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特表2022-528160印刷プロセスによって形成されるアニオン性研磨パッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】印刷プロセスによって形成されるアニオン性研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20220601BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220601BHJP
   B24B 37/22 20120101ALI20220601BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20220601BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20220601BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220601BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220601BHJP
   C08J 9/26 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B24B37/24 B
H01L21/304 622F
B24B37/22
B24B37/26
B29C64/112
B33Y10/00
B33Y70/00
C08J9/26 102
C08J9/26 CEY
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559548
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2020021920
(87)【国際公開番号】W WO2020209965
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/832,881
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/668,961
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スリダール, ウマ
(72)【発明者】
【氏名】ガナパティアッパン, シヴァパキア
(72)【発明者】
【氏名】チョカリンガム, アシュウィン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, インドン
(72)【発明者】
【氏名】レッドフィールド, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バジャージ, ラジーブ
(72)【発明者】
【氏名】パティバンドラ, ナグ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ウン, ホウ ティ-.
(72)【発明者】
【氏名】マドゥスーダナン, スダカール
【テーマコード(参考)】
3C158
4F074
4F213
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158DA12
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB04
3C158EB28
3C158EB29
4F074AA48
4F074AA78
4F074AD04
4F074AD05
4F074AD13
4F074BB10
4F074BB25
4F074CB03
4F074CB16
4F074CB17
4F074CB18
4F074CC06X
4F074CC22X
4F074CC27Y
4F074DA56
4F213AA21A
4F213AA31
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
5F057AA24
5F057CA11
5F057DA03
5F057EB03
5F057EB06
5F057EB07
5F057EB08
(57)【要約】
研磨プロセス及び洗浄プロセスに用いられる研磨用物品、並びに該研磨用物品を製造する方法が提供される。より詳細には、本明細書に開示される実装形態は、親水性及びゼータ電位などの調整可能な特性を有する複合研磨用物品に関する。UV硬化性アクリル化学物質で構成される3D印刷された化学機械平坦化(CMP)パッドは、概して、本質的に疎水性である。このような疎水性挙動は、セリアをベースとしたスラリなどの砥粒をベースとした研磨スラリでの濡れ特性に影響を与える。しかしながら、欠陥を低減しつつ平坦化及び除去速度を増加させるためには、親水性パッドが好ましい。加えて、パッドのゼータ電位(Zp)は、さまざまなpH値で広範囲の条件にわたって調整可能であることが望ましい。本開示の実装形態は、これらの方法を使用して製造されたアニオン性添加物及びパッドを用いて、親水性を増加させ、パッドのZpを調整するための方法を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドを形成する方法であって、
ターゲット厚さに到達するまで3Dプリンタを用いて複数の複合層を堆積すること
を含み、前記複数の複合層を堆積することが、
硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配すること
を含み、前記硬化性樹脂前駆体組成物が、
[式中、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはアルキルエステルラジカルである]
を含む、方法。
【請求項2】
多孔性形成組成物の1つ以上の液滴を前記支持体上に分配することをさらに含み、前記多孔性形成組成物の少なくとも1つの成分が、前記研磨パッドにポアを形成するために除去可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、R、及びRのうちの少なくとも1つがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
及びRがHであり、RがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
、R、及びRのうちの少なくとも2つがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
がHであり、R及びRがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
、R、及びRがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔性形成組成物が、グリコール類、グリコールエーテル類、アミン類、及びそれらの組合せから選択される多孔性形成剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記多孔性形成組成物が、エチレングリコール、ブタンジオール、ダイマージオール、プロピレングリコール-(1,2)、プロピレングリコール-(1,3)、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4-ビス-ヒドロキシメチルシクロヘキサン)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサンジオール-(1,6)、ヘキサントリオール-(1,2,6)ブタントリオール-(1,2,4)、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エタノールアミン、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、及びそれらの組合せから選択される多孔性形成剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化性樹脂前駆体組成物の前記分配された1つ以上の液滴及び前記多孔性形成組成物の前記分配された1つ以上の液滴をアニーリング処理、すすぎプロセスのうちの少なくとも一方、又は両方に曝露する前に、前記硬化性樹脂前駆体組成物の前記分配された1つ以上の液滴及び前記多孔性形成組成物の前記分配された1つ以上の液滴を部分的に硬化することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
研磨パッドを形成する方法であって、
ターゲット厚さに到達するまで3Dプリンタを用いて複数の複合層を堆積すること、
を含み、前記複数の複合層を堆積することが、
硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することであって、前記硬化性樹脂前駆体組成物が、
多官能性アクリレートオリゴマーを含む第1の樹脂前駆体成分;
多官能性アクリレートモノマーを含む第2の樹脂前駆体成分;及び
次の構造を有するアニオン性モノマー:
[式中、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはアルキルエステルラジカルである];を含む、前記硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を分配すること、
前記硬化性樹脂前駆体組成物の前記1つ以上の液滴を電磁放射に曝露して前記硬化性樹脂前駆体組成物を少なくとも部分的に硬化すること;及び
前記分配及び曝露を繰り返して前記支持体上に3Dレリーフを構築すること
を含み、前記研磨パッドを形成する方法がさらに、
前記複数の複合層を固化してパッド本体を形成すること
を含む、方法。
【請求項12】
、R、及びRのうちの少なくとも1つがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
及びRがHであり、RがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
、R、及びRのうちの少なくとも2つがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
がHであり、R及びRがCHCHOC(O)C(CH)CHである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実装形態は、概して、研磨プロセス及び洗浄プロセスで用いられる研磨用物品、並びに研磨用物品の製造方法に関する。より詳細には、本明細書に開示される実装形態は、調整可能な特性を有する複合研磨用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械研磨(CMP)プロセスは、半導体デバイスの製造中に、基板を平坦化するために一般的に用いられている。CMP処理中、基板は、デバイスの表面が回転する研磨パッドに接触した状態で、キャリアヘッドに装着される。キャリアヘッドは、基板に制御可能な負荷をかけて、デバイス表面を研磨パッドに押し当てる。研磨粒子(例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、又はセリア(CeO))を含むスラリなどの研磨液が、通常、研磨パッドの表面に供給される。
【0003】
特徴サイズが小さくなるにつれて、CMPプロセスによって前層と後層の両方を平坦化することがより重要になる。残念ながら、CMPプロセスの副生成物、例えば、CMPプロセス中に生成される研磨粒子及び金属汚染は、基板の表面に損傷を与える可能性がある。砥粒研磨スラリが用いられる場合には、これらの研磨粒子は研磨スラリに由来しうる。場合によっては、研磨粒子は研磨パッドに由来しうる。さらには、研磨粒子は、基板の研磨された表面材料及び研磨装置に由来しうる。これらの粒子は、研磨パッドによって生成される機械的圧力に起因して、基板の表面に物理的に付着しうる。金属汚染は、摩耗した金属線、スラリ中の金属イオン、及び研磨装置から生じる。これらの金属汚染は、基板の表面に埋め込まれる可能性があるが、後続の洗浄プロセスを使用して除去することは困難であることが多い。現行の研磨パッド設計及び研磨後の洗浄プロセスは、多くの場合、CMPプロセスの副生成物によって生じた欠陥を有する、研磨された基板を生成する。
【0004】
したがって、欠陥が低減された、改良された研磨プロセスを提供する研磨用物品、並びに改良された研磨パッドを製造するための方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載される実装形態は、概して、研磨プロセス及び洗浄プロセスで用いられる研磨用物品、並びに研磨用物品の製造方法に関する。より詳細には、本明細書に開示される実装形態は、調整可能な特性を有する複合研磨用物品に関する。一実装形態では、研磨パッドを形成する方法が提供される。該方法は、ターゲット厚さに到達するまで3Dプリンタを用いて複数の複合層を堆積することを含む。複数の複合層を堆積することは、硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することを含む。硬化性樹脂前駆体組成物は、
を含み、式中、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはアルキルエステルラジカルである。
【0006】
別の実装形態では、研磨パッドを形成する方法が提供される。該方法は、ターゲット厚さに到達するまで3Dプリンタを用いて複数の複合層を堆積することを含む。複数の複合層を堆積することは、硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することを含む。硬化性樹脂前駆体組成物は、多官能性アクリレートオリゴマーを含む第1の樹脂前駆体成分、多官能性アクリレートモノマーを含む第2の樹脂前駆体成分、及びアニオン性モノマーを含む。アニオン性モノマーは、次の構造:
を有しており、式中、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはアルキルエステルラジカルである。複数の複合層を堆積することは、硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を電磁放射に曝露して硬化性樹脂前駆体組成物を少なくとも部分的に硬化することをさらに含む。複数の複合層を堆積することは、分配及び曝露を繰り返して支持体上に3Dレリーフを構築することをさらに含む。該方法は、複数の複合層を固化してパッド本体を形成することをさらに含む。
【0007】
さらに別の実装形態では、研磨パッドを形成する方法が提供される。該方法は、ターゲット厚さに到達するまで3Dプリンタを用いて複数の複合層を堆積することを含む。複数の複合層を堆積することは、硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することを含み、ここで、硬化性樹脂前駆体組成物は、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、スルフィン酸、スルホン酸、それらの誘導体、それらの塩、及びそれらの組合せを含むアニオン性モノマーを含む。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、その幾つかが添付の図面に示されている実装形態を参照することによって、上に簡単に要約した実装形態のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実装形態も許容しうるため、添付の図面は、単に本開示の典型的な実装形態を示しているだけであり、したがって、本発明の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書に記載される研磨パッド設計から利益を得ることができる研磨ステーションの概略的な断面図
図2A】本開示の1つ以上の実装形態による調整可能なゼータ電位を有する研磨パッドの概略的な等角断面図
図2B】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッドの概略的な部分上面図
図2C】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッドの概略的な等角断面図
図2D】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッドの一部の概略的な側面断面図
図2E】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッドの一部の概略的な側面断面図
図2F】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッド設計の上面図
図2G】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッド設計の上面図
図2H】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッド設計の上面図
図2I】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッド設計の上面図
図2J】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッド設計の上面図
図2K】本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッド設計の上面図
図3A】本開示の1つ以上の実装形態による、高機能研磨パッドを製造するためのシステムの概略図
図3B】本開示の1つ以上の実装形態による、図3Aに示されるシステムの一部の概略図
図3C】本開示の1つ以上の実装形態による、図3Bに示される高機能研磨パッドの領域の表面に配置された、分配された液滴の概略図
図3D】本開示の1つ以上の実装形態による、高機能研磨パッドを製造するためのシステムに用いられるノズルアセンブリの概略図
図4A】本開示の少なくとも1つの実装形態による、ポアを含みうる高機能研磨パッドの形成に用いられるピクセルチャートの上面図
図4B】本開示の実装形態による、高機能研磨パッドの一部の概略的な側面断面図
図4C】本開示の実装形態による、高機能研磨パッドの一部の概略的な側面断面図
図5】本明細書に記載される実装形態による高度なパッドを形成する方法を示すフローチャート
図6A】本開示の1つ以上の実装形態に従って形成された研磨パッドについてのアニオン性モノマー濃度に対するゼータ電位を示すプロット
図6B】本開示の1つ以上の実装形態に従って形成された研磨パッドについてのアニオン性モノマー濃度に対するゼータ電位を示すプロット
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実装形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実装形態に有益に組み込まれうることが想定されている。
【0011】
本明細書に記載の実装形態は、概して、研磨プロセス及び洗浄プロセスで使用される研磨用物品と、研磨用物品の製造方法に関する。より詳細には、本明細書に開示される実装形態は、親水性及びゼータ電位などの調整可能な特性を有する複合研磨用物品に関する。UV硬化性アクリル化学で構成される3D印刷された化学機械平坦化(CMP)パッドは、概して、本質的に疎水性である。このような疎水性挙動は、セリアをベースとしたスラリなどの砥粒をベースとした研磨スラリの濡れ特性に影響を与える。しかしながら、欠陥を低減しつつ平坦化及び除去速度を高めるためには、親水性パッドが好ましい。加えて、パッドのゼータ電位(Zp)は、さまざまなpH値で広範囲の条件にわたって調整可能であることが望ましい。本開示の実装形態は、親水性を高め、これらの方法を使用して製造された特別な添加物及びパッドを用いてパッドのZpを調整するための方法を含む。
【0012】
ゼータ電位は、滑り面における液体の界面動電位に対する固体表面の界面動電位である。固体表面の界面動電位は、表面官能性の間接的な測定をもたらす。固体表面におけるプロトン化基の付加又は取り去りにより、表面に電荷が生成する。固体と液体の界面間の静電気は、界面二重層の電荷に大きい影響を与える。
【0013】
親水性は、パッド形成配合物にポリエチレングリコール類、カルボン酸、スルホン酸、リン酸類、及び硫酸塩含有成分などの極性の高い成分を組み込むことによって高めることができる。理論に縛られはしないが、7~9の親水性-親油性バランス(「HLB」)値を有する界面活性剤を添加すると、パッド表面の親水性が向上すると考えられており、ここで、高極性成分の疎水性部分がパッドマトリクスに埋め込まれ、該成分の親水性部分がパッド表面に露出し、親水性を付与する。HLB値が9を超える成分は、パッドマトリクスに吸蔵される傾向がある。同時に、HLB値が7未満の成分は、硬化後にパッド表面に移動する傾向がある。しかしながら、これらの従来のシステムでは、界面活性剤は、パッド構造への化学結合を有しない不活性種として存在する。不活性界面活性剤は、材料を水中に置いた場合に、浸出する可能性がある。不活性界面活性剤が浸出すると、パッドの疎水性が再び増加する。側鎖又は主骨格の第四級アミン置換基などのカチオン性成分が増加すると、親水性も増加しうる。アニオン性成分はまた、パッドのZpを調整することもできる。スルホン酸、リン酸類、及び硫酸塩含有成分などの強イオン性基を有する成分は、pH範囲に関係なくイオン形態で存在することから、パッドの負のZpを増加させる可能性がある。
【0014】
本明細書に記載されるアニオン性モノマーは、パッド形成配合物中の他のアクリル成分と混和性である。したがって、幾つかの実装形態では、本明細書に記載される樹脂前駆体組成物は、アニオン性モノマーと、オリゴマー、非アニオン性モノマー、及び光開始剤のうちの1つ以上とを含み、これらは、混和性であり、したがって比較的安定した均質な混合物を形成する。本明細書に記載されるアニオン性モノマーはまた、パッド形成配合物が通常、ピエゾインクジェットプリンタを使用して摂氏60度超で噴射されることから、熱に対して安定である。本明細書に記載されるアニオン性モノマーは、通常、UV又はUV LED光への曝露時に硬化性である。インクジェット印刷でパッド形成配合物を噴射するためには、本明細書に記載されるアニオン性モノマーを含むパッド形成配合物の粘度は、典型的には摂氏70度で10から30センチポアズ(cP)の範囲である。加えて、本明細書に記載されるパッド形成配合物は、典型的には、光開始剤、光増感剤、脱酸素剤、可塑剤、及び性能を改善するための追加の添加物のうちの1つ以上を含む。UV硬化プロセス中は、光開始剤及び該光開始剤の断片がより可動性になり、パッド表面に移動する傾向があり、パッド表面での疎水性の増加を生じさせる。疎水性の増加を打ち消すために、アニオン性モノマーの親水性部分は、この影響を克服するのに十分な柔軟性を有していなければならない。幾つかの実装形態では、本明細書に記載されるアニオン性モノマーは、UV硬化性単位とともに、疎水性基及び親水性基の両方を含む。
【0015】
本開示の実装形態は、研磨用物品の表面全体にわたって増加した親水性及び/又はより大きい負のゼータ電位などの調整可能な特性を有する研磨用物品、並びに該研磨用物品を形成する方法を提供する。研磨用物品の親水性及びゼータ電位は、研磨パッドの表面全体にわたって親水性及びゼータ電位のさまざまな領域を形成するように調整することができる。研磨用物品の親水性及びゼータ電位は、用いられる研磨スラリ組成系及び研磨される材料に基づいて調整することができる。この変化するゼータ電位は、界面から副生成物及び汚染物質を除去しつつ、活性スラリを研磨用物品と基板との間の界面に運ぶように調整することができる。例えば、幾つかの実装形態では、研磨用物品は、該研磨用物品の研磨面(例えば、研磨用物品と液体界面との間の界面)の近くで、より正のゼータ電位を有しており、研磨用物品の溝の底部の近くでより負のゼータ電位を有している。より正のゼータ電位は、液体界面から不要な正に帯電したイオン(例えば、研磨プロセス中にスラリ内に見られる金属イオン、誘電材料イオン、及び/又は荷電粒子及びスラリ研磨材料)をはじき、一方、より負のゼータ電位は、溝の底に向かって不要な正イオンを引き付け、収集されたイオンを研磨用物品から除去することができる。
【0016】
活性スラリが正のゼータ電位を有する研磨剤(例えば、セリア)を含む幾つかの実装形態では、研磨面は、研磨用物品の表面の他の領域より大きい正のゼータ電位を有するように設計されて、研磨面から研磨粒子をはじくことができる。本明細書に記載される幾つかの実装形態では、この調整可能なゼータ電位は、アニオン性モノマー又はゼータ電位調整剤を研磨用物品の形成に用いられる硬化性樹脂前駆体組成物に添加することによって実現される。硬化性樹脂前駆体組成物は、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、反応性希釈剤、流動添加物、硬化剤、光開始剤、多孔性形成剤、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、可塑剤、及び硬化相乗剤を含むが、これらに限定されない、「樹脂前駆体成分」を含む、前駆体、又は樹脂前駆体組成物を含む。アニオン性モノマーは、イオン電荷(例えば、アニオン性)を有しており、これは、硬化性樹脂前駆体組成物のプレポリマー成分との共重合によって、研磨用物品のゼータ電位をより負にする。樹脂前駆体成分はまた、少なくとも単官能性であってよく、かつフリーラジカル、ルイス酸、及び/又は電磁放射に曝露されたときに重合を被りうる、化学的に活性な材料及び/又は化合物、例えば、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、及び反応性希釈剤なども含みうる。
【0017】
一例として、高機能研磨パッドは、少なくとも1つの樹脂前駆体組成物の自動連続堆積と、それに続く少なくとも1つの硬化プロセスとによって、複数のポリマー層から形成することができ、ここで、各層は、少なくとも1つのポリマー組成物、及び/又はさまざまな組成物の領域を表しうる。幾つかの実装形態では、高機能研磨パッドの層及び/又は領域は、少なくとも1つのフィラー、例えば、金属、半金属酸化物、炭化物、窒化物、及び/又はポリマー粒子を含む、放射線硬化したポリマーなどの複合材料構造を含みうる。幾つかの実装形態では、フィラーは、耐摩耗性を増加させ、摩擦を低減し、摩耗に抵抗し、パッド全体又はパッドのある特定の領域の架橋及び/又は熱伝導率を高めるために使用することができる。したがって、パッド本体と、該パッド本体の上一面に、上に、及び内部に作られた個別の特徴とを含む高機能研磨パッドは、複数の異なる材料及び/又は材料の組成物から同時に形成することができ、したがって、パッドの構造及び特性のミクロンスケールでの制御を可能にする。
【0018】
一実装形態では、硬化性樹脂前駆体は、アニオン性モノマー又は負のゼータ電位調整剤を含む。幾つかの実装形態では、アニオン性モノマー又は負のゼータ電位調整剤は、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、スルフィン酸類、スルホン酸類、それらの誘導体、それらの塩、及びそれらの組合せを含む。
【0019】
本明細書に記載される幾つかの実装形態では、硬化性樹脂前駆体組成物は、式(I)のアニオン性モノマー又は負のゼータ電位調整剤を含む:
【0020】
一実装形態では、式(I)において、R、R、及びRは、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、互いに独立して、水素、有機ラジカル、アルキルエステルラジカル(例えば、C-C18アルキルエステル類)でありうる。一実装形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはCHCHOC(O)C(CH)CHである。一実装形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはCHCHOC(O)C(CH)CHであり、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは水素(H)である。一実装形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つはCHCHOC(O)C(CH)CHである。一実装形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つはCHCHOC(O)C(CH)CHであり、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはHである。一実装形態では、R及びRはHであり、RはCHCHOC(O)C(CH)CHである。一実装形態では、RはHであり、R及びRはCHCHOC(O)C(CH)CHである。一実装形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アクリレート、メタクリレート、又はアクリル成分などのフリーラジカル重合性ビニル基であり、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは水素(H)である。このような化合物の例は、限定はしないが、リン酸、モノ-、ジ-、及びトリ-リン酸エステル類、例えば、フェニルリン酸モノ-n-ドデシルリン酸、ヘキシル二水素ホスフェート、クレアチノールホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)水素ホスフェート、リン酸ジヘキサデシル、及び多くの市販のリン酸エステル類、例えば、Dow Chemicalが供給するTriton(商標)QS-44、H-55、及びH-66、Ashlandが供給するDextrol(商標)OC-40、OC-50、及びOC-60、並びにSolvayが供給するRhodafacラインのアニオン性界面活性剤を含む。
【0021】
特に有用なリン酸エステル類は、放射線への曝露中に他のコーティング成分と重合することができるエチレン性不飽和結合を含むリン酸エステル類である。このような化合物の例には、リン酸メタクリル酸2-ヒドロキシエチルエステル(PAHAE)、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート(BMEP)、Cytecが供給するSipomer PAM-100、200、及び300、Uni-Chemical Co. LTD.が供給するKayamer PM-2、並びにRahn USA Corp.が供給するPhosmer PE、及びGenorad40が含まれる。シクロトリリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、及びテトラポリリン酸を含む、式(I)で表される材料のポリリン酸縮合生成物もまた有用である。
【0022】
幾つかの実装形態では、アニオン性モノマー又は負のゼータ電位調整剤は、ホスホン酸エステルを含む。本明細書で用いられる場合、「ホスホン酸エステル」という用語は、ホスホン酸エステル類、ホスホン酸ジエステル類、ホスホン酸モノエステル類、ホスホン酸類、リン酸塩類、又はそれらの組合せを含む。幾つかの実装形態では、ホスホン酸エステルは、リン酸ビニル、オレイルアルコールエトキシレートホスフェート(例えば、Maxemul(商標)6106及び6112、Sino-Japan Chemicals社のSinonate1204P、PCC-Chemax社のMaxChem WA-7394、並びにZschimmer & Schwatz,Inc.社のPhosphetal OAX、又はそれらの組合せ)でありうる。
【0023】
幾つかの実装形態では、アニオン性モノマー又は負のゼータ電位調整剤は、スルホン酸、それらの塩、又はそれらの誘導体を含む。適切なスルホン酸の非限定的な例には、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)、4-ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート(SETA)、3-スルホプロピルアクリレート、3-スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸ナトリウム、及び2-プロペン-1-スルホン酸、並びにそれらの塩、それらの組合せなどが含まれる。
【0024】
幾つかの実装形態では、アニオン性モノマー又は負のゼータ電位調整剤は、スルフィン酸、それらの塩、又はそれらの誘導体を含む。適切なスルフィン酸には、例えば、アルキルスルフィン酸類、例えば、イソプロピルスルフィン酸;アリールスルフィン酸類、例えば、フェニルスルフィン酸;及び、ヒドロキシアルキルスルフィン酸類、例えば、ヒドロキシメタンスルフィン酸及び2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸;並びに、前述の酸の塩が含まれうる。
【0025】
適切なアニオン性モノマーの追加の例には、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)4-ノニルフェニル3-スルホプロピルエーテルカリウム塩、ホスホン酸エステルとエトキシ親水性の両方を有する界面活性剤、アクリレート反応性基を有する名目上のC18アルキル鎖(Croda International PlcからMAXEMUL(商標)6106として入手可能);スチレン化フェノール疎水性物質と1当量のアリルグリシジルエーテルとをベースとし、次に16モルのEOでエトキシル化し、硫酸化し、かつ中和した、反応性界面活性剤(Ethox Chemicals,LLCからE-Sperse(登録商標)RS-1596として入手可能);スチレン化フェノール疎水性物質と2当量のアリルグリシジルエーテルとをベースとし、次に15モルのEOでエトキシル化し、硫酸化し、かつ中和した、反応性界面活性剤(Ethox Chemicals,LLCからE-Sperse(登録商標)RS-1618として入手可能);E-Sperse(登録商標)RS-1684、E-Sperse(登録商標)RS-1685(Ethox Chemicals,LLCから入手可能);さまざまな本開示の実装形態での使用に適した代替のアニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩類を含む(Montello,Inc.からHITENOL BC-10(商標)、HITENOL BC-1025(商標)、HITENOL BC-20(商標)、HITENOL BC-2020(商標)、HITENOL BC-30(商標)として入手可能);ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩類(Montello,Inc.からHITENOL AR-10(商標)、HITENOL AR-1025(商標)、HITENOL AR-20(商標)、HITENOL AR-2020(商標)、HITENOL BC-30(商標)として入手可能);ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム類(Montello,Inc.からHITENOL KH-05(商標)、HITENOL KH-10(商標)、HITENOL KH-1025(商標)、HITENOL BC-2020(商標)、HITENOL Bc-30(商標)として入手可能;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸塩類(SOLVAYからRhodafac(登録商標)RE 610、Rhodafac(登録商標)RE 610/LC、Rhodafac(登録商標)RE 610-Eとして入手可能);アルキルリン酸エステル類(SOLVAYからRhodafac(登録商標)RA 600、Rhodafac(登録商標)RA 600-Eとして入手可能);アルキルフェノールエトキシレートをベースとしたリン酸エステル類(SOLVAYからRhodafac(登録商標)RM 710、Rhodafac(登録商標)RP 710として入手可能);アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸をベースとした界面活性剤(Dow Chemical CompanyからDOWFAX(商標)2A1、DOWFAX(商標)3B2、DOWFAX(商標)8390、DOWFAX(商標)C6L、DOWFAX(商標)C10Lとして入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。適切なアニオン性モノマーのさらなる例には、Croda International Plcから入手可能なMAXEMUL(商標)7201及び7302が含まれる。
【0026】
硬化性樹脂前駆体組成物中のアニオン性モノマー又はゼータ電位調整剤は、硬化性樹脂前駆体組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、2重量%、4重量%、5重量%、10重量%、15重量%、又は20重量%を構成しうる。硬化性樹脂前駆体組成物中のアニオン性モノマー又はゼータ電位調整剤は、硬化性樹脂前駆体組成物の総重量に基づいて、最大で2重量%、4重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は25重量%を構成しうる。硬化性樹脂前駆体組成物中のアニオン性モノマーの量は、硬化性樹脂前駆体組成物の総重量に基づいて、約1重量%から約25重量%(例えば、硬化性樹脂前駆体組成物の約2重量%から約20重量%;約2重量%から約10重量%;又は、約2重量%から約4重量%)でありうる。
【0027】
本明細書に記載される幾つかの実装形態では、硬化性樹脂前駆体組成物は、スルホン酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、又はハロゲン化物を有する、フリーラジカル重合可能なオレフィン及び第四級アンモニウム基を含む。幾つかの実装形態では、重合可能なオレフィン基には、アクリレート、アクリルアミド、又はそれらのアルキル/アリール置換部分が含まれる。幾つかの実装形態では、パッド形成配合物中の対イオンは、1から8個の間の炭素原子のアルキル鎖長、例えば、1から2個の炭素原子のアルキル鎖長を有していてよく、アルキル基はフルオロ基又はアルキル基で置換されている。
【0028】
幾つかの実装形態では、硬化性樹脂前駆体組成物は、極性フリーラジカル重合可能なモノマー及びオリゴマーを含む。ラジカル重合可能なモノマーの幾つかの例は、とりわけ、N,N’-ジメチルアクリルアミド、N,N’-ジエチルアクリルアミド、N,N’-ジメチルメタクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、N-ビニルピロリジノン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルイミダゾール、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、及びポリ(エチレングリコール又はプロピレングリコール)アクリレート類である。
【0029】
幾つかの実装形態では、本明細書に記載されるスルホン酸塩含有モノマーは、アクリレートを含む第三級アミンを、溶媒の有無にかかわらず、さまざまな温度においてスルホン酸塩で処理することによって調製される。反応の完了後、溶媒を除去して、ターゲットとするスルホン酸塩を得る。一例は、アクリル酸ジメチルアミノエチルと、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸ヘキシル、又はメタンスルホン酸トリフルオロエチルとの反応である。それに応じて、硫酸塩類は、アクリル酸ジメチルアミノエチルと硫酸ジメチルとの反応によって調製される。
【0030】
幾つかの実装形態では、硬化性樹脂前駆体組成物は、最終的なパッドの全体的な特性を調整するために添加される、さまざまな種類のオリゴマーを含む。
【0031】
幾つかの実装形態では、硬化性樹脂前駆体組成物は、UV及びUV-LED硬化によって添加される、さまざまな種類の光開始剤をさらに含む。UV及びLED硬化性樹脂前駆体組成物に適用することができる光開始剤の例には、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、及びそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。これらには、ベンゾフェノン、クロロ-ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、トリメチル-ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、及びアルキルベンゾイン類、例えば、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、及びプロピルベンゾインが含まれる。これらの光開始剤は、IGM社のOmnirad BP、Omnirad4MBZ、Omnirad4PBZ、Omnirad OMBB、Omnirad4HBL、Omnirad BEM、Omnirad EMK、Omnirad MBF、及びOmnirad BDKとして入手可能である。使用できる他の光開始剤は、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロピルフェニル)プロパノンなどのa-ヒドロキシケトンを含む。これらの光開始剤は、IGM社のOmnirad73、Omnirad481として入手可能な製品である。使用することができるさらに他の光開始剤には、IGM社のIrgacure369、907、1300を含む市販の製品であるa-アミノケトン及びその誘導体、IGM社のOmnirad ITX及びOmnirad DETXを含む、市販の製品であるチオキサントン、イソプロピル-チオキサントン、2-クロロ及び2-エチル-チオキサントンを含む、チオキサントン及びその誘導体、並びに、IGM社のOmnirad TPO、Omnirad TPO-L、及びOmnirad380を含む、製品として市販されているアシルホスフィン及びその誘導体が含まれる。使用することができるさらに他の光開始剤には、Omnirad4265として市販される2,4,6トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシドと1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン及びその誘導体とのブレンドが含まれる。
【0032】
幾つかの実装形態では、パッド形成配合物は、表面硬化添加物、印刷解像度向上添加物、及び多孔性形成を制御するための他の添加物をさらに含む。
【0033】
幾つかの実装形態では、硬化性樹脂前駆体組成物は可塑剤をさらに含む。適切な可塑剤には、例えば、300から20,000の分子量のポリエチレングリコール、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、及びPEG800、ステアリン酸、パルミチン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロース、トリアセチン、それらの組合せ、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(例えば、Croda International PLCから入手可能なTWEEN(登録商標)60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(例えば、Croda International PLCから入手可能なTWEEN(登録商標)80)、ソルビタンモノオレレート(例えば、Croda International PLCから入手可能なSPAN(登録商標)80)、ソルビタンステアレート(例えば、Croda International PLCから入手可能なSPAN(登録商標)60)、ソルビタンラウレート(例えば、Croda International PLCから入手可能なSPAN(登録商標)20)、ソルビタントリオレエート(例えば、Croda International PLCから入手可能なSPAN(登録商標)85)、ソルビタントリステアレート(例えば、Croda International PLCから入手可能なSPAN(登録商標)65)、それらの組合せなどが含まれる。他の適切な可塑剤には、シリコーン含有表面添加物(例えば、BYK-3760)、並びに、pHが8.5を超えない、トリエタノールアミン及びアルキルアミン類などの塩基が含まれる。
【0034】
硬化性樹脂前駆体組成物中の可塑剤は、硬化性樹脂前駆体組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、0.2重量%、0.4重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、又は2.0重量%を構成しうる。硬化性樹脂前駆体組成物中の可塑剤は、硬化性樹脂前駆体組成物の総重量に基づいて、最大で0.2重量%、0.4重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2.0重量%、又は2.5重量%を構成しうる。硬化性樹脂前駆体組成物中の可塑剤の量は、硬化性樹脂前駆体組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%から約2.5重量%(例えば、硬化性樹脂前駆体組成物の約0.2重量%から約2.0重量%;約0.2重量%から約1.0重量%;又は約0.2重量%から約0.4重量%)でありうる。
【0035】
幾つかの実装形態では、硬化性樹脂前駆体組成物は、アミン修飾オリゴマーをさらに含む。アミン修飾オリゴマーは、分子内に、化学線の照射によって架橋又は重合されるアミノ基及び官能基を有する反応性オリゴマーであり、反応性アミン共開始剤、反応性アミン相乗剤、アクリレート修飾アミン相乗剤、アクリル酸アミンなどとも称される化合物である。
【0036】
多くの市販のアミン修飾オリゴマーが存在する。例には、Sartomer社製のCN371、CN373、CN383、CN386、CN501、CN550及びCN551;Daicel-Allnex Ltd.社製のEBECRYL 80及びEBECRYL 7100;RAHN AG社製のGENOMER 5142、GENOMER 5161及びGENOMER 5275;Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd.社製のMiramer AS2010及びMiramer AS5142;並びに、Eternal Materials Co., Ltd.社製のEtercure 641、Etercure 6410、Etercure 6411、Etercure 6412、Etercure 6413、Etercure 6417、Etercure 6420、Etercure 6422、Etercure 6423、Etercure 6425、Etercure 6430、Etercure 645、及びEtercure 647が含まれる。
【0037】
幾つかの実装形態では、アミン修飾オリゴマーは、分子内に(メタ)アクリロイル基を含むオリゴマーである。このようなアミン修飾オリゴマーの特定の例には、市販の製品、例えば、Daicel-Allnex Ltd.社製のEBECRYL 80、EBECRYL 81、EBECRYL 83、及びEBECRYL 7100;BASF SE社製のLAROMER PO 83F、LAROMER PO 84F、及びLAROMER PO 94F;Cognis Corporation社製のPHOTOMER4775 F及びPHOTOMER4967 F;並びに、Sartomer社製のCN501、CN503、CN550、CN383、CN384、及びCN371が含まれる。このようなアミン修飾オリゴマーは、例えば、第一級アミンとアクリレートとのマイケル付加反応によっても生成することができる。分子内における(メタ)アクリロイル基の存在は、重合による硬化膜への容易な取り込みを可能にし、したがって、硬化速度の向上の観点、並びに移動及びブルーミングの抑制の観点から好ましい。
【0038】
幾つかの実装形態では、本明細書に記載されるアニオン性モノマーを使用すると、7から11のpH範囲で約-200から約-100mVの平均ゼータ電位を有する研磨パッドが形成される。
【0039】
本明細書に記載されるアニオン性モノマーを用いて形成された研磨用物品の露出面又は表面の露出領域のうちの少なくとも1つの平均ゼータ電位は、本明細書に記載されるゼータ電位調整剤なしで形成された研磨用物品のゼータ電位よりも負である。中性溶液を使用して測定した研磨用物品の少なくとも1つの露出面の平均ゼータ電位は、約-200mVから約+40mVの範囲でありうる。中性溶液を使用して測定した研磨用物品の少なくとも1つの露出面の平均ゼータ電位は、少なくとも-200mV、-150mV、-125mV、-100mV、-50mV、-40mV、-35mV、-30mV、-25mV、-20mV、-15mv、-10mv、-5mV、0mV、5mV、10、mV、15mV、20mV、25mV、30mv、35mV、40mV、又は45mVでありうる。中性溶液を使用して測定した研磨用物品の少なくとも1つの露出面の平均ゼータ電位は、最大で-150mV、-125mV、-100mV、-50mV、-40mV、-35mV、-30mV、-25mV、-20mV、-15mv、-10mv、-5mV、0mV、5mV、10、mV、15mV、20mV、25mV、30mv、35、mV、40mV、45mV、又は50mVでありうる。別の実装形態では、中性溶液を使用して測定した研磨用物品の少なくとも1つの露出面の平均ゼータ電位は、約-200mVから約50mV(例えば、約-200mVから約0mV;約-150mVから約-100mV;又は約-150mVから約-125mV)の範囲でありうる。
【0040】
場合によっては、測定した平均ゼータ電位は、研磨パッドの表面の1立方センチメートルの領域など、研磨パッドの規定された領域にわたって測定することができる。幾つかの実装形態では、研磨パッドの研磨面の領域は、各形成された領域で異なる平均ゼータ電位を有するように形成される。しかしながら、場合によっては、露出したパッド表面が、該露出した表面全体にわたり比較的一定の平均ゼータ電位を有することが望ましい場合がある。
【0041】
以下の開示は、研磨用物品及び、該研磨用物品の製造方法について記載している。本開示のさまざまな実装形態の完全な理解を提供するために、ある特定の詳細が以下の説明及び図1~6Bに記載されている。研磨用物品及び該研磨用物品の製造方法にしばしば関連づけられる周知の構造及びシステムについて記載している他の詳細は、さまざまな実装形態の記載を不必要に不明確にすることを避けるために、以下の開示には記載されていない。
【0042】
図に示されている詳細、寸法、角度、及び他の特徴の多くは、特定の実装形態の単なる例示である。したがって、他の実装形態は、本開示の主旨又は範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、及び特徴を有することができる。加えて、本開示のさらなる実装形態は、以下に説明する幾つかの詳細がなくとも、実施することができる。
【0043】
本明細書に記載される研磨用物品は研磨パッドであるが、本明細書に記載される実装形態は、例えば、バフ用パッドを含む他の研磨用物品にも適用可能であるものと理解されたい。さらには、本明細書に記載される研磨用物品は、化学的機械研磨プロセスに関連して論じられているが、本明細書に記載される研磨用物品及び該研磨用物品を製造する方法は、研磨レンズを含む他の研磨プロセス、並びに研磨剤スラリシステム及び非研磨剤スラリシステムの両方を含む他のプロセスにも適用可能である。加えて、本明細書に記載される研磨用物品は、少なくとも以下の産業で使用することができる:とりわけ、航空宇宙、セラミック、ハードディスクドライブ(HDD)、MEMS及びナノテック、金属加工、光学及び電気光学、並びに半導体。
【0044】
一実装形態では、三次元印刷(又は3-D印刷)プロセスなどの付加製造プロセスを使用して、本明細書に記載される研磨用物品を製造(又は作製)することができる。一実装形態では、部品のコンピュータ(CAD)モデルがまず最初に作られ、次に、スライスアルゴリズムがすべての層の情報をマッピングする。限定はしないが、3-D印刷プロセスの1つの非限定的な例では、液体前駆体組成物材料の液滴が表面に分配され、次に硬化されて、層ごとに研磨用物品を形成するプロセスが、以下にさらに論じられる。3-D印刷プロセスでは、材料の組成、微細構造、及び表面のテクスチャの局所的な制御を行うことができるため、この方法ではさまざまな(及び、以前はアクセスできなかった)形状寸法を実現することができる。
【0045】
一実装形態では、本明細書に記載される研磨用物品は、コンピュータレンダリングデバイス又はコンピュータディスプレイデバイスによって読み取り可能なデータ構造で表すことができる。コンピュータ可読媒体は、研磨用物品を表すデータ構造を含みうる。データ構造は、コンピュータファイルであってよく、構造、材料、テクスチャ、物理的特性、又は1つ以上の物品の他の特性に関する情報を含みうる。データ構造はまた、コンピュータレンダリングデバイス又はコンピュータディスプレイデバイスの選択された機能に関与する、コンピュータ実行可能コード又はデバイス制御コードなどのコードを含みうる。データ構造は、コンピュータ可読媒体に保存することができる。コンピュータ可読媒体は、磁気メモリ、フロッピーディスク、又は任意の便利な物理的ストレージ媒体などの物理的ストレージ媒体を含みうる。物理的ストレージ媒体は、データ構造によって表される物品をコンピュータ画面又は物理的レンダリングデバイス(これは、3Dプリンタなどの付加製造デバイスでありうる)上にレンダリングするために、コンピュータシステムによって読み取り可能でありうる。
【0046】
研磨パッド装置及び研磨方法:
本明細書に開示される改良された研磨パッド設計は、多くの異なるタイプの研磨装置で研磨プロセスを実施するために使用することができる。本明細書に提供される開示の範囲を限定することを意図しない一例では、研磨パッドは、半導体基板を研磨するために用いられる研磨ステーションにおいて用いられうる。図1は、本明細書に記載される実装形態に従って形成された多孔性研磨パッド106を有する研磨ステーション100の概略的な断面図である。研磨ステーション100は、複数の研磨ステーションを含む、より大きい化学機械研磨(CMP)システム内に位置づけることができる。研磨ステーション100はプラテン102を含む。プラテン102は、中心軸104を中心に回転しうる。多孔性研磨パッド106は、プラテン102上に配置されうる。本明細書に提供される開示を限定することは意図していないが、通常、多孔性研磨パッド106は、プラテン102の上面103を覆っており、これは、研磨ステーション100内で処理される基板110のサイズ(例えば、基板の直径)より少なくとも1倍から2倍大きい。一例では、多孔性研磨パッド106及びプラテン102は、直径約6インチ(150ミリメートル)から約40インチ(1,016ミリメートル)の間である。多孔性研磨パッド106は、1つ以上の基板110に接触し、処理するように構成された研磨面112を含む。プラテン102は、多孔性研磨パッド106を支持し、研磨中に多孔性研磨パッド106を回転させる。キャリアヘッド108は、多孔性研磨パッド106の研磨面112に接するように処理されている基板110を保持することができる。研磨面112と基板110との間に研磨界面130が形成される。キャリアヘッド108は、典型的には、多孔性研磨パッド106に基板110を接触させるために用いられる可撓性のダイヤフラム111と、研磨プロセス中に基板の表面全体にわたって見られる本質的に不均一な圧力分布の補正に用いられるキャリアリング109とを含む。キャリアヘッド108は、中心軸114を中心に回転して、及び/又は掃引運動で移動して、基板110と多孔性研磨パッド106との間に相対運動を生成することができる。
【0047】
研磨中、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、及び/又はセリア(CeO)などの研磨剤スラリ、又は非研磨剤スラリなどの研磨流体116が、供給アーム118によって研磨面112に供給されうる。研磨流体116は、基板の化学機械研磨を可能にするために、研磨粒子、pH調整剤、及び/又は化学的に活性な成分を含みうる。116のスラリ化学物質は、基板表面及び/又は特徴を研磨するように設計され、これは、金属、金属酸化物、及び半金属酸化物を含みうる。多孔性研磨パッド106の表面トポグラフィは、研磨プロセス中に基板110と相互作用する研磨流体116(例えば、スラリ)の輸送を制御するために用いられることに留意されたい。例えば、多孔性研磨パッド106の表面トポロジーは、多孔性研磨パッド106の上全体、上、及び内部に配置されうる、鋳造、成形、又は機械加工によって形成される溝、チャネル、及び他の隆起を含みうる。
【0048】
幾つかの実装形態では、研磨ステーション100は、コンディショニングアーム122並びにアクチュエータ124及び126を含むパッドコンディショニングアセンブリ120を含む。アクチュエータ124及び126は、パッドコンディショニングディスク128(例えば、ダイヤモンド含浸ディスク)が、研磨プロセスサイクル中の異なる時間に研磨面112に接触し、かつ掃引されて、多孔性研磨パッド106の研磨面112を研磨し、活性化するように構成される。処理中、多孔性研磨パッド106及びキャリアヘッド108を動かすことによって、機械的エネルギーが基板110に印加され、これが研磨流体116中の化学物質及び研磨成分と組み合わされて、基板の表面が平坦化される。
【0049】
研磨パッドの構成例
研磨装置に用いることができる研磨パッドのさまざまな構造的実装形態の例が、図2A~2Kと併せて論じられる。図2A~2Kに示される研磨パッドは、例えば、図1に示される研磨ステーション100に用いることができる。特に指定しない限り、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206という用語は、高機能研磨パッド200の研磨本体内の一部分、領域、及び/又は特徴を広く説明している。幾つかの実装形態では、高機能研磨パッド200は、ポア、又はスラリに曝露されるとパッドの表面にボイドを形成する材料を含みうる。他の同様の実装形態は本明細書に記載される1つ以上の付加製造プロセスを使用することによって形成されうることから、図2A~2Kに示されるさまざまな研磨パッドの実装形態の特定の例は、本明細書に提供される開示の範囲に関して限定することは意図されていない。
【0050】
研磨パッドは、少なくとも1つの樹脂前駆体組成物の層ごとの自動連続堆積と、それに続く少なくとも1つの硬化プロセスとによって形成することができ、各層は、少なくとも1つのポリマー組成物、及び/又は異なる組成物の領域を表しうる。硬化性樹脂前駆体組成物は、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、反応性希釈剤、流動添加物、硬化剤、光開始剤、多孔性形成剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、可塑剤、及び硬化相乗剤を含むが、これらに限定されない「樹脂前駆体成分」を含む、前駆体、又は樹脂前駆体組成物を含む。アニオン性界面活性剤は、イオン電荷(例えば、アニオン性)を有しており、これは、硬化性樹脂前駆体組成物のプレポリマー成分との共重合によって、研磨用物品のゼータ電位をより負にする。官能性ポリマーは、多官能性アクリレート前駆体成分を含みうる。複数の固体ポリマー層を形成するために、1つ以上の組成物をUV放射及び/又は熱エネルギーに曝露するなどの1つ以上の硬化プロセスを用いることができる。このようにして、研磨パッド全体が、付加製造プロセスによって複数のポリマー層から形成されうる。硬化された層の厚さは、約0.1ミクロンから約1mm、例えば5ミクロンから約100ミクロン、及び例えば25ミクロンから約30ミクロンでありうる。
【0051】
多孔性研磨パッドは、ある研磨要素から別の研磨要素への少なくとも1つの組成勾配によって反映されるように、パッド本体202全体にわたって異なる多孔性を有しうる。多孔性研磨パッド全体にわたる多孔性は、静的機械的特性、動的機械的特性、及び摩耗特性を含みうる研磨パッドのターゲット特性を実現するために、対称又は非対称、均一又は不均一でありうる。一実装形態では、ポアは、隣接する各堆積層の界面の近くに形成される。
【0052】
パッド本体202にわたる(一又は複数の)研磨要素204、206のいずれかのパターンは、多孔性研磨パッド全体にわたる多孔性を含むターゲット特性を実現するために、放射状、同心、長方形、らせん状、フラクタル、又はランダムでありうる。有利なことに、3D印刷プロセスは、パッドの特定の領域に、又はパッドのより広い領域にわたって、ターゲット特性を有する材料組成物の特定の配置を可能にし、よって、該特性を組み合わせて、平均を上回る特性又は特性の「複合」を表すことができる。
【0053】
図2Aは、本開示の一実装形態に従って形成された研磨パッド200aの概略的な斜視断面図である。1つ以上の第1の研磨要素204aは、1つ以上の第2の研磨要素206aに結合されて円形のパッド本体202を形成する、交互の同心円環で形成されうる。1つ以上の第1の研磨要素204a及び1つ以上の第2の研磨要素206aのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載される実装形態に従って形成されうる。一実装形態では、支持面203からの(一又は複数の)第1の研磨要素204aの高さ210は、(一又は複数の)第2の研磨要素206aの高さ212よりも高く、そのため、(一又は複数の)第1の研磨要素204aの(一又は複数の)上面208は(一又は複数の)第2の研磨要素206aの上方に突き出ている。一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204は、(一又は複数の)第2の研磨要素206aの部分212Aの上に配置されている。溝218又はチャネルは、(一又は複数の)第1の研磨要素204a間に形成され、(一又は複数の)第2の研磨要素206aの少なくとも一部を含む。研磨中、(一又は複数の)第1の研磨要素204aの(一又は複数の)上面208は、基板と接触する研磨面を形成し、一方、溝218は研磨流体を保持し、導く。一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204aは、チャネル又は溝218がパッド本体202の上面に形成されるように、パッド本体202の、研磨面に平行な平面、又は(一又は複数の)上面208に垂直な方向(すなわち、図2AのZ方向)において(一又は複数の)第2の研磨要素206aより厚い。
【0054】
一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204aの幅214は、約250ミクロンから約5ミリメートルの間でありうる。(一又は複数の)第1の研磨要素204a間のピッチ216は、約0.5ミリメートルから約5ミリメートルの間でありうる。各第1の研磨要素204aは、約250ミクロンから約2ミリメートルの間の範囲内の幅を有しうる。幅214及び/又はピッチ216は、さまざまな硬さ、多孔性、親水性、ゼータ電位及び/又はそれらの組合せのゾーンを規定するために、高機能研磨パッド200の半径全体にわたって変化しうる。
【0055】
図2Bは、本開示の実装形態による研磨パッド200bの概略的な部分上面図である。研磨パッド200bは、研磨パッド200bが(一又は複数の)第1の研磨要素204b及び(一又は複数の)第2の研磨要素206bをインターロック(相互にロック)することを含むことを除き、図2Aの高機能研磨パッド200と同様である。(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204b及び(一又は複数の)第2の研磨要素206bのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載される実装形態に従って形成されうる。(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204b及び(一又は複数の)第2の研磨要素206bは、複数の同心円環を形成する。(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204bは突出する垂直隆起220を含んでいてよく、(一又は複数の)第2の研磨要素206bは、垂直隆起220を受け入れるための垂直凹部222を含みうる。あるいは、(一又は複数の)第2の研磨要素206bは、突出する隆起を含んでいてよく、一方、(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204bは凹部を含む。(一又は複数の)第2の研磨要素206bを(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204bとインターロックさせることにより、研磨パッド200bは、CMPプロセス及び/又は材料の取り扱い中に生成されうる、適用される剪断力に関して機械的に強くなるであろう。一実装形態では、(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204b及び(一又は複数の)第2の研磨要素206bは、研磨パッドの強度を改善し、研磨パッドの物理的完全性を高めるためにインターロックされうる。特徴のインターロックは、物理的力及び/又は化学的力によるものでありうる。
【0056】
図2Cは、本開示の実装形態による研磨パッド200cの概略的な斜視断面図である。研磨パッド200cは、第2の研磨要素206cなどのベース材料層から延びる、複数の第1の研磨要素204cを含む。複数の第1の研磨要素204c及び第2の研磨要素206cのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載される実装形態に従って形成されうる。(一又は複数の)第1の研磨要素204cの(一又は複数の)上面208は、研磨中に基板に接触する研磨面を形成する。一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204c及び第2の研磨要素206cは、異なる材料特性及び構造特性を有する。一例では、(一又は複数の)第1の研磨要素204cは、より大きい正のゼータ電位を有する第1の材料から形成されてよく、一方、第2の研磨要素206cは、より大きい負のゼータ電位から形成されうる。さらには、別の例では、(一又は複数の)第1の研磨要素204cは、より大きい正のゼータ電位を有する多孔性材料から形成されてよく、一方、第2の研磨要素206cは、より大きい負のゼータ電位を有する非多孔性材料から形成されうる。研磨パッド200cは、高機能研磨パッド200と同様に、3D印刷によって形成することができる。
【0057】
(一又は複数の)第1の研磨要素204cは、実質的に同じサイズであってよく、あるいは、研磨パッド200c全体にわたって多孔性などのさまざまな機械的特性を生成するように、サイズを変化させてもよい。(一又は複数の)第1の研磨要素204cは、研磨パッド200c全体に均一に分布されてよく、あるいは、研磨パッド200cにおいてターゲット特性を実現するために不均一なパターンで配置されていてもよい。
【0058】
図2Cでは、(一又は複数の)第1の研磨要素204cは、第2の研磨要素206cから延びる円柱として示されている。あるいは、(一又は複数の)第1の研磨要素204cは、任意の適切な断面形状、例えば、環状体、部分環状体(例えば、円弧)、卵形、正方形、長方形、三角形、多角形、又は他の不規則な断面形状、又はそれらの組合せを有する柱状でありうる。一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204cは、研磨パッド200cの硬さ、機械的強度、又は他の望ましい特性を調節するために、さまざまな断面形状でありうる。
【0059】
図2Dは、本開示の実装形態による研磨パッド200dのパッド本体202の概略的な部分側面断面図である。研磨パッド200dは、該研磨パッド200dが(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204d及び第2の研磨要素206dを含むことを除き、図2A~2Cの研磨パッド200a、200b、又は200cと同様である。複数のインターロックする第1の研磨要素204d及び第2の研磨要素206dのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載される1つ以上の実装形態による、増加した親水性及び/又はより大きい正のゼータ電位を有しうる。(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204d及び第2の研磨要素206dは、例えば、図2A、2B、又は2Cに示されるパッド本体202の部品を形成する、複数の同心円環及び/又は(一又は複数の)個別の要素を含みうる。一実装形態では、(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204dは、突出する側壁224を含んでよく、一方、第2の研磨要素206dは、(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204dの突出する側壁224を受け入れるための領域225を含みうる。あるいは、第2の研磨要素206dは、突出する側壁を含んでよく、一方、(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204dは、突出する側壁を受け入れるように構成された領域を含む。第2の研磨要素206cを(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204dとインターロックさせることによって、研磨パッド200dは、増加した引っ張り、圧縮、及び/又は剪断強度を示しうる。さらには、インターロックする側壁は、研磨パッド200dが引き離されることを防止する。
【0060】
一実装形態では、(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204dと第2の研磨要素206dとの間の境界は、材料の少なくとも1つの組成物から別の組成物への凝集転移、例えば、(一又は複数の)インターロックする第1の研磨要素204dの形成に用いられる第1の組成物及び第2の研磨要素206dの形成に用いられる第2の組成物からの転移又は組成勾配を含む。材料の凝集性は、本明細書に記載される付加製造プロセスの結果であり、これにより、ミクロンスケールの制御、及び層ごとの付加的に形成された構造における2つ以上の化学組成物の緊密な混合が可能になる。
【0061】
図2Eは、本開示の1つ以上の実装形態による研磨パッド200eの概略的な部分断面図である。研磨パッド200eは、該研磨パッド200eが異なる構成のインターロック特徴を含むことを除き、図2Dの研磨パッド200dと同様である。研磨パッド200eは、複数の同心円環及び/又は(一又は複数の)個別の要素を有する、(一又は複数の)第1の研磨要素204e及び(一又は複数の)第2の研磨要素206eを含みうる。(一又は複数の)第1の研磨要素204e及び(一又は複数の)第2の研磨要素206eのうちの少なくとも1つは、多孔性であってよく、本明細書に記載される1つ以上の実装形態に従って形成されうる。一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204eは、水平隆起226を含んでよく、一方、(一又は複数の)第2の研磨要素206eは、(一又は複数の)第1の研磨要素204eの水平隆起226を受け入れるための水平凹部227を含みうる。あるいは、(一又は複数の)第2の研磨要素206eは水平隆起を含んでよく、一方、(一又は複数の)第1の研磨要素204eは水平凹部を含む。一実装形態では、図2Bのインターロックする特徴などの垂直にインターロックする特徴と図2D及び2Eのインターロックする特徴などの水平にインターロックする特徴とを組み合わせて、研磨パッドを形成することができる。
【0062】
図2F~2Kは、本開示の実装形態によるさまざまな研磨パッド設計の概略的な平面図である。図2F~2Kの各々は、基板に接触し、研磨するための(一又は複数の)第1の研磨要素204f~204kをそれぞれ表す白い領域(白いピクセルの領域)と、(一又は複数の)第2の研磨要素206f~206kを表す黒い領域(黒いピクセルの領域)とを有するピクセルチャートを含んでいる。本明細書で同様に論じられるように、白い領域は、概して、黒い領域の上に突出しており、その結果、チャネルは、白い領域の間の黒い領域内に形成される。一例では、ピクセルチャートのピクセルは、研磨パッドの層、又は層の一部内におけるさまざまな材料の位置の規定に用いられる、長方形のアレイ型パターン(例えば、X及びY方向のアレイ)で配置される。別の例では、ピクセルチャートのピクセルは、研磨パッドの層、又は層の一部内におけるさまざまな材料の位置の規定に用いられる、六方最密充填のアレイ型パターン(例えば、6つの最近傍に取り囲まれた1つのピクセル)で配置される。研磨スラリは、研磨中にチャネルを通って流れてよく、チャネル内に保持されうる。図2F~2Kに示される研磨パッドは、付加製造プロセスを使用して材料の複数の層を堆積することによって形成することができる。複数の層の各々は、(一又は複数の)第1の研磨要素204f~204k及び(一又は複数の)第2の研磨要素206f~206kを形成するための2つ以上の材料を含みうる。一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204f~204kは、溝及び/又はチャネルが研磨パッドの上面に形成されるように、材料の複数の層に平行な平面に垂直な方向において、(一又は複数の)第2の研磨要素206f~7206kよりも厚くなりうる。
【0063】
図2A~2Kの研磨パッド200a~200kの(一又は複数の)第1の研磨要素204a~204kは、同一の材料又は同一の材料の組成物から形成されうる。あるいは、図2A~2Kの設計における(一又は複数の)第1の研磨要素204a~204kの材料組成及び/又は材料特性は、研磨特徴ごとに異なりうる。材料組成及び/又は材料特性の個別化により、特定のニーズに合わせて研磨パッドを調整することが可能となる。
【0064】
(一又は複数の)第2の研磨要素206に対する(一又は複数の)第1の研磨要素204の構造構成もまた、研磨プロセスの再現性を制御し、研磨プロセスの研磨速度を改善するために使用することができることが見出されている。このような構造構成の1つは、形成された高機能研磨パッドにおける(一又は複数の)第2の研磨要素206に対する(一又は複数の)第1の研磨要素204の相対的な物理的レイアウトに関するものであり、本明細書では、形成された高機能研磨パッド内の(一又は複数の)第1の研磨要素204の体積比(SAVR)に対する総露出表面積として知られている。(一又は複数の)第2の研磨要素206に対する(一又は複数の)第1の研磨要素204の相対的な物理的レイアウト、並びに、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び/又は(一又は複数の)第2の研磨要素206の形成に用いられる材料の機械的特性(例えば、熱伝導率、硬さ、損失弾性率、研磨接触面積など)を制御することによって体積比に対する総露出表面積を調整することにより、研磨プロセスの再現性及び基板研磨速度を、他の研磨パラメータとともに大幅に改善することができると考えられる。一例では、(一又は複数の)第1の研磨要素204内の(一又は複数の)材料の機械的特性は、約6.0x10-6未満、例えば約1.0x10-7から6.0x10-6/秒の間の熱拡散率(m/秒)を含む。
【0065】
配合物及び材料の例
上で論じたように、パッド本体202の部分、例えば、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206の形成に用いられる材料は、それぞれが、高機能研磨パッドのターゲット特性を実現するために、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、反応性希釈剤、流動添加物、硬化剤、光開始剤、多孔性形成剤、カチオン性モノマー、及び硬化相乗剤の混合物でありうる、少なくとも1つのインクジェット可能なプレポリマー組成物から形成されうる。概して、プレポリマーインク又は組成物は、硬化剤又は化学開始剤の有無にかかわらず、放射線又は熱エネルギーへの曝露又は接触を含む任意の数の手段を使用して堆積された後に、処理されうる。概して、堆積された材料は、紫外放射(UV)、ガンマ放射、X線放射、可視光放射、IR放射、マイクロ波放射を含みうる電磁放射に曝露されうる。加えて、加速された電子及びイオンビームを使用して、重合反応を開始することができる。本開示の目的のためには、硬化方法、若しくは増感剤、開始剤、及び/又は硬化剤、例えば、スルーキュア剤又は酸素抑制剤などの硬化剤など、重合を助けるための添加物の使用は制限されない。
【0066】
一実装形態では、2つ以上の研磨要素、例えば、パッド本体202などの単一のパッド本体内の(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206は、少なくとも1つの放射線硬化性樹脂前駆体組成物の連続堆積及び堆積後処理から形成することができ、ここで、該組成物は、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、及びアセチレン基を含むがこれらに限定されない、不飽和化学部分又は基を有する、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、及び/又は反応性希釈剤を含む。研磨パッド形成プロセス中、不飽和基は、ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン所在のBASF社製の製品であるIrgacure(登録商標)など、フリーラジカル生成光開始剤などの硬化剤の存在下で、UV放射などの放射に曝露されたときに、フリーラジカル重合を被りうる。
【0067】
本明細書に提供される開示の実装形態の1つ以上において、2つのタイプのフリーラジカル光開始剤が用いられうる。本明細書ではバルク硬化光開始剤とも称される第1のタイプの光開始剤は、UV放射に曝露されると開裂し、直ちにフリーラジカルを生成し、重合を開始することができる開始剤である。第1のタイプの光開始剤は、分配された液滴の表面硬化と貫通硬化又はバルク硬化との両方に有用でありうる。第1のタイプの光開始剤は、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、アセチルフェノン類、アルキルフェノン類、及びホスフィンオキシド類を含むがこれらに限定されない群から選択されうる。本明細書では表面硬化光開始剤とも称される第2のタイプの光開始剤は、UV放射によって活性化され、実際の開始フリーラジカルとなる第2の化合物からの水素引き抜きによってフリーラジカルを形成する光開始剤である。この第2の化合物は、しばしば共開始剤又は重合相乗剤と呼ばれ、アミン相乗剤でありうる。アミン相乗剤は酸素阻害を低減するために用いられ、したがって、第2のタイプの光開始剤は迅速な表面硬化に有用でありうる。第2のタイプの光開始剤は、ベンゾフェノン化合物及びチオキサントン化合物を含むがこれらに限定されない群から選択されうる。アミン相乗剤は、活性水素を有するアミンであってよく、一実装形態では、アミン含有アクリレートなどのアミン相乗剤を、樹脂前駆体組成物配合物中のベンゾフェノン光開始剤と組み合わせて、a)酸素阻害を制限すること、b)液滴又は層表面の寸法を固定するように液滴又は層表面を急速硬化させること、及びc)硬化プロセスを通じて層の安定性を高めることができる。幾つかの実装形態では、フリーラジカル硬化機構を遅らせるか又は阻害する二原子酸素によるフリーラジカルのクエンチを遅らせるか又は防ぐために、酸素が制限されているか又は酸素を含まない硬化雰囲気又は環境を選択することができる。酸素が制限されている、又は酸素を含まない環境には、不活性ガス雰囲気、及び乾燥して脱気され、ほとんど酸素を含まない化学試薬が含まれる。
【0068】
高機能研磨パッドが形成されるときに下層が硬化エネルギーに繰り返し曝露されると、これらの下層の特性に影響を与えることから、印刷された配合物中の化学開始剤の量を制御することは、形成された研磨パッドの特性を制御する要因であることが見出された。言い換えれば、堆積された層をある量の硬化エネルギー(例えば、UV光、熱など)に繰り返し曝露することは、形成された各層内の硬化の程度、又はその層の表面のオーバーキュアに影響を与える。したがって、幾つかの実装形態では、表面が最初に硬化し、追加のUV光が表面硬化領域の下の材料に到達するのをブロックし、したがって、部分的に硬化された構造全体が「硬化不足」になることから、表面硬化速度が完全硬化(バルク硬化)よりも速くならないことを確実にすることが望ましい。幾つかの実装形態では、適切な鎖延長及び架橋を確実にするために、光開始剤の量を低減することが望ましい。概して、ポリマーは、分子量が高くなるほど、よりゆっくりと制御された重合で形成される。反応生成物があまりにも多くのラジカルを含む場合、反応速度論があまりにも速く進行する可能性があり、分子量が低くなり、それが次に硬化された材料の機械的特性を低下させると考えられる。
【0069】
幾つかの実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素及び(一又は複数の)第2の研磨要素206は、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテル類、ポリオキシメチレン類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテルイミド類、ポリイミド類、ポリオレフィン類、ポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリウレタン類、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル類、ポリアクリレート類、ポリメチルメタクリレート類、ポリウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、ポリエーテルアクリレート類、エポキシアクリレート類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、メラミン類、ポリスルホン類、ポリビニル材料、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、これらのハロゲン化ポリマー類、ブロックコポリマー類、及びコポリマー類から選択される、少なくとも1つのオリゴマー及び/又はポリマーのセグメント、化合物、又は材料を含みうる。(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206の形成に用いられる組成物の生成及び合成は、少なくとも1つのUV放射硬化可能官能性及び反応性オリゴマーと、前述のポリマー及び/又は分子のセグメントのうちの少なくとも1つ、例えば化学構造Aで示されるものとを使用して実現されうる:
【0070】
化学構造Aで表される二官能性オリゴマーであるビスフェノール-Aエトキシレートジアクリレートは、パッド本体202の(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206に見られる材料の低、中、及び高貯蔵弾性率E’の特性に寄与しうるセグメントを含む。例えば、芳香族基は、フェニル環が与える局所剛性によって、パッド本体202にさらなる剛性を付与することができる。しかしながら、当業者は、エーテル鎖セグメント「n」を増加させることにより、貯蔵弾性率E’が低下し、したがって、可撓性が増大した、より軟らかい材料が生成されることを認識するであろう。一実装形態では、ゴム状の反応性オリゴマーであるポリブタジエンジアクリレートを使用して、化学構造Bに示すように、ゴム状の弾性伸びを有する、より軟らかく、より弾性のある組成物を生成することができる:
【0071】
ポリブタジエンジアクリレートは、不飽和の他の未反応の部位との架橋反応を被りうる、ペンダントアリル官能性(図示)を含む。幾つかの実装形態では、ポリブタジエンセグメント「m」の残留二重結合は、反応して架橋を生成し、これにより、可逆的エラストマー特性がもたらされうる。一実装形態では、組成物架橋を含む研磨パッドは、約5%から約40%のパーセント伸び、及び約6から約15のE’30:E’90の比を有しうる。幾つかの架橋化学の例は、硫黄加硫及びペルオキシド、例えば、tert-ブチルペルベンゾエート、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシドなどを含む。一実装形態では、配合物の総重量で3%のベンゾイルペルオキシドがポリブタジエンジアクリレートと反応して、架橋密度が少なくとも約2%になるように架橋を形成する。
【0072】
化学構造Cは、別のタイプの反応性オリゴマーであるポリウレタンアクリレート(これは、研磨パッドに可撓性及び伸びを付与することができる材料である)を表している。ウレタン基を含むアクリレートは脂肪族又は芳香族ポリウレタンアクリレートであってよく、構造に示されているR又はR’基は、脂肪族、芳香族、オリゴマーであってよく、酸素などのヘテロ原子を含みうる。
【0073】
反応性オリゴマーは、アクリル部位などの少なくとも1つの反応性部位を含んでいてよく、かつ、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、及び/又は六官能性であってよく、したがって、架橋の中心的役割を果たしうる。官能性オリゴマーは、米国ペンシルバニア州エクストン所在のSartomer USA、米国コネチカット州トリントン所在のDymax Corporation、及び米国ジョージア州アルファレッタ所在のAllnex Corporationを含む、さまざまな供給元から入手することができる。
【0074】
本開示の幾つかの実装形態では、ジ-、トリ-、テトラ-、及びより高次の官能性アクリレート類を含む多官能性アクリレート類を使用して、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206の形成に用いられる材料内、及び/又はそれらの中に見られる材料間に架橋を生成することができ、したがって、貯蔵弾性率E’、粘性減衰、反発、圧縮、弾性、伸び、及びガラス転移温度を含む研磨パッド特性を調整することができる。(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206の形成に用いられるさまざまな材料内の架橋の程度を制御することによって、望ましいパッド特性を形成することができることが見出された。幾つかの実装形態では、低粘度の材料ファミリーは、線形、分岐、及び/又は環式などの多種多様な分子構造、並びにより広い範囲の分子量を提供し、それによって配合及びプロセスウィンドウが広がることから、多官能性アクリレート類を、パッド形成配合物中の剛性の芳香族化合物の代わりに有利に使用することができる。多官能性アクリレート類の幾つかの例が、化学構造D(1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン)、及びE(トリメチロールプロパントリアクリレート)に示されている:
【0075】
タイプ又は架橋剤、化学構造、又は架橋が形成される機構は、本開示の実装形態によって限定されない。例えば、アミン含有オリゴマーは、アクリル部分とのマイケル付加型の反応を被って共有結合架橋を形成するか、又はアミン基がエポキシド基と反応して共有結合架橋を形成することができる。他の実装形態では、架橋はイオン結合又は水素結合によって形成されうる。架橋剤は、線形、分岐、及び環式の分子セグメントを含んでよく、オリゴマー及び/又はポリマーセグメントをさらに含んでいてもよく、窒素及び酸素などのヘテロ原子を含んでいてもよい。研磨パッド組成物に有用でありうる架橋化合物は、米国ミズーリ州セントルイス所在のSigma-Aldrich、米国ペンシルベニア州エクストン所在のSartomer USA、米国コネチカット州トリントン所在のDymax Corporation、及び米国ジョージア州アルファレッタ所在のAllnex Corporationを含む、さまざまな供給元から入手可能である。
【0076】
本明細書で延べたように、反応性希釈剤は、高粘度官能性オリゴマーと混合して適切な粘度配合を実現する粘度希釈溶媒として使用することができ、その後、硬化エネルギーに曝露されたときに(一又は複数の)希釈剤を高粘度官能性オリゴマーと共重合することができる。一実装形態では、nがほぼ4に等しい場合、ビスフェノール-Aエトキシレートジアクリレートの粘度は25℃で約1350センチポアズ(cP)でありえ、この粘度は、3D印刷プロセスにおいてこのような材料を分配するには高すぎる可能性がある。したがって、ビスフェノール-Aエトキシレートジアクリレートを低分子量アクリレート類などの低粘度の反応性希釈剤と混合して、粘度を摂氏25度で約1cPから約100cP、例えば、摂氏25度で約1cPから約20cPに下げることが望ましい可能性がある。用いられる反応性希釈剤の量は、配合成分及び(一又は複数の)希釈剤自体の粘度に応じて決まる。例えば、1000cPの反応性オリゴマーは、ターゲット粘度を実現するために、配合物の少なくとも40重量%希釈を包含しうる。反応性希釈剤の例が、化学構造F(イソボルニルアクリレート)、G(デシルアクリレート)、及びH(グリシジルメタクリレート)に示されている:
摂氏25度におけるF~Gのそれぞれの粘度は、それぞれ9.5cP、2.5cP、及び2.7cPである。反応性希釈剤もまた多官能性であってよく、したがって、ポリマーネットワークを生成する架橋反応又は他の化学反応を被りうる。一実装形態では、グリシジルメタクリレート(H)は、反応性希釈剤としての役割を果たし、混合物の粘度が約15cPになるように、二官能性脂肪族ウレタンアクリレート類と混合される。概算の希釈係数は、約2:1から約10:1、例えば約5:1でありうる。この混合物に、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアクリル酸アミンを、配合物の約10重量%になるように加えてもよい。この混合物を摂氏約25度から摂氏約75度に加熱することによって、アミンとエポキシドとの反応が生じ、アクリレート化されたアミンとアクリレート化されたエポキシドとの付加物が形成される。次に、Irgacure(登録商標)651などの適切なフリーラジカル光開始剤を2重量%で配合物に加えてよく、この混合物を、20ミクロンの厚さの層が基板上に形成されるように、適切な3Dプリンタで分配することができる。次に、この層は、薄いポリマー膜を生成するために、約10から約50mJ/cmの強度で走査型UVダイオードレーザを使用して、約200nmから約400nmのUV光に約0.1μsから約15秒の間、例えば約10秒間、液滴又は層を曝露することによって硬化されうる。3D印刷されたパッド形成配合物に有用でありうる反応性希釈剤化合物は、は、米国ミズーリ州セントルイス所在のSigma-Aldrich、米国ペンシルベニア州エクストン所在のSartomer USA、米国コネチカット州トリントン所在のDymax Corporation、及び米国ジョージア州アルファレッタ所在のAllnex Corporationを含む、さまざまな供給元から入手可能である。
【0077】
研磨パッドの製造に有用でありうる放射硬化の別の方法は、UV又は(一又は複数の)低エネルギー電子ビームによって開始される、カチオン硬化である。エポキシ基含有材料は、カチオン硬化性であってよく、エポキシ基の開環重合が、プロトン及びルイス酸などのカチオンによって開始されうる。エポキシ材料は、モノマー、オリゴマー、又はポリマーであってよく、脂肪族、芳香族、脂環式、アリール脂肪族、又は複素環式構造を有しうる。エポキシ材料はまた、側基として、あるいは脂環式又は複素環系の一部を形成する基としてエポキシド基を含みうる。
【0078】
UV開始カチオン性光重合は、フリーラジカル光重合と比較して、収縮率の低下、透明度の向上、リビング重合によるスルーキュア(through cure)の向上、及び酸素阻害の欠如を含む、幾つかの利点を示す。UVカチオン性重合は、エポキシド類、ビニルエーテル類、プロペニルエーテル類、シロキサン類、オキセタン類、環状アセタール類、及びホルマール、環状硫化物、ラクトン類、及びラクタム類などのフリーラジカル手段では重合することができないクラスのモノマーを重合することができる。カチオン性の重合可能なモノマーは、本明細書に記載されるように、炭素-炭素二重結合を介したフリーラジカル重合を被りうる、グリシジルメタクリレート(化学構造H)などの両方の不飽和モノマーを含む。UV光(~225から300nm)又は電子ビームを照射すると光酸を生成する光開始剤は、ヨードニウムなどのアリールオニウム塩、及びドイツ国ルートヴィヒスハーフェン所在のBASFから入手可能なトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩などのスルホニウム塩(製品名Irgacure(登録商標))を含むが、これらに限定されない。
【0079】
一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206の形成に用いられる(一又は複数の)材料、したがってパッド本体202は、少なくとも1つの放射硬化性樹脂前駆体組成物の連続堆積及びカチオン性硬化から形成することができ、この組成物は、エポキシ基を有する、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、及び/又は反応性希釈剤を含む。フリーラジカル硬化及びカチオン性硬化の混合システムを使用して、コストを節約し、物理的特性のバランスをとることができる。一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206は、少なくとも1つの放射硬化性樹脂前駆体組成物の連続堆積、並びにカチオン性硬化及びフリーラジカル硬化から形成されてよく、ここで、組成物は、アクリル基及びエポキシ基を有する、官能性ポリマー、官能性オリゴマー、モノマー、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、反応性希釈剤を含む。別の実装形態では、一部のカチオン性硬化システムに固有の透明度と光吸収の欠如とを利用して、カチオン法によって硬化された組成物から、観察窓又はCMP終点検出窓を形成することができる。幾つかの実装形態では、形成される研磨パッド内の層の幾つかはカチオン硬化法を使用して形成されてよく、層の幾つかはフリーラジカル硬化法から形成することができる。
【0080】
一実装形態では、3D印刷されたポリマー層は、形成された高機能研磨パッド200に見られる選択された材料層の1つ以上のパッド特性を向上させるために用いられる、無機及び/又は有機粒子を含みうる。3D印刷プロセスは層あたり少なくとも1つの組成物の層ごとの連続堆積を包含していることから、ある特定のパッド特性を獲得するため、及び/又はある特定の機能を実施するためにパッド層上又はパッド層内に配置される無機又は有機粒子を追加的に堆積させることが望ましい場合もある。無機又は有機粒子は、25ナノメートル(nm)から100マイクロメートル(μm)の範囲のサイズであってよく、また、液滴噴射プリンタ306で分配される前に前駆体材料に加えるか、又は1から約50重量パーセント(重量%)の間の比で、未硬化の印刷層に加えることができる。無機又は有機粒子は、極限引張強度を改善し、降伏強度を改善し、温度範囲にわたる貯蔵弾性率の安定性を改善し、熱伝達を改善し、表面ゼータ電位を調整し、及び/又は表面の表面エネルギーを調整するために、研磨パッド形成プロセス中に添加することができる。粒子の種類、化学組成、又はサイズ、及び追加される粒子は、用途又は実現すべきターゲット効果によって異なりうる。幾つかの実装形態では、粒子は、金属間化合物、セラミック、金属、ポリマー及び/又は金属酸化物、例えば、セリア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、窒化物、炭化物、又はそれらの組合せなどを含みうる。一例では、パッドの上に、パッドを覆って、又はパッド内に配置される無機又は有機粒子は、高性能ポリマーの粒子、例えば、PEEK、PEK、PPS、及び高機能研磨パッドの機械的特性及び/又は熱伝導率を改善する他の同様の材料などを含みうる。3D印刷された研磨パッド内に組み込まれている粒子は、架橋の中心的役割を果たすこともでき、これにより、負荷の重量パーセントに応じて、より高い貯蔵弾性率E’をもたらしうる。別の例では、極性粒子、例えばセリアなどを含むポリマー組成物は、CMPスラリなどのパッド表面の極性材料及び液体に対するさらなる親和性を有しうる。
【0081】
高機能研磨パッド配合物の実施例
本明細書に記載される実装形態の目的及び利点が、以下の例によってさらに説明される。これらの例に記載されている、特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本明細書に記載される実装形態を制限するために使用されるべきではない。本開示の実施例は、文字「E」と、それに続く試料番号によって識別され、一方、本開示の例ではない比較例は、文字「X」と、それに続く試料番号によって指定される。
【0082】
上記のように、幾つかの実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206などの2つ以上の研磨要素のうちの少なくとも1つの形成に用いられる1つ以上の材料は、少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体組成物の連続的な堆積及び堆積後処理によって形成される。概して、付加製造システム350の前駆体供給セクション353(図3A参照)で実施される前駆体配合プロセス中に混合される硬化性樹脂前駆体組成物は、官能性オリゴマー、アニオン性モノマー、反応性希釈剤、及び硬化成分、例えば開始剤などを含む、樹脂前駆体組成物の配合物を含む。これらの成分の幾つかの例が、下記表1に列挙されている。
官能性オリゴマーの例は、表1のアイテムO1-O5に見ることができる。官能性反応性希釈剤及び他の添加物の例は、表1のアイテムM1-M8に見ることができる。硬化成分の例は、表1のアイテムP1-P2及びA1に見ることができる。アニオン性モノマーの例は、表1のアイテムAN1-AN2に見られ、C1-C2の製造方法は本明細書に記載されている。表1に見られるアイテムO1-O3、M1-M3、及びM5-M8は、Sartomer USAから入手可能であり、アイテムO4は、韓国所在のMiwon Specialty Chemical Corporation, Ltd.から入手可能であり、アイテムO5は、米国ジョージア州アルファレッタ所在のAllnex Corporationから入手可能であり、アイテムM4は、ドイツ国所在のBYK-Gardner GmbHから入手可能であり、アイテムP1-P2及びA1は、Chiba Specialty Chemicals Inc.及びRAHN USA Corporationから入手可能である。AN1及びAN2は、Sigma-Aldrich(登録商標)から入手可能である。
【0083】
本明細書に記載される付加製造プロセスの1つの利点は、パッド本体構造内で用いられる材料の組成とさまざまな材料の構造構成とに基づいて調整されうる特性を有する高機能研磨パッド(例えば、多孔性研磨パッド)を形成する能力を含む。以下の情報は、幾つかの材料配合の幾つかの例と、これらの配合及び/又は処理技術における変動するさまざまな成分が従来の研磨パッド設計よりも改善された研磨結果を実現する高機能研磨パッドを形成するために必要とされる幾つかの特性に及ぼす影響とを提供する。これらの実施例で提供される情報は、高機能研磨パッド200の少なくとも一部、例えば、(一又は複数の)第1の研磨要素204、(一又は複数の)第2の研磨要素206、若しくは(一又は複数の)第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206の両方の一部の形成に用いることができる。本明細書で提供される例は、他の同様の化学配合物及び処理技術を使用して本明細書に記載される特性の幾つかを調整することができることから、本開示の範囲に関して限定することは意図していない。
【0084】
上記及び下記の硬化性樹脂前駆体組成成分の例は、比較例であることが意図されており、当業者は、ターゲット特性を実現するためにさまざまな供給源から他の適切なモノマー/オリゴマーを見つけることができよう。反応性希釈剤の幾つかの例は、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、カプロラクトンアクリレート、及びアルコキシル化ラウリルメタクリレートである。第1の材料はSigma-Aldrichから入手可能であり、残りはSartomer USA及び/又はRAHN AG USA(SRシリーズ203、217、238、242、306、339、355、368、420、484、502、506A、508、SR 531、550、585、495B、256、257、285、611、506、833S、及び9003B、CDシリーズ421A、535、545、553、590、730、及び9075、Genomerシリーズ1116、1117、1119、1121、1122、5142、5161、5275、6058、7151、及び7210、Genocureシリーズ、BP、PBZ、PMP、DETX、ITX、LBC、LBP、TPO、及びTPO-L、及びMiramerシリーズ、M120、M130、M140、M164、M166、及びM170)から取得することができる。二官能性架橋剤の幾つかの例は、Sigma-Aldrich社から入手可能でありうる、ビスフェノールAグリセロレートジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、及び1,4-ブタンジオールジアクリレートである。オリゴマーの幾つかの例は、脂肪族オリゴマー(Sartomer USA社のCNシリーズ131、131B、132、152、508、549、2910、3100、及び3105)、ポリエステルアクリレートオリゴマー(Sartomer USA社のCNシリーズ292、293、294E、299、704、2200、2203、2207、2261、2261LV、2262、2264、2267、2270、2271E、2273、2279、2282、2283、2285、及び2303)、及び脂肪族ウレタンオリゴマー(Sartomer USA社のCNシリーズ929、959、961H81、962、969、964A85、965、968、980、986、989、991、992、996、2921、9001、9007、9013、9178、及び9783)を含みうる。3550、3560、307、378、1791、1794、9077、A515、A535、JET9510、JET9511、P9908、UV3500、UV3535、DISPERBYK(登録商標)-168、及びDISPERBYK(登録商標)-2008などの薬物又は添加物は、BYKから供給されうる。Irgacureシリーズ184、2022、2100、250、270、295、369、379、500、651、TPO、TPO-L、754、784、819、907、1173、又は4265などの第1のタイプの光開始剤は、BASF社製でありうる。さらには、他の官能性オリゴマー及び樹脂前駆体組成成分は、Allnex Corp.から購入することができ、例えば、Ebecrylシリーズ(EB):40、53、80、81、83、110、114、130、140、150、152、154、168、170、180、220、230、242、246、264、265、270、271、284、303、350、411、436、438、450、452、524、571、600、605、608、657、745、809、810、811、812、830、860、870、871、885、888、889、893、1258、1290、1291、1300、1360、1710、3200、3201、3411、3415、3418、3500、3600、3700、3701、3720、4265、4827、4833、4849、4858、4883、5129、7100、8100、8296、8301、8311、8402、8405、8411、8412、8413、8414、8465、8501、8602、8701、8702、8804、8807、8808、及び8810である。
【実施例
【0085】
以下の非限定的な例は、本明細書に記載される実装形態をさらに説明するために提供される。しかしながら、これらの例は、すべてを網羅することは意図しておらず、本明細書に記載される実装形態の範囲を限定することを意図するものでもない。研磨用物品の研磨面のゼータ電位は、1mMのKCl溶液を使用した流動電位技術に従って、AntonParrから入手可能なSurPASS(商標)動電学的分析装置を使用して測定した。
【0086】
Zp添加物AN1を組み込んだ剛性配合物(X1)。
高弾性率配合物(X1)は、表2に示されるように、摂氏70度で14.5cPの粘度を有するように、モノマー及びオリゴマーを光開始剤とともに混合することによって調製した。
【0087】
配合物X1に、カチオン性モノマーAN1を2重量%(E1)及び4重量%(E2)の量で加えた。表1に示されるように、硬化生成物のZpは、pH7で-50から-125mVに低下し、Zp値がE1のアニオン性モノマーを添加することによって負側に向かって増加することを示している。加えて、硬化生成物のZpは、AN1の重量パーセントが増加すると、約-125mVから約-140mVにさらに低下した。
【0088】
実験は、表1の樹脂前駆体組成物に約2から10重量%のAN1を加えることによって行った。約2ミリメートルの厚さを有する樹脂前駆体組成物の膜は、樹脂前駆体組成物を1150mJ/cmのUV光に曝露することによって硬化させた。硬化された膜の上面及び底面の両方について、水との接触角を測定した。結果が表2に示されている。
【0089】
硬化した膜を周囲の水に3日間浸漬し、水の取り込みを測定した。水の取り込みは10%未満、好ましくは5%未満であると予想され、そうでなければ、パッド材料の機械的特性に大きな変化が生じる可能性がある。水に浸漬した試料の水との接触を再度測定し、水浸中に変化が生じたかどうかを調査した。加えて、浸漬試験中に水相に浸出した物質の量を測定した。材料の損失が膜の機械的特性に影響を与える可能性があるため、浸出量は1%未満である必要がある。X1の硬化組成物の接触角は80°を超えており、X1の硬化組成物が本質的に疎水性であることを示している。しかしながら、アニオン性モノマーAN1を組み込むと、水接触角は約40°に低下した。さらには、水に浸出する材料の量は、X1の試料と比較して低下し、したがって、AN1を添加しても、表3に示されるように、硬化した膜の機械的特性は大きく変化しなかった。
【0090】
配合物E1及びE2は熱的に安定しており、X1と同様に硬化させることができた。表4に示すように、E2の粘度は高くなったが、該粘度は、イソボルニルアクリレート(IBA)などの高ガラス転移モノマーを添加することによって調整することができる。高ガラス転移モノマーの添加は、硬化した膜の機械的特性を変えることなく、組成物の粘度を低下させた。表4に示されるように、E1及びE2配合物の印刷解像度接触角(PRCA)は、X1のPRCAと同等であった。
【0091】
Zp添加物AN2を組み込んだ軟質配合物(X2)。
この低弾性率の配合物は、摂氏70度で約14cPの粘度を有するように、モノマー及びオリゴマーを光開始剤と共に混合することによって調製した。この配合物に、アニオン性モノマーAN2を2重量%(E3)の量で加え、4重量%(E4)は、摂氏70度で約14cPの粘度を維持するために、オリゴマー及びモノマー含有量をわずかに調整することによって加えた。表4に示されるように、硬化生成物のZpは、pH7で~-50(アニオン性モノマーなし)から~-125mVまで低下し、Zpモノマーを添加した後に、Zpがより負になることを示している。加えて、硬化生成物のZpは、AN2の重量パーセントが増加すると、約-125mVから約-175mVにさらに低下した。
【0092】
実験は、表5の樹脂前駆体組成物に約2から10重量%のAN2を加えることによって行った。約2ミリメートルの厚さを有する樹脂前駆体組成物の膜は、樹脂前駆体組成物を1150mJ/cmのUV光に曝露することによって硬化させた。硬化された膜の上面及び底面の両方について、水との接触角を測定した。水との接触の結果が表6に示されている。
【0093】
表7に示されるように、水の取り込み量はプリスチンなX2自体よりも大幅に少なかったが、E30は大幅に増加していることがわかった。E30の増加は、以前はX2配合物自体には存在しなかったアニオン性モノマー(AN2)によってもたらされた架橋の程度が大きく、より強固なネットワークを生じさせ、したがってE30の増加を生じさせたことに起因しうる。E30は、ターゲットとする機械的特性を実現するためにAN2組成物を調整することによって調節することができることに留意されたい。
【0094】
さらには、表8に示されるように、E3及びE4配合物は13~15cPの間の粘度を有しており、これにより、配合物がインクジェット印刷に適したものになる。E3及びE4配合物の印刷解像度接触角は、X2自体のPRCAに匹敵している。
【0095】
付加製造装置及びプロセスの例
図3Aは、本開示の1つ以上の実装形態による付加製造プロセスを使用した高機能研磨パッドの形成に用いられうる付加製造システム350の概略的な断面図である。付加製造プロセスは、限定はしないが、ポリジェット堆積プロセス、インクジェット印刷プロセス、溶融堆積モデリングプロセス、バインダージェットプロセス、粉末床溶融プロセス、選択的レーザ焼結プロセス、ステレオリソグラフィプロセス、バット光重合デジタル光処理、シート積層プロセス、指向性エネルギー堆積プロセス、又は他の同様の3D堆積プロセスなどのプロセスを含みうる。
【0096】
付加製造システム350は、概して、前駆体供給セクション353、前駆体配合物セクション354、及び堆積セクション355を含む。堆積セクション355は、概して、付加製造デバイス(又は以後印刷ステーション300)を含む。高機能研磨パッド200は、印刷ステーション300内の支持体302上で印刷されうる。通常、高機能研磨パッド200は、CAD(コンピュータ支援設計)プログラムから、1つ以上の液滴噴射プリンタ306、例えば、図3Aに示されるプリンタ306A及びプリンタ306Bを使用して、層ごとに形成される。プリンタ306A、306B、及び支持体302は、印刷プロセス中に、互いに対して移動することができる。
【0097】
液滴噴射プリンタ306は、液体前駆体を分配するための1つ以上のノズル(例えば ノズル309~312)を有する1つ以上のプリントヘッド308を含みうる。図3Aの実装形態では、液滴噴射プリンタ306Aは、ノズル309を有するプリントヘッド308Aと、ノズル310を有するプリントヘッド308Bとを含む。ノズル309は、第1の液体前駆体組成物を分配して、軟質又は低貯蔵弾性率E’のポリマーなどの第1のポリマー材料を形成するように構成されうる。ノズル310を使用して、第2の液体前駆体を分配し、硬質ポリマー、又は高い貯蔵弾性率E’を示すポリマーなどの第2のポリマー材料を形成することができる。液体前駆体組成物は、選択された位置又は領域で分配されて、望ましい特性を有する高機能研磨パッドを形成することができる。これらの選択された位置は、CAD互換ファイルとして保存することができ、次いで、液滴噴射プリンタ306のノズルからの液滴の供給を制御する電子コントローラ305によって読み取られる、ターゲット印刷パターンを集合的に形成する。
【0098】
電子コントローラ305は、概して、印刷ステーション300を含む付加製造システム350内の構成要素の制御及び自動化を容易にするために用いられる。電子コントローラ305は、例えば、コンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ、又は組み込みコントローラでありうる。電子コントローラ305は、通常、中央処理装置(CPU)(図示せず)、メモリ(図示せず)、及び入出力(I/O)(図示せず)用のサポート回路を含む。CPUは、さまざまなシステム機能、基板の移動、チャンバ処理、及び制御支援ハードウエア(例えばセンサ、モータ、ヒータなど)を制御するために工業環境で用いられ、かつシステム内で実行される処理をモニタする、任意の形態のコンピュータプロセッサのうちの1つでありうる。メモリは、CPUに接続されており、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、若しくはローカル又は遠隔の任意の他の形式のデジタルストレージなど、容易に利用可能な非揮発性メモリのうちの1つ以上でありうる。ソフトウェア命令及びデータは、CPUに命令するためにコード化され、メモリ内に保存されうる。サポート回路もまた、従来の方法でプロセッサを支援するようにCPUに接続される。サポート回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどを含みうる。電子コントローラ305によって読み取り可能なプログラムプログラム(又はコンピュータ命令)は、どのタスクが付加製造システム350内の構成要素によって実行可能であるかを決定する。好ましくは、プログラムは、プリンタ306から供給される液滴の供給及び位置決め、並びに電子コントローラ305で実行されているさまざまなプロセスタスク及びさまざまなシーケンスに沿った、印刷ステーション300内の構成要素の移動、支持、及び/又は位置決めの監視、実行、及び制御に関連するタスクを実行するためのコードを含む、電子コントローラ305によって読み取り可能なソフトウェアである。
【0099】
3D印刷後、高機能研磨パッド200は、付加製造システム350の堆積セクション355内に配置された硬化デバイス320を使用することによって固化されうる。硬化デバイス320によって実行される硬化プロセスは、印刷された研磨パッドを硬化温度に加熱するか、又はパッドを1つ以上の形態の電磁放射又は電子ビーム硬化に曝露することによって実行することができる。一例では、硬化プロセスは、印刷された研磨パッドを、可視光源、紫外線光源、及びx線源などの電磁放射源、又は硬化デバイス320内に配置された他のタイプの電磁波源によって生成された放射線321に曝露することによって実行することができる。
【0100】
付加製造プロセスは、さまざまな材料及び/又は材料のさまざまな組成から形成された個別の特徴を備えた高機能研磨パッドを製造するための便利かつ高度に制御可能なプロセスを提供する。一実装形態では、軟質又は低貯蔵弾性率E’の特徴、及び/又は、硬質又は高貯蔵弾性率E’の特徴が、付加製造プロセスを使用して形成されうる。例えば、研磨パッドの軟質又は低貯蔵弾性率E’の特徴は、プリンタ306Bのノズル312から分配されたポリウレタンのセグメントを含む第1の組成物から形成されてよく、研磨パッドの硬質又は高貯蔵弾性率E’の特徴は、プリンタ306Aのノズル310から分配されたポリウレタンのセグメントを含む第2の組成物の液滴から形成されうる。
【0101】
別の実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び/又は(一又は複数の)第2の研磨要素206はそれぞれ、2つ以上の組成物の混合物から形成されうる。一例では、第1の組成物は、プリントヘッド308Aなどの第1のプリントヘッドによって液滴の形態で分配されてよく、第2の組成物は、プリンタ306Aのプリントヘッド308Bなどの第2のプリントヘッドによって液滴の形態で分配されうる。(一又は複数の)第1の研磨要素204を複数のプリントヘッドから供給される液滴の混合物で形成することは、電子コントローラ305に見られる堆積マップ内の所定のピクセル上の(一又は複数の)第1の研磨要素204に対応するピクセルの整列を含む。次に、プリントヘッド308Aは、(一又は複数の)第1の研磨要素204が形成される場所に対応するピクセルと整列し、次いで、所定のピクセル上に液滴を分配することができる。したがって、高機能研磨パッドは、第1の液滴組成物の液滴を堆積することによって形成される材料の第1の組成物と、第2の液滴組成物の液滴を堆積することによって形成される材料の第2の組成物を含む第2の材料とから形成することができる。
【0102】
図3Bは、パッド製造プロセス中の印刷ステーション300及び高機能研磨パッド200の一部の概略的な断面図である。図3Bに示されるように、印刷ステーション300は、高機能研磨パッド200の一部を連続的に形成するために用いられる2つのプリンタ306A及び306Bを含む。図3Bに示される高機能研磨パッド200の一部は、例えば、最終的に形成される高機能研磨パッド200の(一又は複数の)第1の研磨要素204又は(一又は複数の)第2の研磨要素206のいずれかの一部を含みうる。処理中、プリンタ306A及び306Bは、それぞれ、液滴「A」又は「B」を、支持体302の第1の表面に供給し、次に、層ごとのプロセスで支持体302上に配置される成長する研磨パッドの表面に連続的に供給するように構成される。図3Bに示されるように、第2の層348は、支持体302上に形成されている第1の層346の上に堆積されている。一実装形態では、第2の層348は、パッド製造プロセスにおいてプリンタ306A及び306Bの下流に配置された硬化デバイス320によって処理された第1の層346の上に形成される。幾つかの実装形態では、第2の層348の一部は、1つ以上のプリンタ306A及び306Bが、以前に形成された層346の表面346A上に液滴「A」及び/又は「B」を堆積させている間、硬化デバイス320によって同時に処理されてもよい。この場合、現在形成されている層は、硬化ゾーン349Aのいずれかの側に配置された処理された部分348A及び未処理の部分348Bを含みうる。未処理の部分348Bは、概して、プリンタ306B及び306Aをそれぞれ使用することによって以前に形成された層346の表面346A上に堆積される、分配される液滴343及び347など、分配される液滴のアレイなどのパターンを含む。
【0103】
図3Cは、以前に形成された層346の表面346A上に堆積される、分配された液滴343の近接断面図である。分配された液滴343内の材料の特性に基づいて、及び表面346Aの表面エネルギーに起因して、分配された液滴は、表面張力によって、元々分配された液滴(例えば、液滴「A」又は「B」)のサイズより大きい量で、表面にわたって広がる。分配された液滴の広がる量は、表面346A上に堆積した瞬間からの時間に応じて変化するであろう。しかしながら、非常に短い時間(例えば、<1秒)の経過後には、液滴の広がりは平衡サイズに達し、平衡接触角αを有するであろう。分配された液滴の表面全体への広がりは、成長する研磨パッドの表面上の液滴の配置の分解能に影響を及ぼし、したがって、最終的な研磨パッドのさまざまな領域内に見られる特徴及び材料組成物の分解能に影響を与える。
【0104】
幾つかの実装形態では、液滴「A」及び「B」がある期間にわたって基板表面に接触した後、各液滴をターゲットサイズで硬化又は「固定」するために、液滴が基板の表面で未硬化の平衡サイズに広がる機会を得る前に、該液滴の一方又は両方を曝露させることが望ましい。この場合、硬化デバイス320によって分配された液滴及びそれが置かれる表面に供給されるエネルギー、並びに液滴の材料組成は、分配された液滴のそれぞれの解像度を制御するように調整される。したがって、3D印刷プロセス中に制御又は調整すべき1つのパラメータは、液滴が堆積された表面に対する、分配された液滴の表面張力の制御である。幾つかの実装形態では、硬化プロセスの動力学を制御し、酸素阻害を防止し、及び/又は液滴が堆積する表面上の液滴の接触角を制御するために、液滴の配合物に1つ以上の硬化促進成分(例えば、光開始剤)を加えることが望ましい。硬化促進成分は、概して、次のものを調整することができる材料を含むことに留意されたい:1)ターゲット量の電磁放射への最初の曝露中に、分配された液滴内の材料に発生するバルク硬化の量;2)ターゲット量の電磁放射への最初の曝露中に、分配された液滴内の材料に発生する表面硬化の量;及び、3)分配された液滴の表面硬化領域に対する表面特性の変更(例えば、添加物)の量。分配された液滴の表面硬化領域に対する表面特性の変更の量は、概して、分配されかつ少なくとも部分的に硬化された液滴の表面に見られる硬化された又は部分的に硬化されたポリマーの表面エネルギーの調整を含む。
【0105】
印刷プロセス中に液滴の表面特性及び寸法サイズを「固定」するために、分配された各液滴を部分的に硬化させることが望ましいことが見出されている。液滴を所望のサイズに「固定」する能力は、ターゲット量の少なくとも1つの硬化促進成分を液滴の材料組成物に添加し、付加製造プロセス中に硬化デバイス320から十分な量の電磁エネルギーを供給することによって実現することができる。幾つかの実装形態では、付加層形成プロセス中に、約1ミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm)から100mJ/cmの間、例えば約10~20mJ/cmの紫外線(UV)を液滴に供給することができる硬化デバイス320を使用することが望ましい。UV放射は、任意のUV源、例えば、水銀マイクロ波アークランプ(例えば、Hバルブ、H+バルブ、Dバルブ、Qバルブ、及びVバルブタイプのランプ)、パルス式キセノンフラッシュランプ、高効率UV発光ダイオードアレイ、及びUVレーザによって供給されうる。UV放射は、約170nmから約500nmの間の波長を有しうる。
【0106】
幾つかの実装形態では、分配された液滴「A」、「B」のサイズは、約10から約200ミクロン、例えば約50から約70ミクロンでありうる。液滴がその上一面又は上に分配された基板又はポリマー層の表面エネルギー(ダイン)に応じて、未硬化の液滴は、表面上及び表面全体に、約10から約500ミクロンの間、例えば、約50から約200ミクロンの間のサイズ343Aに広がりうる。一例では、このような液滴の高さは、表面エネルギー、濡れ、及び/又は流動剤、増粘剤、及び界面活性剤などの他の添加物を含みうる樹脂前駆体組成物などの要因に応じて、約5から約100ミクロンでありうる。添加物の供給元の1つは、ドイツ国ゲーレッツリート所在のBYK-Gardner GmbHである。
【0107】
幾つかの実装形態では、概して、光開始剤、液滴組成物中の光開始剤の量、及び硬化デバイス320によって供給されるエネルギーの量を、分配された液滴が固定される表面に接触した後約1秒未満、例えば約0.5秒未満で、分配された液滴を「固定」可能にするように選択することが望ましい。供給された硬化エネルギーへの曝露に起因して、分配された液滴を部分的に硬化するのにかかる実際の時間は、供給された放射線に曝露される前に液滴が表面に存在する時間よりも長くても短くてもよい。これは、分配された液滴の硬化時間が放射エネルギーの量及び硬化デバイス320から提供されるエネルギーの波長に依存するためである。
【0108】
一例では、120マイクロメートル(μm)の分配された液滴を部分的に硬化するために用いられる曝露時間は、約10~15mJ/cmのUV放射の放射曝露レベルに対して約0.4マイクロ秒(μs)である。この短い時間枠で液滴を「固定」するためには、液滴噴射プリンタ306のディスペンスノズルは、研磨パッドの表面の表面から短い距離、例えば、0.1から10ミリメートル(mm)の間、又はさらには0.5から1mmの間で配置され、一方、高機能研磨パッドの表面346Aは、硬化デバイス320から供給される放射線321に曝露される。液滴組成を制御することにより、以前に形成された層の硬化量(例えば、以前に形成された層の表面エネルギー)、硬化デバイス320からのエネルギー量、及び液滴組成物中の光開始剤の量、液滴の接触角αを制御して、固定される液滴のサイズ、したがって印刷プロセスの解像度を制御することができることも見出されている。一例では、下層の硬化は、約70%のアクリレート変換の硬化でありうる。固定されている、又は少なくとも部分的に硬化されている液滴は、本明細書では、硬化された液滴とも呼ばれる。幾つかの実装形態では、固定された液滴のサイズ343Aは、約10から約200ミクロンの間である。幾つかの実装形態では、「固定」された液滴についての、本明細書では動的接触角(例えば、非平衡接触角)とも呼ばれる接触角は、望ましくは、少なくとも50°、例えば、55°超、又はさらには60°超、又はさらには70°超の値に制御されうる。
【0109】
付加製造プロセスによって層又は層の一部の形成に用いられるピクセルチャート内のピクセルの解像度は、分配された液滴の平均の「固定」されたサイズによって規定されうる。したがって、層又は層の一部の材料組成物は、「分配された液滴組成物」によって規定することができ、これは、ある特定の液滴組成物の液滴を含む、層又は層の一部内のピクセルの総数のパーセンテージである。一例では、形成された高機能研磨パッドの層の領域が、60%の第1の分配された液滴組成の分配された液滴組成物を有すると規定される場合、領域内のピクセルの60%は、第1の材料組成物を含む固定された液滴を含む。層の一部が複数の材料組成物を含む場合には、高機能研磨パッド内の領域の材料組成を、「材料組成比」を有するものとして定義することもまた望ましいであろう。材料組成比は、第1の材料組成物が上に配置されているピクセル数の、第2の材料組成物が上に配置されているピクセル数に対する比である。一例では、領域が表面の領域全体に配置されている1,000ピクセルを含むものとして定義され、600個のピクセルが第1の液滴組成物の固定された液滴を含み、400個のピクセルが第2の液滴組成物の固定された液滴を含む場合、材料組成比は、第1の液滴組成物の第2の液滴組成物に対する3:2の比を含むであろう。各ピクセルが1より多くの固定された液滴(例えば、ピクセルあたり1.2個の液滴)を含みうる実装形態では、材料組成比は、規定された領域内に見られる第2の材料の固定された液滴の数に対する第1の材料の固定された液滴の数の比によって定義されるであろう。一例では、ある領域が1,000ピクセルを含むものとして定義され、その領域内に、第1の液滴組成物の固定された液滴が800個あり、第2の液滴組成物の固定された液滴が400個ある場合、高機能研磨パッドのこの領域では、材料組成比は2:1であろう。
【0110】
次の下層を形成する分配された液滴の表面の硬化量は、この「初回照射」における硬化量が、分配された液滴の次の層が付加製造プロセス中に曝露される表面エネルギーに影響を及ぼすことから、研磨パッド形成プロセスパラメータである。堆積された各層が、その上で成長するときに、その後に堆積された層を介して供給される追加の透過硬化放射線に繰り返し曝露されることから、初回の硬化の線量は、形成された研磨パッドで各堆積層が最終的に達成する硬化量にも影響を及ぼす。オーバーキュアは、オーバーキュアされた材料の材料特性、及び/又は、後続のプロセスにおける分配された液滴の後続の堆積に対する硬化された層の表面の濡れ性に影響を及ぼすことから、形成された層のオーバーキュアを防止することは一般的に望ましいことである。
【0111】
一例では、分配された液滴の10~30ミクロンの厚さの層の重合は、各液滴を表面に分配し、次に、約0.1秒から約1秒の間の時間の経過後に、約10から約15mJ/cmの間の放射曝露レベルでUV放射に曝露することによって行われる。しかしながら、幾つかの実装形態では、初回の硬化照射中に供給される放射レベルは、層ごとに異なりうる。例えば、異なる層における異なる分配された液滴組成物に起因して、各初回線量でのUV放射曝露の量は、現在曝露されている層、及び1つ以上の下層に望ましいレベルの硬化を提供するように調整することができる。
【0112】
幾つかの実装形態では、液滴組成物及び初回硬化プロセス中に硬化デバイス320から供給されるエネルギー量を制御することが望ましく、該プロセスは、分配された液滴の堆積された層が硬化デバイス320によって提供されるエネルギーに直接曝露され、層がターゲット量を部分的にのみ硬化されるプロセスである。概して、形成された層の表面エネルギーを制御することは、分配された液滴サイズの制御に役立つことから、最初硬化プロセスでは、分配された液滴をバルク硬化するのではなく、分配された液滴を主に表面硬化することが望ましい。一例では、分配された液滴が部分的に硬化される量は、分配された液滴中の材料の化学変換の量によって規定することができる。一例では、ウレタンポリアクリレート含有層の形成に用いられる、分配された液滴中に見られるアクリレートの変換は、以下の等式で計算されるパーセント値xによって規定される:
ここで、AC=C及びAC=Oは、FT-IR分光法を使用して検出された、910cm-1のC=Cピーク、及び1700cm-1のC=Oピークの値である。重合中、アクリレート内のC=C結合はC-C結合に変換されるが、一方、アクリレート内のC=Oは変換されない。したがって、C=CのC=Oに対する強度は、アクリレート変換率を表す。AC=C/AC=O比は、硬化された液滴内のC=CのC=O結合に対する相対比を指し、したがって、(AC=C/AC=Oは、液滴中のAC=CのAC=Oに対する最初の比率を意味し、一方、(AC=C/AC=Oは、液滴が硬化された後の基板表面におけるAC=CのAC=Oに対する比を意味する。幾つかの実装形態では、ある層が最初に硬化される量は、分配された液滴の約70%以上でありうる。幾つかの実装形態では、分配された液滴のターゲット接触角が達成されうるように、分配された液滴が硬化エネルギーに最初に曝露されている間に、分配された液滴中の材料を約70%から約80%のレベルまで部分的に硬化することが望ましい場合がある。上面の未硬化の又は部分的なアクリレートの材料は、後続の液滴と共重合し、したがって、層間の凝集をもたらすと考えられている。
【0113】
最初の層形成プロセス中に分配された液滴を部分的に硬化させるプロセスはまた、残留アクリル基などの残留非結合基の存在に起因して、その後に堆積される層間に幾らかの化学結合/接着が存在することを確実にすることができる。残留非結合基は重合されていないことから、その後に堆積する層との化学結合の形成に関与する可能性がある。したがって、層間の化学結合の形成は、パッド形成プロセス中の層ごとの成長方向(例えば、図3BのZ方向)における、形成された高機能研磨パッドの機械的強度を増加させることができる。したがって、上記のように、層間の結合は、物理的な力及び/又は化学的な力の両方によって形成されうる。
【0114】
分配される液滴の混合物、又は分配される液滴の位置決めを、層ごとに調整して、個別に調整可能な特性を有する層、及び形成された層の複合体である望ましいパッド特性を有する研磨パッドを形成することができる。一例では、図3Bに示されるように、分配された液滴の混合物は、50:50の比の分配された液滴343及び347(又は1:1の材料組成比)を含み、該分配された液滴343は、分配された液滴347中に見られる材料とは異なる少なくとも1つの材料を含む。(一又は複数の)第1の研磨要素204及び/又は(一又は複数の)第2の研磨要素206などのパッド本体202の部分の特性は、堆積プロセス中に、分配される液滴の位置決めから形成される第1の組成物及び第2の組成物の比及び/又は分布に従って調整又は調節されうる。例えば、第1の組成物の重量%は、組成物の総重量に基づいて約1重量%から組成物の総重量に基づいて約100%まででありうる。同様に、第2の組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%から組成物の総重量に基づいて約100%まででありうる。ターゲットとする材料特性、例えば、硬さ及び/又は貯蔵弾性率に応じて、2つ以上の材料の組成物を異なる比で混合して、ターゲットとする硬化を達成することができる。一実装形態では、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び/又は(一又は複数の)第2の研磨要素206の組成は、少なくとも1つの組成物又は組成物の混合物、並びに1つ以上のプリンタによって分配される液滴のサイズ、位置、及び/又は密度を選択することによって制御される。したがって、電子コントローラ305は、概して、ノズル309-310、311-312を配置して、形成されている研磨パッドの表面にターゲットとする密度及びパターンで位置決めされた、交互嵌合型の液滴を有する層を形成するように適合される。幾つかの実装形態では、分配された液滴は、各液滴が他の液滴と混ざらない位置に配置されることを確実にするような方法で堆積されてよく、したがって、それぞれは、硬化される前に別個の材料「島」として残る。幾つかの実装形態では、分配された液滴はまた、同じ層内の以前に分配された液滴の上に配置されて、構築速度又はブレンド材料特性を増加させることができる。表面上の互いに対する液滴の配置もまた、層内に分配された液滴のそれぞれの部分的な混合挙動を可能にするように調整されうる。場合によっては、程度の差はあれど、隣接する液滴の成分の混合を提供するために、液滴を互いに近づけるか、又は遠ざけることが望ましい場合がある。他の分配された液滴に対する液滴の配置及び各液滴の組成を制御することは、形成された高機能研磨パッドの機械的特性及び研磨特性に影響を及ぼしうることが見出されている。
【0115】
幾つかの実装形態では、少なくとも2つの異なる樹脂前駆体組成物の分配された液滴は、各液滴が他の液滴と混ざらない表面上の位置に配置されることを確実にするような方法で堆積されてよく、したがって、それぞれが硬化される前に別個の材料の「島」として残る。一実装形態では、少なくとも2つの樹脂前駆体組成物はそれぞれ、異なるゼータ電位を有する材料を提供するように配合され、その結果、形成された研磨パッドの表面のターゲット領域にわたる平均ゼータ電位は、ターゲット領域内の各タイプの樹脂前駆体組成物の液滴のパーセンテージを調整することによって調整及び/又は制御することができる。追加的に又は交互に、少なくとも2つの異なる樹脂前駆体組成物である液滴の配置は、堆積された層内の分配された液滴のそれぞれの少なくとも部分的な混合を可能にするように調整される。したがって、少なくとも2つの樹脂前駆体組成物のそれぞれが異なるゼータ電位を有する材料を提供するように配合されている場合、形成された研磨パッドの表面のターゲット領域にわたる平均ゼータ電位は、ターゲット領域の少なくとも一部内の各タイプの樹脂前駆体組成物の分配された液滴の混合量を調整することによって調整及び/又は制御することができる。
【0116】
本明細書では、(一又は複数の)第1の研磨要素204及び/又は(一又は複数の)第2の研磨要素206を形成するために、概して2つの組成物のみが論じられているが、本開示の実装形態は、組成勾配を介して相互接続されている複数の材料を用いて研磨パッド上に特徴を形成することを包含する。幾つかの実装形態では、研磨パッドの(一又は複数の)第1の研磨要素204及び/又は(一又は複数の)第2の研磨要素206の組成は、さらに以下に詳述するように、研磨面に平行な平面内で、及び/又は研磨パッドの厚さを通じて調整される。
【0117】
高機能研磨パッドにおいて局所的に、高機能研磨パッド内に、及び高機能研磨パッド全体にわたって組成勾配を形成する能力及び化学物質の含有量を調整する能力は、図3Bに示される液滴「A」及び/又は「B」の形成に用いられる、3D印刷技術における「インクジェット可能な」低粘度組成物、又は低粘度の「インク」によって可能となる。低粘度インクは、「プレポリマー」組成物であり、パッド本体202に見られる、(一又は複数の)形成された第1の研磨要素204及び(一又は複数の)第2の研磨要素206の「前駆体」である。低粘度インクは、従来の技術(例えば、成形及び鋳造)では利用することができない多種多様な化学物質及び個別の組成物の供給を可能にし、したがって、制御された組成の転移又は勾配をパッド本体202の異なる領域内に形成することを可能にする。これは、適切な粘度の配合物を実現するために高粘度の官能性オリゴマーに対して粘度を希釈する反応性希釈剤を添加して混合し、その後、硬化デバイス320によって供給される硬化エネルギーに曝露されるときに、この(一又は複数の)希釈剤を、より粘度の高い官能性オリゴマーと共重合することによって実現される。反応性希釈剤は溶媒としての役割も果たすことができ、したがって、各プロセスで除去される不活性な非反応性溶媒又は希釈剤の使用を排除することができる。
【0118】
図3Aの前駆体供給セクション353及び前駆体配合セクション354を参照すると、一実装形態では、第1の前駆体356は、第2の前駆体357及び希釈剤358と混合されて、第1の印刷可能なインク組成物359を形成し、これがプリンタ306Bのリザーバ304Bに供給され、パッド本体202の部分の形成に用いられる。同様に、第3の前駆体366は、第4の前駆体367及び希釈剤368と混合されて、第2の新しい印刷可能なインク組成物369を形成することができ、これがプリンタ306Aのリザーバ304Aに供給され、パッド本体202の別の部分の形成に用いられる。幾つかの実装形態では、第1の前駆体356及び第3の前駆体366はそれぞれ、多官能性オリゴマーなどのオリゴマーを含み、第2の前駆体357及び第4の前駆体367はそれぞれ、多官能性モノマーを含み、希釈剤358及び希釈剤368はそれぞれ、反応性希釈剤(例えば、モノマー)及び/又は開始剤(例えば、光開始剤)を含む。第1の印刷可能なインク組成物359の一例は、25℃で約1000センチポアズ(cP)から25℃で約12,000cPまでの粘度を有しうる脂肪族鎖セグメントを含む反応性二官能性オリゴマーを含む第1の前駆体356を含み、これを、モノアクリレートなどの25℃で10cPの反応性希釈剤(例えば、希釈剤358)と混合し、したがってそれで希釈して、新たな粘度を有する新たな組成物を生成する。このようにして得られた印刷可能な組成物は、3Dプリンタインクジェットノズルから効果的に分配することができる、25℃で約80cPから約110cPの粘度、及び70℃で約15cPから約30cPの粘度を示しうる。
【0119】
図3Dは、本開示の一実装形態による、重合のための部分A及び部分Bなどの1つ以上の樹脂前駆体成分を混合及び分配するために使用することができるノズルアセンブリの概略図である。示されるように、液滴噴射プリンタ306Aは、ノズル314、並びにそれぞれが少なくとも1つの樹脂前駆体成分を混合領域318に供給するリザーバ315及びリザーバ316を含みうる。混合領域318に供給された樹脂前駆体成分は、使用時に乱流誘発要素318aによって混合されて、混合された樹脂前駆体組成物の混合物を含む1つ以上の液滴319を形成する。乱流誘発要素318aはまた、樹脂前駆体成分が混合されるらせん状の曲がりくねった経路を含みうる。別の実装形態では、混合物は、予備混合され、単一のリザーバ内に収容されうる。図3A~3B及び3Dに示されるように、混合後、液滴319は、研磨用物品などの基板の表面に供給される。混合された樹脂前駆体成分の分配後、液滴は硬化される。図3Dに示されている格納、混合、及び分配スキームは、本明細書に記載されている化学物質のいずれにも適しうることに留意されたい。
【0120】
図4Aは、本開示の1つ以上の実装形態によるポア形成領域を含む、研磨パッドの第1又は第2の研磨要素の層422(図4B)の領域400の形成に用いられるピクセルチャートの概略的な平面図を示している。この例では、ピクセルチャートは、第1のプリントヘッドから多孔性形成剤404(図4B)の1つ以上の液滴を表面に分配し、次に、少なくとも第2のプリントヘッドから1つ以上の樹脂前駆体組成物の液滴を分配することによって形成される材料を含む1つ以上の構造材料含有領域401でポア形成領域402を少なくとも部分的に取り囲むことによって形成される、ポア形成領域402の長方形のパターンを含む。次に、多孔性形成剤404は、その後、後処理工程又は研磨プロセス中に除去されて、研磨パッドの1つ以上の層にポアを形成することができる。一例では、多孔性形成剤材料は、研磨パッドがCMP研磨プロセスで用いられるときに、形成された高機能研磨パッドから除去される。この例では、多孔性形成剤材料は、高機能研磨パッドの第1又は第2の研磨要素の表面420に配置された多孔性形成剤と、第1及び/又は第2の研磨要素と研磨されている基板との間に配置されたスラリ内に見られる1つ以上の成分との相互作用に起因して除去されうる。図4Aに示されるように、ポア形成領域402は、層422が形成される表面全体にわたって樹脂前駆体配合物の液滴を分配することによって形成された、構造材料含有領域401によって取り囲まれている。本明細書に記載されるさまざまな技法を使用することによって、構造材料含有領域401内に見られる硬化された構造材料の組成勾配、及び/又はポア形成領域402のサイズ及び密度の勾配を使用して、望ましい機械的特性及び熱的特性を有する完全な研磨パッドの少なくとも一部を形成することができる。ポア形成領域402内に配置されたポア形成材料の組成、並びに、多孔性高機能研磨パッド200の全体(例えば、X-Y平面)又は研磨要素の厚さを通じた(例えば、Z方向)ポア形成領域402の分布及びサイズは、任意の適切なパターンで変化しうる。本明細書に記載される研磨パッドは2種類の材料から形成されるものとして示されているが、3種類以上の材料を含む研磨パッドも本開示の範囲内にあることから、この実装形態は、本明細書に提供される開示の範囲を限定することを意図していない。図2A~2Kに示される研磨パッド設計などの研磨パッドに見られる構造材料の組成に留意されたい。したがって、幾つかの実装形態では、形成された構造材料含有領域401内に見られる材料は、形成される層を横切る(例えば、X及び/又はY方向)か、又は通る(例えば、Z方向)1つ以上の方向で変化する、2つ以上の異なる材料の混合物を含みうる。
【0121】
図4Bは、本開示の1つ以上の態様による、図4Aに示される領域400の部分の側面断面図である。図4Bに示される部分は、本明細書に記載されるような付加製造プロセスを使用することによって、任意選択的なベース層421上に形成される複数の層422を含む。議論の目的を明確にするために、層は、図4Bには2つの破線の間に配置されているように示されているが、本明細書に記載されるプロセスに起因して、少なくとも、隣接する層の構造材料含有領域401部分は、形成された多孔性高機能研磨パッド200の層間に明確な物理的な境界が存在しないように形成されてもよい。層422は、それぞれ、構造材料含有領域401の領域間に点在するポア形成領域402を含む。多孔性高機能研磨パッド200の表面420(例えば、研磨面112)におけるポア形成領域402内に配置された多孔性形成剤と、研磨領域430内に配置されたスラリー(図示せず)との相互作用に起因して、多孔性形成剤404は、ポア形成領域402内に未充填のボイドを残して容易に除去することができ、したがって、ポア403を形成する。
【0122】
一実装形態では、各層422の形成に用いられるピクセルチャートは、形成された層の表面全体にターゲットとするパターンで形成されたポア形成領域402を含む、多孔性形成剤404のアレイを含むパターンを含む。上記のように、幾つかの実装形態では、ポア形成領域402を含む多孔性形成剤404のパターンは、X方向及びY方向の両方に望ましいピッチを有する、長方形のアレイで形成されうる。しかしながら、ポア形成領域402を含む多孔性形成剤404のパターンは、ポア形成領域402の六角形の配列、ポア形成領域402の方向的に変化するパターン、ポア形成領域402のランダムなパターン、又はポア形成領域402の他の有用なパターンを含む任意の望ましいパターンで形成されうる。幾つかの実装形態では、隣接する層422の形成に用いられるピクセルチャートは、互いに対して1つ以上の方向(例えば、X、Y、又はX及びY方向)にターゲット距離425でシフトしているか、又は異なる相対的なX-Yパターンで形成され、その結果、ポア形成領域402は、研磨パッドが形成されるときに、隣接して位置する層の互いの上には配置されない。一実装形態では、隣接する層におけるポア形成領域402の同様に構成されたパターンは、ポア形成領域402が隣接して位置する層において互いの上に配置されないように、互いに対して1つ以上の方向にターゲット距離だけずれて配置されうる。
【0123】
図4Cは、本開示の別の態様による図4Aに示される領域400の一部分の側面断面図を示している。幾つかの実装形態では、2つ以上の堆積された層は、これらの層が互いの上に直接形成されるように、互いに位置合わせすることができる。一例では、図4Cに示されるように、2つの層422A及び422Bは、422Aの層が、層422Bの上に直接あるように形成され、その結果、ポア形成領域402は、他方の上に配置される。次いで、次の層又は後続の層は、層422A-Bに対してターゲット距離425だけシフトさせることができ、その結果、後続の層のポア形成領域402は、層422A-Bの上に配置されない。層のより大きいスタック内の2つ以上の層が互いの上に直接形成される実装形態は、X及びY方向の固定液滴サイズ解像度がZ方向の層の厚さよりも大きくなりうる場合に、有用でありうる。一例では、X及びY方向の固定液滴サイズは、Z方向の厚さの2倍の大きさであり、したがって、2つの層を重ねて配置すると、印刷された材料の規則的なパターンがX、Y及びZ方向に形成可能となる。
【0124】
再び図4Aを参照すると、層内のポア形成領域402及びその周囲の構造材料含有領域401の形成に用いられるピクセルチャートが、1つ以上の方向X、Y、又はZに一貫した又は変化する多孔性を有している研磨特徴の部分の生成に用いられうる。一例では、高機能研磨パッドのエッジ領域付近の研磨特徴は、ポア形成領域402を含む多孔性形成剤404よりも、構造材料含有領域401内での構造材料の形成に用いられる樹脂前駆体配合物をより多く含みうる。研磨パッドの中心領域付近の研磨特徴はまた、エッジ領域付近の研磨特徴よりも、ポア形成領域402を、層あたり、より高いパーセンテージ(例えば、より高い密度)で含みうる。この例において、同じタイプの各研磨特徴(例えば、(一又は複数の)第1の研磨要素204)、又は異なるタイプの各研磨特徴(例えば、第1及び第2の研磨要素204、206)は、層あたり及び/又は研磨要素あたり、樹脂前駆体配合物、多孔性形成剤、及びポア形成領域402の密度の独自の組合せを有する。一例では、(一又は複数の)第1の研磨要素204は、樹脂前駆体配合物と多孔性形成剤との第1の組合せを含み、(一又は複数の)第2の研磨要素206は、樹脂前駆体配合物と多孔性形成剤との別の第2の組合せを含む。したがって、ピクセルチャートを使用することによって、研磨本体を順次形成して、研磨本体の異なる部分でターゲットとする多孔性勾配を達成し、高機能研磨パッドのターゲットとする研磨性能を達成することができる。
【0125】
本明細書に記載される実装形態による多孔性研磨パッドの層を形成する方法は、次の動作を含みうる。第1に、本明細書に記載されるものなど、アニオン性モノマーを含む硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴が、ターゲットとしたXパターン及びYパターンで分配されて、形成される層の構造材料部分を形成する。一実装形態では、樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴は、この1つ以上の液滴が第1の層を構成する場合に、支持体上に分配される。幾つかの実装形態では、樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴は、先に堆積された層(例えば、第2の層など)上に分配される。第2に、多孔性形成剤を含む多孔性形成組成物の1つ以上の液滴が、ターゲットとしたXパターン及びYパターンで分配されて、形成される層内にポア形成領域を形成する。一実装形態では、多孔性形成組成物の1つ以上の液滴は、この1つ以上の液滴が第1の層を構成する場合に、支持体上に分配される。幾つかの実装形態では、多孔性形成組成物の1つ以上の液滴は、先に堆積された層上に分配される。幾つかの実装形態では、第1及び第2の動作の分配プロセスは、通常、時間的に別々に、異なるX-Y座標で行われる。次に、第3に、硬化性樹脂前駆体組成物の分配された1つ以上の液滴及び多孔性形成組成物の分配された1つ以上の液滴が、少なくとも部分的に硬化される。次に、任意選択的な第4の動作では、多孔性形成剤が除去される。幾つかの実装形態では、硬化性樹脂前駆体の分配された1つ以上の液滴及び多孔性形成組成物の分配された1つ以上の液滴は、アニーリングプロセス、すすぎプロセスのうちの少なくとも一方、又は両方に曝露されて、多孔性形成剤を除去する。すすぎプロセスは、水、アルコール(例えば、イソプロパノール)などの別の溶媒、又はその両方を用いてすすぐことを含みうる。アニーリングプロセスは、堆積されたパッド構造を低圧下で低温(例えば、摂氏約100度)に加熱して、多孔性形成剤を気化させることを含みうる。次に、第5の動作では、形成される層又は最終的なパッドに対し、任意選択的な第2の硬化プロセスが行われて、最終的な多孔性パッド構造を形成する。場合によっては、第4の動作が完了する前に、第1、第2、第3、及び第5の処理動作が任意のターゲット順序で連続的に繰り返されて、幾つかの積み重ねられた層を形成してもよい。
【0126】
図5は、本明細書に記載される実装形態による多孔性パッドを形成する方法500を示すフローチャートである。動作510では、アニオン性モノマーを含む樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴が分配される。一実装形態では、樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴は、この1つ以上の液滴が第1の層を構成する場合に、支持体上に分配される。幾つかの実装形態では、樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴は、先に堆積された層上に分配される。動作520では、多孔性形成剤を含む多孔性形成組成物の1つ以上の液滴が分配される。一実装形態では、多孔性形成組成物の1つ以上の液滴は、この1つ以上の液滴が第1の層を構成する場合に、支持体上に分配される。幾つかの実装形態では、多孔性形成組成物の1つ以上の液滴は、先に堆積された層上に分配される。動作510及び動作520の分配プロセスは、通常、別々に行われる。任意選択的に、動作530では、硬化性樹脂前駆体の分配された1つ以上の液滴及び多孔性形成組成物の分配された1つ以上の液滴が部分的に硬化される。動作510、520、及び530を繰り返して、3-Dレリーフを形成することができる。任意選択的に、動作540では、硬化性樹脂前駆体の分配された1つ以上の液滴及び多孔性形成組成物の分配された1つ以上の液滴は、アニーリングプロセス、すすぎプロセスのうちの少なくとも一方、又は両方に曝露されて、多孔性形成剤を除去する。すすぎプロセスは、水、アルコール(例えば、イソプロパノール)などの別の溶媒、又はその両方を用いてすすぐことを含みうる。アニーリングプロセスは、堆積されたパッド構造を低圧下で低温(例えば、摂氏約100度)に加熱して、多孔性形成剤を気化させることを含みうる。動作550では、任意選択的な硬化プロセスが行われて、最終的な多孔性パッド構造を形成する。
【0127】
図6Aは、本開示の1つ以上の実装形態に従って形成された研磨パッドについてのpHに対するゼータ電位を示すプロット600である。プロット600に示されるように、2重量%及び4重量%のPAHAEを含むX1配合物を使用して形成された研磨パッドは、市販のパッド(市販パッド1及び市販パッド2)、配合物を使用して形成された研磨パッド、並びにX1配合物及びカチオン性モノマーで形成された研磨パッドと比較して、pHが上昇するにつれて、より大きい負のゼータ電位を示した。
【0128】
図6Bは、本開示の1つ以上の実装形態に従って形成された研磨パッドについてのpHに対するゼータ電位を示すプロット610である。プロット610に示されるように、2重量%及び4重量%のBMEPを含むX2配合物を使用して形成された研磨パッドは、市販のパッド3、及びX2配合物を使用して形成された研磨パッドと比較して、pHが上昇するにつれて、より大きい負のゼータ電位を示した。
【0129】
実装形態:
第1項:研磨パッドを形成する方法であって、ターゲット厚さに到達するまで3Dプリンタを用いて複数の複合層を堆積することを含み、ここで、複数の複合層を堆積することが、硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することを含み、該硬化性樹脂前駆体組成物が、
を含み、式中、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはアルキルエステルラジカルである、方法。
【0130】
第2項:多孔性形成組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することをさらに含み、多孔性形成組成物の少なくとも1つの成分が研磨パッドにポアを形成するために除去可能である、第1項に記載の方法。
【0131】
第3項:R、R、及びRのうちの少なくとも1つがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第1項又は第2項に記載の方法。
【0132】
第4項:R及びRがHであり、RがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第1項から第3項のいずれか一項に記載の方法。
【0133】
第5項:R、R、及びRのうちの少なくとも2つがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第1項から第4項のいずれか一項に記載の方法。
【0134】
第6項:RがHであり、R及びRがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第1項から第5項のいずれか一項に記載の方法。
【0135】
第7項:R、R、及びRがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第1項から第6項のいずれか一項に記載の方法。
【0136】
第8項:多孔性形成組成物が、グリコール類、グリコールエーテル類、アミン類、及びそれらの組合せから選択される多孔性形成剤を含む、第1項から第7項のいずれか一項に記載の方法。
【0137】
第9項:多孔性形成組成物が、エチレングリコール、ブタンジオール、ダイマージオール、プロピレングリコール-(1,2)、プロピレングリコール-(1,3)、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4-ビス-ヒドロキシメチルシクロヘキサン)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサンジオール-(1,6)、ヘキサントリオール-(1,2,6)ブタントリオール-(1,2,4)、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エタノールアミン、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、及びそれらの組合せから選択される多孔性形成剤を含む、第1項から第8項のいずれか一項に記載の方法。
【0138】
第10項:硬化性樹脂前駆体組成物の分配された1つ以上の液滴及び多孔性形成組成物の分配された1つ以上の液滴をアニーリング処理、すすぎプロセスのうちの少なくとも一方、又は両方に曝露する前に、硬化性樹脂前駆体組成物の分配された1つ以上の液滴及び多孔性形成組成物の分配された1つ以上の液滴を部分的に硬化することをさらに含む、第1項から第9項のいずれか一項に記載の方法。
【0139】
第11項:研磨パッドを形成する方法であって、ターゲット厚さに到達するまで3Dプリンタを用いて複数の複合層を堆積することを含み、該複数の複合層を堆積することが、硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することを含み、該硬化性樹脂前駆体組成物が、多官能性アクリレートオリゴマーを含む第1の樹脂前駆体成分;多官能性アクリレートモノマーを含む第2の樹脂前駆体成分;及び、次の構造を有するアニオン性モノマー:
[式中、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはアルキルエステルラジカルである]
を含む、複数の複合層を堆積すること;硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を電磁放射に曝露して硬化性樹脂前駆体組成物を少なくとも部分的に硬化すること;及び、分配及び曝露を繰り返して支持体上に3Dレリーフを構築することを含み、研磨パッドを形成する方法がさらに、複数の複合層を固化してパッド本体を形成することを含む、方法。
【0140】
第12項:R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、CHCHOC(O)C(CH)CHである、第11項に記載の方法。
【0141】
第13項:R及びRがHであり、RがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第11項又は第12項に記載の方法。
【0142】
第14項:R、R、及びRのうちの少なくとも2つがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第11項から第13項のいずれか一項に記載の方法。
【0143】
第15項:RがHであり、R及びRがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第11項から第14項のいずれか一項に記載の方法。
【0144】
第16項:R、R、及びRがCHCHOC(O)C(CH)CHである、第11項から第15項のいずれか一項に記載の方法。
【0145】
第17項:硬化性樹脂前駆体組成物が、グリコール類、グリコールエーテル類、アミン類、及びそれらの組合せから選択される多孔性形成剤をさらに含む、第11項から第16項のいずれか一項に記載の方法。
【0146】
第18項:硬化性樹脂前駆体組成物が、光開始剤を含む硬化剤をさらに含む、第11項から第17項のいずれか一項に記載の方法。
【0147】
第19項:アニオン性モノマーが、樹脂前駆体組成物の総重量%の2重量%から約10重量%の間の範囲で存在する、第11項から第18項のいずれか一項に記載の方法。
【0148】
第20項:第1項から第20項のいずれか一項に従って形成された研磨用物品。
【0149】
第21項:研磨パッドを形成する方法であって、ターゲット厚さに到達するまで3Dプリンタを用いて複数の複合層を堆積することを含み、複数の複合層を堆積することが、硬化性樹脂前駆体組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することを含み、該硬化性樹脂前駆体組成物が、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、スルフィン酸、スルホン酸、それらの誘導体、それらの塩、及びそれらの組合せを含むアニオン性モノマーを含む、方法。
【0150】
第22項:多孔性形成組成物の1つ以上の液滴を支持体上に分配することをさらに含み、多孔性形成組成物の少なくとも1つの成分が研磨パッドにポアを形成するために除去可能である、第21項に記載の方法。
【0151】
第23項:多孔性形成組成物が、グリコール類、グリコールエーテル類、アミン類、及びそれらの組合せから選択される多孔性形成剤を含む、第21項又は第22項に記載の方法。
【0152】
第24項:多孔性形成組成物が、エチレングリコール、ブタンジオール、ダイマージオール、プロピレングリコール-(1,2)、プロピレングリコール-(1,3)、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4-ビス-ヒドロキシメチルシクロヘキサン)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサンジオール-(1,6)、ヘキサントリオール-(1,2,6)ブタントリオール-(1,2,4)、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エタノールアミン、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、及びそれらの組合せから選択される多孔性形成剤を含む、第21項から第23項のいずれか一項に記載の方法。
【0153】
第25項:硬化性樹脂前駆体組成物の分配された1つ以上の液滴及び多孔性形成組成物の分配された1つ以上の液滴をアニーリング処理、すすぎプロセスのうちの少なくとも一方、又は両方に曝露する前に、硬化性樹脂前駆体組成物の分配された1つ以上の液滴及び多孔性形成組成物の分配された1つ以上の液滴を部分的に硬化することをさらに含む、第21項から第24項のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
第26項:硬化性樹脂前駆体組成物が、光開始剤を含む硬化剤をさらに含む、第21項から第25項のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
第27項:アニオン性モノマーが、樹脂前駆体組成物の総重量%の2重量%から約10重量%の間の範囲で存在する、第21項から第26項のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
第28項:第21項から第27項のいずれか一項に従って形成された研磨用物品。
【0157】
特に別記しない限り、本明細書では、単位「部」は「重量部」を表し、単位「パーセント(%)」は「質量パーセント(%)」を表す。
【0158】
本明細書におけるモノマーのTgは、モノマーのホモポリマーのガラス転移温度を指す。
【0159】
本開示の要素又は本開示の実装形態の例示的態様を紹介する際の冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、要素が1つ以上存在することを意味することを意図している。
【0160】
「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は、包含的であることを意図しており、列挙された要素以外にも追加的な要素が存在しうることを意味する。
【0161】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】