(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】暗視野顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220706BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
G01B11/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560362
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2020059473
(87)【国際公開番号】W WO2020224882
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グーアデン,セバスティアヌス,アドリアヌス
【テーマコード(参考)】
2F065
2H197
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA20
2F065BB03
2F065CC17
2F065CC19
2F065CC25
2F065DD03
2F065FF48
2F065GG03
2F065GG04
2F065GG21
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL02
2F065LL04
2F065LL30
2F065LL47
2F065MM16
2F065PP24
2F065QQ14
2F065QQ31
2F065QQ42
2H197AA12
2H197CA06
2H197CA09
2H197CA10
2H197CC01
2H197CC02
2H197CC03
2H197CC05
2H197GA01
2H197HA03
2H197JA17
2H197JA22
2H197JA23
(57)【要約】
開示されるのは、対物レンズ配置と、0次放射を遮蔽するための0次ブロックと、を備える暗視野メトロロジデバイスである。対物レンズ(OL)配置は、測定される試料(W)に照明を向けると共にその試料からの散乱線を収集し、散乱線は、0次放射及びより高次の回折放射を備える。暗視野メトロロジデバイスは、照明角度の最大範囲の少なくとも2つの異なるサブセットにわたって照明をスキャンするための照明スキャンを実施するように、及び同時に、照明スキャンの少なくとも一部において検出角度の最大範囲の対応するサブセットにわたって0次ブロックと散乱線との両方のうち一方を互いに対してスキャンする検出スキャンを実施するように、動作可能である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明を測定される試料に向けるように及び前記試料からの散乱線を収集するように動作可能な対物レンズ配置であって、前記散乱線は0次放射及びより高次の回折放射を備えており、前記対物レンズ配置は照明経路において前記照明を受光するための照明角度の最大範囲と検出経路において前記散乱線を受光するための検出角度の最大範囲とを定義する、対物レンズ配置と、
前記0次放射を遮蔽するように動作可能な0次ブロックと、
を備える暗視野メトロロジデバイスであって、
前記暗視野メトロロジデバイスは、前記照明角度の最大範囲の少なくとも2つの異なるサブセットにわたって前記照明をスキャンするための照明スキャンを実施するように、及び同時に、前記照明スキャンの少なくとも一部において前記検出角度の最大範囲の対応するサブセットにわたって前記0次ブロックと前記散乱線との両方のうち一方を互いに対してスキャンする検出スキャンを実施するように、動作可能である、暗視野メトロロジデバイス。
【請求項2】
前記照明スキャンの際に前記0次が常に遮蔽されることを保証するために、前記検出スキャンは、前記照明スキャンの少なくとも一部と同期して同時に実施される、請求項1に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項3】
前記検出スキャンは、前記0次ブロックを移動させることを備える、請求項1又は2に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項4】
前記検出スキャンは、前記0次ブロックが固定された状態で前記0次ブロック上の前記散乱線をスキャンすることを備える、請求項1又は2に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項5】
前記照明スキャン及び検出スキャンは、同期を確保するために、共通の光学素子によって同時に実施される、請求項4に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項6】
前記照明スキャンは、前記照明角度の最大範囲の複数の異なるサブセットで実施され、その数は前記照明の前記コヒーレンスに依存する、請求項1から5のいずれか一項に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項7】
前記照明は、空間的にインコヒーレントであって、M個の空間モードを有し、
前記照明スキャンは、M*Kが試料レベルで利用可能な及び/又はアドレスされる前記空間モードの総数に概ね等しくなるように、前記照明角度の最大範囲のK個の異なるサブセットについて実施される、請求項6に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項8】
前記照明は、空間的にコヒーレントであり、
前記照明スキャン及び検出スキャンは、2段階で実施され、
第1の段階は、前記0次ブロックが前記散乱線に対して固定されている間に前記照明角度の最大範囲の第1の複数のサブセットにわたって前記照明スキャンを実施することを備え、
第2の段階では、前記照明角度の最大範囲の第2の複数のサブセットにわたって前記照明スキャン及び検出スキャンが同時に実施される、請求項6に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項9】
前記照明は、複数の照明ビームを備えると共に前記メトロロジデバイスの照明瞳に複数の瞳点を備えており、
少なくとも検討される各測定方向に対応する前記照明ビームに関しては、前記複数の照明ビームの一つ一つの各瞳点は、前記複数の照明ビームの他の照明ビームに対応する瞳点を有し、それによって対応する瞳点の複数のセットを定義し、
対応する瞳点の各セットの前記瞳点は、互いに対して空間的にコヒーレントである、請求項1から8のいずれか一項に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項10】
前記照明を供給する照明源は、コヒーレントであり、
前記照明スキャンは、前記照明が前記対応する瞳点の複数のセット以外についてはインコヒーレントであることを保証する、請求項9に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項11】
前記各瞳点は、前記同じ照明ビームの他の全ての瞳点に対して実質的に空間的にインコヒーレントである、請求項9又は10に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項12】
各照明ビームは、前記照明瞳に位置しており、それによって、周期構造による前記測定照明の散乱の後、対応するより高い回折次数が各照明ビームについて前記メトロロジデバイスの検出瞳でキャプチャされる、請求項9から11のいずれか一項に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項13】
前記複数の照明ビームは、検討される測定方向毎に1ペアの照明ビームを備え、キャプチャされる前記対応するより高い回折次数は各方向について相補的なより高い回折次数を備える、請求項12に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項14】
前記照明を前記対物レンズ配置に向かって選択的に輸送するためのファイバ束を備えると共に、前記照明スキャンが前記輸送を実施するための前記ファイバ束に含まれるファイバの異なるサブセットの順次選択によって行われるように動作可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項15】
集積回路製造制御プロセスの一部としてメトロロジを実施するように動作可能である、請求項1から14のいずれか一項に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項16】
前記メトロロジは、基板ステージ及び/又はレチクルステージのアライメントを実施するための露光前メトロロジを備える、請求項15に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項17】
前記メトロロジは、性能パラメータを測定するための露光後メトロロジを備える、請求項15に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項18】
前記性能パラメータは、オーバーレイ、焦点、ドーズ、クリティカルディメンジョン、又はエッジ配置エラーを備える、請求項16に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【請求項19】
前記試料は、メトロロジターゲットを備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の暗視野メトロロジデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は2019年5月6日に提出された欧州出願第19172766.8号の優先権を主張するものであり、同出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は暗視野顕微鏡法のための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又はいくつかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナと、を含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[0004] 複雑なデバイスの製造においては、一般的に、多くのリソグラフィパターニングステップが実施され、それによって基板上の連続する層に機能的フィーチャが形成される。したがって、リソグラフィ装置の性能の重要な一態様は、適用されるパターンを、前の層に(同じ装置又は異なるリソグラフィ装置によって)定められたフィーチャに対して、正確に且つ精度よく設置する能力である。この目的のために、基板には、1セット以上のアライメントマークが設けられる。各マークは、位置センサ、一般的には光学位置センサを用いて、後から位置を測定することのできる構造である。リソグラフィ装置は1つ以上のアライメントセンサを含み、そのアライメントセンサによって基板上のマークの位置を精度よく測定することができる。異なる製造業者及び同じ製造業者の異なる製品による様々なタイプのマーク及び様々なタイプのアライメントセンサが知られている。現在のリソグラフィ装置において幅広く使用されているあるタイプのセンサは、米国特許第6961116号明細書(den Boef他)に記載の自己参照干渉計に基づくものである。概して、X位置及びY位置を得るためには、マークが別々に測定される。しかしながら、米国特許出願公開第2009/195768A号明細書(Bijnen他)に記載された技術を用いると、X及びYの組み合わせ測定を実施することができる。そのようなセンサの変形及び応用が、米国特許出願公開第2015355554A1号明細書(Mathijssen)、国際公開第2015051970A1号(Tinnemans他)に記載されている。これらの全ての刊行物の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
[0005] リソグラフィプロセスを監視するために、パターンを付与された基板のパラメータが測定される。パラメータは、例えば、パターンを付与された基板の中又は上に形成された連続する層の間のオーバーレイエラーを含み得る。この測定は、製品基板に対して及び/又は専用のメトロロジターゲットに対して実施され得る。リソグラフィプロセスにおいて形成された微細構造の測定を行うためには、走査電子顕微鏡及び種々の専用ツールの使用を含め、様々な技術が存在する。高速で非侵襲性の形態の専用インスペクションツールがスキャトロメータである。スキャトロメータでは、放射ビームが基板の表面上のターゲットに向けられ、散乱又は反射したビームの特性が測定される。2つの主要なタイプのスキャトロメータが知られている。分光スキャトロメータは、広帯域放射ビームを基板上に向けて、特定の狭い角度範囲内に散乱した放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解スキャトロメータは、単色放射ビームを用いて、散乱線の強度を角度の関数として測定する。
【0006】
[0006] 既知のスキャトロメータの例は、米国特許出願公開第2006033921A1号明細書及び米国特許出願公開第2010201963A1号明細書に記載されているタイプの角度分解スキャトロメータを含む。そのようなスキャトロメータによって用いられるターゲットは比較的大きな、例えば40μm×40μmの格子であり、測定ビームはその格子よりも小さいスポットを生成する(すなわち、格子はアンダーフィルされる)。再構築によるフィーチャ形状の測定に加え、米国特許出願公開第2006066855A1号明細書に記載されているような装置を用いて、回折ベースのオーバーレイを測定することができる。回折次数の暗視野イメージングを用いた回折ベースのオーバーレイメトロロジは、より小さなターゲットについてのオーバーレイ測定を可能にする。暗視野イメージングメトロロジの例は、国際公開第2009/078708号及び国際公開第2009/106279号において確認することができる。両文献はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。技術の更なる発展は、米国特許出願公開第20110027704A号明細書、米国特許出願公開第20110043791A号明細書、米国特許出願公開第2011102753A1号明細書、米国特許出願公開第20120044470A号明細書、米国特許出願公開第20120123581A号明細書、米国特許出願公開第20130258310A号明細書、米国特許出願公開第20130271740A号明細書、及び国際公開第2013178422A1号に記載されている。これらのターゲットは照明スポットよりも小さくすることができ、ウェーハ上の製品構造に囲まれてもよい。複合格子ターゲットを用いて、1つの画像内で複数の格子を測定することができる。これらの全ての出願の内容もまた、参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
[0007] 暗視野顕微鏡、より一般的には上述したメトロロジデバイスなどには、照明及び検出の受光角度の範囲を限定させるという課題がある。なぜなら、受光角度の全範囲(角度分解瞳内の領域に対応する)が照明経路と検出経路とで共有されることが必要であるからである。これは照明及び検出の実効NAを限定する。
【0008】
[0008] 照明及び検出の実効NAは増大させるのが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様においては、照明を測定される試料に向けるように及びその試料からの散乱線を収集するように動作可能な対物レンズ配置であって、散乱線は0次放射及びより高次の回折放射を備えており、対物レンズ配置は照明経路において照明を受光するための照明角度の最大範囲と検出経路において散乱線を受光するための検出角度の最大範囲とを定義する、対物レンズ配置と、0次放射を遮蔽するように動作可能な0次ブロックと、を備える暗視野メトロロジデバイスが提供され、暗視野メトロロジデバイスは、照明角度の最大範囲の少なくとも2つの異なるサブセットにわたって照明をスキャンするための照明スキャンを実施するように、及び同時に、照明の少なくとも一部において検出角度の最大範囲の対応するサブセットにわたって0次ブロックと散乱線との両方のうち一方を互いに対してスキャンする検出スキャンを実施するように動作可能である。
【0010】
[0010] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思いつくであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011] 本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【0012】
【
図1】リソグラフィ装置を、半導体デバイスの生産設備を形成する他の装置と共に図示する。
【
図2】ターゲットの測定に用いられる暗視野スキャトロメータの模式図を備える。
【
図3】本発明の概念を適用可能なメトロロジデバイスの概略図である。
【
図4】本発明の概念を示す、3つの時間インスタンスにおける瞳表現である。
【
図5】本発明の第1の実施形態によるメトロロジデバイスの概略図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態によるメトロロジデバイスの概略図である。
【
図7】本発明の概念を適用可能なメトロロジデバイスの概略図である。
【
図8】(a)入力放射の瞳像と、(b)第1の実施形態による
図7のメトロロジデバイスの動作原理を示すオフアクシス照明ビームの瞳像と、(c)第2の実施形態による
図7のメトロロジデバイスの動作原理を示すオフアクシス照明ビームの瞳像と、を備える。
【
図9】(a)
図7に示される装置の典型的な検出瞳、及び、(b)照明NAが増大された同じ検出瞳、を示す。
【
図10】
図7のメトロロジデバイスに関する本発明の概念を示す、(a)照明瞳表現、(b)検出瞳表現、(c)(a)及び(b)のスキャン成分、である。
【
図11】本発明の第3の実施形態によるメトロロジデバイスの概略図である。
【
図12】本発明の第4の実施形態によるメトロロジデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0012] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0014】
[0013]
図1は、200において、リソグラフィ装置LAを、大量リソグラフィック製造プロセスを実施する産業生産設備の一部として示す。本例においては、製造プロセスは、半導体ウェーハのような基板上の半導体製品(集積回路)の製造用に適応されている。当業者であれば、このプロセスの変形において様々なタイプの基板を処理することにより多様な製品が製造可能であることを理解するであろう。半導体製品の生産は純粋に、今日大きな商業的意義を有するものの一例として用いられる。
【0015】
[0014] リソグラフィ装置(又は略して「リソツール」200)内には、202に測定ステーションMEAが示されると共に、204に露光ステーションEXPが示されている。206には制御ユニットLACUが示されている。本例において、各基板は、パターンを適用させるために、測定ステーション及び露光ステーションを訪れる。光リソグラフィ装置においては、例えば、投影システムを使用して、調整された放射及び投影システムを用いて製品パターンをパターニングデバイスMAから基板上に転写する。これは、放射感応性レジスト材料の層内にパターンの画像を形成することによって行われる。
【0016】
[0015] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。パターニングMAデバイスは、パターニングデバイスによって伝送又は反射される放射ビームにパターンを付与するマスク又はレチクルであってもよい。周知の動作モードはステッピングモードとスキャンモードとを含む。周知のように、投影システムは、所望のパターンを基板全体にわたる多くのターゲット部分に適用するべく、基板の支持システム及び位置決めシステム並びにパターニングデバイスと様々に協働し得る。固定パターンを有するレチクルの代わりにプログラマブルパターニングデバイスが用いられてもよい。放射は、例えば、深紫外(DUV)周波帯又は極端紫外(EUV)周波帯の電磁放射線を含み得る。本開示は、他のタイプのリソグラフィプロセス、例えば電子ビームによる、例えばインプリントリソグラフィ及びダイレクトライティングリソグラフィにも適用可能である。
【0017】
[0016] リソグラフィ装置制御ユニットLACUは、種々のアクチュエータ及びセンサの全ての移動及び測定を、基板W及びレチクルMAを受け入れるように及びパターニング動作を実施するように制御する。LACUは、装置の動作に関連する所望の計算を実施するための信号処理及びデータ処理能力も備えている。実用においては、制御ユニットLACUは多くのサブユニットからなるシステムとして実現され、そのサブユニットの各々がリアルタイムのデータ取得や装置内のサブシステム又はコンポーネントの処理及び制御に対処する。
【0018】
[0017] 露光ステーションEXPにおいてパターンが基板に適用される前に、基板は、種々の準備ステップを実行できるように、測定ステーションMEAにおいて処理される。準備ステップは、レベルセンサを用いて基板の表面高さをマッピングすること、及びアライメントセンサを用いて基板上のアライメントマークの位置を測定することを含み得る。アライメントマークは、公称では通常の格子パターンで配置される。しかしながら、マーク作成の精度不良に起因して、並びに基板の処理全体を通じて発生する基板の変形に起因して、マークは理想的な格子から外れる。その結果、装置が正確な場所に非常に高い精度で製品フィーチャを印刷しようとする場合、基板の位置及び配向を測定することに加え、アライメントセンサは、実用では、基板エリア全体にわたって多くのマークの位置を詳細に測定しなければならない。装置は、制御ユニットLACUによって制御される位置決めシステムを各々が備える2つの基板テーブルを有する、所謂デュアルステージタイプのものであってもよい。種々の準備ステップが実行され得るように、露光ステーションEXPで一方の基板テーブル上の1つの基板が露光されている間に、測定ステーションMEAでは他方の基板テーブル上に別の基板をロードすることができる。したがって、アライメントマークの測定には非常に時間がかかり、2つの基板テーブルを設けることは、装置のスループットの実質的な向上を可能にする。基板テーブルが測定ステーション並びに露光ステーションにあるときの基板テーブルの位置を位置センサIFが測定することができない場合には、両ステーションにおいて基板テーブルの位置が追跡されることを可能にするために、第2の位置センサが設けられてもよい。リソグラフィ装置LAは、例えば所謂デュアルステージタイプのものであってもよく、これは2つの基板テーブルと2つのステーションすなわち露光ステーション及び測定ステーションとを有しており、基板テーブルはステーション間で交換可能である。
【0019】
[0018] 生産設備内では、装置200は「リソセル」又は「リソクラスタ」の一部を形成し、これは装置200によるパターニングのために基板Wに感光性レジスト及び他のコーティングを適用するコーティング装置208も含む。装置200の出力側には、露光されたパターンを物理的なレジストパターンへと現像するために、焼成装置210及び現像装置212が設けられる。これらの全ての装置の間で、基板ハンドリングシステムが基板の支持及び1つの装置から次の装置への基板の搬送を引き受ける。集合的にトラックと称されることの多いこれらの装置は、トラック制御ユニットの制御下にある。トラック制御ユニット自体は監視制御システムSCSによって制御され、監視制御システムSCSはリソグラフィ装置制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。このように、異なる装置がスループット及び処理効率を最大化するように動作可能である。監視制御システムSCSは、各パターン付き基板を作成するために実施されるべきステップの定義を綿密に提供するレシピ情報Rを受信する。
【0020】
[0019] リソセルにおいてパターンが適用され現像されると、パターン付き基板220は、222,224,226に図示されるような他の処理装置へと搬送される。一般的な製造設備においては、広範囲の処理ステップが種々の装置によって実施される。例として、本実施形態における装置222はエッチングステーションであり、装置224はエッチング後のアニールステップを行う。更なる装置226等では、更なる物理的及び/又は化学的な処理ステップが適用される。実デバイスを作るためには、材料の堆積、表面材料特性の修正(酸化、ドーピング、イオン注入等)、化学的機械的研磨(CMP)などといった多様なタイプの動作が必要とされるであろう。装置226は、実用では、1つ以上の装置で行われる一連の様々な処理ステップを表し得る。別の一例としては、リソグラフィ装置によって定められた原版パターンに基づいて複数のより小さなフィーチャを生産するべく、自己整合多重パターニングの実施のための装置及び処理ステップが設けられてもよい。
【0021】
[0020] 周知のように、半導体デバイスの製造は、適当な材料及びパターンによって基板上に1層ずつデバイス構造を築き上げるために、こうした処理を何度も繰り返すことを伴う。よって、リソクラスタに到達する基板230は、新たに用意された基板であってもよいし、又は先にこのクラスタにおいてもしくは別の装置において完全に処理された基板であってもよい。同様に、必要な処理に応じて、装置226を去る基板232は、同じリソクラスタにおける後続のパターニング動作のために戻されてもよいし、異なるクラスタにおけるパターンニング動作を予定されてもよいし、又はダイシング及びパッケージ化に送られる完成品であってもよい。
【0022】
[0021] 製品構造の各層は異なる工程ステップのセットを必要とし、各層で用いられる装置226は完全にタイプが異なるものであり得る。また、装置226によって適用される処理ステップが名目上同じである場合でも、大型施設においては、異なる基板に対してステップ226を行うべく並行して動作する、恐らくは同一であると思われるいくつかの機械が存在し得る。これらの機械間の設定又は異常の小さな相違は、そうした相違が異なる基板に様々に影響することを意味し得る。エッチング(装置222)のような、各層にとって比較的一般的なステップでさえ、スループットを最大化するために、名目上は同一であるが並行して動作するいくつかのエッチング装置によって実施され得る。更に、実用においては、異なる層は、エッチングされる材料の詳細次第で、例えば化学エッチング、プラズマエッチングといった様々なエッチングプロセスや、例えば異方性エッチングのような特別な要件を必要とする。
【0023】
[0022] 前工程及び/又は後工程は、前述のように他のリソグラフィ装置において実施されてもよいし、異なるタイプのリソグラフィ装置においてさえ実施され得る。例えば、デバイス製造プロセスにおいて解像度やオーバーレイといったパラメータの要求が非常に厳しいいくつかの層は、要求が厳しくない他の層よりも高度なリソグラフィツールにおいて実施され得る。したがって、いくつかの層は液浸タイプのリソグラフィツールで露光されてもよく、その一方で他の層は「ドライ」ツールで露光される。いくつかの層はDUV波長で動作するツールで露光されてもよく、その一方で他の層はEUV波長放射を用いて露光される。
【0024】
[0023] リソグラフィ装置によって露光される基板が正確に且つ安定的に露光されるためには、後続の層間のオーバーレイエラー、線幅、クリティカルディメンジョン(CD)等の特性を測定するべく、露光済み基板を検査するのが望ましい。よって、リソセルLCが所在する製造設備は、そのリソセルにおいて処理された基板Wのうちいくつか又は全部を受け入れるメトロロジシステムも含む。メトロロジ結果は、直接又は間接に監視制御システムSCSに提供される。エラーが検出される場合には、特に、メトロロジをすぐに且つ迅速に行うことが可能で同じバッチの他の基板がまだ露光できるのであれば、後続の基板の露光に対して調節がなされてもよい。また、既に露光された基板は、取り除き、再処理して歩留まりを改善するか、あるいは廃棄してもよく、それによって、欠陥があることがわかっている基板の更なる処理を行うことが回避される。ある基板のいくつかのターゲット部分だけに欠陥がある場合には、良好なターゲット部分についてのみ、更なる露光が行われてもよい。
【0025】
[0024]
図1には、製造プロセスの所望の段階で製品のパラメータの測定を行うために設けられたメトロロジ装置240も示されている。最新のリソグラフィ生産設備におけるメトロロジステーションのよくある例は、例えば暗視野スキャトロメータ、角度分解スキャトロメータ、又は分光スキャトロメータといったスキャトロメータであり、これは装置222におけるエッチングの前に、220で現像された基板の特性を測定するために適用され得る。メトロロジ装置240を用いて、例えば、オーバーレイ又はクリティカルディメンジョン(CD)などの重要な性能パラメータが、現像済みレジストにおいて特定の精度要件を満たさないことを判定することができる。エッチングステップの前に、現像済みレジストを取り除き、リソクラスタを通じて基板220を再処理する機会が存在する。装置240からのメトロロジ結果242は、経時的に小さな調節を行う監視制御システムSCS及び/又は制御ユニットLACU206によって、リソクラスタにおけるパターニング動作の高精度の性能を維持するために使用可能であり、それによって製品が仕様外にされたり再処理を必要としたりするリスクが最小化される。
【0026】
[0025] また、処理済みの基板232,234及び入ってくる基板230の特性を測定するために、メトロロジ装置240及び/又は他のメトロロジ装置(図示しない)が適用されてもよい。メトロロジ装置は、オーバーレイ又はCDのような重要なパラメータを判定するために、処理済みの基板に対して使用されてもよい。
【0027】
[0026]
図2は単純な暗視野顕微鏡又はメトロロジデバイス配置を示す。暗視野メトロロジ装置において、0次放射は検出光学素子から遮蔽され、したがってキャプチャされる暗視野像はより高次の回折放射のみを備える(迷光を無視する)。これは、瞳(フーリエ平面)を(0次がターゲットに許容される)照明角度の範囲と(より高次の散乱光が進むことが予期される)許される検出角度の範囲とに分けることによって実現される。これは瞳を(複数の隔離領域を備え得る)相互排他的な照明領域と(やはり複数の隔離領域を備え得る)検出領域とに効果的に分割する。これらは以下ではそれぞれ照明瞳及び検出瞳と称される。
【0028】
[0027]
図2において、光源LSは放射を提供し、その放射はレンズシステムL1,L2によって収集される。照明瞳IPでは、ブロックが照明形状を定義する。本例においては、中心ビームCBが遮蔽されて照明瞳IPにおける輪帯照明プロファイルを定義する。照明は、レンズL2によって、測定される試料T上に合焦される。試料Tによって回折された光は、対物レンズOLによって収集されると共にディテクタDET上に合焦される。0次ブロック0Bは試料Tからの0次放射を遮蔽する。結果として得られる検出瞳DPは、(検出NAを定義する)回折照明に利用可能なエリアDを示す。したがって、照明Iに使用されており検出には利用可能でないエリア、及び更には0次の周囲に散乱する光の抑制を限定する適当な0次ブロックマージン0Mも示される。
【0029】
[0028]
図3(a)は、リソグラフィプロセスのメトロロジ用途に特に適合されたタイプの例示的な暗視野メトロロジ装置を示す。代替的なメトロロジ装置は、例えば国際公開第2017/186483A1号に開示されるもののようなEUV放射を用い得る。ターゲット構造T及びターゲット構造を照明するために用いられる測定放射の回折光線は、
図3(b)により詳細に示されている。メトロロジ装置は、独立型のデバイスであってもよいし、又は、例えば測定ステーションでリソグラフィ装置LAに、もしくはリソグラフィックセルLCに組み込まれていてもよい。装置全体でいくつかの分岐を有する光軸が点線Oによって表されている。この装置において、源11(例えばキセノンランプ)によって出射された光は、レンズ12,14及び対物レンズ16を備える光学系によって、ビームスプリッタ15を介して基板W上に向けられる。これらのレンズは、4F配置の二重配列で構成される。ディテクタ上に基板画像を依然として提供し、且つ同時に空間周波数フィルタリングのための中間瞳面へのアクセスを可能にするのであれば、異なるレンズ配置が用いられてもよい。したがって、放射が基板に入射する角度範囲は、ここでは(共役)瞳面と称される基板面の空間スペクトルを表す平面における空間強度分布を定義することによって、選択可能である。これは特に、対物レンズ瞳面の後方投影画像である平面内でレンズ12と14との間に適当な形状のアパーチャプレート13を挿入することによって、行うことができる。図示する例においては、アパーチャプレート13は13N及び13Sと標示された異なる形状を有しており、異なる照明モードが選択されることを可能にしている。異なるアパーチャを用いることによって、照明の他のモードが可能である。所望の照明モードの外側の不要な光は所望の測定信号と干渉するため、瞳面の残りの部分は暗いのが望ましい。
【0030】
[0029]
図3(b)に示されるように、ターゲット構造Tは、基板Wと共に、対物レンズ16の光軸Oに対して垂直に設置される。基板Wはサポート(図示しない)によって支持されてもよい。軸Oを外れた角度からターゲット構造Tに衝突する測定放射の光線Iは、0次の光線(実線0)と、2つの1次光線(一点鎖線+1及び二点鎖線-1)とを生じさせる。小さなターゲット構造がオーバーフィルされた状態では、これらの光線は、メトロロジターゲット構造T及び他のフィーチャを含む基板のエリアをカバーする多くの平行な光線の1つにすぎないことに留意すべきである。プレート13のアパーチャは(有用な量の光を許容するのに必要な)有限の幅を有するので、入射光線Iは実際にはある角度範囲を占め、回折された光線0及び+1/-1はいくらか広がるであろう。小さなターゲットの点拡がり関数に従って、各次数+1及び-1はある角度範囲にわたって更に広がり、図示されるような単一の理想的な光線にはならないであろう。なお、ターゲット構造の格子ピッチ及び照明角度は、対物レンズに進入する1次の光線が中心光軸と密に位置合わせされるように設計又は調整されることができる。
図3(a)及び3(b)に図示された光線は、図中でより容易に区別できるようにするだけのために、いくらか軸を外れて示されている。
図3に示されるアパーチャプレート13及び視野絞り21の特定の形状は、単なる例である。
【0031】
[0030] 基板W上のターゲット構造Tによって回折された少なくとも0次及び+1次は、対物レンズ16によって収集され、ビームスプリッタ15を通って戻るように方向付けられる。第2のビームスプリッタ17は回折されたビームを2つの測定分岐に分割する。第1の測定分岐では、光学系18が、0次及び1次の回折ビームを用いて、ターゲット構造の回折スペクトル(瞳面像)を第1のセンサ19(例えばCCD又はCMOSセンサ)上に形成する。各回折次数はセンサ上の異なる点に当たり、したがって画像処理は次数を比較対照することができる。センサ19によってキャプチャされた瞳面像は、メトロロジ装置を合焦させるため及び/又は1次ビームの強度測定を標準化するために用いることができる。瞳面像は、再構築など多くの測定目的でも用いることができる。
【0032】
[0031] 第2の測定分岐では、光学系20,22が、ターゲット構造Tの像をセンサ23(例えばCCD又はCMOSセンサ)上に形成する。第2の測定分岐には、開口絞り21が、瞳面と共役な平面内に設けられる。開口絞り21は、センサ23上に形成されるターゲットの像が-1又は+1の1次ビームからのみ形成されるように、0次回折ビームを遮蔽するように機能する。センサ19及び23によってキャプチャされた像は、像を処理するプロセッサPUに出力される。このプロセッサの機能は実施される測定の特定のタイプによって決まる。なお、「像」という用語は、ここでは広い意味で用いられる。-1次及び+1次のうち一方のみしか存在しない場合には、格子線の像自体が形成されないであろう。
【0033】
[0032] 瞳を相互排他的な照明瞳と検出瞳とに分割することの結果は、照明NA及び検出NAを減少させる必要があるということである。照明NAと検出NAとの間のトレードオフにはいくらかの柔軟性があるが、最終的に両方のNAを好適に大きくすることは、単一の瞳においては可能ではない。戻って
図2を参照すると、(角度の範囲、すなわち環幅によって定義される)照明NAは、僅か0.1程度である。0次ブロックマージンも約0.1のNAを備えており、検出NAを約0.6に限定している。
【0034】
[0033] 現在実現可能であるものと比較して増加された照明NA及び検出NAを提供する暗視野顕微鏡又はメトロロジデバイスを記載する。本明細書に記載の概念は、リソグラフィ用途で用いられるか他の用途で用いられるかに関わらず、どんな暗視野顕微鏡又はメトロロジデバイスにも適用可能である。リソグラフィ用途の文脈では、この概念は暗視野アライメントセンサデバイス及び(
図3に示されるような)露光後暗視野メトロロジデバイスに等しく適用可能である。
【0035】
[0034] この概念は、測定の際、照明瞳内の少なくとも2つの異なる場所の間で照明を移動させると同時に検出アパーチャを効果的に移動させることを備える。検出アパーチャの効果的な移動は、0次ブロックを、瞳内の回折/反射放射に関して、照明の各場所について0次放射を遮蔽するように移動させることによって実現され得る。0次ブロックを検出瞳内の回折/反射放射に関して移動させることは、0次ブロックを物理的に移動させること又は0次ブロックを固定されたままにして瞳内の回折/反射放射(もしくは両者の組み合わせ)を物理的に移動させる/方向付けることを備え得る。以下で0次ブロックを移動させることに言及する場合、0次ブロックが物理的に固定されており回折/反射放射線が照明に対応して方向付けられる状況を包含するものと理解することができる。
【0036】
[0035] より具体的には、メトロロジデバイスは、照明を測定される試料に向けるように及びその試料からの散乱線を収集するように動作可能な対物レンズ配置であって、散乱線は0次放射及びより高次の回折放射を備えており、対物レンズ配置は照明経路において照明を受光するための照明角度の最大範囲と検出経路において散乱線を受光するための検出角度の最大範囲とを定義する、対物レンズ配置と、0次放射を遮蔽するように動作可能な0次ブロックと、を備えている。暗視野メトロロジデバイスは、照明角度の最大範囲の少なくとも2つの異なるサブセットにわたって照明をスキャンするための照明スキャンを実施するように、及び同時に、その照明のスキャンの少なくとも一部において検出角度の最大範囲の対応するサブセットにわたって0次ブロックと散乱線との両方のうち一方を互いに対してスキャンする検出スキャンを実施するように動作可能である。
【0037】
[0036] 一実施形態においては、照明は、0次ブロックが0次放射を常に遮蔽するように位置決めされた状態で、2つよりも多くの場所にわたって移動される。この場合、0次は、照明に対応して全ての場所にわたって、又は代替的には必要なときにのみ0次を遮蔽するように、移動され得る(例えば、後者の場合には、第1段階で0次を移動させることなく中心エリアがスキャンされ、第2段階で周辺エリアが0次ブロックと同時にスキャンされる)。一実施形態においては、スキャンによってカバーされる場所の数は、放射源の空間的コヒーレンスと、ウェーハレベルで利用可能な及び/又はアドレスされる空間モードとに依存し得、例えばそれらは略等しいはずである(例えば20%以内又は10%以内)。
【0038】
[0037]
図4は基本的な原理を示す。同図は、スキャン時の3つの異なる時間インスタンスt1,t2,t3における照明瞳IP,IP’,IP’’及び検出瞳DP,DP’,DP’’を示している。各瞳は強度の角度分解スペクトルである。より具体的には、各外円の範囲はそれぞれ、照明を受光するための照明角度の最大範囲を表す最大照明NA(照明方向の最大NA)と、検出経路において散乱線を検出するための検出角度の最大範囲を表す顕微鏡対物系の最大検出NA(検出方向の最大NA)と、に対応する。いずれの場合も、最大NAは、純粋な一例として、0.95NAであってもよい。検出瞳DP,DP’,DP’’は0次ブロック0Bによって定義される。照明経路IPA及び0次ブロック経路0BPは、対応する蛇行線として示されている。各時間インスタンスにおいて、0次ブロック0Bは、照明瞳IP,IP’,IP’’の場所に応じて0次を遮蔽するように位置している。よって、0次ブロックは、照明Iが辿る経路に対応する経路に沿って、同じスピードで、しかし逆の方向でスキャンされる。
【0039】
[0038] 図示される蛇行経路は、基本的な概念を説明するための純粋に例示的なものである。蛇行経路が用いられた場合、瞳内のより大きなエリア(受光角度のより大きな範囲)がカバーされるように、パスはより密に束ねられるであろう。各空間モードが等しくアドレスされるように、各場所が等しい期間にわたってスキャンされるのが好適であろう。したがって、蛇行の終点でのドウェルを防止するために、螺旋形の経路が好適であろう。スキャンは連続的なものであってもよいし、又は照明の不連続な移動(及び0次ブロックの対応する移動)が行われてもよい。照明及び0次ブロックを、照明及び検出の両方について、利用可能な対物レンズNA全体にわたってこのようにスキャンすることが可能であることは理解されよう。よって、この配置は、暗視野顕微鏡の照明NA及び検出NAの各々が0.95程度であることを可能にする。同時に、0次ブロックマージンは、非常に柔軟でもありつつ、0.2~0.3NAに増加されることができる。
【0040】
[0039] スキャン箇所の数は、照明特性、特に放射の空間的コヒーレンスに依存し得ることに言及した。とりわけ、実施形態は次のものを含むであろう。
1) 空間的にコヒーレントな光源を使用して多数の位置(例えば100から1000、又は100から10000箇所)にわたってスキャンをすること。例えば、スキャンされる位置の数は、ウェーハレベルで利用可能な及び/又はアドレスされる空間モードの総数と等しくても(又は同程度であっても)よい。
2) 空間的にインコヒーレントな光源を使用して(例えばM個の空間モードで)より少ないスキャン位置(例えばK個の位置)にわたってスキャンをすること。ただし、M*Kは典型的には、ウェーハレベルで利用可能な及び/又はアドレスされるエタンデュ(すなわち空間モードの総数)に概ね等しいであろう(例えば20%以内又は10%以内)。
3) 空間的にコヒーレントな光源を使用して2段階スキャンをすること。第1段階のスキャンは、0次ブロックが(回折/反射ビームに対して)固定位置にある間に、例えば第1の領域内のM個の空間モードにわたって光源をスキャンする。これは直前の実施形態2)における単一のスキャン位置に概ね等しい。次に、第2段階のスキャンは、(例えばスキャン対象のエリアの残りの部分をカバーするように)例えば瞳内のK個のスキャン位置にわたって照明と0次ブロックとを一緒にスキャンする。
【0041】
[0040] 実施形態3)の利点は、明るい光源を有することと0次ブロックのエッジにおけるクリッピングの平均をとることとの組み合わせ(及び全ての実施形態に適用可能な、センサ欠陥と、角度依存性マーク効果と、対物瞳のエッジにおけるクリッピングと、の平均をとるという利点)を提供するということである。
【0042】
[0041] 典型的には、全てのスキャン位置の積分を備える1つのカメラ画像(例えば1msから100msの積分時間)をキャプチャできることが提案される。原則的に、各スキャン位置において高速カメラで個別の画像を撮り、次にそのデータを後処理する(例えば、画像を積分する/平均するよりも高度な何かをする)ことも可能である。
【0043】
[0042] 多くの顕微鏡及びセンサにおける課題は、高輝度光源及び空間的にインコヒーレントな照明の両方が同時に所望されることである。これは提案されるシステムの主たる利点ではないが、同システムは、これらの利点の両方を随意(for free)効果的に提供する。
【0044】
[0043]
図5は、提案される原理を組み込んだ、考え得る暗視野顕微鏡配置の概略図である。同図はレーザ光源LSを示しており、その出力は適当な方法(例えばコヒーレントな放射の実施形態についてはシングルモードファイバSMF)を介してシステム(すなわち光モジュールの内部)に連結されている。結果として生じる放射は、構成可能な光学デバイスM(例えば可倒式/スキャンミラー、デジタルマイクロミラーデバイス、又は同等のもの)を介し、ビームスプリッタBSを通じて、対物レンズOLへ及びサンプル(例えば基板W上のターゲット)上へ向けられる。散乱されたもの(例えば、0次及び+1及び/又は-1回折次数を備える回折及び反射放射)は、ビームスプリッタBSによって検出分岐に向けられる。0次ブロック0Bは0次(反射)放射を遮蔽し、その一方でより高次の放射はディテクタDET上に結像される。コントローラCONが光学デバイスMと0次ブロック0Bとを同時に記載されているように制御する(0次が常に遮蔽されることを保証するように、0次ブロック0Bを移動させながら利用可能な瞳内で照明を移動させる)。
【0045】
[0044]
図6は、十分に正確に行うことが難しいであろう光学デバイスMと0次ブロック0Bとの制御を同期化するという課題を取り除く、代替的な暗視野顕微鏡配置の概略図である。
図5と要素が同一である場合には再度の説明はしない。
【0046】
[0045] 本実施形態の主な相違は、0次ブロックF0Bが位置を固定されており、光学デバイスM1のみがコントローラCONによって制御されるという点である。しかしながら、デバイス内でのビームの方向付けは、同じ光学デバイスMが、ある範囲の受光角度にわたる照明放射と、検出瞳内の固定された0次ブロックF0Bに対する散乱線とを同時に方向付けるようになっており、それによって0次は照明スキャンの全体を通じて遮蔽される。図示される配置は、結果としてもたらされる照明の制御及び散乱線と0次ブロックとの相対位置の制御が、
図4に示されるものと実質的に同一に、又は
図5の配置による同時制御と同一のやり方で実施され得るようなものであろう。これを実現するための図示される具体的な配置は純粋に例示的なものであり(例えばビームスプリッタBS及びミラーM2を使用する)、当業者は、同様に作用すると思われる多くの異なる配置及び構成があることを認識するであろう。
【0047】
[0046] 上記の例においては、物理的なスキャンが、可倒式/スキャンミラー、デジタルマイクロミラーデバイス、又は同等のものなどの構成可能な光学デバイスMを用いて行われる。しかしながら、光学モジュールの内部の照明ビームのスキャンは不安定性を引き起こすおそれがある。したがって、別の一実施形態においては、照明角度の異なるサブセットを通じたスキャン(瞳内のスキャン)は、(おそらくはレンズアレイと組み合わせて)ファイバ束を用いて実施され得る。そのような一実施形態においては、ファイバ束は、光モジュールの外部の照明源から照明光学部品へ、照明放射を選択的に輸送する。スキャンは、ファイバ束のファイバのどのサブセットが同時にアクティブであるか(照明放射を輸送しているか)を選択することによって実現される。例えば、配置は、束内のファイバの各々を通じて個別に(又はより一般的にはファイバの異なるサブセットを通じて個別に)光を順次送ることによって、照明スキャンを実施し得る。光は、例えばファイバ束入力にある走査ミラーによって、又は当業者には自明であろう任意の他の手段によって、異なるファイバを通じて送られてもよい。よって、物理的スキャンがフーリエ平面で行われるのか像面で行われるのかに関係なく、照明瞳内の照明を(照明角度の異なるサブセットを通じて)スキャンする任意の方法を用いることができる。
【0048】
[0047] やはり提案される概念を適用可能な、コヒーレンスが最適化された具体的な暗視野メトロロジデバイスを次に簡潔に説明する。そのようなデバイスは、参照により本明細書に組み込まれる欧州出願第18195488.4号及び第19150245.9号に開示されると共により包括的に記載されている。
【0049】
[0048] このメトロロジデバイスは、複数の空間的にインコヒーレントな測定照明のビームを生成するように構成されており、それらのビームの各々(又は、それらのビームの、各々が測定方向に対応する測定ペアの、両方のビーム)は断面内に対応する領域を有しており、その断面についてはこれらの領域におけるビーム間の位相関係がわかっている。すなわち、対応する領域については相互の空間的コヒーレンスが存在する。そのようなメトロロジデバイスは、暗視野モードで許容可能な(最小の)干渉アーチファクト(スペックル)を有する小さなピッチのターゲットを測定することができる。そのようなメトロロジデバイスは、基板位置又はオーバーレイもしくは焦点など他の露光後パラメータを測定するための位置又はアライメントセンサとして用いられ得る。
【0050】
[0049]
図7は、そのようなメトロロジデバイスのとり得る一実装形態を示す。このメトロロジデバイスは実質的に、新規の照明モードを備える標準的な顕微鏡として動作する。メトロロジデバイス300は、デバイスの主要なコンポーネントを備える光モジュール305を備えている。照明源310(モジュール305の外部に位置しマルチモードファイバ315によって同モジュールに光学的に連結され得る)が、空間的にインコヒーレントな放射ビーム320を光モジュール305に提供する。光学コンポーネント317が、その空間的にインコヒーレントな放射ビーム320を、コヒーレントなオフアクシス照明ジェネレータ325に送給する。コヒーレントなオフアクシス照明ジェネレータ325は、空間的にインコヒーレントな放射ビーム320から複数(例えば4つ)のオフアクシスビーム330を生成する。コヒーレントなオフアクシス照明ジェネレータ325は、例えば位相格子を備え得る。これらのオフアクシスビーム330の特徴は、以下で詳細に説明される。必要な場合(例えば、コヒーレントなオフアクシス照明ジェネレータ325が位相格子を備えているとき)には、照明ジェネレータの0次は照明0次ブロック素子375によって遮蔽され得る。オフアクシスビーム330は(光学コンポーネント335及び)スポットミラー340を介して(例えば高NAの)対物レンズ345に送給される。対物レンズはオフアクシスビーム330を基板350上に位置するサンプル(例えば周期構造/アライメントマーク)上に合焦させ、オフアクシスビームはそこで散乱及び回折する。散乱したより高い回折次数355+,355-(例えばそれぞれ+1次及び-1次)は、スポットミラー340を介して伝搬して戻り、光学コンポーネント360によってセンサ又はカメラ365上に合焦され、そこで干渉して干渉パターンを形成する。その後、適当なソフトウェアを実行するプロセッサ380が、ディテクタ又はカメラ365によってキャプチャされた干渉パターンの1つ又は複数の像を処理することができる。(例えば固定された基準に対する)干渉パターンの縞の位置から、位置情報が判定され得る。よって、メトロロジセンサは、リソグラフィック製造プロセス又は他のメトロロジプロセスにおいて(例えば基板及び/又はレチクルステージの)位置合わせを実施するためのアライメントセンサとして使用することができる。
【0051】
[0050] 0次の(正反射的な)放射は、検出分岐内の適当な場所で、例えばスポットミラー340及び/又は別個の検出0次ブロック素子によって遮蔽される。なお、オフアクシス照明ビームの各々について0次反射がある。すなわち、本実施形態においては、合計で4つのこうした0次反射がある。4つの0次反射を遮蔽するのに適したアパーチャプロファイルの一例が、
図9(a)及び(b)に、422と標示されて示されている。よって、メトロロジデバイスは暗視野メトロロジデバイスとして動作した。
【0052】
[0051] このメトロロジデバイスの主概念は、必要な場合にのみ測定照明の空間的コヒーレンスを誘発することである。より具体的には、空間的コヒーレンスは、オフアクシスビーム330の各々の対応する瞳点のセット間で誘発される。更に具体的には、1セットの瞳点は対応する単一の瞳点をオフアクシスビームの各々に備えており、その1セットの瞳点は相互に空間的にコヒーレントであるが、各瞳点は同じビームの他の全ての瞳点に対してインコヒーレントである。このようにして測定照明のコヒーレンスを最適化することによって、小さいピッチのターゲットに対して暗視野オフアクシス照明を行うことが可能になるが、各オフアクシスビーム330は空間的にインコヒーレントであるから、スペックルアーチファクトは最小になる。
【0053】
[0052]
図8は、この概念を説明するための3つの瞳像を示している。
図8(a)は
図7の瞳面P1に関する第1の瞳像を示し、
図8(b)及び8(c)はそれぞれ
図7の瞳面P2及び瞳面P3に関する第2の瞳像を示す。
図8(a)は空間的にインコヒーレントな放射ビーム320を(断面図で)示し、
図8(b)及び8(c)は2つの異なる実施形態においてコヒーレントなオフアクシス照明ジェネレータ325によって生成されたオフアクシスビーム330を(断面図で)示す。どの場合も、外円395の範囲は顕微鏡の対物系の最大検出NAに対応する。これは、純粋な一例として、0.95NAであってもよい。
【0054】
[0053] 瞳の各々における三角形400は、互いに対して空間的にコヒーレントな1セットの瞳点を示す。同様に、バツ印405は、互いに対して空間的にコヒーレントな別の1セットの瞳点を示す。三角形は、バツ印及びビーム伝搬に対応する他の全ての瞳点に対して空間的にインコヒーレントである。(
図8(b)に示される例における)一般原則は、相互に空間的にコヒーレントな瞳点の各セット(点の各コヒーレントセット)は照明瞳P2内において他の全ての点のコヒーレントセットと同一の間隔を有するということである。よって、本実施形態においては、点の各コヒーレントセットは、他の全ての点のコヒーレントセットの瞳内における平行移動である。
【0055】
[0054]
図8(b)において、三角形400によって表される点の第1のコヒーレントセットの各瞳点の間の間隔は、バツ印405によって表される点のコヒーレントセットの各瞳点の間の間隔と等しくなければならない。この文脈における「間隔」は指向性である。すなわち、バツ印のセット(点の第2のセット)は三角形のセット(点の第1のセット)に対して回転不能である。よって、オフアクシスビーム330の各々はそれぞれにインコヒーレントな放射を備えているが、オフアクシスビーム330を合わせたものは、既知の位相関係(空間的コヒーレンス)を有する対応する点のセットを断面内に有する同一のビームを備えている。なお、点の各セットの点は等間隔である必要はない(例えば、本例における4つの三角形405の間の間隔は等しいことを要さない)。よって、オフアクシスビーム330は瞳内に対称的に配置されなくてもよい。
【0056】
[0055]
図8(c)は、この基本的概念が、ビーム330Xが第1の方向(X方向)に対応しビーム330Yが第2の方向(Y方向)に対応する場合に、単一の測定方向に対応するビームの間でのみ相互の空間的コヒーレンスを提供することにまで拡張可能であることを示す。本例において、四角形及びプラス記号はそれぞれ、三角形及びバツ印によって表される瞳点のセットと対応するが必ずしも空間的にコヒーレントではない瞳点のセットを示す。もっとも、バツ印は相互に空間的にコヒーレントであり、プラス記号も同様であり、バツ印はプラス記号の瞳における幾何学的な平行移動である。よって、
図8(c)においては、オフアクシスビームはペア毎にのみコヒーレントである。
【0057】
[0056] 本実施形態においては、オフアクシスビームは、方向、例えばX方向330X及びY方向330Yによって、別個に検討される。キャプチャされたX方向の回折次数を生成するビーム330Xのペアは、(点400Xのペアが相互にコヒーレントであり、点405Xのペアもそうであるように)互いに対してのみコヒーレントであればよい。同様に、キャプチャされたY方向の回折次数を生成するビーム330Yのペアは、(点400Yのペアが相互にコヒーレントであり、点405Yのペアもそうであるように)互いに対してのみコヒーレントであればよい。しかしながら、点400Xのペアと点400Yのペアとの間、あるいは点405Xのペアと点405Yのペアとの間には、コヒーレンスが存在する必要はない。よって、検討される各測定方向に対応するオフアクシスビームのペアにはコヒーレントな点のペアが含まれている。やはり、測定方向に対応するビームの各ペアに関しては、コヒーレントな点の各ペアは、他の全ての点のコヒーレントなペアの瞳内における幾何学的な平行移動である。
【0058】
[0057]
図9(a)は、4つ全てのオフアクシス照明ビーム420から得られる検出瞳表現(キャプチャされた次数のみ)を示す。キャプチャされた次数は、-1X方向回折次数425、+1X方向回折次数430、-1Y方向回折次数435、及び+1Y方向回折次数440を含む。記載されているように、これらの回折次数はカメラで結像され、そこで縞パターンを形成しながら干渉する。4つ(又はいくつかの単方向の実施形態においては2つ)のビーム425,430,435,435をキャプチャすると同時に4つの0次420を遮蔽する(ここでは0次ブロック422によって行われる)必要があるので、最大照明及び検出NAは、この場合、概ね0.2に限定される。
図9(b)は、照明NAが増加された場合に予期され得るものを示す。この場合、照明及び検出領域が重複し、暗視野メトロロジは不可能であろう。
【0059】
[0058]
図10は、本明細書に記載される概念が、この照明及び検出NAを約50%(例えば約0.3)有意に増大させるためにどのように用いられ得るのかを図示している。これは利用可能な空間モードの数を実質的に2倍にし、スペックルの更なる平均化を可能にする。この概念は、照明瞳IP内のより大きな照明瞳エリアIにわたってスキャンされるのが4つ全てのオフアクシス照明ビームであるという点以外は、同じである。これは
図10(a)に図示されている。結果として得られる検出瞳は
図10(b)に図示されている。同図は、
図9(a)の配置に対して、より大きい0次絞りマージン及び検出NAを示している。
【0060】
[0059]
図10(c)は、
図10(a)及び10(b)に図示されている瞳が(照明に関して及びそれに対応して0次絞りに関して)どのように4つの異なるスキャン場所からなるのかを示している。これについて、ビームは実質的に空間的にインコヒーレントであるため、装置は上記の実施形態2)によって説明される手法で動作している。0次絞りは、アパーチャとして示されているが、
図9の0次ストップ422と類似の形態をとってもよい。代替案として、装置は、(上記で実施形態3)として記載された)2段階スキャンの実施形態で動作してもよい。例えば、第1のスキャンは、例えば
図10(b)に図示される4つの場所のうち1つのエリアをカバーするように、0次ブロックが固定位置にある間に、例えば瞳のM個の場所を0.1NAと0.15NAとの間のディスクでスキャンしてもよい。例えば、0.15NAのディスクには、0.15NAのディスクの2×2を合算したものが概ね0.3NAをカバーするという利点がある。ディスク毎に0.1NAであれば、スキャンはM個=3×3=9つの位置を備え得る。第2のスキャンは、
図10(b)に図示される残りの3つの場所にわたって0次ブロックと同時に実施される。
【0061】
[0060]
図11は、
図5/6及び
図7に図示された装置の組み合わせの単純化された表現を示す。より具体的には、この配置は(
図5の配置に基づく配置が想定され得るものの)
図6に図示される配置に基づいているが、オフアクシス照明ジェネレータ(例えば位相格子)PGが追加されると共に残りの光学素子がそれに応じて適応されている。残りの配置は
図6に示されるものと実質的に同じであるため、更なる説明はしない。
【0062】
[0061]
図12は
図11の配置のバリエーションを示す。
図11においては、光源ILSは、マルチモードファイバMMFを介して輸送される空間的にインコヒーレントな光源である。
図12の実施形態では、コヒーレントな放射源CLSが用いられ、放射はシングルモードファイバSMFを介して輸送される。この実施形態のメトロロジデバイスの利点は放射がほとんどインコヒーレントであるということであるが、瞳内のいくつかのスキャンされた位置を積分/平均する効果はインコヒーレントな放射の効果に似ており(スペックルを平均化する)、よって、特にスキャンが多数の位置にわたるときには、コヒーレントな放射源を用いることができる。
【0063】
[0062] 本明細書において用いられる暗視野メトロロジ装置という用語は、用途に関係なく、任意の暗視野顕微鏡又は他のメトロロジデバイスを指し得る。0次放射は、メトロロジ装置の設定(例えば、測定が反射型又は透過型のいずれで実施されるか)に応じて、正反射的な放射又は透過放射を備える。より高次の回折放射は、任意の1つ以上の回折次数からの放射を備え得る(例えば1次だけでなく又は必ずしも1次ではない)。
【0064】
[0063] 本明細書に記載されたメトロロジデバイスとの関係において用いられる「放射」及び「ビーム」という用語は、1000~3000nm波長などの赤外波長を含む任意の波長範囲のあらゆるタイプの電磁放射線を網羅する。
【0065】
[0064] 上記の記載はリソグラフィ装置/スキャナの補正を説明しているが、決定された補正は、どのプロセスにでも用いられ得ると共に、層内に形成される構造の位置及び/又は寸法に対して影響のある、例えばエッチング装置など、IC製造プロセスのどの集積回路(IC)製造装置によっても用いられ得る。
【0066】
[0065] リソグラフィ装置に関係して用いられる「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、もしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm~20nmの範囲の波長を有する)、並びにイオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含む、あらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0067】
[0066] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
【0068】
[0067] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。本明細書における表現又は用語は限定でなく例示による記載のためのものであるので、本明細書の表現又は用語は、当業者によって教示及び案内の観点から解釈されるべきであることは理解されよう。
【0069】
[0068] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。
【国際調査報告】