(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(54)【発明の名称】窒化ケイ素カプセル化層を形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20220727BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20220727BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20220727BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220727BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/318 B
C23C16/42
C23C16/455
C23C16/505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570990
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2020026129
(87)【国際公開番号】W WO2020242592
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チー, ポー
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アビジット ビー.
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA13
4K030AA16
4K030AA18
4K030BA40
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4K030LA15
5F045AA08
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5F058BF23
5F058BF30
5F058BF36
5F058BJ06
(57)【要約】
本明細書に記載の実施形態は、概して、処理チャンバの処理容積内に基板を配置することを含む、基板を処理する方法に関する。基板は、複数のフィーチャを有するパターン化された表面を含む。複数のフィーチャのうちの個々のものは、多層スタックを介して形成された1つ又は複数の開口部によって画定され、多層スタックは、カルコゲン含有材料を含む。本方法は、第1の処理ガスのパルスを処理容積に流すことをさらに含む。ここにおいて、第1の処理ガスは、ケイ素前駆体及び窒素前駆体を含む。本方法は、第1の処理ガスのプラズマに点火して維持することをさらに含む。本方法はさらに、基板のパターン化された表面上に第1の窒化ケイ素層を堆積することを含む。さらに、本方法は、第1の窒化ケイ素層上に第2の窒化ケイ素層を堆積することを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバの処理容積内に基板を配置することであって、前記基板は複数のフィーチャを有するパターン化された表面を含み、前記複数のフィーチャのうちの個々のものは、多層スタックを介して形成された1つ又は複数の開口部によって画定され、前記多層スタックの少なくとも1つの層は、カルコゲン含有材料を含む、前記配置することと;
ケイ素前駆体及び窒素前駆体のパルスを前記処理容積中に流すことと;
前記ケイ素前駆体及び前記窒素前駆体のプラズマに点火することと;
前記基板の前記パターン化された表面上に第1の窒化ケイ素層を堆積することと
を含む、基板を処理するための方法。
【請求項2】
前記ケイ素前駆体と前記窒素前駆体とが同じデューティサイクルで前記処理容積に導入され、かつ
前記ケイ素前駆体と前記窒素前駆体とが同時に流れる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケイ素前駆体及び前記窒素前駆体の一方が、前記ケイ素前駆体及び前記窒素前駆体の他方よりも大きいデューティサイクルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記窒素前駆体又は前記ケイ素前駆体のパルスの各パルスサイクルが20秒以下のサイクルタイムを有し、サイクルの各オンタイムが10秒以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ケイ素前駆体及び前記窒素前駆体の前記プラズマに点火するために使用されるRF電力が、基板処理表面の1cm
2当たり約0.035ワット(W/cm
2)以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板を280℃未満の温度に維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ケイ素前駆体が、シラン、トリシリルアミン、ネオペンタシラン、ハロゲン化シラン、アルキルアミノシラン、又はそれらの組み合わせを含み、
前記窒素前駆体が、窒素ガス、アンモニア、ヒドラジン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1の窒化ケイ素層が、約30Å以下の厚さまで堆積され、約80%以上の共形性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
プラズマ原子層堆積(PEALD)プロセス中に前記第1の窒化ケイ素層上に第2の窒化ケイ素層を堆積することをさらに含み、
前記PEALDプロセスは、前記基板を前記ケイ素前駆体に曝すこと、前記基板を前記窒素前駆体に曝すこと、そして前記基板をプラズマに曝すこと、という連続サイクルを含み、
前記第2の窒化ケイ素層は、約15Å~約30Åの厚さに堆積され、80パーセントを超えるパーセント共形性を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
処理チャンバの処理容積内に基板を配置することであって、前記基板は複数のフィーチャを有するパターン化された表面を含み、前記複数のフィーチャのうちの個々のものは、多層スタックを介して形成された1つ又は複数の開口部によって画定され、前記多層スタックの少なくとも1つの層は、カルコゲン含有材料を含み、前記基板は、280℃未満の温度に維持される、前記配置することと;
ケイ素前駆体及び窒素前駆体のパルスを前記処理容積中に流すことと;
前記ケイ素前駆体及び前記窒素前駆体のプラズマに点火することと;
前記基板の前記パターン化された表面上に第1の窒化ケイ素層を堆積することであって、前記第1の窒化ケイ素層は、約80パーセント以上の共形性を有する、前記第1の窒化ケイ素層を堆積することと;
前記第1の窒化ケイ素層上に第2の窒化ケイ素層を堆積することであって、前記基板を第2のケイ素前駆体に曝すこと、前記基板を第2の窒素前駆体に曝すこと、プラズマに点火すること、及び前記基板を前記プラズマに曝すことを含む、前記第2の窒化ケイ素層を堆積することと
を含む、基板を処理するための方法。
【請求項11】
前記基板を前記ケイ素前駆体に曝すことの後、かつ、前記基板を前記窒素前駆体に曝すことの後、不活性ガスであるパージガスで前記処理容積をパージすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プロセッサによって実行されるときに基板を処理する方法を実行するための命令が格納されているコンピュータ可読媒体であって、前記方法が:
処理チャンバの処理容積内に基板を配置することであって、前記基板は複数のフィーチャを有するパターン化された表面を含み、前記複数のフィーチャのうちの個々のものは、多層スタックを介して形成された1つ又は複数の開口部によって画定され、前記多層スタックの少なくとも1つの層は、カルコゲン含有材料を含み、前記基板は、280℃未満の温度に維持される、前記配置することと;
ケイ素前駆体及び窒素前駆体のパルスを前記処理容積中に流すことと;
前記ケイ素前駆体及び前記窒素前駆体のプラズマに点火することと;
前記基板の前記パターン化された表面上に第1の窒化ケイ素層を堆積することであって、前記第1の窒化ケイ素層は、約80パーセント以上の共形性を有する、前記第1の窒化ケイ素層を堆積することと
を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記ケイ素前駆体と前記窒素前駆体とが同じデューティサイクルを有する、請求項12に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記ケイ素前駆体及び前記窒素前駆体のパルスの各パルスサイクルが20秒以下のサイクルタイムを有し、サイクルの各オンタイムが10秒以下である、請求項12に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
プラズマ原子層堆積(PEALD)プロセスを使用して、前記第1の窒化ケイ素層上に堆積された第2の窒化ケイ素層を堆積するため;及び
前記PEALDプロセス中に、前記基板を前記ケイ素前駆体で形成されたプラズマに曝すことと、前記基板を前記窒素前駆体で形成されたプラズマに曝すこととの間に前記処理容積をパージするため
の命令をさらに含む、請求項12に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
分野
ここに記載の実施形態は、概して、半導体デバイス製造の分野に関連し、より具体的には、相変化メモリランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス用の共形窒化ケイ素カプセル化層を形成する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
不揮発性メモリ(NVM)技術は、マイクロエレクトロニクス業界で基本的な役割を果たしている。そのような新しいNVM技術の1つに、相変化メモリ(PCM)がある。
【0003】
典型的なPCMデバイスは、メモリセルのアレイを含み、各メモリセルは、メモリ素子と、オボニックスレッショルドスイッチ(OTS)などの選択素子とを含む。一般に、メモリ素子は、アモルファス状態と結晶状態との間、又は完全にアモルファスな状態と完全に結晶性の状態との間のスペクトル全体で、局所的な秩序の異なる検出可能な状態の間で電気的に切り替えられるカルコゲニド合金で形成される。一般に、メモリセルのアレイの個々のメモリセルは、互いに間隔を置いて配置され、それらの間に配置された誘電体材料によって機能的に分離されている。誘電体材料は、隣接して配置されたメモリセル間のセル間干渉、例えばクロストークを防止する。典型的には、誘電体材料は、個々のメモリセルの間に配置された開口部の壁を裏打ちするために使用されるカプセル化層を含む。カプセル化層は、相変化とITS材料を湿気と酸素による損傷から保護する。残念ながら、PECVD(プラズマ化学気相堆積)法を使用してカプセル化層をPCRAMメモリセルの表面に堆積する従来の方法では、トレンチ底部に十分な膜被覆率を有する次世代PCRAMノードに必要な適合性を達成できない場合がある。プラズマ原子層堆積(PEALD)は、望ましい共形性を実現し得るが、プラズマによる損傷により、カルコゲニド材料の望ましくない損失を引き起こす。
【0004】
したがって、当技術分野では、PCMデバイス上にカプセル化層を形成する改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
ここに記載の実施形態は、概して、相変化メモリ(PCM)デバイスで使用するためのカプセル化層を形成する方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、PECVDプロセス中に処理ガスをパルス状にすることによって共形な窒化ケイ素層を形成する方法に関する。さらに、本方法は、従来のプラズマ化学気相成堆積(PECVD)法と比較した場合、比較的低温及び比較的低いRF電力で強化された共形性を備えた共形な窒化ケイ素層を提供する。さらに、本方法は、ここに記載のようなPECVDプロセスによる第1の窒化ケイ素層の堆積を含む多操作プロセスをさらに提供する。さらに、第2の窒化ケイ素層が、PEALDによってPECVDフィルム上に堆積されて、所望の適合性及び気密性を達成する。いくつかの例では、PECVDプロセス又はPEALDプロセスは、280℃未満の基板温度で発生する。
【0006】
一実施形態では、基板を処理する方法は、処理チャンバの処理容積内に基板を配置することを含む。基板は、複数のフィーチャを有するパターン化された表面を含む。複数のフィーチャのうちの個々のものは、多層スタックを介して形成された1つ又は複数の開口部によって各停され、多層スタックは、カルコゲン含有材料を含む。該方法は、ケイ素前駆体及び窒素前駆体のパルスを処理容積に流すことをさらに含む。該方法は、ケイ素前駆体及び窒素前駆体のプラズマに点火することをさらに含む。該方法はさらに、基板のパターン化された表面上に第1の窒化ケイ素層を堆積することを含む。
【0007】
別の実施形態では、基板を処理する方法は、処理チャンバの処理容積内に基板を配置することを含む。基板は、複数のフィーチャを有するパターン化された表面を含む。複数のフィーチャのうちの個々のものは、多層スタックを介して形成された1つ又は複数の開口部によって各停され、多層スタックは、カルコゲン含有材料を含む。基板は280℃以下の温度に維持される。該方法は、ケイ素前駆体及び窒素前駆体のパルスを処理容積に流すことをさらに含む。該方法は、ケイ素前駆体及び窒素前駆体に点火することをさらに含む。該方法はさらに、基板のパターン化された表面上に第1の窒化ケイ素層を堆積させることを含み、第1の窒化ケイ素層は、約80パーセント以上の共形性を有する該方法は、基板を第2のケイ素前駆体に曝し、基板を第2の窒素前駆体に曝すという連続サイクルを含む、第1の窒化ケイ素層上に第2の窒化ケイ素層を堆積することと、プラズマに点火することと、基板をプラズマに曝すこととをさらに含む。
【0008】
別の実施形態では、プロセッサによって実行されるときに基板を処理する方法を実行するための命令が格納されたコンピュータ可読媒体が提供される。該方法は、処理チャンバの処理容積内に基板を配置することを含む。基板は、複数のフィーチャを有するパターン化された表面を含む。複数のフィーチャのうちの個々のものは、多層スタックを介して形成された1つ又は複数の開口部によって各停され、多層スタックは、カルコゲン含有材料を含む。基板は280℃以下の温度に維持される。該方法は、ケイ素前駆体及び窒素前駆体のパルスを処理容積に流すことをさらに含む。該方法は、ケイ素前駆体及び窒素前駆体のプラズマを生成することをさらに含む。該方法は、基板のパターン化された表面上に第1の窒化ケイ素層を堆積することをさらに含み、第1の窒化ケイ素層は、約80パーセント以上の共形性を有する。
【0009】
図面の簡単な説明
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態による、ここに記載の方法を実施するために使用される例示的な処理チャンバの概略断面図である。
【
図2A】ここに記載のそれぞれの実施形態による、プラズマを点火及び維持するために使用される処理ガス及びRF電力の流れを概略的に示している。
【
図2B】ここに記載のそれぞれの実施形態による、プラズマを点火及び維持するために使用される処理ガス及びRF電力の流れを概略的に示している。
【
図3】一実施形態による、窒化ケイ素層を形成する方法を示すフローチャートである。
【
図4A】一実施形態による、
図3に示される方法の間の基板を概略的に示す。
【
図4B】一実施形態による、
図3に示される方法の間の基板を概略的に示す。
【
図4C】一実施形態による、
図3に示される方法の間の基板を概略的に示す。
【
図4D】一実施形態による、PEALDを介して第2の窒化ケイ素層を形成する方法中の基板を概略的に示す。
【0011】
理解を容易にするために、可能な場合は、図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。一実施形態の構成要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると想定されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本実施形態は、概して、相変化メモリ(PCM)デバイスのメモリセルをカプセル化するために使用されるカプセル化層を形成する方法に関する。特に、本開示の実施形態は、PECVDプロセス中に処理ガスをパルス状にすることによって共形な窒化ケイ素層を形成する方法に関する。さらに、本方法は、従来のプラズマ化学気相堆積(PECVD)法と比較した場合、280℃未満の温度で、そして比較的低いRF電力で、共形な窒化ケイ素層を提供する。
【0013】
図1は、一実施形態による、ここに記載の方法を実施するために使用される例示的な処理チャンバの概略断面図である。ここに記載の方法を実施するために使用できる他の例示的な堆積チャンバには、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能な他のシステムの中でも特に、Ultima HDPACT(登録商標)、又はPrecision(登録商標)PECVDシステム、又はJuniper(登録商標)PEALDシステム、及び他のメーカーの適切な堆積チャンバが含まれる。
【0014】
処理チャンバ100は、PECVD、PEALD、及び/又はALDを実行するように構成された処理チャンバである。処理チャンバ100は、容量結合を介して処理ガスのプラズマを点火及び維持するように構成される。処理チャンバ100は、チャンバリッドアセンブリ101、1つ又は複数の側壁102、及びチャンバベース104を含む。チャンバリッドアセンブリ101は、チャンバリッド106、チャンバリッド106内に配置されたシャワーヘッド107、及びチャンバリッド106と1つ又は複数の側壁102との間に配置された電気絶縁リング108を含む。シャワーヘッド107、1つ又は複数の側壁102、及びチャンバベース104は、一緒になって、処理容積105を画定する。チャンバリッド106を通して配置されたガス入口109は、ガス源110に流体的に結合されている。その中に配置された複数の開口部111を有するシャワーヘッド107を使用して、処理ガスをガス源110から処理容積105に均一に分配することができる。シャワーヘッド107は、RF電源などの第1の電源112に電気的に結合され、これは、それとの容量結合を介して処理ガスのプラズマ113を点火及び維持するための電力を供給する。ここでは、RF電力は、約400kHz~約40MHz、例えば、約400kHz又は約13.56MHzの周波数を有する。他の実施形態では、処理チャンバ100は、誘導性プラズマ発生器を備えており、RF電力を処理ガスに誘導性結合することを通して、プラズマが形成される。
【0015】
処理容積105は、真空出口114を介して、1つ又は複数の専用真空ポンプなどの真空源に流体的に結合されており、処理容積105を大気圧未満の条件に維持し、処理ガス及び他のガスをそこから排出する。処理容積105内に配置された基板支持体115は、チャンバベース104の下の領域でベローズ(図示せず)に囲まれるなど、チャンバベース104を通って密閉するように延びる可動支持シャフト116上に配置される。ここで、処理チャンバ100は、基板処理中にドア又は弁(図示せず)で密閉することができる、1つ又は複数の側壁102の1つにある開口118を介して、基板117を基板支持体115との間で移動させるのを容易にするように構成される。
【0016】
基板支持体115上に配置された基板117は、抵抗性加熱要素119などのヒーターの一方又は両方、及び基板支持体115内に配置された1つ又は複数の冷却チャネル120を使用して、所望の処理温度に維持される。1つ又は複数の冷却チャネル120は、比較的高い電気抵抗を有する変性された水源又は冷媒源などの冷却剤源(図示せず)に流体的に結合されている。少なくとも1つの実施形態では、基板支持体115又はその1つ又は複数の電極は、それにバイアス電圧を供給する連続波(CW)RF電源やパルスRF電源などの第2の電源212に電気的に結合されている。いくつかの実施形態では、
図2A及び2Bにさらに示されるように、処理ガスの流れ及びRF電源の一方又は両方を、基板の処理中にパルス状にする。
【0017】
処理チャンバ100は、処理チャンバ100の動作を制御し、本明細書に記載の方法を実施するために使用されるシステムコントローラ122をさらに含む。システムコントローラ122は、メモリ126(例えば、不揮発性メモリ)及び支持体回路128で動作可能である、プログラム可能な中央処理ユニット、ここでは中央処理ユニット(CPU)124を含む。支持体回路128は、CPU124に結合され、処理チャンバ100の様々な構成要素に結合されて、その制御を容易にするキャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源、及びそれらの組み合わせを含む。CPU124は、処理チャンバ100の様々な構成要素及びサブプロセッサを制御するための、プログラマブル論理コントローラ(PLC)などの任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つである。CPU124に結合されたメモリ126は、非一時的であり、典型的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又はローカル若しくはリモートのその他の形式のデジタルストレージなどの1つ又は複数の容易に利用可能なメモリである。
【0018】
典型的には、メモリ126は、CPU124によって実行されると、処理チャンバ100の操作を容易にする命令(例えば、不揮発性メモリ)を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態である。メモリ126内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなどのプログラム製品の形式である。プログラムコードは、いくつかの異なるプログラミング言語のいずれかに準拠していて良い。一実施例では、本開示は、コンピュータシステムにおいて使用するためのコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたプログラム製品として実装されうる。プログラム製品の一又は複数のプログラムは、実施形態の機能(本書に記載された方法を含む)を規定する。
【0019】
図2A~
図2Bは、
図1に記載された処理チャンバなどの処理チャンバの処理体積への処理ガスのパルス流を概略的に示している。
【0020】
図2Aでは、連続RF電力202が、パルス処理ガス流200のプラズマを点火及び維持するために使用される。ここで、処理ガス流200の各パルスサイクルは、処理チャンバへの処理ガスの流れを制御する弁が開いているオンタイム持続時間t
onと、処理ガスの流れを制御する弁が閉じているオフタイム持続時間t
offによるT
1の持続時間を有する。いくつかの実施形態では、パルスサイクル時間T
1は、約0.001秒~約20秒、約0.001秒~約20秒の範囲など、約0.1秒~約15秒など、約0.5秒~約12.5秒など、約0.75秒~約10秒などの持続時間を有する。
【0021】
さらに、各オンサイクルは、約7.5秒以下など、約10秒以下、約5秒以下など、約2.5秒以下など、約1秒以下、又は約0.5秒以下のオン時間持続時間ton を有する。フローパルスのオンタイムデューティサイクルは、パルスサイクル時間T1約10%~約90%など、約15%~約85%など、約20%~約80%などの約5%~約95%である。フローパルスのオンタイムデューティサイクルは、パルスサイクル時間T1の約5%から約95%、約10%~約90%など、約15%~約85%など、約20%~約80%などである。処理ガスは、第1のガス(例えば、ケイ素前駆体)及び第2のガス(例えば、窒素前駆体)などの少なくとも2つのガスの混合物であり得る。いくつかの実施形態では、第1のガス及び第2のガスは、パルスで、又は連続的に、同じオン時間持続時間tonで、同じオフタイム持続時間toffで同時に及び/又はフローパルスの同じオンタイムデューティサイクルで流れる。別の実施形態では、第1のガスは、ton
1時間で連続的に流れ、第2のガスは、ton
2時間でパルスで流れ、ton
2時間は、ton
1時間よりも短く、及び/又は、ton
1と重なる、重ならない、部分的に重なる。
【0022】
図2Bは、処理ガス流200と、処理ガスのプラズマを点火及び維持するために使用されるRF電力204の両方がパルス化される実施形態を示している。処理ガスが上記のようにパルスで流れている間、プラズマを点火及び維持するために使用されるRF電力204はパルス状にされ、ここで、パルスは、複数のオンサイクル及びオフサイクルを含む。ここで、各オンサイクルにはオン時間持続時間t
onを有し、各オフサイクルにはオフ時間持続時間t
offを有し、各(t
on+t
off)は合計持続時間T2に等しい。ここで、総持続時間T
2は、約0.1秒~約35秒など、約0.5秒~約30秒など、約0.75秒~約25秒など、約1秒~約20秒などの約0.001秒~約40秒である。さらに、オンサイクルのそれぞれは、約30秒未満など、約20秒未満など、約10秒未満、約5秒未満、約0.05秒未満などの約40秒未満の持続時間t
onを有する。パルスのオンタイムデューティサイクルは、総デューティサイクル時間の約10%~約90%など、約15%~約85%など、約20%~約80%などの約5%~約95%である。さらなる実施形態では、RF電力がオフであるオフ時間持続時間t
offは、約30秒未満など、約20秒未満など、約10秒未満、約5秒未満、約0.05秒未満などの約40秒未満である。いくつかの実施形態では、パルスガスフローt
onとRFパルスt
onは同じ持続時間を有し、同時に実行される。他の実施形態では、パルスガス流のオン時間とRFパルスのオン時間は異なり、部分的に重複するか、又は時間的に重複しない。
【0023】
いくつかの例では、パルスプロセスガスフローは、不活性ガス又はキャリアガスをチャンバに連続的に流し、堆積(例えば、反応性)前駆体ガスの流れをパルス状にすることによって確立することができる。そのような例では、不活性ガス又はキャリアガスの継続的な流れは、プロセスチャンバ内のプラズマの維持を容易にする一方で、堆積前駆体をパルス状にすることは、ここに開示される利点を達成する。ここの他の例と組み合わせることができる一例では、個々の堆積前駆体のton及びtoffは、実質的に同じであり、PECVDプロセス中に重複し得る。
【0024】
図3は、一実施形態による、窒化ケイ素層を形成する方法300を示すフローチャートである。
図4A~
図4Cは、一実施形態による、
図3に示される方法300の間の基板を示す。
図4Dは、PEALDを介して第2の窒化ケイ素層を形成する方法中の基板を示している。
【0025】
ブロック302において、方法300は、
図1に記載された処理チャンバ100などの処理チャンバの処理ボリューム内にパターン化された基板400Aを配置することを含む。ここで、パターン化された基板400Aは、その上に配置された複数の特徴402などの複数のメモリセルを有するシリコンウエハなどの基板414を含む。複数の特徴402は、多層スタックから形成され、複数の特徴402の個々のフィーチャは、多層スタックを通して形成された開口部411によって画定される。多層スタックは、第1の電極層404、第1の電極層404上に配置された第1のカルコゲン含有層406、第1のカルコゲン含有層406上に配置された第2の電極層408、第2の電極層408上に配置された第2のカルコゲン含有層510、及び第2のカルコゲン含有層510上に配置された第3の電極層412を含む。
【0026】
ここにおいて、「カルコゲニド合金」は、硫黄、セレン、テルル、又はそれらの組み合わせなど、及び/又は炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、又はビスマス(Bi)などの周期表の第16族の元素の少なくとも1つを含む任意の材料である。
【0027】
複数の特徴402を規定するために多層スタックを介して形成された開口部402は、約90nm以下、約70nm以下、約60nm以下、約50nm以下、例えば、約20nm以下などの約100nm以下の幅Wを有する。いくつかの実施形態では、アスペクト比(開口部401の深さDと開口部401の幅Wとの比)は、約4:1~約40:1の範囲など、約5:1~約15:1など、約7:1~約25:1など、約10:1以上などの範囲にある。少なくとも1つの実施形態では、複数の開口部411の個々のものは、10:1以上のアスペクト比及び20nm以下の幅Wを有する。
【0028】
ブロック304において、方法300は、処理ガスのパルスを処理容積に流すことを含む。ここで、処理ガスは、ケイ素前駆体及び窒素前駆体を含む。適切なケイ素前駆体は、シラン(SiH4)、トリシリルアミン(TSA、N(SiH3)3)、ネオペンタシラン(NPS、(SiH3)4Si)、ヨードシラン、ブロモシラン、アルキルアミノシラン(例えば、SiH(N(CH3)2)3、(SiH2(NHtBu)2)、C9H29N3Si3、C6H17NSi、C9H25N3Si、C8H22N2Si))、又はそれらの組み合わせを含む。適切な窒素前駆体は、窒素ガス(N2)、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H4)、又はそれらの組み合わせを含む。処理ガスはまた、アルゴン又はヘリウムなどの不活性ガスなどのキャリアガスを含み得る。
【0029】
適切なヨードシランは、SiI4、Si2l6、SiH2l2、Si3l8、SiH3l及びそれらの組み合わせである。適切なブロモシランは、SiBr4、Si2Br6、SiH2Br2、Si3Br8、SiH3Br及びそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、ケイ素前駆体は、それに曝されることによるメモリセルの相変化又はOTS材料への損傷を回避するために、フッ素又は塩素原子を実質的に含まない。少なくとも1つの実施形態では、塩素原子もフッ素原子も実質的に含まないハロゲン化ケイ素前駆体は、原子数ベースでハロゲン原子の約0.1%未満など、約0.5%未満などの約1%未満からなる。
【0030】
処理容積への処理ガスの流量は、処理される基板のサイズ及び/又はチャンバ構造に依存する。例えば、直径300mmの基板を処理するサイズのチャンバの場合、オン時間tonの間のケイ素前駆体の流量は、約10sccm~約500sccm、約25sccm~約250sccmなどの約50scc約5sccm~約1,000sccmの範囲である。
【0031】
窒素前駆体(例えば、NH3)の流量は、約10sccm~約2000sccmなど、約25sccm~約1,000sccmなど、約50sccm~約250sccm、例えば、約100sccmなどの約5sccm~約2500sccmである。直径300mmの基板を処理するように構成されたチャンバでは、N2の流量は、例えば約250sccm~約3,000sccm、約500sccm~約2500sccm、約2000sccmなど、約100sccm~約4,000sccmである。
【0032】
ケイ素前駆体と窒素前駆体の合計流量は、約10sccm~約2000sccmなど、約25sccm~約1,000sccmなど、約50sccm~約250sccmなど、例えば、約100sccmなどの約5sccm~約2,500sccmである。
【0033】
任意選択的のキャリアガスは、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスであって良い。少なくとも1つの実施形態では、キャリアガスの流量は、約250sccm~約4,500sccmなど、約500sccm~約4,000sccmなどの約100sccm~約5,000sccmである。ケイ素前駆体の流量は、窒素前駆体(及びキャリアガス、低濃度のケイ素前駆体を有する処理ガスにつながる)。
【0034】
方法300はさらに、処理チャンバのシャワーヘッドなどの電極にRF電力を印加することによって、ブロック306内の処理ガスのプラズマに点火することを含む。プラズマは、処理容積内の処理ガスを活性化して、処理ガスを形成する反応性の低い前駆体から、ラジカルやイオンなどの反応性種を形成する。ここで、印加されるRF電力は連続的又はパルス状にされる。ここに記載のパルスガス流及びパルスRF電力の一方又は両方で形成されたプラズマは、プラズマ中のイオン種に対する中性種の比率を増加させる。長寿命の中性種の増加により、ナノメートルサイズのフィーチャへの拡散が可能になり、電子シェーディング効果が回避され、基板表面での吸着種の移動が増加して、適合性が向上する。例えば、いくつかの実施形態では、ケイ素前駆体の活性化種(例えば、TSA)は、連続ガス流及び連続RF電力の両方を使用する堆積方法と比較した場合、上記の方法300を使用して、より低い付着係数及びより大きな表面移動を有する。有益なことに、処理ガスをパルス状にすることと組み合わせて、RF電力(例えば、約250ワット以下のRF電力)をパルス状にすることは、ラジカルの形成を増加させ、同時にイオンの形成を減少させる。ラジカル付着係数はイオン付着係数よりも低いため、ラジカルはイオンよりも開口部で速く拡散することが望ましい。いくつかの実施形態では、処理体積の圧力は、ガス状分子相互作用又は再結合を減少させるために、約15Torr未満、例えば、約1mTorr~約15Torrである。例えば、いくつかの実施形態では、処理体積の圧力は、約0.5Torr~約12Torrなど、約1Torr~約10Torrなど、約3Torr~約8Torrなど、例えば、6Torrなどの約1mTorr~約15Torrに維持される。
【0035】
シャワーヘッド107に提供されるRF電力は、基板117及びチャンバ100のサイズに依存することができる。例えば、直径300mmの基板を処理するサイズのチャンバの場合、RF電力は約200ワット以下、約150ワット以下、約100ワット以下、約75ワット以下、約50ワット以下、約25ワット以下などの約250ワット以下である。ここで提供されるRF電力は、様々なサイズの基板を処理するように構成されたチャンバに合わせてスケーリングできる。例えば、いくつかの実施形態では、RF電力は、約0.28W/cm2以下、約0.21W/cm2以下、約0.14W/cm2以下、約0.11W/cm2以下、約0.07W/cm2以下、約0.035W/cm2以下など約0.35W/cm2以下である。さらなる実施形態では、RF電力は、例えば、約400kHz又は約13.56mHzなどの約400kHz~約40mHzの周波数を有する。
【0036】
方法300は、ブロック308内の基板のパターン化された表面上に第1の窒化ケイ素層416を堆積することをさらに含む。
図4A~
図4Bは、基板414のパターン化された表面を示し、
図4Cは、その上に堆積された、方法300に従って形成された第1の窒化ケイ素層416を示している。
図4Dは、第1の窒化ケイ素の表面上に共形に堆積した第2の窒化ケイ素層418を示し、ここで、第2の窒化ケイ素層418は、PEALDプロセスに従って形成される。
【0037】
少なくとも1つの実施形態では、方法300は、窒化ケイ素層の堆積中に基板414の温度を、約200℃以下、約100℃以下など、又は、例えば、約50℃から約300℃の範囲で、約75℃~約250℃など、約100℃及び約200℃から、又は例えば約80℃でなど、約300℃以下で維持することを含む。第1の窒化ケイ素層416は、フィーチャ402の均一なカプセル化を提供するために、基板の下にあるパターン化された表面、ここでは基板414のパターン化された表面及びその上に配置されたフィーチャ402に適合し、構造400B(
図4Cに示される)の形成をもたらす。第1の窒化ケイ素層416は、PCMデバイス及びその上に配置された汚染粒子の均一なカプセル化を提供するために、下にある表面に一致する。
【0038】
膜/層の共形性は、膜の共形性(例えば、第1の窒化ケイ素層の共形性)によって定義される。「適合性」という用語は、開口部401の下部側壁の窒化ケイ素層の厚さと、開口部401の上部の窒化ケイ素層の厚さとの比を指す(
図4Cに記載されているように、適合性は、底部の厚さ「a」を上部の厚さ「b」で割ったものに等しい。)。これに関して使用される場合、「共形」という用語は、ケイ素膜の厚さが基板414のパターン化された表面全体にわたって均一であることを意味する。「実質的に共形」という用語は、フィルムの厚さが、フィルムの平均厚さに対して、約5%など、約2%など、約1%など、約0.5%など、約10%を超えて変化しないことを意味する。少なくとも1つの実施形態では、第1の窒化ケイ素層416は、基板414のパターン化された表面上に堆積され、その結果、第1の窒化ケイ素層416は、約92.5%~約97.5%などの約90%~約99.99%の共形性など、約80%以上の共形性を有する共形窒化ケイ素層である。
【0039】
一例では、ブロック308は、基板を約280℃未満の温度に維持しながら発生する。処理ガスをパルス状にしながら、280℃未満の温度で第1の窒化ケイ素層416を形成することにより、第1の窒化ケイ素層416の共形性は、従来の態様と比較して改善される。さらに、第1の窒化ケイ素層416の電流漏れ、エッチング速度、及び密度も改善される。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法300は、気密性を改善するためにPEALDプロセスを使用して、第1の窒化ケイ素層416上に第2の窒化ケイ素層418を堆積することをさらに含む。一般に、PEALDプロセスを使用して形成された窒化ケイ素層は、PECVDプロセスを使用して形成された窒化ケイ素層と比較した場合、気密性が向上する。残念ながら、PEALDプロセスは、カルコゲニド材料に望ましくない損傷を引き起こす可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、第1の窒化ケイ素層416を使用して保護バリアを形成し、PCMデバイスが第2の窒化ケイ素層418を形成するのに使用されるPEALDプロセスに曝された場合に発生するであろうPCMデバイスのカルコゲニド材料へのイオン損傷を防止する。
【0041】
膜の品質を改善するために、プラズマ処理を行うことができる。一例では、プラズマ処理は、堆積された膜からのダングリングボンドの除去を容易にする。いくつかの実施形態では、方法300は、その堆積中に第1の窒化ケイ素層416を周期的にプラズマ処理することをさらに含む。それらの実施形態では、方法300は、第1の窒化ケイ素層416の一部を堆積することと、プラズマ処理の堆積部分を曝すこととである約5サイクル~約100サイクルの間の連続的な繰り返しを含む。例えば、一実施形態では、少なくとも部分的に堆積した第1の窒化ケイ素層416をプラズマ処理することは、窒素N2とHeを含む処理ガスを処理容積に流すことと、約250ワット~約750ワットのRF電力を使用して、処理ガスのプラズマを点火及び維持することと、部分的に堆積した窒化ケイ素層416をプラズマ処理に曝すこととを含む。一実施形態では、基板は、第1の窒化ケイ素層が約10Åから約70Åの厚さを有するまで、処理ガスの5パルス~50パルスごとにプラズマ処理に曝される。
【0042】
プラズマ処理中、処理体積内の圧力は、約0.1Torr~約10Torr、例えば、約1Torr~約3Torrに維持され;約50ワット~約1,500ワット、例えば、約250ワット~約1,000ワット、例えば、約500ワットのRF電力;約50sccm~約5,000sccmなど、約250sccm~約4,000sccm、例えば、約500sccm~約2000sccmのN2の流量;約500sccm~約8,000sccmなど、約1,000sccm~約6,000sccmなど、約2000sccm~約4,000sccmなど、約50sccm~約10,000sccmのガスキャリア(例えば、He)の流量;及び/又は約250ワット~約1,000ワットなど、約500ワット~約750ワットなど、約50ワット~約1,500ワットのRF電力が維持される。
【0043】
ここで、PEALDプロセスを介して第2の窒化ケイ素層418を形成することは、基板を気相の窒素前駆体にさらす前、又はその逆で、基板、それ故、第1の窒化ケイ素層416を気相中のケイ素前駆体に曝すことと、基板をプラズマに曝すことにより膜の成長を促進する連続サイクルを含む。典型的には、処理容積105は、ケイ素前駆体を流した後、及び窒素前駆体をその中に流した後、不活性ガスなどのパージガスを使用してパージされる。例えば、アルゴンなどのパージガスを処理チャンバに導入して、反応ゾーンをパージするか、さもなければ、反応ゾーンから残留反応性化合物又は反応副生成物を除去することができる。あるいは、パージガスは、前駆体のパルス間の時間遅延の間にパージガスのみが流れるように、堆積プロセス全体にわたって連続的に流すことができる。前駆体は、第1の窒化ケイ素層416の表面に膜厚が形成されるまで、代替的にパルス状にすることができる。ここで、第2の窒化ケイ素層418を形成するために使用されるケイ素前駆体及び窒素前駆体は、方法300のブロック304で上記に記載されたものから選択され、第1の窒化ケイ素層416を形成するために使用される前駆体と同じ又は異なっていても良い。
【0044】
一実施形態では、第2の窒化ケイ素層418は、第1の窒化ケイ素層416と同じチャンバ中で堆積される。別の実施形態では、第2の窒化ケイ素層418は、第1の窒化ケイ素層416とは異なるチャンバ中で堆積される。いくつかの実施形態では、基板は、約100℃から約275℃など、約150℃~約250℃など、又は約300℃以下で、約275℃以下、例えば、約250℃以下などの、約25℃~約300℃の温度に維持される。少なくとも1つの実施形態では、処理量は、約1Torr~約50Torrなど、たとえば、約2Torr~約30Torrなど、約0.1Torr~約100Torrの圧力に維持される。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、第2の窒化ケイ素層418は、プラズマが成長する必要があるPEALDプロセスを使用して堆積され、第1の窒化ケイ素層416の形成に関して窒化ケイ素膜を処理する。ここで、第1及び第2の窒化ケイ素層416及び418は、それぞれ、約5Åから約75Åなど、約10Å~約50Åなど、例えば、約15Å~約30Åなど、約1Å~約100Åの厚さまで堆積される。ここで、第2の窒化ケイ素層418は、80%以上など、例えば、90%以上などの少なくとも70%以上の共形性を有する。
【0046】
ここに記載の方法は、相変化メモリ(PCM)デバイスで使用するためのカプセル化層の堆積を提供する。より具体的には、本開示の実施形態は、従来のプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)法と比較した場合、PECVDプロセス中に処理ガスをパルスで流すことにより、比較的低温及び比較的低いRF電力で共形な窒化ケイ素層を形成する方法を提供する。有益なことに、本方法は、PCMデバイスの材料への損傷を最小限に抑えながら、基板のパターン化された表面への窒化ケイ素カプセル化の共形層堆積を提供する。
【0047】
さらに、ここに開示されるカプセル化層は、比較的低温(例えば、約280℃未満)で堆積されるが、熱アニール中に損傷しないよう、カプセル化層は高温(例えば、約500℃まで)でも安定である。また、開示されたカプセル化層は、水素、酸素、又は水蒸気を最小限に、又は全く脱着せず、高い気密性を示す。さらに、本方法は、メモリ素子及びメモリセルのOTSを形成するために使用されるカルコゲニド合金への損傷を最小限に抑えるか、又は実質的に全くなく、窒化ケイ素カプセル化層の共形な堆積を提供する。
【0048】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】