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特表2022-532159マルチレベルRF電力パルシングのために高周波(RF)信号発生器の自動周波数調整を行う方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(54)【発明の名称】マルチレベルRF電力パルシングのために高周波(RF)信号発生器の自動周波数調整を行う方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566445
(86)(22)【出願日】2020-05-09
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2020032271
(87)【国際公開番号】W WO2020231881
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/846,586
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ウー・イン
(72)【発明者】
【氏名】パターソン・アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB01
2G084CC04
2G084CC08
2G084CC09
2G084DD02
2G084DD03
2G084DD38
2G084DD55
2G084HH05
2G084HH06
2G084HH25
2G084HH54
(57)【要約】
【解決手段】二次元周波数探索グリッドが、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点を表す第1座標軸と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点を表す第2座標軸とによって規定される。RF信号発生器は、第1動作状態における第1出力電力レベルと、第2動作状態における第2出力電力レベルと、を有する。RF信号発生器は、第1動作状態と第2動作状態とを周期的に繰り返すことによってマルチレベルRF電力パルシングモードで動作する。自動探索処理が、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の最適値と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の最適値とを同時に決定するために、二次元周波数探索グリッド内で実行される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作のために高周波(RF)信号発生器の自動周波数調整を行う方法であって、
第1動作状態における前記RF信号発生器の動作周波数設定点を表す第1座標軸を有すると共に第2動作状態における前記RF信号発生器の動作周波数設定点を表す第2座標軸を有する二次元周波数探索グリッドを規定する工程であって、前記RF信号発生器は、前記第1動作状態における第1出力電力レベルと、前記第2動作状態における第2出力電力レベルとを有し、前記第1および第2出力電力レベルは、互いに異なっており、前記RF信号発生器は、前記第1動作状態と前記第2動作状態とを周期的に繰り返すことによって前記マルチレベルRF電力パルシングモードで動作するようプログラムされている、工程と、
前記第1動作状態における前記RF信号発生器の前記動作周波数設定点の第1最適値と、前記第2動作状態における前記RF信号発生器の前記動作周波数設定点の第2最適値とを同時に決定するために、前記二次元周波数探索グリッド内で自動探索処理を実行する工程と、
前記第1最適値および前記第2最適値を用いて動作するように前記RF信号発生器を設定する工程と、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記自動探索処理は、前記RF信号発生器を備えたプラズマ処理システムの制御システムによって指示される、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記自動探索処理は、複数回の反復を含み、各反復は、前記二次元周波数探索グリッド内の異なるセットの動作周波数設定点座標を用いて、前記プラズマ処理システム内でプラズマを生成するために、前記マルチレベルRF電力パルシングモードで前記RF信号発生器を動作させることを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、各反復は、前記RF信号発生器から前記プラズマへのRF電力供給の経験的評価を含む、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、前記プラズマは、各反復において基板に暴露されるように生成され、前記基板は、前記プラズマに暴露される前記基板の上面に存在する標的材料の膜を有する、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、前記RF信号発生器は、バイアスRF信号発生器であり、前記プラズマ処理システムは、前記バイアスRF信号発生器とは別個の一次RF信号発生器を備え、各反復は、前記プラズマ処理システムにおいてさらなるプラズマを生成するために前記一次RF信号発生器を動作させることを含む、方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法であって、前記RF信号発生器は、一次RF信号発生器である、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記プラズマ処理システムは、前記一次RF信号発生器とは別個のバイアスRF信号発生器を備え、各反復は、前記バイアスRF信号発生器をオフにした状態で実行される、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記自動探索処理は、前記RF信号発生器からプラズマ負荷へのRF電力供給を特徴付けるように規定されたコスト関数の最小化に対応する最適セットの周波数座標を前記二次元周波数探索グリッド内で決定するために、前記二次元周波数探索グリッド内で実行される三角形分割探索処理であり、前記最適セットの周波数座標は、前記第1最適値および前記第2最適値を含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記三角形分割探索処理は、前記二次元周波数探索グリッド内で順次形成される正三角形の頂点における前記コスト関数の評価を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記二次元周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた正三角形のあらかじめ定められた頂点に対する前記コスト関数の評価は、前記第1および第2動作状態における前記RF信号発生器に対する動作周波数設定点として、前記二次元周波数探索グリッド内の前記あらかじめ定められた頂点に対する周波数座標を用いて、ある期間にわたって前記マルチレベルRF電力パルシングモードで前記RF信号発生器を動作させることによって実行される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記期間は、約5秒以下である、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記二次元周波数探索グリッド内の前記あらかじめ定められた正三角形の前記あらかじめ定められた頂点に対する前記コスト関数の評価は、前記期間にわたって前記第1動作状態の前記RF信号発生器によって生成されたRF信号の反射係数の平均と、前記期間にわたって前記第2動作状態の前記RF信号発生器によって生成されたRF信号の反射係数の平均と、前記期間にわたって前記第1動作状態の前記RF信号発生器によって生成された電圧の相対誤差の平均と、前記期間にわたって前記第2動作状態の前記RF信号発生器によって生成された電圧の相対誤差の平均と、の合計を算出することを含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記三角形分割探索処理は、さらに、現在の正三角形の3つの頂点の中で最大のコスト関数値を有する前記現在の正三角形の特定の頂点を特定し、前記特定の頂点が、新たな頂点の位置と位置が維持された2つの他の頂点の位置とによって規定される新たな正三角形の形成に対応する前記二次元周波数探索グリッド内の前記新たな頂点の位置に到達するまで、前記現在の正三角形の2つの他の頂点の位置を維持しつつ、前記現在の正三角形の前記特定の頂点を前記現在の正三角形の重心を通って直線的に移動させることにより、前記二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する処理を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記三角形分割探索処理は、前記新たな正三角形が前の正三角形の繰り返しになるまで、前記二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する前記処理を継続し、繰り返しになった時、前記三角形分割探索処理は、前記新たな正三角形のサイズを縮小して、前記二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する前記処理を再開する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記三角形分割探索処理は、収束基準が満たされるまで、前記二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成し、前記新たな正三角形が前記前の正三角形を繰り返したときに前記新たな正三角形のサイズを縮小する前記処理を継続する、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記収束基準は、前記二次元周波数探索グリッド内の移動頂点の順次的な位置に対して評価された前記コスト関数値の変化が約5%以下であることを含み、前記収束基準は、前記新たな正三角形が前記二次元周波数探索グリッド内で約5キロヘルツ以下の辺長を有することを含み、前記収束基準は、前記二次元周波数探索グリッドの各周波数座標次元において前記移動頂点の位置の変化が約1キロヘルツ以下であることを含む、方法。
【請求項18】
マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作のために高周波(RF)信号発生器の自動周波数調整を行うシステムであって、
基板支持構造および電極を備えたプラズマ処理チャンバと、
RF信号発生器であって、RF信号を生成して、前記RF信号発生器の出力を通して前記RF信号を伝送するよう構成されており、前記RF信号発生器は、第1動作状態における第1出力電力レベルと、第2動作状態における第2出力電力レベルとを有するよう設定され、前記第1および第2出力電力レベルは、互いに異なっており、前記RF信号発生器は、前記第1動作状態と前記第2動作状態とを周期的に繰り返すことによって前記マルチレベルRF電力パルシングモードで動作するようプログラムされている、RF信号発生器と、
前記RF信号発生器の前記出力に接続された入力を有するインピーダンス整合システムであって、前記インピーダンス整合システムは、前記電極に接続された出力を有し、前記インピーダンス整合システムは、前記プラズマ処理チャンバ内で生成されるプラズマへ前記電極を通して前記RF信号を伝送することを可能にするために、前記RF信号発生器の前記出力におけるインピーダンスを制御するよう構成されている、インピーダンス整合システムと、
前記第1動作状態における前記RF信号発生器の動作周波数設定点を表す第1座標軸を有すると共に前記第2動作状態における前記RF信号発生器の動作周波数設定点を表す第2座標軸を有する二次元周波数探索グリッドを規定するようプログラムされた制御システムであって、前記制御システムは、前記第1動作状態における前記RF信号発生器の前記動作周波数設定点の第1最適値と、前記第2動作状態における前記RF信号発生器の前記動作周波数設定点の第2最適値とを同時に決定するために、前記二次元周波数探索グリッド内で自動探索処理を実行するようプログラムされている、制御システムと、
を備える、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記制御システムは、前記第1最適値および前記第2最適値を用いて動作するように前記RF信号発生器を設定するようプログラムされている、システム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムであって、前記自動探索処理は、複数回の反復を含み、各反復に対して、前記制御システムは、前記二次元周波数探索グリッド内の異なるセットの動作周波数設定点座標を用いて、前記プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するために、前記マルチレベルRF電力パルシングモードで前記RF信号発生器の動作を指示するようプログラムされている、システム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、前記制御システムは、各反復において、前記RF信号発生器から前記プラズマへのRF電力供給を経験的に評価するようプログラムされている、システム。
【請求項22】
請求項20に記載のシステムであって、基板が、前記基板支持構造上に配置され、前記基板は、前記プラズマ処理チャンバ内のプラズマ生成領域に露出した前記基板の上面に存在する標的材料の膜を有し、前記プラズマは、前記自動探索処理の各反復で前記基板に暴露されるように生成される、システム。
【請求項23】
請求項20に記載のシステムであって、前記RF信号発生器は、バイアスRF信号発生器であり、前記システムは、さらに、前記バイアスRF信号発生器とは別個の一次RF信号発生器を備え、前記制御システムは、前記自動探索処理の各反復中に前記プラズマ処理チャンバ内でさらなるプラズマを生成するために、前記一次RF信号発生器の動作を指示するようプログラムされている、システム。
【請求項24】
請求項20に記載のシステムであって、前記RF信号発生器は、一次RF信号発生器である、システム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムであって、さらに、
前記一次RF信号発生器とは別個のバイアスRF信号発生器を備え、
前記制御システムは、前記自動探索処理の各反復中に前記バイアスRF信号発生器をオフにするようプログラムされている、システム。
【請求項26】
請求項18に記載のシステムであって、前記制御システムは、前記RF信号発生器から前記プラズマへのRF電力供給を特徴付けるように規定されたコスト関数の最小化に対応する最適セットの周波数座標を前記二次元周波数探索グリッド内で決定するために、前記二次元周波数探索グリッド内で三角形分割探索処理として前記自動探索処理を実行するようプログラムされており、前記最適セットの周波数座標は、前記第1最適値および前記第2最適値を含む、システム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、前記制御システムは、前記二次元周波数探索グリッド内で順次形成される正三角形の頂点における前記コスト関数を評価することにより、前記三角形分割探索処理を実行するようプログラムされている、システム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムであって、前記制御システムは、前記二次元周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた正三角形のあらかじめ定められた頂点に対する前記コスト関数を評価する際に、前記第1および第2動作状態における前記RF信号発生器に対する動作周波数設定点として、前記二次元周波数探索グリッド内の前記あらかじめ定められた頂点に対する周波数座標を用いて、ある期間にわたって前記マルチレベルRF電力パルシングモードで前記RF信号発生器を動作させるよう指示することによって評価するようプログラムされている、システム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、前記制御システムは、前記期間を約5秒以下に設定するようプログラムされている、システム。
【請求項30】
請求項28に記載のシステムであって、前記制御システムは、前記期間にわたって前記第1動作状態の前記RF信号発生器によって生成されたRF信号の反射係数の平均と、前記期間にわたって前記第2動作状態の前記RF信号発生器によって生成されたRF信号の反射係数の平均と、前記期間にわたって前記第1動作状態の前記RF信号発生器によって生成された電圧の相対誤差の平均と、前記期間にわたって前記第2動作状態の前記RF信号発生器によって生成された電圧の相対誤差の平均と、の合計を算出することにより、前記二次元周波数探索グリッド内の前記あらかじめ定められた正三角形の前記あらかじめ定められた頂点に対する前記コスト関数を評価するようプログラムされている、システム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムであって、前記三角形分割探索処理の一部として、前記制御システムは、現在の正三角形の3つの頂点の中で最大のコスト関数値を有する前記現在の正三角形の特定の頂点を特定し、前記特定の頂点が、新たな頂点の位置と位置が維持された2つの他の頂点の位置とによって規定される新たな正三角形の形成に対応する前記二次元周波数探索グリッド内の前記新たな頂点の位置に到達するまで、前記現在の正三角形の2つの他の頂点の位置を維持しつつ、前記現在の正三角形の前記特定の頂点を前記現在の正三角形の重心を通って直線的に移動させることにより、前記二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する処理を実行するようプログラムされている、システム。
【請求項32】
請求項31に記載のシステムであって、前記三角形分割探索処理の一部として、前記制御システムは、前記新たな正三角形が前の正三角形の繰り返しになるまで、前記二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する前記処理を継続するようプログラムされており、繰り返しになった時、前記制御システムは、前記新たな正三角形のサイズを縮小して、前記二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する前記処理を再開するようプログラムされている、システム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムであって、前記三角形分割探索処理の一部として、前記制御システムは、収束基準が満たされるまで、前記二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成し、前記新たな正三角形が前記前の正三角形を繰り返したときに前記新たな正三角形の前記サイズを縮小する処理を継続するようプログラムされている、システム。
【請求項34】
請求項33に記載のシステムであって、前記制御システムは、前記二次元周波数探索グリッド内の移動頂点の順次的な位置に対して評価された前記コスト関数値の変化が約5%以下であることを含む収束基準を適用するようプログラムされており、前記収束基準は、前記新たな正三角形が前記二次元周波数探索グリッド内で約5キロヘルツ以下の辺長を有することを含み、前記収束基準は、前記二次元周波数探索グリッドの各周波数座標次元において前記移動頂点の位置の変化が約1キロヘルツ以下であることを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
【0002】
本開示は、半導体デバイス製造に関する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術]
【0004】
半導体デバイス(集積回路、メモリセルなど)の製造では、一連の製造動作を実行して、半導体ウエハ(以降「ウエハ」)上にフィーチャを規定する。ウエハは、シリコン基板上に規定された多層構造の形態の集積回路デバイスを備える。基板レベルには、拡散領域を有するトランジスタ素子が形成される。それに続くレベルには、所望の集積回路デバイスを規定するために、相互接続メタライゼーション配線がパターニングされて、トランジスタ素子に電気的に接続されている。また、パターニングされた導電層が、誘電材料によって他の導電層から絶縁されている。
【0005】
多くの現代の半導体チップ製造処理は、プラズマの生成を含んでおり、プラズマに由来するイオンおよび/またはラジカル成分が、プラズマに暴露された基板の表面上での変化に直接的あるいは間接的に影響を与えるのに利用される。例えば、様々なプラズマベースの処理が、基板表面から材料をエッチングするため、基板表面上に材料を蒸着するため、または、基板表面上にすでに存在する材料を改質するために利用されうる。プラズマは、しばしば、処理ガスが励起されて所望のプラズマに変化するように、制御された環境内で処理ガスに高周波(RF)電力を印加することによって生成される。プラズマの特性は、以下を含むがそれらに限定されない多くの処理パラメータによって影響を受ける。特に、処理ガスの材料組成、処理ガスの流量、プラズマ生成領域および周囲構造の幾何学的特徴、処理ガスおよび周囲材料の温度、印加RF電力の周波数、印加RF電力の大きさ、ならびに、RF電力が印加される時間的方法。したがって、特にプラズマ生成領域へのRF電力の供給に関しては、生成されるプラズマの特性に影響しうる処理パラメータの一部を理解、監視、および/または、制御することが重要である。本開示は、この文脈で生まれたものである。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態例において、マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作に向けてRF信号発生器の自動周波数調整を行うための方法が開示されている。方法は、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点を表す第1座標軸を有すると共に第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点を表す第2座標軸を有する二次元周波数探索グリッドを規定する工程を備える。RF信号発生器は、第1動作状態における第1出力電力レベルと、第2動作状態における第2出力電力レベルとを有しており、第1および第2出力電力レベルは、互いに異なっている。RF信号発生器は、第1動作状態と第2動作状態とを周期的に繰り返すことによってマルチレベルRF電力パルシングモードで動作するようプログラムされている。方法は、さらに、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第2最適値とを同時に決定するために、二次元周波数探索グリッド内で自動探索処理を実行する工程を備える。方法は、さらに、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第2最適値とを用いて動作させるために、RF信号発生器を設定する工程を備える。
【0007】
一実施形態例において、マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作に向けてRF信号発生器の自動周波数調整を行うためのシステムが開示されている。システムは、基板支持構造および電極を備えたプラズマ処理チャンバを備える。システムは、さらに、RF信号を生成して、RF信号発生器の出力を通してRF信号を伝送するよう構成されたRF信号発生器を備える。RF信号発生器は、第1動作状態における第1出力電力レベルと、第2動作状態における第2出力電力レベルと、を有するよう設定されており、第1および第2出力電力レベルは、互いに異なっている。RF信号発生器は、第1動作状態と第2動作状態とを周期的に繰り返すことによってマルチレベルRF電力パルシングモードで動作するようプログラムされている。システムは、さらに、RF信号発生器の出力に接続された入力を有するインピーダンス整合システムを備える。インピーダンス整合システムは、電極に接続された出力を有する。インピーダンス整合システムは、プラズマ処理チャンバ内で生成されるプラズマへ電極を通してRF信号を伝送することを可能にするために、RF信号発生器の出力におけるインピーダンスを制御するよう構成されている。システムは、さらに、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点を表す第1座標軸と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点を表す第2座標軸とを有する二次元周波数探索グリッドを規定するようプログラムされた制御システムを備える。制御システムは、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第2最適値とを同時に決定するために、二次元周波数探索グリッド内で自動探索処理を実行するようプログラムされている。
【0008】
本発明のその他の態様および利点については、本発明を例示した添付図面を参照しつつ行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】いくつかの実施形態に従って、半導体ウエハの製造に利用するプラズマ処理システムを示す垂直断面図。
【0010】
図1B】いくつかの実施形態に従って、図1Aのプラズマ処理システムを示す上面図。
【0011】
図1C】いくつかの実施形態に従って、制御モジュールを示す図。
【0012】
図2】いくつかの実施形態に従って、一次RF信号発生器およびバイアスRF信号発生器を備えたRF信号発生器システムを示す図。
【0013】
図3】いくつかの実施形態に従って、実質的に一定の一次RF電力を維持しつつ、バイアスRF電力がパルス化されるマルチレベルRF電力パルシング処理を示す動作線図。
【0014】
図4A】いくつかの実施形態に従って、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理例について、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッドにおいて、第1動作状態(S1)中のバイアスRF信号発生器の出力での反射係数(ΓB1S1)を示す図。
【0015】
図4B】いくつかの実施形態に従って、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理例について、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッドにおいて、第2動作状態(S2)中のバイアスRF信号発生器の出力での反射係数(ΓB1S2)を示す図。
【0016】
図5A】いくつかの実施形態に従って、第1動作状態(S1)のための1000Vの電圧設定点で、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理例について、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッドにおいて、第1動作状態(S1)中のバイアスRF信号発生器の出力での電圧(VB1S1)を示す図。
【0017】
図5B】いくつかの実施形態に従って、第2動作状態(S2)のための200Vの電圧設定点で、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理例について、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッドにおいて、第2動作状態(S2)中のバイアスRF信号発生器の出力での電圧(VB1S2)を示す図。
【0018】
図6A】いくつかの実施形態に従って、2D周波数探索グリッドの右下象限に配置され、頂点V1、V2、および、V3によって規定された初期正三角形を有する2D周波数探索グリッドを示す図。
【0019】
図6B】いくつかの実施形態に従って、移動頂点V3が現在の正三角形の重心を通って移動して新たな正三角形の新たな頂点V4を形成する様子を描いた2D周波数探索グリッドを示す図。
【0020】
図6C】いくつかの実施形態に従って、移動頂点V2が現在の正三角形の重心を通って移動して新たな正三角形の新たな頂点V5を形成する様子を描いた2D周波数探索グリッドを示す図。
【0021】
図6D】いくつかの実施形態に従って、図6Cから、移動頂点V10が頂点V8に対応する以前の位置に戻る時点までの三角形分割探索アルゴリズムの進み方を示す図。
【0022】
図6E】いくつかの実施形態に従って、頂点V10が頂点V8に対応する前の位置に戻った後の正三角形のサイズの縮小を示す図。
【0023】
図7A】いくつかの実施形態に従って、コスト関数(J)がもはや感知できるほど最小化できず、振動しないときについての最小コスト関数(J)収束基準を示すために、三角形分割探索アルゴリズムの反復にわたって規定された正三角形の各新たな頂点に対して評価されたコスト関数(J)のプロットを示す図。
【0024】
図7B】いくつかの実施形態に従って、正三角形の辺長がもはや感知できるほど減少できないときについての最小コスト関数(J)収束基準を示すために、三角形分割探索アルゴリズムの反復にわたって正三角形の辺長のプロットを示す図。
【0025】
図7C】いくつかの実施形態に従って、2D周波数探索グリッド内の移動頂点の周波数座標がもはや感知できるほど変更できず、振動しないときについての最小コスト関数(J)収束基準を示すために、三角形分割探索アルゴリズムの反復にわたって2D周波数探索グリッド内の移動頂点の周波数座標のプロットを示す図。
【0026】
図8】いくつかの実施形態に従って、2D周波数探索グリッドにわたって評価されたコスト関数(J)のアイソコンターと、最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}に到達するために完了までに必要となった図6A図6Eの三角形分割探索アルゴリズムの工程とを示す図。
【0027】
図9】いくつかの実施形態に従って、バイアスRF電力および一次RF電力の両方が同期的にパルスするマルチレベルRF電力パルシング処理を示す動作線図。
【0028】
図10】いくつかの実施形態に従って、バイアスRF電力および一次RF電力の両方が非同期的にパルスするマルチレベルRF電力パルシング処理を示す動作線図。
【0029】
図11】いくつかの実施形態に従って、マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作に向けてRF信号発生器の自動周波数調整を行うための方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、本開示の実施形態の理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本開示の実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも実施することが可能である。また、本開示が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略している。
【0031】
マルチレベル高周波(RF)電力パルシングを含む半導体製造プラズマ処理レシピ工程を、最適なRF安定性および性能に向けて周波数調整することを可能にする、自動方法および対応するシステムについての実施形態が、本明細書で開示されている。本明細書で開示されている実施形態は、半導体製造プラズマ処理ツールの中でも、導体エッチング半導体製造プラズマ処理ツールなど、電極および/またはアンテナ(コイル)へのRF電力のマルチレベルパルシングを提供するために設けられた基本的に任意の半導体製造プラズマ処理ツールに関連して実施されうる。以下の量を同時に最適化および考慮する自動周波数チューナが、本明細書に開示されており、ここで、RF状態1は、RF発生器の高電力動作状態であり、RF状態2は、RF発生器の低電力動作状態であり、もしくは、その逆である:
RF状態1に対する反射RF電力、
RF状態2に対する反射RF電力、
RF状態1に対する設定点RF電圧/電力からの印加RF電圧/電力のずれ、および、
RF状態2に対する事前設定点RF電圧/電力からの印加RF電圧/電力のずれ。
【0032】
上記の4つの量の最適化は、上記の4つの量の集合的最小化に対応する。自動周波数チューナは、探索三角形分割処理(search triangulation process)を用いて、コスト関数の評価を通して上記の4つの量の集合的最小化に対応する制約付き二次元(2D)周波数探索グリッド上の所定の周波数調整ポイントを決定する最適化器を備えており、ここで、2D周波数探索グリッドの第1次元は、RF状態1で動作するRF発生器の設定点周波数であり、2D周波数探索グリッドの第2次元は、RF状態2で動作するRF発生器の事前設定点周波数である。三角形分割探索プロセスの結果は、2D周波数探索グリッド内の設定点周波数座標の最適なセットであり、そのセットは、以下を含む:1)RF状態1で動作するRF発生器に対する最適設定点周波数、および、2)RF状態2で動作するRF発生器に対する最適事前設定点周波数。プラズマ処理システムのユーザインターフェース(UI)から利用可能なデータログパラメータを用いて、自動周波数チューナは、2D周波数探索グリッドに三角形分割探索プロセスを実行し、安定的なRF発生器動作条件を満たす最適なセットの周波数座標を返す。
【0033】
半導体産業では、半導体基板が、容量結合プラズマ(CCP)処理チャンバおよび誘導結合プラズマ(ICP)プラズマ処理チャンバなど、様々なタイプのプラズマチャンバ内で加工動作を受けうる。CCPおよびICP処理チャンバの両方において、プラズマ処理領域内で、処理ガスを、基板が暴露されるプラズマに変換する目的で、処理ガスを励起するために、高周波(RF)電力が利用される。プラズマ内の反応種および/または荷電種が、例として、基板上に存在する材料を改質する、基板上に材料を蒸着させる、または、基板から材料を除去/エッチングすることによって、基板の条件を変えるために、基板と相互作用する。CCPおよびICP処理チャンバは、プラズマ処理領域内でプラズマを生成するためのRF電力を受信する1または複数の電極を備えうる。また、CCPおよびICP処理チャンバは、プラズマから基板に向かって荷電種を引き寄せるためのバイアス電圧を基板位置で(ウエハレベルで)生成するためのRF電力を受信する1または複数の電極も備えうる。
【0034】
図1Aは、いくつかの実施形態に従って、半導体ウエハの製造に利用するプラズマ処理システム100を示す垂直断面図である。図1Bは、いくつかの実施形態に従って、図1Aのプラズマ処理システムを示す上面図である。図1Aの垂直断面図は、図1Bにおける矢視A-Aに対応する。図1Aのプラズマ処理システム100は、ICPタイプのプラズマ処理システムの一例である。本明細書で開示されている自動周波数調整方法およびそれに対応するシステムは、ICPおよびCCPの両方のタイプのプラズマ処理システム、ならびに、RF信号発生器が異なる電力レベルの間で周期的にパルスでRF電力を供給するよう動作され、RF信号発生器が異なる電力レベルで異なる最適動作周波数設定点を有する他のタイプのプラズマ処理システムで、実行および実装可能であることを理解されたい。しかしながら、説明しやすいように、自動周波数調整方法およびそれに対応するシステムは、図1Aおよび図1Bに示すようにICPタイプのプラズマ処理システム例に関して、本明細書に記載されている。また、ICP処理チャンバは、トランス結合プラズマ(TCP)処理チャンバと呼ばれることもある。本明細書における議論を容易にするために、ICP処理チャンバは、ICP処理チャンバおよびTCP処理チャンバの両方を指すために用いられる。プラズマ処理システム100は、処理チャンバ103のプラズマ処理空間106内で一次プラズマ105を生成するために、処理チャンバ103の外側に配置されたコイル101から処理チャンバ103内の処理ガスへRF信号を伝送し、一次プラズマ105を用いて、一次プラズマ105の成分へ暴露するよう保持された基板107の条件の変化に影響を与える基本的に任意のタイプのICP処理チャンバを表すことを理解されたい。図1Aは、コイル101を示しており、コイル101からRF信号がプラズマ処理空間106へ伝送されることで、基板107に暴露する一次プラズマ105がプラズマ処理空間106内で生成される。コイル101は、一次電極とも呼ばれる。
【0035】
いくつかの実施形態において、基板107は、製造手順を施されている半導体ウエハである。ただし、様々な実施形態において、基板107は、基本的に、プラズマベースの製造処理を受ける任意のタイプの基板であってよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書で用いられる基板107という用語は、サファイア、GaN、GaAs、または、SiC、もしくは、その他の基板材料で形成された基板を指しうるものであり、ガラスパネル/基板、金属ホイル、金属シート、ポリマ材料などを含みうる。また、様々な実施形態において、本明細書で言及される基板107は、形態、形状、および/または、サイズが様々であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書で言及される基板107は、200mm(ミリメートル)半導体ウエハ、300mm半導体ウエハ、または、450mm半導体ウエハに対応しうる。また、いくつかの実施形態において、本明細書で言及される基板107は、形状の中でも特に、平面パネルディスプレイ用の長方形基板など、非円形の基板に対応してもよい。
【0036】
処理チャンバ103のプラズマ処理空間106は、周囲構造109の中かつ上側窓構造111の下かつ基板支持構造113の上に形成されている。いくつかの実施形態において、周囲構造109は、プラズマ処理システム100の動作中にプラズマ処理空間106内に存在する環境および材料と機械的および化学的に適合する導電材料(金属など)で形成される。これらの実施形態において、周囲構造109は、基準接地電位115に電気接続されうる。処理チャンバ103は、ドア151を備えており、それを通して、基板107がプラズマ処理空間106内へ移動され、そこから取り出されうる。
【0037】
基板支持構造113は、プラズマ処理空間106内で生成された一次プラズマ105に暴露させて基板107をしっかりと支持するよう構成されている。いくつかの実施形態において、基板支持構造113は、電気接続121を通してクランプ電源119によって電力を供給されうる1または複数のクランプ電極117を備えた静電チャックである。1または複数のクランプ電極117に供給された電力は、基板支持構造113上に基板107をクランプするための静電場を生成する。様々な実施形態において、クランプ電源119は、RF電力、直流(DC)電力、もしくは、RF電力およびDC電力の両方の組みあわせ、のいずれかを1または複数のクランプ電極117へ供給するよう構成されうる。クランプ電源119がRF電力を供給するよう構成されている実施形態において、クランプ電源119は、さらに、インピーダンス整合回路を備えており、それを通してRF電力が伝送されることで、RF電力が1または複数のクランプ電極117から許容できないほど反射されないようになる。これらの実施形態において、クランプ電源119内のインピーダンス整合回路は、キャパシタおよび/またはインダクタの配列を備える。
【0038】
基板支持構造113は、さらに、プラズマ処理空間106内の基板107のレベル(高さ)でバイアス電圧(V)を生成するためにRFバイアス電力が供給されうるバイアス電極123を備えてよい。バイアス電極123からプラズマ処理空間106へ伝送されるRF電力をバイアスRF電力と呼ぶ。いくつかの実施形態において、バイアスRF電力は、バイアスRF信号発生器125によって生成され、電気接続127を通してインピーダンス整合システム129へ伝送され、その後、インピーダンス整合システム129から伝送ロッド131を通してバイアス電極123へ伝送される。伝送ロッド131は、処理チャンバ103の周囲構造109から電気的に絶縁されている。インピーダンス整合システム129は、バイアスRF信号発生器125の出力におけるインピーダンスが、バイアスRF信号発生器125が動作するよう設計された負荷インピーダンス(通常は、約50オーム)に十分近いことを保証するよう構成されたバイアスキャパシタおよび/またはインダクタの配列を備えており、その結果、バイアスRF信号発生器125によって生成および伝送されるRF信号は、効率的に(すなわち、許容不能な反射なしに)プラズマ処理空間106に伝送される。
【0039】
プラズマ処理システム100は、1または複数の処理ガスを処理ガス供給源133から流体輸送構造135の配列を通してプラズマ処理空間106へ流すと共にコイル101から1または複数の処理ガスへRF電力を印加することによって、基板107上の材料または表面の条件の変化に影響を与えるために基板107に暴露させる一次プラズマ105へ1または複数の処理ガスを変化させるように動作する。基板107の処理に起因する使用済みの処理ガスおよびその他の材料は、矢印149で示されているように、プラズマ処理空間106から1または複数の排気ポート147を通して排出される。
【0040】
コイル101は、上側窓構造111の上方に配置されている。図1Aおよび図1Bの例において、コイル101は、ラジアルコイルアセンブリとして形成され、コイル101の網掛けの部分は図面のページ背面に向かって巻き、コイル101の網掛けのない部分は図面のページ前面に向かって巻いている。図1Aおよび図1Bのコイル101は、例として提供されていることを理解されたい。様々な実施形態において、コイル101は、複数の区画を備えてよく、各区画は、上側窓構造111の上方で特定の対応する径方向の範囲に広がっている。これらの実施形態において、コイル101の各区画に供給されるRF電力は、独立制御される。また、図1Aおよび図1Bのコイル例101の巻回数(上側窓構造111の中心まわりの巻回数)は、例として提示されていることを理解されたい。様々な実施形態において、コイル101は、上側窓構造111を通してプラズマ処理空間106へ必要なRF信号伝送を提供する必要に応じて、任意の巻回数ならびに任意の断面サイズおよび形状(円形、楕円形、長方形、台形など)を有してよい。様々な実施形態において、コイル101は、基本的に、上側窓構造111を通してプラズマ処理空間106へRF電力を伝送するのに適した任意の構成を有してよいことを理解されたい。
【0041】
コイル101からプラズマ処理空間106へ伝送されるRF電力をプラズマ一次RF電力と呼ぶ。プラズマ一次RF電力は、一次RF信号発生器137によって生成され、電気接続139を通してインピーダンス整合システム141へ伝送され、そして、電気接続143を通してコイル101へ伝送される。また、いくつかの実施形態において、帰還電気接続145が、コイル101からインピーダンス整合システム141へ伸びている。インピーダンス整合システム141は、一次RF信号発生器137の出力におけるインピーダンスが、一次RF信号発生器137が動作するよう設計された負荷インピーダンス(通常は、約50オーム)に十分近いことを保証するように構成されたバイアスキャパシタおよび/またはインダクタの配列を備えており、その結果、一次RF信号発生器137によってコイル101に供給されるRF信号は、許容不能な反射なしに効率的にプラズマ処理空間106に伝送される。
【0042】
プラズマ処理システム100は、さらに、プラズマ処理システム100の動作を制御するように構成および接続された制御システム153を備える。制御システム153は、処理ガス供給源133の制御を行うために、接続155を介して処理ガス供給源133に接続されている。制御システム153は、一次RF信号発生器137の制御を行うために、接続157を介して一次RF信号発生器137に接続されている。制御システム153は、インピーダンス整合システム141の制御を行うために、接続159を介してインピーダンス整合システム141に接続されている。制御システム153は、バイアスRF信号発生器125の制御を行うために、接続161を介してバイアスRF信号発生器125に接続されている。制御システム153は、インピーダンス整合システム129の制御を行うために、接続163を介してインピーダンス整合システム129に接続されている。制御システム153は、クランプ電源119の制御を行うために、接続165を介してクランプ電源119に接続されている。様々な実施形態において、接続155、157、159、161、163、および、165のいずれも、有線接続、無線接続、光接続、または、それらの組みあわせのいずれかであってよいことを理解されたい。様々な実施形態において、制御システム153は、アクティブ制御に適しているプラズマ処理システム100の基本的に任意の特徴を制御するように構成および接続されていることを理解されたい。また、様々な実施形態において、制御システム153は、プラズマ処理システム100の動作に関連するあらゆるパラメータを測定および監視するために、プラズマ処理システム100にわたって配置された様々な測定器およびセンサおよびその他のデータ取得デバイスに接続されていることを理解されたい。また、様々な実施形態において、制御システム153と、様々な測定器およびセンサおよびその他のデータ取得デバイスの各々との間のデータ/信号接続は、有線接続、無線接続、光接続、または、それらの組み合わせのいずれかであってよい。
【0043】
図1Cは、いくつかの実施形態に従って、制御システム153を示す図である。制御システム153は、プロセッサ181と、ストレージハードウェアユニット(HU)183(例えば、メモリ)と、入力HU171と、出力HU175と、入力/出力(I/O)インターフェース173と、I/Oインターフェース177と、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)179と、データ通信バス185と、を備える。プロセッサ181、ストレージHU183、入力HU171、出力HU175、I/Oインターフェース173、I/Oインターフェース177、および、NIC179は、データ通信バス185を介して互いにデータ通信する。入力HU171の例は、マウス、キーボード、スタイラス、データ取得システム、データ取得カード、などを含む。入力HU171は、処理ガス供給源133、一次RF信号発生器137、インピーダンス整合システム141、バイアスRF信号発生器125、インピーダンス整合システム129、クランプ電源119、および/または、プラズマ処理システム100内の任意の他のデバイスなど、複数の外部デバイスからのデータ通信を受信するよう構成されている。出力HU175の例は、ディスプレイ、スピーカ、デバイスコントローラ、などを含む。出力HU175は、処理ガス供給源133、一次RF信号発生器137、インピーダンス整合システム141、バイアスRF信号発生器125、インピーダンス整合システム129、クランプ電源119、および/または、プラズマ処理システム100内の任意の他のデバイスなど、複数の外部デバイスへのデータを送信するよう構成されている。
【0044】
NIC179の例は、ネットワークインターフェースカード、ネットワークアダプタ、などを含む。様々な実施形態において、NIC179は、特にイーサネットおよび/またはEtherCATなど、1または複数の通信プロトコルおよび関連する物理層に従って動作するよう構成されている。I/Oインターフェ-ス173および177の各々は、I/Oインターフェ-スに接続された異なるハードウェアユニットの間の適合性を提供するように定義されている。例えば、I/Oインターフェース173は、入力HU171から受信された信号を、データ通信バス185に適合する形態、振幅、および/または、速度に変換するように定義されうる。また、I/Oインターフェース177は、データ通信バス185から受信された信号を、出力HU175に適合する形態、振幅、および/または、速度に変換するように定義されうる。本明細書に記載の様々な動作は、制御システム153のプロセッサ181によって実行されるが、いくつかの実施形態において、様々な動作が、制御システム153の複数のプロセッサによって、および/または、制御システム153とデータ通信する複数のコンピュータシステムの複数のプロセッサによって、実行されてもよいことを理解されたい。
【0045】
また、いくつかの実施形態において、制御システム153に関連付けられたユーザインターフェース(UI)が存在する。ユーザインターフェースは、ディスプレイ(例えば、装置および/または処理条件の表示スクリーンおよび/またはグラフィカルソフトウェアディスプレイ)と、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイスとを含みうる。いくつかの実施形態において、制御システム153のUIは、処理ガス供給源133、一次RF信号発生器137、インピーダンス整合システム141、バイアスRF信号発生器125、インピーダンス整合システム129、クランプ電源119、および/または、プラズマ処理システム100内の任意の他のデバイス、の内の1または複数のためのUIを提供しうる。より具体的には、処理ガス供給源133、一次RF信号発生器137、インピーダンス整合システム141、バイアスRF信号発生器125、インピーダンス整合システム129、クランプ電源119、および/または、プラズマ処理システム100内の任意の他のデバイス、の内のいずれも、基板107の処理前、処理中、および、処理後のそれらの動作を制御するための集積電子機器を備えうる。いくつかの実施形態において、プラズマ処理システム100内の各デバイスにおける集積電子機器は、プロセスエンジニアが制御システム153を用いてプラズマ処理システム100内の任意のデバイスを制御することを可能にするために、NIC179を介して制御システム153に接続されている。
【0046】
制御システム153は、処理ガス供給源133、一次RF信号発生器137、インピーダンス整合システム141、バイアスRF信号発生器125、インピーダンス整合システム129、クランプ電源119、および/または、プラズマ処理システム100内の任意の他の制御去可能なデバイスの動作を制御するための命令のセットなど、コンピュータプログラムを実行するよう構成されてよい。制御システム153は、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器設定、インピーダンス整合システム設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、処理チャンバ103および他のウエハ移動ツールおよび/またはプラズマ処理システムと接続または連結されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示されている処理のいずれかを制御するようプログラム可能である。また、制御システム153に関連付けられたメモリデバイスに格納されたプログラムが、いくつかの実施形態において用いられてもよい。制御システム153の動作を指示するためのソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成されてよい。制御システム153の動作ひいてはプラズマ処理システム100の動作を指示するためのコンピュータプログラムは、任意の従来のコンピュータ読み取り可能なプログラミング言語(例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなどで書かれてよい。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトが、プラグラム内に特定されたタスクを実行するために、プロセッサ181によって実行される。
【0047】
制御システム153は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御する様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義される。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態で制御システム153に伝えられて、基板107に対して所定の処理を実行するようにプラズマ処理システム100を動作させるための動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、基板107の1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、制御システム153は、「クラウド」内に実装されるか、または、ファブホストコンピュータシステムの一部として実装され、それにより、プラズマ処理システム100を制御するためのリモートアクセスが可能になる。いくつかの実施形態において、制御システム153は、製造動作の現在の進捗の監視、過去の製造動作の履歴の調査、複数の製造動作からの傾向または性能指標の調査、現在の処理動作に関連するパラメータの調整、現在の処理動作に従うよう処理工程の設定、もしくは、新たな処理動作の開始を提供するために、プラズマ処理システム100へのリモートアクセスを可能にする。いくつかの例において、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)を通しての制御システム153のアクセスが、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してプラズマ処理システム100へ処理レシピを提供するために利用されうる。リモートコンピュータにより、制御システム153は、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを提供することができ、パラメータおよび/または設定は、その後に、リモートコンピュータからプラズマ処理システム100に通信される。いくつかの例において、制御システム153は、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続しまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、制御システム153は、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散制御システム153の一例は、プラズマ処理システム100内の処理の実行を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として、リモートに配置されている、など)1または複数の集積回路と通信するプラズマ処理システム100内の1または複数の集積回路である。
【0049】
図2は、いくつかの実施形態に従って、一次RF信号発生器137およびバイアスRF信号発生器125を備えたRF信号発生器システム200を示す。一次RF信号発生器137は、一次RF信号発生器137の出力210から接続139を通してインピーダンス整合システム141の入力217へ、そして、インピーダンス整合システム141の出力223から接続143を通してプラズマ処理システム100のコイル101へ、RF信号を供給するように接続されている。バイアスRF信号発生器125は、バイアスRF信号発生器125の出力271から接続127を通してインピーダンス整合システム129の入力275へ、そして、インピーダンス整合システム129の出力277から接続131を通しててプラズマ処理システム100のバイアス電極123へ、RF信号を供給するように接続されている。
【0050】
インピーダンス整合システム141は、一次RF信号発生器137の出力210におけるインピーダンスを設計インピーダンス(通常は、50オーム)に整合させるように電気回路内で接続されたキャパシタおよびインダクタの組みあわせを備える。インピーダンス整合システム129も、バイアスRF信号発生器125の出力271におけるインピーダンスを設計インピーダンス(通常は、50オーム)に整合させるように電気回路内で接続されたキャパシタおよびインダクタの組みあわせを備える。インピーダンス整合システム141は、さらに、インピーダンス整合システム141が、インピーダンス整合システム141の外側のシステムへデータを送信し、かかるシステムからデータを受信することを可能にするNIC239を備える。インピーダンス整合システム141のNIC239は、接続159によって示されているように、制御システム153のNIC179とデータ通信する。また、インピーダンス整合システム129は、インピーダンス整合システム129が、インピーダンス整合システム129の外側のシステムへデータを送信し、かかるシステムからデータを受信することを可能にするネットワークインターフェースコントローラ239を備える。インピーダンス整合システム129のNIC279は、接続163によって示されているように、制御システム153のNIC179とデータ通信する。NIC239および279の例は、それぞれ、ネットワークインターフェースカード、ネットワークアダプタ、などを含む。様々な実施形態において、NIC239および279は、特にイーサネットおよび/またはEtherCATなど、1または複数のネットワーク通信プロトコルおよび関連する物理層に従って動作するよう構成されている。
【0051】
一次RF信号発生器137は、RF信号を生成するためのオシレータ203を備える。オシレータ203は、RF範囲内の特定の周波数を有する周期的な振動電気信号(正弦波電子信号など)を生成する電子回路である。オシレータ203は、設定周波数で振動することができ、ここで、設定周波数は、いくつかの実施形態において、約100メガヘルツ(MHz)までの範囲内にある。本明細書で開示されている数値に関して、本明細書で用いられている「約」という用語は、あらかじめ定められた数値の±10%の範囲内であることを意味する。いくつかの実施形態において、オシレータ203は、約11MHz~約15MHzの周波数範囲内で振動するよう設定される。いくつかの実施形態において、オシレータ203は、約12.882MHz~約14.238MHzの周波数範囲内で振動するよう設定される。オシレータ203の出力は、電力増幅器205の入力に接続されている。電力増幅器205は、オシレータ203によって生成されたRF信号を増幅し、増幅されたRF信号を電力増幅器205の出力を通して一次RF信号発生器137の出力210へ伝送する。
【0052】
一次RF信号発生器137は、さらに、一次RF信号発生器137のすべての動作態様の制御を提供するよう構成された制御システム209を備える。いくつかの実施形態において、制御システム209は、プラズマ処理システム100の制御システム153と同様に構成される。例えば、いくつかの実施形態において、制御システム209は、プロセッサと、データストレージデバイスと、入力/出力インターフェースと、プロセッサ、データストレージデバイス、および、入力/出力インターフェースが互いにデータを通信するためのデータバスと、を備える。制御システム209は、接続204によって示されているように、オシレータ203の制御を提供するように接続されている。また、制御システム209は、接続206によって示されているように、電力増幅器205の制御を提供するように接続されている。一次RF信号発生器137は、さらに、一次RF信号発生器137の出力210に接続された電圧/電流(V/I)センサ207を備える。V/Iセンサ207は、接続208によって示されているように、制御システム209に接続されている。この構成において、V/Iセンサ207は、一次RF信号発生器137の出力210に存在する電圧および電流のリアルタイムな測定値を制御システム209に提供する。
【0053】
制御システム209は、さらに、制御システム209が、一次RF信号発生器137の外側のシステムへデータを送信し、かかるシステムからデータを受信することを可能にするNIC211を備える。一次RF信号発生器137のNIC211は、接続157によって示されているように、制御システム153のNIC179とデータ通信する。NIC211の例は、ネットワークインターフェースカード、ネットワークアダプタ、などを含む。様々な実施形態において、NIC211は、特にイーサネットおよび/またはEtherCATなど、1または複数のネットワーク通信プロトコルおよび関連する物理層に従って動作するよう構成されている。
【0054】
制御システム209は、一次RF信号発生器137の基本的に任意の態様を制御するように接続および構成されていることを理解されたい。そして、制御システム209は、一次RF信号発生器137内の基本的に任意の位置における基本的に任意の物理的および/または電気的な状態、条件、および/または、パラメータを監視するように、接続および構成されうることを理解されたい。制御システム209は、さらに、所定のアルゴリズムに従って一次RF信号発生器137の動作を指示するよう構成されている。例えば、制御システム209は、入力および制御の命令/プログラムを実行することによって、一次RF信号発生器137を動作させるよう構成される。入力および制御の命令/プログラムは、一次RF信号発生器137の動作および制御に関連するパラメータの中でも、目標RF電力設定点および目標周波数設定点を時間の関数として含む。
【0055】
バイアスRF信号発生器125は、RF信号を生成するためのオシレータ277を備える。オシレータ277は、RF範囲内の特定の周波数を有する周期的な振動電気信号(正弦波電子信号など)を生成する電子回路である。オシレータ277は、設定周波数で振動することができ、ここで、設定周波数は、いくつかの実施形態において、約100メガヘルツ(MHz)までの範囲内にある。いくつかの実施形態において、オシレータ277は、約11MHz~約15MHzの周波数範囲内で振動するよう設定される。いくつかの実施形態において、オシレータ277は、約12.882MHz~約14.238MHzの周波数範囲内で振動するよう設定される。いくつかの実施形態において、オシレータ277は、約0.9MHz~約1.1MHzの周波数範囲内で振動するよう設定される。オシレータ277の出力は、電力増幅器279の入力に接続されている。電力増幅器279は、オシレータ277によって生成されたRF信号を増幅し、増幅されたRF信号を電力増幅器279の出力を通してバイアスRF信号発生器125の出力271へ伝送する。
【0056】
バイアスRF信号発生器125は、さらに、バイアスRF信号発生器125のすべての動作態様の制御を提供するよう構成された制御システム281を備える。いくつかの実施形態において、制御システム281は、プラズマ処理システム100の制御システム153と同様に構成される。例えば、いくつかの実施形態において、制御システム281は、プロセッサと、データストレージデバイスと、入力/出力インターフェースと、プロセッサ、データストレージデバイス、および、入力/出力インターフェースが互いにデータを通信するためのデータバスと、を備える。制御システム281は、接続278によって示されているように、オシレータ277の制御を提供するように接続されている。また、制御システム281は、接続280によって示されているように、電力増幅器279の制御を提供するように接続されている。バイアスRF信号発生器125は、さらに、バイアスRF信号発生器125の出力271に接続された電圧/電流(V/I)センサ285を備える。V/Iセンサ285は、接続282によって示されているように、制御システム281に接続されている。この構成において、V/Iセンサ285は、バイアスRF信号発生器125の出力271に存在する電圧および電流のリアルタイムな測定値を制御システム281に提供する。
【0057】
制御システム281は、さらに、制御システム281が、バイアスRF信号発生器125の外側のシステムへデータを送信し、かかるシステムからデータを受信することを可能にするNIC283を備える。バイアスRF信号発生器125のNIC283は、接続161によって示されているように、制御システム153のNIC179とデータ通信する。NIC283の例は、ネットワークインターフェースカード、ネットワークアダプタ、などを含む。様々な実施形態において、NIC283は、特にイーサネットおよび/またはEtherCATなど、1または複数のネットワーク通信プロトコルおよび関連する物理層に従って動作するよう構成されている。
【0058】
制御システム281は、バイアスRF信号発生器125の基本的に任意の態様を制御するように接続および構成されていることを理解されたい。そして、制御システム281は、バイアスRF信号発生器125内の基本的に任意の位置における基本的に任意の物理的および/または電気的な状態、条件、および/または、パラメータを監視するように、接続および構成されうることを理解されたい。制御システム281は、さらに、所定のアルゴリズムに従ってバイアスRF信号発生器125の動作を指示するよう構成されている。例えば、制御システム281は、入力および制御の命令/プログラムを実行することによって、バイアスRF信号発生器125を動作させるよう構成される。入力および制御の命令/プログラムは、バイアスRF信号発生器125の動作および制御に関連するパラメータの中でも、目標RF電力設定点および目標周波数設定点を時間の関数として含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、一次RF信号発生器137の制御システム209は、一次RF信号発生器137の出力210におけるリアルタイムの反射係数(すなわち、ガンマ(Γ))を決定するようプログラムされており、ここで、Γ=V/V、Vは、反射RF信号の複素振幅であり、Vは、順方向RF信号の複素振幅である。また、いくつかの実施形態において、一次RF信号発生器137の制御システム209は、さらに、一次RF信号発生器137の出力210における電圧定在波比(VSWR)を決定するようプログラムされており、ここで、VSWR=|Vmax|/|Vmin|=((1+|Γ|))/((1-|Γ|))、|Vmax|=|V|+|V|、|Vmin|=|V|-|V|、である。一次RF信号発生器137によって生成されたRF信号に関連する反射RF電力の最小化は、一次RF信号発生器137の出力210における反射係数が可能な限りゼロに近づいたときに起きる。また、一次RF信号発生器137によって生成されたRF信号に関連する反射RF電力の最小化は、一次RF信号発生器137の出力210におけるVSWRが可能な限り1に近づいたときに起こり、ここで、1は、VSWRの可能最小値である。いくつかの実施形態において、制御システム209は、一次RF信号発生器137の出力210におけるリアルタイムの測定電圧を用いて、一次RF信号発生器137の出力210におけるリアルタイムの反射係数および/またはVSWRを算出するようプログラムされる。一次RF信号発生器137の出力210において得られた電圧測定値を用いて決定された、一次RF信号発生器137の出力210におけるリアルタイムの反射係数および/またはVSWRは、一次RF信号発生器137の周波数設定点を最適化するために、コスト関数で利用されてよい。
【0060】
同様に、いくつかの実施形態において、バイアスRF信号発生器125の制御システム281は、バイアスRF信号発生器125の出力271における反射係数(すなわち、ガンマ(Γ))およびVSWRを決定するようプログラムされている。バイアスRF信号発生器125によって生成されたRF信号に関連する反射RF電力の最小化は、バイアスRF信号発生器125の出力271における反射係数が可能な限りゼロに近づいたときに起きる。また、バイアスRF信号発生器125によって生成されたRF信号に関連する反射RF電力の最小化は、バイアスRF信号発生器125の出力271におけるVSWRが可能な限り1に近づいたときに起こり、ここで、1は、VSWRの可能最小値である。いくつかの実施形態において、制御システム281は、バイアスRF信号発生器125の出力271におけるリアルタイムの測定電圧を用いて、バイアスRF信号発生器125の出力271におけるリアルタイムの反射係数および/またはVSWRを算出するようプログラムされる。バイアスRF信号発生器125の出力271において得られた電圧測定値を用いて決定された、バイアスRF信号発生器125の出力271におけるリアルタイムの反射係数および/またはVSWRは、高周波RF信号発生器202の出力271において、反射係数を可能な限りゼロ近くまで最小化するため、および/または、VSWRを可能な限り1近くまで最小化するために、フィードバック信号として利用されてよい。また、高周波RF信号発生器202内で得られた電圧測定値を用いて決定された、高周波RF信号発生器202の出力271におけるリアルタイムの反射係数および/またはVSWRは、バイアスRF信号発生器125の周波数設定点を最適化するために、コスト関数で利用されてよい。
【0061】
プラズマ処理システム100は、様々なプラズマベースの半導体加工用途において(例えば、プラズマエッチングなどにおいて)、プラズマ処理制御にいくつかの利点を有する。プラズマ処理システム100は、プラズマ密度(イオン束/ラジカル束)およびイオンエネルギの独立制御を提供する。具体的には、プラズマ密度は、一次RF信号発生器137からコイル101へ、そして、上側窓構造111を通してプラズマ処理空間106内へ伝送されるプラズマ一次RF電力によって、ある程度まで制御可能である。そして、イオンエネルギは、バイアスRF信号発生器125からバイアス電極123へ、そして、プラズマ処理空間106内へ可能である。プラズマ密度(イオン束およびラジカル束に直接相関する)およびイオンエネルギの独立制御は、いくつかの半導体加工用途において特に有用である。例えば、求められるエッチング速度を得るために高プラズマ密度が必要とされ、基板上に存在する1または複数の材料(フォトレジスト材料など)への損傷を低減するために低イオンエネルギが求められるパターニング用途で有用である。パターニング用途に加えて、多くの他のプラズマベース半導体加工用途も、プラズマ密度およびイオンエネルギの独立制御から恩恵を受けうることを理解されたい。例えば、プラズマ密度およびイオンエネルギの独立制御は、深いトレンチおよび/またはホールの底部におけるエッチフロントを維持するために高いイオンエネルギおよび方向性が必要である高アスペクト比(HAR)エッチング用途で有用でありうる。いくつかの実施形態において、プラズマ一次RF電力/周波数およびバイアスRF電力/周波数は、所望の結果を達成するために同時に異なる方法で制御される必要がありうる。例えば、いくつかの実施形態において、低イオンエネルギと同時に高いプラズマ密度を得るためには、プラズマ一次RF電力は高い必要があり、それと同時に、バイアスRF電力は低い必要がある。
【0062】
いくつかの状況において、コイル101から上側誘電体窓111を通してプラズマ処理空間106へ伝送されるプラズマ一次RF電力は、必要なエッチング速度および/またはエッチング選択比を得るために、基板107レベルで十分な密度を提供しない。このことの1つの理由は、コイル101から伝送されたプラズマ一次RF電力によって生成された一次プラズマ105の密度が、コイル101からの距離が増すと共に減少することである。したがって、コイル101と基板支持構造113との間の距離が増すにつれて、基板107レベルで必要なプラズマ密度を実現することが困難になる。また、バイアス電極123に印加されるより低い周波数のバイアスRF電力は、基板107付近のプラズマ密度にあまり寄与することなしに、基板107上のDCバイアス電圧(V)を生成する。さらに、上側窓構造111のオーバーヒートによって損傷が起きる可能性があることから、コイル101に供給されるプラズマ一次RF電力を、指定された最大量(約3kW(キロワット)など)を超えて単純に増加させることは不可能な場合がある。また、コイル101と基板支持構造113との間の距離を短くすることは、コストのかかる処理チャンバ103の再設計を必要として、潜在的に、基板107レベルでのプラズマ均一性に関する問題を引き起こし、他の課題を提示しうる。
【0063】
基板107レベルでのイオンエネルギの増大を引き起こすことなしに基板107レベルでのプラズマ密度の増大を提供することができる。バイアス電極123は、基板107レベルで局所的に補充プラズマ密度154(図1Aを参照)を生成するために、特別に制御されたRF信号をプラズマ処理空間106へ伝送するために利用されうる。基板107レベルで、有効プラズマ密度は、コイル101に供給されたプラズマ一次RF電力によって生成されるプラズマ密度と、バイアス電極123に供給されたバイアスRF電力によって生成されるプラズマ密度との合計である。様々な実施形態において、基板107レベルでのイオンエネルギを増大させてまたは増大させずに、基板107において局所的に補充プラズマ密度154を生成することが可能である。バイアスRF信号発生器125によって基板107レベルで印加されるバイアスRF電力は、基板107レベルで(すなわち、基板の直上で)補充プラズマ密度154を生成するように制御される。一般に、バイアスRF信号発生器125によって供給されたRF信号によって生成されるバイアス電圧(V)は、これらのRF信号の周波数(f)に反比例する(V∝1/f)。バイアスRF電力(P)は、バイアス電圧(V)およびバイアス電流(I)の積すなわち(P=V*I)で与えられるので、バイアス電圧(V)が低いと、同じバイアスRF電力(P)を保つために、バイアス電流(I)は、それに対応して高い必要がある。したがって、あらかじめ定められたバイアスRF電力(P)からより高いプラズマ密度を達成するためには、より低いバイアス電圧(V)およびそれに対応してより高いバイアス電流(I)を有する必要がある。そして、バイアス電圧(V)は、バイアスRF信号の周波数(f)に反比例するので、あらかじめ定められたバイアスRF電力(P)に対してより低いバイアス電圧(V)を得るために、バイアスRF信号の周波数(f)は増大されうる。したがって、基板107レベルで生成される補充プラズマ密度154の増大を得るために、バイアス電圧(V)を低く維持すると同時に、より高い周波数(f)のRF信号が、バイアス電極123に供給されうる。そして、基板107レベルで生成される補充プラズマ密度154の増大を得るために、バイアス電圧(V)を高く維持すると同時に、より低い周波数(f)のRF信号が、バイアス電極123に供給されうる。
【0064】
いくつかの実施形態において、制御システム153は、マルチレベルRF電力パルシング処理に従って、一次RF信号発生器137および/またはバイアスRF信号発生器125の動作を指示するようプログラムされている。図3は、いくつかの実施形態に従って、実質的に一定の一次RF電力を維持しつつ、バイアスRF電力がパルス化されるマルチレベルRF電力パルシング処理を示す動作線図である。一次RF信号発生器137からコイル101へ供給される一次RF電力は、線301で示されるように、処理の持続時間にわたって一次電力レベル(PP1)で実質的に一定に保持されている。バイアスRF信号発生器125からバイアス電極123へ供給されるバイアスRF電力は、線303で示されるように、処理の持続時間にわたって低バイアス電力レベル(BP1)と高バイアス電力レベル(BP2)との間でパルス化されている。高バイアス電力レベル(BP2)は、第1動作状態(S1)中に発生する。低バイアス電力レベル(BP1)は、第2動作状態(S2)中に発生する。第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)は、処理の持続時間にわたって周期的に(交互かつ順次に)発生する。様々な実施形態において、あらかじめ定められた第1動作状態(S1)の持続時間が、オペレータによって指定され、あらかじめ定められた第2動作状態(S2)の持続時間が、オペレータによって指定される。様々な実施形態において、あらかじめ定められた第1動作状態(S1)の持続時間は、あらかじめ定められた第2動作状態(S2)の持続時間と同じまたは異なりうる。例えば、いくつかの実施形態において、あらかじめ定められた第1動作状態(S1)の持続時間は、あらかじめ定められた第2動作状態(S2)の持続時間と実質的に等しい。あるいは、様々な実施形態において、あらかじめ定められた第1動作状態(S1)の持続時間は、あらかじめ定められた第2動作状態(S2)の持続時間よりも短い。あるいは、様々な実施形態において、あらかじめ定められた第1動作状態(S1)の持続時間は、あらかじめ定められた第2動作状態(S2)の持続時間よりも長い。また、高バイアス電力レベル(BP2)および低バイアス電力レベル(BP1)は、オペレータによって指定される。高バイアス電力レベル(BP2)と低バイアス電力レベル(BP1)との間の遷移、および、その逆の遷移が、プラズマのインピーダンスの変化を引き起こす。したがって、高バイアス電力レベル(BP2)および低バイアス電力レベル(BP1)にそれぞれ対応する第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の各々に対して、バイアスRF信号発生器125は、異なる最適動作周波数設定点を有する。第1動作状態(S1)に対して、バイアスRF信号発生器125は、第1最適動作周波数設定点(FB1S1)を有する。そして、第2動作状態(S2)に対して、バイアスRF信号発生器125は、第2最適動作周波数事前設定点(FB1S2)を有する。
【0065】
1つの第1動作状態(S1)の持続時間および1つの第2動作状態(S2)の持続時間の合計が、バイアスRF電力パルスサイクルの持続時間を与える。いくつかの実施形態において、バイアスRF電力は、高バイアス電力レベル(BP2)と低バイアス電力レベル(BP1)との間で迅速に変えられる。例えば、いくつかの実施形態において、バイアスRF電力パルスサイクルの持続時間は、100マイクロ秒のオーダーである。しかしながら、いくつかの実施形態において、バイアスRF電力パルスサイクルの持続時間は、100マイクロ秒より短くてもよいし、長くてもよい。ポイントは、高バイアス電力レベル(BP2)と低バイアス電力レベル(BP1)との間で非常に迅速な切り替えが起きるように、バイアスRF電力パルスサイクルの持続時間が非常に短いことである。バイアスRF電力レベルが迅速に変化している時、第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の一方のみが、供給されるバイアスRF電力を最大化するために、インピーダンス整合システム129を用いて調整されうる。第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の他方は、供給されるバイアスRF電力を最大化するために、バイアスRF信号発生器125の周波数を用いて調整される必要がある。例えば、いくつかの実施形態において、第1動作状態(S1)(高バイアス電力)は、インピーダンス整合システム129内の1または複数のキャパシタ設定を用いて、供給されるバイアスRF電力を最大化するために調整され、第2動作状態(S2)(低バイアス電力)は、バイアスRF信号発生器125の周波数設定を用いて、供給されるバイアスRF電力またはウエハ平面における持続電圧を最大化するために調整される。
【0066】
第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の両方においてプラズマへのRF電力供給を最大化するために、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)は、第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の両方においてバイアスRF信号発生器125の出力271における反射RF電力を同時に最小化すると共に、第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の両方においてバイアスRF信号発生器125の出力271で測定される印加電圧/電力と設定点電圧/電力との差を同時に最小化するように設定されなければならない。したがって、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理の例では、バイアスRF信号発生器125に対して二次元周波数設定点グリッドが存在し、二次元周波数設定点グリッドの横軸は第1動作周波数設定点(fB1S1)であり、二次元周波数設定点グリッドの縦軸は第2動作周波数事前設定点(fB1S2)である。最適なセットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}が、以下を含む二次元周波数設定点グリッド内に存在する:1)第1動作状態(S1)中に印加される第1動作周波数設定点の最適値(FB1S1)、および、2)第2動作状態(S2)中に印加される第2動作周波数事前設定点の最適値(FB1S2)。人が、図3のマルチレベルRF電力パルシング処理のためにバイアスRF信号発生器125を調整するタスクを課せられた場合、以下の最適化条件を同時に満たす最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}を選択しなければならない:
第1動作状態(S1)中のバイアスRF信号発生器125の出力271における最小反射係数(Γ)、
第2動作状態(S2)中のバイアスRF信号発生器125の出力271における最小反射係数(Γ)、
第1動作状態(S1)のための設定点電圧/電力からのバイアスRF信号発生器125の出力271における電圧/電力の最小ずれ、および、
第2動作状態(S2)のための設定点電圧/電力からのバイアスRF信号発生器125の出力271における電圧/電力の最小ずれ。
【0067】
図4Aは、いくつかの実施形態に従って、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理例について、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッドにおいて、第1動作状態(S1)中のバイアスRF信号発生器125の出力271での反射係数(ΓB1S1)を示す。図4Bは、いくつかの実施形態に従って、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理例について、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッドにおいて、第2動作状態(S2)中のバイアスRF信号発生器125の出力271での反射係数(ΓB1S2)を示す。図4Aは、第1動作状態(S1)中にバイアスRF信号発生器125の出力271における反射係数(ΓB1S1)を最小化することに関して、最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}に多数の値が許容されることを示している。しかしながら、図4Bは、第2動作状態(S2)中にバイアスRF信号発生器125の出力271における反射係数(ΓB1S2)を最小化することに関して、最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}に許容される値の数は限られることを示している。
【0068】
図5Aは、いくつかの実施形態に従って、第1動作状態(S1)のための1000Vの電圧設定点で、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理例について、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッドにおいて、第1動作状態(S1)中のバイアスRF信号発生器125の出力271での電圧(VB1S1)を示す。図5Bは、いくつかの実施形態に従って、第2動作状態(S2)のための200Vの電圧設定点で、図3のマルチレベルバイアスRF電力パルシング処理例について、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッドにおいて、第2動作状態(S2)中のバイアスRF信号発生器125の出力271での電圧(VB1S2)を示す。図5Aは、1000Vの電圧設定点と、第1動作状態(S1)中にバイアスRF信号発生器125の出力271で測定された実際の電圧との間の差を最小化することに関して、最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}に多数の値が許容されることを示している。しかながら、図5Bは、200Vの電圧設定点と、第2動作状態(S2)中にバイアスRF信号発生器125の出力271で測定された実際の電圧との間の差を最小化することに関して、最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}に許容される値の数は限られることを示している。
【0069】
図4A図4B図5A、および、図5Bに示したデータに基づいて、上述の最適化条件を同時に満たす最適セットの設定点周波数座標{FB1S1、FB1S2}を手動で決定することは、複雑で、反復的で、時間がかかり、費用がかかり、間違いやすいタスクであることを理解されたい。また、図4A図4B図5A、および、図5Bに示したデータに基づいて、マルチレベルRF電力パルシング処理では、上述の最適化条件を満たす許容される設定点周波数座標{FB1S1、FB1S2}の数が限られていることを理解されたい。これは、事前設定の動作周波数{FB1S1,FB1S2}の許容される組み合わせの数を制限するバイアスRF信号発生器125の第1動作状態(S1)と第2動作状態(S2)との間の相互作用に起因する。
【0070】
従来の技術は、上述の最適化条件を同時に満たす最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}を決定するための自動自動処理を提供しない。したがって、本明細書で開示されている自動周波チューナがない時、図3のマルチレベルRF電力パルシング処理の第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)のための正しい事前設定周波数{FB1S1、FB1S2}を特定または選択することは、以前には、RFの専門家/エンジニアが一連の周波数スキャンを手動で行い、その後、各スキャン後に適切な事前設定周波数を選択することによってなされていた。この従来の手動周波数スキャン手順は、各周波数スキャンレシピの作成に必要な時間を考慮すると、処理工程ごとに最大20分かかりうる。
【0071】
本明細書で開示されている自動周波数調整方法および対応するシステムは、上述の最適化条件を同時に満たす最適セットの設定点周波数座標{FB1S1、FB1S2}を特定しようと手動の周波数スキャン手順を行う必要性をなくす。自動周波数調整方法では、最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}は、式1に示すように、コスト関数(J)の最小達成可能値に対応する。
【0072】
【数1】
【0073】
式1のコスト関数(J)は、(反射RF電力を示す)ある期間における第1動作状態(S1)の平均反射係数(
【数3】
)、(反射RF電力を示す)その期間における第2動作状態(S2)の平均反射係数(
【数4】
)、その期間における第1動作状態(S1)のための設定点電圧/電力(VB1S1_setpoint)からの印加(測定)電圧/電力(
【数5】
)のずれ、および、その期間における第2動作状態(S2)のための設定点電圧/電力(VB1S2_setpoint)からの印加(測定)電圧/電力(
【数6】
)のずれ、の量を考慮する。コスト関数(J)の項(
【数7】
)は、その期間に第1動作状態(S1)でウエハ平面においてバイアスRF信号発生器125によって生成される電圧の相対誤差の平均である。コスト関数(J)の項(
【数8】
)は、その期間に第2動作状態(S2)でウエハ平面においてバイアスRF信号発生器125によって生成される電圧の相対誤差の平均である。いくつかの実施形態において、式1は、その期間での第1動作状態(S1)に対する平均反射係数(
【数9】
)の代わりに、その期間での第1動作状態(S1)に対する平均VSWR(
【数10】
)を有するように、および/または、その期間での第2動作状態(S2)に対する平均反射係数(
【数11】
)の代わりに、その期間での第2動作状態(S2)に対する平均VSWR(
【数12】
)を有するように、変形されうる。
【0074】
式1のコスト関数(J)は、以下のようなプラズマ処理レシピを実行することにより、第1動作周波数設定点(fB1S1)および第2動作周波数事前設定点(fB1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッド上の任意の点で評価されうる:
・プラズマ105を生成するために、一次RF信号発生器137を動作させ、
・Match Cap調整モードでバイアスRF信号発生器125の高電力/電圧状態(BP2)(例えば、図3の例における第1動作状態(S1))を設定し、
・Manual調整モードでバイアスRF信号発生器125の低電力/電圧状態(BP1)(例えば、図3の例における第2動作状態(S2))を設定し、
・第1動作状態(S1)のためのバイアスRF信号発生器125の事前設定周波数(F’B1S1)を所望の値に設定し、
・第2動作状態(S2)のためのバイアスRF信号発生器125の事前設定周波数(F’B1S2)を所望の値に設定し、
・約5秒間、または、バイアスRF信号発生器125の出力271で、第1動作状態(S1)に対する平均反射率(
【数13】
)、第2動作状態(S2)に対する平均反射率(
【数14】
)、第1動作状態(S1)に対する平均電圧/電力(
【数15】
)、および、第2動作状態(S2)に対する平均電圧/電力(
【数16】
)を測定できるまで、標的材料膜を上に蒸着されたテストウエハにプラズマ処理レシピ工程を実行し、
・周波数座標{F’B1S1,F’B1S2}のセットに対して式1に示したコスト関数(J)を計算する。
【0075】
コスト関数(J)のための反射係数および電圧/電力の平均値は、工程の過渡部分を除外して定常値を得ることによって、RF発生器のデータロガーから得られる。コスト関数(J)は、三角形分割探索アルゴリズムに従って、2D周波数設定点グリッド上に注意深く配置された系統的なコスト関数(J)の評価を用いて最小化される。この理由から、2D周波数設定点グリッドは、2D周波数探索グリッドとも呼ばれる。三角形分割探索アルゴリズムは、2D周波数探索グリッドの右下象限に辺長(L)の正三角形を配置することによって開始する。図6Aは、いくつかの実施形態に従って、2D周波数探索グリッドの右下象限に配置され、頂点V1、V2、および、V3によって規定された初期正三角形を有する2D周波数探索グリッドを示す。右下象限における初期正三角形の位置は、2D周波数探索グリッドの右下象限が最適セットの設点周波数座標{FB1S1,FB1S2}を含むことを予期されるという経験的知識に基づいて選択される。この実施形態例において、三角形分割探索アルゴリズムが2D周波数探索グリッドを通して十分迅速に進むために、正三角形の初期辺長(L)は、200kHzに設定される。ただし、他の実施形態において、正三角形の初期辺長(L)は、200kHz以外の値に設定されてもよいことを理解されたい。
【0076】
初期正三角形が配置されると、コスト関数(J)は、正三角形のすべての3つの頂点V1、V2、および、V3において評価される。2D周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた頂点(すなわち、あらかじめ定められたセットの周波数座標{fB1S1,fB1S2})におけるコスト関数(J)の評価は、プラズマに暴露される標的材料のブランケット膜(エッチングされる標的材料のブランケット膜など)を有するテストウエハに対して上述のプラズマ処理レシピ工程を実行することによってなされる。コスト関数(J)が、すべての3つの頂点V1、V2、および、V3で評価された後、3つの頂点V1、V2、および、V3に対するコスト関数(J)の値は、コスト関数(J)の最大値を有する頂点を特定するために比較される。コスト関数(J)の最大値を有すると特定された頂点は、移動頂点として指定される。
【0077】
現在の正三角形に対して移動頂点が決定されると、移動頂点は、現在の正三角形の他の2つの(非移動)頂点と新たな正三角形を形成する位置に移動するまで、換言すると、現在の正三角形の他の2つの(非移動)頂点から辺長(L)だけ離れるまで、現在の正三角形の重心を通って現在の位置から直線的に2D周波数探索グリッド内で幾何学的に移動される。図6Aの例において、頂点V3が、コスト関数(J)の最大値を有すると決定される。したがって、頂点V3は、移動頂点として指定される。図6Bは、移動頂点V3が現在の正三角形の重心を通って移動して新たな正三角形の新たな頂点V4を形成する様子を描いた2D周波数探索グリッドを示す。この時、頂点V1、V2、および、V4によって形成された新たな正三角形が、現在の正三角形であると見なされる。三角形分割探索アルゴリズムは、2D周波数探索グリッドの外側に頂点を移動させることを防止する。
【0078】
次いで、コスト関数(J)は、新たな頂点V4において評価される。次に、現在の正三角形の3つの頂点V1、V2、および、V4に対するコスト関数(J)の値が、コスト関数(J)の最大値を有する頂点を特定するために比較される。コスト関数(J)の最大値を有すると特定された頂点は、次の移動頂点として指定される。図6Bの例において、頂点V2が、コスト関数(J)の最大値を有すると決定される。したがって、頂点V2は、次の移動頂点として指定される。図6Cは、移動頂点V2が現在の正三角形の重心を通って移動して新たな正三角形の新たな頂点V5を形成する様子を描いた2D周波数探索グリッドを示す。この時、頂点V1、V4、および、V5によって形成された新たな正三角形が、現在の正三角形であると見なされる。新たな頂点V5に対するコスト関数(J)が評価される。次いで、現在の正三角形の頂点V1、V4、および、V5に対するコスト関数(J)の値が、コスト関数(J)の最大値を有する頂点を次の移動頂点に決定するために比較される。
【0079】
現在の正三角形の3つの頂点でコスト関数(J)を評価し、現在の正三角形の3つの頂点に対するコスト関数(J)の値を比較して次の移動頂点を決定し、次の移動頂点を移動させて新たな正三角形を形成する処理は、移動頂点が2D周波数探索グリッドで以前に占められていた頂点位置に戻るまで繰り返される。図6Dは、図6Cから、移動頂点V10が頂点V8に対応する以前に占められていた頂点位置に戻る時点までの三角形分割探索アルゴリズムの進み方を示す。この時点で、コスト関数(J)の最小値は、頂点V8およびV10に対応する反復周波数座標のセットで囲まれた領域内に位置する。
【0080】
移動頂点が、2D周波数探索グリッド内でその前の位置を繰り返すことがわかった場合、正三角形のサイズは、現在の辺長(L)のサイズを2分の1にすることによって縮小される。したがって、最新の移動頂点が、2D周波数探索グリッド内でその以前の位置を占めるように移動された後、2D周波数探索グリッド内のその以前の位置は、正三角形のサイズを縮小するためのアンカー位置となる。アンカー位置が設定された状態で、最も最近に形成された正三角形の他の2つの頂点が、それぞれ、アンカー位置に向かって直線的に移動されて、前の正三角形の辺長(L)のサイズの2分の1の辺長(L)を有する新たな正三角形を形成する。図6Eは、頂点V10が頂点V8に対応する前の位置に戻った後の正三角形のサイズの縮小を示す。頂点V8は、正三角形のサイズ縮小のためのアンカー位置として設定される。正三角形のサイズを縮小するために、頂点V6は、新たな頂点V11を形成するように、頂点V6およびV8の間の直線距離が前の正三角形の辺長(L)の2分の1になるまで、頂点V8に向かって直線的に移動される。また、頂点V7は、新たな頂点V12を形成するように、頂点V7およびV8の間の直線距離が前の正三角形の辺長(L)の2分の1になるまで、頂点V8に向かって直線的に移動される。この時点で、頂点V8、V11、および、V12が、三角形分割探索アルゴリズムの継続に向けて、新たな正三角形を形成する。
【0081】
正三角形のサイズが縮小されると、三角形分割探索アルゴリズムは、図6A図6Dに関して説明したのと同じ方法で、移動頂点が2D周波数探索グリッドでその前の位置に戻るまで、現在の正三角形の3つの頂点でコスト関数(J)を評価し、現在の正三角形の3つの頂点に対するコスト関数(J)の値を比較して次の移動頂点を決定し、次の移動頂点を移動させて新しい正三角形を形成する反復処理を継続する。次いで、この時点で、図6Eに関して説明したのと同じ方法で、正三角形のサイズが再度縮小される。図6A図6Eに示すように、頂点を移動させて2D周波数探索グリッド内で新たな正三角形を作成し、正三角形のサイズを縮小する処理は、一連の最小コスト関数(J)収束基準が満たされるまで継続する。
【0082】
最小コスト関数(J)収束のための特定の基準が満たされた時、最終的な最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}は、三角形分探索アルゴリズムにおける最終的な正三角形の重心を規定する周波数である。いくつかの実施形態において、最小コスト関数(J)の収束基準は、以下を含む:
・コスト関数(J)が、もはや感知できるほど最小化できず、振動しない。
・正三角形の辺長(L)が、もはや感知できるほど縮小できない。
・2D周波数探索グリッドにおける移動頂点の周波数座標が、もはや感知できるほど変更できず、振動しない。
【0083】
図7Aは、いくつかの実施形態に従って、コスト関数(J)がもはや感知できるほど最小化できず、振動しないときについての最小コスト関数(J)収束基準を示すために、三角形分割探索アルゴリズムの反復にわたって規定された正三角形の各新たな頂点に対して評価されたコスト関数(J)のプロットを示す。コスト関数(J)の振動とは、三角形分割探索アルゴリズムの反復が実行され続けたときに、コスト関数(J)の値が繰り返しパターンで動くことである。いくつかの実施形態において、二次元周波数探索グリッド内での移動頂点の順次的な位置に対して評価されたコスト関数値の変化が約5%以下である場合に、コスト関数(J)は、もはや感知できるほど最小化できない。
【0084】
図7Bは、いくつかの実施形態に従って、正三角形の辺長がもはや感知できるほど減少できないときについての最小コスト関数(J)収束基準を示すために、三角形分割探索アルゴリズムの反復にわたって正三角形の辺長のプロットを示す。いくつかの実施形態において、三角形分割探索アルゴリズム中に形成された新たな正三角形が、二次元周波数探索グリッド内で約5キロヘルツ以下の辺長を有する場合、正三角形の辺長をもはや感知できるほど減少させることはできない。
【0085】
図7Cは、いくつかの実施形態に従って、2D周波数探索グリッド内の移動頂点の周波数座標がもはや感知できるほど変更できず、振動しないときについての最小コスト関数(J)収束基準を示すために、三角形分割探索アルゴリズムの反復にわたって2D周波数探索グリッド内の移動頂点の周波数座標のプロットを示す。移動頂点の周波数座標の振動とは、三角形分割探索アルゴリズムの反復が実行され続けるときに、移動頂点の位置が、繰り返しパターンで移動することである。移動された頂点座標の値の振動が検出された場合、三角形分割探索アルゴリズムは停止され、別の頂点セットを初期正三角形に用いて再開される。いくつかの実施形態において、移動頂点の位置の変化が、二次元周波数探索グリッドの各周波数座標次元において約1キロヘルツ以下であった場合、2D周波数探索グリッド内の移動頂点の周波数座標は、もはや感知できるほど変更することができない。
【0086】
図8は、いくつかの実施形態に従って、2D周波数探索グリッドにわたって評価されたコスト関数(J)のアイソコンターと、最終的な最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}に到達するために完了までに必要となった図6A図6Eの三角形分割探索アルゴリズムの工程とを示す。最終的な最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}は、自動周波数調整方法の出力を表すことを理解されたい。三角形分割探索アルゴリズムは、通常、最小コスト関数(J)収束基準を満たすために、約10~20の反復を要する。各反復(すなわち、新たな頂点に対するコスト関数(J)の各評価)は、実行に約5秒を要するる。したがって、三角形分割探索アルゴリズムは、通常、実行に約3~4分を要し、これは、手動での周波数スキャン手順に必要とされる20~30分よりもはるかに短い。また、最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}は、手動周波数スキャン手順で決定された設定点周波数座標よりもはるかに信頼性が高い。三角形分割探索アルゴリズムは、系統的に最適化指向で、2D周波数探索グリッド内で最小コスト関数(J)を探索するので、三角形分割探索アルゴリズムを利用することで、図4A図4B図5A、および、図5Bに示した完全なデータセットを生成しなければならない場合の時間および費用を避けられることを理解されたい。
【0087】
自動周波数調整方法についての上述の議論は、バイアスRF電力レベルが低バイアス電力レベル(BP1)と高バイアス電力レベル(BP2)との間でパルスする状態で、一次RF電力が実質的に一定に保持される図3の文脈で記載されているが、本明細書で開示されている自動周波数調整方法は、そのように限定されないことを理解されたい。例えば、本明細書で開示されている自動周波数調整アルゴリズムは、一次RF電力およびバイアスRF電力の両方が、それぞれ、異なる電力レベルの間でパルスする処理で利用されてもよく、この時、自動周波数調整方法は、一次RF信号発生器137のための最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}を決定するために適用され、自動周波数調整方法は、バイアスRF信号発生器125のための最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}を決定するために適用される。
【0088】
図9は、いくつかの実施形態に従って、バイアスRF電力および一次RF電力の両方が同期的にパルスするマルチレベルRF電力パルシング処理を示す動作線図である。バイアスRF電力は、図3に関して記載したようにパルス化されている。一次RF信号発生器137からコイル101へ供給される一次RF電力は、線401で示されるように、処理の持続時間にわたって低一次電力レベル(PP1)と高一次電力レベル(PP2)との間でパルス化されている。高一次電力レベル(PP2)は、第1動作状態(S1)中に発生する。低一次電力レベル(PP1)は、第2動作状態(S2)中に発生する。第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)は、図3に関して記載したものと同じである。高一次電力レベル(PP2)および低一次電力レベル(PP1)は、オペレータによって指定される。高一次電力レベル(PP2)と低一次電力レベル(PP1)との間の遷移、および、その逆の遷移が、プラズマのインピーダンスの変化を引き起こす。したがって、高一次電力レベル(PP2)および低一次電力レベル(PP1)にそれぞれ対応する第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の各々に対して、一次RF信号発生器137は、異なる最適動作周波数設定点を有する。第1動作状態(S1)に対して、一次RF信号発生器137は、第1最適動作周波数設定点(FP1S1)を有する。そして、第2動作状態(S2)に対して、一次RF信号発生器137は、第2最適動作周波数事前設定点(FP1S2)を有する。
【0089】
1つの第1動作状態(S1)の持続時間および1つの第2動作状態(S2)の持続時間の合計が、一次RF電力パルスサイクルの持続時間を与える。いくつかの実施形態において、一次RF電力は、高一次電力レベル(PP2)と低一次電力レベル(PP1)との間で迅速に変えられる。例えば、いくつかの実施形態において、一次RF電力パルスサイクルの持続時間は、100マイクロ秒のオーダーである。しかしながら、いくつかの実施形態において、一次RF電力パルスサイクルの持続時間は、100マイクロ秒より短くてもよいし、長くてもよい。ポイントは、高一次電力レベル(PP2)と低一次電力レベル(PP1)との間で非常に迅速な切り替えが起きるように、一次RF電力パルスサイクルの持続時間が非常に短いことである。一次RF電力レベルが迅速に変化している時、第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の一方のみが、供給される一次RF電力を最大化するために、インピーダンス整合システム141を用いて調整されうる。第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の他方は、供給される一次RF電力を最大化するために、一次RF信号発生器137の周波数設定点を用いて調整される必要がある。例えば、いくつかの実施形態において、第1動作状態(S1)(高一次電力)は、インピーダンス整合システム141内の1または複数のキャパシタ設定を用いて、供給される一次RF電力を最大化するために調整され、第2動作状態(S2)(低一次電力)は、一次RF信号発生器137の周波数設定点を用いて、供給される一次RF電力を最大化するために調整される。
【0090】
第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の両方においてプラズマへのRF電力供給を最大化するために、第1動作周波数設定点(fP1S1)および第2動作周波数事前設定点(fP1S2)は、第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の両方において一次RF信号発生器137の出力210における反射RF電力を同時に最小化すると共に、第1動作状態(S1)および第2動作状態(S2)の両方において一次RF信号発生器137の出力210で測定される印加電圧/電力と設定点電圧/電力との差を同時に最小化するように設定されなければならない。したがって、図4のマルチレベルRF電力パルシング処理の例では、一次RF信号発生器137に対して二次元周波数設定点グリッドが存在し、二次元周波数設定点グリッドの横軸は第1動作周波数設定点(fP1S1)であり、二次元周波数設定点グリッドの縦軸は第2動作周波数事前設定点(fP1S2)である。最適なセットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}が、以下を含む二次元周波数設定点グリッド内に存在する:1)第1動作状態(S1)中に印加される第1動作周波数設定点の最適値(FP1S1)、および、2)第2動作状態(S2)中に印加される第2動作周波数事前設定点の最適値(FP1S2)。自動周波数調整方法では、最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}は、式2に示すように、コスト関数(J)の最小達成可能値に対応する。
【0091】
【数2】
【0092】
式2のコスト関数(J)は、(反射RF電力を示す)ある期間における第1動作状態(S1)の平均反射係数(
【数17】
)、(反射RF電力を示す)その期間における第2動作状態(S2)の平均反射係数(
【数18】
)、その期間における第1動作状態(S1)のための設定点電圧/電力(VB1S1_setpoint)からの印加(測定)電圧/電力(
【数19】
)のずれ、および、その期間における第2動作状態(S2)のための設定点電圧/電力(VB1S2_setpoint)からの印加(測定)電圧/電力(
【数20】
)のずれ、の量を考慮する。コスト関数(J)の項(
【数21】
)は、その期間に第1動作状態(S1)でウエハ平面において一次RF信号発生器137によって生成される電圧の相対誤差の平均である。コスト関数(J)の項(
【数22】
)は、その期間に第2動作状態(S2)でウエハ平面においてバイアスRF信号発生器125によって生成される電圧の相対誤差の平均である。いくつかの実施形態において、式2は、その期間での第1動作状態(S1)に対する平均反射係数(
【数23】
)の代わりに、その期間での第1動作状態(S1)に対する平均VSWR(
【数24】
)を有するように、および/または、その期間での第2動作状態(S2)に対する平均反射係数(
【数25】
)の代わりに、その期間での第2動作状態(S2)に対する平均VSWR(
【数26】
)を有するように、変形されうる。
【0093】
式2のコスト関数(J)は、以下のようなプラズマ処理レシピを実行することにより、第1動作周波数設定点(fP1S1)および第2動作周波数事前設定点(fP1S2)によって規定された2D周波数設定点グリッド上の任意の点で評価されうる:
・バイアスRF信号発生器125をオフにし、
・Match Cap調整モードで一次RF信号発生器137の高電力/電圧状態(例えば、図4の例では第1動作状態(S1))を設定し、
・Manual調整モードで一次RF信号発生器137の低電力/電圧状態(例えば、図4の例では第2動作状態(S2))を設定し、
・第1動作状態(S1)の事前設定周波数(F’P1S1)を所望の値に設定し、
・第2動作状態(S2)の事前設定周波数(F’P1S2)を所望の値に設定し、
・約5秒間、または、一次RF信号発生器137の出力210で、第1動作状態(S1)に対する平均反射率(
【数27】
)、第2動作状態(S2)に対する平均反射率(
【数28】
)、第1動作状態(S1)に対する平均電圧/電力(
【数29】
)、および、第2動作状態(S2)に対する平均電圧/電力(
【数30】
)を測定できるまで、標的材料膜を上に蒸着されたテストウエハにプラズマ処理レシピ工程を実行し、
・周波数座標{F’P1S1,F’P1S2}のセットに対して式2に示したコスト関数(J)を計算する。
【0094】
コスト関数(J)のための反射係数および電圧/電力の平均値は、工程の過渡部分を除外して定常値を得ることによって、RF発生器のデータロガーから得られる。図6A図6Eに関して上述した三角形分割探索アルゴリズムが、一次RF信号発生器137の2D周波数探索グリッド内で最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}を決定するために実行される。最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}は、一次RF信号発生器137の周波数調整処理の出力である。一次RF信号発生器137に対して最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}が決定された後、バイアスRF信号発生器125に対して最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}を決定するために上述の同じ自動周波数調整方法が、最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}を用いて一次RF信号発生器137を動作させつつ実行される。
【0095】
図10は、いくつかの実施形態に従って、バイアスRF電力および一次RF電力の両方が非同期的にパルスするマルチレベルRF電力パルシング処理を示す動作線図である。バイアスRF電力は、図3に関して記載したのと反対の方法でパルス化されている。具体的には、線503で示すように、低バイアス電力(BP1)が第1動作状態(S1)中に発生し、高バイアス電力(BP2)が第2動作状態(S2)中に発生する。また、図9の実施形態と同様に、高一次電力(PP2)が第1動作状態(S1)中に発生し、低一次電力(PP1)が第2動作状態(S2)中に発生する。図9に関して上述した自動周波数調整方法が、一次RF信号発生器137の2D周波数探索グリッド内で最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}を決定するために利用される。一次RF信号発生器137に対して最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}が決定された後、バイアスRF信号発生器125に対して最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}を決定するために図3に関して上述したのと同じ自動周波数調整方法が、最適セットの設定点周波数座標{FP1S1,FP1S2}を用いて一次RF信号発生器137を動作させつつ実行される。
【0096】
図11は、いくつかの実施形態に従って、マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作に向けてRF信号発生器の自動周波数調整を行うための方法を示すフローチャートである。図11のRF信号発生器は、一次RF信号発生器137のバイアスRF信号発生器125のいずれかであってよい。この方法は、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点を表す第1座標軸(例えば、fB1S1またはfP1S1)を有し、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数事前設定点を表す第2座標軸(例えば、fB1S2またはfP1S2)を有する二次元周波数探索グリッドを規定するための工程1101を備える。RF信号発生器は、第1動作状態における第1出力電力レベルと、第2動作状態における第2出力電力レベルと、を有する。第1および第2出力電力レベルは、互いに異なっている。RF信号発生器は、図3図9、および、図10に示したように、第1動作状態と第2動作状態とを周期的に繰り返すことによってマルチレベルRF電力パルシングモードで動作するようプログラムされている。方法は、さらに、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第2最適値とを同時に決定するために、二次元周波数探索グリッド内で自動探索処理を実行するための工程1103を備える。方法は、さらに、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第2最適値とを用いて動作させるために、RF信号発生器を設定するための工程1105を備える。
【0097】
いくつかの実施形態において、自動探索処理は、RF信号発生器を備えたプラズマ処理システム100の制御システム153によって指示される。いくつかの実施形態において、自動探索処理は、複数回の反復を含み、各反復は、二次元周波数探索グリッド内の異なるセットの動作周波数設定点座標を用いて、プラズマ処理システム100内でプラズマを生成するために、マルチレベルRF電力パルシングモードでRF信号発生器を動作させることを含む。いくつかの実施形態において、自動探索処理の各反復は、RF信号発生器からプラズマへのRF電力供給の経験的評価を含む。いくつかの実施形態において、プラズマは、自動探索処理の各反復において、基板107に暴露されるように生成され、基板107は、プラズマに暴露される基板107の上面に存在する標的材料の膜を有する。いくつかの実施形態において、この方法のRF信号発生器は、バイアスRF信号発生器125であり、プラズマ処理システム100は、さらに、バイアスRF信号発生器125とは別個の一次RF信号発生器137を備える。これらの実施形態において、自動探索処理の各反復は、プラズマ処理システム100においてさらなるプラズマを生成するために一次RF信号発生器137を動作させることを含む。いくつかの実施形態において、この方法のRF信号発生器は、一次RF信号発生器137である。いくつかの実施形態において、プラズマ処理システム100は、さらに、一次RF信号発生器137とは別個のバイアスRF信号発生器125を備える。これらの実施形態において、マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作に向けて一次RF信号発生器137を自動的に周波数調整するための自動探索処理の各反復は、バイアスRF信号発生器125をオフにした状態で実行される。
【0098】
いくつかの実施形態において、自動探索処理は、RF信号発生器からプラズマ負荷へのRF電力供給を特徴付けるように規定されたコスト関数(J)の最小化に対応する最適セットの周波数座標(例えば、{FB1S1,FB1S2}または{FP1S1,FP1S2})を二次元周波数探索グリッド内で決定するために、二次元周波数探索グリッド内で実行される三角形分割探索処理である。最適セットの周波数座標は、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値(例えば、FB1S1またはFP1S1)と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数事前設定点の第2最適値(例えば、FB1S2またはFP1S2)と、を含む。いくつかの実施形態において、三角形分割探索処理は、二次元周波数探索グリッド内で順次形成される正三角形の頂点におけるコスト関数(J)の評価を含む。いくつかの実施形態において、二次元周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた正三角形のあらかじめ定められた頂点に対するコスト関数(J)の評価は、第1および第2動作状態におけるRF信号発生器に対する動作周波数設定点として、二次元周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた頂点に対する周波数座標(例えば、{F’B1S1,F’B1S2}または{F’P1S1,F’P1S2})を用いて、ある期間にわたってマルチレベルRF電力パルシングモードでRF信号発生器を動作させることによって実行される。いくつかの実施形態において、コスト関数(J)を評価するためのマルチレベルRF電力パルシングモードでのRF信号発生器の動作期間は、約5秒以下である。いくつかの実施形態において、二次元周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた正三角形のあらかじめ定められた頂点に対するコスト関数の評価は、上記期間にわたって第1動作状態のRF信号発生器によって生成されたRF信号の反射係数の平均(例えば、(
【数31】
)または(
【数32】
)と、上記期間にわたって第2動作状態のRF信号発生器によって生成されたRF信号の反射係数の平均(例えば、(
【数33】
)または(
【数34】
)と、上記期間にわたって第1動作状態のRF信号発生器によって生成された電圧の相対誤差の平均(例えば、
【数35】
、または、
【数36】
)と、上記期間にわたって第2動作状態のRF信号発生器によって生成された電圧の相対誤差の平均(例えば、
【数37】
、または、
【数38】
)と、の合計を算出することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、三角形分割探索処理は、さらに、以下によって、二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する処理を含む:1)現在の正三角形の3つの頂点の中で最大のコスト関数(J)値を有する現在の正三角形の特定の頂点を特定し、2)特定の頂点が、新たな頂点の位置と位置が維持された2つの他の頂点の位置とによって規定される新たな正三角形の形成に対応する二次元周波数探索グリッド内の新たな頂点の位置に到達するまで、現在の正三角形の2つの他の頂点の位置を維持しつつ、現在の正三角形の特定の頂点を現在の正三角形の重心を通って直線的に移動させる。この処理は、図6A図6Eに関して例として記載されている。いくつかの実施形態において、三角形分割探索処理は、新たな正三角形が前の正三角形の繰り返しになるまで、二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する処理を継続し、繰り返しになった時、三角形分割探索処理は、新たな正三角形のサイズを縮小して、二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する処理を再開する。
【0100】
いくつかの実施形態において、三角形分割探索処理は、収束基準が満たされるまで、二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成し、新たな正三角形が前の正三角形を繰り返したときにそのサイズを縮小する処理を継続する。いくつかの実施形態において、三角形分割探索処理の収束基準は、二次元周波数探索グリッド内の移動頂点の順次的な位置に対して評価されたコスト関数値の変化が約5%以下であること、新たな正三角形が二次元周波数探索グリッド内で約5キロヘルツ以下の辺長を有すること、および、二次元周波数探索グリッドの各周波数座標次元において移動頂点の位置の変化が約1キロヘルツ以下であること、を含む。
【0101】
マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作に向けてRF信号発生器の自動周波数調整を行うためのシステムが、本明細書で開示されている。システムは、プラズマ処理チャンバ103を備えており、プラズマ処理チャンバ103は、基板支持構造113と、電極123および/または101と、を備える。システムは、さらに、RF信号を生成して、RF信号発生器の出力を通してRF信号を伝送するよう構成されたRF信号発生器を備える。RF信号発生器は、一次RF信号発生器137のバイアスRF信号発生器125のいずれかである。RF信号発生器は、第1動作状態における第1出力電力レベルと、第2動作状態における第2出力電力レベルと、を有するよう設定されており、第1および第2出力電力レベルは、互いに異なっている。RF信号発生器は、第1動作状態と第2動作状態とを周期的に繰り返すことによってマルチレベルRF電力パルシングモードで動作するようプログラムされている。システムは、さらに、RF信号発生器の出力に接続された入力を有するインピーダンス整合システムを備える。インピーダンス整合システムは、RF信号発生器がバイアスRF信号発生器125である場合、インピーダンス整合システム129である。インピーダンス整合システムは、RF信号発生器が一次RF信号発生器137である場合、インピーダンス整合システム141である。インピーダンス整合システムは、電極123または101に接続された出力を有する。インピーダンス整合システムは、プラズマ処理チャンバ103内で生成されるプラズマへ電極123または101を通してRF信号を伝送することを可能にするために、RF信号発生器の出力におけるインピーダンスを制御するよう構成されている。
【0102】
システムは、さらに、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点を表す第1座標軸(例えば、fB1S1またはfP1S1)を有し、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数事前設定点を表す第2座標軸(例えば、fB1S2またはfP1S2)を有する二次元周波数探索グリッドを規定するようプログラムされた制御システム153を備える。制御システム153は、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第2最適値とを同時に決定するために、二次元周波数探索グリッド内で自動探索処理を実行するようプログラムされている。いくつかの実施形態において、制御システム153は、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第2最適値とを用いて動作するように、RF信号発生器を設定するようプログラムされている。
【0103】
いくつかの実施形態において、自動探索処理は、複数回の反復を含み、各反復に対して、制御システム153は、二次元周波数探索グリッド内の異なるセットの動作周波数設定点座標を用いて、プラズマ処理チャンバ103内でプラズマを生成するために、マルチレベルRF電力パルシングモードでのRF信号発生器の動作を指示するようプログラムされている。いくつかの実施形態において、制御システム153は、自動探索処理の各反復において、RF信号発生器からプラズマへのRF電力供給を経験的に評価するようプログラムされている。いくつかの実施形態において、基板107は、基板支持構造113上に配置され、基板107は、プラズマ処理チャンバ103内のプラズマ生成領域106に露出した基板107の上面に存在する標的材料の膜を有する。いくつかの実施形態において、プラズマは、自動探索処理の各反復で基板107に暴露されるように生成される。
【0104】
いくつかの実施形態において、このシステムのRF信号発生器は、バイアスRF信号発生器125である。いくつかの実施形態において、システムは、さらに、バイアスRF信号発生器125とは別個の一次RF信号発生器137を備える。これらの実施形態において、制御システム153は、自動探索処理の各反復中にプラズマ処理チャンバ103内でさらなるプラズマを生成するために、一次RF信号発生器137の動作を指示するようプログラムされている。いくつかの実施形態において、このシステムのRF信号発生器は、一次RF信号発生器137である。これらの実施形態のいくつかにおいて、システムは、さらに、一次RF信号発生器137とは別個のバイアスRF信号発生器125を備える。これらの実施形態において、制御システム153は、マルチレベルRF電力パルシングモードでの動作に向けて一次RF信号発生器137を自動的に周波数調整するために、自動探索処理の各反復中にバイアスRF信号発生器125をオフにするようプログラムされている。
【0105】
いくつかの実施形態において、制御システム153は、RF信号発生器からプラズマへのRF電力供給を特徴付けるように規定されたコスト関数(J)の最小化に対応する最適セットの周波数座標(例えば、{FB1S1,FB1S2}または{FP1S1,FP1S2})を二次元周波数探索グリッド内で決定するために、二次元周波数探索グリッド内で三角形分割探索処理として自動探索処理を実行するようプログラムされている。最適セットの周波数座標は、第1動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数設定点の第1最適値(例えば、FB1S1またはFP1S1)と、第2動作状態におけるRF信号発生器の動作周波数事前設定点の第2最適値(例えば、FB1S2またはFP1S2)と、を含む。いくつかの実施形態において、制御システム153は、二次元周波数探索グリッド内で順次形成される正三角形の頂点におけるコスト関数(J)を評価することによって、三角形分割探索処理を実行するようプログラムされている。
【0106】
いくつかの実施形態において、制御システム153は、第1および第2動作状態におけるRF信号発生器に対する動作周波数設定点として、二次元周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた頂点に対する周波数座標(例えば、{F’B1S1,F’B1S2}または{F’P1S1,F’P1S2})を用いて、ある期間でのマルチレベルRF電力パルシングモードでRF信号発生器の動作を指示することによって、二次元周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた正三角形のあらかじめ定められた頂点に対するコスト関数(J)を評価するようプログラムされている。いくつかの実施形態において、制御システム153は、コスト関数(J)を評価するためのマルチレベルRF電力パルシングモードでのRF信号発生器の動作期間を約5秒以下に設定するようプログラムされている。いくつかの実施形態において、制御システム153は、上記期間にわたって第1動作状態のRF信号発生器によって生成されたRF信号の反射係数の平均(例えば、(
【数39】
)または(
【数40】
)と、上記期間にわたって第2動作状態のRF信号発生器によって生成されたRF信号の反射係数の平均(例えば、(
【数41】
)または(
【数42】
)と、上記期間にわたって第1動作状態のRF信号発生器によって生成された電圧の相対誤差の平均(例えば、
【数43】
、または、
【数44】
)と、上記期間にわたって第2動作状態のRF信号発生器によって生成された電圧の相対誤差の平均(例えば、
【数45】
、または、
【数46】
)と、の合計を算出することによって、二次元周波数探索グリッド内のあらかじめ定められた正三角形のあらかじめ定められた頂点に対するコスト関数(J)を評価するようプログラムされている。
【0107】
いくつかの実施形態において、三角形分割探索処理の一部として、制御システム153は、以下によって、二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する処理を実行するようプログラムされている:1)現在の正三角形の3つの頂点の中で最大のコスト関数値を有する現在の正三角形の特定の頂点を特定し、2)特定の頂点が、新たな頂点の位置と位置が維持された2つの他の頂点の位置とによって規定される新たな正三角形の形成に対応する二次元周波数探索グリッド内の新たな頂点の位置に到達するまで、現在の正三角形の2つの他の頂点の位置を維持しつつ、現在の正三角形の特定の頂点を現在の正三角形の重心を通って直線的に移動させる。この処理は、図6A図6Eに関して例として記載されている。いくつかの実施形態において、三角形分割探索処理の一部として、制御システム153は、新たな正三角形が前の正三角形の繰り返しになるまで、二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する処理を継続するようプログラムされており、繰り返しになった時、制御システム153は、新たな正三角形のサイズを縮小して、二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成する処理を再開するようプログラムされている。
【0108】
いくつかの実施形態において、三角形分割探索処理の一部として、制御システム153は、収束基準が満たされるまで、二次元周波数探索グリッド内で正三角形を順次形成し、新たな正三角形が前の正三角形を繰り返したときにそのサイズを縮小する処理を継続するようプログラムされている。いくつかの実施形態において、制御システム153は、二次元周波数探索グリッド内の移動頂点の順次的な位置に対して評価されたコスト関数値の変化が約5%以下であること、新たな正三角形が二次元周波数探索グリッド内で約5キロヘルツ以下の辺長を有すること、および、二次元周波数探索グリッドの各周波数座標次元において移動頂点の位置の変化が約1キロヘルツ以下であること、を含む収束基準を適用するようプログラムされている。
【0109】
いくつかの実施形態において、最適なRF安定性および性能に向けてマルチレベルRF電力パルシングレシピ工程を調整するための本明細書に開示の自動周波数調整方法は、制御モジュール153のレシピエディタに組み込まれたソフトウェアモジュールとして実装される。これらの実施形態において、自動周波数調整方法は、制御モジュール153内のコンピュータメモリ内に格納されたコンピュータプログラム命令として実装される。ソフトウェアモジュールは、(必要な場合に)チューナを選択するようユーザにプロンプトし、製造処理の各マルチレベルRF電力パルシング工程を自動的に調整する。この手順は、最適なウエハをプラズマ処理装置100に配置することをユーザに求める。プラズマ処理装置100が自動周波数調整方法を完了させると、オペレータは、自動周波数調整方法によって出力された最適セットの設定点周波数座標{FB1S1,FB1S2}を受け入れるようプロンプトおよび要求される。
【0110】
本明細書で開示されている自動周波数調整方法は、レシピの作成および開発のために周波数調整手順を提供するため、安定した動作周波数条件を手動で推奨することにRF専門家/エンジニアを関与させる必要がなくなることを理解されたい。換言すると、プロセスエンジニアが一見不安定な条件を持つレシピを開発/作成している場合に、本明細書で開示されている自動周波数調整器は、プロセス開発を進めるための安定した動作点を提供できる。また、本明細書で開示されている自動周波数調整方法を利用することで、より良好なオンウエハメトリクス(CD、ボウなど)につながりうる新しい有利な処理条件の利用につながる可能性がある。自動周波数調整方法の実装には、プラズマ処理装置100のハードウェア変更が必要ないため、自動周波数調整方法のフィールドバック実装が低コストで実現可能となる。本明細書で開示されている自動周波数調整方法は、既存の処理ツールに製造上または技術上の変更を求めることなしに、ソフトウェアで実装されることが可能である。
【0111】
本明細書で述べたように、RFの専門家/エンジニアによって実行される手動の周波数調整手順は、処理工程(周波数スキャンレシピ準備を含む)あたり最大20分を要しうる。本明細書で開示されている自動周波数調整方法は、2~2.5分で完了し、RF専門家/エンジニアがツールに立ち会う必要性を非除することが実証された。本明細書で開示されている自動周波数調整方法の幅広い応用範囲を考慮すると、自動周波数調整方法は、他の半導体製造処理ツール、特にレベル間のパルシングを利用するツール、への自動周波数調整の応用の基礎を提供しうることを想定できる。
【0112】
本明細書に記載されている実施形態は、コンピュータシステムに格納されたデータを含め、コンピュータに実装された様々な動作を利用できることを理解されたい。これらの動作は、物理量の物理操作を必要とするものである。本実施形態の一部を形成する本明細書で説明した動作はいずれも、有用な機械動作である。本実施形態は、さらに、これらの動作を実行するためのハードウェアユニットまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータ向けに特別に構成されてよい。専用コンピュータとして規定された場合、コンピュータは、特殊目的に含まれない他の処理、プログラム実行、または、ルーチンも実行しつつ、特殊目的のために動作することができる。一部の実施形態において、動作は、コンピュータメモリ、キャッシュに格納されたまたはネットワークを介して取得された1または複数のコンピュータプログラムによって選択的にアクティベートまたは構成された汎用コンピュータで処理されてもよい。データがネットワークを介して取得されると、そのデータは、ネットワーク(例えば、コンピューティングリソースのクラウド)上の他のコンピュータによって処理されてもよい。
【0113】
本明細書に記載の様々な実施形態は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体上にコンピュータ読み取り可能なコードとして製造されてよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータシステムによって読み出し可能であるようにデータを格納できる任意のデータ記憶ハードウェアユニットである。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスク-ROM(CD-ROM)、CD-レコーダブル(CD-R)、CD-リライタブル(CD-RW)、磁気テープ、および、その他の光学式および非光学式のデータ記憶ハードウェアユニットが挙げられる。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能なコードが分散的に格納および実行されるように、ネットワーク接続されたコンピュータシステム上に分散されたコンピュータ読み取り可能なタンジブル媒体を含みうる。
【0114】
本開示は、理解しやすいように、ある程度の詳細事項を含むが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。例えば、本明細書で開示されている任意の実施形態からの1または複数の特徴が、本明細書で開示されている任意の他の実施形態の1または複数の特徴と組み合わせられてもよいことを理解されたい。したがって、これらの実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、特許請求の範囲は、本明細書に示した詳細に限定されず、記載された実施形態の範囲および等価物の範囲内で変形されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】