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特表2022-536079撮像システム及びメタレンズアレイを製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】撮像システム及びメタレンズアレイを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20220804BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B3/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571873
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020033604
(87)【国際公開番号】W WO2020247172
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】201941022140
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】16/537,326
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フー, ジンシン
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, タパシュリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】マクミラン, ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッサー, ロバート ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2H249
【Fターム(参考)】
2H249AA04
2H249AA08
2H249AA14
2H249AA43
2H249AA45
2H249AA50
2H249AA55
2H249AA65
(57)【要約】
撮像システム及びメタレンズアレイを製造する方法が提供される。撮像システムは、メタレンズアレイを含み、物体から散乱された光が、メタレンズアレイによって分割され、その結果、観察者の前に画像が生成される。メタレンズアレイは、観察者が環境も見ることができるように、可視光にとって少なくとも部分的に透明である。メタレンズアレイを製造する方法は、複数の基板を共にボンディングすること、及び複数の基板をメタレンズアレイにダイシングすることを含む。メタレンズアレイは、撮像システム内で使用され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のメタレンズアレイを含む撮像システムであって、前記1以上のメタレンズアレイは、
複数のメタレンズ素子及び複数の基板を含み、前記複数のメタレンズ素子は、前記複数の基板上に配置され、
前記1以上のメタレンズアレイに入射する第1の光ビームが反射されて反射ビームへとコリメートされるように、前記1以上のメタレンズアレイが構成され、
前記1以上のメタレンズアレイは、前記反射ビームの方向と平行な方向において、可視光にとって少なくとも部分的に透明である、撮像システム。
【請求項2】
前記複数の基板のうちの少なくとも1つがガラスを含む、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記複数の基板のうちの少なくとも1つがプラスチックを含む、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記撮像システムは、拡張現実(AR)撮像システムである、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
マイクロディスプレイを更に含み、前記マイクロディスプレイから生成される光が、前記第1の光ビームを生成する、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記反射ビームは、前記反射ビームの上流に位置付けられている観察者に対して、前記マイクロディスプレイ上の物体に虚像を生成する、請求項5に記載の撮像システム。
【請求項7】
フレーム、
前記フレームに取り付けられたレンズ、並びに
前記レンズ内に配置された1以上のメタレンズアレイを含む、撮像システムであって、前記1以上のメタレンズアレイは、
複数のメタレンズ素子及び複数の基板を含み、前記複数のメタレンズ素子は、前記複数の基板上に配置され、
前記1以上のメタレンズアレイに入射する第1の光ビームが反射されて反射ビームへとコリメートされるように、前記1以上のメタレンズアレイが構成され、
前記1以上のメタレンズアレイは、前記反射ビームの方向と平行な方向において、可視光にとって少なくとも部分的に透明である、撮像システム。
【請求項8】
前記複数の基板のうちの少なくとも1つがガラスを含む、請求項7に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記複数の基板のうちの少なくとも1つがプラスチックを含む、請求項7に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記撮像システムは、拡張現実(AR)撮像システムである、請求項7に記載の撮像システム。
【請求項11】
マイクロディスプレイを更に含み、前記マイクロディスプレイから生成される光が、前記第1の光ビームを生成する、請求項7に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記反射ビームは、前記反射ビームの上流に位置付けられている観察者に対して、前記マイクロディスプレイ上に物体の虚像を生成し、前記撮像システムは、前記観察者によって装着されるように構成されている、請求項11に記載の撮像システム。
【請求項13】
メタレンズアレイを製造する方法であって、
基板積層体を生成するために複数の基板を共にボンディングすることであって、各基板は複数のメタレンズ素子を含む、複数の基板を共にボンディングすること、
前記基板積層体を複数のメタレンズアレイにダイシングすること、及び
前記メタレンズアレイを撮像システムの中に配置することを含む、方法。
【請求項14】
前記メタレンズアレイに入射する第1の光ビームが、反射されて反射ビームへとコリメートされ、
前記メタレンズアレイは、前記反射ビームの方向と平行な方向において、可視光にとって少なくとも部分的に透明である
ように、前記メタレンズアレイが構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のメタレンズ素子は、少なくとも1つの赤色メタレンズ素子、少なくとも1つの緑色メタレンズ素子、及び少なくとも1つの青色メタレンズ素子を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
各赤色メタレンズ素子が、少なくとも1つの緑色メタレンズ素子及び少なくとも1つの青色メタレンズ素子に直接隣接して位置付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
各メタレンズ素子は、無彩色メタレンズ素子である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の基板のうちの少なくとも1つがガラスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の基板のうちの少なくとも1つがプラスチックを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記メタレンズアレイを撮像システムの中に配置することは、前記メタレンズアレイをレンズの中に埋め込むことを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明の実施形態は、装置及び方法に関し、より具体的には、撮像システム及びメタレンズアレイを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 写真を撮るために使用される撮像システムは、カメラ及びスキャナを含む様々な用途で当該技術分野において一般的である。撮像システムの1つの用途は、仮想現実(VR)又は拡張現実(AR)システムであり、その場合、画像又はホログラムは、写真又は物体が明らかに単なる写真であるスクリーンとは異なり、画像が現実の物体であるように見えるように観察者に投影される。ユーザに送られる画像は、ユーザが見るものを置き換えるか、又はユーザが見るものに追加することができる。
【0003】
[0003] VR又はAR用途で使用される物体を投影するために、撮像システムは、画像がユーザの前に現れるようにそれらの画像を投影することができなければならない。それは、典型的には、様々なコリメーション光学素子(例えば、焦点レンズ)及び光結合光学素子(例えば、ビームスプリッタ、導光体、微小鏡、及び鏡アレイ)を必要とする。鏡アレイシステムのシナリオでは、ミラーアレイが、物体の画像がユーザの前に現れるように画像を反射し、ユーザにVR体験を与える。更に、撮像システムによってユーザが自分の環境も見ることができる場合、画像と環境との組み合わせによってAR体験が可能になる。
【0004】
[0004] 当技術分野における1つの欠点は、鏡アレイがユーザの視覚を遮断し、これにより、ユーザの環境に画像を投影することがより困難になることである。鏡は、現実世界のユーザの視界をぼかす可能性があり、鏡の金属光沢は、ユーザの注意力を散漫にさせる。更に、鏡のアレイは製造が困難であり、鏡の間隔及び位置合わせを制御することは、コストと時間がかかるプロセスである。また、当該技術分野の撮像システムは、通常、焦点レンズが使用されることを必要とし、撮像システムを適切に位置合わせするために、製造業者に更なる時間とコストとを追加する。
【0005】
[0005] したがって、VR及びARシミュレーションにおけるユーザの視認性を高めることを可能にする撮像システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 一実施形態では、1以上のメタレンズアレイを含む撮像システムが提供される。1以上のメタレンズアレイは、複数のメタレンズ素子及び複数の基板を含み、複数のメタレンズ素子は、複数の基板上に配置される。1以上の複数のメタレンズアレイは、1以上のメタレンズアレイに入射する第1の光ビームが、反射されて反射ビームへとコリメートされるように構成される。1以上のメタレンズアレイは、反射ビームの方向に平行な方向の可視光にとって少なくとも部分的に透明である。
【0007】
[0007] 別の一実施形態では、フレーム、フレームに取り付けられたレンズ、及び1以上のメタレンズアレイを含む、撮像システムが提供される。1以上のメタレンズアレイは、複数のメタレンズ素子及び複数の基板を含み、複数のメタレンズ素子は、複数の基板上に配置される。1以上の複数のメタレンズアレイは、1以上のメタレンズアレイに入射する第1の光ビームが、反射されて反射ビームhとコリメートされるように構成される。1以上のメタレンズアレイは、反射ビームの方向に平行な方向の可視光にとって少なくとも部分的に透明である。
【0008】
[0008] 別の一実施形態では、メタレンズアレイを製造する方法が提供される。該方法は、基板積層体を生成するために複数の基板を共にボンディングすること、基板積層体を複数のメタレンズアレイにダイシングすること、及びメタレンズアレイを撮像システムの中に配置することを含む。各基板は、複数のメタレンズ素子を含む。
【0009】
[0009] 撮像システムは、観察者が投影された物体及び環境の両方を見ることを可能にし、VR又はAR体験を可能にする。メタレンズアレイは製造が容易で、既存の半導体製造プロセスと互換性があり、メタレンズアレイは従来のガラス基板上に成長させることができる。
【0010】
[0010] 本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている実施形態のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態の一部が添付図面に示される。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面が本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、よって本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】[0011] 一実施形態による撮像システムを示す。
図1B】一実施形態による撮像システムを示す。
図1C】[0012] 一実施形態によるメタレンズアレイを示す。
図1D】[0013] 一実施形態による複数のメタレンズ特徴の一部分の上面図を示す。
図1E】[0014] 一実施形態による複数のメタレンズ特徴の一部分の側面図を示す。
図2】[0015] 一実施形態による、メタレンズアレイを生成するための方法動作のフローチャートである。
図3A】[0016] 一実施形態による複数の基板を示す。
図3B】[0017] 一実施形態による基板積層体を示す。
図3C】[0018] 一実施形態による、基板積層体から生成されたメタレンズアレイを示す。
図3D】[0019] 一実施形態による、撮像システムの中に配置されたメタレンズアレイを示す。
図3E】[0020] 一実施形態による、フレームを有する撮像システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0021] 理解し易くするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及びフィーチャは、更なる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込むことができると考えられている。
【0013】
[0022] 本明細書で提供される本開示の実施形態は、メタレンズアレイを含む撮像システム、及びメタレンズアレイを製造する方法を含む。撮像システムは、観察者が投影された物体と観察者の環境との両方を見ることを可能にし、VR又はAR体験を可能にする。製造する方法は、基板の積層体を共にボンディングすることを含む。その場合、基板は、複数のメタレンズ素子を含む。基板の積層体は、メタレンズアレイにダイシングされ、メタレンズアレイは、撮像システムに追加される。本開示の実施形態は、VR又はAR体験用にメタレンズアレイを使用する装置に有用であり得るが、これに限定されない。
【0014】
[0023] 本明細書で使用されるときに、「約」と言う用語は、公称値からの+/-10%のばらつきを指す。そのようなばらつきは、本明細書で提供される任意の値に含まれ得ることが理解されるべきである。
【0015】
[0024] 図1Aは、一実施形態による撮像システム100を示している。図示されているように、撮像システム100は、1以上のメタレンズアレイ120、フレーム130、ファスナ131と、接眼レンズ125、及びマイクロディスプレイ111を含む。一実施形態によれば、フレーム130は、観察者101に対して接眼レンズ125を保持する。一実施形態によれば、1以上のメタレンズアレイ120は、接眼レンズ125内に埋め込まれる。明確にするために1つのメタレンズアレイ120のみが示されているが、撮像システム100は、1から100のメタレンズアレイなどの任意の数のメタレンズアレイを含み得ることが理解される。メタレンズアレイ120は、メタレンズアレイのグリッド又は行及び列などの、任意の所望の構成で配置することができる。メタレンズアレイ120は、約1mmから約1cmの距離だけ互いから間隔を空けられ得る。フレーム130は、撮像システム100を観察者101に対して固定するファスナ131を含み得る。
【0016】
[0025] 第1の光ビーム110が、物体109から発される。幾つかの実施形態では、物体109が、マイクロディスプレイ111上に存在し、マイクロディスプレイは、観察者に示されるべき物体を表示し、第1の光ビーム110は、マイクロディスプレイの各ピクセルから生成される。第1の光ビーム110は、メタレンズアレイ120に入射する。メタレンズアレイ120は、光ビーム110を、反射ビーム112へとコリメート及び反射する。反射ビーム112は、観察者101によって見られる虚像(バーチャルイメージ)114を生成する。一実施形態によれば、虚像114は、マイクロディスプレイ111上の実像(リアルイメージ)109から生成され、その像は観察者101の上流にある。メタレンズアレイ120は、第1の光ビームがメタレンズアレイから反射するように構成されているので、第1の光ビーム110は、反射ビーム112へと反射及びコリメートされる。メタレンズアレイ120の各々は、空間的に変化する寸法(高さ、幅、直径など)を有するナノ構造特徴から構成される。異なるサイズを有するナノ構造特徴は、入射光に対して異なる位相遅延を生成する。メタレンズアレイ120のナノ構造特徴は、メタレンズアレイが放物面鏡などのような反射レンズとして機能するように設計することができる。したがって、マイクロディスプレイ111上の単一のピクセルからの光は、メタレンズアレイ120によって反射されて平行ビームへとコリメートされ、次いで、観察者101の肉眼によって目の網膜上の単一のピクセルに再集束される。
【0017】
[0026] 図1Bは、一実施形態による図1Aの撮像システム100を示している。図1Bの撮像システム100は、図1Aの撮像システムと同じであり、明確にするために追加の図が示されていることを理解されたい。環境光ビーム151は、環境150から散乱され、それはメタレンズアレイ120に入射する。メタレンズアレイ120は、観察者101が環境150を見ることができるように、メタレンズアレイが環境光ビーム151にとって少なくとも部分的に透明であるように構築される。環境光ビーム151は可視光からなる。環境光ビーム151は、メタレンズアレイが環境光ビームにとって透明であるように構成されるため、メタレンズアレイ120を通過する。メタレンズアレイ120のナノ構造特徴によって課される位相遅延は、環境光ビーム151の入射角に対して敏感である。反射性メタレンズアレイ120は、ある角度範囲内に入射する光のみを効率的に反射及びコリメートするように設計され、一方、メタレンズアレイは、この角度範囲外の光に対してより少ない影響を有する。加えて、メタレンズアレイ120のサイズが小さいため、環境光ビーム151は、メタレンズアレイの周囲を通過することができ、観察者101に対する環境150の視認性を高める。
【0018】
[0027] 一実施形態によれば、説明されているような撮像システム100は、観察者101が虚像114と環境150との両方を見ることを可能にし、したがって、撮像システム100はAR撮像システムであり、観察者101の拡張現実体験を可能にする。例えば、撮像システム100は、ヘッドセット、眼鏡、又はゴーグルであり、フレーム130は、ファスナ131(例えば、イヤーフック又は眼鏡アーム)によって、眼鏡、ゴーグル、又はヘッドセットを観察者101の耳に固定することができ、メタレンズアレイ120は、ヘッドセット、眼鏡、又はゴーグルの接眼レンズ125の部分である。例えば、観察者101がビデオゲームをプレイするために撮像システムを使用している場合、マイクロディスプレイ111は、物体が観察者の環境150の一部分として現れるように、ゲーム機から物体109を投影することができ、ビデオゲームとリアリティとのマージを可能にする。
【0019】
[0028] 従来のビームスプリッタ又は鏡は、可視光にとって透明ではなく、観察者101は、環境150ではなく虚像114のみを見ることができる。従来のビームスプリッタ又は鏡は、ある特定の大きさにしか作製することができず、それらは目立ち、眼鏡のレンズ内の鏡によって生じる魅力的でない金属斑点をもたらす。更に、メタレンズアレイ120は、従来のビームスプリッタよりも軽量である。また、メタレンズアレイ120は、光を集束させるために追加のレンズを必要としない。
【0020】
[0029] 図1Cは、一実施形態によるメタレンズアレイ120を示している。図示されているように、メタレンズアレイ120は、複数のメタレンズ素子121A、121B、121C、及び1以上の基板122A、122B、122Cを含む。3つの組のメタレンズ素子121及び3つの基板122が図示されているが、任意の数のメタレンズ素子又は基板が使用されてよい。基板122Aは、複数のメタレンズ素子121Aを含み、基板122Bは複数のメタレンズ素子121Bを含み、基板122Cは複数のメタレンズ素子121Cを含む。メタレンズ素子121は、基板122の厚さと比較して極めて薄く、メタレンズ素子の厚さは、明瞭にするために誇張されていることに留意することが重要である。メタレンズ素子121の幅wmは、約100umから約2mmの範囲である。隣接するメタレンズ素子121間の分離距離sdは、約0.5mmから約1cmの範囲である。メタレンズ素子121の厚さdmは、約10nmから約2umの範囲である。メタレンズ素子121の厚さdmは、従来のレンズよりもはるかに小さく、その結果、嵩が小さくなる。更に、メタレンズアレイが透明であるため、より大きなメタレンズアレイが、観察者101の視覚を妨害しないので、メタレンズアレイ120の総サイズは、より高解像度の撮像システム100用に増大させることができる。
【0021】
[0030] 図1Cで示されているように、基板122B上のメタレンズ素子121Bは、メタレンズ素子121Aがメタレンズ素子121Bの真上にないように配置することができる。同様に、基板122B上のメタレンズ素子121Bは、基板122C上のメタレンズ素子121Cがメタレンズ素子121Bの真下にないように配置することができる。メタレンズ素子121は互いに重なり合わないので、後述するように基板をボンディングしダイシングした後で、メタレンズ素子の各々を使用してマイクロディスプレイ111の異なる部分を撮像することができる。マイクロディスプレイ111上の画像全体は、全てのメタレンズ素子111によって反射及びコリメートされ、観察者101の肉眼に供給されることになる。
【0022】
[0031] 図1Dは、一実施形態による複数のメタレンズ特徴305の一部分300の上面図を示している。メタレンズ素子121は、メタレンズ特徴305の反復パターンを含む。メタレンズ特徴305は、基板310上に成長させたナノサイズのカラム(column)である。メタレンズ特徴305は、フィルタリングする光の所望のスペクトルに応じて異なる形状を有する。メタレンズ特徴305は、実質的に、円形、三角形、正方形、長方形、又は凹凸形状を有し得る。メタレンズ特徴305は、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、砒化ガリウム、窒化ガリウム、及び酸化ニオブなどの、任意の適切な高屈折率材料から作製され得るが、これらに限定されない。メタレンズ特徴305は、金(Au)、銀(Ag)、又は銅(Cu)などのような金属材料から作製することもできる。基板310は、ガラス又はプラスチックなどの任意の典型的な透明基板であってよい。基板310は、その上に配置された任意の数の層を含み得る。基板310は、例えば、図1Cの基板122である。
【0023】
[0032] 図1Eは、一実施形態による、複数のメタレンズ特徴305の一部分300の側面図を示している。メタレンズ特徴305は、約20nmから約500nmの半径rを有する。メタレンズ特徴305は、約10nmから約2μmの高さhを有する。メタレンズ特徴305は、約30nmから約500nmの分離距離dだけ互いから間隔を空けられている。メタレンズ特徴305の半径、高さ、形状、材料、及び特徴分離距離は、光の狭い波長帯域以外の全てを消去するメタレンズ121を生成するように選択される。
【0024】
[0033] 一実施形態では、メタレンズ素子121が、円形又は楕円形状のカラムを有するメタレンズ特徴305を有し、カラムは、二酸化ケイ素(SiO2)、シリコン(Si)、二酸化チタン(TiO2)、窒化ガリウム(GaN)材料を含み、カラムは、約30nmから500nmの半径を有し、カラムは、約10nmから2umの高さを有し、カラムは、約30nmから500nmの分離を有する。
【0025】
[0034] メタレンズ素子121は、特定の波長で光を集束させるように設計することができ、したがって、所与の色の可視光を選択的に集束させるために使用することができる。幾つかの実施形態によれば、メタレンズ素子121Aの一部は、赤色光(赤色メタレンズ成分)を集束させるように設計され、メタレンズ素子121Aの一部は、緑色光(緑色メタレンズ成分)を集束させるように設計され、メタレンズ素子121Aの一部は、青色光(青色メタレンズ成分)を集束させるように設計される。一実施形態によれば、各赤色メタレンズ素子121が、少なくとも1つの緑色メタレンズ素子及び少なくとも1つの青色メタレンズ素子に直接隣接して位置付けられる。赤色、緑色、及び青色のメタレンズ素子121の組み合わせは、3色の赤‐緑‐青(RGB)VR又はAR撮像システム100を可能にする。
【0026】
[0035] メタレンズ素子121は、広帯域波長を集束させるようにも設計され得る。これらの無彩色(achromatic)メタレンズ素子121は、3つではなく1つのメタレンズ素子によって全てのRGB色を反射及びコリメートすることができるので、光学素子の複雑さを低減させることになる。
【0027】
[0036] 基板122は、任意の透明材料で作成することができる。幾つかの実施形態によれば、基板122は、ガラス及び/又はプラスチックを含む。基板122は、約1mmから約1cmまで変化する厚さを有する。
【0028】
[0037] メタレンズ素子121は、第1の光ビーム110を反射し、メタレンズアレイ120は、第1の光ビームを反射ビーム112へとコリメートする。メタレンズアレイ120はまた、可視光にとって透明であり、観察者が虚像114と同時に環境150を見ることを可能にし、観察者に拡張現実体験を提供する。メタレンズ素子121は、反射性ホログラムであってもよく、それは、反射性メタレンズと同様に機能する。ホログラムは、光ビームを同時に反射及びコリメートすることもできる。
【0029】
[0038] 図2は、一実施形態による、メタレンズアレイを作製するための方法200動作のフローチャートである。方法200の動作は、図2及び図3A図3Eと併せて説明されるが、当該方法の動作を任意の順序で実行するように構成された任意のシステムが、本明細書で説明される実施形態の範囲内に含まれることを、当業者は理解するだろう。図3Aは、一実施形態による複数の基板122A、122Bを示している。基板122A、122Bは、その上に配置された複数のメタレンズ素子121A、121Bを有する。図3Aには2つの基板122が示されているが、任意の数の基板を使用することができることを理解されたい。
【0030】
[0039] 方法200は、動作210で開始し、複数の基板122がボンディングされて、基板積層体324を生成する。図3Bは、一実施形態による基板積層体324を示している。複数の基板122は、任意の従来のプロセスを使用して互いにボンディングすることができる。例えば、基板122は、基板の縁部を共に接着することによって、又は基板間の空間全体を光学接着剤で充填することによってボンディングすることができる。
【0031】
[0040] 動作220では、基板積層体324が、個々のメタレンズアレイ120、120’にダイシングされる。ダイライン325が、基板積層体324のダイシングを示すために図3Bで示されている。基板積層体325は、レーザーダイシングすることができる。他の実施形態では、基板積層体325をダイヤモンドスクライブすることができ、その後、基板積層体をダイシングする。図3Bで示されているダイスライン325は、基板122の表面に対して角度をなしているが、約20度から約70度の間などのような任意の角度のダイシングを使用することができる。図3Cは、一実施形態による、基板積層体324から生成されたメタレンズアレイ120、120’を示す。メタレンズアレイ120、120’は、図1A及び図1Bのメタレンズアレイ120と同様である。
【0032】
[0041] 動作230では、メタレンズアレイ120が、撮像システム100内に配置される。図3Dは、一実施形態による、撮像システム100内に配置されたメタレンズアレイ120を示している。一実施形態によれば、メタレンズアレイ120は、接眼レンズ125の中に埋め込むことができ、接眼レンズ125はフレーム130に取り付けられる。明確にするために1つのメタレンズアレイ120のみが示されているが、撮像システム100は、1から100などの任意の数のメタレンズアレイを含むことができ、したがって、動作230は、一度に一つずつ又は同時に、任意の数のメタレンズアレイを配置することを含み得ることを理解されたい。メタレンズアレイ120は、メタレンズアレイのグリッド又は行及び列などの、任意の所望の構成で配置することができる。
【0033】
[0042] 上述のように、撮像システムはメタレンズアレイを含む。撮像システム内で表示されるべき物体から光が散乱し、マイクロディスプレイからの光ビームがメタレンズアレイに入射する。メタレンズアレイは、観察者に対して光を反射及びコリメートし、その結果、観察者のVR又はAR体験が得られる。メタレンズアレイは、可視光にとって少なくとも部分的に透明であり、環境からの散乱光がメタレンズアレイを透過して観察者に到達することを可能にする。
【0034】
[0043] メタレンズアレイは画像光ビームの反射体として作用し、メタレンズアレイは環境から散乱された光にとって透明であり、観察者は画像と環境の両方を見ることができる。ガラス基板上のメタレンズ成長は、従来のレンズアレイの曲率及び位置合わせの制御よりもはるかに簡単である。
【0035】
[0044]上記は本発明の実装形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の更なる実施態様を考案することもでき、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
【国際調査報告】