(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(54)【発明の名称】背表面粗さを前側オーバレイに変換するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20220511BHJP
G01B 11/30 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01B11/30 102Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556410
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 US2020024040
(87)【国際公開番号】W WO2020191371
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ズー ニンチー
(72)【発明者】
【氏名】マコーマック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スン ヤンフェイ
【テーマコード(参考)】
2F065
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA50
2F065AA51
2F065CC17
2F065JJ15
2F065JJ22
2F065PP11
2F065PP24
2F065QQ23
4M106AA01
4M106AA09
4M106BA04
4M106BA11
4M106CA24
4M106DB12
4M106DJ01
4M106DJ21
(57)【要約】
形状データに基づき標本上での前側オーバレイを推定するシステムが開示される。本システムは特性解明サブシステム及びコントローラを有する。そのコントローラは、真空チャックの真空ホールマップを生成し、その真空チャックにつき生成された真空ホールマップに基づき標本上に亘る真空力分布を生成し、その真空力分布、並びに背表面粗さと真空チャックの真空力との間の特定関係に基づき、標本の形状データを決定し、且つ標本の形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換するよう構成された、1個又は複数個のプロセッサを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本の背表面粗さを計測するよう構成された特性解明サブシステムと、
真空チャックを有するプロセスツールと、
1個又は複数個のプロセッサを有するコントローラと、を備え、メモリ内に格納されている一組のプログラム命令を実行するよう当該1個又は複数個のプロセッサが構成されており、当該1個又は複数個のプロセッサに、
前記真空チャックの真空ホールマップを生成させ、
前記真空チャックにつき生成された前記真空ホールマップに基づき前記標本上に亘る真空力分布を生成させ、
前記真空力分布、並びに背表面粗さと前記真空チャックの真空力との間の特定関係に基づき、前記標本の形状データを決定させ、且つ
前記標本の形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換させるよう、
前記一組のプログラム命令が構成されているシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記プロセスツールがリソグラフィツールを備えるシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記背表面粗さが前記特性解明サブシステムによりヘイズとして計測されるシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記特性解明サブシステムが検査サブシステムを備えるシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、前記検査サブシステムが1個又は複数個の光電子増倍管(PMT)型センサを備えるシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記特性解明サブシステムが計量サブシステムを備えるシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記計量サブシステムが原子間力顕微法(AFM)ツールを備えるシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記真空チャックにつき生成された前記真空ホールマップに基づき前記標本上に亘る真空力分布を生成するようモデル化プログラムが構成されているシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記モデル化プログラムが有限要素分析(FEA)プログラムを備えるシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記標本の形状データをその標本の前側のオーバレイ値に変換するよう1個又は複数個のモデルが構成されているシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラが、更に、
前記標本の前表面のオーバレイ値に基づき1個又は複数個のプロセスツールの一通り又は複数通りの特性を選択的に調整するよう構成された1個又は複数個の制御信号を生成するよう、構成されているシステム。
【請求項12】
1個又は複数個のプロセッサを有するコントローラを備え、メモリ内に格納されている一組のプログラム命令を実行するよう当該1個又は複数個のプロセッサが構成されており、当該1個又は複数個のプロセッサに、
プロセスツールの真空チャックの真空ホールマップを生成させ、
前記真空チャックにつき生成された前記真空ホールマップに基づき標本上に亘る真空力分布を生成させ、
前記真空力分布、並びに背表面粗さと前記真空チャックの真空力との間の特定関係に基づき、前記標本の形状データを決定させ、且つ
前記標本の形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換させるよう、
前記一組のプログラム命令が構成されているシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記特性解明サブシステムが検査サブシステム及び計量サブシステムのうち少なくとも一方を備えるシステム。
【請求項14】
真空チャックの真空ホールマップを生成し、
前記真空チャックにつき生成された前記真空ホールマップに基づき標本上に亘る真空力分布を生成し、
前記真空力分布、並びに背表面粗さとプロセスツールの真空チャックの真空力との間の特定関係に基づき、前記標本の形状データを決定し、且つ
前記標本の形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換する方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記プロセスツールがリソグラフィツールを備える方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、前記背表面粗さが特性解明サブシステムによりヘイズとして計測される方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、前記真空チャックにつき生成された前記真空ホールマップに基づき前記標本上に亘る真空力分布を生成するようモデル化プログラムが構成される方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記モデル化プログラムが有限要素分析(FEA)プログラムを備える方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、前記標本の形状データをその標本の前側のオーバレイ値に変換するよう1個又は複数個のモデルが構成される方法。
【請求項20】
請求項14の方法であって、更に、
前記標本の前表面のオーバレイ値に基づき1個又は複数個のプロセスツールの一通り又は複数通りの特性を選択的に調整するよう構成された1個又は複数個の制御信号を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は総じて標本処理の分野に関し、より具体的には表面粗さをオーバレイ値に変換するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願では、「先進ノードにて背側ヘイズを前側オーバレイに変換する方法」(METHOD TO CONVERT BACKSIDE HAZE TO FRONT SIDE OVERLAY IN ADVANCED NODE)と題しJian Shen、Ningqi Zhu、John McCormack及びYanfei Sunを発明者とする2019年3月20日付米国仮特許出願第62/821105号に基づき米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張するので、その全容を参照により本願に繰り入れることにする。
【0003】
通常、半導体デバイスに備わる複数個のパターン化素材層においては、各後続層が先行層に対しタイトな公差内で整列されていなければならない。従って、製造ラインにて利用されるプロセス制御システムに制御データのフィードバック及び/又はフィードフォワードを組み込み、それにより製造ツールのセッティングを監視及び調整してオーバレイ誤差(例.層間でのオーバレイ位置揃え誤差)を指定公差内に保つようにした方がよい。こうした半導体デバイスの寸法は縮小され続けており、それに伴いオーバレイ誤差に係る許容公差も縮小され続けている。オーバレイ誤差は様々な源泉、例えばプロセスツール(例.リソグラフィツール)由来の系統的バイアス、確率的誤差、標本幾何に起因する誤差(例.誘起誤差)、標本ばらつき等によりもたらされうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0172982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、オーバレイ計測及び制御を改善するシステム及び方法を提供することが望ましかろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るシステムが開示される。ある実施形態に係るシステムは、標本の背表面粗さを計測するよう構成された特性解明サブシステムを有する。また、ある実施形態に係るシステムは、真空チャックを有するプロセスツールを有する。また、ある実施形態に係るシステムは、1個又は複数個のプロセッサを有するコントローラを有するものであり、メモリ内に格納されている一組のプログラム命令を実行するよう当該1個又は複数個のプロセッサが構成され、当該1個又は複数個のプロセッサに、その真空チャックの真空ホールマップを生成させ、その真空チャックにつき生成された真空ホールマップに基づきその標本上に亘る真空力分布を生成させ、その真空力分布、並びに背表面粗さとその真空チャックの真空力との間の特定関係に基づき、その標本の形状データを決定させ、且つその標本の形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換させるよう、当該一組のプログラム命令が構成されたものである。
【0007】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る方法が開示される。ある実施形態に係る方法では、真空チャックの真空ホールマップが生成される。また、ある実施形態に係る方法では、その真空チャックにつき生成された真空ホールマップに基づき標本上に亘る真空力分布が生成される。また、ある実施形態に係る方法では、その真空力分布、並びに背表面粗さとプロセスツールの真空チャックの真空力との間の特定関係に基づき、その標本の形状データが決定される。また、ある実施形態に係る方法では、その標本の形状データがその標本の前表面のオーバレイ値に変換される。
【0008】
理解し得るように、上掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、明細書に組み込まれ明細書の一部を構成するものであり、本発明の諸実施形態を描出しており、また概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する働きを有している。
【0009】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の如き添付図面を参照することで、本件開示の多数の長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い背表面粗さを前側オーバレイに変換するシステムを描出する図である。
【
図1B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い背表面粗さを前側オーバレイに変換するシステムを描出する図である。
【
図2A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る背側ヘイズ・前側オーバレイ間相関を描出する図である。
【
図2B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る背側ヘイズ・前側オーバレイ間相関を描出する図である。
【
図3】本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い背表面粗さを前側オーバレイに変換する方法のフローチャートである。
【
図4】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る真空チャックホールマップの概略を描出する図である。
【
図5】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る標本形状データの概略を描出する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある種の実施形態及びその具体的特徴との関連で本件開示を具体的に図示及び記述してある。本願中で説明されている諸実施形態は限定ではなく例証であると把握されるべきである。いわゆる当業者には直ちに察せられるべきことに、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく形態及び細部に様々な改変及び修正を施すことができる。
【0012】
以下、添付図面に描かれている被開示主題を詳細に参照する。
【0013】
図1A~
図5には、総じて、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、背側ヘイズを前側オーバレイに変換するシステム及び方法が記載されている。
【0014】
本件開示の諸実施形態は、ヘイズデータを媒介にして計測される背表面粗さを前側オーバレイに変換するシステム及び方法を指向している。ヘイズは肝要パラメタであり、標本表面品質(例.膜層の表面粗さ及び不均一性)に密に相関している。例えば、ヘイズを表面粗さの物差しとして用いること及び検査の一環として検出することができる。その場合、ヘイズを製造プロセス中にて多様なやり方で用いることができる。第1に、ヘイズを用い、表面品質を改変する半導体プロセス、例えば研磨の特性を解明することができる。第2に、標本表面全体に亘りヘイズを計測し、標本の様々な領域における表面品質の変化を明らかにすることができる。第3に、ヘイズは粒子検出に関する重要な副次効果を伴いうる。例えば、高レベルのヘイズにより高レベルのノイズが生じ、標本表面上の欠陥を検出するのが難しくなることがある。また例えば、表面が滑らかだとヘイズが低くなり従ってノイズが少なくなるので、小さめの欠陥を検出することができる。これは、滑らかな面によって散乱される光の総量が、粗い面によって散乱される光の総量に比べ、通常はかなり少ないことによる。
【0015】
標本の反りを除けば、背側ヘイズは、半導体デバイスにおける主要なオーバレイ原因である。標本上の個別個所におけるヘイズ強度と、その標本上のその個別個所における標本オーバレイ値との間には、強い相関が存在する。具体的には、背側ヘイズ(例.標本の背側における表面粗さ)と、標本の形状データとの間に、相関がある。その形状データを標本の前側におけるオーバレイ値に換算することができ、ひいては背側ヘイズを前側オーバレイ値に変換することができる。
【0016】
図1Aに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い背側ヘイズを前側オーバレイに変換するシステム100を示す。具体的には、
図1Aには、背表面粗さを前側オーバレイ値に変換するシステム100が描かれている。実施形態に係るシステム100は1個又は複数個の特性解明サブシステム102を有している。また、実施形態に係るシステム100はコントローラ104を有しており、それには1個又は複数個のプロセッサ106、メモリ108及び一組のプログラム命令110が備わっている。
【0017】
なお、本願で言う特性解明サブシステム102には、これに限られるものではないが検査サブシステムや計量サブシステムが包含されうる。本件開示の目的との関連で、本願で言う特性解明サブシステム102は特性解明ツールとも呼ばれうる。同様に、計量サブシステムは計量ツール、検査サブシステムは検査ツールとも呼ばれうる。特性解明サブシステム102には、これに限られるものではないが光学式検査ツール、荷電粒子式検査ツール、レビューツール等、本件技術分野で既知なあらゆる検査サブシステム102が包含されうる。特性解明サブシステム102には、これに限られるものではないが原子間力顕微法(AFM)ツールや走査型電子顕微法(SEM)ツールを初め、本件技術分野で既知なあらゆる撮像式計量サブシステム102が包含されうる。
【0018】
実施形態におけるコントローラ104は1個又は複数個の特性解明サブシステム102に可通信結合されている。この構成では、1個又は複数個の制御信号を生成するようコントローラ104の1個又は複数個のプロセッサ106を構成すること、特性解明サブシステム102に備わる一通り又は複数通りの特性を調整するようその制御信号を構成すること、並びにその特性解明サブシステム102からのデータ(例.画像データ)をそのプロセッサ106にて受け取ることができる。
【0019】
図1Bに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い背側ヘイズを前側オーバレイに変換するシステム100を示す。具体的には、
図1Bには光学式特性解明サブシステム102を有するシステム100が描かれている。
【0020】
特性解明サブシステム102を光学式暗視野検査ツールとして構成してもよい。光学式特性解明サブシステム102は、これに限られるものではないが照明源112、照明アーム111、集光アーム113及び検出器アセンブリ126を有するものとすることができる。
【0021】
実施形態における光学式特性解明サブシステム102は、ステージアセンブリ122上に配置された標本120を検査及び/又は計測するよう構成されている。例えばヘイズを検出するよう、光学式特性解明サブシステム102を構成することができる。一例としては、標本120の背表面上でのヘイズを検出するよう、光学式特性解明サブシステム102を構成することができる。別例としては、標本120の前表面上でのヘイズを検出するよう、光学式特性解明サブシステム102を構成することができる。照明源112には、これに限られるものではないが広帯域輻射源を初め、照明101を生成することができ本件技術分野で既知なあらゆる照明源が包含されうる。また、実施形態における光学式特性解明サブシステム102は、照明101を標本120に差し向けるよう構成された照明アーム111を有するものとすることができる。注記されることに、光学式特性解明サブシステム102の照明源112は、これに限られるものではないが暗視野配向、暗視野配向等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる配向にて構成されうる。例えば1個又は複数個の光学素子114,124を選択的に調整することで、特性解明サブシステム102を暗視野配向、明視野配向等にて構成することができる。
【0022】
標本120には、これに限られるものではないが半導体ウェハ、レティクル、フォトマスク等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる標本が包含されうる。実施形態では、標本120が、標本120の運動を担うステージアセンブリ122上に配置される。また、実施形態におけるステージアセンブリ122はアクチュエータブル(可駆動)ステージである。例えば、ステージアセンブリ122を、これに限られるものではないが一通り又は複数通りの直線方向(例.x方向、y方向及び/又はz方向)に沿い標本120を選択的に並進させるのに適した1個又は複数個の並進ステージを有するものと、することができる。また例えば、ステージアセンブリ122を、これに限られるものではないが回動方向に沿い標本120を選択的に回動させるのに適した1個又は複数個の回動ステージを有するものと、することができる。また例えば、ステージアセンブリ122を、これに限られるものではないが回動方向に沿い標本120を回動させ及び/又は直線方向に沿い標本120を選択的に並進させるのに適した回動ステージ及び並進ステージを有するものと、することができる。ここに注記されることに、本システム100を本件技術分野で既知な何れの走査モードで動作させてもよい。
【0023】
照明アーム111には、本件技術分野で既知なあらゆる種類の光学部材を何個でも設けることができる。実施形態における照明アーム111は、1個又は複数個の光学素子114、組をなす1個又は複数個の光学素子115、ビームスプリッタ116及び対物レンズ118を有している。この場合、照明源112からの照明101を標本120の表面上に合焦させるよう、照明アーム111を構成することができる。当該1個又は複数個の光学素子114には、これに限られるものではないが1個又は複数個の鏡、1個又は複数個のレンズ、1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のビームスプリッタ、波長板等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる光学素子が含まれうる。
【0024】
また、実施形態における光学式特性解明サブシステム102は集光アーム113を有しており、標本120にて反射又は散乱された照明を集光するようその集光アームが構成されている。また、実施形態では、集光アーム113により、その反射光及び散乱光を、1個又は複数個の光学素子124を介し、検出器アセンブリ126に備わる1個又は複数個のセンサに差し向け及び/又はそこに合焦させることができる。当該1個又は複数個の光学素子124には、これに限られるものではないが1個又は複数個の鏡、1個又は複数個のレンズ、1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のビームスプリッタ、波長板等を初め、本件技術分野で既知なあらゆる光学素子が含まれうる。注記されることに、検出器アセンブリ126には、標本120から反射又は散乱されてきた照明を検出することができ本件技術分野で既知なあらゆるセンサ及び検出器アセンブリが包含されうる。
【0025】
また、実施形態では、光学式特性解明サブシステム102の検出器アセンブリ126が、標本120にて反射又は散乱された照明に依拠しその標本120の計量データを収集するよう構成されている。また、実施形態における検出器アセンブリ126は、収集/獲得した画像及び/又は計量データをコントローラ104に送るよう構成されている。
【0026】
先に注記した通り、システム100のコントローラ104は、1個又は複数個のプロセッサ106及びメモリ108を有するものとすることができる。メモリ108内には、本件開示の様々なステップを1個又は複数個のプロセッサ106に実行させるよう構成されたプログラム命令110を、入れることができる。実施形態におけるプログラム命令は、標本120についての一通り又は複数通りの計測を実行すべく、光学式特性解明サブシステム102に備わる一通り又は複数通りの特性を1個又は複数個のプロセッサ106にて調整させるよう、構成されている。
【0027】
実施形態では、コントローラ104に備わる1個又は複数個のプロセッサ106が、検出器アセンブリ126の出力を分析するよう構成されている。実施形態では、一組のプログラム命令110が、標本120に備わる一通り又は複数通りの特性を、検出器アセンブリ126から受け取った画像に基づき1個又は複数個のプロセッサ106にて分析させるよう、構成されている。また、実施形態では、一組のプログラム命令110が、その標本120及び/又は検出器アセンブリ126上に焦点を居続けさせるべく、システム100に備わる一通り又は複数通りの特性を1個又は複数個のプロセッサ106の許で修正させるよう、構成されている。例えば、照明101及び/又は1本又は複数本の電子ビーム129を試料120の表面上に合焦させるべく、システム100の照明源112及び/又はその他の構成要素に備わる一通り又は複数通りの特性を調整するよう、1個又は複数個のプロセッサ106を構成することができる。また例えば、試料120の表面から照明及び/又は二次電子131を集めるべく、且つその集まった照明を検出器アセンブリ126に合焦させるべく、システム100の構成要素1個又は複数個を調整するよう、1個又は複数個のプロセッサ106を構成することができる。
【0028】
また、実施形態に係るシステム100は、コントローラ104に可通信結合されたユーザインタフェースを有している。また、実施形態におけるユーザインタフェースはユーザ入力デバイス及びディスプレイを有している。ユーザインタフェースに備わるユーザ入力デバイスを、ユーザから1個又は複数個の入力コマンド、即ちシステム100にデータを入力するよう構成され及び/又はシステム100に備わる一通り又は複数通りの特性を調整するよう構成された1個又は複数個の入力コマンドを受け取りうるように、構成することができる。また、実施形態では、ユーザインタフェースに備わるディスプレイを、システム100のデータをユーザ向けに表示するよう構成することができる。
【0029】
実施形態における1個又は複数個のプロセッサ106は、メモリ108に可通信結合させることや、メモリ108上に格納されている一組のプログラム命令を実行するよう構成することができる。当該一組のプログラム命令110は、本件開示の様々な機能及びステップを1個又は複数個のプロセッサ106に実行させるよう構成されている。実施形態におけるコントローラ104は、標本の背表面上における粗さと真空チャックの真空力との間の関係を特定するよう構成されている。また、実施形態におけるコントローラ104は、その真空チャックの真空ホールマップを生成するよう構成されている。また、実施形態におけるコントローラ104は、その真空チャックについて生成されたその真空ホールマップに基づきその標本上に亘る真空力分布を生成するよう構成されている。また、実施形態におけるコントローラ104は、その真空力分布に基づきその標本の形状データを決定するよう構成されている。また、実施形態におけるコントローラ104は、その形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換するよう構成されている。これら、コントローラ104の個別ステップ/機能については、それぞれ後に詳述する。
【0030】
図2Aに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る背側ヘイズ(又は表面粗さ)・前側オーバレイ間相関200を示す。
図2Bに、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る背側ヘイズ(又は表面粗さ)・前側オーバレイ間相関250を示す。ここに注記されることに、
図2A~2Bに示す相関200,250は単なる例証であり、本件開示の技術的範囲を限定するものとして解されるべきではない。
【0031】
実施形態における標本120は1個又は複数個の高ヘイズエリア202を有している。この1個又は複数個の高ヘイズエリア202は、特性解明サブシステム(例.
図1A~1Bに示す特性解明サブシステム102)により捕捉することができる。例えば、標本120の背表面204を検査するよう構成されている特性解明サブシステム102により、1個又は複数個の高ヘイズエリア202を捕捉することができる。一例としては、標本120の背表面204を検査するよう構成されている暗視野特性解明サブシステムにより、1個又は複数個の高ヘイズエリア202を捕捉することができる。
【0032】
また、実施形態では、標本120の背表面204上の1個又は複数個の高ヘイズエリア202が、前側オーバレイシグネチャ206と相関している。前側オーバレイシグネチャ206は、1個又は複数個の前側オーバレイ値208を有するものとなりうる。この場合、標本120の背表面上に1個又は複数個の高ヘイズエリア202があることが、その標本120上の類似個所における前側オーバレイシグネチャ206の原因となりうる。ここに注記されることに、
図2A~2Bに示したオーバレイシグネチャ206及び/又は前側オーバレイ値208は単に例証目的で提示されたものであり、本件開示の技術的範囲を限定するものとして解されるべきではない。
【0033】
先に論じた通り、ヘイズを表面粗さの物差しとして用いることができる。また、実施形態では、当該1個又は複数個の高ヘイズエリア202が、標本120の背表面204上の1個又は複数個の表面粗さエリア210に対応している。例えば、
図2Aに示す通り、高ヘイズエリア202aは標本120の背表面204上の表面粗さエリア210aに対応している。また例えば、
図2Bに示す通り、第1の高ヘイズエリア202bが標本120の背表面204上の第1の表面粗さエリア210bに対応し、第2の高ヘイズエリア202cが第2の表面粗さエリア210cに対応している。即ち、
図2Bに示す通り、背表面204の中央での表面粗さ210bが中央の高ヘイズ円202bに対応している。更に、標本120の背表面204の外周縁での表面粗さ210cが外側高ヘイズ円202cに対応している。ここに注記されることに、1個又は複数個の高ヘイズエリア202の直径は単に例証目的で提示されたものであり、本件開示の技術的範囲を限定するものとして解されるべきではない。例えば、1個又は複数個の表面粗さエリア210及びそれに対応する1個又は複数個の高ヘイズエリア202が、本件技術分野で既知な何れの長さ及び/又は直径であってもよい。
【0034】
また、実施形態では、標本120の背側204にある1個又は複数個の表面粗さエリア210が、前側標本形状データ214に変換しうるよう構成される。例えば、標本120をその場に保持するよう構成されている真空チャック212へと、その標本120を真空クランプすればよい。一例としては、処理中に標本120が保持されるよう、真空チャック212にて、相応な力の真空圧を印加すればよい。この場合、真空チャック212により標本120が引っ張られ平坦になったときの背表面粗さ210を前側標本形状データ214に変換することで、その前側標本形状データをオーバレイ誤差に反映させることができる。
【0035】
図3に、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い背側ヘイズを前側オーバレイに変換する方法300のフローチャートを示す。ここに注記されることに、方法300の諸ステップはシステム100により全て又は部分的に実施することができる。とはいえ、更なる認識によれば、本方法300はシステム100に限定されるものではなく、これとは別の又はこれに代わるシステムレベル実施形態により方法300の諸ステップの全て又は一部を実行してもよい。
【0036】
ステップ302では、真空チャックの真空ホールマップを生成することができる。ある実施形態では、標本120を真空チャックへと真空クランプしうるようその真空チャックが構成される。例えば、その真空チャックによりプロセスツールにて標本が確と正確に位置決めされるよう、真空チャックにより標本を真空チャックへとクランプすることができる。ここに注記されることに、システム100には、これに限られるものではないがリソグラフィツール、堆積ツール、エッチングツール等を初め、本件技術分野で既知なあらゆるプロセスツールが備わりうる。
図4に、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る真空ホールマップの例400の概略を示す。本例の真空ホールマップ400は、真空リングパターンをなす1個又は複数個の真空ホール402を有している。その1個又は複数個の真空ホール402は、ある閾値量の真空力を提供することで標本をその場に保持するよう構成することができる。真空ホールマップ400には、更に、1本又は複数本の真空グルーブ404が備わりうる。図示されていないが、真空ホールマップ400に、それに代え/加え、熱を供給することで標本をその場に保持するよう構成された1個又は複数個のヒートリングを設けることもできる。ここに注記されることに、真空チャックは、これに限られるものではないがステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、金等を初め、本件技術分野で既知な何れの素材で形成し又はメッキすることもできる。更に、ここに注記されることに、真空チャックを、標本の一部分(例.標本の一部、標本全体等)をその場で少なくとも保持するのに適し本件技術分野で既知な何れのサイズともすることができる。
【0037】
ステップ304では、その真空チャックにつき生成された真空ホールマップに基づき、標本上に亘る真空力分布を生成する。ある実施形態では、その真空力分布が、有限要素分析(FEA)を用い標本上に亘り生成される。例えば、有限要素法(FEM)を用い真空チャックの実世界での真空力をシミュレートするよう、FEAを構成すればよい。ここに注記されることに、これに限られるものではないが、マクスウェルの方程式に因む電磁(EM)問題を解き所与幾何モデルに係る合成信号をシミュレートする厳密結合波解析(RCWA)、FEM、有限差分時間ドメイン(FDTD)、境界要素法、メッシュレスCADシミュレーション等、偏微分方程式を解くのに適した様々な科学計算アルゴリズムを、真空力分布をシミュレートする目的で実施することができる。
【0038】
ここに注記されることに、FEAを用い生成される真空力分布には、標本をその場に保持するのに適し本件技術分野で既知なあらゆる真空力が含まれうる。更に、ここに注記されることに、その真空力分布を、背表面粗さとチャックの真空力との間の特定関係に基づき調整することができる。
【0039】
ステップ306では、真空力分布と、背表面粗さと真空チャックの真空力との間の特定関係と、を用い標本の形状データを生成する。
【0040】
ある実施形態では、背表面粗さとプロセスツールの真空チャックの真空力との間の特定関係がf(haze)=F(真空)×e-haze(等式1)、即ち実真空力(f(haze))をチャックの初期力(F(真空))とヘイズ(haze)による指数係数(e-haze)とにより決める式により表される。実真空力(f(haze))が等式1を用いひとたび特定されたならば、その真空力を用い、後により詳細に論ずる通り形状データを生成することができる。
【0041】
また、実施形態における特性解明サブシステム(例.
図1A~1Bに示した特性解明サブシステム102)は、標本120上のヘイズを検出し、そのヘイズデータをシステム100のコントローラ104に送る。例えば、1個又は複数個の標本120から検出されたヘイズを用いることで、背表面粗さとチャックの真空力との間の特定関係(例.等式1)を決定することができる。また例えば、1個又は複数個のセンサを用い、背表面粗さとチャックの真空力との間の特定関係(例.等式1)を決定することができる。例えば、標本120上のヘイズを計測するよう1個又は複数個のPMT型センサを構成すればよい。その場合に、標本120から表面散乱信号を集めるよう当該1個又は複数個のPMT型センサを構成してもよい。また例えば、1個又は複数個の表面粗さ計測値を生成する(例.ヘイズを検出する)よう原子間力顕微鏡(AFM)を構成してもよい。
【0042】
例えば、生成された真空力分布と、背表面粗さと真空チャックの真空力との間の特定関係とを、標本の形状データを生成するよう構成されたモデル化計算プログラムにて用いることができる。ここに注記されることに、これに限られるものではないがFEA、RCWA、FEM、FDTD、境界要素法、メッシュレスCADシミュレーション等、様々なモデル化計算プログラムを、標本の形状データを生成する目的で実施することができる。
【0043】
図示しないが、オプション的なステップにて、そのモデル化計算プログラムを更に、真空力分布、一通り又は複数通りのターゲット特性(例.形状、サイズ等)、基本形状公式、要素関係、背表面粗さ・真空力間の特定関係(例.等式1)等のうち少なくとも一つを用い形状データを生成するよう、構成することができる。基本形状公式はE=FL/(SΔL)(等式2)、但しEはヤング率、Fは真空力、Lは有限要素の長さ、Sは断面積、ΔLは真空力下での有限要素長の変化、なる式により与えることができる。モデル化計算プログラム(例.FEA)を、等式2を利用し所与真空力下での標本120の形状を決定するものとすることができる。
【0044】
図5に、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い真空力分布に基づき生成される形状データ500を示す。本例の形状データ500には、表面高さデータ、表面厚みデータ等を含めることができる。
【0045】
ステップ308では、標本の形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換することができる。例えば、その形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換するよう、1個又は複数個のモデルを構成することができる。例えば、KLA, Inc.によるGEN4モデル(商品名)及びKLA, Inc.による5Dアナライザ(商品名)を、形状データをその標本の前表面のオーバレイ値に変換するのに用いることができる。
【0046】
ステップ310では、前側オーバレイに基づき1個又は複数個のプロセスツールを選択的に調整することができる。諸実施形態によれば、コントローラ104を、前側オーバレイ値に基づき1個又は複数個のプロセスツールを選択的に調整するよう構成することができる。例えば、システム100を、更に1個又は複数個のプロセスツールを有するものとすることができる。そのプロセスツールには、これに限られるものではないがリソグラフィツール、エッチングツール、堆積ツール等を初め、本件技術分野で既知なあらゆるプロセスツールが包含されうる。本例では、1個又は複数個の制御信号を生成するようコントローラ104を構成すること、また1個又は複数個のプロセスツールに備わる一通り又は複数通りの特性を前側オーバレイに基づき選択的に調整するようその制御信号を構成することができる。この場合、コントローラ104を、フィードフォワード及び/又はフィードバック制御ループを起動させ半導体デバイス製造プロセスの様々なステップを選択的に調整するよう構成することができる。
【0047】
いわゆる当業者には認識し得るように、本願記載の諸要素(例.諸動作)、諸デバイス、諸物体及びそれらに付随する議論は概念的明瞭性さを与えるための例として用いられており、様々な構成上の修正が考慮されている。従って、本願での用法によれば、先に説明した具体的な手本及びそれに付随する議論は、それらのより一般的な分類階級の代表たることを意図している。一般に、どのような具体的手本の使用も、その分類階級の代表たることを意図するものであり、具体的な諸要素(例.諸動作)、諸デバイス及び諸物体が含まれていないことを限定として捉えるべきではない。
【0048】
いわゆる当業者には理解し得るように、本願記載のプロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジを実行・実現可能な手段は種々あるし(例.ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア)、どの手段が相応しいかは当該プロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジが利用される状況によって変わってくる。例えば、速度及び正確性が肝要であると実施者が判断している場合、その実施者は主としてハードウェア的及び/又はファームウェア的な手段を選択するであろうし、そうではなく柔軟性が肝要である場合は、実施者は主としてソフトウェア的な実現形態を選択するであろうし、その何れでもない場合は、実施者はハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの何らかの組合せを選択するであろう。このように、本願記載のプロセス及び/又はデバイス及び/又はその他のテクノロジを実行・実現可能な潜在的手段が幾通りかあるなか、何れかのものが他のものに比べ本質的に優れているわけではなく、どの手段を利用するかは、その手段が重用される状況や実施者の具体的懸念(例.速度、柔軟性又は予測可能性)といった、変転しうる事項によって左右される選択的事項となっている。
【0049】
前掲の記述は、いわゆる当業者が、本発明を、ある具体的な応用例及びその条件の文脈に沿い提示されている通り作成及び使用しうるようにすべく、提示されている。本願で用いられている方向指示語、例えば「頂」、「底」、「上方」、「下方」、「上寄り」、「上向き」、「下寄り」、「下降」及び「下向き」の趣旨は、記述目的で相対位置を提示することにあり、絶対座標系を指定する趣旨ではない。様々な修正を記載諸実施形態になしうることはいわゆる当業者にとり明らかであろうし、本願にて規定されている一般的諸原理は他の諸実施形態にも適用することができる。このように、本発明は、図示及び記述されている具体的諸実施形態に限定される趣旨のものではなく、本願開示の諸原理及び新規特徴と符合する最大限の技術的範囲に紐づけられるべきものである。
【0050】
本願におけるほぼ全ての複数形語及び/又は単数形語の使用に関し、いわゆる当業者は、文脈及び/又は用途に見合うように、複数形から単数形へ及び/又は単数形から複数形へと読み替えることができる。明瞭性のため、本願では、様々な単数形/複数形読み替えについて明示的に説明していない。
【0051】
本願記載の何れの方法でも、それら方法実施形態を構成する1個又は複数個のステップの諸結果がメモリ内に格納されうる。それら結果には本願記載のどの結果も含まれうるし、それら結果は本件技術分野で既知な何れの要領でも格納されうる。そのメモリには、本願記載のあらゆるメモリや、本件技術分野にて既知で好適な他のあらゆる格納媒体が含まれうる。結果格納後は、そのメモリ内の諸結果にアクセスし、それら結果を本願記載の方法又はシステム実施形態のうち何れかにて用いること、ユーザへの表示向けにフォーマットすること、別のソフトウェアモジュール、方法又はシステムにて用いること等々ができる。更に、諸結果の格納は、「恒久的」でも「半恒久的」でも「一時的」でも或いは幾ばくかの期間に亘るものでもよい。例えば、そのメモリをランダムアクセスメモリ(RAM)としてもよく、諸結果がそのメモリ内に必ずしも永久には存在しないのでもよい。
【0052】
更なる熟考によれば、上述した各方法実施形態に、本願記載の何れの他方法(群)の何れの他ステップ(群)をも、組み込むことができる。加えて、上述した各方法実施形態を本願記載のシステムの何れにより実行してもよい。
【0053】
本願記載の主題は、ときに、他部材内に組み込まれ又は他部材に接続・連結された様々な部材を以て描出されている。理解し得るように、それら描写されているアーキテクチャは単なる例示であり、他の多くのアーキテクチャを実施し同じ機能を実現することが可能である。概念的には、どのような部材配置であれ同じ機能が実現されるなら、その部材配置は、実質的に「連携」することでその所望機能を実現しているのである。従って、本願中の何れの二部材であれ、ある特定の機能を実現すべく組み合わされているものは、その所望機能が実現されるよう互いに「連携」していると見なせるのであり、アーキテクチャや介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものはその所望機能を実現すべく互いに「接続・連結され」又は「結合され」ているとも見ることができ、また何れの二部材であれそのように連携させうるものはその所望機能を実現すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られないが、物理的に嵌合可能な及び/又は物理的に相互作用する諸部材、及び/又は無線的に相互作用可能な及び/又は無線的に相互作用する諸部材、及び/又は論理的に相互作用可能な及び/又は論理的に相互作用する諸部材がある。
【0054】
更に、理解し得るように、本発明は別項の特許請求の範囲によって定義される。いわゆる当業者には理解し得るように、総じて、本願特に別項の特許請求の範囲(例.別項の特許請求の範囲の本文)にて用いられる語は概ね「開放」語たる趣旨のものである(例.語「~を含んでいる」は「~を含んでいるが~に限られない」、語「~を有している」は「少なくとも~を有している」、語「~を含む」は「~を含むが~に限られない」等々と解されるべきである)。いわゆる当業者にはやはり理解し得るように、ある具体的個数の請求項内導入要件を意図しているのであれば、その意図がその請求項に明示されるので、そうした要件記載がなければそうした意図がないということである。例えば、理解の助けとして、後掲の添付諸請求項のなかには、導入句「少なくとも1個」及び「1個又は複数個」の使用による請求項内要件の導入が組み込まれているものがある。しかしながら、不定冠詞「a」又は「an」による請求項内導入要件の導入によりその請求項内導入要件を含む個別請求項全てがその構成要件を1個しか含まない発明に限定される、といった含蓄があるかのように、そうした語句の使用を解釈すべきではないし、まさにその請求項に導入句「1個又は複数個」又は「少なくとも1個」と不定冠詞例えば「a」又は「an」が併存している場合でもそう解釈すべきではないし(例えば「a」及び/又は「an」は、通常、「少なくとも1個」又は「1個又は複数個」を意味するものと解すべきである)、またこれと同じことが定冠詞の使用による請求項内要件の導入に関しても成り立つ。加えて、ある請求項内導入要件につき具体的な個数が明示されている場合でも、いわゆる当業者には認識し得るように、通常は、少なくともその明示個数、という意味にその個数記載を解すべきである(例.他の修飾語句を欠く「2個の構成要件」なる抜き身的表現は、通常、少なくとも2個の要件或いは2個以上の要件という意味になる)。更に、「A、B及びCのうち少なくとも1個等々」に類する規約が用いられている例では、総じて、いわゆる当業者がその規約を理解するであろう感覚に従いそうした構文が企図されている(例.「A、B及びCのうち少なくとも1個を有するシステム」には、これに限られるものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A・B双方、A・C双方、B・C双方、及び/又は、A・B・C三者を有するシステム等々が包含されることとなろう)。「A、B又はCのうち少なくとも1個等々」に類する規約が用いられている例では、総じて、いわゆる当業者がその規約を理解するであろう感覚に従いそうした構文が企図されている(例.「A、B又はCのうち少なくとも1個を有するシステム」には、これに限られるものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A・B双方、A・C双方、B・C双方、及び/又は、A・B・C三者を有するシステム等々が包含されることとなろう)。やはりいわゆる当業者には理解し得るように、2個以上の代替的な語を提示する分離接続詞及び/又は分離接続句はほぼ全て、明細書、特許請求の範囲及び図面のうちどこにあるのかを問わず、一方の語、何れかの語、或いは双方の語を包含する可能性が考慮されているものと理解すべきである。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を包含するものと解されよう。
【0055】
本件開示及びそれに付随する長所の多くについては上掲の記述により理解できるであろうし、開示されている主題から離隔することなく或いはその主要な長所全てを損なうことなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施せることも明らかであろう。述べられている形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括、包含することにある。更に、理解し得るように、本発明を定義しているのは別項の特許請求の範囲である。
【国際調査報告】