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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】長寿命レーザチャンバ電極
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/038 20060101AFI20220715BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H01S3/038
G03F7/20 505
H01S3/038 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562913
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 US2020031906
(87)【国際公開番号】W WO2020231746
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】62/845,926
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エッフェンベルガー ジュニア,アンドリュー ジェイ
【テーマコード(参考)】
2H197
5F071
【Fターム(参考)】
2H197CA08
2H197CA20
2H197FB01
5F071AA06
5F071CC01
5F071CC03
5F071CC08
5F071FF02
5F071FF03
5F071JJ03
(57)【要約】
レーザチャンバ内の少なくとも1つの電極上に保護層を形成するための装置および方法が開示され、当該レーザチャンバにおいて、層形成ガスを追加し、その後、電極を用いてレーザチャンバ内でプラズマを生成することで、保護層を形成させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.レーザチャンバと、
ii.レーザチャンバ内に少なくとも部分的に位置決めされる電極と、
iii.前記レーザチャンバに接続可能な層形成ガスの供給源と、
iv.前記電極に電気的に接続される電圧源であって、前記層形成ガスの存在下において、前記電極に対して電圧を供給して前記電極の表面でプラズマを生成し、前記電極上に保護層を形成するように構成された電圧源と、
を備える装置。
【請求項2】
前記層形成ガスは、酸素含有ガスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記酸素含有ガスは、O2、H2OまたはH2O2を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記酸素含有ガスは、O3を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記酸素含有ガスは、亜酸化窒素または空気を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記保護層は、金属酸化物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記電極は真鍮を含み、前記保護層は酸化銅CuOまたは酸化亜鉛ZnOを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記層形成ガスは、窒素含有ガスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記窒素含有ガスは、N2またはNH3を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記保護層は金属窒化物を含み、前記電極は真鍮を含み、前記金属窒化物は窒化銅または窒化亜鉛である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記層形成ガスは、窒素含有および酸素含有ガスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記保護層は酸窒化銅または酸窒化亜鉛を含み、前記電極は真鍮を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
レーザ放電チャンバ内の電極上に保護層を形成する方法であって、
i.前記レーザ放電チャンバに層形成ガスを追加し、所定の分圧を得ることと、
ii.前記電極を用いて、前記レーザ放電チャンバ内で所定の時間にわたりプラズマを生成することと、
を含む方法。
【請求項14】
前記層形成ガスは、酸素含有ガスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸素含有ガスは、O2、H2OまたはH2O2を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記酸素含有ガスは、O3を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記酸素含有ガスは、亜酸化窒素または空気を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記電極は真鍮を含み、前記保護層は酸化銅CuOまたは酸化亜鉛ZnOを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記層形成ガスは、窒素含有ガスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記窒素含有ガスは、N2またはNH3を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記保護層は、金属窒化物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記電極は真鍮を含み、前記金属窒化物は窒化銅または窒化亜鉛を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記層形成ガスは、窒素含有および酸素含有ガスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記電極は真鍮を含み、前記保護層は酸窒化銅または酸窒化亜鉛を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年5月10日出願のLONG LIFE LASER CHAMBER ELECTRODE(長寿命レーザチャンバ電極)と題された米国出願第62/845,926号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示による主題は、集積回路のフォトリソグラフィ製造プロセスに用いられるようなレーザ生成光源に関する。
【背景技術】
【0003】
[0001] ArFパワーリング増幅器エキシマ放電チャンバ(「PRA」)またはKrFエキシマ放電チャンバのようなレーザ放電チャンバにおいて、電極の浸食はチャンバモジュールの使用寿命を大幅に制限する。KrFエキシマ放電チャンバモジュールの使用寿命を延ばす1つの方法は、摩耗に耐える材料でアノードを作ることである。アノード材料としての使用に適した材料に関する情報は、例えば2007年11月27日に発行された米国特許第7,301,980号および2004年2月10日に発行された米国特許第6,690,706号に記載されており、両特許は本出願の譲受人に譲渡され、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
[0002] フッ素含有プラズマは金属に対する腐食性が高いため、チャンバ作動中に電極の腐食または浸食を引き起こし得る。例えば、アノードの表面上で、腐食生成物が堆積する局所的な領域の核生成および増大が生じ得る。このことは、電極間の放電における非均一性および下流のアーク放電につながる。浸食は、放電ギャップの幅の増加と放電の広がりとの両方を引き起こす。これらの現象は共に、放電におけるエネルギ密度の低下につながり、ひいては、エネルギ出力を維持するために必要な電極間の差動電圧を増加させる必要性を高める。さらに、放電の広がりはガス流のクリアリング比を減少させ、これが下流のアーク放電の増加をもたらし、エネルギのドロップアウトおよび結果として生じるドーズ誤差をもたらす。ドーズ誤差の割合が所定の閾値を超えて増加した場合、チャンバは使用寿命の終わりを迎えたとみなされ、交換しなくてはならない。
【0005】
[0003] 1つ以上の金属酸化物層または金属酸窒化物層が電極の表面に対する保護層として機能し得る。例えば、CuOまたはZnOを形成することで、電極材料(例えば真鍮)をフッ素化から保護することができる。これは、フッ素化に対する強い耐性に加え、優れた圧縮強度、曲げ強度、破壊靭性、ヌープ硬度およびせん断弾性係数を有する金属酸窒化物を形成する場合も同様である。当該層を有することで、電極の寿命は向上し得る。しかし、電極上に金属酸化物を作る技術は現時点で、電極を炉内で酸素ガス浴にして加熱することを伴う。これらの技術は電極に湾曲、収縮またはその他の変形を生じさせる。さらに、これらの技術では、通常、電極全体が保護層に被覆されることになるが、このことは、これらの方法がインシチュではなく、電極全体が被覆されると、被覆された電極をチャンバ内に設置することは不可能ではないにせよ困難であるという理由から望ましくない。
【0006】
[0004] 本発明の基本的な理解をもたらすために、以下において、1つまたは複数の実施形態の簡略化された概要を提示する。この概要は、意図されるすべての実施形態の広範な概略ではなく、また、すべての実施形態の主要な要素または重要な要素を特定することを意図するものでもなければ、任意の実施形態またはすべての実施形態の範囲を明確にすることを意図するものでもない。その唯一の目的は、後に提示される、より詳細な説明の前置きとして、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0007】
[0005] 一実施形態の一態様によれば、電極を有するレーザチャンバが開示され、当該レーザチャンバは、レーザチャンバ内でプラズマが生成されている間に電極を層形成ガスに暴露させて、電極上に金属酸化物の保護層または金属酸窒化物の保護層を成長させるように構成される。したがって、プラズマ放電中、層はチャンバ内で、すなわち、インシチュで成長する。このことにより、層のより適切な空間制御がもたらされ、電極は変形しない。
【0008】
[0006] 本発明のさらなる実施形態、特徴および利点、ならびに様々な実施形態の構造および動作を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0007] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付図面は、本発明の実施形態の方法およびシステムを、限定ではなく例示を目的として図示する。これらの図面は、発明の詳細な説明と併せて参照することで、本明細書に提示する方法およびシステムの原理をより詳細に説明する役割を果たし、関連技術の当業者が当該方法およびシステムを作製し使用することを可能にする。これらの図面において、同じ参照番号は同一の要素または機能的に類似の要素を表す。
図1】[0008] 図1は、開示される主題の一態様に係るフォトリソグラフィシステムの全体的な広い概念を、一定ではない縮尺で示す概略図である。
図2】[0009] 図2は、開示される主題の一態様に係る照明システムの全体的な広い概念を、一定ではない縮尺で示す概略図である。
図3】[0010] 図3は、開示される主題の複数の態様に係るエキシマレーザ用の放電チャンバを、一定ではない縮尺で示す模式的断面である。
図4】[0011] 図4は、開示される主題の複数の態様に係るエキシマレーザ用放電チャンバを、一定ではない縮尺で示す模式的断面である。
図5】[0012] 図5は、開示される主題の複数の態様に係る保護層を有する電極の断面図である。
図6】[0013] 図6は、開示される主題の態様に係る方法を示すフローチャートである。
【0010】
[0014] 本発明のさらなる特徴および利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造および動作を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態に限定されないことに注意されたい。当該実施形態は、例示のみを目的として本明細書に提示される。関連技術の当業者には、本明細書に含まれる教示に基づいて、さらなる実施形態が明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015] 以下、様々な実施形態が図面を参照して説明されるが、同じ参照番号は、図面全体を通じて同じ要素を指すために用いられる。以下の記載では、説明を目的として、1つまたは複数の実施形態の完全な理解を促すために、多数の具体的な詳細が示されている。しかし、一部またはすべての例において、以下に記載するあらゆる実施形態は、以下に記載する特定の設計詳細を採用しなくとも実施できることが明白な場合がある。他の例では、1つまたは複数の実施形態の説明を容易にするために、周知の構造およびデバイスをブロック図の形式で示す。実施形態の基本的な理解をもたらすために、以下において、1つまたは複数の実施形態の簡略化された概要を提示する。この概要は、意図されるすべての実施形態の広範な概略ではなく、また、すべての実施形態の主要な要素または重要な要素を特定することを意図するものでもなければ、任意の実施形態またはすべての実施形態の範囲を明確にすることを意図するものでもない。
【0012】
[0016] 図1は、照明システム105を含むフォトリソグラフィシステム100を示す。以下により完全に記載される通り、照明システム105は、パルス光ビーム110を生成する光源を含み、ウェーハ120上にマイクロ電子フィーチャをパターン形成するフォトリソグラフィ露光装置またはスキャナ115に向けてパルス光ビームを誘導する。ウェーハ120は、ウェーハ120を保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってウェーハ120を正確に位置決めするように構成されたポジショナに接続されたウェーハテーブル125上に設置される。
【0013】
[0017] フォトリソグラフィシステム100は、深紫外線(DUV)範囲内の波長、例えば248ナノメートル(nm)または193nmの波長を有する光ビーム110を使用する。ウェーハ120上にパターン形成可能なマイクロ電子フィーチャの最小サイズは、光ビーム110の波長に依存し、波長が短いほどフィーチャの最小サイズも小さくなる。光ビーム110の波長が248nmまたは193nmのとき、マイクロ電子フィーチャの最小サイズは、例えば50nm以下になり得るが、他の実施形態では、他の波長の光および他のマイクロ電子フィーチャの最小サイズが生成されてもよい。光ビーム110の帯域幅は、当該光ビームの光スペクトル(または放出スペクトル)の実際の瞬間的な帯域幅であってよく、光ビーム110の光エネルギが様々な波長にわたってどのように分布するかに関する情報を含む。フォトリソグラフィ露光装置またはスキャナ115は、例えば1つ以上のコンデンサレンズ、マスク、および対物レンズ構成を有する光学的構成を含む。マスクは、光ビーム110の光軸に沿う方向または光軸に垂直な面内の方向などの、1つ以上の方向に沿って移動可能である。対物レンズ構成は投影レンズを含み、マスクからウェーハ120上のフォトレジストへの像転写を生じさせることができる。照明システム105は、マスクに衝突する光ビーム110の角度幅を調節する。照明システム105はまた、マスク全体にわたる光ビーム110の強度分布をホモジナイズ(均一化)する。
【0014】
[0018] スキャナ115は、数ある特徴の中でも特に、リソグラフィコントローラ130、空調デバイス、および様々な電気コンポーネントの電源を含み得る。リソグラフィコントローラ130は、ウェーハ120上に層がプリントされる様態を制御する。リソグラフィコントローラ130は、処理レシピ等の情報を記憶するメモリを含む。処理プログラムまたはレシピは、例えば、使用されるマスクおよび露光に影響を及ぼす他の要因に基づいて、ウェーハ120上での露光の長さを決定する。リソグラフィ中に、光ビーム110の複数のパルスがウェーハ120の同一の領域を照射し、これにより照明ドーズ量が構成される。
【0015】
[0019] フォトリソグラフィシステム100は、有利には、制御システム135も含むことができる。一般的に、制御システム135は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェアおよびソフトウェアのうち1つ以上を含む。制御システム135は、読み取り専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリであってよいメモリも含む。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に具現化するのに適した記憶デバイスは、あらゆる形態の不揮発性メモリを含み、これらの不揮発性メモリには、一例として、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイスのような半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクのような磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMが含まれる。
【0016】
[0020] 制御システム135は、1つ以上の入力デバイス(キーボード、タッチ画面、マイク、マウス、ハンドヘルド入力デバイスなど)および1つ以上の出力デバイス(スピーカまたはモニタなど)も含んでもよい。制御システム135は、1つ以上のプログラマブルプロセッサと、1つ以上のプログラマブルプロセッサによる実行のために機械可読記憶デバイス内で有形に具現化された、1つ以上のコンピュータプログラム製品と、を含む。上記1つ以上のプログラマブルプロセッサは、プログラムの命令を実行し、各々が入力データに作用し適切な出力を生成することによって所望の機能を奏することができる。一般的に、プロセッサは、命令およびデータをメモリから受け取る。上述のものはすべて、特別に設計されたASIC(s)(特定用途向け集積回路)によって補完されるか、またはASICに組み込まれてもよい。制御システム135は、中央集中型であってもよく、またはフォトリソグラフィシステム100の全体を通じて部分分布型もしくは全体分布型であってもよい。
【0017】
[0021] 図2を参照すると、照明システム105の一例は、光ビーム110としてパルスレーザビームを生成するパルスレーザ源である。図2は、開示される主題の特定の態様における一実施形態に係るガス放電レーザシステムを、図解としてブロック図で示す。ガス放電レーザシステムは、例えば、固体またはガス放電シードレーザシステム140、増幅ステージ(例えばパワーリング増幅器(「PRA」)ステージ145)、リレー光学系150、およびレーザシステム出力サブシステム160を含んでもよい。シードシステム140は、例えば主発振器(「MO」)チャンバ165を含んでもよい。
【0018】
[0022] シードレーザシステム140は、主発振器出力カプラ(「MO OC」)175を含むことができ、このMO OCは、内部でシードレーザ140が発振し、シードレーザ出力パルスを形成する、すなわち主発振器(「MO」)を形成する、発振器キャビティを、ライン狭隘化モジュール(「LNM」)170内の反射格子(図示せず)と共に形成する部分反射ミラーを含むことができる。同システムは、ライン中心解析モジュール(「LAM」)180も含んでもよい。LAM180は、精密な波長測定のためのエタロン分光器、およびより粗い分解能の格子スペクトロメータを含んでもよい。MO波面エンジニアリングボックス(「WEB」)185は、MOシードレーザシステム140の出力を増幅ステージ145に向けて再誘導するように働き、また、例えばマルチプリズムビームエキスパンダ(図示せず)による、例えばビームエキスパンド、および、例えば光学遅延パス(図示せず)の形態のコヒーレンスバスティングを含み得る。
【0019】
[0023] 増幅ステージ145は、例えばPRAレージングチャンバ200を含んでもよく、このPRAレージングチャンバ200は、PRA WEB210に組み込むことができ、かつビームリバーサ220によりチャンバ200内で利得媒体を介して再誘導されて戻され得る、例えばシードビーム入射および出力結合光学系(図示せず)により形成される発振器であってもよい。PRA WEB210は、公称動作波長(例えばArFシステムの場合は約193nm)用の部分反射入力/出力カプラ(図示せず)および最大反射ミラー、ならびに1つ以上のプリズムを組み込むことができる。
【0020】
[0024] 増幅ステージ145の出力における帯域幅分析モジュール(「BAM」)230は、増幅ステージからのパルス出力レーザ光ビームを受け取り、計測の目的で、光ビームの一部分を採取し、例えば出力帯域幅およびパルスエネルギを測定することができる。パルス出力レーザ光ビームはその後、光学パルスストレッチャ(「OPuS」)240と、パルスエネルギ計の場所であってもよい出力結合オートシャッタ計測モジュール(「CASMM」)250と、を通過する。OPuS240の目的の1つは、例えば、単一の出力レーザパルスをパルス列に変換することであり得る。元の単一出力パルスから作られた二次パルスは、互いに対して遅延してもよい。元のレーザパルスエネルギを二次パルスの列内に分配することにより、レーザの有効パルス長を拡大し、同時にピークパルス強度を減少させることができる。したがって、OPuS240は、BAM230を介してPRA WEB210からレーザビームを受け取り、OPuS240の出力をCASMM250に向けて誘導することができる。
【0021】
[0025] 関連分野において既知の通り、PRAレージングチャンバ200およびMO165は、電極間の放電によって、レージングガス内のレージングガス放電に、例えばAr、Krおよび/またはXeを含む高エネルギ分子の反転分布を生じさせて、ライン狭隘化モジュール(「LNM」)170内で選択される比較的に非常に狭い帯域幅および中心波長にライン狭隘化され得る、比較的に広帯域の放射を生成するチャンバとして構成される。
【0022】
[0026] 当該チャンバ300の構成は、放電チャンバの極めて様式化された断面図である図3において示される。チャンバ300は、カソードとして機能する上部電極310およびアノードとして機能する下部電極320を含む。下部電極300および上部電極310の一方または両方は、チャンバ壁305によって画定されるチャンバ300の圧力エンベロープ内に完全に収容されてもよく、またはいずれか一方の電極はそのように収容されなくてもよい。レージングガス放電はこれらの2つの電極間で空隙Aにおいて生じる。図3には、上部絶縁体315および下部絶縁体325も示されている。下部電極320は、チャンバ300のチャンバ壁305に電気的に接続される。安全上の理由から、チャンバ壁305および下部電極320は接地電位に保つことが望ましい。図3に示す実施形態において、上部電極310は、電圧源340により、下部電極320に対して負の電圧で駆動される。
【0023】
[0027] 図3には、既に述べた通り、カソード310とアノード320にわたって電圧勾配を確立する電圧源340も示されている。(-)という記号は、電圧源340の出力の極性を示すが、これは絶対的な極性ではなく相対的な極性、すなわち、下部電極320の極性に対して相対的な極性であることが理解されるだろう。下部電極320は通常チャンバ300の本体と電気的に接触しており、接地電位(0)で保持されなければならない。上部電極(カソード310)は、高い(~20kV)負電圧まで充電される。
【0024】
[0028] チャンバ300内の電極は、浸食することが知られている。浸食は、例えばArFもしくはKrFが用いられる実施形態では、電極材料とのフッ素反応により生じることもあり、あるいは、浸食は、その他の多様な浸食メカニズムのいずれかにより生じることもある。一実施形態の一態様によれば、層形成ガスがチャンバ300内に導入され、その後プラズマがチャンバ300内で衝突し、電極上の保護層の形成を促進する。このことは図4に示される。図4において、層形成ガスをチャンバ300内に導入するためのガスインレット400がある。インレット400は、バルブ410と流体連結されており、バルブ410は、制御ユニット430の制御により、インレット400を層形成ガスの少なくとも1つの供給源420と選択的に接続するように動作する。チャンバ300内の層形成ガスの分圧が所望の値に達すると、電極310、320の間で適切な差動電圧を確立することにより、プラズマがチャンバ300内で衝突する。所定の間隔の後、差動電圧は除去され、層形成ガスは排気されるが、図5に示す通り、電極310、320上には保護層510が形成される。
【0025】
[0029] プラズマを使用して、金属酸化物、金属窒化物および金属酸窒化物の表面上での成長を補助することができる。放電チャンバはその性質上、プラズマ源であるため、適切な条件下では保護層をインシチュで成長させることが可能である。一例として、酸素および/または窒素を含有する層形成ガスがチャンバ内に導入され得る。チャンバはその後、レーザチャンバとして機能するために通常動作する方法と同様の方法で動作する。プラズマは、酸素および/または窒素と共に保護層を作ることになる。
【0026】
[0030] 層形成ガスは、保護層が金属酸化物であることが望ましい場合には、例えば酸素含有ガスであってもよい。酸素含有ガスの例には、O2、H2O、H2O2、O3、亜酸化窒素(NOx)および空気が含まれる。層形成ガスは、保護層が窒化物であることが望ましい場合には、例えば窒素含有ガスであってもよい。窒素含有ガスの例には、N2、NH3、亜酸化窒素(NOx)および空気が含まれる。層形成ガスは、保護層が金属酸窒化物であることが望ましい場合には、窒素および酸素を含有するガスか、または、それらの混合物であるガスであってもよい。このようなガスの例には、亜酸化窒素(NOx)、上述した酸素含有ガスおよび窒素含有ガスの混合物、ならびに空気が含まれる。これらはすべて単なる例であり、当業者には他のガスも用いられ得ることが明らかになるだろう。
【0027】
[0031] 保護層を形成するための層形成ガスの濃度/圧力は、有利には、パーツ・パー・ミリオンレベルから約38kPaまでの範囲内、または、パーツ・パー・ミリオンから約4kPaまでの範囲内にある。チャンバの全充填圧力は、レーザガスでおよそ380kPaであるから、これは層形成ガスでおよそパーツ・パー・ミリオンから約1%の濃度に相当する。
【0028】
[0032] これらの条件下では、プラズマは、一例として、約17kVから28kVの範囲の差動電圧をチャンバ300内に印加することにより衝突し得るが、その他の差動電圧が用いられてもよい。
【0029】
[0033] 図5に示される通り、電極500は、電極310または320のいずれかであり得るが、銅と亜鉛の合金である真鍮などのバルク材料から形成される。プラズマおよび層形成ガスに暴露されることにより、電極500の暴露された表面上に保護層510が形成されることになる。保護層510の組成は概して、使用される電極の材料および層形成ガスに依存する。酸素含有ガスを使用して、真鍮の電極上にCuOまたはZnOの混合物からなる保護層510を作ることができる。窒素含有ガスを使用して、真鍮の電極に対し、窒化銅(Cu3N)または窒化亜鉛(Zn3N2)の保護層510を作ることができる。窒素含有および酸素含有ガスを使用して、真鍮の電極に対し、酸窒化銅(Cu)または酸窒化亜鉛(Zn)の保護層510を作ることができる。関連技術の当業者には、他の組み合わせも可能であることが明らかとなるだろう。保護層510の厚さは概して、およそ数ナノメートルから10ミクロンの範囲内にある。
【0030】
[0034] 保護層510の厚さは概して形成速度と形成時間の関数である。形成速度は、層形成の化学的性質およびプラズマの性質に依存する。
【0031】
[0035] インシチュの層により電極上に形成される保護層は、電極の浸食を軽減する。多くの実施形態において、インシチュの層形成により電極表面上に形成される保護層は、電極のバルク材料とのフッ素化反応を軽減するのに重要な役割を果たす。保護層がより高い密度を有し、より均一であるほど、浸食率が低減することをより一層期待することができる。
【0032】
[0036] 図6は、一実施形態の一態様に係る、電極上に保護層をインシチュ形成するためのプロセスを表すフローチャートである。ステップS10において、層形成ガスが所望の分圧で、電極を含むチャンバ内に導入される。ステップS20では、所定の時間にわたって電圧を電極に印加することでプラズマが衝突し、層形成ガスが電極表面上に保護層を形成することが可能になる。ステップS30では、電圧を除去することによりプラズマが消失する。ステップS40では、層形成ガスがチャンバから排気される。その結果、保護層が電極上に形成される。
【0033】
[0037] これらのステップを周期的に繰り返すことにより、層を再成長させることができる。代替的には、酸素、窒素またはそれらの両方を含む希釈混合物を制御しつつ導入することにより、保護層を継続して成長させることができる。
【0034】
[0038] 上述したプロセスの1つの利点として、層の成長がプラズマの存在する電極の放電領域に制限されるため、層の成長のより適切な空間制御が可能になることが挙げられる。また、電極を加熱することは、チャンバの通常の作動中に電極が通常経験することと何ら変わりないため、電極が変形する恐れが少ない。また、あらゆる時点で成長サイクルを繰り返すことができることも、全体的な電極寿命をより長くすることに貢献する。
【0035】
[0039] 上記説明は、複数の実施形態の具体例を含む。当然のことながら、上記実施形態を説明するために、考え得るすべての要素または方法の組み合わせを記載することは不可能であるが、当業者であれば、様々な実施形態のさらなる組み合わせや置換が可能であることを認識するであろう。したがって、上述した実施形態は、添付の請求の範囲の精神および範囲に収まるすべての変更、変形、変化を包含することを意図している。さらに、発明の詳細な説明および請求の範囲のいずれにおいても、「含む(includes)」という用語が用いられる限りにおいて、当該用語「含む(includes)」は、「備える(comprising)」という用語が請求項内で移行語として用いられる場合に解釈されるのと同様に、包括的であることを意図する。さらに、上述した態様および/または実施形態の要素は、単数形で説明またはクレームされることもあるが、単数形であることの限定が明記されない限りは、複数形も想定される。加えて、任意の態様および/または実施形態の全体または一部分は、別段の定めがない限り、任意の他の態様および/または実施形態の全体または一部分とともに利用してもよい。
【0036】
[0040] 以下のナンバリングされた条項に、本発明の他の態様を示す。
1.レーザチャンバと、
レーザチャンバ内に少なくとも部分的に位置決めされる電極と、
レーザチャンバに接続可能な層形成ガスの供給源と、
電極に電気的に接続される電圧源であって、層形成ガスの存在下において、電極に対して電圧を供給して電極の表面でプラズマを生成し、電極上に保護層を形成するように構成された電圧源と、
を備える装置。
2.層形成ガスは、酸素含有ガスを含む、条項1に記載の装置。
3.酸素含有ガスは、O2を含む、条項2に記載の装置。
4.酸素含有ガスは、H2Oを含む、条項2に記載の装置。
5.酸素含有ガスは、H2O2を含む、条項2に記載の装置。
6.酸素含有ガスは、O3を含む、条項2に記載の装置。
7.酸素含有ガスは、亜酸化窒素を含む、条項2に記載の装置。
8.酸素含有ガスは、空気を含む、条項2に記載の装置。
9.保護層は、金属酸化物を含む、条項1~8のいずれか一項に記載の装置。
10.電極は真鍮を含み、保護層は酸化銅CuOを含む、条項2~8のいずれか一項に記載の装置。
11.電極は真鍮を含み、保護層は酸化亜鉛ZnOを含む、条項2~8のいずれか一項に記載の装置。
12.層形成ガスは、窒素含有ガスを含む、条項1に記載の装置。
13.窒素含有ガスは、N2を含む、条項12に記載の装置。
14.窒素含有ガスは、NH3を含む、条項12に記載の装置。
15.窒素含有ガスは、亜酸化窒素を含む、条項12に記載の装置。
16.窒素含有ガスは、空気を含む、条項12に記載の装置。
17.保護層は、金属窒化物を含む、条項12~16のいずれか一項に記載の装置。
18.電極は真鍮を含み、保護層は窒化銅を含む、条項12~16のいずれか一項に記載の装置。
19.電極は真鍮を含み、保護層は窒化亜鉛を含む、条項12~16のいずれか一項に記載の装置。
20.層形成ガスは、窒素含有および酸素含有ガスを含む、条項1に記載の装置。
21.窒素含有および酸素含有ガスは、亜酸化窒素を含む、条項20に記載の装置。
22.窒素含有および酸素含有ガスは、空気を含む、条項20に記載の装置。
23.保護層は、金属酸窒化物を含む、条項20~22のいずれか一項に記載の装置。
24.電極は真鍮を含み、保護層は酸窒化銅を含む、条項20~22のいずれか一項に記載の装置。
25.電極は真鍮を含み、保護層は酸窒化亜鉛を含む、条項20~22のいずれか一項に記載の装置。
26.レーザ放電チャンバ内の電極上に保護層を形成する方法であって、
レーザ放電チャンバに層形成ガスを追加し、所定の分圧を得ることと、
電極を用いて、レーザ放電チャンバ内で所定の時間にわたりプラズマを生成することと、
を含む方法。
27.層形成ガスは、酸素含有ガスを含む、条項26に記載の方法。
28.酸素含有ガスは、O2を含む、条項27に記載の方法。
29.酸素含有ガスは、H2Oを含む、条項27に記載の方法。
30.酸素含有ガスは、H2O2を含む、条項27に記載の方法。
31.酸素含有ガスは、O3を含む、条項27に記載の方法。
32.酸素含有ガスは、亜酸化窒素を含む、条項27に記載の方法。
33.酸素含有ガスは、空気を含む、条項27に記載の方法。
34.保護層は、金属酸化物を含む、条項26~33のいずれか一項に記載の方法。
35.電極は真鍮を含み、保護層は酸化銅CuOを含む、条項26~33のいずれか一項に記載の方法。
36.電極は真鍮を含み、保護層は酸化亜鉛ZnOを含む、条項26~33のいずれか一項に記載の方法。
37.層形成ガスは、窒素含有ガスを含む、条項26に記載の方法。
38.窒素含有ガスは、N2を含む、条項37に記載の方法。
39.窒素含有ガスは、NH3を含む、条項37に記載の方法。
40.窒素含有ガスは、亜酸化窒素を含む、条項37に記載の方法。
41.窒素含有ガスは、空気を含む、条項37に記載の方法。
42.保護層は、金属窒化物を含む、条項37~41のいずれか一項に記載の方法。
43.電極は真鍮を含み、保護層は窒化銅を含む、条項37~41のいずれか一項に記載の方法。
44.電極は真鍮を含み、保護層が窒化亜鉛を含む、条項37~41のいずれか一項に記載の方法。
45.層形成ガスは、窒素含有および酸素含有ガスを含む、条項26に記載の方法。
46.窒素含有および酸素含有ガスは、亜酸化窒素を含む、条項26に記載の方法。
47.窒素含有および酸素含有ガスは、空気を含む、条項26に記載の方法。
48.保護層は、金属酸窒化物を含む、条項45~47のいずれか一項に記載の方法。
49.電極は真鍮を含み、保護層は酸窒化銅を含む、条項45~47のいずれか一項に記載の方法。
50.電極は真鍮を含み、保護層は酸窒化亜鉛を含む、条項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
[0041] 本発明の他の態様は、以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)レーザチャンバと、
2)レーザチャンバ内に少なくとも部分的に位置決めされる電極と、
3)前記レーザチャンバに接続可能な層形成ガスの供給源と、
4)前記電極に電気的に接続される電圧源であって、前記層形成ガスの存在下において、前記電極に対して電圧を供給して前記電極の表面でプラズマを生成し、前記電極上に保護層を形成するように構成された電圧源と、
を備える装置。
【請求項2】
前記層形成ガスは、酸素含有ガスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記酸素含有ガスは、O2、H2OまたはH2O2を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記酸素含有ガスは、O3を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記酸素含有ガスは、亜酸化窒素または空気を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記保護層は、金属酸化物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記電極は真鍮を含み、前記保護層は酸化銅CuOまたは酸化亜鉛ZnOを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記層形成ガスは、N2またはNH3を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記保護層は金属窒化物を含み、前記電極は真鍮を含み、前記金属窒化物は窒化銅または窒化亜鉛である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記層形成ガスは、窒素含有および酸素含有ガスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記保護層は酸窒化銅または酸窒化亜鉛を含み、前記電極は真鍮を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
レーザ放電チャンバ内の電極上に保護層を形成する方法であって、
1)前記レーザ放電チャンバに層形成ガスを追加し、所定の分圧を得ることと、
2)前記電極を用いて、前記レーザ放電チャンバ内で所定の時間にわたりプラズマを生成することと、
を含む方法。
【請求項13】
前記層形成ガスは、酸素含有ガスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記酸素含有ガスは、O2、H2O、H2O2、亜酸化窒素または空気を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸素含有ガスは、O3を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記電極は真鍮を含み、前記保護層は酸化銅CuOまたは酸化亜鉛ZnOを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記層形成ガスは、N2またはNH3を含み、前記保護層は、金属窒化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記電極は真鍮を含み、前記金属窒化物は窒化銅または窒化亜鉛を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記層形成ガスは、窒素含有および酸素含有ガスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記電極は真鍮を含み、前記保護層は酸窒化銅または酸窒化亜鉛を含む、請求項12に記載の方法。
【国際調査報告】