(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ガス混合物からアンモニアを除去するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20220713BHJP
C01C 1/02 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B01D53/04 220
C01C1/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569157
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020033826
(87)【国際公開番号】W WO2020242861
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アップルガース, チャールズ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ギプソン, ロッキー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フォクト, サラ
(72)【発明者】
【氏名】クック, ジョシュア ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ブローニング, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ホルツナー, マルコ
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA20
4D012CB13
4D012CD04
4D012CE03
4D012CF05
4D012CH01
4D012CJ05
(57)【要約】
アンモニアを固体吸着剤に吸着させることにより周囲圧力範囲内の圧力でガス混合物からガス状アンモニアを除去するのに有用な方法、デバイスおよびシステム、ならびに関連したシステムおよび方法が記載される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状アンモニアを含むガス混合物からアンモニアを除去する方法であって、
固体吸着剤を含む容器に周囲流れ圧力でガス混合物を送出することと、
周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度でガス混合物を固体吸着剤と接触させて、アンモニアを固体吸着剤に吸着させることと
を含む、方法。
【請求項2】
一定量のアンモニアが固体吸着剤に吸着された後、固体吸着剤を加熱することによって吸着アンモニアを固体吸着剤から脱着させて、吸着アンモニアを脱着ガス状アンモニアとして放出させることと、
脱着ガス状アンモニアを容器から除去することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガス混合物、固体吸着剤、またはその両方を、ガス混合物のガス状アンモニアが周囲流れ圧力で固体吸着剤に吸着するアンモニア吸着温度まで冷却すること
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アンモニア吸着温度が、摂氏-40度~0度の範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ガス混合物が、アンモニアおよび非アンモニア蒸気を含み、非アンモニア蒸気が、アンモニア吸着温度で固体吸着剤に吸着しない、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ガス混合物が、ガス状アンモニア、ガス状水素、およびガス状窒素を含み、方法が、
ガス混合物を固体吸着剤に送出することであって、ガス混合物、固体吸着剤、またはその両方が、摂氏-40~0度の範囲内の温度を有する、ガス混合物を送出することと、
アンモニアを固体吸着剤に吸着させることと、
一定量のアンモニアが固体吸着剤に吸着した後、吸着アンモニアを含む固体吸着剤の温度を脱着温度まで上昇させ、吸着アンモニアを固体吸着剤から脱着させて液体アンモニアを形成することと、
液体アンモニアを容器から除去することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ガス混合物、固体吸着剤またはその両方が、摂氏-30~-15度の範囲内の温度を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
脱着温度が、摂氏60度未満である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
固体吸着剤が、活性炭およびゼオライトから選択される、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
容器に送出される際のガス混合物が、
15~40体積パーセントのガス状アンモニウムと、
0~60体積パーセントのガス状水素と、
0~70体積パーセントのガス状窒素と
を含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
アンモニア、非アンモニア蒸気、有機金属蒸気、および固体粒子を含むガス混合物を処理する方法であって、
ガス混合物を熱交換器に通すことによりガス混合物を冷却し、冷却ガス混合物を生成することと、
冷却ガス混合物を粒子フィルターに通して、固体粒子を除去することと、
冷却ガス混合物を第1の固体吸着剤に通して、有機金属蒸気を第1の固体吸着剤に吸着させることと、
冷却ガス混合物を第2の固体吸着剤と接触させて、アンモニアを第2の固体吸着剤に吸着させることと
を含む、方法。
【請求項12】
非アンモニア蒸気が、ガス状水素、ガス状窒素、またはそれらの組合せを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
加熱されたガス混合物が、摂氏60度超の温度を有する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
冷却ガス混合物が、摂氏0~60度の範囲内の温度を有する、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度で冷却ガス混合物を第2の固体吸着剤と接触させて、アンモニアを第2の固体吸着剤に吸着させることをさらに含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ガス混合物、第2の固体吸着剤、またはその両方を、アンモニア吸着温度まで冷却することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アンモニア吸着温度が、摂氏-40~0度の範囲内である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
一定量のアンモニアが第2の固体吸着剤に吸着された後、第2の固体吸着剤を加熱することによって吸着アンモニアを第2の固体吸着剤から脱着させて、吸着アンモニアを脱着ガス状アンモニアとして放出させること
をさらに含む、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
熱交換器が、
本体入口、本体出口、および本体内部容積を備える中空熱交換器本体と、
熱交換器本体内部容積内に位置し、コイル入口、コイル出口、およびコイル入口とコイル出口との間の複数のコイルターンを備える中空コイル本体と
を備える向流コイル熱交換器であって、
ガス混合物が、本体入口で中空熱交換器本体に進入し、内部体積を通って中空コイルの外部表面を通過し、本体出口で中空熱交換器本体から出、
冷却液体が、コイル入口で中空コイル本体に進入し、中空熱交換器本体を通過するガス混合物の流れの方向とは逆の方向に中空コイル本体を通って流れ、コイル出口で中空コイル本体から出る、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ガス混合物が、
15~40体積パーセントのガス状アンモニアと、
0~60体積パーセントのガス状水素と、
0~70体積パーセントのガス状窒素と、
有機金属化合物と
を含む、請求項11から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
有機金属化合物が、トリメチルガリウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
有機金属蒸気、粒子、および非有機金属蒸気を含むガス混合物を処理するためのシステムであって、
ガス混合物の温度を低下させるように構成された熱交換器と、
ガス混合物から固体粒子を除去することができる粒子フィルターと、
ガス混合物から有機金属蒸気を除去することができる有機金属蒸気除去フィルターと、
周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度を含む条件でアンモニア蒸気を固体吸着剤に吸着させることによりガス混合物からアンモニア蒸気を除去することができる固体吸着剤を含む容器と
を備え、熱交換器、粒子フィルター、有機金属蒸気除去フィルターおよび容器が、互いに流体連通している、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月24日出願の米国仮特許出願第62/852,478号の35 USC 119に基づく利益を主張し、その開示は、参照することにより全ての目的で全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、アンモニアを固体吸着剤に吸着させることにより周囲圧力範囲内の圧力でガス混合物からガス状アンモニアを除去するのに有用な方法、デバイスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
化学処理産業において、アンモニアは、様々な種類の処理および製造工程の原材料として有用である。アンモニアは、様々なプロセスの副生成物として生成され、化学プロセスの流出物または排気ストリーム中に含まれ得る。
【0004】
半導体製造では、アンモニアは有用な原材料であり、または処理副生成物であり得る。特定の例において、アンモニアは、発光デバイス(LED)として機能する窒化物材料(例えば窒化ガリウム結晶)を調製するために有機金属化合物と共に使用される。プロセスの重要な高コストの特徴は、エピタキシャル堆積による活性半導体層の成長であり、これは金属-有機化学気相堆積(MOCVD)により行われる。MOCVDの工程は、アンモニア等の窒素源とも組み合わせて、トリメチルガリウム等の揮発性金属-有機前駆体からインジウムガリウム窒化物(InGaN)等の金属窒化物化合物を形成する。このプロセスのためには、比較的遅い窒化物結晶成長プロセスの間比較的高流速のアンモニアが必要である。アンモニアガス中の不純物が微量であっても、堆積結晶中に大量の不要な原子が取り込まれる可能性がある。不純物を低減するために、例えば含まれる水分または酸素を1パーツパービリオン(ppb)以下とするために、最新技術のLEDは、典型的には複数段階の精製に供されるアンモニアを使用して作製される。
【0005】
残念ながら、アンモニアはMOCVDプロセスにおいて効率的に使用されない。このプロセスは原材料として極めて大量の高純度アンモニアを必要とし、その多くは未反応のまま処理工程を通過してプロセス排気ストリームの一部となる。その排気ストリームは、実質的な量のアンモニア、トリメチルガリウム前駆体等の金属含有前駆体(有機金属蒸気)、水素(H2)および窒素(N2)等の非有機金属蒸気、ならびにおそらくは有機金属粒子等の粒子を含む、加熱されたガス混合物である。排気ガス混合物は、高温、例えば、摂氏300度、摂氏400度または摂氏500度の温度および周囲流れ圧力でMOCVDプロセスから流出する。
【0006】
望ましくは、コストおよび廃棄物を低減するために、この種の加熱された排気ガス混合物中に含まれるアンモニアは、収集および再利用され得る。しかしながら、まずアンモニアがガス混合物から分離されなければならず、これはまた排気ガス温度の低下、ならびにガス混合物からの有機金属蒸気および任意の粒子デブリの除去を必要とし得る。
【0007】
半導体産業を含む化学処理産業は、ガス混合物からアンモニアを除去するための新たな改善された方法を探求し続けている。ガス混合物は、これらに限定されないが、LED製造プロセスの排気を含む任意の源から生じ得る。
【0008】
大量のアンモニア(水素および窒素と共に)の使用に依存する一般的なLED製造プロセスを特に考慮すると、アンモニアは比較的高価なガスであり、比較的高い廃棄コストを有する。したがって、LED反応器の排気からのアンモニアのリサイクルが複数の利点を有するであろう。LED製造プロセスは、アンモニアの使用の点では非効率的であり、プロセスに添加されるアンモニアのごく一部を使用するにすぎない。プロセスに導入されるアンモニアの大部分は排気ストリームへと流れる。現在、アンモニアの廃棄は、排気ストリームのアンモニアを水に溶解して水酸化アンモニウムを形成することにより、または水性酸希釈液を使用したアンモニアの基本的中和を行うことにより行われる。いずれかの方法で得られた溶液は、次いで下水設備に流される。顧客は、典型的には廃棄コストとしてガロン当たりの料金が課される。LED発光は、環境に優しい技術とみなされている。これらの一般的理由および特定の理由から、LED製造の廃棄物ストリーム中のアンモニアを取り扱うためのより良好なプロセスは、アンモニア廃棄の現行の方法と比較して望ましい改善となるだろう。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、アンモニアを固体吸着剤に吸着させることにより周囲圧力範囲内の圧力でガス混合物からガス状アンモニアを除去するのに有用な方法、デバイスおよびシステムに関する。
【0010】
ガス混合物は、商業的プロセスにおいて使用される任意のガス混合物であり得、非アンモニア蒸気、粒子デブリ(マイクロ粒子、サブミクロン粒子、ナノ粒子等を含む懸濁マイクロ粒子等の材料)、またはその両方と組み合わせてアンモニアを含み得る。ガス混合物は、商業的化学プロセスから生じ得、または商業的化学プロセスとの使用のために設計され得る。
【0011】
一例として、本明細書の方法によって処理され得るある特定のガス混合物は、半導体またはマイクロ電子基板に窒化物を堆積させる工業プロセス、例えばLEDを作製するための窒化ガリウム(GaN)の化学堆積によって生成される加熱された排気ストリームの形態である。しかしながら、以下の説明は本発明の方法、デバイス、およびシステムのこの特定の例示的使用を強調しているが、本発明の方法、デバイス、およびシステムは、他の商業的プロセスにおいて使用される、または他の商業的プロセスから生じる様々な他の種類のガス混合物からアンモニアを除去するのに効果的であろう。
【0012】
一態様において、ガス状アンモニアを含むガス混合物からアンモニアを除去する方法が開示される。方法は、固体吸着剤を含む容器に周囲流れ圧力でガス混合物を送出することと、周囲流れ圧力でガス混合物を固体吸着剤と接触させて、アンモニアを固体吸着剤に吸着させることとを含む。
【0013】
別の態様において、アンモニア、非アンモニア蒸気、有機金属蒸気、および固体粒子を含むガス混合物を処理する方法が開示される。方法は、ガス混合物を熱交換器に通すことによりガス混合物を冷却し、冷却ガス混合物を生成することと;冷却ガス混合物を粒子フィルターに通して、固体粒子を除去することと;冷却ガス混合物を第1の固体吸着剤に通して、有機金属蒸気を固体吸着剤に吸着させることと;冷却ガス混合物を第2の固体吸着剤と接触させて、アンモニアを固体吸着剤に吸着させることとを含む。
【0014】
さらに別の態様において、有機金属蒸気、粒子、および非有機金属蒸気を含むガス混合物を処理するためのシステムが開示される。システムは、ガス混合物の温度を低下させるように構成された熱交換器と;ガス混合物から固体粒子を除去することができる粒子フィルターと;ガス混合物から有機金属蒸気を除去することができる有機金属蒸気除去フィルターと;周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度を含む条件でアンモニア蒸気を固体吸着剤に吸着させることによりガス混合物からアンモニア蒸気を除去することができる固体吸着剤を含む容器とを含み、熱交換器、粒子フィルター、有機金属蒸気除去フィルターおよび容器は、互いに流体連通している。
【0015】
本開示は、添付の図面と併せて以下の様々な例示的実施形態の説明を考慮するとより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A-C】固体吸着剤を使用してガス混合物からアンモニア蒸気を除去する記載されたデバイスおよび関連する方法工程の例を示す図である。
【
図2A】記載されたデバイスの実施形態を示す図である。
【
図2B】記載されたデバイスの実施形態を示す図である。
【
図2C】記載されたデバイスの実施形態を示す図である。
【
図3】ガス混合物からアンモニア蒸気を除去するための記載されたシステムまたはデバイスのセットまたは方法工程の例を示す図である。
【
図4】記載されたシステムの例示的構成要素を示す図である。
【
図5】記載されたシステムまたは方法において有用となり得る熱交換器の例を示す図である。
【
図6A】記載されたシステムまたは方法において有用となり得る例示的粒子フィルターを示す図である。
【
図6B】記載されたシステムまたは方法において有用となり得る例示的粒子フィルターを示す図である。
【
図7A】記載されたシステムまたは方法において有用となり得る有機金属蒸気除去フィルターの例を示す図である。
【
図7B】記載されたシステムまたは方法において有用となり得る有機金属蒸気除去フィルターおよび任意選択の粒子フィルターの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図は全て例示的であり、概略的であり、また必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。
【0018】
以下は、周囲圧力範囲内の圧力でガス混合物中のガス状アンモニアを固体吸着剤に吸着させることによりガス混合物からアンモニアを除去するのに有用な方法、システム、デバイスおよびデバイスの組合せの説明である。方法、システムおよびデバイスは、例えばアンモニアの収集、精製および再利用を可能にするために、ガス混合物からアンモニアを除去するのに有用である。ガス混合物からアンモニアを除去する例示的方法は、ガス混合物を処理するために使用される一連の工程の他の工程と組み合わせて行うことができる。他の工程は、冷却工程、ガス混合物から粒子(例えばマイクロ粒子)を除去する工程、およびガス混合物から1つまたは複数の他の種類の蒸気、例えば有機金属蒸気を除去する工程のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0019】
ガス混合物は、ガス混合物の一部として、例えば原材料として、または流出物としてアンモニア蒸気が関与する任意の化学プロセスにおいて有用であるもの、またはそのような化学プロセスから生じるものであってもよい。ガス混合物は、微量とは言えない量のガス状(蒸気)形態のアンモニア、例えば少なくとも15、20、30、または40パーセント(体積)のアンモニアを含み得る。ガス混合物はまた、非アンモニア蒸気、固体粒子(例えばマイクロ粒子、サブミクロンサイズ粒子等)、またはその両方を含む。
【0020】
ガス混合物中の非アンモニア蒸気は、例えば反応物質、反応生成物、加工助剤として、または任意の他の化学的もしくは物理的機能を発揮するために上流または以前のプロセス工程において存在することによりガス混合物中に含まれる、任意の蒸気であってもよい。非アンモニア蒸気の例は、工業的化学プロセスにおいて存在する一般的な蒸気、例えば窒素蒸気(N2)、水素蒸気(H2)、水蒸気(H2O)、酸素(O2)、または二酸化炭素(CO2)を含み得る。
【0021】
本明細書において、「ガス状」および「蒸気」という用語は、化学処理技術におけるこれらの用語の使用と一致するように使用され、ガス(固体または液体とは対照的に)の状態の分子形態で存在する化学物質を指し、例えば、アンモニア蒸気は、例えばガス混合物の成分としてガスの形態で存在する分子アンモニアである。有機金属蒸気は、分子形態でガス混合物中に存在する有機金属化合物である。
【0022】
ガス混合物はまた、非蒸気物質、例えば蒸気分子より大きい懸濁固体粒子を含み得る。例示的な粒子は、10ミクロンより大きくてもよい。他の粒子は、10ミクロン未満の粒子サイズを有する「マイクロ粒子」と呼ばれる固体粒子であってもよく、これはまた、サブミクロンサイズ粒子、例えば0.5ミクロン未満および約0.1ミクロンまでを含む1ミクロン未満のサイズを有する粒子を含む。これらの種類の粒子は、化学プロセスの反応物質または反応生成物の凝塊化から、水分または酸素の浸入から、あるいは送出または化学プロセスもしくは化学プロセス環境の制御に関与する機器または他の固体材料から生じ得る。ガス混合物中に含まれ得る粒子の例は、有機金属蒸気に関連する本明細書に記載の有機金属化合物で、または金属含有水酸化物もしくは酸化物副生成物でできた有機金属マイクロ粒子を含む。
【0023】
固体吸着剤へのアンモニア蒸気の吸着の間、ガス混合物および固体吸着剤は、それぞれ独立して、吸着剤へのアンモニア蒸気の効果的および効率的な吸着を可能にする温度にある。ガス混合物および固体吸着剤は、それぞれ独立して、アンモニア吸着温度であり、これは、固体吸着剤と接触する際のガス混合物の周囲流れ圧力条件において、ガス混合物からのアンモニアの効率的および効果的な除去を可能にする量でアンモニアが固体吸着剤に吸着する温度である。ガス混合物、吸着剤、またはその両方の温度を、周囲流れ圧力で固体吸着剤に吸着するようにガス混合物上のアンモニアの効果的な吸着をもたらすのに十分に低くするために、ガス混合物、固体吸着剤、またはその両方は、例えば冷蔵、および固体吸着剤、ガス混合物、もしくはその両方と接触する、または固体吸着剤もしくはガス混合物の容器、容器もしくは流動構造と接触して固体吸着剤もしくはガス混合物から熱を除去する冷却要素によって冷却され得る。好ましくは、アンモニア吸着温度は、固体吸着剤への非アンモニア蒸気(例えば水素、酸素、窒素等)の吸着も可能にする、またはもたらす温度ではない。有用なアンモニア吸着温度の限定されない例は、摂氏0度未満、例えば摂氏-40~0度、例えば摂氏-30~-25度であり得る。より低い温度もまた有用となり得る。
【0024】
また、固体吸着剤へのアンモニア蒸気の吸着の間、ガス混合物は固体吸着剤に導入され、ガス混合物は周囲流れ圧力下にある。ガス混合物を固体吸着剤と接触させる工程は、固体吸着剤への多量のアンモニア蒸気の吸着、すなわちガスストリーム中に存在するアンモニア蒸気の量の多くまたはほとんどの効率的な除去を可能にする様式で行われるべきである。ガス混合物の有用な圧力は、工業的化学プロセスを通る、または工業的化学プロセスからの、例えば排気ストリームの一部である、または排気ストリームから生じるガス状流体の連続流を効率的に移動させるのに一般的または典型的であり、また非加圧であると考えられる、すなわちほぼ周囲圧力条件下のものであってもよい。流れは、機械的力により駆動されるガス状流体の「強制的」流れであるとみなされる、例えば真空または羽根車(例えばファン)により生成されるが、コンプレッサまたは低下された温度により生成される圧力により駆動されない、またはそのような圧力に供されないものであってもよい。そのような非加圧または「周囲」圧力工業ガス流プロセスに一般的に使用される圧力は、2気圧(ゲージ)未満、例えば1.5または1.3気圧(ゲージ)未満であってもよく、本明細書において「周囲流れ圧力」と呼ばれる。
【0025】
ガス混合物を固体吸着剤と接触させるための処理条件は、ガスストリームから大量のアンモニア蒸気を効率的に除去するのに効果的であり得る。例えば、ガス混合物の流れの形態等のガス混合物から除去される(例えば
図1に示されるように固体吸着剤の床にガス混合物の流れを通過させることにより)アンモニア蒸気の量は、ガスストリーム中に元々存在するアンモニアの少なくとも50、60、70、80、または90パーセントであってもよい。
【0026】
本明細書の例示的方法によれば、ガス混合物の連続流が固体吸着剤に、例えば固体吸着剤粒子の集合または「床」に通され、ガス混合物の流れからアンモニアを除去する連続的プロセスが可能となり得る。ガス混合物は、アンモニア、非アンモニア蒸気、および任意選択の粒子を含み、固体吸着剤によるアンモニアの吸着をもたらすまたは可能にする条件下で、吸着剤粒子の集合を通る。吸着剤は、実質的な量のアンモニアを除去し、一方ガス混合物中の他の(非アンモニア)ガスおよび粒子は、粒子によって吸着されることなく実質的または完全に吸着剤の集合を通過する。例えば、せいぜい微量の非アンモニアガスまたは粒子が吸着剤粒子によりガス混合物の流れから除去され、例えば5、2、または1パーセント未満の非アンモニアガス(粒子カウントで)が、吸着剤粒子の集合を通過するガス混合物の流れから除去され得る。
【0027】
アンモニアを固体吸着剤に吸着させる工程の後、および有用または所望の量のアンモニアが一定量の固体吸着剤に吸着した後、固体吸着剤を加熱することによって吸着アンモニアを固体吸着剤から除去して、吸着アンモニアを脱着ガス状アンモニアとして放出させることがきる。脱着により固体吸着剤から吸着アンモニアを除去するこのプロセスは、「脱着工程」と呼ぶことができる。固体吸着剤へのアンモニア蒸気の吸着の間、ガス混合物および固体吸着剤は、それぞれ独立して、吸着剤へのアンモニア蒸気の効果的および効率的な吸着を可能にする温度にある。固体吸着剤から吸着アンモニアを除去するために、吸着アンモニアを含む固体吸着剤は、アンモニアが固体吸着剤から流されて収集され得るように吸着アンモニアを脱着させる温度である脱着温度まで加熱される。固体吸着剤および吸着アンモニアの温度を脱着温度に到達させるために、吸着アンモニアを含む固体吸収剤は、例えば固体吸着剤、ガス混合物、またはその両方と接触する加熱要素により加熱され得る。代替的に、または追加的に、固体吸着剤は、固体吸着剤を含む容器もしくは容器と接触する加熱要素によって、または流れて固体吸着剤と接触する加熱されたガスの使用によって、または吸着アンモニアを含む固体吸着剤を加熱するための任意の他の効果的な様式もしくは技術によって加熱され得る。
【0028】
有用な脱着温度の限定されない例は、少なくとも摂氏20、30、40、または50度、例えば摂氏10~60度を含む摂氏10~100度であり得る。高すぎる温度、例えば摂氏約100度を超える温度は、アンモニアまたは吸着剤が分解する危険性がある。
【0029】
記載される方法は、アンモニア蒸気を吸着するために、およびガス混合物から、特に連続流動ガス混合物の形態のガス混合物から周囲流れ圧力の条件下でアンモニア蒸気を除去するために、固体吸着剤を使用する。固体吸着剤は、特に周囲流れ圧力でガス混合物からアンモニア蒸気を効果的および効率的に除去するのに有用な任意の固体吸着剤であり得る。
【0030】
固体吸着剤は、一般的に粒状(例えば粒子形態)で多孔質であり、粒子は有機金属化合物等の夾雑物を吸着するのに効果的な材料でできている。様々な種類の固体吸着剤材料が知られており、市販されている。いくつかの例は、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂、アルミナ、シリカ、ゼオライト、金属酸化物、塩、活性炭(天然および合成)、化学的にコーティングされた炭素、化学的にコーティングされたポリマー、ならびに金属-有機フレームワークを含み、これらはいずれも多孔質粒子の形態で提供され得る。これらの、または他の濾材はまたいずれも、例えば1つまたは複数の一般的または特定の種類の有機金属蒸気の吸着を改善するために、濾材の吸着特性を改善する化学処理、例えばコーティングまたは含浸を含んでもよい。
【0031】
有用な固体吸着剤の一例は活性炭であり、これは一般に、主に炭素原子で構成される複雑な構造を有する極めて多孔質の吸着材料として知られている。活性炭は、化学結合により互いに連結し、不均一にスタックして、炭素層間に隅部、割れ目、亀裂および隙間の極めて多孔質の構造を形成する、炭素原子の不規則層の剛性マトリックス内に存在する細孔のネットワークを含む粒状粒子の形態であり得る。様々な異なる種類の活性炭には、粒状活性炭、粉末状活性炭、および押出カーボンが含まれる。
【0032】
ゼオライトの1つの種類は、
Mx/n[(AlO2)x(SiO2)y]z・nH2O
(式中、xおよびyは整数であり、y/xは1以上であり、nはカチオンMの価数であり、zは各単位胞内の水分子の数である)
で表されるアルカリ元素またはアルカリ土類元素の微細孔結晶性アルミノシリケートと記載される場合がある。
【0033】
固体吸着剤は、表面積によって特徴付けることができる。記載される方法における使用に有用または好ましい固体吸着剤材料は、100~1500平方メートル毎グラム(m2/g)の範囲内の表面積を有し得る。有用または好ましい表面は、吸着剤の種類に応じて異なり得る。例えば、活性炭吸着剤の表面積は、好ましくは1000~1500、例えば1200~1300平方メートル毎グラムの範囲内であり得る。ゼオライト吸着剤の表面積は、100~200平方メートル毎グラムの範囲内であり得る。固体吸着剤の表面積は、既知の技術により、例えばBET窒素吸着技術により測定され得る。
【0034】
有用な吸着剤は、同じく有用である細孔サイズおよび細孔容積の特性を有し得、例えば150オングストローム未満、例えば100、50、15または10オングストローム未満、例えば3~8オングストロームの平均細孔サイズを有し得る。
【0035】
図1A、1B、および1Cを参照すると、ガス混合物20の流れからアンモニア蒸気を除去するための連続的または半連続的方法の例が示されている。これらの図は、ガス混合物20の流れからアンモニアを吸着剤床12の固体吸着剤に吸着させることにより、ガス混合物20の流れからアンモニアを除去するためのアンモニア分離システム10を示す。
図1A、1B、および1Cは、連続流または半連続流であってもよいガス混合物の流れからアンモニアを除去するための連続的または半連続的プロセスのある特定の例示的な処理工程を示すために、本明細書の一部として使用される。例示的システム10およびこれらの記載される工程は限定されない例であり、他の構造および工程の順序もまた、周囲流れ圧力の条件下でガス混合物からアンモニアを除去するために固体吸着剤を使用する概説されたプロセスにおいて効果的であろう。例えば、図示されるように、ただ1つの容器18が示されている。しかしながら、本明細書の方法は、ガス混合物20の連続的な流れの連続的な処理を可能にするために、2つ以上のそのような容器を並列で使用してもよい。ガス混合物20は、吸着工程の間第1の容器18を通って流れることができ、第1の容器で脱着工程が行われている間第2の容器18(第1の容器と並列)を通って流れることができる。
【0036】
ガス混合物20は、発光デバイス(LED)を製造するための窒化ガリウムを生成する方法から生じる排気ガスである本明細書に記載のガス混合物を含む、任意のガス混合物であり得る。ガス混合物20は、冷却工程、粒子除去工程および有機金属蒸気を除去する工程のうちの1つまたは複数によって事前に処理されていてもよい(下記を参照されたい)。
【0037】
例示的容器18は、入口14、出口16、入口弁30、出口弁32、固体吸着剤の床12を含む入口14と出口16との間の包囲された内部容積、ならびに流入ガス混合物20、床12、容器18またはこれらの任意の組合せを冷却または加熱するための1つまたは複数の冷却または加熱要素24Aおよび24Bを含む。弁32は、出口16を通るガス混合物20の流れを制御するために選択的に開放または閉鎖され得る。弁30は、入口14を通るガス混合物20の流れを制御するために選択的に開放または閉鎖され得る。
【0038】
図示されるように、要素24Aおよび24Bは、それぞれガス混合物20および床12と直接接触しているが、これは必須ではなく、他の構成が使用されてもよい。代替の加熱または冷却要素が、例えば容器18(側壁)に組み込まれることにより、または(例えば加熱もしくは冷却ブランケットとして)容器18を取り囲むことにより、システム10の任意の効果的な場所に配置されてもよい。追加的に、または代替的に、冷却要素24Aは、弁30の上流に設けられてもよい。
【0039】
図1Aは、アンモニア「吸着」工程と呼ぶことができる工程を示す。この工程では、弁30および32は開いており、流入ガス混合物20の定常流(例えば連続的であるが一時的であり、吸着工程を通して継続する)が入口14を通過して容器18の内部に入り、床12の固体吸着剤と接触する。
【0040】
ガス混合物20および容器18の内部は、入口弁30を通って容器18の内部を通過する際、および出口16を通過することにより容器18から出る際に、周囲流れ圧力下にある(例えば2.0気圧または1.5気圧(ゲージ)未満)。
【0041】
入口14を通って容器18に入る際、ガス混合物20は、上流の化学処理もしくは製造工程から生じる温度を有し得るか、または上流工程の温度に比べて冷却されていてもよい。システム10により処理される前、例えば要素24Aにより冷却される前、入口14を通過する前、またはその両方におけるガス混合物20の温度の例は、摂氏0~60、例えば摂氏5~30度、または摂氏10~50度の範囲内であり得る。したがって、ガス混合物20、床12、容器18、またはこれらの組合せの温度は、低下または制御され、吸着工程のためにアンモニア吸着温度で維持されることが必要となり得る。そのような冷却は、ガス混合物20、床12、および容器18のうちの1つまたは複数の温度を低下させることにより実行され得る。図示されるように、例えばこれは冷却要素24A、24B、またはその両方を使用して実行され得る。ガス混合物20、床12、または容器18を冷却するための代替手段もまた有用となり得る。
【0042】
システム10の一部として、吸着工程の間、容器18、床12、およびガス混合物20は、摂氏0度未満、例えば摂氏-40~0度、例えば摂氏-35~-5度または摂氏-30~-20度の範囲内であってもよいアンモニア吸着温度で保持される。
【0043】
記載される温度および圧力条件でのガス混合物20は、床12の固体吸着剤を通過して、ガス混合物20中の実質的な量のアンモニア(例えば少なくとも80、90、または95パーセント(体積))の固体吸着剤による吸着がもたらされるまたは可能になる。アンモニアが除去されたガス混合物(22)は、次いで開いた弁32および出口16を通過する。
【0044】
図1Aの吸着工程は、ガス混合物の流れからアンモニアが固体吸着剤に吸着される間の吸着工程を含み、続いてガス混合物の流れが停止されて吸着アンモニアが固体吸着剤から脱着される間の脱着工程が行われ得る、半連続的方法の工程であってもよい。吸着工程は、所望量のアンモニアを床12の吸着媒体に吸着させるのに十分な期間行われてもよい。
【0045】
所望量のアンモニアを固体吸着剤に吸着させることを含む
図1Aの吸着工程の後、例えば
図1Bに例示されるように、脱着工程を行って固体吸着剤から吸着アンモニアを除去することができる。脱着工程では、床12を脱着温度まで上昇させるために、容器18、床12(固体吸着剤に吸着したアンモニアを含む)、またはそれらの両方が加熱される(例えば要素24Bにより)。これは、入口14および出口16を通って流れるのを防止するために、弁30および32が閉鎖位置にある間に行われ得る。弁が閉鎖され、床12の温度が脱着温度まで上昇すると、ガス状アンモニアが容器18の包囲された内部に蓄積し、圧力が増加する。
【0046】
脱着工程は、少なくとも実質的な量の吸着アンモニアが固体吸着剤から脱着および除去されること、例えば吸着アンモニアの少なくとも50、60、70、80、90、または95重量パーセントを固体吸着剤から除去することを可能にする期間および条件下で行われる。脱着の間、容器の温度は脱着温度(例えば、摂氏10~60度を含む摂氏10~100度の範囲内)に到達させられ、吸着アンモニアは固体吸着剤から脱着して容器18の内部で気相に達する。脱着温度において、閉鎖された容器内で脱着したアンモニアの圧力は大気圧より高くなり得、例えば、1~3気圧(ゲージ)、例えば1.5~2.5気圧の範囲内の圧力に到達し得る。
【0047】
脱着工程の間、またはその後で、脱着したアンモニアは、
図1Cに示されるように、出口16および開いた弁32を通して容器18から除去され得る。脱着温度(摂氏10~60度を含む摂氏10~100度、例えば、摂氏20、25、または30度)での脱着したアンモニアは、好ましくは、常温で周囲圧力より高い圧力、例えば、摂氏20、25、または30度の温度で少なくとも1.5気圧(ゲージ)、例えば1.5~3気圧(ゲージ)の範囲内の圧力にある。常温で1気圧(ゲージ)超である圧力は、上昇した圧力により再生アンモニアをバラストまたは貯蔵タンクに、上昇した圧力を維持したまま移動させることができるため、有利となり得る。
【0048】
容器18を含む
図1A、1B、および1Cのアンモニア分離システム10は、例示的である。本発明の方法は、記載されるアンモニア分離(吸着および脱着)を行うように構成された容器内に固体吸着剤を含むアンモニア分離システムの他の例を含み得る。有用なアンモニア分離システムの別の例を
図2Aに示す。
図2Aでは、アンモニア分離システム10は、冷却および加熱要素24Aおよび24Bを有さないが、入力開口部36、内部空間38および出力開口部40を有する冷却または加熱ジャケット34を有する、
図1A、1B、および1Cのシステム10の特徴を含むように示されている。使用中、容器18の内部およびその内容物は、内部空間38に加熱または冷却流体(例えば液体またはガス)を通過させることにより、所望の吸着または脱着温度まで加熱または冷却され得る。
【0049】
アンモニア分離システムの別の例を
図2Bに示す。システム50は、容器52、入口14、出口16、入口弁30、出口弁32、入口14と出口16との間の包囲された内部容積、および内部62を有するジャケット60を含み、内部62には、容器および内容物を選択的に吸着温度または脱着温度に置くように内部容積およびその内容物の温度を制御する(上昇または低下させる)ために、冷却または加熱流体の流れが通過し得る。内部は、固体吸着剤の床58、任意選択のスクリーン56、およびヒートシンク54を含む。吸着剤58は、上述のような固体吸着剤である。
【0050】
この設計では、矢印により示されるように、ガス混合物20は容器の内部に流入し、ヒートシンク54の側面と接触しその周りのヒートシンク54と容器52の内壁との間の空間を通過する。液体またはガス状流体が冷却ジャケット60の内部62を通過して、例えば容器の内容物の温度を吸着温度または脱着温度に制御することができる。この設計は特に、ヒートシンク54およびジャケット60の使用によって、分離プロセスの吸着工程の間アンモニアと吸着剤58との間で生成された熱の除去を可能にし得る。ヒートシンク54は、吸着剤58からの熱エネルギーを伝達するために、アルミニウムまたは高い熱伝導率を有する別の金属でできていてもよい。ヒートシンク54は、容器内部を通過するガス混合物20の温度を効果的に制御する(特に冷却する)ために、直列に配置された複数のヒートシンク片(例えば「冷却パック」の形状)を含み得る。吸着工程の間の容器52およびその内容物の冷却(例えば、摂氏0~-40度の温度まで)は、冷媒および冷蔵システムを使用したジャケット60による熱の除去によって提供され得る。
【0051】
アンモニア分離システムのもう1つの例を
図2Cに示す。システム100は、環状容器110、入口14、出口16、入口弁30、出口弁32、入口14と出口16との間の環状内部容積124、および内部132を有するジャケット130を含み、内部132には、容器および内容物を選択的に吸着温度または脱着温度に置くように内部容積およびその内容物の温度を制御する(上昇または低下させる)ために、冷却または加熱流体の流れが通過し得る。内側側壁120および外側側壁122により画定される環状容器内部124は、固体吸着剤床112を含み、バッフル114が内側および外側側壁から側方に延在している。ジャケット130は環状容器110を包囲し、ジャケット内部132は内側側壁120および外側側壁122の両方と接触するように存在する。容器内部124のバッフル114は、内部124でのガス混合物20の循環の増加ならびにガス混合物20と内側および外側側壁120および122との間のより均一な接触および熱交換を可能にするように、床112を通るガス混合物20の流れを誘導するのに効果的である。
【0052】
アンモニア蒸気を固体吸着剤に吸着させてガス混合物からアンモニアを除去することによる、記載されるガス混合物を処理する工程は、アンモニアならびに他の蒸気および非蒸気物質を含むガス混合物を処理して、例えばアンモニアを回収および再利用するより大きなプロセスの一部であってもよい。例えば、
図3は、発光デバイスを作製するためのプロセスからの高温排気ガスを処理してアンモニアを回収するための複数工程プロセスを示す。
【0053】
図3に示されるように、本方法は、ガス混合物の温度を低下させ、ガス混合物から有機金属蒸気を除去し、ガス混合物から粒子を除去し、またガス混合物からアンモニアを分離することにより、加熱されたガス混合物(例えば「排気」)を処理する複数段階システムおよび方法の示された例において有用となり得る。
【0054】
図示されるように、プロセス202は、加熱された排気ガスの流れ(ストリーム)としてのアンモニア蒸気を含むガス混合物200を生成する工業プロセスである。プロセス202は、アンモニアを含むガス混合物を生成する任意の商業的プロセスであり得、本明細書の特定の実施形態において、発光デバイス(LED)を製造するプロセスであってもよい。この種のプロセスは、原材料としてアンモニア、二原子窒素ガス、および二原子水素ガスを含む高純度のガスを極めて大量に必要とすることが知られている。プロセスは、エピタキシャル堆積により活性半導体層を生成することを含み、これは金属-有機化学気相堆積(MOCVD)により行われる。MOCVDの工程は、アンモニア等の窒素源とも組み合わせて、トリメチルガリウム等の揮発性金属-有機前駆体からインジウムガリウム窒化物(InGaN)等の金属窒化物化合物を形成する。複数層LED構造は、典型的にはサファイアである基板上に堆積される。
【0055】
この種のLED製造プロセスを実行するには、極めて高純度の原材料が必要である。これらの原材料の1つはアンモニアであり、これは残念ながらMOCVDプロセスにおいて効率的に使用されず、プロセスにより生成される排気ストリーム中に実質的な量で存在する。その排気ストリームは、実質的な量のアンモニア、トリメチルガリウム前駆体等の金属含有前駆体(有機金属蒸気)、水素(H2)および窒素(N2)等の非有機金属蒸気、ならびにおそらくは有機金属粒子等の固体粒子を含む、加熱されたガス混合物である。LED構造の金属窒化物化合物を生成するための金属-有機化学気相堆積工程からの排気ガスとして生成されるこの種のガス混合物の例は、以下の量のアンモニア蒸気、水素蒸気、および窒素蒸気を有し得る:15~40体積パーセントのアンモニア蒸気、0~60体積パーセントの水素蒸気、および0~70体積パーセントの窒素蒸気;例えば15~35体積パーセントのアンモニア蒸気、5~50体積パーセントの水素蒸気、および5~60体積パーセントの窒素蒸気。ガス混合物はまた、一定量の有機金属蒸気(例えばトリメチルガリウム)および一定量の固体粒子(例えばマイクロ粒子、サブミクロン粒子等)を含むであろう。排気は高温でMOCVDプロセスから流出するが、この温度は、反応器からの距離、および温度を低下させるために排気が冷却工程により処理されているか等の要因に依存するであろう。反応器から出る排気の温度は、反応器の温度に近くなり得、これは摂氏500度程度まで高くなり得る。反応器から出た後、温度は降下し得る、または冷却工程により低下され得るが、本明細書のデバイスまたはシステムにより処理される前に、摂氏50、60、70、または80度より高い高温で、および周囲流れ圧力で維持されてもよい。
【0056】
望ましくは、コストおよび廃棄物を低減するために、この種類の加熱された排気ガス混合物中に含まれるアンモニアは、収集および再利用され得る。これには、ガスストリームの任意の非アンモニア物質、例えば有機金属蒸気、窒素蒸気、水素蒸気、および任意の粒子デブリからアンモニアガスを分離することが必要である。したがって、ガス混合物からアンモニア蒸気を除去するための本明細書に記載の方法の有用な用途の一例として、そのような方法は、排気ガス混合物を冷却し、ガス混合物から有機金属蒸気および固体粒子を除去する上流工程に続いて、加熱されたガス混合物としての言及された種類の排気ストリームからアンモニア蒸気を除去するために使用され得る。
【0057】
図3を再び参照すると、ガス混合物200は、発光デバイス(LED)を製造するプロセスであってもよいプロセス202から流出する、記載される高温排気ガスであってもよい。ガス混合物200は、アンモニア蒸気、水素蒸気、窒素蒸気、有機金属蒸気、および一定量の固体粒子(例えばマイクロ粒子、サブミクロン粒子等)を含み得る。ガス混合物200は、高温、例えば、少なくとも摂氏60、70、または80度の温度および周囲流れ圧力でプロセス202から出る。
【0058】
プロセス202から出た後、ガス混合物200は、冷却段階、非アンモニア蒸気および粒子を除去するための複数の濾過段階、次いでアンモニア分離段階を通過する。例えば、ガス混合物200は、熱交換器210、粒子除去フィルター214、および有機金属蒸気除去フィルター218を通過し、続いてアンモニア分離工程230を通過し得る。冷却および濾過工程のそれぞれを通過する例示される順番は、第1段階としての熱交換器210の通過、次いで第2段階としての粒子除去フィルター214の通過、次いで第3段階としての有機金属蒸気除去フィルター218の通過である。しかしながら、これらの工程は、所望により異なる順番で行われてもよく、またこれらの3つの工程の前、後または間に1つまたは複数の追加の工程(または段階)を含んで行われてもよい。例えば、最初の3つの段階による処理後にガス混合物中にまだ残留する任意の粒子(例えばミクロンスケールまたはサブミクロンスケール粒子)を除去するために、第4段階として、蒸気除去フィルター218の後、およびアンモニア分離工程230の前に、第2の粒子除去フィルターが任意選択で含まれてもよい。
【0059】
図3に示されるように、ガス混合物は、例えば、摂氏0~60度、例えば、摂氏0~50度または摂氏0~40度の範囲内の温度を有する冷却ガス混合物212として熱交換器210から出る。冷却ガス混合物212は、粒子除去フィルター214に進入し、粒子のレベルが低減された濾過されたガスストリーム216として出る。粒子が低減された冷却ガス混合物は、有機金属蒸気除去フィルター218に進入し(
図6Aおよび6Bを参照されたい)、有機金属蒸気のレベルが低減されたガスストリーム220として出る。ガス混合物220は、ミクロンサイズまたはサブミクロンサイズ粒子(例えば6、5、4、または3ミクロン未満の粒子サイズを有する粒子)を除去するために、第4段階として精密濾過工程等の別の粒子フィルターの使用により任意選択でさらに処理されてもよい。排気ストリーム中に存在する有機金属粒子は、好ましくは、高純度アンモニアを提供する目的で除去されるが、これはまた、有機金属粒子が除去されないと下流のアンモニア分離プロセスにおいて様々な処理上の困難をもたらす可能性があるためでもある。有機金属粒子は、排気ストリームからガス状アンモニアを分離するために使用される機器を詰まらせる可能性がある。一例として、分離システムは、有機金属粒子が弁の表面上に蓄積すると適切に閉鎖せず適切に封止しなくなる機械弁を含み得る。別の懸念は、有機金属粒子が、排気ストリームからガス状アンモニアを除去するために使用されるフィルター(例えば分子篩)の性能を妨害する(例えば詰まらせる)可能性があることである。
【0060】
図4は、ガス混合物流からアンモニアを分離する工程の前の冷却工程および複数濾過工程のための、
図3の例示的システムの有用なデバイスのある特定の例を示す。システム300は、熱交換器400、粒子除去フィルター500、および有機金属蒸気除去フィルター600をこの順番で含む。示されるように、ガス混合物402、例えば、摂氏60度超の温度を有する排気ガスは、熱交換器400に進入し、熱交換器を通過し、例えば、摂氏0~50度を含む摂氏0~60度の範囲内の温度を有する冷却ガス混合物498として熱交換器から出る。冷却ガス混合物498は粒子除去フィルター500に進入し、ここで固体粒子の実質的な部分が冷却ガス混合物から除去される。ガス混合物は、固体粒子のレベルが低減された濾過されたガスストリーム598として粒子除去フィルター500から出る。粒子が低減されたガス混合物は、有機金属蒸気除去フィルター600に進入し(
図6Aおよび6Bを参照されたい)、流入ガス混合物402に比べて粒子および有機金属蒸気のレベルが低減され、温度が低下されたガスストリーム698として出る。
【0061】
また、
図4には、熱交換器400と固体支持体(例えば壁)との間に取り付けられ、振動して熱交換器400の連続的な発振または振動運動をもたらす発振器または「振動子」410が示されている。振動の性質、例えば振動数および振動を構成する運動の距離は、熱交換器400の内部表面の粒子蓄積を防止するのに効果的であり得る。
【0062】
図5は、有用な熱交換器400の例のより詳細な図である。図示されるように、熱交換器400は、熱交換器本体404、本体入口420、本体出口422、および本体内部容積424を含む向流コイル型熱交換器である。さらに、中空コイル本体426は、熱交換器本体内部容積424内に位置し、コイル入口430、コイル出口432、およびコイル入口とコイル出口との間の複数のコイルターンを含む。第2の中空コイル本体428もまた熱交換器本体内部容積424内に位置し、第2のコイル入口440および第2のコイル出口442に接続される。
【0063】
冷却液体450は、コイル入口で中空コイル本体に進入し、熱交換器本体を通過する加熱されたガス混合物の流れの方向とは逆の方向に中空コイル本体を通って流れ、コイル出口で中空コイル本体から出る。加熱されたガス混合物402は、本体入口で第1の温度で熱交換器本体に進入し、内部容積を通って中空コイルの外部表面を通過し、本体出口で低下された温度で熱交換器本体から出る。
【0064】
図6Aは、粒子除去フィルター500の1つの例を示す。図示されるように、フィルター500は、フィルター500の内部506でサイクロン流(周方向の矢印により示される)中でガス混合物498を循環させることにより進入ガス混合物498から粒子を除去するサイクロンフィルターである。ガス混合物498は、入口502を通ってフィルター500に進入し、円錐形のフィルター内部506を通過し、実質的な量の粒子が除去されたガス混合物598として出口504を通って出る。円錐形内部506で循環するガス混合物に含まれる粒子は、例えば重力によって下方に粒子トラップ510へ引き込まれ、そこで粒子はフィルター500から出てガス混合物から除去され得る。循環するガス混合物は、周方向および上方に流れ、低減された量の粒子を含みながら出口504を通って出る。
【0065】
別の実施形態において、サイクロンフィルターの代わりに、フィルター500は、衝突段階、炭素繊維収集段階、蛇行経路(例えば迷路)段階、および繊維媒体段階のうちの1つまたは複数を含む複数段階フィルターであってもよく、これは例示されたサイクロンフィルターと共に、またはその代替として含まれ得る。
図6Bは、ガス混合物498の入口518および濾過されたガス混合物598の出口516を含むフィルター500の例を示す。入口と出口との間には、複数の濾過段階がある。第1段階は、フィルターの底部に炭素繊維層522を含む衝突段階520である。ガス混合物498は下方に流れて炭素繊維層522と接触(衝突)し、そこで粒子が捕捉され、炭素繊維層内に取り込まれる。
【0066】
次の段階は、蛇行経路を通って流れる際にガス混合物の流れを迂回させ、ガス混合物中に存在する粒子の少なくとも一部を捕捉、制約またはそのさらなる進行を拘束するのに有効なバッフルまたは他の物理的構造を使用して作製される、「迷路」または「蛇行経路」段階524である。
【0067】
1つまたは複数の追加のフィルター段階526、528、および530は、繊維状材料に粒子が保持されながら段階を通るガス混合物の流れを可能にするのに効果的な1つまたは複数の繊維状フィルター材料を含み得る。繊維状フィルター材料は、フィルター段階を通るガス混合物の良好な流れが保たれ、好ましくは繊維状フィルター材料を通過するガス混合物中に繊維状フィルター材料から不純物が脱気(気体放出)されずに、良好な濾過を提供するように選択され得る。繊維状フィルター材料は、任意の有用な材料であり得、その様々な種類は公知であり、ステンレススチールウール、カーボンウール、セラミックウール等が含まれる。
【0068】
有用なフィルター500(例えばサイクロンフィルター、複数段階フィルター、または別の種類の粒子フィルター)は、30、20、および10ミクロン未満の粒子サイズ(直径の点で)、例えば約5または6ミクロンという小さいサイズまでを有するマイクロ粒子を除去するのに効果的となり得る。
【0069】
ここで
図7Aを参照すると、有機金属蒸気を固体吸着剤に吸着させることにより、有機金属蒸気およびアンモニアを含むガス混合物からガス状有機金属蒸気を除去するための方法およびデバイスの概略図が示されている。フィルター600は、本明細書に記載の固体吸着剤粒子、例えば活性炭、ゼオライト等の床608を含む。ガス混合物598は、アンモニア蒸気、有機金属蒸気、他の非有機金属および非アンモニア蒸気、ならびに潜在的に他の粒子(例えばマイクロ粒子、サブミクロン粒子等)を含む。ガス混合物598は、床608の上流側でフィルター600の入口に流入し、床608を通って流れ、次いで、低減された量の有機金属蒸気を含む濾過されたガス混合物698として床608の反対(下流)側でフィルター600から出る。ガス混合物598の流れの流速および流量(例えば流束)ならびに圧力は、ガス混合物598中に存在する有機金属蒸気の大部分、ほとんど、または実質的に全てがガス混合物から除去され、濾過されたガス混合物698を生成するのを可能にする期間、ガス混合物598を床608内に留まらせるのに効果的である。例えば、ガス混合物698は、ガス混合物598に元々含まれる有機金属蒸気の総量の30、20、10、または5パーセント未満を含み得る。ガスストリーム598中に存在する他の蒸気(複数種可)(非有機金属蒸気)は床608を実質的に通過し、床608の固体吸着剤粒子に吸着されずに、ガス混合物698に含まれる蒸気としてフィルター600から出る。
【0070】
本明細書の例示的方法によれば、ガス混合物598は、周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度を超える温度、例えば、摂氏0度超、または摂氏0~50度もしくは摂氏0~40度を含むセ氏0~60度の範囲内の温度を含む条件下にある。
【0071】
有機金属蒸気は、1つまたは複数の有機部分(「有機基」と呼ばれる場合もある)に結合(例えば共有結合)した金属原子を含む有機金属化合物であってもよく、すなわち、有機金属化合物は、金属原子と有機部分との間に少なくとも1つの炭素-金属結合を含む。金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属等の任意の金属であり得る。例示的な金属は、アルミニウム、ガリウム、アンチモン、チタン、コバルト、タングステン、およびインジウムを含む。有機部分は、炭素-金属共有結合を形成することができる任意の有機基、例えばアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル等)、アリール、アルキルシリル、アルキルボリル、カルボニル、およびシアノ等であり得る。これらの基は、直鎖、分岐状、または環式であってもよく、炭素-炭素二重結合または芳香族環構造等の不飽和を含んでもよく、また任意選択で1つまたは複数のヘテロ原子または水素置換を含んでもよい。
【0072】
有機金属蒸気(有機金属蒸気はガス混合物から有機金属蒸気を除去するための固体吸着剤により効果的に吸着され得るものである)としてのガス混合物の一部である有機金属化合物の限定されない例は、金属としてガリウム、アルミニウム、インジウム等のような遷移金属を含む有機金属化合物を含む。金属は、例えばアルキル基であってもよい1つまたは複数の有機残基と会合している。複数の有機残基と会合している金属原子の場合、2つ以上の有機残基が同じまたは異なっていてもよい。そのような有機金属化合物の特定の例は、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、およびトリメチルアルミニウム、およびトリメチルアンチモン((CH3)3Sb)を含む。
【0073】
例示的な有機金属化合物はまた、これらの、または他の有機金属化合物のいずれかの化学誘導体であってもよい。有機金属化合物は、プロセス(例えば堆積)中に存在する別のガス状化学物質、例えばガス状窒素、酸素、水、または水素と反応して、誘導体酸化物、塩、金属酸化物、水酸化物等を形成し得る。
【0074】
有機金属蒸気を除去するための固体吸着剤は、この目的のために効果的に機能し、本明細書に記載のようにアンモニアを含むガス混合物から有機金属蒸気を除去する任意の固体吸着剤であり得る。その例は、アンモニア除去工程に関して本明細書において上述された固体吸着剤材料を含み、特に活性炭を含む。
【0075】
図7Bは、
図3に示されるような複数段階システムの第3および第4段階のより具体的な例を示し、第3段階の例は有機金属蒸気除去フィルター600の例であり、第4段階の例は第2の粒子除去フィルター700である。図示されるように、有機金属蒸気除去フィルター600および第2の粒子除去フィルター700は単一構造のフィルター600内に含まれるが、これらの2つの濾過段階は、代わりに2つの別個のフィルターの両方を通してガス混合物を個別に流すことができる2つの異なるフィルター構造内に別個に含まれてもよい。
【0076】
図示されるように、フィルター600は、入口602、出口604、ならびに固体吸着剤を含む第1のフィルター床608および第2の粒子除去フィルターを含む第2の床700を含む内部容積を含む。ガス混合物598は入口602を通ってフィルター600に進入し、第1の床608およびそれに含まれる固体吸着剤を通過して、それによりガスストリームから有機金属蒸気が固体吸着剤に吸着され、ガスストリームから除去される。次に、ガス混合物は第2の床700および第2の床に含まれる粒子フィルターに進入および通過し、ガスストリームからミクロンサイズまたはサブミクロンサイズ粒子が除去される。
【0077】
ガス混合物598は、周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度を超える温度、例えば、摂氏0度超、例えば、摂氏0~60度もしくは摂氏0~40度の範囲内の温度を含む条件下にあり得る。
【0078】
有用な第2の粒子フィルター700は、前の粒子フィルター、例えば
図6に示されるようなサイクロンフィルターにより除去された粒子のサイズより小さい粒子サイズ(直径の点で)を有するマイクロ粒子を除去するのに効果的であり得る。例えば、第2の粒子フィルター700は、ミクロンサイズまたはサブミクロンサイズ粒子、例えば6、5、4、3、1、0.5、または0.1ミクロン未満の粒子サイズを有する粒子を除去するために精密濾過が可能であってもよい。
【0079】
試料ポート620によって、分析試験のために、例えば有機金属化合物の存在および量を測定するために床608を通って流れるガス混合物の試料を取り出すことができる。
【0080】
フィルター600から出た後、ガス混合物698の流れは、本明細書に記載のように、例えば(但し必須ではない)
図1A、1B、および1Cに関して例示および説明された例示的システムおよび工程に従って、ガス混合物からアンモニア蒸気を除去するためにさらに処理され得る。
【0081】
第1の態様において、ガス状アンモニアを含むガス混合物からアンモニアを除去する方法は、i)固体吸着剤を含む容器に周囲流れ圧力でガス混合物を送出することと、ii)周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度でガス混合物を固体吸着剤と接触させて、アンモニアを固体吸着剤に吸着させることとを含む。
【0082】
第1の態様による第2の態様は、一定量のアンモニアが固体吸着剤に吸着された後、固体吸着剤を加熱することによって吸着アンモニアを固体吸着剤から脱着させて、吸着アンモニアを脱着ガス状アンモニアとして放出させることと;脱着ガス状アンモニアを容器から除去することとをさらに含む。
【0083】
上記態様のいずれかによる第3の態様は、ガス混合物、固体吸着剤、またはその両方を、ガス混合物のガス状アンモニアが周囲流れ圧力で固体吸着剤に吸着するアンモニア吸着温度まで冷却することをさらに含む。
【0084】
第3の態様による第4の態様では、アンモニア吸着温度は、摂氏-40度~0度の範囲内である。
【0085】
上記態様のいずれかによる第5の態様では、ガス混合物は、アンモニアおよび非アンモニア蒸気を含み、非アンモニア蒸気は、アンモニア吸着温度で固体吸着剤に吸着しない。
【0086】
第1の態様による第6の態様では、ガス混合物は、ガス状アンモニア、ガス状水素、およびガス状窒素を含み、方法は、ガス混合物を固体吸着剤に送出することであって、ガス混合物、固体吸着剤、またはその両方が、摂氏-40~0度の範囲内の温度を有する、ガス混合物を送出することと;アンモニアを固体吸着剤に吸着させることと;一定量のアンモニアが固体吸着剤に吸着した後、吸着アンモニアを含む固体吸着剤の温度を脱着温度まで上昇させ、吸着アンモニアを固体吸着剤から脱着させて液体アンモニアを形成することと;液体アンモニアを容器から除去することとをさらに含む。
【0087】
第6の態様による第7の態様では、ガス混合物、固体吸着剤またはその両方が、摂氏-30~-15度の範囲内の温度を有する。
【0088】
第6または第7の態様による第8の態様では、脱着温度は、摂氏60度未満である。
【0089】
第6~第8の態様のいずれかによる第9の態様では、固体吸着剤は、活性炭およびゼオライトから選択される。
【0090】
第6~第9の態様のいずれかによる第10の態様では、容器に送出される際のガス混合物は、15~40体積パーセントのガス状アンモニウム;0~60体積パーセントのガス状水素;および0~70体積パーセントのガス状窒素を含む。
【0091】
第11の態様では、アンモニア、非アンモニア蒸気、有機金属蒸気、および固体粒子を含むガス混合物を処理する方法は、i)ガス混合物を熱交換器に通すことによりガス混合物を冷却し、冷却ガス混合物を生成することと;ii)冷却ガス混合物を粒子フィルターに通して、固体粒子を除去することと;iii)冷却ガス混合物を第1の固体吸着剤に通して、有機金属蒸気を第1の固体吸着剤に吸着させることと;iv)冷却ガス混合物を第2の固体吸着剤と接触させて、アンモニアを第2の固体吸着剤に吸着させることとを含む。
【0092】
第11の態様による第12の態様では、非アンモニア蒸気は、ガス状水素、ガス状窒素、またはそれらの組合せを含む。
【0093】
第11または第12の態様による第13の態様では、加熱されたガス混合物は、摂氏60度超の温度を有する。
【0094】
第11~第13の態様のいずれかによる第14の態様では、冷却ガス混合物は、摂氏0~60度の範囲内の温度を有する。
【0095】
第11~第14の態様のいずれかによる第15の態様は、周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度で冷却ガス混合物を第2の固体吸着剤と接触させて、アンモニアを第2の固体吸着剤に吸着させることをさらに含む。
【0096】
第15の態様による第16の態様は、ガス混合物、第2の固体吸着剤、またはその両方を、アンモニア吸着温度まで冷却することをさらに含む。
【0097】
第15または第16の態様による第17の態様では、アンモニア吸着温度は、摂氏-40~0度の範囲内である。
【0098】
第11~第17の態様のいずれかによる第18の態様は、一定量のアンモニアが第2の固体吸着剤に吸着された後、第2の固体吸着剤を加熱することよって、吸着アンモニアを第2の固体吸着剤から脱着させて、吸着アンモニアを脱着ガス状アンモニアとして放出させることをさらに含む。
【0099】
第11~第18の態様のいずれかによる第19の態様では、熱交換器は、本体入口、本体出口、および本体内部容積を備える中空熱交換器本体と、熱交換器本体内部容積内に位置し、コイル入口、コイル出口、およびコイル入口とコイル出口との間の複数のコイルターンを備える中空コイル本体とを備える、向流コイル熱交換器であり、ガス混合物は、本体入口で中空熱交換器に進入し、内部容積を通って中空コイルの外部表面を通過し、本体出口で中空熱交換器本体から出、冷却液体は、コイル入口で中空コイル本体に進入し、中空熱交換器本体を通過するガス混合物の流れの方向とは逆の方向に中空コイル本体を通って流れ、コイル出口で中空コイル本体から出る。
【0100】
第11~第19の態様のいずれかによる第20の態様では、ガス混合物は、15~40体積パーセントのガス状アンモニア;0~60体積パーセントのガス状水素;0~70体積パーセントのガス状窒素;および有機金属化合物を含む。
【0101】
第20の態様による第21の態様では、有機金属化合物は、トリメチルガリウムである。
【0102】
第22の態様では、有機金属蒸気、粒子、および非有機金属蒸気を含むガス混合物を処理するためのシステムは、i)ガス混合物の温度を低下させるように構成された熱交換器と;ii)ガス混合物から固体粒子を除去することができる粒子フィルターと;iii)ガス混合物から有機金属蒸気を除去することができる有機金属蒸気除去フィルターと;iv)周囲流れ圧力およびアンモニア吸着温度を含む条件でアンモニア蒸気を固体吸着剤に吸着させることによりガス混合物からアンモニア蒸気を除去することができる固体吸着剤を含む容器とを備え、熱交換器、粒子フィルター、有機金属蒸気除去フィルターおよび容器は、互いに流体連通している。
【0103】
このように本開示のいくつかの例示的実施形態を説明してきたが、本明細書に添付された特許請求の範囲内でさらに他の実施形態が作製および使用され得ることが当業者に容易に理解されるであろう。本明細書により包含される本開示の数々の利点は、上記説明において記載されている。しかしながら、本開示は、多くの点において例示にすぎないことが理解されるであろう。詳細において、特に形状、サイズ、および部品の配置の点で、本開示の範囲を超えることなく変更が行われてもよい。当然ながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状アンモニアを含むガス混合物からアンモニアを除去する方法であって、
固体吸着剤を含む容器に周囲流れ圧力でガス混合物を送出することと、
周囲流れ圧力及びアンモニア吸着温度でガス混合物を固体吸着剤と接触させて、一定量のアンモニアを固体吸着剤に吸着させることと
を含む、方法。
【請求項2】
一定量のアンモニアが固体吸着剤に吸着された後、固体吸着剤を加熱することによって吸着アンモニアを固体吸着剤から脱着させて、吸着アンモニアを脱着ガス状アンモニアとして放出させることと、
脱着ガス状アンモニアを容器から除去することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガス混合物、固体吸着剤、又はその両方を、ガス混合物のガス状アンモニアが周囲流れ圧力で固体吸着剤に吸着するアンモニア吸着温度まで冷却すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ガス混合物が、ガス状アンモニア及び非アンモニア蒸気を含み、非アンモニア蒸気が、アンモニア吸着温度で固体吸着剤に吸着しない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ガス混合物が、ガス状アンモニア、ガス状水素、及びガス状窒素を含み、ガス混合物が固体吸着剤に送出され、ガス混合物、固体吸着剤、又はその両方が、摂氏-40~0度の範囲内の温度を有する、請求項1に記載の方法であって、
アンモニアを固体吸着剤に吸着させることと、
一定量のアンモニアが固体吸着剤に吸着した後、吸着アンモニアを含む固体吸着剤の温度を脱着温度まで上昇させ、吸着アンモニアを固体吸着剤から脱着させて液体アンモニアを形成することと、
液体アンモニアを容器から除去することと
をさらに含む、方法。
【請求項6】
固体吸着剤が、活性炭及びゼオライトから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
容器に送出されるガス混合物が、
15~40体積パーセントのガス状アンモニウムと、
0~60体積パーセントのガス状水素と、
0~70体積パーセントのガス状窒素と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ガス状アンモニア、非アンモニア蒸気、有機金属蒸気、及び固体粒子を含むガス混合物を処理する方法であって、
ガス混合物を熱交換器に通すことによりガス混合物を冷却し、冷却ガス混合物を生成することと、
冷却ガス混合物を粒子フィルターに通して、固体粒子を実質的に除去することと、
固体粒子が実質的に除去された冷却ガス混合物を第1の固体吸着剤に通して、第1の固体吸着剤に吸着することにより有機金属蒸気を実質的に除去することと、
有機金属蒸気が実質的に除去された冷却ガス混合物を第2の固体吸着剤と接触させて、アンモニアを第2の固体吸着剤に吸着させることと
を含む、方法。
【請求項9】
非アンモニア蒸気が、ガス状水素、ガス状窒素、又はそれらの組合せである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ガス状アンモニア、非アンモニア蒸気、有機金属蒸気、及び固体粒子を含むガス混合物を処理するためのシステムであって、
ガス混合物の温度を低下させるように構成された熱交換器と、
ガス混合物から固体粒子を除去することができる粒子フィルターと、
ガス混合物から有機金属蒸気を除去することができる有機金属蒸気除去フィルターと、
周囲流れ圧力及びアンモニア吸着温度を含む条件でアンモニア蒸気を固体吸着剤に吸着させることによりガス混合物からアンモニア蒸気を除去することができる固体吸着剤を含む容器と
を備え、
熱交換器、粒子フィルター、有機金属蒸気除去フィルター及び容器が、互いに流体連通している、システム。
【国際調査報告】