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特表2022-530540テクスチャ加工されたプラテン接着剤を有する化学機械研磨パッド
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  • 特表-テクスチャ加工されたプラテン接着剤を有する化学機械研磨パッド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】テクスチャ加工されたプラテン接着剤を有する化学機械研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/22 20120101AFI20220622BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20220622BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20220622BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B24B37/22
B24B37/12 D
B24B37/24 A
H01L21/304 622F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564512
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020030660
(87)【国際公開番号】W WO2020223455
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/840,724
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ポール アンドレ ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ジュエット
(72)【発明者】
【氏名】エリック エイチェンバウム
(72)【発明者】
【氏名】ホーランド ホッジズ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158DA12
3C158EB04
3C158EB22
5F057AA24
5F057AA25
5F057BA11
5F057BA15
5F057BB16
5F057DA03
5F057EB05
5F057EB06
5F057EB07
5F057EB08
5F057EB13
5F057EB27
5F057EC21
5F057FA25
5F057FA30
5F057FA39
(57)【要約】
テクスチャ加工された表面を含む除去可能なプラテン接着剤を含む化学機械研磨パッド。研磨パッドを使用して、研磨パッドの表面でのスポット禿げの発生を排除または低減する方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨面と、前記研磨面の反対側の裏面と、前記裏面に取り付けられたプラテン接着剤を含む研磨パッドと、を備える化学機械研磨パッドであって、前記プラテン接着剤が、テクスチャ加工された表面を有し、除去可能な接着剤を含む、化学機械研磨パッド。
【請求項2】
前記プラテン接着剤の前記テクスチャ加工された表面が、マイクロチャネルを有するマイクロチャネルテクスチャを含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記マイクロチャネルテクスチャがXYパターンを含む、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記マイクロチャネルテクスチャが幾何学的形状によって形成されている、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記研磨パッドが一体型構造である、請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨パッドが多層研磨パッドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記多層研磨パッドが、研磨層と、バッキング層およびサブパッド層のうちの少なくとも1つと、を含む、請求項6に記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記研磨パッドが、より低い剛性のパッドであり、12インチの長さ×5インチの幅の試料ストリップを使用して、3インチのたわみで約0.4lbf以下の荷重を有すると規定された、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項9】
前記マイクロチャネルが、約5μm~約250μmのチャネル深さを有する、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項10】
前記チャネル深さが、約20μm~約50μmである、請求項9に記載の研磨パッド。
【請求項11】
前記マイクロチャネルが、約0.1mm~約10mmのチャネルピッチを有する、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項12】
前記チャネルピッチが、約1mm~5mmである、請求項11に記載の研磨パッド。
【請求項13】
化学機械研磨パッドをプラテン表面に貼り付ける方法であって、(a)テクスチャ加工された表面を有するプラテン接着剤層を前記研磨パッドに固定することと、(b)前記プラテン接着剤の前記テクスチャ加工された表面を前記プラテン表面に押し付けることによって、前記研磨パッドを前記プラテン表面に取り付けることと、を含み、前記プラテン接着剤の前記テクスチャ加工された表面が、空気が逃げ、前記プラテン表面と前記研磨パッドとの間に閉じ込められないようにすることを可能にする方法。
【請求項14】
前記研磨パッドが、請求項1~12のいずれか一項に記載のパッドである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路は、通常、シリコンウェーハ上に導電層、半導体層、または絶縁層を順次堆積することによって基板上に形成される。様々な製造プロセスでは、基板上の層を平坦化する必要がある。例えば、特定の用途、例えば、パターン化された層のトレンチ内にビア、プラグ、およびラインを形成するための金属層の研磨では、パターン付き層の上面が露出するまで、上にある層が平坦化される。他の用途では、例えば、フォトリソグラフィのための誘電体層の平坦化では、上にある層は、下にある層の上に所望の厚さが残るまで研磨される。化学機械研磨(CMP)は、平坦化の1つの許容された方法である。この平坦化方法では、通常、基板をキャリアヘッドに取り付ける(mount)必要がある。基板の露出面は、通常、回転する研磨パッドに対して置かれる。キャリアヘッドは、基板に制御可能な負荷を加え、基板を研磨パッドに押し付ける。研磨粒子を含むスラリーなどの研磨液は、通常、研磨パッドの表面に供給される。
【0002】
研磨パッドは通常、ポリウレタン材料を押出加工、成形、鋳造、または焼結することによって形成される。成形の場合では、研磨パッドは、例えば射出成形によって一度に1つ製造され得る。鋳造の場合では、液体前駆体が鋳込まれて、ケークに硬化され、これがその後、個々のパッド片にスライスされる。これらのパッド片は、次いで、最終的な厚さまで機械加工され得る。溝が、研磨面に機械加工され得るか、または、射出成形プロセスの一部として形成され得る。
【0003】
研磨パッドは、多層化された、または積み重ねられたパッドであり得る。多層パッドは、剛性層に接着された、またはサブパッドもしくはベース層に直接的に接着された研磨パッド層を有し得る。研磨層、および剛性層またはサブパッド層は、接着剤を使用して、通常は、ホットメルト接着剤などの恒久的接着剤を使用して共に接着される。剛性層またはサブパッド層は、研磨層またはスタックに接着される表面と反対の表面を有し、この表面は、通常、パッドを研磨ツールのプラテンに接着するための接着剤を有する。このプラテン接着剤は、通常、プラテンの表面およびサブパッド層の表面に対する一時的な、または除去可能な接着剤である。一時的な接着剤の組成は、接着剤が、研磨スラリー中の化学物質および発生熱が接着剤を劣化させる可能性がある研磨プロセス中に、研磨パッドをプラテンに固定し続ける必要があるため、重要な考慮事項である。一時的な接着剤はまた、特定回数の研磨ステップ後に摩耗したパッドの容易な除去を可能にする必要がある。
【0004】
研磨パッドの研磨面は、研磨プロセス中に調整される。コンディショニング、またはドレッシングは、均一な研磨性能のための一貫した研磨面を維持するために重要である。研磨プロセス中に、研磨層の研磨面が摩耗し、光沢またはマイクロテクスチャを欠いた望ましくない滑らかな表面が形成される。コンディショニングステップは、通常、ダウンフォースを加えパッドの研磨面を横切ってコンディショニングディスクをドラッグして、パッド表面を機械的に磨り減らし、それによって破片を除去し、マイクロテクスチャを形成することによって達成される。コンディショニングディスクは通常、埋め込まれたダイヤモンド粒子で構成される表面を有しており、パッド面を切断してマイクロアスペリティを生成し、研磨テクスチャを再生する。このコンディショニングプロセスは必要であるが、表面からパッド材料を除去することにより、パッドの寿命を縮めることになる。コンディショニングプロセスは研磨面から材料を磨り減らし、パッド材料の磨り減りはダウンフォースに比例していることから、プラテン表面に対するパッドの高さの差が、研磨層の表面にわたり不均一な磨り減りを生じることになる。したがって、パッド表面にわたって均一な摩耗を実現するには、均一な高さ、または平面性が必要とされる。
【0005】
多層研磨パッドの剛性層は、積み重ねられたパッドの中間層または最下層であり得る。あるいは、サブパッド層が最下層となり得る。いずれの場合も、研磨パッドの設計は一様でなく、研磨プロセスの要件に対応するように設計される。例えば、剛性層またはサブパッド層は、研磨要件に応じて、圧縮率および硬度が変化し得る。硬質層、剛性層、またはサブパッド層に接着された、より軟質の研磨層を備えた研磨パッドが、当技術分野でよく知られている。さらに、より軟質でより圧縮性の高いサブパッド層を備えた研磨パッドも知られており、特定の研磨手順での利点を有している。本発明者らは、より軟質でより圧縮性の高いサブパッド層が、プラテン表面に接着するときにパッドを完全に平面にすることが困難になり得ることを確認してきた。したがって、容易にプラテン表面に接着し、平面である、より軟質で圧縮性の低いバッキング層を有する改良された研磨パッドを見出す必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、除去可能なプラテン接着剤を含む研磨パッドを提供し、接着剤はテクスチャ加工された表面を有する。本発明はまた、研磨面および研磨面の反対側の裏面を有する研磨パッド本体を含む化学機械研磨パッドを提供し、除去可能なプラテン接着剤が裏面に固定され、プラテン接着剤はテクスチャ加工された表面を有している。
【0007】
本発明はさらに、バッキング層に取り付けられた研磨層であって、研磨面を有する研磨層と、研磨面の反対側の表面を有するバッキング層と、研磨面の反対側のバッキング層表面に固定されたプラテン接着剤であって、テクスチャ加工された表面を有するプラテン接着剤と、を含む、研磨パッドを提供する。
【0008】
本発明はさらに、研磨パッドの表面に固定されたテクスチャ加工されたプラテン接着剤を含む、より剛性の低い本体を有する化学機械研磨パッドを提供する。
【0009】
本発明はさらに、化学機械研磨パッドをプラテン表面に貼り付ける方法を提供し、この方法は、(a)テクスチャ加工された表面を有するプラテン接着剤を研磨パッドに固定することと、(b)プラテン接着剤のテクスチャ加工された表面をプラテン表面に押し付けることによって研磨パッドをプラテン表面に取り付けることと、を含み、プラテン接着剤のテクスチャ加工された表面が、プラテン表面と研磨パッドとの間に閉じ込められることなく、空気を逃がすことを可能にする。
【0010】
本発明はさらに、より低い剛性の本体を有する化学機械研磨パッドをプラテン表面に貼り付ける方法を提供し、この方法は、(a)テクスチャ加工された表面を有するプラテン接着剤を研磨パッドに固定することと、(b)プラテン接着剤のテクスチャ加工された表面をプラテン表面に押し付けることによって研磨パッドをプラテン表面に取り付けることと、を含み、プラテン接着剤のテクスチャ加工された表面が、プラテン表面と研磨パッドとの間に閉じ込められることなく、空気を逃がすことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】溝研磨面のスポット禿げの例を示す。
図2】本発明の研磨パッドの構成の一実施形態を示す。
図3】プラテン接着剤層の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、テクスチャ加工された除去可能なプラテン接着剤を備えた研磨パッドを提供する。テクスチャ加工されたプラテン接着剤は、スポット禿げおよび早期のパッド摩耗を防止する溝またはマイクロチャネルを含み得る。本発明はまた、除去可能なテクスチャ加工されたプラテン接着剤を含む研磨パッドを使用することにより、研磨パッドにおけるスポット禿げおよび早期のパッド摩耗を防止する方法を提供する。
【0013】
本発明の研磨パッドは、一体型パッドまたは多層パッドであり得る。研磨パッドが多層パッドである場合、パッドは、接着剤で共に結合された2つ以上の層で構成され得る。複数の層を有するパッドはまた、複数の層が一体化界面を介して互いに共有結合している一体型構造のものであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、パッドは一体型であり、したがって、層が互いに共有結合される一体化界面を有する。
【0014】
本発明の多層研磨パッドは、剛性バッキング層および/またはサブパッド層に接着された研磨層を含み得る。いくつかの実施形態では、本発明の研磨パッドは、サブパッド層に接着された剛性バッキング(基礎とも称される)層に接着された研磨層(トップシートとも呼ばれる)を含むことになる。他の実施形態では、研磨層はサブパッド層に接着されている。さらに他の実施形態では、研磨層は、サブパッド層を伴わずに、剛性バッキング層に接着されている。
【0015】
他の実施形態では、本明細書に開示される一体型研磨パッドは、均一な材料または均質な組成物の単一層を有する研磨パッドとして規定されている。一実施形態では、均質な本体は、熱硬化性の独立気泡ポリウレタン材料から構成される。本発明の文脈において、「均質な」という用語は、熱硬化性の独立気泡ポリウレタン材料の組成が、本体の組成全体にわたって一貫していることを示すために使用されている。例えば、一実施形態では、「均質な」という用語は、例えば、含浸フェルトまたは異なる材料の多層の組成物(複合材料)から構成される研磨パッド本体を除外する。
【0016】
研磨パッドが一体型で、単層パッドであるか多層パッドであるかに関わらず、研磨パッドは、研磨面、および研磨面の反対側の裏面で構成されることになる。研磨面の反対側の裏面は、本発明のテクスチャ加工されたプラテン接着剤を含有する表面となり、したがって、研磨パッドを研磨ツールのプラテンに固定する(例えば、接着する)。
【0017】
一実施形態では、「熱硬化性」という用語は、不可逆的に硬化するポリマー材料を示すために使用され、例えば、材料の前駆体は、硬化によって不融性の不溶性ポリマーネットワークに不可逆的に変化する。例えば、一実施形態では、「熱硬化性」という用語は、例えば、加熱されると液体に変わり、十分に冷却されるとガラス状態に戻るような、「熱可塑性」材料または「熱可塑性プラスチック」で構成される研磨パッドを除外している。熱硬化性材料で形成された研磨パッドは、通常、化学反応で反応してポリマーを形成する低分子量の前駆体から製造され、一方で、熱可塑性プラスチック材料で形成されたパッドは、通常、既存のポリマーを加熱して相変化を引き起こすことによって、研磨パッドが物理的なプロセスで形成されるようにして製造されることに留意されたい。ポリウレタン熱硬化性ポリマーは、それらの安定した熱的および機械的特性、化学的環境に対する耐性、ならびに耐摩耗性の傾向に基づいて、本明細書に記載の研磨パッドを製造するために選択され得る。
【0018】
本発明は、研磨パッドの一部としてサブパッドを含み得る。任意の好適なサブパッドが使用されることができ、例えば、サブパッドは、ポリウレタンフォームサブパッド、含浸フェルトサブパッド、ミクロ多孔質ポリウレタンサブパッド、および焼結ウレタンサブパッドを含み得る。サブパッドは、任意選択で、溝、チャネル、中空セクション、ウインドウ、アパーチャなどを含む。サブパッドは、任意の好適な手段によって研磨層に貼り付けられ得る。例えば、研磨層およびサブパッドは、接着剤を介して貼り付けられることができ、または溶接もしくは同様の工法を介して取り付けられ得る。
【0019】
研磨パッドの剛性は、パッドの設置中に閉じ込められた空気によって生じる気泡を形成するパッドの傾向に影響を与え得る。パッドが厚いほど剛性が高くなる傾向があるが、使用される材料またはバッキング層の使用などの他の要因もある。剛性のパッドは、低い剛性のパッドに比べて、より少なく気泡を閉じ込める傾向があり、禿げたスポットの影響を受けにくくなる。しかしながら、すべての研磨パッドは、設置中に閉じ込められた気泡を形成することができる。低い剛性のパッドは、閉じ込められた気泡を形成しやすい傾向があるため、禿げたスポットが非常に発生しやすくなる。本明細書で使用される研磨パッドの剛性は、それが多層パッドの場合でも均一パッドの場合でも、パッド全体の剛性である。パッドの剛性は、任意の好適な方法で測定され得る。例えば、応力-ひずみユニバーサルテスタが使用され得る。応力-ひずみユニバーサルテスタは、長く大きなパッド試料(例えば、12インチ×5インチの試料)をたわませるのに必要な力を測定する。試験パッド試料は、トップパッド、サブパッド、接着剤層、および剥離ライナーも含み得る。たわみは通常2~3インチのオーダである。これらの大きな寸法は、パッド設置プロセスを厳密にシミュレートするために使用される。
【0020】
本明細書で使用される場合、低い剛性のパッドは、対照パッド試料と比較して、パッド試料をたわませるのに必要な力がより低いパッドとして規定されている。
【0021】
本発明の研磨パッドは、除去可能なまたは一時的な接着剤、例えば、感圧プラテン接着剤を含む。除去可能な感圧プラテン接着剤層は、単層または多層の化学機械研磨パッド、またはパッドスタックを研磨機に取り付けることを容易にする。本発明のプラテン接着剤は、任意の好適な材料であり得る。プラテン接着剤は、化学機械研磨プロセスで通常使用される熱および化学物質に対して耐性があることが好ましい。例えば、接着剤は接着特性を維持し、化学機械研磨プロセス中に研磨パッドがプラテン表面から外れないようにする必要がある。
【0022】
本発明はまた、プラテン接着剤およびパッド接着剤を含む、両面接着テープとも呼ばれる様々なトランスファテープを提供する。トランスファテープは、キャリアフィルム上の接着剤の1つ以上の層、および各接着剤面用の剥離ライナーなどのライナーを含む。特定の実施形態では、トランスファテープは、テープの片側に恒久式接着剤を有し、反対側に溝付きプラテン接着剤を有する。この実施形態は、図2および3に示されている。他の実施形態では、トランスファテープは、両面に同一の接着剤を有することができるが、プラテン側のみが、溝付きの、またはテクスチャ加工された表面を有する。
【0023】
トランスファテープのキャリアフィルムは、任意の好適な材料であり得る。例えば、キャリアフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり得る。さらに、キャリアフィルムは、任意の好適な厚さを有し得る。例えば、キャリアフィルムは、約0.5ミル~約2.0ミルの厚さを有し得る。
【0024】
剥離ライナーは、任意の好適な材料および厚さであり得る。例えば、剥離ライナーはポリエステル材料であり得、約2ミル~約5ミルの厚さを有し得る。本発明の一実施形態では、剥離ライナーは、テクスチャ加工されたものか、溝付きのもので、剥離ライナー上のパターンが接着剤に圧痕付けられ、一旦、剥離ライナーが取り外されると、接着剤が、少なくとも一時的に、剥離ライナーによって刻印された溝またはテクスチャが圧痕付けられた形状を保持するようになっている。本実施形態では、研磨パッドの剥離ライナーは、パッドをプラテンに設置する直前に取り外されることになる。
【0025】
本発明のマイクロチャネルは、様々な形状またはパターンをとることができる。マイクロチャネルは、一般に、微細構造化された表面を作成する接着剤の構造によって形成される。構造は、接着剤の表面の周りにランダムに配置されるか、規則的なテクスチャ加工されたパターンで配置されるかのいずれかであり得る。
【0026】
剥離ライナーのテクスチャ加工されたパターンは、設置中に研磨パッドの下に空気が閉じ込められるのを防止する任意の好適なパターンであり得る。例えば、剥離ライナーのパターンは、XYパターンで構成されるマイクロチャネルパターンであり得る。あるいは、パターンは、一連の接続されたハニカム、ダイヤモンド形状、または他の幾何学的デザインによって作成されたマイクロチャネルであり得る。マイクロチャネルの寸法は、マイクロチャネルが研磨パッドの設置中に空気を逃がすことを可能にするという前提で任意の好適な寸法であり得る。例えば、チャネル深さは、約5μm~約250μmの範囲であり得る。例えば、チャネル深さは、約5μm以上、約10μm以上、約15μm以上、約20μm以上、約25μm以上、約30μm以上、約40μm以上であり得る。例えば、チャネル深さは、約250μm以下、例えば、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約50μm以下であり得る。好ましくは、チャネル深さは、約20μm~約50μmの範囲である。マイクロチャネルは、任意の好適なピッチを有することができる。チャネルのピッチは、閉じ込められない気泡の最大サイズと相関している。チャネルピッチは、約0.1mm以上であり、例えば、0.2mm以上、0.5mm以上、1.0mm以上、5mm以上であり得る。チャネルピッチは、約10mm以下であり、例えば、8mm以下、7mm以下、6mm以下であり得る。一実施形態では、チャネルピッチは1mm~5mmの範囲である。
【0027】
プラテン接着剤は、摩耗したときに研磨パッドを簡単に除去することができるが、研磨操作中に研磨パッドを所定の位置にしっかりと保持する、任意の好適な除去可能な接着剤であり得る。例えば、プラテン接着剤は、アクリル樹脂接着剤、ゴム系接着剤、ウレタン樹脂接着剤、またはシリコン樹脂接着剤であり得る。これらの接着剤は、一般的に低粘着性の除去可能な接着剤である。
【0028】
通常、トランスファテープに組み込まれるときの接着剤は、約0.5ミル~約20ミル、より具体的には約1.0ミル~約10ミルの厚さを有する単一の均一で連続的な層の形態である。本主題はまた、トランスファテープにおけるパターン化された接着剤および接着剤の多層の使用を含む。
【0029】
プラテン接着剤は、二重コーティングされたテープを使用して、積層ステップで研磨パッドに塗布することができる。好適な二重コーティングされたテープは、3M 456CR、3M 442F、およびAvery 8603を含む。二重コーティングされたテープをパッド表面に積層する方法は周知である。二重コーティングされたテープは、任意の好適な積層機械、例えば、AGLラミネータ(Advanced Greig Laminatores,Inc.,DeForest,Wisconsin)を使用することにより、かつ、供給業者の推奨プロセスに従うことにより、研磨パッドに積層され得る。
【0030】
テクスチャ加工された表面、例えばマイクロチャネルは、感圧接着剤層を構造体で直接エンボス加工することによって形成することができる。あるいは、ライナーまたはバッキングを最初にエンボス加工して、次に、感圧接着剤でコーティングして構造体を接着剤に及ぼすことができる。フィルムは、テクスチャ加工された表面形状の反対側の接着剤層の側に積層または結合することができる。
【0031】
本発明の利点は、テクスチャ加工された表面を有するプラテン接着剤で裏打ちされた研磨パッドを提供して、空気流出に有用なプラテン接着剤に経路が形成されるようにすることである。テクスチャ、またはマイクロチャネルは、プラテン接着剤層とプラテンの表面との間の空気の流れを可能にする研磨の周辺部への経路を画定する。一実施形態では、マイクロチャネル経路は、周辺部ではなく、その非常に近くで終了する。この実施形態では、空気は依然として逃れることができ、研磨パッドとプラテンとの間に空気が閉じ込められることはない。
【0032】
本発明のマイクロチャネルは、所望の接着を提供するために、プラテンへの研磨パッドの最終的な適用時に少なくとも部分的に消失する。マイクロチャネルが少なくとも部分的に消失する能力は、マイクロチャネルの形状および接着剤のレオロジに依存する。
【0033】
剥離ライナーが除去された後、マイクロチャネルプラテン接着剤がマイクロチャネルを維持する能力は、チャネル寿命と呼ばれる。例えば、チャネル寿命が長い接着剤は、剥離ライナーが除去された後、場合によってはプラテン表面に研磨パッドが適用された後であっても、マイクロチャネル構造を数分間維持する。本発明の研磨パッドは、設置中に研磨パッドがプラテン表面に押し付けられるまでチャネル構造を維持するのに十分に長いチャネル寿命を有することが好ましい。これらの条件下では、パッドの設置中に空気が逃れるが、一旦、設置されると、パッドの下に研磨スラリーまたは水が入る可能性のあるパッドの端部には開いたチャネルがなくなる。
【0034】
本発明は、スポット禿げによって引き起こされる早期摩耗を回避する化学機械研磨パッドを提供する。本発明の研磨パッドは、パッドをプラテンに接着するための除去接着剤を含み、接着剤は、テクスチャ表面を有し、空気を閉じ込めることなく研磨パッドが設置され得るようになっている。プラテン表面と研磨パッドとの間に閉じ込められた空気は、設置プロセス中に発生し、研磨表面の膨らみになる。接着剤のテクスチャ加工された表面により、閉じ込められる空気が少なくなるか、まったくなくなる。
【0035】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0036】
実施例1
本実施例は、様々な厚さおよび組成の研磨パッドの剛性の違いを示している。
【0037】
パッドたわみ試験を使用して、様々な研磨パッド材料の剛性を試験した。試験では、長さが12.5インチ、幅が5.5インチの長方形にカットされた試験パッドのセクションを使用した。試験パッドセクションが、試験パッド試料を3インチ曲げるのに必要な力を測定できる応力-ひずみモードで動作するユニバーサルテスタ(Test Resources,Shakopee,MN)に取り付けられた。各試験ストリップを5回試験し、結果を平均化した。
【0038】
たわみ試験の結果を表1に示す。結果は、より厚いパッドおよび剛性のサブパッドまたはバッキング層を有するパッドは、3インチのたわみにより高い力を必要とし、したがって、より剛性であるとみなされることを示している。サブパッドの厚さおよびトップパッドの厚さの差を加えたものから合計の厚さを引いたものが、サブパッドとトップパッドとの間の接着剤層の厚さである。
【表1】
【0039】
実施例2
本実施例は、積極的な研磨条件下でのパッド摩耗に対するマイクロチャネル接着剤の効果を示している。
【0040】
異なるプラテン接着剤を使用して、同一の研磨パッドを比較した。E6088研磨パッド(Cabot Microelectronics,Aurora IL)がマイクロチャネル接着剤(2B)または平面接着剤(2Aおよび2C)のいずれかで積層された。異なる構成のE6088パッドの剛性が実施例1に示されている。比較として、市販の研磨パッドIC1010(Rohm and Haas Electronic Materials)が使用された。IC1010の剛性が実施例1に示されている。IC1010は、試験されたパッド材料の中で最も剛性が高かった。
【0041】
研磨パッドは、市販のシリカベースの研磨スラリーD9228(Cabot Microelectronics)、およびTEOSブランケットウェーハを使用して、以下の条件下で試験された。研磨試験では、CTSポリッシャーモデルAP300(Creative Technology Solutions)を使用して、プラテン速度120rpm、研磨ダウンフォース4psi、スラリー供給速度250mL/分を使用した。パッドは、12lbfの圧力で市販のCMPダイヤモンドコンディショナでコンディショニングされた。4~5時間の研磨に各パッドを使用した後、摩耗を分析した。パッドは、研磨面の摩耗について視覚的に検査された。例えば、溝構造が見えない領域など、過度に摩耗した領域をパッド禿げスポット(スポット禿げカウント)としてカウントし、パッド禿げスポットの数を記録した。図1は、スポット禿げカウントとみなされる可視化されたパッド摩耗の例を示している。
【0042】
下の表2は、試験したパッドのパッド禿げスポットカウントを示している。表から明らかなように、マイクロチャネル接着剤を使用したE6088パッドには禿げスポットがなく、一方で平面接着剤を使用した同じパッドでは、その数が大幅に増加し、6つの禿げスポットがあった。さらに、剛性のサブパッドを備えたE6088パッドでも、禿げスポットは見られなかった。
【表2】
【0043】
この実施例に示されているデータから明らかなように、剛性が低く、平面接着剤を使用している研磨パッドには、スポット禿げ(2A)の問題がある。マイクロチャネルを有する接着剤を使用することで、低い剛性の研磨パッド(2B)におけるスポット禿げ欠陥を防止する。
【0044】
実施例3
本実施例は、シミュレートされた加速された摩耗条件下でのパッド上のスポット禿げに対するマイクロチャネル接着剤の効果を示している。
【0045】
たわみ試験で剛性が低いと判定された研磨パッドは、テクスチャ加工されていない除去可能なプラテン接着剤またはマイクロチャネルプラテン接着剤で積層されている。さらに、剛性の研磨パッドは、テクスチャ加工されていない除去可能なプラテン接着剤およびマイクロチャネルプラテン接着剤で積層されている。剛性の研磨パッドは、通常使用されるよりも注意を払わずにプラテンに設置されている。このことは、設置中に気泡を閉じ込める可能性を高めるために行われている。切削機械は、パッド最上層の約0.020インチの均一な深さを除去するコンピューター数値制御切削機械(Multicam CNC切削機械など)である。この試験は、研磨パッドとプラテンとの間に閉じ込められた気泡によるスポット禿げ領域を特定するための加速した摩耗試験を提供する。
【0046】
加速した試験の結果は、研磨試験の結果と同じである。マイクロチャネルプラテン接着剤は、低い剛性のパッドでのスポット禿げの問題、または注意を払わずに設置したより剛性のパッドの問題を解消する。
【0047】
本明細書に引用された刊行物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個々にかつ具体的に参照によって組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで参照によって本明細書に組み込まれる。
【0048】
(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」という用語および同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照する簡略方法としての役割を果たすことを単に意図しており、各別個の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適な順序で実行することができる。本明細書において提供されるありとあらゆる実施例、または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須であるとしていかなる特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。本発明を行うための本発明者らに既知の最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切なものとして用いることを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたとおりではなく別の方法で実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変形および同等物を含む。さらに、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、それらのすべての可能な変形における上記のあらゆる任意の組み合わせが本発明に包含される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】