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特表2022-526139有機ケイ素化合物、エフェクト顔料および皮膜形成ポリマーIIIの使用を含むケラチン質物質の染色方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(54)【発明の名称】有機ケイ素化合物、エフェクト顔料および皮膜形成ポリマーIIIの使用を含むケラチン質物質の染色方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20220516BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220516BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/81
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556638
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2020056806
(87)【国際公開番号】W WO2020187731
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】102019203670.8
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーザー,ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】コロンコ,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】クリーナー,カロリーネ
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー,ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォトニィ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】シェープゲンス,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヤイザー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マティアシク,カーステン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB082
4C083AB211
4C083AB221
4C083AC302
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB25
4C083CC36
4C083DD39
4C083EE06
4C083EE26
(57)【要約】
本発明の主題は、以下の:
-剤(a)をケラチン質物質に適用する工程であって、該剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む工程、ならびに
-剤(b)を該ケラチン質物質に適用する工程であって、該剤(b)は:
(b1)真空金属蒸着顔料を含む少なくとも1種の基材プレートレットベース顔料を含む少なくとも1種の着色料化合物、および
(b2)少なくとも1種の皮膜形成ポリマー
を含む工程
を含む、ケラチン質物質、特に人毛をカラーリングするための方法である。また、本出願は、この2種の剤(a)および(b)を別々にパッケージングされた2つの容器内に備える多成分パッケージユニットも開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
-剤(a)をケラチン質物質に適用する工程であって、該剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物
を含む工程、ならびに
-剤(b)を該ケラチン質物質に適用する工程であって、該剤(b)は:
(b1)真空金属蒸着顔料を含む少なくとも1種の基材プレートレットベース顔料を含む少なくとも1種の着色料化合物、および
(b2)少なくとも1種の皮膜形成ポリマー
を含む工程
を含む、ケラチン質物質、特に人毛を染色するための方法。
【請求項2】
前記剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物が好ましくは1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能部と1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剤(a)が、式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
N-L-Si(OR(R(I)、
式中
-R、Rは独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-Lは直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基であり、
-Rは水素原子またはC~Cアルキル基であり、
-RはC~Cアルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは3-aの整数であり、
ここで、式(II)の有機ケイ素化合物において
(RO)(RSi-(A)-[NR-(A’)]-[O-(A’’)]-[NR-(A’’’)]-Si(R’)d’(OR’)c’(II)、
-R5、R5’、R5’’は独立して、水素原子またはC16アルキル基を表し、
-R6、R6’およびR6’’は独立して、C16アルキル基を表し、
-A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は独立して、直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基を表し、
-RおよびRは独立して、水素原子、C~Cアルキル基、ヒドロキシC~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、アミノC~Cアルキル基または式(III)の基を表し、
-(A’’’’)-Si(R’’)’’(OR’’)’’(III)、
-cは1~3の整数を表し、
-dは3-cの整数を表し、
-c’は1~3の整数を表し、
-d’は3-c’の整数を表し、
-c’’は1~3の整数を表し、
-d’’は3-c’’の整数を表し、
-eは0または1を表し、
-fは0または1を表し、
-gは0または1を表し、
-hは0または1を表す、
ただし、e、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なるものとする
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記剤(a)が式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
N-L-Si(OR(R(I)、
式中
-R、Rはともに水素原子を表し、
-Lは直鎖の二価のC~C-アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
-Rは水素原子、エチル基またはメチル基を表し、
-Rはメチル基またはエチル基を表し、
-aは数値3を表し、
-bは数値0を表す
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記剤(a)が、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール、および
・これらの混合物
からなる群より選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記剤(a)が式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
(RO)(RSi-(A)-[NR-(A’)]-[O-(A’’)]-[NR-(A’’’)]-Si(R’)d’(OR’)c’(II)、
式中
-eおよびfはともに数値1を表し、
-gおよびhはともに数値0を表し、
-AおよびA’は独立して、直鎖の二価のC~Cアルキレンを表し、
-R7は水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記剤(a)が、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および
・これらの混合物
からなる群より選択される式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記剤(a)が式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
Si(OR10(R11(IV)、
式中
-RはC~C18アルキル基を表し、
-R10は水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-R11はC~Cアルキル基を表し、
-kは1~3の整数であり、
-mは3-kの整数を表す
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記剤(a)が、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシラン
・オクタデシルトリエトキシシラン、および
・これらの混合物
からなる群より選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記基材プレートレットが、金属、金属合金および金属酸化物からなる群より選択される材料を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記基材プレートレットがアルミニウムを含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記基材プレートレットが、最大でも1.8の屈折率を有する少なくとも1種の低屈折率の金属酸化物および/または金属酸化物水和物のコーティングAを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記基材プレートレットが、少なくとも1.9の屈折率を有する少なくとも1種の高度に屈折性の金属酸化物のコーティングBを含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記基材プレートレットが、下地コーティングBと異なる少なくとも1種の金属酸化物および/または金属酸化物水和物のさらなるコーティングCを有することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
別々にパッケージングされた
-剤(a)を含む第1の容器であって、該剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む第1の容器、ならびに
-剤(b)を含有する第2の容器であって、該剤(b)は:
(b1)真空金属蒸着顔料を含む少なくとも1種の基材プレートレットベース顔料を含む少なくとも1種の着色料化合物、および
-(b2)少なくとも1種の皮膜形成ポリマー
を含む第2の容器
を含む、ケラチン質物質を染色するためのキット・オブ・パーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、異なる2種の剤(a)および(b)の適用を含む、ケラチン質物質、特に人毛を染色するための方法である。剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。剤(b)は、少なくとも1種の選択された顔料を含む少なくとも1種の着色化合物を含む。
【0002】
本出願の第2の主題は、異なる2つの容器内に別々にパッケージングされた剤(a)および(b)を備える、ケラチン質物質、特に人毛をカラーリングするための多成分パッケージユニット(キット・オブ・パーツ)である。
【背景技術】
【0003】
ケラチン質物質、特に人毛の形状および色を変えることは現代の化粧料の重要な領域である。毛髪の色を変えるために、専門家は、カラーリング要件に応じた種々の着色システムを知っている。酸化染料は通常、パーマや、しっかりとした染色のために使用され、良好な堅牢特性を有し、良好に白髪がカバーされる。かかる着色料は、酸化染料前駆体、いわゆるデベロッパー成分とカプラー成分を含有しており、これらは過酸化水素などの酸化剤の影響下において両者間で実際の染料を形成する。酸化染料は非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0004】
直接染料を使用する場合、既製の染料は着色料から毛髪繊維内へと拡散する。酸化的な毛染めと比べて、直接染料で得られる染色は色持ちが短く、すぐに洗い流される。直接染料での染色が毛髪上に残存する期間は、通常、洗髪5回~20回までである。
【0005】
着色顔料の使用は、毛髪および/または皮膚に対して短期間の色変化をもたらすことが知られている。着色顔料は一般的には不溶性のカラーリング物質であると理解されている。これは、小粒子の形態で染料配合物中に未溶解の状態で存在し、毛髪繊維および/または皮膚表面の外面に堆積されているにすぎない。したがって、これは、通常、界面活性剤を含有する洗浄剤で数回洗い流すことによって、残存することなく、また除去できる。このタイプの種々の製品が、ヘアマスカラという名称で市場において入手可能である。
【0006】
ユーザーが特に長持ちする髪のカラーリングを望む場合、これまでは酸化的染料の使用が唯一の選択肢であった。しかしながら、数多くの最適化の試みにもかかわらず、酸化的毛染めにおける不快なアンモニア臭やアミン臭は完全には回避することができない。また、酸化的染料の使用に依然として伴う毛髪へのダメージもユーザーの毛髪に対してマイナス効果を有する。したがって、代替的な高性能染色方法の研究は継続的な課題である。
【0007】
欧州特許第2168633号明細書では、顔料を用いた長持ちする髪の着色をもたらすための課題に対処している。この文献には、顔料、有機ケイ素化合物、疎水性ポリマーおよび溶剤の組合せを毛髪に対して使用した場合、洗髪に対して特に耐久性があるといえる着色をもたらすことが可能であることが教示されている。
【0008】
金属光沢顔料またはメタリック調エフェクト顔料が多くの技術分野で広く使用されている。これらは、例えば、コーティング、印刷用インク、インク、プラスチック、ガラス、セラミック製品、およびマニキュア液などの装飾用化粧料のための調製物を彩色するために使用される。これらは、とりわけ、角度依存性の魅力的な色感(ゴニオクロミズム)および金属のようにみえる光沢を特徴とする。
【0009】
メタリック仕上げまたはメタリックなハイライトを有する毛髪が流行っている。メタリックな色調は髪をより多く、より輝いて見せる。
【0010】
一方において高い洗い流し堅牢性および摩擦堅牢性を有し、他方において、まとまりやすさおよび感触などの毛髪特性にマイナスの影響を及ぼさない、エフェクト顔料を有する毛髪染料を提供する必要性が存在している。この目的のためには、使用されるエフェクト顔料が高い染着力を有し、毛髪に薄い層で適用可能であることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第2168633号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、酸化的染色と同等の堅牢特性を有する染色システムを提供することであった。特に、洗い流し堅牢性および摩擦堅牢特性は卓越しているべきであるが、通常この目的に使用される酸化染料前駆体の使用は回避されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、ここに、この課題は、ケラチン質物質、特に人毛を、少なくとも2種の剤(a)および(b)をケラチン質物質(毛髪)に適用する方法によってカラーリングすると見事に解決できることがわかった。ここで、剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、剤(b)は少なくとも1種の選択された顔料(b1)および皮膜形成ポリマー(b2)を含む。
【0014】
この2種の剤(a)および(b)を染色方法において使用した場合、ケラチン質物質を特に高い堅牢性で染色することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の目的は、以下の:
-剤(a)をケラチン質物質に適用する工程であって、該剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む工程、ならびに
-剤(b)を該ケラチン質物質に適用する工程であって、該剤(b)は:
(b1)真空金属蒸着顔料を構成する基材プレートレットベースの少なくとも1種の顔料を含む少なくとも1種の着色化合物、および
(b2)少なくとも1種の皮膜形成ポリマー
を含む工程
を含む、ケラチン質物質、特に人毛をカラーリングするための方法である。
【0016】
ケラチン質物質
ケラチン質物質として、毛髪、皮膚、爪(例えば、指の爪および/または足指の爪)が挙げられる。また、ウール、毛皮および羽毛もケラチン質物質の定義に含まれる。
【0017】
好ましくは、ケラチン質物質は、人毛、人間の皮膚ならびに人間の爪、特に指の爪および足指の爪であると理解されたい。ケラチン質物質は人毛であると理解されたい。
【0018】
剤(a)および(b)
本発明による手順において、剤(a)および(b)は、ケラチン質物質、特に人毛に適用される。この2つの手段(a)および(b)は互いに異なる。
【0019】
したがって、以下の:
-剤(a)をケラチン質物質に適用する工程であって、該剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む工程、ならびに
-剤(b)を該ケラチン質物質に適用する工程であって、該剤(b)は:
(b1)真空金属蒸着顔料を含む少なくとも1種の基材プレートレットベース顔料を含む少なくとも1種の色彩形成化合物、および
(b2)少なくとも1種の皮膜形成ポリマー
を含む工程を含み、
この2つの手段(a)および(b)は互いに異なる、ケラチン質物質、特に人毛を染色するための方法を開示する。
【0020】
剤(a)
剤(a)は、これが、少なくとも1種の有機ケイ素化合物、特に少なくとも1種の有機シランを含んでいることを特徴とする。剤(a)に含まれる有機ケイ素化合物または有機シランは反応性化合物である。
【0021】
組成物(a)は、有機ケイ素化合物、特に有機シランを、水和型、低水分量または無水状態であり得る化粧料用担体中に含む。また、化粧料用担体は、液状、ゲル様、クリーム状、ペースト状、粉末状またはさらには固形(例えば、錠剤もしくは圧縮された製剤品の形態)であってもよい。好ましくは、製剤品(a)の化粧料用担体は水性または水性-アルコール性の担体である。毛髪のカラーリングのためには、かかる担体は、例えばクリーム、乳剤、ゲルあるいはまた、界面活性剤含有起泡性溶液、例えばシャンプー、エアロゾルフォーム、フォーム配合物または毛髪への適用に適した他の調製物である。
【0022】
化粧料用担体は好ましくは水を含み、これは、該担体がその重量に対して少なくとも2重量%の水を含むことを意味する。好ましくは、水分含有量は5重量%超、さらに好ましくは10重量%超、さらにより好ましくは15重量%超である。また、化粧料用担体は水性アルコール性の場合がある。本発明の状況における水性/アルコール性溶液は、2~70重量%のC~Cのアルコール、より具体的にはエタノールまたはイソプロパノールを含有する水溶液である。該剤は、他の有機溶剤、例えばメトキシブタノール、ベンジルアルコール、エチルジグリコールまたは1,2-プロピレングリコールをさらに含有してもよい。好ましいのはすべて水溶性の有機溶剤である。
【0023】
用語「カラーリング剤」は、本発明との関連において、顔料および/または直接染料を用いてケラチン質物質、特に人毛のカラーリングをもたらすものを示すために使用する。このカラーリング方法の間、着色化合物は、特に均一で平滑な皮膜の状態でケラチン質物質の表面上に堆積されるか、またはケラチン質繊維中に拡散される。皮膜は、有機ケイ素化合物のオリゴマー化または重合によって、および有機ケイ素化合物と着色料化合物との相互作用によってインサイチュで形成される。
【0024】
有機ケイ素化合物
本発明の必須成分として、剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。好ましい有機ケイ素化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される。
【0025】
有機ケイ素化合物は、択一的に有機ケイ素化合物とも称され、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有するか、または炭素がケイ素原子に酸素、窒素もしくはイオウ原子を介して結合しているかのいずれかである化合物である。本発明の有機ケイ素化合物は好ましくは、1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は好ましくは1個または2個のケイ素原子を含有するものである。
【0026】
剤(a)は、特に好ましくは、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む。
【0027】
IUPAC規則によれば、シランという用語は、ケイ素骨格と水素を主体とする一群の化学物質化合物を表す。有機シランでは、水素原子が完全に、または一部、有機基、例えば(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基で置き換えられている。また、有機シランでは、一部の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられてもよい。
【0028】
特に好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)をケラチン質物質に適用することであって、該剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0029】
剤(a)は、特に好ましくは、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能部と1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む。
【0030】
非常に特に好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)をケラチン質物質に適用することであって、前記剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むこと、前記有機ケイ素化合物が1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能部と1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含むことを特徴とする。
【0031】
この塩基性の基は、例えばアミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であってよく、これは好ましくはケイ素原子にリンカーを介して連結されている。好ましくは、塩基性の基はアミノ基、C~Cアルキルアミノ基またはジ(C~C)アルキルアミノ基である。
【0032】
加水分解性基は好ましくはC~Cアルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合している場合が好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は好ましくは、構造単位R’R’’R’’’Si-O-CH-CHを含む。R’基、R’’基およびR’’’基は、ケイ素原子の残りの3つの結合に使用されていない原子価を表す。
【0033】
非常に特に好ましい方法の一例は、剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、好ましくは該有機ケイ素化合物が1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能部と1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0034】
特に良好な結果は、剤(a)が式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合に得られた。
【0035】
別の非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)をケラチン質物質または人毛に適用し、該剤(a)が、式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a)を含み、
N-L-Si(OR(R (I)、
式中
-R、Rは独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-Lは直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基であり、
-Rは水素原子またはC~Cアルキル基であり、
-RはC~Cアルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは3-aの整数を表す、
(RO)(RSi-(A)-[NR-(A’)]-[O-(A’’)]-[NR-(A’’’)]-Si(R’)d’(OR’)c’ (II)、
式中
-R5、R5’、R5’’は独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-R6、R6’およびR6’’は独立して、C~Cアルキル基を表し、
-A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は互いに独立して、直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基を表し、
-RおよびRは独立して、水素原子、C~Cアルキル基、ヒドロキシC~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、アミノC~Cアルキル基または式(III)の基を表し、
-(A’’’’)-Si(R’’)’’(OR’’)’’(III)、
-cは1~3の整数を表し、
-dは3-cの整数を表し、
-c’は1~3の整数を表し、
-d’は3-c’の整数を表し、
-c’’は1~3の整数を表し、
-d’’は3-c’’の整数を表し、
-eは0または1を表し、
-fは0または1を表し、
-gは0または1を表し、
-hは0または1を表す、
-ただし、e、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なるものとすることを特徴とする。
【0036】
式(I)および(II)の化合物内の置換基R、R、R、R、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R、L、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’を以下に一例として説明する。
【0037】
~Cアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基ならびにn-ヘキシル基である。プロピル、エチルおよびメチルが好ましいアルキル基である。C~Cアルケニル基の例はビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC~Cアルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC~Cアルキル基の好ましい例はヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC~Cアルキル基の例はアミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖の二価のC~C20アルキレン基の例として、メチレン基(-CH)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)およびブチレン基(-CH-CH-CH-)が挙げられる。プロピレン基(-CH-CH-CH-)が特に好ましい。また、3個のC原子の鎖長から、二価のアルキレン基は分枝鎖であってもよい。分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基の例は(-CH-CH(CH)-)および(-CH-CH(CH)-CH-)である。
【0038】
式(I)の有機ケイ素化合物において、
N-L-Si(OR(R (I)、
基およびR基は互いに独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表す。特に、R基およびR基はともに水素原子を表す。
【0039】
有機ケイ素化合物の中央部分には、直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基を表す構造単位またはリンカー-L-が存在する。
【0040】
好ましくは、-L-は直鎖の二価のC~C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは-L-は直鎖の二価のC~Cアルキレン基を表す。特に好ましい-Lは、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン(-CH-CH-CH-CH-)を表す。Lはプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0041】
式(I)の有機ケイ素化合物
N-L-Si(OR(R (I)、
各々の一端はケイ素含有基-Si(OR(Rを担持している
【0042】
末端の構造単位-Si(OR(Rでは、Rは水素またはC~Cアルキル基であり、RはC~Cアルキル基である。特に好ましくは、RおよびRは互いに独立して、メチル基またはエチル基を表す。
【0043】
ここで、aは1~3の整数を表し、bは3-aの整数を表す。aが数値3を表すならば、bは0となる。aが数値2を表すならば、bは1となる。aが数値1を表すならば、bは2となる。
【0044】
剤(a)が、R3基、R4基が互いに独立してメチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合、最良の洗い流し堅牢性を有する染色を得ることができた。
【0045】
さらに、剤(a)が、残基のaが数値3を表す式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合、最良の洗い流し堅牢性を有する染色を得ることができた。この場合、残りのbは数値0を表す。
【0046】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)が、
式中において
-R、Rが互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-aが数値3を表し、
-bが数値0を表す、
式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0047】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)が、
N-L-Si(OR(R (I)、
式中において
-R、Rはともに水素原子を表し、
-Lは、直鎖の二価のC~C-アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
-Rは水素原子、エチル基またはメチル基を表し、
-Rはメチル基またはエチル基を表し、
-aが数値3を表し、
-bが数値0を表す、
式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0048】
bが0である場合、R基は式(I)の化合物内に存在しない。
【0049】
したがって、さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、
N-L-Si(OR(R (I)、
式中において
-R、Rはともに水素原子を表し、
-Lは、直鎖の二価のC~C-アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
-Rは水素原子、エチル基またはメチル基を表し、
-aが数値3を表し、
-bが数値0を表す、
式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0050】
本課題を解決するのに特に好適な式(I)の有機ケイ素化合物は
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-1-(2-アミノエチル)シラントリオール
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
-1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
である。
【0051】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール、
およびその混合物
からなる群より選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0052】
式(I)の有機ケイ素化合物は市販されている。
【0053】
例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランはSigma-Aldrichから購入することができる。また、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもSigma-Aldrichから市販されている。
【0054】
さらなる一実施形態において、剤(a)は、式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物
(RO)(RSi-(A)-[NR-(A’)]-[O-(A’’)]-[NR-(A’’’)]-Si(R’)d’(OR’)c’ (II)
を含む。
【0055】
式(II)の有機ケイ素化合物は各々、その2つの末端にケイ素含有基(RO)(RSi-および-Si(R’)d’(OR’)c’を担持している。
【0056】
式(II)の分子の中心部分には、-(A)-基および-[NR-(A’)]-基および-[O-(A’’)]-基および-[NR-(A’’’)]-基が存在している。ここで、残基のe、f、gおよびhの各々は互いに独立して、数値0または1を表すことができるが、残基のe、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なるものとする。換言すると、本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR-(A’’’)]-からなる群からの少なくとも1つの基を含む。
【0057】
2つの末端の構造単位(RO)(RSi-および-Si(R’)d’(OR’)c’において、R5、R5’、R5’’の基は互いに独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表す。R6、R6’およびR6’’の基は独立して、C~Cアルキル基を表す。
【0058】
ここで、aは1~3の整数を表し、dは3-cの整数を表す。cが数値3を表すならば、dは0となる。cが数値2を表すならば、dは1となる。cが数値1を表すならば、dは2となる。
【0059】
同様に、c’は自然数1~3を表し、d’は3-c’の自然数を表す。c’が数値3を表すならば、d’は0である。c’が数値2を表すならば、d’は1である。c’が数値1を表すならば、d’は2である。
【0060】
残基のcおよびc’がともに数値3を表す場合に最良の洗い流し堅牢性の値を有する染色を得ることができた。この場合、dおよびd’はともに数値0を表す。
【0061】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)が、
(RO)(RSi-(A)-[NR-(A’)]-[O-(A’’)]-[NR-(A’’’)]-Si(R’)d’(OR’)c’ (II)、
式中において
-R5およびR5’が独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-cおよびc’がともに数値3を表し、
-dおよびd’がともに数値0を表す、
式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0062】
cおよびc’がともに数値3であり、dおよびd’がともに数値0であるならば、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIa)
(RO)Si-(A)-[NR-(A’)]-[O-(A’’)]-[NR-(A’’’)]-Si(OR’) (IIa)
に相当する。
【0063】
残基のe、f、gおよびhは独立して、数値0または1を表すことができ、このとき、e、f、gおよびhのうち少なくとも1つの残基のものはゼロと異なる。したがって、略号e、f、gおよびhにより、-(A)-および-[NR7-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR8-(A’’’)]-のうちのどの基が式(II)の有機ケイ素化合物の中央部分に存在するかが規定される。
【0064】
これとの関連において、一部の特定の基の存在が耐水洗性の増大の点において特に有益であることがわかった。特に良好な結果が、残基のe、f、gおよびhのうち少なくとも2つが数値1を表す場合に得られた。特に好ましいeおよびfはともに数値1を表す。さらに、gおよびhはともに数値0を表す。
【0065】
eおよびfがともに数値1を表し、gおよびhがともに数値0を表す場合、有機ケイ素化合物は、式(IIb)
(RO)(RSi-(A)-[NR-(A’)]-Si(R’)d’(OR’)c’ (IIb)
に相当する。
【0066】
A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’の基は独立して、直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基を表す。好ましくは、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’の基は互いに独立して、直鎖の二価のC~C20アルキレン基を表す。さらに好ましくはA、A’、A’’、A’’’およびA’’’’の基は独立して、直鎖の二価のC~Cアルキレン基を表す。特に、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’の基は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。特に、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’の基はプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0067】
残基のfが数値1を表すならば、本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は構造-[NR-(A’)]-の基を含む。
【0068】
残基のfが数値1を表すならば、本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は構造-[NR-(A’’’)]-の基を含む。
【0069】
式中において、RおよびRは独立して、水素原子、C~Cアルキル基、ヒドロキシ-C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、アミノ~C~Cアルキル基または式(III)の基
-(A’’’’)-Si(R’’)’’(OR’’)’’(III)
を表す。
【0070】
非常に好ましくは、RおよびRは独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0071】
残基のfが数値1を表し、残基のhが数値0を表す場合、本発明による有機ケイ素化合物は[NR-(A’)]基を含むが-[NR-(A’’)]基は含まない。また、R7基が式(III)の基を表す場合、剤(a)は、3つの反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0072】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)が、式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
(RO)(RSi-(A)-[NR-(A’)]-[O-(A’’)]-[NR-(A’’’)]-Si(R’)d’(OR’)c’ (II)、
式中
-eおよびfはともに数値1を表し、
-gおよびhはともに数値0を表し、
-AおよびA’は独立して、直鎖の二価のC~Cアルキレン基を表し、
-R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す、
ことを特徴とする。
【0073】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、式中において
-eおよびfはともに数値1を表し、
-gおよびhはともに数値0を表し、
-AおよびA’は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)またはプロピレン基(-CH-CH-CH)を表し、
-R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す
式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0074】
本課題を解決するのに適切な式(II)の有機ケイ素化合物は
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
である。
【0075】
式(II)の有機ケイ素化合物は市販されている。
【0076】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンはSigma-Aldrichから購入することができる。
【0077】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えばSigma-Aldrichから購入することができる。
【0078】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは択一的にビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンと称され、市販品としてSigma-AldrichまたはFluorochemから購入することができる。
【0079】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えばFluorochemまたはSigma-Aldrichから購入することができる。
【0080】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)が、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群より選択される式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0081】
また、さらなる染色試行において、該方法でケラチン質物質に適用される剤(a)が式(IV)
Si(OR10(R11 (IV)
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合が特に好適であることがわかった。
【0082】
また、式(IV)の有機ケイ素化合物は、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランと称される場合もあり、
Si(OR10(R11 (IV)、
式中
-RがC~C18アルキル基を表し、
-R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-R11がC~Cアルキル基を表し、
-kが1~3の整数であり、
-mは3-kの整数を表す。
【0083】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)が式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、
Si(OR10(R11 (IV)、
式中
-RがC~C18アルキル基を表し、
-R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-R11がC~Cアルキル基を表し、
-kが1~3の整数であり、
-mは3-kの整数を表す
ことを特徴とする。
【0084】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、式(I)の有機ケイ素化合物に加えて式(IV)の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
Si(OR10(R11 (IV)、
式中
-RがC~C18アルキル基を表し、
-R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-R11がC~Cアルキル基を表し、
-kが1~3の整数であり、
-mは3-kの整数を表す
ことを特徴とする。
【0085】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、式(II)の有機ケイ素化合物に加えて式(IV)の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
Si(OR10(R11 (IV)、
式中
-RがC~C18アルキル基を表し、
-R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-R11がC~Cアルキル基を表し、
-kが1~3の整数であり、
-mは3-kの整数を表す
ことを特徴とする。
【0086】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物に加えて式(IV)の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含み、
Si(OR10(R11 (IV)、
式中
-RがC~C18アルキル基を表し、
-R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
-R11がC~Cアルキル基を表し、
-kが1~3の整数であり、
-mは3-kの整数を表す
ことを特徴とする。
【0087】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、R基はC~C18アルキル基を表す。このC~C18アルキル基は飽和型であり、直鎖または分枝鎖であり得る。好ましくは、Rは直鎖C~C18アルキル基を表す。好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基またはn-オクタデシル基を表す。特に好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-ヘキシル基またはn-オクチル基を表す。
【0088】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、R10基は水素原子またはC~Cアルキル基を表す。非常に好ましいR10はメチル基またはエチル基を表す。
【0089】
形態(IV)の有機ケイ素化合物において、R11基はC~Cアルキル基を表す。R11はメチル基またはエチル基を表す。
【0090】
さらに、kは自然数1~3を表し、mは3-kの自然数を表す。kが数値3を表すならば、mは0となる。kが数値2を表すならば、mは1となる。kが数値1を表すならば、mは2となる。
【0091】
式中において残基のkが数値3である式(IV)に相当する少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含有する剤(a)を該方法に使用した場合に最良の洗い流し堅牢性を有する染色が得られた。この場合、残りのmは数値0を表す。
【0092】
本発明による課題を解決するのに特に好適な式(IV)の有機ケイ素化合物は
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-n-ヘキシルトリメトキシシラン
-n-ヘキシルトリエトキシシラン
-n-オクチルトリメトキシシラン
-n-オクチルトリエトキシシラン
-n-ドデシルトリメトキシシラン、および/または
-n-ドデシルトリエトキシシラン
n-オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはn-オクタデシルトリエトキシシランである。
【0093】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシラン、および/または
・オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群より選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0094】
本発明に至る研究の過程において、剤(a)は互いに構造的に異なる2種の有機ケイ素化合物を含む場合であっても、ケラチン質物質上に特に安定で一様な皮膜を得ることできることがわかった。
【0095】
別の好ましい実施形態において、本発明による方法は、剤(a)が、構造的に異なる少なくとも2種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0096】
好ましい一実施形態において、該方法は、少なくとも1種の式(I)の有機シリコーン化合物と式(IV)の少なくとも1種の有機シリコーン化合物を含む剤(a)をケラチン質物質に適用することを特徴とする。
【0097】
明白に相当に特に好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)をケラチン質物質に適用すること、該剤が、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群より選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群より選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0098】
上記の有機ケイ素化合物は反応性化合物である。これとの関連において、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して1種以上の有機ケイ素化合物を0.1~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、特に好ましくは5.0~10重量%の総量で含む場合が好ましいことがわかった。
【0099】
これとの関連において、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して1種以上の式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を0.1~20重量%、好ましくは0.2~15重量%、特に好ましくは0.2~3重量%の総量で含む場合が特に好ましいことがわかった。
【0100】
剤(a)が、剤(a)の総重量に対して1種以上の式(IV)の有機ケイ素化合物を0.1~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で含む場合が特に好ましいことがさらにわかった。
【0101】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して:
-0.5~5重量%%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種の第1の有機ケイ素化合物(a1)、ならびに
-3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種の第2の有機ケイ素化合物(a1)
を含むことを特徴とする。
【0102】
この実施形態において、剤(a)は第1の群の1種以上の有機ケイ素化合物を0.5~3重量%の総量で含む。この第1の群の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群より選択される。
【0103】
この実施形態において、剤(a)は第2の群の1種以上の有機ケイ素化合物を3.2~10重量%の総量で含む。この第2の群の有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはオクタデシルトリエトキシシランからなる群より選択される。
【0104】
少量の水の添加であっても、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の加水分解がもたらされる。加水分解生成物および/または少なくとも1つのヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物は縮合反応において互いに反応することがある。この理由で、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物とその加水分解生成物および/または縮合生成物の両方が剤(a)中に存在することがある。少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物を使用する場合は、該少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物とその縮合生成物の両方が剤(a)中に存在し得る。
【0105】
縮合生成物は、各々が1分子あたり少なくとも1つのヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2種の有機ケイ素化合物の水の脱離および/またはアルカノールの脱離による反応によって形成される生成物であると理解されたい。縮合生成物は例えば二量体であってもよいが、三量体またはオリゴマーであってもよく、縮合生成物はモノマーと平衡状態である。加水分解において使用または消費される水の量に応じて、平衡はモノマー型の有機ケイ素化合物から縮合生成物にシフトする。
【0106】
特に良好な結果が、式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を該方法において使用した場合に得られた。先に記載のように加水分解/縮合は既に微量の水分で開始されるため、有機ケイ素化合物(I)および/または(II)の縮合生成物もまた、この実施形態に含まれる。
【0107】
アルカリ性に調整された剤(a)を使用する場合に特に耐久性のあるストレイン(strain)を得ることができた。好ましくは、剤(a)は水を含み、7~11.5、好ましくは7.5~11、より好ましくは8~10.5のpHを有する。
【0108】
別の非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(a)が7~11.5、好ましくは7.5~11、特に好ましくは8~10.5のpHを有することを特徴とする。
【0109】
剤(b)
剤(b)は、少なくとも1種の着色化合物(b1)と少なくとも1種の皮膜形成ポリマー(b2)の存在を特徴とする。着色料化合物(b1)は真空金属蒸着顔料を含む少なくとも1種の基材プレートレットに基づく顔料を含む。
【0110】
基材プレートレットは、最大でも50nm、好ましくは30nm未満、特に好ましくは最大でも25nm、とりわけ特に好ましくは最大でも20nmの平均厚さを有する。基材プレートレットの平均厚さは少なくとも1nm、好ましくは少なくとも2.5nm、特に好ましくは少なくとも5nm、例えば少なくとも10nmである。基材プレートレット厚さの好ましい範囲は2.5~50nm、5~50nm、10~50nm;2.5~30nm、5~30nm、10~30nm;2.5~25nm、5~25nm、10~25nm、2.5~20nm、5~20nmおよび10~20nmである。好ましくは、各基材プレートレットは可能な限り一様な厚さを有する。
【0111】
基材プレートレットの薄い厚さのため、顔料は特に高い隠蔽力を示す。
【0112】
基材プレートレットはモノリシック構造を有する。モノリシックは、これとの関連において、割れ、層化または内包物のない単一の閉鎖単位からなることを意味するが、基材プレートレット内で構造変化が起こる場合もある。基材プレートレットは好ましくは均一な構造である、すなわちプレートレット内に濃度勾配がない。特に、基材プレートレットは層状構造を有しておらず、全く粒子を有していないか、または内部に粒子が分布していない。
【0113】
基材プレートレットのサイズは、それぞれの適用目的のために、特にケラチン性材料に対する所望の効果のために調整できる。典型的には、基材プレートレットは、約2~200μm、特に約5~100μmの平均最大径を有する。
【0114】
好ましい設計の一例において、平均厚さに対する平均サイズの比で示されるアスペクト比は少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、より好ましくは750超である。コーティングなしの基材プレートレットの平均サイズは該コーティングなしの基材プレートレットのd50値である。特に記載のない限り、d50値は、Sympatec Helos装置を用いてquixel湿式分散により測定した。試料を調製するため、分析対象の試料をイソプロパノール中に3分間、予備分散させた。
【0115】
基材プレートレットは、プレートレット形状に形成可能な任意の材料で構成できる。
【0116】
基材プレートレットは天然起源のものであり得るが、合成により作製されたものであってもよい。基材プレートレットが構築可能な材料として、金属および金属合金、金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、無機化合物、ならびに鉱物、例えば雲母および(半)貴石、ならびにプラスチックが挙げられる。好ましくは、基材プレートレットは金属(合金)で構築されている。
【0117】
金属光沢顔料に適した任意の金属が使用できる。かかる金属として、鉄およびスチール、ならびに空気および水に耐久性のあるあらゆる(半)金属、例えば白金、亜鉛、クロム、モリブデンおよびケイ素ならびにその合金、例えばアルミニウムブロンズおよび真鍮が挙げられる。好ましい金属はアルミニウム、銅、銀および金である。好ましい基材プレートレットとしては、アルミニウムプレートレットおよび真鍮プレートレットが挙げられ、アルミニウム基材プレートレットが特に好ましい。
【0118】
真空金属蒸着顔料(VMP)は、例えば、適当なコーティング皮膜状態の金属、金属合金または金属酸化物を剥離することにより得られる。これは、5~50nmの範囲の特に薄い基材プレートレット厚さおよび高い反射率を有する特に平滑な表面を特徴とする。真空金属蒸着顔料を構成する基材プレートレットは、本出願との関連においてVMP基材プレートレットとも称される。アルミニウムのVMP基材プレートレットは、例えば、金属蒸着皮膜状態のアルミニウムを剥離することにより得られる。
【0119】
金属または金属合金の基材プレートレットを、例えばアノード酸化(酸化物層)またはクロメート処理によって不動態化してもよい。
【0120】
コーティングなしのVMP基材プレートレット、特に金属または金属合金製のものは入射光を高度に反射し、明暗フロップをもたらすが色感はもたらさない。
【0121】
色感は、例えば光学干渉効果によってもたらされてもよい。かかる顔料は、少なくとも1つのコーティングを有する基材プレートレットベースであってもよい。このようなものは、屈折および反射が異なる光線の重なりによって干渉効果を示す。
【0122】
したがって、好ましい顔料は、コーティングされたVMP基材プレートレットベースの顔料である。基材プレートレットは好ましくは、少なくとも50nmのコーティング厚さを有する高度に屈折性の金属酸化物の少なくとも1つのコーティングBを有する。好ましくは、コーティングBと基材プレートレット表面の間に別のコーティングAを存在させる。必要であれば、層B上に、下層となるこの層Bと異なるさらなるコーティングCを存在させる。
【0123】
コーティングA、BおよびCのための好適な材料は、基材プレートレットに皮膜様に永続的な様式で適用することができ、コーティングAおよびBの場合は必要とされる光学特性を有するあらゆる物質である。一般的に、基材プレートレット表面のコーティング部は、光沢効果を有する顔料が得られるのに充分である。例えば、基材プレートレットの上面および/または底面のみをコーティングし、側面はしなくてもよい。好ましくは、任意に不動態化した基材プレートレットの側面を含む全面をコーティングBによってカバーする。かくして基材プレートレットをコーティングBによって完全に覆う。これにより顔料の光学特性が改善され、機械的および化学的耐久性が高まる。上記のことは層Aにも、および存在する場合、好ましくは層Cにもあてはまる。
【0124】
各場合において複数のコーティングA、Bおよび/またはCを存在させてもよいが、コーティングされた基材プレートレットは好ましくは、各場合においてコーティングA、B、および存在する場合はCを1つだけ有する。
【0125】
コーティングBは、少なくとも1種の高度に屈折性の金属酸化物で構成される。高度に屈折性の材料は、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.4の屈折率を有する。好ましくは、コーティングBは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の高屈折率金属酸化物を含む。
【0126】
コーティングBは少なくとも50nmの厚さを有する。好ましくは、コーティングBの厚さは400nm以下、より好ましくは300nm以下である。
【0127】
コーティングBに適した高度に屈折性の金属酸化物は好ましくは選択的光吸収性(すなわち、有色)金属酸化物、例えば酸化鉄(III)(α-およびγ-Fe2O3、赤)、酸化コバルト(II)(青)、酸化クロム(III)(緑)、酸化チタン(III)(青、通常、酸窒化チタンおよび窒化チタンとの混合状態で存在する)、および酸化バナジウム(V)(橙)、ならびにその混合物である。無色の高屈折率酸化物、例えば二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムもまた好適である。
【0128】
コーティングBには、選択的吸光性染料がコーティングBの総量に対して各場合において好ましくは0.001~5重量%、特に好ましくは0.01~1重量%で含まれてもよい。好適な染料は、金属酸化物コーティング内に安定的に組み込まれる有機染料および無機染料である。
【0129】
コーティングAは好ましくは、少なくとも1種の低屈折率の金属酸化物および/または金属酸化物水和物を有する。好ましくは、コーティングAは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の低屈折率の金属酸化物(水和物)を含む。低屈折率材料は、1.8以下、好ましくは1.6以下の屈折率を有する。
【0130】
コーティングAに適した低屈折率金属酸化物としては、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、およびその混合物が挙げられ、二酸化ケイ素が好ましい。コーティングAは好ましくは、1~100nm、特に好ましくは5~50nm、特に好ましくは5~20nmの厚さを有する。
【0131】
好ましくは、基材プレートレット表面とコーティングBの内側表面との間隔は最大でも100nm、特に好ましくは最大でも50nm、特に好ましくは最大でも20nmである。コーティングAの厚さ、したがって基材プレートレット表面とコーティングBとの間隔が上記に明記した範囲内になることを確実にすることにより、顔料が高い隠蔽力を有するのを確実にすることが可能である。
【0132】
VMP基材プレートレットベース顔料が層Aのみを有する場合、顔料は、アルミニウムのVMP基材プレートレットおよびシリカの層Aを有することが好ましい。VMP基材プレートレットベース顔料が層Aと層Bを有する場合、顔料は、アルミニウムのVMP基材プレートレット、シリカの層Aおよび酸化鉄の層Bを有することが好ましい。
【0133】
好ましい一実施形態によれば、顔料は、下地コーティングBと異なる金属酸化物(水和物)のさらなるコーティングCを有する。好適な金属酸化物として、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)および酸化クロム(III)が挙げられる。二酸化ケイ素が好ましい。
【0134】
コーティングCは好ましくは、10~500nm、より好ましくは50~300nmの厚さを有する。例えばTiOに対してコーティングCを設けることにより、高い隠蔽力は維持されたまま、より良好な干渉が得られる。
【0135】
層AおよびCは防腐ならびに化学的および物理的安定化の機能を果たす。特に好ましい層AおよびCは、ゾル-ゲル法によって適用されるシリカまたはアルミナである。この方法は、コーティングなしのVMP基材プレートレットあるいは層Aおよび/または層Bが既にコーティングされているVMP基材プレートレットを金属アルコキシド、例えばオルトケイ酸テトラエチルまたはアルミニウムトリイソプロパノレートの溶液中(通常、有機溶剤または少なくとも50重量%が有機溶剤、例えばC1~C4アルコールである有機溶剤と水の混合物の溶液中)に分散させ、弱塩基または弱酸を添加して金属アルコキシドを加水分解させ、それにより、金属酸化物の皮膜を(コーティングされた)基材プレートレットの表面上に形成することを含む。
【0136】
層Bは、例えば、1種以上の有機金属化合物の加水分解による分解によって、および/または1種以上の溶存金属塩の沈積、ならびにその後の任意の後処理(例えば、形成された水酸化含有層の酸化物層へのアニール処理による移行)によって作製できる。
【0137】
コーティングA、Bおよび/またはCの各々は2種以上の金属酸化物(水和物)の混合物で構成されていてもよいが、各コーティングは好ましくは1種の金属酸化物(水和物)で構成される。
【0138】
コーティングされたVMP基材プレートレットベースの顔料は好ましくは、70~500nm、特に好ましくは100~400nm、特に好ましくは150~320nm、例えば180~290nmの厚さを有する。基材プレートレットの薄い厚さのため、顔料は特に高い隠蔽力を示す。コーティングされた基材プレートレットの薄い厚さは、コーティングなしの基材プレートレットの厚さを薄く維持することによって得られるが、コーティングA、および存在する場合はコーティングCの厚さを可能な限り小さい値に調整することによっても得られる。コーティングBの厚さによって顔料の色感が決定される。
【0139】
ケラチン性材料におけるコーティングされたVMP基材プレートレットベースの顔料の密着性および耐磨耗性は、最外層、層A、BまたはCを、構造に応じて有機化合物、例えばシラン、リン酸エステル、チタネート、ボレートまたはカルボン酸でさらに修飾することにより有意に高めることができる。この場合、該有機化合物は、最外の、好ましくは金属酸化物を含有する層A、BまたはCの表面に結合される。最外層は、VMP基材プレートレットから空間的に最も遠い層を示す。該有機化合物は好ましくは、金属酸化物含有層A、BまたはCに結合可能な官能性シラン化合物である。これは単官能性化合物または二官能性化合物のいずれであってもよい。二官能性有機化合物の例としては、メタクリルオキシプロペニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリルオキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシ-プロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-メタクリルオキシエチル-トリエトキシシラン、2-アクリルオキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリス(メトクス-yエトキシ)シラン、3-メタクリルオキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-メタクリルオキシ-プロピルトリス(プロポキシ)シラン、3-メタクリルオキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、3-アクリルオキシ-プロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-アクリルオキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-アクリル-オキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルビニルジエトキシシランまたはフェニルアリルジクロロシランが挙げられる。さらに、単官能性シラン、アルキルシランまたはアリールシランでの修飾を行ってもよい。これは官能基を1つだけ有し、該官能基は、コーティングされたVMP基材プレートレットベースの顔料の表面に(すなわち、最外の金属酸化物含有層に)、または完全にカバーされていない場合は金属表面に共有結合することができる。シランの炭化水素残基は顔料から離れる方向を向いている。シランの炭化水素残基の型および性質に応じて、さまざまな度合いの疎水性の顔料が得られる。かかるシランの例として、ヘキサデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。特に好ましいのは、単官能性シランで表面改質されたシリカコーティングアルミニウム基材プレートレットベースの顔料である。オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘカデシル(hecadecyl)トリメトキシシランおよびヘカデシルトリエトキシシランが特に好ましい。表面特性の変更/疎水性化により、適用における密着性、耐磨耗性および配向の点において改善が得られる。
【0140】
また、かかる表面改質を有するVMP基材プレートレットベース顔料は、使用される有機ケイ素化合物および/またはその縮合生成物もしくは重合生成物とのより良好な適合性を示すことが示された。
【0141】
剤(b)が、剤(b)の総重量に対して1種以上のVMP基材プレートレットベース顔料を0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で含む場合に特に良好な結果を得ることができた。
【0142】
真空金属蒸着顔料を構成する基材プレートレットベースの顔料は、例えばAlegrace(登録商標)MarvelousまたはAlegrace(登録商標)Aurousの名称でSchlenk Metallic Pigments GmbH社から入手可能である。
【0143】
VMP基材プレートレットベース顔料は厚さおよび粒子面積の点において規定の粒子サイズを有する。これにより、適切な量で使用した場合にケラチン質物質の完全なカバーが可能となる。また、VMP基材プレートレットベース顔料を伴う染色では、その平滑な表面構造のため極めて高い摩擦堅牢性および洗い流し堅牢性が示される。
【0144】
真空金属蒸着顔料を構成する基材プレートレットベースの顔料に加えて、剤(b)は、顔料および/または直接染料からなる群より選択されるさらなる着色料化合物を含んでもよい。
【0145】
本発明の意味の範囲に含まれる顔料は、25℃において0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、なおより好ましくは0.05g/L未満の水への溶解度を有する着色化合物である。水への溶解度は、例えば下記の方法によって測定できる:0.5gの顔料をビーカー内に量り入れる。攪拌子を添加する。次いで、1リットルの蒸留水を添加する。この混合物を、磁気攪拌機で撹拌しながら25℃まで1時間加熱する。この期間後、顔料の未溶解成分が混合物中にまだみられる場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。おそらく微細分散された顔料の高負荷のため顔料-水の混合物を視認的に評価できない場合、混合物を濾過する。ある割合の未溶解顔料が濾紙上に残存している場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0146】
好適な着色顔料は無機および/または有機起源のものであり得る。
【0147】
好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、無機顔料および/または有機顔料からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる着色料化合物を含むことを特徴とする。
【0148】
好ましい着色顔料は合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機着色顔料は、例えば、胡粉、黄土、琥珀、緑土、赤土(burnt Terra di Siena)またはグラファイトから作製できる。さらに、黒色顔料、例えば黒色酸化鉄、有色顔料、例えばウルトラマリンまたは赤色酸化鉄ならびに蛍光またはリン光顔料が無機着色顔料として使用できる。
【0149】
特に好適であるのは、有色の金属酸化物、水酸化物および酸化物の水和物、混相顔料、含硫シリケート、シリケート、金属硫化物、金属シアン化物錯体、金属硫酸塩、クロメートおよび/またはモリブデートである。好ましい着色顔料は黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、アイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI 77510)および/またはカーマイン(コチニール)である。
【0150】
有色真珠光沢顔料もまた特に好ましい。このようなものは通常、雲母(Mica)および/または雲母(Glimmer)ベースであり、1種以上の金属酸化物でコーティングできる。雲母は層状ケイ酸塩に属する。このようなケイ酸塩のうち最も重要な代表例はマスコバイト、フロゴパイト、パラゴナイト、黒雲母、鱗雲母および真珠雲母である。金属酸化物との組合せでの真珠光沢顔料を作製するためには、雲母、主にマスコバイトまたはフロゴパイトを金属酸化物でコーティングする。
【0151】
天然雲母の代替として1種以上の金属酸化物でコーティングした合成雲母もまた真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然または合成雲母(Mica)(雲母(Glimmer))ベースのものであり、上記の金属酸化物のうちの1種以上でコーティングされる。それぞれの顔料の色彩は、金属酸化物の層の厚さを変えることにより変更することができる。
【0152】
また、好ましい雲母ベース顔料は、金属酸化物でコーティングされた、合成フルオロフロゴパイト(INCI:合成フルオロフロゴパイト)ベースの合成により作製された雲母プレートレットである。合成フルオロフロゴパイトプレートレットは、例えば酸化スズ、酸化鉄および/または二酸化チタンでコーティングされる。金属酸化物層に顔料、例えばヘキサシアニド鉄酸鉄(II/III)またはカーマインレッドをさらに含んでよい。かかる雲母顔料は、例えばSYNCRYSTALの名称でEckartから入手可能である。
【0153】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、シリケート、金属硫化物、金属シアン化物錯体、金属硫酸塩、ブロンズ顔料の群および/または少なくとも1種の金属酸化物および/または金属酸塩化物でコーティングされた有色の雲母(Mica)または雲母(Glimmer)ベース顔料の群から選択される顔料の群からの少なくとも1種のさらなる着色料化合物を含むことを特徴とする。
【0154】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)および/またはアイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI 77510)からなる群より選択される1種以上の金属酸化物と反応させる雲母(Mica)または雲母(Glimmer)ベース顔料からなる顔料の群から選択される少なくとも1種のさらなる着色料化合物を含むことを特徴とする。
【0155】
他の好適な顔料は、金属酸化物コートプレートレット形状ボロシリケートベースのものである。このようなものは、例えば酸化スズ、酸化鉄、二酸化ケイ素および/または二酸化チタンでコーティングされる。かかるボロシリケートベース顔料は、例えばMIRAGEという名称でEckartから、またはReflecksという名称でBASF SEから入手可能である。
【0156】
特に好適な着色顔料の例は、商品名Rona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)でMerckから、Ariabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)でSensientから、Prestige(登録商標)でEckart Cosmetic Colorsから、Flamenco(登録商標)、Cellini(登録商標)、Cloisonne(登録商標)、Duocrome(登録商標)、Gemtone(登録商標)、Timica(登録商標)、MultiReflections、ChioneでBASF SEから、およびSunshine(登録商標)でSunstarから市販されているものである。
【0157】
商品名Colorona(登録商標)を有する特に好ましい着色顔料は、例えば:
Colorona Copper,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)、アルミナ
Colorona Patina Silver,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY,Merck,CI 77891(二酸化チタン)、雲母,CI 75470(CARMINE)
Colorona Oriental Beige,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue,Merck,雲母、二酸化チタン、フェロシアン化第二鉄
Colorona Chameleon,Merck,CI 77491(酸化鉄)、雲母
Colorona Aborigine Amber,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue,Merck,CI 77499(酸化鉄)、雲母
Colorona Patagonian Purple,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77510(フェロシアン化第二鉄)
Colorona Red Brown,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet,Merck,CI 77491(二酸化チタン)、雲母,CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red,Merck,雲母、二酸化チタン(CI 77891)、D&C RED NO.30(CI 73360)
Colorona Majestic Green,Merck,CI 77891(二酸化チタン)、雲母,CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue,Merck,雲母、二酸化チタン(CI 77891)、フェロシアン化第二鉄(CI 77510)
Colorona Red Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25,Merck,雲母、二酸化チタン(CI 77891)、酸化鉄(CI 77491)
Colorona Carmine Red,Merck,雲母、二酸化チタン、カーマイン
Colorona Blackstar Green,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine,Merck,CI 77491(酸化鉄)、雲母
Colorona Sienna,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、シリカ、CI 77491(酸化鉄)、酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29,Merck,雲母、二酸化チタン、酸化鉄、雲母,CI 77891、CI 77491(EU)
Colorona Mica Black,Merck,CI 77499(酸化鉄)、雲母,CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)
Colorona SynCopper,Merck,合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
Colorona SynBronze,Merck,合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
である。
【0158】
商品名Xirona(登録商標)を有する他の特に好ましい着色顔料は、例えば:
Xirona Golden Sky,Merck,シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Caribbean Blue,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、シリカ、酸化スズ
Xirona Kiwi Rose,Merck,シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Magic Mauve,Merck,シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Le Rouge,Merck,酸化鉄(および)シリカ
である。
【0159】
また、商品名Unipure(登録商標)を有する特に好ましい着色顔料は、例えば:
Unipure Red LC 381 EM,Sensient CI 77491(酸化鉄)、シリカ
Unipure Black LC 989 EM,Sensient,CI 77499(酸化鉄)、シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM,Sensient,CI 77492(酸化鉄)、シリカ
である。
【0160】
また、商品名Flamenco(登録商標)を有する特に好ましい顔料は、例えば:
Flamenco(登録商標)Summit Turquoise T30D,BASF,二酸化チタン(および)雲母
Flamenco(登録商標)Super Violet 530Z,BASF,雲母(および)二酸化チタン
である。
【0161】
さらなる一実施形態において、剤(b)はまた、有機顔料からなる群より選択される1種以上のさらなる着色料化合物を含んでもよい。
【0162】
有機顔料は、相応して不溶性の有機系の染料または着色料であり、例えば、ニトロソ、ニトロ-アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピオロール(diketopyrrolopyorrole)、インジゴ、チオインジド(thioindido)、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物の群から選択され得る。
【0163】
特に好適な有機顔料の例はカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470を有する赤色顔料である。
【0164】
別の特に好ましい実施形態において、該方法は、組成物(b)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号Cl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびその混合物からなる群より選択される有機顔料の群からの少なくとも1種のさらなる着色料化合物を含むことを特徴とする。
【0165】
また、有機顔料は着色塗料であってもよい。本発明の意味において、着色ラッカーという用語は吸着された染料層を含む粒子を意味し、この粒子と染料の単位は上記の条件下で不溶性である。粒子は例えば無機基材であってよく、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸アルミニウムカルシウムであってよく、またはアルミニウムであってもよい。
【0166】
例えば、アリザリン着色ワニスを使用できる。
【0167】
その優れた耐光性および耐熱性のため、上記の顔料を該方法の剤(b)において使用することが特に好ましい。また、使用される顔料が、ある特定の粒子サイズを有する場合が好ましい。本発明によれば、該少なくとも1種の顔料は、1~50μm、好ましくは5~45μm、好ましくは10~40μm、14~30μmの平均粒子サイズD50を有する場合が好適である。平均粒子サイズD50は、例えば動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0168】
VMP基材プレートレットベース顔料に加えて、剤(b)に、さらなる着色料化合物(b1)として、他のエフェクト顔料、例えば層状(lamellar)基材プレートレットベース顔料および/またはレンズ状基材プレートレットベース顔料を含んでよい。
【0169】
該さらなる顔料は、各場合において剤(b)の総重量に対して0.001~20重量%、0.05~5重量%の量で使用されてもよい。
【0170】
さらなる着色化合物として、該方法に使用される剤(b)はまた、1種以上の直接染料を含有してもよい。直接作用染料は、毛髪に直接塗り、色形成のための酸化的方法を必要としない染料である。直接染料は通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン類、トリアリールメタン染料またはインドフェノールである。
【0171】
本発明の意味の範囲に含まれる直接染料は、25℃(760mmHg)において0.5g/Lより高い水への溶解度を有するものであり、したがって顔料とみなされるものではない。
【0172】
好ましくは、本発明の意味の範囲に含まれる直接染料は、25℃(760mmHg)において1.0g/Lより高い水への溶解度を有する。
【0173】
直接染料は、アニオン直接染料、カチオン直接染料および非イオン性直接染料に分けることができる。
【0174】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、少なくとも1種のアニオン直接染料、カチオン直接染料および/または非イオン性直接染料をさらなる着色化合物として含むことを特徴とする。
【0175】
別の好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)が、少なくとも1種のアニオン直接染料、カチオン直接染料および/または非イオン性直接染料を含むことを特徴とする。
【0176】
好適なカチオン直接染料として、ベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックバイオレット2、およびベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー57、ベーシックレッド76、ベーシックブルー16、ベーシックブルー347(カチオンブルー347/ダイスター)、HCブルーNo.16、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックレッド51および/またはベーシックレッド76が挙げられる。
【0177】
非イオン性直接染料として、非イオン性のニトロ染料およびキノン染料ならびに中性アゾ染料が使用できる。好適な非イオン性直接染料は、国際指定表示(designation)または商品名HCイエロー2、HCイエロー4、HCイエロー5、HCイエロー6、HCイエロー12、HCオレンジ1、ディスパースオレンジ3、HCレッド1、HCレッド3、HCレッド10、HCレッド11、HCレッド13、HCレッドBN、HCブルー2、HCブルー11、HCブルー12、ディスパースブルー3、HCバイオレット1、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、ディスパースブラック9で示される既知化合物のもの、ならびに1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2’-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸ならびに2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノールである。
【0178】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、アニオン直接染料、カチオン直接染料および非イオン性直接染料からなる群より選択される少なくとも1種の直接染料を含むことを特徴とする。
【0179】
本発明に至る研究の過程において、少なくとも1種のアニオン直接染料を含む剤(b)を用いて特に高い色彩強度の染色がもたらされ得ることがわかった。
【0180】
明白に相当に特に好ましい一実施形態において、該方法に使用される剤(b)は、したがって、これが少なくとも1種のアニオン直接染料を含むことを特徴とする。
【0181】
アニオン直接染料は酸性染料とも称される。酸性染料は、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)および/または1つのスルホン酸基(-SOH)を有する直接染料である。pH値に応じて、カルボン酸基またはスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SOH)は、その脱プロトン化形態(-COO、-SO で存在)と平衡状態になる。プロトン化形態の割合はpHの低下にともなって増大する。直接染料がその塩の形態で使用される場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、対応する化学量論当量のカチオンで中和され、電気的中性が維持される。また、本発明における酸性染料は、そのナトリウム塩および/またはカリウム塩の形態で使用できる。
【0182】
本発明の意味の範囲に含まれる酸性染料は、25℃で(760mmHg)の水中で、0.5g/Lを超える溶解度を有するものであり、したがって顔料とみなされるものではない。好ましくは、本発明の意味の範囲に含まれる酸性染料は、25℃(760mmHg)において1.0g/Lより高い水への溶解度を有する。
【0183】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、多くの場合、対応するアルカリ塩より低い溶解度を有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L(25℃,760mmHg)未満である場合は直接染料の定義に含まれない。
【0184】
酸性染料の必須の特徴はアニオン電荷形成能であり、このとき、これを担うカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、異なる発色団系に連結される。好適な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造に見出すことができる。
【0185】
該方法の一実施形態では、したがって、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン直接染料を含むことを特徴とする剤(b)の使用が好ましく、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料、上記の群の染料は各々、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)、カルボン酸ナトリウム基(-COONa)、カルボン酸カリウム基(-COOK)、スルホン酸基(-SOH)、スルホン酸ナトリウム基(-SONa)および/またはスルホン酸カリウム基(-SOK)を有する。
【0186】
例えば、以下の群からの1種以上の化合物が特に適切な酸性染料として選択され得る:アシッドイエロー1(D&Cイエロー7、シトロニンA、Ext.D&Cイエローナンバー7、日本の黄色403号、CI 10316、COLIPA番号B001)、アシッドイエロー3(COLIPA番号:C 54、D&Cイエローナンバー10、キノリンイエロー、E104、食用黄色13号)、アシッドイエロー9(CI 13015)、アシッドイエロー17(CI 18965)、アシッドイエロー23(COLIPA番号C 29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovitタートラジン85 E 102(BASF)、タートラジン、食用黄色4号、日本の黄色4号、FD&Cイエローナンバー5)、アシッドイエロー36(CI 13065)、アシッドイエロー121(CI 18690)、アシッドオレンジ6(CI 14270)、アシッドオレンジ7(2-ナフトールオレンジ、オレンジII、CI 15510、D&Cオレンジ4、COLIPA番号C015)、アシッドオレンジ10(C.I.16230;オレンジGナトリウム塩)、アシッドオレンジ11(CI 45370)、アシッドオレンジ15(CI 50120)、アシッドオレンジ20(CI 14600)、アシッドオレンジ24(ブラウン1;CI 20170;KATSU201;ナトリウム塩でないもの;ブラウンナンバー201;レゾルシンブラウン;アシッドオレンジ24;日本の褐色201号;D&Cブラウンナンバー1)、アシッドレッド14(C.I.14720)、アシッドレッド18(E124、赤色18号;CI 16255)、アシッドレッド27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、リアルレッドD、FD&Cレッドナンバー2、食用赤色9号、ナフトールレッドS)、アシッドレッド33(赤色33号、フクシャレッド、D&Cレッド33、CI 17200)、アシッドレッド35(CI C.I.18065)、アシッドレッド51(CI 45430、パイロジンB、テトラヨードフルオレセイン、エオシンJ、ヨードエオシン)、アシッドレッド52(CI 45100、食用赤色106号、ソーラーローダミンB、アシッドローダミンB、赤色106号 ポンタシルブリリアントピンク)、アシッドレッド73(CI 27290)、アシッドレッド87(エオシン、CI 45380)、アシッドレッド92(COLIPA番号C53、CI 45410)、アシッドレッド95(CI 45425、エリトトシン(Erythtosine)、SimacidエリスロシンY)、アシッドレッド184(CI 15685)、アシッドレッド195、アシッドバイオレット43(Jarocolバイオレット43、Ext.D&Cバイオレットナンバー2、C.I.60730、COLIPA番号C063)、アシッドバイオレット49(CI 42640)、アシッドバイオレット50(CI 50325)、アシッドブルー1(パテントブルー、CI 42045)、アシッドブルー3(パテントブルーV、CI 42051)、アシッドブルー7(CI 42080)、アシッドブルー104(CI 42735)、アシッドブルー9(E 133、パテントブルーAE、アミドブルーAE、エリオグラウシンA、CI 42090、C.I.食用青色2号)、アシッドブルー62(CI 62045)、アシッドブルー74(E 132、CI 73015)、アシッドブルー80(CI 61585)、アシッドグリーン3(CI 42085、食用緑色1号)、アシッドグリーン5(CI 42095)、アシッドグリーン9(C.I.42100)、アシッドグリーン22(C.I.42170)、アシッドグリーン25(CI 61570、日本の緑色201号、D&Cグリーンナンバー5)、アシッドグリーン50(ブリリアントアシッドグリーンBS、C.I.44090、アシッドブリリアントグリーンBS、E 142)、アシッドブラック1(ブラックナンバー401、ナフタレンブラック10B、アミドブラック10B、CI 20 470、COLIPA番号B15)、アシッドブラック52(CI 15711)、食用黄色8号(CI 14270)、食用青色5号、D&Cイエロー8、D&Cグリーン5、D&Cオレンジ10、D&Cオレンジ11、D&Cレッド21、D&Cレッド27、D&Cレッド33、D&Cバイオレット2および/またはD&Cブラウン1。
【0187】
直接染料の水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。0.1gの直接染料をビーカーに添加する。攪拌子を添加する。次いで100mlの水を添加する。この混合物を磁気攪拌機で撹拌しながら25℃まで加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。まだ未溶解残渣がある場合、水の量を、例えば10mlずつ増やす。使用した量の染料が完全に溶解するまで水を添加する。染料-水混合物が染料の高負荷のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。ある割合の未溶解染料が濾紙上に残存している場合、水の量をより多くして溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン直接染料が25℃において100mlの水に溶解する場合、染料の溶解度は1.0g/Lである。
【0188】
アシッドイエロー1は8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、水への溶解度は少なくとも40g/L(25℃)である。
【0189】
アシッドイエロー3は2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸のナトリウム塩とジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、水への溶解度は20g/L(25℃)である。
【0190】
アシッドイエロー9は8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より高い。
【0191】
アシッドイエロー23は4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃で水に非常に溶けやすい。
【0192】
アシッドオレンジ7は4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩である。その水への溶解度は7g/L(25℃)より高い。
【0193】
アシッドレッド18は7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホン酸三ナトリウム塩であり、水への溶解度は非常に高く20重量%より高い。
【0194】
アシッドレッド33は5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホン酸二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2,5g/L(25℃)である。
【0195】
アシッドレッド92は3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より高いと示されている。
【0196】
アシッドブルー9は2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩であり、水への溶解度は20重量%(25℃)より高い。
【0197】
非常に特に好ましい方法の一例は、剤(b)が、これに含めるアシッドイエロー1、アシッドイエロー3、アシッドイエロー9、アシッドイエロー17、アシッドイエロー23、アシッドイエロー36、アシッドイエロー121、アシッドオレンジ6、アシッドオレンジ7、アシッドオレンジ10、アシッドオレンジ11、アシッドオレンジ15、アシッドオレンジ20、アシッドオレンジ24、アシッドレッド14、アシッドレッド、アシッドレッド27、アシッドレッド33、アシッドレッド35、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド87、アシッドレッド92、アシッドレッド95、アシッドレッド184、アシッドレッド195、アシッドバイオレット43、アシッドバイオレット49、アシッドバイオレット50、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー7、アシッドブルー104、アシッドブルー9、アシッドブルー62、アシッドブルー74、アシッドブルー80、アシッドグリーン3、アシッドグリーン5、アシッドグリーン9、アシッドグリーン22、アシッドグリーン25、アシッドグリーン50、アシッドブラック1、アシッドブラック52、食用黄色8号、食用青色5号、D&Cイエロー8、D&Cグリーン5、D&Cオレンジ10、D&Cオレンジ11、D&Cレッド21、D&Cレッド27、D&Cレッド33、D&Cバイオレット2、D&Cブラウン1および混合物からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン直接染料を含むことを特徴とする。
【0198】
直接染料、特にアニオン直接染料は、所望の色彩強度に応じて剤(b)中にいろいろな量で使用できる。剤(b)が、剤(b)の総重量に対して1種以上の直接染料を0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で含む場合に特に良好な結果を得ることができた。
【0199】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して1種以上の直接染料を0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましくは0.5~4.5重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0200】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、該剤の総重量に対して1種以上のアニオン直接染料を0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましくは0.5~4.5重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0201】
該方法に使用される剤(b)は、これが少なくとも1種の皮膜形成ポリマー(b2)を含むことをさらに特徴とする。
【0202】
ポリマーは、少なくとも1000g/mol、好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、同一の反復有機単位からなる巨大分子である。本発明のポリマーは、1つの型のモノマーの重合によって、または互いに構造的に異なる型のモノマーの重合によって製造される、合成により作製されたポリマーであってよい。ポリマーが、ある1つの型のモノマーを重合させることによって作製される場合、これはホモポリマーと称される。構造的に異なるモノマー型が重合において使用される場合、得られるポリマーはコポリマーと称される。
【0203】
ポリマーの最大分子量は重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、重合方法によって決定される。本発明に関して、皮膜形成疎水性ポリマー(b2)の最大分子量は10g/mol以下、好ましくは10g/mol以下、特に好ましくは10g/mol以下である場合が好ましい。
【0204】
本発明の意味において、皮膜形成ポリマーは、基材上、例えばケラチン性材料またはケラチン性繊維上に皮膜を形成することができるポリマーである。皮膜の形成は、例えば、ポリマーで処理されたケラチン質物質を顕微鏡下で見ることによって実証できる。
【0205】
剤(b)における皮膜形成ポリマー(b2)は親水性であっても疎水性であってもよい。
【0206】
第1の実施形態において、少なくとも1種の疎水性皮膜形成ポリマーを剤(b)において使用することが好ましい場合がある。
【0207】
疎水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%未満の水への溶解度を有するポリマーである。
【0208】
皮膜形成の疎水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカー内に入れる。水で100gにする。攪拌子を添加し、混合物を磁気攪拌機で撹拌しながら25℃まで加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。ある割合の未溶解ポリマーが濾紙上に残存している場合、ポリマーの溶解度は1重量%未満である。
【0209】
このようなものとして、アクリル酸型ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、セルロースポリマー、ニトロセルロースポリマー、シリコーンポリマー、アクリルアミド型ポリマーおよびポリイソプレンが挙げられる。
【0210】
特に適切な皮膜形成の疎水性ポリマーは、例えば、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドの群からのポリマーである。
【0211】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の皮膜形成の疎水性ポリマー(b2)を含むことを特徴とする。
【0212】
合成ポリマー、ラジカル重合によって得られるポリマーまたは天然のポリマーの群から選択される皮膜形成疎水性ポリマーは本発明による課題を解決するのに特に好適であることがわかった。
【0213】
他の特に適切な皮膜形成疎水性ポリマーは、オレフィン、例えばシクロオレフィン、ブタジエン、イソプレンまたはスチレン、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1つのC~C20アルキル基、アリール基もしくはC~C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0214】
他の皮膜形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸)ラウリル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸)n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピルおよび/またはその混合物のホモポリマーまたはコポリマーから選択されてもよい。
【0215】
さらなる皮膜形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、C2~C18アルキル基を有するもの、例えばN-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、le N-オクチルアクリルアミド、N-ジ(C1~C4)アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0216】
他の好ましいアニオン性コポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸またはそのC~Cアルキルエステルのコポリマーであり、これらはINCI宣言(Declaration)アクリレートコポリマーで販売されている。好適な市販品は例えば、Rohm&Haas製のAculyn(登録商標)33である。アクリル酸、メタクリル酸またはそのC~Cアルキルエステルならびにエチレン性不飽和酸とアルコキシル化脂肪族アルコールのエステルのコポリマーもまた好ましい。好適なエチレン性不飽和酸は特に、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸であり;好適なアルコキシル化脂肪族アルコールは特に、ステアレス-20またはセテス-20である。
【0217】
非常に特に好ましい市販のポリマーは、例えば、Aculyn(登録商標)22(アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)28(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標)(アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標)(アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標)1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アクリル酸アルキル架橋ポリマー)、Synthalen W 2000(登録商標)(アクリレート/パルメス-25アクリレートコポリマー)またはRohme und Haas製の流通品Soltex OPT(アクリレート/C12-22メタクリル酸アルキルコポリマー)である。
【0218】
ビニルモノマーベースの好適なポリマーとして、例えば、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-(C1~C6)アルキル-ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジンまたはビニルイミダゾールのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0219】
また、特に好適であるのは、コポリマーのオクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー、例えばNATIONAL STARCHによって商品名AMPHOMER(登録商標)もしくはLOVOCRYL(登録商標)47で市販されているものまたはNATIONAL STARCHによって商品名DERMACRYL(登録商標)LTおよびDERMACRYL(登録商標)79で販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーである。
【0220】
好適なオレフィンベースポリマーとして、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンおよびブタジエンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0221】
別の実施形態において、皮膜形成疎水性ポリマーは、スチレンまたはスチレンの誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーであってよい。このようなブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて1つ以上のブロック、例えばスチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンを含むコポリマーであってよい。かかるポリマーはBASFによって商品名「Luvitol HSB」で市販されている。
【0222】
驚くべきことに、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の皮膜形成ポリマー(b2)を含む場合、特に強くて洗い流し堅牢性の着色を得ることができることがわかった。
【0223】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種の皮膜形成ポリマー(b2)を含むことを特徴とする。
【0224】
さらなる一実施形態において、少なくとも1種の親水性の皮膜形成ポリマー(b2)を剤(b)において使用することが好ましい場合がある。
【0225】
親水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%より大きい、好ましくは2重量%より大きい水への溶解度を有するポリマーである。
【0226】
皮膜形成の親水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカー内に入れる。水で100gにする。攪拌子を添加し、混合物を磁気攪拌機で撹拌しながら25℃まで加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。完全に溶解したポリマーは肉眼で均質に見える。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。未溶解ポリマーが濾紙上に残存していない場合、ポリマーの溶解度は1重量%より大きい。
【0227】
非イオン性、アニオン性およびカチオン性のポリマーは、皮膜形成の親水性ポリマーとして使用できる。
【0228】
好適な皮膜形成親水性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、酢酸ビニル(コ)ポリマー、カルボキシビニル(コ)ポリマー、アクリル酸(コ)ポリマー、メタクリル酸(コ)ポリマー、天然のガム、多糖類および/またはアクリルアミド(コ)ポリマーからなる群から選択され得る。
【0229】
さらに、ポリビニルピロリドン(PVP)および/またはビニルピロリドン含有コポリマーを皮膜形成親水性ポリマーとして使用することが特に好ましい。
【0230】
別の非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)が、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルピロリドンのコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の皮膜形成親水性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0231】
該剤が、ポリビニルピロリドン(PVP)を皮膜形成親水性ポリマーとして含む場合がさらに好ましい。驚くべきことに、PVP含有剤(b9を用いて得られた染色の洗い流し堅牢性もまた特に良好であった。
【0232】
特に適切な ポリビニルピロリドンは、例えばLuviskol(登録商標)Kの名称でBASF SEから、特にLuviskol(登録商標)K 90またはLuviskol(登録商標)K 85でBASF SEから入手可能である。
【0233】
ポリマーPVP K 30は、Ashland(ISP,POI Chemical)によって販売されており、これもまた、別の明白に非常に適切なポリビニルピロリドン(PVP)として使用できる。PVP K 30は冷水中への溶解性が高いポリビニルピロリドンであり、CAS番号9003-39-8を有する。PVP K 30の分子量は約40000g/molである。
【0234】
他の特に好適なポリビニルピロリドンは、商品名LUVITEC K 17、LUVITEC K 30、LUVITEC K 60、LUVITEC K 80、LUVITEC K 85、LUVITEC K 90およびLUVITEC K 115で知られる物質であり、BASFから入手可能である。
【0235】
ポリビニルピロリドンコポリマーの群からの皮膜形成親水性ポリマー(b2)の使用もまた、特に良好で洗い流し堅牢性のカラーリング結果がもたらされた。
【0236】
ビニルピロリドン-ビニルエステルコポリマー、例えば商標Luviskol(登録商標)(BASF)で販売されているものは特に好適な皮膜形成親水性ポリマーである。Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73は、ともにビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーであり、特に好ましい非イオン性ポリマーである。
【0237】
ビニルピロリドン含有コポリマーのうち、スチレン/VPコポリマーおよび/またはビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーおよび/またはVP/DMAPAアクリレートコポリマーおよび/またはVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーが化粧料組成物において特に好ましい。
【0238】
ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーは、Luviskol(登録商標)VAの名称でBASF SEによって販売されている。例えば、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは、商品名Aquaflex(登録商標)SF-40でAshland Incによって販売されている。例えば、VP/DMAPAアクリレートコポリマーは、AshlandによってStyleze CC-10の名称で販売されており、非常に好ましいビニルピロリドン含有コポリマーである。
【0239】
また、ポリビニルピロリドンの他の好適なコポリマーは、N-ビニルピロリドンを、V-ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクトンおよび/またはビニルアルコールからなる群からの少なくとも1種のさらなるモノマーと反応させることにより得られるものであってもよい。
【0240】
別の非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の皮膜形成親水性ポリマー(b2)を含むことを特徴とする。
【0241】
ビニルピロリドンの別のファジー(fussy)なコポリマーは、INCI表示マルトデキストリン/VPコポリマーで知られるポリマーである。
【0242】
さらに、非イオン性皮膜形成親水性ポリマーを皮膜形成親水性ポリマーとして使用した場合、特に良好な洗い流し堅牢特性を有する強くカラーリングされたケラチン質物質、特に毛髪を得ることができた。
【0243】
別の実施形態において、剤(b)は少なくとも1種の非イオン性皮膜形成親水性ポリマー(b2)を含んでもよい。
【0244】
本発明によれば、非イオン性ポリマーは、プロトン性溶剤中、例えば水中において標準的な条件下で、対イオンによって補われるはずである永続的なカチオン基またはアニオン基を有する構造単位を担持しておらず、電子中性を維持したままであるポリマーであると理解されたい。カチオン基としては第四級化アンモニウム基が挙げられるが、プロトン化アミンは含まれない。アニオン基としてはカルボン酸基およびスルホン酸基が挙げられる。
【0245】
非イオン性の皮膜形成の親水性ポリマーとして、
-ポリビニルピロリドン、
-N-ビニルピロリドンとN-ビニルピロリドンの2~18個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルと酢酸ビニルのコポリマー、
-N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとメタクリルアミドのコポリマー、
-N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとアクリルアミドのコポリマー、
-N-ビニルピロリドンとN,N-ジ(C1~C4)アルキルアミノ-(C2~C4)アルキルアクリルアミドとのコポリマー
からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む生成物が好ましい。
【0246】
N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーが使用される場合、この場合も、モノマーの酢酸ビニルに含まれるポリマーの構造単位に対するモノマーのN-ビニルピロリドンに含まれる構造単位のモル比は20:80~80:20、特に30:70~60:40の範囲である場合が好ましい。好適なビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーは、例えば商標Luviskol(登録商標)VA 37、Luviskol(登録商標)VA 55、Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73でBASF SEから入手可能である。
【0247】
別の特に好ましいポリマーはINCI表示VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーから選択され、これは商品名Luviset ClearでBASF SEから入手可能である。
【0248】
別の特に好ましい非イオン性の皮膜形成の親水性ポリマーはN-ビニルピロリドンとN,N-ジメチルアミニオプロピルメタクリルアミドのコポリマーであり、これは、例えば、ISPによりINCI表示VP/DMAPA アクリレートコポリマーで、例えば商品名Styleze(登録商標)CC 10で販売されている。
【0249】
カチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI表示:ポリクオタニウム-69)であり、これは、例えば商品名AquaStyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中28~32重量%の活性物質、分子量350000)でISPにより販売されている。
【0250】
他の好適な皮膜形成の親水性ポリマーとして、
-表示Luviquat(登録商標)FC 370、FC 550およびINCI表示ポリクオタニウム-16ならびにFC 905およびHM 552で提供されるビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、
-ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム-アクリレートターポリマー、これは、第3のモノマー成分がアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドで、例えばAquaflex(登録商標)SF 40の名称で市販されている、
が挙げられる。
【0251】
ポリクオタニウム-11は、硫酸ジエチルとビニルピロリドンおよびメタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーとの反応生成物である。好適な市販品は、Dehyquart(登録商標)CC 11およびLuviquat(登録商標)PQ 11 PNの名称でBASF SEから、またはGafquat 440、Gafquat 734、Gafquat 755もしくはGafquat 755Nの名称でAshland Inc.から入手可能である。
【0252】
ポリクオタニウム-46は、ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとの反応生成物であり、例えばLuviquat(登録商標)Holdの名称でBASF SEから入手可能である。ポリクオタニウム-46は、好ましくは化粧料組成物の総重量に対して1~5重量%の量で使用される。ポリクオタニウム-46をカチオングア化合物との組合せで使用することが特に好ましい。ポリクオタニウム-46をカチオングア化合物およびポリクオタニウム-11との組合せで使用することが非常に好ましい。
【0253】
好適なアニオン性の皮膜形成の親水性ポリマーは例えばアクリル酸ポリマーであってよく、これは非架橋形態であっても架橋形態であってもよい。かかる生成物は、商品名Carbopol 980、981、954、2984および5984でLubrizolにより、またはSynthalen MおよびSynthalen Kの名称で3V Sigma(The Sun Chemicals,Inter Harz)により市販されている。
【0254】
天然のガムの群からの好適な皮膜形成の親水性ポリマーの例はキサンタンガム、ゲランガム、カロブガムである。
【0255】
多糖類の群からの好適な皮膜形成親水性ポリマーの例はヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。
【0256】
アクリルアミドの群からの好適な皮膜形成の親水性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド-C1~C4-アルキルスルホン酸またはその塩のモノマーから調製されるポリマーである。対応するポリマーは、ポリアクリルアミドメタンスルホン酸、ポリアクリルアミドエタンスルホン酸、ポリアクリルアミドプロパンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ-2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および/またはポリ-2-メチルアクリルアミド-n-ブタンスルホン酸のポリマーから選択され得る。
【0257】
ポリ(メタ)アクリルアミド-C1~C4-アルキル-スルホン酸の好ましいポリマーは架橋型であり、少なくとも90%が中和されている。このようなポリマーは架橋型であっても非架橋型であってもよい。
【0258】
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸型の架橋された完全中和または部分中和ポリマーは、INCI名「アンモニウムポリアクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホネート」または「アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド(tauramide)」で入手可能である。
【0259】
この型の別の好ましいポリマーは、Clariantにより商品名Hostacerin AMPSで販売されている架橋型ポリ-2-アクリルアミド-2メチル-プロパンスルホン酸ポリマーであり、アンモニアで部分的に中和されている。
【0260】
別の明白に非常に特に好ましい実施形態において、該方法は、剤(b)が少なくとも1種のアニオン性の皮膜形成ポリマー(b2)を含むことを特徴とする。
【0261】
これとの関連において、最良の結果は、剤(b)が、少なくとも1つの式(P-I)の構造単位と少なくとも1つの式(P-II)の構造単位を含む少なくとも1種の皮膜形成ポリマー(b2)を含む場合に得られ、
式中
Mは水素原子またはアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムもしくは1/2カルシウムであることを特徴とする。
【0262】
さらなる好ましい一実施形態において、本発明による方法は、剤(b)が、少なくとも1つの式(P-I)の構造単位と少なくとも1つの式(P-II)の構造単位を含む少なくとも1種の皮膜形成ポリマー(b2)を含み、
式中
Mは水素原子またはアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムもしくは1/2カルシウムであることを特徴とする。
【0263】
Mが水素原子を表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸単位を主体とする。
【0264】
Mがアンモニウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のアンモニウム塩を主体とする。
【0265】
Mがナトリウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のナトリウム塩を主体とする。
【0266】
Mがカリウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のカリウム塩を主体とする。
【0267】
Mが半当量のマグネシウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のマグネシウム塩を主体とする。
【0268】
Mが半当量のカルシウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のカルシウム塩を主体とする。
【0269】
皮膜形成ポリマー(b2)は好ましくは、剤(b)においてある特定の範囲の量で使用される。これとの関連において、本発明による課題を解決するためには、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して1種以上の皮膜形成ポリマー(b2)を0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で含む場合が特に好ましいことがわかった。
【0270】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して1種以上の皮膜形成ポリマー(b2)0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0271】
剤(a)および/または(b)中の他の成分
先に記載の剤(a)および/または(b)は1種以上の任意の成分をさらに含んでもよい。
【0272】
剤(a)および/または(b)は1種以上の界面活性剤をさらに含有してもよい。界面活性剤という用語は表面活性物質を示す。疎水性残基と負荷電の親水性頭部基からなるアニオン界面活性剤、負電荷と相殺性の正電荷の両方を担持している両性界面活性剤、疎水性残基に加えて正荷電の親水性基を有するカチオン界面活性剤、および電荷をもたないが強い双極子モーメントを有し、水溶液中で強く水和される非イオン界面活性剤に区別される。
【0273】
双性イオン界面活性剤は、分子内に少なくとも1つの第四級アンモニウム基と少なくとも1つの-COO(-)-または-SO (-)基を担持している表面活性化合物である。特に好適な双性イオン界面活性剤はいわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-グリシネート、例えばココアルキル-ジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、各々、アルキル基またはアシル基内に8~18個のC原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン界面活性剤の一例は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0274】
両性界面活性剤は、分子内のC~C24アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは-SOH基を含み、分子内塩を形成することができる表面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、各々、アルキル基内に約8~24個のC原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。両性または双性イオン界面活性剤の典型的な例はアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
【0275】
特に好ましい両性界面活性剤はN-ココス(cocos)アルキルアミノプロピオネート、ココスアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12~C18-アシルサルコシンである。
【0276】
剤(a)および/または(b)はまた、少なくとも1種の非イオン界面活性剤をさらに含有してもよい。好適な非イオン界面活性剤は、脂肪族アルコールまたは脂肪酸1molに対して2~30molのエチレンオキシドの脂肪族アルコールおよび脂肪酸に対するアルキルポリグリコシド付加生成物ならびにアルキレンオキシド付加生成物である。良好な特性を有する調製物は、非イオン界面活性剤として、少なくとも2molのエチレンオキシドと反応させたエトキシル化グリセロールの脂肪酸エステルを含有させた場合にも得られる。
【0277】
さらに、剤(a)および/または(b)はまた、少なくとも1種のカチオン界面活性剤をさらに含有してもよい。カチオン界面活性剤は、各々、1個以上の正電荷を有する界面活性剤、すなわち表面活性化合物である。カチオン界面活性剤は正電荷のみを含むものである。通常、このような界面活性剤は疎水性部と親水性頭部基で構成されており、疎水性部は通常、炭化水素主鎖からなり(例えば、1つまたは2つの直鎖または分枝鎖のアルキル鎖からなる)、正電荷は親水性頭部基に存在する。カチオン界面活性剤の例は
-8~28個の炭素原子の鎖長を有する1つもしくは2つのアルキル鎖を疎水性残基として担持するものであり得る第四級アンモニウム化合物、
-8~28個の炭素原子の鎖長を有する1つ以上のアルキル鎖で置換されている第四級ホスホニウム塩または
-第三級スルホニウム塩である。
【0278】
さらに、カチオン電荷もまた、オニウム構造の形態の複素環(例えば、イミダゾリウム環またはピリジニウム環)の一部であり得る。カチオン電荷を担持している官能部単位に加えて、カチオン界面活性剤は、例えばエステルクアットの場合のように他の無電荷官能基もまた含んでいてもよい。カチオン界面活性剤は、それぞれの剤の総重量に対して0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0279】
さらに、剤(a)および/または(b)はまた、少なくとも1種のアニオン界面活性剤を含有してもよい。アニオン界面活性剤は、排他的にアニオン電荷(対応する対カチオンによって中和される)を有する表面活性剤である。アニオン界面活性剤の例は脂肪酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェートおよびエーテルカルボン酸であり、アルキル基内のC原子は12~20個であり、分子内のグリコールエーテル基最大16個までである。
【0280】
アニオン界面活性剤は、それぞれの剤(a)および/または(b)の総重量に対して0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、非常に好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0281】
所望のpHに調整するため、剤(a)および/または(b)はまた、少なくとも1種のアルカリ化剤および/または酸性化剤を含有してもよい。本発明の解釈上のpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0282】
アルカリ化剤として、剤(a)および/または(b)は、例えばアンモニア、アルカノールアミンおよび/または塩基性アミノ酸を含有してもよい。
【0283】
剤(a)および/または(b)において使用できるアルカノールアミンは好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を担持している親C~Cアルキルを有する第1級アミンから選択される。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールによって形成される群から選択される。
【0284】
特に好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択される。特に好ましい一実施形態は、したがって、剤(a)および/または(b)は、アルカリ化剤として、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択されるアルカノールアミンを含むことを特徴とする。
【0285】
本発明の解釈上、アミノ酸は、その構造内に少なくとも1つのプロトン化性アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸はアミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、このとき、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0286】
本発明によれば、塩基性アミノ酸は、7より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0287】
塩基性α-アミノカルボン酸は少なくとも1個の不斉炭素原子を含む。本発明との関連において、考えられ得る両方のエナンチオマーが具体的な化合物として、またはその混合物、特にラセミ体として等しく使用できる。しかしながら、天然状態で好ましい異性体形態、通常、L体を使用することが特に好適である。
【0288】
塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリシンによって形成される群から選択される。別の特に好ましい実施形態において、本発明による剤は、したがって、アルカリ化剤がアルギニン、リシン、オルニチンおよび/またはヒスチジンの群からの塩基性アミノ酸ことを特徴とする。
【0289】
また、剤(a)および/または(b)は、アルカリ化剤、特に無機アルカリ化剤をさらに含有してもよい。適用可能な無機アルカリ化剤は好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムによって形成される群から選択される。
【0290】
非常に特に好ましいアルカリ化剤はアンモニア、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0291】
当業者が熟知している酸性化剤は、例えば有機酸、例えばクエン酸、酢酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸または酒石酸および希薄鉱酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸である。
【0292】
剤(a)および/または(b)はマット剤をさらに含んでもよい。好適なマット剤として、例えば、(加工)デンプン、ワックス、タルクおよび/または(修飾)シリカが挙げられる。マット剤の量は、剤(a)または剤(b)の総量に対して好ましくは0.1~10重量%である。好ましくは、剤(b)はマット剤を含む。
【0293】
剤(a)は、顔料および/または直接染料からなる群より選択される少なくとも1種の着色料化合物をさらに含むことが特に好ましい場合がある。
【0294】
剤(a)に使用可能な顔料および/または直接染料の群からの着色料化合物は原則的には剤(b)においても使用された着色料化合物に相当し得る。
【0295】
より好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)が、無機顔料および/または有機顔料からなる群より選択される少なくとも1種の着色料化合物を含むことを特徴とする。
【0296】
別の特に好ましい実施形態において、該方法は、組成物(a)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号Cl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびその混合物からなる群より選択される有機顔料の群からの少なくとも1種の着色料化合物を含むことを特徴とする。
【0297】
剤(a)および/または(b)はまた、他の活性成分、助剤および添加剤、例えば溶剤;脂肪族成分、例えばC~C30脂肪酸トリグリセリド、C~C30脂肪酸モノグリセリド、C~C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素;ポリマー;ストラクチュラント(structurant)、例えばグルコースまたは塩化ナトリウム、ヘアコンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えばレクチンおよびケファリン;香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン;繊維構造改善活性成分、特に単糖類、二糖類およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、フルクトースおよびラクトース;製品をカラーリングするための染料;フケ防止活性成分、例えばピロクトン・オラミン、亜鉛オマジンおよびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物系および/または植物系ならびに脂肪酸縮合生成物または任意にアニオン修飾型もしくはカチオン修飾型誘導体の形態のタンパク質加水分解物;植物油;光安定剤およびUVブロッカー;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびその塩またはビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボンおよびフラボノール;セラミドまたは疑似セラミド;ビタミン類、プロビタミンおよびビタミン前駆体;植物エキス;脂肪およびワックス、例えば脂肪族アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびケロシン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素塩、グアニジン、尿素および第一級、第二級および第三級ホスフェート;乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレートならびにPEG-3-ジステアレート;ならびに発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、COおよび空気を含有してもよい。
【0298】
このような他の物質の選択は、専門家により剤の所望の特性に従うように行われる。他の任意の成分およびこのような成分の使用量に関して、その専門家に知られた関連マニュアルに明示されている。さらなる活性成分および補助物質は好ましくは、剤(a)および/または(b)中に、それぞれの剤の総重量に対して各場合において0.0001~25重量%、0.0005~15重量%の量で使用される。
【0299】
ケラチン質物質を染色するための方法
本発明による手順において、剤(a)および(b)は、ケラチン質物質、人毛に適用される。したがって、剤(a)および(b)は使用準備済の剤である。剤(a)と(b)は異なる。
【0300】
原則的に、剤(a)および(b)は同時または連続的に適用することができ、このとき、連続的に適用することが好ましい。
【0301】
最良の結果は、剤(a)をケラチン質物質に前処理剤として適用し、次いで剤(b)をカラーリング剤として適用する場合に得られた。
【0302】
したがって、特に好ましいのは、ケラチン質物質、特に人毛を染色するための方法であって、示した順に以下の工程:
-第1の工程において、剤(a)をケラチン質物質に適用し、該剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む、および
-第2の工程において、剤(b)を該ケラチン質物質に適用し、該剤(b)は:
(b1)真空金属蒸着顔料を含む少なくとも1種の基材プレートレットベース顔料を含む少なくとも1種の着色料化合物、ならびに
(b2)少なくとも1種の皮膜形成ポリマー
を含む、方法である。
【0303】
さらに、染色されたケラチン質物質に対して長期間にわたって高い溶出耐久性を付与するため、剤(a)および(b)は特に好ましくは、剤(a)の適用と剤(b)の適用の間の期間が最大数時間であることを意味する1つの同じ染色方法において適用する。
【0304】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、剤(a)を最初に適用し、その後に剤(b)を適用し、剤(a)の適用と剤(b)の適用の間の期間が最大でも24時間、好ましくは最大でも12時間、特に好ましくは最大でも6時間であることを特徴とする。
【0305】
本発明による方法では、ケラチン質物質、特に人毛をまず、剤(a)で処理する。続いて、着色料化合物を含む実際の着色料(b)をケラチン質物質に適用する。
【0306】
好ましくは、剤(a)自体は着色料または着色化合物を含んでいない。前処理剤(a)の特徴的な特性の1つは、これが少なくとも1種の反応性有機ケイ素化合物を含んでいることである。反応性有機ケイ素化合物(a)は、毛髪表面と合うとすぐにこれを官能性付与する。このようにして、第1のまだ未着色の皮膜が形成される。該方法の第2の工程では、着色料(b)が次に毛髪に適用される。着色料(b)の適用中、着色料化合物は、有機ケイ素化合物によって形成された皮膜と相互作用し、したがってケラチン質物質に結合される。
【0307】
実施のさらなる形態との関連において、示した順に以下の工程
(1)剤(a)をケラチン質物質に対して適用すること、
(2)剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させること、
(3)必要であれば、ケラチン質物質を水ですすぎ洗いすること、
(4)剤(b)をケラチン質物質に対して適用すること、
(5)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させること、および
(6)ケラチン質物質を水ですすぎ洗いすること
を含む手順が特に好ましい。
【0308】
該方法の工程(3)および(6)でのケラチン質物質の水でのすすぎ洗いは、本発明によれば、すすぎ洗い方法に、剤(a)および(b)以外になんら他の剤を伴わずに水だけを使用することを意味すると理解されたい。
【0309】
工程(1)では、剤(a)が最初にケラチン質物質、特に人毛に適用される。
【0310】
適用後、剤(a)をそのままにしてケラチン質物質に作用させる。これとの関連において、ケラチン質物質、人毛への10秒~10分、好ましくは20秒~5分、最も好ましくは30秒~2分の曝露時間が特に好適であることがわかった。
【0311】
該方法の好ましい一実施形態において、剤(a)を次に、後続の工程で剤(b)を毛髪に適用する前にケラチン性材料からすすぎ洗いすることができる。
【0312】
等しく良好な洗い流し堅牢性を有する染色が、まだ剤(a)に曝露されているケラチン質物質に剤(b)を適用した場合に得られた。
【0313】
工程(4)では、剤(b)が次にケラチン質物質に適用される。適用後、剤(b)を毛髪に対して作用させる。
【0314】
剤(b)との接触時間が短くても、該方法により、特に良好な強度および洗い流し堅牢性を有する染色をもたらすことが可能となる。ケラチン質物質上、人毛上での10秒~10分、好ましくは20秒~5分、最も好ましくは30秒~3分の接触時間が特に好適であることがわかった。
【0315】
工程(6)では、剤(b)(およびまだ存在していれば剤(a))が次にケラチン質物質から水ですすぎ洗い流される。
【0316】
多成分パッケージユニット(キット・オブ・パーツ)
本発明による方法では、剤(a)と(b)がケラチン質物質に適用される、すなわち、この2種の剤(a)および(b)は各々、使用準備済の剤である。
【0317】
ユーザーの快適性を高めるため、好ましくはユーザーに必要とされるすべての資材が多成分パッケージユニット(キット・オブ・パーツ)の形態で提供される。
【0318】
本発明の第2の主題は、したがって、
-剤(a)を含む第1の容器であって、該剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む第1の容器、ならびに
-剤(b)を含有する第2の容器であって、該剤(b)は:
(b1)真空金属蒸着顔料を含む少なくとも1種の基材プレートレットベース顔料を含む少なくとも1種の着色料化合物、および
(b2)少なくとも1種の皮膜形成ポリマー
を含む第2の容器
が互いに別々に包括的にパッケージングされた、ケラチン質物質カラーリングするための多成分パッケージユニット(キット・オブ・パーツ)である。
【0319】
キットの剤(a)に含まれる有機ケイ素化合物は、上記の方法の剤(a)においても使用された有機ケイ素化合物に相当する。
【0320】
キットの剤(b)に含まれる顔料および/または直接染料の群からの着色料化合物は、先に記載した方法の剤(b)においても使用された顔料および/または直接染料の群からの着色料化合物に相当する。
【0321】
剤(a)は、有機ケイ素化合物とともに、先に記載のような水分の存在下で加水分解および/またはオリゴマー化および/または重合を行うことができる類型の反応性化合物を含有する。その高い反応性の結果、このような有機ケイ素化合物はケラチン質物質上に皮膜を形成する。
【0322】
未成熟な加水分解、オリゴマー化および/または重合を回避するため、使用準備済の剤(a)を使用直前に調製することが好ましい場合がある。
【0323】
さらなる一実施形態との関連において、ケラチン性材料のカラーリングのための多成分パッケージユニット(キット・オブ・パーツ)は好ましくは、
-剤(a1)を含む第1の容器であって、該剤(a1)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む第1の容器、
-剤(a2)を含む第2の容器であって、該剤(a2)は水を含む第2の容器、
-剤(b)を含有する第3の容器であって、該剤(b)は:
(b1)真空金属蒸着顔料を含む少なくとも1種の基材プレートレットベース顔料を含む少なくとも1種の着色料化合物、ならびに
(b2)少なくとも1種の皮膜形成ポリマー
を含む第3の容器
が互いに別々に包括的にパッケージングされた、ケラチン質物質カラーリングするための多成分パッケージユニット(キット・オブ・パーツ)である。
【0324】
貯蔵中、可能な限り安定な配合物を得るため、剤(a1)自体は好ましくは低水分量または水無含有でパッケージングされる。
【0325】
好ましい一実施形態において、多成分パッケージユニット(キット・オブ・パーツ)は、剤(a1)が、剤(a1)の総重量に対して10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、なおより好ましくは0.1重量%未満、非常に特に好ましくは0.01重量%未満の水分含有量を有することを特徴とする。
【0326】
剤(a2)は水を含む。好ましい一実施形態において、多成分パッケージユニット(キット・オブ・パーツ)は、剤(a2)が、剤(a2)の総重量に対して15~100重量%、好ましくは35~100重量%、より好ましくは55~100重量%、さらにより好ましくは65~100重量%、非常に特に好ましくは75~100重量%の水分含有量を有することを特徴とする。
【0327】
このバージョンの範囲において、使用準備済の剤(a)が次に、剤(a1)と(a2)を混合することによって調製される。
【0328】
例えば、ユーザーにより最初に、有機ケイ素化合物を含有する剤(a1)が水含有剤(a2)とともに混合またはシェイクされてもよい。ユーザーにより次に、(a1)と(a2)のこの混合物がケラチン質物質に、調製直後または10秒間~20分間の短い反応時間後のいずれかで適用され得る。その後、ユーザーにより剤(b)が上記のようにして適用され得る。
【0329】
多成分パッケージユニットの該さらに好ましい実施形態に関して、同じことが方法について、必要により修正を加えて(mutatis mutantis)適用される。
【実施例
【0330】
1.配合物
以下の配合物を作製した(特に記載のない限り、数字はすべて、単位:重量%である)
【0331】
シランを一部の水と混合し、この混合物を30分間放置した。次いで、クエン酸/アンモニアを添加することによってpHの値を所望の値に調整した。次いで、水を添加して100gにした。
【0332】
2.適用
一束の毛髪(Kerling,ユーロナチュラルヘアホワイト)を媒体(a)中に浸漬し、1分間放置した。
【0333】
その後、過剰の製剤品(a)を各毛束から取り除いた。各毛束を水で短時間、洗い流した。過剰の水を各毛束から擦り落とした。
【0334】
続いて、この毛束を各々、剤(b)中に浸漬し、1分間放置した。その後、過剰の剤(b)を各毛束から取り除いた。各毛束を水で短時間、洗い流した。過剰の水を各毛束から擦り落とした。
【0335】
続いて、この毛束を目視評価した。高い強度と堅牢性を有し、ホワイト系のメタリックにカラーリングされた毛束が得られた。
【国際調査報告】