(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(54)【発明の名称】静電チャックプロセス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220616BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20220616BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20220616BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
H01L21/68 R
C23C16/458
H02N13/00 D
H01L21/31 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560249
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 US2020028146
(87)【国際公開番号】W WO2020214607
(87)【国際公開日】2020-10-22
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ボベック, サラ ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】パリミ, ベンカタ シャラット チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】クルシュレシャータ, パラシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】リー, クァンドゥック ダグラス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030AA04
4K030AA06
4K030AA07
4K030AA09
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5F131EB72
5F131EB81
(57)【要約】
ここに記載される1つ又は複数の実施態様は、概して、半導体処理システムにおいて使用される静電チャックとの間で基板をチャッキング及びデチャッキングするための方法に関する。概して、ここに記載される実施態様では、方法は:(1)第1の電圧を直流電流(DC)電源からペデスタル内に配置された電極に適用すること;(2)プロセスガスをプロセスチャンバに導入すること;(3)電力を高周波(RF)電源からシャワーヘッドに適用すること;(4)基板に対してプロセスを実施すること;(5)RF電力の適用を停止すること;(6)プロセスガスをプロセスチャンバから除去すること;及び(7)DC電力の適用を停止することを含む。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバ内で基板を処理するための方法であって:
その上で前記基板がプロセスチャンバ内に配置されているペデスタル内に配置された電極に対して直流電流を適用すること;
前記電極に対して前記直流電流を適用することに続いて、1つ又は複数のプロセスガスを前記プロセスチャンバに流入させること;
1つ又は複数のプロセスガスを前記プロセスチャンバに流入させることに続いて、前記プロセスチャンバ内のシャワーヘッドに対して高周波(RF)電力を適用すること;
RF電力を適用することに続いて、前記基板を処理すること;
前記基板を処理することに続いて、前記RF電力の前記適用を停止すること;
RF電力の前記適用を停止することに続いて、前記プロセスチャンバから前記1つ又は複数のプロセスガスを除去すること;及び
前記1つ又は複数のプロセスガスを除去することに続いて、DC電力の前記適用を停止すること
を含む方法。
【請求項2】
前記電極に対して前記直流電流を適用することが、約300ボルトから約500ボルトのDC電圧を適用することをさらに含み、前記シャワーヘッドに対して前記RF電力を適用することが、約100ワットから約6000ワットの電力を適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数のプロセスガスがヘリウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板を処理することの間、前記プロセスチャンバ内の圧力が約5Torrから約15Torrであり、前記シャワーヘッドと前記ペデスタルとの間の間隔が約450ミルから約750ミルである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
基板を処理するための方法であって、連続する:
(a)プロセスチャンバ内のペデスタルの表面上に前記基板を位置決めする工程であって、前記ペデスタルがシャワーヘッドから第1の間隔にある、工程;
(b)前記基板をチャッキングするために、前記ペデスタル内に配置された電極に対して第1のDC電圧レベルでDC電圧を適用する工程;
(c)1つ又は複数のプロセスガスを、前記シャワーヘッドを通して前記プロセスチャンバに流入させる工程;
(d)前記プロセスチャンバ内の前記シャワーヘッドに対して第1のRF電力レベルでRF電力を適用する工程;
(e)前記基板の、処理前、処理中、又はそれらの両方において、前記DC電圧及び前記RF電力を、第2のDC電圧レベル及び第2のRF電力レベルへと上昇させる工程;
(f)前記基板の処理後に、前記DC電圧及び前記RF電力を、第3のDC電圧レベル及び第3のRF電力レベルへと低下させる工程;
(g)前記プロセスチャンバ内で、前記ペデスタルを、前記シャワーヘッドから第2の間隔へと移動させる工程;
(h)前記シャワーヘッドに対するRF電力の前記適用を停止すること;
(i)前記プロセスチャンバから前記1つ又は複数のプロセスガスを除去する工程;並びに
(j)前記電極に対する前記DC電圧の前記適用を停止する工程
を含む方法。
【請求項6】
前記第1の間隔が約450ミルから約750ミルであり、前記第2の間隔が約200ミルから約400ミルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のDC電圧レベルが約300ボルトから約500ボルトである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数のプロセスガスがヘリウムを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のRF電力レベルが約100より大きい、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のDC電圧レベルが約800ボルトから約1100ボルトであり、前記第2のRF電力レベルが約1000ワットより大きい、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記基板の処理の間の前記プロセスチャンバ内の前記圧力が約5Torrから約15Torrであり、前記第3のDC電圧レベルが約300ボルトから約500ボルトである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
基板を処理するための方法であって、
ペデスタルの表面上に前記基板を位置決めすることであって、前記ペデスタルがプロセスチャンバ内でシャワーヘッドから第1の間隔にある、前記基板を位置決めすること;
前記ペデスタル内に配置された電極に対して第1のDC電圧でDC電圧を適用すること;
第1のDC電圧レベルで前記DC電圧を適用することの後で、第1のプロセスガスを前記シャワーヘッドを通して前記プロセスチャンバに流入させること;
前記プロセスチャンバ内の前記シャワーヘッドに対して第1のRF電力レベルで高周波(RF)電力を適用すること;
前記ペデスタルを、前記シャワーヘッドから第2の間隔へと移動させることであって、前記第2の間隔が前記第1の間隔より前記シャワーヘッドに近い、前記ペデスタルを、前記シャワーヘッドから第2の間隔へと移動させること;
第2のプロセス混合ガスを、前記シャワーヘッドを通して前記プロセスチャンバに流入させること;
前記DC電圧及び前記RF電力を、前記基板に対するプロセスの実施前、実施中、又はそれらの両方において、第2のDC電圧レベル及び第2のRF電力レベルへと上昇させること;
前記DC電圧及び前記RF電力を、前記基板に対して前記プロセスを実施した後で、第3のDC電圧レベル及び第3のRF電力レベルへと低下させること;
前記基板に対して前記プロセスを実施した後で、前記第1のプロセスガスを前記シャワーヘッドを通して前記プロセスチャンバに流入させながら、前記第2のプロセス混合ガスを前記プロセスチャンバから除去すること;
前記ペデスタルを、前記プロセスチャンバ内で、前記シャワーヘッドから第3の間隔へと移動させること;
前記RF電力の前記適用を停止すること;
前記RF電力の前記適用を停止した後で、前記第1のプロセスガスを前記プロセスチャンバから除去すること;並びに
前記第1のプロセスガスを前記プロセスチャンバから除去した後で、前記DC電力の前記適用を停止すること
を含む方法。
【請求項13】
前記ペデスタルが、前記第1の間隔で前記シャワーヘッドから約450ミルと約750ミルの間だけ間隔を空けて配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のDC電圧レベルが約300ボルトから約500ボルトであり、前記第1のプロセスがヘリウムを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のDC電圧レベルが約800ボルトから約1100ボルトであり、前記第2のプロセスガスがアルゴン、プロペン、又はアルゴンとプロペンの両方を含み、前記第1のプロセスガスを前記プロセスチャンバに流入させることに続く前記基板の処理の間の前記プロセスチャンバ内の圧力が約5Torrから約15Torrである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001]ここに記載される1つ又は複数の実施態様は、概して半導体処理システムに関し、具体的には、半導体処理システムにおいて使用される静電チャックとの間で基板をチャッキング及びデチャッキングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]一般に静電チャックとして知られる静電チャック(ESC)ペデスタルは、静電チャック力を使用して、プロセスチャンバの処理容積内部の処理位置に基板を確実に保持するために、半導体デバイスの製造において使用される。チャッキング力は、ペデスタルの誘電材料に埋め込まれたチャック電極に提供されるDC電圧と誘電材料の表面に配置された基板との間の電位の関数である。
【0003】
[0003]半導体デバイスの製造において、集積回路は、単一チップ上に数百万個ものトランジスタ、コンデンサ、及び抵抗器を含むことのできる複雑なデバイスへと進化を遂げた。チップ設計の進化は回路密度の上昇を絶えず要求し、これはマルチスタック構造の基板の湾曲を増大させるであろう。基板をペデスタルの表面に対して平坦化させることで、プラズマプロセスの間に基板を固定することが容易になり、グラウンドへの正確な高周波(RF)結合が保証されて、チャンバの寿命及び均一な膜堆積が実現する。チャック電極からの基板の距離が増加するにつれて、チャッキングの喪失はリスクとなる。したがって、基板をペデスタルの表面にクランプ留めするために、より高い静電チャック電圧が必要である。より高い静電チャック電圧は、基板近傍にDCプラズマの放電を生じさせうる。DCプラズマの放電は、処理中に基板に損傷を与えうる。
【0004】
[0004]さらに、チップ設計の進化により、基板がペデスタル表面に接触する、一般にポストと呼ばれる複数の地点を含む、改質されたペデスタル表面設計がもたらされた。しかしながら、ポストは基板裏側の粒子欠陥を最小限に抑えるために反復可能な接触を提供することが望ましいが、従来のプロセスでは、ペデスタル表面の改質された構造に起因して、基板がしばしば損傷又は破損する場合がある。ポストは、静電チャック電圧の上昇に対して、及び基板の位置が適正に制御されないとき、より高い割合で損傷を誘発しうる。ポストの位置での基板裏側の損傷は、リソグラフィの焦点ぼけを招き、生産収率に有意に影響する。
【0005】
[0005]したがって、裏側の損傷を排除することによりリソグラフィの焦点ぼけ及び収量低下を低減する、静電チャックとの間で基板をチャッキング及びデチャッキングする方法に対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]ここに記載される1つ又は複数の実施態様は、概して、半導体処理システムにおいて使用される静電チャックとの間で基板をチャッキング及びデチャッキングするための方法に関する。
【0007】
[0007]一実施態様において、プロセスチャンバ内で基板を処理するための方法は、その上で基板がプロセスチャンバ内に配置されているペデスタル内に配置された電極に対して直流電流を適用すること;電極に対して直流電流を適用することに続いて、1つ又は複数のプロセスガスをプロセスチャンバに流入させること;1つ又は複数のプロセスガスをプロセスチャンバに流入させることに続いて、プロセスチャンバ内のシャワーヘッドに対して高周波(RF)電力を適用すること;RF電力を適用することに続いて、基板を処理すること;基板を処理することに続いて、RF電力の適用を停止すること;RF電力の適用を停止することに続いて、プロセスチャンバから1つ又は複数のプロセスガスを除去すること;及び1つ又は複数のプロセスガスを除去することに続いて、DC電力の適用を停止することを含む。
【0008】
[0008]別の実施態様では、基板を処理するための方法は、(a)ペデスタルの表面上に基板を位置決めすることであって、ペデスタルがシャワーヘッドから第1の間隔にある、基板を位置決めすること、(b)ペデスタル内に配置された電極に対して第1のDC電圧レベルでDC電圧を適用すること、(c)1つ又は複数のプロセスガスをシャワーヘッドを通してプロセスチャンバに流入させること、(d)プロセスチャンバ内のシャワーヘッドに対し、第1のRF電力レベルでRF電力を適用すること、(e)DC電圧及びRF電力を、基板の、処理前、処理中、又はそれらの両方において、第2のDC電圧レベル及び第2のRF電力レベルへと上昇させること、(f)DC電圧及びRF電力を、基板の処理後に、第3のDC電圧レベル及び第3のRF電力レベルへと低下させること、(g)ペデスタルを、プロセスチャンバ内で、シャワーヘッドから第2の間隔へと移動させること、(h)シャワーヘッドに対するRF電力の適用を停止すること、(i)プロセスチャンバから1つ又は複数のプロセスガスを除去すること、並びに(j)電極に対するDC電圧の適用を停止することを含む。
【0009】
[0009]また別の実施態様では、基板を処理するための方法は、ペデスタルの表面上に基板を位置決めすることであって、ペデスタルがプロセスチャンバ内でシャワーヘッドから第1の間隔にある、基板を位置決めすること;ペデスタル内に配置された電極に対し、第1のDC電圧でDC電圧を適用すること;第1のDC電圧レベルでのDC電圧の適用の後で、第1のプロセスガスをシャワーヘッドを通してプロセスチャンバに流入させること;プロセスチャンバ内のシャワーヘッドに対し、第1のRF電力レベルで高周波(RF)電力を適用すること;ペデスタルを、シャワーヘッドから第2の間隔へと移動させることであって、第2の間隔が第1の間隔よりシャワーヘッドに近い、ペデスタルを、シャワーヘッドから第2の間隔へと移動させること;第2の混合プロセスガスを、シャワーヘッドを通してプロセスチャンバに流入させること;DC電圧及びRF電力を、基板に対するプロセスの実施前、実施中、又はそれらの両方において、第2のDC電圧レベル及び第2のRF電力レベルへと上昇させること;DC電圧及びRF電力を、基板に対してプロセスを実施した後で、第3のDC電圧レベル及び第3のRF電力レベルへと低下させること;基板に対してプロセスを実施した後で、第1のプロセスガスをシャワーヘッドを通してプロセスチャンバに流入させながら、第2の混合プロセスガスをプロセスチャンバから除去すること;ペデスタルを、プロセスチャンバ内で、シャワーヘッドから第3の間隔へと移動させること;RF電力の適用を停止すること;RF電力の適用を停止した後で、第1のプロセスガスをプロセスチャンバから除去すること;並びにプロセスチャンバから第1のプロセスガスを除去した後で、DC電力の適用を停止することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[0010]上述した本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が実施態様を参照することによって得られ、実施形態のいくつかは、添付図面に例示される。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施態様を説明しているにすぎず、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容しうることに留意されたい。
【0011】
【
図1】[0011]ここに記載される少なくとも1つの実施態様によるプロセスチャンバの概略断面図である。
【
図2A】[0012]ここに記載される少なくとも1つの実施態様による
図1のペデスタルのパターン化された表面の上面図である。
【
図2B】[0013]ここに記載される少なくとも1つの実施態様による
図2Aのペデスタルの断面図である。
【
図3A】[0014]ここに記載される実施態様による方法300Aを示している。
【
図3B】ここに記載される実施態様による方法300Bを示している。
【
図4】[0015]ここに開示される方法に含まれる工程におけるプロセスパラメータの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0016]以下の記載では、本開示の実施態様のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が提示される。しかしながら、当業者には、本開示の実施態様のうちの1つ又は複数が、それら具体的な詳細のうちの1つ又は複数を含まずに実施可能であることは明らかであろう。他の事例では、周知の特徴は、本開示の実施態様のうちの1つ又は複数を曖昧にしないために記載されない。
【0013】
[0017]ここに記載される1つ又は複数の実施態様は、概して、半導体処理システムにおいて使用される静電チャックとの間で基板をチャッキング及びデチャッキングするための方法に関する。ここに記載される実施態様では、プロセスチャンバ内のペデスタルは、基板がペデスタル表面に接触する、一般にポストと呼ばれる複数の地点を含む、改質されたペデスタル表面を有している。改質されたペデスタル表面に基板をチャッキングするための従来の方法では、第1のプロセスガスがプロセスチャンバに導入される。次いで高周波(RF)電力がRF電源から生成され、RFプラズマがプロセスチャンバ内に生成される。その後、直流電流(DC)電圧が、DC電源からペデスタル内に配置された電極へと生成されてDC静電チャックバイアスを適用し、静電チャック力により基板をペデスタル表面にチャッキングする。基板へのチャッキングに続いて、プロセスチャンバ内で基板に対してプロセスを実施する。前記プロセスに続いて、DC静電チャックをオフにし、次いでRF電力をオフにする。DC静電チャック及びRF電力をオフにすると、プロセスチャンバへのガスの流入が停止する。
【0014】
[0018]しかしながら、上述の従来の方法では、チャッキング力が存在しない状態で、ガスの導入時に基板に高度の移動が生じ、これは基板の損傷を招きうる。加えて、従来の方法では、ペデスタル表面上でポストに対して基板を移動させる力を基板が受けるとき、裏側の損傷が生じうる。この力は、移動に起因しうるか又は熱膨張に起因しうる。熱膨張の場合、ポストにおける基板とペデスタル表面の温度の差により、基板がペデスタル表面に対して膨張又は収縮する際に局所的損傷が生じうる。
【0015】
[0019]本明細書の実施態様に記載される、改質されたペデスタル表面に基板をチャッキングするための方法では、まずDC電圧が直流電流(DC)電源からペデスタル内に配置された電極に生成され、基板が静電チャック力によりペデスタル表面にチャッキングする。静電チャック力により基板がチャッキングされた後、第1のプロセスガスをプロセスチャンバに導入することができる。第1のプロセスガスが導入された後、RF電力がRF電源から生成され、プロセスチャンバ内にRFプラズマが生成される。RFプラズマ生成の前にチャッキング力を適用することで、基板の位置が有利に制御され、第1のプロセスガス導入の間にペデスタル表面上での基板の想定外の移動により基板が破損すること又は損傷を受けることを防止する。加えて、まずチャッキング力を適用することで、裏側の損傷を排除することによりリソグラフィの焦点ぼけを低減することにより収率が向上する。
【0016】
[0020]RF電力が適用されてRFプラズマが生成された後、基板に対してプロセスが実施される。前記プロセスは、堆積プロセス、エッチングプロセス、プラズマ処理、又は別のプロセスとすることができる。基板に対するプロセスの実施に続いて、RF電力をオフにする。RF電力をオフにした後、第1のプロセスガスのプロセスチャンバへの流入が停止する。ガス流の停止に続いて、基板をプロセスチャンバから除去する前に静電チャック力をオフにしする。
【0017】
[0021]全体として、ここに記載される実施態様では、方法は通常、以下のシーケンスを適用する:(1)第1の電圧を直流電流(DC)電源からペデスタル内に配置された電極に適用する;(2)プロセスガスをプロセスチャンバに導入する;(3)第2の電圧をRF電源から適用する;(4)基板に対して堆積(又はその他の)プロセスを実施する;(5)第2の電圧をRF電源から適用することを停止する;(6)プロセスガスをプロセスチャンバから除去する;及び(7)DC電力をDC電源から適用することを停止する。
【0018】
[0022]
図1は、ここに記載される一実施態様によるプロセスチャンバ100の概略断面図である。プロセスチャンバ100はプラズマ化学気相堆積(PECVD)であるが、他のプロセスチャンバもここに記載される態様の恩恵を受けうると考慮される。ここに記載される実施態様の恩恵を受けうるプロセスチャンバの一例は、Applied Materials,Inc.、Santa Clara,CAから入手可能なPECVD対応チャンバのPRODUCER(登録商標)シリーズである。他の製造者によるものを含め、他の同様に装備されたプロセスチャンバも、ここに記載される実施態様の恩恵を受けうると考慮される。
【0019】
[0023]プロセスチャンバ100は、チャンバ本体102、チャンバ本体102内部に配置されるペデスタル104、及びチャンバ本体102に連結されて処理領域120内にペデスタル104を封入するリッドアセンブリ106を含む。リッドアセンブリ106は、ガス分配器112を含む。基板107は、チャンバ本体102に形成された、スリットバルブなどの開口部126を通して処理領域120に提供される。
【0020】
[0024]アイソレータ110は、セラミック又は金属酸化物、例えば酸化アルミニウム及び/又は窒化アルミニウムといった誘電材料であり、ガス分配器112をチャンバ本体102から分離する。ガス分配器112は、プロセスガスが処理領域120中に入ることを許すための開口部118を含む。プロセスガスは、導管114を介してプロセスチャンバ100に供給され、プロセスガスは開口部118を通って流れる前にガス混合領域116に入る。排気部152は、チャンバ本体102内のペデスタル104の下方に形成されている。排気部152は、プロセスチャンバ100から未反応の核種及び副産物を除去するための真空ポンプ(図示しない)に接続されてもよい。
【0021】
[0025]ガス分配器112は、RF生成器などの電源141に連結されている。電源141は、連続及び/又はパルスRF電力をガス分配器112に供給する。電源141は作動中にオンにされて電力をガス分配器112に供給し、処理領域120におけるプラズマの形成を促す。
【0022】
[0026]ペデスタル104は、セラミック材料、例えば金属の酸化物若しくは窒化物又は酸化物/窒化物混合物、例えばアルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又は酸化アルミニウム/窒化アルミニウム混合物から形成される。ペデスタル104は、シャフト143によって支持される。ペデスタル104は電気的に接地される。電極128はペデスタル104に埋め込まれている。電極128は、プレート、穿孔プレート、メッシュ、ワイヤスクリーン、又はその他の任意の分散構成物でありうる。電極128は、接続部130を介して電源132に連結されている。電源132は、電極128に電力を供給する。いくつかの実施態様では、電極128は、ペデスタル104が静電チャックとして機能するように、基板107の静電チャックを容易にする。電極128が静電チャックとして機能するとき、電源132は、処理領域120内に形成されたプラズマの特性を制御するため、又は処理領域120内部でのプラズマの生成を容易にするために利用することができる。ペデスタル104は、基板107を支持するためのパターン化表面142を含む。ペデスタル104はポケット140も含む。ポケット140は、代替的にエッジリングでもよい。基板107及びポケット140は、ペデスタル104の表面142に同心円状に配置される。
【0023】
[0027]電源141、ペデスタル104、及び電源132は、すべてコントローラ150に接続することができる。コントローラ150は、電源141、ペデスタル104、及び電源132の各々に対する電力の適用を制御する。コントローラ150は、電源141、ペデスタル104、及び電源132の各々に供給される電力を増加又は減少させることができる。コントローラ150は、電源141、ペデスタル104、及び電源132の各々に対する電力の供給が調整されるように、電源141、ペデスタル104、及び電源132の活用を統合することができる。いくつかの実施態様では、電源141、ペデスタル104、及び電源132の各々は、個別のコントローラ150に接続されてもよい。電源141、ペデスタル104、及び電源132の各々が異なるコントローラに接続される実施態様では、コントローラ150の各々は、有線又は無線接続を介して互いに通信することができる。
【0024】
[0028]
図2Aは、パターン化表面142の一実施態様を有する
図1のペデスタル104の上面図である。
図2Aに示されるペデスタル104は、ポケット140によって囲まれた周辺棚202を含む。パターン化表面142は、周辺領域205によって囲まれた中心領域200といった2つの別個の領域を含む。パターン化表面142は、基板受け面220を画定する上面215を有する複数のポスト210を含む。中心領域200内のポスト210は、周辺領域205内のポスト210とは異なる高さを有しうる。複数のポスト210の各々の上面215は、実質的に同一平面上にある。中心領域200及び周辺領域205内におけるポスト210の相対的な高さは、
図2Bにさらに詳細に示される。
【0025】
[0029]複数のポスト210の各々は、平面図では矩形に示されているが、ポスト210は、平面図において円形、楕円形、六角形、又は他の形状でもよい。他の実施態様と組み合わせることのできるいくつかの実施態様では、中心領域200は、周辺領域205の表面積より小さい表面積を有する。例えば、パターン化表面142の直径が約12インチである場合、周辺領域205の表面積は約113平方インチであり、中心領域200の表面積は約11平方インチである。他の実施態様と組み合わせることのできるいくつかの実施態様では、周辺領域205の表面積は中心領域200の表面積より約900%大きい。複数のポスト210の各々の上面215は、約20マイクロインチから約60マイクロインチ、例えば約30マイクロインチから約50マイクロインチ又は約35マイクロインチから約45マイクロインチの表面粗さ(平均表面粗さ又はRa)を含む。いくつかの実施態様では、複数のポスト210の各々の上面215は、約40マイクロインチの表面粗さを含む。パターン化表面142は、リフトピン孔212も含む。リフトピン孔212は、パターン化表面142の周辺領域内に位置決めされ、ポスト210間に間隔をあけて配置される。リフトピン孔212は、それぞれのリフトピン(図示しない)と共に使用されて、プロセスチャンバ100への往復の間に基板を上下させる。
【0026】
[0030]
図2Bは、
図2Aのペデスタル104の断面図である。
図2Bに示されるように、複数のポスト210は、周辺領域205内の複数の第1のポスト225Aと、中心領域200内の複数の第2のポスト225Bとを含む。複数の第1のポスト225Aの各々の高さ230は、複数の第2のポスト225Bの高さ235より大きい。高さ230及び高さ235は、ペデスタル104の上面又は底面232から測定される。いくつかの実施態様では、複数の第1のポスト225Aの各々の高さ230は、約0.002インチから約0.0024インチ、例えば約0.0022インチである。他の実施態様と組み合わせることのできるいくつかの実施態様では、複数の第2のポスト225Bの各々の高さ235は、約0.0005インチから約0.0007インチ、例えば約0.0006インチである。ポスト210の2つの異なる高さ(即ち、高さ230と高さ235)のみが示されているが、パターン化表面142は、高さ230及び高さ235と異なる高さの別の複数のポストを含んでもよい。
【0027】
[0031]高さ230と235の差、及び/又は中心領域200と周辺領域205の表面積の差は、ペデスタル104とペデスタルの上に置かれたものとの間の熱伝達率を変化させる。改変された熱伝達率は、基板の温度プロファイルを改変する。いくつかの実施態様では、高さ230と235の差、及び/又は中心領域200と周辺領域205の表面積の差は、基板内の温度均一性を改善し、それにより基板上での堆積均一性が改善する。いくつかの実施態様では、複数の第2のポスト225Bの各々の高さ235を複数の第1のポスト225Aの各々の高さ230より小さくすることで、基板の中心の温度が上昇する。基板の中心の温度を上昇させることで、基板全体の温度均一性が改善し、それにより基板上での堆積均一性が改善する。
【0028】
[0032]ポスト210の高さ230及び235により、ペデスタル104の底面232はマルチレベル構造となっている。例えば、中心領域200の底面232は、周辺領域205の底面232と比較して上昇した表面240を画定し、周辺領域205の底面232は、上昇した表面240と比較して下降した表面245と呼ばれる。
図2Bに示されるペデスタル104の上昇した表面240及び下降した表面245は、逆さまの又は逆転したU字型プロファイル250のようなプロファイルを画定する。
【0029】
[0033]
図3Aは、ここに記載される実施態様による方法300Aを示している。工程302では、基板107を、プロセスチャンバ100内のペデスタル104上に位置決めする。基板107をペデスタル104上に位置決めする間、ペデスタル104は基板受け位置にあり、基板107はプリプロセス位置にある。ペデスタル104が基板受け位置にあるとき、ペデスタルを、ガス分配器から約3500ミルから約5000ミル、例えば約3750ミルから約4750ミル、例えば約4000ミルから約4500ミルの距離に間隔を空けて配置する。基板107がペデスタル104上に位置決めされている間に、プロセスチャンバ100を第1のプロセスガスを使用してパージする。プロセスチャンバ100をパージすることで、プロセス量から不要なガス及び汚染物質が除去され、プロセスチャンバが、イオン化の高い閾値エネルギーを有する第1のプロセスガスで充填される。第1のプロセスガスは、約1000sccmから約3000sccm、例えば約1500sccmから約2500sccmの流量で導入する。第1のプロセスガスの導入は、工程302の終わりに向かって次第に減少させ、基板107がペデスタル104上に配置された後で停止する。
【0030】
[0034]工程304では、電源132を工程302の後でオフにする。工程304では、プロセスチャンバ100を、第1のプロセスガス、例えば工程302のヘリウムガスで充填する。電源132は、ペデスタル104内の電極128にDC電圧を適用するDC電源であり、基板107をパターン化表面142にチャッキングする。DC電圧は、約300ボルトから約1000ボルト、例えば約300ボルトから約600ボルト、例えば約300ボルトから約500ボルト、例えば約350ボルトから約450ボルト、例えば約400ボルトの第1のDC電圧レベルとすることができる。この方法の後続の工程の前に基板107をチャッキングすることは、基板107の位置を制御するという利点を提供し、基板107の移動の防止に役立つ。基板107の安定は、基板107が移動して、移動がパターン化表面142上のポスト210と基板107との間に力を生じさせる際に生じうる損傷を防ぐ。ここに開示されるDC電圧は、特に、ガスの組成、内部チャンバ圧力、及び基板間隔といった開示された他のプロセスパラメータとの組み合わせで、工程306でさらに導入される、プロセスチャンバ内における第1のプロセスガスの望ましくない静電気放電を軽減しする。
【0031】
[0035]工程306では、1つ又は複数の第1のプロセスガスを、ガス分配器112を通してプロセスチャンバ100に流入させる。工程306は工程304の後で実施される。第1のプロセスガスは、ヘリウム又は他の同様のプロセスガスを含みうる。ヘリウムガスの使用は、パターン化表面142における局所的な温度変動の平坦化を助けるより高い熱伝導率を有するという利点を提供し、これは均一な熱膨張により裏側の損傷防止を助けることができる。第1のプロセスガスとしてヘリウムの代わりに利用することのできる他のプロセスガスが存在すると考慮される。第1のプロセスガスは、基板チャッキング中のイオン化を排除する高い閾値エネルギーを有する。ヘリウムガスは、DC放電のための高いバイアス破壊媒体を提供し、これにより、ペデスタル104がガス分配器112からさらに間隔を空けて配置されるとき安定性が向上する。ヘリウムは、ここに記載されるものに類似のプロセス条件下で比較したとき、アルゴンのようなガスより大幅に高いバイアス絶縁破壊電圧を有することが示された。ヘリウムを使用する間の基板上の欠陥の量を比較したとき、基板の欠陥の数が、アルゴンを第1のプロセスガスとして使用する場合と比較したとき90%から95%減少しうることが分かった。
【0032】
[0036]第1のガスは、約1sccmから約10,000sccm、例えば約1sccmから約4000sccm、例えば約1000sccmから約3000sccm、例えば約2000sccmの流量で導入される。いくつかの実施態様では、工程306の間のプロセスチャンバ100へのプロセスガスの流量を、約0sccmの初期流量から上記範囲のうちの1つに記載された最終流量へと増加させることができる。プロセスガスの増加は基板の移動をさらに最小化する。
【0033】
[0037]工程306の間に、チャンバ内の圧力を、約5Torrから約15Torr、例えば約6Torrから約12Torr、例えば約7Torrから約10Torrの圧力へと増加させる。チャンバ内の圧力は、基板処理の間の圧力に維持する。
【0034】
[0038]工程308では、電源141をオンにする。工程308は工程306の後で実施される。電源141は、RF電力をガス分配器112に適用するRF生成器とすることができる。RF電力は、第1のRF電力レベルとすることができ、約100ワットから約6000ワット、例えば約150ワットから約3000ワット、例えば約200から約2000ワット、例えば約250及び約500ワットの範囲、例えば約350ワットである。第1のRF電力レベルの範囲は、約6000ワット、例えば約7000ワット、例えば約8000ワット、例えば約9000ワット、例えば約10000ワットを上回ってもよいと考慮される。いくつかの実施態様では、第1のRF電力レベルは、約100ワット、例えば約150ワット、例えば約200ワット、例えば約250ワットを上回る。いくつかの実施態様では、第1のRF電力レベルの範囲は、約100ワットから8000ワット、例えば約150ワットから約6000ワット、例えば約200ワットから約5000ワット、例えば約250ワットから2000ワットである。
【0035】
[0039]工程314では、DC電圧及びRF電力の両方を、基板処理が基板107に実施されるとき、第2のDC電圧レベル及び第2のRF電力レベルに増加させる。基板処理は、堆積プロセス又は処理プロセスを含みうる。いくつかの実施態様では、基板107は酸化プロセスを受ける。工程310(
図3B)及び工程312(
図3B)が利用される実施態様では、DC電圧及びRF電力を、工程310又は工程312の後で増加させることができる。工程310及び工程312が利用されない実施態様では、DC電圧及びRF電力を、工程308の後で増加させることができる。第2のDC電圧レベルは、約800ボルトから約1100ボルト、例えば約900ボルトから約1050ボルト、例えば950ボルトから約1000ボルトである。いくつかの実施態様では、第2のDC電圧レベルは約980ボルトでありうる。RF電力を第2のRF電力レベルに増加させる。第2のRF電力レベルは、約1000ワットから約6000ワット、例えば約1000ワットから約4000ワット、例えば約2000ワットから約3000ワット、例えば約2250ワットから約2750ワットである。いくつかの実施態様では、第2のRF電力レベルは約2450ワットでありうる。いくつかの実施態様では、第2のRF電力レベルは、約6000ワット、例えば約7000ワット、例えば約8000ワット、例えば約9000ワット、例えば約10000ワットを上回る。いくつかの実施態様では、RF電力の範囲は、約1000ワットから約5000ワット、例えば約1500ワットから約5000ワット、例えば約2000ワットから約4000ワットである。基板処理は、DC電圧及びRF電力を第2のDC電圧レベル及び第2のRF電力レベルに増加させる間に又は増加させた後で実施する。いくつかの実施態様では、基板処理は、DC電圧及びRF電力を第2のDC電圧レベル及び第2のRF電力レベルに増加させる間と増加させた後の両方で実施する。
【0036】
[0040]工程316では、DC電圧及びRF電力の両方を、第3のDC電圧レベル及び第3のRF電力レベルに減少させる。DC電圧及びRF電力の減少は、工程314で基板107に実施される基板処理の停止により達成される。他の実施態様と組み合わせることのできるいくつかの実施態様では、DC電圧及びRF電力を、第3のDC電圧レベル及び第3のRF電力レベルが工程314の第1のDC電圧レベル及び第1のRF電力レベルと同じDC電圧レベル及びRF電力レベルになるように、基板処理を実施した後で減少させる。第3のDC電圧レベルは、約300ボルトから約1000ボルト、例えば約300ボルトから約600ボルト、例えば約300ボルトから約500ボルト、例えば約350ボルトから約450ボルト、例えば約400ボルトである。第3のRF電力レベルは、約100ワットから約6000ワット、例えば約150ワットから約3000ワット、例えば約200から約2000ワット、例えば約250及び約500ワット、例えば約350ワットである。第3のRF電力レベルの範囲は、約6000ワット、例えば約7000ワット、例えば約8000ワット、例えば約9000ワット、例えば約10000ワットを上回ってもよいと考慮される。これら実施態様では、方法300のこの段階において、供給されているRF電力の量が、従来の方法で供給されるRF電力より高く、これにより、基板処理が実施されるときに使用されるより高いRF電力からのより安定な移行が提供される。これにより、温度安定化が改善され、裏側の損傷が防止される。
【0037】
[0041]工程322では、RF電力のガス分配器112への適用が停止するように、電源141をオフにする。RF電力をオフにすることにより、プロセスチャンバ100内におけるプラズマの生成を止めることができる。
【0038】
[0042]工程324では、第1のガスのプロセスチャンバへの流入を停止する。工程324において、第1のガスをプロセスチャンバ100から除去することができる。第1のガスは、DC電力がペデスタル104内の電極128に依然供給されている間に、プロセスチャンバ100から除去される。DC電力が電極128に供給されている間に第1のガスの流れを停止することにより、プロセスチャンバ100の排気により生じる基板107の移動が最小化される。工程324の間のプロセスチャンバ100内の圧力は、実質的に真空圧力近くまで減少する。工程324は工程322に続いて実施される。プロセスチャンバ100から第1のガスを除去する間にも、プロセスチャンバ100内の圧力は減少する。プロセスチャンバ100内の圧力は、所定の圧力、例えば約5Torr未満、例えば約3Torr未満、例えば約2Torr未満、例えば約1Torr未満に減少する。
【0039】
[0043]工程326では、工程324に続いて電源132をオフにする。電源132をオフにすると、DC電圧の適用が停止し、パターン化表面への基板107のチャッキングが停止する。基板107のチャッキングが停止した後、基板107をパターン化表面142から除去することができる。
【0040】
[0044]
図3Bは、ここに記載される実施態様による方法300Bを示している。
図3Bの方法300Bは、
図3Aの方法300Aと類似しているが、複数の追加プロセス工程、例えばここに記載される工程303、工程310、工程312、工程318、及び工程320を含むことができる。
【0041】
[0045]任意選択的工程303(
図3B)では、ペデスタル104を、基板受け位置から、ガス分配器から第1の間隔へと移動させる。第1の間隔は、ガス分配器112から約200ミルから約3000ミル、例えば約200ミルから約1000ミル、例えば約450ミルから約750ミルである。いくつかの実施態様では、ペデスタル104は、ガス分配器112から約550ミル間隔を空けて位置しているが、他の位置も可能である。選択された間隔は、意図しないプラズマを生成せずに基板のチャッキングを容易にする。
[0046]工程310(
図3B)では、ペデスタル104を、プロセスチャンバ100内で移動させ、ガス分配器112のより近くに位置決めする。工程310は、先述したように工程308と工程310との間で実施される。この実施態様では、ペデスタル104は第2の間隔へと移動させる。第2の間隔は、ガス分配器112から、約200ミルから約400ミル、例えば約250ミルから約350ミル、例えば約300ミルである。
【0042】
[0047]工程312は、工程310に続いて又は工程310と同時に実施される。工程312(
図3B)では、第2のプロセス混合ガスを、ガス分配器112を通してプロセスチャンバ100に流入させながら、第1のプロセスガスのプロセスチャンバ100への流入を停止する。いくつかの実施態様では、この工程の間に第1のプロセスガスをプロセスチャンバ100から除去することができる。第2のプロセス混合ガスは、キャリアガス及びプロセスガス/堆積ガスのうちの1つ又は複数、例えばアルゴンとプロペンの混合物を含む。他のキャリアガス及びプロセスガス/堆積ガス、例えば窒素、エチレン、酸素、六フッ化タングステン、ジボラン、タングステン、ペンタカルボニル 1-メチルブチルイソニトリル、シラン、又は亜酸化窒素を使用してもよい。第2の混合ガスは、約1sccmから約10000sccm、例えば約1sccmから約4000sccm、例えば約1000sccmから約4000sccm、例えば約2500sccmの流量でプロセスチャンバ100に流入させる。
【0043】
[0048]他の実施態様と組み合わせることのできるいくつかの例示的な実施態様では、プロセスチャンバ100中への第2の混合ガス流の増加は、約10sccm/sから1000sccm/sである。いくつかの実施態様では、プロセスチャンバ100中への第1のガスの流量を、第2の混合ガス流の流量を増加させるのと同じ率で減少させる。これにより、第1のガスから第2の混合ガス流への移行の間にプロセスチャンバ100内の圧力を一定に保つことができる。
【0044】
[0049]第2の混合ガスがアルゴンとプロパンの混合物である実施態様では、プロセスチャンバ100に流入させるアルゴンガスとプロパンガスの比率は、約3:1と約10:1の間、例えば約4:1と約8:1の間、例えば約5:1と約7:1の間とすることができる。他の前駆体ガスが使用される実施態様では、不活性ガスと反応ガスが同様の比率で利用されうる。
【0045】
[0050]他の実施態様と組み合わせることのできるいくつかの実施態様では、工程310と工程312は、ペデスタル104を新しい位置に移動させる間に第2の混合ガスが導入されるように、同時に実施することができる。
【0046】
[0051]工程318は、工程316に続いて、且つ工程320の前に実施される。工程318では、第1の混合ガスを、ガス分配器112を通してプロセスチャンバ100に流入させながら、第2の混合ガスをプロセスチャンバ100から除去する。工程318の終わりまでに、第1の混合ガス及び第2の混合ガスの両方の流量は、工程306で利用される流量と同じである。いくつかの実施態様では、プロセスチャンバ100内の第2の混合ガスの流量は、工程318の終わりまでに、約0sccm又は約0sccm近くとすることができる。第1のガスは、工程318の終わりまでに、約1sccmから約10,000sccm、例えば約1sccmから約4000sccm、例えば約1000sccmから約3000sccm、例えば約2000sccmの流量で流すことができる。
【0047】
[0052]任意選択的な工程320では、ペデスタル104を、プロセスチャンバ100内で、ガス分配器112から第2の間隔より離れた第3の間隔へと移動させる。いくつかの実施態様では、ペデスタル104とガス分配器112との間の第3の間隔は、ガス分配器112から、約450ミルから約750ミル、例えば約500ミルから約700ミル、例えば約550ミルから約650ミル、例えば約600ミルである。工程320は、工程318に続いて又は工程318と同時に実施することができる。ペデスタル104を第3の間隔へ動かすと、DCプラズマを弧を描くように動かすために必要な破壊電圧が上昇する。工程320の前に、ペデスタル104を第2の間隔より大きな第3の間隔へと移動させることにより、工程322の前にプロセスチャンバ100内のプラズマ生成が停止するか又は減少し、RF電力の適用が停止する。
【0048】
[0053]工程302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、326は、方法300A及び方法300Bでは、互いに連続して完了するように記載されている。代替的な実施態様では、方法300A及び方法300Bの工程のうちの複数を、同時に実施することができる。いくつかの実施態様では、工程310と工程312は同時に実施される。いくつかの例示的な実施態様では、工程322と工程324は同時に実施される。
【0049】
[0054]RF電力をオフにした後で電源132により供給されるDCチャッキング電圧をオフにすることにより、工程302、304、306、308、310、312、314、316、318、310、322、及び324を通してパターン化表面142上での基板107の位置の制御が可能になる。この位置制御は、基板107の温度をパターン化表面142に対して安定化させることを助け、処理中の基板107のずれにより生じる裏側の損傷の防止を助ける。加えて、RF電力がオフにされた後、DCチャッキング電圧は、プラズマ放電せずに基板107を正しい位置に維持するために十分な、工程316で記載されたDCチャッキング電圧に上昇したまま保持される。ここに記載される方法の別の恩恵は、プロセスを完了するための経過時間である。熱平衡を得て維持する一態様は時間である。位置制御は、工程304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、及び322を通して適用されるチャッキング電圧のおかげで改善される。位置制御の改善により、基板107はより長い期間にわたってヒータによりチャッキングされ、ヒータの作用を受けることができる。時間が延長することで、ポスト210の周りの基板107の弛緩が可能になり、裏側の損傷が防止される。
【0050】
[0055]工程304-326のために、パターン化表面142上での基板107の位置を制御することが有利である。基板107を第2の間隔へと動かす前に基板107をチャッキングしようとする以前の試みは、第1のガスのDCベースの静電気放電をもたらす。第1のガスの静電気放電は、ハードウェアの損傷と基板の欠陥を招く。ここに提示される方法は、第1のガスの静電気放電を防止し、方法のより早い段階で基板107のチャッキングを可能にする。
【0051】
[0056]
図4は、ここに開示される方法に含まれる工程におけるプロセスパラメータの関係を示すグラフ400である。グラフ400は、ここに記載される方法の実行中の異なる時間の間の、ペデスタル104とガス分配器112との間の間隔402、プロセスチャンバ100内の圧力404、第1のプロセスガス406の流量、キャリアガス408の流量、第2のプロセス/堆積ガス410の流量、適用されるDCチャッキング電圧412、及びRF電力414に関するプロセス条件を表示している。グラフ400は、工程302、304、306、308、310、312、314、316、318、310、322、324、及び326の一実施態様に関するプロセスパラメータを表示する。しかしながら、他のプロセス構成も考慮される。
【0052】
[0057]グラフ400は、プロセスパラメータ及び各プロセスパラメータの関係がどのように利用されうるかの例示的な一実施態様にすぎない。他の実施態様では、各パラメータは、経時的に異なる経路を辿りうる。いくつかの実施態様では、各パラメータの勾配は、ここに開示されるパラメータの勾配より大きい又は小さいことがありうる。いくつかの実施態様では、工程302、304、306、308、310、312、314、316、318、310、322、324、及び326は、若干の再構成が可能であり、いくつかの工程を同時に実施してもよいが、これらはグラフ400に開示されていない。
【0053】
[0058]ここに記載される方法で利用される間隔、圧力、プロセスガス、及びチャッキング電圧の組み合わせは、基板の導入及び移動の間の基板のチャッキングを可能にする。これら要因の1つ又は複数の組み合わせは、基板に隣接する意図しないプラズマ形成及び静電気放電を軽減する。意図しないプラズマ形成及び静電気放電はハードウェアの損傷及び基板の欠陥を招くため、本明細書の方法は、従来の方法より改善された処理を提供する。ここに開示される態様では、間隔、圧力、ガスの組成、及び/又はチャッキング電圧は、プロセスガスがアークを発生させること及び意図せずプラズマを形成することを防止するために制御される。
【0054】
[0059]上記は本発明の実装態様を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実装態様を考案することもでき、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】