IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-多層物体のミリング 図1
  • 特表-多層物体のミリング 図2
  • 特表-多層物体のミリング 図3
  • 特表-多層物体のミリング 図4
  • 特表-多層物体のミリング 図5
  • 特表-多層物体のミリング 図6
  • 特表-多層物体のミリング 図7
  • 特表-多層物体のミリング 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】多層物体のミリング
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/317 20060101AFI20220729BHJP
   H01J 37/30 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
H01J37/317 D
H01J37/30 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572354
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 US2020032880
(87)【国際公開番号】W WO2020247161
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】16/435,367
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ザー イェフダ
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA32
5C101AA34
5C101EE12
5C101EE42
5C101EE44
5C101EE47
5C101EE59
5C101FF01
5C101GG02
5C101HH16
5C101JJ02
(57)【要約】
多層物体をミリングするためのミリング装置、非一過性コンピュータ可読媒体、および方法。本方法は、(i)ミリングプロセスに関連するミリングパラメータを受信または決定することであって、ミリングパラメータが、(a)デフォーカス強度、(b)ミリングプロセスの持続時間、(c)ミリングプロセス中に対物レンズに供給されるバイアス電圧、(d)イオンビームのエネルギー、および(e)イオンビームの電流密度のうちの少なくとも2つを含むことができる、受信または決定することと、(ii)ミリングパラメータを維持しながらミリングプロセスを適用することによってクレータを形成することであって、ミリングプロセスを適用することが多層物体上にデフォーカスイオンビームを向けることを含む、形成することと、を含むことができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層物体をミリングするための方法であって、
ミリングプロセスに関連するミリングパラメータを受信または決定することであり、前記ミリングパラメータが、(a)デフォーカス強度、(b)前記ミリングプロセスの持続時間、(c)前記ミリングプロセス中に対物レンズに供給されるバイアス電圧、(d)イオンビームのエネルギー、および(e)イオンビームの電流密度のうちの少なくとも2つを含む、受信または決定することと、
前記ミリングパラメータを維持しながら前記ミリングプロセスを適用することによって、前記多層物体内にクレータを形成することであり、前記ミリングプロセスを前記適用することが前記多層物体上にデフォーカスイオンビームを向けることを含む、形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
クレータパラメータを受信することと、前記クレータパラメータに基づいて前記ミリングパラメータを決定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クレータパラメータが、前記ミリングプロセスによってミリングされる前記多層物体の1つまたは複数の材料と、前記クレータの形状およびサイズのうちの少なくとも2つを画定する空間パラメータと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定することが前記ミリングパラメータと前記クレータパラメータとの間のマッピングに基づき、前記マッピングが異なるミリングパラメータを使用して適用されるテストミリングプロセスに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記クレータパラメータが前記クレータの平滑度を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ミリングパラメータが前記デフォーカス強度、前記ミリングプロセスの前記持続時間、前記バイアス電圧、前記イオンビームのエネルギー、および前記イオンビームの電流密度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記クレータの荷電粒子ビーム画像を取得することと、前記クレータによって露出された1つまたは複数の層に関連する深度情報を決定するために前記荷電粒子ビームを処理することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記処理することが前記荷電粒子ビーム画像内のピクセル位置と前記ピクセルに関する深度情報との間のマッピングを使用することを含み、前記クレータによって露出された前記層のうちの1つまたは複数に関連する限界寸法を決定することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記デフォーカスされたイオンビームが、前記多層物体の上面よりも下方に、または前記多層物体の前記上面よりも上方に焦点面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コントローラおよび集束イオンビームカラムを備えるミリング装置であって、
前記コントローラがミリングプロセスに関連するミリングパラメータを受信または決定するように構成され、前記ミリングパラメータが、(a)デフォーカス強度、(b)前記ミリングプロセスの持続時間、(c)前記ミリングプロセス中に対物レンズに供給されるバイアス電圧、(d)イオンビームのエネルギー、および(e)イオンビームの電流密度のうちの少なくとも2つを含み、
前記集束イオンビームカラムが前記ミリングパラメータを維持しながら前記ミリングプロセスを適用することによって多層物体内にクレータを形成するように構成され、前記ミリングプロセスを前記適用することが多層物体上にデフォーカスイオンビームを向けることを含む、
ミリング装置。
【請求項11】
前記コントローラがクレータパラメータを受信し、前記クレータパラメータに基づいて前記ミリングパラメータを決定するように構成されている、請求項10に記載のミリング装置。
【請求項12】
前記クレータパラメータが前記ミリングプロセスによってミリングされる前記多層物体の1つまたは複数の材料を含み、および/または、前記クレータパラメータが前記クレータの平滑度と、前記クレータの形状とサイズのうちの少なくとも2つを画定する空間パラメータと、を含む、請求項11に記載のミリング装置。
【請求項13】
前記コントローラが前記ミリングパラメータと前記クレータパラメータとの間のマッピングに基づいて前記ミリングパラメータを決定するように構成されているか、または前記コントローラが異なるミリングパラメータを使用して適用されるテストミリングプロセスに基づいて前記マッピングを決定するように構成されている、請求項11に記載のミリング装置。
【請求項14】
前記ミリングパラメータが前記デフォーカス強度、前記ミリングプロセスの前記持続時間、前記バイアス電圧、前記イオンビームのエネルギー、および前記イオンビームの電流密度を含む、請求項11に記載のミリング装置。
【請求項15】
ミリングプロセスに関連するミリングパラメータを受信または決定することであって、前記ミリングパラメータが、(a)デフォーカス強度、(b)前記ミリングプロセスの持続時間、(c)前記ミリングプロセス中に対物レンズに供給されるバイアス電圧、(d)イオンビームのエネルギー、および(e)イオンビームの電流密度のうちの少なくとも2つを含む、受信または決定することと、
前記ミリングパラメータを維持しながら前記ミリングプロセスを適用することによってクレータを形成することであって、前記ミリングプロセスを前記適用することが多層物体上にデフォーカスされたイオンビームを向けることを含む、形成することと、
のための命令を記憶する非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月7日に出願された米国非仮出願第16/435,367号の利益を主張するものであり、その内容全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
様々な半導体物体(例えば、半導体ウエハ、ディスプレイパネル、ソーラーウエハ)などの多層物体は、微視的スケールの多層を含むことがある。層の寸法(例えば、厚さ)およびある層を別の層の上に重ねるやり方が重要である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多層物体を評価するためのシステム、非一過性コンピュータ可読媒体、および方法を提供する必要性が高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
多層物体をミリングする方法を提供することができる。本方法は、(i)ミリングプロセスに関連するミリングパラメータを受信または決定することであって、ミリングパラメータが、(a)デフォーカス強度、(b)ミリングプロセスの持続時間、(c)ミリングプロセス中に対物レンズに供給されるバイアス電圧、(d)イオンビームのエネルギー、および(e)イオンビームの電流密度のうちの少なくとも2つを含むことができる、受信または決定することと、(ii)ミリングパラメータを維持しながらミリングプロセスを適用することによってクレータを形成することであって、ミリングプロセスを適用することが多層物体上にデフォーカスイオンビームを向けることを含むことができる、形成することと、を含むことができる。
【0005】
(i)ミリングプロセスに関連するミリングパラメータを受信または決定することであって、ミリングパラメータが、(a)デフォーカス強度、(b)ミリングプロセスの持続時間、(c)ミリングプロセス中に対物レンズに供給されるバイアス電圧、(d)イオンビームのエネルギー、および(e)イオンビームの電流密度のうちの少なくとも2つを含むことができる、受信または決定することと、(ii)ミリングパラメータを維持しながらミリングプロセスを適用することによってクレータを形成することであって、ミリングプロセスを適用することが多層物体上にデフォーカスイオンビームを向けることを含むことができる、形成することと、のための命令を記憶する非一過性コンピュータ可読媒体を提供することができる。
【0006】
コントローラおよび集束イオンビームカラムを含むことができるミリング装置を提供することができる。コントローラは、ミリングプロセスに関連するミリングパラメータを受信または決定するように構成することができる。ミリングパラメータは、(a)デフォーカス強度、(b)ミリングプロセスの持続時間、(c)ミリングプロセス中に対物レンズに供給されるバイアス電圧、(d)イオンビームのエネルギー、および(e)イオンビームの電流密度のうちの少なくとも2つを含むことができる。集束イオンビームカラムは、ミリングパラメータを維持しながらミリングプロセスを適用することによってクレータを形成するように構成することができる。ミリングプロセスを適用することは、多層物体上にデフォーカスされたイオンビームを向けることを含むことができる。
【0007】
特許請求される主題の例は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に特許請求され得る。しかしながら、本開示の実施形態は、その目的、特徴、および利点とともに、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれるとき、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】集束イオンビームを使用して多層物体に形成されたクレータの画像の一例である。
図2】デフォーカスされたイオンビームを使用して多層物体に形成されたクレータの画像の一例である。
図3】デフォーカスされたイオンビームを使用して多層物体に形成されたクレータの画像の一例である。
図4】デフォーカスされたイオンビームを使用して多層物体に形成されたクレータの画像の一例である。
図5】集束イオンビームカラムの一例である。
図6】走査型電子顕微鏡カラムの一例である。
図7】ミリング装置の一例である。
図8】方法の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図を簡単および明瞭にするために、図に示されている要素は、必ずしも縮尺通りには描かれていないことを理解されるであろう。例えば、要素の一部の寸法は、明瞭にするために他の要素に比べて誇張されていることがある。さらに、適切であると考えられる場合は、参照数字は、対応するまたは類似する要素を示すために、各図間で繰り返されることがある。
【0010】
以下の詳細な説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示の本実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者によって理解されるであろう。他の事例では、本開示の本実施形態を不明瞭にしないように、よく知られている方法、手順、および構成要素は、詳細に説明されていない。
【0011】
本開示の実施形態と見なされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本開示の実施形態は、その目的、特徴、および利点とともに、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれるとき、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【0012】
本開示の本実施形態の例示された実施形態は、大部分が、当業者に知られている電子構成要素および回路を使用して実施され得るため、詳細は、本開示の本実施形態の基礎となる概念の理解および認識のために、および本開示の本実施形態の教示を不明瞭にしないために、または本開示の本実施形態の教示から逸脱しないために、上記で例示されたように必要と考えられる範囲を超えては説明されない。
【0013】
本明細書における方法へのいかなる言及も、方法を実行することが可能なミリング装置に準用されるべきであり、コンピュータによって実行されると方法の実行をもたらす命令を記憶する非一過性コンピュータ可読媒体に準用されるべきである。
【0014】
本明細書におけるシステムへのいかなる言及も、システムによって実行することができる方法に準用されるべきであり、ミリング装置によって実行することができる命令を記憶する非一過性コンピュータ可読媒体に準用されるべきである。
【0015】
本明細書における非一過性コンピュータ可読媒体へのいかなる言及も、非一過性コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行することができるミリング装置に準用されるべきであり、非一過性コンピュータ可読媒体に記憶された命令を読み取るコンピュータによって実行することができる方法に準用されるべきである。
【0016】
多層物体をミリングするためのミリング装置、方法、および非一過性コンピュータ可読媒体を提供することができる。ミリングは、多層物体の表面上にデフォーカスされたイオンビームを向けることを含むことができるミリングプロセスを適用することを含む。ミリングは、非集束イオンビームを使用して斜めエッジを有するクレータを形成することを含むことができる。高電流非集束イオンビームを使用するミリングは、3次元走査パターンを辿る集束低電流イオンビームを使用して、露出表面を形成するために必要とされる時間の数分の一で、多層物体の斜め露出表面を形成することができる。
【0017】
ミリングプロセスの様々なミリングパラメータは、ミリングしようとする材料、所望の寸法、およびミリングによって形成されるクレータの平滑度に基づいて決定することができる。
【0018】
ミリングパラメータは、デフォーカス強度、ミリングの持続時間、対物レンズに供給されるバイアス電圧、イオンビームのエネルギー、イオンビームの電流密度のうちの少なくとも2つを含むことができる。
【0019】
クレータの直径は、ビームエネルギー、イオンビームの電流密度、およびデフォーカス強度に依存することがある。クレータの深さは、ビームエネルギー、電流密度、照射時間、およびミリングされる材料に依存することがある。
【0020】
ミリングのミリングパラメータとクレータパラメータとの間のマッピングは、1つまたは複数のやり方で学習することができる。例えば、マッピングは、異なるミリングパラメータを適用しながら実行される実際のミリング操作に基づいてもよい。ミリングパラメータ値の全ての可能な組合せの一部のみがテストされてもよい。さらに別の例では、ミリング操作は、ミリングのシミュレーションまたは他の推定に基づいてもよく、ミリングを行わなくてもよい。
【0021】
デフォーカスは、様々なやり方で、例えば、ミリング装置の集束イオンビームカラムの対物レンズにバイアス電圧を加えることによって得ることができる。バイアス電圧は、荷電粒子ビームを試料に向かって加速するために使用される加速電圧の数分の一(例えば、1パーセント未満、5パーセント未満、または任意の他の値)であってもよい。
【0022】
ミリングパラメータおよびクレータパラメータの非限定的な例を以下に列挙する。多層物体は、シリコンバルク上に形成された交互する酸化物-窒化物層を有すると仮定される。交互する酸化物-窒化物層の合計厚さは約5ミクロンである。他の寸法および他の材料が使用されてもよい。
a.ビームエネルギーが30keV、プローブ電流が300nA、対物レンズ電圧が約17kV、照射時間が5秒の集束Xeビームにより、粗く(図1参照)、直径が5ミクロンの内側円(曝露されたシリコンバルク)として成形された底部を有するクレータ90(1)が形成された。クレータが形成される前に、物体には、複数の層を貫通してシリコン基板に達する孔90(2)が含まれていた。孔は、クレータの形成によって様々な深さに露出した。孔90(2)は、極めて小さく、参照番号90(2)で示されているが、図1では直接見ることができない。クレータ90(1)は、図1の画像91に示されている。
b.200ボルトのバイアス電圧を対物レンズに加え、照射を10秒に増加させると、平滑で(図2の画像92参照)、40ミクロンの直径を有し、直径が10ミクロンの内側円として成形された底部を有するクレータ90'(1)が形成された。図1および図2の画像は、同じ条件で取得された走査型電子顕微鏡画像である。例えば、同じ電圧、同じ作動距離、同じ傾斜角である)。それにもかかわらず、図2の画像92は、画像91の視野の2倍の視野で取得された。
c.400ボルトのバイアス電圧を対物レンズに加え、照射を15秒に増加させると、平滑な、75ミクロンの直径を有するが、シリコンバルクに達しない底部を有するクレータ90''(1)(図3の画像93参照)が形成された。図3の画像93(ならびに図1の画像91および図2の画像92)は、画像のピクセルに関連する深度情報を決定するための画像処理を使用して処理されてもよい。エッジ検出および/またはコントラスト分析を使用して複数の層を検出することができる。
d.600ボルトのバイアス電圧を対物レンズに加え、照射を60秒に増加させると、平滑な、100ミクロンの直径を有し、直径が20ミクロンの内側円として成形された底部を有する図4のクレータ91(11)(画像94参照)が形成された。
【0023】
クレータは、露出した層のうちの1つまたは複数に形成された構造要素を露出させることができ、これらの構造要素の限界寸法を、例えば、限界寸法走査型電子顕微鏡(CDSEM)を使用して測定することができる。そのような構造要素の非限定的な例は、1つまたは複数の層に形成された孔(例えば、図1の孔90(2))であってもよい。孔は、複数の層の全てを貫通することができる。孔は充填されていてもよく、または空っぽであってもよい。充填された孔は、3次元NANDメモリアレイで使用される導電経路を形成することができる。
【0024】
構造要素の限界寸法の測定は、(a)コントラスト画像分析を使用して各クレータ内の異なる層を識別すること、したがって、異なる深さのXY座標をマッピングすることと、(b)1つまたは複数の深さにおける1つまたは複数の構造要素を画像化し(例えば、CDSEMを使用して)、異なる深さにおける構造要素の限界寸法に関する統計を得ることと、を含むことができる。
【0025】
ミリング装置は、1つまたは複数の検出器を含むことができる。1つまたは複数の検出器は、クレータについての情報、特に、ミリングされるとクレータを形成する露出層についての情報を取得することができる。より緩やかな傾斜を有する平滑なクレータの形成は、特に、粗いクレータから得られるはるかにノイズの多い不正確な情報と比較して、得られる情報の精度を劇的に向上させることができる。
【0026】
1つまたは複数の検出器から得られた情報を使用して、層の深さと層の寸法との間のマッピングを生成することができる。
【0027】
斜めの露出面は湾曲しており、非線形であるため、(i)クレータの画像のピクセル間の距離と、(ii)これらのピクセルに関連付けられた深さとの間に非線形の関係が存在することがある。
【0028】
例えば、多層物体の各層が同じ厚さであると仮定すると、異なる層のエッジ間の距離は、斜め露出面の非線形性に起因して互いに異なる可能性がある。
【0029】
この非線形関係は、様々なやり方で、例えば、既知の厚さの層内の既知の寸法のクレータの画像を評価することによって学習することができる。クレータは、対称または非対称である場合があり、画像処理は、対称性レベルの変化を補償する必要がある。補償は、既知の基準から取得された画像に基づいてもよい。
【0030】
したがって、非線形の傾きを有するデフォーカスイオンビームを使用してミリングする場合、異なる層の異なる深さを識別するために画像処理を適用する必要がある。
【0031】
それにもかかわらず、クレータの深さは、非集束イオンビーム特性の較正を使用して、例えば、照射時間を制御することによって、制御することができる。
【0032】
したがって、完全な(所望の)クレータは、デフォーカス強度に関してビーム作用点ごとに、また照射時間に関してターゲット材料ごとに最適化することができる。
【0033】
図5は、半導体ウエハなどの多層物体40と、ミリング装置の集束イオンビームカラム10と、の一例を示す。
【0034】
集束イオンビームカラム10は、ビーム源14と、第1のレンズ18と、対物レンズ20と、電源ユニット30と、集束イオンビームカラム10を制御するコントローラ34と、を備える。
【0035】
第1のレンズ18は、集光レンズおよび/または走査レンズであってもよい。
【0036】
対物レンズ20は、磁気レンズ22および静電レンズ24を含むことができる。バイアス電圧が静電レンズ24に印加されてもよい。
【0037】
集束イオンビームカラム10は、追加の光学要素、他の光学要素などを含むことができる。
【0038】
集束イオンビームカラム10は、イオンビーム62を生成することができる。
【0039】
イオンビーム62は、傾けられ、1回または複数回偏向されてもよく、多層物体40に対して垂直な角度または斜めの角度で多層物体40に衝突することができる。
【0040】
図5は、対物レンズ20によって集束され、多層物体の上面(第1の平面51内に位置する)に集束されずに到達するイオンビーム62を示す。焦点面52は、上面の下方にあり、クレータ(図示せず)の下方にある。焦点面は、上面の上方にあってもよいことに留意されたい。
【0041】
デフォーカス強度ならびに他のミリングパラメータは、コントローラ34によって制御することができる。
【0042】
図6は、ミリング装置の走査型電子顕微鏡カラム(SEMカラム)11の例を示す。
【0043】
SEMカラム11は、ビーム源15と、第1の二重偏向レンズ17と、第2の二重偏向レンズ19と、レンズ内検出器23と、追加の検出器27と、エネルギーフィルタ29と、対物レンズ21と、電源ユニット31と、SEMカラム11を制御するコントローラ35と、を含むことができる。
【0044】
対物レンズ21は、磁気レンズおよび静電レンズを含んでもよい。バイアス電圧が静電レンズに印加されてもよい。
【0045】
SEMカラム11は、追加の光学要素、他の光学要素などを含むことができる。多層物体40に衝突する一次電子ビーム61は、傾けられ、1回または複数回(例えば、図6に示すように4回)偏向されてもよく、多層物体40に対して垂直な角度または斜めの角度で多層物体40に衝突することができる。
【0046】
多層物体40から放出された電子は、エネルギーフィルタ29に到達してもよく、またはレンズ内検出器23に到達してもよい。図6において、エネルギーフィルタ29に到達する電子は、63で示されている。
【0047】
エネルギーフィルタ29は、エネルギーフィルタ29によって設定された閾値を超えるエネルギーの電子を追加の検出器27に選択的に渡すことができる。閾値の変更により、異なるエネルギーの電子を追加の検出器27に到達させることができる。
【0048】
SEMカラム11は、検出器の任意の組合せを含むことができる。
【0049】
図7は、イメージャおよび多層物体40の2つの例を示す。
【0050】
第1のイメージャ101では、SEMカラム11と集束イオンビームカラム10とは、互いに平行である。第2のイメージャ102では、SEMカラム11と集束イオンビームカラム10とが互いに向き合っている。
【0051】
カラムの一方、または両方のカラムは、他方のカラムに対して、および/または多層物体40に対して傾いていてもよいことに留意されたい。
【0052】
図8は、方法200の一例を示す。
【0053】
方法200は、ステップ210および220を含むことができる。
【0054】
ステップ210は、ミリングプロセスに関連するミリングパラメータを受信または決定することを含むことができる。
【0055】
ミリングパラメータは、(a)デフォーカス強度、(b)ミリングプロセスの持続時間、(c)ミリングプロセス中に対物レンズに供給されるバイアス電圧、(d)イオンビームのエネルギー、および(e)イオンビームの電流密度のうちの少なくともいくつかを含むことができる。
【0056】
ステップ220は、ミリングパラメータを維持しながらミリングプロセスを適用することによってクレータを形成することを含むことができ、ミリングプロセスを適用することは、多層物体上にデフォーカスイオンビームを向けることを含むことができる。
【0057】
ステップ210は、クレータパラメータを受信することと、クレータパラメータに基づいて、ミリングパラメータを決定することと、を含むことができる。
【0058】
クレータパラメータは、ミリングプロセスによってミリングされる多層物体の1つまたは複数の材料と、クレータの形状およびサイズのうちの少なくとも2つを画定する空間パラメータと、を含むことができる。
【0059】
ステップ210は、ミリングパラメータとクレータパラメータとの間のマッピングに基づいてミリングパラメータを決定することを含むことができる。
【0060】
ステップ210は、異なるミリングパラメータを使用して適用されるテストミリングプロセスに基づいてマッピングを決定することを含むことができる。
【0061】
ミリングパラメータに関して、
a.デフォーカス強度は、クレータのサイズ、クレータの形状、およびデフォーカスされたイオンビームの電流密度に影響を及ぼす。例えば、デフォーカスを強くするほど、クレータが大きくなり、クレータの傾斜が緩やかになり、デフォーカスされたイオンビームの電流密度が低くなる。
b.ミリングの持続時間は、クレータの深さを決定する。
c.対物レンズのバイアス電圧は、デフォーカス強度を制御する。
d.イオンビームのエネルギーは、デフォーカスに影響を与えないが、イオンビームのエネルギーを強くするほど、デフォーカスされたイオンビームをより深く浸透させることができ、表面変形を低減する。
e.イオンビーム電流は、デフォーカスを決定するのではなく、ミリング速度およびクレータのサイズを決定する。例えば、イオンビーム電流を大きくするほど、ミリングが速くなり、クレータが大きくなる。
f.クレータの形状およびクレータのサイズは、イオンビーム電流およびイオンビームのエネルギーの変化が、デフォーカスされたイオンビームのプロファイルを変化させるため、イオンビームのエネルギーおよびイオンビーム電流によって影響を受ける。
【0062】
クレータパラメータは、ミリングプロセスによってミリングされる多層物体の1つまたは複数の材料と、クレータの形状およびサイズのうちの少なくとも2つを画定する空間パラメータと、を含むことができる。
【0063】
クレータパラメータは、いかなるやり方で決定されてもよい。例えば、クレータパラメータは、ユーザ、ミリング装置のオペレータなどによって決定されてもよい。
【0064】
ミリングパラメータとクレータパラメータとの間のマッピングは、シミュレーション、テストクレータの実際のミリングなどによって算出することができる。
【0065】
荷電粒子ビームはいずれも、任意の傾斜角で捕らえることができる。
【0066】
ミリング220の後、本方法は、SEMカラム11を使用して複数の層のうちの1つまたは複数における関心のある位置の限界寸法(CD)測定値を収集することと、CD測定値を処理することと、物体の3次元(3D)分析を生成することと、をさらに含むことができる。ミリングプロセスを適用するステップは、物体上の一スポットまたは様々なスポットにおけるミリング、走査線に沿ったまたは任意の他のミリング経路に沿ったミリング、物体の任意の領域におけるミリング、孔の開口部またはその付近におけるミリングなどを含むことができる。
【0067】
本開示の実施形態はまた、コンピュータシステムなどのプログラマブル装置上で実行されたときに、本開示の実施形態による方法のステップを実行するためのコード部分を少なくとも含み、またはプログラマブル装置が本開示の実施形態によるデバイスまたはシステムの機能を実行することを可能にする、コンピュータシステム上で実行するためのコンピュータプログラムに実装することができる。コンピュータプログラムは、ストレージシステムに、ディスクドライブをディスクドライブグループに割り当てさせるようにすることができる。
【0068】
コンピュータプログラムは、特定のアプリケーションプログラムおよび/またはオペレーティングシステムなどの命令のリストである。コンピュータプログラムは、例えば、サブルーチン、関数、プロシージャ、オブジェクトメソッド、オブジェクトインプリメンテーション、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/ダイナミックロードライブラリ、および/またはコンピュータシステム上で実行するために設計された命令の他のシーケンスのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0069】
コンピュータプログラムは、非一過性のコンピュータ可読媒体に内部的に記憶されてもよい。コンピュータプログラムの全てまたは一部は、情報処理システムに恒久的に、取り外し可能に、または遠隔で結合されたコンピュータ可読媒体上で提供されてもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、任意の数の、ディスクおよびテープストレージ媒体を含む磁気ストレージ媒体、コンパクトディスク媒体(例えば、CD-ROM、CD-Rなど)およびデジタルビデオディスクストレージ媒体などの光ストレージ媒体、フラッシュメモリ、EEPROM、EPROM、ROMなどの半導体ベースのメモリユニットを含む不揮発性メモリストレージ媒体、強磁性デジタルメモリ、MRAM、レジスタ、バッファまたはキャッシュ、メインメモリ、RAMなどを含む揮発性ストレージ媒体などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
コンピュータプロセスには、典型的には、実行中(ランニング中)のプログラムまたはプログラムの一部、現在のプログラム値および状態情報、ならびにプロセスの実行を管理するためにオペレーティングシステムによって使用されるリソースが含まれる。オペレーティングシステム(OS)とは、コンピュータのリソースの共有を管理し、それらのリソースにアクセスするために使用されるインターフェースをプログラマに提供するソフトウェアである。オペレーティングシステムは、システムデータおよびユーザ入力を処理し、システムのユーザおよびプログラムへのサービスとして、タスクおよび内部システムリソースを割り当て、管理することによって応答する。
【0071】
コンピュータシステムは、例えば、少なくとも1つの処理ユニット、関連するメモリ、およびいくつかの入出力(I/O)デバイスを含むことができる。コンピュータプログラムを実行すると、コンピュータシステムは、コンピュータプログラムに従って情報を処理し、I/Oデバイスを介して結果として得られる出力情報を生成する
【0072】
前述の明細書において、本開示の実施形態は、本開示の実施形態の特定の例を参照して説明されてきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の実施形態のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更がなされ得ることは明らかであろう。
【0073】
さらに、本明細書および特許請求の範囲における「正面」、「背面」、「上部」、「底部」、「上」、「下」などの用語は、存在する場合は、説明の目的のために使用され、必ずしも永久的な相対的位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であるため、本明細書に記載される本開示の実施形態は、例えば、本明細書に図示またはその他の方法で記載されたもの以外の配向で動作可能であることが理解される。
【0074】
特定の導電型または電位の極性が実施例に記載されているが、導電型および電位の極性は、逆であってもよいことが理解されるであろう。
【0075】
本明細書に記載された各信号は、正論理または負論理として設計されてもよい。負論理信号の場合、信号は、アクティブローであり、論理的に真の状態が論理レベル0に対応する。正論理信号の場合、信号は、アクティブハイであり、論理的に真の状態が論理レベル1に対応する。本明細書に記載された信号のいずれも、負論理信号または正論理信号のいずれかとして設計することができることに留意されたい。したがって、代替の実施形態では、正論理信号として記載された信号は、負論理信号として実施されてもよく、負論理信号として記載された信号は、正論理信号として実施されてもよい。
【0076】
さらに、「アサート」または「セット」および「ネゲート」(または「デアサート」または「クリア」)という用語は、本明細書では、信号、ステータスビット、または同様の装置をそれぞれその論理的に真または論理的に偽の状態にすることを指すときに使用される。論理的に真の状態が論理レベル1である場合、論理的に偽の状態は、論理レベル0である。そして、論理的に真の状態が論理レベル0である場合、論理的に偽の状態は、論理レベル1である。
【0077】
当業者は、論理ブロック間の境界が単に例示であり、代替の実施形態は、論理ブロックもしくは回路要素をマージすることができ、または様々な論理ブロックもしくは回路要素に機能の代替的な分解を課すことができることを認識するであろう。したがって、本明細書に示されるアーキテクチャは、単に例示であり、実際には、同じ機能を達成する他の多くのアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。
【0078】
同じ機能を達成するための構成要素のいかなる配置も、所望の機能が達成されるように、効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能を達成するように本明細書において組み合わされる2つのいかなる構成要素も、所望の機能が達成されるように、アーキテクチャまたは中間の構成要素とは無関係に、互いに「関連付けられている」と考えられてもよい。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために、互いに「動作可能に接続されている」、または「動作可能に結合されている」と見ることもできる。
【0079】
さらに、当業者は、上述した動作間の境界が単に例示であることを認識するであろう。複数の動作は、単一の動作に合体されてもよく、単一の動作は、追加の動作に分散されてもよく、動作は、時間的に少なくとも部分的に重複して実行されてもよい。さらに、代替の実施形態は、特定の動作の複数のインスタンスを含むことができ、動作の順序は、様々な他の実施形態において変更されてもよい。
【0080】
また、例えば、一実施形態において、図示された例は、単一の集積回路上または同一デバイス内に配置された回路として実装されてもよい。あるいは、実施例は、適切なやり方で互いに相互接続された任意の数の別個の集積回路または別個のデバイスとして実装されてもよい。
【0081】
また、例えば、実施例またはその一部は、任意の適切なタイプのハードウェア記述言語などで、物理回路または物理回路に変換可能な論理表現のソフト表現もしくはコード表現として実装されてもよい。
【0082】
また、本開示の実施形態は、非プログラマブルハードウェアに実装された物理デバイスまたはユニットに限定されず、メインフレーム、ミニコンピュータ、サーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、ノートパッド、携帯情報端末、電子ゲーム、自動車および他の組込みシステム、携帯電話、ならびに本出願では一般に「コンピュータシステム」と呼ばれる様々な他のワイヤレスデバイスなどの、適切なプログラムコードに従って動作することによって所望のデバイス機能を実行することができるプログラマブルデバイスまたはユニットにも適用することができる。
【0083】
しかしながら、他の修正形態、変形形態、および代替形態も可能である。それに応じて、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきである。
【0084】
特許請求の範囲において、括弧間に配置されたいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されないものとする。「含む」という単語は、請求項に列記されたもの以外の他の要素またはステップの存在を排除するものではない。さらに、本明細書で使用される「a」または「an」という用語は、1つまたは2つ以上として定義される。また、特許請求の範囲における「少なくとも1つ」もしくは「1つまたは複数」などの導入句の使用は、同じ請求項が導入句「1つまたは複数」もしくは「少なくとも1つ」、および「a」もしくは「an」などの不定冠詞を含んでいる場合であっても、不定冠詞「a」もしくは「an」による別の請求項要素の導入が、そのような導入された請求項要素を含む任意の特定の請求項を、そのような要素を1つだけ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。同じことが定冠詞の使用にも当てはまる。別段の記載がない限り、「第1」および「第2」などの用語は、そのような用語が説明する要素間を任意に区別するために使用される。したがって、これらの用語は、そのような要素の時間的または他の優先順位付けを示すことを必ずしも意図したものではない。特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0085】
本開示の実施形態の特定の特徴が本明細書に例示され、説明されてきたが、多くの修正形態、置換形態、変更形態、および均等物が当業者に想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の実施形態の真の精神の範囲内に入るようなそのような修正形態および変更形態を全て網羅していることが意図されていることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】