(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】薄型ヒータ装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/34 20060101AFI20220526BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
H05B3/34
H05B3/20 310
H05B3/20 339
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557596
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2020023549
(87)【国際公開番号】W WO2020197920
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508240030
【氏名又は名称】エムケーエス インストゥルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177231
【氏名又は名称】鴨志田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】キールナン,ジェフリー,ディー.
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA04
3K034AA15
3K034BB08
3K034BB13
3K034BC03
3K034BC12
3K034CA26
3K034CA30
3K034CA39
3K034CA40
3K034DA03
3K034JA01
3K034JA07
3K034JA09
(57)【要約】
新規な薄型ヒータ装置及びその製造方法が開示される。第1のシートと、少なくとも1つの発熱体を含む加熱シートと、誘電体シートと、中間シートと、発熱体に電力を供給するように構成される1以上の電気リード線とを含む下側アセンブリを用意する。電気リード線は、上側アセンブリのリードスリーブの内部に延びている。上側アセンブリは、1以上の分割スリーブがしっかりと取り付けられた上面シートを含み、これにより、電気リード線に対するダメージを防止するように構成される1以上の歪み解放アセンブリを形成する。1以上のスティッチ又は連結部が、上側アセンブリを下側アセンブリにしっかりと取り付ける。配管装置の薄型ヒータ装置を1以上のパイプ、チューブ又は導管にしっかりと保持するために1以上の保持デバイスが使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のシートと、1以上の誘電体シート上に形成された少なくとも1つの発熱体を含む少なくとも1つの加熱シートと、少なくとも1つの中間シートと、前記少なくとも1つの発熱体と電気的に接続され、前記少なくとも1つの発熱体に電力を供給するように構成される1以上の電気リード線とを含む少なくとも1つの下側アセンブリと、
少なくとも1つのリードスリーブを通すことができるように構成される1以上の流路が内部に形成された少なくとも1つの上面シートを含む少なくとも1つの上側アセンブリであって、前記少なくとも1つのリードスリーブには少なくとも1つのリードスリーブ流路が貫通して延び、前記少なくとも1つのリードスリーブ流路は、前記下側アセンブリからの前記1以上の電気リード線が内部を通過することを許容するように構成される、少なくとも1つの上側アセンブリと、
前記1以上の電気リード線に対するダメージを防止するように構成される少なくとも1つの歪み解放構造と
を備える、薄型ヒータ装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの歪み解放構造は、前記少なくとも1つのリードスリーブから延びる1以上の分割スリーブと、前記1以上の分割スリーブを前記少なくとも1つの上面シートにしっかりと取り付けるように構成される1以上のスティッチ又は連結部とを含む、請求項1の薄型ヒータ装置。
【請求項3】
前記下側アセンブリ及び前記少なくとも1つの上側アセンブリの少なくとも1つの周縁に沿って延び、前記上側アセンブリを前記下側アセンブリにしっかりと取り付けることにより少なくとも1つのヒータ本体を形成するように構成される1以上の周縁スティッチ又は連結部をさらに備える、請求項1の薄型ヒータ装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの加熱シートは、その上に形成され、前記少なくとも1つの発熱体と電気的に接続される1以上のパッドを含み、前記1以上のパッドは、前記1以上の電気リード線の1以上の近位端がそこに取り付けられるように構成される、請求項1の薄型ヒータ装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの加熱シート上に形成されるか、あるいは前記少なくとも1つの加熱シートに取り付けられる少なくとも1つの温度センサであって、前記少なくとも1つの発熱体との間で熱伝導可能な少なくとも1つの温度センサをさらに備える、請求項1のヒータ装置。
【請求項6】
少なくとも1つの配管装置の1以上のチューブと前記ヒータ装置との間で熱伝導可能な状態で前記ヒータ装置に係合し、前記ヒータ装置をしっかりと保持するように構成される1以上の保持部材をさらに備える、請求項1のヒータ装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのヒータ本体に形成される1以上の逃げ部をさらに含む請求項1のヒータ装置。
【請求項8】
前記ヒータ本体に形成される1以上の開口であって、少なくとも1つの配管装置の1以上のチューブの1以上の継手に対して隙間を形成するように構成される1以上の開口をさらに含む、請求項7のヒータ装置。
【請求項9】
前記ヒータ本体に形成される1以上の面取り部であって、少なくとも1つの配管装置の1以上のチューブの少なくとも1つの継手又は特徴に対して隙間を形成するように構成される1以上の面取り部をさらに含む、請求項8のヒータ装置。
【請求項10】
少なくとも1つの配管装置の1以上のチューブとの間で熱伝導可能な状態で前記ヒータ装置に係合し、前記ヒータ装置をしっかりと保持するように構成される1以上の保持部材をさらに備える、請求項1のヒータ装置。
【請求項11】
少なくとも1つの下側アセンブリであって、
少なくとも1つの耐熱生地から形成される少なくとも1つの第1のシートと、
少なくとも1つの誘電体シートと、前記少なくとも1つの誘電体シート上に形成される少なくとも1つの発熱体と、前記少なくとも1つの発熱体上に形成される1以上のパッドとを含む少なくとも1つの加熱シートであって、前記1以上のパッドは、1以上の電気リード線が前記少なくとも1つの発熱体と電気的に接続された状態で取り付けられるように構成される、少なくとも1つの加熱シートと、
その上に形成されるか貫通する1以上の流路であって、前記1以上の電気リード線が前記1以上の流路を通って前記発熱体上に形成された前記1以上のパッドと電気的に接続された状態でしっかりと取り付けられるように構成される1以上の流路を含む少なくとも1つの中間シートと
を含む少なくとも1つの下側アセンブリと、
少なくとも1つの上側アセンブリであって、
少なくとも1つのリードスリーブを通すことができるように構成される少なくとも1つの流路が内部に形成された少なくとも1つの上面シートであって、前記少なくとも1つのリードスリーブは、1以上の分割スリーブと、貫通して延びる少なくとも1つのリードスリーブ流路とをさらに含み、前記少なくとも1つのリードスリーブ流路は、前記下側アセンブリからの前記1以上の電気リード線が内部を通過することを許容するように構成される、少なくとも1つの上面シートと、
前記少なくとも1つの上面シート内の1以上のスティッチ又は連結部であって、前記1以上の分割スリーブを前記少なくとも1つの上面シートにしっかりと取り付けるように構成される1以上のスティッチ又は連結部と
を含む少なくとも1つの上側アセンブリと、
前記少なくとも1つの下側アセンブリ及び前記少なくとも1つの上側アセンブリの少なくとも1つの周縁に沿って延び、前記少なくとも1つの上側アセンブリを前記少なくとも1つの下側アセンブリにしっかりと取り付けて少なくとも1つのヒータ本体を形成するように構成される1以上の周縁スティッチ又は連結部と
を備える、ヒータ装置。
【請求項12】
少なくとも1つの温度センサが、前記加熱シート上に形成されるか、あるいは前記加熱シートに取り付けられる、請求項11のヒータ装置。
【請求項13】
前記1以上の電気リード線に電気的に接続されるように構成される少なくとも1つの電気コネクタをさらに備える、請求項11のヒータ装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの上面シート及び前記1以上の分割スリーブに縫合される少なくとも1つのカバーシートをさらに備える、請求項11の上側アセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのヒータ本体に形成される1以上の逃げ部をさらに含む、請求項11のヒータ装置。
【請求項16】
前記ヒータ本体に形成される1以上の開口であって、少なくとも1つの配管装置の1以上のチューブの1以上の継手に対して隙間を形成するように構成される1以上の開口をさらに含む、請求項15のヒータ装置。
【請求項17】
前記ヒータ本体に形成される面取り部であって、少なくとも1つの配管装置の1以上のチューブの少なくとも1つの継手又は特徴に対して隙間を形成するように構成される1以上の面取り部をさらに含む、請求項16のヒータ装置。
【請求項18】
少なくとも1つの配管装置の1以上のチューブとの間で熱伝導可能な状態で前記ヒータ装置に係合し、前記ヒータ装置をしっかりと保持するように構成される1以上の保持部材をさらに備える、請求項11のヒータ装置。
【請求項19】
前記1以上の保持部材は、前記少なくとも1つのヒータ本体と一体化されている、請求項18のヒータ装置。
【請求項20】
薄型ヒータ装置を製造する方法であって、
少なくとも1つの第1のシートと、その上に少なくとも1つの発熱体が形成された1以上の誘電体シートを含む少なくとも1つの加熱シートと、少なくとも1つの中間シートと、前記少なくとも1つの発熱体と接続される1以上の電気リード線とを含む少なくとも1つの下側アセンブリを用意し、
少なくとも1つのリードスリーブを通すことができるように構成される1以上の流路が内部に形成された少なくとも1つの上面シートを含む少なくとも1つの上側アセンブリであって、前記少なくとも1つのリードスリーブは、1以上の分割スリーブと、前記少なくとも1つのリードスリーブを貫通して延びる少なくとも1つのリードスリーブ流路とをさらに含み、前記少なくとも1つのリードスリーブ流路は、前記下側アセンブリからの前記1以上の電気リード線が内部を通過することを許容するように構成される、少なくとも1つの上側アセンブリを用意し、
前記1以上の分割スリーブを1以上のスティッチ又は連結部で前記少なくとも1つの上面シートに縫合あるいは連結することにより、前記少なくとも1つの上側アセンブリに1以上の歪み解放構造を形成し、
前記下側アセンブリの少なくとも1つの周縁及び前記少なくとも1つの上側アセンブリの少なくとも1つの周縁に沿って延びる1以上のスティッチ又は連結部であって、前記上側アセンブリを前記下側アセンブリにしっかり取り付けて少なくとも1つのヒータ本体を形成するように構成される1以上のスティッチ又は連結部で前記少なくとも1つの下側アセンブリを前記少なくとも1つの上側アセンブリに結合する、
方法。
【請求項21】
前記1以上のスティッチ又は連結部は、前記少なくとも1つの下側アセンブリと前記少なくとも1つの上側アセンブリとの間に配置される1以上の接着材を含む、請求項20の方法。
【請求項22】
前記1以上のスティッチ又は連結部は、耐熱糸状体を含む、請求項20の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年3月28日に提出された「薄型ヒータ装置及び製造方法」という表題の米国仮特許出願第62/825,777号に対する優先権を主張するものである。この仮特許出願の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景】
【0002】
バルブに取り付けられるヒータジャケット及びヒータアセンブリや配管ラインに適用されるパイプラインヒータは、化学蒸着(CVD)システムにおける半導体製造をはじめとする幅広い用途において使用されている。CVDプロセスでは、可燃性があり、発火性があり、有毒で、腐食性のあるガスや蒸気が使用されることが多い。これらは、ユーザの安全を確保するために適切に取り扱われる必要があり、後処理流出ガスは、環境安全基準を満たすために、適切に処理され中和される必要がある。一部の薄膜製造プロセスにおける下流側の流出物は、ラインの詰まり、ポンプやバルブの損傷、及び変換器の汚染によって、損失と予期しない設備のダウンタイムを引き起こすことがある。反応チャンバがパージされるときに、CVDプロセスの未反応前駆物質ガス及び他の副生成物を破壊するために、ガス緩和システムのような流出物管理デバイスが用いられている。そのようなガス緩和システムの入口配管は、配管内面への様々な流出物の付着又は増大化により詰まることがある。配管ラインに据え付けられるヒータジャケット及びヒータアセンブリや他の構成要素を用いて様々なプロセス薬品を気体の状態に維持することで、これらの流出物の付着や増大化を低減している。ヒータジャケット及びヒータアセンブリ用の他の用途としては、分析的計測、製剤加工、及び工業的コーティングが挙げられる。
【0003】
これまで従来技術におけるヒータジャケット及びヒータアセンブリは有用であるとされてきているものの、数多くの欠点も指摘されている。すなわち、従来技術のシリコーン絶縁付きヒータは、ガス緩和システムの入口ヘッドにおける空間的制約のために嵩張るものである。さらに、これらのシリコーンヒータを配管に据え付けることは難しくて時間がかかる。また、ヒータ及び導電体が設置プロセス中に損傷してしまうことが考えられ、その結果、稼働寿命が短くなり、メンテナンスコストが高くなってしまう。また、据付が難しいことにより、配管の加熱が非効率になったり、不均一になったりする結果として、入口ヘッド配管の目詰まりが生じてしまうことも考えられる。
【0004】
このため、様々な処理システムにおいて使用するためにヒータジャケット又はヒータアセンブリを改善することに対して持続的なニーズが存在する。
【概要】
【0005】
本出願は、薄型ヒータアセンブリ及びその製造方法の様々な実施形態を開示している。一実施形態においては、本出願は、薄型ヒータアセンブリを開示している。薄型ヒータアセンブリは、少なくとも1つの第1のシートと、1以上の誘電体シート上に形成された少なくとも1つの発熱体を含む少なくとも1つの加熱シートと、少なくとも1つの中間シートと、上記少なくとも1つの発熱体と電気的に接続され、上記少なくとも1つの発熱体に電力を供給するように構成される1以上の電気リード線とを含む少なくとも1つの下側アセンブリを含み得る。上記薄型ヒータアセンブリは、少なくとも1つのリードスリーブを通すことができるように構成される1以上の流路が内部に形成された少なくとも1つの上面シートを含む少なくとも1つの上側アセンブリをさらに含み得る。上記電気リード線は、上記リードスリーブに形成される少なくとも1つのリードスリーブ流路の内部を通過し得る。1以上の分割スリーブを1以上のスティッチ又は連結部で上記上面シートに固定することにより、上記電気リード線に対するダメージを防止するように構成される少なくとも1つの歪み解放構造が上側アセンブリに形成され得る。上記上側アセンブリ及び上記下側アセンブリは、上記上側アセンブリ及び上記下側アセンブリの周縁に沿って延びる1以上の周縁スティッチ又は連結部によってしっかりと結合されてヒータ本体を形成してもよい。他の実施形態においては、上記薄型ヒータアセンブリは、配管装置の1以上のチューブと熱伝導可能な状態で上記ヒータアセンブリに係合し、上記ヒータアセンブリをしっかりと保持するように構成される1以上の保持部材をさらに含んでいる。配管装置の1以上のチューブの様々な継手又は他の特徴に対して隙間を形成するために、ヒータ本体に1以上の逃げ部、開口、又は面取り部が形成されていてもよい。
【0006】
他の実施形態においては、本出願は、少なくとも1つの耐熱生地から形成される少なくとも1つの第1のシートと、少なくとも1つの誘電体シートと、上記誘電体シート上に形成される少なくとも1つの発熱体と、上記発熱体上に形成される1以上のパッドとを含む少なくとも1つの加熱シートとを含む少なくとも1つの下側アセンブリを備えるヒータ装置を開示する。上記パッドは、1以上の電気リード線が上記発熱体と電気的に接続された状態で取り付けられるように構成される。上記下側アセンブリは、その上に形成されるか貫通する1以上の流路であって、電気リード線が上記流路を通って上記発熱体上に形成された上記パッドと電気的に接続された状態でしっかりと取り付けられるように構成される1以上の流路を含む少なくとも1つの中間シートをさらに含み得る。上記ヒータ装置は、少なくとも1つのリードスリーブを通すことができるように構成される少なくとも1つの流路が内部に形成された少なくとも1つの上面シートを含む少なくとも1つの上側アセンブリをさらに含んでいる。上記リードスリーブは、1以上の分割スリーブと、貫通して延びる少なくとも1つのリードスリーブ流路とをさらに含んでいる。上記リードスリーブ流路は、上記下側アセンブリからの上記電気リード線が内部を通過することを許容するように構成される。上記分割スリーブを上記上面シートにしっかりと取り付けるために1以上のスティッチ又は連結部を用いることにより、設置中又は使用中に上記電気リード線をダメージから保護するように構成される歪み解放構造を形成する。1以上の周縁スティッチ又は連結部は、上記下側アセンブリ及び上記上側アセンブリの周縁に沿って延びることにより、上記上側アセンブリを上記下側アセンブリにしっかりと取り付けて少なくとも1つのヒータ本体を形成してもよい。
【0007】
他の実施形態においては、本出願は、薄型ヒータアセンブリの製造方法を開示する。この製造方法では、少なくとも1つの第1のシートと、その上に少なくとも1つの発熱体が形成された1以上の誘電体シートを含む少なくとも1つの加熱シートと、少なくとも1つの中間シートと、上記少なくとも1つの発熱体と接続される1以上の電気リード線とを含む少なくとも1つの下側アセンブリを用意する。この方法では、さらに、少なくとも1つのリードスリーブを通すことができるように構成される1以上の流路が内部に形成された少なくとも1つの上面シートを含む少なくとも1つの上側アセンブリを用意する。上記リードスリーブは、1以上の分割スリーブと、上記少なくとも1つのリードスリーブを貫通して延びる少なくとも1つのリードスリーブ流路とをさらに含む。上記リードスリーブ流路は、上記下側アセンブリからの上記電気リード線が内部を通過することを許容するように構成される。上記分割スリーブを1以上のスティッチ又は連結部で上記上面シートに縫合あるいは連結することにより、上記少なくとも1つの上側アセンブリに1以上の歪み解放構造が形成される。上記下側アセンブリと1つの上側アセンブリは、上記下側アセンブリの周縁及び上記上側アセンブリの周縁に沿って延びる1以上のスティッチ又は連結部で互いにしっかりと取り付けられる。上記1以上のスティッチ又は連結部は、上記上側アセンブリを上記下側アセンブリにしっかりと取り付けて少なくとも1つのヒータ本体を形成するように構成される。
【0008】
本明細書で述べられる薄型ヒータアセンブリ及び製造方法の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を考慮すればより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
薄型ヒータ装置及び製造方法の様々な実施形態が以下の添付図面を用いてより詳細に説明される。
【0010】
【
図1】
図1は、ガス緩和システムの実施形態の図を示すものである。
【0011】
【
図2】
図2は、
図1に示されるガス緩和システムとともに使用するための入口ヘッドの実施形態の斜視図を示すものである。
【0012】
【
図3】
図3は、薄型ヒータアセンブリの下側アセンブリの実施形態の分解図を示すものである。
【0013】
【
図4】
図4は、
図3に示される薄型ヒータアセンブリの下側アセンブリの実施形態の斜視図を示すものである。
【0014】
【
図5】
図5は、
図4に示される薄型ヒータアセンブリの下側アセンブリの実施形態の分解断面図を示すものである。
【0015】
【
図6】
図6は、薄型ヒータアセンブリの上側アセンブリの実施形態の分解図を示すものである。
【0016】
【
図7】
図7は、
図6に示される薄型ヒータアセンブリの上側アセンブリの実施形態の斜視図を示すものである。
【0017】
【
図8】
図8は、
図7に示される薄型ヒータアセンブリの上側アセンブリの実施形態の断面図を示すものである。
【0018】
【
図9】
図9は、薄型ヒータアセンブリの上側アセンブリの別の実施形態の断面図を示すものである。
【0019】
【
図10】
図10は、薄型ヒータアセンブリの実施形態の分解図を示すものである。
【0020】
【
図11】
図11は、薄型ヒータアセンブリの実施形態の分解図を示すものである。
【0021】
【0022】
【
図13】
図13は、
図12に示される薄型ヒータアセンブリの実施形態の断面図を示すものである。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【
図17】
図17は、
図2に示される入口ヘッドのチューブ上に設置される
図15Bに示される薄型ヒータアセンブリの実施形態の斜視図を示すものである。
【0027】
【0028】
【
図19A-19B】
図19A及び
図19Bは、
図17に示される入口ヘッドのチューブ上に設置されるヒータアセンブリの実施形態の様々な断面図を示すものである。
【0029】
【
図20A-20B】
図20A及び
図20Bは、
図17に示される入口ヘッドのチューブ上に設置されるヒータアセンブリの別の実施形態の様々な断面図を示すものである。
【0030】
【0031】
【
図22】
図22は、
図21に示される入口ヘッド上に設置される薄型ヒータアセンブリの実施形態の断面図を示すものである。
【0032】
【
図23】
図23は、外側絶縁ジャケットアセンブリの実施形態の断面図を示すものである。
【0033】
【
図24】
図24は、
図21及び
図22に示される入口ヘッド上に設置される外側絶縁ジャケットアセンブリの実施形態の断面図を示すものである。
【0034】
【
図25】
図25は、外側ヒータジャケットアセンブリの実施形態の断面図を示すものである。
【0035】
【
図26】
図26は、
図25に示される外側ヒータジャケットアセンブリの実施形態の詳細断面図を示すものである。
【0036】
【0037】
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0038】
図1は、例示的なガス緩和システム100の概念図を示すものである。図示されるように、ガス緩和システム100は、少なくとも1つの燃焼ボックス102と、1以上の流出物122,132,142を少なくとも燃焼ボックス102に送るように構成される少なくとも1つの入口ヘッド104とを含んでいる。流出物の例としては、NF
3、F
2、ClF
3、C
2F
6、C
3F
8、CF
4及びSF
6のようなフッ素化ガス、CHF
3及びC
4F
8のような誘電エッチング入力ガス、COCl
2(ホスゲン)、COF
2(フルオロホスゲン)、WF
6、SiCl
4、TiCl
4、及びAlCl
3のような無機ハロゲン化物、HF及びSiF
4のような副生成物、水酸化物、有機金属、金属アルコキシドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者であれば、様々な流出物又は副生成物がガス緩和システム100内で処理され得ることを理解するであろう。
【0039】
図1に示されるように、入口ヘッド104は、少なくとも1つのマニホルド108と、これに接続される又はこれから延びる1以上のチューブ、導管、パイプ、移送部材、又は流路本体120,130,140とを含んでいる。それぞれのチューブは、少なくとも1つの流出物を燃焼ボックス102に移送するように構成されている。一実施形態においては、チューブ120,130,140は、単一のCVDシステムから延びてきている。必要に応じて、チューブ120,130,140のそれぞれが、任意の数又は任意の種類のCVDシステムから延びてきていてもよい。当業者であれば、任意の数又は任意の組み合わせ又は任意の種類のシステムからの任意の数のチューブがマニホルド108に接続されていてもよいことを理解するであろう。入口ヘッド104を燃焼ボックス102に装着するように構成される少なくとも1つのフランジ106が、マニホルド108上に形成されるか、あるいはマニホルド108に取り付けられていてもよい。場合によっては、入口ヘッド104を燃焼ボックス102に装着するためにフランジを使用しなくてもよい。1以上の継手126,136,146が、それぞれのチューブ120,130,140に取り付けられるか、それぞれのチューブ120,130,140上に形成されていてもよい。図示された実施形態においては、継手126,136,146は、チューブ120,130,140を介して少なくとも1つの酸化剤112を燃焼ボックス102に送るように構成されている。必要に応じて、継手126,136,146は、流出物をチューブ120,130,140に送るように構成されていてもよい。1以上の燃料投入体又は移送管110が、マニホルド108に取り付けられるか、あるいはマニホルド108上に形成されていてもよい。少なくとも1つの燃料114をマニホルド108に投入可能にするように構成された少なくとも1つのポート111が、燃料投入体110に取り付けられるか、燃料投入体110上に形成されていてもよい。必要に応じて、酸化剤112もポート111を介してマニホルド108に送り込まれてもよい。ポート111、マニホルド108及び燃焼ボックス102に連絡する少なくとも1つの点火器116が燃料投入体110又はマニホルド108上に位置していてもよい。図示された実施形態においては、点火器116は、ガソリンエンジンにおいて用いられているようなスパークプラグである。必要に応じて、点火器116は、ディーゼルエンジンにおいて用いられているようなグロープラグであり得る。点火器116は、導管118を介した1以上の電気信号により電力が供給されていてもよい。当業者は、様々な点火デバイスが点火器116を含み得ることを理解するであろう。使用中は、酸化剤112及び燃料114が燃焼ボックス102に送り込まれ、点火器116により着火されることにより、流出物122,132,142を燃やして、少なくとも1つの排出管150を介して燃焼ボックス102から排出され得る少なくとも1つの排出物152を生成する。図示された実施形態においては、酸化剤112は純酸素である。必要に応じて、空気、清浄な乾燥空気(CDA)、亜酸化窒素又はこれらの組み合わせを酸化剤112として用いてもよい。当業者であれば、様々な酸化剤を用いてもよいことを理解するであろう。図示された実施形態においては、燃料114は、(メタン及び天然ガス中にある同様の炭化水素を含む)天然ガスである。必要に応じて、水素、プロパン、灯油、ガソリン又はディーゼル燃料又はこれらの組み合わせを燃料114として用いてもよい。当業者であれば、様々な燃料をガス緩和システム100における燃料114として用いてもよいことを理解するであろう。
【0040】
ガス緩和システム100の作動中、流出物122,132,142及び他の材料が、チューブ120,130,140、継手126,136,146及びマニホルド108の内部構成要素又はその表面をはじめとする様々な構成要素上に付着又は増大することがある。チューブ、パイプ及び継手を高い温度に維持するように構成された少なくとも1つのヒータアセンブリ200をこれらの構成要素又はガス緩和システム100で用いられている任意の構成要素上に据え付けてもよい。
図2は、
図1に示されるガス緩和システム100において使用するための例示的な入口ヘッドアセンブリ104の上方斜視図を示すものである。使用中は、チューブ120,130,140を所望の温度に維持するためにヒータアセンブリ200を用いてもよい。例えば、一実施形態においては、ヒータアセンブリ200は、チューブ120,130,140を約100℃から約250℃の間の温度に維持するように構成されていてもよい。必要に応じて、ヒータアセンブリ200は、チューブ120,130,140を異なる温度に維持するように構成されていてもよい。例えば、一実施形態においては、ヒータアセンブリは、チューブ120,130,140を同一の温度に維持するように構成される。当業者であれば、チューブ120,130,140及び入口ヘッドの他の構成要素を様々な範囲の温度に維持するためにヒータアセンブリ200を用いてもよいことを理解するであろう。
【0041】
図3~
図5は、下側アセンブリ230の様々な図を示すものである。
図3に示されるように、図示された実施形態においては、下側アセンブリ230は、少なくとも1つの第1のシート232と、少なくとも1つの加熱シート236と、少なくとも1つの中間シート250とを備えている。第1のシート232の材料の例としては、ポリイミド生地、ケブラー生地などが挙げられる。必要に応じて、当業者であれば、第1のシート232内で様々な耐熱材料を用いることができることを理解するであろう。第1のシート232は、加熱シート236からチューブ120、130及び/又は140に熱を伝達するように構成される少なくとも1つの下面234を含み得る。一実施形態においては、加熱シート236は、少なくとも1つの誘電体シート238の少なくとも1つの面240上に形成されるか、あるいは少なくとも1つの誘電体シート238の少なくとも1つの面240に取り付けられる少なくとも1つの発熱体242を含み得る。他の実施形態においては、加熱シート236は、発熱体242の上方に配置される1以上の付加的誘電体シート238を含み得る。発熱体242に対する電気的接点を提供するように構成される1以上のパッド244が、発熱体242上に形成されるか、あるいは発熱体242と一体化されていてもよい。電力又は信号を発熱体242に伝達するように構成される1以上の電気コネクタ246がパッド244に取り付けられていてもよい。発熱体242は、誘電体シート238上に配置されるか、あるいは誘電体シート238に取り付けられるエッチドフォイル抵抗材料を含み得る。抵抗材料の例としては、インコネル600、ニクロム(NiCr)、カンタル(FeCrAl)、及びキュプロニッケル(CuNi)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。しかしながら、当業者であれば、様々な抵抗材料を発熱体242として用いることができることを理解するであろう。必要に応じて、発熱体242は、抵抗線、金属間化合物、PTCセラミック素子、複合ヒータ、厚膜などを含み得る。図示された実施形態においては、誘電体シート238はポリイミドフィルムである。必要に応じて、誘電体シート238は、シリコーンゴム、カプトン、ケブラー、テフロン又はPTCゴムから形成され得るが、当業者であれば、誘電体シート238は様々な材料から形成され得ることを理解するであろう。必要に応じて、少なくとも1つの絶縁材料(図示せず)及び/又は少なくとも1つの接着材(図示せず)を誘電体シート238に塗布してもよい。接着材の例としては、粘着剤(PSA)、噴霧接着材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。加熱シート236の温度を検知し、信号を1以上のヒータコントローラ(図示せず)に送るように構成された少なくとも1つの温度センサ248が、加熱シート236又は発熱体242に取り付けられるか、あるいは加熱シート236又は発熱体242上に形成されるか、あるいは加熱シート236又は発熱体242と一体化されていてもよい。また、上側アセンブリ230は、下側アセンブリ230と上側アセンブリ270との間で熱的又は電気的絶縁を提供するように構成される少なくとも1つの中間シート250を含んでいる。中間シート250の材料の例としては、ポリイミド生地、ケブラー生地などが挙げられる。必要に応じて、当業者であれば、中間シート250内で様々な耐熱材料を用いることができることを理解するであろう。
【0042】
図3~
図4に示されるように、中間シート250及び誘電体シート238は、少なくとも1つの面252に形成されるか、あるいは少なくとも1つの面252と一体化された1以上の流路260であって、その内部に1以上の電気リード線254の少なくとも1つの近位端256が通ることができ、加熱シート236のパッド244又はコネクタ246に電気的に接続されるようにする1以上の流路260を含んでいる。場合によっては、コネクタ246を用いなくてもよく、それぞれのリード線254の近位端256が、パッド244に半田付けされていてもよく、あるいは直接パッド244に電気的に接触していてもよい。場合によっては、パッド244を用いなくてもよく、電気リード線254の近位端256が、様々な方法で直接発熱体242と電気的に接続される形で取り付けられていてもよい。
図4は、完成した下側アセンブリ230を示すものである。
図5は、下側アセンブリ230の分解図を示すものである。また、電気リード線254の近位端256は、任意的な誘電体シート238に形成された流路260を通っていてもよい。図示された実施形態においては、第1のシート232、加熱シート236及び中間シート250は、間に接着材を介在させることなく、対向して位置合わせされた状態で重ねられている。必要に応じて、シート232、236及び250の間に少なくとも1つの接着材(図示せず)を塗布してもよい。リード線254の遠位端258は、中間シート250から遠ざかる方向に延びている。
【0043】
図6~
図9は、上側アセンブリ270の様々な図を示すものである。
図6は、上側アセンブリ270の構成要素の分解図を示すものである。
図6に示されるように、その内部に少なくとも1つのリードスリーブ278を通すことができるように構成された少なくとも1つの流路274が、少なくとも1つの上面シート272に形成されていてもよい。上面シート272の材料の例としては、ポリイミド生地、ケブラー生地などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。下側アセンブリ230からのリード線254を受け入れるように構成される少なくとも1つの流路286が、リードスリーブ278に形成されるか、あるいはリードスリーブ278と一体化されていてもよい。図示された実施形態においては、リードスリーブ278は、電気的絶縁体、ワイヤルーム材料、又は同様の材料から形成される。必要に応じて、リードスリーブは、リード線254を包むように構成される熱収縮チューブであってもよい。当業者であれば、種々の材料がリードスリーブ278を含む得ることを理解するであろう。
図7に示されるように、図示された実施形態においては、リードスリーブ278は、1以上のスティッチ又は連結部284により上面シート272にしっかりと取り付けられるように構成される1以上の分割スリーブ280に分割されていてもよい。図示された実施形態においては、スティッチ又は連結部284は高温糸状体を含んでいる。高温糸状体の材料の例としては、綿、ナイロン、ポリエステル、アルミナ、ガラス繊維、アラミド、ケブラー、ノメックス、PTFE被覆石英、PTFE被覆ガラス繊維、セラミック及びステンレス鋼が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者であれば、様々な糸状体の材料を使用できることを理解するであろう。必要に応じて、スティッチ又は連結部284は、様々な接着材又はエラストマを含み得るが、当業者であれば、スティッチ又は連結部284において様々な連結材料を用いてもよいことを理解するであろう。
【0044】
図8及び
図9は、上側アセンブリ270の様々な実施形態の断面図を示すものである。
図8に示されるように、図示された実施形態においては、分割スリーブ280は、1以上のスティッチ又は連結部284によって上面シート272に固定されており、これによりリード線254の遠位端258を受け入れるために流路286を開放しつつ、
図4に示される電気リード線に対するダメージを防止するように構成される歪み解放構造290が形成されている。
図9は、上側アセンブリ270の別の実施形態を示すものであり、外観上、ヒータアセンブリ200を付加的に保護するため、あるいは上側アセンブリ270の歪み解放構造290の強度を高めるために、カバーシート282が、上面シート272及び1以上のスティッチ又は連結部288を含む分割スリーブ280に固定されている。スティッチ又は連結部288は、スティッチ又は連結部284に関して上記で述べたのと同一又は類似の材料あるいはそれらを組み合わせた材料から形成され得る。図示された実施形態においては、歪み解放構造290は、非常にコンパクトであり、従来技術のシリコーンヒータジャケットにおいて使用される歪み解放構成と比べると同等かそれよりも優れた性能を発揮するように構成されている。
【0045】
図10~
図15Bは、ヒータアセンブリ200の様々な図を示すものである。
図10は、ヒータアセンブリ200の分解図を示すものである。図示されるように、下側アセンブリ230からのリード線254の遠位端258は、上側アセンブリ270のリードスリーブ278の流路286を通っていてもよい。
図11は、リード線254の遠位端258がリードスリーブ278の導管286から出ているヒータアセンブリ200の斜視図を示している。リード線254に対する電気的接続を提供するように構成される1以上のコネクタ208が、リードスリーブ278及びリード線254の遠位端258上に形成され、あるいはリードスリーブ278及びリード線254の遠位端258に連結され得る。場合によっては、コネクタ208を用いなくてもよく、遠位端258が、任意の所望の形態又は有益な形態にて他のヒータアセンブリからの同様の電気リード線に直列(デイジーチェーン)又は並列に電気的に接続され、あるいは1以上のヒータコントローラ(図示せず)に接続されていてもよい。当業者であれば、電気リード線254の遠位端258は、任意の構成における様々なデバイスに接続されていてもよいことを理解するであろう。
図12は、
図10に示される上側アセンブリ270及び下側アセンブリ230により形成されるヒータ本体202の周縁210に沿って1以上の周縁スティッチ又は連結部212が形成されたヒータアセンブリ200の斜視図を示すものである。周縁スティッチ又は連結部212は、スティッチ又は連結部284及び288に関して上記で述べたのと同一又は類似の材料あるいはそれらを組み合わせた材料から形成され得る。
【0046】
図13及び
図14は、
図12に示されるヒータアセンブリ200の実施形態の様々な断面図を示すものである。図示されるように、ヒータ本体202は、積み重ねられ、ヒータ本体202のために周縁スティッチ又は連結部212で一緒に縫合され、縫われ、あるいは連結される上側アセンブリ270及び下側アセンブリ230を含んでいる。リード線254の近位端256は、必要に応じてパッド244及び温度センサ248に電気的に接続される。パッド244は、誘電体シート238内又は誘電体シート238上に形成される発熱体242と電気的に接続されている。リード線254の遠位端258は、リードスリーブ278の流路286内に延びている。
【0047】
図15A及び
図15Bは、それぞれヒータアセンブリ200の別の実施形態の断面図及び平面図を示すものである。
図1及び
図2に示される継手126,136,146に対して隙間を形成するように構成される1以上の逃げ部204が、ヒータ本体202の周縁部210に形成されていてもよい。図示されているように、
図12に関して上記で述べた周縁スティッチ又は連結部212が、ヒータ本体202の周縁210及び逃げ部204の周りに延びており、これにより、上側アセンブリ270が下側アセンブリ230にしっかりと取り付けられる。
【0048】
図16A及び
図16Bは、それぞれヒータアセンブリ600の実施形態の断面図及び平面図を示すものである。
図16Aに示されるように、ヒータアセンブリ600は、少なくとも1つの下側アセンブリ630と少なくとも1つの上側アセンブリ650とを含んでいる。
図16Bに示されるように、
図15Bにおけるヒータアセンブリ200の実施形態において示されている逃げ部204と類似する1以上の逃げ部604が、ヒータ本体602に形成され得る。逃げ部604に加えて、チューブ120,130,140に取り付けられる様々な構成要素又は継手126,136,146に対して、あるいは、
図1及び
図2に示されるマニホルド108に対して隙間を形成するように1以上の開口614と1以上の面取り部616とがヒータ本体602に形成されていてもよい。図示されるように、1以上の周縁スティッチ又は連結部612が、ヒータ本体602の周縁610に沿って、逃げ部604に沿って、開口614に沿って、そして面取り部616に沿って延びている。周縁スティッチ又は連結部612は、スティッチ又は連結部212,284及び288に関して上記で述べたのと同一又は類似の材料あるいはそれらを組み合わせた材料から形成され得る。上述したヒータアセンブリ200と同様に、ヒータアセンブリ600は、1以上のケーブル606と、1以上のヒータコントローラ又はヒータアセンブリ200に関して上記で述べたような他の構成要素又はシステムとの電気的接続を提供するように構成される1以上のコネクタ608とを含み得る。
【0049】
図17は、
図2に示される入口ヘッド104のチューブ120上に設置された
図15Bに示されるヒータアセンブリ200の実施形態の斜視図である。図示されるように、少なくとも1つの保持部材300を用いてヒータアセンブリ200をチューブ120に接触させて保持してもよい。図示された実施形態においては、保持部材300は、沈殿硬化耐腐食(ステンレス)鋼から形成されるばねクリップである。必要に応じて、保持部材300は、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、ばね鋼又はポリエーテルエーテルケトンPEEK、ウルテム(登録商標)ポリエーテルイミド(PEI)又はトーロン(登録商標)ポリアミドイミド(PAI)のような高温ポリマから形成され得る。しかしながら、当業者であれば、保持部材300が、様々な材料から形成されていてもよいことを理解するであろう。あるいは、ホースクランプ、ケーブルタイ、又は面ファスナ及びストラップを用いてヒータアセンブリ200をチューブ120に固定してもよい。要するに、様々な連結デバイスを用いてヒータアセンブリ200をチューブ120に連結することができる。
【0050】
図18は、
図17に示される保持部材300の実施形態の断面図を示すものである。図示されるように、保持部材300は、少なくとも1つの内面304を有する少なくとも1つの保持部材本体302を含んでいる。内面304の形状は、円形、半径が変化する形状又は楕円形であり得るが、当業者であれば、内面304が様々な形状を有し得ることを理解するであろう。保持部材本体302上に1以上のタング306が形成されていてもよく、このタング306は、ヒータアセンブリ200にダメージを与えることなくヒータアセンブリ200上で保持部材300がスライドできるように構成される開口308を規定する。使用中に、ヒータアセンブリ200がチューブ120の周囲に巻かれていてもよく、1以上の保持部材300がヒータアセンブリ200上をスライドしてもよく、これにより、ヒータアセンブリ200をチューブ120と熱接触させた状態でしっかりと保持してもよい。必要に応じて、保持部材300は、ヒータ本体202と一体的に形成されていてもよい。
【0051】
図19A及び
図19Bは、
図17に示されるチューブ120上に設置されるヒータアセンブリ200の実施形態の様々な断面図を示すものである。図示されるように、ヒータアセンブリ200は、少なくとも1つの下側アセンブリ230と、少なくとも1つの上側アセンブリ270と、少なくとも1つのケーブル206とを備えている。図示された実施形態においては、ヒータアセンブリ200が、チューブ120の周囲に巻かれている、あるいはチューブ120上に配置されている場合には、チューブ120の遠端で縁部220が突き合わされなくてもよい。このため、1以上の対向する縁部220が、1以上の間隙214を規定していてもよい。図示されるように、下側アセンブリ230の第1のシート232の少なくとも1つの面234は、1以上の保持部材300によりチューブ120と熱伝導可能な状態で保持され得る。伝熱を向上するように構成される熱伝導ペースト228をヒータアセンブリ200の第1のシート232の面234とチューブ120の外径との間に塗布してもよい。場合によっては、熱伝導ペースト228を用いなくてもよい。
【0052】
図20A及び
図20Bは、ヒータアセンブリ700の実施形態の様々な断面図を示すものである。図示されるように、ヒータアセンブリ700は、少なくとも1つの下側アセンブリ730と、少なくとも1つの上側アセンブリ770と、少なくとも1つのケーブル706とを備えている。1以上のコネクタ708(図示せず)がケーブル706上に設置されていてもよい。図示された実施形態においては、下側アセンブリ730及び上側アセンブリ770は、1以上の周縁スティッチ又は連結部712でその周縁に沿って一緒に固定される。周縁スティッチ又は連結部712は、スティッチ又は連結部212,284,288及び/又は612に関して上記で述べたのと同一又は類似の材料あるいはそれらを組み合わせた材料から形成され得る。図示された実施形態においては、ヒータアセンブリ700が、チューブ120の周囲に巻かれている、あるいはチューブ120上に配置されている場合には、チューブ720の遠端で縁部720が実質的に突き合わされる。このため、縁部720間の間隙を最小化し、あるいは無くしてしまってもよく、ヒータアセンブリ700の加熱性能が上述したヒータアセンブリ200に比べて潜在的に優れたものになる。図示されるように、下側アセンブリ730の第1のシート732の内面734は、1以上の保持部材300によりチューブ120との間で熱伝導可能な状態で保持されている。ヒータアセンブリ700とチューブ120との間の伝熱を向上するように構成される熱伝導ペースト728をヒータアセンブリ700の第1のシート732の面734とチューブ120の外径との間に塗布してもよい。場合によっては、熱伝導ペースト728を用いなくてもよい。他の実施形態においては、ヒータアセンブリ700の縁部720は、互いに重なっているか、あるいは互いに干渉していてもよい。
【0053】
図21及び
図22は、チューブ120,130及び140上に設置されるヒータを有する入口ヘッド104の様々な図を示すものである。
図21に示されるように、ヒータアセンブリ200はそれぞれのチューブ120及び130上に設置され、ヒータアセンブリ700はチューブ140上に設置される。図示されるように、3つのヒータアセンブリのそれぞれは、3つの保持部材300によりそれぞれのチューブと接触した状態にしっかりと保持されるが、当業者であれば、任意の数の保持部材300を用いてもよいことを理解するであろう。図示されるように、チューブ120上に設置されたヒータアセンブリ200上には間隙214が見えている。チューブ140上に設置されたヒータアセンブリ700は、
図20A及び
図20Bに関して上記で述べた理由により間隙を形成していない。チューブ130上に設置されたヒータアセンブリ200については、
図21では間隙214が見えていないが、
図22の断面図において見ることができる。
図22を参照すると、この保持部材300の設計は、ヒータアセンブリ(以下、「ヒータ」という)200,700、チューブ120,130,140、及び継手126,136,146に対して様々な角度配置でヒータ上に保持部材300を設置することを可能にするものであり、これにより、入口ヘッド104上でヒータ200及び700の設置及び除去を柔軟に行うことが可能となる。
【0054】
図23及び
図24は、入口ヘッド104の周りに、さらに/あるいは入口ヘッド104上に着脱自在に設置されるように構成された外側絶縁ジャケット400の様々な図を示すものである。
図23は、外側絶縁ジャケット400の実施形態の断面図を示すものである。外側絶縁ジャケット400は、少なくとも1つのジャケット本体418を含んでいる。図示された実施形態においては、ジャケット本体418は、少なくとも1つの外側層402と、少なくとも1つの中間層404と、少なくとも1つの内側層406とを含んでいる。層402,404,406の材料の例としては、ポリイミド生地、ケブラー生地などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば、層402,404,406内で様々な耐熱材料を用いることができることを理解するであろう。当業者でれば、単一の層のみ、あるいは2つの層のみを用いることができることを理解するであろう。内側層404は、少なくとも1つの絶縁材料を含み得る。絶縁材料の例としては、ガラス繊維、石綿、ケブラーなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば、様々な絶縁材料を用いて絶縁層404を形成し得ることを理解するであろう。場合によっては、3つの層402,404,406のうちいずれかが絶縁材料から形成され得る。1以上のスティッチ又は連結部408によって層402,404,406を一緒に結合してもよい。周縁スティッチ又は連結部712は、スティッチ又は連結部212,284,288,612及び/又は712に関して上記で述べたのと同一又は類似の材料あるいはそれらを組み合わせた材料から形成され得る。少なくとも1つの保持部材414は、少なくとも1つの第1の留め具412に固定され得る。図示された実施形態においては、保持部材414は、保持部材414上に形成されるか、あるいは保持部材414に一体化される少なくとも1つの取付領域422を有するゴム又は布ストラップである。当業者であれば、保持部材414は、様々な材料又はそれらの組み合わせから形成されていてもよいことを理解するであろう。取付領域の形態の例としては、孔、スロット、グロメットなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば、取付領域422は様々な形態であってもよいことを理解するであろう。入口ヘッド104の周囲に外側絶縁ジャケット400を固定するように構成される少なくとも1つの第2の留め具416がジャケット本体418内に保持されていてもよい。留め具416の例としては、スナップ、Dリングなどが挙げられる。外側絶縁ジャケット400の設置中に操作者が掴めるように構成される1以上のタブ420が保持部材414上に形成されるか、あるいは保持部材414と一体化されていてもよい。当業者であれば、保持部材414は、ジャケット本体418上に形成されるか、あるいはジャケット本体418に取り付けられるベルクロ(登録商標)のような面ファスナデバイスから形成されていてもよいことを理解するであろう。
【0055】
図24は、入口ヘッド104上に設置される外側絶縁ジャケット400の実施形態の断面図を示すものである。外側絶縁ジャケット400の設置中に、ユーザは、タブ420を操作して取付領域422を留め具416上又は留め具416の上方に位置するように力を作用させてもよく、これによりユーザは、外側絶縁ジャケット400を入口ヘッド104上に着脱自在に設置することができる。ガス緩和システム100の動作中に、入口ヘッド104及びヒータ200,700から周辺環境への熱エネルギーの移動を抑えるために外側絶縁ジャケット400を設置してもよく、これにより、ユーザは、入口ヘッド104を所望の温度又は温度範囲に維持するようにヒータ200,700を厳密かつ正確に制御することが可能になる。
【0056】
図25から
図27Bは、外側ヒータジャケットアセンブリ800(ヒータアセンブリ800ともいう)の様々な図を示すものである。
図25及び
図26は、外側ヒータジャケットアセンブリ800の実施形態の様々な断面図を示すものである。図示されるように、外側ヒータジャケットアセンブリ800は、少なくとも1つの下側アセンブリ830と、少なくとも1つの上側アセンブリ850と、少なくとも1つのケーブル804とを含んでいる。下側アセンブリ830は、少なくとも1つの第1のシート832と、少なくとも1つの加熱シート836と、少なくとも1つの誘電体シート838と、少なくとも1つの中間シート834とを含み得る。第1のシート832の材料の例としては、ヒータアセンブリ200,600,700に関して上記で述べたように、ポリイミド生地、ケブラー生地などが挙げられる。必要に応じて、当業者であれば、第1のシート832及びジャケットアセンブリ800を構成する様々な構成要素内で様々な耐熱材料を用いることができることを理解するであろう。加熱シート836は、少なくとも1つの誘電体シート838上に形成されるか、あるいは少なくとも1つの誘電体シート838に取り付けられる少なくとも1つの発熱体842を含み得る。発熱体842に対する電気的接点を提供するように構成される1以上のパッド844が、発熱体842上に形成されるか、あるいは発熱体842に一体化されていてもよい。場合によっては、パッド844が発熱体842上に形成されていなくてもよく、電気リード線854の近位端856が、直接発熱体842に電気的に接続される状態で取り付けられていてもよい。発熱体842は、誘電体シート838上に堆積したエッチドフォイル抵抗材料を含み得る。抵抗材料の例としては、ヒータアセンブリ200に関して上記で列挙したものが挙げられる。必要に応じて、発熱体842は、抵抗線、金属間化合物、PTCセラミック素子、複合ヒータ、厚膜などを含み得る。図示された実施形態においては、誘電体シート838はポリイミドフィルムである。必要に応じて、誘電体シート838は、シリコーンゴム、カプトン、ケブラー、テフロン又はPTCゴムから形成され得るが、当業者であれば、誘電体シート838内で様々な材料を用いることができることを理解するであろう。少なくとも1つの絶縁材料(図示せず)及び/又は少なくとも1つの接着材(図示せず)を誘電体シート838に塗布して誘電体シート838と加熱シートの要素とをしっかりと取り付けてもよい。接着材の例としては、ヒータアセンブリ200に関して上記で述べたものが挙げられる。少なくとも1つの温度センサ848を加熱シート836又は発熱体842に取り付けてもよく、あるいは加熱シート836又は発熱体842と一体的に形成してもよい。
【0057】
図25及び
図26を参照すると、上側アセンブリ850は、少なくとも1つの上面シート852を含んでいてもよく、少なくとも1つのリードスリーブ878が、この上面シート852に形成された少なくとも1つの開口860を貫通して延びている。必要に応じて、外観上、ヒータアセンブリ800を付加的に保護するため、あるいは電気リード線854を付加的に保護するために、上側アセンブリ850は、上面シート852に固定された1以上のカバーシート882を含み得る。
図25に示されるように、リードスリーブ878は、1以上のスティッチ又は連結部884により上面シート852にしっかりと取り付けられるように構成される1以上の分割スリーブ880に分割されていてもよい。下側アセンブリ830からの電気リード線854の遠位端858は、リードスリーブ878の流路886を通っていてもよい。上側アセンブリ850は、1以上の周縁スティッチ又は連結部812で下側アセンブリ830に固定されている。図示された実施形態においては、周縁スティッチ又は連結部812は高温糸状体を含んでいる。スティッチ又は連結部812及び884は、スティッチ又は連結部212,284,288に関して上記で述べたのと同一又は類似の材料あるいはそれらを組み合わせた材料から形成され得る。
【0058】
図27A及び
図27Bを参照すると、少なくとも1つの保持部材806は、ヒータ本体802内に位置する少なくとも1つの第1の留め具810に固定されていてもよい。図示された実施形態においては、保持部材806は、保持部材806上に形成されるか、あるいは保持部材806に一体化される少なくとも1つの取付領域822を有するゴム又は布ストラップである。当業者であれば、保持部材806は、様々な材料から形成されていてもよいことを理解するであろう。取付領域822の形態の例としては、孔、スロット、グロメットなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば、取付領域422は様々な形態であってもよいことを理解するであろう。入口ヘッド104の周囲に外側ヒータジャケットアセンブリ800を固定するように構成される少なくとも1つの第2の留め具814がヒータ本体802内に保持されていてもよい。第2の留め具814の例としては、スナップ、Dリングなどが挙げられる。少なくとも1つのタブ816が保持部材806上に形成されるか、あるいは保持部材806と一体化されていてもよい。当業者であれば、保持部材806が、ヒータ本体802上に形成されるか、あるいはヒータ本体802に取り付けられるベルクロ(登録商標)のような面ファスナデバイスから形成されていてもよいことを理解するであろう。
【0059】
図28は、入口ヘッド104上に設置される外側ヒータジャケットアセンブリ800の実施形態の断面図を示すものである。設置中に、ユーザは、タブ816を操作して取付領域822を第2の留め具814上又は第2の留め具814の上方に位置するように力を作用させてもよく、これによりユーザは、外側ヒータジャケットアセンブリ800を入口ヘッド104上に着脱自在に設置することができる。ガス緩和システム100の動作中に、入口ヘッド168及びヒータ200,700から周辺環境への熱エネルギーの移動を抑えるために外側ヒータジャケットアセンブリ800を設置してもよく、これにより、ユーザは、入口ヘッド104を所望の温度又は温度範囲に維持するようにヒータ200,700をより厳密かつ正確に制御することが可能になる。
【0060】
本出願は、薄型ヒータ装置及び取付方法の様々な実施形態を説明している。本明細書では特定の実施形態が図示され説明されてきたが、本発明の実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、本設計に対して変更を行うことができることは明らかである。このため、当業者は、上記明細書で特に示され述べられたものにより本発明が限定されないということを理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、当業者が上記の説明を読んだときに思いつくであろう変形例及び変更例であって、従来技術になかったものだけではなく、上記明細書で説明された様々な特徴の組み合わせとサブコンビネーションとの両方を含むものである。
【国際調査報告】