(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】有機ケイ素化合物、着色化合物、変性脂肪酸エステルおよび封止剤IIを用いることを含むケラチン物質の染色方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20220715BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20220715BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20220715BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220715BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20220715BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/46
A61K8/92
A61K8/81
A61Q5/06
A61K8/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568106
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020061047
(87)【国際公開番号】W WO2020229101
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102019206915.0
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】クローン,レネ
(72)【発明者】
【氏名】ヒッペ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダー,イェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘプフナー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB031
4C083AB211
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC182
4C083AC422
4C083AC781
4C083AC791
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD092
4C083AD162
4C083AD282
4C083BB11
4C083BB23
4C083BB24
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE07
4C083EE26
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、剤(a)をケラチン物質に適用する工程、および剤(b)をケラチン物質に適用する工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法であって、剤(a)は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物、並びに(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなる、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剤(a)をケラチン物質に適用する工程、および
剤(b)をケラチン物質に適用する工程
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法であって、
剤(a)は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物、並びに(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなる、方法。
【請求項2】
剤(a)は、式(I)および/または(II):
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (I)
[式中、
-R
1、R
2は、独立して水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
-Lは、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基であり、
-R
3およびR
4は、互いに独立してC
1-C
6アルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは整数3-aを表す]
[式中、
-R
5、R
5'、R
5"、R
6、R
6'およびR
6"は独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
-R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R
6")
d"(OR
5")
c" (III)
で示される基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c"は、1~3の整数を表し、
-d"は、整数3-c"を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
-e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
剤(a)は、式(I):
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (I)
[式中、
-R
1、R
2は、共に水素原子を表し、
-Lは、直鎖二価C
1-C
20アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
-R
3およびR
4は、独立してメチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を表し、
-bは数0を表す]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
剤(a)は、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-1-(2-アミノエチル)シラントリオール
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または
-1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択され、式(I)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
剤(a)は、式(II):
[式中、
-eおよびfは共に、数1を表し、
-gおよびhは共に、数0を表し、
-AおよびA'は独立して直鎖二価C
1-C
6アルキレンを表し、
-R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基、または式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
剤(a)は、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択され、式(II)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
剤(a)は、式(IV):
R
9Si(OR
10)
k(R
11)
m (IV)
[式中、
-R
9は、C
1-C
18アルキル基を表し、
-R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
-R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
剤(a)は、
-メチルトリメトキシシラン、
-メチルトリエトキシシラン、
-エチルトリメトキシシラン、
-エチルトリエトキシシラン、
-ヘキシルトリメトキシシラン、
-ヘキシルトリエトキシシラン、
-オクチルトリメトキシシラン、
-オクチルトリエトキシシラン、
-ドデシルトリメトキシシラン、
-ドデシルトリエトキシシラン、
-オクタデシルトリメトキシシラン、
-オクタデシルトリエトキシシランおよび
-それらの混合物
からなる群から選択され、式(IV)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
剤(a)は、構造的に異なる少なくとも2の有機ケイ素化合物(a1)を含有することを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
剤(a)は、少なくとも1のシリコーンポリマー(a3)を更に含んでなることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
剤(a)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第二着色化合物(a4)を更に含んでなることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルは、硫酸化植物油を含んでなることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
硫酸化植物油は、硫酸化菜種油(INCI:硫酸化菜種油)、硫酸化ヒマワリ油(INCI:硫酸化ヒマワリ種子油)、硫酸化ココヤシ油(INCI:硫酸化ココヤシ油)、硫酸化ひまし油(INCI:硫酸化ひまし油)、硫酸化マーシュフラワー油、硫酸化オリーブ油(INCI:硫酸化オリーブ油)および/または硫酸化大豆油であることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルは、硫酸化ひまし油(INCI:硫酸化ひまし油)を含んでなることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルは、ロート油の形態の硫酸化ひまし油(INCI:硫酸化ひまし油)であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第一着色化合物(b2)は、被覆金属基材プレートレットに基づく顔料、および/または雲母若しくは少なくとも1の金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された雲母に基づく顔料を含んでなり、および/または
第二着色化合物(a4)は、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫酸化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される無機顔料、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、雲母および雲母ベース顔料、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料からなる群から選択される有機顔料、および/または直接染料を含んでなることを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
別個に包装された、
-剤(a')を含む第一包装ユニット、
-剤(a")を含む第二包装ユニット、および
-剤(b)を含む第三包装ユニット
を含んでなる、ケラチン物質を染色するためのキットであって、
剤(a')は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含んでなり、
剤(a")は、(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなる、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、2つの剤(a)および(b)の適用を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の処理方法である。剤(a)は、少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)および少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)を含むことを特徴とする。剤(b)は、少なくとも1の封止剤(b1)および少なくとも1の第一着色化合物(b2)を含むことを特徴とする。
【0002】
本発明の別の対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(キット)であって、これは、別個に調製された少なくとも4つの手段(a')、(a")および(b)を含む。剤(a')および(a")は、上記方法において使用される剤(a)を調製するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状および色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、着色の要求に応じた様々なカラーリング系が知られている。良好な堅牢性および良好な白髪カバー性を伴った長期的な強い染色のためには、通常、酸化染料が使用される。このような染料は通常、酸化染料前駆物質(いわゆる顕色成分)および発色成分を含み、これらは、過酸化水素などの酸化剤の影響を受けて、互いに実際の染料を生成する。酸化染料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0004】
直接染料を使う場合、既に調製された染料が着色剤から毛髪繊維に拡散する。酸化染毛と比べて、直接染料を用いて得られた染色物は、色の保持時間が短く、より迅速な洗浄性を有する。直接染料による染色は通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0005】
毛髪および/または皮膚の色を短期間変えるため、着色顔料の使用が知られている。着色顔料は、一般的には、不溶性の着色物質と理解されている。着色顔料は、小粒子として染料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚の表面にもっぱら付着する。従って、着色顔料は通常、界面活性剤を含む洗剤で数回洗えば、残留することなく通常除去され得る。このタイプの製品は、「ヘアマスカラ」の名称で様々なものが市販されている。
【0006】
特に長持ちする染色物を使用者が望む場合は、これまで酸化染料を使うしかなかった。しかし、多くの最適化を試みても、酸化染毛ではアンモニアまたはアミンの不快な臭いを完全に回避することはできない。また、酸化染料の使用に伴う毛髪の損傷は、使用者の毛髪にも悪影響を及ぼす。
【0007】
EP 2168633 B1では、顔料を用いた長持ちするヘアカラーの製造方法が扱われている。同文献では、顔料、有機ケイ素化合物、フィルム形成ポリマーおよび溶媒の組み合わせを毛髪に用いることにより、シャンプーに対する耐性が特に高い着色を実現できることが教示されている。
【0008】
EP 2168633 B1では、顔料を用いた長持ちするヘアカラーの製造方法が扱われている。同文献では、顔料、有機ケイ素化合物、疎水性ポリマーおよび溶媒の組み合わせを毛髪に用いることにより、シャンプーに対する耐性が特に高い着色を実現できることが教示されている。
【0009】
しかし、酸化染料前駆体を使用せず、顔料および/または直接染料に基づく染色物の洗浄堅牢性を向上させる要求はなお存在する。また、このような染色方法の使用者には、幅広い色調を提供することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の課題は、酸化的染色と同程度の堅牢性を有する染色系を提供することである。洗浄堅牢性は優れていなければならないが、この目的のために通常使用される酸化染料前駆体の使用は回避すべきである。色付与化合物を毛髪に長期的に定着できる技術を探求した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
意外なことに、少なくとも2つの剤(a)および(b)をケラチン物質(毛髪)に適用する方法によって、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色すると、この課題を見事に解決できることが見出された。この方法では、第一剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含み、更に、少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含む。例えば、剤(a)において、有機ケイ素化合物並びに硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルは一緒に調製される。第二剤(b)は、少なくとも1の封止剤(b1)、および少なくとも1の第一着色化合物(b2)を含んでなる。
【0013】
2つの剤(a)および(b)を染色方法で使用すると、特に高い色強度および堅牢度でケラチン物質を染色することができた。
【0014】
本発明の第一の対象は、
剤(a)をケラチン物質に適用する工程、および
剤(b)をケラチン物質に適用する工程
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法であって、
剤(a)は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物、並びに(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなる、方法である。
【0015】
本発明に至る過程で、剤(a)および(b)を優先的に連続して適用することで、ケラチン物質に非常に安定した洗浄堅牢性の高い着色を実施できることが見出された。この理論に縛られるものではないが、ここでは、有機ケイ素化合物(a1)および硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)の組み合わせた適用により、ケラチン物質上に特に耐性の高い第一フィルムが形成されたものと考えている。第一層は、第二剤(b)の適用により封止される。例えば、フィルム形成ポリマーは、封止剤(b1)として別のフィルム形態で、第一層上に堆積できる。
【0016】
この特定のパッケージに起因して、即ち、シラン(a1)と硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)とを組み合わせた適用、および封止剤(b1)と第一着色化合物(b2)の別個の適用に起因して、このようにして形成されたフィルム系は、外部からの影響に対して向上した耐性を示す。第一フィルムにおける硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)の助けにより、着色化合物(b2)の付着性を著しく高めることができる。その結果、非常に摩擦および洗浄に強く、シャンプーに対する良好な耐性を有する染色物を得ることができる。フィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として用いると、第一色付与化合物(b2)がケラチン物質に特に優先的に固定される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ケラチン物質
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手指の爪および/または足指の爪)を包含する。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に含まれる。
【0018】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪(特に、手指の爪および足指の爪)であると理解される。ケラチン物質は、ヒトの毛髪であると理解される。
【0019】
剤(a)および(b)
本発明の方法では、剤(a)および(b)をケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用する。2つの手段(a)および(b)は、互いに異なる。
【0020】
換言すると、本発明の第一の対象は、下記工程:
剤(a)をケラチン物質に適用する工程、および
剤(b)をケラチン物質に適用する工程
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の処理方法であって、
剤(a)は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物、並びに(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなる、方法である。
【0021】
剤(a)
好ましくは、組成物(a)は、化粧品用キャリア、特に好ましくは水性または水性-アルコール性の化粧品用キャリア中に、本発明に必須の成分(a1)および(a2)を含む。この化粧品用キャリアは、液体、ゲルまたはクリームであり得る。剤(a)の調製には、ペースト状、固体状、または粉末状の化粧品用キャリアも使用できる。毛髪の処理、特に毛髪の着色の場合、そのようなキャリアは、例えば、クリーム、エマルション、ゲル、または界面活性剤含有フォーム状溶液、例えば、シャンプー、フォームエアロゾル、フォーム組成物、または毛髪への適用に適した他の組成物である。
【0022】
好ましくは、化粧品用キャリアは、その重量に基づいて、少なくとも2重量%の水を含む。より好ましくは、含水率は10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。化粧品用キャリアは、水性-アルコール性であってもよい。[0206]本明細書における水性/アルコール性溶液は、2~70重量%のC1-C4アルコール、より具体的にはエタノールまたはイソプロパノールを含む水溶液である。本発明における剤は、メトキシブタノール、ベンジルアルコール、エチルジグリコール、1,2-プロピレングリコールなどの他の有機溶媒を更に含んでもよい。全ての水溶性有機溶媒が好ましい。
【0023】
シランからなる群から選択される有機ケイ素化合物(a1)
本発明の必須の成分(a1)として、組成物(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群からの少なくとも1の有機ケイ素化合物を含有する。
【0024】
特に好ましくは、剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含有し、この有機ケイ素化合物は、1分子あたり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を有する。
【0025】
有機ケイ素化合物(a1)、または剤(a)に含まれる有機シランは、反応性化合物である。
【0026】
オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有する化合物、または炭素が酸素、窒素若しくは硫黄原子を介してケイ素原子に結合している化合物である。本発明における有機ケイ素化合物は、1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0027】
IUPAC法によると、用語「シラン」は、ケイ素骨格および水素に基づく化合物である。有機シランでは、水素原子の全てまたは一部が、(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により置換されている。有機シランにおいて、水素原子の一部はヒドロキシ基により置換されていてもよい。
【0028】
特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択され、1分子あたり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を更に有する少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなる剤(a)を、ケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0029】
非常に特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択され、1分子あたり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基と1個以上の塩基性化学基とを更に有する少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなる剤(a)を、ケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0030】
この塩基性基または塩基性化学基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であり得、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合している。好ましくは、塩基性基は、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0031】
加水分解精機は、好ましくはC1-C6アルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合していることが好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは、構造単位R'R"R"'Si-O-CH2-CH3を含む。基R'、R"およびR"'は、ケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0032】
本発明の特に好ましい方法は、組成物が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択され、1分子あたり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基と1個以上の塩基性化学基とを好ましくは有する少なくとも1の有機ケイ素化合物(a)を含んでなることを特徴とする。
【0033】
特に良好な結果は、剤(a)が、式(I)および/または(II)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含有する場合に得られる。
【0034】
式(I)および(II)で示される化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機シラン化合物であり、この有機シラン化合物は、1分子あたり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を有する。
【0035】
別の非常に特に好ましい実施態様では、方法は、剤をケラチン物質(または人の毛髪)に適用し、剤(a)が、式(I)および/または(II):
式(I):
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (I)
[式中、
-R
1、R
2は、独立して水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
-Lは、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基であり、
-R
3は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基であり、
-R
4は、C
1-C
6アルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは整数3-aを表す]
式(II):
[式中、
-R
5、R
5'、R
5"は独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
-R
6、R
6'およびR
6"は独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
-R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R
6")
d"(OR
5")
c" (III)
で示される基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c"は、1~3の整数を表し、
-d"は、整数3-c"を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
-e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a)を含んでなることを特徴とする。
【0036】
式(I)および(II)で示される化合物における置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5'、R5"、R6、R6'、R6"、R7、R8、L、A、A'、A"、A"'およびA""の例を以下に示す。
【0037】
C1-C6アルキル基の例は、基メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルである。プロピル、エチルおよびメチルが、好ましいアルキル基である。C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖二価のC1-C20アルキレン基の例には、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が包含される。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3C原子の鎖長から、二価のアルキレン基が分岐していてもよい。分岐二価のC3-C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0038】
式(I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
で示される有機ケイ素化合物において、基R1およびR2は、相互に独立して水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。特に、基R1およびR2は、共に水素原子を表す。
【0039】
有機ケイ素化合物の中央部には、構造単位またはリンカー-L-が存在し、これは、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を意味する。二価のC1-C20アルキレン基は、代替的に二価または二価C1-C20アルキレン基と称されることがあり、これにより、各-L原子団が2つの結合を形成し得ることが意味されている。1つの結合は、アミノ基R1R2NからリンカーLへの結合であり、2つ目の結合は、リンカーLとケイ素原子の間の結合である。
【0040】
好ましくは、-L-は、直鎖二価のC1-C20アルキレン基を意味する。更に好ましくは、-L-は、直鎖二価のC1-C6アルキレン基を意味する。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を意味する。Lは、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を意味する。
【0041】
直鎖プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)は代替的に、プロパン-1,3-ジイル基と称されることもある。
【0042】
式(I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
で示される有機ケイ素化合物は、一端にケイ素含有基-Si(OR3)a(R4)bを有する。
【0043】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、R3は水素またはC1-C6アルキル基であり、R4はC1-C6アルキル基である。R3およびR4は相互に独立してメチル基またはエチル基を表す。
【0044】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数3を表す場合、bは0に等しい。aが数2を表す場合、bは1に等しい。aが数1を表す場合、bは2に等しい。
【0045】
特に耐性のあるフィルムは、剤(a)が、式(I)[式中、基R3およびR4は相互に独立してメチル基またはエチル基を表す]で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含有する場合に形成され得る。
【0046】
ケラチン物質の染色に本発明の方法を用いる場合に、剤(a)が、式(I)[式中、基R3およびR4は相互に独立してメチル基またはエチル基を表す]で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含有すると同様に、最高の洗浄堅牢性を有する染色物を得ることができる。
【0047】
また、剤(a)が、式(I)[式中、aは数3を表す]で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含有すると、最高の洗浄堅牢性を有する染色物が得られる。この場合、残りのbは数0を表す。
【0048】
別の好ましい実施態様では、方法で使用される剤(a)は、式(I)[式中、R3およびR4は相互に独立してメチル基またはエチル基を表し、aは数3を表し、bは数0を表す]で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする。
【0049】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、式(I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (I)
[式中、
-R1、R2は、共に水素原子を表し、
-Lは、直鎖二価C1-C6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはエチレン基(-CH2-CH2-)を表し、
-R3は、水素原子、エチル基またはメチル基を表し、
-R4は、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を表し、
-bは数0を表す]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする。
【0050】
本発明の課題を解決するのに特に適している式(I)で示される有機ケイ素化合物は、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-1-(2-アミノエチル)シラントリオール
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
-1(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
である。
【0051】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-1(2-アミノエチル)シラントリオール
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または
-1(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする。
【0052】
式(I)で示される有機ケイ素化合物は市販されている。(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは例えばSigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもまた、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0053】
別の実施態様では、本発明の組成物は、式(II):
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなる。
【0054】
本発明に従った式(II)で示されるオルガノシリコン化合物は、両端それぞれに、ケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6')d'(OR5')c'を有する。
【0055】
式(II)で示される分子の中央部には、基-(A)e-および-[NR7-(A')]f-および-[O-(A")]g-および-[NR8-(A"')]h-が存在する。ここで、e、f、gおよびhのそれぞれは、相互に独立して、数0または1であり、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。換言すれば、本発明に従った式(II)で示される有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A')]-および-[O-(A")]-および-[NR8-(A"')]-からなる群から選択される原子団を少なくとも1つ含む。
【0056】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6')d'(OR5')c'において、基R5、R5'、R5"は、相互に独立して水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。基R6、R6'およびR6"は、独立してC1-C6アルキル基を表す。
【0057】
ここで、aは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数3を表す場合、dは0に等しい。cが数2を表す場合、dは1に等しい。cが数1を表す場合、dは2に等しい。
【0058】
同様に、c'は、1~3の整数を表し、d'は、整数3-c'を表す。c'が数3を表す場合、d'は0である。c'が数2を表す場合、d'は1である。c'が数1を表す場合、d'は2である。
【0059】
cおよびc'が共に数3を表す場合、最高の安定性を有するフィルムまたは最高の洗浄堅牢性を有する染色物が得られる。この場合、dおよびd'は、共に数0を表す。
【0060】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、式(II):
[式中、
-R
5およびR
5'は独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-cおよびc'は、共に数3を表し、
-dおよびd'は、共に数0を表す]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする。
【0061】
cおよびc'が共に数3であり、dおよびd'が共に数0である場合、本発明における有機ケイ素化合物は、式(IIa):
(R5O)3Si-(A)e-[NR7-(A')]f-[O-(A")]g-[NR8-(A"')]h-Si(OR5')3 (IIa)
に相当する。
【0062】
e、f、gおよびhは独立して、数0または1を表してよく、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。従って、記号e、f、gおよびhは、原子団-(A)e-および-[NR7-(A')]f-および-[O-(A")]g-および-[NR8-(A"')]h-のいずれが、式(II)で示される有機ケイ素化合物の中央部に存在しているか、を規定している。
【0063】
本発明では、特定の原子団の存在が、洗浄堅牢な染色結果の実現に特に有利であることが見出された。特に良好な結果は、e、f、gおよびhの少なくとも2つが数1を表す場合に得られる。特に好ましくは、eおよびfは共に数1を意味する。更に、gおよびhは共に数0を意味する。
【0064】
eおよびfが共に数1を表し、gおよびhが共に数0である場合、本発明における有機ケイ素化合物は、式(IIb):
(R5O)c(R6)dSi-(A)-[NR7-(A')]-Si(R6')d'(OR5')c' (IIb)
に相当する。
【0065】
基A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、直鎖二価のC1-C20アルキレン基を表す。更に好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖二価のC1-C6アルキレン基を表す。
【0066】
特に、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0067】
二価C1-C20アルキレン基は、代替的に二価または二価C1-C20アルキレン基と称されることがあり、これは、各原子団A、A'、A"、A"'およびA""が2つの結合を形成し得ることを意味する。
【0068】
直鎖プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)は代替的に、プロパン-1,3-ジイル基と称されることもある。
【0069】
fが数1を表す場合、本発明に従った式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR7-(A')]-を含む。
【0070】
fが数1を表す場合、本発明に従った式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR8-(A"')]-を含む。
【0071】
式中、R7およびR8は独立して、水素原子、C1-C6アルキル基、ヒドロキシC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、アミノC1-C6アルキル基または式(III):
-(A"")-Si(R6")d"(OR5")c" (III)
で示される基を表す。
【0072】
極めて好ましくは、基R7およびR8は相互に独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される原子団を表す。
【0073】
fが数1を表し、hが数0を表す場合、本発明における有機ケイ素化合物は、原子団-[NR7-(A')]-を含むが、原子団-[NR8-(A"')]-を含まない。基R7が式(III)で示される原子団を表す場合、剤(a)は、3個の反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0074】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、式(II):
[式中、
-eおよびfは、共に数1を表し、
-gおよびhは、共に数0を表し、
-AおよびA'は独立して、直鎖二価のC
1-C
6アルキレン基を表し、
-R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする。
【0075】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、式(II)[式中、
-eおよびfは、共に数1を表し、
-gおよびhは、共に数0を表し、
-AおよびA'は相互に独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表し、
-R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含んでなることを特徴とする。
【0076】
本発明の課題を解決するのに適した式(II)で示される有機ケイ素化合物は、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
である。
【0077】
式(II)で示される有機ケイ素化合物は、市販されている。
【0078】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0079】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えば、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0080】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも称され、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0081】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0082】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする。
【0083】
別の試験、特に染色試験では、方法においてケラチン物質に適用される剤(a)が、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含有する場合に、特に有利であることが見出された。
【0084】
式(IV)で示される化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、一分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0085】
式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される有機ケイ素化合物はまた、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランとも称される。
【0086】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、
式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする。
【0087】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、式(I)で示される1以上の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1の更なる有機ケイ素化合物を含んでなることを特徴とする。
【0088】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、式(II)で示される1以上の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1の更なる有機ケイ素化合物を含んでなることを特徴とする。
【0089】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、式(I)および/または(II)で示される1以上の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (IV)
[式中、
-R9は、C1-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1の更なる有機ケイ素化合物を含んでなることを特徴とする。
【0090】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R9は、C1-C18アルキル基を表す。このC1-C18アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐鎖であってよい。好ましくはR9は、直鎖C1-C18アルキル基を表す。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基またはn-オクタデシル基を表す。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-ヘキシル基またはn-オクチル基を表す。
【0091】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R10は水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R10はメチル基またはエチル基を表す。
【0092】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R11はC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R11はメチル基またはエチル基を表す。
【0093】
更に、kは、1~3の整数を表し、mは、整数3-kを表す。kが数3を表す場合、mは0に等しい。kが数2を表す場合、mは1に等しい。kが数1を表す場合、mは2に等しい。
【0094】
方法において、kが数3を表す式(IV)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a)を用いる場合、特に安定なフィルム、即ち特に良好な洗浄堅牢性を有する染色物が得られる。この場合、残りのmは数0である。
【0095】
本発明の課題の解決に特に適した式(IV)で示される有機ケイ素化合物は、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-n-ヘキシルトリメトキシシラン
-n-ヘキシルトリエトキシシラン
-n-オクチルトリメトキシシラン
-n-オクチルトリエトキシシラン
-n-ドデシルトリメトキシシランおよび/または
-n-ドデシルトリエトキシシラン
n-オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはn-オクタデシルトリエトキシシランである。
【0096】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-ヘキシルトリメトキシシラン
-ヘキシルトリエトキシシラン
-オクチルトリメトキシシラン
-オクチルトリエトキシシラン
-ドデシルトリメトキシシラン
-ドデシルトリエトキシシラン
-オクタデシルトリメトキシシランおよび/または
-オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択され、式(IV)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含んでなることを特徴とする。
【0097】
上記有機ケイ素化合物は反応性化合物である。本発明では、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で、1以上の有機ケイ素化合物(a1)を含有することが好ましいことが見出された。
【0098】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で、1以上の有機ケイ素化合物(a1)を含有することを特徴とする。
【0099】
特に良好な染色結果を達成するため、式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物を、平均(a)の特定の量の範囲で使用することが特に有利である。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の総量で、式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物の1以上を含有する。
【0100】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の総量で、式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物の1以上を含有することを特徴とする。
【0101】
更に、式(IV)で示される1以上の有機ケイ素化合物が平均(a)のある量的範囲で存在することも、特に好ましいことが分かった。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは4~9重量%の総量で、式(IV)で示される有機ケイ素化合物の1以上を含有する。
【0102】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは3.2~10重量%の総量で、式(IV)で示される有機ケイ素化合物の1以上を含有することを特徴とする。
【0103】
本発明に至る検討の過程で、剤(a)が、互いに構造的に異なる2つの有機ケイ素化合物を含有する場合であっても、特に安定かつ均一なフィルムがケラチン物質上に得られることが見出された。
【0104】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、少なくとも2つの構造的に異なるケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0105】
別の好ましい実施態様では、方法は、式(I)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物および式(IV)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含んでなる剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0106】
別の特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)をケラチン物質に適用し、この剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択され、式(I)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含み、更に、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択され、式(IV)で示される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0107】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、
-0.5-5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1の第一有機ケイ素化合物(a1)、並びに
-3.2-10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシランおよびドデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1の第二有機ケイ素化合物(a1)
を含んでなることを特徴とする。
【0108】
この実施態様では、剤(a)は、0.5-3重量%の総量で、第一群の有機ケイ素化合物を1以上含んでなる。第一群の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される。
【0109】
この実施態様では、剤(a)は、3.2~10重量%の総量で、第二群の有機ケイ素化合物を1以上含んでなる。第二群の有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシランおよび/またはドデシルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0110】
少なくとも1個の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物では、少量の水の添加でも加水分解が起こる。加水分解物および/または少なくとも1個のヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応において互いに反応し得る。このため、剤(a)には、少なくとも1個の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物とその加水分解物および/または縮合物の両方が存在し得る。少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物を用いると、剤(a)には、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびその縮合物の両方が存在し得る。
【0111】
縮合物は、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴った、1分子あたり少なくとも1個のヒドロキシル基または加水分解性基を各々が有する少なくとも2つの有機ケイ素化合物の反応により生成される生成物であると理解される。縮合物は、例えば、二量体だけでなく、三量体またはオリゴマーであり得、縮合物はモノマーと平衡している。加水分解で使用または消費される水の量に応じて、平衡はモノマーの有機ケイ素化合物から縮合物へとシフトする。
【0112】
方法において式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物を用いる場合に、特に良好な結果が得られる。上述した通り、僅かな水分で加水分解/縮合が既に開始するので、式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物の縮合物も本実施態様に含まれる。
【0113】
硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)
組成物(a)はまた、少なくとも1種の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)を含むことを特徴とする。
【0114】
本発明の方法で使用される剤(a)は、成分(a2)として、少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含有する。
【0115】
本発明の好ましい実施態様では、硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルは、脂肪酸とアルコールとの硫酸化および/またはスルホン化モノまたはポリエステル、好ましくは、脂肪酸と多価アルコールとの硫酸化および/またはスルホン化モノまたはポリエステルを含んでなる。特に好ましい実施態様では、硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルは、脂肪酸とグリセロールとの硫酸化および/またはスルホン化モノ-、ジ-および/またはトリエステルである。本発明の非常に好ましい実施態様では、硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルは、脂肪酸とグリセロールとの硫酸化および/またはスルホン化トリエステル(脂肪酸トリグリセリド)を含んでなる。
【0116】
従って、本発明の方法において使用される剤(a)は、成分(a2)として、脂肪酸とグリセロールとの硫酸化および/またはスルホン化トリエステルの少なくとも1種を含有する。
【0117】
脂肪酸基は、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和、および/またはヒドロキシ官能化であってよく、脂肪酸基は、8~30個、好ましくは10~26個、より好ましくは12~24個の炭素原子を有する。スルホン化または硫酸化は、不飽和結合部および/またはヒドロキシ官能基で起こったものであり得る。
【0118】
適当な硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルとしては、硫酸化油、好ましくは硫酸化植物油が挙げられる。特に好ましい硫酸化植物油としては、硫酸化菜種油(INCI:硫酸化菜種油)、硫酸化ヒマワリ油(INCI:硫酸化ヒマワリ種子油)、硫酸化ココヤシ油(INCI:硫酸化ココヤシ油)、硫酸化ひまし油(INCI:硫酸化ひまし油)、硫酸化マーシュフラワー油、硫酸化オリーブ油(INCI:硫酸化オリーブ油)、硫酸化大豆油(INCI:硫酸化大豆油)および/または硫酸化ホホバ油(硫酸化ホホバ油)が挙げられる。
【0119】
適当な硫酸化動物油としては、例えば、硫酸化魚油が挙げられる。
【0120】
適当なスルホン化脂肪酸エステルとしては、スルホン化油、好ましくはスルホン化植物油が挙げられる。スルホン化植物油の例は、例えば、スルホン化キャノーラ油(INCI:スルホン化菜種油)、スルホン化ヒマワリ油(INCI:スルホン化ヒマワリ種子油)、スルホン化ココヤシ油(INCI:スルホン化ココヤシ油)、スルホン化ひまし油(INCI:スルホン化ひまし油)、スルホン化マーシュフラワー油、スルホン化オリーブ油(INCI:スルホン化オリーブ油)、スルホン化大豆油(INCI:スルホン化大豆油)および/またはスルホン化ホホバ油(スルホン化ホホバ油)を包含する。
【0121】
方法の特に好ましい実施態様では、剤(a)は、硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)として、硫酸化および/またはスルホン化ひまし油を含んでなる。
【0122】
トゥルナン油としても知られているロート油は、ひまし油、リシノール酸およびその硫酸エステル、ジヒドロキシステアリン酸およびその硫酸エステル、ポリリジノール酸、無水リシノール酸およびラクトンの混合物である。ロート油は、室温でひまし油に濃硫酸を作用させ、その後、その反応生成物を水酸化ナトリウム溶液またはアンモニアで中和することにより得られる。
【0123】
非常に特に好ましい実施態様では、本発明の方法において使用される剤(a)は、ロート油の形態で成分(a2)を含む。
【0124】
好ましい実施態様では、1種以上の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)、好ましくは硫酸化および/またはスルホン化油は、本発明の方法において使用される剤(a)に含まれ、これは、総量を構成する。この好ましい実施態様では、硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルの総量は、剤(a)の総重量に対して、0.1~50重量%、好ましくは0.25~20重量%、より好ましくは0.5~10重量%である。
【0125】
より好ましい実施態様では、本発明の方法において使用される剤(a)は、各々の場合にその総量に基づいて、0.1~50重量%、好ましくは0.25~20重量%、より好ましくは0.5~10重量%の硫酸化および/またはスルホン化ひまし油を、硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)として含む。
【0126】
好ましい実施態様では、本発明の方法において使用される剤(a)は、各々の場合にその総量に基づいて、0.1~50重量%、好ましくは0.25~20重量%、より好ましくは0.5~10重量%のロート油を含む。
【0127】
シリコーンポリマー(a3)
別の非常に特に好ましい実施態様において、方法に使用される剤(a)は、少なくとも1のシリコーンポリマー(a3)を更に含む。
【0128】
略してシリコーンと称されることもあるシリコーンポリマーは、ポリ(オルガノ)シロキサンであると理解される。シリコーンポリマーは、ケイ素原子が酸素原子を介して連結された一群の合成ポリマーである。
【0129】
シリコーンポリマーは一般的に、少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、反復有機単位を含む巨大分子である。
【0130】
シリコーンポリマーの最大分子量は、重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、一部では重合方法により決まる。本発明の目的のためには、シリコーンポリマーの最大分子量が107g/mol以下、好ましくは106g/mol以下、特に好ましくは105g/mol以下であることが好ましい。
【0131】
シリコーンポリマーは多くのSi-O反復単位を含み、Si原子は、有機基、例えばアルキル基または置換アルキル基を有していてもよい。
【0132】
シリコーンポリマーは、その高い分子量に応じて、10個より多くのSi-O反復単位、好ましくは50個より多くのSi-O反復単位、より好ましくは100個より多くのSi-O反復単位、最も好ましくは500個より多くのSi-O反復単位に基づく。
【0133】
従って、剤(a)に含まれるシリコーンポリマー(a3)は、同じく剤(a)に含まれるシラン(a1)とは異なる。
【0134】
従って、一実施態様では、ケラチン物質の染色方法は、剤(a)が、
(a3)少なくとも1のシリコーンポリマー
を含むことを特徴とするものが好ましい。
【0135】
本発明に至る検討において、シリコーンポリマー(a3)を剤(a)に組み込むことによって毛髪の感触の改善がもたらされることが見出された。
【0136】
有機ケイ素化合物(シラン)(a1)のオリゴマー化またはポリマー化によって形成されるフィルムは、特に、一方においてはケラチン物質の感触に対し、他方においては該フィルムの耐久性に対して悪影響を及ぼし得る多量のシラン(a1)を使用した場合、ある程度の粘着性または柔軟性すら示し得る。この理論に拘束されるものではないが、媒体(a)中のシラン(a1)およびシリコーンポリマー(a3)の併用によって、この2つの成分の相互の反応または相互作用がもたらされると考えられる。シランおよびシリコーンポリマーを一緒に使用すると、先に述べたように、シランがフィルムを形成するようであり、このフィルム中にシリコーンポリマーが組み込まれるか、またはこのフィルムにシリコーンポリマーが凝集する。このようにして形成されるフィルムは、より高い柔軟性および可撓性、並びにより低い脆性を有する。
【0137】
従って、剤(a)によって製造されるフィルムのレオロジー特性は、少なくとも1のシリコーンポリマー(a3)の添加によって大きく改善され得ることが観察された。シリコーンポリマー(a3)の存在下では、フィルムはより強固またはより硬質となり、べたつきが少なく、より滑らかで、より良好な外観を有する着色ケラチン物質が得られる。また、フィルムの強度が高いほど、ケラチン物質の堅牢性に対して、特に摩擦堅牢性に対してプラスの効果を有する。染色されたフィルムは、櫛、ブラシおよび繊維製品と接触したとき、より耐久性となるので、このようなアイテムと接触したとき低磨耗を示した。
【0138】
あるシリコーンポリマー(a3)を使用すると、上記の利点が特に顕著であった。従って、方法に使用される剤(a)が、少なくとも1のアルコキシ変性シリコーンポリマーおよび/または少なくとも1のアミノ変性シリコーンポリマー(a3)を含む場合が特に好ましいことが見出された。
【0139】
従って、一実施態様では、ケラチン物質の染色方法は、剤(a)が、
(a3)少なくとも1のアルコキシ変性および/またはアミノ変性シリコーンポリマー
を含むことを特徴とするものが好ましい。
【0140】
別の好ましい一実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、少なくとも1のアルコキシ変性シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0141】
アルコキシ変性シリコーンは、その構造が少なくとも1つのアルコキシ構造単位を含むシリコーンである。このアルコキシ構造単位は例えばアルコキシ基であり得る。アルコキシ基はC2-C10アルコキシ基であると理解される。アルコキシ基はシリコーンに対して末端であってよい(即ち、例えば、基-O-CH3または基-O-CH2-CH3として存在する)。しかしながら、アルコキシ基自体が置換基をなお有している場合も等しく本発明に従うものであり、この場合、アルコキシ変性部は、シリコーン上に存在する少なくとも1つの基、例えば(-CH2-CH2-O-)、(-CH2-CH2-CH2-O-)、(-CH(CH3)-CH2-O-)、(-CH2-CH(CH3)-CH2-O-)または(-CH2-CH2-CH2-CH2-O-)などであると理解される。好ましくは、アルコキシ変性シリコーン(A)は少なくとも1つの基(-CH2-CH2-O-)および/または(-CH2-CH2-CH2-O-)を有する。
【0142】
アルコキシ基は、炭素原子または酸素原子のいずれかを介してシリコーンに連結されていてもよく、例えば、シリコーンは、式(S-a)、(S-b)、(S-c)および/または(S-d)で示される構造単位を有するものであってもよい:
【0143】
アルコキシ変性シリコーンポリマー(a3)が1より多いアルコキシ基を有している場合、即ちシリコーンポリマー(a3)がポリアルコキシル化されている場合が特に好ましい。ポリアルコキシル化シリコーンは、構造単位として、ポリオキシアルキレン基、ポリオキシエチレン基(即ち、[-CH2-CH2-O-]mの型の基)および/またはポリオキシプロピレン基(即ち、[-CH(CH3)-CH2-O-]mおよび/または[-CH2-CH2-CH2-O-]mの型の基)を有する。好ましくは、シリコーンポリマー内のポリオキシアルキレン単位の数は少なくとも2である。従って、mは2以上の整数である。
【0144】
特に好ましくは、アルコキシ変性シリコーン(a3)は非イオン性シリコーンである。非イオン性シリコーンは正電荷も負電荷も有していない。
【0145】
非常に特に好適なポリアルコキシル化シリコーン(a3)は、式(S-I):
[式中、nは2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、更により好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数12である]
で示される少なくとも1の構造単位を含む。
【0146】
上記式においてアスタリスク*で示した位置は、対応する結合の自由原子価を表し、このとき、該結合は更なるSi原子、更なるO原子および/または更なるC原子に対するものであり得る。
【0147】
従って、一実施態様では、ケラチン物質の染色方法は、剤(a)が、式(S-I):
[式中、nは2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、更により好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数12である]
で示される少なくとも1の構造単位を含む少なくとも1のシリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とするものが好ましい。
【0148】
好ましいアルコキシ変性シリコーンポリマー(a3)は、一般式(S-I)で示される1以上の構造単位に加えて、式(S-I)で示される単位とは構造的に異なる更なる構造単位を含んでよい。特に好ましくは、アルコキシ変性シリコーンポリマーは、1つ以上のジメチルシロキサン単位を更に含む。シリコーンは、直鎖であるか分枝鎖であるかに応じて、2つ(直鎖シリコーンの場合)またはそれより多い(分枝鎖シリコーンの場合)末端基を有する。本発明におけるシリコーンポリマー(a3)が、各々の場合において末端基としてトリメチルシリルオキシ基(即ち、基-O-Si(CH3)3)を有する場合が特に有利であることが見出された。
【0149】
従って、別の特に好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV):
[式中、各構造単位(S-I)において独立して、nは、各々の場合において、2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、更により好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数12である]
で示される構造単位で構成される少なくとも1のシリコーンポリマー(a3)を含んでなることを特徴とする。
【0150】
本明細書において、式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV)で示される構造単位で構成されるシリコーンポリマー(a3)は、(各々の場合において1以上の)式(S-I)、(S-II)、(S-III)および(S-IV)で示される構造単位を排他的に有するシリコーンを意味すると理解される。ここで、シリコーンはまた、式(S-I)で示される様々な構造単位を含んでもよく、その各々は数nにより区別される。
【0151】
構造単位内のアスタリスクで示した位置は各々、他の構造単位との連結点を表す。例えば、式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV)で示される構造単位で構成される非常に特に好ましいシリコーンポリマー(a3)は、下記構造:
[式中、xおよびyは、シリコーンの所望の分子量に応じて選択され、nは、本発明に従って上記した好ましい整数または特に好ましい整数のうちの1つを表す]
を有してよい。
【0152】
低分子量アルコキシ変性シリコーンおよび高分子量アルコキシ変性シリコーンのどちらも、シリコーンポリマー(a3)として使用できる。特に有益な効果は、800~10,000g/mol、好ましくは1,000~9,000g/mol、更に好ましくは2,000~8,000g/mol、特に好ましくは2,500~5,000g/molのモル質量を有するシリコーンポリマー(a3)について観察される。
【0153】
特に適当なシリコーンポリマーは、
Evonik製のAbil B 8843、PEG-14ジメチコン
Dow Corning社によるXiameter OFX 0193 Fluid、PEG-12ジメチコン
を包含する。
【0154】
また、特に良好な結果は、アミノ変性シリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)を方法において使用する場合にも得られる。アミノ変性シリコーンポリマーはまた、アミノ官能化シリコーンポリマーまたはアミノシリコーンと称されることもある。
【0155】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が少なくとも1のアミノ変性シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0156】
剤(a)は、1以上の様々なアミノ変性シリコーンポリマー(a3)を含有してもよい。そのようなシリコーンは、例えば式(S-V):
[式中、Rは、炭化水素または1~約6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式:-R
1HZで示される極性基(ここで、R
1は、水素に結合した二価結合基であり、基Zは、炭素原子および水素原子で構成されているか、炭素原子、水素原子および酸素原子で構成されているか、または炭素原子、水素原子および窒素原子で構成されており、Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含む有機アミノ官能基である)であり、aは約0~約2の範囲の値を取り、bは約1~約3の範囲の値を取り、a+bは3以下であり、cは約1~約3の範囲の数であり、xは1~約2000、好ましくは約3~約50、最も好ましくは約3~約25の範囲の数であり、yは、約20~約10,000、好ましくは約125~約10,000、最も好ましくは約150~約1,000の範囲の数であり、Mは、先行技術で知られている適当なシリコーン末端基、好ましくはトリメチルシロキシである]
によって特徴付けられ得る。Rによって表される基の非限定的な例には、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシルなど;アルケニル基、例えばビニル、ハロビニル、アルキルビニル、アリル、ハロアリル、アルキルアリルなど;シクロアルキル基、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど;フェニル基、ベンジル基、ハロ炭化水素基、例えば、3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、クロロシクロヘキシル、ブロモフェニル、クロロフェニルなど、および、硫黄含有基、例えばメルカプトエチル、メルカプトプロピル、メルカプトヘキシル、メルカプトフェニルなどが含まれる。好ましくは、Rは、1~約6個の炭素原子を含有するアルキル基であり、最も好ましくは、Rはメチルである。R
1の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、-CH
2CH(CH
3)CH
2-、フェニレン、ナフチレン、CH
2CH
2SCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2-、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、CH
2CH(CH
3)C(O)OCH
2-、-(CH
2)
3CC(O)OCH
2CH
2-、-C
6H
4C
6H
4-、-C
6H
4CH
2C
6H
4-および(CH
2)
3C(O)SCH
2CH
2-が含まれる。
【0157】
Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含有する有機アミノ官能基である。Zの1つの考えられる式は、NH(CH2)zNH2であり、ここで、zは1以上である。Zの別の考えられる式は-NH(CH2)z(CH2)zzNHであり、zおよびzzはいずれも独立して1以上であり、この構造はピペラジニルなどのジアミノ環構造を含む。Zは最も好ましくは-NHCH2CH2NH2基である。Zの別の考えられる式は、-N(CH2)z(CH2)zzNX2または-NX2であり、ここでX2の各Xは、水素、および1~12個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から独立して選択され、zzは0である。
【0158】
Qは、最も好ましくは、式-CH2CH2CH2NHCH2CH2NH2で示される極性アミン官能基である。式において、aは約0~約2の範囲の値を取り、bは約2~約3の範囲の値を取り、a+bは3以下であり、cは約1~約3の範囲の数である。RcSiO(4-c)/2単位に対するRaQbSiO(4-a-b)/2単位のモル比は、約1:2~1:65、好ましくは約1:5~約1:65、最も好ましくは約1:15~約1:20の範囲である。上記式で示される1以上のシリコーンが使用される場合、上記式の様々な可変置換基は、シリコーン混合物中に存在する様々なシリコーン成分について異なってよい。
【0159】
特に好ましい実施態様において、本発明の方法は、式(S-VI):
[式中、
-Gは、-H、フェニル基、-OH、-O-CH
3、-CH
3、-O-CH
2CH
3、-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-O-CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)
2、-O-CH
2CH
2CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
2CH
3、-O-CH
2CH(CH
3)
2、-CH
2CH(CH
3)
2、-O-CH(CH
3)CH
2CH
3、-CH(CH
3)CH
2CH
3、-O-C(CH
3)
3、-C(CH
3)
3であり、
-aは、0~3の数、特に0を表し、
-bは、0~1の数、特に1を表し、
-mおよびnは、合計(m+n)が1~2000、好ましくは50~150の数であり、ここで、nは好ましくは0~1999および49~149の値を想定し、mは好ましくは1~2000、1~10の値を想定しており、
-R'は、
-Q-N(R")-CH
2-CH
2-N(R")
2
-Q-N(R")
2
-Q-N
+(R")
3A
-
-Q-N
+H(R")
2A
-
-Q-N
+H
2(R")A
-
-Q-N(R")-CH
2-CH
2-N
+R"H
2A
-
から選択される一価基であり、
各々のQは、化学結合、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、C(CH
3)
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2C(CH
3)
2-、-CH(CH
3)CH
2CH
2-であり、
R"は、-H、-フェニル、-ベンジル、CH
2-CH(CH
3)Ph、C
1-20アルキル基、好ましくは、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、CH
2CH
2CH
2H
3、-CH
2CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)CH
2CH
3、-C(CH
3)
3からなる群から選択される同じまたは異なった基を表し、
Aは、塩化物、臭化物、ヨウ化物またはメトスルフェートから好ましくは選択されるアニオンを表す]
で示されるアミノ変性シリコーンポリマー(a3)である剤(a)を、ケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0160】
別の好ましい実施態様では、方法は、式(S-VII):
[式中、mおよびnは、合計(m+n)が1~2000、好ましくは50~150の間であり、nは好ましくは0~1999および49~149の値を想定し、mは好ましくは1~2000、1~10の値を想定する数である]
で示される少なくとも1のアミノ変性シリコーンポリマー(a3)を含んでなる剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0161】
INCI名によれば、このようなシリコーンは、トリメチルシリルアモジメチコンと称される。
【0162】
別の好ましい実施態様では、方法は、式(S-VIII):
[式中、Rは、-OH、-O-CH
3または-CH
3基を表し、m、n1およびn2は、その和(m+n1+n2)が1~2000、好ましくは50~150となる数値であり、和(n1+n2)は好ましくは0~1999および49~149の値が想定され、mは好ましくは1~2000、1~10の値が想定される]
で示される少なくとも1のアミノ変性シリコーンポリマー(a3)を含んでなる剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0163】
INCI名によれば、このようなアミノ変性シリコーンポリマーまたはアミノ官能化シリコーンポリマーはアモジメチコンとして知られる。
【0164】
どのアミノ変性シリコーンが使用されるかに関係なく、アミン価が0.25meq/gより高い、好ましくは0.3meq/gより高い、0.4meq/gより高いアミノ変性シリコーンポリマーを含む剤(a)が好ましい。アミン価は、アミノ官能性シリコーン1グラム当たりのアミンのミリグラム当量を表す。アミン価は、アミノ官能性シリコーン1グラムあたりのアミンのミリグラム当量を表す。
【0165】
別の好ましい実施態様では、方法は、式(S-IX):
[式中
-mおよびnは、和(n+m)が1~1000の範囲となるように選択される数値を意味し、
-nは0~999の範囲の数値であり、mは1~1000の範囲の数値であり、
-R
1、R
2およびR
3は、同じかまたは異なっており、ヒドロキシ基またはC
1-4アルコキシ基を表し、
-ここで、R
1~R
3のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す]
で示される少なくとも1のアミノ変性シリコーンポリマー(a3)を含んでなる剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0166】
別の好ましい方法は、式(S-X)
[式中
-pおよびqは、和(p+q)が1~1000の範囲となるように選択される数値を意味し、
-pは0~999の範囲の数値であり、qは1~1000の範囲の数値であり、
-R
1およびR
2は、異なるものであり、ヒドロキシ基またはC
1-4アルコキシ基を表し、R
1~R
2のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す]
で示されるアミノ官能性シリコーンポリマーを少なくとも含んでなる剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0167】
式(S-IX)で示されるシリコーンと式(S-X)で示されるシリコーンとは、窒素含有基を有するSi原子における基が異なる。式(S-IX)では、R2はヒドロキシ基またはC1-4アルコキシ基を表し、一方、式(S-X)における基はメチル基である。添え字mおよびnまたはpおよびqが示された個々のSi基はブロックとして存在していなくてもよく、むしろ、個々の単位は統計的に分布して存在していてもよい。即ち、式(S-IX)および式(S-X)では、必ずしも全てのR1-Si(CH3)2基が-[O-Si(CH3)2]基に結合していない。
【0168】
また、式(S-XI):
[式中、
Aは、基-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、-O-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
Dは、基-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
b、nおよびcは0~1000の整数を表し、
より詳しくは
-n>0およびb+c>0
-条件A=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方が満たされる]
で示される少なくとも1のアミノ変性シリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)をケラチン繊維に適用する方法は、所望の効果に関して特に有効であることが分かった。
【0169】
上記の式(S-XI)において、添え字b、cおよびnを有する個々のシロキサン単位は統計的に分布している、即ち、必ずしもブロックコポリマーでなくてもよい。
【0170】
摩擦堅牢性の改善に関する非常に良好な効果は、方法において、特定の4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)をケラチン物質に適用した場合に観察される。この非常に特に好ましいアミノ官能化シリコーンポリマーは、式(S-XIII):
で示される少なくとも1つの構造単位を含む。
【0171】
従って、一実施態様では、剤(a)が、式(S-XIII):
で示される少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする、ケラチン物質の染色方法が好ましい。
【0172】
また、摩擦堅牢性の改善の点において特に良好な効果は、方法において、特定の4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマー(a3)を含む剤(a)をケラチン物質に適用した場合にも観察される。この非常に特に好ましいアミノ官能化シリコーンポリマーは、式(S-XII)および式(S-XIII):
で示される構造単位を含む。
【0173】
明白に非常に特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、式(S-XII)および式(S-XIII):
で示される構造単位を含む少なくとも1種のアミノ変性シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0174】
対応する4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマーを以下に記載する。
【0175】
非常に特に好ましいアミノ官能化シリコーンポリマーは、アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーとして知られており、Wackerから原料Belsil ADM 8301 Eの形態で市販されている。
【0176】
4-モルホリノメチル置換シリコーンとして、例えば、式(S-XII)、(S-XIII')および(S-XIV'):
[式中、
R1は-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3または-O-CH(CH
3)
2であり、
R2は-CH
3、-OHまたは-OCH
3である]
で示される構造単位を有するシリコーンを使用できる。
【0177】
特に好ましい本発明における組成物(a)は、式(S-XV):
[式中、
R1は-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3または-O-CH(CH
3)
2であり、
R2は-CH
3、-OHまたは-OCH
3であり、
Bは、基-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、-O-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
Dは、基-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
a、bおよびcは、a+b+c>0の条件で、独立して0~1000の整数を表し、
mおよびnは互いに独立して、整数1~1000を表す、
ただし、
・条件B=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方は満たされ、
・単位a、b、c、mおよびnは、分子において統計的に分布しているか、またはブロック状である]
で示される少なくとも1種の4-モルホリノメチル置換シリコーンを含有する。
【0178】
構造式(Si-VI)では、シロキサン基nおよびmが、必ずしもそれぞれ末端基BまたはDに直接結合していなくてもよいことを示すことが意図されている。むしろ、好ましい式(Si-VI)ではa>0またはb>0であり、特に好ましい式(Si-VI)ではa>0およびc>0、即ち、末端基BまたはDは好ましくはジメチルシロキシ基に結合している。また、式(Si-VI)において、シロキサン単位a、b、c、mおよびnは好ましくは統計的に分布している。
【0179】
本発明に従って使用される式(Si-VI)で示されるシリコーンは、トリメチルシリル末端型(DまたはB=-Si(CH3)3)であってよいが、両端でジメチルシリルヒドロキシ末端型であっても、一端でジメチルシリルヒドロキシ末端型およびジメチルシリルメトキシ末端型であってもよい。本発明において特に好ましいシリコーンは、各関連に対して
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)3
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)2OCH3
B=-O-Si(CH3)2およびD=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OCH3およびD=-Si(CH3)2OH
であるシリコーンから選択される。
【0180】
特に耐久性のあるフィルムを製造するため、剤(a)は、シリコーンポリマー、特にアルコキシ変性シリコーンポリマーおよび/またはアミノ変性シリコーンポリマーを、好ましくは特定の量的範囲で含む。
【0181】
特に、剤(a)の総重量に対して0.1~8重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%、非常に特に好ましくは0.1~0.5重量%の総量で、1種以上のシリコーンポリマー(a3)を含有する剤(a)を方法において使用した場合、低粘着性の特に可撓性のフィルムが得られる。
【0182】
別の好ましい一実施態様では、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、最も好ましくは2~8重量%の総量で、1種以上のシリコーンポリマーを含有することを特徴とする。
【0183】
明白に非常に特に好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、最も好ましくは2~8重量%の総量で、1種以上のアルコキシ変性シリコーンポリマーを含有することを特徴とする。
【0184】
明白に非常に特に好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対してを0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、最も好ましくは2~8重量%の総量で、1種以上のアミノ変性シリコーンポリマーを含有することを特徴とする。
【0185】
剤(a)のpH値
剤(a)が、アルカリ性pHに調整された水分含有剤の形態で構成されている場合が好ましいことが見出された。
【0186】
このpH値に調整するため、剤(a)は少なくとも1種のアルカリ化剤を含有してもよい。
【0187】
従って、所望のpHに調整するため、剤(a)は、少なくとも1種のアルカリ化剤を含有してもよい。本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0188】
アルカリ化剤として、剤(a)は、例えばアンモニア、アルカノールアミンおよび/または塩基性アミノ酸を含有してもよい。
【0189】
組成物中の剤であり得るアルカノールアミンは好ましくは、少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC2-C6アルキル基を有する第一級アミンから選択される。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールからなる群から選択される。
【0190】
特に好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択される。従って、特に好ましい実施態様では、本発明の剤が、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択されるアルカノールアミンをアルカリ化剤として含むことを特徴とする。
【0191】
本発明の目的のため、アミノ酸は、その構造に、少なくとも1つのプロトン性アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは少なくとも1つの-SO3H基とを含む有機化合物である。好ましいアミノ酸は、アミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、このとき、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0192】
塩基性アミノ酸は、7より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0193】
塩基性α-アミノカルボン酸は、少なくとも1個の不斉炭素原子を含む。本発明において、両方の可能なエナンチオマーを、具体的な化合物またはそれらの混合物として、特にラセミ体として等しく使用できる。しかし、通常L立体配置の、必然的に好ましい異性体形態を使用することが特に好ましい。
【0194】
塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリジンからなる群から選択される。従って、別の特に好ましい実施態様では、本発明の剤は、アルカリ化剤がアルギニン、リジン、オルニチンおよび/またはヒスチジンからなる群から選択される塩基性アミノ酸であることを特徴とする。
【0195】
また、生成物は、他のアルカリ化剤、特に無機アルカリ化剤を含有してもよい。本発明に従って使用される無機アルカリ化剤は好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選択される。
【0196】
特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0197】
剤(a)は、好ましくはアルカリ性範囲のpH値に調整されるが、原則的には、所望のpH値への微調整のために少量の酸性化剤もまた使用することが必要な場合もある。本発明において好適な酸性化剤は、例えばクエン酸、乳酸、酢酸、または同様に、希薄な鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸)である。
【0198】
しかし、本発明に至る研究の過程において、アルカリ化剤の存在またはアルカリ性pHへの調整がケラチン物質上への耐久性のあるフィルムの形成に必須であることが見出された。過剰量の酸の存在はフィルムの強度に悪影響を及ぼし得る。そのため、媒体(a)に使用される酸の量を可能な限り少なく維持することが好ましいことが見出された。この理由から、剤(a)中に含まれる有機酸および/または無機酸の総量が、ある特定の値を超えない場合が有利である。
【0199】
別の好ましい実施態様において、方法は、剤(a)に含まれる、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸および乳酸からなる群から選択される有機酸の総量が、1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、なおより好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0200】
別の好ましい実施態様において、方法は、剤(a)に含まれる、塩酸、硫酸およびリン酸からなる群から選択される無機酸の総量が、1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満、非常に特に好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0201】
剤(a)に含まれる酸の最大総量は常に、剤(a)の総重量に対する量である。
【0202】
剤(b)
ケラチン物質の処理方法は、剤(a)の適用に加えて剤(b)の適用を含む。組成物(b)は、少なくとも1種の封止剤(b1)並びに顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物(b2)を含むことを特徴とする。
【0203】
封止剤(b1)
剤(b)は後処理剤であり、剤(a)で処理したケラチン物質への剤(b)の適用は、方法で得られる着色をより耐久性のあるものにする効果を有する。特に、剤(b)の使用により、方法で得られる染色物の洗浄に対する堅牢性および摩擦に対する堅牢性は改善される。
【0204】
封止剤(b1)は、フィルム形成ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含むことが好ましい。
【0205】
封止剤(b1)がフィルム形成ポリマーを含むことが好ましい場合がある。
【0206】
ポリマーは、少なくとも1000g/mol、好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、同一の反復有機単位からなる巨大分子である。本発明のポリマーは、1種のモノマーの重合によって、または互いに構造的に異なる複数種のモノマーの重合によって製造される合成ポリマーであってよい。ポリマーが1種のモノマーの重合により製造される場合、これはホモポリマーと称される。構造的に異なる複数種のモノマーが重合において使用される場合、得られるポリマーはコポリマーと称される。
【0207】
ポリマーの最大分子量は重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、重合方法によって決まる。本発明において、フィルム形成疎水性ポリマーの最大分子量は107g/mol以下、好ましくは106g/mol以下、特に好ましくは105g/mol以下である場合が好ましい。
【0208】
本発明の意味において、フィルム形成ポリマーは、基材上、例えばケラチン物質上またはケラチン繊維上にフィルムを形成できるポリマーである。フィルムの形成は、例えば、ポリマーで処理されたケラチン物質を顕微鏡で観察することによって実証できる。
【0209】
剤(b)におけるフィルム形成ポリマーは、親水性であっても疎水性であってもよい。
【0210】
第一の実施態様では、少なくとも1種の疎水性のフィルム形成ポリマーを、剤(b)における封止剤(b1)として使用することが好ましい場合がある。
【0211】
疎水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%未満の水への溶解度を有するポリマーである。
【0212】
フィルム形成疎水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカーに入れる。水で100gにする。撹拌子を加え、混合物を撹拌しながら磁気撹拌機上で25℃に加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度の故に視覚的に評価できない場合は、混合物を濾過する。未溶解ポリマーが濾紙上に残存している場合は、ポリマーの溶解度は1重量%未満である。
【0213】
このようなものとして、アクリル酸型ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、セルロースポリマー、ニトロセルロースポリマー、シリコーンポリマー、アクリルアミド型ポリマーおよびポリイソプレンが挙げられる。
【0214】
特に適当なフィルム形成疎水性ポリマーは、例えば、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群からのポリマーである。
【0215】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成疎水性ポリマーを封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0216】
合成ポリマー、ラジカル重合によって得られるポリマー、または天然のポリマーの群から選択されるフィルム形成疎水性ポリマーが、本発明における課題を解決するのに特に好適であることが見出された。
【0217】
他の特に適当なフィルム形成疎水性ポリマーは、オレフィン、例えばシクロオレフィン、ブタジエン、イソプレンまたはスチレン、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1つのC1-C20アルキル基、アリール基若しくはC2-C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステル若しくはアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0218】
他のフィルム形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸)ラウリル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピルのホモポリマーまたはコポリマーおよび/またはそれらの混合物から選択されてよい。
【0219】
別のフィルム形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、C2-C18アルキル基を有するもの、例えばN-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-ジ(C1-C4)アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0220】
他の好ましいアニオン性コポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC1~C6アルキルエステルのコポリマーであり、これらはINCI名アクリレートコポリマーで販売されている。好適な市販品は例えば、Rohm & Haas製のAculyn(登録商標)33である。アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC1-C6アルキルエステル、およびエチレン性不飽和酸とアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルのコポリマーもまた好ましい。好適なエチレン性不飽和酸は特に、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸であり、好適なアルコキシル化脂肪アルコールは特に、ステアレス-20またはセテス-20である。
【0221】
非常に特に好ましい市販のポリマーは、例えば、Aculyn(登録商標)22(アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)28(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標)(アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標)(アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標)1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アクリル酸アルキル架橋ポリマー)、Synthalen W 2000(登録商標)(アクリレート/パルメス-25アクリレートコポリマー)またはRohme und Haas製の流通品Soltex OPT(アクリレート/C12-22メタクリル酸アルキルコポリマー)である。
【0222】
ビニルモノマーベースの好適なポリマーとして、例えば、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-(C1-C6)アルキル-ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジンまたはビニルイミダゾールのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0223】
また、特に好適であるものは、コポリマーのオクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー、例えばNATIONAL STARCHによって商品名AMPHOMER(登録商標)若しくはLOVOCRYL(登録商標)47で市販されているもの、またはNATIONAL STARCHによって商品名DERMACRYL(登録商標)LTおよびDERMACRYL(登録商標)79で販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーである。
【0224】
好適なオレフィンベースポリマーとして、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンおよびブタジエンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0225】
別の実施態様において、フィルム形成疎水性ポリマーは、スチレンまたはスチレン誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーであってよい。このようなブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて1つ以上のブロック、例えばスチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンを含むコポリマーであってよい。かかるポリマーはBASFによって商品名「Luvitol HSB」で市販されている。
【0226】
意外なことに、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として含む場合、特に色調の強い洗浄堅牢性の着色が得られることが見出された。
【0227】
別の好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0228】
別の実施態様において、少なくとも1種の親水性のフィルム形成ポリマーを剤(b)における封止剤(b1)として使用することが好ましい場合がある。
【0229】
親水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%より大きい、好ましくは2重量%より大きいの水への溶解度を有するポリマーである。
【0230】
フィルム形成親水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカーに入れる。水で100gにする。撹拌子を加え、混合物を撹拌しながら磁気撹拌機上で25℃に加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。完全に溶解したポリマーは肉眼で均質に見える。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度の故に視覚的に評価できない場合、混合物を濾過する。未溶解ポリマーが濾紙上に残存していない場合、ポリマーの溶解度は1重量%より大きい。
【0231】
非イオン性、アニオン性およびカチオン性のポリマーは、フィルム形成親水性ポリマーとして使用できる。
【0232】
好適なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、酢酸ビニル(コ)ポリマー、カルボキシビニル(コ)ポリマー、アクリル酸(コ)ポリマー、メタクリル酸(コ)ポリマー、天然のガム、多糖類および/またはアクリルアミド(コ)ポリマーからなる群から選択され得る。
【0233】
更に、ポリビニルピロリドン(PVP)および/またはビニルピロリドン含有コポリマーをフィルム形成親水性ポリマーとして使用することが特に好ましい。
【0234】
別の非常に特に好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルピロリドンのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成親水性ポリマーを封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0235】
剤が、ポリビニルピロリドン(PVP)をフィルム形成親水性ポリマーとして含む場合が更に好ましい。意外なことに、PVP含有剤(b)を用いて得られた染色の洗浄堅牢性もまた非常に良好であった。
【0236】
特に適当なポリビニルピロリドンは、例えばBASF SEからLuviskol(登録商標)K、特にBASF SEからLuviskol(登録商標)K 90またはLuviskol(登録商標)K 85の名称で入手可能である。
【0237】
Ashland(ISP, POI Chemical)によって販売されているポリマーPVP K 30もまた、別の非常に適当なポリビニルピロリドン(PVP)として使用できる。PVP K 30は冷水中への溶解性が高いポリビニルピロリドンであり、CAS番号9003-39-8を有する。PVP K 30の分子量は約40000g/molである。
【0238】
他の特に好適なポリビニルピロリドンは、商品名LUVITEC K 17、LUVITEC K 30、LUVITEC K 60、LUVITEC K 80、LUVITEC K 85、LUVITEC K 90およびLUVITEC K 115で知られる物質であり、BASFから入手可能である。
【0239】
ポリビニルピロリドンコポリマーの群からのフィルム形成親水性ポリマーを封止剤(b1)として使用することによっても、特に良好で洗浄堅牢性の着色結果がもたらされる。
【0240】
ビニルピロリドン-ビニルエステルコポリマー、例えば商標Luviskol(登録商標)(BASF)で販売されているものは、特に好適なフィルム形成親水性ポリマーである。ともにビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーであるLuviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73は、特に好ましい非イオン性ポリマーである。
【0241】
ビニルピロリドン含有コポリマーのうち、スチレン/VPコポリマーおよび/またはビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーおよび/またはVP/DMAPAアクリレートコポリマーおよび/またはVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーが化粧品組成物において特に好ましい。
【0242】
ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーは、Luviskol(登録商標)VAの名称でBASF SEによって販売されている。例えば、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは、商品名Aquaflex(登録商標)SF-40でAshland Incによって販売されている。例えば、VP/DMAPAアクリレートコポリマーは、AshlandによってStyleze CC-10の名称で販売されており、非常に好ましいビニルピロリドン含有コポリマーである。
【0243】
ポリビニルピロリドンの他の好適なコポリマーはまた、N-ビニルピロリドンと、V-ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクトンおよび/またはビニルアルコールからなる群からの少なくとも1種の更なるモノマーとの反応により得られるものであってもよい。
【0244】
別の非常に特に好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のフィルム形成親水性ポリマーを封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0245】
ビニルピロリドンの別のファジー(fussy)なコポリマーは、INCI名マルトデキストリン/VPコポリマーで知られるポリマーである。
【0246】
また、非イオン性フィルム形成親水性ポリマーをフィルム形成親水性ポリマーとして使用した場合、特に良好な洗浄堅牢性を有する強く着色されたケラチン物質、特に毛髪を得ることができる。
【0247】
別の実施態様において、剤(b)は、少なくとも1種の非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーを封止剤(b1)として含んでよい。
【0248】
本発明によれば、非イオン性ポリマーは、プロトン性溶剤中、例えば水中において標準的な条件下で、対イオンによって補われるはずである永続的なカチオン基またはアニオン基を有する構造単位を有しておらず、電気的中性を維持したままであるポリマーであると理解される。カチオン基は、第四級化アンモニウム基を包含するが、プロトン化アミンを含まない。アニオン基は、カルボン酸基およびスルホン酸基を包含する。
【0249】
下記:
・ポリビニルピロリドン、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルピロリドンの2~18個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルと酢酸ビニルのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとメタクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとアクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN,N-ジ(C1-C4)アルキルアミノ-(C2-C4)アルキルアクリルアミドとのコポリマー
からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーとして含む生成物が好ましい。
【0250】
N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーを使用する場合、モノマーのN-ビニルピロリドンに含まれる構造単位と、モノマーの酢酸ビニルに含まれるポリマーの構造単位とのモル比は、20:80~80:20、特に30:70~60:40の範囲である場合が好ましい。ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの好適なコポリマーは、例えば、BASF SEから商標Luviskol(登録商標)VA 37、Luviskol(登録商標)VA 55、Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73で入手可能である。
【0251】
別の特に好ましいポリマーは、INCI名VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーから選択され、これはBASF SEから商品名Luviset Clearで入手可能である。
【0252】
別の特に好ましい非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーはN-ビニルピロリドンとN,N-ジメチルアミニオプロピルメタクリルアミドとのコポリマーであり、これは、例えば、ISPによりINCI名VP/DMAPAアクリレートコポリマーで、例えば商品名Styleze(登録商標)CC 10で販売されている。
【0253】
カチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-69)であり、これは、例えば、ISPにより商品名AquaStyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中28~32重量%の活性物質、分子量350000)で販売されている。
【0254】
他の好適なフィルム形成親水性ポリマーとして、
・名称Luviquat(登録商標)FC 370、FC 550およびINCI名ポリクオタニウム-16並びにFC 905およびHM 552で提供されている、ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、
・ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム-アクリレートターポリマー、これは、第三のモノマー成分としてアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドを伴って、例えばAquaflex(登録商標)SF 40の名称で市販されている、
が挙げられる。
【0255】
ポリクオタニウム-11は、硫酸ジエチルと、ビニルピロリドンおよびメタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーとの反応生成物である。好適な市販品は、BASF SEからDehyquart(登録商標)CC 11およびLuviquat(登録商標)PQ 11 PNの名称で、またはAshland Inc.からGafquat 440、Gafquat 734、Gafquat 755若しくはGafquat 755Nの名称で入手可能である。
【0256】
ポリクオタニウム-46は、ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとの反応生成物であり、例えばBASF SEからLuviquat(登録商標)Holdの名称で入手可能である。ポリクオタニウム-46は、好ましくは化粧品組成物の総重量に対して1~5重量%の量で使用される。ポリクオタニウム-46をカチオン性グアー化合物と組み合わせて使用することが特に好ましい。ポリクオタニウム-46をカチオン性グアー化合物およびポリクオタニウム-11と組み合わせて使用することがいっそう非常に好ましい。
【0257】
好適なアニオン性のフィルム形成親水性ポリマーは、例えばアクリル酸ポリマーであってよく、これは非架橋形態であっても架橋形態であってもよい。そのような生成物は、Lubrizolにより商品名Carbopol 980、981、954、2984および5984で、または3V Sigma(The Sun Chemicals, Inter Harz)によりSynthalen MおよびSynthalen Kの名称で市販されている。
【0258】
天然ガムの群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーの例は、キサンタンガム、ゲランガム、カロブガムである。
【0259】
多糖類の群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーの例は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。
【0260】
アクリルアミドの群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキルスルホン酸またはその塩のモノマーから調製されるポリマーである。対応するポリマーは、ポリアクリルアミドメタンスルホン酸、ポリアクリルアミドエタンスルホン酸、ポリアクリルアミドプロパンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ-2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および/またはポリ-2-メチルアクリルアミド-n-ブタンスルホン酸のポリマーから選択され得る。
【0261】
ポリ(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキル-スルホン酸の好ましいポリマーは架橋型であり、少なくとも90%が中和されている。これらのポリマーは架橋型であっても非架橋型であってもよい。
【0262】
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸型の架橋された完全中和または部分中和ポリマーは、INCI名「アンモニウムポリアクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホネート」または「アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド」で入手可能である。
【0263】
この種の別の好ましいポリマーは、Clariantにより商品名Hostacerin AMPSで販売されている架橋ポリ-2-アクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホン酸ポリマーであり、これはアンモニアで部分中和されている。
【0264】
別の明白に非常に特に好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、少なくとも1種のアニオン性のフィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0265】
これとの関連において、剤(b)が、少なくとも1つの式(P-I)で示される構造単位および少なくとも1つの式(P-II)で示される構造単位:
[式中、
Mは、水素原子、アンモニウム(NH
4)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウム、または1/2カルシウムである]
を含む少なくとも1種のフィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として含む場合に、最良の結果が得られる。
【0266】
更なる好ましい実施態様において、本発明の方法は、剤(b)が、少なくとも1つの式(P-I)で示される構造単位および少なくとも1つの式(P-II)で示される構造単位:
[式中、
Mは、水素原子、アンモニウム(NH
4)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウム、または1/2カルシウムである]
を含む少なくとも1種のフィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0267】
Mが水素原子を表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸単位に基づく。
【0268】
Mがアンモニウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のアンモニウム塩に基づく。
【0269】
Mがナトリウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のナトリウム塩に基づく。
【0270】
Mがカリウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のカリウム塩に基づく。
【0271】
Mが半当量のマグネシウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のマグネシウム塩に基づく。
【0272】
Mが半当量のカルシウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のカルシウム塩に基づく。
【0273】
1種以上のフィルム形成ポリマーは、好ましくは、剤(b)において特定の量的範囲で使用される。これとの関連において、本発明の課題を解決するためには、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で、1種以上のフィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として含む場合が特に好ましいことが見出された。
【0274】
更なる好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で、1種以上のフィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0275】
封止剤(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む剤(b)の適用により、一方では、剤(a)の適用によってまず形成されたフィルムが封止および/または固定される。封止剤(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む第二の剤(b)の適用により、フィルム形成ポリマーおよび着色化合物(b2)が、第一の層において製造されたフィルム上に、更なる着色フィルムとして堆積される。このようにして製造される多層フィルム系は、外部の影響に対して改善された耐久性を示す。
【0276】
別の実施態様において、封止剤(b1)はアルカリ化剤を含む。
【0277】
特に好ましくは、アルカリ化剤は、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選択される。
【0278】
別の特に好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属メタケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0279】
アンモニアを含む剤(b)での後処理は、方法において得られる染色物の洗浄堅牢性および摩擦堅牢性の改善に対して特に良好な影響を及ぼすことが見出された。
【0280】
別の非常に特に好ましい実施態様では、方法は、組成物(b)がアンモニアを封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0281】
組成物(b)が少なくとも1種のC2-C6アルカノールアミンを封止剤(b1)として含む場合も、良好な結果が得られる。
【0282】
組成物(b)に使用可能なアルカノールアミンは、例えば、少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC2-C6アルキル基を有する第一級アミンの群から選択され得る。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールからなる群から選択される。
【0283】
別の好ましい実施態様において、本発明の方法は、組成物(b)が、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールからなる群から好ましくは選択されるアルカノールアミンの群からの少なくとも1種のアルカリ化剤を封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0284】
同様に、良好な結果は、組成物(b)が少なくとも1種の塩基性アミノ酸を封止剤(b1)として含む場合にも得られる。
【0285】
本発明の目的のため、アミノ酸は、その構造中に少なくとも1つのプロトン性アミノ基と少なくとも1つの-COOH基または少なくとも1つの-SO3H基とを含む有機化合物である。好ましいアミノ酸は、アミノカルボン酸、特にα-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0286】
本発明では、塩基性アミノ酸は、等電点pIが7.0より大きいアミノ酸である。
【0287】
塩基性α-アミノカルボン酸は、少なくとも1つの不斉炭素原子を含む。本発明では、両方の存在し得るエナンチオマーを、特定の化合物またはそれらの混合物として、特にラセミ体として同等に使用できる。しかし、必然的に好ましい異性体(通常はL-立体配置)を使用することが特に有利である。
【0288】
塩基性アミノ酸は、好ましくは、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジンから、特に好ましくはアルギニンおよびリジンからなる群から選択される。従って、別の特に好ましい実施態様では、方法は、封止剤(b1)が、アルギニン、リジン、オルニチンおよび/またはヒスチジンからなる群から選択される塩基性アミノ酸を含むアルカリ化剤であることを特徴とする。
【0289】
更なる好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、封止剤(b1)として、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジンからなる群から好ましくは選択される塩基性アミノ酸の群から選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0290】
剤(b)が少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物を封止剤(b1)として含む場合も、良好な結果が得られる。適当なアルカリ金属水酸化物の例は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。
【0291】
組成物(b)が、封止剤(b1)として、少なくとも1種のアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ化剤を含む場合も、良好な結果が得られる。好適なアルカリ土類金属水酸化物として、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよび水酸化バリウムが挙げられる。
【0292】
剤(b)が、少なくとも1種のアルカリ金属ケイ酸塩および/またはアルカリ金属メタケイ酸塩を封止剤(b1)として含む場合も、良好な結果が得られる。好適なアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウムおよびケイ酸カリウムが挙げられる。好適なアルカリ金属メタケイ酸塩としては、メタケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸カリウムが挙げられる。
【0293】
剤(b)が、少なくとも1種のアルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ土類金属炭酸塩を封止剤(b1)として含む場合も、良好な結果が得られる。好適なアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが挙げられる。好適なアルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。
【0294】
アルカリ化剤の形態の封止剤(b1)の群において、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸およびアルカリ金属水酸化物が特に好適であることが見出された。
【0295】
更なる特に好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、封止剤(b1)として、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸およびアルカリ金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0296】
別の特に好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、封止剤(b1)として、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0297】
組成物(b)は、アルカリ化剤を、封止剤(b1)として、化粧品用キャリア中に、好ましくは水性化粧品用キャリア中に含む。
【0298】
本発明において、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、更により好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含む場合が好ましいことが見出された。
【0299】
別の実施態様において、方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、更により好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含むことを特徴とする。
【0300】
剤(b)に含まれるアルカリ化剤は、剤(b)のpH値に影響を及ぼす。特定のアルカリ性pH値が、方法において得られる染色性能および染色物の堅牢性に対して有益な効果をもたらすことが見出された。
【0301】
このため、アルカリ化剤を封止剤(b1)として含む剤(b)は、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することが好ましい。
【0302】
pH値は、当技術分野で知られた通常の方法、例えば、組み合わせ電極を介してガラス電極を使用した、またはpH試験紙を使用したpH測定によって測定できる。
【0303】
別の非常に特に好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、アルカリ化剤を封止剤(b1)として含み、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することを特徴とする。
【0304】
本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0305】
別の実施態様において、封止剤(b1)は酸性化剤を含む。
【0306】
特に好ましくは、酸性化剤は、無機酸、有機酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0307】
剤(b)が、少なくとも1種の無機酸を封止剤(b1)としてを含む場合に、良好な結果を得ることができる。好適な無機酸は、例えばリン酸、硫酸および/または塩酸であり、硫酸が特に好ましい。
【0308】
更なる好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、封止剤(b1)として、無機酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸性化剤を含み、該無機酸が好ましくは、リン酸、硫酸、塩酸およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0309】
別のより好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が硫酸を封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0310】
剤(b)が少なくとも1種の有機酸を封止剤(b1)として含む場合も、良好な結果が得られる。有機酸は好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルキック(corkic)酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ショウノウ酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイリック(toluoylic)酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン(bicarbamic)酸、4,4'-ジシアノ-6,6'-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0311】
別の好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、封止剤(b1)として、有機酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸性化剤を含み、該有機酸は好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルキック(corkic)酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ショウノウ酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイリック酸、ヒドラトロパシック(hydratropasic)酸、アトロパシック(atropasic)酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4'-ジシアノ-6,6'-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0312】
更なるより好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が酢酸を封止剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0313】
また、好適な酸性化剤として、メタンスルホン酸および/または1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸が挙げられる。
【0314】
酸性化剤の形態の上記封止剤(b1)の群において、硫酸および/または酢酸が特に好適であることが見出された。
【0315】
更なる特に好ましい実施態様との関連において、方法は、剤(b)が、封止剤(b1)として、硫酸、酢酸およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸性化剤を含むことを特徴とする。
【0316】
剤(b)は、酸性化剤を封止剤(b1)として化粧品用キャリア中に、好ましくは水性化粧品用キャリア中に含む。
【0317】
剤(b)に含まれる酸性化剤は、剤(b)のpHに対して影響を及ぼす。酸性pH値もまた、方法において得られる染色性能および染色物の堅牢性に対して有益な効果をもたらすことが見出された。
【0318】
このため、酸性化剤を封止剤(b1)として含む剤(b)は、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することが好ましい。
【0319】
pH値は、当技術分野で知られた通常の方法、例えば、組み合わせ電極を介してガラス電極を使用した、またはpH試験紙を使用したpH測定によって測定できる。
【0320】
別の非常に特に好ましい実施態様において、方法は、剤(b)が、酸性化剤を封止剤(b1)として含み、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することを特徴とする。
【0321】
本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0322】
色形成化合物(b2)
剤(a)をケラチン物質に適用する際、1分子あたり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を有する有機ケイ素化合物(a1)が、水の存在下でまず加水分解し、オリゴマー化または重合する。このようにして生成された加水分解物またはオリゴマーは、ケラチン質の表面に対して特に高い親和性を有する。剤(a)に硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)が同時に存在することにより、得られたオリゴマーまたはポリマーにそれが統合され、ケラチン物質上にフィルムが形成される。剤(a)の適用後、剤(b)を適用し、これにより、第一着色化合物(b2)がケラチン物質上に堆積する。フィルム形成ポリマーを封止剤(b1)として用いると、剤(a)および剤(b)を連続して適用することにより、外部からの影響に特に耐性のある複数のフィルムの層が得られる。
【0323】
従って、本発明の必須成分(b2)として、染色方法で使用される剤(b)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含有する。
【0324】
本発明では、顔料の使用が特に好ましいことが分かった。
【0325】
別の非常に好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、顔料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物(b2)を含んでなることを特徴とする。
【0326】
本発明の意味における顔料は、25℃での水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、更に好ましくは0.05g/L未満の着色化合物である。水への溶解度は、例えば、下記方法により測定できる:0.5gの顔料をビーカーに秤取する。磁気撹拌棒を加える。次いで、1Lの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラーで撹拌しながら25℃で1時間加熱する。この時間が経過しても顔料の未溶解成分が混合物中に見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。おそらく微細に分散した顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解顔料がろ紙上に残留する場合は、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0327】
適当な着色顔料は、無機起源および/または有機起源であってよい。
【0328】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は、組成物(b)が、無機顔料および/または有機顔料からなる群から選択される少なくとも1つの第一着色化合物(b2)を含むことを特徴とする。
【0329】
好ましい着色顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機着色顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成テーラ・ディ・シエナまたはグラファイトから調製できる。また、黒色酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリンまたは赤色酸化鉄などの有色顔料、および蛍光顔料または燐光顔料を、無機着色顔料として使用できる。
【0330】
有色の金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫酸化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。好ましい着色顔料は、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI77491)、マンガンバイオレット(CI77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、pigment blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0331】
本発明では、着色真珠光沢顔料もまた、特に好ましい着色顔料である。これらは通常、雲母および/または雲母ベースであり、1以上の金属酸化物で被覆されている場合がある。雲母は層状ケイ酸塩に属する。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、鱗雲母およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせた真珠光沢顔料を製造するためには、主に白雲母または金雲母などの雲母を金属酸化物で被覆する。
【0332】
天然の雲母の代替品として、1以上の金属酸化物で被覆された合成雲母を真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然または合成の雲母(マイカ)をベースとし、上記した金属酸化物の1以上で被覆されたものである。金属酸化物の層の厚さを変えることで、それぞれの顔料の色を変えることができる。
【0333】
好ましい雲母ベース顔料は、合成フルオロフロゴパイト(INCI:Synthetic Fluorphlogopite)をベースとし、金属酸化物で被覆された合成雲母プレートレットである。合成フルオロフロゴパイトプレートレットは、例えば、酸化スズ、酸化鉄および/または二酸化チタンで被覆されている。金属酸化物層は、ヘキサシアノ鉄(II/III)酸鉄またはカーマインレッドなどの顔料をさらに含んでもよい。このような雲母顔料は、例えば、Eckart社からSYNCRYSTALという名称で入手可能である。
【0334】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫酸化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料からなる群から、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母または雲母ベース顔料から選択される無機顔料の群からの少なくとも1つの第一着色化合物(b2)を含んでなることを特徴とする。
【0335】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)からなる群から選択される1以上の金属酸化物と反応した雲母または雲母ベース顔料から選択される顔料の群からの少なくとも1つの第一着色化合物(b2)を含んでなることを特徴とする。
【0336】
特に適当な着色顔料の例は、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)の商品名で、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)の商品名で、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)の商品名で、BASF SE社からFlamenco(登録商標)、Cellini(登録商標)、Cloisonne(登録商標)、Duocrome(登録商標)、Gemtone(登録商標)、Timica(登録商標)、MultiReflections、Chioneの商品名で、Sunstar社からSunshine(登録商標)の商品名で市販されている。
【0337】
商品名がColorona(登録商標)の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Colorona Copper, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, Mica, CI 77491(酸化鉄), アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン, フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン), CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン), 雲母, CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), D&C RED NO. 30 (CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), フェロシアン化鉄 (CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), 酸化鉄 (CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン, カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, CI 77491(酸化鉄), 酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母, 二酸化チタン, 酸化鉄, 雲母, CI 77891, CI 77491 (EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄), Mica, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona SynCopper, Merck, Synthetic Fluorphlogopite(および)酸化鉄
Colorona SynBronze, Merck, Synthetic Fluorphlogopite(および)酸化鉄
【0338】
商品名がXirona(登録商標)の他の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Xirona Golden Sky, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Caribbean Blue, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, 酸化スズ
Xirona Kiwi Rose, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Magic Mauve, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Le Rouge, Merck, 酸化鉄(および)シリカ
【0339】
また、商品名がUnipure(登録商標)の他の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Unipure Red LC 381 EM, Sensient CI 77491(酸化鉄), シリカ
Unipure Black LC 989 EM, Sensient, CI 77499(酸化鉄), シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient, CI 77492(酸化鉄), シリカ
【0340】
また、商品名Flamenco(登録商標)の特に好ましい顔料は、例えば以下の通りである。
Flamenco(登録商標)Summit Turquoise T30D, BASF, 二酸化チタン(および)マイカ
Flamenco(登録商標)Super Violet 530Z, BASF, マイカ(および)二酸化チタン
【0341】
金属光沢顔料などの別のエフェクト顔料も使用できる。
【0342】
エフェクト顔料には、例えば、ラメラ状基材プレートレットベース顔料、レンズ状基材プレートレットベース顔料、および/または「真空蒸着顔料」(VMP)含有基材プレートレットベース顔料が包含される。
【0343】
基材プレートレットの平均厚さは、最大で50nm、好ましくは30nm未満、特に好ましくは最大で25nm、例えば最大で20nmである。基材プレートレットの平均厚さは、少なくとも1nm、好ましくは少なくとも2.5nm、特に好ましくは少なくとも5nm、例えば少なくとも10nmである。基材ウェハの厚さの好ましい範囲は、2.5~50nm、5~50nm、10~50nm、2.5~30nm、5~30nm、10~30nm、2.5~25nm、5~25nm、10~25nm、2.5~20nm、5~20nm、10~20nmである。好ましくは、各基材プレートは、可能な限り均一な厚さを有する。
【0344】
基材プレートレットの厚さが薄いため、顔料は特に高い隠蔽力を発揮する。
【0345】
基材プレートはモノリシックな構造を有する。本明細書における「モノリシック」とは、基材プレートレット内部で構造変化が生じることはあっても、割れ目、成層または内包物を伴わない単一の閉じたユニットからなることを意味する。基材プレートレットは、好ましくは均質に構造化されている。即ち、プレートレット内に濃度勾配は存在しない。特に、基材プレートレットは、層状構造を有さず、その中に粒子または分散粒子を有さない。
【0346】
基材プレートレットの寸法は、それぞれの適用目的、特にケラチン物質に対する所望の効果に合わせて調整することができる。典型的には、基材プレートレットは、約2~200μm、特に約5~100μmの平均最大直径を有する。
【0347】
好ましい設計では、平均厚さに対する平均寸法の比で示されるアスペクト比は少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、より好ましくは750超である。被覆なしの基材プレートレットの平均寸法は該被覆なしの基材プレートレットのd50値である。特に記載のない限り、d50値は、Sympatec Helos装置を用いてquixel湿式分散により測定したものである。試料を調製するため、分析対象の試料をイソプロパノール中に3分間、予備分散させる。
【0348】
基材プレートレットは、プレートレット形状に形成可能な任意の材料で構成できる。
【0349】
基材プレートレットは天然起源のものであり得るが、合成により生成されたものであってもよい。基材プレートレットを構成可能な材料として、金属および金属合金、金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、無機化合物、並びに鉱物、例えば雲母および(半)貴石、並びにプラスチックが挙げられる。好ましくは、基材プレートレットは金属(合金)で構成されている。
【0350】
金属光沢顔料に適した任意の金属が使用できる。そのような金属として、鉄および鋼、並びに空気および水に耐久性のあるあらゆる(半)金属、例えば白金、亜鉛、クロム、モリブデンおよびケイ素並びにそれらの合金、例えばアルミニウムブロンズおよび真鍮が挙げられる。好ましい金属はアルミニウム、銅、銀および金である。好ましい基材プレートレットとしては、アルミニウムプレートレットおよび真鍮プレートレットが挙げられ、アルミニウム基材プレートレットが特に好ましい。
【0351】
既に述べたように、基材プレートレットは様々な形状を有し得る。例えば、ラメラ状およびレンズ状の基材プレートレット、またはいわゆる真空蒸着顔料(VMP)を基材プレートレットとして用いることができる。ラメラ状基材プレートレットは、不規則に構成されたエッジを特徴としており、その外観から「コーンフレーク」とも称されている。レンズ状基材プレートレットは、本質的に規則的な丸いエッジを有しており、その外観から「1ドル硬貨」とも称されている。ラメラ状基材プレートレットベース金属光沢顔料は、その不規則な構造に起因して、レンズ状基材プレートレットより、より高い割合の散乱光を生じる。一方、レンズ状基材プレートレットでは、反射光の割合が高い。
【0352】
金属または金属合金VMPは、適当に金属化されたフィルムから金属または金属合金を放出することによって得ることができる。それらは、基材プレートレットが5~50nm、好ましくは30nmまでまたは30nm未満、非常に好ましくは20nmまでまたは20nm未満の範囲の特に小さい厚さを有することを特徴とする。遠いVMP(Far VMP)は、高い反射率を有する特に滑らかな表面を有する。アルミニウム製のVMPが特に好ましい。
【0353】
金属または金属合金基材プレートは、例えば陽極酸化処理(酸化層)またはクロメート処理により不動態化できる。
【0354】
被覆なしのラメラ状基材プレート、特に金属または金属合金製のものは、入射光を高度に反射し、明暗のあるフロップを生じるが、色彩感は得られない。
【0355】
色彩感は、例えば、光学的干渉効果によって生成し得る。このような顔料は、少なくとも単層被覆された基材プレートレットをベースにし得る。これらは、様々に屈折および反射した光線の重ね合わせにより干渉効果を示す。
【0356】
従って、好ましい顔料は、被覆基材プレートレットベース顔料である。基材ウェハは好ましくは、少なくとも50nmの被覆厚さを有する高屈折率の金属酸化物の被覆Bを少なくとも1つ有する。好ましくは、被覆Bと基材ウェハ表面との間に別の被覆Aが存在する。必要に応じて、下の層Bとは異なる更なる被覆Cが、層B上に存在する。
【0357】
被覆A、BおよびCに適した材料は、フィルム状で長期にわたって基材プレートレットに適用され得、被覆AおよびBの場合は必要な光学的特性を有する、全ての物質である。一般的には、基材プレートレット表面の被覆部は、光沢効果を備える顔料を得るのに十分なものである。例えば、基材プレートレットの上面および/または底面のみを被覆し、側面は省略してもよい。好ましくは、側面を含む、任意に不動態化されていてよい基材プレートレットの表面全体が、被覆Bにより被覆されている。このようにして、基材プレートレットは、被覆Bにより完全に包まれる。これにより、顔料の光学的特性が向上し、機械的および化学的耐性も増大する。上記は層Aにも当てはまり、存在する場合は層Cにも当てはまる。
【0358】
各々の場合において多層被覆A、BおよびCは存在し得るが、被覆基材ウェハは好ましくは、各々の場合において、もっぱら1つの被覆A、被覆Bおよび存在する場合は被覆Cを有する。
【0359】
被覆Bは少なくとも1つの高屈折率の金属酸化物からなる。高屈折率の金属酸化物は、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.4の屈折率を有する。好ましくは、被覆Bは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の高屈折率の金属酸化物を含んでなる。
【0360】
被覆Bは、少なくとも50nmの厚さを有する。好ましくは、被覆Bの厚さは400nm以下、より好ましくは300nm以下である。
【0361】
被覆Bに適した高屈折率の金属酸化物は、好ましくは、選択的に光を吸収する(即ち有色の)金属酸化物、例えば、酸化鉄(III)(α-およびγ-Fe2O3、赤)、酸化コバルト(II)(青)、酸化クロム(III)(緑)、酸化チタン(III)(青、通常は酸化窒化チタンおよび窒化チタンとの混合物として存在する)、酸化バナジウム(V)(橙)、およびそれらの混合物である。また、二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムなどの無色の高屈折率の酸化物も適している。
【0362】
被覆Bは、被覆Bの総量に基づいてそれぞれの場合に、好ましくは0.001~5重量%、特に好ましくは0.01~1重量%の、選択的に吸収する染料を含有してもよい。適切な染料は、金属酸化物被覆に安定して組み込まれ得る有機染料および無機染料である。
【0363】
被覆Aは、好ましくは、少なくとも1つの低屈折率の金属酸化物および/または金属酸化物水和物を有する。好ましくは、被覆Aは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の低屈折率の金属酸化物(水和物)を含んでなる。低屈折率の材料は、1.8以下、好ましくは1.6以下の屈折率を有する。
【0364】
被覆Aに適した低屈折率の金属酸化物としては、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、およびそれらの混合物が挙げられ、二酸化ケイ素が好ましい。被覆Aは、好ましくは1~100nm、特に好ましくは5~50nm、特に好ましくは5~20nmの厚さを有する。好ましくは、基材プレートレット表面と被覆Bの内面との間の距離は、最大で100nm、特に好ましくは最大で50nm、特に好ましくは最大で20nmである。被覆Aの厚さ/基材プレートレット表面と被覆Bとの距離を上記した特定の範囲内に確実にすることにより、顔料の高い隠蔽力を確保することができる。
【0365】
基材プレートレットベース顔料がもっぱら1つの層Aを有する場合は、顔料が、アルミニウムの基材プレートレットおよびシリカの層Aを有することが好ましい。基材プレートレットベース顔料が層Aおよび層Bを有する場合は、顔料が、アルミニウムの基材プレートレット、シリカの層A、および酸化鉄の層Bを有することが好ましい。
【0366】
別の実施態様では、金属酸化物に対し、層Bは、金属粒子キャリア層の表面に金属粒子が付着した金属粒子キャリア層を含んでなり得る。好ましい実施態様では、金属粒子は、金属粒子キャリア層の一部を直接覆っている。この実施態様では、エフェクト顔料は、金属粒子が存在しない領域、即ち金属粒子で覆われていない領域を有する。
【0367】
金属粒子キャリア層は、金属層および/または金属酸化物層を含んでなる。
【0368】
金属粒子キャリア層が金属層および金属酸化物層を含んでなる場合、これらの層の配置は特に限定されない。
【0369】
金属粒子支持層が金属層を少なくとも含んでなることが好ましい。金属層が、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)および金(Au)から選択される元素を含んでなることが更に好ましい。
【0370】
金属層は、例えば、金属を含有する金属塩溶液にアルカリを添加することにより形成できる。
【0371】
金属粒子キャリア層が金属酸化物層を含む場合、これは好ましくは二酸化ケイ素を含まない。金属酸化物層は、好ましくは、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)およびCe(セリウム)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含有する。特に好ましくは、金属酸化物層の形態の金属粒子支持層iii)は、Sn、Zn、TiおよびCeの金属酸化物を含有する。
【0372】
金属酸化物層の形態の金属粒子支持層は、例えば、金属酸化物の金属を形成する金属のアルコキシドをゾル-ゲル法で加水分解することによって製造できる。
【0373】
金属層の厚さは、好ましくは30nm以下である。
【0374】
金属粒子は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)、金(Au)、およびそれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含んでよい。金属粒子が、銅(Cu)、ニッケル(Ni)および銀(Ag)から選択される少なくとも1つの元素を含んでなることが特に好ましい。
【0375】
金属粒子の平均粒子径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下である。金属粒子の距離は、好ましくは10nm以下である。
【0376】
金属粒子を形成する適当な方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD)、無電解めっき法などが挙げられる。これらの方法の中でも、無電解めっき法が特に好ましい。
【0377】
好ましい実施態様では、顔料は、下にある被覆Bとは異なる金属酸化物(水和物)の被覆Cを更に有する。適切な金属酸化物としては、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)、酸化クロム(III)が挙げられる。二酸化ケイ素が好ましい。
【0378】
被覆Cは好ましくは、10~500nm、より好ましくは50~300nmの厚さを有する。例えばTiO2ベースの、被覆Cを設けることにより、高い隠蔽力を保持しながら、より優れた干渉性を達成できる。
【0379】
層AおよびCは、腐食防止、並びに化学的および物理的安定化の役割を果たす。特に好ましくは、層AおよびCは、ゾル-ゲル法により適用されたシリカまたはアルミナである。この方法は、テトラエチルオルソシリケートまたはアルミニウムトリイソプロパノレートなどの金属アルコキシドの溶液(通常、有機溶媒の溶液、またはC1-C4アルコールなどの有機溶媒を少なくとも50重量%含む有機溶媒と水との混合物の溶液)中に、未被覆の基材ウェハまたは層Aおよび/または層Bで既に被覆された基材ウェハを分散させ、弱塩基または酸を加えて金属アルコキシドを加水分解することにより、(被覆された)基材プレートレットの表面に金属酸化物のフィルムを形成することを含む。
【0380】
層Bは、例えば、1つ以上の有機金属化合物の加水分解により、および/または1つ以上の溶解金属塩の析出、並びに後続の後処理(例えば、形成された水酸化物含有層のアニールによる酸化物層への移行)により製造できる。
【0381】
被覆A、Bおよび/またはCのそれぞれは、2以上の金属酸化物(水和物)の混合物で構成されていてよいが、被覆のそれぞれは好ましくは、1の金属酸化物(水和物)で構成される。
【0382】
被覆された基材プレートレットをベースにした顔料は、好ましくは70~500nm、特に好ましくは100~400nm、特に好ましくは150~320nm、例えば180~290nmの厚さを有する。基材プレートレットの薄い厚さに起因して、顔料は、特に高い隠蔽力を発揮する。被覆基材プレートレットの小さい厚さは、未被覆基材プレートレットの厚さを小さく保つことにより、また、被覆Aおよび存在する場合は被覆Cの厚さを可能な限り小さい値に調整することにより、達成される。被覆Bの厚さは、顔料の色彩感を決定する。
【0383】
最外層(構造に応じてA層、B層またはC層)をシラン、リン酸エステル、チタン酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩などの有機化合物で付加的に変性することにより、ケラチン物質中の被覆基材プレートレットベース顔料の付着性および耐摩耗性を大幅に向上させることができる。この場合、有機化合物は、最外層の、好ましくは金属酸化物含有の、層A、層Bまたは層Cの表面に結合している。最外層とは、基材プレートレットから空間的に最も離れた層を示す。有機化合物は、好ましくは、金属酸化物含有層A、BまたはCに結合できる官能性シラン化合物である。これらは単官能性または二官能性化合物のいずれであってもよい。二官能性有機化合物の例としては、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(プロポキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、またはフェニルアリルジクロロシランが挙げられる。また、単官能性シラン、アルキルシランまたはアリールシランによる変性も実施できる。これは、もっぱら1個の官能基を有し、この官能基は、被覆基材プレートレットベース顔料の表面に(即ち、最外層の金属酸化物含有層に)、または完全には被覆されていない場合は金属表面に共有結合していてよい。シランの炭化水素基は顔料から離れる。シランの炭化水素基の種類および性質に応じて、顔料の疎水性の程度を変えることができる。そのようなシランの例としては、ヘキサデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。特に好ましいのは、単官能シランで表面変性されたシリカ被覆アルミニウム基材プレートレットベース顔料である。オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘカデシルトリメトキシシランおよびヘカデシルトリエトキシシランが特に好ましい。変更された表面特性/疎水化に起因して、適用における付着性、耐摩耗性および配向性の向上を達成できる。
【0384】
そのような表面変性を伴った基材プレートレットベース顔料が、使用する有機ケイ素化合物(a1)および/またはそれらの縮合物若しくは重合物とのより優れた相溶性を示すことが見出された。
【0385】
適当なエフェクト顔料は、例えば、Schlenk Metallic Pigments社の顔料Alegrace(登録商標)Marvelous、Alegrace(著作権)GorgeousまたはAlegrace(登録商標)Aurousを包含する。
【0386】
また、適当なエフェクト顔料は、Eckart社のSILVERDREAMシリーズのアルミニウムベース顔料およびVISIONAIREシリーズの顔料であり、これらは、アルミニウムまたは銅/亜鉛含有金属合金ベースである。
【0387】
他の適切なエフェクト顔料は、金属酸化物被覆プレートレット状ホウケイ酸塩をベースとしている。これらは、例えば、酸化スズ、酸化鉄、二酸化ケイ素および/または二酸化チタンで被覆されている。そのようなホウケイ酸塩ベース顔料は、例えば、Eckart社からMIRAGEの名称で、またはBASF SE社からReflecksとして入手可能である。
【0388】
特に良好な結果は、剤(b)が、剤(b)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で、1以上の顔料を含有する場合に得られる。
【0389】
方法の別の実施態様では、剤(b)は、有機顔料からなる群から選択される第一着色化合物(b2)を1以上含んでもよい。
【0390】
有機顔料は、例えばニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケト-ピロロピロール、インディゴ、チオインディゴ、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物からなる群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料または着色剤である。
【0391】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料である。
【0392】
別の特に好ましい実施態様では、方法は、組成物(b)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料からなる群から選択される有機顔料の群からの少なくとも1つの第一着色化合物(b2)を含んでなることを特徴とする。
【0393】
有機顔料はカラーペイントであってもよい。本発明において、用語「カラーワニス」は、吸収された染料の層を含んでなる粒子を意味すると理解され、粒子および染料のユニットは、上記条件下で不溶性である。粒子は例えば無機物質であり得、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムまたはアルミニウムであり得る。
【0394】
例えば、アリザリンカラーワニスを使用できる。
【0395】
光および温度に対する優れた安定性の故に、剤(b)において上記顔料を使用することが特に好ましい。また、使用する顔料が特定の粒度を有することが好ましい。この粒度は、一方では、形成されるポリマーフィルム中の顔料の均一な分布をもたらし、他方では、化粧品の適用後の荒れた毛髪または皮膚感触を回避する。従って、本発明では、少なくとも1種の顔料が1.0~50μm、好ましくは5.0~45μm、好ましくは10~40μm、14~30μmの平均粒度D50を有することが有利である。平均粒度D50は、例えば、動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0396】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で、第一着色化合物(b2)としての顔料を1以上含有することを特徴とする。
【0397】
第一着色化合物(b2)として、方法において使用する剤(b)は、1以上の直接染料を含有してもよい。直接作用染料は、毛髪に直接作用し、色を形成するために酸化工程を必要としない染料である。直接染料は通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、トリアリールメタン染料、またはインドフェノールである。
【0398】
本発明の意味における直接染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料として扱われない。好ましくは、本発明の意味における直接染料は、1g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0399】
直接染料は、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料および非イオン性直接染料に分類できる。
【0400】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、第一着色化合物(b2)として少なくとも1つのアニオン性直接染料、カチオン性直接染料および/または非イオン性直接染料を含有することを特徴とする。
【0401】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料および/または非イオン性直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの第一着色化合物(b2)を含んでなることを特徴とする。
【0402】
適当なカチオン性直接染料は、Basic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2、Basic Violet 14、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 16、Basic Blue 347(Cationic Blue 347 / Dystar)、HC Blue No. 16、Basic Blue 99、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87、Basic Orange 31、Basic Red 51 Basic Red 76を包含する。
【0403】
非イオン性直接染料として、非イオン性ニトロおよびキノン染料並びに天然アゾ染料を使用できる。適当な非イオン性直接染料は、以下の国際名称または商品名で記載されているものである:HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、HC Orange 1、Disperse Orange 3、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、HC Red BN、HC Blue 2、HC Blue 11、HC Blue 12、Disperse Blue 3、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Black 9の既知の化合物、および1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2'-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール。
【0404】
本発明に至る検討の過程で、少なくとも1つのアニオン性直接染料を含む(b)剤を用いると、特に高い色強度の染色物を生成できることが見出された。
【0405】
従って、非常に特に好ましい実施態様では、方法は、(b)剤が少なくとも1つのアニオン性直接染料を含んでなることを特徴とする。
【0406】
アニオン性直接染料は、酸性染料とも称される。酸性染料は、少なくとも1個のカルボン酸基(-COOH)および/または少なくとも1個のスルホン酸基(-SO3H)を有する直接染料である。pH値に依存して、カルボン酸基またはスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SO3H)は、それらの脱プロトン化形態(-COO-、-SO3
-存在)と平衡関係を示す。プロトン化形態の割合は、pHの低下とともに増える。直接染料をその塩として使用する場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、電気的中性を維持するために、対応する化学量論的に同等のカチオンで中和される。本発明の酸性染料は、そのナトリウム塩および/またはそのカリウム塩の形態でも使用できる。
【0407】
本発明の意味における酸性染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料として扱われない。好ましくは、本発明の意味における酸性染料は、1g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0408】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、対応するアルカリ塩よりも低い溶解度をしばしば有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L未満(25℃、760mmHg)の場合、それらは直接染料の定義に含まれない。
【0409】
酸性染料の本質的な特徴は、アニオン性電荷を形成する能力であり、その原因となるカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、様々な発色団系に結合している。適当な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造に見られる。
【0410】
一実施態様では、剤(b)が、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料からなる群から選択される少なくとも1のアニオン性直接染料を含んでなることを特徴とする、ケラチン物質の染色方法が好ましい。上記群からの染料はそれぞれ、少なくとも1個のカルボン酸基(-COOH)、カルボン酸ナトリウム基(-COONa)、カルボン酸カリウム基(-COOK)、スルホン酸基(-SO3H)、スルホン酸ナトリウム基(-SO3Na)および/またはスルホン酸カリウム基(-SO3K)を有する。
【0411】
例えば、下記群からの1以上の化合物が特に適した酸性染料として選択され得る:Acid Yellow 1(D&C Yellow 7、Citronin A、Ext. D&C Yellow No. 7、Japan Yellow 403、CI 10316、COLIPA n°B001)、Acid Yellow 3(COLIPA n°54、D&C Yellow N°10、Quinoline Yellow、E104、Food Yellow 13)、Acid Yellow 9(CI 13015)、Acid Yellow 17(CI 18965)、Acid Yellow 23(COLIPA n°29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、Food Yellow 4、Japan Yellow 4、FD&C Yellow No. 5)、Acid Yellow 36(CI 13065)、Acid Yellow 121(CI 18690)、Acid Orange 6(CI 14270)、Acid Orange 7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&C Orange 4、COLIPA n°015)、Acid Orange 10(C.I. 16230;Orange G ナトリウム塩)、Acid Orange 11(CI 45370)、Acid Orange 15(CI 50120)、Acid Orange 20(CI 14600)、Acid Orange 24(BROWN 1;CI 20170;KATSU201;ナトリウム塩不含有;Brown No.201;RESORCIN BROWN;ACID ORANGE 24;Japan Brown 201;D & C Brown No.1)、Acid Red 14(C.I.14720)、Acid Red 18(E124、Red 18; CI 16255)、Acid Red 27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、Real red D、FD&C Red Nr.2、Food Red 9、Naphthol red S)、Acid Red 33(Red 33、Fuchsia Red、D&C Red 33、CI 17200)、Acid Red 35(CI C.I.18065)、Acid Red 51(CI 45430、Pyrosin B、Tetraiodfluorescein、Eosin J、Iodeosin)、Acid Red 52(CI 45100、Food Red 106、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red n°106 Pontacyl Brilliant Pink)、Acid Red 73(CI 27290)、Acid Red 87(Eosin、CI 45380)、Acid Red 92(COLIPA n℃53、CI 45410)、Acid Red 95(CI 45425、Erythtosine,Simacid Erythrosine Y)、Acid Red 184(CI 15685)、Acid Red 195、Acid Violet 43(Jarocol Violet 43、Ext. D&C Violet n°2、C.I. 60730、COLIPA n°063)、Acid Violet 49(CI 42640)、Acid Violet 50(CI 50325)、Acid Blue 1(Patent Blue、CI 42045)、Acid Blue 3(Patent Blue V、CI 42051)、Acid Blue 7(CI 42080)、Acid Blue 104(CI 42735)、Acid Blue 9(E 133、Patent blue AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I. Food Blue 2)、Acid Blue 62(CI 62045)、Acid Blue 74(E 132、CI 73015)、Acid Blue 80(CI 61585)、Acid Green 3(CI 42085、Foodgreen1)、Acid Green 5(CI 42095)、Acid Green 9(C.I.42100)、Acid Green 22(C.I.42170)、 Acid Green 25(CI 61570、Japan Green 201、D&C Green No. 5)、Acid Green 50(Brilliant Acid Green BS、C.I. 44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、Acid Black 1(Black n°401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20 470、COLIPA n°B15)、Acid Black 52(CI 15711)、Food Yellow 8(CI 14270)、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1。
【0412】
例えば、アニオン性直接染料の水溶性は、下記方法で測定できる。0.1gのアニオン性直接染料をビーカーに導入する。磁気撹拌棒を加える。次いで、100mLの水を添加する。この混合物をマグネチックスターラーで撹拌しながら25℃に加熱する。60分間撹拌する。次いで、水性混合物を視覚的に評価する。未溶解残留物がまだ存在する場合、例えば10mL刻みで、水の量を増やす。使用した染料の量が完全に溶解するまで水を加える。染料の強度が高いために、染料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解染料がろ紙上に残留する場合は、より多くの水を用いて溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン性直接染料が25℃で100mLの水に溶解した場合、その染料の溶解度は1g/Lである。
【0413】
Acid Yellow 1は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、少なくとも40g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 3は、2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸およびジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、20g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 9は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より大きい。
Acid Yellow 23は、4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃の水に高度に溶解できる。
Acid Orange 7は、4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。その水への溶解度は、7g/L(25℃)より大きい。
Acid Red 18は、7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホネートの三ナトリウム塩であり、20重量%より大きい非常に高い水溶性を有する。
Acid Red 33は、5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホネートの二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2.5g/L(25℃)である。
Acid Red 92は、3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より大きい。
Acid Blue 9は、2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホネートの二ナトリウム塩であり、20重量%(25℃)より大きい水への溶解度を有する。
【0414】
従って、特に好ましい方法は、剤(b)が、Acid Yellow 1、acid yellow 3、acid yellow 9、acid yellow 17、acid yellow 23、acid yellow 36、acid yellow 121、acid orange 6、acid orange 7、acid orange 10、acid orange 11、acid orange 15、acid orange 20、acid orange 24、acid red 14、acid red 27、acid red 33、acid red 35、Acid Red 51、Acid Red 52、Acid Red 73、Acid Red 87、Acid Red 92、Acid Red 95、Acid Red 184、Acid Red 195、Acid Violet 43、Acid Violet 49、Acid Violet 50、Acid Blue 1、Acid Blue 3、Acid Blue 7、Acid Blue 104、Acid Blue 9、Acid Blue 62、Acid Blue 74、Acid Blue 80、Acid Green 3、Acid Green 5、Acid Green 9、Acid Green 22、Acid Green 25、Acid Green 50、Acid Black 1、Acid Black 52、Food Yellow 8、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1からなる群から選択されるアニオン性直接染料の群から選択される少なくとも1つの第一着色化合物(b2)を含んでなることを特徴とする。
【0415】
直接染料、特にアニオン性直接染料は、所望の色強度に応じて剤(b)において様々な量で使用され得る。特に良好な結果は、剤(b)が、剤(b)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で1以上の直接染料(b2)を含有する場合に得られる。
【0416】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で1以上の直接染料(b2)を含有することを特徴とする。
【0417】
製剤(a)および(b)における他の成分
上記剤(a)および(b)は、1以上の任意成分を含んでもよい。
【0418】
任意の第二着色化合物(a4)
特に好ましい実施態様では、組成物(a)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第二着色化合物(a4)を更に含んでなることを特徴とする。
【0419】
従って、本発明の方法において使用される組成物(a)は、成分(a4)として、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第二着色化合物(a4)を更に含んでなる。
【0420】
原則として、第一着色化合物(b2)として上述した顔料および/または直接染料を、第二着色化合物(a4)として使用できる。
【0421】
従って、好ましい実施態様では、本発明の方法は、剤(a)が、無機顔料および/または有機顔料からなる群から選択される少なくとも1の第二着色化合物(a4)を更に含んでなることを特徴とする。
【0422】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫酸化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料からなる群から、および/または雲母ベース顔料若しくは少なくとも1の金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された雲母ベース顔料から選択される無機顔料からなる群から選択される少なくとも1の第二着色化合物(a4)を更に含んでなることを特徴とする。
【0423】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)からなる群から選択される1以上の金属酸化物と反応した雲母または雲母ベース顔料から選択される顔料の群からの少なくとも1つの第二着色化合物(a4)を更に含んでなることを特徴とする。
【0424】
別の好ましい実施態様では、剤(a)は、有機顔料からなる群から選択される1以上の第二着色化合物(a4)を更に含んでなり得る。
【0425】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料からなる群から選択される有機顔料の群からの少なくとも1つの第二着色化合物(a4)を更に含んでなることを特徴とする。
【0426】
また、第二着色化合物(a4)として使用される顔料が特定の粒度を有することが好ましい。
【0427】
第二着色化合物(a4)は、好ましくは、エフェクト顔料、特に金属光沢顔料を含み得る。特に、第二着色化合物(a4)は、好ましくは被覆されたおよび/またはメタリックの、基材プレートレットに基づく顔料を含んでなり得る。基材プレートレットとして、ラメラ状およびレンズ状の基材プレートレット、および/またはいわゆる真空蒸着顔料(VMP)を用いることができる。好ましくは被覆されたおよび/またはメタリックの、基材プレートレットに基づく顔料は、先に説明されており、特に好ましい着色化合物(a4)の例である。これらの顔料のうち、アルミニウムVMPに基づく被覆顔料がより好ましい。
【0428】
第二着色化合物(a4)は、既に詳述した第一着色化合物(b2)と同じ好ましい量で、剤(a)において使用される。
【0429】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で、第二着色化合物(a4)としての顔料を1以上含有することを特徴とする。
【0430】
1つ以上の第二着色化合物(a4)として、方法において使用される剤(a)は、1以上の直接染料を含んでもよい。第一着色化合物(b2)に関して好ましいと上述した直接染料の使用が、剤(a)においても特に好ましい。
【0431】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、第二着色化合物(a4)として、少なくとも1つのアニオン性、カチオン性および/または非イオン性直接染料を含んでなることを特徴とする。
【0432】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、アニオン性、非イオン性および/またはカチオン性直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの第二着色化合物(a4)を更に含んでなることを特徴とする。
【0433】
本発明に至る検討の過程で、少なくとも1つのアニオン性直接染料を含有する剤(a)により、特に強い着色強度を有する染色物が得られることが見出された。
【0434】
従って、特に好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が少なくとも1つのアニオン性直接染料を含有することを特徴とする。
【0435】
例えば、一実施態様では、組成物(a)が、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性直接染料を更に含んでなることを特徴とするケラチン物質の染色方法が好ましい。上記群からの染料はそれぞれ、少なくとも1個のカルボン酸基(-COOH)、カルボン酸ナトリウム基(-COONa)、カルボン酸カリウム基(-COOK)、スルホン酸基(-SO3H)、スルホン酸ナトリウム基(-SO3Na)および/またはスルホン酸カリウム基(-SO3K)を有する。
【0436】
従って、非常に特に好ましい方法は、組成物(a)が、Acid Yellow 1、acid yellow 3、acid yellow 9、acid yellow 17、acid yellow 23、acid yellow 36、acid yellow 121、acid orange 6、acid orange 7、acid orange 10、acid orange 11、acid orange 15、acid orange 20、acid orange 24、acid red 14、acid red 27、acid red 33、acid red 35、Acid Red 51、Acid Red 52、Acid Red 73、Acid Red 87、Acid Red 92、Acid Red 95、Acid Red 184、Acid Red 195、Acid Violet 43、Acid Violet 49、Acid Violet 50、Acid Blue 1、Acid Blue 3、Acid Blue 7、Acid Blue 104、Acid Blue 9、Acid Blue 62、Acid Blue 74、Acid Blue 80、Acid Green 3、Acid Green 5、Acid Green 9、Acid Green 22、Acid Green 25、Acid Green 50、Acid Black 1、Acid Black 52、Food Yellow 8、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1からなる群から選択されるアニオン性直接染料の群からの少なくとも1つの第二着色化合物(a4)を更に含んでなることを特徴とする。
【0437】
直接染料、特にアニオン性直接染料を、所望の色の強度に応じて、媒体(a)において様々な量で使用できる。剤(a)がその総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で1以上の直接染料(a4)を含有する場合も、特に良好な結果が得られる。
【0438】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)が、剤(a)の総量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましくは0.5~4.5重量%の総量で1以上の直接染料(a4)を更に含んでなることを特徴とする。
【0439】
本発明に至る過程において、第一着色化合物(b2)が第二着色化合物(a4)と構造的に異なることが有利であることが見出された。
【0440】
剤(b)が、第一着色化合物(b2)として、金属光沢顔料、有色真珠光沢顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのエフェクト顔料を含む場合が、特に有利であることが見出された。第一着色化合物(b2)としてのエフェクト顔料の助けにより、特に高い金属反射および/または真珠光沢効果を有する着色物を製造できる。
【0441】
第一着色化合物(b2)としてのエフェクト顔料の効果は、第二着色化合物(a4)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される無機顔料、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、青色顔料およびそれらの混合物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される有機顔料、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される有機顔料、および/または直接染料を含んでなる場合に特に良好である。
【0442】
硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルの助けにより、剤(a)中の有機ケイ素化合物(a1)の適用によってケラチン物質上に初期に形成されたフィルムへの第一着色化合物(b2)の付着を著しく改善できる。これは、第一着色剤化合物(b2)として、金属基板プレートレットに基づく顔料を使用する場合、および非常に好ましくは金属酸化物で被覆されたアルミニウム基板プレートレットに基づく顔料を使用する場合も当てはまる。
【0443】
剤(a)において第二着色剤化合物(a4)を使用する場合、ケラチン物質上の、剤(a)中の有機ケイ素化合物(a1)の適用によって形成された着色フィルムへのその付着も著しく改善される。
【0444】
製剤は、1以上の界面活性剤を含んでもよい。用語「界面活性剤」は、界面活性物質を意味する。疎水性基と負荷電の親水性頭部基からなるアニオン性界面活性剤、負電荷と相殺性の正電荷の両方を有している両性界面活性剤、疎水性残に加えて正荷電の親水性基を有するカチオン性界面活性剤、および電荷をもたないが強い双極子モーメントを有し、水溶液中で強く水和される非イオン性界面活性剤に分類される。
【0445】
双性イオン性界面活性剤は、分子内に少なくとも1個の第四級アンモニウム基と少なくとも1つの-COO(-)-または-SO3
(-)基を有する表面活性化合物である。特に好適な双性イオン性界面活性剤はいわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-グリシネート、例えばココアルキル-ジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、各々、アルキル基またはアシル基内に8~18個のC原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤の一例は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0446】
両性界面活性剤は、分子内のC8-C24アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは-SO3H基を含み、分子内塩を形成することができる表面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、各々、アルキル基内に約8~24個のC原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。両性または双性イオン性界面活性剤の典型的な例はアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
【0447】
特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココスアルキルアミノプロピオネート、ココスアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12-C18-アシルサルコシンである。
【0448】
また、製剤は少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を付加的に含有してもよい。好適な非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、並びに脂肪族アルコールまたは脂肪酸1molあたり2~30molのエチレンオキシドの脂肪族アルコールに対するアルキレンオキシド付加生成物および脂肪酸に対するアルキレンオキシド付加生成物である。調製物が非イオン性界面活性剤として、少なくとも2molのエチレンオキシドと反応させたエトキシル化グリセロールの脂肪酸エステルを含有する場合にも、良好な特性を有する調製物が得られる。
【0449】
また、製剤は少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含有してもよい。カチオン性界面活性剤は、各々、1個以上の正電荷を有する界面活性剤、すなわち表面活性化合物である。カチオン性界面活性剤は正電荷のみを含む。通常、このような界面活性剤は疎水性部および親水性頭部基で構成されており、疎水性部は通常、(例えば、1つまたは2つの直鎖または分枝鎖のアルキル鎖からなる)炭化水素主鎖からなり、正電荷は親水性頭部基に存在する。カチオン性界面活性剤の例は、
-8~28個の炭素原子の鎖長を有する1つ若しくは2つのアルキル鎖を疎水性基として有するものであり得る第四級アンモニウム化合物、
-8~28個の炭素原子の鎖長を有する1つ以上のアルキル鎖で置換されている第四級ホスホニウム塩、または
-第三級スルホニウム塩
である。
【0450】
更に、カチオン電荷もまた、オニウム構造の形態の複素環(例えば、イミダゾリウム環またはピリジニウム環)の一部であり得る。カチオン電荷を有する官能性単位に加えて、カチオン性界面活性剤は、例えばエステルクアットの場合のように他の無電荷官能基もまた含んでもよい。カチオン性界面活性剤は、各剤の総重量に対して0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0451】
更に、剤はまた、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有してもよい。アニオン性界面活性剤は、(対応する対カチオンによって中和される)アニオン電荷を排他的に有する表面活性剤である。アニオン性界面活性剤の例は、脂肪酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェートおよびエーテルカルボン酸であり、アルキル基内のC原子は12~20個であり、分子内のグリコールエーテル基は最大16個までである。
【0452】
アニオン性界面活性剤は、各剤の総重量に対して0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0453】
剤(a)および/または剤(b)は艶消し剤を更に含んでもよい。好適な艶消し剤として、例えば、(加工)デンプン、ワックス、タルクおよび/または(変性)シリカが挙げられる。艶消し剤の量は、剤(a)または剤(b)の総量に対して好ましくは0.1~10重量%である。好ましくは、剤(b)は艶消し剤を含む。
【0454】
剤はまた、他の活性成分、助剤および添加剤、例えば溶剤;脂肪成分、例えばC8-C30脂肪酸トリグリセリド、C8-C30脂肪酸モノグリセリド、C8-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素;ストラクチュラント(structurant)、例えばグルコース、マレイン酸および乳酸、ヘアコンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えばレシチンおよびケファリン;香油、ジメチルイソソルバイドおよびシクロデキストリン;繊維構造改善活性成分、特に単糖類、二糖類およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、フルクトースおよびラクトース;製品を着色するための染料;フケ防止活性成分、例えばピロクトン・オラミン、亜鉛オマジンおよびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物系および/または植物系並びに脂肪酸縮合物または任意にアニオン変性型若しくはカチオン変性型誘導体の形態のタンパク質加水分解物;植物油;光安定剤およびUVブロッカー;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびその塩、ビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボンおよびフラボノール;セラミドまたは疑似セラミド;ビタミン類、プロビタミンおよびビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪およびワックス、例えば脂肪族アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびケロシン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、第一級、第二級および第三級ホスフェート;乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレート並びにPEG-3-ジステアレート;並びに発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気を含有してもよい。
【0455】
これらの他の物質の選択は、剤の所望の特性に従うよう当業者によって行われる。他の任意成分およびこのような成分の使用量は、当業者に知られている関連マニュアルに明示されている。付加的な活性成分および助剤は、好ましくは、本発明の調製物中に、各剤の総重量に対して0.0001~25重量%ずつ、0.0005~15重量%ずつの量で使用される。
【0456】
ケラチン物質の染色方法
本発明の手順では、剤(a)および(b)をケラチン物質、ヒトの毛髪に適用する。例えば、剤(a)および(b)は即用性剤である。剤(a)および(b)は異なる。
【0457】
原則として、剤(a)および(b)は、同時に適用することも、連続して適用することもできるが、連続して適用することが好ましい。
【0458】
まず剤(a)を第一工程でケラチン物質に適用し、剤(b)を第二工程で適用した場合に、最も良い結果が得られる。
【0459】
従って、下記工程:
-第一工程としての、
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物、および
(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル
を含んでなる剤(a)をケラチン物質に適用する工程、並びに
-第二工程としての、
(b1)少なくとも1の封止剤、および
(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの第一着色化合物
を含んでなる剤(b)をケラチン物質に適用する工程
をこの順で含む、ケラチン物質(特にヒトの毛髪)の処理方法、ケラチン物質(特にヒトの毛髪)の着色方法が極めて特に好ましい。
【0460】
更に、染色されたケラチン物質に高い耐洗脱性を長期間付与するために、剤(a)および(b)は、同一染色工程内に適用されることが特に好ましく、これは、剤(a)および(b)の適用の間に最大でも数時間の時間しかないことを意味する。
【0461】
別の好ましい実施態様では、方法は、剤(a)をまず適用し、その後に剤(b)を適用し、剤(a)および(b)の適用の間の時間は、最大で24時間、好ましくは最大で12時間、特に好ましくは最大で6時間であることを特徴とする。
【0462】
剤(a)の特徴は、少なくとも1つの反応性有機ケイ素化合物(a1)が含まれていることである。1以上の反応性有機ケイ素化合物(a1)は、オリゴマー化反応または重合反応を起こすため、出会うとすぐにケラチン物質の表面を機能化する。このようにして、第一フィルムが形成される。硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)は、フィルムに組み込まれる。方法の第二工程では、今度は第二の剤(b)をケラチン物質に適用する。剤(b)を適用すると、封止剤はシランフィルムと相互作用する。それにより、剤(b)に含まれる第一着色化合物(b2)はケラチン物質に固定される。
【0463】
別の実施態様では、下記工程:
(1)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(2)10秒~10分、好ましくは10秒~5分の間、剤(a)を作用させる工程、
(3)必要に応じて、ケラチン物質を水で濯ぐ工程、
(4)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(5)30秒~30分、好ましくは30秒~10分の間、剤(b)を作用させる工程、
(6)ケラチン物質を水で濯ぐ工程
をこの順で含む手順が特に好ましい。
【0464】
方法の工程(3)および(6)におけるケラチン物質の水での濯ぎは、本発明では、この濯ぎ工程において、剤(a)および(b)以外の他の剤を使用せず水のみを使用することを意味する。
【0465】
工程(1)では、剤(a)をまずケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用する。
【0466】
適用後、作用させるために剤(a)をケラチン物質上に放置する。これに関連して、毛髪上での10秒~10分、好ましくは20秒~5分、特に好ましくは30秒~2分の適用時間が特に効果的であることが見出された。
【0467】
本発明の方法の好ましい実施態様では、剤(a)は、後続の工程で剤(b)を毛髪に適用する前に、ケラチン質から洗い流すことができる。
【0468】
剤(a)にまだ晒されているケラチン物質に剤(b)を適用した場合、同様に洗浄堅牢性の高い染色が得られる。
【0469】
工程(4)では、剤(b)をケラチン物質に適用する。適用後、作用させるために剤(b)を毛髪上に放置する。
【0470】
剤(b)の接触時間が短くても、この方法では、特に優れた強度と洗浄堅牢性を有する染色物の製造を行うことができる。毛髪への適用時間が10秒~10分、好ましくは20秒~5分、最も好ましくは30秒~3分であることが特に効果的であることが見出された。
【0471】
工程(6)では、剤(b)(およびなお存在している場合は剤(a))を、水でケラチン物質から濯ぎ落とす。
【0472】
この実施態様では、好ましくは、一連の工程(1)~(6)を24時間以内に行う。
【0473】
剤(a)は、有機ケイ素化合物という、使用時に加水分解或いはオリゴマー化および/または重合を起こし得る高反応性化合物類を含む。これらの有機ケイ素化合物は、反応性が高いため、ケラチン物質上にフィルムを形成する。
【0474】
早すぎるオリゴマー化またはポリマー化を回避するため、もっぱら適用直前に即用性剤剤(a)を調製することが、使用者にとってかなりの利点となる。
【0475】
別の実施態様では、下記工程:
(1)第一剤(a')および第二剤(a")を混合することにより剤(a)を調製する工程(ここで、
-第一剤(a')は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
-第二剤(a")は、少なくとも1つの硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含む)、
(2)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(3)10秒~10分、好ましくは10秒~5分の間、剤(a)を作用させる工程、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水で濯ぐ工程、
(5)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(6)30秒~30分、好ましくは30秒~10分の間、剤(b)を作用させる工程、
(7)ケラチン物質を水で濯ぐ工程
をこの順で含む方法が好ましい。
【0476】
保管時にできるだけ安定した組成物を提供できるよう、剤(a')自体を低水分または無水分で調製することが好ましい。
【0477】
好ましい実施態様では、多成分包装ユニット(キット)は、剤(a')が、剤(a')の総重量に基づいて、0.001~10重量%、好ましくは0.5~9重量%、より好ましくは1~8重量%、非常に好ましくは1.5~7重量%の含量で水を含むことを特徴とする。
【0478】
剤(a")は水を含む。好ましい実施態様では、多成分包装ユニット(キット)は、剤(a")が、剤(a2)の総重量に基づいて、15~100重量%、好ましくは35~100重量%、より好ましくは55~100重量%、更により好ましくは65~100重量%、非常に特に好ましくは75~100重量%の含量で水を含むことを特徴とする。
【0479】
この実施態様では、剤(a')および剤(a")を混合することにより、即用性剤(a)を調製する。
【0480】
例えば、使用者はまず、有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a')と水含有剤(a")とを撹拌または振盪してよい。使用者はこの(a')と(a")との混合物を、その調製後直ちに、あるいは10秒~20分の短い反応時間の後に、ケラチン物質に適用できる。その後、上述のように、使用者は剤(b)を適用できる。
【0481】
任意に含まれてよいシリコーンポリマー(a3)は、剤(a')の中に含まれていても、剤(a")の中に含まれていてもよい。好ましくは、シリコーンポリマー(a3)は、剤(a")の中に含まれている。
【0482】
別の実施態様では、下記工程:
(1)第一剤(a')および第二剤(a")を混合することにより剤(a)を調製する工程(ここで、
-第一剤(a')は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)、および少なくとも1のシリコーンポリマー(a3)を含み、
-第二剤(a")は、少なくとも1つの硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含む)、
(2)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(3)10秒~10分、好ましくは10秒~5分の間、剤(a)を作用させる工程、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水で濯ぐ工程、
(5)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(6)30秒~30分、好ましくは30秒~10分の間、剤(b)を作用させる工程、
(7)ケラチン物質を水で濯ぐ工程
をこの順で含む方法が好ましい。
【0483】
別の実施態様では、下記工程:
(1)第一剤(a')および第二剤(a")を混合することにより剤(a)を調製する工程(ここで、
-第一剤(a')は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
-第二剤(a")は、少なくとも1つの硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)並びに少なくとも1のシリコーンポリマー(a3)を含む)、
(2)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(3)10秒~10分、好ましくは10秒~5分の間、剤(a)を作用させる工程、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水で濯ぐ工程、
(5)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(6)30秒~30分、好ましくは30秒~10分の間、剤(b)を作用させる工程、
(7)ケラチン物質を水で濯ぐ工程
をこの順で含む方法が特に好ましい。
【0484】
別の好ましい実施態様では、方法は、第三の別個に調製された手段(a"')においてシリコーンポリマー(a3)が供給されることを特徴とし得る。
【0485】
この別の実施態様に関連して、下記工程:
(1)第一剤(a')および第二剤(a")および第三剤(a"')を混合することにより剤(a)を調製する工程(ここで、
-第一剤(a')は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
-第二剤(a")は、少なくとも1つの硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含み、
-第三剤(a"')は、少なくとも1のシリコーンポリマー(a3)を含む)、
(2)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(3)10秒~10分、好ましくは10秒~5分の間、剤(a)を作用させる工程、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水で濯ぐ工程、
(5)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(6)30秒~30分、好ましくは30秒~10分の間、剤(b)を作用させる工程、
(7)ケラチン物質を水で濯ぐ工程
をこの順で含む方法が好ましい。
【0486】
別の特に好ましい実施態様では、方法は、第二化合物(a")において、少なくとも1つの硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)と一緒に任意の第二着色化合物(a4)が供給されることを特徴とし得る。
【0487】
この別の特に好ましい実施態様に関連して、下記工程:
(1)第一剤(a')および第二剤(a")を混合することにより剤(a)を調製する工程(ここで、
-第一剤(a')は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
-第二剤(a")は、少なくとも1つの硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)並びに顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの第二着色化合物(a4)を含む)、
(2)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(3)10秒~10分、好ましくは10秒~5分の間、剤(a)を作用させる工程、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水で濯ぐ工程、
(5)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(6)30秒~30分、好ましくは30秒~10分の間、剤(b)を作用させる工程、
(7)ケラチン物質を水で濯ぐ工程
をこの順で含む方法が好ましい。
【0488】
別の特に好ましい実施態様では、方法は、第三の別個に調製された手段(a"')において、第二着色化合物(a4)と一緒にシリコーンポリマー(a3)が供給されることを特徴とし得る。
【0489】
この別の実施態様に関連して、下記工程:
(1)第一剤(a')および第二剤(a")および第三剤(a"')を混合することにより剤(a)を調製する工程(ここで、
-第一剤(a')は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
-第二剤(a")は、少なくとも1つの硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含み、
-第三剤(a"')は、少なくとも1つのシリコーンポリマー(a3)、および顔料および/または直接染料からなる群から選択される第二着色化合物(a4)を含む)、
(2)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(3)10秒~10分、好ましくは10秒~5分の間、剤(a)を作用させる工程、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水で濯ぐ工程、
(5)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(6)30秒~30分、好ましくは30秒~10分の間、剤(b)を作用させる工程、
(7)ケラチン物質を水で濯ぐ工程
をこの順で含む方法が好ましい。
【0490】
多成分包装ユニット(キット)
使用者の快適性を高めるために、多成分包装ユニット(キット)の形態で全ての必要なリソースを使用者に提供することが好ましい。
【0491】
従って、本発明の第二の対象は、
互いに別個に包装された、
-剤(a')を含む第一包装ユニット、
-剤(a")を含む第二包装ユニット、および
-剤(b)を含む第三包装ユニット
を含んでなる、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(キット)であって、
剤(a')は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含んでなり、
剤(a")は、(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなる多成分包装ユニットであり、
成分(a1)、(a2)、(b1)および(b2)は、先に説明した通りである。
【0492】
キットの剤(a')に含まれる、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される有機ケイ素化合物(a1)は、上記方法の剤(a)に使用される有機ケイ素化合物に相当する。
【0493】
キットの剤(a")に含まれる硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)は、上記方法の剤(a)に使用される硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル(a2)に相当する。
【0494】
キットの手段(b)に含まれる封止剤(b1)は、上記方法の手段(b)に使用される封止剤に相当する。
【0495】
キットの剤(b)に含まれる、顔料および/または直接染料からなる群から選択される第一着色化合物(b2)は、上記方法の剤(b)に使用される第一着色化合物(b2)に相当する。
【0496】
別の実施態様では、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(キット)は、好ましくは、互いに別個に包装された、
-剤(a')を含む第一容器、
-剤(a")を含む第二容器、および
-剤(b)を含む第三容器
を含んでなり、
剤(a')は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物、および(a3)少なくとも1のシリコーンポリマーを含んでなり、
剤(a")は、(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなり、
成分(a1)、(a2)、(a3)、(b1)および(b2)は、先に説明した通りである。
【0497】
これに関連して、手段(a')、手段(a")または別の手段(a"')において調製されるために、任意に含まれるシリコーンポリマー(a3)を使用することもできる。
【0498】
これに関連して、剤(a')、剤(a")または別の剤(a"')において、顔料および/または直接染料の群から、任意に含まれてよい第二着色化合物(a4)を調製することもできる。
【0499】
別の実施態様では、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(キット)は、好ましくは、互いに別個に包装された、
-剤(a')を含む第一容器、
-剤(a")を含む第二容器、および
-剤(b)を含む第三容器
を含んでなり、
剤(a')は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物、および(a3)少なくとも1のシリコーンポリマーを含んでなり、
剤(a")は、(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなり、
成分(a1)、(a2)、(a3)、(b1)および(b2)は、先に説明した通りである。
【0500】
別の実施態様では、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(キット)は、好ましくは、互いに別個に包装された、
-剤(a')を含む第一容器、
-剤(a")を含む第二容器、および
-剤(b)を含む第三容器
を含んでなり、
剤(a')は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含んでなり、
剤(a")は、(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル並びに水を含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなり、
成分(a1)、(a2)、(b1)および(b2)は、先に説明した通りである。
【0501】
この実施態様では、剤(a')は、低い含水率を有する。即用性剤(a)を調製するために、剤(a')および(a")を混合する。剤(a")は、剤(a")の総重量に基づいて少なくとも50重量%の水を好ましくは含有する。剤(a")は、水に加えて、ヒドロキシエチルセルロースなどの増粘剤、および/またはC12-C30脂肪アルコール、C12-C30脂肪酸トリグリセリド、C12-C30脂肪酸モノグリセリド、C12-C30脂肪酸ジグリセリド、および/または炭化水素からなる群からの1以上の脂肪構成要素を含んでよい。剤(a")は、増粘剤または1以上の脂肪成分に加えて他の成分、例えば非イオン性界面活性剤および/または溶媒を含んでよい。
【0502】
別の実施態様では、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(キット)は、好ましくは、互いに別個に包装された、
-剤(a')を含む第一容器、
-剤(a")を含む第二容器、および
-剤(b)を含む第三容器
を含んでなり、
剤(a')は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含んでなり、
剤(a")は、(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステル並びに(a3)少なくとも1のシリコーンポリマーを含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなり、
成分(a1)、(a2)、(a3)、(b1)および(b2)は、先に説明した通りである。
【0503】
別の実施態様では、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(キット)は、好ましくは、互いに別個に包装された、
-剤(a')を含む第一容器、
-剤(a")を含む第二容器、
-剤(a"')を含む第三容器、および
-剤(b)を含む第四容器
を含んでなり、
剤(a')は、(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1の有機ケイ素化合物を含んでなり、
剤(a")は、(a2)少なくとも1の硫酸化および/またはスルホン化脂肪酸エステルを含んでなり、
剤(a"')は、(a3)少なくとも1のシリコーンポリマー並びに(a4)顔料および/または直接染料からなる群から選択される第二着色化合物を含んでなり、
剤(b)は、(b1)少なくとも1の封止剤、並びに(b2)顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1の第一着色化合物を含んでなり、
成分(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(b1)および(b2)は、先に説明した通りである。
【0504】
多成分包装ユニットの別の好ましい実施態様については、方法に関して既に述べたことが当てはまる。
【実施例】
【0505】
【0506】
【0507】
【0508】
5gの剤(a')および20gの剤(a")を混合することにより、または5gの剤(a')、20gの剤(a")および1.5gの剤(a"')を混合することにより、即用性剤(a)を調製した。アンモニアまたは乳酸の添加により、剤(a)のpH値を10.5の値に調整した。次いで、剤(a)を約5分間放置した。
【0509】
【0510】
剤(a)を一度に1房の毛髪(Kerling、Euronatural hair white)にマッサージするように適用し、1分間放置して作用させた。次いで、剤(a)を水で濯ぎ落とした。
続いて、剤(b)を上記毛髪に適用し、1分間放置して作用させ、その後、水で濯ぎ落とした。
剤(a')と剤(a"-1)または剤(a"-2)とから調製した剤(a)を用いて染色した毛髪束については、洗浄堅牢性が高く、摩擦堅牢性が非常に高く、強いメタリックシルバーの発色が得られた。
剤(a')と剤(a"-1)または剤(a"-2)と剤(a"')とから調製した剤(a)を用いて染色した毛髪束については、洗浄堅牢性が高く、摩擦堅牢性が非常に高く、強いメタリックブルーの発色が得られた。
【国際調査報告】