(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(54)【発明の名称】処理条件の下でのCVDリアクタの状態の記録方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/52 20060101AFI20220512BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
C23C16/52
H01L21/205
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556740
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2020057797
(87)【国際公開番号】W WO2020188087
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】102019107295.6
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】ティルマンズ、パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ショーン、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、トマス
(72)【発明者】
【氏名】ラウッファー、ペーター・ゼバルト
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA16
4K030AA18
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5F045AC07
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5F045GB15
(57)【要約】
本発明は、プロセスチャンバ(3)を有するCVDリアクタ(1)の操作方法に関し、プロセスフェーズ(PR)の一つ以上のプロセスステップ(R1、R2、R3)におけるプロセス中に、基板(2)がプロセスチャンバ(3)に配置され、プロセス温度(T)と圧力(P)は、それぞれ設定され、プロセスガスフロー(Q)は、制御部(10)に記憶された方式に従って制御部(10)により引き渡される制御データによってプロセスチャンバ(3)内に供給される。プロセス中において、センサは、測定データを決定するために使用され、測定データによって、現在の特徴量は計算され、それが一つ以上のより古いプロセスにおいて同様の方法で決定される過去の“特徴量”と比較される。本発明では、“特徴量”が、調節フェ―ズ(PC、PC’)の一つ以上の調節ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)中に記録される測定値から得られる値又は値のグループのみから構成されることを提案する。調節フェ―ズ(PC、PC’)では、調節温度(T)と調節圧力(P)は、それぞれ設定され、調節ガスフロー(Q)は、方式によって引き渡される制御データに従って、プロセスチャンバ(3)に供給される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスフェーズ(PR)における一つ以上プロセスステップ(R1、R2、R3)におけるプロセス中に、基板(2)がプロセスチャンバ(3)に配置され、ユーザによって変更可能な第一の制御データに従って、それぞれ少なくとも一つのプロセス温度(T)と一つのプロセス圧力(P)が設定され、プロセスガスフロー(Q)は、プロセスチャンバへと供給され、プロセス中に、測定されるデータは、センサによって決められ、そのデータから、現在の“特徴量”が算出され、現在の“特徴量”が、一つ以上のより古いプロセスにおいて同様の手法により決められる過去の“特徴量”と比較される、プロセスチャンバ(3)を有するCVDリアクタ(1)の操作方法であって、
プロセスフェーズ(PR)の前後において、プロセスは較正又は調節フェーズ(PC,PC’)を有し、前記プロセスは較正又は調節フェーズ(PC,PC’)における一つ以上の較正又は調節ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)において、少なくとも一つの較正又は調節温度(T)と一つの較正又は調節圧力(P)が設定され、かつ較正又は調節ガスフロー(Q)が、ユーザによって変更できない第二制御データに従ってプロセスチャンバ(3)へと供給されること、及び、
前記“特徴量”が、前記調節フェーズ(PC、PC’)中に記録される測定値から得られるような値又は値のグループからも、又はからのみ構成されること、を特徴とするCVDリアクタの操作方法。
【請求項2】
方式が制御部(10)に蓄積され、前記方式に従い、プロセス中に、プロセスフェーズ(PR)の一つ以上のステップ(R1,R2、R3)において、基板(2)がプロセスチャンバ(3)に配置され、それぞれの少なくとも一つのプロセス温度(T)と一つのプロセス圧力(P)が設定され、かつ、前記方式から提供され、ユーザによって変更可能な、第一制御データを用い、プロセスガスフロー(Q)が、プロセスチャンバ(3)へ供給され、
プロセス中に、測定値がセンサを用いて測定され、そのデータから現在の“特徴量”が算出され、現在の“特徴量”が、一つ以上のより古いプロセスにおいて同様の手法により決められる過去の“特徴量”と比較される、前記制御部(10)の制御のために、CVDリアクタ(1)と前記制御部(10)を有する装置であって、
プロセスフェーズ(PR)の前後において、プロセスは較正又は調節フェーズ(PC,PC’)を有し、前記プロセスは較正又は調節フェーズ(PC,PC’)における一つ以上の較正又は調節ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)において、少なくとも一つの較正又は調節温度(T)と、一つの較正又は調節圧力(P)が設定され、かつ較正又は調節ガスフロー(Q)が、ユーザによって変更できない第二制御データに従って、プロセスチャンバ(3)へと供給されること、及び、
前記“特徴量”が、前記調節フェーズ(PC、PC’)中に記録される測定値から得られるような値又は値のグループからも、又はからのみ構成されること、を特徴とする装置。
【請求項3】
前記較正又は調節ステップが、第一較正又は調節ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)と第二較正又は調節ステップ(C2.1、C2.2)を有し、
前記“特徴量”が、
前記第一較正又は調節ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)中に記録される測定値から得られるような値又は値のグループのみから構成され、
前記第一較正又は調節ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)の制御データが、制御部(10)に一定の方法により記憶されること、を特徴とする請求項1に記載の方法又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
プロセスチャンバ(3)内部又は外部で測定される測定値が、物理量であって、かつ/又は、特に冷却水の温度、温度制御槽(14)の温度制御槽温度、流量、ポンプ、ガスライン又は液体ラインの温度、排気ガスフロー又は制御キャビネットの排気(17)において測定された温度、ガス濃度値、であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法又は装置。
【請求項5】
一つ以上の第一較正又は調節ステップ(C1、C2、C3、C4)の少なくとも一つは、パージガスがプロセスチャンバ(3)に供給される、パージステップであること、
かつ/又は、パージガスが、ハロゲン、又は塩素、又は水素化物、又はアンモニアを含むこと、を特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法又は装置。
【請求項6】
“特徴量”、及び/又は、過去の“特徴量”が、測定データの、とりわけより古いプロセスの、統計的な評価によって得られ、統計的な平均値、最小値、最大値、及び/又は、標準偏差が特定されること、を特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の方法又は装置。
【請求項7】
一つ以上の第一調節ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)の少なくとも一つが、温度制御ステップであって、前記温度ステップにおいて、上昇した温度で、かつ/又は700℃~1200℃の範囲の温度で、温度制御ガス又は水素がプロセスチャンバに供給されること、を特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法又は装置。
【請求項8】
各プロセスフェース(PR)の前後において較正又は調節フェーズ(PC)が実行され、その間に“特徴量”が得られること、
かつ/又は、一つ以上の第一較正又は調節ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)を備える前記較正又は調節ステップ(PC)が、先行するメンテナンスイベント(W)の後に、実行され、その間に周囲の空気がプロセスチャンバ(3)に入りこみ、そこでの一つ以上の測定値から得られる“特徴量”が、“温度の特徴量”であること、を特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法又は装置。
【請求項9】
現在の“特徴量”と過去の“特徴量”との比較が、ルールベースの決定システムに従って実行されることを、特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の方法又は装置。
【請求項10】
少なくとも一つの“特徴量”の値が、経時的に連続して得られる一連の測定値から計算され、
かつ/又は、時間に関する微分係数が、測定値から導かれること、を特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の方法又は装置。
【請求項11】
プロセスフェーズの少なくとも一つのプロセスステップ(R1)において、温度(TS)において、基板(2)に熱処理をするために、所定の基板温度(TW)で、CVDリアクタ(1)のサセプタ(4)によって支持される基板(2)の表面の温度制御のためのパラメータの決定方法であって、
熱源(6)からサセプタ(4)に向けて供給される第一熱流(H1、H2)に影響を与える、第一パラメータ(TS、LS)が熱入力パラメータであり、基板(2)の表面からヒートシンク(22)に向けて発散する第二熱流(H3、H4)に影響を与える第二パラメータ(TS,QC)が、放熱パラメータである、前記決定方法において、
前記プロセスフェーズに先行する較正フェーズにおいて、複数のタプル値が、複数の較正ステップ(C1.1、C1.2、C1.3)において決定され、それぞれの前記ステップにおいて第一パラメータ(TS、LS)の値、第二パラメータ(TS、QC)の値、及びこれらの値から得られる基板表面の実際の温度(TW)を有し、
少なくとも一つのパラメータを基にした実際の温度を表す関数(F)を、内挿法を用いて複数のタプル値から定義することができ、前記関数から、少なくとも一つのパラメータ(TC、QC; TS、LS)の値(TW1)が得られ、前記値(TW1)は、所定の基板温度の最も近くに到達する基板表面の実際の温度(TW)と相関すること、を特徴とする温度制御のためのパラメータの決定方法。
【請求項12】
熱入力パラメータが、サセプタの設定温度(T
So)であり、これに対して、第一制御ループ(23)が、加熱装置(6)に供給される加熱力(LS)の変化によって、サセプタの実際の温度(T
S)を調節、又は前記加熱力(LS)を調節すること、
かつ/又は、放熱パラメータが、冷却装置(22)の設定温度、異なる熱伝導性を有する二つのガスからなり、冷却装置(22)とプロセスチャンバ天井(18)との間のギャップ(20)に供給される、温度制御ガスの混合比、又はプロセスチャンバ天井の設定温度(T
Co)であって、これに対して、第二制御ループ(24)がプロセスチャンバ天井の実際の温度(T
C)を調節すること、を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
内挿の実行のために、一次元又は多次元の関数が定義され、そのグリッドポイントがタプル値を形成すること、を特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
複数の第一較正又は調節ステップが直接相互に認識していること、
かつ/又は、複数の較正又は調節ステップが、段階的に上昇又は下降する温度において実行されていること、かつ/又は、冷却パラメータの変更を伴うこと、を特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載された方法。
【請求項15】
測定値が、基板温度(TW)とプロセスチャンバ天井温度(TC)を備え、
較正又は調節フェーズ(PC)において、加熱装置(6)から冷却装置(22)へ向かう熱流(H1、H2、H3、H4)の中で、温度(TS)と熱伝導性が連続的に修正されること、を特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
連続的に実行されるいくつかのプロセスにおいて、基板がプロセスフェーズにおいてコーティングされ、同一のプロセスパラメータを用いる較正又は調節ステップが、それぞれの調節フェーズ中に実行され、かつ特徴量を形成する測定値が、前記較正又は調節ステップにおいて排他的に決定されること、を特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスチャンバを有するCVDリアクタの操作のための方法に関する。それが、プロセス中における、プロセスフェーズの一つ以上のプロセスステップにおいて、基板がプロセスチャンバに配置され、プロセス温度、圧力、プロセスチャンバ内へのプロセスガスフローのそれぞれが、コントローラに記憶された方式に従い制御部によって供給される、制御データによって設定され、測定値は、センサによってプロセス中に決まり、その測定データから、現在の“特徴量”が計算され、その“特徴量(フィンガープリントFingerabruck)”は、一つ以上のより古いプロセスにおいて同じ手法で決められた過去の特徴量と比較される。
【0002】
CVDリアクタは、コーティング装置の一部であって、コーティングされた半導体基板の製造プロセスにおいて、装置の操作によって定められた方式に従い、基板の処理フェーズが実行され、基板は、CVDリアクタ内に配置されたサセプタ上で、自動的に、半自動的に又は手動で、適用される。サセプタが配置されるプロセスチャンバは、排気され、パージされ、そしてプロセスガスがプロセスチャンバに供給されるプロセス温度とされる。プロセスの処理フェーズは、異なったプロセスパラメータ、すなわち異なった温度、全圧、又はプロセスガス成分を有する多数のプロセスステップを備えることができる。
【0003】
CVDリアクタは、課題となる各処理フェーズの前後に調節される。それはまた、CVDリアクタが処理フェーズ前に較正されるように提示される。その手法は、このようにプロセスフェーズに先行する較正又は調節フェーズを有することができる。
較正フェーズにおいて、プロセスパラメータ、とりわけ熱入力パラメータと放熱パラメータが変更される。これらは基板内への熱フロー及び基板の放熱にそれぞれ影響するパラメータである。これらのパラメータが変更されるとき、基板温度が変わる。このように、較正ステップにおいて、様々なパラメータのための値を決めることができ、それにより所定の基板温度に達することができる。
【0004】
調節フェーズにおいて、プロセスチャンバは、所定の設定状態に移行されることになる。調節フェーズも通常、多数のステップ、すなわち多数の調節ステップから構成される。調節ステップ中、プロセスチャンバは、調節温度にまで引き上げられる。調節ガスは、プロセスチャンバに取り込まれる。この調節ガスは、例えば塩素やハロゲンを含む化合物といったエッチングガスの形態を取ることができる。しかしながら、調節ガスは、他のガスでもよい。調節ガスはプロセスチャンバを洗浄するために使用できる。調節ガスは、プロセスチャンバの表面のプレコーティングか調節を、伴うこともできる。少なくとも一つの調節ステップは、固定的に定められたプロセスパラメータに沿って実行される。
【0005】
特許文献1及び特許文献2では、CVDリアクタの操作方法が記載されている。そこでは特徴量はプロセス中に決まる測定値から形成されている。個々の特徴量は、各プロセスステップに連関している。この方法で形成される過去の特徴量は、CVDリアクタの状態の操作について早い情報を取得するために、現在の特徴量と比較され得る。
【0006】
特許文献3では、CVDリアクタの操作方法が記載されている。同一デザインの複数のCVDリアクタが、工場内で使用されている。個々のリアクタにおけるプロセスデータがドリフトの影響を受けていないかを検出するために、特徴的な“特徴量”が測定データから形成され、その特徴量を相互に比較することができる。
【0007】
特許文献4は、CVDリアクタの操作方法を記載する。プロセスデータは、プロセスステップ中に取得し、データ収集として保存される。
【0008】
特許文献5は、CVD蒸着プロセスの質を保証するためのシステムと方法を記述する。測定値は、操作中に決定され、過去の測定値と比較される。多数の値が、処理プロセスに先行する較正プロセスにおいて決められる、パラメータの決定方法は、特許文献6により公知技術となっている。多数の値から、所定の温度に、ほぼ近い実際の温度を実現するパラメータが決定される。ここに、“設定された方式”を用いて温度が段階的に上昇する。各ステップで、温度の値は、複数のセンサから測定される。このように得られた値は、行列を形成し、行列を用いて較正された温度モデルは、熱の特性を考慮した標準モデルから計算される。その較正された温度のモデルは、達成された実際の温度を再現する。
【0009】
上記の先行技術文献は、一連の独立したプロセスステップを有するプロセスが、プロセスの安定性に関して相互に比較されることを可能にする。仮に制御データがユーザによって変更された場合には、のちに同一制御データを用いて実行されるプロセスの安定性を分析するために、更新された特徴量は取得されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6455437号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0254762号明細書
【特許文献3】米国特許第7212950号明細書
【特許文献4】特開2016-213400公報
【特許文献5】米国特許第7583833明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0195853号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10 2007 105 333号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、たとえユーザがプロセスフェーズにおいて、制御データを変更した場合でも、CVDリアクタの装置の状態に関する温度の特徴について信頼できる知識を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その目的は、請求項で特定される本発明により達成される。従属項は独立項に記載された主題の有利な発展を表すのみでなく、目的の独立した解決手段でもある。
【0013】
発明の第一の側面に従って、方法が提案され、とりわけ、たとえプロセスフェーズにおいて相互に異なるプロセスステップが実行される場合であっても、当該方法により装置の状態の有意義な統計的分析が可能になる。
【0014】
先ず、第一に、固定的に定められた、不変の、プロセスパラメータを用いて、少なくとも一つの調節ステップを実行することが提案される。コーティングされた半導体基板の製造において実行される多数のそれぞれのプロセスは、この少なくとも一つの第一調節ステップを有し、それは、必要に応じて、特有のプロセスパラメータを有する第二調節ステップと組み合わせることができる。
本発明では、プロセスデータが、少なくとも前記第一調節ステップ中に決定され、これらのプロセスデータは、同様のプロセスデータと、統計的に評価される。
このようにして、統計的に相互に結びつけられたプロセスデータは、同じ第一調節ステップにおいて決定されたものだけであって、つまり、同じ所定のプロセスパラメータを用いて実行されたものだけということである。特に、プロセスデータは、プロセスチャンバ内の全圧や、プロセスチャンバ内の温度、又は測定されたプロセスガスの分圧のような、測定データである。プロセスパラメータは、プロセスガスの設定温度、設定圧力、設定フローである。このプロセスパラメータとプロセスデータは、温度制御槽の温度、湿度の値などの設定値と実測値とすることもできる。
【0015】
CVDリアクタは、制御部を有する。この制御部は記憶部を有する。方式は記憶部に記憶することができる。方式に従いプロセスが実行される。プロセスは二つのフェーズに分けることができる。基板がないとき又は模造の基板があるときに、プロセスチャンバが調節される調節フェーズと、プロセスチャンバに配置される基板に、例えば基板に一つ以上の層をコーティングするような、処理が行われるプロセスフェーズである。
プロセスフェーズと調節フェーズは共にそれぞれ複数のステップを具備する。制御部は各プロセスステップと各調節ステップに制御データを提供し、それに従い、調節温度又はプロセス温度、調節圧力又はプロセス温度、調節ガスフロー又はプロセスガスフローが設定される。調節ガスフローとプロセスガスフローはそれによって多数の個々のガスフローを有することができ、例えばキャリアガスフローと複数の反応ガスフローである。
個々のステップ中において、測定値は、プロセスチャンバの内側と外側の両方における個々のポイントで適切なセンサによって記録される。その測定値は、プロセスチャンバの内側と外側においてガスフェーズでの分圧も含まれ得る。しかしながら、測定データは、プロセスチャンバの内側又は外側の個々の位置における温度も含まれ得る。従って測定データは排出ガス温度、又はプロセスチャンバ内の壁の温度も含まれ得る。しかしながら、排気センサや、その他の装置、例えばポンプや冷却回路の温度を測定するセンサから得られる測定値を考慮に入れることも可能である。
測定値は、制御キャビネットに、CVDリアクタの搭載ためのキャビネットへの搭載と取り出しにおいて、ガス混合システムが配置されるキャビネット内にあるCVDリアクタに、又は、ポンプハウジングに、記録することができる。
本発明の好適例では、調節フェーズは、複数の第一調節ステップを有する。つまり調節ステップは常に同じプロセスパラメータによって実行され、前記複数の第一調節ステップは好ましくは直接相互に認識していることが望ましい。 調節ステップ中に測定された値は記憶される。
【0016】
過去の“特徴量”を計算するために、過去の測定値は統計的に評価される。好ましくは全てのプロセスにおいて同様の調節ステップ中に得られるような、多数の過去のプロセスから得られたそのような測定値だけが使用されることが好ましい。過去の“特徴量”は、このように計算結果となり得、個々のプロセスパラメータを用いて実行される調節ステップの測定値が関連する。前記過去の“特徴量”と比較されることになる現在の“特徴量”は、過去の特徴量を決定するために使用されたもの同様に、同じプロセスパラメータを有する一つ以上の調節ステップにおいて決定される測定値を用いて得られる最小値、最大値、平均値、そして標準偏差を導くことができる。CVDリアクタ又はCVD装置の設定状態からの偏差を特定するために、上述の方法で得られる過去の統計的データは、現在のプロセスデータと関連する。プロセスにおいて、CVDリアクタを有する製造装置は、以下の製造サイクルを経由する。例えば、所定のアルゴリズム、つまり算出ルールは、過去の測定値や現在の測定値から“特徴量”として参照される、値又は値のグループを計算するために使用される。
統計上の計算から、一次元又は多次元のウィンドウが計算され得、CVDリアクタの実際の状態が順序正しくあるかを確認するために、現在の“特徴量”は存在しなければならない。プロセスは、複数の、ほぼ完全に自動化されたフェーズを備える製造サイクルであって、そこで本質的なフェーズはプロセスフェーズと調節フェーズである。
【0017】
プロセスは、通常、コーティングするための基板を搭載したリアクタを準備することから始まる。コーティングされていない基板が、この目的のために外からプロセスチャンバ内に持ち込まれる。プロセスチャンバは、堆積プロセスのために準備される。それから堆積プロセスは以下となる。堆積プロセスはプロセスフェーズであり、異なったプロセスパラメータを用いて複数のコーティングプロセスが実行され得る。コーティングプロセスは複数のプロセスステップを有し、堆積プロセスが完了した後に、CVDリアクタは、基板をプロセスチャンバの外に移すための準備をする。コーティングされた基板がプロセスチャンバの外に移された後に、プロセスチャンバは調節ステップに備える。そして複数の第一と第二の調節ステップは、調節フェーズで実行され、第二調節フェーズは、修正され、又は装置の操作者によって修正され得る制御パラメータを用いて実行される点で、第一調節ステップと異なる。そして、第一調節ステップは、固定的に定められた、とりわけ、装置の操作者によって修正することができず、ただ装置の製造者によってのみ修正され得る制御パラメータを排他的に有している。
【0018】
第一の変形形態では、第一調節ステップは、各プロセスの部分であることが好ましく、複数のプロセスの個々の要素であって、同一の第一調節ステップを有し、相互に異なったプロセスステップ又は第二の調節ステップを有することができる。
一方で、この第一の変形形態における調節ステップでは、クリーニングステップを含むことができ、例えば塩素やアンモニアがプロセスチャンバに供給される。それによりプロセスチャンバの壁に堆積したプラスチックが高温で除去される。第二の変形形態の第一調節ステップは、焼戻ステップであることができる。この変形形態は本質的に、プロセスチャンバのメンテナンスの後に実行されるだけであり、その間にプロセスチャンバは空気をプロセスチャンバの内側へと入れるために開放される。高温、例えば700℃~1200℃の間の温度で、プロセスチャンバを焼き付けることで、プロセスチャンバの内壁の表面に吸収された全ての水が除去される。とりわけ水素がプロセスチャンバ内に供給される。この種類の調節において、調節されたプロセスチャンバ温度が、約700℃から約1200℃の範囲で、複数のステップにおいて上昇するように提示され得る。
【0019】
ここで、これらの各ステップ中に、サセプタを温めるための加熱装置から、プロセスチャンバ上方に配置された冷却装置へ向かう熱フローが変えられるように提示され得る。この目的のため、例えばプロセスチャンバ天井の熱抵抗は、熱伝導性を変えた温度制御ガスをギャップへと供給することで、変えることができる。このギャップは、例えば、プロセスチャンバ天井の下段の天井プレートと上段の天井プレートとの間に配置され、これが温度制御機構に対して隣接することが望ましい。この種類の調節において、多数の測定値が記録され、とりわけプロセスチャンバ天井温度と、基板ホルダに配置された模造のウエハ上で測定される基板温度である。この測定はパイロメーターを用いて行うことができる。
それぞれ同時行われるこの測定から値が得られ、この値は過去の値と比較され得る。この値は、単一の測定値の形態を取ることができる。しかしながら、一つ以上の、複数の測定値から統計的に決定された値の形態を取ることもできる。上述したプロセスは、可能な限り完全に自動化されている。装置の操作者の手動操作の介在は、本質的にコーティングされていない基板を用いたカセットの準備又はコーティングされた基板を用いたカセットの除去から構成される。装置の操作者も、プロセスパラメータに基づいた設定値を用いて、処理方式を定義し、それに伴い、例えばマスフローコントローラー、加熱装置、又は同様のものといったアクチュエータに提供する制御プログラムのインストールが付随する。
【0020】
調節フェーズは、例えば以下のような調節ステップを有する。
(a)水素雰囲気の下で、プロセスチャンバの加熱、
(b)不活性ガス雰囲気(窒素)へのスイッチ、
(c)プロセスチャンバと、ガス入口部材やガス排出部材のようなプロセスチャンバに隣接する空洞のクリーニングのための、エッチンガス(Ch)の導入、
(d)不活性ガスを用いた、プロセスチャンバと後者に隣接の空洞のパージング、
(e)プロセスチャンバと後者に隣接する空洞の加熱のために、プロセスチャンバ温度の上昇と、NH3などの調節ガスの導入、
(f)不活性ガスと必要に応じてNH3を用いたプロセスチャンバのパージング、
(g)プロセスチャンバと後者に隣接する空洞をクリーニングするための、塩素などのエッチングガスの導入(このステップは必要に応じて複数回繰り返すことができる)、
(h)不活性ガスを用いて、プロセスチャンバと後者と隣接する空洞のパージング、
(i)プロセスチャンバ温度の上昇、その他の調節ガス又は再度のNH3の導入、そして、プロセスガス又は調節ガスに触れるCVDリアクタの全ての部分を熱するための、水素雰囲気へのスイッチ、
(j)水素/アンモニア雰囲気下でのリアクタの冷却、
(k)不活性ガスを用いてリアクタの内部のパージング。
【0021】
本質的にクリーニングステップ(g)、(j)、(k)に関しては、装置の操作者が自由パラメータを入手できる。
【0022】
調節フェーズ全体において、冷却槽温度又は制御キャビネット排気特性といったデータは記録され、データは個々の調節ステップ中において修正されない。これらの値は、測定値とりわけその他の値の安定性と妥当性を評価するのに用いられる。温度センサは、他の情報の中から熱フローを記録するために使用される。この目的のため、温度センサ、とりわけパイロンメーターからのデータが使用される。温度センサを用いて、加熱装置、又は温度制御することができる他のリアクタの構成要素の状態の評価を、実行することができる。とりわけ真空システムの領域からのデータも記録され、そのシステムでは特にスロットルバルブとポンプを含む。
【0023】
本発明の第二の側面は、プロセスフェーズの少なくとも一つのプロセスステップにおいて、前記温度で基板を熱処理するための、所定の基板温度で、CVDリアクタのサセプタによって支持される基板の表面の温度制御のための、パラメータを決定するための手法に関する。
第一パラメータは、熱入力パラメータであり、熱源からサセプタに供給される第一熱流に影響を与える、そして第二パラメータは、放熱パラメータであり、基板の表面からヒートシンクへと消失する第二熱流に影響を与える。
【0024】
一般的なCVDリアクタは、典型的にはサセプタの加熱のための加熱装置であるヒートソースと、典型的にはプロセスチャンバ天井又はそれに隣接する冷却装置であるヒートシンクとの間にある、伝熱経路に、基板が配置される。
サセプタによって支持される基板の表面の温度は、熱入力パラメータに依存する。
熱力学的関係性は、特に特許文献7に記載されており、熱源と基板の間と、基板とヒートシンクの間の伝熱経路は、熱フロー抵抗と考えられている。これらの熱フロー抵抗は、特にプロセスチャンバの使用におけるプロセスチャンバ内の表面特性といった特性の変化に依存して修正することができる。とりわけ、熱フロー抵抗は、プロセスチャンバ内で先行して実行されるプロセスステップの性質に依存する。とりわけ、それらはサセプタの表面とプロセスチャンバ天井のプラスチック占有率によって影響される。熱入力パラメータは例えば、特にサセプタの下段表面つまり加熱装置に向けて面した表面の上で測定されるサセプタ温度が含まれ、その温度にサセプタの下段表面が調節される。しかしながら、熱入力パラメータは、加熱装置へ供給されるパワーも含まれ得る。
放熱パラメータは、プロセスチャンバ天井の温度も含まれ得る。それが設定温度になるよう調節することもできる。これは、冷却装置の冷却性能の修正によって行うことができる。しかしながら、プロセスチャンバ天井と冷却装置の間のギャップに供給される、温度制御ガスの混合比率の変更によってプロセスチャンバ天井温度に影響を与えることも可能である。この温度制御ガスは、異なる熱伝導率を有する二つのガスから構成される。
【0025】
本発明の目的は、熱入力パラメータと放熱パラメータの値の信頼できる決定方法を具体化することであり、その値において、所定の基板温度が、プロセスチャンバに向けて面する基板の表面上で、定まる。
【0026】
一つ以上の較正ステップにおける多数のタプル値を決定することによって目的が達成される。それぞれの前記タプル値は、第一パラメータの値と第二パラメータの値を有する。これらのパラメータは、調整されたサセプタ温度、及び/又は調整されたプロセスチャンバ天井温度を含み得る。しかしながら、パラメータは、加熱力、及び/又は温度制御ガスの混合比又は冷却装置の放熱能力も含み得る。
少なくとも一つのパラメータによって基板の表面の実際の温度を表す関数は、少なくとも一次元の内挿によって、多数のタプル値から定義される。この関数は関数セットの個々の関数を含み得る。二次元関数にもなり得るこの関数から、少なくとも一つのパラメータが得られ、基板表面の実際の温度と相関し、その温度が方式から所定の基板温度に最も近くなる。この目的のため、特に一次元関数から、いわば逆関数が導出される。
上記の方法は、タプル値の決定のために用いることができる。この方法において、例えばサセプタ温度といった第一パラメータは修正され、とりわけ段階的に増加される。各ステップ中に、例えばプロセスチャンバ天井温度といった第二パラメータも変更され、つまり段階的に増加される。これは、プロセスチャンバ天井と冷却装置との間のギャップに異なった構成の温度制御ガスを供給することにより、上記の方法において実行される。この方法で得られる多数の測定値は、表面として表すことのできる二次元の数学的関数のグリッドポイントを含み得る。この関数は、三次元座標システムで表すことができ、例えば、X軸がサセプタ温度を表し、Y軸がプロセスチャンバ天井温度を表し、Z軸が測定された基板の表面温度を表す。サセプタ温度とプロセスチャンバ天井温度は調整された温度とすることができる。測定された実際の基板表面温度は、パイロンメーターによって測定できる。
このようにグリッド状に構成された関数は、丘上の表面と同様に内挿され得る。結果としての表面から、所定の基板温度に最も近似する関数値を与えるX-Y表面におけるポイントが、特定され得る。しかしながら、得られる測定値に関する代替の等式において、複数の一次元関数が使用され、同一のサセプタ温度で実行される各較正ステップが、プロセスチャンバ天井温度に対する測定された基板表面温度を示す内挿された測定曲線を提供する。この測定曲線からいわば逆関数が導出され、パラメータ、つまり、課題となるサセプタ温度で、所定の基板温度と最も近い基板表面温度と相関する、プロセスチャンバ天井温度が決定され得る。
較正フェーズに続くプロセスフェーズにおいて、方式によって所定のサセプタ温度やプロセスチャンバ天井温度のようなパラメータを修正するために、標準較正曲線の代わりとして、較正フェーズにおいて得られる較正曲線が使用される。
所定の方式において、サセプタ温度やプロセスチャンバ天井温度のようなパラメータは、定められる。それに従い、求められる基板温度が標準特性曲線に従って得られる。較正フェーズにおいて、修正された特性曲線が得られ、それを基礎として修正された設定値が得られる。
【0027】
本発明における装置は、制御部を有し、プログラミング可能である。プログラミングによって、調節フェーズとプロセスフェーズのプロセスパラメータを定めることができる。本発明の有利な設計によると、プロセス、そして特に装置を用いて実行される各プロセスは、一つ以上の較正又は調節ステップを含み、固定された所定のプロセスパラメータを用いて実行される。これらの較正又は調節ステップは、ユーザによって省略することができない。またこれらの較正又は調節ステップのプロセスパラメータは修正することもできない。
本発明の有利な設計によると、不変のプロセスパラメータを用いたこれらの不変のステップにおいて得られる測定値だけが“特徴量”を形成するために用いられる。その特徴量は、とりわけプロセスチャンバ内の全圧、プロセスチャンバを通るガスフロー、そしてプロセスチャンバ内の少なくとも一つ又は複数の固定された温度のような、固定的な所定のプロセスパラメータを用いて、不変の方法において定められたプロセスのステップにおいてこのように決定される。
これは、たとえ装置を用いた異なった製造プロセスが実行される場合であっても、デバイスの操作状態が、客観的に特定され得る点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明につき、例示的実施形態に基づき、より詳細に以下にて説明する。
【
図2】
図2は、方式に関する第1の例示的実施形態を示す。
【
図3】
図3は、方式に関する第2の例示的実施形態を示す。
【
図4】
図4は、
図2における第1の実施形態に関する“特徴量”をグラフとして示す。
【
図5】
図5は、
図3における第2の実施形態に関する特徴を
図4と同様にグラフとして示す。
【
図6】
図6は、加熱装置6から冷却装置22への熱流H1、H2、H3、H4と、プロセスチャンバ内で測定される温度T、TS及びTWを図示するため、プロセスチャンバの概略断面図を示す。
【
図7】
図7は、4つの連続的な調節ステップC1.1、C1.2、C1.3,C1.4における、時間tに関する温度曲線Tを図示する。その時間にサセプタ温度TSは、およそ700℃から1200℃まで段階的に上昇し、基板温度TWと天井温度TCが測定される。
【
図8】
図8は、
図7同様に、調節プロセスの間で得られる測定値M1~M16とN1~N16から算出される特徴量の値K1~K16の値のとり方に関する第一の例を示す。
【
図9】
図9は、特徴に関する値K1~K4が、過去の特徴に関する値K’1~K’4と比較して、どのような値をとるかについての概略を示す。
【
図10】
図10は、内挿法によって多数のタプル値から計算される、サセプタ温度TSとプロセスチャンバ天井温度TCに関する二次元の関数を示し、関数Fは基板の表面温度TWを表す。
【
図11】
図11は、較正フェーズにおいて決まる座標システムで標準較正曲線25と較正曲線25’に関して座標系で示す。X軸をプロセスチャンバ天井温度TCとし、Y軸を基板の表面温度TWとする。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、CVDリアクタの概略を示す。本発明による装置の一部分であって、その上で、本発明による方法が実施され得る。
【0030】
プロセスチャンバ3は、CVDリアクタ1の外部気密のハウジング内に配置され、とりわけ、このCVDリアクタ1はステンレススチール製である。プロセスチャンバは、黒鉛又はコーティングされた黒鉛で作られるサセプタ4の上方に配置される。サセプタ4は赤外線加熱装置6を用いて下方から加熱することができる。加熱装置6によって発生する交流電磁場は、サセプタ4に渦電流を生じさせ、サセプタ4の加熱をもたらす。サセプタ4の上面に、一つ以上の基板2が置かれ、基板2は、プロセスチャンバ3内で実行されるプロセス中に、コーティングされることになる。キャリアガス又はプロセスガスは、ガス入口5を通してプロセスチャンバ3内に供給できる。真空ポンプ12が設けられ、その前方でスロットルバルブ11が配置される。制御部10は、7、8、そして9で示したガス源のガスフローを調節するために使用される。ガス源7、8、9は、ガス入口5によりプロセスチャンバ3へ供給される。制御部10は、加熱装置6、スロットルバルブ11、そしてポンプ12を制御するためにも使用することができる。
【0031】
例えば有機金属化合物を含む液体源13は、温度制御槽14に配置され、その温度制御槽14の温度は、モニタリングすることができる。プロセスチャンバ天井18は冷却装置(図示なし)と、プロセスチャンバ天井18の熱伝導性に影響を与える手段とを有する。装置全体はキャビネット15に配置され、周囲環境から気密によって本質的に密封することができる。キャビネット15は給気16と排気17を有する。排気17におけるガス成分と排気温度は測定できる。
【0032】
冷却フローはらせん状の加熱装置6の空洞を通過できる。その温度はセンサによってモニタリングされる。
【0033】
相互に異なる方式は、制御部10に記憶することができ、これらは基板2上に多様な層を堆積するために使用される。
【0034】
それぞれの場合において、プロセスは多数のステップを備え、そのステップは、相互に異なるフェーズに分けることができる。例えば実際のコーティングフェーズの前に実施される調節フェーズPCにおいては、プロセスチャンバ3、つまりリアクタシステムは、設定状態にまで立ち上げられる。調節ステップC1.1、C1.2、C1.3は、相互に異なる調節パラメータを用いて実行される。異なる調節ステップC1.1、C1.2、C1.3において、例えばプロセスチャンバ3内の温度T、又はプロセスチャンバ3内の全圧P、又は調節ガスのガスフローQ(量、及び/又は質)は、異なり得る。しかしながら、CVDリアクタを用いて実行されるいずれのプロセスにおいても、温度、全圧、又はガスフローの制御のために具体化される制御パラメータSPは、固定され、ユーザによって修正することはできない。
【0035】
図2で示す例示的実施形態において、調節フェーズは、3つの調節ステップを有し、それぞれが、不変の制御パラメータを用いて実行されなければならない。
【0036】
図3で示す例示的実施形態において、調節フェーズPCは、固定した所定の制御パラメータを用いて実行されなければならない第一の調節ステップC1.1、C1.2、C1.3に加えて、可変の制御パラメータを用いて実行することができる第二の調節ステップC2.1、C2.2を有する。調節ステップC2.1、C2.2において、ユーザは制御パラメータを修正できる。
【0037】
調節フェーズPCは、プロセスフェーズPRへと続く。そこでは、様々な連続的なプロセスステップR1、R2、R3を有し、それらはプロセスチャンバ3に配置された基板に、例えば、一つ以上の層で基板2をコーティングするといった処理を行う。プロセスステップR1、R2、R3の制御パラメータは、ユーザによって変更できる。
【0038】
本発明によると、測定値は調節フェーズPCとプロセスフェーズPRの全てのステップの間に集められ、これらは測定用のセンサを用いて決定される。この測定データは制御部10の記憶部又は記憶システムに記憶される。
【0039】
本発明によると、“特徴量”は、不変の第一調節ステップC1.1、C1.2、C1.3中に得られる測定値からのみ形成される。この目的のために、“特徴量”を形成する少なくとも一つの値、又は“特徴量”を形成する値のグループが生成されるように、測定値は、適切な方法において相互に関連付けられる。例えば最小値、最大値、そして標準偏差が導出され得る。これは、とりわけ正常と考えられ、過去に実施された多数のプロセスのからの測定値を使用することでなされる。
【0040】
大まかにいえば、特徴量は特有の値になり得る。しかしながら、“特徴量”は、多数の測定値から得られた多数の値から構成されることが好ましい。測定値は、例えば冷却剤温度、排気温度、温度制御槽14の温度、ポンプ温度、ガスフローの割合や圧力を含み得る。これらの測定値から、調節ステップ中に測定系列を形成することができる。これらの測定系列、例えば最小値、最大値、平均、そして標準偏差といったものから統計的な値が導かれる。統計的な値は特徴量の一部となり得る。
【0041】
同一のルールによって決められる現在のプロセスの“特徴量”は、多数の過去のプロセスの評価から形成される過去の“特徴量”と比較することができる。ここで、例えば現在の“特徴量”、つまり“特徴量”を具体化する値が、許容値のウィンドウに存在するか否かをチェックすることができる。
【0042】
現在又は過去の“特徴量”を形成するために使用される測定値は、例えばプロセスチャンバ3の壁、天井又はその他の領域といった、プロセスチャンバ3内で測定される測定値の形態をとることができる。しかしながら、それらは、例えば排気ガスフローにおける、プロセスチャンバの外側で決定される測定値の形態を取ることもできる。
ここで、排気ガスの排気ガス温度又はガス濃度は測定できる。さらにいえば、ポンプ温度、バルブ位置、又は実際のガスフローが“特徴量”を形成する測定値として使用できるように提示される。例えば加熱コイル6を通して流れる冷却剤の温度もまた、測定値として使用される。
【0043】
ガス源7、8、9のいくつかは、温度制御槽に配置することができる。これらの温度制御槽の温度は、“特徴量”を形成するための測定値として使用することができる。
【0044】
装置は制御キャビネットを有することができる。例えば電気部品が配置されたキャビネット、ガス混合システム又はCVDリアクタの搭載若しくは取り外し装置が配置されたキャビネットである。後者において、特徴的な制御キャビネットの温度を測定するセンサを設けることができる。この温度は、“特徴量”の決定において使用することができる。
【0045】
システムは冷却水回路を含むことができ、それを用いて例えばプロセスチャンバ天井やリアクタハウジング1が、冷却される。その冷却水温度は、“特徴量”の方式において使用することもできる。
【0046】
重要なことは、過去の“特徴量”のために使用される調節ステップのパラメータが、現在の“特徴量”が決定される調節ステップのパラメータと同一であることであり、それらのパラメータの測定値から現在の“特徴量”が決定される。
【0047】
上述の方法を用いて、現在の“特徴量”は、所定の統計的ルールに従って評価することができる。特に、現在の“特徴量”がメンテナンスと測定を計画することができるように、ユーザに対して情報を提供する必要があるか否かに関してチェックすることができる。
現在の“特徴量”の、過去の“特徴量”との比較は、このようにルールベースの決定システムにより実行される。ルールに依存し、最新のイベントで記録されたデータのみ、又は遠い過去の調節フェーズからのデータも、評価の考慮に入れる。
【0048】
“特徴量”の形成、そして過去の“特徴量”と現在の“特徴量”の比較においても、使用されるルールは、以下のものを含むことができる。
- 一変量と多変量の値の範囲と、限界値のチェック:
例えば、間隔[y、z]の外側での平均値x、
標準偏差a>b、
間隔[b、c]の内側での平均値a、及び間隔[y、z]の外側での平均値x、
- 先行する調節プロセスからの変更のチェック:
例えば、平均値[n]<平均値[n-1]*0.9
- 先行する調節プロセスにわたった(可変ウィンドウ幅の)スライディングウィンドウに基づく値の範囲のチェック:
例えば、間隔の外側の標準偏差[n](標準偏差[n-1 .. n-10]-0.5;標準偏差[n-1 .. n-10]+0.5)
- 過去のデータに基づいた挿入値の範囲と限界値のチェック
【0049】
メンテナンス又は測定の前後で記録された過去の統計的データの場合において、相違は、ルール違反や、潜在的な誤り警告の結果として発見されることがあり得る。
【0050】
これを予防するために、過去のデータ(例えば移動平均)を考慮する際に、最新のメンテナンスイベントの時点の後に実行されたデータのみが考慮されるように、ルールを定義することができる。
【0051】
ルールを実行するシステムは、いつメンテナンスイベントが実行されたかに関する情報を、より高位の製造制御システムから受け取る。
【0052】
上述のように、典型的な製造サイクルは、代替のプロセスフェーズと調節フェーズを有する。本発明の第一の変更形態において、多数の値が、調節フェーズの調節ステップにおいて得られ、例えば、調節ステップ中の永続的な測定によって記録される。
例えば、温度、フロー、圧力は、少なくとも一つの第一調節ステップにおいて、より長時間にわたり測定することができる。これらの測定値から特徴的な“特徴量”を形成するため、温度平均値、標準偏差、最小値と最大値、は、これらの測定値から計算される。
これらの統計的データは、特徴量を形成し、それにより特徴量は様々な測定値から多数の統計的データを有することができる。
過去の特徴量とこれらの特徴量の比較によって、コーティングされた装置の現在の状態を特徴づけることができる。ここで、過去のデータが、例えば過去における最新の10個の調節フェーズから得られたデータのみから構成されるように提示される。
【0053】
プロセスチャンバは、交換部品の交換のために又はその他の理由のために、そして、メンテナンス目的のためのあらゆるイベントにおいて、開放するように提示される。
プロセスチャンバがこのように開放されているとき、周囲の空気は、プロセスチャンバに入ることができ、それにより、空気に含まれる湿気が、プロセスチャンバの壁上に吸収され得る。メンテナンスイベントの後にプロセスチャンバを調節するために、プロセスチャンバは、真空に近い状態の下で、又はプロセスチャンバに水素が供給されている間に、高温に加熱される。水素はポンプ装置を用いて再び排出される。そのような温度は、700℃と800℃の範囲にある。この加熱は複数のステップにおいて実行される。この加熱は、制御部10に与えられ、とりわけシステム操作者によって修正できないプロセスパラメータに沿って実行される。
【0054】
しかしながら、調節フェーズの代わりに、プロセスフェーズの前に、較正フェーズを実行することもできる。とりわけ、しかしながら、較正フェーズと調節フェーズの両方が、プロセスフェーズの前に実行されるように提示される。
較正フェーズにおいて、複数のタプル値は一つ以上の較正ステップにおいて、サセプタ温度TSとプロセスチャンバ天井温度TCを変更することによって、決定される。それぞれのタプル値はサセプタ温度TS、プロセスチャンバ天井温度TC、及び基板2の表面温度TWの測定値を有する。
【0055】
図6は、CVDリアクタを通る概略断面図を示す。そこで加熱装置6はサセプタ4内部へ熱流H1を生じさせる。基板ホルダ19は、サセプタのポケットに配置される。このホルダは、ガスクッションによって支持され、ガスクッションはパージガスフローQSによって生じる。この方法によってギャップ21は、サセプタ4のポケットの底と基板ホルダ19の下面との間に形成される。第二の熱流H2は、ギャップ21を通り流れる。この熱は、基板ホルダ19を通り、基板ホルダ19上に載置されるサセプタ2を通る。熱流と表示されたH3は、基板2の表面からプロセスチャンバ天井18に向かう。このプロセスチャンバ天井18は、ギャップ20により、冷却装置22から離れて位置する。温度制御ガスはこのギャップ20に位置する。温度制御ガスは、ギャップ20に供給されるパージガスQCから形成され、パージガスQCは相互に異なる熱伝導性を有したガスの混合物である。例えばH
2とN
2である。ギャップ20を通る熱流H4は、パージガスQCの構成の変更によって影響を受け得る。
【0056】
プロセスチャンバ天井18の上方に、冷却装置22が配置され、冷却液によって設定温度にまで下げられる。その冷却剤温度は測定でき、特徴量の形成においても使用される。
【0057】
熱流H1、H2、H3、H4の構成の全ての熱伝導性のバランスによって、サセプタ2の表面温度、つまりは基板温度TW、そしてプロセスチャンバ天井の温度、つまりはプロセスチャンバ天井温度TCが影響を受け得る。
【0058】
符号23で示される第一温度調節装置は、設定値TSoに対してサセプタ4の下面上で測定されるサセプタ温度TSを調節する。これは、加熱装置6に供給される加熱力LSに影響を与えることで行われる。サセプタ温度TS又は加熱力LSは、熱入力パラメータを形成し、それによって、加熱装置6から基板2までの熱流H1、H2,H3は影響される。
【0059】
符号24で示される第二制御ループは、それによって、設定値TCoに対して、プロセスチャンバ天井温度TCが調節される。冷却装置22の冷却剤温度に影響を与えることで行うことができる。しかしながら、これはギャップ20に供給される温度制御ガスQCの混合比の変更によっても行うことができる。温度制御ガスは、例えばH2といった高い熱伝導性を持つガスと、例えばN2といった低い熱伝導性を有するガスの、混合物から構成される。プロセスチャンバ天井温度TC、又は温度制御ガスQCの混合比、又は冷却装置22の冷却能力は、放熱パラメータを形成する。
【0060】
図7は、温度-時間の図表である。
図7は、4つの第一較正又は調節ステップC1.1、C1.2、C1.3、C1.4が連続的に実行されることを示す。これらの較正又は調節ステップC1.1、C1.2、C1.3、C1.4中に、サセプタの下面上で測定されるサセプタ温度TSは、約750℃から約1200℃まで段階的に上昇する。基板温度TWとプロセスチャンバ天井温度TCは並行して測定される。
【0061】
基板温度TWの測定値N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、N11、N12、N13、N14、N15、N16は、サセプタ温度TSよりも低くなることがわかる。サセプタ温度TSはプロセス温度を調節するために用いられる。
【0062】
図7の下方の曲線は、プロセスチャンバ温度TCの情報を示し、4つの較正又は調節ステップのそれぞれにおいて、ギャップ20に供給されるパージガスQCの混合比は時間内で連続して変えられる。測定M1は、プロセスチャンバ天井温度の温度測定である。パージガスQCのH
2/N
2混合におけるH
2含有量は、95%である。測定M2は35%の混合比で、測定M3は65%の混合比で、測定M4は5%の混合比で、得られる。
全部で16個の温度の値TCが得られ、16個の温度の値TWを4つの較正又は調節ステップ中に、得ることができた。較正又は調節ステップのそれぞれにおいて、4つの上記で示したパージガスの成分は、連続的にプロセスチャンバ天井18のギャップ20に供給される。測定M1~M16とN1~N16のそれぞれは、一定の秒数の間にわたって行われる。例えば20秒である。測定の間に、平均値とその他の統計的データが得られる。測定値N1~N16、M1~M16と、加えて計算された統計的データは、CVDリアクタの“温度の特徴量”を表す。
【0063】
加えて、時間の勾配、つまり時間に関する一次導関数は、課題における測定の連続において得られる個々の測定から計算することもできる。これらは上述の方法において統計的に評価される。統計的データは前記の得られた値から計算することもできる。これらは温度の特徴量において含まれる。こうして得られた温度の特徴量は一つ以上の過去の特徴量又は過去の特徴量の平均と比較することができる。
図8はK1、K2、K3、K4からK16により、測定N1/M1、N2/M2...N16/M16を表す測定値のペアを示す。各測定M1、M2...のプロセスチャンバ天井温度TCはX軸に示す。測定された基板温度TWはY軸に描かれる。それがこのようにポイントK1、K2...の位置を決めるのは測定値N1、N2...である。実線は回帰曲線であり、過去の特徴量を表す点線と比較することができる。
【0064】
図9は
図8と同様の提示をしようとしたものである。しかしここで、線形回帰曲線の代わりに、二次回帰曲線が、K1、K2、K3、K4の点を通り、描かれる。この曲線上の点K1、K2、K3、K4は、過去の測定点K’1、K’2、K’3、K’4と比較することができ、そこでの離隔d
1は、サセプタ温度TWのために決定され、そして離隔d
2は、プロセスチャンバ天井温度TCのために決定される。これらの離隔d
1、d
2は、最大値と比較される。仮に離隔d
1、d
2が特定の最大値を超過した場合、CVDリアクタの状態において何かが変わったことを示している。しかしながら、仮に離隔d
1、d
2が、所定値のウィンドウ以内であるならば、CVDリアクタが設定状態にあることを意味すると解される。
【0065】
図7で示されるこの方法は、CVDリアクタ1の温度特性を決定するために、そしてとりわけ特性曲線を構成するためにも使用される。一つ以上のプロセスステップにおいて、基板2が熱処理、とりわけコーティングされるプロセスフェーズ前に実行される較正フェーズにおいて、パラメータが決定され、それを用いて所定の基板温度TWを設定することができる。
図7のC1.1、C1.2、C1.3,C1.4により表されるこれらのステップは、較正ステップを形成する。較正ステップにおいて、温度制御ガスQCの混合比は、サセプタ温度TSの各固定値に修正される。この混合比と冷却装置22の冷却能力は、さらなるパラメータを形成する。これは、多数の異なったサセプタ温度TSのために繰り返される。
それぞれの場合において、この方法で決定される測定値はタプルを形成する。タプルは、以下の要素を含む。セット、そして特に調節された、サセプタ温度TS、温度制御ガスの混合比、又はプロセスチャンバ天井の調節された温度TCと、必要であれば、さらに冷却装置22の冷却能力だけでなく、さらに、必要であれば、サセプタ2への熱流と基板からの放熱に影響を与える熱入力パラメータ又は放熱パラメータである。
【0066】
簡単のために、
図10では2つのパラメータ、 つまりサセプタ温度TSとプロセスチャンバ天井温度TCだけの、基板温度TWへの影響を示す。基板温度TWは、二つの独立変数TCとTSを含む二次元関数Fとして示される。関数Fは、測定されたタプル値によって形成されるグリッドポイント上での(二次元の)面内挿によって、計算される。この方法で得られた“丘状の表面”から、所定の基板温度に最も近くなる値TW1と一致する、つまり、所定の基板温度に一致する点が特定される。前記値TW1はプロセスチャンバ温度の値TC1と、サセプタ温度TSの値TS1に一致する。
【0067】
較正フェーズの後に実行されるプロセスフェーズのプロセスステップにおいて、基板温度TWは前記値TW1に到達し、サセプタ4は、サセプタ温度TS1に調節され、プロセスチャンバ18は、前記温度TC1に調節される。
【0068】
図11は、方式によって定められた、標準特性曲線25を示す。地点26は、標準条件の下で、所定のサセプタ温度TSにおいて、プロセスチャンバ天井温度TC1が、基板温度TW1に導かれる地点である。
標準特性曲線25は曲線のセットの一つの曲線であり、曲線のセットの各曲線は、異なったサセプタ温度TSに一致する。
【0069】
符号25’は、修正された特性曲線を示す。この修正された特性曲線25’は、上述の較正方法によって決定される。この修正された特性曲線25’はまた、曲線のセットの一つの曲線である。曲線のセットは、多数の曲線を有し、それぞれの曲線は、異なったサセプタ温度TSの一つつまり、較正ステップC1.1、C1.2、C1.3、C1.4におけるそれぞれにおいて、記録される。個々の較正ステップC1.1、C1.2、C1.3、C1.4において記録された測定値から、修正された特性曲線25’を示す関数Fの曲線は、内挿法により特定される。逆関数はこの関数Fから導出され得る。それにより、現在のプロセスチャンバ天井温度TC2は、所定の基板温度TW1のために直接決定することができる。
【0070】
基板への熱流と基板からの放熱に影響あるパラメータの選択的な変更によって、較正フェーズ中に、タプル値が決められることは、その他の要素の中で、考えられた有利性である。そのパラメータは、例えば、サセプタ温度TS及び/又はプロセスチャンバ天井温度TCである。タプル値は、さらなる要素としてそれぞれの測定された基板温度を含む。内挿法を用い、これらのタプル値から、多次元関数又は一次元関数のセットが決定される。区間縮小法やテイラー展開、その他の適切な数学的な方法、とりわけ数値的な方法によって、これらの関数又は関数のセットを基にして、パラメータセットが、プロセスステップにおいて所望された基板温度に最も近く又は一致するような基板温度TWに一致するように決定される。
【0071】
較正関数Fを特定するために実行される較正ステップが、調節フェーズの一部である場合には、考えられた特に有利なものである。
【0072】
上記の記述は、全体として本願により包含される発明を説明するためのものであり、少なくとも以下の特徴の組合せにより従来技術を独立して進展させ、これらの特徴の組合せのうち2つ、複数、又はすべてもまた組み合わせることができる。
【0073】
“特徴量”が、測定値から得られる値又は値のグループからも、又はからのみで構成され、測定値は、較正又は調節フェーズPC、PC’の一つ以上の較正又は調節ステップC1.1、C1.2、C1.3中に記録され、較正又は調節フェーズPC、PC’では、それぞれ少なくとも較正又は調節温度Tと較正又は調節圧力Pが設定され、較正又は調節ガスフローQは、方式によって提供される制御データに従って、プロセスチャンバ3に供給されることを特徴とする方法。
【0074】
“特徴量”が、較正又は調節フェーズ一つ以上のPC、PC’の一つ以上の較正又は調節ステップC1.1、C1.2、C1.3中に記録される測定値から得られる値、又は値のグループからも構成、又はからのみで構成され、較正又は調節フェーズPC、PC’では、それぞれ少なくとも較正又は調節温度Tと較正又は調節圧力Pが設定され、較正又は調節ガスフローQは、方式によって提供される制御データに従って、プロセスチャンバ3に供給されることを特徴とする装置。
【0075】
較正又は調節ステップが、第一較正又は調節ステップC1.1、C1.2、C1.3と、第二較正又は調節ステップC2.1、C2.2を有し、“特徴量”が、第一較正又は調節ステップC1.1、C1.2、C1.3中に記録される測定値から得られる値又は値のグループのみから構成され、第一較正又は調節ステップC1.1、C1.2、C1.3の制御データが、不変の方法で、制御部10に記憶されることを特徴とする方法又は装置。
【0076】
測定値が、プロセスチャンバの内側か外側で測定される物理量の値であって、特に制御水温度、温度制御槽14の温度制御槽温度、流量、ポンプの温度、ガスライン又は液体ライン、排気ガスフロー内の温度又はガス濃度値、又は制御キャビネットの排気17又は同様のものであることを特徴とする方法又は装置。
【0077】
一つ以上の第一較正又は調節ステップC1、C2、C3、C4の少なくとも一つがクリーニングステップであり、クリーニングガスが特に例えば塩素といったハロゲン、又は例えばアンモニアといった水素化物を含み、それがプロセスチャンバ内に供給されることを特徴とする方法又は装置。
【0078】
とりわけより古いプロセスの測定値の統計的評価によって得られる“特徴量”、とりわけ過去の“特徴量”であって、統計的な平均値、最小値、最大値、及び/又は、標準偏差が決められることを特徴とする方法又は装置。
【0079】
一つ以上の第一調節ステップC1.1、C1.2、C1.3の少なくとも一つが温度制御ステップであり、当該ステップでは、例えば水素といった温度制御ガスが、上昇した温度、特に700℃~1200℃の範囲において、プロセスチャンバに供給されることを特徴とする方法又は装置。
【0080】
調節フェーズPCが、各プロセスフェーズPRの前後に実行され、その間に“特徴量”が得られることを特徴とする方法又はデバイス。
【0081】
一つ以上の第一調節ステップC1.1、C1.2、C1.3を有する調節ステップPCが、先行するメンテナンスイベントWの後に実行され、かつ/又は、一つ以上の第一較正又は調節ステップC1.1、C1.2、C1.3を有する較正又は調節ステップが、先行するメンテナンスイベントWの後に実行され、メンテナンスイベントの間に周囲の空気が、プロセスチャンバ3内に入り、一つ以上の測定値から得られる“特徴量”が、“温度の特徴量”であることを特徴とする方法又は装置。
【0082】
現在の“特徴量”と過去の“特徴量”との比較が、ルールベースの決定システムに従って実行されることを特徴とする方法又は装置。
【0083】
少なくとも一つの“特徴量”の値が、経時的に連続して得られる一連の測定値から計算され、とりわけ時間に関する微分係数が、測定値から形成されることが提示されることを特徴とする方法又は装置。
【0084】
プロセスフェーズに時間的に先行する較正フェーズにおける、複数の較正ステップC1.1、C1.2、C1.3において、多数のタプル値が決定され、それぞれにおいてこれらの値を生じさせる、第一パラメータTS、LSの値、第二パラメータTS、QCの値、基板表面の実際の温度TWを有し、多数のタプル値から、少なくとも一つのパラメータによって、実際の温度を表す関数Fが、内挿法によって形成され、この関数から少なくとも一つのパラメータTC,QC;TS、LSの値TW1が得られ、それが所定の基板温度に最も近い基板表面の実際の温度TWと相関する。
【0085】
熱入力パラメータが、サセプタ設定温度TSoであり、それに対して第一制御ループ23は、サセプタの実際の温度TSを加熱装置6又は加熱力LSに供給される加熱力LSの変化によって調節し、かつ/又は、放熱パラメータが冷却装置22の設定温度と、冷却装置22とプロセスチャンバ天井18の間のギャップ20に供給され、異なる熱伝導性を有する二つのガスからなる温度制御ガスの混合比と、又はプロセスチャンバ天井の設定温度TSoであって、これに対して第二制御ループ24がプロセスチャンバ天井の実際の温度TCを調節することを特徴とする方法。
【0086】
内挿法を実行するために、一次元又は多次元の関数が形成され、そのグリッドポイントがタプル値を形成することを特徴とする方法。
【0087】
複数の第一較正又は調節ステップが、相互に直接認識しあい、特に複数の較正又は調節ステップが、段階的な方法での段階的な温度の上昇又は下降において、実行される、かつ/又は冷却パラメータを変更することを提示することを特徴とする方法。
【0088】
測定値が、基板温度TWとプロセスチャンバ天井温度TCを含み、較正又は調節フェーズPCにおいて、温度TSと熱伝導が、加熱装置6から冷却デバイス22までの熱流H1、H2、H3、H4において連続的に修正されることを特徴とする方法。
【0089】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号が付与された、及び/又は符号の説明で特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、又は技術的に同じ効果を有する他の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されない実施形態に関する。
【符号の説明】
【0090】
1 CVDリアクタ
2 基板
3 プロセスチャンバ
4 サセプタ
5 ガス入口
6 加熱装置
7 ガス源
8 ガス源
9 ガス源
10 制御部
11 スロットルバルブ
12 真空ポンプ
13 液体源
14 温度制御槽
15 キャビネット
16 給気
17 排気
18 プロセスチャンバ天井
19 基板ホルダ
20 ギャップ
21 ギャップ
22 冷却装置
23 第一制御ループ
24 第二制御ループ
25 標準特性曲線
25’修正特性曲線
26 ポイント
26’ ポイント
d1 離隔
d2 離隔
t 時間
C1.1 第一較正/調節ステップ
C1.2 第一較正/調節ステップ
C1.3 第一較正/調節ステップ
C2.1 第二較正/調節ステップ
C2.2 第二較正/調節ステップ
F 関数
H1 熱流
H2 熱流
H3 熱流
H4 熱流
K1..K16 測定値
K1’ ..K16’ 過去の測定値
LS 加熱力
M1..M16 測定値
N1..N16 測定値
P 圧力
P1 第一パラメータ
P2 第二パラメータ
PC 調節フェーズ
PC’調節フェーズ
PR プロセスフェーズ
Q プロセスガスフロー
QC パージガス
QS パージガス
R1 プロセスステップ
R2 プロセスステップ
R3 プロセスステップ
TS サセプタ温度
TC 天井温度
TW 基板温度
【国際調査報告】