(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(54)【発明の名称】光学分散の多次元モデル
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20220511BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20220511BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20220511BHJP
G01N 21/21 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H01L21/66 P
G01N21/956 A
G01N21/27 B
G01N21/21 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555620
(86)(22)【出願日】2020-03-15
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 US2020022870
(87)【国際公開番号】W WO2020190826
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコバ ナタリア
(72)【発明者】
【氏名】シュシュチック ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】フー ダウェイ
(72)【発明者】
【氏名】イガルチュア カルロス エル
【テーマコード(参考)】
2G051
2G059
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB02
2G051BA11
2G051BB15
2G051CB05
2G059AA05
2G059BB16
2G059EE02
2G059EE05
2G059EE12
2G059GG04
2G059MM01
4M106AA01
4M106AA10
4M106BA06
4M106CA21
4M106CA48
4M106CB30
4M106DH12
4M106DH31
4M106DJ20
(57)【要約】
多次元光学分散(MDOD)モデルに基づく生産フローの早期に試料の光学測定から関心のパラメータの値を推定する方法およびシステムが、本明細書に示されている。MDODモデルは、ベース光学分散モデルの外側のパラメータの観点から測定中の構造を含む材料の光学分散を説明する。いくつかの例では、べき法則モデルは、外部パラメータとベース光学分散モデルのパラメータとの間の物理的関係を説明する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外部パラメータは、スペクトル測定データに基づいて解かれる未知の値として処理される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外部パラメータは既知の値として処理され、ベース光学分散モデルパラメータの値、未知の値を有する1つまたは複数の外部パラメータ、または両方は、スペクトル測定データ、および1つまたは複数の外部パラメータの既知の値に基づいて解かれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハ上の測定スポットでスペクトル範囲にわたって前記半導体ウェハにある量の照明を与えるように構成された照明器と、
前記照明器によって与えられる前記照明に応じて前記測定スポットからある量の光を集め、前記測定スポットにおける前記半導体ウェハのスペクトル応答を示すある量のデータを生成するように構成された分光計と、
1つまたは複数のコンピューティングシステムと、を備え、前記1つまたは複数のコンピューティングシステムは、
前記スペクトル範囲にわたって前記半導体ウェハの前記スペクトル応答を受信し、
ベース光学分散モデルの外側の1つまたは複数のパラメータの観点から前記半導体ウェハの1つまたは複数の層の光学応答を特徴付ける前記ベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータをパラメータ化し、
前記スペクトル応答の少なくとも一部に基づいて前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの値を推定し、
前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの前記値をメモリに記憶するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記コンピューティングシステムは、
前記スペクトル応答の少なくとも一部に基づいて1つまたは複数の外部パラメータの値を推定する
ようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記コンピューティングシステムは、
前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの値の少なくとも一部に基づいて前記半導体ウェハの層を特徴付ける1つまたは複数のパラメータの値を推定するようにさらに構成され、前記半導体ウェハの前記層は、前記ベース光学分散モデルによって特徴付けられる前記半導体ウェハの前記1つまたは複数の層とは異なることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数のべき法則関数によって前記ベース光学分散モデルの外側の前記1つまたは複数のパラメータの観点から特徴付けられることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータは、前記半導体ウェハの前記1つまたは複数の層のうちの少なくとも1つを説明する電気的パラメータであることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、1つまたは複数の外部パラメータは、前記半導体ウェハの構造の材料または寸法を特徴付ける製造制御パラメータまたは構造パラメータを含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記製造制御パラメータは、プロセス温度、プロセス圧力、およびプロセス材料フローのいずれかを含み、前記半導体層の前記構造的特徴は、膜厚、合金材料の材料濃度、プロセスにより誘起される変形、不純物濃度、およびデバイス寸法のいずれかを含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、1つまたは複数の外部パラメータのうちの少なくとも1つは、一定の値のパラメータであり、前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの前記値の前記推定は、前記一定の値のパラメータの少なくとも一部に基づいていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記一定の値は、前記測定スポットにおける前記半導体ウェハの前記スペクトル応答によって決定されないことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項4に記載のシステムであって、前記1つまたは複数のコンピューティングシステムは、
製造制御パラメータまたは構造パラメータの値の少なくとも一部に基づいて前記半導体ウェハの製造のプロセスを制御するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記半導体ウェハの第1の層は、半導体基板の上方に配置される合金材料層であることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記照明器および分光計は、楕円偏光計および反射率計のいずれかとして構成されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
スペクトル範囲にわたって半導体ウェハ上の測定スポットにおけるスペクトル応答を受信するステップと、
ベース光学分散モデルの外側の1つまたは複数のパラメータの観点から前記半導体ウェハの1つまたは複数の層の光学応答を特徴付ける前記ベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータをパラメータ化するステップと、
前記スペクトル応答の少なくとも一部に基づいて前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの値を推定するステップと、
前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの前記値をメモリに記憶するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記スペクトル応答の少なくとも一部に基づいて1つまたは複数の外部パラメータの値を推定するステップ
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの値の少なくとも一部に基づいて前記半導体ウェハの層を特徴付ける1つまたは複数のパラメータの値を推定するステップをさらに含み、前記半導体ウェハの前記層は、前記ベース光学分散モデルによって特徴付けられる前記半導体ウェハの前記1つまたは複数の層とは異なる
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータは、1つまたは複数のべき法則関数によって前記ベース光学分散モデルの外側の前記1つまたは複数のパラメータの観点から特徴付けられることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、1つまたは複数の外部パラメータは、前記半導体ウェハの構造の材料または寸法を特徴付ける製造制御パラメータまたは構造パラメータを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、1つまたは複数の外部パラメータのうちの少なくとも1つは、一定の値のパラメータであり、前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの前記値の前記推定は、前記一定の値のパラメータの少なくとも一部に基づいていることを特徴とする方法。
【請求項19】
半導体ウェハ上の測定スポットでスペクトル範囲にわたって前記半導体ウェハにある量の照明を与えるように構成された照明器と、
前記照明器によって与えられる前記照明に応じて前記測定スポットからある量の光を集め、前記測定スポットにおける前記半導体ウェハのスペクトル応答を示すある量のデータを生成するように構成された分光計と、
非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備え、前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、
コンピューティングシステムに、前記スペクトル範囲にわたって前記半導体ウェハの前記スペクトル応答を受け取らせるコード、
前記コンピューティングシステムに、ベース光学分散モデルの外側の1つまたは複数のパラメータの観点から前記半導体ウェハの1つまたは複数の層の光学応答を特徴付ける前記ベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータをパラメータ化させるコード、
前記コンピューティングシステムに、前記スペクトル応答の少なくとも一部に基づいて前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの値を推定させるコード、および
前記コンピューティングシステムに、前記ベース光学分散モデルの前記1つまたは複数のパラメータの前記値をメモリに記憶させるコード
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、
前記コンピューティングシステムに、前記スペクトル応答の少なくとも一部に基づいて1つまたは複数の外部パラメータの値を推定させるコードをさらに備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される実施形態は、半導体製造に用いられる構造および材料の光学特性評価のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年3月17日に出願した「多次元分散モデル」という名称の米国仮特許出願第62/819,658号の米国特許法第119条による優先権を主張するものであり、その主題は、本願に引用して援用する。
【0003】
典型的には、論理デバイスおよびメモリデバイスなどの半導体デバイスは、基板またはウェハに適用される一連の処理ステップによって製造される。半導体デバイスの様々な特徴および複数の構造レベルは、これらの処理ステップによって形成される。例えば、とりわけリソグラフィは、半導体ウェハ上にパターンを生成することを含む半導体製造プロセスの1つである。半導体製造プロセスのさらなる例には、化学機械研磨、エッチング、堆積、およびイオン注入が含まれるが、これらに限定されない。複数の導体デバイスは、単一の半導体ウェハ上に製造され、次いで個々の半導体デバイスに分離され得る。
【0004】
検査プロセスおよび計測プロセスは、より高い歩留まりを促進するためにウェハ上の欠陥を検出するとともに関心のパラメータを測定する半導体製造プロセス中の様々なステップで使用される。設計ルールおよびプロセスウィンドウは、サイズが小さくなり続けているので、検査および計測のシステムは、ウェハ表面上でより広範囲の物理的欠陥を補足し、高スループットを維持しつつますます複雑な構造的特徴を測定することが要求されている。
【0005】
半導体デバイスは、ますますそのエネルギー効率と速度の両方に基づいて評価されている。例えば、エネルギー効率のよい消費者向け製品は、一定の電池電源でより低い温度でおよびより長い期間にわたって動作するので、より価値がある。別の例では、エネルギー効率のよいデータサーバが、それらの運転コストを下げるために需要がある。結果として、半導体デバイスの速度を増大させることとエネルギー消費を減少させることの両方に対して強い関心がある。
【0006】
絶縁体層を通じた漏れ電流は、65nmテクノロジーノード以下で製造される半導体デバイスの主要なエネルギー損失メカニズムである。対応して、電子工学の設計者および製造者は、従来の材料(例えば、二酸化ケイ素)よりも高い誘電率を有する新しい材料(例えば、ケイ酸ハフニウム(HfSiO4)、窒化ケイ酸ハフニウム(HfSiON)、二酸化ハフニウム(HfO2)、ケイ酸ジルコニウム(ZrSiO4)など)を採用している。これらの「high-k」材料は、漏れ電流を減少させ、より小さいサイズのトランジスタの製造を可能にする。
【0007】
加えて、新しい材料の採用に対して、半導体構造は、速度およびエネルギー効率の目標を満たすように変更している。ますます複雑なFINFET構造およびゲートオールアラウンド構造は、現在および将来の製造ノードのために開発中である。これらの改良型の半導体構造の多くは、チャンネル構造を通る電子流および正孔移動度を改善する材料の合金(例えば、シリコンゲルマニウム合金)を用いる。
【0008】
新しい誘電材料および合金材料の採用と共に、製造プロセスの早期に、これらの材料の誘電特性およびバンド構造を測定ツールが特徴付ける必要性が生じている。より具体的には、高スループットの監視用ツールは、完成ウェハの高い歩留まりを確実にするために、ウェハ製造中にhigh-k材料の堆積を監視および制御することが必要とされる。同様に、高スループットの監視用ツールは、完成ウェハの高い歩留まりを確実にするためにウェハ製造中に合金材料の濃度、合金材料の形状、プロセス温度などを監視および制御することが必要とされる。
【0009】
堆積問題の早期検出は、high-k材料および合金材料の堆積は、長い費用のかかる製造プロセスの早期のプロセスステップであるので重要である。いくつかの例では、high-k材料または合金材料が、完成するのに一カ月にわたってかかる製造プロセスの始めにウェハ上に堆積される。
【0010】
論理ゲートの性能は、等価酸化膜厚(EOT:Equivalent Oxide Thickness)、漏れ電流、閾値電圧、漏れEOT、およびブレークダウン電圧などの電気特性の観点で一般的に特徴付けられる。デバイス処理中、これらのパラメータを監視および制御することが重要である。これらの電気特性は、電気的測定、透過型電子顕微鏡法、X線分光法、および散乱、原子間力顕微鏡、および光電子分光法を含む様々な方法によって調べることができる。しかしながら、現在、これらの測定技術は、いくつかの限界のいずれかに苦しんでいる。いくつかの場合には、測定は、試料の破壊を必要とする。いくつかの場合には、多くの堆積後の処理ステップは、測定が行われ得る前に完了されなければならない。いくつかの場合には、測定技術は遅く、生産ラインから分離されなければならない。
【0011】
光学計測ツールは、デバイスの材料および構造の電気特性の高スループット、インライン、非破壊の特徴の可能性をもたらす。詳細には、分光偏光解析法(SE:Spectroscopic Ellipsometry)の測定技法は、測定された光学分散のパラメータ表示を含む。
【0012】
いくつかの例では、パラメータ化されたモデルは、デバイスの構成物質のバンドギャップ、およびその欠陥との直接的関係を有する誘電関数を表し、全ての主要なファクタが、デバイスの電気的性能を決定する。一般に、特定のパラメータ化は、未知のパラメータの個数を減少させるとともに、パラメータ間の相関関係を減少させるように選択される。
【0013】
光学計測ツールが、デバイスの材料および構造の電気特性を特徴付けるためにうまく用いられているが、多くの例では、歩留まりを改善するために、測定された電気的特性を製造プロセス制御の入力に変換することは難しいと分かっている。したがって、デバイスの材料および構造の電気特性に加えて、材料、構造、およびプロセスパラメータの高スループット、インライン、非破壊、直接測定をもたらすように光学計測ツールの有用性を広げることが望ましい。このようにして、製造制御パラメータの調整は、測定結果に基づいて直接行われ得る。
【0014】
既存のパラメータ化されたモデルは、製造プロセス中に直接制御することができるパラメータ(例えば、膜厚、プロセス温度、材料濃度など)を追跡することができないことに苦しむ。これらの関心の制御パラメータを追跡することにより、合金およびhigh-k材料を含む構造の特に製造中に、より有効なプロセス制御を可能にする。
【0015】
多次元ルックアップモデルが、関心の制御パラメータを追跡する試みに用いられている。しかしながら、複数の基準分散の使用より、測定の複雑さおよび計算量が、増す。
【0016】
カスタムパラメータに基づく手法は、関心の制御パラメータの測定を可能にするが、この手法は、パラメータ間の線形関係によって規制されるカスタムパラメータに基づいている。この制限は、この手法を多くの現在および将来の使用ケースに適さないものにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、光学計測に基づいて製造プロセスの早期に構造および材料を特徴付ける高スループットのシステムおよび方法を開発することが有利である。詳細には、合金材料およびhigh-K誘電体を含む半導体構造のインラインSE計測に対する頑健で信頼でき安定した手法を開発することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
多次元光学分散(MDOD:multidimensional optical dispersion)モデルに基づいて生産フローの早期に試料の光学測定から関心のパラメータの値を推定する方法およびシステムが、本明細書に示されている。MDODモデルは、製造制御パラメータ、構造パラメータ、材料組成パラメータ、電気的パラメータなどを含む関心の複数のパラメータの頑健で高スループットの追跡を可能にする。
【0020】
MDODモデルは、ベース光学分散モデルの外側のパラメータの観点から測定中の構造を含む材料の光学分散を説明する。いくつかの実施形態では、MDODモデルは、半導体、金属、および誘電体を含む半導体デバイス材料の測定された光学分散に対するこれらのパラメータの影響を取り込むことによって関心の外部パラメータの追跡を可能にする。MDODモデルのパラメータ化は、物理学ベースであり、クラマース・クローニッヒの一致である。これは、モデルが、幅広い範囲の分散モデルのバリエーションにわたって関心のパラメータを測定することを可能にし、複数の関心のパラメータの頑健で柔軟な追跡という結果になる。
【0021】
MDODモデルは、ベース光学分散モデルを含む。ベース光学分散モデルは、特定のジオメトリ、プロセス条件、不純物などを参照することなく材料を一様な連続体として理想化する材料モデルである。典型的には、ベース光学分散モデルは、電気的パラメータ、例えば、バンドギャップ、バンドのピーク位置等などのモデルパラメータの観点からパラメータ化される。
【0022】
一態様では、MDODモデルは、ベース光学分散モデルの外側の1つまたは複数のパラメータの観点からベース光学分散モデルのパラメータ(例えば、バンドギャップ、バンドのピーク位置等などの電気的パラメータ)の1つまたは複数のパラメータ化を含む。このようにして、ベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータは、追加のパラメータの観点からそれ自体パラメータ化される。したがって、ベース光学分散モデルのパラメータの1つまたは複数は、可変関数、すなわち、関心の1つまたは複数の外部パラメータの関数になる。いくつかの例では、ベース光学分散モデルの全てのパラメータは、1つまたは複数の外部パラメータの関数として表される。
【0023】
一例では、ベース光学分散モデルの各パラメータは、1つまたは複数の外部パラメータの関数として表される。各関数は、ベース光学分散モデルの選択によって制限されない。各関数は、ベース光学分散モデルの外部パラメータと対応するパラメータの間の関係を最もよく説明するように選択される。概して、ベース光学分散モデルの各パラメータのパラメータ化は、任意の適切な数学関数に基づくことができる。いくつかの例では、べき法則モデルが、ベース光学分散モデルの測定中の外部パラメータと対応するパラメータとの間の物理的関係を説明するために用いられる。
【0024】
さらなる態様では、MDODモデルは、一定のモデルパラメータの値を解くように実験計画法(DOE:Design of Experiments)のデータに基づいてトレーニングされる。一定のモデルパラメータの値が解かれると、MDODモデルを用いて、スペクトル測定データに基づいて外部パラメータ、ベース光学分散モデルのパラメータ、または両方の値を解く。
【0025】
いくつかの実施形態では、ベース光学分散モデルパラメータのうちの1つまたは複数をパラメータ化するために用いられる1つまたは複数の外部パラメータは、スペクトル測定データに基づいて解かれる未知の値として処理される。いくつかの例では、外部パラメータは、製造制御パラメータ、すなわち、半導体製造プロセスのプロセス制御変数に直接相関するパラメータである。いくつかの例では、外部パラメータは、半導体ウェハの構造の材料または寸法を特徴付ける構造パラメータである。
【0026】
いくつかの実施形態では、ベース光学分散モデルパラメータのうちの1つまたは複数をパラメータ化するために用いられる1つまたは複数の外部パラメータは、既知の値として処理される。これらの実施形態では、ベース光学分散モデルパラメータの値、未知の値を有する1つまたは複数の外部パラメータ、または両方は、スペクトル測定データ、および既知の一定の1つまたは複数の外部パラメータの値に基づいて解かれる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ベース光学分散モデルによって特徴付けられる半導体ウェハの1つまたは複数の層とは異なる半導体ウェハの層の特徴は、MDODモデルに基づいて解かれる。
【0028】
前述したものは概要であり、したがって、必要があって、細部の簡略化、一般化、および省略を含み、それゆえに、当業者は、この要約が例示的なものにすぎず、とにかく限定されていないことを理解するであろう。本明細書に記載されるデバイスおよび/またはプロセスの他の態様、発明の特徴、および利点は、本明細書に記載された非限定の詳細な説明において明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】薄膜の特性評価機能を含むウェハ測定システム100を示す簡略図である。
【
図2】本明細書に記載されるような方法およびシステムによって特徴付けられ得る薄膜層114Aおよび114Bが取り付けられた半導体基板112を示す簡略図である。
【
図3】スペクトル応答のデータから多次元光学分散(MDOD)モデルの外部パラメータの値を決定する方法200を示すフローチャートである。
【
図4】既知の公称値対4つの異なるウェハ上の様々な位置におけるMDODモデルに従って推定されるゲルマニウム濃度の値を示すプロット210である。
【
図5】様々なウェハ位置におけるMDODモデルに従って測定された第1のウェハのゲルマニウム濃度のマップを示す等高線
図230である。
【
図6】様々なウェハ位置におけるMDODモデルに従って測定された第2のウェハのゲルマニウム濃度のマップを示す等高線
図240である。
【
図7】様々なウェハ位置におけるMDODモデルに従って測定された第3のウェハのゲルマニウム濃度のマップを示す等高線
図250である。
【
図8】様々なウェハ位置におけるMDODモデルに従って測定された第4のウェハのゲルマニウム濃度のマップを示す等高線
図260である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の背景例およびいくつかの実施形態について詳細に参照がなされる。この例は、添付図面に示されている。
【0031】
多次元光学分散(MDOD)モデルに基づいて生産フローの早期に試料の光学測定から関心のパラメータの値を推定する方法およびシステムが、本明細書に示されている。MDODモデルは、製造制御パラメータ、構造パラメータ、材料組成パラメータ、電気的パラメータなどを含む関心の複数のパラメータの頑健で高スループットの追跡を可能にする。いくつかの測定の応用例では、測定精度が改善され、MDODモデルを開発するのに必要な計算量は、他の技法よりも少ない。
【0032】
現在および将来の半導体構造は、材料を堆積および成形するために用いられる材料およびプロセスに関する特定のデバイスの適用に強く依存する光学分散の特性を有する材料を含むが、これに限定されない。例えば、いくつかの材料の光学分散の特性は、プロセス温度、プロセスにより誘起される変形(例えば、応力または歪み)、合金材料の材料濃度、不純物濃度、アニール温度、デバイス寸法(特に、寸法が量子閉じ込めレジームに近づくとき)、および他のパラメータに依存する。有効なMDODモデルは、製造プロセスを有効に制御するのに必要な分だけ多くのパラメータを監視する。
【0033】
MDODモデルは、ベース光学分散モデルの外側のパラメータの観点から測定中の構造を含む材料の光学分散を説明する。いくつかの実施形態では、MDODモデルは、半導体、金属、および誘電体を含む半導体デバイス材料の測定された光学分散に対するこれらのパラメータの影響を取り込むことによって関心の外部パラメータの追跡を可能にする。MDODモデルのパラメータ化は、物理学ベースであり、根底にあるベース光学分散モデルがクラマース・クローニッヒの一致である場合、クラマース・クローニッヒの一致である。これは、モデルが、幅広い範囲の分散モデルのバリエーションにわたって関心の複数のパラメータを測定することを可能にし、関心の複数のパラメータの頑健で柔軟な追跡という結果になる。
【0034】
MDODモデルは、誘電関数ε
2(ω)の一般的表現に基づく。詳細には、電子のバンド間遷移の場合には、ε
2(ω)は、式(1)に記載されるように結合の状態密度J
cvの観点から表すことができる。
【数1】
【0035】
<c|p|ν>は、原子価(v)と伝導(c)の遷移についての運動量の行列要素であり、hは減少したプランク定数であり、eは電子電荷であり、mは電子質量である。運動量の行列要素と結合の状態密度の両方は、材料の電子およびフォノンバンド構造、ならび温度に厳密に関連している。今度は、バンド構造は、原子と格子の対称性のエネルギーレベルによって定められ、これは、サイズ、対称性、合金/不純物濃度、応力または歪みのような何らかの変形、および温度、すなわち、ベース光学分散モデルの外側のパラメータなどのパラメータに依存する。これは、誘電関数がベース光学分散モデルの外側のパラメータの観点からパラメータ化できることを確実にする。加えて、同じパラメータで誘電関数の実数および虚数部をパラメータ化することによって、MDODモデルは、根底にあるベース光学分散モデルがクラマース・クローニッヒの一致である場合、クラマース・クローニッヒの一致である。
【0036】
MDODモデルは、ベース光学分散モデルを含む。ベース光学分散モデルは、特定のジオメトリ、プロセス条件、不純物などを参照することなく材料を一様な連続体として理想化する材料モデルである。典型的には、ベース光学分散モデルは、電気的パラメータ、例えば、バンドギャップ、バンドのピーク位置等などのモデルパラメータの観点からパラメータ化される。非限定の例によって、式(2)に示されるように、複素屈折率nは、ビームエネルギーω、および一定の値の電気的パラメータE1、E2、E3などの関数として表される。
n=n(ω、E1、E2、E3など) (2)
【0037】
これらの例の一部では、複素屈折率nは、式(3)に示されるように、ビームエネルギーω、および一定の値の電気的パラメータEg、E01、Cb1、E02、Cb2などの関数として表される。
n=n(ω、Eg、E01、Cb1、E02、Cb2など) (3)
ただし、Egはバンドギャップであり、E01はi番目のモデル化された遷移の光学的な遷移のピークエネルギーであり、Cb1はi番目のモデル化された遷移の光学的な遷移の幅である。
【0038】
ベース光学分散モデルは、任意の所望のパラメトリック分散モデルであり得る。いくつかの実施形態では、式(2)を参照して説明されるベース光学分散モデルは、KLA-Tencor Corporation、カリフォルニア州ミルピータス(USA)から市販のAleris8510などの薄膜測定システムを補完するように設計されたオフラインのスペクトル分析(OLSA:Off-line Spectral Analysis)のスタンドアロンのソフトウェアの膜厚測定のライブラリ(FTML:Film Thickness Measurement Library)において実施される任意のベース光学分散モデルである。
【0039】
概して、本明細書に記載されるようなベース光学分散モデルは、任意の役立つ光学分散のメトリックを特徴付けるように構成され得る。例えば、複素屈折率の実成分(n)および複素(k)成分のいずれかは、ベース光学分散モデルによって特徴付けることができる。別の例では、複素誘電率の実成分(ε1)および複素(ε2)成分のいずれかは、ベース光学分散モデルによって特徴付けることができる。いくつかの例では、ベース光学分散モデルは、異方性であり得る。これらの例では、複素誘電率の実成分(ε1)および複素成分(ε2)はテンソルである。他の例では、平方根ε2、吸収係数α=4πK/λ、伝導率(σ)、表皮深さ(δ)、および減衰定数(σ/2)*sqrt(μ/ε)のいずれか(ただし、μは自由空間の透磁率である)は、ベース光学分散モデルによって特徴付けることができる。他の例では、前述した光学分散のメトリックの任意の組合せは、ベース光学分散モデルによって特徴付けることができる。前述した光学分散のメトリックは、非限定の例によって与えられる。他の光学分散のメトリック、またはメトリックの組合せが、考えられ得る。
【0040】
いくつかの他の例では、ブラッグマン有効モデル近似(BEMA:Bruggeman Effective model Approximation)のモデル、または加算モデルのような複素分散モデルが、ベース光学分散モデルとして用いられてもよい。複素分散モデルは、層の誘電関数を構成物質の仮定された誘電関数の有効な組成として表す。次いで、最適化された有効な組成は、関心の誘電体層の組成に関連している。概して、複素モデルは、クラマース・クローニッヒの一致した構成物質の誘電関数に基づき、したがってそれ自体クラマース・クローニッヒの一致である。
【0041】
複素分散モデルは、SE測定から分散曲線(例えば、誘電関数の実部(ε1)および複素部(ε2)、または屈折率(n)、および消衰係数(k))を抽出するために使用される。続いて、計算された分散曲線は、バンドギャップを評価するために関心のエネルギー範囲内で補間される。バンドギャップ推定の精度は、バンドギャップ補間のために関心のエネルギーの選択に強く依存する。また、バンドギャップは、計算された分散曲線から間接的に導き出されなければならないので、正確な結果を与える参照が必要とされる。
【0042】
いくつかの他の例では、Tauc-LorentzモデルまたはCody-Lorentzモデルが、A.S.フェラウト(Ferlauto)らの「Analytical model for the optical functions of amorphous semiconductors from the near-infrared to ultraviolet: Application in thin film photovoltaics」J.Appl.Phys.92,2424(2002年)の例によって説明されるようなベース光学分散モデルとして用いられ、この主題は、全体として本願に引用して援用する。これらのモデルでは、誘電関数の複素部はパラメータ化された分散関数によって表され、誘電関数の実部はクラマース・クローニッヒコンシステンシーの実施に基づいて決定される。モデルパラメータは、数値的な回帰による測定されたスペクトルにモデル化されたスペクトルをフィットすることによって評価される。モデルの有効性および制限は、フィッティング品質の統計的評価およびモデルパラメータの信頼限界によって査定される。
【0043】
別の例では、1つまたは複数の材料の光学応答が、モデルのアーバックの遷移エネルギーにおける連続的である第1の導関数、および少なくとも1つの境界のないガウシアン振動子関数を有する連続的なCody-Lorentzモデルを含むベース光学分散モデルによって特徴付けられる。一例では、光学分散モデルは、欠陥状態、界面準位、フォノンモード、またはその任意の組合せを説明するために1つまたは複数のガウシアン振動子関数を含む。このようにして、光学分散モデルは、未完成の多層半導体ウェハの1つまたは複数の欠陥に敏感である。
【0044】
別の例では、選択されたベース光学分散モデルは、臨界点モデルである。
【0045】
他の例では、選択されたベース光学分散モデルは、光学分散の1つまたは複数の調和振動子のモデルを含む。
【0046】
いくつかの例では、選択されたスペクトル範囲にわたる複素誘電率の実成分(ε1)および虚数成分(ε2)のベース光学分散モデルのパラメータ値は、回帰プロセスを利用して決定される。この点について、回帰法が、選択されたベース光学分散モデルを用いて測定されたスペクトルデーに適用され得る。
【0047】
少なくとも1つの態様では、MDODモデルは、ベース光学分散モデルの外側の1つまたは複数のパラメータの観点からベース光学分散モデルのパラメータ(例えば、バンドギャップ、バンドのピーク位置等などの電気的パラメータ)の1つまたは複数のパラメータ化を含む。このようにして、ベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータは、追加のパラメータの観点からそれ自体パラメータ化される。したがって、ベース光学分散モデルのパラメータの1つまたは複数は、可変関数、すなわち、関心の1つまたは複数の外部パラメータの関数になる。いくつかの例では、ベース光学分散モデルの全てのパラメータは、1つまたは複数の外部パラメータの関数として表される。
【0048】
一例では、ベース光学分散モデルの各パラメータEP1は、1つまたは複数の外部パラメータEPkの関数として表され、ただし、k=1:Nである。数字Nはモデルの次元数を定義し、Nは任意の正の整数である。モデル次元数が2である、すなわちN=2と仮定すると、ベース光学分散モデルの各パラメータBPiは、式(4)に示されるように2つの異なる外部パラメータの関数として表される。
BPi=fi(EP1,EP2) (4)
【0049】
各関数fiは、ベース光学分散モデルの選択によって制限されない。各関数fiは、ベース光学分散モデルの外部パラメータと対応するパラメータの間の関係を最もよく説明するように選択される。概して、ベース光学分散モデルの各パラメータのパラメータ化は、任意の適切な数学関数に基づくことができる。しかしながら、好ましい実施形態では、各関数fiは、ベース光学分散モデルの測定中の外部パラメータと対応するパラメータとの間の物理的関係を最もよく説明するように選択される。いくつかの例では、べき法則モデルが、ベース光学分散モデルの測定中の外部パラメータと対応するパラメータとの間の物理的関係を説明するために用いられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、各関数f
iは、一定の値のパラメータおよび外部パラメータに依存する関数φの線形結合である。式(5)は、関数f
iの一般的な公式化を示す。
【数2】
ただし、BP
i
0はパラメータBP
iの公称値であり、関数φ
1j
EPiは所定の関数EP
1であり、定数A
1j
EiおよびB
1j
EPiであり、ならびにφ
2j
EPiは所定の関数EP
2であり、定数A
2j
EPiおよびB
2j
EPiである。関数φ
1j
EPiの和の項数M1は、任意の正の整数であり、関数φ
2j
EPiの和の項数M2は任意の正の整数である。式(5)に示された例では、関数φ
1j
EPiおよびφ
2j
EPiは、それぞれ、定数A
1j
EPiおよびB
1j
EPi、ならびにA
2j
EPiおよびB
2j
EPiに依存する。しかしながら、概して、関数φ
1j
EPiおよびφ
2j
EPiは、任意の数の定数のセットに依存し得る。関数φ
1j
EPiおよびφ
2j
EPiは、外部パラメータEP
1およびEP
2ごとに、BP
iの物理的依存性によって定められる。例えば、BP
iがバンドギャップであり、EP
1が膜厚であり、ならびにバンドギャップが厚さの関数の-2乗としておおよそスケール変更することが知られている場合、φ
1j
Eiが膜厚の一連のべき関数として選択され、累乗は、放物線近似が関心の材料にどのくらい良く有効かに応じて-2近くに設定される。
【0051】
いくつかの例では、関数φ
1j
EPiおよびφ
2j
EPiは、ベース光学分散モデルの測定中の外部パラメータと対応するパラメータとの間の物理的関係を説明するために用いられるべき法則関数である。例えば、式(6)は、式(5)に従って、EP
1およびEP
2の観点からBP
iのパラメータ化を示しており、ただし、M1およびM2は共に2に等しく、φ
1j
EPiおよびφ
2j
EPiは共に、定数AおよびBの観点から表されるべき法則関数である。
【数3】
【0052】
さらなる態様では、MDODモデルは、一定のモデルパラメータの値を解くために実験計画法(DOE)データに基づいてトレーニングされる。例えば、式(5)に示されるように、定数A1j
EPiおよびB1j
EPiは、既知の値BPi、EP1およびEP2に基づいて帰納的に解かれる。定数A1j
EPiおよびB1j
EPiの値が解かれると、MDODモデルを用いて、スペクトル測定データに基づいてEP1およびEP2の値を解く。
【0053】
いくつかの実施形態では、ベース光学分散モデルパラメータのうちの1つまたは複数をパラメータ化するために用いられる1つまたは複数の外部パラメータは、スペクトル測定データに基づいて解かれる未知の値として処理される。いくつかの例では、外部パラメータは、製造制御パラメータ、すなわち、半導体製造プロセスのプロセス制御変数に直接相関するパラメータである。非限定の例によって、製造制御パラメータには、プロセス温度、プロセス圧力、プロセス材料フロー、プロセスの時間間隔などのいずれかが含まれる。概して、半導体製造プロセスの任意の制御可能なプロセス制御変数が、本特許文献の範囲内で製造制御パラメータとして考えられ得る。
【0054】
いくつかの例では、外部パラメータは、半導体ウェハの構造の材料または寸法を特徴付ける構造パラメータである。非限定の例によって、構造パラメータは、膜厚、合金材料の材料濃度、プロセスにより誘起される変形、不純物濃度、およびデバイス寸法等のいずれかを含む。概して、半導体ウェハの任意の構造の任意の寸法または材料の特徴は、本特許文献の範囲内で構造パラメータとして考えられ得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、関心の外部パラメータの値は、改善されたデバイスの歩留まりを実現するために、製造プロセスを制御するために直接用いられる(例えば、製造制御パラメータまたは構造パラメータ)。
【0056】
いくつかの実施形態では、ベース光学分散モデルパラメータの1つまたは複数をパラメータ化するために用いられる1つまたは複数の外部パラメータは、既知の値として処理される。これらの実施形態では、ベース光学分散モデルパラメータの値、未知の値を有する1つまたは複数の外部パラメータ、または両方は、スペクトル測定データ、および1つまたは複数の外部パラメータの既知の一定の値に基づいて解かれる。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外部パラメータの一定の値は、考慮中の測定スポットにおける半導体ウェハのスペクトル応答を含まない測定に基づいて決定される。いくつかの例では、1つまたは複数の外部パラメータ(例えば、膜厚)の既知の値は、半導体構造の別の測定(例えば、製造プロセスの先のステップにおけるスペクトル測定、シート抵抗の測定、他のウェハ上の同じ構造の測定、測定された層の特性に相関している測定、同じプロセス条件下で製造される半導体構造の配線端の電気的測定、ウェハ上の異なる位置における同じ構造の測定など)から決定される。概して、1つまたは複数の外部パラメータの値は、測定中の構造に相関している任意の情報源から決定され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、MDODモデルの外部パラメータは、抽象的パラメータ、すなわち、任意の物理的パラメータまたはプロセスパラメータに直接対応しないパラメータである。典型的には、抽象的パラメータは、複数の効果を取り込むように選択され、それによって外部パラメータおよびベース光学分散モデルのパラメータのセット間の相関関係を減少させる。抽象的パラメータは、例えば、MDODモデルを解くために用いられる回帰分析とは別個の主成分分析を用いて統計的に分析され得る。これらの実施形態の一部では、1つまたは複数の抽象的パラメータを含むMDODモデルは、MDODモデルによってモデル化される1つまたは複数の層についての測定結果を改善する。これらの実施形態の一部では、1つまたは複数の抽象的パラメータを含むMDODモデルは、MDODモデルによってモデル化されない測定中の複数の層構造の他の層についての測定結果を改善する。
【0059】
いくつかの実施形態では、半導体ウェハの異なる層を特徴付ける1つまたは複数のパラメータの値は、ベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータの値の少なくとも一部に基づいて決定される。これらの実施形態では、ベース光学分散モデルによって特徴付けられた半導体ウェハの1つまたは複数の層とは異なる半導体ウェハの層の特性は、MDODモデルに基づいて解かれる。いくつかの例では、1つまたは複数の外部パラメータは、複数の層のスタックモデルの別の層(例えば、別の層の厚さ)を説明するパラメータを含む。
【0060】
一例では、シリコンゲルマニウム層114Aは、MDODモデルを用いてモデル化される。MDODモデルの外部パラメータは、層114Aのゲルマニウムの割合であり、屈折率は、ベース光学分散モデルパラメータである。MDODモデルを用いて、層114Aの屈折率のより正確な推定は、ベース光学分散モデルの特定のパラメータの値と、測定されたスペクトル応答のモデルベースの回帰分析におけるゲルマニウムの割合との両方を浮動させることによって得られる。正確に推定された屈折率の値は、中間層114Bの厚さの推定を可能にする。中間層114Bの光学応答は、独立して、または層114Aと結合された分析において、評価され得る。中間層114Bの光学応答は、MDODモデル、またはテーブルモデルなどの簡略化されたモデルを用いてモデル化することができる。
【0061】
いくつかの例では、MDODモデルは、単一の層構造の1つの層(例えば、基板自体、基板の上に配置された単一の層など)を説明する。
【0062】
いくつかの例では、MDODモデルは、複数の層構造の各層が独立してモデル化されるモデル化された複数の層構造の1つの層を説明する。
【0063】
いくつかの例では、DODモデルは、スタックモデルによってモデル化される複数の層構造の複数の層を説明する。
【0064】
図1は、本発明の一実施形態による半導体ウェハの薄膜のスペクトル応答を測定するシステム100を示す。
図1に示されるように、システム100は、平行移動ステージ110上に配置される半導体ウェハ112の1つまたは複数の膜114上で分光偏光解析法を実行するために使用され得る。この態様では、システム100は、照明器102および分光計104を装備した分光楕円偏光計を備えることができる。システム100の照明器102は、選択された波長範囲(例えば、150~850nm)の照明を生成し、これを半導体ウェハ112の表面上に配置された薄膜(例えば、SiGe薄膜)に向けるように構成されている。今度は、分光計104は、半導体ウェハ112の表面から反射した照明を受け入れるように構成されている。照明器102から現れる光は、偏光された照明ビーム106を生成するために偏光子107を用いて偏光されることにさらに留意されたい。ウェハ112上に配置された薄膜114によって反射された放射は、解析器109を通過して分光計104へ送られる。この点について、コレクションビーム108における分光計104によって受け取られる放射は、照明ビーム106の入射放射と比較され、薄膜114のスペクトル分析を可能にする。
【0065】
さらなる実施形態では、システム100は、1つまたは複数のコンピューティングシステム116を含むことができる。1つまたは複数のコンピューティングシステム116は、分光計104と通信可能に結合され得る。一態様では、1つまたは複数のコンピューティングシステム116は、1つまたは複数のウェハに対して分光計104によって実行される1セットのスペクトル測定値を受信するように構成され得る。分光計から1つまたは複数のサンプリングプロセスの結果を受信すると、次いで、1つまたは複数のコンピューティングシステム116は、MDODモデルのパラメータを計算することができる。この点について、コンピューティングシステム116は、分光計104からの取得スペクトルに基づいて1つまたは複数の外部パラメータの値を抽出することができる。さらに、コンピューティングシステム116は、選択されたベース光学分散モデルに適用される回帰プロセス(例えば、通常の最小二乗回帰)を利用してn-曲線およびk-曲線を抽出することができる。好ましい実施形態では、選択されたベース光学分散モデルは、BEMAまたは加算モデルのような複素モデル、またはガウシアンモデル、Cody-Lorentzモデル、Tauc-Lorentzモデル、調和振動子モデルなどのような振動子ベースのモデルである。
【0066】
さらなる実施形態では、コンピューティングシステム116は、MDODモデルの1つまたは複数のパラメータの値の少なくとも一部に基づいて半導体ウェハの製造のプロセスを制御することができる。例えば、コンピューティングシステム116は、プロセス制御のパラメータ値を測定されている半導体ウェハの製造を担う1つまたは複数の製造ツールに伝えるように構成され得る。
【0067】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、中間層114Bは、付着を促進するために半導体基板112(例えば、シリコン)とシリコンゲルマニウム(SiGe)層114Aの間に位置する。典型的には、中間層114Bは、とても薄い(例えば、10オングストローム)。いくつかの例では、SiGe層114Aおよび中間層114Bは、本明細書に記載されるような方法およびシステムを用いる分析のために1つの層として一緒にモデル化される。この例では、1つまたは複数のコンピューティングシステム116は、中間層114BとSiGe層114Aの両方を含む膜層114のMDODモデルの1つまたは複数のパラメータを決定することができる。しかしながら、いくつかの他の例では、各層は、別々にモデル化されてもよい。この例では、1つまたは複数のコンピューティングシステム116は、SiGe絶縁層114AのMDODモデルの1つまたは複数のパラメータ、および中間層114BのMDODモデルの1つまたは複数のパラメータを決定することができる。
【0068】
本開示全体を通じて説明される様々なステップは、単一のコンピュータシステム116によって実行されてもよく、または代替として複数のコンピュータシステム116によって実行されてもよいことが認識されるはずである。また、システム100の異なるサブシステム、例えば、分光楕円偏光計101は、上述のステップの少なくとも一部を実行するのに適したコンピュータシステムを含み得る。したがって、上記の説明は、本発明に対する限定として解釈されるべきではなく、単に例示である。さらに、1つまたは複数のコンピューティングシステム116は、本明細書に記載される方法の実施形態のいずれかの任意の他のステップを実行するように構成され得る。
【0069】
別の実施形態では、コンピュータシステム116は、当業界で知られている任意のやり方で、分光計104、または楕円偏光計101の照明器サブシステム102に通信可能に結合され得る。例えば、1つまたは複数のコンピューティングシステム116は、楕円偏光計101の分光計104のコンピューティングシステム、および照明器サブシステム102のコンピューティングシステムに結合され得る。別の例では、分光計104および照明器102は、単一のコンピュータシステムによって制御することができる。このようにして、システム100のコンピュータシステム116は、単一の楕円偏光計コンピュータシステムに結合され得る。
【0070】
システム100のコンピュータシステム116は、有線および/または無線の部分を含み得る伝送媒体によってシステムのサブシステム(例えば、分光計104、照明器102など)からのデータまたは情報を受信および/または取得するように構成され得る。このようにして、伝送媒体は、コンピュータシステム116とシステム100の他のサブシステムの間のデータリンクとして働き得る。さらに、コンピューティングシステム116は、記憶媒体(すなわち、メモリ)を介してスペクトルの結果を受信するように構成され得る。例えば、楕円偏光計の分光計を用いて得られるスペクトルの結果は、永久または半永久メモリデバイスに記憶されてもよい。この点について、スペクトルの結果は、外部システムからインポートされてもよい。
【0071】
また、コンピュータシステム116は、伝送媒体を介して外部システムにデータを送信することができる。さらに、システム100のコンピュータシステム116は、有線部分および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって、他のシステムからのデータまたは情報(例えば、検査システムからの検査結果、または計測システムからの計測結果)を受信および/または取得するように構成され得る。このようにして、伝送媒体は、コンピュータシステム116とシステム100の他のサブシステムとの間のデータリンクとして働くことができる。また、コンピュータシステム116は、伝送媒体を介して外部システムにデータを送信することができる。
【0072】
コンピューティングシステム116は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ、または当業界で知られている任意の他のデバイスを含み得るが、これに限定されない。概して、「コンピューティングシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つまたは複数のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように幅広く定義され得る。
【0073】
本明細書に記載された方法などの方法を実施するプログラム命令120は、キャリア媒体118を介して伝送されてもよく、またはキャリア媒体118上に記憶されてもよい。キャリア媒体は、電線、ケーブル、または無線伝送リンクなどの伝送媒体であり得る。キャリア媒体には、コンピュータ可読媒体、例えば、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気または光ディスク、あるいは磁気テープも含み得る。
【0074】
図1に示されたシステム100の実施形態は、本明細書に記載されるようにさらに構成されてもよい。加えて、システム100は、本明細書に記載される方法の実施形態のいずれかの任意の他のステップを実行するように構成されてもよい。
【0075】
図3は、本発明のシステム100による実施に適したプロセスフロー200を示す。一態様では、プロセスフロー200のデータ処理のステップは、コンピューティングシステム116の1つまたは複数のプロセッサによって実行される事前にプログラムされたアルゴリズムを介して実行され得ることが認識される。以下の説明は、システム100の文脈で示されるが、システム100の特定の構造的な態様は、限定を示すものではなく、例示にすぎないと解釈されるべきであることが本明細書では認識される。
【0076】
ブロック201において、幅広いスペクトル範囲にわたって半導体ウェハのスペクトル応答が、コンピューティングシステムによって受信される。一例では、測定は、SiGe薄膜がウェハ上に堆積された後に実行される。例えば、スペクトルは、楕円偏光計101から受信されてもよい。別の例では、スペクトルは、反射率計(図示せず)から受信されてもよい。スペクトルデータは、分光楕円偏光計101を利用してウェハ112上に堆積される薄膜114の各々から取得することができる。例えば、楕円偏光計101は、本明細書で前述したように、照明器102および分光計104を備えることができる。分光計104は、ウェハの薄膜の分光測定に関連した結果を分析のために1つまたは複数のコンピューティングシステム116へ送信することができる。別の例では、複数の薄膜114についてのスペクトルは、前に得られたスペクトルデータをインポートすることによって取得することができる。この点について、スペクトル取得、およびスペクトルデータの続く分析が、同時発生である、または空間的に近接して実行されることを必要とするという要求はない。例えば、スペクトルデータは、後になって分析するためにメモリに記憶され得る。これは、例えば、診断の目的のために、または大きいセットの測定データの分析のために望ましいものであり得る。別の例では、スペクトルの結果が取得され、遠隔位置に設けられた分析コンピューティングシステムへ伝送され得る。
【0077】
ブロック202において、半導体ウェハの1つまたは複数の層の光学応答を特徴付けるベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータは、ベース光学分散モデルの外側の1つまたは複数のパラメータの観点からパラメータ化される。
【0078】
ブロック203において、ベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータの値は、本明細書に記載されるようなスペクトル応答の少なくとも一部に基づいて推定される。
【0079】
ブロック204においてベース光学分散モデルの1つまたは複数のパラメータの推定値は、メモリ(例えば、メモリ118)に記憶される。記憶された値は、例えば、標本のさらなる分析を実行し、または製造プロセスパラメータを制御するために使用され得る。
【0080】
MDODモデルは、ウェハにわたる値の範囲および分布内で、複数の外部パラメータを追跡するために有効に働くことが示されている。
【0081】
図4は、4つの異なるウェハに関連したゲルマニウム濃度の既知の公称値を示すプロット210を示す。加えて、プロット210は、本明細書に記載されるようなMDODモデルに従って、各ウェハの表面上の多くの位置で測定されるようなゲルマニウム濃度の平均で推定された値を示す。
図4に示されるように、推定された値は、既知の公称値を綿密に追跡する。フィットの良さは、
図4に示された傾斜、y切片、およびR2値によって特徴付けられる。
【0082】
図5は、点で示されたウェハの位置におけるMDODモデルに従って測定されたゲルマニウム濃度の割合のマップを示す等高線
図230を示す。測定されたウェハの膜厚の既知の公称値は500オングストロームであり、ゲルマニウム濃度の既知の公称値は26%である。
【0083】
図6は、点で示されたウェハの位置におけるMDODモデルに従って測定されたゲルマニウム濃度の割合のマップを示す等高線
図240を示す。測定されたウェハの膜厚の既知の公称値は500オングストロームであり、ゲルマニウム濃度の既知の公称値は27%である。
【0084】
図7は、点で示されるウェハの位置におけるMDODモデルに従って測定されたゲルマニウム濃度割合のマップを示す等高線
図250を示している。測定されたウェハの既知の公称値は200オングストローであり、ゲルマニウム濃度の既知の公称値は33%である。
【0085】
図8は、点で示されるウェハの位置におけるMDODモデルに従って測定されたゲルマニウムの濃度割合のマップを示す等高線
図260を示す。測定されたウェハの膜厚の既知の公称値は200オングストロームであり、ゲルマニウム濃度の既知の公称値は36%である。
【0086】
一実施形態では、本明細書に記載されるMDODモデルは、KLA-Tencor Corporation、カリフォルニア州ミルピータス(USA)から市販のAleris8510などの薄膜測定システムを補完するように設計されたオフラインのスペクトル分析(OLSA)のスタンドアロンのソフトウェアの膜厚測定のライブラリ(FTML)において実施される。合金材料を含むテストサンプル上で実行された測定は、高スループットで高精度および高信頼性を示した。さらに、抽出されたパラメータは、非限定の例によって膜厚および合金濃度を監視および制御するための約束を示す。
【0087】
別のさらなる態様では、デバイス性能は、認識されたパラメータ値の少なくとも一部に基づいて半導体ウェハの製造のプロセスを制御することによって改善される。一例では、膜厚は、式(6)に示された膜厚のMDODモデルから特定される測定された膜厚に基づいて制御することができる。
【0088】
MDODモデルは、合金構造のモデル化を参照して説明されているが、モデルは、他の材料に適用されてもよい。いくつかの例では、モデルは、様々なナノ構造(例えば、ナノワイヤ、量子ドット、および量子井戸)の材料を説明するように構成され得る。モデルは、任意の数の欠陥レベルを含むように一般化されてもよい。別の例では、モデルは、別のアモルファスの誘電体スラブまたは層に具体化されるナノ構造(例えば、量子井戸、量子ドット、およびナノワイヤ)に適用されてもよい。別の例では、モデルは、分子レジストまたは共重合体、high-K誘電体、例えば、HfO2、無秩序な材料、および酸化ウラン(UOx)のように、新たに開発されたフォトレジストに適用されてもよい。
【0089】
別のさらなる態様では、ウェハの異なる層に関連したパラメータの値の別個の決定は、同じスペクトル応答のデータに基づいてなされ得る。例えば、測定中のウェハは、半導体基板112と、中間層114Bと。SiGe層114Aと、追加の膜層(図示せず)とを含むことができる。分光計104から受信されたスペクトル応答のデータは、これらの層の全部からの寄与を含む。これらの各層の寄与を取り込むステック層のモデルは、分析中の各異なる物理層または物理層の群に関連したパラメータ値を別々に決定するために使用され得る。
【0090】
別のさらなる態様では、MDODモデルのパラメータの値は、部分的に製造されたデバイスの品質に基づいて、生産プロセスの早期でウェハおよびマイクロチップを等級分けするために使用される。これにより、高価で時間のかかる電気試験の装備を用いて製造プロセスの終わりにウェハおよびマイクロチップを等級分けする必要をなくすことができる。
【0091】
1つまたは複数の例示的な実施形態では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実施され得る。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして記憶され得る、または伝送され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含み、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの伝送を容易にする任意の媒体を含む。記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体であり得る。一例として、限定するものではないが、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM,EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、または他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を保持または記憶するために使用できるとともに、汎用または専用のコンピュータ、あるいは汎用または専用のプロセッサによってアクセスできる任意の他の媒体を含むことができる。また、任意の接続は、コンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術を用いて、Webサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術が、媒体の定義に含まれる。ディスク(Diskおよびdisc)は、本明細書で使用されるとき、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、およびブルーレイディスクを含み、通常、ディスク(disks)は、データを磁気的に再生し、一方、ディスク(discs)はレーザを用いてデータを光学的に再生する。上述したものの組合せは、コンピュータ可読媒体の範囲内にやはり含まれるはずである。
【0092】
本明細書で使用されるとき、「ウェハ」という用語は、一般に、半導体または非半導体材料で形成された基板に関する。そのような半導体または非半導体の材料の例には、単結晶シリコン、ガリウムひ素物、およびリン化インジウムを含むが、これに限定されない。そのような基板は、半導体製造の設備内で一般に見い出され、および/または、処理され得る。
【0093】
1つまたは複数の層は、ウェハ上に形成され得る。例えば、そのような層は、レジスト、誘電材料、伝導性材料、および半導体材料を含み得るが、これに限定されない。多くの異なるタイプのそのような層は、当業界で知られており、本明細書で使用されるとき、ウェハという用語は、全てのタイプのそのような層が形成され得るウェハを包含することが意図されている。
【0094】
ウェハ上に形成される1つまたは複数の層は、パターンがあってもよく、またはパターンがなくてもよい。例えば、ウェハは複数のダイを含むことができ、それぞれは、繰り返し可能なパターンのある特徴を有する。材料のそのような層の製造および処理は、最終的に、完成したデバイスになり得る。多くの異なるタイプのデバイスが、ウェハ上に形成されてもよく、ウェハという用語は、本明細書で使用されるとき、当業界で知られた任意のタイプのデバイスが製造されているウェハを包含することが意図される。
【0095】
典型的な半導体プロセスは、ロットよるウェハの処理を含む。本明細書で使用されるとき、「ロット」は、一緒に処理されるウェハの群(例えば、25個のウェハの群)である。ロット内の各ウェハは、リソグラフィ処理ツール(例えば、ステッパ、スキャナなど)から多くの露出のフィールドで構成される。各フィールド内には、複数のダイが存在し得る。ダイは、最終的に単一のチップになる機能ユニットである。ウェハ上に形成された1つまたは複数の層は、パターンがあってもよく、またはパターンがなくてもよい。例えば、ウェハは、複数のダイを含むことができ、それぞれは、繰り返し可能なパターンのある特徴を有する。材料のそのような層の製造および処理は、最終的に、完成したデバイスになり得る。多くの異なるタイプのデバイスが、ウェハ上に形成されてもよく、ウェハという用語は、本明細書で使用されるとき、当業界で知られた任意のタイプのデバイスが製造されているウェハを包含することが意図される。
【0096】
実施形態が、ウェハに関して本明細書に記載されているが、実施形態は、マスクまたはフォトマスクとしても一般に呼ばれ得るレチクルなどの別の標本の薄膜を特徴付けるために使用され得ることを理解されたい。多くの異なるタイプのレチクルが、当業界で知られており、「レチクル」、「マスク」、および「フォトマスク」という用語は、本明細書で使用されるとき、当業界で知られている全てのタイプのレチクルを包含することが意図される。
【0097】
ウェハに施される薄膜の測定に関して、実施形態が本明細書に記載されているが、本明細書で開示された方法およびシステムは、半導体構造の限界の寸法、半導体構造の層の間の重ね合わせ、および半導体構造の材料組成を特徴付けるために使用され得ることを理解されたい。
【0098】
本明細書に記載される実施形態は、一般に、光学モデルのパラメータ値に基づいて高スループットで多層薄膜の特徴を決定する方法に関する。例えば、一実施形態は、分光楕円偏光計のデータから導き出された光学モデルのパラメータ値に基づいて多層薄膜の材料組成の特徴を決定するコンピュータで実施される方法に関する。しかしながら、他の例では、本明細書に記載される技法を用いる限界寸法、重ね合わせ、および電気的特性の測定も、考えられる。同様に、本明細書に記載される方法は、光学モデルのパラメータ値が導き出され得る計測システムのタイプに限定されない。例えば、一実施形態では、計測システムは、ウェハの薄膜検査のための反射率計を含む。概して、本明細書に記載される光学分散モデルは、様々な幅広いバンドおよび狭帯域の計測ツールから受信された測定データの分析に適用されてもよい。例えば、任意の個数またはタイプの照明源(例えば、可視光、赤外線、紫外線、真空紫外線、深紫外線のスペクトルにおける光を放射するランプまたはレーザによる光源)を含む分光楕円偏光計および反射率計、マルチアングルの楕円偏光計、および反射率計が、本特許文献の範囲内で考えられ得る。
【0099】
加えて、計測システムは、パターンのあるウェハおよび/またはパターンのないウェハの検査のために構成され得る。検査システムは、LED検査ツール、エッジ検査ツール、後部検査ツール、マクロ検査ツール、または(同時に1つまたは複数のプラットフォームからのデータを含む)、マルチモード検査ツール、および光学モデルのパラメータ値に基づいて高スループットで多層薄膜のバンド構造の特徴の決定から利益を受ける任意の他の計測または検査ツールとして構成され得る。したがって、「計測」システム、および「検査」システムという用語は、交換可能に使用され得る。
【0100】
いくつかの特定の実施形態が教育目的のために上述されたが、本特許文献の技法は、一般的な適応可能性を有し、上述した特定の実施形態に限定されない。したがって、説明された実施形態の様々な変形、適合、および様々な特徴の組合せは、特許請求の範囲に記載されるように、本発明の範囲から逸脱することなく実施することができる。
【国際調査報告】