(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】湾曲面を有する面板
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20220729BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220729BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/205
H01L21/31 C
H01L21/31 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572416
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020035258
(87)【国際公開番号】W WO2020247269
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スリヴァスタヴァ, シャイレンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アデパリ, サイ ススミタ
(72)【発明者】
【氏名】ジョラプール, ニクヒル スディンドララオ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ラジ, デミアン ラジ
(72)【発明者】
【氏名】バンサル, アミット クマール
(72)【発明者】
【氏名】ロチャ, フアン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】チシュカノフ, グレゴリー ユージン
(72)【発明者】
【氏名】ハン, シンハイ
(72)【発明者】
【氏名】尾方 正樹
(72)【発明者】
【氏名】エンスロー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ウェンジャオ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA01
4K030GA02
4K030HA01
4K030JA03
4K030JA16
4K030JA18
4K030KA17
4K030KA18
4K030KA41
4K030KA45
4K030LA15
5F045AA04
5F045AA08
5F045AA15
5F045BB08
5F045BB09
5F045DP28
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH20
5F045EM05
(57)【要約】
基板処理チャンバの面板は、第1の表面及び第2の表面を含む。第2の表面は、第2の表面がピークを有し、第1の表面と第2の表面との間の距離が面板の幅全体で変動するように、成形される。面板の第2の表面は、処理チャンバの処理空間に曝露されている。さらに、面板は、処理チャンバのリッドアセンブリの一部であり得る。リッドアセンブリは、面板の第1の表面に面する遮蔽板を含み得る。遮蔽板と第1の表面との間の距離は一定である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ用の面板であって、
前記面板を前記処理チャンバ内に取り付けるように構成された円形の取り付けリングと、
複数の開孔と、
第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面であって、前記処理チャンバの処理空間に曝露されるように構成されており、第1のピークを含み、前記第1の表面と前記第2の表面の間の距離が変動し、前記面板が導電性材料で構成されている、第2の表面と、
を含む、面板。
【請求項2】
前記第2の表面が、前記第1のピークで収束する増加勾配を有する湾曲領域をさらに含む、請求項1に記載の面板。
【請求項3】
前記湾曲領域と前記第1のピークとの間の前記第2の表面の勾配が減少する、請求項2に記載の面板。
【請求項4】
前記第2の表面が、
正の勾配を有する線形領域と、
前記線形領域と前記第1のピークとの間の、増加勾配を有する、湾曲領域と
をさらに含む、請求項1に記載の面板。
【請求項5】
前記第1のピークの高さが、約10ミルから約20ミルの範囲である、請求項1に記載の面板。
【請求項6】
前記第2の表面が、第2のピークをさらに含む、請求項1に記載の面板。
【請求項7】
前記第1のピークの高さが、前記第2のピークの高さよりも大きい、請求項6に記載の面板。
【請求項8】
処理チャンバ用のリッドアセンブリであって、
ガスボックスと;
前記ガスボックスを通るガス導管と;
前記ガスボックスに連結された遮蔽板と;
前記遮蔽板に連結された面板であって、
前記面板を前記リッドアセンブリ内に取り付けるように構成された円形の取り付けリングと、
複数の開孔と、
前記遮蔽板に対して平行な第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面であって、前記処理チャンバの処理空間に曝露されるように構成されており、第1のピークを含み、前記第1の表面と前記第2の表面の間の距離が変動し、前記面板が導電性材料で構成されている、第2の表面と、
を含む、面板と;
を含む、リッドアセンブリ。
【請求項9】
前記第2の表面が、増加勾配を有するとともに前記第1のピークで収束する湾曲領域をさらに含み、湾曲領域と前記第1のピークの間の勾配が減少し、前記円形の取り付けリングに近接する前記第2の表面の勾配がゼロである、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項10】
前記第2の表面が、
正の勾配を有する線形領域と、
前記線形領域と前記第1のピークとの間の、増加勾配を有する、湾曲領域と
をさらに含む、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項11】
前記第2の表面が、第2のピークをさらに含む、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のピークの高さが、前記第2のピークの高さよりも大きい、請求項11に記載のリッドアセンブリ。
【請求項13】
前記第1のピークの高さが、約10ミルから約20ミルの範囲である、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項14】
前記第2の表面と前記遮蔽板との間の距離が変動する、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項15】
処理チャンバであって、
前記処理チャンバの処理空間内に配置された基板支持アセンブリと;
チャンバ壁と;
前記チャンバ壁に連結されたリッドアセンブリであって、
遮蔽板と;
前記遮蔽板に連結された面板であって、
前記面板を前記リッドアセンブリ内に取り付けるように構成された円形の取り付けリングと、
複数の開孔と、
前記遮蔽板に対して平行な第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面であって、前記処理チャンバの前記処理空間に曝露されるように構成されており、第1のピークを含み、前記第1の表面と前記第2の表面の間の距離が幅全体で変動し、前記面板が導電性材料で構成されている、第2の表面と、
を含む、面板と;
を含む、リッドアセンブリと;
を含む、処理チャンバ。
【請求項16】
前記第2の表面が、増加勾配を有するとともに前記第1のピークで収束する湾曲領域をさらに含み、湾曲領域と前記第1のピークの間の勾配が減少し、前記円形の取り付けリングに近接する前記第2の表面の勾配がゼロである、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項17】
前記第2の表面が、
正の勾配を有する線形領域と、
前記線形領域と前記第1のピークとの間の、増加勾配を有する、湾曲領域と
をさらに含む、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
前記第2の表面が第2のピークをさらに含む、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項19】
前記第1のピークの高さが、前記第2のピークの高さよりも大きい、請求項18に記載の処理チャンバ。
【請求項20】
前記第1のピークの高さが、約10ミルから約20ミルの範囲である、請求項15に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施態様は、概して、処理チャンバの面板、特に湾曲面を有する面板に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]多くの半導体デバイスは、通常、基板の表面に異なる材料の複数の層を形成することによって作成される。多くの場合、半導体デバイスには、異なる材料の層の複数の段又はステップのスタックが含まれる。例えば、3D NANDメモリでは、酸化物層と窒化物層の複数の段が垂直に積層されて、メモリデバイスが形成される。処理中に、堆積される各層は、面内歪み(IPD)によって定量化された局所的な応力の不均一性を経験する。局所的な応力の不均一性は、堆積プロセス中のプラズマ内の不均一性が原因である場合がある。例えば、プラズマの密度は、基板の表面全体で均一ではない場合がある。さらに、さまざまな例において、増加した周波数(例えば、27MHz以上)を有する高周波(RF)シグナルが、堆積速度を増加させるために利用されてきた。しかしながら、増加した周波数を有するRFシグナルの利用は、プラズマの不均一性を増加させる。したがって、層の局所的な応力の不均一性も増加し、製造不良率が増加する。さらに、層の数が増加すると、各層の累積的な局所的な応力の不均一性は増加する。よって、多くの層を有する半導体デバイスにおける製造不良率が増加する。
【0003】
[0003]よって、基板上に堆積される層の局所的な応力の不均一性を減少させるための改善された処理チャンバが必要である。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一例では、処理チャンバ用の面板は、処理チャンバ内に面板を取り付けるように構成された円形の取り付けリングを含む。面板は、複数の開孔と、第1の表面と、第2の表面とをさらに含む。第2の表面は、第1の表面の反対側にあり、処理チャンバの処理空間に曝露されるように構成されている。さらに、第2の表面は第1のピークを含む。さらに、第1の表面と第2の表面との間の距離は変動する。さらに、面板は導電性材料で構成されている。
【0005】
[0005]一例では、処理チャンバ用のリッドアセンブリは、ガスボックスと、ガス導管と、遮蔽板と、面板とを含む。ガス導管は、ガスボックスを通過する。遮蔽版は、ガスボックスに連結されている。面板は、処理チャンバ内に面板を取り付けるように構成された円形の取り付けリングを含む。面板は、複数の開孔と、第1の表面と、第2の表面とをさらに含む。第2の表面は、第1の表面の反対側にあり、処理チャンバの処理空間に曝露されるように構成されている。さらに、第2の表面は第1のピークを含む。さらに、第1の表面と第2の表面との間の距離は変動する。さらに、面板は導電性材料で構成されている。
【0006】
[0006]一例では、処理チャンバは、基板支持アセンブリと、チャンバ壁と、リッドアセンブリとを含む。基板支持アセンブリは、処理チャンバの処理空間内に配置される。リッドアセンブリは、チャンバ壁に連結されており、遮蔽板と面板とを含む。面板は、遮蔽板に連結されている。面板は、処理チャンバ内に面板を取り付けるように構成された円形の取り付けリングを含む。面板は、複数の開孔と、第1の表面と、第2の表面とをさらに含む。第2の表面は、第1の表面の反対側にあり、処理チャンバの処理空間に曝露されるように構成されている。さらに、第2の表面は第1のピークを含む。さらに、第1の表面と第2の表面との間の距離は変動する。さらに、面板は導電性材料で構成されている。
【0007】
[0007]上述した本開示の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施態様を参照することによって得られ、一部の実施態様は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容し得ることから、添付図面が本開示の典型的な実施態様を例示しているにすぎず、よって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]一又は複数の実施態様による、処理チャンバの概略図である。
【
図2】[0009]さまざまな実施態様による、面板の断面の概略図である。
【
図3】さまざまな実施態様による、面板の断面の概略図である。
【
図4】さまざまな実施態様による、面板の断面の概略図である。
【
図5】さまざまな実施態様による、面板の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0010]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施態様で開示される要素は、それらに関する具体的な記述がなくとも、他の実施態様で有益に利用できることが企図されている。
【0010】
[0011]基板上に異なる材料の複数の層が堆積されて、さまざまな異なる半導体デバイスが製造され得る。各個別の層は、比較的小さい局所的な応力の不均一性を有し得るが、各層は、累積的な局所的な応力の不均一性を経験し、各層の影響を大きくする。局所的な応力の不均一性は、面内歪み(IPD)として量子化され、処理チャンバの処理空間内のプラズマの不均一性に対応する。さらに、これらの層の堆積は時間のかかるプロセスである。しかしながら、より高いスループットのためにより高い周波数(例えば、27MHz超)が使用されるとき、より高い周波数に起因するプラズマの不均一性が、局所的な応力の不均一性に加わる。しかしながら、処理空間内にプラズマを生成するのに使用される電極のうちの少なくとも一つの形状を変えることによって、プラズマの不均一性は低減され、各層の局所的な応力の不均一性は減少され得る。
【0011】
[0012]
図1は、一又は複数の実施態様による、処理チャンバ100を示す。処理チャンバ100は、側壁104と、底部105と、リッドアセンブリ110とを有するチャンバ本体102を含む。側壁104とリッドアセンブリ110の面板118は、処理空間108を画定する。処理空間108へかつ処理空間108から基板を移送するための基板移送ポート111が、側壁104に形成され得る。処理チャンバ100は、とりわけ、化学気相堆積(CVD)処理チャンバ、原子層堆積(ALD)処理チャンバ、有機金属化学気相堆積(MOCVD)処理チャンバ、プラズマ化学気相堆積(PECVD)処理チャンバ、及びプラズマ原子層堆積(PEALD)処理チャンバのうちの一つであり得る。
【0012】
[0013]基板支持アセンブリ126は、リッドアセンブリ110の下の、処理チャンバ100の処理空間108内に配置される。基板支持アセンブリ126は、処理中に基板101を支持するように構成されている。基板101は、円周を有し得る。基板支持アセンブリ126は、それを通って移動可能に配置される複数のリフトピン(図示せず)を含み得る。リフトピンは、基板支持アセンブリ126の表面130から突出するように作動させることができ、これにより、基板支持アセンブリ126と間隔を空けて基板101を置くことができ、基板移送ポート111を通じた移送ロボット(図示せず)による移送を容易にする。基板支持アセンブリ126は、シャフト129に連結されており、基板支持アセンブリ126の垂直作動及び/又は回転を容易にする。
【0013】
[0014]電極134は、基板支持アセンブリ126の一部であり得る。電極134は、基板支持アセンブリ126内に埋め込まれていてもよく、又は基板支持アセンブリ126の表面130に連結されていてもよい。電極134は、プレート、穿孔されたプレート、メッシュ、ワイヤスクリーン、又は他の任意の分散構成物であってもよい。電極134は、同調電極であり得、基板支持アセンブリ126のシャフト129内に配置された導管135によって電源に連結され得る。
【0014】
[0015]バイアス電極及び/又は静電チャッキング電極であり得る電極132は、基板支持アセンブリ126の一部であり得る。電極132は、電源152に連結され得る。電源152は、DC電力、パルスDC電力、RF電力、パルスRF電力、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0015】
[0016]リッドアセンブリ110は、リッド106と、ガスボックス114と、遮蔽板116と、面板118とを含む。ガスボックス114と遮蔽板116の間に、プレナム124が形成される。さらに、プレナム125が、遮蔽板116と面板118の間に形成される。遮蔽板116には開孔117が含まれ、面板118には開孔119が含まれ、処理ガスは開孔119を通って処理空間108へ流れる。遮蔽板の複数の開孔117は、プレナム124とプレナム125との間の流体分布を可能にする。遮蔽板116は、混合ガスがプレナム125へ導入される前に、混合ガスを中心からエッジへ分散するよう構成されている。プレナム125は、面板118を介して形成された複数の開孔119を通じて、面板118と基板支持アセンブリ126との間に画定された処理空間108への混合ガスの移動を可能にする。さらに、混合ガスはイオン化されて、処理空間108内にプラズマを形成する。
【0016】
[0017]処理チャンバ100は、中央導管138をさらに含む。中央導管138は、ガスボックス114を通過する。例えば、中央導管138は、リッド106及びガスボックス114を通って形成され、プレナム124で開く。中央導管138は、一又は複数の処理ガスをガス供給システム140からプレナム124へ提供するよう構成されている。
【0017】
[0018]面板118は、導電性材料で構成され得る。例えば、面板118はアルミニウムで構成され得る。面板118には取り付けリング141が含まれる。取り付けリング141は円形であり、面板118の円周の周りに位置決めされる。さらに、取り付けリング141は、リッドアセンブリ110内に面板118を取り付けるのに使用され得る。例えば、取り付けリング141は、遮蔽板116、又はリッドアセンブリ110の別の要素に連結され得る。
【0018】
[0019]面板118は、電源142に連結され得る。電源142は、RF生成装置であり得、DC電力、パルスDC電力、及びパルスRF電力を生成するよう構成され得る。例えば、電源142は、約13MHzから約60MHzの範囲の周波数を有するRF電力で面板118を駆動し得る。あるいは、13MHz未満及び60MHz超の周波数が利用され得る。
【0019】
[0020]面板118は、表面120及び表面121を有する。表面120は、表面121と基板支持アセンブリ126との間の距離が面板118の幅全体で変動するように、湾曲していてもよい(例えば、
図1の実施態様のガウス分布形状又はベル形状)。さらに、表面120と表面121との間の距離は、面板の幅全体で、及び面板118の中心からエッジで変動し得る。さらに、表面120と遮蔽板116との間の距離は、面板118の幅全体で変動し、表面121と遮蔽板116との間の距離は、面板118の幅全体で一定である。
【0020】
[0021]表面121は、遮蔽板116に面している。表面121は、表面121と遮蔽板116との間の距離が面板118の幅全体で実質的に一定であるように、遮蔽板116の隣接する表面と実質的に平行であり得る。このような例では、表面121は平面である。
【0021】
[0022]表面120は、処理空間108に面し、それに曝露されている。例えば、処理空間108は、面板118の表面120と基板支持アセンブリ126の表面130との間に形成される。
【0022】
[0023]面板118の表面120の形状を変動させることにより、処理空間108内のプラズマの不均一性を調整し、基板101上に堆積される層の局所的な応力の不均一性を調整する。例えば、表面121が湾曲するように表面121を成形することにより、処理空間108内のプラズマの不均一性は減少する。さらに、プラズマの不均一性を減少させることによって、基板101上に堆積された層の局所的な応力の不均一性が減少する。局所的な応力の不均一性を減少させることによって、処理チャンバ100及び対応する半導体デバイスのパフォーマンスが強化される。プラズマの不均一性を改善及び/又は軽減するために、表面120の形状を変更することができると考えられる。
【0023】
[0024]さらに、一又は複数の湾曲領域を含むように面板118の表面120を成形することにより、堆積プロセスで使用される周波数の範囲のプラズマの不均一性が補正される。したがって、より高い周波数を使用するときに従来発生していたプラズマの不均一性は面板118によって軽減され得るため、良好な膜性能を維持しながら、堆積プロセスの速度を上げることができる。
【0024】
[0025]処理中、プラズマは、ガス供給システム140を介して中央導管138を通じて提供される前駆体混合ガスから処理空間108に形成される。プラズマは、容量性手段によって形成することができ、電源142及び電源150を介してRF電力を前駆体混合ガスに結合することによって励起され得る。RF電力は、二重周波数RF電力であってもよく、高周波成分及び低周波成分を有する。RF電力は、一般的に、約50Wと約2500Wの間の電力レベルで印加されるが、これは、すべて高周波RF電力、例えば、約13MHzから60MHzの範囲の周波数であってもよい。あるいは、RF電力は、高周波数電力と低周波数、例えば、約300kHzの周波数の電力の混合であってもよい。処理空間108内でプラズマを励起すると、プラズマと電極134及び/又は面板118との間に電位差が確立される。
【0025】
[0026]コントローラ190は処理チャンバ100に連結される。コントローラ190は、中央処理装置(CPU)192、メモリ194、及びサポート回路196を含む。コントローラ190は、処理チャンバ100の動作を制御するのに利用される。例えば、コントローラ190は、ガス供給システム140及び/又は電源142、150、及び152の動作を制御し得る。
【0026】
[0027]CPU192は、工業環境で使用することができる汎用コンピュータプロセッサの任意の形態になり得る。ソフトウェアルーチンは、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又はデジタルストレージの他の形態などのメモリ194に記憶することができる。サポート回路196は、CPU192に連結され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源などを含み得る。ソフトウェアルーチンは、CPU192によって実行されると、本開示に従って処理が実行されるように、CPU192を、処理チャンバ100を制御する特定用途コンピュータ(コントローラ)190に変換する。ソフトウェアルーチンはまた、チャンバから遠隔に位置する第2のコントローラ(図示せず)によって、記憶及び/又は実行され得る。
【0027】
[0028]
図2は、面板118の断面の概略図である。
図1に関して説明したように、面板118には、表面120及び121が含まれ、ここで表面120は湾曲形状を有する。湾曲形状は、取り付けリング141から半径方向内側に配置されている。
図2に示すように、表面120はガウス分布形状を有する。ガウス分布形状は、半値全幅(例えば、幅209)のある高さ(例えば、高さ210)を有するピーク204を有すると記載され得る。高さ210及び/又は幅209を変化させることにより、面板118の形状が、処理空間108内で生成されるプラズマの均一性に及ぼす影響が変化する。例えば、高さ210は、面板118の形状がプラズマの均一性に及ぼす影響を変えるために増減され得る。追加的に、又は代替的に、幅209は、面板118の形状がプラズマの均一性に及ぼす影響を変えるために増減され得る。
【0028】
[0029]ガウス分布形状は、ベル形状とも称される。例えば、表面120の形状は、面板118を分岐する中心線202に対して対称な曲線である。このような例では、表面120は、面板118の軸方向の中心線を通じて形成された任意の面に対して対称である(例えば、360度対称)。あるいは、表面120の形状は、中心線202に対して軸方向に対称ではない。
【0029】
[0030]表面120の曲線は、処理を受けている基板の幅に対応し得る。例えば、表面120の曲線又は形状の幅は、基板の幅と少なくとも同じ大きさであり得る。
【0030】
[0031]表面120のガウス分布形状は、処理空間108内に生成されたプラズマの不均一性を減少させ、基板101上に堆積された層の局所的な応力の不均一性を減少させる。ガウス分布形状表面を有する面板を利用することにより、局所的な応力の不均一性をIPD値を有するように減少させ得る。
【0031】
[0032]表面120の形状は、領域211、212を含む。領域211は、取り付けリング141、及び面板118のエッジ220に近接しており、ほぼゼロの勾配を有する。領域212は、面板118の中心に向かって増加勾配(例えば、正の勾配)を有する。さらに、領域212は、領域211とピーク204との間にある。
【0032】
[0033]ピーク204は、面板118の最遠位端の平面として画定される平面207を基準とする高さ210を有する。高さ210は、約10ミルから約20ミルの範囲であり得る。ピーク204の高さ210は、処理空間108内に生成されたプラズマの不均一性に対応し得る。例えば、高さ210は、大量のプラズマの不均一性を補償するために増加され得る。
【0033】
[0034]
図3は、面板318の断面の概略図である。面板318は面板118と同様に構成され得るが、表面320は、面板118の表面120とは異なる形状を有する。例えば、表面320は、面板118の表面120のガウス分布形状と比較して、放物線の形状を有する。さらに、面板318は、面板118の代わりに、
図1の処理チャンバ100内で使用され得る。さらに、面板318は、面板118の開孔119と同様に構成され得る開孔319を含む。
【0034】
[0035]中心線302は、面板318を二つの等しい部分に分岐する。表面320の放物線の形状は、中心線302に対して軸方向に対称であり得る。例えば、表面320の放物線の形状は、中心線302に対して3D対称である。あるいは、表面320の形状は、中心線302に対して軸方向に対称ではない。さらに、表面320は、高さ310を有するピーク304を有し得る。高さ310は、表面321から最も離れている表面320の平面307を基準としている。高さ310は、約10ミルから約20ミルの範囲であり得る。表面320の放物線の形状は、取り付けリング141の半径方向内側の表面320の全体にわたって延び得る。例えば、ピーク304の幅332は、取り付けリング141の半径方向内側、かつ取り付けリング141を含まない、面板118の幅334に等しい。あるいは、幅332は幅334より小さくてもよく、表面320は、ほぼゼロの勾配を有する取り付けリング141に近接した一又は複数の領域を含んでもよい。領域333の勾配及び/又は高さ310は、面板118が処理空間108内で生成されるプラズマの均一性に及ぼす影響を変動させるように変動し得る。例えば、領域333の勾配は、面板118がプラズマの均一性にどのように影響するかを変えるために増加又は減少され得る。追加的に、又は代替的に、高さ310は、面板118がプラズマの均一性にどのように影響するかを変えるために変動し得る。
【0035】
[0036]表面120の放物線の形状は、勾配が増加勾配(例えば、正の勾配)からピーク304に近接するゼロの勾配に移行する領域333を有する。領域333はピーク304で収束する。
【0036】
[0037]
図4は、面板418の断面の概略図である。面板418は面板118と同様に構成され得るが、表面420は、面板118の表面120とは異なる形状を有する。例えば、表面420は捩れた形状を有する。捩れた形状は、異なる勾配と異なる曲線の組み合わせを含むものとして定義され得る。例えば、表面420は、第1の湾曲領域440と、第1の湾曲領域440に隣接した第2の湾曲領域442と、第2の湾曲領域442の半径方向外側の線形領域441とを含む。第1の湾曲領域440は、ピーク404を含む。さらに、第2の湾曲領域442は、ピーク404に向かって増加勾配を有する。領域441は、湾曲領域442に向かう増加勾配を有する。領域441は、領域442と接触している。さらに、領域441は、実質的に一定な勾配を有し得る。領域440、441、及び442の勾配並びに高さ410は、面板118が処理空間108内で生成されるプラズマの均一性に及ぼす影響を変動させるように変動し得る。例えば、領域440、441、及び442の勾配は、面板118がプラズマの均一性にどのように影響するかを変えるために増加又は減少され得る。追加的に、又は代替的に、高さ410は、面板118がプラズマの均一性にどのように影響するかを変えるために変動し得る。
【0037】
[0038]面板418は、面板118の代わりに、
図1の処理チャンバ100内で使用され得る。さらに、面板418は、面板118の開孔119と同様に構成され得る開孔419を含む。
【0038】
[0039]中心線402は、面板418を二つの等しい部分に分岐する。表面420の形状は、中心線402に対して軸方向に対称であり得る。例えば、表面320の捩れた形状は、中心線302に対して3D対称である。あるいは、表面420の形状は、中心線402に対して軸方向に対称ではない。さらに、ピーク304は高さ410を有する。高さ410は、表面421から最も離れている表面420の点407を基準としている。高さ410は、約10ミルから約20ミルの範囲であり得る。
【0039】
[0040]表面420の形状は、取り付けリング141から半径方向内側の表面420の全体にわたって延び得る。線形領域441及び領域440、442の幅432は、取り付けリング141を含まない面板418の幅434に等しくてもよい。あるいは、幅432は幅434より小さくてもよく、表面320は、ほぼゼロの勾配を有する一又は複数の領域を含んでもよい。
【0040】
[0041]
図5は、面板518の断面の概略図である。面板518は、面板118と同様に構成され得る。ただし、面板518は、複数のピーク(例えば、ピーク550、551、552)を有する表面520を有する。表面520は、湾曲しており、角のある形状を有すると言われる場合がある。
【0041】
[0042]
図5には3つのピークを示すが、面板518は、2つ又はそれ以上のピークを有し得る。例えば、面板518は、示された3つのピークを超えるピークを有し得る。さらに、ピーク550、551、552のそれぞれは、一般的な形状を有し得る。例えば、ピーク550、551、552のそれぞれは、ガウス分布形状、放物線の形状、及び捩れた形状のうちの一つを有し得る。さらに、追加の湾曲形状が利用されてもよい。あるいは、ピーク550、551、552のうちの第1の一又は複数は、ピーク550、551、552のうちの第2の一又は複数の形状とは異なる形状を有し得る。さらに、ピーク550、551、552のうちの一又は複数は、ピーク550、551、552のうちの別の一又は複数のものより大きい高さを有し得る。例えば、高さ530は、高さ531及び高さ532よりも大きくてもよい。さらに、高さ531は、高さ532と等しくてもよい。高さ530、531、及び532は、表面521から最も離れている表面520の平面507を基準としている。
【0042】
[0043]ピーク550、551、552の位置及び数は、処理空間108内に生成されたプラズマの不均一性に対応し得る。例えば、ピークは、そのピークが処理空間108内に生成されたプラズマの不均一性に対応するように、位置決めされ得る。さらに、ピーク550、551、552の高さは、プラズマの不均一性のレベルに対応し得る。例えば、プラズマの不均一性のレベルが高い場合は、より高い高さを有するピークが利用され得る。
【0043】
[0044]中心線502は、面板518を二つの等しい部分に分岐する。表面520は、表面520が中心線502に対して軸方向に対称(例えば、中心線502に対して3D対称)であるように、成形され得る。あるいは、表面520は、表面520が中心線502に対して軸方向に対称ではないように、成形されてもよい。
【0044】
[0045]基板上に堆積された層内のIPDは、プラズマの不均一性を減少させることにより、減少し得る。例えば、一又は複数の湾曲領域を含むように処理チャンバの処理空間に面する面板の表面を成形することによって、プラズマの不均一性は減少する。さらに、プラズマの不均一性を減少させることによって、基板上に堆積された各層のIPDは減少し、対応する半導体デバイスの製造不良率が減少する。さらに、成形された面板を使用することにより、堆積プロセス中に約13MHz超の周波数を有するRF電力の使用が可能になる。
【0045】
[0046]上記の説明は本開示の実施態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の実施態様及び更なる実施態様が考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決まる。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ用の面板であって、
前記面板を前記処理チャンバ内に取り付けるように構成された円形の取り付けリングと、
複数の開孔と、
第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面であって、前記処理チャンバの処理空間に曝露されるように構成されており、第1のピークを含み、前記第1の表面と前記第2の表面の間の距離が変動し、前記面板が導電性材料で構成されている、第2の表面と、
を含む、面板。
【請求項2】
前記第2の表面が、前記第1のピークで収束する増加勾配を有する湾曲領域をさらに含む、請求項1に記載の面板。
【請求項3】
前記湾曲領域と前記第1のピークとの間の前記第2の表面の勾配が減少する、請求項2に記載の面板。
【請求項4】
前記第2の表面が、
正の勾配を有する線形領域と、
前記線形領域と前記第1のピークとの間の、増加勾配を有する、湾曲領域と
をさらに含む、請求項1に記載の面板。
【請求項5】
前記第1のピークの高さが、約10ミルから約20ミルの範囲である、請求項1に記載の面板。
【請求項6】
前記第2の表面が、第2のピークをさらに含む、請求項1に記載の面板。
【請求項7】
前記第1のピークの高さが、前記第2のピークの高さよりも大きい、請求項6に記載の面板。
【請求項8】
処理チャンバ用のリッドアセンブリであって、
ガスボックスと;
前記ガスボックスを通るガス導管と;
前記ガスボックスに連結された遮蔽板と;
前記遮蔽板に連結された面板であって、
前記面板を前記リッドアセンブリ内に取り付けるように構成された円形の取り付けリングと、
複数の開孔と、
前記遮蔽板に対して平行な第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面であって、前記処理チャンバの処理空間に曝露されるように構成されており、第1のピークを含み、前記第1の表面と前記第2の表面の間の距離が変動し、前記面板が導電性材料で構成されている、第2の表面と、
を含む、面板と;
を含む、リッドアセンブリ。
【請求項9】
前記第2の表面が
、前記第1のピークで収束する
増加勾配を有する湾曲領域をさらに含み、湾曲領域と前記第1のピークの間の勾配が減少し、前記円形の取り付けリングに近接する前記第2の表面の勾配がゼロである、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項10】
前記第2の表面が、
正の勾配を有する線形領域と、
前記線形領域と前記第1のピークとの間の、増加勾配を有する、湾曲領域と
をさらに含む、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項11】
前記第2の表面が、第2のピークをさらに含む、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のピークの高さが、前記第2のピークの高さよりも大きい、請求項11に記載のリッドアセンブリ。
【請求項13】
前記第1のピークの高さが、約10ミルから約20ミルの範囲である、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項14】
前記第2の表面と前記遮蔽板との間の距離が変動する、請求項8に記載のリッドアセンブリ。
【請求項15】
処理チャンバであって、
前記処理チャンバの処理空間内に配置された基板支持アセンブリと;
チャンバ壁と;
前記チャンバ壁に連結されたリッドアセンブリであって、
遮蔽板と;
前記遮蔽板に連結された面板であって、
前記面板を前記リッドアセンブリ内に取り付けるように構成された円形の取り付けリングと、
複数の開孔と、
前記遮蔽板に対して平行な第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面であって、前記処理チャンバの前記処理空間に曝露されるように構成されており、第1のピークを含み、前記第1の表面と前記第2の表面の間の距離が幅全体で変動し、前記面板が導電性材料で構成されている、第2の表面と、
を含む、面板と;
を含む、リッドアセンブリと;
を含む、処理チャンバ。
【請求項16】
前記第2の表面が
、前記第1のピークで収束する
増加勾配を有する湾曲領域をさらに含み、湾曲領域と前記第1のピークの間の勾配が減少し、前記円形の取り付けリングに近接する前記第2の表面の勾配がゼロである、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項17】
前記第2の表面が、
正の勾配を有する線形領域と、
前記線形領域と前記第1のピークとの間の、増加勾配を有する、湾曲領域と
をさらに含む、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
前記第2の表面が第2のピークをさらに含む、請求項15に記載の処理チャンバ。
【請求項19】
前記第1のピークの高さが、前記第2のピークの高さよりも大きい、請求項18に記載の処理チャンバ。
【請求項20】
前記第1のピークの高さが、約10ミルから約20ミルの範囲である、請求項15に記載の処理チャンバ。
【国際調査報告】