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特表2022-529229半導体デバイスのダイレベルの一意な認証及びシリアライゼーションのための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-20
(54)【発明の名称】半導体デバイスのダイレベルの一意な認証及びシリアライゼーションのための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20220613BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
H01L27/04 T
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559428
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 US2020019680
(87)【国際公開番号】W WO2020214243
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/834,089
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/528,043
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シェピス,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】デヴィリアーズ,アントン
(72)【発明者】
【氏名】フルフォード,エイチ.ジム
【テーマコード(参考)】
4M106
5F038
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AA02
4M106AB15
4M106AB17
4M106AB18
4M106BA04
4M106CA39
5F038DT13
5F038EZ14
5F038EZ15
5F038EZ20
(57)【要約】
一意な認証及びシリアライゼーションを提供するために、ダイレベルにおいて半導体基板にマーキングする方法は、マスクベースフォトリソグラフィを用いて基板上のフォトレジスト層上に第1のパターンの化学線を投影することであって、第1のパターンが半導体デバイス構造を定義する、第1のパターンの化学線を投影することと、直接書き込み投影を用いてフォトレジスト層上に第2のパターンの化学線を投影することであって、第2のパターンが、一意な識別子を定義する、第2のパターンの化学線を投影することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にマーキングする方法であって、
基板上にフォトレジスト層を形成することと、
マスクベースフォトリソグラフィシステムを用いて前記フォトレジスト層上に第1のパターンの化学線を投影することであって、前記第1のパターンが、半導体デバイス構造を定義する、前記第1のパターンの化学線を投影することと、
直接書き込み投影システムを用いて前記フォトレジスト層上に第2のパターンの化学線を投影することであって、前記第2のパターンが、一意な識別子を定義する、前記第2のパターンの化学線を投影することと、
前記フォトレジスト層を現像してレリーフパターンを生成することと、
前記レリーフパターンを下層へ転写することと、
前記下層の開口空間を、前記下層の材料と比較して異なる反射率を有する充填材料で充填することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のパターンが、前記第1のパターンを投影した後に投影される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のパターンが、前記第2のパターンを投影した後に投影される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のパターンが、アルファベットと数字を組み合わせた文字列、マトリクス、及びピクトグラムを含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記充填材料及び前記下層の前記材料が、視覚的なコントラストを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記下層の開口空間を充填することが、ウェハのダイの特定の層上に形成される視覚的に一意な識別子をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
それぞれの一意な識別子がウェハ及びウェハのセットにわたって異なるように、前記第2のパターンが、一意な識別子を定義する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記下層が、導電膜又は誘電膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記下層の全ての前記開口空間が、同一の充填材料で充填される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記視覚的に一意な識別子が、上位層又は最上位金属層の上に形成される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記視覚的に一意な識別子が、前記基板の製造場所及び製造時間に関する情報を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のパターンの前記投影及び前記第2のパターンの前記投影が、同一の光波長又は異なる光波長を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記下層が、酸化膜又は窒化膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基板にマーキングする方法であって、
基板上にフォトレジスト層を形成することと、
前記フォトレジスト層上に第1のパターンの化学線を投影することであって、前記第1のパターンが、半導体デバイス構造を定義する、前記第1のパターンの化学線を投影することと、
前記フォトレジスト層上に第2のパターンの化学線を投影することであって、前記第2のパターンが、一意な識別子を定義する、前記第2のパターンの化学線を投影することと、
前記フォトレジスト層を現像してレリーフパターンを生成することと、
前記レリーフパターンを下層へ転写することと、
前記下層の開口空間を、前記下層の材料と比較して異なる反射率を有する充填材料で充填することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1のパターンが、マスクベースフォトリソグラフィシステムを用いて投影され、前記第2のパターンが、直接書き込み投影システムを用いて投影される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のパターンが、前記第1パターンを投影した後に投影される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のパターンが、前記第2のパターンを投影した後に投影される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のパターンが、アルファベットと数字を組み合わせた文字列、マトリクス、及びピクトグラムを含む群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
基板にマーキングするためのシステムであって
電磁放射線システムから放射線を受信し、前記基板上のフォトレジスト層に第1のパターンの放射線を投影する、マスクベースフォトリソグラフィシステムであって、前記第1のパターンが、半導体デバイス構造を定義する、前記マスクベースフォトリソグラフィシステムと、
前記電磁放射線システムから放射線を受信し、前記基板上のフォトレジスト層に第2のパターンの放射線を投影する、直接書き込みフォトリソグラフィシステムであって、前記第2のパターンが、一意な識別子を定義する、前記直接書き込みフォトリソグラフィシステムと、
を備える、システム。
【請求項20】
前記第2のパターンが、アルファベットと数字を組み合わせた文字列、マトリクス、及びピクトグラムを含む群から選択される、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月15日に出願された「METHOD FOR DIE-LEVEL UNIQUE AUTHENTICATION AND SERIALIZATION OF SEMICONDUCTOR DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/834,089号、及び2019年7月31日に出願された「METHOD FOR DIE-LEVEL UNIQUE AUTHENTICATION AND SERIALIZATION OF SEMICONDUCTOR DEVICES」と題する米国非仮特許出願第16/528,043号に基づき、その利益及び優先権を主張し、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、半導体デバイスの模造品制御に関する。より詳細には、本出願は、直接書き込みリソグラフィを用いて半導体デバイスのウェハ上の特定位置に光学識別子パターンを配置するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
模造半導体デバイスの販売は、チップメーカが毎年何十億ドルも費やす世界的な問題を象徴している。米国を拠点とするチップメーカだけで、年間70億ドル超の損失がある。米国国防総省(Pentagon)は、米国国防総省が購入した全ての予備及び交換チップの15%が模造品であると推定している。不相応な量の疑わしいチップが外国に由来し、未検出のサプライチェーンに入っている。したがって、模造半導体デバイスの使用を防止したいという強い希望がある。
【0004】
模造チップの問題に対処するための多くの課題及び態様が存在する。模造品販売との戦いにおける基本的な能力の1つは、模造デバイスを識別し、及び/又は真正デバイスを識別することが可能であることである。正確且つ確実に模造品を識別可能であることは、商取引から模造品を除去するのに有用である。また、市場において全体のデバイスと比較して真正デバイスを確認可能であることは、国際商取引法が侵害されるときに損害を定量化することを助けるのに有用である。半導体の真正性/機能性を検証するために適切ないくつかの従来システムが存在する。例えば、信頼性のある製造業者からのバッチ番号を暗号化しようとする業界団体(SEMIなど)からの規格がある。しかしながら、模造デバイスが公開市場に出た後は、完全性を確認するためにできることはほとんどない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示される技術は、チップメーカが、現存する模造デバイスに対抗するための認証メカニズムを提供するために、自社のデバイスをデバイスレベルで一意に識別することを可能にする。本明細書に開示される技術は、既存の又は従来の半導体加工方法を用いて、チップ認証のためのダイレベルにおける一意な光学シリアライゼーションを可能にする、システム及び方法を提供する。それによって、経済的で一意な識別が、半導体製造プロセスに効率的に追加され得る。
【0006】
さらに、本明細書に開示される方法は、複数ウェハにわたるプロセスレベルにおいてダイ単位で一意な識別子を提供する。シリアライゼーションの従来手段は、そのような一意なダイレベルのマーキングを提供しない。より具体的には、本明細書におけるマーキングは、ダイ毎に一意な加工を提供するように構成される、直接書き込みパターニングシステムを用いることによって実現される。従来のマスクベースフォトリソグラフィを用いるとコストが高くなり過ぎるが、本明細書中の直接書き込みシステムは、経済的なマーキングソリューションを提供する。
【0007】
一実施形態において、直接書き込みリソグラフィは、ウェハのダイ上の特定位置に光学識別子、例えば、英数文字列又はクイックレスポンス(QR)コードを配置するために用いられる。加えて、マスクベース露光は、ダイ上に回路パターンを配置するために用いられる。一意なマークの露光は、マスクベース露光の前、又はマスクベース露光の後に発生し得る。ダイ上のフォトレジスト層が現像されて、レリーフパターンが生成され、レリーフパターンは、下層へ転写される。下層の開口空間は、次いで、下層の材料と比較して異なる反射率を有する充填材料で充填される。
【0008】
本明細書で説明されるような異なるステップの順序は、明確にするために提示されている。一般に、これらのステップは任意の適切な順序で実行することができる。加えて、本明細書における異なる特徴、技術、構成などのそれぞれが、本開示の異なる箇所で考察され得るが、それらの概念のそれぞれが、互いに独立して又は互いに組み合わせて実行され得ると意図される。それに応じて、本出願の特徴は、多くの異なる方法で具現化及び検討することができる。
【0009】
この概要のセクションは、本出願のあらゆる実施形態及び/又は新規の態様を特定するものではない。代わりに、この概要は、異なる実施形態及び従来技術に対する新規性の対応点の予備的な考察のみを提供する。開示される実施形態の追加の詳細及び/又は考えられる観点について、以下でさらに考察されるように、本開示の発明を実施するための形態セクション及び対応する図面に記載されている。
【0010】
本出願は、以下の添付の図面を伴って非限定的な形で与えられる記載を考慮して、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】ウェハのセットに適用されるマスクベース投影リソグラフィからの例示的パターンの概略である。
図1B】ウェハのセットに適用される直接書き込みリソグラフィからの例示的パターンの概略である。
図2A】ダイのセットに適用される直接書き込みリソグラフィからの例示的な英数字パターンの概略である。
図2B】ダイのセットに適用される直接書き込みリソグラフィからの例示的なQRコード(登録商標)パターンの概略である。
図3】ダイのセットに適用される直接書き込みリソグラフィからのパターンの例示的配分の概略である。
図4】直接書き込み識別子プロセスを用いたダイサイズ基板セグメントの例示的断面図の概略である。
図5】マスクベース露光が直接書き込み識別子プロセス後に実行される、図4のダイサイズ基板セグメントの例示的断面図の概略である。
図6】マスクベース露光が最初に実行される、図4のダイサイズ基板セグメントの例示的断面図の概略である。
図7】直接書き込み識別子プロセスがマスクベース露光の後に実行される、図4のダイサイズ基板セグメントの例示的断面図の概略である。
図8】直接書き込み識別子プロセス及びマスクベース露光の完了後にフォトレジスト層に形成されるレリーフパターンの概略である。
図9図8のパターンの導電層への転写及び異なる特性を有する膜を用いた充填後の図8のダイサイズ基板セグメントの概略である。
図10】ウェハ上の複数のダイの上面を示す。
図11】複合回路及び一意な識別子パターンの誘電膜への転写を示す。
図12図8のパターンの誘電層への転写及び異なる特性を有する膜を用いた充填後の図8のダイサイズ基板セグメントの概略である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この明細書の全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」に言及することは、その実施形態に関して記載する特定の特徴、構造、材料、又は特性が本出願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するが、それらが全ての実施形態に存在することを示すものではない。したがって、本明細書を通した様々な箇所における「一実施形態では」又は「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも本出願の同じ実施形態を参照するわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適当な方式で組み合わされてもよい。
【0013】
本明細書中の技術は、従来の利用可能な半導体加工技術を用いて複数のウェハ及びロットにわたるダイレベルにおいて半導体チップを一意に識別する方法を提供する。これは、ダイ毎に一意なマーキングを提供する直接書き込み加工を用いることを含む。
【0014】
半導体のパターニングは、典型的には、光学リソグラフィシステムを用いることを伴う。そのようなシステムは、例えば、深紫外(DUV)電磁放射線を用いて、感光性レジスト材料に高解像度レリーフ画像パターンを生成する。このようなレリーフ画像パターンは、次いで、選択堆積、エッチング処理、及び他の微細加工処理のためのテンプレートとして用いられる。フォトレジストにおいて実現される画像は、フォトマスク上のマスタパターンの投影である。フォトマスクは、概して、クロム及び石英で構成され、クロム及び石英は、マスク界面におけるソース放射の伝播を決定付ける不透明領域及び透明領域を生成するために統合される。このフォトマスクは、感光性材料の膜又は層に到達する化学線のパターンを有効に定義する。これは、光のパターンが材料と相互作用した場合に材料の溶解性を変えることによって、感光性材料内に潜像パターンを生成する。潜像パターンは、1つ又は複数の現像薬品で現像され、それによって、基板上にレリーフパターンがもたらされる。マスクベースフォトリソグラフィは効果的であるが、このプロセスの1つの制限は、フォトマスクの構築が簡単ではないことである。フォトマスクの構築には時間がかかり、且つ比較的高価である。さらに、所与のフォトマスクパターンは、そのフォトマスクで加工される全てのウェハについて固定又は同一である。図1Aは、ウェハのセット、例えばウェハ1及びウェハ2に適用されるマスクベース投影リソグラフィによって製造される固定パターンを示す。
【0015】
直接書き込み技術を展開する代替的なマスクレスパターニング技術が存在する。直接書き込みシステムは、特に、電子ビームリソグラフィ、プラズモニックリソグラフィ、グレーティングライトバルブリソグラフィ、及びデジタル光投影パターニングシステムを含む。動作中の直接書き込みリソグラフィは、典型的には、書き込みエンジンに設計ファイルを供給することを伴う。書き込みエンジンは、露光プロセスを誘導して、書き込みヘッドを駆動するための座標グリッドに基づいて感光性材料にパターンを定義する。直接書き込みシステムの1つの利点は、露光パターンが、物理媒体(フォトマスクなど)によって制限されず、その代わりにデジタル生成されるということである。したがって、個々の露光が前の露光及び後続の露光と異なっていてもよいように、それぞれの露光は、異なる設計ファイル又は設計ファイルの修正物を用いることができる。差異は、些細なもの又は実質的なものであってもよい。図1Bは、直接書き込みリソグラフィがどのようにして異なるウェハ(例えば、ウェハ1及びウェハ2)のために異なる露光パターン(例えば、「A」及び「B」)を生成し得るかを示している。本明細書で用いられる各ウェハ及び/又は各ダイは、パターン露光の前にデジタルドメインにおいて情報を変更することによって、一意な情報を含み得る。
【0016】
非限定的な一実施形態では、直接書き込みリソグラフィが、フォトレジストにおいてウェハ毎又はデバイス毎の特定位置に光学識別子を配置するために用いられる。このような一意なマークの配置は、従来の塗布/現像プロセスと統合する、感光性材料における潜像パターンとして行い得る。ウェハパターンデータはデジタルドメインに記憶されるため、このような一意な直接書き込みマークは、物理マスク(フォトマスク)オーバヘッドの懸念なしに追加され得る。従来のウェット又はドライエッチングプロセスは、次いでシリアライゼーションを永久的に下層へ転写するために用いられ得る。いくつかの実施形態において、下層は、導電層又は誘電層であってもよい。
【0017】
採用される識別文字列の特定の種類は、各ユーザ若しくはシステムコントローラ、及び/又は所望される識別/認証の種類によって選択可能である。非限定的な例として、英数字が用いられてもよい。一例を図2Aに示す。ウェハ上の各ダイは、英数符号、文字列、単語などを受信し得る。理解され得るように、多くの他の種類の一意な識別子が用いられてもよい。例えば、文字列、一意なピクトグラム、マトリクス、QRコード(登録商標)、及びそれらの派生物である。図2Bは、一意なQRコード(登録商標)で各ダイにマーキングすることを示している。そのような一意なダイレベルのマーキングは、読み取り又は識別のために光学顕微鏡によってスキャンされ得る。そのような一意なマーキングは、単純であってもよく、又は含まれる情報と共に拡張性があってもよい。例えば、所与の一意な識別子は、ダイ毎の単純なシリアル番号であってもよい。代替的に、一意な識別子は、製造日、チップ仕様、技術の世代、製造元、ロットなどを含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、一意なマーキングが、IDマーキングのために特定領域を配分すること又は設計することを含み得る。図3は、処理されるリサイタル(recital)に対して4つのダイをスキャンするために用いられる典型的な2×2のダイリサイタルを示す。領域の大半が特定の回路設計に用いられることに留意されたい。この回路設計は、トランジスタ、ロジック、メモリ、配線などの配置を含み得る。ダイ境界内のより小さな領域が、次いで、一意な識別マーキングのために指定され、又は配分される。この例では、そのような領域は、各ダイの左上角の小さな四角(即ち、ID 001、ID 002、ID 003、ID 004)である。
【0019】
一意なマークの露光は、マスクベース露光の前、又はマスクベース露光の後に発生し得る。例えば、ウェハは、ウェハにフォトレジスト膜を塗布することによって、塗布現像装置(トラック)ツールにおけるリソグラフィ露光のために準備される。ウェハは、次いで、スキャナ又はステッパへの移送のために準備される。スキャナへの移送の前に、ウェハは、直接書き込み露光により一意なマークを露光するために、塗布現像装置内の別のツール又は別のモジュールに移動することができる。図4は、ダイサイズ基板セグメントの断面図を示す。ダイサイズ基板セグメントが、フォトレジスト膜、導電膜、及び誘電膜をこの順序でウェハ基板上に堆積されて含む。直接書き込み露光(ダイの左側に示される)は、より小さなブロック又は領域を有する潜像パターンを生成する。この直接書き込み露光の後、ウェハは、後続処理のためにスキャナ又は他のマスクベースフォトリソグラフィシステムに移転され得る。フォトリソグラフィシステムは、次いで、特定の層パターンのための(トランジスタ形状、コンタクト開口部、配線などのための)フォトマスクを用いて各ダイを露光する。図5は、この露光シーケンスを示す。対応する加工済みウェハは、次いで、直接書き込み露光及びマスクベース露光の両方からの潜像パターンを有し、次いで、現像され得る。
【0020】
代替的に、別の非限定的な実施形態では、フォトレジスト膜がウェハ上に堆積された後、ウェハは、まず、スキャナツールなどにおいてマスクベース露光を用いて露光される(図6)。次いで、ウェハは、一意なIDマーキングの露光のために、直接書き込みシステム又は塗布現像装置内のモジュールに返送又は移送される。
【0021】
マスクベース露光及び直接書き込み露光が、同一の光波長又は異なる光波長を用いてもよいことに留意されたい。同一の光波長が用いられるとき、単一の光酸発生剤(PAG)を有するフォトレジストが用いられ得る。PAG又は他の光反応性成分が、光の狭帯域に反応し得る。それに応じて、各露光波長に対して溶解性シフトを生成するために2つのPAG又は光反応性化合物を含むフォトレジスト層が、堆積され得る。
【0022】
各露光の完了後、フォトレジスト層は、2つの潜像パターンを有し、1つがマスクベース露光によって生成され、1つが直接書き込み露光によって生成される。これらのパターンは、次いで、レジストのトーン(ポジ/ネガ)及び溶解性シフトの種類に依存して、1つ又は複数の現像剤を用いて現像される。現像の結果、レリーフパターンがもたらされ、レリーフパターンは、次いで、レリーフパターンを1つ又は複数の下層へ転写するためのエッチングマスクとして用いられ得る。図8は、フォトレジスト層のレリーフパターン及びこのパターンを下層へ転写することを示す。この例における下層は、導電膜である。
【0023】
下地膜へエッチング転写後、下地膜(導電膜など)が、異なる反射係数又は他のコントラスト特性を有する膜で充填され得る。充填のオーババーデンは、化学機械研磨によってエッチバック又は除去され得る。図9は、そのようなプロセスの例としての結果を示す。図10は、ウェハ上の複数のダイの上面の表現を示す。各ダイは、一意な識別子(この例では、一意なQRコード(登録商標))を有する以外は同一の回路パターン構成要素を有する。
【0024】
他の実施形態では、下層のパターニングの順序が逆にされてもよい。例えば、複合回路及び一意な識別子パターンを導電膜へ転写する代わりに、複合パターンが、誘電膜へ転写されてもよい。図11は、このエッチング転写を示す。
【0025】
フォトレジスト膜は、次いで除去され得る。誘電膜のトレンチ及び開口部は、次いで、誘電体と比較して異なる反射率を有するか又は視覚的に異なる導電材料で充填され得る。図12は、そのようなプロセスの例としての結果を示す。
【0026】
一意な識別子領域及びダイ回路領域の両方の開口部が、同一材料で充填され得ることに留意されたい。これによって、一意な識別子を有する微細加工が新たな堆積ステップ又は材料使用の変更なしに可能となる。別の利点は、スループットへの影響が最小限であることである。例えば、実施形態では、微細加工フロー中の1つの追加露光ステップが追加され得る。そのような直接書き込み露光は、高いスループットを有し得る。効率的なマーキングについて、露光解像度は、スキャナ/フォトマスク解像度と比較して低くなり得る。したがって、一意な識別子が、急速且つ確実に露光され得る。スループットは、塗布現像装置内に位置する直接書き込みモジュールを用いるときにさらに増大し得る。
【0027】
よって、金属配線層の一部が、視覚的、微視的で、一意な識別子を生成するために用いられ得る。所与のパターンを生成するために用いられる導電材料又は誘電材料は、視覚的識別子として機能する以外は、本質的に非機能性の半導体構造である。2つの材料が視覚的に区別され得るか、又は何らかの種類の視覚的コントラストを有し得る限り、多くの異なる材料の組み合わせ、例えば、導電体及び誘電体の代わりに酸化物及び窒化物が用いられ得る。このコントラストは、可視光範囲、又は赤外線若しくは紫外線範囲内にあってもよい。一意な識別子は、ダイ上の任意の所与の層上にパターニングされ得る。上位層又は最上位金属層の上に形成される場合、一意な識別子を視覚的に識別することがより容易となり得る。後続の検査のために、所与のチップにアクセスするために除去するいくつかのパッケージング層が存在してもよい。その際、顕微鏡が、真正性を検証するために一意な識別子を検討するために、又は読み取るために用いられ得る。視覚的に一意な識別子は、チップがどこで、いつ、どのツールで作られたかを識別するのに十分な情報を含み得る。データベースはまた、特定の一意な識別子に基づいてこの詳細な情報を識別するためにも参照され得る。
【0028】
前述の説明では、処理システムの特定の幾何形状、並びにそこで用いられる様々な構成要素及びプロセスの説明など、特定の詳細について説明してきた。しかしながら、本明細書中の技術は、これらの特定の詳細から逸脱する他の実施形態において実施されてもよく、そのような詳細は、説明のためのものであり、限定のためのものではないことを理解されたい。本明細書で開示される実施形態について、添付の図面を参照して記載してきた。同様に、説明の目的で、完全な理解をもたらすために特定の数、材料、及び構成が示されてきた。しかしながら、実施形態は、そのような具体的詳細がなくても実施可能である。実質的に同一の機能的構成を有する構成要素は、類似の参照符号によって示され、したがって、いかなる冗長な説明も省略される場合がある。
【0029】
様々な実施形態の理解を支援するために、様々な技術を複数の個別の動作として説明してきた。説明の順序は、これらの動作が必ず順序に依存することを意味すると解釈されるべきではない。実際に、これらの動作は、提示した順序で実行される必要はない。説明された動作は、説明された実施形態と異なる順序で実行され得る。追加の実施形態では、様々な追加の動作を実行することができ、且つ/又は説明した動作を省略することができる。
【0030】
本明細書で使用される「基板」又は「ターゲット基板」は、本発明に従って処理される物体を総称して指す。基板は、デバイス、特に半導体又は他の電子デバイスの任意の材料部分若しくは構造を含んでもよく、例えば半導体ウェハ、レチクルなどのベース基板構造、又は薄膜などのベース基板構造上の層若しくはベース基板構造に重なる層であってもよい。したがって、基板は、いかなる特定のベース構造、下層又は上層、パターニングされたか又はパターニングされていないかにも限定されず、むしろ任意のそのような層若しくはベース構造、並びに層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むことが企図されている。説明は、特定の種類の基板を参照し得るが、これは、例示のみを目的とするものである。
【0031】
当業者であれば、同じ目的を達成しながらも、上述した技術の動作に対してなされる多くの変形が存在し得ることも理解するであろう。このような変形は、本開示の範囲に包含されることを意図している。したがって、実施形態の前述の説明は、限定することを意図したものではない。むしろ、実施形態に対するいかなる限定も、以下の特許請求の範囲に提示されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】