0071】
非常に好ましくは、基RおよびRは互いに独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基、または式(III)のグループを表す。
【0072】
fが数1を表し、hが数0を表す場合、本発明による有機ケイ素化合物は、グループ-[NR-(A')]を含むが、グループ-[NR-(A'')]を含まない。基Rが式(III)のグループを表す場合、剤(a)は、3個の反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含有する。
【0073】
別の好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が式(II):
【化24】
[式中、
・eおよびfは、共に数1を表し、
・gおよびhは、共に数0を表し、
・AおよびA'は独立して、直鎖状二価のC-Cアルキレン基を表し、
・Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0074】
さらに好ましい一実施形態において、本方法は剤(a)が式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とし、ここで、
・eおよびfは共に数1を表し、
・gおよびhは共に数0を表し、
・AおよびA'は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)またはプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表し、
・Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0075】
本発明の課題を解決するに適した式(II)の有機ケイ素化合物は、以下:
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化25】
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化26】
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化28】
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
【化29】
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化30】
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化31】
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化32】
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
【化33】
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
【化34】
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化35】
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化36】
である。
【0076】
式(II)の有機ケイ素化合物は市販されている。
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0077】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えばSigma-Aldrichから購入できる。
【0078】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも称され、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0079】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0080】
さらに好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が以下からなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする:
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル) プロピル]アミノ]エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル) プロピル]-1,2-エタンジアミン,
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル) プロピル]-1,2-エタンジアミン,
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン。
【0081】
さらなる試験(特に染色試験)において、本方法においてケラチン性物質に適用される剤(a)が式(IV):
【化37】
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含有する場合、特に有利であることがわかった。
【0082】
式(IV)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0083】
式(IV):
【化38】
[式中、
・RはC-C18アルキル基を表し、
・R10は水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
・R11はC-Cアルキル基を表し、
・kは1~3の整数であり、
・mは整数3-kを表す]
の有機ケイ素化合物は、アルキル-アルコキシ-シランまたはアルキル-ヒドロキシ-シラン型のシランとも称され得る。
【0084】
さらに好ましい一実施形態において、本方法は、剤(a)が式(IV):
【化39】
[式中、
・RはC-C18アルキル基を表し、
・R10は水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
・R11はC-Cアルキル基を表し、
・kは1~3の整数であり、
・mは整数3-kを表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0085】
さらに好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物または式(I)の化合物に加えて、式(IV):
【化40】
[式中、
・RはC1-18アルキル基を表し、
・R10は水素原子またはC1-アルキル基を表し、
・R11はC1-アルキル基を表し、
・kは1~3の整数であり、かつ
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0086】
さらに好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物または式(II)の化合物に加えて、式(IV):
【化41】
[式中、
・RはC1-18アルキル基を表し、
・R10は水素原子またはC1-アルキル基を表し、
・R11はC1-アルキル基を表し、
・kは1~3の整数であり、かつ
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0087】
好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物、または、式(I)および/または式(II)の化合物に加えて、式(IV):
【化42】
[式中、
・RはC1-18アルキル基を表し、
・R10は水素原子またはC1-アルキル基を表し、
・R11はC1-アルキル基を表し、
・kは1~3の整数であり、かつ
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0088】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基RはC1-18アルキル基を表す。このC1-18アルキル基は飽和であり、直鎖状または分枝状であってよい。好ましくは、Rは直鎖状C1-18アルキル基を表す。好ましくは、Rはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基またはn-オクチルデシル基を表す。特に好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-ヘキシル基またはn-オクチル基を表す。
【0089】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基R10は水素原子またはC-Cアルキル基を表す。特に好ましくは、R10はメチル基またはエチル基を表す。
【0090】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基R11はC-Cアルキル基を表す。特に好ましくは、R11はメチル基またはエチル基を表す。
【0091】
さらに、kは1~3の整数を表し、mは整数3-kを表す。kが数3を表す場合、mは0に等しい。kが数2を表す場合、mは1に等しい。kが数1を表す場合、mは2に等しい。
特に安定な被膜、すなわち特に良好な洗浄堅牢性を有する染色は、式(IV)[式中、kは数3である]に対応する少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含有する剤(a)を該方法において使用する場合に得ることができた。この場合、残りのmは数0を表す。
【0092】
本発明の課題の解決に特に適する、式(IV)の有機ケイ素化合物は、以下:
・メチルトリメトキシシラン
【化43】
・メチルトリエトキシシラン
【化44】
・エチルトリメトキシシラン
【化45】
・エチルトリエトキシシラン
【化46】
・n-ヘキシルトリメトキシシラン
【化47】
・n-ヘキシルトリエトキシシラン
【化48】
・n-オクチルトリメトキシシラン
【化49】
・n-オクチルトリエトキシシラン
【化50】
・n-ドデシルトリメトキシシラン、および/または
【化51】
・n-ドデシルトリエトキシシラン.
【化52】
オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはオクタデシルトリメトキシシラン
である。
【0093】
さらに好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、以下:
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシラン、および/または
・オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択される、式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1) を含むことを特徴とする。
【0094】
上記の有機ケイ素化合物は反応性化合物である。これに関して、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で1種以上の有機ケイ素化合物(a1)を含む場合、好ましいことがわかった。
【0095】
さらに好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量での総量で1種以上の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0096】
特に良好な染色結果を得るためには、式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を平均で(a)となる特定の範囲の量で使用することが特に有利である。特に好ましくは、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の総量で、1種以上の式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を含む。
【0097】
さらに好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の総量で、1種以上の式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0098】
さらに、式(IV)の有機ケイ素化合物が、平均で(a)となる特定の範囲の量で存在する場合も特に好ましいことがわかった。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは4~9重量%の総量で、1種以上の式(IV)の有機ケイ素化合物を含む。
【0099】
さらに好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは3.2~10重量%の総量で1種以上の式(IV)の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0100】
本発明に至る研究の過程において、剤(a)が互いに構造的に異なる2種の有機ケイ素化合物を含む場合であっても、ケラチン性物質上に特に安定で均質な被膜を得ることできることがわかった。
【0101】
別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、少なくとも2種の構造的に異なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0102】
明白に極めて特に好ましい一実施形態において、本発明の方法は、剤(a)をケラチン性物質に塗布し、該剤が、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群より選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群より選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0103】
さらに好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が剤(a)の総重量に基づいて:
・0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される、少なくとも1種の第1有機ケイ素化合物(a1)、および
・3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシランおよびドデシルトリエトキシシランからなる群から選択される、少なくとも1種の第2有機ケイ素化合物(a1)
を含むことを特徴とする。
【0104】
この実施形態において、剤(a)は、第1の群の1種以上の有機ケイ素化合物を0.5~3重量%の総量で含む。該第1の群の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン (2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される。
【0105】
この実施形態において、剤(a)は、第2の群の1種以上の有機ケイ素化合物を3.2~10重量%の総量で含む。該第2の群の有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはオクタデシルトリメトキシシランからなる群から選択される。
【0106】
オルガノシリコン化合物は、オルガノシリコン化合物の縮合生成物および/または(部分)加水分解物の形態で、剤(a)中に存在してもよい。例えば、縮合生成物としては、2、3または4つのオルガノシリコン化合物の縮合生成物が挙げられ得る。
【0107】
〔色形成性化合物(a2)〕
剤(a)をケラチン性物質に適用する際、1分子あたりに1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む有機ケイ素化合物(a1)は、水の存在下で、まず加水分解され、オリゴマー化または重合される。このようにして形成される加水分解生成物またはオリゴマーは、ケラチン性物質の表面に対して特に高い親和性を有する。剤(a)中に着色性化合物(a2)を同時に存在させることにより、生じたオリゴマーまたはポリマー中に該化合物が組み込まれ、ケラチン性物質上に着色された被膜が形成される。剤(a)の適用後、次に剤(b)が適用され、これによって該剤(b)に含有される被膜形成性ポリマー(b1)がケラチン性物質上に第2被膜の形態で堆積される。したがって、剤(a)と(b)の連続的適用により、外部の影響に特に耐久性のある複数の被膜の層が作られる。これらの耐久性の被膜に封入された着色料化合物は良好な洗浄堅牢性を示す。
【0108】
したがって、本発明の方法において使用される剤(a)は、本発明の必須成分(a2)として、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合を含む。
【0109】
これに関して、顔料の使用が特に好ましいことが分かった。
【0110】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が顔料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0111】
本発明の意味における顔料は、25℃での水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、さらにより好ましくは0.05g/L未満の着色性化合物である。水への溶解度は、例えば、下記方法により測定できる:0.5gの顔料をビーカーに秤取する。磁気撹拌棒を加える。次いで、1Lの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラーで撹拌しながら25℃で1時間加熱する。この時間が経過しても顔料の未溶解成分が混合物中に見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。おそらく微細に分散した顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解顔料がろ紙上に残留する場合は、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0112】
適当な着色顔料は、無機起源および/または有機起源であってよい。
【0113】
好ましい一実施形態において、本発明の剤は、剤(a)が無機顔料および/または有機顔料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0114】
好ましい着色顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機着色顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成テーラ・ディ・シエナまたはグラファイトから調製できる。さらに、黒色酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリンまたは赤色酸化鉄などの有色顔料、ならびに蛍光顔料または燐光顔料を、無機着色顔料として使用できる。
【0115】
有色の金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。好ましい着色顔料は、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI77491)、マンガンバイオレット(CI77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、pigment blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0116】
本発明によれば、着色真珠光沢顔料もまた特に好ましい着色顔料である。これらは通常、雲母および/または雲母ベースであり、1以上の金属酸化物で被覆されている場合がある。雲母は層状ケイ酸塩に属する。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、鱗雲母およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせた真珠光沢顔料を製造するためには、主に白雲母または金雲母などの雲母を金属酸化物で被覆する。
【0117】
天然の雲母の代替品として、1以上の金属酸化物で被覆された合成雲母を真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然または合成の雲母(マイカ)をベースとし、上記した金属酸化物の1以上で被覆されたものである。金属酸化物の層の厚さを変えることで、それぞれの顔料の色を変えることができる。
【0118】
さらに好ましい実施形態において、本方法は剤(a)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、および/または少なくとも1種の金属酸化物および/または金属オキシ塩化物で被覆された有色の雲母または雲母ベース顔料の群から選択される無機顔料の群からの少なくとも1種の着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0119】
さらに好ましい実施形態において、本方法は剤(a)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)からなる群から選択される1以上の金属酸化物と反応した雲母または雲母ベース顔料から選択される顔料の群から選ばれる少なくとも1種の着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0120】
特に適当な着色顔料の例は、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)の商品名で、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)の商品名で、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)の商品名で、Sunstar社からSunshine(登録商標)の商品名で市販されている。
【0121】
商品名がColorona(登録商標)の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Colorona Copper, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン, フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン), CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン), 雲母, CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), D&C RED NO. 30 (CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), フェロシアン化鉄 (CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), 酸化鉄 (CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン, カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, CI 77491(酸化鉄), 酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母, 二酸化チタン, 酸化鉄, 雲母, CI 77891, CI 77491 (EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona(登録商標)SynCopper, Merck, 合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
Colorona(登録商標)SynBronze, Merck, 合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄。
【0122】
商品名Xirona(登録商標)の他の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Xirona Golden Sky, Merck, Silica, CI 77891 (二酸化チタン), 酸化錫
Xirona Caribbean Blue, Merck, 雲母, CI 77891 (二酸化チタン), シリカ, 酸化錫
Xirona Kiwi Rose, Merck, シリカ, CI 77891 (二酸化チタン), 酸化錫
Xirona Magic Mauve, Merck, シリカ, CI 77891 (二酸化チタン), 酸化錫
Xirona(登録商標)Le Rouge, Merck, 酸化鉄(および)シリカ。
【0123】
また、商品名Unipure(登録商標)の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Unipure Red LC 381 EM, Sensient CI 77491(酸化鉄), シリカ
Unipure Black LC 989 EM, Sensient, CI 77499(酸化鉄), シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient, CI 77492(酸化鉄), シリカ
【0124】
また、商品名Flamenco(登録商標)の特に好ましい顔料は、例えば以下である。Flamenco(登録商標)Summit Turquoise T30D, BASF, 二酸化チタン(および)雲母
Flamenco(登録商標)Super Violet 530Z, BASF, 雲母(および)二酸化チタン
【0125】
本方法のさらなる実施形態において、剤(a)は有機顔料からなる群から選択される、1種以上の着色化合物を含んでもよい。
【0126】
有機顔料は、例えば、ニトロソ、ニトロアゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリン、イソインドリノン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケト-ピロロピロール、インディゴ、チオインディド、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物からなる群から選択され得る、相応に不溶性の有機染料または着色剤である。
【0127】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料である。
【0128】
別の特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、組成物(a)が以下:
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料
からなる群から選択される有機顔料の群から選ばれる少なくとも1種の着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0129】
有機顔料はカラーペイントであってもよい。本発明の意味において、用語「カラーワニス」は、吸収された染料の層を含んでなる粒子を意味すると理解され、粒子および染料のユニットは、上記条件下で不溶性である。粒子は例えば無機物質であり得、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムまたはアルミニウムであり得る。
【0130】
例えば、アリザリンカラーワニスを使用できる。
【0131】
その優れた光安定性および温度安定性のため、上記の顔料を剤(a)において使用することが特に好ましい。また、使用される顔料が、ある特定の粒子サイズを有する場合が好ましい。この粒子サイズは、一方において、形成されたポリマー被膜中における顔料の一様な分布をもたらし、他方において、化粧料製品の塗布後の髪または肌のざらざら感を回避する。したがって、本発明によれば、該少なくとも1種の顔料が、1~50μm、好ましくは5~45μm、好ましくは10~40μm、14~30μmの平均粒子サイズD50を有する場合に有利である。平均粒子サイズD50D50は、例えば動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0132】
さらに好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で1種以上の顔料を含有することを特徴とする。
【0133】
着色化合物(a2)として、該方法に使用される剤(a)は、1種以上の直接染料を含有してもよい。直接作用染料は、毛髪に直接作用し、色を形成するために酸化工程を必要としない染料である。直接染料は通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン類、トリアリールメタン染料またはインドフェノールである。
【0134】
本発明の意味における直接染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料としてみなされるものではない。
【0135】
好ましくは、本発明の意味における直接染料は、1g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0136】
直接染料は、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料および非イオン性直接染料に分類できる。
【0137】
さらに好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が少なくとも1種のアニオン直接染料、カチオン直接染料および/または非イオン性直接染料を、着色化合物(a2)として含むことを特徴とする。
【0138】
さらに好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、アニオン直接染料、非イオン性直接染料および/またはカチオン直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0139】
適当なカチオン直接染料として、Basic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2、Basic Violet 14、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 16、Basic Blue 347(Cationic Blue 347 / Dystar)、HC Blue No. 16、Basic Blue 99、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87、Basic Orange 31、Basic Red 51、Basic Red 76が挙げられる。
【0140】
非イオン性直接染料として、非イオン性ニトロおよびキノン染料並びに天然アゾ染料を使用できる。適当な非イオン性直接染料は、以下の国際名称または商品名で記載されているものである:HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、HC Orange 1、Disperse Orange 3、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、HC Red BN、HC Blue 2、HC Blue 11、HC Blue 12、Disperse Blue 3、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Black 9の既知の化合物、および1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2'-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール。
【0141】
本発明に至る研究の過程において、特に高い色強度を有する染色は、少なくとも1種のアニオン直接染料を含有する剤(a)を用いて生じさせることができることがわかった。
【0142】
したがって、明らかに非常に特に好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が少なくとも1種のアニオン性直接染料を含むことを特徴とする。
【0143】
アニオン性直接染料は、酸性染料とも称される。酸性染料は、少なくとも1個のカルボン酸基(-COOH)および/または少なくとも1個のスルホン酸基(-SO3H)を有する直接染料である。pH値に依存して、カルボン酸基またはスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SO3H)は、それらの脱プロトン化形態(-COO-、-SO3 -存在)と平衡関係を示す。プロトン化形態の割合は、pHの低下とともに増える。直接染料をその塩として使用する場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、電気的中性を維持するために、対応する化学量論的に同等のカチオンで中和される。本発明の酸性染料は、そのナトリウム塩および/またはそのカリウム塩の形態でも使用できる。
【0144】
本発明の意味における酸性染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料とはみなされない。好ましくは、本発明の意味における酸性染料は、1g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0145】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、対応するアルカリ塩よりも低い溶解度をしばしば有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L未満(25℃、760mmHg)の場合、それらは直接染料の定義に含まれない。
【0146】
酸性染料の本質的な特徴は、アニオン性電荷を形成する能力であり、その原因となるカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、様々な発色団系に結合している。適当な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造に見られる。
【0147】
したがって、一実施形態において、ケラチン性物質を染色するための方法は好ましくは、組成物(a)が、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料からなる群から選択される少なくとも1種のアニオン性直接染料を含むことを特徴とし、上記の群から選ばれる染料はそれぞれ、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)、カルボン酸ナトリウム基(-COONa)、カルボン酸カリウム基(-COOK)、スルホン酸基(-SOH)、スルホン酸ナトリウム基(-SONa)および/またはスルホン酸カリウム基(-SOK)を有する。
【0148】
例えば、下記群からの1以上の化合物が特に適した酸性染料として選択され得る:Acid Yellow 1(D&C Yellow 7、Citronin A、Ext. D&C Yellow No. 7、Japan Yellow 403、CI 10316、COLIPA n°B001)、Acid Yellow 3(COLIPA n°54、D&C Yellow N°10、Quinoline Yellow、E104、Food Yellow 13)、Acid Yellow 9(CI 13015)、Acid Yellow 17(CI 18965)、Acid Yellow 23(COLIPA n°29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、Food Yellow 4、Japan Yellow 4、FD&C Yellow No. 5)、Acid Yellow 36(CI 13065)、Acid Yellow 121(CI 18690)、Acid Orange 6(CI 14270)、Acid Orange 7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&C Orange 4、COLIPA n°015)、Acid Orange 10(C.I. 16230;Orange G ナトリウム塩)、Acid Orange 11(CI 45370)、Acid Orange 15(CI 50120)、Acid Orange 20(CI 14600)、Acid Orange 24(BROWN 1;CI 20170;KATSU201;ナトリウム塩不含有;Brown No.201;RESORCIN BROWN;ACID ORANGE 24;Japan Brown 201;D & C Brown No.1)、Acid Red 14(C.I.14720)、Acid Red 18(E124、Red 18; CI 16255)、Acid Red 27(E 123、CI 16185、C-Red 46、Real red D、FD&C Red Nr.2、Food Red 9、Naphthol red S)、Acid Red 33(Red 33、Fuchsia Red、D&C Red 33、CI 17200)、Acid Red 35(CI C.I.18065)、Acid Red 51(CI 45430、Pyrosin B、Tetraiodfluorescein、Eosin J、Iodeosin)、Acid Red 52(CI 45100、Food Red 106、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red n°106 Pontacyl Brilliant Pink)、Acid Red 73(CI 27290)、Acid Red 87(Eosin、CI 45380)、Acid Red 92(COLIPA n℃53、CI 45410)、Acid Red 95(CI 45425、Erythtosine,Simacid Erythrosine Y)、Acid Red 184(CI 15685)、Acid Red 195、Acid Violet 43(Jarocol Violet 43、Ext. D&C Violet n°2、C.I. 60730、COLIPA n°063)、Acid Violet 49(CI 42640)、Acid Violet 50(CI 50325)、Acid Blue 1(Patent Blue、CI 42045)、Acid Blue 3(Patent Blue V、CI 42051)、Acid Blue 7(CI 42080)、Acid Blue 104(CI 42735)、Acid Blue 9(E 133、Patent blue AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I. Food Blue 2)、Acid Blue 62(CI 62045)、Acid Blue 74(E 132、CI 73015)、Acid Blue 80(CI 61585)、Acid Green 3(CI 42085、Foodgreen1)、Acid Green 5(CI 42095)、Acid Green 9(C.I.42100)、Acid Green 22(C.I.42170)、 Acid Green 25(CI 61570、Japan Green 201、D&C Green No. 5)、Acid Green 50(Brilliant Acid Green BS、C.I. 44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、Acid Black 1(Black n°401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20 470、COLIPA n°B15)、Acid Black 52(CI 15711)、Food Yellow 8(CI 14270)、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1。
【0149】
例えば、アニオン性直接染料の水溶解性は、下記方法で測定できる。0.1gのアニオン性直接染料をビーカーに入れる。磁気撹拌棒を加える。 次いで、100mLの水を添加する。この混合物をマグネチックスターラーで撹拌しながら25℃に加熱する。60分間撹拌する。次いで、水性混合物を視覚的に評価する。未溶解残留物がまだ存在する場合、例えば10mL刻みで、水の量を増やす。使用した染料の量が完全に溶解するまで水を加える。染料の強度が高いために、染料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解染料がろ紙上に残留する場合は、より多くの水を用いて溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン性直接染料が25℃で100mLの水に溶解した場合、その染料の溶解度は1g/Lである。
【0150】
Acid Yellow 1は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、少なくとも40g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
【0151】
Acid Yellow 3は、2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸およびジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、20g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
【0152】
Acid Yellow 9は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より大きい。
【0153】
Acid Yellow 23は、4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃の水に高度に溶解できる。
【0154】
Acid Orange 7は、4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。その水への溶解度は、7g/L(25℃)より大きい。
【0155】
Acid Red 18は、7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホネートの三ナトリウム塩であり、20重量%より大きい非常に高い水溶性を有する。
【0156】
Acid Red 33は、5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホネートの二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2.5g/L(25℃)である。
【0157】
Acid Red 92は、3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より大きい。
【0158】
Acid Blue 9は、2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホネートの二ナトリウム塩であり、20重量%(25℃)より大きい水への溶解度を有する。
【0159】
したがって、非常に特に好ましい方法は、剤(a)が、以下からなる群から選択されるアニオン性直接染料の群からの少なくとも1種の着色化合物(a2)を含むことを特徴とする:Acid Yellow 1、Acid Yellow 3、Acid Yellow 9、Acid Yellow 17、Acid Yellow 23、Acid Yellow 36、Acid Yellow 121、Acid Orange 6、Acid Orange 7、Acid Orange 10、Acid Orange 11、Acid Orange 15、Acid Orange 20、Acid Orange 24、Acid Red 14、Acid Red、Acid Red 27、Acid Red 33、Acid Red 35、Acid Red 51、Acid Red 52、Acid Red 73、Acid Red 87、Acid Red 92、Acid Red 95、Acid Red 184、Acid Red 195、Acid Violet 43、Acid Violet 49、Acid Violet 50、Acid Blue 1、Acid Blue 3、Acid Blue 7、Acid Blue 104、Acid Blue 9、Acid Blue 62、Acid Blue 74、Acid Blue 80、Acid Green 3、Acid Green 5、Acid Green 9、Acid Green 22、 Acid Green 25、Acid Green 50、Acid Black 1、Acid Black 52、Food Yellow 8、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2、および/またはD&C Brown 1。
【0160】
直接染料、特にアニオン直接染料は、所望される色強度に応じて媒体(a)中でいろいろな量で使用することができる。剤(a)が、その総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で1種以上の直接染料(a2)を含む場合、特に良好な結果が得られた。
【0161】
さらに好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で1種以上の直接染料(a2)を含むことを特徴とする。
【0162】
〔シリコーンポリマー(a3)〕
別の非常に特に好ましい実施形態において、本方法に使用される剤(a)は少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)をさらに含む。
【0163】
シリコーンポリマーは、あるいは略してシリコーンと称される場合もあり、ポリ(オルガノ)シロキサンであると理解される。シリコーンポリマーは、ケイ素原子が酸素原子を介して連結された一群の合成ポリマーである。
【0164】
シリコーンポリマーは一般的に、少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、繰り返し有機単位を含む高分子である。
【0165】
シリコーンポリマーの最大分子量は重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、一部において重合方法によって決定される。本発明の目的のためには、シリコーンポリマーの最大分子量が10g/mol以下、好ましくは10g/mol以下、特に好ましくは10g/mol以下である場合が好ましい。
【0166】
シリコーンポリマーは多くのSi-O繰り返し単位を含み、Si原子は、有機残基、例えばアルキル基または置換アルキル基を有していてもよい。
【0167】
シリコーンポリマーは、高い分子量に対応して、10個より多くのSi-O繰り返し単位、好ましくは50個より多くのSi-O繰り返し単位、より好ましくは100個より多くのSi-O繰り返し単位、最も好ましくは500個より多くのSi-O繰り返し単位に基づくものである。
【0168】
したがって、剤(a)に含まれるシリコーンポリマー(a3)は、同じく剤(a)に含まれるシラン(a1)とは異なる。
【0169】
したがって、一実施形態との関連において、ケラチン性物質を染色するための方法は、剤(a)が:
(a3)少なくとも1種のシリコーンポリマー
を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0170】
本発明に至る研究において、シリコーンポリマー(a3)を剤(a)に組み込むことによって髪の感触の改善がもたらされることがわかった。
【0171】
オルガノシリコン化合物(シラン)(a1)のオリゴマー化または重合によって生成される被膜は、ある程度の固着性または柔軟性すら示し得り、特に多量のシラン(a1)を使用した場合、一方においてケラチン性材料の感触および他方において該被膜の持続性に対して有害な効果を有することがあり得る。この理論に拘束されないが、媒体(a)中のシラン(a1)とシリコーンポリマー(a3)の併用塗布によってこの2つの成分の互いとの反応または相互作用がもたらされると考えられる。シランおよびシリコーンポリマーを一緒に使用した場合、先に記載のようにシランが被膜を形成すると思われ、この被膜中にシリコーンポリマーが組み込まれるか、またはこの被膜にシリコーンポリマーが凝集するかのいずれかであることがわかった。このようにして形成される被膜は、よりずっとしなやかで、柔軟性で、持続性があり、脆性が低いものになることがわかった。
【0172】
したがって、剤(a)によってもたらされる被膜のレオロジー特性は、少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)の添加によって大きく改善され得ることが観察された。シリコーンポリマー(a3)の存在下では、被膜はより強固またはより硬質となり、べたつきが少なく、よりなめらかで、より感じのよい外観を有するカラーリングされたケラチン性物質が得られた。さらに、より高い被膜の強度も、ケラチン性材料の堅牢特性に対して、特に摩擦堅牢特性に対してプラスの効果を有した。染色された被膜は、櫛、ブラシおよび繊維製品と接触したとき、より耐久性となるため、このようなアイテムと接触したときに低磨耗を示した。
【0173】
ある特定のシリコーンポリマー(a3)を使用した場合、上記の利点が特に顕著であった。したがって、本方法に使用される剤(a)が少なくとも1種のアルコキシ修飾シリコーンポリマーおよび/または少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含む場合、特に好ましいことがわかった。
【0174】
したがって、一実施形態との関連において、ケラチン性物質を染色するための方法は、剤(a)が:
(a3)少なくとも1種のアルコキシ修飾および/またはアミノ修飾シリコーンポリマー
を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0175】
さらに好ましい一実施形態において、本発明による方法は、剤(a)が、少なくとも1種のアルコキシ修飾シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0176】
アルコキシ修飾シリコーンは、その構造が少なくとも1つのアルコキシ構造単位を含むシリコーンである。このアルコキシ構造単位は例えばアルコキシ基であり得る。アルコキシ基はC-C10アルコキシ基であると理解される。アルコキシ基はシリコーンに対して末端であってもよい(すなわち、例えば、基-O-CHまたは基-O-CH-CHとして存在する)。しかしながら、アルコキシ基自体がさらに置換基を有している場合も等しく本発明に従うものである;この場合、アルコキシ修飾部は、シリコーン上に存在する少なくとも1つの基、例えば(-CH2-CH2-O-)、(-CH2-CH2-CH2-O-)、(-CH(CH3)-CH2-O-)、(-CH2-CH(CH3)-CH2-O-)または(-CH2-CH2-CH2-CH2-O-)などであると理解される。好ましくは、アルコキシ修飾シリコーン(A)は、少なくとも1つの基(-CH2-CH2-O-)および/または(-CH2-CH2-CH2-O-)を有する。
【0177】
アルコキシ基はシリコーンに炭素原子または酸素原子のいずれかを介して連結されてもよく、例えば、シリコーンは、式(S-a)、(S-b)、(S-c)および/または(S-d)の構造単位を有してよい:
【化53】
【0178】
アルコキシ修飾シリコーンポリマー(a3)が1つより多くのアルコキシ基を有している場合、すなわち、シリコーンポリマー(a3)がポリアルコキシル化型である場合が特に好ましい。ポリアルコキシル化シリコーンは、構造単位として、ポリオキシアルキレン基、ポリオキシエチレン基(すなわち、[-CH2-CH2-O-]mの型の基)および/またはポリオキシプロピレン基(すなわち、[-CH(CH3)-CH2-O-]mおよび/または[-CH2-CH2-CH2-O-]mの型の基)を有する。好ましくは、シリコーンポリマー内のポリオキシアルキレン単位の数は少なくとも2である。したがって、mは2以上の整数である。
【0179】
特に好ましくは、アルコキシ修飾シリコーン(a3)は非イオン性シリコーンである。非イオン性シリコーンは正電荷も負電荷も有していない。
【0180】
非常に特に適当なポリアルコキシル化シリコーン(a3)は、式(S-I):
【化54】
の少なくとも1種の構造単位を含み、
式中
nは2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、さらにより好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数値12である。
【0181】
上記の式においてアスタリスクで示した位置は、対応する結合の結合に使用されていない原子価を表し、このとき、該結合はさらなるSi原子、さらなるO原子および/またはさらなるC原子に対するものであり得る。
【0182】
したがって、一実施形態との関連において、ケラチン性物質を染色するための方法は、剤(a)が、式(S-I):
【化55】
[式中、
nは2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、さらにより好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数値12である]
の少なくとも1種の構造単位を含む少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とするものが好ましい。
【0183】
好ましいアルコキシ修飾シリコーンポリマー(a3)の一例は、1つ以上の一般式(S-I)の構造単位に加えて、式(S-I)の単位と構造的に異なるさらなる構造単位を含んでよい。特に好ましくは、アルコキシ修飾シリコーンポリマーは1つ以上のジメチルシロキサン単位をさらに含む。本発明のシリコーンは、直鎖であるか分枝鎖であるかに応じて、2つ(直鎖シリコーンの場合)またはそれより多く(分枝鎖シリコーンの場合)末端基を有する。本発明によるシリコーンポリマー(a3)が、各場合においてトリメチルシリルオキシ基(すなわち、基-O-Si(CH3)3)を末端基として有する場合が特に有利であることがわかった。
【0184】
したがって、さらなる特に好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV):
【化56】
[式中、nは、各構造単位(S-I)において独立して、各場合において、2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、さらにより好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数値12を表す]
の構造単位で構成される少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0185】
式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV)の構造単位で構成されるシリコーンポリマー(a3)は、これとの関連において、(各場合において1つ以上の)式(S-I)、(S-II)、(S-III)および(S-IV)の構造単位を排他的に有するシリコーンを意味すると理解されたい。ここで、該シリコーンはまた、異なる構造単位の式(S-I)も含むことができ、その各々はその数値nで区別される。
【0186】
構造単位内のアスタリスクで示した位置は各々、その他の構造単位との連結点を表す。例えば、式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV)の構造単位で構成される非常に特に好ましいシリコーンポリマー(a3)の一例は以下の構造を有してよい:
【化57】
ここで、xおよびyはシリコーンの所望の分子量に応じて選択され、nは、本発明に従う上記の好ましい整数または特に好ましい整数のうちの1つを表す。
【0187】
低分子量アルコキシ修飾シリコーンおよび高分子量アルコキシ修飾シリコーンのどちらもシリコーンポリマー(a3)として使用できる。特に有益な効果は、800~10,000g/mol、好ましくは1,000~9,000g/mol、さらに好ましくは2,000~8,000g/mol、特に好ましくは2,500~5,000g/molのモル質量を有するシリコーンポリマー(a3)で観察された。
【0188】
特によく適するシリコーンポリマーとして:
Evonik製のAbil B 8843、PEG-14ジメチコン
Dow Corning社によるXiameter OFX 0193 Fluid、PEG-12ジメチコン
が挙げられる。
【0189】
さらに、特に良好な結果は、アミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)を本方法において使用した場合にも得られた。アミノ修飾シリコーンポリマーは、あるいはアミノ官能性付与シリコーンポリマー、また、アミノシリコーンと称される場合もある。
【0190】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)が少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0191】
剤(a)は、1種以上の異なるアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含有してもよい。かかるシリコーンは、例えば式(S-V):
【化58】
を特徴とするものであってよく、上記の式中、Rは、1~約6個の炭素原子を有する炭化水素または炭化水素残基であり、Qは一般式-RHZの極性基であり、ここで、Rは、水素とZ残基に結合されており、炭素原子と水素原子、炭素原子と水素原子と酸素原子、または炭素原子と水素原子と窒素原子で構成される二価の連結基であり、Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含む有機アミノ官能残基であり;「a」は約0~約2の範囲の値をとり、「b」は約1~約3の範囲の値をとり、「a」+「b」は3以下であり、「c」は約1~約3の範囲の数値であり、xは1~約2,000、好ましくは約3~約50、最も好ましくは約3~約25の範囲の数値であり、yは約20~約10,000、好ましくは約125~約10,000、最も好ましくは約150~約1,000の範囲の数値であり、Mは、先行技術において知られた適当なシリコーン末端基、好ましくはトリメチルシロキシである。Rで表される基の非限定的な例としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシルなど;アルケニル基、例えばビニル、ハロビニル、アルキルビニル、アリル、ハロアリル、アルキルアリル;シクロアルキル基、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど;フェニル基、ベンジル基、ハロ炭化水素残基、例えば3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、クロロシクロヘキシル、ブロモフェニル、クロロフェニルなど;および含硫基、例えばメルカプトエチル、メルカプトプロピル、メルカプトヘキシル、メルカプトフェニルなどが挙げられ;好ましくは、Rは1~約6個の炭素原子を含むアルキル基であり、最も好ましくはRはメチルである。Rの例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、-CHCH(CH)CH-、フェニレン、ナフチレン、-CHCHSCHCH-、-CHCHOCH-、-OCHCH-、-OCHCHCH-、-CHCH(CH)C(O)OCH-、-(CHCC(O)OCHCH-、-C-、-CCH-;および-(CHC(O)SCHCH-が挙げられる。
【0192】
Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含む有機アミノ官能残基である。Zの考えられ得る式の一例はNH(CHzNHであり、式中、zは1以上である。Zの別の考えられ得る式は-NH(CHz(CHzzNHであり、式中、zおよびzzはどちらも独立して、1以上であり、この構造は、ジアミノ環構造、例えばピペラジニルを含む。Zは最も好ましくは-NHCHCHNH残基である。Zの別の考えられ得る式は-N(CHz(CHzzNXまたは-NXであり、式中、Xの各Xは独立して、水素および1~12個の炭素原子を有するアルキル基からなる群より選択され、zzは0である。
【0193】
Qは最も好ましくは式-CHCHCHNHCHCHNHの極性アミン官能性残基である。式において、「a」は約0~約2の範囲の値をとり、「b」は約2~約3の範囲の値をとり、「a」+「b」は3以下であり、「c」は約1~約3の範囲の数値である。RabSiO(4-a-b)/2単位:RSiO(4-c)/2単位のモル比は約1:2~1:65、好ましくは約1:5~約1:65、最も好ましくは約1:15~約1:20までの範囲である。上記の式の1種以上のシリコーンが使用されるならば、上記の式中の種々の可変置換基は、シリコーンブレンド中に存在する種々のシリコーン成分で異なる場合がある。
【0194】
特に好ましい一実施形態において、本発明による方法は、剤(a)をケラチン性物質に適用することであって、該剤(a)が式(S-VI)のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)であり、
【化59】
式中において:
-Gは-H、フェニル基、OH、-O-CH、-CH、-O-CHCH、-CHCH、-O-CHCHCH、-CHCHCH、-O-CH(CH、-CH(CH、-O-CHCHCHCH、-CHCHCHCH、-O-CHCH(CH、-CHCH(CH、-O-CH(CH)CHCH、-CH(CH)CHCH、-O-C(CH、-C(CHであり;
-aは0~3の数値、特に0を表し;
-bは0~1の数値、特に1を表し、
-mおよびnは、その和(m+n)が1~2000、好ましくは50~150となる数値であり、ここで、nは好ましくは0~1999および49~149の値が想定され、mは好ましくは1~2000、1~10の値が想定され、
-R’は、
・-Q-N(R’’)-CH-CH-N(R’’)
・-Q-N(R’’)
・-Q-N(R’’)
・-Q-NH(R’’)
・-Q-N(R’’)A
・-Q-N(R’’)-CH-CH-NR’’H
から選択される一価の残基であり、
ここで、各Qは化学結合、-CH-、-CH-CH-、-CHCHCH-、-C(CH-、-CHCHCHCH-、-CHC(CH-、-CH(CH)CHCH-であり、
R’’は、-H、-フェニル、-ベンジル、-CH-CH(CH)Ph、C1~20アルキル基、好ましくは-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCHCH、-CHCH(CH、-CH(CH)CHCH、-C(CHからなる群より選択される同一の基または異なる基を表し、Aは、好ましくはクロリド、ブロミド、イオダイドまたはメトスルフェートから選択されるアニオンを表す
ことを意味することを特徴とする。
【0195】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)をケラチン性物質に適用することを特徴とし、該剤(a)が、式(S-VII):
【化60】
[式中、mおよびnは、その和(m+n)が1~2000、好ましくは50~150となる数値であり、nは好ましくは0~1999および49~149の値が想定され、mは好ましくは1~2000、1~10の値が想定される]
の少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0196】
INCI宣言によれば、このようなシリコーンはトリメチルシリルアモジメチコンと称される。
【0197】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)をケラチン性物質に適用することを特徴とし、該剤(a)が、式(S-VIII):
【化61】
[式中、Rは、-OH、-O-CHまたは-CH基を表し、m、n1およびn2は、その和(m+n1+n2)が1~2000、好ましくは50~150となる数値であり、和(n1+n2)は好ましくは0~1999および49~149の値が想定され、mは好ましくは1~2000、1~10の値が想定される]
の少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0198】
INCI宣言によれば、このようなアミノ修飾シリコーンポリマーまたはアミノ官能性付与シリコーンポリマーはアモジメチコンとして知られる。
【0199】
どのアミノ修飾シリコーンが使用されるかに関係なく、アミン価が0.25meq/gより上、好ましくは0.3meq/gより上および0.4meq/gより上であるアミノ修飾シリコーンポリマーを含む剤(a)が好ましい。アミン価はアミノ官能性シリコーン1グラムあたりのアミンのミリグラム当量を表す。アミン価はアミノ官能性シリコーン1グラムあたりのアミンのミリグラム当量を表す。
【0200】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)をケラチン性物質に適用することであって、該剤(a)が、式(S-IX):
【化62】
[式中
・mおよびnは、和(n+m)が1~1000の範囲となるように選択される数値を意味し、
・nは0~999の範囲の数値であり、mは1~1000の範囲の数値であり、
・R1、R2およびR3は、同じかまたは異なっており、ヒドロキシ基またはC1~4アルコキシ基を表し、
・ここで、R1~R3のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す]
の式の少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0201】
他の好ましい方法は、剤(a)をケラチン性物質に適用することであって、前記剤(a)が、式(S-X):
【化63】
[式中
・pおよびqは、和(p+q)が1~1000の範囲となるように選択される数値を意味し、
・pは0~999の範囲の数値であり、qは1~1000の範囲の数値であり、
・R1およびR2は、異なるものであり、ヒドロキシ基またはC1~4アルコキシ基を表し、R1~R2のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す]
の式の少なくともアミノ官能性シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0202】
式(S-IX)のシリコーンと(S-X)のシリコーンは、窒素含有基を有しているSi原子における基が異なる:式(S-IX)では、R2はヒドロキシ基またはC1~4アルコキシ基を表し、一方、式(S-X)における残基はメチル基である。添え字mおよびnまたはpおよびqが示された個々のSi基はブロックとして存在していなくてもよく;むしろ、個々の単位は統計的に分布した様式で存在していてもよい、すなわち、式(S-IX)および(S-X)において、必ずしもどのR1-Si(CH基もが-[O-Si(CH]基に結合しているわけではない。
【0203】
また、式(S-XI)の式の少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)をケラチン繊維に適用する方法は、所望の効果に関して特に有効であることがわかり、
【化64】
ここで、存在する
Aは、基-OH、-O-Si(CH、-O-Si(CHOH、-O-Si(CHOCHを表し、
Dは、基-H、-Si(CH、-Si(CHOH、-Si(CHOCHを表し、
b、nおよびcは0~1000の整数を表す。
より詳しくは
・n>0およびb+c>0
・条件A=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方が満たされる。
【0204】
上記の式(S-XI)において、添え字b、cおよびnを有する個々のシロキサン単位は統計的に分布している、すなわち、必ずしもブロックコポリマーでなくてもよい。
【0205】
摩擦堅牢性の改善に関する特に良好な効果は、手順において、特別な4-モルホリノメチル置換型シリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)をケラチン性物質に適用した場合に観察された。この非常に特に好ましいアミノ官能性付与シリコーンポリマーは、式(S-XIII):
【化65】
の少なくとも1種の構造単位を含む。
【0206】
一実施形態との関連において、ケラチン性物質を染色するための方法は、したがって、剤(a)が、式(S-XIII):
【化66】
の少なくとも1種の構造単位を含む少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0207】
また、摩擦堅牢性の改善の点において特に良好な効果は、手順において、特別な4-モルホリノメチル置換型シリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)をケラチン性物質に適用した場合にも観察された。この非常に特に好ましいアミノ官能性付与シリコーンポリマーは、式(S-XII)および式(S-XIII):
【化67】
の構造単位を含む。
【0208】
明らかに非常に特に好ましい一実施形態において、本発明による方法は、剤(a)が、式(S-XII)および式(S-XIII):
【化68】
の構造単位を含む少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0209】
対応する4-モルホリノメチル置換型シリコーンポリマーを以下に記載する。
【0210】
非常に特に好ましいアミノ官能性付与シリコーンポリマーの一例はアモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーとして知られており、原料Belsil ADM 8301 Eの形態でWackerから市販されている。
【0211】
4-モルホリノメチル置換型シリコーンとして、例えば、式(S-XII)、(S-XIII’)および(S-XIV’)の構造単位を有するシリコーンが使用でき、
【化69】
式中
R1は-CH、-OH、-OCH、-O-CHCH、-O-CHCHCHまたは-O-CH(CHであり;
R2は-CH、-OHまたは-OCHである。
【0212】
特に好ましい本発明による組成物(a)は、式(S-XV)の少なくとも1種の4-モルホリノメチル置換型シリコーンを含み、
【化70】
ここで、存在する
R1は-CH、-OH、-OCH、-O-CHCH、-O-CHCHCHまたは-O-CH(CHであり;
R2は-CH、-OHまたは-OCHであり、
Bは、基-OH、-O-Si(CH、-O-Si(CHOH、-O-Si(CHOCHを表し、
Dは、基-H、-Si(CH、-Si(CHOH、-Si(CHOCHを表し、
a、bおよびcは、a+b+c>0の条件で、独立して0~1000の整数を表し、
mおよびnは互いに独立して、整数1~1000を表す、
ただし、
・条件B=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方が満たされる、
・単位a、b、c、mおよびnは分子において統計的に分布しているか、またはブロック状である
ものとする。
【0213】
構造式(Si-VI)は、シロキサン基nおよびmが、必ずしもそれぞれ末端基BまたはDに直接結合していなくてもよいことを示すことを意図する。むしろ、好ましい式では(Si-VI)a>0またはb>0、特に好ましい式では(Si-VI)a>0およびc>0、すなわち、末端基BまたはDは好ましくはジメチルシロキシ基に結合している。また、式(Si-VI)において、シロキサン単位a、b、c、mおよびnは好ましくは統計的に分布している。
【0214】
本発明に従って使用される式(Si-VI)で表されるシリコーンはトリメチルシリル末端型(DまたはB=-Si(CH3)3)であってよいが、両端がジメチルシリルヒドロキシ末端型または一端がジメチルシリルヒドロキシ末端型およびジメチルシリルメトキシ末端型であってもよい。本発明との関連において特に好ましいシリコーンは、各関連に対して
B=-O-Si(CHOHおよびD=-Si(CH
B=-O-Si(CHOHおよびD=-Si(CHOH
B=-O-Si(CHOHおよびD=-Si(CHOCH
B=-O-Si(CHおよびD=-Si(CHOH
B=-O-Si(CHOCHおよびD=-Si(CHOH
であるシリコーンから選択される。
【0215】
特に耐久性のある被膜を作製するため、剤(a)はシリコーンポリマー、特にアルコキシ修飾シリコーンポリマーおよび/またはアミノ修飾シリコーンポリマーを、好ましくは特定範囲の量で含む。
【0216】
特に、低粘着性の柔軟性被膜が、剤(a)の総重量に対して0.1~8重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%、非常に特に好ましくは0.1~0.5重量%の総量で、1種以上のシリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)を該方法において使用した場合に得られた。
【0217】
さらなる好ましい一実施形態との関連において、該方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、最も好ましくは2~8重量%の総量で、1種以上のシリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0218】
明らかに非常に特に好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、最も好ましくは2~8重量%の総量で、1種以上のアルコキシ修飾シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0219】
明らかに非常に特に好ましい実施形態との関連において、該方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、非常に特に好ましくは2~8重量%の総量で、1種以上のアミノ修飾シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0220】
〔剤(a)のpH値〕
剤(a)が、アルカリ性pHに調整された水分含有剤の形態に構成されている場合が好ましいことがわかった。
【0221】
このpH値に調整するため、剤(a)に少なくとも1種のアルカリ化剤が含有されてもよい。
【0222】
したがって、所望のpHに調整するため、剤(a)にはまた、少なくとも1種のアルカリ化剤が含有されてもよい。本発明の解釈上のpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0223】
アルカリ化剤として、剤(a)には、例えばアンモニア、アルカノールアミンおよび/または塩基性アミノ酸が含有されてもよい。
【0224】
組成物中の剤をできるアルカノールアミンは好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有しているC~Cアルキルペアレントを有する第1級アミンから選択される。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールによって形成される群から選択される。
【0225】
特に好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択される。特に好ましい一実施形態は、したがって、本発明による剤が、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択されるアルカノールアミンをアルカリ化剤として含むことを特徴とする。
【0226】
本発明の解釈上、アミノ酸は、その構造内に少なくとも1つのプロトン化性アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸はアミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、このとき、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0227】
塩基性アミノ酸は、7より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0228】
塩基性α-アミノカルボン酸は少なくとも1個の不斉炭素原子を含む。本発明との関連において、考えられ得る両方のエナンチオマーを具体的な化合物として、またはその混合物、特にラセミ体として等しく使用できる。しかしながら、天然状態で好ましい異性体形態、通常、L体を使用することが特に好都合である。
【0229】
塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリシンによって形成される群から選択される。したがって、別の特に好ましい一実施形態において、本発明の剤は、アルカリ化剤がアルギニン、リシン、オルニチンおよび/またはヒスチジンの群より選択される塩基性アミノ酸であることを特徴とする。
【0230】
また、該生成物には他のアルカリ化剤、特に無機アルカリ化剤が含有されることもある。本発明に従って使用可能な無機アルカリ化剤は好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムによって形成される群から選択される。
【0231】
特に好ましいアルカリ化剤はアンモニア、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0232】
剤(a)は好ましくはアルカリ性範囲のpH値に調整されるが、とはいえ、原則的には所望のpH値の微調整のために酸性化剤もまた少量で使用することが必要な場合もある。本発明に従う好適な酸性化剤は、例えばクエン酸、乳酸、酢酸または同様に希薄鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸)である。
【0233】
しかしながら、本発明に至る研究の過程において、アルカリ化剤の存在またはアルカリ性pHへの調整がケラチン性物質上への耐久性のある被膜の形成に必須であることがわかった。過剰量の酸の存在は被膜の強度に対してマイナスの効果を有する場合がある。この理由で、媒体(a)中に使用される酸の量を可能な限り少なく維持することが好ましいことがわかった。この理由で、剤(a)中に含まれる有機酸および/または無機酸の総量が、ある特定の値を超えない場合が好都合である。
【0234】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)に含まれるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸および乳酸からなる群からの有機酸の総量が1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、なおより好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0235】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)に含まれる塩酸、硫酸およびリン酸からなる群からの無機酸の総量が1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、さらにより好ましくは0.1重量%未満、非常に特に好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0236】
剤(a)に含まれる酸の上記に示した最大総量は常に剤(a)の総重量に対する量である。
【0237】
〔剤(b)〕
ケラチン性物質の処理方法は、剤(a)の適用に加えて剤(b)の適用を含む。剤(b)は少なくとも1種のシーリング試薬(b1)を含むことを特徴とする。
【0238】
剤(b)は後処理剤であり、剤(a)で処理したケラチン性物質への剤(b)の適用は、該方法で得られる着色をより持続性にする効果を有する。特に、剤(b)の使用により、該方法で得られる染色の洗い流しに対する堅牢性および摩擦に対する堅牢性が改善できる。
【0239】
シーリング試薬は、被膜形成ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤およびその混合物からなる群より選択される化合物を含むことが好ましい。
【0240】
シーリング試薬が被膜形成ポリマーを含むことが好ましい場合がある。
【0241】
ポリマーは、少なくとも1000g/mol、好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、同一の繰り返し有機単位からなる高分子である。本発明のポリマーは、1つの型のモノマーの重合によって、または互いに構造的に異なる異なる型のモノマーの重合によって製造される、合成により作製されたポリマーであってよい。ポリマーが、ある1つの型のモノマーを重合させることによって作製される場合、これはホモポリマーと称される。構造的に異なるモノマー型が重合において使用される場合、得られるポリマーはコポリマーと称される。
【0242】
ポリマーの最大分子量は重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、重合方法によって決定される。本発明の目的に関して、被膜形成疎水性ポリマー(c)の最大分子量は10g/mol以下、好ましくは10g/mol以下、特に好ましくは10g/mol以下であることが好ましい。
【0243】
本発明の意味において、被膜形成ポリマーは、基材上、例えばケラチン性材料またはケラチン性繊維上に被膜を形成することができるポリマーである。被膜の形成は、例えば、ポリマーで処理されたケラチン性物質を顕微鏡下で見ることによって実証できる。
【0244】
剤(b)における被膜形成ポリマー(b1)は親水性であっても疎水性であってもよい。
【0245】
第1の実施形態において、少なくとも1種の疎水性の被膜形成ポリマーを剤(b)において使用することが好ましい場合がある。
【0246】
疎水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%未満の水への溶解度を有するポリマーである。
【0247】
被膜形成の疎水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカー内に入れる。水で100gにする。撹拌子を添加し、混合物を磁気撹拌機で撹拌しながら25℃まで加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。ある割合の未溶解ポリマーが濾紙上に残存している場合、ポリマーの溶解度は1重量%未満である。
【0248】
このようなものとして、アクリル酸型ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、セルロースポリマー、ニトロセルロースポリマー、シリコーンポリマー、アクリルアミド型ポリマーおよびポリイソプレンが挙げられる。
【0249】
特に適当な被膜形成の疎水性ポリマーは、例えば、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドの群からのポリマーである。
【0250】
さらなる好ましい一実施形態において、組成物(b)は、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の被膜形成の疎水性ポリマー(b1)を含むことを特徴とする。
【0251】
合成ポリマー、ラジカル重合によって得られるポリマーまたは天然のポリマーの群から選択される被膜形成疎水性ポリマーは本発明による課題を解決するのに特に適することがわかった。
【0252】
他の特に適当な被膜形成疎水性ポリマーは、オレフィン、例えばシクロオレフィン、ブタジエン、イソプレンまたはスチレン、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1つのC-C20アルキル基、アリール基もしくはC-C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0253】
他の被膜形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸)ラウリル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸)n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピルおよび/またはその混合物のホモポリマーまたはコポリマーから選択されてもよい。
【0254】
さらなる被膜形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、これらのうちのC2-C18アルキル基を有するもの、例えばN-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-ジ(C1-C4)アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0255】
他の好ましいアニオン性コポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸またはそのC-Cアルキルエステルのコポリマーであり、これらはINCI宣言(Declaration)アクリレートコポリマーで販売されている。好適な市販品は例えば、Rohm&Haas製のAculyn(登録商標)33である。アクリル酸、メタクリル酸またはそのC-Cアルキルエステルならびにエチレン性不飽和酸とアルコキシル化脂肪族アルコールのエステルのコポリマーもまた好ましい。好適なエチレン性不飽和酸は特に、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸であり;好適なアルコキシル化脂肪族アルコールは特に、ステアレス-20またはセテス-20である。
【0256】
非常に特に好ましい市販のポリマーは、例えば、Aculyn(登録商標)22(アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)28(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標)(アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標)(アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標)1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アクリル酸アルキル架橋ポリマー)、Synthalen W 2000(登録商標)(アクリレート/パルメス-25アクリレートコポリマー)またはRohme und Haas製の流通品Soltex OPT(アクリレート/C12-22メタクリル酸アルキルコポリマー)である。
【0257】
ビニルモノマーベースの適当なポリマーとして、例えば、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-(C1~C6)アルキル-ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジンまたはビニルイミダゾールのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0258】
また、特に適当であるのは、コポリマーのオクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー、例えばNATIONAL STARCHによって商品名AMPHOMER(登録商標)もしくはLOVOCRYL(登録商標)47で市販されているものまたはNATIONAL STARCHによって商品名DERMACRYL(登録商標)LTおよびDERMACRYL(登録商標)79で販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーである。
【0259】
適当なオレフィンベースポリマーとして、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンおよびブタジエンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0260】
別の実施形態において、被膜形成疎水性ポリマーは、スチレンまたはスチレンの誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーであってよい。このようなブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて1つ以上のブロック、例えばスチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンを含むコポリマーであってよい。かかるポリマーはBASFによって商品名「Luvitol HSB」で市販されている。
【0261】
驚くべきことに、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の被膜形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含む場合、特に強くて洗浄堅牢性の着色が得られることがわかった。
【0262】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の被膜形成ポリマーをシーリング剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0263】
さらなる一実施形態において、少なくとも1種の親水性の被膜形成ポリマーを剤(b)におけるシーリング試薬(b1)として使用することが好ましい場合がある。
【0264】
親水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%より大きい、好ましくは2重量%より大きいの水への溶解度を有するポリマーである。
【0265】
被膜形成の親水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカー内に入れる。水で100gにする。撹拌子を添加し、混合物を磁気撹拌機で撹拌しながら25℃まで加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。完全に溶解したポリマーは肉眼で均質に見える。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。未溶解ポリマーが濾紙上に残存していない場合、ポリマーの溶解度は1重量%より大きい。
【0266】
非イオン性、アニオン性およびカチオン性のポリマーは、被膜形成の親水性ポリマーとして使用できる。
【0267】
好適な被膜形成親水性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、酢酸ビニル(コ)ポリマー、カルボキシビニル(コ)ポリマー、アクリル酸(コ)ポリマー、メタクリル酸(コ)ポリマー、天然のガム、多糖類および/またはアクリルアミド(コ)ポリマーからなる群から選択され得る。
【0268】
さらに、ポリビニルピロリドン(PVP)および/またはビニルピロリドン含有コポリマーを被膜形成親水性ポリマーとして使用することが特に好ましい。
【0269】
別の非常に特に好ましい実施形態において、剤(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルピロリドンのコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の被膜形成の親水性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0270】
該剤が、ポリビニルピロリドン(PVP)を被膜形成親水性ポリマーとして含む場合がさらに好ましい。驚くべきことに、PVP含有剤(b)を用いて得られた染色の洗浄堅牢性もまた特に良好であった。
【0271】
特に適当な ポリビニルピロリドンは、例えばLuviskol(登録商標)Kの名称でBASF SEから、特にLuviskol(登録商標)K 90またはLuviskol(登録商標)K 85でBASF SEから入手可能である。
【0272】
ポリマーPVP K 30は、Ashland(ISP,POI Chemical)によって販売されており、これもまた、別の明白に非常に適当なポリビニルピロリドン(PVP)として使用できる。PVP K 30は冷水中への溶解性が高いポリビニルピロリドンであり、CAS番号9003-39-8を有する。PVP K 30の分子量は約40000g/molである。
【0273】
他の特に適当なポリビニルピロリドンは、商品名LUVITEC K 17、LUVITEC K 30、LUVITEC K 60、LUVITEC K 80、LUVITEC K 85、LUVITEC K 90およびLUVITEC K 115で知られる物質であり、BASFから入手可能である。
【0274】
ポリビニルピロリドンコポリマーの群からの被膜形成親水性ポリマー(b1)の使用もまた、特に良好で洗浄堅牢性のカラーリング結果をもたらした。
【0275】
ビニルピロリドン-ビニルエステルコポリマー、例えば商標Luviskol(登録商標)(BASF)で販売されているものは特に好適な被膜形成親水性ポリマーである。Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73は、ともにビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーであり、特に好ましい非イオン性ポリマーである。
【0276】
ビニルピロリドン含有コポリマーのうち、スチレン/VPコポリマーおよび/またはビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーおよび/またはVP/DMAPAアクリレートコポリマーおよび/またはVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーが化粧料組成物において特に好ましい。
【0277】
ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーは、Luviskol(登録商標)VAの名称でBASF SEによって販売されている。例えば、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは、商品名Aquaflex(登録商標)SF-40でAshland Incによって販売されている。例えば、VP/DMAPAアクリレートコポリマーは、AshlandによってStyleze CC-10の名称で販売されており、非常に好ましいビニルピロリドン含有コポリマーである。
【0278】
また、ポリビニルピロリドンの他の適当なコポリマーは、N-ビニルピロリドンを、V-ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクトンおよび/またはビニルアルコールからなる群からの少なくとも1種のさらなるモノマーと反応させることにより得られるものであってもよい。
【0279】
別の非常に特に好ましい実施形態において、剤(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の被膜形成の親水性ポリマー(b1)を含むことを特徴とする。
【0280】
ビニルピロリドンの別のファジー(fussy)なコポリマーは、INCI表示マルトデキストリン/VPコポリマーで知られるポリマーである。
【0281】
さらに、非イオン性被膜形成親水性ポリマーを被膜形成親水性ポリマーとして使用した場合、特に良好な洗い流し堅牢特性を有する強くカラーリングされたケラチン性物質、特に毛髪を得ることができた。
【0282】
別の実施形態において、剤(b)は、少なくとも1種の非イオン性の被膜形成性の親水性ポリマー(b1)を含んでよい。
【0283】
本発明によれば、非イオン性ポリマーは、プロトン性溶剤中、例えば水中において標準的な条件下で、対イオンによって補われるはずである永続的なカチオン基またはアニオン基を有する構造単位を有しておらず、電子中性を維持したままであるポリマーであると理解されたい。カチオン基としては第四級化アンモニウム基が挙げられるが、プロトン化アミンは含まれない。アニオン基としてはカルボン酸基およびスルホン酸基が挙げられる。
【0284】
非イオン性の被膜形成の親水性ポリマーとして、
・ポリビニルピロリドン、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルピロリドンの2~18個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルと酢酸ビニルのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとメタクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとアクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN,N-ジ(C1~C4)アルキルアミノ-(C2~C4)アルキルアクリルアミドとのコポリマー
からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む生成物が好ましい。
【0285】
N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーが使用される場合、この場合も、モノマーの酢酸ビニルに含まれるポリマーの構造単位に対するモノマーのN-ビニルピロリドンに含まれる構造単位のモル比は20:80~80:20、特に30:70~60:40の範囲である場合が好ましい。好適なビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーは、例えば商標Luviskol(登録商標)VA 37、Luviskol(登録商標)VA 55、Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73でBASF SEから入手可能である。
【0286】
別の特に好ましいポリマーはINCI表示VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーから選択され、これは商品名Luviset ClearでBASF SEから入手可能である。
【0287】
別の特に好ましい非イオン性の被膜形成の親水性ポリマーはN-ビニルピロリドンとN,N-ジメチルアミニオプロピルメタクリルアミドのコポリマーであり、これは、例えば、ISPによりINCI表示VP/DMAPA アクリレートコポリマーで、例えば商品名Styleze(登録商標)CC 10で販売されている。
【0288】
カチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI表示:ポリクオタニウム-69)であり、これは、例えば商品名AquaStyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中28~32重量%の活性物質、分子量350000)でISPにより販売されている。
【0289】
他の適当な被膜形成性の親水性ポリマーとして、
・表示Luviquat(登録商標)FC 370、FC 550およびINCI表示ポリクオタニウム-16ならびにFC 905およびHM 552で提供されるビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、
・ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム-アクリレートターポリマー、これは、第3のモノマー成分がアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドで、例えばAquaflex(登録商標)SF 40の名称で市販されている、
が挙げられる。
【0290】
ポリクオタニウム-11は、硫酸ジエチルとビニルピロリドンおよびメタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーとの反応生成物である。好適な市販品は、Dehyquart(登録商標)CC 11およびLuviquat(登録商標)PQ 11 PNの名称でBASF SEから、またはGafquat 440、Gafquat 734、Gafquat 755もしくはGafquat 755Nの名称でAshland Inc.から入手可能である。
【0291】
ポリクオタニウム-46は、ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとの反応生成物であり、例えばLuviquat(登録商標)Holdの名称でBASF SEから入手可能である。ポリクオタニウム-46は、好ましくは化粧料組成物の総重量に対して1~5重量%の量で使用される。ポリクオタニウム-46をカチオングア化合物との組合せで使用することが特に好ましい。ポリクオタニウム-46をカチオングア化合物およびポリクオタニウム-11との組合せで使用することがいっそう非常に好ましい。
【0292】
適当なアニオン性の被膜形成性の親水性ポリマーは例えばアクリル酸ポリマーであってよく、これは非架橋形態であっても架橋形態であってもよい。かかる生成物は、商品名Carbopol 980、981、954、2984および5984でLubrizolにより、またはSynthalen MおよびSynthalen Kの名称で3V Sigma(The Sun Chemicals,Inter Harz)により市販されている。
【0293】
天然のガムの群からの好適な被膜形成性の親水性ポリマーの例はキサンタンガム、ゲランガム、カロブガムである。
【0294】
多糖類の群からの好適な被膜形成親水性ポリマーの例はヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。
【0295】
アクリルアミドの群からの適当な被膜形成性の親水性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキルスルホン酸またはその塩のモノマーから調製されるポリマーである。対応するポリマーは、ポリアクリルアミドメタンスルホン酸、ポリアクリルアミドエタンスルホン酸、ポリアクリルアミドプロパンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ-2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および/またはポリ-2-メチルアクリルアミド-n-ブタンスルホン酸のポリマーから選択され得る。
【0296】
ポリ(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキル-スルホン酸の好ましいポリマーは架橋型であり、少なくとも90%が中和されている。このようなポリマーは架橋型であっても非架橋型であってもよい。
【0297】
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸型の架橋された完全中和または部分中和ポリマーは、INCI名「アンモニウムポリアクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホネート」または「アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド(tauramide)」で入手可能である。
【0298】
この型の別の好ましいポリマーは、Clariantにより商品名Hostacerin AMPSで販売されている架橋型ポリ-2-アクリルアミド-2メチル-プロパンスルホン酸ポリマーであり、アンモニアで部分的に中和されている。
【0299】
別の明らかに非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)が少なくとも1種のアニオン性の被膜形成ポリマー(b1)を含むことを特徴とする。
【0300】
これとの関連において、最良の結果は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、少なくとも1種の式(P-I)の構造単位と少なくとも1種の式(P-II)の構造単位を含む少なくとも1種の被膜形成ポリマーを含む場合に得られ、
【化71】
式中
Mは水素原子またはアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムもしくは1/2カルシウムである。
【0301】
さらなる好ましい一実施形態において、本発明による方法は、剤(b)が、少なくとも1種の式(P-I)の構造単位と少なくとも1種の式(P-II)の構造単位を含む少なくとも1種の被膜形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含み、
【化72】
式中
Mは水素原子またはアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムもしくは1/2カルシウムである
ことを特徴とする。
【0302】
Mが水素原子を表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸単位を主体とする。
【0303】
Mがアンモニウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のアンモニウム塩を主体とする。
【0304】
Mがナトリウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のナトリウム塩を主体とする。
【0305】
Mがカリウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のカリウム塩を主体とする。
【0306】
Mが半当量のマグネシウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のマグネシウム塩を主体とする。
【0307】
Mが半当量のカルシウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のカルシウム塩を主体とする。
【0308】
被膜形成性ポリマーまたはポリマー(b1)は、好ましくは剤(b)において特定範囲の量で使用される。これに関して、本発明による課題を解決するためには、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で、1種以上の被膜形成性ポリマー(b1)を含む場合が特に好ましいことがわかった。
【0309】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で、1種以上の被膜形成性ポリマー(b1)を含むことを特徴とする。
【0310】
剤(b)の適用は、剤(a)の適用によって初めに作られた被膜を密封および固定することを目的とする。ここで、剤(b)によって作られた被膜は、それ自体は好ましくは着色されていない。このようにして、剤(b)によって作られた未着色被膜が、剤(a)によって作られた着色被膜上に存在し、外部影響から該着色被膜を保護することができる。このようにして、ある程度は生じる第2の被膜(b)のいかなる摩耗も、被膜系全体における何らの色変化ももたらさないことも保証され得る。したがって、剤(b)が着色化合物を含有しないか、ごく少量のみを含有する場合が、特に好ましい。
【0311】
さらなる好ましい一実施形態において、本方法は、剤(b)に含有される顔料および直接染料からなる群から選ばれる着色化合物の総量が、0.2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、さらにより好ましくは0.05重量%以下、非常に特に好ましくは0.01重量%以下であることを特徴とする。
【0312】
顔料および直接染料の群から選ばれる着色化合物の総量は、製剤(b)の総重量に基づく。
【0313】
別の一実施形態において、シーリング試薬(b1)はアルカリ化剤を含む。
【0314】
特に好ましくは、アルカリ化剤は、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される。
【0315】
別の特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)が、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属メタケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ化剤をシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0316】
アンモニアを含む剤(b)での後処理は、該方法によって得られる染色の洗浄堅牢性および摩擦堅牢性の改善に対して特に良好な影響を及ぼすことがわかった。
【0317】
さらなる非常に特に好ましい一実施形態との関連において、該方法は、組成物(b)がアンモニアをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0318】
良好な結果は、組成物(b)が少なくとも1種のC2-C6アルカノールアミンをシーリング試薬(b1)として含む場合でも得られた。
【0319】
組成物(b)に使用可能なアルカノールアミンは、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基を有しているC-Cアルキルペアレントを有する第1級アミンの群から選択され得る。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールによって形成される群から選択される。
【0320】
さらなる好ましい一実施形態において、本発明による方法は、組成物(b)がシーリング試薬(b1)としてアルカノールアミンの群からの少なくとも1種のアルカリ化剤を含み、該アルカノールアミンは好ましくは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオールおよび2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールからなる群より選択されることを特徴とする。
【0321】
同様に、良好な結果は、組成物(b)が少なくとも1種の塩基性アミノ酸をシーリング試薬(b1)として含む場合にも得られた。
【0322】
本発明の解釈上、アミノ酸は、その構造内に少なくとも1つのプロトン化性アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸はアミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、このとき、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0323】
本発明によれば、塩基性アミノ酸は、7.0より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0324】
塩基性α-アミノカルボン酸は少なくとも1個の不斉炭素原子を含む。本発明との関連において、考えられ得る両方のエナンチオマーが具体的な化合物として、またはその混合物、特にラセミ体として等しく使用できる。しかしながら、天然状態で好ましい異性体形態、通常、L体を使用することが特に好都合である。
【0325】
塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリシンによって形成される群から選択される。さらなる特に好ましい一実施形態において、該方法は、したがって、シーリング試薬(b1)が、アルギニン、リシン、オルニチンおよび/またはヒスチジンからなる群より選択される塩基性アミノ酸を含むアルカリ化剤であることを特徴とする。
【0326】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、塩基性アミノ酸の群から選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を含み、該塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチンおよびヒスチジンの群から選択されることを特徴とする。
【0327】
良好な結果は、剤(b)が少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物をシーリング試薬(b1)として含む場合でも得られた。適切なアルカリ金属水酸化物の例は水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。
【0328】
良好な結果は、組成物(b)が、シーリング試薬(b1)として、少なくとも1種のアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ化剤を含む場合でも得られた。好適なアルカリ土類金属水酸化物として、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよび水酸化バリウムが挙げられる。
【0329】
良好な結果は、剤(b)が少なくとも1種のアルカリ金属ケイ酸塩および/またはアルカリ金属メタケイ酸塩をシーリング試薬(b1)として含む場合でも得られた。好適なアルカリ金属ケイ酸塩としてはケイ酸ナトリウムおよびケイ酸カリウムが挙げられる。好適なアルカリ金属メタケイ酸塩としてはメタケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸カリウムが挙げられる。
【0330】
良好な結果は、剤(b)が少なくとも1種のアルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ土類金属炭酸塩をシーリング試薬(b1)として含む場合でも得られた。好適なアルカリ金属炭酸塩としては炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが挙げられる。好適なアルカリ土類金属炭酸塩としては炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。
【0331】
アルカリ化剤の形態のシーリング試薬(b1)の群において、アンモニア、C-Cアルカノールアミネン(alkanolaminene)、塩基性アミノ酸およびアルカリ金属水酸化物が特に好適であることがわかった。
【0332】
さらなる特に好ましい一実施形態との関連において、該方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸およびアルカリ金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0333】
別の特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0334】
組成物(b)は、アルカリ化剤をシーリング試薬(b1)として化粧品担体中に、好ましくは水性化粧品担体中に含む。
【0335】
これとの関連において、剤(b)は、剤(b)の総重量に対して5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、さらにより好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含む場合が好ましいことがわかった。
【0336】
さらなる一実施形態との関連において、該方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、さらにより好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含むことを特徴とする。
【0337】
剤(b)に含まれるアルカリ化剤は剤(b)のpH値に対して影響を及ぼす。ある特定のアルカリ性pH値が該方法において得られる染色性能および染色の堅牢特性に対して有益な効果を有することがわかった。
【0338】
この理由で、アルカリ化剤をシーリング試薬(b1)として含む剤(b)は、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することが好ましい。
【0339】
pH値は、当該技術分野の水準で知られた通常の方法、例えばガラス電極を使用するコンビネーション電極によるpH測定を用いて、またはpH試験紙を用いて測定できる。
【0340】
別の非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)がアルカリ化剤をシーリング試薬(b1)として含み、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することを特徴とする。
【0341】
本発明の目的とするpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0342】
なおさらなる別の一実施形態において、シーリング試薬(b1)は酸性化剤を含む。
【0343】
特に好ましくは、酸性化剤は、無機酸、有機酸およびその混合物からなる群より選択される。
【0344】
良好な結果は、剤(b)が少なくとも1種の無機酸をシーリング試薬(b1)としてを含む場合に得ることができた。適当な無機酸は例えばリン酸、硫酸および/または塩酸であり、硫酸が特に好ましい。
【0345】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、無機酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸性化剤を含み、該無機酸は好ましくは、リン酸、硫酸、塩酸およびその混合物からなる群より選択されることを特徴とする。
【0346】
さらなるなおより好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が硫酸をシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0347】
良好な結果は、剤(b)が少なくとも1種の有機酸をシーリング試薬(b1)として含む場合でも得られた。有機酸は好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルキック(corkic)酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ショウノウ酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイリック(toluoylic)酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン(bicarbamic)酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびその混合物からなる群より選択される。
【0348】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、有機酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸性化剤を含み、該有機酸は好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルキック(corkic)酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ショウノウ酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイリック酸、ヒドラトロパシック(hydratropasic)酸、アトロパシック(atropasic)酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレン ペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびその混合物からなる群より選択されることを特徴とする。
【0349】
さらなるなおより好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が酢酸をシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0350】
また、適当な酸性化剤として、メタンスルホン酸および/または1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸が挙げられる。
【0351】
酸性化剤の形態の上記のシーリング試薬(b1)の群において、硫酸および/または酢酸が特に適当であることがわかった。
【0352】
さらなる特に好ましい一実施形態との関連において、該方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、硫酸、酢酸およびその混合物からなる群より選択される少なくとも1種の酸性化剤を含むことを特徴とする。
【0353】
剤(b)は、酸性化剤をシーリング試薬(b1)として化粧品担体中に、好ましくは水性化粧品担体中に含む。
【0354】
剤(b)に含まれる酸性化剤は剤(b)のpHに対して影響を及ぼす。酸性pH値もまた、該方法において得られる染色性能および染色の堅牢特性に対して有益な効果を有することがわかった。
【0355】
この理由で、酸性化剤をシーリング試薬(b1)として含む剤(b)は、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することが好ましい。
【0356】
pH値は、当該技術分野の水準で知られた通常の方法、例えばガラス電極を使用するコンビネーション電極によるpH測定を用いて、またはpH試験紙を用いて測定できる。
【0357】
別の非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)が、酸性化剤をシーリング試薬(b1)として含み、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することを特徴とする。
【0358】
本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0359】
〔剤(c)〕
剤(c)は後処理剤とも称され得る。剤(c)は、2つの選択されたシリコーンが存在することを特徴とする。
【0360】
剤(c)に含まれるシリコーンオイルはSi-O繰り返し単位を含み、ここでSi原子はアルキル基または置換アルキル基などの有機基を有してよい。
【0361】
剤(c)に含まれるシリコーンは、その分子量が、少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、さらに好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molであるポリマー化合物である。したがって、剤(c)に含まれるシリコーン油は、剤(a)の有機ケイ素化合物とは異なる。
【0362】
2つのシリコーン油は、ヒドロキシ末端化されており、このことは該2つのシリコーンのそれぞれが少なくとも1つの末端OH基を有することを意味する。
【0363】
本出願の別の主題は、言い換えると、以下のステップを含む、ケラチン性物質、特に人毛を着色するための方法である:
-剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで、剤(a)は以下:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物を含む、および、
-剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで、剤(b)は以下:
(b1)少なくとも1種の被膜形成性ポリマー
を含む、
-剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、ここで、剤(c)は以下:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む。
【0364】
本発明に至る研究の過程において、剤(c)において使用するシリコーンが、着色されたケラチン性物質(または毛髪)の洗い流し耐性に強い影響を有し得ることがわかった。
【0365】
剤(a)および/または(b)の適用によってケラチン性物質上に形成された層または被膜は、剤(c)に含有されるヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンによって安定化されることがわかった。この理論に拘束されることを望まないが、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンは、形成された層に含まれる有機ケイ素化合物またはその反応生成物と共有結合を形成すると考えられる。
【0366】
適当なヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンは、ジメチコノールのINCI名を有するものである。
【0367】
剤(c)がヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン(c1)としての、式(I)のポリオルガノシロキサンを含有する場合、特に有利であることがわかった:
【化73】
[式中、
およびXは独立して、OH、OR、R、O-PDMSまたはO-fシロキサンであり、
は、水素、または、基1つあたりに1~8個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、PDMS、またはfシロキサンであり、
は、式:
【化74】
の残りであり、かつ、
aは1~100の数である、
ここで、
は、1~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、
は、元素N、P、S、O、Siおよびハロゲンで場合により置換されている、基1つあたりに1~200個の炭素原子を有する、一価、飽和または不飽和の炭化水素基であり、
PDMSは、
【化75】
を表し、
fシロキサンは、
【化76】
を表し、
は、それぞれの場合において、互いに独立に、基1つあたりに1~200個の炭素原子を有し、元素N、P、S、O、Siおよびハロゲンに場合により置換されている、一価、飽和または不飽和の炭化水素基であり、
Aは式:R-[NR-R-]NR の基であり、
ここで、
は、3~18個の炭素原子を含有する2価の直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、
は、水素原子、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、またはアシル基であり、
は、1~6個の炭素原子を含有する2価の炭化水素基であり、
bは1~2000の数であり、
cは0または1~2000の数であり、
dは1~1000の数であり、
eは0または1~5の数であり、
fは0、1、2、3または4であり、
Zは、水素、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、または
【化77】
であり、
は、Nおよび/またはO原子を場合により含有し、1~18個の炭素原子を有する、1価の炭化水素基であり、
は、Nおよび/またはO原子を場合により含有し、3~12個の炭素原子を有する、2価の炭化水素基であり、
但し、式(I)のポリオルガノシロキサンは少なくとも1つの末端OH基を有する。
【0368】
さらに明らかに特に好ましい実施形態に関して、本発明の方法は、剤(c)が式(I)の少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを含むことを特徴とする:
【化78】
[式中、
およびXは独立して、OH、OR、R、O-PDMSまたはO-fシロキサンであり、
は、水素、または、基1つあたりに1~8個の炭素原子を有する1価の炭化水素基、PDMS、またはfシロキサンであり、
は、式:
【化79】
の残りであり、かつ、
aは1~100の数である、
ここで、
は、1~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、
は、元素N、P、S、O、Siおよびハロゲンで場合により置換され、基1つあたりに1~200個の炭素原子を有する、一価、飽和または不飽和の炭化水素基であり、
PDMSは、式:
【化80】
を表し、fシロキサンは、式:
【化81】
を表し、
は、それぞれの場合において、互いに独立に、基1つあたりに1~200個の炭素原子を有し、元素N、P、S、O、Siおよびハロゲンに場合により置換されている、一価、飽和または不飽和の炭化水素基であり、
Aは式:R-[NR-R-]NR の基であり、
ここで、
は、3~18個の炭素原子を含有する2価の直鎖状または分枝状の炭化水素基であり、
は、水素原子、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、またはアシル基であり、
は、1~6個の炭素原子を含有する2価の炭化水素基であり、
bは1~2000の数であり、
cは0または1~2000の数であり、
dは1~1000の数であり、
eは0または1~5の数であり、
fは0、1、2、3または4であり、
Zは、水素、1~8個の炭素原子を有するアルキル基、または
【化82】
であり、
は、Nおよび/またはO原子を場合により含有し、1~18個の炭素原子を有する、1価の炭化水素基であり、
は、Nおよび/またはO原子を場合により含有し、3~12個の炭素原子を有する、2価の炭化水素基であり、
但し、式(I)のポリオルガノシロキサンは、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンとして、少なくとも1つの末端OH基を有する。
【0369】
アルキル基Rの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソ-オクチルまたは2,2,4-トリメチルペンチル-であり、メチル-、エチル-およびブチル-が好ましい。
【0370】
炭化水素基RおよびRの例としては、以下が挙げられる:メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソ-オクチル、2,2,4-トリメチルペンチル、n-ノニル、n-デシル、n-ドデシル、n-オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ビニル、5-ヘキセニル、シクロヘキセニル、1-プロぺニル、アリル、3-ブテニル、4-ペンテニル、フェニル、ナフチル、アントリルフェナントリル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、キシリル、エチルフェニル、ベンジル、アルファ-フェニルエチルおよびベータ-フェニルエチルなどのアルキル基。好ましい基Rは、メチル基、エチル基、オクチル基およびフェニル基であり、特に好ましくはメチル基およびエチル基である。
【0371】
ハロゲン化基RおよびRの例としては、3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル、2,2,2,2',2',2'-ヘキサフルオロイソプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、o-クロロフェニル、m-クロロフェニルおよびp-クロロフェニル基が挙げられる。
【0372】
の例としては、炭化水素基RおよびRについて記載したアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリルおよびアラルキル基が挙げられる。
【0373】
の好ましい例は、式-CH-CH-O-CH-CH-、-CH-CH-NH-CH-CH-または-CH-CH-NH-CH-の基であり、基-CH-CH-O-CH-CH-が特に好ましい。
【0374】
の例は、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレンおよびデシレンなどの、3~10個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0375】
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソ-オクチル、2,2,4-トリメチルペンチルまたはアセチルであってよく、水素原子が好ましい。
【0376】
の好ましい例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、またはヘキシレンなどのアルキレン基が挙げられる。
【0377】
Zは、好ましくは水素またはメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソ-オクチル、または2,2,4-トリメチルペンチル-であり、水素、メチル-、エチル-およびブチル-が特に好ましい。
【0378】
好ましい基Xは、RおよびRについての上記の定義に従い、アミノメチル-、メチルアミノメチル-、ジメチルアミノメチル-、ジエチルアミノメチル-、ジブチルアミノメチル-、シクロヘキシルアミノメチル-、モルホリノメチル-、ピペリジノメチル-、ピペラジノメチル-、((ジエトキシメチルシリル)メチル)シクロヘキシルアミノメチル-、((トリエトキシシリル)メチル)シクロヘキシルアミノメチル-、アニリノメチル-、3-ジメチルアミノプロピル-アミノメチル-、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミノメチル-およびこれらの混合物である。これに関して、化粧剤が、基Xとしてモルホリノメチル基を含有する式(I)のポリオルガノシロキサンを含有する場合、非常に好ましい。
【0379】
、RおよびRの定義によれば、残基Aの好ましい例は以下である:
-(CHNH
-(CH-NH-(CH-NH
-CHCH(CH)CH-NH-(CH-NH
-(CH-NH(シクロヘキシル)
-(CH-NHCH
-(CH-N(CH
-(CH-NHCHCH
-(CH-N(CHCH
-(CH-NH
-CHCH(CH)CH-NH
-(CH-NH-(CH-NHCH
-(CH-NH-(CH-N(CH
-(CH-NH-(CH-NHCHCH
-(CH-NH-(CH-N(CHCH
-(CH[-NH-CHCH]-NH
-(CH-NH(アセチル)
-(CH-NH-(CH-NH(アセチル)および
-(CH-N(アセチル)-(CH-NH(アセチル)。
【0380】
式(I)のポリオルガノシロキサンの調製のために、好ましくは市販され入手可能な、末端シラノール基を有するポリジメチルシロキサンおよび/または末端アルコキシおよびシラノール基を有するポリジメチルシロキサンおよび/またはシラノール基またはアルコキシおよびシラノール基を含有するアミン官能化シロキサンを、式:
【化83】
の基を含有するジアルコキシおよび/またはトリアルコキシシランと反応させることが行われた。
【0381】
したがって、式(I)において、「fシロキサン」は、アミン官能化シロキサンから誘導される基を表す。
【0382】
トリアルコキシシランまたはジアルコキシシランとトリアルコキシシランとの混合物は、トリアルコキシシラン単独の使用と共に、特に好ましい。トリアルコキシシランまたはジアルコキシシランとトリアルコキシシランとの混合物が使用される場合、使用されるシロキサンの構造、および、シロキサンにおけるアルコキシおよび/またはシラノール基の位置にかかわらず、少なくとも部分的に架橋されたポリオルガノシロキサンが得られる。非常に特に好ましい一実施形態において、化粧剤は、架橋されたポリオルガノシロキサンを含有する。非常に好ましい一実施形態において、化粧品組成物は、シロキサンとトリアルコキシシランとの反応から誘導された、架橋されたポリオルガノシロキサンを含有する。
【0383】
使用されるジアルコキシまたはトリアルコキシシランの好ましい例としては以下が挙げられる:
ジエチルアミノメチルメチルジメトキシシラン、
ジブチルアミノメチルトリエトキシシラン、
ジブチルアミノメチルトリブトキシシラン、
シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、
シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、
シクロヘキシルアミノメチル-メチルジエトキシシラン、
アニリノメチルトリエトキシシラン、
アニリノメチルメチルジエトキシシラン、
モルホリノメチルトリエトキシシラン、
モルホリノメチルトリメトキシシラン、
モルホリノメチルトリイソプロポキシシラン、
3-ジメチルアミノプロピル-アミノメチルトリメトキシシラン、
モルホリノメチルトリブトキシシラン、
モルホリノメチルトリアルコキシシラン、ここで該アルコキシ基はC1-アルコキシ基、メトキシおよびエトキシ基の混合物である、
ピペラジノメチルトリエトキシシラン、
ピペリジノメチルトリエトキシシラン、および
これらの部分加水分解物。
【0384】
特に好ましいシランは、モルホリノメチルトリエトキシシランである。
【0385】
特に好ましいアミン官能化シロキサンは、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルシロキシおよびジメチルシロキシ単位のコポリマーであり、これは、シラノール基、または、アルコキシおよびシラノール基を有する。
【0386】
アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーのINCI名で知られる少なくとも1種の化合物がヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンとして使用される化粧品組成物は特に好ましい。このポリオルガノシロキサンは、Belsil(登録商標)ADM 8301 E(例えばWacker)の名前で市販されている。該原料はマイクロエマルションであり、次の成分を有する:アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマー、トリデセス-5、グリセリン、フェノキシエタノールおよび水。
【0387】
さらに明らかに特に好ましい実施形態に関して、該方法は、剤(c)が、アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーのINCI名で知られる化合物を、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン(c1)として含有することを特徴とする。
【0388】
組成物(c)は、それぞれの場合において、組成物(c)の重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.125~6重量%、さらにより好ましくは0.15~4重量%、極めて特に好ましくは0.2~2重量%の量でヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン(c1)を含有する。
【0389】
第2原料(c2)として、剤(c)は、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと、酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物を含有する。
【0390】
酸、アルコール、またはワックスは、ポリオルガノシロキサンの末端ヒドロキシ基と反応し、例えばエステルまたはエーテルを形成する。
【0391】
さらなる明らかに非常に特に好ましい一実施形態の範囲内で、該方法は、剤(c)が、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物(c2)として、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと脂肪酸との反応生成物、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンとアミノ酸との反応生成物、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンとα-ヒドロキシ酸との反応生成物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸との反応生成物を含有することを特徴とする。
【0392】
好ましくは、剤(c)は、原料(c2)として、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと脂肪酸との反応生成物を含有する。
【0393】
したがって、さらに明らかに特に好ましい実施形態に関して、該方法は、剤(c)が、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物(c2)として、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと脂肪酸との反応生成物を含むことを特徴とする。
【0394】
本発明に関して、脂肪酸は、非分枝状または分枝状、任意にヒドロキシル化された、4~40、好ましくは8~24個の炭素原子を有する炭化水素基を含有する脂肪族カルボン酸である。本発明において使用される脂肪酸は、天然に存在する脂肪酸および合成して生産された脂肪酸のいずれでもあり得る。さらに、脂肪酸はモノ不飽和またはポリ不飽和であり得る。脂肪酸は、いくつかの脂肪酸の混合物も含み得る。
【0395】
特に好ましい脂肪酸は以下からなる群から選択される:ベヘン酸、ボラージシードオイル(Borago officinalis L.)から誘導された脂肪酸、ヴァテリアインディカから誘導された脂肪酸、12-ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、メドウフォーム種子油から誘導された脂肪酸、モファバター(mohwa butter)の脂肪酸、サルバター(salbutter)から誘導された脂肪酸、ココナツバターから誘導された脂肪酸、イリッペバターから誘導された脂肪酸、ステアリン酸、およびこれらの混合物。
【0396】
ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと脂肪酸との反応生成物としては、例えば以下が挙げられる:ジメチコノールとベヘン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールベヘネート)、ジメチコノールとボラージシードオイル(Borago officinalis L.)から得た脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールボラージエート)、ジメチコノールとヴァテリアインディカから得た脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールデュパバタレート(dhupa butterate))、ジメチコノールと12-ヒドロキシステアリン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールヒドロキシステアレート)、ジメチコノールとイソステアリン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールイソステアレート)、ジメチコノールとアメリカメドウフォームの種子油から得た脂肪酸(「メドウフォーム種子油」)との反応生成物(INCI:ジメチコノールメドウフォーメイト)、ジメチコノールとモファバター(mohwa butter)由来の脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールモファバタレート(mohwa butterate))、ジメチコノールとサルバター(sal butter)由来の脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールサルバタレート)、ジメチコノールとココナツバター由来の脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールコカムバタレート(kokum butterate))、ジメチコノールとイリッペバターから得られる脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールイリッペバタレート)および/またはジメチコノールとステアリン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールステアレート)。
【0397】
最も好ましくは、脂肪酸は、メドウフォーム種子油由来の脂肪酸、ベヘン酸、ステアリン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される。脂肪酸は、アメリカメドウフォーム種子油(「メドウフォーム種子油」)由来の脂肪酸の混合物を含むことが特に好ましい。脂肪酸は、アメリカメドウフォーム種子油(「メドウフォーム種子油」)由来の脂肪酸の混合物であることが非常に好ましい。
【0398】
さらに明らかに特に好ましい実施形態に関して、該方法は、剤(c)が以下を含むことを特徴とする:
(c1)アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーのINCI名で知られる少なくとも1種の化合物。
(c2)ジメチコノールとアメリカメドウフォーム種子油の種子油から得られる脂肪酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールメドウフォーメイト)。
【0399】
同様に、本方法の非常に特に好ましい実施形態は、剤(C)が以下を含有することを特徴とする:
(c1)アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーのINCI名で知られる少なくとも1種の化合物、
(c2)ジメチコノールとステアリン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールステアレート)。
【0400】
本方法の別の同様の明らかに非常に特に好ましい実施形態は、剤(c)が以下を含むことを特徴とする:
(c1)アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーのINCI名で知られる少なくとも1種の化合物、
(c2)ジメチコノールとベヘン酸との反応生成物(INCI:ジメチコノールベヘネート)。
【0401】
さらに好ましい実施形態において、該方法は、剤(c)が、剤(c)の総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.2~8重量%、より好ましくは0.3~6重量%、さらにより好ましくは0.4~4重量%、特に好ましくは0.5~2重量%の量でのヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物(c2)であることを特徴とする。
【0402】
〔他の原料〕
上記の方法において使用される剤(a)および(b)は、1種以上の追加の任意の原料をさらに含有してよい。
【0403】
〔剤(a)、(b)および(c)における他の原料〕
先に記載した剤(a)、(b)および(c)は、1種以上の任意の原料をさらに含んでよい。
【0404】
該製剤品はまた、1種以上の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤という用語は表面活性物質を示す。疎水性残基と負荷電の親水性頭部基からなるアニオン界面活性剤、負電荷と相殺性の正電荷の両方を有している両性界面活性剤、疎水性残基に加えて正荷電の親水性基を有するカチオン界面活性剤、および電荷をもたないが強い双極子モーメントを有し、水溶液中で強く水和される非イオン界面活性剤に区別される。
【0405】
双性イオン界面活性剤は、分子内に少なくとも1つの第四級アンモニウム基と少なくとも1つの-COO(-)-または-SO (-)基を有している表面活性化合物である。特に好適な双性イオン界面活性剤はいわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-グリシネート、例えばココアルキル-ジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、各々、アルキル基またはアシル基内に8~18個のC原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン界面活性剤の一例は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0406】
両性界面活性剤は、分子内のC-C24アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは-SOH基を含み、分子内塩を形成することができる表面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、各々、アルキル基内に約8~24個のC原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。両性または双性イオン界面活性剤の典型的な例はアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
【0407】
特に好ましい両性界面活性剤はN-ココス(cocos)アルキルアミノプロピオネート、ココスアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12-C18-アシルサルコシンである。
【0408】
また、該製剤品は少なくとも1種の非イオン界面活性剤をさらに含有してもよい。好適な非イオン界面活性剤は、脂肪族アルコールまたは脂肪酸1molに対して2~30molのエチレンオキシドの脂肪族アルコールおよび脂肪酸に対するアルキルポリグリコシド付加生成物ならびにアルキレンオキシド付加生成物である。良好な特性を有する調製物は、非イオン界面活性剤として、少なくとも2molのエチレンオキシドと反応させたエトキシル化グリセロールの脂肪酸エステルを含有させた場合にも得られる。
【0409】
剤(c)がアルコキシル化脂肪アルコールをさらに含むことが特に好ましくあり得る。
【0410】
例えば、脂肪アルコールは、C9-11脂肪アルコール、C12-13脂肪アルコール、C12-15脂肪アルコール、C12-16脂肪アルコール、C14-15脂肪アルコール、アラキジルアルコール、ベへニルアルコール、カプリルアルコール、セテアリルアルコール、セチルアルコール、ココナツアルコール、デシルアルコール、(水素化)獣脂アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、パームアルコール、パーム核アルコール、ステアリルアルコール、およびトリデシルアルコールから選択してよい。
【0411】
特に、アルコキシ基は、エトキシ基および/またはプロポキシ基および/またはブトキシ基を含んでよい。特に好ましくは、アルコキシル化脂肪アルコールはエトキシル化脂肪アルコールである。
【0412】
「アルコキシル化脂肪アルコール」の少なくとも1つのアルコキシ基は、例えば、アルキレンオキサイド、特にエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドとのアルコキシル化反応に由来し得る。
【0413】
アルコキシル化脂肪アルコールは以下からなる群から選択されることが好ましい:セテアレス-2、セテアレス-3、セテアレス-4、セテアレス-5、セテアレス-6、セテアレス-7、セテアレス-8、セテアレス-9、セテアレス-10、セテアレス-11 、セテアレス-12、セテアレス-13、セテアレス-14、セテアレス-15、セテアレス-16、セテアレス-17、セテアレス-18、セテアレス-20、セテアレス-22、セテアレス-23、セテアレス-24、セテアレス-25、セテアレス-27、セテアレス-28、セテアレス-29、セテアレス-30、セテアレス-33、セテアレス-34、セテアレス-40、セテアレス-50、セテアレス-55、セテアレス-60、セテアレス-80、セテアレス-100、ラウレス-1、ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4、ラウレス-5、ラウレス-6、ラウレス-7、ラウレス-8、ラウレス-9、ラウレス-10、ラウレス-11、ラウレス-12、ラウレス-13、ラウレス-14、ラウレス-15、ラウレス-16、ラウレス-20、ラウレス-23、ラウレス-25、ラウレス-30、ラウレス-40、デセス-3、デセス-5、オレス-5、オレス-30、ステアレス-2、ステアレス-4、ステアレス-6、ステアレス-7、ステアレス-10、ステアレス-11、ステアレス-13、ステアレス-14、ステアレス-15、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-25、ステアレス-27、ステアレス-30、ステアレス-40、ステアレス-50、ステアレス-100、およびそれらの混合物。
【0414】
セテアレス-2という指定は、例えば、1分子あたりに平均して2つのエチレンオキサイド単位を有するC16-18脂肪アルコールを表す。
【0415】
剤(c)の非常に特に好ましい一実施形態において、アルコキシル化脂肪アルコールはセテアレス-20を含む。
【0416】
アルコキシル化脂肪アルコールの量は、それぞれの場合において、剤(c)の総量に基づいて、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.25~3重量%である。
【0417】
さらに、本発明の製品は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含有してもよい。カチオン性界面活性剤は、それぞれ1つ以上の正電荷を有する界面活性剤、すなわち界面活性化合物である。カチオン性界面活性剤は正電荷のみを有する。通常、これらの界面活性剤は、疎水性部分および親水性頭部基から構成され、該疎水性部分は、通常、炭化水素骨格からなり(例えば、1つまたは2つの直鎖状または分枝状のアルキル鎖からなり)、該正電荷は親水性頭部基にある。カチオン性界面活性剤の例は以下である:
-8~28の炭素原子の鎖長を有する1または2つのアルキル鎖を疎水性基として有し得る第4級アンモニウム化合物、
-8~28個の炭素原子の鎖長を有する1またはそれ以上のアルキル鎖で置換された、第4級ホスホニウム塩、または
-第3級スルホニウム塩。
【0418】
さらに、該カチオン電荷は、オニウム構造の形態のヘテロ環状環(例えば、イミダゾリウム環またはピリジニウム環)の一部であり得る。カチオン性電荷を有する官能性単位に加えて、カチオン性界面活性剤は、例えばエステルクアットの場合のように、他の荷電されていない官能基を含有してもよい。カチオン性界面活性剤は、それぞれの剤の総重量に基づいて、0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0419】
剤(c)がカチオン性界面活性剤不含の場合、これらは非安定化効果を有する場合があるため、特に好ましくあり得る。「不含」とは、剤(c)が、それぞれの場合において剤(c)の総重量に基づいて、最大0.2重量%、好ましくは0重量%のカチオン性界面活性剤を含有することを意味する。
【0420】
さらに、該剤は少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有してもよい。アニオン性界面活性剤は、(対応する対カチオンで中和された)アニオン性電荷のみを有する界面活性化剤である。アニオン性界面活性剤の例は、脂肪酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、および、アルキル基に12~20個のC原子を有し、分子中に16個以下のグリコールエーテル基を有するエーテルカルボン酸である。
【0421】
アニオン性界面活性剤は、それぞれの剤の総重量に基づいて、0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0422】
剤(c)は、2.5~6.5、好ましくは2.5~5.5、特に好ましくは2.5~4.5、とりわけ好ましくは2.5~3.5の範囲のpHを有することが好ましい。当業者になじみのある酸性化剤は、例えば、クエン酸、酢酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸または酒石酸などの有機酸、および、塩酸、硫酸、またはリン酸などの希鉱酸である。乳酸は、剤(c)のpH値を調整するに特に好ましい。剤(c)は有機酸、特に乳酸を、それぞれの場合において化合物(c)の重量に基づいて、好ましくは0.1~5重量%、特に好ましくは0.25~3重量%の量で含有する。
【0423】
この理論に拘束されることを望まないが、酸性~わずかに酸性のpH値を有する剤(c)の使用は、ケラチン性材料上に形成される被膜におけるイオン電荷における変化をもたらすと考えられる。この変化は、形成される被膜の安定化および疎水化をもたらす。
【0424】
さらなる特に好ましい一実施形態に関して、該方法は、剤(c)が2.5~3.5のpH値を有することを特徴とする。
【0425】
剤は、他の活性原料、助剤および添加剤、例えば溶媒; 脂肪原料、例えばC-C30脂肪酸トリグリセリド、C-C30脂肪酸モノグリセリド、C-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素;構造化剤、例えばグルコース、マレイン酸および乳酸、リン脂質などのヘアコンディショニング化合物、例えばレシチンおよびケファリン;香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン;繊維構造改善活性原料、特にモノ-、ジ-およびオリゴサッカリド、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、フルクトースおよびラクトース;製品を着色するための染料; フケ防止活性原料、例えば ピロクトンオラミン、亜鉛オマジン、およびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド:動物および/または植物系のタンパク質加水分解物、ならびにそれらの脂肪酸縮合生成物または任意選択でアニオン性またはカチオン性に修飾された誘導体;植物油;光安定剤およびUVブロッカー;パンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびそれらの塩、およびビサボロールなどの活性原料;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボンおよびフラボノール;セラミドまたはシュードセラミド;ビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪アルコール、蜜蝋、モンタンワックス、およびケロセンなどの脂肪およびワックス;グリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、炭酸塩、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、および第1級、第2級、および第3級リン酸塩などの膨潤剤および浸透剤;ラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミド共重合体などの乳白剤;エチレングリコールモノ-およびジステアリン酸ならびにPEG-3-ジステアリン酸などの真珠光沢剤;プロパン-ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、CO、空気などの発泡剤も含有し得る。
【0426】
非常に好ましくは、剤(c)は少なくとも1種の脂肪アルコールを追加的に含有する。
【0427】
例えば、脂肪アルコールは、以下から選択してよい:C-C11脂肪アルコール、C12-C13脂肪アルコール、C12-C15脂肪アルコール、C12-C16脂肪アルコール、C14-C15脂肪アルコール、アラキジルアルコール、ベへニルアルコール、カプリルアルコール、セテアリルアルコール、セチルアルコール、ココナツアルコール、デシルアルコール、(水素化)獣脂アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、パームアルコール、パーム核アルコール、ステアリルアルコールおよび/またはトリデシルアルコール。
【0428】
剤(c)の特に好ましい実施形態において、脂肪アルコールはセテアリルアルコールを含む。
【0429】
それぞれの場合において、脂肪アルコールの量は、剤(c)の総量に基づいて、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~9重量%、特に好ましくは2~8重量%である。
【0430】
これらの他の物質の選択は、剤に所望される特性に応じて、専門家によってなされるであろう。他の任意の成分および使用されるこれらの成分の量に関しては、専門家に既知の関連するマニュアルが明示的に参照される。追加の活性原料および助剤物質は、本発明の製剤において、それぞれの剤の総量に基づいて、0.0001~25重量%、0.0005~15重量%の量で好ましくは使用される。
【0431】
〔ケラチン性物質を染色するための方法〕
本発明の方法において、剤(a)、(b)および(c)は、ケラチン性物質に(人毛に)適用される。したがって、剤(a)、(b)、および(c)は、即時使用可能なものである。剤(a)、(b)および(c)は互いに異なる。
【0432】
第1ステップにおいて、剤(a)を最初にケラチン性物質に適用し、次いで第2ステップにおいて剤(b)を適用し、次いで、次のステップにおいて剤(c)を適用した場合に、最も良好な結果が得られた。
【0433】
したがって、かなり特に好ましいのは、ケラチン性物質(特に人毛)を着色するための、ケラチン性物質を処理するための方法であって、示した順に以下のステップを含む方法である:
〇第1ステップにおいて、剤(a)をケラチン性物質に適用すること、該剤(a)は以下:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群より選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物
を含む、
〇第2ステップにおいて、剤(b)をケラチン性物質に適用すること、該剤(b)は以下:
(b1)少なくとも1種の被膜形成性ポリマー
を含む、および、
〇第3ステップにおいて、ケラチン性物質をケラチン性物質に適用すること、該剤(c)は以下:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと、酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの、反応生成物
を含む。
【0434】
さらに、染色されたケラチン性物質に、長期間にわたり耐浸出性を付与するために、剤(a)、(b)および(c)は特に好ましくは1つの同じ染色プロセス内で適用され、これは、剤(a)および(c)の適用の間の期間が最大で数時間であることを意味する。
【0435】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が最初に適用され、次いで剤(b)が適用され、次いで剤(c)が適用され、剤(a)および(c)の適用の間の時間が、最大24時間、好ましくは最大12時間、特に好ましくは最大6時間であることを特徴とする。
【0436】
剤(a)の際立った特徴は、少なくとも1種の反応性有機ケイ素化合物(a1)を含有することである。反応性有機ケイ素化合物(a1)はオリゴマー化またはポリマー化反応を受けるため、毛髪表面に出会うとすぐに毛髪表面を機能化する。このようにして、第1の被膜が形成される。着色化合物(a2)は該被膜に組み込まれるため、該被膜は着色される。本方法の第2ステップにおいて、第2に、ポリマー含有剤(b)が毛髪に適用される。剤(b)の適用中に、被膜形成性ポリマーがシラン被膜と相互作用するため、ケラチン性物質に結合される。後処理剤(c)を使用することによって、染色の特性が、特に堅牢性、とりわけ洗濯堅牢性に関して、顕著に改善される。
【0437】
さらなる形態の実行に関して、以下のステップを示される順に含む方法は特に好ましい:
(1)剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、
(2)剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間作用させるステップ、
(3)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(4)剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、
(5)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間作用させるステップ、および
(6)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(6)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(7)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間作用させるステップ;および
(8)ケラチン性物質を水ですすぐステップ。
【0438】
該プロセスのステップ(3)、(6)および(9)においてケラチン性物質を水ですすぐことによって、本発明によれば、該すすぎプロセスにおいて、剤(a)、(b)および(c)とは異なる他の剤が使用されることなく、水のみが使用されることが理解される。
【0439】
ステップ(1)において、最初に剤(a)がケラチン性物質、特に人毛に適用される。
【0440】
適用後、剤(a)を残し、ケラチン性物質に作用させる。これに関して、10秒~10分、好ましくは20秒~5分、特に好ましくは30秒~2分の毛髪での適用時間が特に有利であることがわかった。
【0441】
本発明の方法の好ましい実施形態において、続くステップにおいて毛髪に剤(b)を適用する前に、剤(a)をケラチン性材料から洗い流すことができる。
【0442】
剤(a)になおさらされていたケラチン性物質に剤(b)を適用した場合、等しく良好な洗浄堅牢性を有する着色が得られた。
【0443】
ステップ(4)において、剤(b)をケラチン性物質に適用する。適用後、剤(b)を毛髪上で作用させる。
【0444】
剤(b)の接触時間が短い場合でさえ、該方法によれば、特に良好な強度および洗浄堅牢性を有する染色の生成が可能となる。10秒~10分、好ましくは20秒~5分、最も好ましくは30秒~3分の適用時間が特に有利であることがわかった。
【0445】
ステップ(6)において、剤(b)(および、任意に、なお存在する剤(a))をケラチン性物質から水で洗い流す。
【0446】
続いて、後処理ステップにおいて、剤(c)をケラチン性物質に適用する。剤(c)も、ケラチン性物質上で作用させるために残され、次いで、水で再び洗い流される。
【0447】
例えば定期的な毛髪洗浄中に、剤(c)が繰り返し適用される場合、剤(c)によって達成されるプラスの効果は特に長期持続性である。
【0448】
さらなる形態の実行との関連において、以下のステップを示された順で含む手順は、特に好ましい:
(1)剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、
(2)剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させるステップ、
(3)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(4)剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、
(5)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させるステップ、
(6)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(7)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(8)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(9)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
ここで、一連のステップ(7)、(8)および(9)は少なくとも2回行われる。
【0449】
この実施形態において、一連のステップ(1)~(6)は好ましくは24時間以内に行われる。
【0450】
さらなる形態の実行との関連において、以下のステップを示された順で含む手順は、特に好ましい:
(1)剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、
(2)剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させるステップ、
(3)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(4)剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、
(5)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させるステップ、
(6)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(7)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(8)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(9)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(10)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(11)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(12)ケラチン性物質を水ですすぐステップ。
【0451】
この実施形態において、一連のステップ(1)~(9)は数時間以内に行われる。ステップ(9)と(10)~(12)とを実行する間は、数日の期間であってもよい。
【0452】
剤(a)は、有機ケイ素化合物とともに、使用時に加水分解またはオリゴマー化および/またはポリマー化を行うことができる種類の高反応性化合物を含有する。その高い反応性の結果、このような有機ケイ素化合物はケラチン性物質上に被膜を形成する。
【0453】
時期尚早のオリゴマー化またはポリマー化を避けるために、ユーザーは、適用直前にのみ、即時使用可能な剤(a)を調製することが好ましくあり得る。
【0454】
さらなる別の実施形態において、以下のステップを示された順で含む方法が好ましい:
(1)第1剤(a’)と第2剤(a’’)とを混合することにより剤(a)を調製するステップ、ここで、
〇第1剤(a’)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
〇第2剤(a’’)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物(a2)を含む、
(2)剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、
(3)剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させるステップ、
(4)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(5)剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、
(6)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させるステップ、
(7)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(8)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(9)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(10)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(11)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(12)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(13)ケラチン性物質を水ですすぐステップ。
【0455】
貯蔵において可能な限り安定な配合物を得ることができるように、剤(a’)自体は好ましくは低水分量または水不含となるように配合される。
【0456】
好ましい一実施形態において、多成分パッケージユニット(パーツのキット)は、剤(a’)が剤(a’)の総重量に対して0.001~10重量%、好ましくは0.5~9重量%、より好ましくは1~8重量%、非常に特に好ましくは1.5~7重量%の水分含有量を含むことを特徴とする。
【0457】
剤(a’’)は水を含む。好ましい一実施形態において、多成分パッケージユニット(パーツのキット)は、剤(a’’)が剤(a2)の総重量に対して15~100重量%、好ましくは35~100重量%、より好ましくは55~100重量%、さらにより好ましくは65~100重量%、非常に特に好ましくは75~100重量%の水分含有量を有することを特徴とする。
【0458】
この実施形態の範囲において、即時使用可能な剤(a)は、剤(a’)と(a’’)とを混合することによって調製される。
【0459】
例えば、ユーザーは最初に、有機ケイ素化合物(a1)を含有する剤(a’)を、水性の着色料含有剤(a’’)とともに撹拌またはシェイクしてよい。ユーザーは次に、(a’)と(a’’)の該混合物を、その調製直後または10秒間~20分間の短い反応時間の後のいずれかに、ケラチン性物質に適用することができる。その後、ユーザーは、上記のようにして剤(b)を適用することができる。
【0460】
任意に含まれるシリコーンポリマー(a3)は、剤(a’)に含まれても、剤(a’’)に含まれてもよい。好ましくは、シリコーンポリマー(a3)は剤(a’’)に含まれる。
【0461】
また別の実施形態において、以下のステップを示される順に含む方法が好ましい:
(1)第1剤(a’)と第2剤(a’’)とを混合することにより剤(a)を調製するステップ、ここで、
〇第1剤(a’)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)と、さらに少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含み、
〇第2剤(a’’)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物(a2)を含む、
(2)剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、
(3)剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させるステップ、
(4)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(5)剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、
(6)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させるステップ、
(7)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(8)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(9)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(10)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(11)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(12)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(13)ケラチン性物質を水ですすぐステップ。
【0462】
さらなる実施形態に関連して、以下のステップを示される順に含む方法が特に好ましい。
(1)第1剤(a’)と第2剤(a’’)とを混合することにより剤(a)を調製するステップ、ここで、
〇第1剤(a’)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
〇第2剤(a’’)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物(a2)と、さらに少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含み、
(2)剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、
(3)剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させるステップ、
(4)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(5)剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、
(6)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させるステップ、
(7)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(8)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(9)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(10)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(11)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(12)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(13)ケラチン性物質を水ですすぐステップ。
【0463】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法はまた、シリコーンポリマー(a3)が別個に調製された第3の手段(a’’’)において提供されることを特徴としてもよい。
【0464】
このさらなる実施形態との関連において、以下のステップを示される順に含む方法が好ましい:
(1)第1剤(a’)と第2剤(a’’)と第3剤(a’’’)とを混合することにより剤(a)を調製するステップ、ここで、
第1剤(a’)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
第2剤(a’’)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物(a2)を含み、
第3剤(a’’’)は、少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含む、
(2)剤(a)をケラチン性物質に適用するステップ、
(3)剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させるステップ、
(4)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(5)剤(b)をケラチン性物質に適用するステップ、
(6)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させるステップ、
(7)必要に応じて、ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(8)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(9)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(10)ケラチン性物質を水ですすぐステップ、
(11)剤(c)をケラチン性物質に適用するステップ、
(12)剤(c)を30秒~10分、好ましくは30秒~50分の期間、作用させるステップ;および
(13)ケラチン性物質を水ですすぐステップ。
【0465】
〔多成分パッケージユニット(パーツのキット)〕
ユーザーの快適性を高めるため、好ましくはユーザーに必要とされるすべての資材が多成分パッケージユニット(パーツのキット)の形態で提供される。
【0466】
したがって、本発明の第2の主題は、
・剤(a’)を含む第1容器、ここで、該剤(a’)は:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群より選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む、および
・剤(a’’)を含む第2容器、ここで、該剤(a’’)は:
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物を含む、および
・剤(b)を含む第3容器、ここで、該剤(b)は:
(b1)少なくとも1種の被膜形成性ポリマーを含む、および
・剤(c)を含む第4容器、ここで、該剤(c)は:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物、
を含む、
が互いに別々に包括的にパッケージングされた、ケラチン性物質を着色するための多成分パッケージユニット(パーツのキット)であり、
ここで、成分(a1)、(a2)、(b1)、(c1)および(c2)は上記に詳細に開示されている。
【0467】
キットの剤(a)に含まれる1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの有機ケイ素化合物(a1)は、先に記載した方法の剤(a)においても使用された有機ケイ素化合物に相当する。
【0468】
キットの剤(a’’)に含まれる顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物(a2)は、先に記載した方法の剤(a)においても使用された着色化合物に相当する。
【0469】
キットの剤(b)に含まれる被膜形成性ポリマー(b1)は、先に記載した方法の剤(b)においても使用された被膜形成性ポリマーに相当する。
【0470】
これとの関連において、この場合も、任意に含まれるシリコーンポリマー(a3)を使用することが可能である。
手段(a’)、手段(a’’)またはさらなる手段(a’’’)内に組み込まれる。
【0471】
キットの剤(c)に含まれる、ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン(c1)およびヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物(c2)は、先に記載した方法の剤(c)においても使用される。
【0472】
さらなる実施形態に関連して、ケラチン性物質を着色するための多成分パッケージユニット(パーツのキット)は、好ましくは、互いに別々に包装された以下:
・剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤(a’)は:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの有機ケイ素化合物(a1)、およびさらなる少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含む、および
・剤(a’’)を含む第2容器、該剤(a’’)は:
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物を含む、
・剤(b)を含む第3容器、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1種の被膜形成性ポリマーを含む、および
・剤(c)を含む第4容器、ここで該剤(c)は:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む
であり、ここで、成分(a1)、(a2)、(a3)、(b1)、(c1)および(c2)は上記に詳細に開示されている。
【0473】
さらなる実施形態に関連して、ケラチン性物質を着色するための多成分パッケージユニット(パーツのキット)は、好ましくは、互いに別個に包装された以下:
・剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤(a’)は:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの有機ケイ素化合物(a1)、およびさらなる少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含む、および、
・剤(a’’)を含む第2容器、該剤(a’’)は:
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物を含む、および
・剤(a’’’)を含む第3容器、ここで該剤(a’’’)は水を含有する化粧品担体である、
・剤(b)を含む第3容器、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1種の被膜形成性ポリマーを含む、
・剤(c)を含む第4容器、ここで該剤(c)は:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む
であり、ここで、成分(a1)、(a2)、(a3)、(b1)、(c1)および(c2)は上記に詳細に開示されている。
【0474】
この実施形態において、剤(a’)および(a’’)は低水分含有量を有する。即時使用可能な剤(a)を調製するために、剤(a’)、(a’’)および(a’’’)を混合する。この場合、剤(a’’’)は水を含有する化粧品担体を表す。
【0475】
さらなる実施形態に関連して、ケラチン性物質を着色するための多成分パッケージユニット(パーツのキット)は、好ましくは互いに別個に包装された以下:
・剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤(a’)は:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む、
・剤(a’’)を含む第2容器、該剤(a’’)は:
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物、およびさらなる少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含む、および
・剤(b)を含む第3容器、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1種の被膜形成性ポリマーを含む、および
・剤(c)を含む第4容器、ここで該剤(c)は:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む
であり、ここで、成分(a1)、(a2)、(a3)、(b1)、(c1)および(c2)は上記に詳細に開示されている。
【0476】
さらなる実施形態に関連して、ケラチン性物質を着色するための多成分パッケージユニット(パーツのキット)は、好ましくは、互いに別個に包装された以下:
・剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤(a’)は:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む、
・剤(a’’)を含む第2容器、該剤(a’’)は:
(a2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1種の着色化合物、
・剤(a’’)を含む第3容器、該剤(a’’)は:
少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含む、
・剤(b)を含む第4容器、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1種の被膜形成性ポリマーを含む、および
・剤(c)を含む第5容器、ここで該剤(c)は:
(c1)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサン、および
(c2)ヒドロキシ末端化ポリオルガノシロキサンと酸および/またはアルコールおよび/またはワックスとの反応生成物
を含む
であり、ここで、成分(a1)、(a2)、(a3)、(b1)、(c1)および(c2)は上記に詳細に開示されている。
【0477】
多成分パッケージユニットのさらに好ましい実施形態に関して、該方法に関して記載した同様のことが、必要により修正を加えてあてはまる。
【実施例
【0478】
実施例1
以下の配合物を作製した(特に記載のない限り、数字はすべて、単位:重量%である)
【表1】
【0479】
【表2】
【0480】
即時使用可能な剤(a)を、5gの剤(a’)と20gの剤(a'')とを混合することによって調製した。剤(a)のpH値を、アンモニアまたは乳酸を添加することによって10.5の値に調整した。次いで、剤(a)を約5分間放置した。
【0481】
【表3】
【0482】
【表4】
【0483】
剤(a)を一つの毛髪ストランドに一度にもみ込み(Kerling,ユーロナチュラルヘアホワイト)、1分間放置して作用させた。次いで剤(a)を水ですすぎ洗いした。
【0484】
続いて、剤(b)をこの毛束に塗布し、1分間放置して作用させ、次いで、また水ですすぎ洗いした。
【0485】
次いで、毎回、少量の剤(c)で毛髪ストランドを濡らした。剤(c)を1分間放置して作用させた。次いで、水ですすぎ洗いし、毛髪ストランドを乾燥させた。
【0486】
良好な洗浄堅牢性および特に良好な摩擦堅牢性を有する強い青色の着色が、毛髪ストランドにおいて得られた。
【0487】
実施例2
以下の配合物を作製した(特に記載のない限り、数字はすべて、単位:重量%である)
【表5】
【0488】
【表6】
【0489】
【表7】
【0490】
即時使用可能な剤(a)を、5gの剤(a’)と5gの剤(a'')と20gの剤(a’’’)とを混合することによって調製した。剤(a)のpH値を、アンモニアまたは乳酸を添加することによって10.5の値に調整した。次いで、剤(a)を約5分間放置した。
【0491】
【表8】
【0492】
剤(a)を一つの毛髪ストランドに一度にもみ込み(Kerling,ユーロナチュラルヘアホワイト)、1分間放置して作用させた。次いで剤(a)を水ですすぎ洗いした。
【0493】
続いて、剤(b)をこの毛束に塗布し、1分間放置して作用させ、次いで、また水ですすぎ洗いした。
【0494】
次いで、毎回、少量の剤(cII)で毛髪ストランドを濡らした。剤(cII)を1分間放置して作用させた。次いで、水ですすぎ洗いし、毛髪ストランドを乾燥させた。
【0495】
良好な洗浄堅牢性および特に良好な摩擦堅牢性を有する強い赤色の着色が得られた。
【0496】
実施例3
以下の配合物を作製した(特に記載のない限り、数字はすべて、単位:重量%である)
【表9】
【0497】
【表10】
【0498】
【表11】
【0499】
即時使用可能な剤(a)を、5gの剤(a’)と5gの剤(a'')と20gの剤(a’’’)とを混合することによって調製した。剤(a)のpH値を、アンモニアまたは乳酸を添加することによって10.5の値に調整した。次いで、剤(a)を約5分間放置した。
【0500】
【表12】
【0501】
剤(a)を一つの毛髪ストランドに一度にもみ込み(Kerling,ユーロナチュラルヘアホワイト)、1分間放置して作用させた。次いで剤(a)を水ですすぎ洗いした。
【0502】
続いて、剤(b)をこの毛束に塗布し、1分間放置して作用させ、次いで、また水ですすぎ洗いした。
【0503】
その後、それぞれの場合において、少量の剤(cIV)で毛髪ストランドを濡らした。剤(cIV)を1分間放置して作用させた。次いで、水ですすぎ洗いし、毛髪ストランドを乾燥させた。
【0504】
良好な洗浄堅牢性および特に良好な摩擦堅牢性を有する強い赤色の着色が得られた。
【国際調査報告】