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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-11
(54)【発明の名称】結像デバイス向けの自動焦点方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20210101AFI20220704BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20220704BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20220704BHJP
【FI】
G02B7/28 M
G02B7/28 J
G02B21/00
G03F1/84
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566467
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2020025213
(87)【国際公開番号】W WO2020224808
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】102019112156.6
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】ザイデル ディルク
【テーマコード(参考)】
2H052
2H151
2H195
【Fターム(参考)】
2H052AD09
2H052AF02
2H151AA10
2H151AA11
2H195BD11
2H195BD17
2H195BD20
(57)【要約】
本発明は、結像光学ユニット(9)と、測定される物体(3)と、反射照明を有する自動焦点デバイス(1)とを備える(半導体リソグラフィ用)結像デバイス(2)向けの自動焦点方法であって、a)物体(3)の表面上に少なくとも3つの基準測定ポイント(20)M(xj,yj)を定めるステップと、b)定められた基準測定ポイント(20)M(xj,yj)において、自動焦点デバイス(1)の焦点平面(22)からの物体(3)の表面の公称位置のずれAz(M)jを決定するステップと、c)少なくとも3つの基準測定ポイント(20)M(xj,yj)からのずれAz(M)jを記憶するステップと、d)記憶されたずれAz(M)jを使用して表面の任意のポイント(21)P(xk,Yk)におけるずれAz(P)kを決定するステップと、e)ずれAz(P)kを使用してポイント(21)P(xk,Yk)に焦点合わせするステップとを含む自動焦点方法に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学ユニット(9)と、測定される物体(3)と、反射照明を有する自動焦点デバイス(1)とを備える(半導体リソグラフィ用)結像デバイス(2)向けの自動焦点方法であって、
a)前記物体(3)の表面上に少なくとも3つの基準測定ポイント(20)M(xj,yj)を定めるステップと、
b)前記定められた基準測定ポイント(20)M(xj,yj)において、前記自動焦点デバイス(1)の焦点平面(22)からの前記物体(3)の前記表面の公称位置のずれAz(M)jを決定するステップと、
c)少なくとも3つの基準測定ポイント(20)M(xj,yj)からの前記ずれAz(M)jを記憶するステップと、
d)前記記憶されたずれAz(M)jを使用して前記表面の任意のポイント(21)P(xk,yk)におけるずれAz(P)kを決定するステップと、
e)前記ずれAz(P)kを使用して前記ポイント(21)P(xk,yk)に焦点合わせするステップと
を含む、自動焦点方法。
【請求項2】
必要な精度でずれAz(M)jを決定することができる基準測定ポイント(20)M(xj,yj)だけが使用されること
を特徴とする、請求項1に記載の自動焦点方法。
【請求項3】
前記物体(3)の設計記述が、前記基準測定ポイント(20)を前記定めることにおいて考慮されること
を特徴とする、請求項2に記載の自動焦点方法。
【請求項4】
構造のないポイントだけが、前記基準測定ポイント(20)M(xj,yj)を前記定めることにおいて考慮されること
を特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の自動焦点方法。
【請求項5】
前記結像光学ユニット(9)を用いた前記表面のポイント(21)P(xk,yk)の結像の間、前記記憶されたずれAz(M)jに基づいて前記ずれAz(P)kが補間され、前記焦点合わせに考慮されること
を特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の自動焦点方法。
【請求項6】
前記物体(3)の前記表面上の任意のポイント(21)P(xk,yk)に対する前記ずれAz(P)を予測するための前記補間が、線形もしくは多項補間モデル、または薄板基準関数、ルジャンドル多項式もしくはゼルニケ多項式に基づく補間モデルに基づいていること
を特徴とする、請求項5に記載の自動焦点方法。
【請求項7】
前記補間に必要な数の基準測定ポイント(20)M(xj,yj)のみについて前記ずれAz(M)jが決定されること
を特徴とする、請求項5または6に記載の自動焦点方法。
【請求項8】
前記方法が、前記結像デバイス(2)で前記物体(3)の実際の測定の前に実行されること
を特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の自動焦点方法。
【請求項9】
前記方法が、前記結像デバイス(2)の温度制御および/または安定化の間に実行されること
を特徴とする、請求項8に記載の自動焦点方法。
【請求項10】
少なくとも1つの測定ポイント(21)P(xk,yk)についての前記ずれAz(P)kが、動作中に補正値ΔAkによって補正されること
を特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の自動焦点方法。
【請求項11】
前記補正値ΔAkが、圧力、温度、湿度、または機械的なずれの変化に基づいて決定されること
を特徴とする、請求項10に記載の自動焦点方法。
【請求項12】
前記補正値ΔAkが、前記結像デバイス(2)の焦点測定に基づいて決定されること
を特徴とする、請求項10に記載の自動焦点方法。
【請求項13】
測定ポイント(21)P(xk,Yk)において前記補間されたずれAz(P)kについての前記補正値ΔAkが、以前の測定ポイントP(xk-1,yk-1)における焦点測定に基づいて決定されること
を特徴とする、請求項12に記載の自動焦点方法。
【請求項14】
前記補正値ΔAkが再帰的に合計されること
を特徴とする、請求項13に記載の自動焦点方法。
【請求項15】
前記物体(3)が、半導体リソグラフィ向けの投影露光装置のフォトマスク(3)として具体化されること
を特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の自動焦点方法。
【請求項16】
前記物体(3)が、半導体リソグラフィ向けの投影露光装置のフォトマスク(3)用の基板(3)として具体化されること
を特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の自動焦点方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ドイツ国特許出願DE102019112156.6の優先権を主張するものであり、その内容はすべて本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、結像(imaging)デバイス向けの自動焦点(autofocusing:オートフォーカス、自動合焦)方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体業界、例えば多くの測定機器でフォトマスクとして具体化され得る基板などの物体の計測では、物体およびその部分的な領域の鮮明な像、いわゆる視野(FoV:field of view)を得るために、物体を結像系の焦点に合わせなければならない。通常、物体の複数の部分領域が測定され、物体が部分領域ごとに再焦点されなければならず、つまり、表面が結像デバイスの焦点に位置付けられる必要がある。高スループットを保証するために、この焦点合わせはできるだけ速く、つまり可能である最も少数の試験測定により、行なわれるよう意図される。結像方向(z軸)においてデフォーカス(defocus)領域とも称される期待焦点周りの領域が多くの個々の像で測定され、これらの像から最も鮮明な像、つまり焦点が決定される先行技術で既知の焦点合わせの1タイプは、スループットの点で条件を満たさない。照明光の波長のずれ(wavelength deviation:波長の偏差等)または物体の位置付け誤差などのすべての既知の機械パラメータの除去の後、焦点が見つかると意図される領域は、単に物体の未知の厚さおよび表面形状である。焦点が見つかると意図されるz方向のこの領域は、数μmのサイズである。現在の計測ツールでは、自動焦点測定の精度は1nm~50nmの倍率のものが意図されている。
【0004】
ドイツ国特許DE102008005356B4は、専用の結像光学ユニットを備える自動焦点デバイスを用いる自動焦点方法を開示している。例えば格子(grating)などの傾きのある構造化された自動焦点基板が、格子の像がフォトマスクに反射され、その結果照射ビーム経路が折り返されるような方法で、自動焦点デバイスのビーム経路に導入される。格子の像は、初めに第2の焦点平面(focal plane)に、そこから例えばCCDカメラなどのカメラに結像される(image)。ビーム経路における格子の傾きは、結像される像面の像に対して可変である基板上の格子構造のコントラストとなる。像面に対するコントラスト変化のコントラスト最大の場所から、ならびに結像デバイスの焦点平面に対応する第2の焦点平面と第1の焦点平面との距離および物体の公称位置(nominal position)の情報により、物体の公称表面からの表面のずれ(deviation:偏差等)を決定することが可能である。物体の位置は、ずれに対して補正することが可能であるため、物体を結像デバイスの焦点に位置付けることができる。
【0005】
この方法には、自動焦点デバイスから結像デバイスへの切り替えおよびその逆が系を機械的に刺激して、平面内、つまりx方向、y方向における物体の位置付けに悪影響を及ぼすことにより測定誤差につながるという短所がある。さらには、特定の物体構造、特に規則的な物体構造では、そのような物体構造への自動焦点の間、物体構造と自動焦点デバイスの格子との間でモアレ効果が生じる可能性があり、これにより焦点がコントラスト変化の結果であると判断することがより困難となるか、不可能となる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、先行技術の上述の短所を除去する方法を定めることである。
【0007】
この目的は、独立請求項の特徴を有する方法により達成される。従属請求項は、本発明の有利な発展形および変形形態に関する。
【0008】
本発明による、結像光学ユニットと、測定される物体と、反射照明を有する自動焦点デバイスとを備える(半導体リソグラフィ用)結像デバイス向けの自動焦点方法は、以下の方法ステップを含む:
a)物体の表面上に複数の基準測定ポイントM(xj,yj)を定める(define:定義する)こと
b)定められた基準測定ポイントM(xj,yj)において、自動焦点デバイスの焦点平面からの物体の表面の公称位置のずれAz(M)jを決定すること
c)少なくとも3つの基準測定ポイントM(xj,yj)からのずれAz(M)jを記憶すること
d)記憶されたずれAz(M)jを使用して表面の任意のポイントP(xk,yk)におけるずれAz(P)kを決定すること
e)ずれAz(P)kを使用してポイントP(xk,yk)に焦点合わせすること。
【0009】
結像デバイスは、例えばレチクルとも称されるフォトマスクとして具体化される物体を検査するために使用される顕微鏡として具体化することができる。構造がフォトマスク上に配置され、投影露光装置で集積回路を製造する目的で、この構造がウエハ上で結像される。フォトマスクでは、その構造にいかなる欠陥もあってはならないが、それはそのような欠陥が回路のすべてに複製されることになるからであり、そのような理由でフォトマスクは非常に正確に欠陥をチェックされる。この目的のために、他の測定機器によって予め識別されたフォトマスクの少なくとも部分的な領域が、例えば顕微鏡を使用して検査される。この場合、フォトマスクの構造は、それ自身の場所に対してサブナノメータ範囲で測定可能でなければならない。
【0010】
z精度との関連性は、系のテレセントリック性(=「斜め照明」)により与えられる。照明が正確にセントリックでなく、フォトマスクの表面に対する垂線に、例えば10mradの小さな角を有する場合、dz=10nmのマスクのデフォーカスは、測定される構造10mrad*10nm=0.1nmの位置誤差に変換される。したがって、焦点合わせの精度、つまりz方向の精度が1~50nmの範囲である場合、特に1~20nmの範囲であれば、有利である。その目的のために、まず公称表面からの表面のずれAz(M)jが確認され、このずれは、結像デバイスに対して、したがって結像光学ユニットの焦点ポイントに対して物体の既知の位置が与えられる場合、焦点合わせに使用することができる。
【0011】
焦点合わせの必要な精度を達成するために、例えば必要な精度でずれAz(M)jを決定することができる基準測定ポイントM(xj,yj)だけが使用される。例として、フォトマスクの表面上の複数のポイントを、そこに存在する構造の情報なしに動かして、測定することができる。動かされた場所に構造があるかどうかに関わらず、自動焦点の評価に基づいて、ずれAz(M)jが十分正確に決定することができたかどうかに関する決定を行なうことができる。特に、問題となるモアレ効果がないかどうかを確かめることが可能である。その場合にのみ、このポイントM(xj,yj)についてのずれAz(M)jが記憶される。この場合、十分な精度の測定の数が、実行されるすべての測定の数に関して妥当な比であることを確実にするよう注意するべきである。
【0012】
特に、物体の設計記述を、基準測定ポイントを定めることにおいて考慮することもできる。
【0013】
この点において、例として、構造を持たない物体上のポイントだけを、基準測定ポイント(xj,yj)を定めることにおいて考慮することができる。これには、物体の表面上の構造の影響が、ずれAz(M)jの決定の精度に影響せず、必要とされる基準測定ポイントの数と同じ数の測定だけを実行すればよいという利点がある。この目的のために、フォトマスクの構造の場所およびタイプの正確な情報が、測定に先立って必要とされ、これらは製造業者のみが知っている場合が多い。したがって、そのような場合、基準測定ポイントM(xj,yj)を、フォトマスクの製造業者によって定めることもできる。さらなる変形例では、例として、後に仕上げ加工されるウエハが個々の回路に分離される構造化領域間の分離線上の場所を、基準測定ポイントM(xj,yj)として使用することもできるが、このようないわゆるトレンチには構造が配置されないためである。さらに上述したようなずれAz(M)jの決定の精度チェックを、品質保証のためにさらに実行することができる。十分な数の基準測定ポイントM(xj,yj)が十分な精度で決定され記憶された後、フォトマスクの実際の観察を始めることができる。
【0014】
方法の一変形例では、結像光学ユニットを用いた表面のポイントP(xk,yk)の結像の間、記憶されたずれAz(M)jに基づいてずれAz(P)kが補間される。
【0015】
特に、物体の表面上の任意のポイントP(xk,yk)に対するずれAz(P)kを予測するための補間は、線形もしくは多項補間モデル(linear or polynomial interpolation model)、または薄板基準関数(thin plate basis function)、ルジャンドル多項式(Legendre polynomial)もしくはゼルニケ多項式(Zernike polynomial)に基づく補間モデルに基づくことができる。
【0016】
フォトマスクの表面上に生じる欠陥に応じて、補間に好適な方法を選ぶことができる。例として、フォトマスクの表面欠陥が長波の性質である場合、ずれがずれAz(P)kに対して精度要件を満足できることを、基準測定ポイントM(xj,yj)に基づいて十分正確に表面を予測するには、3次または5次の多項式が既に十分で可能性がある。
【0017】
表面欠陥のタイプは、例えば十分正確に表面欠陥を記述する補間に必要な数の基準測定ポイントM(xj,yj)のみについてずれAz(M)jが決定されるように、通常事前に分かっている。5次の補間の場合では、6×6の測定で十分である。マスク上での15×15~20×20ポイントの測定の場合、焦点合わせ測定の数は最小化されることが有利である。
【0018】
焦点合わせ測定は一度だけ実行されればよいという事実により、例えば説明される方法を、結像デバイスにおける実際の物体の測定の前に実行することができる。
【0019】
特に、方法は、結像デバイスの温度制御および/または安定化の間に実行することができる。物体が挿入された後、xy平面内の位置付けに対するサブナノメータ要件のため、最初の測定の前に、例えば15分、特に10分、特に1分である一定時間、系を温度制御にかける必要があり、位置付けを安定化させなければならない。したがって、この、いわゆるソーキング時間を、基準測定ポイントM(xj,yj)の測定に用いることができる。z方向の表面の長波欠陥の結果として、測定中のx、y位置のずれはずれAz(M)jにおいて単に無視できる誤差となる。結果的に、ポイントP(xk,yk)における各測定前の焦点合わせ時間が節約されるだけでなく、加えて物体が結像デバイスに挿入された後のソーキング時間が、基準測定ポイントM(xj,yj)においてずれAz(M)jの測定に使用されることが有利である。
【0020】
方法の一変形例では、測定ポイントP(xk,yk)ごとのずれAz(P)kを、動作中に補正値ΔAkによって補正することができる。結像デバイスの動作および外部影響の結果として、物体の表面が無視できない程度に変わる可能性がある。この場合、物体の表面の変化は均一な効果を有しており、つまり表面の様々なポイントP(xk,yk)におけるずれAz(P)kは、同一の絶対値分だけ変わる。この場合、補正値ΔAkを使用するずれAz(P)kの補正は、ずれAz(P)k自身の確認とは無関係である。例えば、測定ポイントP(xk,yk)ごとにずれAz(P)kをテーブルに記憶するよう、結像デバイスへの挿入の前に、表面を干渉計によって正確に測定しておくことも考えられる。この場合も、以下で説明するようにずれAz(P)kの補正を適用することができる。
【0021】
特に、補正値ΔAkは、圧力、温度、湿度、または機械的なずれの変化に基づいて決定することができる。これらのパラメータによる物体の表面に対する影響は、前もって決定することができ、パラメータは、基準測定ポイントM(xj,yj)のずれAz(M)jの決定の間、および測定ポイントP(xk,yk)の検査の間の両方で、結像デバイス内の好適なセンサによって検出することができる。好適なモデルの支援により、センサを用いて検出されたデータから補正値ΔAkを決定することができ、補間されたずれAz(P)kに追加することができる。
【0022】
加えて、補正値ΔAkは、結像デバイスの焦点測定に基づいて決定することができる。
【0023】
特に、測定ポイントP(xk,yk)において補間されたずれAz(P)kについての補正値ΔAkは、以前の測定ポイントPk-1における焦点測定に基づいて決定することができる。物体の部分領域の検査には、いわゆるデフォーカススタック、つまり様々な焦点場所での多数の測定がたいてい実行される。最良焦点は、この測定のスタックから決定される。結像デバイスによって測定される最良焦点、つまり物体の表面が結像光学ユニットの焦点ポイントにある焦点は、今度はずれAztrue(P)kに変換され、同じポイントについて補間から決定されたずれAz(P)kと比較することができる。2つのずれAz(P)kとAztrue(P)kとの差異は、時点t0における測定ポイントP(xk,yk)の補正値ΔAkを与える。時点t1における次の測定ポイントP(xk,yk)では、kの値が1増分されており、補間から計算されるずれAz(P)kは、補正値ΔAk-1、つまり測定ポイントP(xk-1,yk-1)での時点t0における測定によって補正することができる。これは、最後の測定の時点t0と現在の測定の時点t1との間の時間期間にかけての周囲条件における変化の結果としての誤差を最小化する。周囲条件における変化は、表面全体に関係し、つまり周囲条件の結果として物体上で有意な局所的な変化は生じず、それにより個々の測定ポイントP(xk,yk)の補正値ΔAkは、すべての他の測定ポイントに対して同じように有効である。
【0024】
このように補正値ΔAkは再帰的に合計することができ、それにより、例えば、次の測定のためにずれAz(P)kとAztrue(P)kとの差異ΔDk(前記差異は現在の測定の間に確認される)がそれぞれ最後の補正値ΔAk-1に加算され、ずれAz(P)kは変化していないずれAz(M)jと補正値ΔAk-1に基づいた補間値から構成される。代替的に、確認された差異ΔDkを初めに決定したずれAz(M)jに再帰的に加算することも可能であり、それによってこれらがずれAz(P)kの補間において既に考慮される。この方法には、周囲の影響の結果としての物体の表面の変化が、やはり測定中に検出され、焦点値の決定に考慮されるという利点がある。
【0025】
本発明の一実施形態では、物体は半導体リソグラフィ向けの投影露光装置のフォトマスクとして具体化することができる。
【0026】
加えて、物体は、半導体リソグラフィ向けの投影露光装置のフォトマスク用の基板として具体化することができる。上述の方法により、基板を測定することが可能であり、混入物またはX平面およびY平面の表面の持ち上がりなど可能性のある欠陥をサブナノメータ範囲の精度で検出することが可能である。結果として、後に例えば、欠陥上に構造が存在しないように、または構造の非反射部分、いわゆる吸収体が欠陥上に位置付けられ得るように、基板上に構造を配置することが可能である。
【0027】
図面を参照して、以下で本発明の例示の実施形態および変形例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】先行技術による、結像デバイスの概略図である。
図2】先行技術による、結像デバイスのさらなる概略図である。
図3】平面視したフォトマスクの概略図である。
図4】本発明による方法に関するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、先行技術より既知である自動焦点デバイス1の実施形態を示しており、前記自動焦点デバイスは、リソグラフィマスク3として具体化される物体を調べるために結像デバイス内に配置され、前記結像デバイスは顕微鏡2として具体化されている。顕微鏡2は、光源4を備え、光源4は波長が193nmであるインコヒーレント、コヒーレントまたは部分的にコヒーレントな光照射を放出する。光照射は、第1の偏向ミラー(deflection mirror)5および第2の偏向ミラー6を介して結像対物部(imaging objective:結像対物レンズ等)7に案内され、この対物部によってリソグラフィマスク3に照射目的で向けられる。
【0030】
物体3の一部の像を生成するために、物体3は、共に結像光学ユニット9を形成する結像対物部7、部分的に透明な偏向ミラー6さらに管状光学ユニット8によってCCDカメラ10で結像される。例として、リソグラフィマスク3の位置合わせ印の側方位置を、顕微鏡2によって非常に正確に決定することができる。CCDカメラの代わりに、CMOSカメラまたは何らかの他の結像センサを使用することもできる。
【0031】
顕微鏡2は、さらに対物ステージ11を有し、それによって物体3を横方向と、観察方向、つまりz方向との両方で位置付けすることができる。結果として、物体3が結像デバイス2の焦点、つまり結像デバイス2の焦点平面22に置かれるように物体3を位置付けすることができ、前記焦点平面が点線で示されている。
【0032】
自動焦点デバイス1は、焦点合わせ像で物体3を照射するために光源4および顕微鏡2の結像対物部7を使用し、焦点合わせ像を記録するために結像対物部7、管状光学ユニット8およびCCDカメラ9を使用する。
【0033】
この目的のために、初めに第1の偏向ミラー5、次に偏向ミラー16が、移動可能に具体化され、移動可能であることが図1では両方向矢印P1およびP2で示されている。
【0034】
示される例とは対照的に、自動焦点デバイス1だけが反射型で使用される限り、結像デバイス2は透過型として動作させることもできる。
【0035】
図2は、自動焦点動作の間の同じ結像デバイス2を示している。この場合、偏向ミラー5は光源4からの光照射5のビーム経路から外されていることによって光照射が第3の偏向ミラー12に入射しており、第3の偏向ミラー12は光照射を光照射の伝搬方向に対して45°傾いた格子13を通して方向付けている。しかしながら、傾きの角度は1~89°の範囲の任意の他の角度であることができる。偏向ミラー16は、格子構造が自動焦点光学ユニット14、さらなる偏向ミラー15および偏向ミラー16によって第2の偏向ミラー6上で結像され、さらに結像対物部7を通って物体3上で結像されるように動かされる。
【0036】
格子13は、例えば、透過ストリップと非透過ストリップとを交互に有するライン格子として具体化することができる。格子はx方向に周期的に延びる。
【0037】
焦点合わせの目的で、つまり物体3を結像デバイス2の焦点平面22に位置付ける目的で、物体は結像デバイス2の焦点において、その公称位置に位置付けられる。物体3の表面ずれは、数μmの範囲内であり、焦点測定の精度は1~50nmの間である。これは、公称位置付けの場合、たいてい物体3の表面は焦点にこないという効果がある。公称表面からの表面のずれを決定するために、CCDカメラ10のCCD検出器上に結像される格子構造の空間像(aerial image)が自動焦点デバイス1の制御ユニット17に与えられる。制御ユニット17は、物体3の表面のその公称位置からのずれを、強度分布に基づいて決定する。これは、測定されることが意図される物体3のその領域が結像デバイス2の焦点に位置付けられるよう、対物ステージ11を駆動するために用いられる。
【0038】
図3は、リソグラフィマスク3として具体化される物体3をx軸およびy軸と共に示しており、前記物体には6つの基準測定ポイント20が配置されている。前記基準測定ポイント20には、それぞれにz方向での表面のずれAz(M)jが決定される。これは、図1および図2を参照して説明したように先行技術より既知の方法によって決定することができるが、例えば干渉計などを用いて、その公称形態からの表面のずれAz(M)jのあらゆる他の非常に正確な決定が、この目的に使用される可能性もある。したがって、決定されたずれAz(M)jは、基準測定ポイントM(xj,yj)ごとに記憶され、それにより基準測定ポイントM(xj,yj)におけるずれAz(M)jを有する表を生ずる。図3は、白いままの円として図示される2つの測定ポイント21P(xk,yk)をさらに示しており、前記測定ポイントは例として結像デバイス2によって測定が実行されるよう意図される測定ポイント21を表現している。結像デバイス2において物体3を焦点合わせする目的で、図3には示されてはいないが、測定ポイントP(xk,yk)における表面のずれAz(P)kが分かっていなければならない。先行技術とは対照的に、ずれAz(P)kは先行技術より既知の焦点合わせ方法によって測定前に直接決定されず、代わりに基準測定ポイント20M(xj,yj)のずれAz(M)jから補間される。物体3の表面が長波欠陥の場合、例えば5次の補間多項式が、十分正確にずれAz(P)kを既に決定することができる。表面の形状に応じて、ずれAz(P)kの予測は、例えば3次もしくは7次のモデル、または薄板基準関数、ルジャンドル多項式もしくはゼルニケ多項式に基づく補間モデルなど、線形または何らかの他の多項補間モデルに基づいていることもできる。この場合、予測に必要な基準測定ポイント20の数は、用いられる補間モデルに依存する。この方法には、焦点合わせにかかる時間を最小限に低減できるという利点がある。
【0039】
図4は、結像デバイス向けの可能な自動焦点方法を説明している。
【0040】
第1の方法ステップ30は、物体の表面上に少なくとも3つの基準測定ポイント20M(xj,yj)を定めることを含む。
【0041】
第2の方法ステップ31は、定められた基準測定ポイント20M(xj,yj)において、自動焦点デバイスの焦点平面からの物体3の表面の公称位置のずれAz(M)jを決定することを含む。
【0042】
第3の方法ステップ32は、少なくとも3つの基準測定ポイント20M(xj,yj)からのずれAz(M)jを記憶することを含む。
【0043】
第4の方法ステップ33は、記憶されたずれAz(M)jを使用して、表面の任意のポイント21P(xk,yk)におけるずれAz(P)kを補間することを含む。
【0044】
第5の方法ステップ34はポイント21P(xk,yk)に焦点合わせすることを含む。
【0045】
この方法は、焦点合わせにかかる時間を最小限に低減し、物体の部分領域の測定中の偏向ミラー5、16のピボットイン(pivoting-in)の結果としての結像デバイスの刺激を回避する。
【符号の説明】
【0046】
1 自動焦点デバイス
2 顕微鏡
3 リソグラフィマスク
4 光源
5 第1の偏向ミラー
6 第2の偏向ミラー
7 結像対物部
8 管状光学ユニット
9 結像光学ユニット
10 CCDカメラ
11 対物ステージ
12 第3の偏向ミラー
13 格子
14 自動焦点光学系
15 さらなる偏向ミラー
16 さらなる偏向ミラー
17 制御ユニット
20 基準測定ポイントM(xj,yj
21 測定ポイントP(xk,yk
22 焦点平面
30 方法ステップ1
31 方法ステップ2
32 方法ステップ3
33 方法ステップ4
34 方法ステップ5
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】