(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-29
(54)【発明の名称】研磨プラテン及び研磨プラテンの製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/12 20120101AFI20220722BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B24B37/12 D
H01L21/304 622F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569865
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2020034740
(87)【国際公開番号】W WO2020243196
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ボム ジク
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】グルサミー, ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ズニガ, スティーブン エム.
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158EA11
3C158EB01
3C158EC06
3C158ED00
5F057AA24
5F057AA37
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB03
5F057EC26
(57)【要約】
本開示の実施形態は、概して、化学機械研磨(CMP)システムで使用される研磨プラテンを製造する方法、及びその方法から形成される研磨プラテンに関する。研磨プラテンを製造する方法は、研磨プラテンを製造システムの支持体上に配置することを含む。製造システムは、支持体、及び支持体と対向する切削ツールを含む。ここで、研磨プラテンは、ポリマー層が表面上に配置された円筒状の金属本体を含み、ポリマー層は約100μm以上の厚さを有する。該方法は、研磨パッド取り付け面を形成するために、前記切削ツールを使用してポリマー層の少なくとも一部分を除去することを更に含む。有益なことに、該方法を使用して、所望の平坦度又は凹形状若しくは凸形状などの形状を有するパッド取り付け面を形成することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨プラテンを製造する方法であって、
研磨プラテンを製造システムの支持体上に配置することであって、前記製造システムは、前記支持体及び前記支持体に対向する切削ツールを含み、前記研磨プラテンは、ポリマー層が表面上に配置された円筒状の金属本体を含み、前記ポリマー層は、約100μm以上の厚さを有する、研磨プラテンを製造システムの支持体上に配置すること、並びに
パッド取り付け面を形成するために、前記切削ツールを使用して前記ポリマー層の少なくとも一部分を除去することを含む、方法。
【請求項2】
前記研磨パッド取り付け面の中心と、前記中心から半径方向外向きに配置された点との間の高さの差が、約25μm以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー層は、フルオロポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー層の平均厚さが、約100μm以上であり、
前記ポリマー層の前記一部分を除去することにより、コーティング層を形成し、
前記コーティング層の厚さが、前記研磨プラテンの直径にわたり約25μm以上変化し、
前記研磨パッド取り付け面は、凹形状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー層の平均厚さが、約100μm以上であり、
前記ポリマー層の前記一部分を除去することにより、コーティング層を形成し、
前記コーティング層の厚さが、前記研磨プラテンの直径にわたり約25μm以上変化し、
前記研磨パッド取り付け面は、凸形状を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー層の平均厚さが、約100μm以上であり、
前記ポリマー層の前記一部分を除去することにより、コーティング層を形成し、
前記コーティング層の厚さが、前記研磨プラテンの直径にわたり約25μm以上変化し、
前記研磨パッド取り付け面の直径にわたる平坦度が、約25μm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パッド取り付け面は、第1の半径において第1の表面高さを有し、第2の半径において第2の表面高さを有し、
前記第2の半径は、前記第1の半径の半径方向内側に配置され、
前記第1の表面高さと前記第2の表面高さとは、前記第1の半径において前記パッド取り付け面と平行な基準面からのそれぞれの距離として測定され、
前記第1の表面高さと前記第2の表面高さとの間の距離は、約25μm以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記パッド取り付け面は、第1の半径において第1の表面高さを有し、第2の半径において第2の表面高さを有し、
前記第2の半径は、前記第1の半径の半径方向内側に配置され、
前記第1の表面高さと前記第2の表面高さとは、前記第1の半径において前記パッド取り付け面と平行な基準面からのそれぞれの距離として測定され、
前記パッド取り付け面は、第3の半径において第3の表面高さを有し、
前記第3の半径は、前記第1の半径と前記第2の半径との間に配置され、
前記第3の表面高さは、前記基準面と同一平面上にあり、
前記第1の表面高さと前記第2の表面高さとは、両方とも前記基準面の上方に配置され又は両方とも前記基準面の下方に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
円筒状の金属本体、及び
第1の半径において第1の表面高さを有し、第2の半径において第2の表面高さを有する円形パッド取り付け面を形成するために、前記金属本体上に配置されたポリマーコーティング層を含み、
前記第2の半径は、前記第1の半径の半径方向内側に配置され、
前記第1の表面高さと前記第2の表面高さとは、前記第1の半径において前記パッド取り付け面と平行な基準面からの距離として測定され、
前記第1の表面高さと前記第2の表面高さとの間の距離は、約25μm以上である、研磨プラテン。
【請求項10】
前記第1の半径は、前記パッド取り付け面の中心に近接して配置される、請求項9に記載の研磨プラテン。
【請求項11】
前記パッド取り付け面は、第3の半径において第3の表面高さを有し、
前記第3の半径は、前記第2の半径の半径方向外側に配置され、
前記第2の表面高さは、前記基準面と同一平面上にあり、
前記第1の表面高さと前記第3の表面高さとは、両方とも前記基準面の上方に配置され又は両方とも前記基準面の下方に配置される、請求項9に記載の研磨プラテン。
【請求項12】
前記ポリマーコーティング層は、前記第1の半径において第1の厚さを有し、前記第2の半径において第2の厚さを有し、
前記第1の厚さと前記第2の厚さとの間の差は、約25μm以上である、請求項9に記載の研磨プラテン。
【請求項13】
前記ポリマーコーティング層は、前記第1の半径において第1の厚さを有し、前記第2の半径において第2の厚さを有し、第3の半径において第3の厚さを有し、
前記第3の半径は、前記第2の半径の半径方向外側に配置され、
前記第2の厚さは、前記第1の厚さと前記第3の厚さの両方よりも大きい、請求項9に記載の研磨プラテン。
【請求項14】
前記ポリマーコーティング層は、フルオロポリマーを含む、請求項9に記載の研磨プラテン。
【請求項15】
円筒状の金属本体、及び
パッド取り付け面を形成するために、前記金属本体上に配置されたポリマーコーティング層を含み、
前記ポリマーコーティング層の厚さは、前記パッド取り付け面の第1の半径から、前記第1の半径から半径方向内側に配置された第2の半径まで変化し、
前記第1の半径における前記厚さと前記第2の半径における前記厚さとの間の差は、約25μm以上である、研磨プラテン。
【請求項16】
前記第1の半径における前記厚さは、前記第1の半径に沿った対応する複数の等距離位置で取得された複数の厚さ測定値から平均され、前記第2の半径における前記厚さは、前記第2の半径に沿った対応する複数の等距離位置で取得された複数の厚さ測定値から平均される、請求項15に記載の研磨プラテン。
【請求項17】
前記研磨コーティング層の前記厚さは、前記第1の半径から第3の半径まで変化し、前記第3の半径は、前記第1の半径と前記第2の半径との間に配置され、
第3の厚さは、第1の厚さと第2の厚さの両方よりも大きい、請求項15に記載の研磨プラテン。
【請求項18】
前記研磨コーティング層の前記厚さは、前記第1の半径から第3の半径まで変化し、
前記第3の半径は、前記第1の半径と前記第2の半径との間に配置され、第3の厚さは、第1の厚さと第2の厚さの両方よりも大きい、請求項15に記載の研磨プラテン。
【請求項19】
前記パッド取り付け面は、前記第1の半径において第1の表面高さを有し、前記第2の半径において第2の表面高さを有し、
前記第1の表面高さと前記第2の表面高さとは、前記第1の半径において前記パッド取り付け面と平行な基準面からの距離として測定され、
前記第1の表面高さと前記第2の表面高さとの間の差は、約25μm以上である、請求項15に記載の研磨プラテン。
【請求項20】
前記ポリマーコーティング層は、フルオロポリマーを含む、請求項15に記載の研磨プラテン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本明細書で説明される実施形態は、広くは、化学機械研磨(CMP)システムで使用される研磨プラテン、及びそれに関連する研磨プラテンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 化学機械研磨(CMP)は、一般的に、高密度集積回路の製造で使用され、基板上に堆積した材料の層を平坦化又は研磨する。典型的なCMPプロセスでは、基板がキャリアヘッド内に保持される。キャリアヘッドは、研磨スラリの存在下で、回転する研磨パッドに向けて基板の裏面を押圧する。材料は、化学的及び機械的の組み合わせによって、研磨パッドと接触している基板の材料層の表面にわたり除去される。その組み合わせは、研磨スラリと、基板と研磨パッドとの相対運動とによって提供される。
【0003】
[0003] 典型的には、研磨パッドが、表面を有するディスク形状の研磨プラテン上に配置される。その表面は、所望の平坦度を有するように形成されている。研磨パッドは、それらの間に介在する感圧接着剤層を使用してプラテンの表面に固定されている。一般に、研磨パッドは、限られた有効寿命を有する。したがって、CMP基板処理結果の劣化を防止するために、研磨パッドを定期的に交換する必要がある。研磨パッドを交換することは、一般に、研磨パッドを研磨プラテンの表面から、それらの間に介在する接着剤の引っ張り強さに打ち勝つのに十分な力で手動で引っ張ることを含む。使用済み研磨パッドを研磨プラテンの表面から取り外すのに必要な典型的な力は、かなりのものである。それは、人身傷害、研磨プラテンへの損傷を含む研磨システムへの損傷、又はそれらの両方につながる力であり得る。
【0004】
[0004] 低接着性材料のコーティング、例えば「非粘着性」ポリマーコーティングを研磨プラテンに塗布することなどによって、研磨プラテンの表面を処理することは、使用済み研磨パッドをそこから除去するのに必要な力を所望なように低減させ得る。処理された表面はまた、望ましいことに、通常の処理中にCMP研磨化学物質に曝露されることによる研磨プラテンの腐食を防止することもできる。残念ながら、低接着性材料を塗布するために使用され得る比較的高温のプロセスは、ディスク形状の研磨プラテンを望ましくなく変形させ、例えば、反らせることがあり、したがって、その表面の平坦度を低下させる可能性がある。また、典型的な従来のポリマーコーティングの厚さは、CMPプロセス中に、基板及び研磨ヘッドの部分(例えば、基板ホルダー)によって研磨パッド及び研磨プラテンに加えられる圧縮荷重の下で著しく変形するのに十分な大きさである。研磨プラテンの局所的及び全体的な変形量は、一般に、コーティングされたプラテン毎に一貫しておらず、これは、マルチプラテン研磨システムの研磨プラテン間、及び/又はシングルプラテン研磨システムとマルチプラテン研磨システムとの研磨プラテン間の一貫性のない基板研磨結果に寄与する。
【0005】
[0005] したがって、上述の問題を解決する研磨プラテンの製造方法、及びそれから形成される研磨プラテンが、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の実施形態は、広くは、化学機械研磨(CMP)システムで使用される研磨プラテンを製造する方法、それから形成される研磨プラテン、及び研磨プラテンを使用する研磨方法に関する。
【0007】
[0007] 一実施形態では、研磨プラテンを製造する方法が提供される。該方法は、製造システムの支持体上に研磨プラテンを配置することを含む。製造システムは、支持体、及び支持体と対向する切削ツールを含む。ここで、研磨プラテンは、ポリマー層が表面上に配置された円筒状の金属本体を含み、ポリマー層の厚さは約100μm以上である。該方法は、研磨パッド取り付け面を形成するために、切削ツールを使用してポリマー層の少なくとも一部分を除去することを更に含む。有益なことに、該方法を使用して、所望の平坦度又は形状(例えば、凹形状若しくは凸形状)を有するパッド取り付け面を形成することができる。
【0008】
[0008] 別の一実施形態では、研磨プラテンが提供される。研磨プラテンは、円筒状の金属本体、及び、円形パッド取り付け面を形成するために、金属本体上に配置されたポリマーコーティング層を備えている。パッド取り付け面は、第1の半径において第1の表面高さを有し、第2の半径において第2の表面高さを有する。第2の半径は、第1の半径の半径方向内側に配置される。第1及び第2の表面高さは、第1の半径においてパッド取り付け面と平行な基準面からの距離として測定される。第1の表面高さと第2の表面高さとの間の差は、約25μm以上である。幾つかの実施形態では、第1及び第2の表面高さが、それぞれの半径に沿った対応する複数の等距離位置で取得された複数の距離測定値から平均される。
【0009】
[0009] 別の一実施形態では、研磨プラテンが、円筒状の金属本体、及び、円形パッド取り付け面を形成するために、金属本体上に配置されたポリマーコーティング層を備えており、ポリマーコーティング層の厚さは、パッド取り付け面の第1の半径から、第1の半径から半径方向内側に配置された第2の半径まで変化する。幾つかの実施形態では、第2の半径における厚さが、第2の半径に沿った対応する複数の等距離位置で取得された複数の厚さ測定値から平均され、第1の半径における厚さと第2の半径における厚さとの間の差は、約25μm以上である。
【0010】
[0010] 別の一実施形態では、基板を研磨する方法が提供される。該方法は、研磨流体の存在下で、基板を研磨パッドの表面に対して押し付けることを含む。ここで、研磨パッドは、研磨プラテンのパッド取り付け面上に配置されている。研磨プラテンは、円筒状の金属本体、及び、研磨パッド取り付け面を形成するために、金属本体の表面上に配置されたコーティング層を含む。パッド取り付け面にわたるコーティング層の平均厚さは、約250μm未満であり、パッド取り付け面の直径にわたるコーティング層の厚さにおけるばらつきは、約25μm以上変化する。パッド取り付け面は、平坦度が約25μm以下であってよく、凹形状又は凸形状を有してよい。
【0011】
[0011] 本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、その幾つかを添付の図面に示す。しかし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】[0012] 本明細書で説明される方法に従って形成された研磨プラテンを使用するように構成された、一実施形態による例示的な研磨システムの概略側面図である。
【
図1B】[0013] 一実施形態による、
図1Aのプラテンアセンブリの概略断面図である。
【
図2】[0015] 一実施形態による研磨プラテンを製造する方法を示す図である。
【
図3】[0016] 一実施形態による、
図2で説明された方法を実施するために使用され得る製造システムの概略側面図である。
【
図4】[0017] 本明細書で説明される実施形態に従って形成された研磨プラテンの一部分の表面プロファイルを描くグラフである。
【
図5A】[0018] 本明細書で説明される実施形態に従って形成され得る様々な研磨プラテン表面プロファイルを示す概略断面図である。
【
図5B】本明細書で説明される実施形態に従って形成され得る様々な研磨プラテン表面プロファイルを示す概略断面図である。
【
図5C】本明細書で説明される実施形態に従って形成され得る様々な研磨プラテン表面プロファイルを示す概略断面図である。
【
図5D】本明細書で説明される実施形態に従って形成され得る様々な研磨プラテン表面プロファイルを示す概略断面図である。
【
図5E】本明細書で説明される実施形態に従って形成され得る様々な研磨プラテン表面プロファイルを示す概略断面図である。
【
図5F】本明細書で説明される実施形態に従って形成され得る様々な研磨プラテン表面プロファイルを示す概略断面図である。
【
図5G】本明細書で説明される実施形態に従って形成され得る様々な研磨プラテン表面プロファイルを示す概略断面図である。
【
図5H】本明細書で説明される実施形態に従って形成され得る様々な研磨プラテン表面プロファイルを示す概略断面図である。
【
図6】[0019] 本明細書で説明される実施形態に従って形成された研磨プラテンを使用して基板を研磨する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0020] 理解し易くするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。具体的な記述がなくとも、一方の実施形態で開示された要素を他方の実施形態で有益に利用できると考えられている。
【0014】
[0021] 本開示の実施形態は、広くは、化学機械研磨(CMP)システムで使用される研磨プラテンを製造する方法、及びそれから形成される研磨プラテンに関する。本明細書の実施形態に従って形成された研磨プラテンは、一般に、金属で形成された円筒状のプラテン本体などの構造部品、及び、研磨パッド取り付け面を提供するために、プラテン本体の表面上に配置された低接着性材料層を備えている。低接着性材料層は、所望なように、研磨パッドがその有用寿命の終わりに達した後で、研磨パッドを研磨パッド取り付け面から除去するのに必要な力の量を低減させ、更に、プラテン本体の金属を研磨流体が引き起こす腐食から保護する。
【0015】
[0022] 多くの場合、プラテン本体の表面に低接着性材料を形成し、結合するために必要なプロセスは、材料堆積プロセス中に、プラテン本体を300℃を超える温度、例えば350℃以上まで加熱し、維持することを必要とする。典型的には、低接着性材料層を形成するために使用される高温プロセスは、円筒状のプラテン本体を変形させ、そのパッド取り付け面の平坦度を望ましくないほど低減させる。例えば、幾つかの実施形態では、プラテン本体のパッド取り付け面が機械加工されて、低接着性材料層がその上に形成される前に、約25μm以下の最小二乗基準面からの平坦度偏差を有する。コーティング層がプラテン本体上に形成された後で、パッド取り付け面は、平坦度を欠く場合がある。例えば、パッド取り付け面は、低接着性材料コーティング層が約3μm以下の厚さ均一性標準偏差を有する場合であっても、基準面から約25μm以上、例えば約25μmと約150μmとの間の偏差を有し得る。
【0016】
[0023] 一般に、低接着性材料コーティングプロセス後の研磨プラテンの形状の歪みは予測不可能である。したがって、低接着性材料コーティングプロセスは、同じ材料コーティングプロセスを使用して形成された異なる研磨プラテンにおいて、異なる表面プロファイルをもたらし得る。例えば、概して同じ低接着性材料コーティングプロセスを使用して形成された2つの異なるディスク形状の研磨プラテンは、各々、その最小二乗基準平面からの様々な程度の偏差で、異なる双曲線放物面形状、又は異なるランダムな起伏のある表面形状などを含む、結果として生じた異なる表面形状を有し得る。残念ながら、同じ表面コーティング方法を使用して形成される異なる研磨プラテンの表面形状のばらつきは、望ましくないことに、マルチプラテンCMPシステム内で、及び/又は複数のシングルプラテンCMPシステム若しくはマルチプラテンCMPシステムにわたり、研磨プラテンから研磨プラテン毎に不均一な基板処理結果をもたらす。したがって、本明細書の実施形態は、研磨プラテンの製造中に研磨プラテンの平坦度及び/又は表面形状を制御するための方法、及び該方法を使用して形成される研磨プラテンを提供する。一実施形態では、方法が、所望の表面平坦度及び/又は表面形状を有する研磨プラテンを提供するために、ディスク形状のプラテン本体上に比較的厚い低接着性材料層を形成した後で、材料層の部分をそこから除去することを含む。
【0017】
[0024]
図1Aは、本明細書で説明される方法を使用して形成された、プラテンアセンブリ102を含む例示的な研磨システム100の概略側面図である。
図1Bは、
図1Aのプラテンアセンブリ102の概略断面図である。ここで、プラテンアセンブリ102は、下部プラテン104、及び下部プラテン102上に配置され且つ下部プラテン104に結合される研磨プラテン106を含む。
図1Cは、
図1Bで示されている研磨プラテン106の一部分の拡大図である。
【0018】
[0025] 例示的な研磨システム100は、研磨パッド110が上に取り付けられたプラテンアセンブリ102と、研磨パッド110の上方に配置された基板キャリア108であって、研磨パッド110に対向する基板キャリア108とを含む。プラテンアセンブリ102は、軸Aの周りで回転可能であり、基板キャリア108は、軸Bの周りで回転可能であり、プラテンアセンブリの内径から外径まで前後に掃引されて、部分的に、研磨パッド110の表面の不均一な摩耗を低減させるように構成されている。研磨システム100は、研磨パッド110の上方に配置された流体供給アーム118であって、研磨パッド110に研磨流体を供給するために使用され得る流体供給アーム118、及び、研磨パッド110の上方に配置されたパッド調整アセンブリ120であって、研磨パッド110に対向するパッド調整アセンブリ120を更に含む。
【0019】
[0026] 典型的なCMPプロセスでは、回転している及び/又は掃引されている基板キャリア108が、内部に配置されている基板112(仮想線で示されている)に対してダウンフォースを加えて、研磨パッド110が基板キャリア108の下で回転しているときに、基板112の材料表面を研磨パッド110に対して押し付ける。基板112は、流体供給アーム118によって供給された1以上の研磨流体の存在下で、研磨パッド110に対して押し付けられる。典型的な研磨流体は、研磨粒子が内部に懸濁された水溶液で生成されたスラリを含む。しばしば、研磨流体は、基板112の材料表面の化学機械研磨を可能にするために、酸化剤などのような、pH調整剤及び他の化学的に活性な成分を含有する。
【0020】
[0027] パッド調整アセンブリ120を使用して、基板112の研磨前、後、又は中に、パッド調整アセンブリ120の下で回転している研磨パッド110の表面に対して、固定された研磨調整ディスク122を押し付ける。研磨パッド110を調整ディスク122で調整すると、研磨パッド110の研磨面から研磨副産物や他のデブリを研磨し、活性化し、除去することによって、研磨パッド110が所望の状態に維持される。
【0021】
[0028] 幾つかの実施形態では、研磨システム100が、処理終点検出システム125を更に含む。処理終点検出システム125を使用して、研磨プロセス中に、材料層の厚さをモニタし又は基板112のフィールド面からの材料層の除去をモニタする。処理終点検出システム125は、プラテンアセンブリ102のキャビティ130(
図1B)内に収容された、渦電流センサ又は光学センサなどの1以上のセンサを含む。
【0022】
[0029] プラテンアセンブリ102(
図1A~
図1C)は、下部プラテン104、及び下部プラテン104上に配置され且つ下部プラテン104に結合される研磨プラテン106を含む。ここで、下部プラテン104は、トップダウン円形状、環状の研磨プラテン取り付け面126、及び研磨プラテン取り付け面126から半径方向内側に配置された1以上の凹面146を有する。1以上の凹面146は、研磨プラテン106と共にキャビティ130を画定する。研磨プラテン106は、研磨プラテン取り付け面126上に配置され、複数のファスナ138を使用してそこに固定される。ここで、複数のファスナは、下部プラテン104の環状フランジ形状部分140内に形成された対応する開口部を介して配置される。
【0023】
[0030] 研磨プラテン106は、円柱形状のプラテン本体142で形成され、プラテン本体142の1以上の表面上に形成された低接着性材料コーティング層144を含む。例えば、ここで、プラテン本体142は、第1の面(プラテン本体面132)、プラテン本体面132の反対側で且つこれに略平行な第2の面134、及びプラテン本体面132を第2の面134に連結する半径方向外向きの円周面136を有する。材料コーティング層144は、プラテン本体面132上に形成されて、低接着性パッド取り付け面148を提供し、更に、円周面136上に形成されて、プラテン本体142を研磨流体が引き起こす腐食から保護する。幾つかの実施形態では、研磨プラテン106が、それを貫通して形成された窓などの開孔124を含む。終点検出システム125を使用して、開孔124に近接して配置された1以上のセンサを使用して、研磨処理されている基板をモニタすることができる。
【0024】
[0031] 研磨プラテンアセンブリ102、したがって、研磨プラテン106は、任意の所望の研磨システム用に適切にサイズ決定され得る。例えば、ここで、マルチプラテン研磨システム用のサイズは、300mm直径の基板を研磨するように構成され、約500mmと約1000mmとの間、又は約500mmを超えるなどの、約300mmを超える直径を有する。一般に、研磨プラテン106は比較的薄く、その厚さは、約20mmと約150mmとの間、又は約100mm以下、例えば、約80mm以下、約60mm以下、若しくは約40mm以下である。異なるサイズの基板、例えば、直径200mm又は450mmの基板を研磨するように構成された研磨システム、又は複数の基板を同時に研磨するようにサイズ決定された研磨プラテン106向けに、研磨プラテン106のサイズに対する適切な調整が行われ得る。幾つかの実施形態では、研磨プラテン106の直径と厚さとの比は、約3:1以上、約5:1以上、約10:1以上、約15:1以上、約20:1以上、約25:1以上、約30:1以上、約40:1以上、又は例えば約50:1以上である。
【0025】
[0032] プラテン本体142は、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、6061アルミニウム)、又はステンレス鋼などのような、適切に硬く軽量で研磨流体耐食性の材料で形成される。コーティング層144は、典型的には、ペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、モノフルオロアルキルポリマー(MFA)、オライトトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン‐エチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVF2)、及びそれらのポリマー前駆体のうちの2つ以上の組み合わせから生成されるコポリマーなどの、1以上のフッ素含有ポリマー前駆体又は溶融処理可能なフルオロポリマーで生成されるポリマー材料を含む。幾つかの実施形態では、コーティング層144が、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、例えば、テトラフルオロエチレンと、1以上のペルフルオロエーテル(C2F3ORf、ここで、Rfは、トリフルオロメチル(CF3)などのペルフルオロ化基である)と、のコポリマーから形成される。他の実施形態では、材料コーティング層144が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)、これらの組み合わせ、及び/又は1以上のフッ素含有ポリマーと組み合わせて形成されてもよい。
【0026】
[0033] 本明細書では、材料コーティング層144が、プラテン本体142の表面上に第1のポリマー層150(
図1Cで仮想線で示されている)を形成した後で、第1のポリマー層150の部分を除去して、所望の平坦度又は形状を有するパッド取り付け面148を提供することによって形成される。第1のポリマー層150を形成するために使用され得る適切な方法の例には、浸漬、噴霧、例えば、プラズマスプレーコーティング法又は溶射コーティング法、及び液体又は粉末ポリマー前駆体の静電堆積が含まれる。幾つかの実施形態では、第1のポリマー層150を形成することが、プラテン本体142及びその上に堆積されたポリマー又はポリマー前駆体を、約250℃を超える、例えば約300℃を超える、又は約350℃を超える温度まで加熱することを含む。
【0027】
[0034] 幾つかの実施形態では、第1のポリマー層150が、約120μm以上、約140μm以上、約160μm以上、約180μm以上、例えば約200μm以上などの、約100μmの厚さtiを有するように形成される。ここで、第1のポリマー層150の厚さtiは、その下に配置されたプラテン本体表面132にわたり実質的に均一である。例えば、一実施形態では、プラテン本体表面132の直径にわたり均一な増分で取得された第1のポリマー層150の厚さtiの複数の測定値の標準偏差σが、約10μm未満、例えば、約9μm未満、約8μm未満、約7μm未満、約6μm未満、又は例えば約5μm未満である。
【0028】
[0035] 幾つかの実施形態では、プラテン本体表面132、したがって、第1のポリマー層150の表面は、平坦度の欠如を被る。その場合、第1のポリマー層150の表面の少なくとも幾つかの部分が、約50μm以上、約75μm以上、約100μm以上、約150μm以上、約175μm以上、約200μm以上、又は例えば約25μmと約200μmとの間などの、約25μm以上だけ、最小二乗基準面などの基準面から逸脱する。したがって、幾つかの実施形態では、第1のポリマー層150がプラテン本体142上に形成された後で、その少なくとも部分が除去されて、第2のポリマー層、すなわち本明細書では材料コーティング層144が形成される。第1のポリマー層150の少なくとも部分を除去することにより、所望の平坦度又は表面形状を有するパッド取り付け面148を有する研磨プラテン106が形成される。所望の平坦度又は表面形状を有する研磨プラテン106を形成するために、第1のポリマー層150の少なくとも部分を除去する方法が
図2で説明される。
【0029】
[0036]
図2は、一実施形態による、研磨プラテンのパッド取り付け面に所望の形状を形成する方法200を示している図である。
図3は、方法200を実施するために使用され得る、一実施形態による製造システム300を示している。
【0030】
[0037] 動作202では、方法200が、旋盤又はフライス盤などのような、金属又は他の剛性材料を形作るために使用される製造システム300の製造支持体上に、研磨プラテン310配置することを含む。ここで、製造システム300は、垂直旋削旋盤である。垂直旋削旋盤は、スピンドル軸304の周りで回転可能な支持スピンドル302、支持スピンドル302に固定された取り付け具306、及び、支持スピンドル302の上方に配置された切削ツール308であって、支持スピンドル302に対向する切削ツール308を備えている。ここで、取り付け具306は、
図1A~
図1Bで上述された下部プラテン104と実質的に類似するか又は同一である。研磨プラテン310は、複数のファスナ312を使用して取り付け具306に固定されている。複数のファスナ312は、Z方向に調整可能であり、取り付け具306の外側半径部分、したがって、研磨プラテン310を支持スピンドル302に向けて又は離れるように引っ張ったり又は押したりする。幾つかの実施形態では、製造システム300が、切削ツール308に結合されたダイヤルゲージなどの表面プロファイラ314を更に含む。表面プロファイラ314を使用して、研磨プラテン310の表面プロファイルの修正前、中、及び後に、研磨プラテン310の平坦度を測定することができる。
【0031】
[0038] 動作204では、方法200が、所望の平坦度又は表面形状を有するパッド取り付け面148を提供するために、切削ツール308を使用して第1のポリマー層150の少なくとも一部分を除去することを含む。ここで、コーティング層の少なくとも一部分を除去することは、材料除去の深さを制御するために、それらの間のZ方向の所望の距離を維持しながら、切削ツール308と研磨プラテン310の一方又は両方を移動させることを含む。ここで、切削ツール308は、その下方で研磨プラテン310を回転しながら、研磨プラテン310の外径から少なくともその中心まで半径方向内向きに(又はその逆に)移動するように構成されている。したがって、研磨プラテン310と切削ツール308との相対運動は、研磨プラテン310の表面から螺旋形状の切削経路をもたらす。その場合、螺旋のパターンは、研磨プラテン310の中心領域(例えば、中心軸)から、研磨プラテン310の外側縁部まで延在する。機械ツールがX‐Y並進ステージを含むミルである実施形態などの他の実施形態では、フライス切削ツール及び研磨プラテン310が、研磨プラテンの表面からラスター形状の切削経路をもたらし得る。
【0032】
[0039] 方法200を使用して、研磨プラテン106のパッド取り付け面148のプロファイルを、任意の所望の形状(実質的に平面的な、凸形状、又は凹形状など)に修正することができる。
【0033】
[0040] 幾つかの実施形態では、方法200を使用して、実質的に平面的なパッド取り付け面148を形成することができる。その場合、パッド取り付け面148の最小二乗基準面からの、パッド取り付け面148にわたり一定の間隔で取得された複数の測定値の標準偏差が約25μm以下である。これらの実施形態では、実質的に平面的なパッド取り付け面148を提供するために第1のポリマー層150の部分を除去することによって、研磨プラテン106の直径にわたりコーティング層144の厚さのばらつきが生じる。例えば、
図1Cで示されている研磨プラテン106の部分のプラテン本体表面132は、凹状の表面プロファイルを有し、プラテン本体表面132上に配置された第1のポリマー層150は、均一な厚さt
iを有し、凹状の表面プロファイルを有し、材料コーティング層144の表面は、実質的に平面的なプロファイルを有する。
図1Cでは、材料コーティング層144の実質的に平面的な表面を提供するために、第1のポリマー層150の凹状表面の少なくとも一部分を除去することによって、少なくとも図示されている部分にわたり不均一な厚さ(t
2-t
1)を有する材料コーティング層144がもたらされる。したがって、幾つかの実施形態では、パッド取り付け面148の直径にわたり材料コーティング層144の厚さのばらつきはゼロではない。例えば、幾つかの実施形態では、パッド取り付け面148にわたるコーティング層144の厚さのばらつきが、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、又は約50μm以上などの、約10μm以上である。典型的には、コーティング層144が、約50μm以上などの約25μm以上の最小厚さ、及び約250μm以下の最大厚さを有する。
【0034】
[0041] 幾つかの実施形態では、方法200を使用して、
図4で示されている実質的に凹形状などの、凹形状又は凸形状を有するパッド取り付け面148を形成することができる。
【0035】
[0042] 幾つかの実施形態では、方法200が、第1のポリマー層150をプラテン本体表面132上に形成する前に、プラテン本体表面132に所望の形状を形成することを更に含む。例えば、幾つかの実施形態では、方法200が、プラテン本体表面132上に第1のポリマー層150を形成する前に、
図5D~
図5Eで示されているように、プラテン本体表面132に凹形状又は凸形状を形成するために、プラテン本体142を機械加工することを含み得る。
【0036】
[0043]
図4は、方法200に従って形成された研磨プラテンのパッド取り付け面のプロファイルを描いているグラフ400である。
図4の研磨プラテンは、各プラテンが単一の直径300mmの基板を研磨するようにサイズ決定されている、マルチプラテンシステム内で使用されるサイズになっている。研磨プラテンは、約380mmの半径を有し、パッド取り付け面405の中心とパッド取り付け面の縁部との間の高さの差が約76μmである、実質的に凹形状を含む研磨パッド取り付け面405を有するように形成されている。ここで、パッド取り付け面405の半径に沿って取得された測定値は、半径R
1を有する円形凸状曲線410から約5μm以下だけずれている。有益なことに、本明細書の方法200を使用して、実質的に凹形状又は実質的に凸形状を有するパッド取り付け面を形成することができる。その場合、パッド取り付け面の半径にわたり等間隔で取得された複数の測定値は、所望の形状の曲率半径R
1から約15μm以下、約10μm以下、又は約5μm以下などの、約20μm以下の平均偏差を有する。
【0037】
[0044]
図5Aは、第1のポリマー層504aが上に形成されたプラテン本体502aを含む、研磨プラテン500aの概略断面図である。プラテン本体502a及び第1のポリマー層504aは、
図1A~
図1Cで上述されたプラテン本体142及び第1のポリマー層504aと同じか又は実質的に同様であってよい。例えば、
図5Aでは、第1のポリマー層504aが、
図1Cで上述された第1のポリマー層150と同じ均一性及び厚さt
iを有する実質的に均一な厚さt
iに堆積される。図示されているように、プラテン本体502aの表面506は、実質的に平面的、すなわち平坦であり、したがって、ポリマー層504aの表面508aも実質的に平坦である。しかし、本明細書の実施形態では、プラテン本体502aの表面が、双曲線放物線形状(サドル形状又はポテトチップ形状と呼ばれることがある)、又はランダムな起伏のある表面形状などの、形状のいずれか1つ又は組み合わせを含み得ることが企図される。双曲線放物線形状又はランダムな起伏のある表面形状の実施例では、プラテン本体502aの断面図が、凹面と凸面の両方のプロファイル(断面線が取得されている所に応じて)を有し得る。
【0038】
[0045]
図5B~
図5Cは、方法200を使用して第1のポリマー層504aの少なくとも一部分を除去することによって形成された、それぞれの研磨プラテン500b~cの概略断面図である。
図5Bでは、第1のポリマー層504a(仮想線で示されている)の部分が除去されて、パッド取り付け面508bを提供するコーティング層504bを形成する。パッド取り付け面508bは、研磨プラテン500bの直径にわたり曲率半径R
1を有する実質的に半径方向に対称な凸形状を有するように形成されている。この実施形態では、凹状のパッド取り付け面508bの中心Cからパッド取り付け面508bの周縁Eに近接して配置された位置まで測定された高さhが、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、又は例えば約70μm以上である。ここで、パッド取り付け面508bの中心Cは、基準面Pと同一平面上にある。パッド取り付け面508bは、パッド取り付け面508bの周縁に近接する半径の周りで距離Z
2だけ基準面Pから間隔を空けられている。ここで、距離Z
2は、基準面Pが周縁に近接する半径の周りでパッド取り付け面508bに平行であるように、その半径の周りで実質的に同じである。この実施形態では、距離Z
2が高さhと同じである。
【0039】
[0046] ここで、研磨プラテン502bの中心Cにおける、又はそれに近接する第1の半径におけるコーティング層504bの厚さtcは、研磨プラテン502bの周縁Eにおける、又はそれに近接するコーティング層504bの厚さteよりも大きい。幾つかの実施形態では、厚さtcと厚さteとの差が、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、約70μm以上、約80μm以上、又は約90μm以上である。
【0040】
[0047]
図5Cでは、第1のポリマー層504a(仮想線で示されている)の部分が除去されて、コーティング層504cが形成される。コーティング層504cは、研磨プラテン500cの直径にわたり曲率半径R
1を有する実質的に半径方向に対称な凹形状を有するパッド取り付け面508cを提供する。ここで、研磨プラテン500cの中心Cから周縁Eまで測定されたパッド取り付け面508cの高さhの差は、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、又は例えば約70μm以上である。ここで、研磨プラテン500cの中心Cにおけるコーティング層504cの厚さt
cは、研磨プラテン500cの周縁Eにおける、又はその近傍におけるコーティング層504cの厚さt
eよりも小さい。幾つかの実施形態では、厚さt
cと厚さt
eとの差が、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、約70μm以上、約80μm以上、又は約90μm以上である。この実施形態では、パッド取り付け面508cの中心Cが、平面Pから距離Z
1だけ間隔を空けられており、これは高さhと同じである。パッド取り付け面508cは、パッド取り付け面508cの周縁Eに近接する半径において、平面Pと同一平面上にある。
【0041】
[0048] 典型的には、R1は、数式R12=(R1-h)2+r2から決定され得る。ここで、rは研磨プラテンの半径である。一実施例では、実質的に凹状又は凸状のいずれかのパッド取り付け面508b、c、及び約76μmの高さhを有する381mmのプラテン(半径)に対する曲率半径R1は約952mである。
【0042】
[0049]
図5D~
図5Eは、方法200を使用して第1のポリマー層504a(仮想線で示されている)の少なくとも一部分を除去することによってそれぞれ形成された、それぞれの研磨プラテン500d~eの概略断面図である。
図5D~
図5Eは、研磨パッド取り付け面508d~eのための所望の形状が、その下に配置されたプラテン本体502bの表面506の形状とは独立して形成されてもよいことを示している。
図5Dでは、研磨プラテン500dが、曲率半径R
2を有する凸形状を含む表面506を有するプラテン本体502bを含む。ここで、第1のポリマー層504aの一部分を除去することにより、コーティング層504dが形成される。コーティング層504dは、
図5Bで説明されたような半径方向に対称な凸形状を有するパッド取り付け面508dを含む。曲率半径R
2は、曲率半径R
1と同じであってよく、より大きくてもよいし、より小さくてもよい。
図5Eでは、研磨プラテン500eが、プラテン本体502bを含み、第1のポリマー層504aの一部分を除去することにより、
図5Cで説明されたような半径方向に対称な凹形状を有するコーティング層504e及びパッド取り付け面508eが形成される。
【0043】
[0050] 幾つかの実施形態では、研磨プラテン500d~eが、プラテン本体502bの上に第1のポリマー層504aを形成する前に、プラテン本体502bの表面506を機械加工することによって、所望の半径方向に対称な凸形状(図示されているように)又は所望の半径方向に対称な凹形状(図示せず)を有するように形成する。第1のポリマー層504aの形成の前にプラテン本体502bの表面506を機械加工して所望の半径方向に対称な形状を得ることによって、有益なことに、所望の凹状又は凸状のパッド取り付け面508d、eを形成するために必要とされる第1のポリマー層504aの厚さが低減される。例えば、
図5Eで示されているように、凹状のパッド取り付け面508eが所望される場合、第1のポリマー層504aの形成の前に、プラテン本体502bが機械加工されて、実質的に凹状の表面(図示せず)を有してよい。プラテン本体502bの表面506の上に第1のポリマー層504aを形成する前に、パッド取り付け面508d、eを機械加工することによって、
図5Eなどで示されているように、パッド取り付け面508eとプラテン本体502bの表面506との間の所望の形状の不整合の可能性が低減される。
【0044】
[0051]
図5Eでは、プラテン本体502bの表面506が、表面506の上に第1のポリマー層504aを形成するために使用される比較的高温のプロセス中にプラテン本体502bの変形からもたらされ得る、表面形状を有する。その結果、所望の凹状のパッド取り付け面508eを形成するために必要とされる第1のポリマー層504aの初期厚さt
iが、その下のプラテン本体502bの表面506が概して凹形状を有する場合に必要とされ得る厚さよりも大きい。したがって、凸状又は凹状のパッド取り付け面508eが所望される実施形態では、プラテン本体502bの表面506に概して半径方向に対称な凸形状又は凹形状を形成することにより、第1のポリマー層504aの形成後の不整合な表面形状の可能性が低減される。第1のポリマー層504aの比較的高温の形成プロセス後の不整合な表面形状の可能性を低減させることによって、有益なことに、パッド取り付け面508eの所望の形状を実現するために、第1のポリマー層504aに必要とされる初期厚さt
iが低減される。
【0045】
[0052]
図5F~
図5Hは、本明細書で説明される方法を使用して、それぞれのコーティング層504f~h内に形成され得る、パッド取り付け面508f~hの代替的な形状を示している、それぞれの研磨プラテン500f~hの概略断面図である。
図5F~
図5Hでは、パッド取り付け面508f~hの形状が、本明細書で説明される方法を使用して、第1のポリマー層504a(
図5Aで示されている)の少なくとも一部分を除去することによって形成される。他の実施形態では、パッド取り付け面508f~hの形状が、プラテン本体502aの表面506の上に第1のポリマー層504aを形成する前に、プラテン本体502aの表面506を所望の形状を有するように機械加工することによって形成され得る。幾つかの実施形態では、パッド取り付け面508f~hの所望の形状が、表面506を機械加工することと、表面506上の形成された第1のポリマー層504aの少なくとも部分を除去することと、の両方によって形成される。幾つかの実施形態では、基準面Pに対して測定された表面508f~hのプロファイルが、表面506を機械加工すること及び/又は表面506上に形成された第1のポリマー層504aの少なくとも部分を除去することによって所望に形成された、1以上の半径方向に対称な特徴を含む。
図5F~
図5Hで示されているように、表面508f~hは、プラテン500gの中心Cと縁部Eとの間に配置された、半径方向に対称な窪みD(
図5F)と半径方向に対称な頂部PK(
図5G)とのうちの少なくとも一方を含み得る。したがって、半径方向に対称な窪み及び半径方向に対称な頂部は、プラテンの中心軸Cに対して対称な環状の特徴を形成する。
【0046】
[0053]
図5Fでは、パッド取り付け面508fが、プラテン半径r
pを有し、基準面Pが、半径r
pにおいて又は半径r
pに近接して、パッド取り付け面508fと同一平面上にある。パッド取り付け面508fの中心Cは、平面Pの下方に配置され、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、又は例えば約70μm以上の、距離Z
1だけ平面Pから間隔を空けられる。他の実施形態では、パッド取り付け面508fの中心Cが、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、又は例えば約70μm以上の、距離だけ平面Pの上方に延在する。他の実施形態では、パッド取り付け面508fの中心Cが、平面Pと実質的に同一平面上にある。
【0047】
[0054] ここで、パッド取り付け面508fは、パッド取り付け面508fの中心C又はそれに近接した半径と、周縁E又はそれに近接した半径との間に配置された、環状部分を含む(半径r1において)。環状部分は、距離Z1よりも大きい距離Z3だけ平面Pから間隔を空けられており、すなわち、半径r1におけるパッド取り付け面508fの環状部分は、パッド取り付け面508fの中心C又は中心Cに近接する第1の半径、及び周縁E又は周縁Eに近接する半径の両方よりも低い。ここで、距離Z3は、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、又は例えば約70μm以上である。幾つかの実施形態では、環状部分の低点が、ここでは半径r1において、中心Cから周縁Eまでの半径方向距離の約1/3から約2/3までの間に配置される。
【0048】
[0055] 幾つかの実施形態では、例えば、パッド取り付け面508fが、プラテン本体502a上に形成されたポリマー層504a(
図5A)の少なくとも部分を除去することによって形作られる場合、第3の半径における厚さt
3は、厚さt
cとt
eの両方よりも小さい。幾つかの実施形態では、厚さt
3と、厚さt
cと厚さt
eの一方又は両方との間の差が、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、約70μm以上、約80μm以上、又は約90μm以上である。
【0049】
[0056] ここで、パッド取り付け面508fの中心Cは、平面Pの下方に配置されており、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、例えば約70μm以上の、距離Z1だけ平面Pから間隔を空けられる。他の実施形態では、パッド取り付け面508fの中心Cが、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、又は例えば約70μm以上の、距離だけ平面Pの上方に延在する。他の実施形態では、パッド取り付け面508fの中心Cが、平面Pと実質的に同一平面上にある。
【0050】
[0057] 本明細書で説明されるパッド取り付け面508b~hの最上面に対する基準面Pの位置は、特に限定するものではなく、基準面Pの上方又は下方の表面高さの説明は、その規定に対して修正され得る。例えば、
図5Fの代替的な説明では、基準面(図示せず)が、半径r1においてパッド取り付け面508fと同一平面上にあると規定されてよく、したがって、パッド取り付け面508fの中心Cと周縁Eとの両方の表面高さは、基準面の上方にあってよい。
【0051】
[0058]
図5Gでは、パッド取り付け面508gが、パッド取り付け面508の中心C又はそれに近接した第1の半径と、周縁E又はそれに近接した第2の半径と、の間に配置された環状部分(第3の半径r
1における)を含む。環状部分は、基準平面Pと同一平面上にある。中心C又はそれに近接した第1の半径におけるパッド取り付け面508gは、基準面Pの下方に配置され、距離Z
1だけ基準面Pから間隔を空けられる。パッド取り付け面の周縁E又はそれに近接する半径におけるパッド取り付け面508gは、基準面Pの下方に配置され、距離Z
1と同じ又は異なる距離であり得る距離Z
2だけ、基準面Pから間隔を空けられる。したがって、第3の半径r
1におけるパッド取り付け面508gの環状部分は、パッド取り付け面508gの中心C又は中心Cに近接する第1の半径と、周縁E又はそれに近接する第2の半径との両方よりも高い。ここで、距離Z
1は、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、又は例えば約70μm以上である。幾つかの実施形態では、第3の半径r
1における環状部分が、中心Cから円周縁Eまでの半径方向距離の約1/3から約2/3の間に配置される。
【0052】
[0059] 幾つかの実施形態では、例えば、パッド取り付け面508gが、プラテン本体502a上に形成されたポリマー層504a(
図5A)の少なくとも部分を除去することによって形作られる場合、第3の半径における厚さt
3は、厚さt
cとt
eの両方よりも大きい。幾つかの実施形態では、厚さt
3と、厚さt
cと厚さt
eの一方又は両方との差が、約10μm以上、例えば、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、約70μm以上、約80μm以上、又は約90μm以上である。
【0053】
[0060]
図5Hでは、パッド取り付け面508hの少なくとも部分が、周縁Eにおける第1の半径から中心C又はそれに近接して配置された第2の半径r
1まで上向きに傾斜している。基準面Pは、パッド取り付け面508hの半径に沿った、例えば半径r
pに沿った、パッド取り付け面508hの表面に平行である。ここで、パッド取り付け面508hは、断面で見たときに概して円錐形状を有する。それによって、パッド取り付け面508hの円形部分は、中心Cの周りで同心に配置され、半径r
1を有するパッド取り付け面508hの円形部分は、基準面Pと同一平面上にある。ここで、厚さt
c及びt
eと距離Z
2とは、本明細書で説明される他の実施形態のうちの任意の1以上の組み合わせと同じ範囲内にあり得る。
【0054】
[0061] 幾つかの実施形態では、本明細書で説明されるパッド取り付け面の中心Cから種々の半径方向位置にあるコーティング層の厚さは、それぞれの半径に沿った対応する複数の等距離位置で取得された複数の厚さ測定値から平均される。例えば、本明細書で説明される厚さは、それぞれの半径に沿って測定されたときに互いから等距離にある位置において取得された3つ以上の厚さ測定値(例えば、4つ以上の等距離位置からの又は5つ以上の等距離位置からの測定値など)から平均され得る。
【0055】
[0062] 幾つかの実施形態では、中心Cから種々の半径方向位置にある平面Pからのパッド取り付け面508b~hの距離Z1、Z2、及びZ3は、それぞれの半径に沿った対応する複数の等距離位置で取得された複数の測定値から平均される。例えば、距離Z1、Z2、及びZ3は、それぞれの半径に沿って測定された互いから等距離にある位置において取得された3つ以上の測定値(例えば、4つ以上の等距離位置からの又は5つ以上の等距離位置からの測定値など)からそれぞれ平均され得る。
【0056】
[0063]
図6は、本明細書で説明される実施形態に従って形成された研磨プラテンを使用して基板を研磨する方法を示している図である。動作602では、方法600が、研磨流体の存在下で基板を研磨パッドに対して押し付けることを含む。ここで、研磨パッドは、研磨プラテン上に配置されている。研磨プラテンは、本明細書で説明される実施形態のいずれか1つ又は組み合わせに従って形成され得る。研磨プラテンは、低接着性材料コーティング層がその上に形成された円筒状の金属本体を含む。ここで、コーティング層は、研磨パッド取り付け面を形成するために、金属本体の表面上に配置されており、パッド取り付け面の中心と、中心から半径方向外向きに沿った位置との間の高さの差は、約25μm以上である。コーティング層は、上述の形状及び/又は特徴のうちのいずれかを有するパッド取り付け面を提供するように形成され得る。
【0057】
[0064] 本明細書の実施形態は、制御された反復可能な平坦度プロファイル及び/又は他の所望の表面形状を有する低接着性材料表面を有する研磨プラテンの製造を提供する。有益なことに、本明細書の研磨プラテンは、特定の基板研磨プロセス用の1以上の個々の研磨システムの研磨性能を微調整するために使用され得る凸形状又は凹形状を有するように形成することができる。
【0058】
[0065] 以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
【国際調査報告】