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▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】放射線硬化性ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/67 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
C08G18/67 010
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568108
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2020062829
(87)【国際公開番号】W WO2020229332
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】19174114.9
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ラナウ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】グタッカー,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】クライン,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】メッケル-ヨナス,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ドゥネカーケ,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ボニグート,マルクス
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG04
4J034FB01
4J034FC01
4J034FD01
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
4J034KD02
4J034KE02
4J034QB17
(57)【要約】
本発明は、放射線または放射線/湿気二重硬化性ポリマーおよびそれらの製造方法に関する。これらのポリマーは、接着剤、コーティング、およびシーラントの分野における様々な用途に有用である。放射線硬化性ポリマーは、少なくとも1つの一般式(I)の末端基
-A-C(=O)-CR=CH(I)
(式中、
は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む二価結合基であり;
は、HおよびC~Cアルキル、好ましくはHおよびメチルから選択され;
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
を含み、任意に、少なくとも1つの一般式(II)の末端基
-A-SiXYZ(II)
(式中、X、Y、Zは、互いに独立に、ヒドロキシル基、およびC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され、X、Y、Zは、Si原子と直接結合している置換基であるか、または置換基X、Y、Zのうちの2つは、それらが結合しているSi原子と一緒になって、環を形成し、置換基X、Y、Zのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基、C~CアルコキシおよびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され;
は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む二価結合基である)
をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの一般式(I)の末端基
-A-C(=O)-CR=CH (I)
(式中、
は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む二価結合基であり;
は、HおよびC~Cアルキル、好ましくはHおよびメチルから選択され;
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
を含む放射線硬化性ポリマー。
【請求項2】
少なくとも1つの一般式(II)の末端基
-A-SiXYZ (II)
(式中、X、Y、Zは、互いに独立に、ヒドロキシル基、およびC~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、およびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され、X、Y、Zは、Si原子と直接結合している置換基であるか、または置換基X、Y、Zのうちの2つは、それらが結合しているSi原子と一緒になって環を形成し、置換基X、Y、Zのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基、C~Cアルコキシ基およびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され;
は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む二価結合基である)
を含む、請求項1に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項3】
(1)少なくとも2つの一般式(I)の末端基を含むか、または少なくとも1つの式(I)の末端基および少なくとも1つの式(II)の末端基を含む;および/または
(2)1~100モル%、好ましくは50~100モル%の式(I)の末端基および99~0モル%、好ましくは50~0モル%の式(II)の末端基を含み、前記式(I)の末端基と前記式(II)の末端基とのモル比が、好ましくは1超:1、より好ましくは少なくとも2:1である、請求項1または2に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項4】
(1)直鎖ポリマーであり、(i)2つもしくは3つ、好ましくは2つの式(I)の末端基、または(ii)1つの式(I)の末端基および1つもしくは2つ、好ましくは1つの式(II)の末端基、または(iii)2つの式(I)の末端基および1つの式(II)の末端基を含む;および/または
(2)ポリオキシエチレン主鎖、ポリプロピレン主鎖、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン主鎖、好ましくはポリオキシプロピレン主鎖を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項5】
および/またはAが、置換もしくは非置換エーテル基、アミド基、カルバメート基、ウレタン基、尿素基、イミノ基、シロキサン基、カルボキシレート基、カルバモイル基、アミジノ基、カーボネート基、スルホネート基またはスルフィネート基、好ましくは尿素基および/またはウレタン基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項6】
が、式(III)の基
-R11-A11-(R12-A12-R13- (III)
[式中、
11、R12およびR13は独立に、結合、または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり;
11およびA12はそれぞれ独立に、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’’-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NR’’-、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-S-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-S-C(=O)-S-、-C(=O)-、-S-、-O-、および-NR’’-(式中、R’’は、水素または任意に置換された1~12個の炭素原子を有する炭化水素部分、好ましくはC~Cアルキルまたは水素であり得る)から選択される二価基であり;
nは0または1である]
である、請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項7】
11が、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~4個の炭素原子を有する非置換アルキレン残基であり;
11が、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-および-NR’’-C(=O)-NH-、好ましくは-O-C(=O)-NH-から選択される二価基であり;
13が、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキレン残基であり;
nが0または1であり、但し、nが1である場合、
12が、1~20個の炭素原子を有する二価の置換または非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり;
12が、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-および-NH-C(=O)-NR’’-、好ましくは-NH-C(=O)Oから選択される二価基である、請求項6に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項8】
が、式(IV)の基
-R21-A21-(R22-A22-R23-(IV)
[式中、
21、R22およびR23は独立に、結合、または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり;
21およびA22はそれぞれ独立に、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’’-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NR’’-、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-S-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-S-C(=O)-S-、-C(=O)-、-S-、-O-、および-NR’’-(式中、R’’は、水素または任意に置換された1~12個の炭素原子を有する炭化水素部分、好ましくはC~Cアルキルまたは水素であり得る)から選択される二価基であり;
mは0または1である]
である、請求項1~7のいずれか一項に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項9】
21が、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~4個の炭素原子を有する非置換アルキレン残基であり;
23が、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~3個の炭素原子を有する非置換アルキレン残基であり;
nが0または1であり、但し、nが0である場合、
21が、-O-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、および-NR’’-C(=O)-NH-、好ましくは-O-、-O-C(=O)-NH-、またはNH-C(=O)-NH-から選択される二価基であり;
但し、nが1である場合、
21が、-O-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、および-NR’’-C(=O)-NH-、好ましくは-O-C(=O)-NHから選択される二価基であり;
22が、1~20個の炭素原子を有する二価の置換または非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり;
22が、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、および-NH-C(=O)-NR’’-、好ましくは-NH-C(=O)-NHから選択される二価基である、請求項8に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項10】
(1)式(II)中、X、YおよびZが、互いに独立に、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、またはエトキシ基から選択され、前記置換基のうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル基、またはメトキシ基もしくはエトキシ基であり、好ましくは全てが、メトキシ基またはエトキシ基、より好ましくはメトキシ基から選択される;および/または
(2)一般式(III)および/または(IV)中のR11、R21およびR23が、結合、メチレン基、エチレン基、またはn-プロピレン基から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の放射線硬化性ポリマー。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の放射線硬化性ポリマーを製造する方法であって、OH末端ポリマーを、式(Ia)の化合物
OCN-R13-C(=O)-C(R)=CH (Ia)
および任意に、式(IIa)の化合物
OCN-R23-SiXYZ(IIa)
(式中、R13およびR23は独立に、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり;
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
と反応させることを含む、方法。
【請求項12】
(i)前記ポリマーの末端OH基とNCO基とのモル比が、1:0.5~1:1.5、好ましくは1:0.9~1:1.1、より好ましくは1:0.99~1:1.01の範囲である;および/または
(ii)前記反応が適切な触媒の存在下で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の放射線硬化性ポリマーを製造する方法であって、
(a)OH末端ポリマーを、式(V)のポリイソシアネート
(OCN)-R-NCO(V)
(式中、Rは、1~20個の炭素原子を有する置換または非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり;
pは1~3、好ましくは1または2、より好ましくは1である)
と反応させること;および
(b)得られたNCO末端ポリマーを、式(Ib)の化合物
-R13-C(=O)-CR=CH(Ib)
(式中、BはNCO反応性基、好ましくは-OHである)
および任意に、式(IIb)の化合物
-R23-SiXYZ(IIb)
(式中、BはNCO反応性基、好ましくは-N(R’’)であり、R’’は水素または任意に置換された1~12個の炭素原子を有する炭化水素部分、好ましくはC~Cアルキルまたは水素、より好ましくは水素であり得;
13およびR23は独立に、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり、
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
と反応させること
を含む、方法。
【請求項14】
(i)末端OH基と式(V)のポリイソシアネートとのモル比が、1:0.5~1:1.5、好ましくは1:0.9~1:1.1、より好ましくは1:0.99~1:1.01である;および/または
(ii)工程(a)後の未反応NCO基とB基およびB基の合計とのモル比が、1:0.5~1:1.5、好ましくは1:0.9~1:1.0、より好ましくは1:0.94~1:0.96である;および/または
(iii)前記式(V)のポリイソシアネートが、エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメトキシブタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,3-または-1,4-フェニレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-または2,6-トルイレンジイソシアネート(TDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびそれらの異性体混合物、MDIの部分的または完全水素化シクロアルキル誘導体、アルキル置換ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、フタル酸-ビス-イソシアナトエチルエステル、1-クロロメチルフェニル-2,4-または-2,6-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル-2,4-または-2,6-ジイソシアネート、3,3’-ビス-クロロメチルエーテル-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、硫黄含有ジイソシアネート、ダイマー脂肪酸のジイソシアネート、または前記ジイソシアネート、好ましくはIPDI、TDIおよびMDIの2つ以上の混合物からなる群から選択されるジイソシアネートである;および/または
(iv)前記式(Ib)の化合物が、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される;および/または、
(v)前記式(IIb)の化合物が、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)-n-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1-プロパンアミン(CAS82985-35-1)、3-トリエトキシシリル-N-(3-トリエトキシシリルプロピル)プロパン-1-アミン(CAS13497-18-2)、およびN-(フェニルアミノ)メチルトリメトキシシランからなる群から選択される;および/または
(vi)前記反応が適切な触媒の存在下で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか一項に従って得ることができる放射線硬化性ポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線または放射線/湿気二重硬化性ポリマーおよびそれらの製造方法の分野にある。
【背景技術】
【0002】
放射線硬化性接着剤は広く使用されており、放射線、例えば電子ビーム放射線または化学線、例えば紫外(UV)放射線もしくは可視光に十分曝露すると架橋を形成する(硬化する)ことができる。エラストマー特性を示し、高温耐性を有する硬化材料を得ることを可能にする放射線硬化性ポリマーを提供することが望ましいであろう。
【0003】
接着剤およびシーラントの分野でも既知であり、広く使用されているのは、一液型湿気硬化性接着剤およびシーラント、特にいわゆるシラン末端接着剤およびシーラントである。長年にわたり、これらは多数の技術的用途において重要な役割を果たしてきた。シラン末端接着剤およびシーラントは、プライマーを使用した表面前処理なしに多種多様な基板への広範囲の接着を提供するという利点を有する。シラン変性ポリマー組成物は、ホットメルトとは対照的に、種々の興味深い特性、例えば等方性および化学的に硬化可能でエラストマーを提供し、高温下で変形しないことを提供し、種々の添加剤と組み合わせて、得られる生成物の特性、例えば機械的特性、耐火性、熱伝導性、導電性、耐熱性、UV耐性、耐候性等を調整することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、放射線または放射線と湿気との組み合わせのいずれかによって硬化可能な新規なタイプのポリマーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの一般式(I)の末端基
-A-C(=O)-CR=CH(I)
(式中、
は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む二価結合基であり;
は、HおよびC~Cアルキル、好ましくはHおよびメチルから選択され;
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
を含む放射線硬化性ポリマーに関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
様々な実施形態では、放射線硬化性ポリマーが、少なくとも1つの一般式(II)の末端基
-A-SiXYZ(II)、
(式中、X、Y、Zは、互いに独立に、ヒドロキシル基、およびC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され、X、Y、Zは、Si原子と直接結合している置換基であるか、または置換基X、Y、Zのうちの2つは、それらが結合しているSi原子と一緒になって、環を形成し、置換基X、Y、Zのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基、C~CアルコキシおよびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され;
は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む二価結合基である)
をさらに含む。
【0007】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される放射線硬化性ポリマーを製造する方法であって、OH末端ポリマーを、式(Ia)の化合物
OCN-R13-C(=O)-C(R)=CH(Ia)
および任意に、式(IIa)の化合物
OCN-R23-SiXYZ(IIa)
(式中、R13およびR23は独立に、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基であり;
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
と反応させることを含む方法に関する。
【0008】
この方法は、本明細書では「一段階法」とも呼ばれる。
【0009】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される放射線硬化性ポリマーを製造する方法であって、
(a)OH末端ポリマーを式(V)のポリイソシアネート
(OCN)-R-NCO(V)
(式中、Rは、1~20個の炭素原子を有する置換または非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基であり;
pは1~3、好ましくは1または2、より好ましくは1である)
と反応させることと;
(b)得られたNCO末端ポリマーを式(Ib)の化合物
-R13-C(=O)-CR=CH(Ib)
(式中、BはNCO反応性基、好ましくは-OHである)
および任意に、式(IIb)の化合物
-R23-SiXYZ(IIb)
(式中、BはNCO反応性基、好ましくは-N(R’’)であり、R’’は水素または任意に置換された1~12個の炭素原子を有する炭化水素部分、好ましくはC~Cアルキルまたは水素、より好ましくは水素であり得;
13およびR23は独立に、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基であり、
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
と反応させることと
を含む方法に関する。
【0010】
この方法は、本明細書では「二段階法」とも呼ばれる。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載される方法に従って得ることができる放射線硬化性ポリマーに関する。
【0012】
なおさらなる方法では、本発明はまた、少なくとも1つの本発明のポリマーを含む組成物を特徴とする。
【0013】
「組成物」は、本発明の文脈において、少なくとも2つの成分の混合物として理解される。
【0014】
「硬化性(curable)」という用語は、外部条件の影響下で、特に環境中に存在するおよび/または目的のために供給される放射線および任意に、湿気の影響下で、組成物が、任意に塑性延性を有する比較的可撓性の状態からより硬い状態に移行することができることを意味すると理解されるべきである。一般に、架橋は、化学的および/または物理的影響によって、例えば、熱、光または他の電磁放射線の形態のエネルギーの供給によって行うことができるが、単に組成物を空気、大気中の湿気、水または反応性成分と接触させることによっても行うことができる。本発明の文脈において、「硬化性」は、主に式(I)の末端基が架橋する特性および式(II)の末端基が縮合する特性に関する。したがって、本明細書で使用される「放射線硬化性」は、放射線、例えば電磁放射線、特にUV放射線または可視光の影響下、例えば放射線への曝露下での硬化に関する。UV放射線は、100~400ナノメートル(nm)の範囲である。可視光は、400~780ナノメートル(nm)の範囲である。したがって、本明細書で使用される「湿気硬化性」は、湿気、典型的には周囲空気からの湿度の影響下での硬化に関する。
【0015】
本出願においてオリゴマーまたはポリマーの分子量について言及するが、量は、特に明記しない限り、数平均、すなわちM値を指し、重量平均分子量を指すものではない。
【0016】
本明細書で使用される「少なくとも1つ」は、1つ以上、すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9以上を指す。成分に関して、この用語は成分の種類に関するものであり、分子の絶対数に関するものではない。したがって、「少なくとも1つのポリマー」は、例えば、少なくとも1つのタイプのポリマー、すなわち、あるタイプのポリマーまたはいくつかの異なるポリマーの混合物を使用することができることを意味する。重量データと共に、この用語は、組成物/混合物に含有される所与のタイプの全ての化合物を指す、すなわち、組成物が所与の量の関連化合物を超えてこのタイプの他の化合物を含有しないことを指す。
【0017】
本明細書に記載される組成物に関連して提供される全てのパーセンテージデータは、特に明記しない限り、いずれの場合も、関連混合物に基づく重量%を指す。
【0018】
本明細書で使用される「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、それぞれの組成物が、主に、すなわち少なくとも50重量%、例えば少なくとも60%、70%または80%の以下に記載される参照成分で構成されることを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「アルキル」は、直鎖および分岐鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。アルキル基は、好ましくは1~10個の炭素原子を有する(数値範囲、例えば「1~10」が本明細書で与えられる場合、これは、この基、この場合はアルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等から10個の炭素原子までを有することができることを意味する)。特に、アルキルは、5~6個の炭素原子を有する中級アルキル、または1~4個の炭素原子を有する低級アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル等であり得る。アルキル基は置換されていても非置換であってもよい。これに関連して使用される「置換された」とは、アルキル基の1つ以上の炭素原子および/または水素原子がヘテロ原子または官能基によって置き換えられていることを意味する。水素原子を置き換えることができる官能基は、特に=O、=S、-O-(C1~10アルキル)、-O-(C6~14アリール)、-N(C1~10アルキル)、例えば-N(CH、-F、-Cl、-Br、-I、C3~8シクロアルキル、C6~14アリール、1~4個の環原子が独立に、窒素、酸素または硫黄である5~10員ヘテロアリール環、および1~3個の環原子が独立に、窒素、酸素または硫黄である5~10員ヘテロ脂環式環から選択される。置換アルキルには、例えば、アルキルアリール基が含まれる。1個以上の炭素原子がヘテロ原子、特にO、S、NおよびSiから選択されるヘテロ原子によって置き換えられているヘテロアルキル基は、1個以上の炭素原子をヘテロ原子によって置き換えることによって得られる。このようなヘテロアルキル基の例は、限定されないが、メトキシメチル、エトキシエチル、プロポキシプロピル、メトキシエチル、イソペントキシプロピル、トリメトキシプロピルシリル等である。様々な実施形態では、置換アルキルが、アリール、アルコキシまたはオキシアリールで置換されたC1~10アルキル、好ましくはC1~4アルキル、例えばプロピルを含む。本明細書で使用される「アルキレン」は、対応する二価アルキル基、すなわちアルカンジイルに関する。
【0020】
本明細書で使用される「アルケニル」は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素二重結合からなる本明細書で定義されるアルキル基、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニルまたはペンテニルおよびその構造異性体、例えば、1-または2-プロペニル、1-、2-または3-ブテニル等を指す。アルケニル基は置換されていても非置換であってもよい。それらが置換されている場合、置換基はアルキルについて上に定義される通りである。「アルケニルオキシ」は、-O-を介して分子の残りの部分に連結している、本明細書で定義されるアルケニル基を指す。したがって、それぞれの用語は、エノキシ基、例えばビニルオキシ(HC=CH-O-)を含む。本明細書で使用される「アルケニレン」は、対応する二価アルケニル基に関する。
【0021】
本明細書で使用される「アルキニル」は、少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合からなる、本明細書で定義されるアルキル基、例えば、エチニル(アセチレン)、プロピニル、ブチニル、またはペチニルおよび上記のその構造異性体を指す。アルキニル基は置換されていても非置換であってもよい。それらが置換されている場合、置換基はアルキルについて上に定義される通りである。「アルキニルオキシ」は、-O-を介して分子の残りの部分に連結している、本明細書で定義されるアルキニル基を指す。本明細書で使用される「アルキニレン」は、対応する二価アルキニル基に関する。
【0022】
本明細書で使用される「脂環式基」または「シクロアルキル基」は、環が完全に共役したπ電子系を有さない、特に3~8個の炭素原子の単環式または多環式基(共通の炭素原子を有するいくつかの環)、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を指す。シクロアルキル基は置換されていても非置換であってもよい。これに関して使用される「置換された」とは、シクロアルキル基の1つ以上の水素原子が官能基によって置き換えられていることを意味する。水素原子を置き換えることができる官能基は、特に=O、=S、-O-(C1~10アルキル)、-O-(C6~14アリール)、-N(C1~10アルキル)、例えば-N(CH、-F、-Cl、-Br、-I、-COOH、-CONH、-C1~10アルキルまたはアルコキシ、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~8シクロアルキル、C6~14アリール、1~4個の環原子が独立に、窒素、酸素または硫黄である5~10員ヘテロアリール環、および1~3個の環原子が独立に、窒素、酸素または硫黄である5~10員ヘテロ脂環式環から選択される。「シクロアルキルオキシ」は、-O-を介して分子の残りの部分に連結している、本明細書で定義されるシクロアルキル基を指す。本明細書で使用される「シクロアルキレン」は、対応する二価シクロアルキル基に関する。
【0023】
本明細書で使用される「アリール」は、特に完全に共役したπ電子系を有する6~14個の炭素環原子の単環式または多環式基(すなわち、共通の隣接する炭素原子を有する環)を指す。アリール基の例は、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルである。アリール基は置換されていても非置換であってもよい。それらが置換されている場合、置換基はシクロアルキルについて上に定義される通りである。「アリールオキシ」は、-O-を介して分子の残りの部分に連結している、本明細書で定義されるアリール基を指す。本明細書で使用される「アリーレン」は、対応する二価アリール基に関する。
【0024】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」基は、1、2、3または4個の環原子が窒素、酸素または硫黄であり、残りが炭素である、特に5~10個の環原子を有する単環式または多環式(すなわち、隣接する環原子対を共有する環)芳香環を指す。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、カルバゾリル、キサンテニルまたはベンゾキノリルである。ヘテロアリール基は置換されていても非置換であってもよい。それらが置換されている場合、置換基はシクロアルキルについて上に定義される通りである。本明細書で使用される「(ヘテロ)アリール」は、本明細書で定義されるアリール基とヘテロアリール基の両方を指す。「ヘテロアリールオキシ(heteroaryloxy)」は、-O-を介して分子の残りの部分に連結している、本明細書で定義されるヘテロアリール基を指す。
【0025】
本明細書で使用される「ヘテロ脂環式基」または「ヘテロシクロアルキル基」は、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含み、環原子の残りが炭素である、5~10個の環原子を有する単環式環または縮合環を指す。「ヘテロシクロアルケニル」基は、さらに1つ以上の二重結合を含む。しかしながら、環は完全に共役したπ電子系を有さない。ヘテロ脂環式基の例は、ピロリジノン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イミダゾリジン、テトラヒドロピリダジン、テトラヒドロフラン、チオモルホリン、テトラヒドロピリジンなどである。ヘテロシクロアルキル基は置換されていても非置換であってもよい。それらが置換されている場合、置換基はシクロアルキルについて上に定義される通りである。「ヘテロ脂環式(heteroalicyclic)」は、-O-を介して分子の残りの部分に連結している、本明細書で定義されるヘテロ脂環式基を指す。
【0026】
本明細書で使用される、炭化水素部分に関する「置換された」とは、炭化水素部分の種類に応じて上に提供される意味を有する。したがって、炭化水素部分は、上に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式もしくはアリール基、または上に定義される置換されていても非置換であってもよいその二価もしくは多価バリアントであり得る。
【0027】
少なくとも1つの一般式(I)の末端基を有するポリマーは、好ましくはポリオキシアルキレン/ポリエーテル、ポリエステル、またはポリ(メタ)アクリレート、例えばポリ(メタ)アクリル酸(エステル)である。
【0028】
本明細書で互換的に使用される「ポリオキシアルキレン」、「ポリアルキレングリコール」または「ポリエーテル」は、有機反復単位が主鎖にエーテル官能基C-O-Cを含むポリマーであると理解される。側方エーテル基、例えばセルロースエーテル、デンプンエーテルおよびビニルエーテルポリマーを有するポリマー、ならびにポリアセタール、例えばポリオキシメチレン(POM)は、ポリエーテルに含まれない。このようなポリマーの例は、ポリプロピレンおよびポリエチレンならびにそれらのコポリマーである。
【0029】
様々な実施形態では、ポリマーが、ポリオキシエチレン主鎖、ポリプロピレン主鎖、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン主鎖、好ましくはポリオキシプロピレン主鎖を有する。
【0030】
「ポリ(メタ)アクリル酸(エステル)」は、(メタ)アクリル酸(エステル)に基づくポリマーであると理解され、したがって、構造モチーフ-CH-CR(COOR)-(式中、Rは水素原子(アクリル酸エステル)またはメチル基(メタクリル酸エステル)を表し、Rは水素または直鎖アルキル残基、分岐アルキル残基、環状アルキル残基および/もしくは官能性置換基を含むアルキル残基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、2-エチルヘキシルまたは2-ヒドロキシエチル残基を表す)を反復単位として有する。
【0031】
少なくとも1つの一般式(I)の末端基を有するポリマーは、特に好ましくはポリエーテルである。ポリエーテルは、可撓性および弾性の構造を有し、優れた弾性特性を有する組成物を製造することができる。ポリエーテルは、その主鎖において可撓性であるだけでなく、同時に強い。したがって、例えば、ポリエーテルは、例えばポリエステルとは対照的に、水および細菌によって攻撃も分解もされない。
【0032】
ポリマーが基づくポリエーテルの数平均分子量Mは、好ましくは少なくとも500g/mol、例えば500~100000g/mol(ダルトン)、特に好ましくは少なくとも700g/mol、特に少なくとも1000g/molである。例えば、ポリエーテルの数平均分子量Mは、500~5000g/mol、好ましくは700~40000g/mol、特に好ましくは1000~30000g/molである。これらの分子量は、対応する組成物が粘度(加工の容易さ)、強度および弾性のバランスのとれた比を有するので、特に有利である。より低い分子量は、高濃度のウレタン結合、したがって望ましくない水素結合をもたらし、これにより、配合物を望ましくない固体状態にするおそれがあるので、ポリエーテルが少なくとも500g/molの分子量Mを有することがさらに好ましい。
【0033】
分子量分布が狭く、したがって多分散度が低いポリエーテルを使用すると、特に有利な粘弾性特性を達成することができる。これらは、例えば、いわゆる二重金属シアニド触媒作用(DMC触媒作用)によって製造することができる。このようにして製造されたポリエーテルは、特に狭い分子量分布、高い平均分子量、およびポリマー鎖の末端にある非常に少ない数の二重結合によって区別される。
【0034】
したがって、本発明の特別な実施形態では、ポリマーが基づくポリエーテルの最大多分散度M/Mが3、特に好ましくは1.7、最も特に好ましくは1.5である。
【0035】
数平均分子量Mおよび重量平均分子量Mは、本発明に従って、スチレン標準を用いて23℃でゲル浸透クロマトグラフィー(SECとしても知られるGPC)によって決定される。分子量は、DIN 55672-1:2007-08に従って、好ましくは23℃または35℃で、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。モノマー化合物の分子量は、それぞれの分子式および個々の原子の既知の分子量に基づいて計算される。これらの方法は当業者に既知である。多分散性は、平均分子量MおよびMから誘導される。これはPD=M/Mとして計算される。
【0036】
比M/M(多分散度)は、分子量分布の幅、したがって多分散ポリマー中の個々の鎖の異なる重合度の幅を示す。多くのポリマーおよび重縮合物について、約2の多分散度値が適用される。厳密な単分散性は1の値で存在する。例えば1.5未満の低い多分散度は、比較的狭い分子量分布、したがって分子量に関連する特性、例えば粘度の特定の発現を示す。したがって、特に、本発明の文脈において、ポリマーAが基づくポリエーテルは、1.3未満の多分散度(M/M)を有する。
【0037】
ポリエステルは、典型的には、ポリカルボン酸とポリオール、例えばコハク酸またはアジピン酸とブタンジオールまたはヘキサンジオールの反応によって得られるポリマーである。ポリエステルについては、ポリエーテルについて上に示される好ましい分子量および多分散度と同じ定義が適用される。
【0038】
様々な実施形態では、少なくとも1つの一般式(I)および任意に、(II)の末端基を有するポリエーテル/ポリエステルポリマーが、ポリオールまたは2つ以上のポリオールの混合物、典型的にはポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールから誘導され得る。
【0039】
「ポリオール」は、化合物が他の官能基を含むかどうかにかかわらず、少なくとも2つのOH基を含む化合物であると理解される。しかしながら、本発明のポリマーを調製するために本発明により使用されるポリオールは、好ましくは官能基としてOH基のみを含むか、または他の官能基が存在する場合、これらの他の官能基のいずれも、本明細書に記載されるポリオールおよびポリイソシアネートの反応中に優勢な条件下で少なくともイソシアネートに反応性ではない。
【0040】
本発明により適したポリオールは、好ましくはポリエーテルポリオールである。ポリエーテルの分子量および多分散度に関する上記の説明が、ポリエーテルポリオールに適用される。ポリエーテルポリオールは、好ましくはポリアルキレンオキシド、特に好ましくはポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドである。好ましい実施形態では、ポリエーテルまたは2つのポリエーテルの混合物が使用される。
【0041】
本発明により使用されるポリオールは、好ましくは約5~約15、より好ましくは約10のOH価を有する。第一級OH基の含有率は、全てのOH基に基づいて約20%未満であるべきであり、好ましくは15%未満である。特に有利な一実施形態では、使用されるポリエーテルの酸価が、約0.1未満、好ましくは0.05未満、より好ましくは0.02未満である。
【0042】
ポリエーテル以外に、ポリオール混合物は、他のポリオールを含有してもよい。例えば、ポリオール混合物は、少なくとも約500~約50,000の分子量を有するポリエステルポリオールを含有してもよい。
【0043】
一般に、上記の全てのポリマーは、本明細書に記載される末端基の結合に使用される複数の反応性末端、例えば複数のヒドロキシル基を有することができ、したがってポリオールであるが、これらのポリマーが式(I)および(II)の末端基の結合のための2つまたは3つ、好ましくは2つのみのこのような反応性末端基を含み、したがって直鎖ポリマーであることが好ましいだろう。二官能性および三官能性ポリマー、例えばジオールおよび/またはトリオールが特に好ましく、任意に三官能性ポリマー、例えばトリオールと組み合わせた二官能性ポリマー、例えばジオールがより好ましい。三官能性ポリマー、例えばトリオールを使用する場合、これらは、好ましくは、例えば1:1のモル比で、より好ましくは1:1超のモル比で、二官能性ポリマー、例えばジオールと組み合わせて使用される。したがって、いくつかの実施形態では、使用されるポリマーが、ジオールまたは所与の比のジオール/トリオールの組み合わせである。
【0044】
本明細書に記載されるポリマー、特にポリエーテルが多官能性ポリマー、すなわち2つ超の反応性末端基を有するポリマーを含む場合、これらが最大2つの反応性末端基を有するポリマーと組み合わせてのみ存在することが一般に好ましい。ポリマーのこのような混合物では、二官能性ポリマーの量が、好ましくは少なくとも50モル%であり、三官能性以上のポリマーの量が、好ましくは50モル%未満、より好ましくは45モル%未満または40モル%未満または35モル%未満または30モル%未満または25モル%未満またはさらに20モル%未満である。より多量の多官能性ポリマーは、本発明のポリマーを生成する段階で既に望ましくない架橋度をもたらし得る。
【0045】
本発明の放射線硬化性ポリマーは、少なくとも1つの一般式(I)の末端基
-A-C(=O)-CR=CH(I)
(式中、
は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む二価結合基であり;
は、HおよびC~Cアルキル、好ましくはHおよびメチルから選択され;
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
を含む。
【0046】
末端アクリル基の存在は、ポリマーに放射線硬化特性を付与する。二重硬化特性を得るために、放射線硬化性ポリマーは、少なくとも1つの一般式(II)の末端基
-A-SiXYZ(II)、
(式中、X、Y、Zは、互いに独立に、ヒドロキシル基、およびC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され、X、Y、Zは、Si原子と直接結合している置換基であるか、または置換基X、Y、Zのうちの2つは、それらが結合しているSi原子と一緒になって、環を形成し、置換基X、Y、Zのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基、C~CアルコキシおよびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され;
は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む二価結合基である)
をさらに含むことができる。
【0047】
様々な実施形態では、放射線硬化性ポリマーが、少なくとも2つ、例えば2つまたは3つまたは4つ以上の一般式(I)の末端基を含み得る。これらに加えて、ポリマーが、少なくとも1つの式(II)の末端基、例えば1つ、2つまたはそれ以上をさらに含んでもよい。様々な実施形態では、ポリマーが、少なくとも1つの式(I)の末端基、例えば1つ、2つまたは3つ、および少なくとも1つの式(II)の末端基、例えば1つ、2つまたは3つを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーが直鎖ポリマーであり、したがって2つの末端基のみを含む。これらは、式(I)、または式(I)および式(II)のものであり得る。
【0048】
様々な実施形態では、本発明の放射線硬化性ポリマーが、1~100モル%、好ましくは50~100モル%の式(I)の末端基および99~0モル%、好ましくは50~0モル%の式(II)の末端基を含む。1つの式(I)の末端基および1つの式(II)の末端基を有する直鎖ポリマーでは、両基のモル%は50%となるだろう。様々な実施形態では、ポリマーに二重硬化特性を付与するので、両方のタイプの末端基が存在することが有利であり得る。放射線硬化は速い硬化機構を提供し、湿気硬化はより遅い硬化機構を提供するので、これは有利である。単一ポリマー分子について各式の末端基の数を示すことは可能であるが、製造プロセスが式(I)の末端基のみを有するポリマー分子、式(II)の末端基のみを有するポリマー分子、および両方のタイプの末端基を有するポリマー分子を生成することが可能であり得るので、得られるポリマー集団は、製造プロセスに応じて、末端基に関してそれらの構造が異なり得ることが理解される。このようなポリマー組成物では、それぞれの末端基のパーセンテージに関して上に与えられるパーセンテージが依然として適用されるが、その場合、これらはポリマー分子の所与の集団中の末端基の総数に関する。様々な実施形態では、本発明のポリマー中の式(I)および(II)の末端基のモル比が、1超:1、例えば少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも2.1:1、少なくとも2.2:1、または少なくとも2.4:1である。一定の実施形態では、モル比が、20:1以下、または15:1以下、または10:1以下であり得る。
【0049】
したがって、様々な実施形態では、放射線硬化性ポリマーが、(i)2つもしくは3つ、好ましくは2つの式(I)の末端基、または(ii)1つの式(I)の末端基および1つまたは2つ、好ましくは1つの式(II)の末端基、または(iii)2つの式(I)の末端基および1つの式(II)の末端基を含む。好ましくは、ポリマーが直鎖ポリマーである。
【0050】
様々な実施形態では、二価連結基Aおよび/またはAが、置換もしくは非置換エーテル、アミド、カルバメート、ウレタン、尿素、イミノ、シロキサン、カルボキシレート、カルバモイル、アミジノ、カーボネート、スルホネートまたはスルフィネート基、好ましくは尿素および/またはウレタン基を含む。これらの基に関する「置換された(substituted)」とは、これらの基中に存在する水素原子が、非水素部分、例えばアルキル、例えばC1~4アルキルによって置き換えられ得ることを意味する。Aおよび/またはAは、列挙される基のいずれか1つであり得るが、様々な実施形態では、これらが、さらなる構造要素、例えば列挙される官能基をポリマーおよび/または末端基に連結するさらなる連結基を含む。
【0051】
一般に、様々な実施形態では、連結基AおよびAが、ポリマー末端が化合物と反応して式(I)および(II)の末端基をもたらすキャッピング反応で生成される。様々な実施形態では、ポリマーがヒドロキシル(OH)末端形態で提供され、したがってキャッピング反応に使用することができる、末端上の反応性基を提供する。様々な実施形態では、ポリマー主鎖の末端基、例えばヒドロキシル基が、NCO末端ポリマーが生成されるように、ポリイソシアネート、例えばジイソシアネートまたはトリイソシアネート、例えば以下に記載されるもので最初に官能化され得る。次いで、これを次の工程で、NCO反応性基、例えばアミノ基またはヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレート/シラン、好ましくはヒドロキシ変性(メタ)アクリレートおよび/またはアミノシランと反応させることができる。このような反応から生じるウレタン基および尿素基は、ポリマー鎖および架橋ポリマー全体の強度を有利に増加させる。
【0052】
本明細書で使用される「ポリイソシアネート」は、少なくとも2つのイソシアネート基-NCOを有する化合物であると理解される。この化合物はポリマーである必要はなく、代わりに低分子化合物であることが多い。
【0053】
本発明により適したポリイソシアネートには、エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメトキシブタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,3-または-1,4-フェニレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-または2,6-トルイレンジイソシアネート(TDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびそれらの異性体混合物が含まれる。また、MDIの部分的もしくは完全水素化シクロアルキル誘導体、例えば完全水素化MDI(H12-MDI)、アルキル置換ジフェニルメタンジイソシアネート、例えばモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネートおよびその部分的もしくは完全水素化シクロアルキル誘導体、4,4’-ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、フタル酸-ビス-イソシアナトエチルエステル、1-クロロメチルフェニル-2,4-もしくは-2,6-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル-2,4-もしくは-2,6-ジイソシアネート、3,3’-ビス-クロロメチルエーテル-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、硫黄含有ジイソシアネート、例えば2モルのジイソシアネートを1モルのチオジグリコールもしくはジヒドロキシジヘキシルスルフィドと反応させることによって得ることができるもの、ダイマー脂肪酸のジイソシアネート、または指定されたジイソシアネートの2つ以上の混合物も適している。ポリイソシアネートは、好ましくはIPDI、TDIまたはMDIである。
【0054】
本発明による使用に適した他のポリイソシアネートは、例えばジイソシアネートのオリゴマー化によって、より具体的には上記イソシアネートのオリゴマー化によって得ることができる3つ以上の官能基を有するイソシアネートである。このようなトリイソシアネートおよび高級イソシアネートの例は、HDIもしくはIPDIまたはそれらの混合物のトリイソシアヌレート、またはそれらの混合トリイソシアヌレート、およびアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得ることができるポリフェニルメチレンポリイソシアネートである。
【0055】
したがって、いくつかの実施形態では、Aが、式(III)の基
-R11-A11-(R12-A12-R13-(III)
[式中、
11、R12およびR13は独立に、結合、または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基であり;
11およびA12はそれぞれ独立に、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’’-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NR’’-、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-S-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-S-C(=O)-S-、-C(=O)-、-S-、-O-、および-NR’’-(式中、R’’は、水素または任意に置換された1~12個の炭素原子を有する炭化水素部分、好ましくはC~Cアルキルまたは水素であり得る)から選択される二価基であり;
nは0または1である]
である。
【0056】
本明細書で使用される「(シクロ)アルキレン」は、シクロアルキレンまたはアルキレン基を意味する。
【0057】
「結合(bond)」であることは、それぞれの部分が本質的に存在しないこと、すなわち、残りの構造要素が次の構造要素に直接結合していることを意味する。例えば、R11が結合であることは、構造要素A11がポリマー主鎖に直接結合していることを意味し、R13が結合であり、nが0であることは、A11が式(I)の末端基の残りの部分、すなわち-C(=O)-CR=CHに直接結合していることを意味する。
【0058】
(シクロ)アルキレンまたはアリーレン基に関する「置換された」とは、アルキル、シクロアルキルおよびアリール基に関して上に開示されるのと同じ意味を有する。いくつかの実施形態では、特にR13が関係する場合、それはまた、置換基が式-C(=O)-CR=CHの別の基であるかまたはそれを含むことも包含する。しかしながら、式(I)の各基が、構造-C(=O)-CR=CHの1つまたは2つの基のみ、好ましくは1つのみを含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、特にR12が関係する場合、それはまた、置換基が式-A12-R13-の別の基であるかまたはそれを含み、このR13も式(I)の基に連結していることを包含する。これらの構造は、例えば、トリイソシアネートが使用される場合に生成され得る。
【0059】
n=0の場合、これは、A12およびR12が存在せず、A11がR13に直接連結していることを意味する。
【0060】
いずれの場合も、式(III)の構造要素の配向は、R13が式(I)の基の構造要素-C(=O)-CR=CH、または存在しない場合はA12もしくはA11に連結するようなものである。
【0061】
様々な実施形態では、
11が、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~4個の炭素原子を有する非置換アルキレン残基、例えばメチレン、1,2-エチレン、1,3-プロピレンまたは1,4-ブチレンであり;
11が、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-および-NR’’-C(=O)-NH-、好ましくは-O-C(=O)-NH-から選択される二価基であり;
13が、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキレン残基、例えばエチレン(-CH-CH-)、プロピレンまたはブチレンであり;
nが0または1である。
【0062】
上記の実施形態では、nが1である場合、
12が、1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり得;
12が、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=O)-NH-、および-NH-C(=O)-NR’’-、好ましくは-NH-C(=O)-O-から選択される二価基であり得る。
【0063】
様々な実施形態では、式(III)の構造要素が、ジイソシアネートとヒドロキシル末端ポリマーの反応、および第2の工程で、得られたNCO末端ポリマーとヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応から生じる。このような実施形態では、R11が結合またはアルキレンであり得、A11が-O-C(=O)-NH-であり、R12がジイソシアネートのNCO含有残基であり、A12が-NH-C(=O)-O-であり、R13がヒドロキシ変性(メタ)アクリレートエステル部分の残りの構造要素である。これらの実施形態では、R12が、二価(1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチレン基(IPDIがジイソシアネートとして使用される場合)、1-メチル-2,4-フェニレン(TDIがジイソシアネートとして使用される場合)、および本明細書で開示されるジイソシアネートのいずれか1つが使用される場合に残る任意の他の二価基であり得る。様々な実施形態では、R13が、使用される(メタ)アクリレートのヒドロキシエステル基の残部、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが使用される場合はエチル、または4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが使用される場合はn-ブチル、または2-ヒドロキシ-3-フェノキシ(メタ)アクリレートが使用される場合は3-(フェノキシ)-2-プロピルである。
【0064】
様々な実施形態では、使用される好ましいジイソシアネートにはIPDIが含まれ、その結果、R12が1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチレン-4-イルである。
【0065】
様々な実施形態では、使用される(メタ)アクリレートには、限定されないが、2-ヒドロキシエチルアクリレートおよび-メタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートおよび2-ヒドロキシ-3-フェノキシアクリレートが含まれ、その結果、R13が好ましくはエチル、プロピル、ブチルまたは3-(フェノキシ)-2-プロピルである。
【0066】
あるいは、他の(メタ)アクリレート、例えばカップリングのための反応性基、例えばヒドロキシル基を含み、単なる例として、限定されないが、イソオクチル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート;N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート;2-エトキシエチル(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート;ラウリル(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン;N-ビニルカプロラクタム;ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート;フェノキシジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート;およびテトラヒドロフラニル(メタ)アクリレートを含む単官能性(メタ)アクリレートモノマーに基づくものが使用され得る。適切な多官能性(メタ)アクリレートモノマーには、例として、限定されないが、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート;トリス(メチルアクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートおよびトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが含まれ得る。単官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、それぞれ単独でもしくは2種以上のモノマーの組み合わせで使用してもよく、または単官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能性(メタ)アクリレートモノマーを一緒に組み合わせてもよい。
【0067】
他の実施形態では、nが0である。このような実施形態では、R11が結合であり得、A11が-O-C(=O)-NH-であり、R13が典型的にはアルキレン部分、例えばメチレン、エチレンまたはプロピレンである。このような実施形態では、連結基が、イソシアナトアクリレートとヒドロキシ末端ポリマーの反応から生じる。
【0068】
本明細書に記載される全ての実施形態で、種々の(メタ)アクリレート、例えば、単なる例として、限定されないが、ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;イソオクチル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート;N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート;2-エトキシエチル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート;ラウリル(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン;N-ビニルカプロラクタム;ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート;フェノキシヒドロプロピル(メタ)アクリレート;フェノキシジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートおよびテトラヒドロフラニル(メタ)アクリレートを含む単官能性(メタ)アクリレートモノマーに基づくものを使用して式(I)の基を提供することができる。適切な多官能性(メタ)アクリレートモノマーには、例として、限定されないが、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート;トリス(メチルアクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートおよびトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが含まれ得る。単官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、それぞれ単独でもしくは2種以上のモノマーの組み合わせで使用してもよく、または単官能性(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能性(メタ)アクリレートモノマーを一緒に組み合わせてもよい。上記の全ての(メタ)アクリレートは、まだ存在していない場合、ポリマー主鎖へのカップリングを可能にする追加の連結基、例えば、ヒドロキシル基またはイソシアネート基またはアミン基を含むその誘導体の形態で使用する必要があり得ることが理解される。使用され得る具体的な変性アクリレートには、それだけに限らないが、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレート、例えば2-イソシアナトエチルアクリレート、2-イソシアナトエチルメタクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、および2-イソシアナトブチル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0069】
様々な実施形態では、Aが、式(IV)の基
-R21-A21-(R22-A22-R23-(IV)
[式中、
21、R22およびR23は独立に、結合、または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基であり;
21およびA22はそれぞれ独立に、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’’-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NR’’-、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-S-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-S-C(=O)-S-、-C(=O)-、-S-、-O-、および-NR’’-(式中、R’’は、水素または任意に置換された1~12個の炭素原子を有する炭化水素部分、好ましくはC~Cアルキルまたは水素であり得る)から選択される二価基であり;
mは0または1である]
である。
【0070】
ここでは、式(III)について上に開示される「結合(bond)」および「置換された(substituted)」と同じ定義が適用され、唯一の違いは、「置換された(substituted)」が、特にR23の置換基が-C(=O)-CR=CHの代わりに式-SiXYZの別の基であることも包含することである。また、様々な実施形態では、R22が別の-A22-R23部分で置換されており、前記R23が式(II)の別の基に連結していることも包含される。
【0071】
n=0の場合、これは、A22およびR22が存在せず、A21がR23に直接連結していることを意味する。
【0072】
いずれの場合も、式(IV)の構造要素の配向は、R23が式(II)の基の構造要素-SiXYZ、または存在しない場合はA22もしくはA21に連結するようなものである。
【0073】
様々な実施形態では、
21が、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~4個の炭素原子を有する非置換アルキレン残基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、好ましくは結合であり;
23が、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~3個の炭素原子を有する非置換アルキレン残基、より好ましくはメチレンまたはプロピレンであり;
nが0または1であり、nが0である場合、
21が、-O-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、および-NR’’-C(=O)-NH-、好ましくは-O-、-O-C(=O)-NH-、またはNH-C(=O)-NH-から選択される二価基であり;
nが1である場合、
21が、-O-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、および-NR’’-C(=O)-NH-、好ましくは-O-C(=O)-NHから選択される二価基であり;
22が、1~20個の炭素原子を有する二価の置換または非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレン残基またはアリーレン残基であり;
22が、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、および-NH-C(=O)-NR’’-、好ましくは-NH-C(=O)-NHから選択される二価基である。
【0074】
このような連結基は、ヒドロキシ末端ポリマーと(メタ)アクリレート末端基について上に定義されるジイソシアネートの反応、およびその後のNCO末端ポリマーとNCO反応性シラン、例えばヒドロキシシランまたは好ましくはアミノシランの反応から生じる。適切なアミノシランは当技術分野で周知であり、これには、限定されないが、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ならびに本発明の方法に関して以下に開示されるものが含まれる。湿気硬化を付与するさらに有用なイソシアネート含有アルコキシシランには、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-イソシアナトプロピルメチルジメトキシシランが含まれる。
【0075】
様々な実施形態では、一般式(III)および/または(IV)中のR11、R21およびR23が、結合、メチレン、エチレン、またはn-プロピレン基から選択される。R11およびR21は、好ましくは結合である。R23は、好ましくは1,3-プロピレンである。
【0076】
ポリマー主鎖への結合連結としてメチレン基を有するアルコキシシラン末端化合物、いわゆる「アルファ-シラン」は、末端シリル基の特に高い反応性を有し、硬化時間の短縮、したがってこれらのポリマーに基づく配合物の極めて迅速な硬化をもたらす。
【0077】
一般に、結合炭化水素鎖を長くすると、ポリマーの反応性が低下する。特に、結合連結として非分岐プロピレン残基を含む「ガンマ-シラン」は、必要な反応性(許容可能な硬化時間)と遅延硬化(開放時間(open assembly time)、結合後の修正の可能性)との間のバランスのとれた比を有する。したがって、アルファ-アルコキシシラン末端構築ブロックとガンマ-アルコキシシラン末端構築ブロックを慎重に組み合わせることによって、系の硬化速度に所望のように影響を及ぼすことができる。
【0078】
置換基X、YおよびZは、互いに独立に、ヒドロキシル基およびC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、およびC~Cアシルオキシ基からなる群から選択され、置換基X、Y、Zのうちの少なくとも1つは、ここでは加水分解性基、好ましくはC~CアルコキシまたはC~Cアシルオキシ基でなければならず、置換基X、YおよびZはSi原子と直接結合しているか、または置換基X、Y、Zのうちの2つは、それらが結合しているSi原子と一緒になって、環を形成する。好ましい実施形態では、X、YおよびZが、Si原子と直接結合している置換基である。加水分解性基として、好ましくはアルコキシ基、特にメトキシ、エトキシ、i-プロピルオキシおよびi-ブチルオキシ基が選択される。アルコキシ基を含む組成物の硬化中に粘膜を刺激する物質が放出されないので、これは有利である。残基の加水分解によって形成されるアルコールは、放出される量において無害であり、蒸発する。しかしながら、アシルオキシ基、例えばアセトキシ基-O-CO-CHも加水分解性基として使用することができる。
【0079】
好ましい実施形態では、ポリマーが、少なくとも1つの一般式(II)の末端基を有する。したがって、各ポリマー鎖は、ポリマーの縮合を完了することができ、大気中の湿気の存在下で加水分解残基を分離することができる少なくとも1つの連結点を含む。このようにして、規則的かつ迅速な架橋性が達成され、結果として良好な強度を有する結合を得ることができる。さらに、加水分解性基の量および構造によって、例えば、ジ-もしくはトリアルコキシシリル基、メトキシ基またはより長い残基を使用することによって、長鎖系(熱可塑性樹脂)、比較的広いメッシュの三次元ネットワーク(エラストマー)または高度に架橋された系(熱硬化性樹脂)として達成することができるネットワークの構成を制御することができ、結果として、とりわけ、完成した架橋組成物の弾性、可撓性および耐熱性にこのようにして影響を及ぼすことができる。
【0080】
好ましい実施形態では、一般式(II)中、Xが好ましくはアルキル基であり、YおよびZが、それぞれ互いに独立に、アルコキシ基であるか、またはX、YおよびZが、それぞれ互いに独立に、アルコキシ基である。一般に、ジ-またはトリアルコキシシリル基を含むポリマーは、迅速な硬化、高い架橋度、したがって良好な最終強度を可能にする高度に反応性の連結点を有する。ジアルコキシシリル基の特定の利点は、硬化後、対応する組成物がトリアルコキシシリル基を含む系よりも弾性で、柔らかく、可撓性であるという事実にある。
【0081】
一方、トリアルコキシシリル基を用いると、より高い架橋度を達成することができ、これは、硬化後により硬く、より強い材料が望まれる場合に特に有利である。さらに、トリアルコキシシリル基はより反応性であり、したがってより迅速に架橋し、したがって必要とされる触媒の量を減少させ、「コールドフロー」-力およびおそらく温度の影響下での対応する接着剤の寸法安定性において利点を有する。
【0082】
特に好ましくは、一般式(II)中の置換基X、YおよびZが、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシまたはエトキシ基から選択され、置換基のうちの少なくとも1つがヒドロキシル基、またはメトキシもしくはエトキシ基、好ましくはメトキシ基である。立体的かさが低い比較的小さな加水分解性基としてのメトキシ基およびエトキシ基は、極めて反応性であり、したがって、触媒をあまり使用しない場合でさえ迅速な硬化を可能にする。したがって、これらは迅速な硬化が望ましい系にとって特に興味深い。
【0083】
2つの基の組み合わせによっても、興味深い構成の可能性が開かれる。例えば、同じアルコキシシリル基内のXにメトキシが選択され、Yにエトキシが選択される場合、末端シリル基の所望の反応性は、排他的にメトキシ基を有するシリル基が反応性が高すぎると考えられ、エトキシ基を有するシリル基が意図する用途に十分に反応性でないと考えられる場合、特に細かく調整することができる。
【0084】
メトキシ基およびエトキシ基に加えて、加水分解性基として、本質的により低い反応性を示すより大きな残基を使用することも当然可能である。これは、遅延硬化がアルコキシ基の構成によっても達成される場合に特に興味深い。
【0085】
種々の実施形態では、式(II)中、X、YおよびZが、互いに独立に、好ましくはヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ、またはエトキシ基から選択され、置換基のうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル基、またはメトキシもしくはエトキシ基であり、好ましくは全てが、メトキシまたはエトキシ、より好ましくはメトキシから選択される。したがって、メチルジメトキシシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、およびエチルジエトキシシリル、好ましくはメチルジメトキシシリルおよびトリメトキシシリル、より好ましくはトリメトキシシリルが明示的に網羅される。
【0086】
本発明はまた、本明細書に開示される放射線硬化性ポリマーを製造する方法に関する。
【0087】
このような方法は、式(I)および任意に、式(II)の末端基でキャップされるポリマーを、所望の末端基も含むイソシアネートと反応させることを含む。前記イソシアネートは、式(Ia)の化合物
OCN-R13-C(=O)-C(R)=CH(Ia)
であり得、任意に、式(IIa)の追加の化合物
OCN-R23-SiXYZ(IIa)
(式中、R13およびR23は独立に、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基であり;
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
が使用され得る。
【0088】
式(Ia)および(IIa)の化合物は、例えば、ポリマーとの反応が並行して起こるように混合物で同時に使用してもよく、または例えば、最初に化合物(Ia)との反応を行い、次いで、ポリマーの残りの反応性基を化合物(IIa)と反応させるという点で、ポリマーと連続的に反応させてもよい。
【0089】
この反応を可能にするために、ポリマーは、末端NCO反応性基、例えばヒドロキシル基またはアミノ基を含む。本明細書に記載される全ての方法において、記載される末端基によってキャップされるポリマーがポリマーの混合物であり得ることが理解される。
【0090】
好ましい実施形態では、使用されるポリマーが、ウレタン結合の形成下でイソシアネートと反応するヒドロキシ末端ポリマー、例えばポリオール、例えばポリエーテルおよび/またはポリエステルポリオールである。このような実施形態では、上記のポリエーテルおよびポリエステルポリオールの定義が、これらの方法で使用されるポリマーに適用される。これは特に、上に定義される分子量、多分散性および官能性に関する。一般に、上記の全てのポリマーは、本明細書に記載される末端基の結合に使用される複数の反応性末端、例えば複数のヒドロキシル基を有することができ、したがってポリオールであるが、これらのポリマーが式(I)および(II)の末端基の結合のための2つまたは3つ、好ましくは2つのみのこのような反応性末端基を含み、したがって直鎖ポリマーであることが好ましいだろう。ジオールおよびトリオールが特に好ましく、ジオールがより好ましい。トリオールを使用する場合、これらは、好ましくは、例えば1:1のモル比で、より好ましくは1:1超のモル比で、ジオールと組み合わせて使用される。
【0091】
ポリマーが末端OH基を含む場合、ポリマーの末端OH基と式(Ia)および任意に、式(IIa)の化合物のNCO基とのモル比は、1:0.5~1:1.5、好ましくは1:0.9~1:1.1、より好ましくは1:0.99~1:1.01の範囲である。代替NCO反応性基が使用される場合、それぞれの比も適用され得る。
【0092】
式(Ia)の化合物には、それらに限定さないが、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレート、例えば2-イソシアナトエチルアクリレート、2-イソシアナトエチルメタクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、および2-イソシアナトブチル(メタ)アクリレートが含まれる。本明細書で有用な式(IIa)の化合物には、限定されないが、湿気硬化を付与するイソシアネート含有アルコキシシラン、例えば3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、および3-イソシアナトプロピルメチルジメトキシシランが含まれる。
【0093】
得られた反応では、本質的に全てのヒドロキシ基がイソシアネート基と反応して、所望の末端基をポリマー主鎖に連結するウレタン基を形成する。
【0094】
上記の方法と同様に、ポリマーは、1つの工程のみで所望の末端基で修飾され、この方法は、本明細書では一段階法とも呼ばれる。
【0095】
本発明の放射線硬化性ポリマーを製造する代替方法では、本方法が、
(a)NCO反応性基で末端化されたポリマー、例えばOH末端ポリマーを式(V)のポリイソシアネート
(OCN)-R-NCO(V)
(式中、Rは、1~20個の炭素原子を有する置換または非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基であり;
pは1~3、好ましくは1または2、より好ましくは1である)
と反応させる工程と;
(b)得られたNCO末端ポリマーを式(Ib)の化合物
-R13-C(=O)-CR=CH(Ib)
(式中、BはNCO反応性基、好ましくは-OHである)
および任意に、式(IIb)の化合物
-R23-SiXYZ(IIb)
(式中、BはNCO反応性基、好ましくは-N(R’’)であり、R’’は水素または任意に置換された1~12個の炭素原子を有する炭化水素部分、好ましくはC~Cアルキルまたは水素、より好ましくは水素であり得;
13およびR23は独立に、結合または1~20個の炭素原子を有する二価の置換もしくは非置換炭化水素残基、好ましくは1~14個の炭素原子を有する置換もしくは非置換(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基であり、
ポリマー主鎖は、ポリオキシアルキレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)
と反応させる工程と
の2つの工程を含む。
【0096】
「置換された(substituted)」は、Rに関して本明細書で使用される場合、好ましくは、C1~8アルキル、C2~8アルケニル、C3~8シクロアルキル、C6~14アリール、1~4個の環原子が独立に、窒素、酸素または硫黄である5~10員ヘテロアリール環、および1~3個の環原子が独立に、窒素、酸素または硫黄である5~10員ヘテロ脂環式環から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、直鎖および分岐鎖ならびに脂環式および芳香族基、特に1~14個の炭素原子を有する(シクロ)アルキレンまたはアリーレン残基を含む飽和または不飽和炭化水素を指す。置換アルキルには、例えば、アルキルアリール基が含まれる。いくつかの実施形態では、置換されたが、炭素原子の1個がヘテロ原子、例えばヘテロアルキル基によって置き換えられていることも含む。1個以上の炭素原子がヘテロ原子、特にO、S、NおよびSiから選択されるヘテロ原子によって置き換えられているヘテロアルキル基は、1個以上の炭素原子をヘテロ原子によって置き換えることによって得られる。このようなヘテロアルキル基の例は、限定されないが、メトキシメチル、エトキシエチル、プロポキシプロピル、メトキシエチル、イソペントキシプロピル、エチルアミノエチル、トリメトキシプロピルシリル等である。置換されたRは、使用されるイソシアネートに依存し、好ましくは、式(V)の化合物を本明細書に具体的に開示されるイソシアネートのいずれか1つにする構造を有することが一般に理解される。
【0097】
「置換された(substituted)」は、R’’に関して本明細書で使用される場合、-O-(C1~10アルキル)、-O-(C6~14アリール)、-NH、-N(C1~10アルキル)、例えば-N(CH、C1~10アルキルまたはアルコキシ、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~8シクロアルキル、-SiXYZ、C6~14アリール、1~4個の環原子が独立に、窒素、酸素または硫黄である5~10員ヘテロアリール環、および1~3個の環原子が独立に、窒素、酸素または硫黄である5~10員ヘテロ脂環式環からなる群から選択される置換基を含む。
【0098】
様々な実施形態では、Rが上記のR12およびR22として定義され、上に開示されるジイソシアネート、例えばIPDI、TDIまたはMDIのいずれか1つのNCO含有残基である。
【0099】
これらの方法では、第1の工程が、ポリマーがNCO末端化されるようにポリマーを修飾する目的に役立つ。次いで、反応の第1の工程で得られたポリマーの反応性NCO末端を使用して、式(I)の末端基および任意に、式(II)の末端基もポリマーにカップリングさせる。
【0100】
上記の一段階法について記載されるように、この方法においても、ポリマーは末端NCO反応性基、例えばヒドロキシル基またはアミノ基を含む。また、本明細書に記載される二段階法では、ポリイソシアネートと反応させられ、次いで、記載される末端基によってキャップされるポリマーが、ポリマーの混合物であってもよい。また、好ましい実施形態では、使用されるポリマーが、ウレタン結合の形成下でイソシアネートと反応するヒドロキシ末端ポリマー、例えばポリオール、例えばポリエーテルおよび/またはポリエステルポリオールである。このような実施形態では、上記のポリエーテルおよびポリエステルポリオールの定義が、これらの方法で使用されるポリマーに適用される。これは特に、上に定義される分子量、多分散性および官能性に関する。一般に、上記の全てのポリマーは、本明細書に記載される末端基の結合に使用される複数の反応性末端、例えば複数のヒドロキシル基を有することができ、したがってポリオールであるが、これらのポリマーが式(I)および(II)の末端基の結合のための2つまたは3つ、好ましくは2つのみのこのような反応性末端基を含み、したがって直鎖ポリマーであることが好ましいだろう。ジオールおよびトリオールが特に好ましく、ジオールがより好ましい。トリオールを使用する場合、これらは、好ましくは、例えば1:1のモル比で、より好ましくは1:1超のモル比で、ジオールと組み合わせて使用される。
【0101】
記載される方法の全て、すなわち一段階および二段階法で、全て当業者に一般的に既知の適切な触媒および反応条件を使用/利用することができる。イソシアネート基およびヒドロキシル基を使用する場合、原則として、ヒドロキシル基とイソシアナト基の反応を触媒してウレタン結合を形成することができる任意の化合物を使用することができる。いくつかの有用な例としては、カルボン酸スズ、例えばジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジエチルヘキサノエート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジメチルマレエート、ジブチルスズジエチルマレエート、ジブチルスズジブチルマレエート、ジブチルスズジイソオクチルマレエート、ジブチルスズジトリデシルマレエート、ジブチルスズジベンジルマレエート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、スズオクタノエート、ジオクチルスズジステアレート、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、ジオクチルスズジエチルマレエート、ジオクチルスズジイソオクチルマレエート、ジオクチルスズジアセテート、およびスズナフテノエート;スズアルコキシド、例えばジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジフェノキシド、およびジブチルスズジイソプロキシド;スズ酸化物、例えばジブチルスズオキシドおよびジオクチルスズオキシド;ジブチルスズオキシドとフタル酸エステルの間の反応生成物;ジブチルスズビスアセチルアセトネート;チタネート、例えばテトラブチルチタネートおよびテトラプロピルチタネート;有機アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート;キレート化合物、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトネートおよびチタンテトラアセチルアセトネート;鉛オクタノエート;アミン化合物またはカルボン酸によるその塩、例えばブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、トリエチレンジアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイミダゾールおよび1,8-ジアザビシクロ-(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU);カリウム、鉄、インジウム、亜鉛、ビスマス、チタン、コバルトまたは銅の脂肪族カルボン酸塩またはアセチルアセトネートが挙げられる。これらの触媒のいくつかはまた、本発明の成分として以下に開示される。好ましい触媒は、スズ、ビスマス、チタン、亜鉛およびコバルトに基づく金属触媒ならびにアミンである。スズ、ビスマス、チタンおよび既知のアミン触媒に基づく触媒がより好ましい。触媒は、総組成物重量に基づいて、好ましくは0.005~3.5重量%の量で存在する。
【0102】
二段階法では、第1の工程、すなわちNCO基によるポリマー末端の官能化が、好ましくは0~120℃、より好ましくは50~100℃、最も好ましくは70~90℃の範囲の温度で行われる。次いで、NCO末端ポリマーをNCO反応性基修飾(メタ)アクリレートおよびシランと反応させる第2の工程が、好ましくは0~90℃、より好ましくは10~50℃、最も好ましくは20~30℃の範囲の温度で行われる。
【0103】
末端OH基と式(V)のポリイソシアネートとのモル比は、1:0.5~1:1.5、好ましくは1:0.9~1:1.1、より好ましくは1:0.99~1:1.01の範囲であり得る。一段階法について開示されるように、この比は、本質的に完全にNCO末端化されたポリマーが得られるように本質的に全てのヒドロキシ基をイソシアネートと反応させることを確実にする。
【0104】
様々な実施形態では、工程(a)後の未反応NCO基とB基およびB基の合計とのモル比が、1:0.5~1:1.5、好ましくは1:0.9~1:1.0、より好ましくは1:0.94~1:0.96である。
【0105】
したがって、ポリマー末端NCO反応性基、例えばOH基と式(V)のポリイソシアネートのNCO基と(メタ)アクリレート/シランのNCO反応性基、例えばOH基またはアミン基のモル比が、約1:約1:約1、より好ましくは約1:約1:約0.95であり得る。使用される(メタ)アクリレート/シランの量が、NCO反応性基の数に対して、全てのNCO基に対して化学量論的に必要な量(計算による)よりも約5%少ないことが好ましくなり得る。数値に関して本明細書で使用される「約(about)」は、典型的には前記値±10%、好ましくは±5%に関する。
【0106】
式(Ib)および(IIb)の化合物の量は、本質的に全てのNCO基がそれぞれの化合物と反応するように選択され得る。本明細書に記載される全ての方法のように、両方のタイプの末端基について両方のタイプの化合物が使用される場合、第2の工程を、第1の化合物、例えば式(Ib)の化合物をNCO末端ポリマーと反応させる第1の工程と、残りのNCO基を式(IIb)の化合物と反応させる第2の工程に細分することができる。
【0107】
様々な実施形態では、式(V)のポリイソシアネートが、エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメトキシブタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,3-または-1,4-フェニレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-または2,6-トルイレンジイソシアネート(TDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびそれらの異性体混合物、MDIの部分的または完全水素化シクロアルキル誘導体、アルキル置換ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、フタル酸-ビス-イソシアナトエチルエステル、1-クロロメチルフェニル-2,4-または-2,6-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル-2,4-または-2,6-ジイソシアネート、3,3’-ビス-クロロメチルエーテル-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、硫黄含有ジイソシアネート、ダイマー脂肪酸のジイソシアネート、または上記ジイソシアネート、好ましくはIPDI、TDIおよびMDIの2つ以上の混合物からなる群から選択されるジイソシアネートである。
【0108】
様々な実施形態では、式(Ib)の化合物が、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される。ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートは、好ましくは2-もしくは3-ヒドロキシプロピルまたは2-ヒドロキシ-1-メチルエチル(メタ)アクリレートである。ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートは、好ましくは2-、3-もしくは4-ヒドロキシブチル-または2-もしくは3-ヒドロキシ-1-メチルプロピル(メタ)アクリレートである。一般に、特に明記しない限り、本明細書に具体的に記載される全てのアクリレートのうち、対応するメタクリレートを使用してもよく、逆もまた同様である。さらに、本明細書において一般にアクリレートに言及する場合はいつでも、メタクリレートを使用してもよく、その逆も同様であることが理解される。さらなる修飾(メタ)アクリレートが上に記載されている。
【0109】
様々な実施形態では、式(IIb)の化合物が、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)-n-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1-プロパンアミン(CAS82985-35-1)、3-トリエトキシシリル-N-(3-トリエトキシシリルプロピル)プロパン-1-アミン(CAS13497-18-2)およびN-(フェニルアミノ)メチルトリメトキシシランからなる群から選択される。
【0110】
本発明はまた、本明細書に記載される方法のいずれか1つに従って得ることができる放射線硬化性ポリマーに関する。使用される方法およびその中で使用される化合物に応じて、これらの方法は、様々な量の式(I)の末端基を含有するポリマーだけでなく、式(I)の基と式(II)の基の両方を含むポリマー、ならびに式(II)の末端基のみを含むポリマーももたらす。両方のタイプの末端基を含むポリマーのこのような混合物は、上記の所望の二重硬化特性を有する。いずれの場合も、ポリマーのこれらの混合物が、同じポリマー鎖上に式(I)の末端基、および好ましくは式(II)の末端基も有するポリマーを含むことが好ましい。
【0111】
原則として、本発明では、本文の文脈で言及される全ての特徴、特に好ましいおよび/または特別なものとして示される本発明による組成物および本発明による使用の実施形態、割合の範囲、成分および他の特徴は、全ての可能な相互に排他的ではない組み合わせで実施することができ、好ましいおよび/または特別なものとして示される特徴の組み合わせも好ましいおよび/または特別なものと見なされる。ポリマーについて開示される全ての実施形態を、本明細書に記載される方法に同様に適用することができ、逆もまた同様である。
【実施例
【0112】
実施例1:(メタ)アクリレート末端ポリマー
【0113】
表1(全ての量が重量%である)
【表1】

DOTL:ジオクチルスズジラウレート
【0114】
第1の工程では、ポリオール、イソシアネート(IPDI)および触媒(DOTL)を窒素下、80℃で2.5時間、400U/分で混合した。OH基とNCO基とのモル比は1:1であった。反応後、反応混合物を25℃に冷却させ、次いで、アクリレートを添加した(OH(ポリオール):NCO:OH(アクリレート)のモル比1:1:1(配合物1、2および5)および1:1:0.95(配合物3、4)に相当する量)。混合を25℃で3時間行った。得られた配合物は、透明な、またはわずかに濁った(配合物2)液体であった。これらのポリマーの特性を表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
実施例2:メタクリレート末端およびシラン末端ポリマーの調製
第1の工程では、72.8重量%のポリプロピレンオキシド(PPG 2000)、16.2重量%のイソホロンジイソシアネート(IPDI)および0.07重量%のジオクチルスズジラウレート(DOTL)を、窒素下、80℃で0.5時間、400U/分で混合した。OH基とNCO基のモル比は1:2であった。反応後、反応混合物を25℃に冷却させ、次いで、6.5重量%のアミノプロピルトリメトキシシラン(AMMO)を添加し、0.5時間後に、4.5重量%のヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を添加した(OH(ポリオール由来):NCO:NH(AMMO由来):OH(HEMA由来のアクリレート)のモル比1:2:0.5:0.48に相当する量)。混合を25℃で4.5時間行った。メタクリレート末端ポリマー、シラン末端ポリマー、ならびにメタクリレートおよびシラン末端ポリマーの混合物を得た。得られたメタクリレート末端およびシラン末端ポリマーは、(DIN 55672-1:2007-08に従って溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される)Mが7400g/mol、および粘度が68000mPa.s(23℃で、Anton Paar、Physica MCR 301、スピンドルPP25)の透明な液体であった。
【国際調査報告】