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特表2022-533126二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ
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  • 特表-二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ 図1
  • 特表-二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ 図2
  • 特表-二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ 図3
  • 特表-二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ 図4
  • 特表-二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ 図5A
  • 特表-二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ 図5B
  • 特表-二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いる極端紫外線(EUV)リソグラフィ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20220713BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20220713BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
G03F7/11 502
G03F7/40 521
G03F7/20 503
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568218
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2020033047
(87)【国際公開番号】W WO2020232329
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/849,115
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャン・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シャンマ・ナダー
(72)【発明者】
【氏名】ワイズ・リッチ
(72)【発明者】
【氏名】シンハル・アキル
(72)【発明者】
【氏名】マホロワラ・アーパン・プラヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ブラハト・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】オースティン・ダスティン・ザッカリー
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA11
2H196CA05
2H196EA07
2H196JA04
2H197CA10
2H197GA01
2H197JA17
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC15
(57)【要約】
【解決手段】基板をパターニングするための方法は、基板を提供する工程と、基板の上にNの層を備える多層積層を堆積する工程とを含む。Nは、1よりも大きい整数である。Nの層は、それぞれ二次電子のNの平均自由行程を含む。この方法は、多層積層の上にフォトレジスト層を堆積する工程を含み、Nの平均自由行程は、フォトレジスト層において収束する。基板をパターニングするための別の方法は、基板を提供する工程と、基板の上に層を堆積する工程とを含む。層は、二次電子の様々な平均自由行程を含む。この方法は、層の上にフォトレジスト層を堆積する工程を含む。二次電子の様々な平均自由行程は、フォトレジスト層において収束する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をパターニングするための方法であって、
基板を提供する工程と、
前記基板の上にNの層を含む多層積層を堆積する工程であって、Nは1よりも大きい整数であり、前記Nの層は、それぞれ二次電子のNの平均自由行程を含む、工程と、
前記多層積層の上にフォトレジスト層を堆積する工程であって、前記Nの平均自由行程は、前記フォトレジスト層において収束する、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記Nの層の前記Nの平均自由行程は異なる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記Nの層は、前記フォトレジスト層からNの距離に位置し、前記Nの層の前記Nの平均自由行程は、それぞれ前記Nの距離と共に増加する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記Nの層は、前記フォトレジスト層からNの距離に位置し、前記Nの層の前記Nの平均自由行程は、それぞれ前記Nの距離と共に単調に増加する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記Nの層は、前記フォトレジスト層からNの距離に位置し、前記Nの層の前記Nの平均自由行程は、それぞれ前記Nの距離と共に直線的に増加する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記Nの層は、前記フォトレジスト層からNの距離に位置し、それぞれNの吸収率を有し、前記Nの層の前記Nの吸収率は、それぞれ前記Nの距離が増加するにつれて上がる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記Nの層の各層は、同じ厚さを有する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記Nの層の各層は、異なる厚さを有する、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、さらに、
前記Nの層を厚さが増加する順に配置する工程であって、前記Nの層の最も薄い層が前記フォトレジスト層に隣接して配置され、前記Nの層の最も厚い層が前記基板に隣接して配置される、工程を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程と、
前記フォトレジスト層の露光部分を除去する工程と、
前記フォトレジスト層が除去された区域に位置する前記多層積層の部分を除去する工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程と、
前記フォトレジスト層の露光部分を除去して、パターニングされたフォトレジスト層を形成する工程と、
前記パターニングされたフォトレジスト層を用いて堆積プロセスを実施する工程と、
前記堆積プロセスの実施後に、前記フォトレジスト層および前記多層積層を除去する工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程と、
前記フォトレジスト層の露光部分を除去して、パターニングされたフォトレジスト層を形成する工程と、
前記パターニングされたフォトレジスト層を用いてエッチングプロセスを実施する工程と、
前記エッチングプロセスの実施後に、前記フォトレジスト層および前記多層積層を除去する工程と、
を含む、方法。
【請求項14】
基板をパターニングするための方法であって、
基板を提供する工程と、
前記基板の上に層を堆積する工程であって、前記層は、二次電子の様々な平均自由行程を含む、工程と、
前記層の上にフォトレジスト層を堆積する工程であって、二次電子の前記様々な平均自由行程は、前記フォトレジスト層において収束する、工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記層の前記様々な平均自由行程は、前記フォトレジスト層までの距離と共に単調に増加する、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記層の前記様々な平均自由行程は、前記フォトレジスト層までの距離と共に直線的に増加する、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記層の前記様々な平均自由行程は、前記フォトレジスト層までの距離の関数として段階的に増加する、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程を含む、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程と、
前記フォトレジスト層の露光部分を除去する工程と、
前記フォトレジスト層が除去された区域に位置する前記層の部分を除去する工程と、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記基板を極端紫外線に露光する工程と、
前記フォトレジスト層の露光部分を除去して、パターニングされたフォトレジスト層を形成する工程と、
前記パターニングされたフォトレジスト層を用いて堆積プロセスを実施する工程と、
前記堆積プロセスの実施後に、前記層および前記フォトレジスト層を除去する工程と、
を含む、方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記基板を極端紫外線に露光する工程と、
前記フォトレジスト層の露光部分を除去して、パターニングされたフォトレジスト層を形成する工程と、
前記パターニングされたフォトレジスト層を用いてエッチングプロセスを実施する工程と、
前記エッチングプロセスの実施後に、前記層および前記フォトレジスト層を除去する工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年5月16日出願の米国仮出願第62/849,115号の利益を主張する。上記出願の全ての開示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、基板処理システムに関し、特に、二次電子発生のために様々な平均自由行程を有する介在層または多層積層を用いるEUVリソグラフィに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載の背景技術の説明は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
高度なフォトリソグラフィは通常、193nmの波長を有するエキシマレーザを用いて実施される。193nmよりも小さいフィーチャサイズを形成するため、マルチパターニング、浸漬、および/または光近接補正などの追加技術が実施されて、193nm未満の分解能を大幅に高めることができる。しかし、この種のフォトリソグラフィを用いてフィーチャサイズをさらに縮小することは難しい。
【0005】
次世代フォトリソグラフィ技術は、極端紫外線(EUV)波長を用いる。EUVフォトリソグラフィでは、電源は、193nmの14分の1の長さの13.5nmの光にプラズマを変換する。しかし、ほとんどの材料はEUV波長で光子をすぐに吸収するため、短いEUV波長は、フォトリソグラフィプロセスに大幅な変更を必要とする。例えば、EUVフォトリソグラフィは、光を反射させるのにレンズを用いるのではなく、複数のミラーを用いる。EUVフォトリソグラフィプロセスは、真空環境においても実施される。レーザの代わりにプラズマ源が用いられて、印刷のために光子が生成される。
【0006】
EUV放射線は、マスクパターンによってフォトレジスト層に反射される。フォトレジスト層はEUV光子を吸収し、二次電子を生成する。具体的には、十分なエネルギを有するEUV光子は、フォトレジスト層において原子をイオン化し、二次電子が放出される。
【0007】
EUVフォトリソグラフィは、確率的影響に対して特に敏感である。EUVを用いてフィーチャを印刷するときは、ほとんどのフィーチャは分解される。到達する光子の数の確率変化により、印刷指定されたいくつかの領域は、実際には印刷閾値に達することができず、未露光領域または欠陥を残す。不良率は、ドーズレベルに関係する。しかし、EUV系フォトリソグラフィシステムでは、ドーズレベルの増加は難しい。サイズに対するドーズ量および欠陥に対するドーズ量などのパラメータは、EUV系システムの性能を特徴付けるために用いられてよい。
【発明の概要】
【0008】
基板をパターニングするための方法は、基板を提供する工程と、基板上にNの層を含む多層積層を堆積する工程とを含む。Nは、1よりも大きい整数である。Nの層は、それぞれ二次電子のNの平均自由工程を含む。この方法は、多層積層上にフォトレジスト層を堆積する工程を含み、Nの平均自由行程は、フォトレジスト層で収束する。
【0009】
別の特徴では、Nの層のNの平均自由行程は異なる。
【0010】
他の特徴では、Nの層は、フォトレジスト層からNの距離に設置され、Nの層のNの平均自由行程は、それぞれNの距離と共に増加する。
【0011】
他の特徴では、Nの層は、フォトレジスト層からNの距離に設置され、Nの層のNの平均自由行程は、それぞれNの距離と共に単調増加する。
【0012】
他の特徴では、Nの層は、フォトレジスト層からNの距離に設置され、Nの層のNの平均自由行程は、それぞれNの距離と共に直線的に増加する。
【0013】
他の特徴では、Nの層は、フォトレジスト層からNの距離に設置され、それぞれNの吸収率を有し、Nの層のNの吸収率は、それぞれNの距離が増加するにつれて上がる。
【0014】
別の特徴では、Nの層の各層は同じ厚さを有する。
【0015】
別の特徴では、Nの層の各層は異なる厚さを有する。
【0016】
別の特徴では、この方法はさらに、Nの層を厚さが厚い順に配置する工程を含み、Nの層の最も薄い層はフォトレジスト層に隣接して配置され、Nの層の最も厚い層は基板に隣接して配置される。
【0017】
別の特徴では、この方法はさらに、フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程を含む。
【0018】
他の特徴では、この方法はさらに、フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程と、フォトレジスト層の露光部分を除去する工程とを含む。この方法はさらに、フォトレジスト層が除去された区域に位置する多層積層の部分を除去する工程を含む。
【0019】
他の特徴では、この方法はさらに、フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程と、フォトレジスト層の露光部分を除去して、パターニングされたフォトレジスト層を形成する工程とを含む。この方法はさらに、パターニングされたフォトレジスト層を用いて堆積プロセスを実施する工程と、堆積プロセスの実施後にフォトレジスト層および多層積層を除去する工程とを含む。
【0020】
他の特徴では、この方法はさらに、フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程と、フォトレジスト層の露光部分を除去して、パターニングされたフォトレジスト層を形成する工程とを含む。この方法はさらに、パターニングされたフォトレジスト層を用いてエッチングプロセスを実施する工程と、エッチングプロセスの実施後にフォトレジスト層および多層積層を除去する工程とを含む。
【0021】
さらに他の特徴では、基板をパターニングするための方法は、基板を提供する工程と、基板上に層を堆積する工程とを含む。層は、二次電子の様々な平均自由行路を含む。この方法は、層上にフォトレジスト層を堆積する工程を含む。二次電子の様々な平均自由行路は、フォトレジスト層で収束する。
【0022】
別の特徴では、層の様々な平均自由行路は、フォトレジスト層までの距離と共に単調に増加する。
【0023】
別の特徴では、層の様々な平均自由行程は、フォトレジスト層までの距離と共に直線的に増加する。
【0024】
別の特徴では、層の様々な平均自由行程は、フォトレジスト層までの距離の関数として段階的に増加する。
【0025】
別の特徴では、この方法はさらに、フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程を含む。
【0026】
他の特徴では、この方法はさらに、フォトレジスト層を極端紫外線に露光する工程と、フォトレジスト層の露光部分を除去する工程とを含む。この方法はさらに、フォトレジスト層が除去された区域に位置する層の部分を除去する工程を含む。
【0027】
他の特徴では、この方法はさらに、基板を極端紫外線に露光する工程と、フォトレジスト層の露光部分を除去して、パターニングされたフォトレジスト層を形成する工程とを含む。この方法はさらに、パターニングされたフォトレジスト層を用いて堆積プロセスを実施する工程と、堆積プロセスの実施後に層およびフォトレジスト層を除去する工程とを含む。
【0028】
他の特徴では、この方法はさらに、基板を極端紫外線に露光する工程と、フォトレジスト層の露光部分を除去して、パターニングされたフォトレジスト層を形成する工程とを含む。この方法はさらに、パターニングされたフォトレジスト層を用いてエッチングプロセスを実施する工程と、エッチングプロセスの実施後に層およびフォトレジスト層を除去する工程とを含む。
【0029】
本開示のさらなる適用分野は、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるだろう。発明を実施するための形態および特定の例は、例示のみの目的を意図し、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示は、発明を実施するための形態および添付の図面からより深く理解されるだろう。
【0031】
図1】本開示による、様々な平均自由行路を有する二次電子を生成する層の多層積層を含む例示的な基板の側断面図。
図2】本開示による、様々な平均自由行路を有する二次電子を生成する層の多層積層を含む例示的な基板の側断面図。
【0032】
図3】本開示による、EUVフォトリソグラフィを用いて基板をパターニングするための例示的な方法のフローチャート。
【0033】
図4】本開示による、フォトレジスト層と下地基板との間に位置する、様々な平均自由行路を有する層を含む例示的な基板の側断面図。
【0034】
図5A図4の層における平均自由行路の例示的な変化を示すグラフ。
図5B図4の層における平均自由行路の例示的な変化を示すグラフ。
【0035】
図6】本開示による、EUVフォトリソグラフィを用いて基板をパターニングするための例示的な方法のフローチャート。
【0036】
図面では、類似の要素および/または同一の要素を識別するために、参照番号は繰り返し用いられてよい。
【発明を実施するための形態】
【0037】
利用可能なEUV源のドーズレベルは限られるため、EUV源からの利用可能なドーズレベルをより上手く利用するためにいくつかの技術が用いられてきた。例えば、フォトレジスト層と下地基板との間に膜層が堆積されてよい。この層は二次電子の生成を高め、サイズに対するドーズ量および欠陥に対するドーズ量のパラメータを向上させる。しかし、二次電子発生層が有限数の二次電子を生成することしかできないことから、この手法は単に限定的な改善をもたらす。
【0038】
別の手法は、プラズマエッチングスムージング技術を用いてサイズに対するドーズ量および欠陥に対するドーズ量を改善する。レジストラフネスを改善することにより、確率的不具合を軽減し、サイズおよび検出能の両方により少ないドーズ量の仕様を用いることができる。この手法は、ドーズ量の増加に有限の制限ももたらす。しかし、この手法は調整することが難しいかもしれない。リソグラフィパターニング膜が薄くなるにつれて、選択性はより重要な考慮すべき事柄になるため、ラフネスを改善するためのエッチング技術はより制限されるだろう。
【0039】
別の手法は、フォトレジスト層の感度を上げることである。しかし、この手法は、ドーズ量、分解能、およびラフネスにおいてトレードオフを必要とする。感度が上がると、分解能またはラフネスのいずれかが低下するに違いなく、いずれも望ましくない。
【0040】
本開示により基板をパターニングするための方法は、EUVフォトリソグラフィのサイズに対するドーズ量および欠陥に対するドーズ量のパラメータにおいて改善を提供する。本開示のいくつかの例により、フォトレジスト層と下地基板との間に多層積層が堆積される。多層積層の異なる層は、異なる平均自由行路を有する二次電子を生成する。いくつかの例では、多層積層内の層の平均自由行程は、フォトレジスト層からの距離が増加するにつれて長くなる。
【0041】
上記のように均一な単層を用いるときは、生成される二次電子は単一平均自由行路を有し、フォトレジスト層に浸透できる有限二次電子密度をもたらす。この制限を克服するため、多層積層は、二次電子の異なる平均自由行路を有する複数の層を含む。いくつかの例では、層の平均自由行程は、フォトレジスト層において収束する。例えば、フォトレジスト層から遠くに位置する多層積層の層は、フォトレジスト層の近くに位置する層よりも長い二次電子の平均自由行程を有する。
【0042】
ここで図1および2を参照すると、基板10は、パターニングされるべきフォトレジスト層20を備える。フォトレジスト層20は、多層積層22の上に堆積される。多層積層22は、二次電子の第1の平均自由行程を有する層24-1と、第1の平均自由行程とは異なる二次電子の第2の平均自由行程を有する層24-1とを含む。多層積層22は、下地基板層32の上に堆積される。
【0043】
フォトレジスト層20および多層積層22を堆積した後に、基板10は、マスクパターンに反射したEUV放射線に露光される。いくつかの例では、露光された(または、露光されていない)フォトレジスト層を除去するため、および/または、フォトレジスト層が除去された区域に位置する多層積層の部分を除去するために、1つ以上の追加工程が実施されてよい。堆積および/またはエッチングなどの追加処理は、パターニングされたフォトレジスト層20を用いて実施できる。追加処理が実施された後に、フォトレジスト層20および多層積層22が除去される。
【0044】
図2では、Nの二次電子発生層24-Nを用いることができる(Nは1よりも大きい整数)。いくつかの例では、Nの二次電子発生層24-Nは、異なる平均自由行程を有する。例えばN=3の場合、層24-3は、フォトレジスト層20で終端する最長の平均自由行程を有し、層24-2は、フォトレジスト層20で終端する中間の平均自由行程を有し、層24-1は、フォトレジスト層20で終端する最短の平均自由行程を有する。
【0045】
次に図3を参照すると、EUVを用いて基板と、異なる平均自由行程を有する層を含む積層とをパターニングするための方法100が示されている。方法100は、110において、下地基板32の上に二次電子の最長平均自由行程を有する多層積層22の第1の層を堆積する工程を含む。114では、多層積層22の第1の層にN-1の追加層が堆積される。N-1の追加層は、第1の層とは異なる二次電子の平均自由行程を有する。いくつかの例では、多層積層22の連続堆積層は、前に堆積した多層積層22の層よりも短い平均自由行程を有する。118では、多層積層22にフォトレジスト層20が堆積される。122では、フォトレジスト層の選択部分がEUV光を用いて露光され、上記のようにさらなる処理が実施される。
【0046】
いくつかの例では、フォトレジスト層20から最も遠い層は、最長の平均自由行程を有する二次電子を生成する。多層積層22の他の層の平均自由行程は次に、フォトレジスト層20においておおよそ同じ深さで収束するように目標を定められる。N=3の上記の例では、フォトレジスト層20に到達する二次電子数は約3倍になる。その結果、必要なドーズ量を約1/3に低減できる。
【0047】
いくつかの例では、各層における二次電子の平均自由行路は、対応する層について異なる材料を選択することにより制御される。例えば、異なる吸収性を有する材料を用いることができる。高吸水性材料は、短い平均自由行路を有する傾向がある。いくつかの例では、多層積層22は、その上部に高吸水層を備え、その底部に向かって徐々に低くなる吸水層を備える。
【0048】
次に図4を参照すると、基板200は、パターニングされるべきフォトレジスト層20を備える。フォトレジスト層20は、深さによって異なる平均自由行路を有する層210に堆積する。いくつかの例では、フォトレジスト層20からの垂直距離が増加するにつれて、平均自由行路は継続的に、単調に、または段階的に長くなる。
【0049】
下地基板層32の上にフォトレジスト層20および層210を堆積した後に、基板200は、マスクパターンに反射したEUV放射線に露光される。いくつかの例では、露光された(または、露光されていない)フォトレジストを除去するため、および/または、フォトレジスト層20が除去された区域に位置する層210を除去するために、1つ以上の追加工程が実施されてよい。堆積および/またはエッチングなどの追加処理は、パターニングされたフォトレジスト層20を用いて実施できる。追加処理が実施された後に、フォトレジスト層20および層210が除去される。
【0050】
次に図5Aおよび5Bを参照すると、層210において平均自由行路を変更するための多くの方法がある。例えば、平均自由行路は、距離と共に(直線的に、単調に、段階的に、など)増加できる。図5Aでは、平均自由行路は、距離と共に直線的に増加する。図5Bでは、平均自由行路は、フォトレジスト層への距離の関数として段階的に増加する。
【0051】
次に図6を参照すると、EUVフォトリソグラフィ、フォトレジスト層20、および、様々な平均自由行路を有する層210を用いて基板をパターニングするための方法300が示されている。この方法300は、310において、下地基板層32の上に二次電子の様々な平均自由行路を有する層20を堆積する工程を含む。314では、フォトレジスト層20が層210に堆積される。318では、フォトレジスト層20の選択部分はEUV光を用いて露光され、上記のようにさらなる処理が実施される。
【0052】
他の例では、局所的なドーズ量の増加は、全ての層の平均自由行路を調整することによって変更することもできる。
【0053】
下層積層へのEUV光子の吸収は、光電子(別名、一次電子)の発生をもたらす。十分なエネルギを有する一次電子は原子をイオン化し、二次電子を放出する。
【0054】
均一な層では、二次電子の非弾性平均自由行程(IMFP)は電子エネルギの関数であり、フォトレジストに浸透できる有限二次電子密度をもたらす。二次電子によってフォトレジストに堆積したエネルギを高めるために、膜がフォトレジストからより遠くで発生した二次電子についてより長いIMFPを示す場合に、電子エネルギの臨界範囲内で多層膜が現像されうる。
【0055】
フォトレジストからより遠くにある層は、(フォトレジストにおいて所望の化学反応を引き起こすことができる電子エネルギの臨界範囲内で)より長い平均自由行程を有する二次電子を生成する。フォトレジストにより近い層は、(フォトレジストにおいて所望の化学反応を引き起こすことができる電子エネルギの臨界範囲内で)より短い平均自由行程を有する二次電子を生成する。
【0056】
上記の例では、多層積層の配置の結果、フォトレジストに到達する発生二次電子の数は増加することが予想される。平均自由行路を変更するための潜在的特性の1つは、膜密度を変更することである。高密度は短い平均自由行程をもたらすことが予想されるため、潜在的な積層は、多層積層の上部では高密度の膜で、底部に向かって徐々に低くなる密度の膜からなる。多層膜は、別々の材料に限定されず、傾斜を有する単一材料であってもよい。有効ドーズ量の大幅な変更が実現されるフォトレジストの厚さは、全ての層のIMFPを調整することにより変更できる。材料の例は、以下の表に示されている。
【表1】
【0057】
多層積層構成において、各層の厚さは同じであってよい、または異なってよい。いくつかの例では、多層積層の総厚は、既定厚さ(例えば、10nm)以内であってよい。多層積層内の層の厚さが異なるときは、層は、積層の上部から底部に単調に厚さが増加する順に配置される。最も薄い層は、フォトレジストの直下の積層の上部に配置され、最も厚い層は、基板の直上の積層の底部に配置される。
【0058】
一例では、多層積層は2~4層を含んでよく、その総厚は5nmであってよい。例えば多層積層は、各々が2.5nmの厚さを有する2層を含んでよい。例えば多層積層は、各々が1.25nmの厚さを有する4層を含んでよい。例えば多層積層は、フォトレジスト層の直下に配置された2nmの厚さを有する1層と、2nmの層の直下であって基板の直上に配置された3nmの厚さを有する別の層との2層を含んでよい。
【0059】
別の例では、多層積層は2~4層を含んでよく、その総厚は10nmであってよい。例えば多層積層は、各々が5nmの厚さを有する2層を含んでよい。例えば多層積層は、各々が2.5nmの厚さを有する4層を含んでよい。例えば多層積層は、フォトレジスト層の直下に配置された4nmの厚さを有する1層と、2nmの層の直下であって基板の直上に配置された6nmの厚さを有する別の層との2層を含んでよい。例えば多層積層は、フォトレジスト層の直下に配置された2nmの厚さを有する第1の層と、第1の層の直下に配置された3nmの厚さを有する第2の層と、3nmの層の直下であって基板の直上に配置された5nmの厚さを有する第3の層との3層を含んでよい。様々な他の例が考えられる。
【0060】
いくつかの例示的な単層構成について、様々な平均自由行路を有する単層の厚さは、既定厚さ(例えば、10nm)以下であってよい。さらに、いずれかの構成では、フォトレジスト層の厚さは、例えば20nmから40nmであってよい。本開示の方法は、EUVドーズ量を約10%低減し、大幅なコスト削減をもたらす。
【0061】
前述は本質的に単なる説明であり、断じて本開示、その適用、または使用を限定する意図はない。本開示の広義の教示は、様々な形態で実施されうる。よって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の変更が明らかになるため、本開示の真の範囲はそれほど限定されるべきではない。方法内の1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または、同時に)実行されてよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有すると上述されているが、本開示の実施形態に関して説明されたそれらの特徴の任意の1つ以上は、他の実施形態において実施されうる、および/または、他の実施形態の特徴と組み合わせて(その組み合わせが明記されていない場合でも)実施されうる。つまり、記載の実施形態は互いに排他的でなく、1つ以上の実施形態の相互の並べ替えは、本開示の範囲内に留まる。
【0062】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的関係および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「近接する」、「上に」、「上方」、「下方」、および「配置された」を含む様々な用語を用いて説明される。上記の開示で第1要素と第2要素との関係が説明されるときは、「直接的」であると明記されない限り、その関係は、第1要素と第2要素との間に他の介在要素が存在しない直接的関係でありうるが、第1要素と第2要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的関係でもありうる。本明細書で用いられる、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを用いる論理(A OR B ORC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】