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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】極紫外線マスク吸収体材料
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/24 20120101AFI20220715BHJP
   G03F 1/48 20120101ALI20220715BHJP
   G03F 1/54 20120101ALI20220715BHJP
   C23C 14/14 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/48
G03F1/54
C23C14/14 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568759
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2020033724
(87)【国際公開番号】W WO2020236888
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/851,398
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/011,639
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/877,955
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シューウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジンダル, ビブー
【テーマコード(参考)】
2H195
4K029
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BB25
2H195BC05
2H195BC08
2H195BC20
2H195CA01
2H195CA07
2H195CA16
2H195CA23
4K029AA06
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA02
4K029BA12
4K029BA21
4K029BA25
4K029BB02
4K029BB10
4K029BC07
4K029BD00
4K029CA05
4K029CA06
4K029DA04
4K029DC03
4K029DC04
4K029DC16
(57)【要約】
極紫外線(EUV)マスクブランク、その製造方法、及びその製造システムが開示される。EUVマスクブランクは、基板、基板上の反射層の多層積層体、反射層の多層スタック上のキャッピング層、及びキャッピング層上の吸収体層を含み、該吸収体層は、ホウ素とニッケルとから作製される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法であって、
EUV放射を反射する多層積層体を基板上に形成することであって、前記多層積層体は複数の反射層対を含む、多層積層体を基板上に形成すること、
キャッピング層を前記多層積層体上に形成すること、及び
ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体層を前記キャッピング層上に形成することを含む、方法。
【請求項2】
前記ホウ素とニッケルとの合金が、約2重量%から約10.9重量%のホウ素と、約89.1重量%から約98重量%のニッケルとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホウ素とニッケルとの合金が、約3重量%から約9.9重量%のホウ素と、約90.1重量%から約97重量%のニッケルとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ホウ素とニッケルとの合金が、約5重量%から約7.9重量%のホウ素と、約92.1重量%から約95重量%のニッケルとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記吸収体層を形成するために、前記合金が、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1以上から選択されるガスで、ホウ素及びニッケルを共スパッタリングすることによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記吸収体層を形成するために、前記合金が、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1以上から選択されるガスを使用して、ホウ素層とニッケル層との積層体として層毎に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記吸収体層を形成するために、前記合金が、前記合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1以上から選択されるガスを使用して、スパッタリングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ホウ素とニッケルとの合金が、0.1重量%から5重量%の範囲内の窒素又は酸素のうちの1以上でドープされる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記ホウ素とニッケルとの合金が、約0.1重量%から約5重量%の範囲内の窒素又は酸素のうちの1以上でドープされる、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
極紫外線(EUV)マスクブランクであって、
基板、
EUV放射を反射する多層積層体であって、複数の反射層対を含む多層積層体、
反射層の前記多層積層体上のキャッピング層、及び
ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体層を含む、極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項12】
前記ホウ素とニッケルとの合金が、約2重量%から約10.9重量%のホウ素と、約89.1重量%から約98重量%のニッケルとを含む、請求項11に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項13】
前記ホウ素とニッケルとの合金が、約3重量%から約9.9重量%のホウ素と、約90.1重量%から約97重量%のニッケルとを含む、請求項11に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項14】
前記ホウ素とニッケルとの合金が、約5重量%から約7.9重量%のホウ素と、約92.1重量%から約95重量%のニッケルとを含む、請求項12に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項15】
前記ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である、請求項13に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項16】
前記吸収体層が45nm未満の厚さを有する、請求項11に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項17】
前記吸収体層が、約0.1重量%から約5重量%の範囲の、窒素又は酸素のうちの1以上から選択されるドーパントを更に含む、請求項11に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項18】
前記吸収体層が45nm未満の厚さを有する、請求項11に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項19】
前記吸収体層は、前記キャッピング層に対してエッチング選択性を有する、請求項11に記載の極紫外線(EUV)マスクブランク。
【請求項20】
極紫外線(EUV)マスクブランクであって、
基板、
EUV放射を反射する多層積層体であって、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)とを含む複数の反射層対を含む多層積層体、
反射層の前記多層積層体上のキャッピング層、及び
ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体層を含む、極紫外線(EUV)マスクブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、極紫外線リソグラフィに関し、特に、合金の吸収体を有する極紫外線マスクブランク、及びその製造の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 0.0135ミクロン以下の最小特徴サイズの半導体デバイスの製造には、軟X線投影リソグラフィとしても知られる極紫外線(EUV)リソグラフィが使用される。しかし、概して、5から100ナノメートルの波長範囲内の極紫外線光は、ほとんど全ての材料によって強く吸収される。この理由により、極紫外線システムは、光の透過よりも反射によって機能する。一連の鏡又はレンズ素子、及び非反射性吸収体マスクパターンでコーティングされた反射素子又はマスクブランクの使用を介して、パターン化された化学光が、レジストでコーティングされた半導体基板上に反射される。
【0003】
[0003] 極紫外線リソグラフィシステムのレンズ素子及びマスクブランクは、モリブデンやシリコンなどの材料の反射性多層コーティングでコーティングされる。13.5ナノメートルの極紫外線光では、例えば12.5から14.5ナノメートルの帯域などの非常に狭い紫外線の帯域内の光を強く反射する多層コーティングでコーティングされた基板を使用することによって、レンズ素子又はマスクブランク当たり近似的に65%の反射値が得られている。
【0004】
[0004] 図1は、従来のEUV反射マスク10を示しており、これはEUVマスクブランクから形成されており、そのブランクは、基板14上に反射性多層積層体12を含み、その積層体は、ブラッグ干渉(Bragg interference)によってマスクされていない部分でEUV放射を反射する。従来のEUV反射マスク10のマスクされた(反射しない)エリア16は、緩衝層18及び吸収層20をエッチングすることによって形成される。吸収層は、典型的に、51nmから77nmの範囲内の厚さを有する。キャッピング層22が、反射多層スタック12の上に形成され、エッチングプロセス中に反射多層スタック12を保護する。以下で更に説明されることとなるように、EUVマスクブランクは、多層、キャッピング層、及び吸収層でコーティングされた低熱膨張材料基板から作製され、次いで、エッチングされて、マスクされた(反射しない)エリア16及び反射エリア24を提供する。
【0005】
[0005] 半導体用のインターナショナル・テクノロジー・ロードマップ(ITRS)は、ノードのオーバレイ要求を、テクノロジーの最小半ピッチ特徴サイズの百分率として規定している。全ての反射性リソグラフィシステムに固有の像配置及びオーバレイ誤差への影響により、EUV反射マスクは、将来の生産のために、より精密な平坦度仕様に従う必要があるだろう。更に、EUVブランクは、ブランクの動作エリア上の欠陥に対する許容度が非常に低い。更に、吸収層の役割は光を吸収することであるが、吸収体層の屈折率と減圧下での屈折率(n=1)との差による位相シフト効果もあり、この位相シフトは3Dマスク効果を説明する。3D効果を緩和するために、より薄い吸収体を有するEUVマスクブランクを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の1以上の実施形態は、極紫外線(EUV)を製造する方法であって、EUV放射を反射する多層積層体を基板上に形成することであって、多層積層体は複数の反射層対を含む、多層積層体を基板上に形成すること、キャッピング層を多層積層体上に形成すること、並びに、ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体層をキャッピング層上に形成することを含む、方法を対象とする。
【0007】
[0007] 本開示の更なる実施形態は、基板、EUV放射を反射する多層積層体であって、複数の反射層対を含む多層積層体、反射層の多層積層体上のキャッピング層、及び、ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体層を含む、EUVマスクブランクを対象とする。
【0008】
[0008] 上述の本開示の特徴を詳細に理解しうるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面は、この開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009] 従来の吸収体を採用する背景技術のEUV反射マスクを概略的に示す。
図2】[0010] 極紫外線リソグラフィシステムの一実施形態を概略的に示す。
図3】[0011] 極紫外線反射素子製造システムの一実施形態を示す。
図4】[0012] EUVマスクブランクなどの極紫外線反射素子の一実施形態を示す。
図5】[0013] EUVマスクブランクなどの極紫外線反射素子の一実施形態を示す。
図6】[0014] マルチカソード物理堆積チャンバの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0015] 本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示が以下の説明で提示される構成又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0011】
[0016] 本明細書で使用する「水平」という語は、その配向性と関係なく、マスクブランクの面又は表面に平行する面として規定される。「垂直」という語は、ここで規定された水平に対して垂直の方向を指すものである。「上(above)」、「下(below)」、「下部(bottom)」、「上部(top)」、「側部(side)」(「側壁(sidewall)」におけるものなど)、「高位(higher)」、「低位(lower)」、「上側(upper)」、「上方(over)」、及び「下方(under)」のような語は、図に示しているように、前記の水平面に対して規定される。
【0012】
[0017] 「の上(on)」という語は、要素間で直接の接触があることを示す。「すぐ上、真上(directly on)」という語は、介在する要素がない要素間での直接の接触を示す。
【0013】
[0018] 当業者であれば、処理領域について説明するための「第1(first)」や「第2(second)」などの序数の使用が、処理チャンバにおける具体的な場所、又は、処理チャンバ内での曝露の順序を示唆するものではないことが理解されよう。
【0014】
[0019] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される「基板」という用語は、処理が作用する表面又は表面の一部分を表している。また、基板に対して言及がなされるとき、文脈において特に明示されない限り、基板の一部のみを指すことができることを当業者は理解するであろう。更に、基板上への堆積に対して言及がなされるとき、それは、ベア基板と、1以上の膜又は特徴が上に堆積又は形成された基板と、の両方を意味する。
【0015】
[0020] 次に図2を参照すると、極紫外線リソグラフィシステム100の例示的な一実施形態が示されている。極紫外線リソグラフィシステム100は、極紫外線光112を生成するための極紫外線光源102、一組の反射素子、及びターゲットウエハ110を含む。反射素子は、コンデンサ104、EUV反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、鏡、又はこれらの組み合わせを含む。
【0016】
[0021] 極紫外線光源102は、極紫外線光112を生成する。極紫外線光112は、5から50ナノメートル(nm)の範囲内の波長を有する電磁放射である。例えば、極紫外線光源102は、レーザー、レーザー生成プラズマ、放電生成プラズマ、自由電子レーザー、シンクロトロン放射線、又はこれらの組み合わせを含む。
【0017】
[0022] 極紫外線光源102は、様々な特性を有する極紫外線光112を生成する。極紫外線光源102は、ある範囲の波長にわたる広帯域の極紫外線放射を生成する。例えば、極紫外線源102は、5から50nmの範囲の波長を有する極紫外線112を発生させる。
【0018】
[0023] 1以上の実施形態では、極紫外線光源102が、狭帯域幅を有する極紫外線光112を生成する。例えば、極紫外線源102は、13.5nmの極紫外線112を発生させる。波長ピークの中心は、13.5nmである。
【0019】
[0024] コンデンサ104は、極紫外線光112を反射し、集中させるための光学ユニットである。コンデンサ104は、極紫外線光源102からの極紫外線光112を反射し、集中させて、EUV反射マスク106を照射する。
【0020】
[0025] コンデンサ104は、単一の要素として示されているが、幾つかの実施形態におけるコンデンサ104は、極紫外線光112を反射し、集中させるために、凹面鏡、凸面鏡、平面鏡、又はそれらの組み合わせなどの1以上の反射素子を含むことが理解される。例えば、幾つかの実施形態におけるコンデンサ104は、単一の凹面鏡、又は凸状、凹状、及び平坦な光学素子を有する光学アセンブリである。
【0021】
[0026] EUV反射マスク106は、マスクパターン114を有する極紫外線反射素子である。EUV反射マスク106は、リソグラフィパターンを作成して、ターゲットウエハ110上に形成される回路レイアウトを形成する。EUV反射マスク106は、極紫外線光112を反射する。マスクパターン114は、回路レイアウトの一部分を画定する。
【0022】
[0027] 光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の像を縮小するための光学ユニットである。EUV反射マスク106からの極紫外線光112の反射は、光学縮小アセンブリ108によって縮小され、ターゲットウエハ110上に反射される。幾つかの実施形態における光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の像のサイズを縮小するために、鏡及び他の光学素子を含む。例えば、幾つかの実施形態における光学縮小アセンブリ108は、極紫外線光112を反射し、集中させるための凹面鏡を含む。
【0023】
[0028] 光学縮小アセンブリ108は、ターゲットウエハ110上のマスクパターン114の像のサイズを縮小する。例えば、幾つかの実施形態におけるマスクパターン114は、光学縮小アセンブリ108によってターゲットウエハ110上で4:1の比率で像を結び、マスクパターン114によって表される回路をターゲットウエハ110上に形成する。幾つかの実施形態における極紫外線光112は、ターゲットウエハ110と同期するようにEUV反射マスク106をスキャンして、ターゲットウエハ110上にマスクパターン114を形成する。
【0024】
[0029] 次に図3を参照すると、極紫外線反射素子製造システム200の一実施形態が示されている。極紫外線反射素子は、EUVマスクブランク204、極紫外線鏡205、又はEUV反射マスク106などの他の反射素子を含む。
【0025】
[0030] 幾つかの実施形態における極紫外線反射素子製造システム200は、図2の極紫外線光112を反射するマスクブランク、鏡、又は他の素子を製造する。極紫外反射素子製造システム200は、ソース基板203に薄いコーティングを付加することによって、反射素子を製造する。
【0026】
[0031]EUVマスクブランク204は、図2のEUV反射マスク106を形成するための多層構造体である。幾つかの実施形態におけるEUVマスクブランク204は、半導体製造技法を使用して形成される。幾つかの実施形態におけるEUV反射マスク106は、エッチング及び他のプロセスによってEUVマスクブランク204上に形成された図2のマスクパターン114を有する。
【0027】
[0032] 極紫外線鏡205は、ある範囲の極紫外線光を反射する多層構造である。幾つかの実施形態における極紫外線鏡205は、半導体製造技法を使用して形成される。幾つかの実施形態におけるEUVマスクブランク204及び極紫外線鏡205は、各素子上に形成された層であることに関して類似するが、極紫外線鏡205はマスクパターン114を有さない。
【0028】
[0033] 反射素子は、極紫外線光112の効率的なリフレクタである。一実施形態では、EUVマスクブランク204及び極紫外線鏡205が、60%を超える極紫外線反射率を有する。反射素子が60%を超える極紫外線光112を反射する場合、反射素子は効率的である。
【0029】
[0034] 極紫外線反射素子製造システム200は、ソース基板203がその中に装填され、反射素子がそこから取り出される、ウエハ装填・キャリア操作システム202を含む。雰囲気操作システム206により、ウエハ操作減圧チャンバ208へのアクセスが提供される。幾つかの実施形態におけるウエハ装填・キャリア操作システム202は、基板搬送ボックス、ロードロック、及び他の構成要素を含み、基板を雰囲気からシステムの内側の減圧に移送する。EUVマスクブランク204を使用して、非常に小さいスケールでデバイスを形成するので、ソース基板203及びEUVマスクブランク204は、汚染及び他の欠陥を防止するために減圧システム内で処理される。
【0030】
[0035] 幾つかの実施形態におけるウエハ操作減圧チャンバ208は、2つの減圧チャンバ、すなわち第1の減圧チャンバ210と第2の減圧チャンバ212とを含む。第1の減圧チャンバ210は、第1のウエハ操作システム214を含み、第2の減圧チャンバ212は、第2のウエハ操作システム216を含む。ウエハ操作減圧チャンバ208は、2つの減圧チャンバを伴って説明されるが、幾つかの実施形態におけるシステムは、任意の数の減圧チャンバを有することが理解される。
【0031】
[0036] 幾つかの実施形態におけるウエハ操作減圧チャンバ208は、様々な他のシステムの取り付け用に、その周縁の周りに複数のポートを有する。第1の減圧チャンバ210は、ガス抜きシステム218、第1の物理的気相堆積システム220、第2の物理的気相堆積システム222、及び予洗浄システム224を有する。ガス抜きシステム218は、基板から水分を熱的に脱着させるためのものである。予洗浄システム224は、ウエハ、マスクブランク、鏡、又は他の光学構成要素の表面を洗浄するためのものである。
【0032】
[0037] 幾つかの実施形態における第1の物理的気相堆積システム220や第2の物理的気相堆積システム222などのような物理的気相堆積システムを使用して、ソース基板203上に導電性材料の薄膜を形成する。例えば、幾つかの実施例における物理的気相堆積システムは、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、又はこれらの組み合わせなどのような減圧堆積システムを含む。マグネトロンスパッタリングシステムなどの物理的気相堆積システムは、シリコン、金属、合金、化合物、又はこれらの組み合わせの層を含む薄い層をソース基板203上に形成する。
【0033】
[0038] 物理的気相堆積システムは、反射層、キャッピング層、及び吸収体層を形成する。例えば、幾つかの実施形態における物理的気相堆積システムは、シリコン、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、アンチモン、鉄、銅、ホウ素、ニッケル、テルル、ハフニウム、窒化物、化合物、又はそれらの組み合わせの層を形成する。幾つかの化合物は酸化物として説明されるが、幾つかの実施形態における化合物は、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、又はそれらの組み合わせを含むことが理解される。
【0034】
[0039] 第2の減圧チャンバ212は、それに接続された、第1のマルチカソード源226、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232を有する。例えば、幾つかの実施形態における化学気相堆積システム228は、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマアシスト化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾルアシストCVD、熱フィラメントCVDシステム、又は同様のシステムを含む。別の一実施例では、幾つかの実施形態における化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232が、極紫外線反射素子製造システム200とは別個のシステム内にある。
【0035】
[0040] 幾つかの実施形態における化学気相堆積システム228は、ソース基板203上に材料の薄膜を形成する。例えば、幾つかの実施形態における化学気相堆積システム228を使用して、ソース基板203上に、モノ結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、又はそれらの組み合わせを含む、材料の層を形成する。幾つかの実施形態では、化学気相堆積システム228が、シリコン、酸化ケイ素、酸炭化ケイ素(silicon oxycarbide)、タンタル、テルル、アンチモン、ハフニウム、鉄、銅、ホウ素、ニッケル、タングステン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、及び化学気相堆積に適した他の材料の層を形成する。例えば、幾つかの実施形態における化学気相堆積システムは、平坦化層を形成する。
【0036】
[0041] 第1のウエハ操作システム214は、連続的な減圧下で、雰囲気操作システム206と、第1の減圧チャンバ210の周縁の周りにある様々なシステムと、の間でソース基板203を移動させることができる。第2のウエハ操作システム216は、連続的な減圧内にソース基板203を維持しながら、第2の減圧チャンバ212の周りでソース基板203を移動させることができる。幾つかの実施形態の極紫外線反射素子製造システム200は、ソース基板203及びEUVマスクブランク204を、連続的な減圧内で、第1のウエハ操作システム214と第2のウエハ操作システム216との間で移送する。
【0037】
[0042] 次に図4を参照すると、極紫外線反射素子302の一実施形態が示されている。1以上の実施形態では、極紫外線反射素子302は、図3のEUVマスクブランク204又は図3の極紫外線鏡205である。EUVマスクブランク204及び極紫外線鏡205は、図2の極紫外線光112を反射させるための構造体である。幾つかの実施形態におけるEUVマスクブランク204を使用して、図2で示されているEUV反射マスク106を形成する。
【0038】
[0043] 極紫外線反射素子302は、基板304、反射層の多層積層体306、及びキャッピング層308を含む。1以上の実施形態では、極紫外線鏡205を使用して、図2のコンデンサ104又は図2の光学縮小アセンブリ108内で使用される反射構造を形成する。
【0039】
[0044] 極紫外線反射素子302は、幾つかの実施形態ではEUVマスクブランク204であり、基板304、反射層の多層積層体306、キャッピング層308、及び吸収体層310を含む。幾つかの実施形態における極紫外線反射素子302は、EUVマスクブランク204であり、これを使用して、吸収体層310に必要とされる回路のレイアウトをパターニングすることによって、図2のEUV反射マスク106を形成する。
【0040】
[0045] 以下のセクションでは、簡略化のために、EUVマスクブランク204向けの用語が、極紫外線鏡205の用語と相互交換可能に使用される。1以上の実施形態では、EUVマスクブランク204が、図2のマスクパターン114を形成するために追加された吸収体層310を伴う、極紫外線鏡205の構成要素を含む。
【0041】
[0046]EUVマスクブランク204は、マスクパターン114を有するEUV反射マスク106を形成するために使用される光学的に平坦な構造体である。1以上の実施形態では、EUVマスクブランク204の反射面が、図2の極紫外線光112などの入射光を反射するための平坦な焦点面を形成する。
【0042】
[0047]基板304は、極紫外線反射素子302に構造的支持を与える要素である。1以上の実施形態では、基板304が、温度変化中に安定性を提供するために、低熱膨張係数(CTE)を有する材料から作製される。1以上の実施形態では、基板304が、機械サイクル、熱サイクル、結晶形成、又はそれらの組み合わせに対する安定性などの特性を有する。1以上の実施形態による基板304は、シリコン、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、又はこれらの組み合わせなどの材料から形成される。
【0043】
[0048] 多層積層体306は、極紫外線光112を反射する構造である。多層積層体306は、第1の反射層312と第2の反射層314の交互の反射層を含む。
【0044】
[0049] 第1の反射層312と第2の反射層314は、図4の反射対316を形成する。非限定的な一実施形態では、多層積層体306が、20~60の範囲の反射対316(合計で最大120までの反射層)を含む。
【0045】
[0050] 幾つかの実施形態における第1の反射層312と第2の反射層314とは、様々な材料から形成される。一実施形態では、第1の反射層312と第2の反射層314とが、それぞれ、シリコンとモリブデンとから形成される。層は、シリコンとモリブデンとして示されているが、幾つかの実施形態における交互層は、他の材料から形成されるか又は他の内部構造を有することが理解される。
【0046】
[0051] 幾つかの実施形態の第1の反射層312と第2の反射層314とは、様々な構造を有する。一実施形態では、第1の反射層312と第2の反射層314との両方が、単一層、複数の層、分割層構造、不均一構造、又はそれらの組み合わせで形成される。
【0047】
[0052] 大部分の材料は、極紫外線波長の光を吸収するので、使用される光学素子は、他のリソグラフィシステムで使用されるような透過性ではなく、反射性である。多層積層体306は、異なる光学特性を有する材料の薄い交互層を有することによって反射性構造を形成して、ブラッグリフレクタ(Bragg reflector)又は鏡を生成する。
【0048】
[0053] 一実施形態では、交互層のそれぞれが、極紫外線光112に対して異なる光学定数を有する。交互層の厚さの周期が、極紫外線光112の波長の半分であるときに、交互層は共鳴反射率(resonant reflectivity)を提供する。一実施形態では、波長13nmの極紫外線112に対し、交互層は約6.5nmの厚さである。提示されるサイズ及び寸法は、典型的な要素の通常の工学的許容誤差内であることを理解されたい。
【0049】
[0054] 幾つかの実施形態における多層積層体306は、様々な方法で形成される。一実施形態では、第1の反射層312と第2の反射層314とが、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、又はそれらの組み合わせで形成される。
【0050】
[0055] 例示的な一実施形態では、多層積層体306が、マグネトロンスパッタリングなどの物理的気相堆積技法を使用して形成される。一実施形態では、多層積層体306の第1の反射層312と第2の反射層314とが、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清浄なインターフェースを含む、マグネトロンスパッタリング技法によって形成される特性を有する。一実施形態では、多層積層体306の第1の反射層312と第2の反射層314とが、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清浄なインターフェースを含む、物理的気相堆積によって形成される特性を有する。
【0051】
[0056] 幾つかの実施態様における物理的気相堆積技法を使用して形成される多層積層体306の層の物理的寸法は、反射率を高めるように正確に制御される。一実施形態では、シリコンの層などの第1の反射層312が、4.1nmの厚さを有する。モリブデンの層などの第2の反射層314は、2.8nmの厚さを有する。層の厚さにより、極紫外線反射素子のピーク反射率波長が決まる。層の厚さが正しくない場合、幾つかの実施形態では、所望の波長13.5nmにおける反射率が低下する。
【0052】
[0057] 一実施形態では、多層積層体306が、60%を超える反射率を有する。一実施形態では、物理的気相堆積を使用して形成される多層積層体306が、66%~67%の範囲内の反射率を有する。1以上の実施形態では、多層積層体306の上に、より硬い材料で形成されたキャッピング層308を形成することによって、反射率が改善される。幾つかの実施形態では、低い粗さの層、層間の清浄なインターフェース、改善された層材料、又はこれらの組み合わせを使用して、70%を超える反射率が実現される。
【0053】
[0058] 1以上の実施形態では、キャッピング層308が、極紫外線光112の透過を可能にする保護層である。一実施形態では、キャッピング層308が、多層積層体306上に直接的に形成される。1以上の実施形態では、キャッピング層308が、多層積層体306を汚染及び機械的損傷から保護する。一実施形態では、多層積層体306が、酸素、タンタル、ハイドロタンタル(hydrotantalum)、又はそれらの組み合わせによる汚染の影響を受け易い。一実施形態によるキャッピング層308は、汚染物と相互作用してそれらを中和する。
【0054】
[0059] 1以上の実施形態では、キャッピング層308が、極紫外線光112に対して透明な光学的に均一な構造である。極紫外線光112は、キャッピング層308を通過して、多層積層体306から反射する。1以上の実施形態では、キャッピング層308が、1%から2%の全反射率損失を有する。1以上の実施形態では、種々の材料のそれぞれが、厚さに応じて種々の反射率損失を有するが、それらの全てが1%から2%の範囲内である。
【0055】
[0060] 1以上の実施形態では、キャッピング層308が滑らかな表面を有する。例えば、幾つかの実施形態のキャッピング層308の表面は、0.2nm RMS(二乗平均平方根測定値)未満の粗さを有する。別の実施例では、キャッピング層308の表面は、1/100nmと1/1μmの範囲内の長さに対して、0.08nm RMSの粗さを有する。RMS粗さは、測定範囲によって変化する。100nmから1ミクロンの特定範囲に対しては、粗さは0.08nm以下である。より広い範囲では、粗さも上がる。
【0056】
[0061] 幾つかの実施形態におけるキャッピング層308は、様々な方法で形成される。一実施形態では、キャッピング層308が、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、イオンビーム堆積、電子ビーム蒸着、高周波(RF)スパッタリング、原子層堆積(ALD)、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、又はそれらの組み合わせを用いて、多層積層体306上又はその真上に直接的に形成される。1以上の実施形態では、キャッピング層308が、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清浄なインターフェースを含む、マグネトロンスパッタリング技法によって形成される物理的特性を有する。一実施形態では、キャッピング層308が、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清浄なインターフェースを含む、物理的気相堆積によって形成される物理的特性を有する。
【0057】
[0062] 1以上の実施形態では、キャッピング層308が、洗浄中の浸食に抵抗するのに十分な硬度を有する様々な材料から形成される。一実施形態では、ルテニウムが、キャッピング層の材料として使用される。というのも、それは、優れたエッチング停止であり、動作条件下で比較的不活性だからである。しかし、幾つかの実施形態における他の材料も、キャッピング層308を形成するために使用されることが理解される。特定の実施形態では、キャッピング層308は、2.5から5.0nmの範囲内の厚さを有する。
【0058】
[0063] 1以上の実施形態では、吸収体層310が、極紫外線光112を吸収する層である。一実施形態では、吸収体層310が、極紫外線光112を反射しないエリアを設けることによって、EUV反射マスク106上にパターンを形成するために使用される。1以上の実施形態による吸収体層310は、極紫外線112の特定の周波数(約13.5nmなど)に対して高吸収係数を有する材料を含む。一実施形態では、吸収体層310は、キャッピング層308上に直接形成され、そして、吸収体層310は、フォトリソグラフィプロセスを用いてエッチングされ、EUV反射マスク106のパターンが形成される。
【0059】
[0064] 1以上の実施形態によれば、極紫外線鏡205などの極紫外線反射素子302は、基板304、多層積層体306、及びキャッピング層308で形成される。極紫外線鏡205は、光学的に平坦な表面を有し、幾つかの実施形態では、極紫外線光112を効率的に且つ均一に反射する。
【0060】
[0065] 1以上の実施形態によれば、EUVマスクブランク204などの極紫外線反射素子302は、基板304、多層積層体306、キャッピング層308、及び吸収体層310で形成される。マスクブランク204は、光学的に平坦な表面を有し、幾つかの実施形態では、極紫外線光112を効率的に且つ均一に反射する。一実施形態では、EUVマスクブランク204の吸収体層310にマスクパターン114が形成される。
【0061】
[0066] 1以上の実施形態によれば、吸収体層310をキャッピング層308の上に形成することにより、EUV反射マスク106の信頼性が増加する。キャッピング層308は、吸収体層310のエッチング停止層として機能する。図2のマスクパターン114が、吸収体層310の中にエッチングされたときに、吸収体層310の下のキャッピング層308は、エッチング作用を停止して、多層積層体306を保護する。1以上の実施形態では、吸収体層310が、キャッピング層308に対してエッチング選択性を有する。幾つかの実施形態では、キャッピング層308がルテニウムを含み、吸収体層310が、ルテニウムに対してエッチング選択性を有する。
【0062】
[0067] 一実施態様では、吸収体層310が、ホウ素とニッケルとの合金を含む。幾つかの実施形態では、吸収体が、約45nm未満の厚さを有する。幾つかの実施形態では、吸収体層が、約40nm未満、約35nm未満、約30nm未満、約25nm未満、約20nm未満、約15nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約1nm未満、又は約0.5nm未満を含む、約45nm未満の厚さを有する。他の実施形態では、吸収体層310が、約1nmから約44nm、1nmから約40nm、及び15nmから約40nmの範囲を含む、約0.5nmから約45nmの範囲内の厚さを有する。
【0063】
[0068] 理論に束縛されることを意図するものではないが、約45nm未満の厚さを有する吸収体層310は、有利なことに、約2%未満の反射率を有する吸収体層をもたらし、極端紫外線(EUV)マスクブランクにおける3Dマスク効果を低減及び軽減させると考えられる。
【0064】
[0069] 一実施態様では、吸収体層310が、ホウ素とニッケルとの合金から作製される。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金は、合金の総重量に基づいて、約2重量%から約10.9重量%のホウ素と、約89.1重量%から約98重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、約3重量%から約9.9重量%のホウ素と、約90.1重量%から約97重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、5重量%から約7.9重量%のホウ素と約92.1重量%から約95重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である。1以上の実施形態では、合金が単相合金である。
【0065】
[0070] 特定の一実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金がニッケルリッチ合金である。本明細書で使用される「ニッケルリッチ」という用語は、合金中にホウ素よりも多くのニッケルが存在することを意味する。例えば、特定の一実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、約89.1重量%から約98重量%のニッケルを含む合金である。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である。1以上の実施例では、合金が単相合金である。
【0066】
[0071] 1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金がドーパントを含む。ドーパントは、窒素又は酸素のうちの1以上から選択され得る。一実施形態では、ドーパントが酸素を含む。代替的な一実施形態では、ドーパントが窒素を含む。一実施形態では、ドーパントが、合金の重量に基づいて、約0.1重量%から約5重量%の範囲内の量で合金内に存在する。他の実施形態では、ドーパントが、約0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0%重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、又は5.0重量%の量で合金内に存在する。
【0067】
[0072] 1以上の実施形態では、吸収体層の合金が、物理的堆積チャンバ内で形成された共スパッタリング合金吸収体材料であり、これは、幾つかの実施形態では、2%未満の反射率及び適切なエッチング特性を実現しながら、はるかに薄い吸収体層厚さ(30nm未満)を提供する。1以上の実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1以上から選択されるガスによって共スパッタリング(co-sputtered)される。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、アルゴンガスと酸素ガスとの混合物(Ar+O2)によって共スパッタリングされる。幾つかの実施形態では、アルゴンと酸素との混合物による共スパッタリングが、ホウ素の酸化物及び/又はニッケルの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素との混合物による共スパッタリングが、ホウ素又はニッケルの酸化物を形成しない。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、アルゴンガスと窒素ガスとの混合物(Ar+N2)によって共スパッタリングされる。幾つかの実施形態では、アルゴンと窒素との混合物による共スパッタリングが、ホウ素の窒化物及び/又はニッケルの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素との混合物による共スパッタリングが、ホウ素又はニッケルの窒化物を形成しない。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスとの混合物(Ar+O2+N2)によって共スパッタリングされる。幾つかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物による共スパッタリングが、ホウ素の酸化物及び/若しくは窒化物並びに/又はニッケルの酸化物及び/若しくは窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物による共スパッタリングが、ホウ素又はニッケルの酸化物又は窒化物を形成しない。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層のエッチング特性及び/又は他の特性が、上述のように、(1以上の)合金百分率を制御することによって仕様に合わせられる。一実施形態では、幾つかの実施形態における(1以上の)合金百分率が、物理的気相堆積チャンバの電圧、圧力、流量などの動作パラメータによって正確に制御される。一実施形態では、プロセスガスを使用して材料特性を更に修正し、例えば、N2ガスを使用してホウ素とニッケルの窒化物を形成する。
【0068】
[0073] 1以上の実施形態では、本明細書で使用されるときに、「共スパッタリング」が、2つのターゲット、すなわちホウ素を含む1つのターゲットとニッケルを含む第2のターゲットとが、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)から選択される1以上のガスを使用して同時にスパッタリングされて、ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体層を堆積させ/形成することを意味する。
【0069】
[0074] 他の実施形態では、幾つかの実施形態におけるホウ素とニッケルとの合金が、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1以上から選択されるガスを使用して、ホウ素層とニッケル層との積層体として層毎に堆積される。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、アルゴンガスと酸素ガスとの混合物(Ar+O2)を使用して、ホウ素層とニッケル層との積層体として層毎に堆積される。幾つかの実施形態では、アルゴンと酸素との混合物を使用した層毎の堆積が、ホウ素の酸化物及び/又はニッケルの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素との混合物を使用する層毎の堆積が、ホウ素又はニッケルの酸化物を形成しない。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、アルゴンガスと窒素ガスとの混合物(Ar+N2)を使用して、ホウ素層とニッケル層との積層体として層毎に堆積される。幾つかの実施形態では、アルゴンと窒素との混合物を使用する層毎の堆積が、ホウ素の窒化物及び/又はニッケルの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素との混合物を使用する層毎の堆積が、ホウ素又はニッケルの窒化物を形成しない。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスとの混合物(Ar+O2+N2)を使用して、ホウ素層とニッケル層との積層体として層毎に堆積される。幾つかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物を使用する層毎の堆積が、ホウ素の酸化物及び/若しくは窒化物並びに/又はニッケルの酸化物及び/若しくは窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物を使用する層毎の堆積が、ホウ素又はニッケルの酸化物又は窒化物を形成しない。
【0070】
[0075] 1以上の実施形態では、本明細書で説明される合金組成のバルクターゲットが、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1以上から選択されるガスを使用して、通常のスパッタリングによって作製され得る。1以上の実施形態では、合金が、その合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、又は窒素(N2)のうちの1以上から選択されるガスを使用してスパッタリングされて、吸収体層を形成する。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、その合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴンガスと酸素ガスとの混合物(Ar+O2)を使用してスパッタリングされる。幾つかの実施形態では、アルゴンと酸素との混合物を使用するバルクターゲットの堆積が、ホウ素の酸化物及び/又はニッケルの酸化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素との混合物を使用するバルクターゲットの堆積が、ホウ素又はニッケルの酸化物を形成しない。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、その合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴンガスと窒素ガスとの混合物(Ar+N2)を使用してスパッタリングされる。幾つかの実施形態では、アルゴンと窒素との混合物を使用するバルクターゲットの堆積が、ホウ素の窒化物及び/又はニッケルの窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと窒素との混合物を使用するバルクターゲットの堆積が、ホウ素又はニッケルの窒化物を形成しない。一実施形態では、幾つかの実施形態における吸収体層の合金が、その合金と同じ組成を有するバルクターゲットを使用して堆積され、アルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスとの混合物(Ar+O2+N2)を使用してスパッタリングされる。幾つかの実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物を使用するバルクターゲットの堆積が、ホウ素の酸化物及び/若しくは窒化物並びに/又はニッケルの酸化物及び/若しくは窒化物を形成する。他の実施形態では、アルゴンと酸素と窒素との混合物を使用するバルクターゲットの堆積が、ホウ素又はニッケルの酸化物又は窒化物を形成しない。幾つかの実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、0.1重量%から5重量%の範囲内の窒素又は酸素のうちの1以上でドープされる。
【0071】
[0076] 幾つかの実施形態におけるEUVマスクブランクは、第1の吸収体材料を含む第1のカソード、第2の吸収体材料を含む第2のカソード、第3の吸収体材料を含む第3のカソード、第4の吸収体材料を含む第4のカソード、及び第5の吸収体材料を含む第5のカソードを有する物理的堆積チャンバ内で作製され、第1の吸収体材料、第2の吸収体材料、第3の吸収体材料、第4の吸収体材料、及び第5の吸収体材料は互いに異なり、各吸収体材料は他の材料とは異なる吸光係数を有し、各吸収体材料は他の吸収体材料とは異なる屈折率を有する。
【0072】
[0077] 次に図5を参照すると、極紫外線マスクブランク400が、基板414、基板414上の反射層412の多層積層体を含むように示され、反射層412の多層積層体は、複数の反射層対を含む。1以上の実施形態では、複数の反射層対が、モリブデン(Mo)含有材料とシリコン(Si)含有材料から選択される材料から作製される。幾つかの実施形態では、複数の反射層対は、モリブデンとシリコンの交互層を含む。極紫外線マスクブランク400は、反射層412の多層積層体上にキャッピング層422を更に含み、キャッピング層422上に吸収体層の多層積層体420が存在する。1以上の実施形態では、複数の反射層412が、モリブデン(Mo)含有材料とシリコン(Si)含有材料とから選択され、キャッピング層422がルテニウムを含む。
【0073】
[0078] 吸収体層の多層積層体420は、複数の吸収体層対420a、420b、420c、420d、420e、420fを含み、各対(420a/420b、420c/420d、420e/420f)は、ホウ素とニッケルとの合金を含む。幾つかの実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、約2重量%から約10.9重量%のホウ素と、約89.1重量%から約98重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、約3重量%から約9.9重量%のホウ素と、約90.1重量%から約97重量%のニッケルとを含む。
【0074】
[0079] 1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、5重量%から約7.9重量%のホウ素と約92.1重量%から約95重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である。1以上の実施例では、合金が単相合金である。一実施例では、吸収体層420aがニッケルから作製され、吸収体層420bを形成する材料がホウ素である。同様に、吸収体層420cは、ニッケルから作製され、吸収体層420dを形成する材料が、ホウ素であり、吸収体層420eは、ニッケル材料から作製され、吸収体層420fを形成する材料が、ホウ素である。
【0075】
[0080] 一実施形態では、極端紫外線マスクブランク400が、モリブデン(Mo)含有材料及びシリコン(Si)含有材料、例えば、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)とから選択される複数の反射層412を含む。吸収体層420a、420b、420c、420d、420e、及び420fを形成するために使用される吸収体材料は、ホウ素とニッケルとの合金である。幾つかの実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、約2重量%から約10.9重量%のホウ素と、約89.1重量%から約98重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、約3重量%から約9.9重量%のホウ素と、約90.1重量%から約97重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、5重量%から約7.9重量%のホウ素と約92.1重量%から約95重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である。1以上の実施例では、合金が単相合金である。
【0076】
[0081] 1以上の実施形態では、吸収体層対420a/420b、420c/420d、420e/420fが、ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体材料を含む第1の層(420a、420c、420e)、及び、ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体材料を含む第2の吸収体層(420b、420d、420f)を含む。特定の実施態様では、吸収体層対が、ほぼホウ素とニッケルとの合金を有する合金から選択されるホウ素とニッケルとの合金を含む第1の層(420a、420c、420e)と、及びホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体材料を含む第2の吸収体層(420b、420d、420f)とを含む。
【0077】
[0082] 1以上の実施形態によれば、吸収体層対は、第1の層(420a、420c、420e)と第2の吸収体層(420b、420d、420f)とを含み、第1の吸収体層(420a、420c、420e)と第2の吸収体層(420b、420d、420f)とのそれぞれが、0.1nmと10nmとの範囲内、例えば、1nmと5nmとの範囲内、又は1nmと3nmとの範囲内の厚さを有する。1以上の特定の実施形態では、第1の層420aの厚さが、0.5nm、0.6nm、0.7nm、0.8nm、0.9nm、1nm、1.1nm、1.2nm、1.3nm、1.4nm、1.5nm、1.6nm、1.7nm、1.8nm、1.9nm、2nm、2.1nm、2.2nm、2.3nm、2.4nm、2.5nm、2.6nm、2.7nm、2.8nm、2.9nm、3nm、3.1nm、3.2nm、3.3nm、3.4nm、3.5nm、3.6nm、3.7nm、3.8nm、3.9nm、4nm、4.1nm、4.2nm、4.3nm、4.4nm、4.5nm、4.6nm、4.7nm、4.8nm、4.9nm、及び5nmである。1以上の実施形態では、各対の第1の吸収体層と第2の吸収体層の厚さが、同じであるか又は異なっている。例えば、第1の吸収体層と第2の吸収体層は、第1の吸収体層の厚さと第2の吸収体層の厚さとの比が、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、又は20:1となるような厚さを有する。それは、各対において、第1の吸収体層が、第2の吸収体層の厚さ以上の厚さを有することをもたらす。代替的に、第1の吸収体層と第2の吸収体層は、第2の吸収体層の厚さと第1の吸収体層の厚さとの比が、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、又は20:1となるような厚さを有する。それは、各対において、第2の吸収体層が、第1の吸収体層の厚さ以上の厚さを有することをもたらす。
【0078】
[0083] 1以上の実施形態によれば、吸収体層の種々の吸収体材料及び厚さは、極紫外線光が、吸光度によって、及び反射層の多層積層体からの光との破壊的な干渉によってもたらされる相変化によって吸収されるように選択される。図5で示されている実施形態は、3つの吸収体層対(420a/420b、420c/420d、及び420e/420f)を示しているが、特許請求の範囲は、特定の数の吸収体層対に限定されるべきではない。1以上の実施形態によれば、幾つかの実施形態におけるEUVマスクブランク400は、5と60との範囲内の吸収体層対、又は10と40との範囲内の吸収体層対を含む。
【0079】
[0084] 1以上の実施形態によれば、複数の吸収体層は、2%未満の反射率及び他のエッチング特性を提供する厚さを有する。幾つかの実施形態における供給ガスは、複数の吸収体層の材料特性を更に修正するために使用され、例えば、幾つかの実施形態では、窒素(N2)ガスを使用して、上記で提供された材料の窒化物を形成する。1以上の実施形態による複数の吸収体層の多層積層体は、種々の材料の個々の厚さの繰り返しパターンである。それによって、EUV光は、吸光度によって吸収されるだけではなく、多層吸収体積層体によってもたらされる相変化によっても吸収される。それは、下にある反射材料の多層積層体からの光と破壊的に干渉して、より良好なコントラスト(better contrast)を提供する。
【0080】
[0085] 本開示の別の一態様は、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法に関し、該方法は、基板上に反射層の多層積層体を形成することであって、多層積層体は複数の反射層対を含む、多層積層体を形成すること、キャッピング層を反射層の多層積層体上に形成すること、及び、ホウ素とニッケルとの合金を含む吸収体層をキャッピング層上に形成することを含み、ホウ素とニッケルとの合金は、合金の総重量に基づいて、約2重量%から約10.9重量%のホウ素と、約89.1重量%から約98重量%のニッケルとを含む、ほぼホウ素とニッケルとの合金を含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、約3重量%から約9.9重量%のホウ素と、約90.1重量%から約97重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、5重量%から約7.9重量%のホウ素と、約92.1重量%から約95重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である。1以上の実施例では、合金が単相合金である。
【0081】
[0086] 幾つかの実施形態におけるEUVマスクブランクは、図4及び図5に関連して上述された実施形態の特性うちの何れかを有し、幾つかの実施形態の方法は、図3に関連して説明されたシステム内で実行される。
【0082】
[0087] したがって、一実施形態では、複数の反射層は、モリブデン(Mo)含有材料とシリコン(Si)含有材料とから選択され、吸収体層は、ホウ素とニッケルとの合金であり、ホウ素とニッケルとの合金は、合金の総重量に基づいて、約2重量%から約10.9重量%のホウ素と、約89.1重量%から約98重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、約3重量%から約9.9重量%のホウ素と、約90.1重量%から約97重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、5重量%から約7.9重量%のホウ素と、約92.1重量%から約95重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である。1以上の実施例では、合金が単相合金である。
【0083】
[0088] 別の特定の方法の一実施形態では、種々の吸収体層が、第1の吸収体材料を含む第1のカソードと、第2の吸収体材料を含む第2のカソードと、を有する物理的堆積チャンバ内で形成される。次に図6を参照すると、一実施形態によるマルチカソードソースチャンバ500の上部が示されている。マルチカソードチャンバ500は、上部アダプタ504によって覆われている円筒形本体部502を有する基礎構造501を含む。上部アダプタ504は、上部アダプタ504の周りに配置されたカソードソース506、508、510、512、及び514等の幾つかのカソードソースを提供する。
【0084】
[0089] 1以上の実施形態では、本方法が、5nmと60nmとの範囲内の厚さを有する吸収体層を形成する。1以上の実施形態では、吸収体層が、51nmと57nmとの範囲内の厚さを有する。1以上の実施形態では、吸収体層を形成するために使用される材料が、吸収体層のエッチング特性に影響を与えるように選択される。1以上の実施形態では、吸収体層の合金が、物理的堆積チャンバ内で形成された合金吸収体材料を共スパッタリングすることによって形成され、これは、幾つかの実施形態では、はるかに薄い吸収体層厚さ(30nm未満)を提供し、2%未満の反射率及び所望のエッチング特性を実現する。一実施形態では、吸収体層のエッチング特性及び他の所望の特性が、各吸収体材料の合金百分率を制御することによって仕様に合わせられる。一実施形態では、幾つかの実施形態における合金百分率が、物理的気相堆積チャンバの電圧、圧力、流量などの動作パラメータによって正確に制御される。一実施形態では、プロセスガスを使用して材料特性を更に修正し、例えば、N2ガスを使用してホウ素とニッケルとの窒化物を形成する。幾つかの実施形態における合金吸収体材料は、合金の総重量に基づいて、約2重量%から約10.9重量%のホウ素と、約89.1重量%から約98重量%のニッケルとを含む、ホウ素とニッケルとの合金を含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、約3重量%から約9.9重量%のホウ素と、約90.1重量%から約97重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が、合金の総重量に基づいて、5重量%から約7.9重量%のホウ素と、約92.1重量%から約95重量%のニッケルとを含む。1以上の実施形態では、ホウ素とニッケルとの合金が非晶質である。1以上の実施例では、合金が単相合金である。
【0085】
[0090] 幾つかの実施形態におけるマルチカソードソースチャンバ500は、図3で示されているシステムの部分である。一実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランク製造システムが、減圧を生成するための基板操作減圧チャンバ、基板操作減圧チャンバ内に装填される基板を搬送するための減圧内の基板操作プラットフォーム、並びに、EUVマスクブランクを形成するために、基板操作プラットフォームによってアクセスされる複数のサブチャンバを含み、EUVマスクブランクは、基板上の反射層の多層積層体を含み、多層積層体は、複数の反射層対、反射層の多層積層体上のキャッピング層、及びキャッピング層上の吸収体層を含み、吸収体層は、ホウ素とニッケルとの合金から作製される。幾つかの実施形態におけるシステムは、EUVマスクブランクであって、図4又は図5に関連して示され、上記の図4又は図5に関連して説明されたEUVマスクブランクに関連して説明された特性のうちの何れかを有する、EUVマスクブランクを作製するために使用される。
【0086】
[0091] プロセスは、概して、ソフトウェアルーチンとしてメモリ内に記憶され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されたときに、プロセスチャンバに本開示のプロセスを実行させる。ソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されるハードウェアから遠隔に位置付けられた第2のプロセッサ(図示せず)によって、記憶及び/又は実行することもできる。本開示の方法の一部又は全部をハードウェア内で実行することもできる。したがって、プロセスは、ソフトウェア内に実装され、コンピュータシステムを使用して、例えば、特定用途向け集積回路若しくは他の種類のハードウェア実施態様としての、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとしてのハードウェア内で実行され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、処理が実行されるようにチャンバの動作を制御する特定用途コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0087】
[0092] この明細書全体を通じて、「一実施形態(one embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、「1以上の実施形態(one or more embodiments)」、又は「実施形態(an embodiment)」に対する言及は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。故に、この明細書全体の様々な箇所での「1以上の実施形態で」、「特定の実施形態で」、「一実施形態で」、又は「実施形態で」などの表現は、必ずしも、本開示の同一の実施形態に言及するものではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特質は、1以上の実施形態において、任意の適切なやり方で組み合わされ得る。
【0088】
[0093] 本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な改変及び変形を行い得ることが、当業者には明らかになろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】