(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(54)【発明の名称】マルチステーション半導体処理における独立して調整可能な流路コンダクタンス
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20220805BHJP
C23C 16/54 20060101ALI20220805BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220805BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/54
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572275
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 US2020070072
(87)【国際公開番号】W WO2020247966
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ・マイケル・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】フアレス・フランシスコ・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バッツァー・レイチェル・イー.
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカーラン・ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ノヤ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウォマック・ジョセフ・エル.
(72)【発明者】
【氏名】リー・ミン
(72)【発明者】
【氏名】カン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ツー
(72)【発明者】
【氏名】マレヌー・スカイ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA04
4K030FA01
4K030GA02
4K030HA15
4K030JA10
4K030KA25
4K030KA41
4K030KA49
4K030LA15
5F004AA01
5F004BB13
5F004BB19
5F004BB22
5F004BB28
5F004BB29
5F004BC03
5F004BC06
5F004BD04
5F004CA02
5F004DB03
5F004DB07
5F004DB08
5F004DB12
5F004DB13
5F004EA28
5F045AA08
5F045AA15
5F045BB03
5F045DP13
5F045DQ10
5F045EB02
5F045EE04
5F045EE07
5F045EE17
5F045EE19
5F045EF05
5F045EF09
5F045EH05
5F045EH08
5F045EH14
5F045EJ05
5F045EM05
5F045EM10
5F045EN04
(57)【要約】
【解決手段】流路コンダクタンスを独立して調整するための方法および装置が本明細書で提供される。1つのマルチステーション処理装置は、処理チャンバと、各々がガス入口を有するシャワーヘッドを含む、処理チャンバ内の複数のプロセスステーションと、接合点および複数の流路を含むガス送給システムとを含むことができ、各流路は、フロー要素を含み、フロー要素と熱的に接続され、そのフロー要素の温度を変更するように制御可能な温度制御ユニットを含み、複数のプロセスステーションの各プロセスステーションが異なる流路によって接合点に流体的に接続されるように、プロセスステーションの1つの対応するガス入口を接合点に流体的に接続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチステーション処理装置であって、
処理チャンバと、
各々がガス入口を有するシャワーヘッドを含む、前記処理チャンバ内の複数のプロセスステーションと、
接合点および複数の流路を含むガス送給システムであって、各流路は、
フロー要素を含み、
前記フロー要素と熱的に接続され、そのフロー要素の温度を変更するように制御可能な温度制御ユニットを含み、
複数のプロセスステーションの各プロセスステーションが異なる流路によって前記接合点に流体的に接続されるように、前記プロセスステーションの1つの対応するガス入口を前記接合点に流体的に接続する
ガス送給システムと
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記温度制御ユニットは、温度変化を介して、熱的に接触している前記フロー要素のフローコンダクタンスを変化させるように制御可能である、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記温度制御ユニットは、熱的に接触している前記フロー要素を加熱するように構成された加熱要素を含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記加熱要素は、抵抗性加熱要素、熱電ヒータ、および/または流体導管であって、前記流体導管内に加熱流体を流すように構成された流体導管を含む、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
各シャワーヘッドは、フェースプレートと、前記シャワーヘッドと熱的に接続され、前記シャワーヘッドの一部の温度を変更するように制御可能な温度制御ユニットとをさらに含み、
各流路は、前記シャワーヘッドフェースプレートを前記接合点にさらに流体的に接続する、
装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記温度制御ユニットは、前記シャワーヘッドのステムと熱的に接続され、前記ステムの温度を変更するように制御可能である、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、
前記温度制御ユニットは、前記フェースプレートと熱的に接続され、前記フェースプレートの温度を変更するように制御可能である、装置。
【請求項8】
請求項5に記載の装置であって、
前記シャワーヘッドは、バックプレートをさらに含み、
前記温度制御ユニットは、前記バックプレートと熱的に接続され、前記バックプレートの温度を変更するように制御可能である、
装置。
【請求項9】
請求項5に記載の装置であって、
前記シャワーヘッドは、フラッシュマウントシャワーヘッドである、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記温度制御ユニットは、前記温度制御ユニットが位置決めされている前記フロー要素の少なくとも部分的に内側に位置決めされる、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
各流路の前記フロー要素は、弁を備え、
各流路の前記温度制御ユニットは、前記弁を加熱して前記弁のフローコンダクタンスを変化させるように制御可能である、
装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
各流路の前記フロー要素は、モノブロックを備え、
各流路の前記温度制御ユニットは、前記モノブロックを加熱して前記モノブロックのフローコンダクタンスを変化させるように制御可能である、
装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、
各流路の前記フロー要素は、ガスラインを備え、
各流路の前記温度制御ユニットは、前記ガスラインを加熱して前記ガスラインのフローコンダクタンスを変化させるように制御可能である、
装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記接合点は、混合ボウルである、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置であって、
各流路の前記フロー要素は、継手を備え、
各流路の前記温度制御ユニットは、前記継手を加熱して前記継手のフローコンダクタンスを変化させるように制御可能である、
装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記継手は、ティー継手である、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置であって、
各流路は、2つの温度制御ユニットをさらに含み、
各流路内の各温度制御ユニットは、該流路の異なるフロー要素と熱的に接触している、
装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置であって、
前記複数のプロセスステーションで材料を基板上に堆積するように前記マルチステーション堆積装置を制御するように構成されたコントローラをさらに備え、
前記複数のプロセスステーションの第1のステーションに流体的に接続された第1の流路の場合、第1の温度制御ユニットは、第1のフロー要素と熱的に接触しており、
前記複数のプロセスステーションの第2のステーションに流体的に接続された第2の流路の場合、第2の温度制御ユニットは、第2のフロー要素と熱的に接触しており、
前記コントローラは、
前記プロセスステーションの各々に基板を提供し、
同時に、前記第1のプロセスステーションで材料の第1の層を第1の基板上に堆積し、前記第2のプロセスステーションで材料の第2の層を第2の基板上に堆積し、
前記堆積の少なくとも一部の間、第1の温度に前記第1のフロー要素を維持し、前記第1の温度とは異なる第2の温度に前記第2のフロー要素を維持する
ための制御論理を備える、
装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、
前記第1の温度に前記第1のフロー要素を前記維持することは、前記第1の温度制御ユニットに前記第1のフロー要素を前記第1の温度に加熱させることを含み、
前記第2の温度に前記第2のフロー要素を前記維持することは、前記第2の温度制御ユニットに前記第2のフロー要素を加熱させないことを含む、
装置。
【請求項20】
請求項18に記載の装置であって、
前記第1の温度に前記第1のフロー要素を前記維持することは、前記第1の温度制御ユニットに前記第1のフロー要素を前記第1の温度に加熱させることを含み、
前記第2の温度に前記第2のフロー要素を前記維持することは、前記第2の温度制御ユニットに前記第2のフロー要素を前記第2の温度に加熱させることを含む、
装置。
【請求項21】
請求項18に記載の装置であって、
前記コントローラは、
前記堆積の少なくとも第2の部分の間、前記第1の温度とは異なる第3の温度に前記第1のフロー要素を維持し、前記第2の温度とは異なる第4の温度に前記第2のフロー要素を維持する
ための制御論理をさらに備える、装置。
【請求項22】
請求項18に記載の装置であって、
第1の温度に前記第1のフロー要素を前記維持している間、前記第1の流路は、第1のフローコンダクタンスを有し、
第2の温度に前記第2のフロー要素を前記維持している間、前記第2の流路は、前記第1のフローコンダクタンスとは異なる第2のフローコンダクタンスを有する、
装置。
【請求項23】
請求項18に記載の装置であって、
第1の温度に前記第1のフロー要素を前記維持している間、前記第1の流路は、第1のフローコンダクタンスを有し、
第2の温度に前記第2のフロー要素を前記維持している間、前記第2の流路は、前記第1のフローコンダクタンスに実質的に等しい第2のフローコンダクタンスを有する、
装置。
【請求項24】
請求項18に記載の装置であって、
前記第1の基板上に堆積された前記材料の第1の層は、性質の第1の値を有し、
前記第2の基板上に堆積された前記材料の第2の層は、前記第1の値と実質的に同じ前記性質の第2の値を有する、
装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、
前記性質は、ウェットエッチング速度、ドライエッチング速度、組成、厚さ、密度、架橋量、反応完了、応力、屈折率、誘電率、硬度、エッチング選択性、安定性、および気密性からなる群から選択される、装置。
【請求項26】
請求項18に記載の装置であって、
前記第1の基板上に堆積された前記材料の第1の層は、性質の第1の値を有し、
前記第1の基板上に堆積された前記材料の第2の層は、前記第1の値とは異なる前記性質の第2の値を有する、
装置。
【請求項27】
請求項18に記載の装置であって、
前記堆積は、前記基板の温度浸漬、インデックス付け、前駆体を流すこと、パージガスを流すこと、反応剤ガスを流すこと、プラズマを生成すること、および前記基板上の前記前駆体を活性化することの1つまたは複数をさらに含み、それによって前記材料を前記基板上に堆積する、装置。
【請求項28】
第1のシャワーヘッドを備えた第1のステーションおよび第2のシャワーヘッドを備えた第2のステーションを有するマルチステーション堆積装置において材料を基板上に堆積する方法であって、
第1の基板を前記第1のステーションの第1の台座上に提供することと、
第2の基板を前記第2のステーションの第2の台座上に提供することと、
同時に、材料の第1の層を前記第1の基板上に堆積し、材料の第2の層を前記第2の基板上に堆積することと、
前記同時堆積の少なくとも一部の間、
第1の温度に第1の流路の第1のフロー要素を維持することであって、前記第1の流路は、接合点を前記第1のシャワーヘッドに流体的に接続することと、
前記第1の温度とは異なる第2の温度に第2の流路の第2のフロー要素を維持することであって、前記第2の流路は、接合点を前記第2のシャワーヘッドに流体的に接続することと
を含む、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、
前記第1の温度に前記第1のフロー要素を前記維持することは、第1のフローコンダクタンスに前記第1の流路を維持することを含み、
前記第2の温度に前記第2のフロー要素を前記維持することは、前記第1のフローコンダクタンスとは異なる第2のフローコンダクタンスに前記第2の流路を維持することを含む、
方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法であって、
前記第1の温度に前記第1のフロー要素を前記維持することは、第1のフローコンダクタンスに前記第1の流路を維持することを含み、
前記第2の温度に前記第2のフロー要素を前記維持することは、前記第1のフローコンダクタンスと実質的に同じ第2のフローコンダクタンスに前記第2の流路を維持することを含む、
方法。
【請求項31】
請求項28に記載の方法であって、
前記第1の温度に前記第1のフロー要素を前記維持することは、前記第1の要素を加熱することを含み、
前記第2の温度に前記第2のフロー要素を前記維持することは、前記第2の要素を加熱しないことを含む、
方法。
【請求項32】
請求項28に記載の方法であって、
前記第1の温度に前記第1のフロー要素を前記維持することは、前記第1の要素を加熱することを含み、
前記第2の温度に前記第2のフロー要素を前記維持することは、前記第2の要素を加熱することを含む、
方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法であって、
前記第1の基板および前記第2の基板を提供する前に、第3の基板を前記第1の台座上に提供することと、
前記第1の基板および前記第2の基板を提供する前に、第4の基板を前記第2の台座上に提供することと、
前記第1の温度に前記第1のフロー要素を維持せず、かつ前記第2の温度に前記第2のフロー要素を維持せずに、同時に、材料の第3の層を前記第1の基板上に堆積し、材料の第4の層を前記第2の基板に堆積することと
をさらに含み、
前記第1の基板上の前記材料の第1の層の性質と前記第2の基板上の前記材料の第2の層の性質との間の第1の不均一性は、前記第3の基板上の前記材料の第3の層の性質と前記第4の基板上の前記材料の第4の層の性質との間の第2の不均一性よりも小さい、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による援用
本出願の一部として、本明細書と同時にPCT出願願書が提出される。この同時出願されたPCT出願願書に明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体処理動作中、基板は、典型的には、処理チャンバ内の台座上に支持され、基板上に材料の1つまたは複数の層を堆積するために、プロセスガスがチャンバに流入される。商業規模の製造では、各基板またはウエハは、製造されている特定の半導体デバイスの多数のコピーを含んでおり、必要な量のデバイスを実現するには、多くの基板が必要である。半導体処理動作の商業的実行可能性は、プロセス条件のウエハ内均一性およびウエハ間再現性に大きく依存する。したがって、所与のウエハの各部分および処理される各ウエハが同じ処理条件に曝されることを確実にするための努力がなされる。処理条件および半導体処理ツールのばらつきは、堆積条件のばらつきを引き起こし、プロセスおよび製品全体に許容できないばらつきをもたらす可能性がある。プロセスのばらつきを最小限に抑えるための技術および装置が、必要とされている。
【0003】
本明細書に含まれる背景および文脈上の説明は、本開示の内容を概ね提示することのみを目的として提供されている。本開示の多くは、発明者らによる研究を提示し、そのような研究が背景技術のセクションで説明されている、または本明細書の他の場所で文脈として提示されているという理由だけで、それが先行技術であると認められることを意味しない。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステム、方法、およびデバイスは各々、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つだけが本明細書に開示される望ましい属性に単独で関与しているものではない。これらの態様の中には少なくとも以下の実施態様が含まれるが、さらなる実施態様は、詳細な説明に記載されているか、または本明細書で提供される説明から明らかとなり得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、マルチステーション処理装置を提供することができる。装置は、処理チャンバと、各々がガス入口およびフェースプレートを有するシャワーヘッドを含む、処理チャンバ内の複数のプロセスステーションと、接合点および複数の流路を含むガス送給システムとを含むことができる。各流路は、フロー要素を含み、フロー要素と熱的に接続され、そのフロー要素の温度を変更するように制御可能な温度制御ユニットを含み、複数のプロセスステーションの各プロセスステーションが異なる流路によって接合点に流体的に接続されるように、プロセスステーションの1つの対応するガス入口を接合点に流体的に接続する。
【0006】
いくつかの実施形態では、温度制御ユニットは、温度変化を介して、熱的に接触しているフロー要素のフローコンダクタンスを変化させるように制御可能であってもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、温度制御ユニットは、熱的に接触しているフロー要素を加熱するように構成された加熱要素を含んでもよい。
【0008】
いくつかのそのような実施形態では、加熱要素は、抵抗性加熱要素、熱電ヒータ、および/または流体導管であって、流体導管内に加熱流体を流すように構成された流体導管を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、各シャワーヘッドは、シャワーヘッドと熱的に接続され、シャワーヘッドの一部の温度を変更するように制御可能な温度制御ユニットをさらに含んでもよく、各流路は、シャワーヘッドフェースプレートを接合点にさらに流体的に接続してもよい。
【0010】
いくつかのそのような実施形態では、温度制御ユニットは、シャワーヘッドのステムと熱的に接続され、ステムの温度を変更するように制御可能であってもよい。
【0011】
いくつかのそのような実施形態では、温度制御ユニットは、フェースプレートと熱的に接続され、フェースプレートの温度を変更するように制御可能であってもよい。
【0012】
いくつかのそのような実施形態では、シャワーヘッドは、バックプレートをさらに含んでもよく、温度制御ユニットは、バックプレートと熱的に接続され、バックプレートの温度を変更するように制御可能であってもよい。
【0013】
いくつかのそのような実施形態では、シャワーヘッドは、フラッシュマウントシャワーヘッドであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、温度制御ユニットは、温度制御ユニットが位置決めされているフロー要素の少なくとも部分的に内側に位置決めされてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、各流路のフロー要素は、弁を含んでもよく、各流路の温度制御ユニットは、弁を加熱して弁のフローコンダクタンスを変化させるように制御可能であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、各流路のフロー要素は、モノブロックを含んでもよく、各流路の温度制御ユニットは、モノブロックを加熱してモノブロックのフローコンダクタンスを変化させるように制御可能であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、各流路のフロー要素は、ガスラインを含んでもよく、各流路の温度制御ユニットは、ガスラインを加熱してガスラインのフローコンダクタンスを変化させるように制御可能であってもよい。
【0018】
いくつかのそのような実施形態では、接合点は、混合ボウルである。
【0019】
いくつかの実施形態では、各流路のフロー要素は、継手を含んでもよく、各流路の温度制御ユニットは、継手を加熱して継手のフローコンダクタンスを変化させるように制御可能である。
【0020】
いくつかのそのような実施形態では、継手は、ティー継手であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、各流路は、2つの温度制御ユニットをさらに含んでもよく、各流路内の各温度制御ユニットは、その流路の異なるフロー要素と熱的に接触してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、装置は、複数のプロセスステーションで材料を基板上に堆積するようにマルチステーション堆積装置を制御するように構成されたコントローラをさらに含んでもよい。複数のプロセスステーションの第1のステーションに流体的に接続された第1の流路の場合、第1の温度制御ユニットは、第1のフロー要素と熱的に接触してもよく、複数のプロセスステーションの第2のステーションに流体的に接続された第2の流路の場合、第2の温度制御ユニットは、第2のフロー要素と熱的に接触してもよく、コントローラは、プロセスステーションの各々に基板を提供し、同時に、第1のプロセスステーションで材料の第1の層を第1の基板上に堆積し、第2のプロセスステーションで材料の第2の層を第2の基板上に堆積し、堆積の少なくとも一部の間、第1の温度に第1のフロー要素を維持し、第1の温度とは異なる第2の温度に第2のフロー要素を維持するための制御論理を含んでもよい。
【0023】
いくつかのそのような実施形態では、第1の温度に第1のフロー要素を維持することは、第1の温度制御ユニットに第1のフロー要素を第1の温度に加熱させることを含んでもよく、第2の温度に第2のフロー要素を維持することは、第2の温度制御ユニットに第2のフロー要素を加熱させないことを含んでもよい。
【0024】
いくつかのそのような実施形態では、第1の温度に第1のフロー要素を維持することは、第1の温度制御ユニットに第1のフロー要素を第1の温度に加熱させることを含んでもよく、第2の温度に第2のフロー要素を維持することは、第2の温度制御ユニットに第2のフロー要素を第2の温度に加熱させることを含んでもよい。
【0025】
いくつかのそのような実施形態では、コントローラは、堆積の少なくとも第2の部分の間、第1の温度とは異なる第3の温度に第1のフロー要素を維持し、第2の温度とは異なる第4の温度に第2のフロー要素を維持するための制御論理をさらに含んでもよい。
【0026】
いくつかのそのような実施形態では、第1の温度に第1のフロー要素を維持している間、第1の流路は、第1のフローコンダクタンスを有してもよく、第2の温度に第2のフロー要素を維持している間、第2の流路は、第1のフローコンダクタンスとは異なる第2のフローコンダクタンスを有してもよい。
【0027】
いくつかのそのような実施形態では、第1の温度に第1のフロー要素を維持している間、第1の流路は、第1のフローコンダクタンスを有してもよく、第2の温度に第2のフロー要素を維持している間、第2の流路は、第1のフローコンダクタンスに実質的に等しい第2のフローコンダクタンスを有してもよい。
【0028】
いくつかのそのような実施形態では、第1の基板上に堆積された材料の第1の層は、性質の第1の値を有してもよく、第2の基板上に堆積された材料の第2の層は、第1の値と実質的に同じ性質の第2の値を有してもよい。
【0029】
いくつかのさらなるそのような実施形態では、性質は、ウェットエッチング速度、ドライエッチング速度、組成、厚さ、密度、架橋量、反応完了、応力、屈折率、誘電率、硬度、エッチング選択性、安定性、および気密性であってもよい。
【0030】
いくつかのそのような実施形態では、第1の基板上に堆積された材料の第1の層は、性質の第1の値を有してもよく、第1の基板上に堆積された材料の第2の層は、第1の値とは異なる性質の第2の値を有してもよい。
【0031】
いくつかのそのような実施形態では、堆積は、基板の温度浸漬、インデックス付け、前駆体を流すこと、パージガスを流すこと、反応剤ガスを流すこと、プラズマを生成すること、および/または基板上の前駆体を活性化することをさらに含み、それによって材料を基板上に堆積してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1のシャワーヘッドを備えた第1のステーションおよび第2のシャワーヘッドを備えた第2のステーションを有するマルチステーション堆積装置において材料を基板上に堆積する方法を提供することができる。方法は、第1の基板を第1のステーションの第1の台座上に提供することと、第2の基板を第2のステーションの第2の台座上に提供することと、同時に、材料の第1の層を第1の基板上に堆積し、材料の第2の層を第2の基板上に堆積することと、同時堆積の少なくとも一部の間、第1の温度に第1の流路の第1のフロー要素を維持することであって、第1の流路は、接合点を第1のシャワーヘッドに流体的に接続することと、第1の温度とは異なる第2の温度に第2の流路の第2のフロー要素を維持することであって、第2の流路は、接合点を第2のシャワーヘッドに流体的に接続することと
を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の温度に第1のフロー要素を維持することは、第1のフローコンダクタンスに第1の流路を維持することを含んでもよく、第2の温度に第2のフロー要素を維持することは、第1のフローコンダクタンスとは異なる第2のフローコンダクタンスに第2の流路を維持することを含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の温度に第1のフロー要素を維持することは、第1のフローコンダクタンスに第1の流路を維持することを含んでもよく、第2の温度に第2のフロー要素を維持することは、第1のフローコンダクタンスと実質的に同じ第2のフローコンダクタンスに第2の流路を維持することを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の温度に第1のフロー要素を維持することは、第1の要素を加熱することを含んでもよく、第2の温度に第2のフロー要素を維持することは、第2の要素を加熱しないことを含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の温度に第1のフロー要素を維持することは、第1の要素を加熱することを含んでもよく、第2の温度に第2のフロー要素を維持することは、第2の要素を加熱することを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の基板および第2の基板を提供する前に、第3の基板を第1の台座上に提供することと、第1の基板および第2の基板を提供する前に、第4の基板を第2の台座上に提供することと、第1の温度に第1のフロー要素を維持せず、かつ第2の温度に第2のフロー要素を維持せずに、同時に、材料の第3の層を第1の基板上に堆積し、材料の第4の層を第2の基板に堆積することとをさらに含んでもよく、第1の基板上の材料の第1の層の性質と第2の基板上の材料の第2の層の性質との間の第1の不均一性は、第3の基板上の材料の第3の層の性質と第4の基板上の材料の第4の層の性質との間の第2の不均一性よりも小さくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本明細書に開示される様々な実施態様は、限定ではなく例示として添付の図面の図に示されており、類似の参照番号は、同様の要素を指す。
【0039】
【
図1】
図1は、第1の例示的なマルチステーション半導体処理ツールを図示する図である。
【0040】
【
図2】
図2は、第2の例示的なマルチステーション処理ツールを図示する図である。
【0041】
【
図3】
図3は、マルチステーション半導体処理チャンバ内で膜堆積を実施するための第1の例示的な技術を図示する図である。
【0042】
【
図4】
図4は、マルチステーション半導体処理チャンバ内で膜堆積を実施するための第4の技術を図示する図である。
【0043】
【
図5】
図5は、マルチステーション半導体処理チャンバ内で膜堆積を実施するための第5の例示的な技術を図示する図である。
【0044】
【
図6】
図6は、マルチステーション半導体処理チャンバ内で膜堆積を実施するための第6の例示的な技術を図示する図である。
【0045】
【
図7】
図7は、ALDプロセスを介して基板上に材料の膜を形成するための動作の例示的なシーケンスのフローチャートである。
【0046】
【
図8】
図8は、2つの基板についての材料の厚さのプロットである。
【0047】
【
図9】
図9は、2つの基板についての屈折率(RI)のプロットである。
【0048】
【
図10】
図10は、任意の数のプロセスを使用して半導体基板上に膜を堆積するためのシングルステーション基板処理装置を図示する図である。
【0049】
【
図11】
図11は、例示的なマルチステーション基板処理装置を図示する図である。
【0050】
【
図12A】
図12Aは、開示された実施形態による例示的なシャワーヘッドの等角図である。
【0051】
【0052】
【
図13】
図13は、例示的なフラッシュマウントシャワーヘッドの断面側面図である。
【0053】
【
図14】
図14は、第3の例示的なマルチステーション半導体処理ツールを図示する図である。
【0054】
【
図15】
図15は、例示的な熱制御されたシャワーヘッドの等角図である。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【
図19】
図19は、いくつかの実施態様による、ガス分配マニホールドの等角断面図である。
【0059】
【
図20】
図20は、いくつかの実施態様による、
図19の例示的なガス分配マニホールドの分解図である。
【0060】
【
図21】
図21は、いくつかの実施態様による、
図19の例示的なガス分配マニホールドの加熱プレートアセンブリの一例の上面図である。
【0061】
【
図22】
図22は、いくつかの実施態様による、
図19の例示的なガス分配マニホールドの冷却プレートアセンブリの一例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
マルチステーション処理チャンバを有する半導体処理ツールは、典型的には、プロセスガスを共通のソースから接合点に流し、次に個々の、典型的には公称上同一の流路を通して各ステーションにおけるガス分散デバイスに流すことによって、プロセスガスを各ステーションに送給する。同一に構築された流路間のフローコンダクタンスは、製造公差内の変動などの固有の変動のために異なることがわかっている。さらに、これらの流路内のフローコンダクタンスは、材料の厚さや屈折率など、基板上に堆積された材料の性質に影響を及ぼすことがわかっている。そのような変動は十分に小さいことが多いので、初期の技術ノードまたはシングルステーションリアクタ内で半導体デバイス製作動作を実施するためのプロセス条件に影響を及ぼさなかった。しかし、設計上の制約および高度な製作技術により、以前はフローコンダクタンスにおけるわずかな変動と見なされていたものであっても、ほとんど余地がない。
【0063】
流路内の要素のフローコンダクタンスは、とりわけ、その要素の温度を調整することによって調整することができることが発見された。したがって、流路内の要素の1つまたは複数のフローコンダクタンスを調整し、流路の流れ特性を修正または調節するための技術および装置が本明細書に記載される。これは次に、堆積された材料の性質を調整する、かつ/または堆積された材料の性質のステーション間の整合性を改善するのに役立ち得る。ステーション間の整合性を改善するために、単一のマルチステーションチャンバの異なるステーションへのライン内のフロー要素のコンダクタンスは、例えば、異なるステーションへの異なるライン内のフロー要素の温度を独立して制御することによって、互いに独立して調整することができる。
【0064】
前述のように、異なる流路内の2つの公称上同一のフロー要素のフローコンダクタンスは、製造公差内の変動のために異なる場合がある。これらの要素の1つの温度を調整することによって、その要素のフローコンダクタンスは、2つのフロー要素のフローコンダクタンスが一致するように対応して調整される。別の例では、同じ処理チャンバ内の2つの異なるステーションにおける堆積された材料の性質が異なる場合がある。ステーションの1つでは、そのステーションに対する流路内の一方のフロー要素の温度を調整してその流路のフローコンダクタンスを調整し、そのステーションで堆積された材料の性質を調整し、もう一方のステーションにおける性質とより厳密に一致させることができる。別の例では、入口ラインを通ってプロセスチャンバに至る流量または他の流れ性質は、仕様からわずかに逸脱することがある。流れ性質を仕様の範囲内に収まるように調整するために、入口ラインに沿った要素の温度を計画的に調整することができる。
【0065】
いくつかの半導体プロセスは、化学気相堆積(「CVD」)、プラズマ強化CVD(「PECVD」)、原子層堆積(「ALD」)、低圧CVD、超高圧CVD、および物理気相堆積(「PVD」)などの様々な技術を使用して、材料の1つまたは複数の層を基板上に堆積するために使用される。CVDプロセスは、1つまたは複数のガス反応剤(前駆体とも呼ばれる)をリアクタに流すことによってウエハ表面上に膜を堆積し、リアクタでは、ガス反応剤が任意選択でPECVDのようにプラズマの助けを借りて反応し、基板表面上に生成物(典型的には膜)を形成する。ALDプロセスでは、前駆体はウエハ表面に輸送され、そこでウエハに吸着された後に化学反応または物理化学反応によって変換され、基板上に薄膜を形成する。反応を促進するために、プラズマがチャンバ内に存在し得る。ALDプロセスは複数の膜堆積サイクルを採用し、各々が「離散的な」膜厚をもたらす。
【0066】
ALDの単一サイクルは材料の単一の薄層のみを堆積するため、ALDは、比較的共形的な膜を発生する。厚さは、膜形成化学反応自体の前に、基板表面上に吸着する(すなわち、吸着制限層を形成する)ことができる1つまたは複数の膜前駆体反応剤の量によって制限される。次に、複数の「ALDサイクル」を使用して所望の厚さの膜を構築することができ、各層は薄くて共形であるため、得られる膜は下にあるデバイス構造の形状に実質的に一致する。特定の実施形態では、各ALDサイクルは、以下のステップを含む:
1.第1の前駆体への基板表面の曝露。
2.基板が位置する反応チャンバのパージ。
3.任意選択で高温および/またはプラズマへの曝露による、および/または第2の前駆体への曝露による、基板表面の反応の活性化。
4.基板が位置する反応チャンバのパージ。
【0067】
各ALDサイクルの持続時間は、25秒未満、10秒未満、または5秒未満の場合がある。ALDサイクルのプラズマ曝露ステップ(または複数のステップ)は、例えば、1秒以下の持続時間などの短い持続時間であり得る。前駆体曝露ステップは、同様に短い持続時間であり得る。このような短い持続時間中、プロセスチャンバに導入されるガスの流れ性質を正確に制御することは、非常に重要である。この課題は、半導体デバイスのフィーチャサイズの継続的な縮小、および3Dデバイス構造などの複雑なフィーチャの幾何学的形状の使用の増加によってさらに複雑になっている。このような用途では、膜堆積プロセスは、正確に制御された厚さの膜を発生する必要があり、多くの場合、高い適合性を備えている(非平面であっても、下にある構造の形状に対して均一な厚さを有する材料の膜)。
【0068】
本開示の目的のために、「流体的に接続された」という用語は、「電気的に接続された」という用語が、電気的な接続を形成するために共に接続された構成要素に関して使用される方法と同様に、流体接続部を形成するために互いに接続され得る容積、プレナム、穴などに関して使用される。「流体的に挿入される」という用語は、使用される場合、少なくとも2つの他の構成要素、容積、プレナム、または穴と流体的に接続され、それによりそれらの他の構成要素、容積、プレナム、または穴の1つから他のまたは別の構成要素、容積、プレナム、または穴に流れる流体が、それらの他のまたは別の構成要素、容積、プレナム、または穴に達する前に、最初に「流体的に挿入される」構成要素を通って流れるような構成要素、容積、プレナム、または穴を指すために使用され得る。例えば、ポンプがリザーバと出口の間に流体的に挿入されている場合、リザーバから出口に流れた流体は、出口に達する前に最初にポンプを通って流れる。
【0069】
I.フローコンダクタンスの概要
流体があるプレナムから別のプレナムへの流路を通って進行するとき、その流路は、流体の流れに抵抗する制限を表す。流体が流れる相対的な容易さは、コンダクタンスまたはフローコンダクタンスと見なされ、これは一般に、以下の方程式によって表される。
【数1】
ここで、Cはコンダクタンス、Qは流量、P
uは流路の上流の圧力、P
dは流路の下流の圧力である。フローコンダクタンスは電気コンダクタンスに類似しており、流量は電流に類似しており、圧力差は電圧差に類似している。電気コンダクタンスと同様に、フローコンダクタンスの逆数は、場合によっては抵抗、流れ抵抗、または電気抵抗である。したがって、流路自体は、フローコンダクタンスおよび流れ抵抗を有すると言われる。複数の直列に接続された要素および圧力差を有する流路の場合、その流路の正味コンダクタンスは、個々のコンダクタンスの逆数の合計の逆数であり、同様に、正味抵抗は、抵抗の合計である。
【0070】
マルチステーション処理ツールは、典型的には、2、4、6、または8ステーションなどの複数のステーションを含む単一の処理チャンバを有し、基板を同時に処理することができる。各ステーションは、一般に、台座または静電チャックなどの基板支持構造と、プロセスガスをステーションにおける基板に送給するためのシャワーヘッドとを含む。マルチステーション処理ツールはまた、典型的には、ガス(または液体)ソース、弁、ガスライン、およびプロセスガスを各ステーションのシャワーヘッドに輸送するように構成された他のフロー要素を備えたガス送給システムを含み、各シャワーヘッドは、ステーション内の基板全体に比較的均等にプロセスガスを分配するように構成される。ガス送給システムの一部は、複数の流路を含み、各流路は、1つの対応するシャワーヘッドを共通の接合点に流体的に接続する。典型的には、すべてのステーションで同じ均一なフロー条件を作成し、これらのステーションでの並列処理によってステーション間で均一な処理結果が得られるようにすることが望ましい。このため、流路は典型的には、混合チャンバなどの接合点とシャワーヘッドとの間のガスの流れが可能な限り同様になるように、可能な限り同一になるように構築される。例えば、より多くのガスがより高いコンダクタンスの流路を通って流れる傾向があり、流路のフローコンダクタンスが不一致である場合、対応する処理ステーションで不整合な流れをもたらす可能性がある。
【0071】
場合によっては、各流路はシャワーヘッド自体を含んでいると見なされることがあり、したがって、各流路は、共通の接合点と、処理ステーションへのシャワーヘッドの流体接続部との間に延びることがある。ステーション内およびステーション間の均一な流れ条件を作成するために、ステーション内のシャワーヘッドも互いに同様に構築することができる。
【0072】
同じ構成要素および設計を使用しているにもかかわらず、多くの流路は、流路内のフロー要素の固有の変動、非常に小さな変動など、多数の理由によりコンダクタンスが異なり、これらの違いは処理特性およびウエハの均一性に悪影響を及ぼし得る。例えば、流路で使用される弁は、製造公差(+/-3%など)により、フローコンダクタンスが変動する場合がある。この変動は、一部の用途では、その流路を通るフローコンダクタンスの十分に厳密な制御を妨げ、また、他の流路と比較してその流路内で異なる流れを引き起こす可能性がある。流路の、および流路間のフローコンダクタンスの変動は、各々が独自の可変フローコンダクタンスを有する追加のフロー要素が流路に含まれる際に複合される。一例として、単一の流路は、複数の連続して配置された弁を含む場合がある。したがって、とりわけ、個々の要素および全体的な流路のフローコンダクタンスの変動を考慮するために、流路内の1つまたは複数のフロー要素のフローコンダクタンスを調整する能力を有することが有利である。
【0073】
加えて、正確に指定されたフローコンダクタンスからの流路のフローコンダクタンスの偏差による正確に指定された流れ性質(例えば、流量)からの逸脱は、材料の厚さおよび/または屈折率(「RI」)など、基板上に堆積された材料の1つまたは複数の性質に影響を及ぼす可能性がある。例えば、以下でより詳細に説明するように、流路に対するフローコンダクタンスを増加させると、結果として得られる材料の厚さが減少し、結果として得られるRIが増加する可能性がある。もちろん、他の堆積された膜の性質もまた、影響を及ぼされる可能性がある。例としては、組成、結晶化度、内部応力、吸光係数、誘電率、密度、絶縁破壊電圧などが挙げられる。流路内の1つまたは複数のフロー要素のフローコンダクタンスを調整すると、これらの性質のいずれか1つまたは複数を微調節することが可能になり得る。また、マルチステーションチャンバの異なるステーションに給電する異なる入力ラインにおけるフローコンダクタンスを独立して調整することを可能にすることによって、ステーション間の不均一性を低減する方法および装置を実装することができる。
【0074】
II.フローコンダクタンスの調整
特定の実施形態によれば、フロー要素を通るフローコンダクタンスは、そのフロー要素の温度を変化させることによって調整される。場合によっては、理想気体の法則による最初の近似として、温度が上昇すると圧力が上昇し、温度が上昇するとガスの粘度が上昇する傾向があるため、温度が上昇するとフローコンダクタンスが低下し、流れ抵抗が増加する。これとは別に、熱膨張によってフロー要素の幾何学的形状が変化するため、温度の上昇に伴ってフローコンダクタンスが増減する場合がある。例えば、加熱されたチューブは膨張して大きくなる可能性があり、そのチューブを通るフローコンダクタンスが増加する可能性がある。別の例では、弁の加熱されたポリマー弁シートも膨張し、その弁を通るフローコンダクタンスを制限する場合がある。
【0075】
したがって、本明細書に記載の装置および技術は、これらのフロー要素を通るフローコンダクタンスを調整し、堆積された材料の性質を調整し、ステーション間のばらつきを低減するために、流路のフロー要素の温度を調整する。
図1は、第1の例示的なマルチステーション半導体処理ツール(以下「ツール」)を図示する。このツール100は、4つの処理ステーション104A~104Dを備えた処理チャンバ102を含み、各々が点線のボックスで囲まれている。各ステーションは、台座106A上に基板108Aを備えた台座106と、ガス入口112を備えたシャワーヘッド110とを含み、これらのアイテムは、処理ステーション104Aでラベル付けされている。
【0076】
ツール100はまた、プロセスガスをシャワーヘッド110に送給するために、各処理ステーション104A~104Dに流体的に結合されたガス送給システム114を含み、これは、液体および/またはガス、例えば、膜前駆体、キャリアおよび/またはパージおよび/またはプロセスガス、二次反応剤などを含み得る。ガス送給システム114は、1つまたは複数のガス源、混合容器、および混合容器に供給される液体反応剤を気化させるための気化ポイント、ならびにガス送給システム114全体にわたるガスおよび液体の流れを指示および制御する弁およびガスラインなど、ボックス115A~115Cとして図式的に表される他のフィーチャを含むことができる。シャワーヘッドは、プロセスガスおよび/または反応剤(例えば、膜前駆体)を処理ステーションにおける基板に向けて分配する。
【0077】
また
図1に見られるように、ガス送給システム114は、4つの流路116A~116Bを含み、これらは各々、対応する処理ステーションの接合点118およびガス入口112に流体的に接続される。例えば、流路116Aは、ガスが流路116Aを通って接合点118からガス入口112に流れるように、接合点118と処理ステーション104Aのガス入口112とに流体的に接続され、それらの間にまたがり、これらの流路の各々は、接合点118からガス入口112に延びる。これらの流路は、例示的な表現として示されている破線の形状によって囲まれており、ガス送給システムの的確かつ正確な概略図ではない。接合点118は、ガス送給システムにおける共通の点と見なすことができ、そこから2つ以上の個々の流路または脚部が個々の処理ステーションに分岐する。いくつかの実施形態では、これは、処理ステーションへの同一またはほぼ同一の流路が始まる点と見なすことができる。いくつかの実施形態では、いくつかの流路が第1の接合点で始まり、他の流路が第2の接合点で始まるように、複数の接合点またはサブ接合点が存在し得る。
図1を参照すると、流路116Aおよび116Bは、第1の接合点から延びることができ、流路116Cおよび116Dは、異なる第2の接合点からそれぞれの処理ステーションに延びることができる。以下に説明するように、いくつかの実施形態では、各流路は、接合点118と、シャワーヘッドと処理ステーションのプレナム容積との間の流体接続部など、各ステーションにおける各シャワーヘッド上の1つまたは複数の点との間にまたがるように、対応するシャワーヘッドをさらに含むことができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、
図1に図示されるように、ガス入口112は、処理チャンバ102の外側と見なされ得る。これらの実施形態では、流路は、処理チャンバの外側に位置決めされていると見なすことができる。いくつかの他の実施形態では、ガス入口は、処理チャンバ102の内側または部分的に内側にあり得、これらの実施形態では、流路は、処理チャンバ102の内側または部分的に内側に延び得る。
【0079】
流路の各々はまた、その流路内のフロー要素の温度を変更するように構成および制御可能な温度制御ユニットを含む。
図1に見られるように、流路116A~116Dは各々、単一の温度制御ユニット120A~120Dを有する。いくつかの実施形態では、温度制御ユニットは、フロー要素を加熱するように構成され得、加熱流体を流すための抵抗ヒータ、熱電ヒータ、または流体導管などの加熱要素を含み得る。いくつかの実施形態では、温度制御ユニットはまた、例えば、冷却流体が流れることができる流体導管を有することによって、フロー要素を冷却するように構成され得る。温度制御ユニットは、フロー要素の上、周囲、またはその中に位置決めすることができる。例えば、温度制御ユニットは、ヒータジャケットであってもよく、パイプまたは弁の周りに巻き付けられることによってフロー要素上に位置決めされ得、別の例では、温度制御ユニットは、パイプ、または流体が流れる弁もしくはブロック内に埋め込まれることによってフロー要素内に位置決めされる抵抗性加熱要素であってもよい。
【0080】
述べたように、いくつかの実施形態では、温度制御ユニットは、温度制御ユニットが動作するフロー要素内に、またはフロー要素の少なくとも部分的に内側に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、温度制御ユニットの少なくとも一部は、フロー要素の一部内に埋め込まれる。例えば、抵抗性加熱要素または加熱流体導管は、パイプの壁の内側または弁の本体の内側に埋め込まれてもよい。場合によっては、温度制御ユニットの埋め込まれた部分は、流体に接触しないように位置決めされる。例えば、パイプ壁に埋め込まれた抵抗性加熱要素は、内側パイプ壁を通って(ガスが流れる)パイプ内部に延びない場合がある。流体導管は、流体が流れることができるチャネルまたはチューブなどの経路であり得、流体は、高温、例えば、場合によっては少なくとも80℃、100℃、または110℃など、流体導管の所望の温度と少なくとも同じくらい高くなり得る周囲温度を超える温度に加熱される。加熱流体は、加熱されたガス(例えば、アルゴンまたは窒素のような不活性ガス)または加熱された液体(例えば、水、グリコール/水の混合物、炭化水素油、または冷媒/相変化流体)であり得る。
【0081】
加熱などによってフロー要素の温度を調整することによって、温度制御ユニットは、そのフロー要素のフローコンダクタンスを調整するようにさらに構成および制御可能である。上記のように、パイプまたは弁などの一部のフロー要素についての温度を変更すると、そのフロー要素を通過するフローコンダクタンスを変化させることができる。一般的に言えば、要素が製造または設置されると、フロー要素のフローコンダクタンスは変化させることができないので、温度を使用してフローコンダクタンスを制御することは有利である。例えば、弁のフローコンダクタンスは典型的には製造後に固定されるため、「オンザフライ」で調整することができない。例えば、上記のように、ほとんどの弁は、弁の物理的な修正がない限り、通常は変更することができない製造公差(+/-3%など)を有する。しかし、本明細書で説明するように弁の温度を調整すると、弁の変動を低減するために、例えば、変動を+/-2%、+/-1%、または+/-0.5%以下に低減するために、弁のフローコンダクタンスを調整することができる。
【0082】
ツール100は4つのステーションで示されているが、ツールの他の実施形態は、例えば、2、6、8、または10ステーションなど、より多くのまたは少ない数のステーションを有し得る。これらのツールは、各処理ステーションがそのステーションと接合点との間に延びる対応する流路を有し、少なくとも1つの温度制御ユニットを含むように、同じように構成することができる。いくつかの実施形態では、各流路は2つ以上の温度制御ユニットを有し得、各流路は複数の異なるフロー要素を有し得る。
【0083】
例えば、
図1に図示されるようないくつかの実施形態では、ツール100は、処理ガスが流れて混合される混合ボウルと見なされ得る単一の接合点118を有し得る。4つの同一の(または、例えば、わずかな構造および製造上の違いを除いて同一であることを意図した)流路116A~116Dが混合ボウル118に接続され得るが、
図1では、これらは同一として示されておらず、上述のように、各々が対応する処理ステーションにおけるガス入口に延びる。例えば、流路116Aは、混合ボウル118から処理ステーション114Aのガス入口112に延び、同様に、流路116Dは、混合ボウル118から処理ステーション114Dのガス入口112Dに延びる。いくつかのそのような実施形態では、これらの流路は、管要素を含み、弁を含まない場合がある。各温度制御要素は、その流路に対する管の一部の周りに位置決めされたヒータであり得る。この部分は、管の外周の一部またはすべてに沿った円周部分、および管の長さの一部またはすべてに沿った長手方向部分と見なすことができる。
【0084】
いくつかの他の実施形態では、ツールは、温度制御され得る複数の異なるフロー要素を含む流路を有し得る。
図2は、第2の例示的なマルチステーション処理ツールを図示する。ここで、ツール200は、
図1と同じ4つの処理ステーション204A~204Dを含むが、ガス送給システム214の4つの流路は異なる。各流路216A~216Dは、そのうちの1つだけが破線の形状で識別されており、接合点218と対応する処理ステーションのガス入口212との間に延びる。各流路はまた、弁222を含む流路216Aについて識別されるものなどの複数のフロー要素と、第2の弁226およびマスフローコントローラ228などの他の流れ構成要素が取り付けられるモノブロック224と、1つまたは複数のガスライン230とを含む。識別されていないが、他の3つの流路216B~216Dは、これらの同じフロー要素を含む。さらに示されるように、温度制御ユニット220は、これらのフロー要素のうちの1つまたは複数の上または内部に位置決めされ得る。例えば、
図2に見られるように、温度制御ユニット220は、弁222上、モノブロック224内、およびガスライン230上に位置決めされる。温度制御ユニットは、そのフロー要素の温度を調整することによって、これらの要素の各々のフローコンダクタンスを調整することができる。
図1または
図2には示されていないが、いくつかの実施形態では、各流路は、流路内の接合点(接合点118以外)におけるティー継手を含む継手など、温度制御され得る他の流路を含んでもよく、これは、流路内の2つまたは3つのライン間の接合部での継手を含む場合がある。他のフロー要素と同様に、温度制御ユニットは、これらの他のフロー要素上またはその中に位置決めすることができ、そのフロー要素の温度を調整することによってこれらの要素の各々のフローコンダクタンスを調整するように構成することができる。
【0085】
上述のように、各流路は、対応するシャワーヘッドをさらに含むことができ、各シャワーヘッドのフローコンダクタンスは、シャワーヘッドの1つまたは複数の態様の温度を制御することによって調整可能であり得る。本明細書に記載のシャワーヘッドは、バックプレートによって境界が定められたプレナム容積と、半導体基板が処理され得る半導体処理容積の前にあるフェースプレートとを含み得る。フェースプレートは、プレナム容積内のガスがフェースプレートを通って基板とフェースプレートとの間(またはウエハを支持するウエハ支持体とフェースプレートとの間)の反応空間に流れることを可能にする複数のガス分配穴を含み得る。ガスが流れる他のフロー要素と同様に、バックプレートおよび/またはフェースプレートの内面およびフィーチャの構成、ならびに貫通穴の構成(例えば、それらの直径および互いからの間隔)などのシャワーヘッドのいくつかのフィーチャは、シャワーヘッドを通るガスの流れに影響を及ぼし、制限する場合がある。シャワーヘッドの1つまたは複数の態様の温度を制御することにより、例えば、シャワーヘッドを通るより均一な流れを引き起こし、かつ/またはウエハの不均一性を低減するために、シャワーヘッドを通るフローコンダクタンスを調整することができる。
【0086】
シャワーヘッドは、典型的には、フラッシュマウントおよびシャンデリアタイプの広いカテゴリに分類される。フラッシュマウントシャワーヘッドは典型的には処理チャンバの蓋に組み込まれており、すなわち、シャワーヘッドは、シャワーヘッドとチャンバの蓋の両方として機能する。シャンデリアタイプのシャワーヘッドは、処理チャンバの蓋としては機能せず、代わりに、かかるシャワーヘッドをそのようなチャンバの蓋と接続し、かかるシャワーヘッドに送給される処理ガスのための1つまたは複数の流体流路を提供するように機能するステムによって、それらの半導体処理チャンバ内に吊り下げられる。
図1、
図2、
図12、および
図14のシャワーヘッドは、シャンデリアタイプのシャワーヘッドとして示されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシャワーヘッドのいずれかは、フラッシュマウントシャワーヘッドであり得る。
【0087】
図12Aは、開示された実施形態による例示的なシャワーヘッドの等角図を図示し、
図12Bは、
図12Aのシャワーヘッドの断面等角図を図示する。
図12Bの断面図は、
図12Aの断面線A-Aに沿って取られている。シャワーヘッド1210は、ステム1218を有する例示的なシャンデリアタイプのシャワーヘッドである。これらの図では、シャワーヘッド1210は、プレナム入口1203を備えたバックプレート1202と、バックプレート1202に接続されたフェースプレート1204とを含む。シャワーヘッド1210のガス入口1205は、ガスがシャワーヘッド1210のステムに流入する点と見なすことができ、このガス入口1205は、
図1、
図2、および
図13のガス入口112および212など、本明細書に記載のガス入口と見なすことができる。バックプレート1202およびフェースプレート1204は、シャワーヘッド1210内にプレナム容積1208を共に部分的に画定し、場合によっては、バッフルプレート(図示せず)をプレナム容積1208内に位置決めすることができる。バックプレート1202およびフェースプレート1204は、それらが互いに向き合う表面を有するように、シャワーヘッド内で互いに対向して位置決めされ得る。フェースプレート1204は、プレナム容積1208を部分的に画定し、バックプレート1202に面する背面1212と、処理チャンバ内に位置決めされた基板に面するように構成される前面1214とを含む。フェースプレート1204はまた、フェースプレート1204を通って背面1212から前面1214に延び、流体がプレナム容積1208からシャワーヘッド1210の外側に、そして基板上に進行することを可能にする複数の貫通穴1216(1つが
図12Bで識別される)を含む。
【0088】
いくつかのシャワーヘッドは、1つまたは複数の態様の温度を制御し、したがってシャワーヘッドのフローコンダクタンスを調整する1つまたは複数の温度制御ユニットを含み得る。
図12Aおよび
図12Bのシャワーヘッドは、シャワーヘッドの温度を制御するために使用され得る温度制御ユニットを含む。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド1210は、シャワーヘッドステム1218の温度を制御するように構成された1つまたは複数の温度制御ユニットを含むことができる。場合によっては、プレナム容積1208および複数の貫通穴1216などのシャワーヘッドの制限的なフロー要素の上流のステムの温度、したがってフローコンダクタンスを制御することにより、シャワーヘッドを通したより的確かつ均一なフローコンダクタンスの制御および調整が可能になる。
図12Aおよび
図12Bに代表的に示されるように、シャワーヘッド1210は、ステム1218を加熱し、ステム1218の温度を制御し、したがってステム1218のフローコンダクタンスを制御するために、ステム1218上に位置決めされた1つの温度制御ユニット1220Aを含む。温度制御ユニット1220Aは、単一のユニットまたは複数のユニットであり得る。温度制御ユニット1220Aは、ステム1218の周囲および/もしくは内部に位置決めされた1つまたは複数の抵抗性ヒータ、ステム1218の周囲もしくは内部に位置決めされ、ステムを加熱するために加熱水などの熱伝達流体を流すように構成された1つまたは複数の流体導管、またはステム1218における穴に位置決めされた1つまたは複数のカートリッジヒータを含むことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、温度制御ユニット1220Aはまた、ステム1218の周囲または内部に位置決めされ、冷却水などの熱伝達流体を流し、ステム1218を冷却するように構成された1つまたは複数の流体導管など、ステム1218を能動的に冷却するように構成された1つまたは複数の冷却要素を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、温度制御ユニット1220Aは2つの部分を有し得、第1の部分はステム1218を加熱するように構成された加熱部分として、第2の部分はステム1218を冷却するように構成された冷却部分として存在する。これらの部分の各々は、複数の加熱要素を含む第1の部分などのサブセットの部分を含み得る。
【0090】
図15は、例示的な熱制御されたシャワーヘッドの等角図を図示する。
図16は、
図15の例示的な熱制御されたシャワーヘッドの等角断面図を図示する。
図15および
図16では、シャワーヘッド1500が示されている。シャワーヘッド1500は、フェースプレート1514を含み、これは、下面に多数のガス分配穴1544を有し得る(
図15では見ることができず、
図16参照)。フェースプレート1514は、バックプレート1546と接続することができ、バックプレート1546は、次に、ステム1512、およびいくつかの実施態様では、ステムベース1518によって、冷却プレートアセンブリ1502と構造的および熱的に接続することができる。ステム1512は、1つまたは複数の穴、例えば、ガンドリル穴を含むことができ、これらは例えば、カートリッジヒータまたはヒータ要素1510を受け入れるようなサイズにすることができる。図示の例示的なシャワーヘッド1500では、ステム1512のガス入口1504の3つの側面に沿って位置決めされ、中央ガス通路1538(
図16参照)のほぼ全長に沿って延びる3つのヒータ要素1510が存在する。いくつかの実施態様では、同様の深さまで延びる追加の穴またはボアを提供することができ、ガス分配プレナムに近いシャワーヘッド1500内の温度を測定するために内部に挿入することができる温度プローブ、例えば、熱電対を受け入れるように構成することができる。
【0091】
冷却プレートアセンブリ1502は、示すように、層状構造を有することができるが、他の実施態様は、他の製造技術、例えば、付加製造または鋳造を使用して同様の構造を提供することができる。冷却プレートアセンブリ1502は、例えば、拡散接合またはろう付けを介して第1のプレート1526に結合され、次に第2のプレート1528に結合され、次に第3のプレート1530に結合されるカバープレート1532を含むことができる。そのような構造は、本出願では「プレート」と呼ばれるが、そうでなければ一般的に平面の表面から離れて延びるフィーチャを含み得、そのような構造に非平面の外観を与える3次元構造を有するものとして「プレート」を残すことが理解されよう。
【0092】
冷却プレートアセンブリ1502は内側冷却チャネル1536を含むことができ、これは、ステム1512の周りに概して延び、冷却プレートアセンブリ1502内に流体的に接続され、冷却剤入口1506からチャネルを通って流れる冷却剤を、続いて、冷却剤出口1508に流れる前に、内側冷却チャネル1536を取り囲む(または少なくとも部分的に取り囲む)ことができる外側冷却チャネル1534を通って流れるようにすることができる。
【0093】
シャワーヘッド1500が半導体処理システムに設置されるとき、シャワーヘッド1500はいくつかの追加のシステムに接続され得る。例えば、ヒータ要素1510は、コントローラ1566の指示の下で電力をヒータ要素1510に提供し得るヒータ電源1564と接続され得る。コントローラ1566は、例えば、1つまたは複数のプロセッサ1568と、1つまたは複数のメモリデバイス1570とを有することができる。1つまたは複数のメモリデバイスは、本明細書で後述するように、1つまたは複数のプロセッサを制御して様々な機能を実施するか、または様々な他のハードウェアを制御するためのコンピュータ実行可能命令を記憶することができる。
【0094】
図17および
図18は、
図15の熱制御されたシャワーヘッドの一部の等角部分分解図を図示する。
図17および
図18では、カバープレート1532と第1のプレート1526の両方が取り外されており、冷却プレートアセンブリ1502内の冷却流路が露出している。見られるように、中央ガス通路1538は、中央ガス通路1538内を流れるガスに熱を提供するために使用され得るヒータカートリッジ1510に近接して位置し得る。内側冷却チャネル1536および外側冷却チャネル1534を、はっきりと見ることができる。見られるように、外側冷却チャネル1534は、様々なプレートが組み立てられるときに整列する第1のプレート1526および第2のプレート1528内の2つの一致するチャネルによって形成される。外側冷却チャネル1534は、中央ガス通路1538のすべてまたはほぼすべて、例えば、弧の約300°の周りに延びることができる。外側冷却チャネル1534の一端は、内側冷却チャネル1536と流体的に接続することができ、これにより、内側冷却チャネル1536を通って流れる冷却剤は、その後、冷却プレートアセンブリを離れることなく、次に冷却剤出口1508を通って、外側冷却チャネル1534を通って流れることができる。
【0095】
図18に見られるように、第1のプレート1526は、第2のプレート1528の第2の表面に結合されて冷却プレートアセンブリの一部を形成する第1の表面を有する。第1の表面は、任意選択で、上記で説明された一致するチャネルの1つ、ならびに複数の突起1540を含んでもよく、これらの各々は、内側冷却チャネル1536の対応するまたは同様の形状の部分に突出するように載置およびサイズ決定され得、それによって非常に薄いU字形の断面を有する流体流路を形成し、これは一般に、内側冷却チャネル1536を通って流れる流体を突起が存在する領域で加速させ、それによりかかる領域における冷却流体のレイノルズ数を増加させ、冷却流体と内側冷却チャネル1536の壁との間、および冷却流体と突起1540との間の熱伝達を増加させる。これは、内側冷却チャネル1536の冷却効率を増加させる。
【0096】
突起1540は、内側冷却チャネル1536の底部と突起1540の対向面との間のギャップが、内側冷却チャネル1536の側壁と突起1540の対向面または側壁との間のギャップとほぼ同じになるようなサイズにすることができる。例えば、例示的なシャワーヘッド1500では、内側冷却チャネル1536の側壁と突起1540の対向面または側壁との間のギャップは、約1mmであり、内側冷却チャネル1536の底部と突起1540の対向面との間のギャップは、約1.3mmである。突起1540は、この例では、第1のプレート1526から約14mm延び、これにより、約7.2立方センチメートルの容積を有する内側冷却チャネルが得られる。比較すると、約6mmの高さ、および約6.3 mmの幅を有する外側冷却チャネルは、約9.6立方センチメートルの容積を有し、追加の約1.4立方センチメートルおよび0.8立方センチメートルは、それぞれ冷却プレートアセンブリ内の入口および出口の容積によってもたらされる。そのような構成では、毎分約3800~5700立方センチメートルの冷却剤流が冷却チャネルに供給され得、その結果、1分あたり冷却プレートアセンブリ1502の冷却チャネル内の冷却流体、例えば、水などの冷却液、フッ素化冷却剤(SolvayのGalden(登録商標)PFPEなど)、または他の冷却液が約200~300回完全に交換される。これにより、シャワーヘッドフェースプレート1514が約300℃~360℃、例えば、350℃の温度に保たれている間、冷却プレートアセンブリが約20℃~60℃の温度に保たれることが可能になり得る。例示的なシャワーヘッド1500に関して上で説明された特定の寸法および性能特性は、限定的であることを意図しておらず、異なる寸法および性能特性を有する他のシャワーヘッドもまた、本開示の範囲内に含まれ得ることが理解されよう。
【0097】
さらに、突起1540は、第1のプレート1526からフェースプレート1514に向かって下向きに延びることに留意されたい。したがって、フェースプレート1514およびステム1512からの熱は、内側冷却チャネル1536の側壁に沿って第1のプレート1526に向かって、ならびに第1のプレート1526から突起1540の端部に、すなわち、反対方向に流れることができる。これは、内側冷却チャネル1536の側壁の温度勾配が内側冷却チャネル1536の底部、すなわち、フェースプレート1514に最も近くで最も高く、内側冷却チャネル1536の上部の近く、すなわち、第1のプレート1526の近くで最も低くなり得、一方、突起1540の温度勾配は逆転することができ、すなわち、第1のプレート1526の近くで最高温度を有し、内側冷却チャネル1536の底部の近くで最低温度を有するため、内側冷却チャネルを通って流れる冷却剤の加熱を均等にする効果を有し得る。これにより、より効率的な熱伝達が促進される。
【0098】
図12Bにさらに示されるように、シャワーヘッド1210のフェースプレート1204は、追加的または代替的に、フェースプレート1204を加熱、冷却、またはその両方を行うように構成された1つまたは複数の温度制御ユニット1220Bを含んでもよい。これらの温度制御ユニット1220Bは、フェースプレート1204内に位置決めされ、フェースプレート1204と直接接触し、かつ/またはフェースプレート1204に熱的に接続された1つまたは複数の抵抗性ヒータを含み得る。温度制御ユニット1220Bがフェースプレート1204と熱的に接続されるとき、これも本明細書で概して説明されるように、熱エネルギーは、これらのアイテム間を直接進行するように、または温度制御ユニット1220Bとフェースプレート1204との間に挿入された熱伝導プレート(例えば、金属を含む)などの他の熱伝導材料を通って間接的に進行するように構成される。代替的または追加的に、温度制御ユニット1220Bは、フェースプレート1204内に、またはフェースプレート1204と熱的に接触して位置決めされ、加熱水および/または冷却水などの熱伝達流体、ならびに熱および/またはフェースプレート1204を流すように構成された1つまたは複数の流体導管を含んでもよい。
【0099】
図19は、いくつかの実施態様による、シャワーヘッドなどのガス分配マニホールド1906の等角断面図を示す。ガス分配マニホールド1906は、様々な構成要素を含み得る。例えば、ガス分配マニホールド1906は、温度制御アセンブリ1912と熱伝導的に接触し得るフェースプレートアセンブリ1908を含み得、温度制御アセンブリ1912は、フェースプレートアセンブリ1908と熱伝導的に接触している真空マニホールド1910と熱伝導的に接触している。温度制御アセンブリ1912は、冷却プレートアセンブリ1920と、冷却プレートアセンブリ1920からオフセットされてギャップ1916を形成する加熱プレートアセンブリ1914と、ギャップ1916内に分散された複数の熱チョーク1918とを含み得、これらの各々は、以下でさらに詳細に説明される。
【0100】
図20は、いくつかの実施態様による、
図19のガス分配マニホールド1906の分解等角断面図を示す。
図20は、
図20において冷却プレートアセンブリ1920と加熱プレートアセンブリ1914との間に見ることができる、熱チョーク1918などのガス分配マニホールド1906のいくつかの構成要素およびフィーチャを別々に示している。
【0101】
熱チョーク1918は、冷却プレートアセンブリ1920と加熱プレートアセンブリ1914との間に構成可能な熱伝導経路を提供することができる。いくつかの実施態様では、熱チョーク1918は、ガス分配マニホールド1906によって実施される半導体製造動作に必要な指定された量の熱を放散するように構成され得る。
【0102】
図20に示すように、熱チョーク1918の各々は、スペーサ1974を含むことができる。各スペーサは、中央領域1976を含み得、各熱チョーク1918は、中心領域1976を通過するボルト1978を含み得る。熱チョーク1918は、所望の熱伝導率の量に基づいて、様々な材料で構成されてもよい。例えば、熱伝導率が低い順に、熱チョーク1918は、銅、アルミニウム、鋼、またはチタンで構成され得る。熱チョーク1918は、どの程度の熱放散が望まれるかに応じて、実施態様間でサイズが異なる場合がある。しかし、熱チョーク1918は、
図3の第2の外面に平行な平面において、第1の外面1926の表面積の1.7%~8.0%の間、例えば、熱チョークに向かって面し、温度制御アセンブリまたは真空マニホールドアセンブリと導電的に接触しているフェースプレートアセンブリの表面積の1.7%~8%の間である総断面積(スペーサ1974およびボルト1978を含む)を有し得る。
【0103】
上述のように、
図19のガス分配マニホールド1906は、加熱プレートアセンブリ1914を含み得る。
図21は、いくつかの実施態様による、
図19のガス分配マニホールド1906の加熱プレートアセンブリ1914の一例の上面図を示す。加熱プレートアセンブリ1914は、例えば、熱を伝導することができる標準的なアルミニウムプレートなどの加熱プレートを含むことができる。熱は、示すように、例えばプレートに機械加工された蛇行状の溝に押し込まれることによって、プレート内に埋め込まれるか、またはプレートと密接に熱的に接触して載置される抵抗性加熱要素1988によってプレートに提供され得る。例えば、抵抗性加熱要素1988は、シースからニクロム線のコイルなどの抵抗性構成要素を分離する内部絶縁体(酸化マグネシウムなど)を備えた金属製の外部シースを有し得る。加熱プレートアセンブリ1914に提供される熱は、抵抗性加熱要素1988を通して変化する電流を供給することによって変化させることができる。この加熱プレートアセンブリ1914は、フェースプレートアセンブリ108を加熱するように構成される。
【0104】
図19のガス分配マニホールド1906は、冷却プレートアセンブリ1920を含み得る。
図22は、いくつかの実施態様による、
図19のガス分配マニホールド1906の冷却プレートアセンブリ1920の一例の上面図を示す。冷却プレートアセンブリ1920は、冷却通路1980を含むことができる。水などの冷却液は、冷却通路1980を通って流れ、熱制御をフェースプレートアセンブリ1908に提供することができる。例として、摂氏15~30度の範囲の温度を有する冷却水を冷却通路1980を通して流し、摂氏200~300度の範囲にフェースプレートアセンブリ1908の温度を維持することができる。あるいは、そのような冷却は、Galden(登録商標)などの高温適合性の熱伝達流体を使用して達成することができる。
【0105】
一部のフラッシュマウントシャワーヘッドは、一部のシャンデリアタイプのシャワーヘッドと同様に構成される場合がある。フラッシュマウントシャワーヘッドは、内部プレナム容積を共に形成する貫通穴を備えたバックプレートおよびフェースプレートを有し、バックプレート、フェースプレート、および/またはバックプレートへのガス入口を加熱し、シャワーヘッドを通るフローコンダクタンスを制御することができる。
図13は、例示的なフラッシュマウントシャワーヘッドの断面側面図を図示する。ここで、フラッシュマウントシャワーヘッド1310は、プレナム入口1303を備えたバックプレート1302と、バックプレート1302に接続されたフェースプレート1304とを含む。シャワーヘッド1310のガス入口1305は、ガスがシャワーヘッド1310に流入する点と見なすことができ、このガス入口1305は、
図1、
図2、および
図14のガス入口112および212など、本明細書に記載のガス入口と見なすことができる。バックプレート1302およびフェースプレート1304は、シャワーヘッド1310内にプレナム容積1308を共に部分的に画定し、場合によっては、バッフルプレート(図示せず)がプレナム容積1308内に位置決めされてもよい。バックプレート1302およびフェースプレート1304は、それらが互いに向き合う表面を有するように、シャワーヘッド内で互いに対向して位置決めされ得る。フェースプレート1304は、プレナム容積1308を部分的に画定し、バックプレート1302に面する背面1312と、処理チャンバ内に設置されたときに位置決めされた基板に面するように構成される前面1314とを含む。フェースプレート1304はまた、フェースプレート1304を通って背面1312から前面1314に延び、流体がプレナム容積1308からシャワーヘッド1310の外側に、そして基板上に進行することを可能にする複数の貫通穴1316(2つが
図13で識別される)を含む。
【0106】
フラッシュマウントシャワーヘッドはまた、1つまたは複数の態様の温度を制御し、したがってシャワーヘッドのフローコンダクタンスを調整する1つまたは複数の温度制御ユニットを含み得る。
図13のシャワーヘッドは、シャワーヘッドの温度を制御するために使用することができる温度制御ユニット例示的な例を含む。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド1310は、バックプレート1302の温度を制御するように構成された1つまたは複数の温度制御ユニット1320Aを含み得る。場合によっては、バックプレート1302の温度を制御することにより、シャワーヘッドの制限貫通穴1316の上流のプレナム容積1308内のフローコンダクタンスを変化させ、したがってシャワーヘッドを通るより的確かつ均一なフローコンダクタンス制御および調整を提供し得る。温度制御ユニット1320Aは、単一のユニットまたは複数のユニットであり得る。温度制御ユニット1320Aは、バックプレート1302上および/もしくはその内部に位置決めされた1つまたは複数の抵抗性ヒータ、バックプレート1302上もしくはその内部に位置決めされ、ステムを加熱するために、加熱水などの熱伝達流体を流すように構成された1つまたは複数の流体導管、またはバックプレート1302の穴に位置決めされた1つまたは複数のカートリッジヒータを含むことができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、温度制御ユニット1320Aはまた、バックプレート1302上またはその内部に位置決めされ、冷却水などの熱伝達流体を流し、バックプレート1302を冷却するように構成された1つまたは複数の流体導管など、バックプレート1302を能動的に冷却するように構成された1つまたは複数の冷却要素を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、温度制御ユニット1320Aは2つの部分を有し得、第1の部分はバックプレート1302を加熱するように構成された加熱部分として、第2の部分はバックプレート1302を冷却するように構成された冷却部分として存在する。これらの部分の各々は、複数の加熱要素を含む第1の部分などのサブセットの部分を含み得る。
【0108】
シャワーヘッド1310のフェースプレート1304はまた、フェースプレート1304を加熱、冷却、またはその両方を行うように構成された1つまたは複数の温度制御ユニット1320Bを含んでもよい。これらの温度制御ユニット1320Bは、フェースプレート1304内に位置決めされ、フェースプレート1304と直接接触し、かつ/またはフェースプレート1304に熱的に接続された1つまたは複数の抵抗性ヒータを含み得る(したがって熱エネルギーは、これらのアイテム間を直接進行するように、または温度制御ユニット1320Bとフェースプレート1304との間に挿入された熱伝導プレート(例えば、金属を含む)などの他の熱伝導材料を通って間接的に進行するように構成される)。代替的または追加的に、温度制御ユニット1320Bは、フェースプレート1304内に位置決めされ、またはフェースプレート1304と熱的に接触して位置決めされ、加熱水および/または冷却水などの熱伝達流体、ならびに熱および/またはフェースプレート1304を流すように構成された1つまたは複数の流体導管を含み得る。例示的な温度制御されたシャワーヘッドは上述されており、
図19~
図22に示されている。
【0109】
図14は、例示的なマルチステーション半導体処理ツール1400を図示する。このツール1400は、ツール1400の各流路1416A、1416B、1416C、および1416Dが、それぞれ、各対応する処理ステーション104A、104B、104C、および104Dの対応するシャワーヘッド110A、110B、110C、および110Dをそれぞれ含むことを除いて
図1のツール100と同じであり、本明細書で説明される。例えば、流路1416Aは、処理ステーション104Aに流体的に接続され、処理ステーション104A内に位置決めされたシャワーヘッド110Aを含む。ツール1400のこれらの流路1416A、1416B、1416C、および1416Dは、接合点118と、シャワーヘッド110A、110B、110C、および110Dの1つまたは複数の態様との間にそれぞれまたがり、それによって各シャワーヘッドのガス入口112を囲み、それを超えて延びると見なすことができる。いくつかの実施形態では、各流路がシャワーヘッド内で終わる点は、シャワーヘッドと処理ステーションの内部容積との間の流体接続部であると見なすことができ、これはシャワーヘッドのガス分配ポートと見なすことができる。
【0110】
図14にも見られるように、各シャワーヘッド110A、110B、110C、および110Dは、それぞれ、アイテム1420A、1420B、1420C、および1420Dによって表される1つまたは複数の温度制御ユニットを含む。これらのシャワーヘッドの各々は、
図12Aおよび
図12Bのシャワーヘッド1210または
図13のシャワーヘッド1310に関して本明細書に記載されるように構成され得る。例えば、シャワーヘッド110A、110B、110C、および110Dの1つまたは複数の温度制御ユニット1420A、1420B、1420C、および1420Dは、ステム(例えば、1220A)、フェースプレート(例えば、1220B)、またはその両方の温度を制御するように構成されたものであり得る。したがって、シャワーヘッド110A、110B、110C、および110Dのこれらの1つまたは複数の温度制御ユニット1420A、1420B、1420C、および1420Dを使用して、本明細書に記載の任意の技術について本明細書に記載の他のフロー要素と同じ方式でシャワーヘッドを通るフローコンダクタンスを制御することができる。例えば、
図3~
図6に関して説明した技術のフロー要素は、
図12A、
図12B、
図13、および
図14のシャワーヘッドであってもよい。
【0111】
III.例示的な技術
本明細書の技術および装置は、異なる温度で2つ以上の流路を利用して1つの流路を通るフローコンダクタンスを調整し、堆積された材料の性質を調整し、ステーション間のばらつきを低減する。いくつかの実施形態では、ステーション間の材料性質の違いは、1つのステーションの流路内のフロー要素の温度を調整することでフローコンダクタンスを変化させ、その1つのステーションにおける材料性質を調整することによって低減することができ、これは、そのステーションでの材料性質の調節と見なすことができる。温度を堆積プロセス中に調整し、材料全体で異なる値を有する膜性質を発生させることも可能である。例えば、距離を堆積中に調整し、材料のあるセクションにある性質の値を有させ、材料の別のセクション(異なる値のRIなど)を材料内に有させることができる。いくつかの実施形態では、フロー要素の温度、したがってフローコンダクタンスは、所望のフローコンダクタンスまたは別のフロー要素のフローコンダクタンスと一致するように調整され得、これは、そのフロー要素のハードウェア調節と見なすことができる。例えば、弁のフローコンダクタンスは、弁が別の弁のフローコンダクタンスと一致するか、または実質的に一致する(例えば、+/-2%、+/-1%、または+/-0.5%以内)ようにその温度を変更することによって調整することができる。温度およびフローコンダクタンスの調整は、様々な方法で実装することができる。
【0112】
したがって、いくつかの実施形態では、2つ以上の流路のフロー要素の温度は、堆積中の温度の変化を含めて、堆積全体を通して互いに異なる可能性がある。これは、(i)互いに異なる値で開始し、堆積全体にわたってそれらの異なる値のままであり、(ii)互いに同じ値で開始し、その後、堆積プロセスの後半で異なる値に変化し、(iii)異なる値で開始し、その後、堆積プロセスの後半で同じ値に変化し、かつ(iv)異なる値で開始し、その後、堆積プロセスの後半で他の異なる値に変化する温度を含む場合がある。いくつかの他の実施形態では、温度は、堆積全体を通して互いに対して同じ値のままであり得るが、堆積全体を通してそれらの値を変化させることができる。
【0113】
A.異なる値における温度での例示的な技術
第1の例示的な技術では、2つ以上の流路のフロー要素の温度は、材料の1つまたは複数の層を基板上に堆積する堆積プロセスの少なくとも一部の間、互いに異なる。この部分の間、一方の流路の1つのフロー要素が第1の温度に設定されて維持され、第2の流路の別のフロー要素が第2の温度に設定されて維持される。本明細書で使用される場合、材料の「層」は、材料の複数のサブ層を含み得る完全な堆積プロセスの後に堆積される材料の全層であり得、また、原子層堆積(ALD)によって堆積された材料の単一の離散層など、単一の離散層または材料のサブ層を含み得る。
【0114】
図3は、マルチステーション半導体処理チャンバで膜堆積を実施するための第1の例の技術を図示する。
図1のツール100、処理ステーション104Aおよび104B、ならびに流路116Aおよび116Bは、この技術を説明するために参照される。
図1のツール100のフィーチャが参照されているが、この技術は、
図2のツール200および
図13のツール1300などの本明細書に記載の他の任意のツール、ならびに例えば、弁、モノブロック、1つまたは複数のガスライン、ティー継手、継手、およびシャワーヘッドを含む、本明細書に記載の流路の任意のフロー要素に等しく適用可能である。これらの技術は、ある流路の弁および別の流路のモノブロックなど、異なるフロー要素を通るフローコンダクタンスを制御するためにも使用することができる。ブロック301において、第1の基板108Aは、第1のステーション104Aの第1の台座106A上に位置決めされ、動作303において、第2の基板108Bは、第2のステーション104Bの第2の台座106B上に位置決めされる。いくつかの実施形態では、ブロック301および303は、逆の順序でまたは同時に実施され得る。
【0115】
これらの基板がそれぞれの台座上に位置決めされると、ブロック305によって表されるように、材料の1つまたは複数の層が、第1および第2の基板上に同時にかつ個別に堆積され得る。これは、第1の基板上に1つまたは複数の第1の層をもたらし、第2の基板上に1つまたは複数の第2の層をもたらし得る。本明細書でより詳細に説明するように、堆積プロセスの一部は、一般に、例えば、ALD堆積に対する投与段階中、または化学気相堆積(CVD)での活性化中、シャワーヘッドから基板上に1つまたは複数のプロセスガスを流すことを伴う。これらのプロセスガスは、他の流路に対して異なる温度に設定された流路を有することができる前述の流路を介して基板に流れる。ブロック307に示されるように、それぞれ第1および第2の基板上への1つまたは複数の第1および第2の層の堆積の少なくとも一部の間、116Aのような第1の流路の第1のフロー要素は、第1の温度に維持され得、116Bのような第2の流路の第2のフロー要素は、第1の温度とは異なる第2の温度に同時に維持され得る。いくつかの実施形態では、温度の維持は、熱を生成する抵抗性ヒータなどによるフロー要素の能動的加熱であり得る。いくつかの他の実施形態では、温度の維持は、温度制御ユニットがフロー要素を能動的に加熱していないように、フロー要素の加熱がない、またはフロー要素を加熱しないことであり得、したがって、フロー要素は、そのフロー要素を取り巻く周囲環境の温度のままであり得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、これらの異なる温度は、材料の所望の層のすべてを堆積するために必要とされる堆積プロセス全体にわたって維持され得る。例えば、ALDプロセスが500サイクルを実施する場合、これらの第1および第2の温度は、これらの500サイクルすべてを通じて一貫して維持することができる。この温度調整および設定は、例えば、堆積プロセスが始まる前、またはいくつかの始動動作中に行うことができる。これらの動作は、基板のロード、基板の温度浸漬(加熱)、インデックス付け、およびアンプルの充填を含んでもよい。
【0117】
場合によっては、堆積全体にわたって異なる温度でフロー要素を使用して流路を維持することにより、厚さおよびRIなど、互いに実質的に同じ特性(例えば、互いに10%、5%、1%、0.5%、または0.1%以内で実質的に同じ意味)を有する異なるステーションに材料の層を発生させることができる。これにより、ステーション間の整合性を向上させることができる。例えば、2つのステーション間の厚さが互いに特定の閾値内で一致しないと決定された場合、その後の堆積プロセスのために、ステーションの1つに対する流路内のフロー要素の温度を調整してフローコンダクタンスを変化させ、次にそのステーションで堆積された厚さを変更することで、ステーション間の厚さを近づけることができる。いくつかの他の実施形態では、各ステーションにおける材料の堆積層は、異なる厚さなど、互いに異なる特性を有し得る。これにより、他の材料性質との整合性を向上させることができる。例えば、材料性質は互いに異なる密度を有する場合があるが、それでも同じ厚さになる(これは、堆積速度などの他のプロセス条件が原因であり得る)。
【0118】
いくつかの実施形態では、堆積された材料の一部のみの特性を変更するために、堆積プロセスの一部についてのみ異なる流路の異なるフロー要素温度を維持することができる。異なる特性を有する同じ基板上に層を堆積することは、堆積された材料全体のその1つのセクション(例えば、1つまたは複数の層)だけの特性を微調節するために有利であり得る。これはまた、その基板の処理中のプロセス条件または材料性質のドリフトを調整するために有利であり得る。例えば、材料が異なるステーションにおける基板のセット上に同時に堆積されると、プラズマ電力の増減など、ステーションの1つでのプロセス条件がこの処理中にドリフトする可能性があり、これにより厚さが異なるなど、他の層とは異なる材料性質を有する材料の層が生じ、ステーション間の不均一性が生じる可能性がある。この処理の一部の間に1つまたは複数の流路のフローコンダクタンスを調整すると、ドリフトプロセスの条件を調整して、結果として生じる不均一性を低減することができる場合がある。例えば、あるステーションのプラズマ電力が処理の過程でドリフトし、堆積された材料の厚さが変化した場合、次にそのステーションに対する流路のフローコンダクタンスは、そのステーションで所望の量の材料の厚さをもたらすために、そのステーションの温度を調整してそのドリフト状態を考慮するように調整することができる。
【0119】
別の同様の例では、プロセス条件は、基板のバッチ全体(例えば、200または500個の基板)にわたってドリフトする傾向があり、これらのドリフト条件は、異なる厚さなどの材料性質の不均一性または増加した不均一性をもたらす可能性がある。基板のバッチの一部の間で1つまたは複数の流路のフローコンダクタンスを調整することで、ドリフトプロセス条件を調整し、結果として生じる不均一性を低減することができる場合がある。例えば、バッチを処理する過程の間、例えばバッチ内の特定の数の基板を処理した後に1つのステーションのプラズマ電力がドリフトする場合、そのステーションにおいて堆積された厚さは、許容可能な閾値を超えてドリフトする可能性があり、そのステーションに対する流路のフローコンダクタンスは、所望の量の材料の厚さをもたらすために、そのドリフト状態を考慮するように調整することができる。
【0120】
基板のバッチは、蓄積限界などの限界に達する前または達したとき、特定の堆積プロセスのために処理され得る基板の数として定義することができる。例えば、材料が複数の基板上に堆積されると、堆積プロセスからの材料は、本明細書では「蓄積」と呼ばれる(例えば、チャンバ壁、台座、およびシャワーヘッドの)1つまたは複数の内部チャンバ表面上に蓄積する。そのチャンバの洗浄の間に複数の基板が同じチャンバ内で処理されるので、より多くの基板が処理されるにつれて蓄積が増加する。チャンバ内の蓄積が特定の厚さに達すると、チャンバに悪影響が生じる可能性があり、蓄積が蓄積限界と呼ばれ得るそのような厚さに達すると、基板の処理が停止され、チャンバが洗浄される。そのような例では、特定のチャンバにおけるALDプロセスの蓄積限界は20,000Åであり、これはチャンバに対する蓄積がそのチャンバで処理される基板に悪影響を与えるポイントである。したがって、そのチャンバで処理される基板のバッチは、20,000Åの蓄積限界に達する前にそのチャンバで処理され得る基板の数に制限される。
【0121】
第2の例示的な技術では、異なる流路内のフロー要素の温度は、互いに同じ温度で開始し、その後、堆積プロセスの後半で異なる温度に調整され得る。ここで、2つの温度が同じであるときにある程度の堆積が発生する可能性があり、この温度は、例えば、それぞれの温度制御ユニットによって熱が加えられていない場合や、周囲温度を上回る同じ加熱温度である場合があり得る。堆積のこの第1の部分の後、異なる流路のフロー要素の温度は、第1のフロー要素を第1の温度に加熱し、第2のフロー要素を第2の温度に加熱することを含めて調整することができる。この調整に続いて、第1のフロー要素が第1の温度に維持され、第2のフロー要素が第2の温度に維持されている間、追加の堆積が第1および第2の基板上に実施される。上記のように、いくつかの実施形態では、一方のフロー要素のみが能動的に加熱され得、他方のフロー要素は加熱されない。例えば、熱が第2のフロー要素に加えられていない間、フロー要素を能動的に加熱することによって、第1のフロー要素の第1の温度に達し、その温度を維持することができる。
図3を参照すると、堆積および流路調整の第1の部分は、ブロック301および303の後、およびブロック305および307の前に起こると考えることができる。
【0122】
第2の例示的な技術と似ているが逆になっている第3の例示的な技術では、異なる流路内のフロー要素の温度は、互いに異なる温度で開始し、その後、堆積プロセスの後半で同じ温度になるように変化し得る。ここで、同じ温度への調整は、冷却流体、受動的冷却、または能動的加熱などによる能動的冷却を使用して行うことができる。いくつかのそのような実施形態では、一方のフロー要素の温度は、他方のフロー要素の温度と同じになるように調整され得る。いくつかの他のそのような実施形態では、両方のフロー要素の温度は、別の同じ温度に調整され得る。
図3を参照すると、流路の調整および堆積の後半部分は、ブロック301~307の後に起こると考えることができる。
【0123】
同様に、第4の例示的な技術は、異なる流路内のフロー要素の温度を互いに異なる温度に維持しながら、基板上に同時堆積の第1の部分を実施することと、次に、異なる流路内のフロー要素の温度を他の異なる温度に維持しながら、同時堆積の別の部分を実施することとを含み得る。
図4は、マルチステーション半導体処理チャンバで膜堆積を実施するための第4の技術を図示する。ここで、ブロック401~407は、
図3に関して上述したブロック301~307と同じである。ここで、
図4では、ブロック401、403、405、および407が実施され、これらのブロックの後、ブロック409において、第1のフロー要素の温度が第1の温度とは異なる第3の温度に調整され、第2のフロー要素の温度が第2の温度とは異なる第4の温度に調整される。フロー要素がこれらの他の異なる温度になった後、堆積の第2の部分について、フロー要素がこれらの他の異なる温度に維持されている間、ブロック411において別の同時堆積が2つの基板上で実施される。
【0124】
いくつかの実施形態では、各ステーションに対する温度調整量は、各ステーションに関して異なる場合がある。例えば、第1のフロー要素は、第1の温度からX度だけ調整されてもよく、第2のフロー要素は、第2の温度からY度だけ調整されてもよい。いくつかの他の実施形態では、互いに異なる温度にフロー要素を維持するが、それらを同じ量だけ調整することが望ましい場合がある(例えば、両方の温度をX度だけ調整する)。これにより、すべての基板の性質を均一に制御および調整することができる。
【0125】
加えて、本明細書の技術は2つのステーションの2つの流路に関して説明されているが、これらの技術は、任意の数の複数のステーションおよび流路に適用可能である。例えば、
図1に示すように4ステーションのチャンバを備えたツールでは、各流路内の少なくとも1つのフロー要素の温度は、他の流路内の対応するフロー要素と異なる場合がある。場合によっては、マルチステーション半導体処理チャンバ内で膜堆積を実施するための第5の例示的な技術を図示する
図5に示すように、材料の1つまたは複数の層が4つのステーション104A~104D内の4つの基板上に同時に堆積される堆積プロセスの少なくとも第1の部分について、第1の流路116Aの第1のフロー要素は第1の温度にあり得、第2の流路116Bの第2のフロー要素は第2の温度にあり得、第3の流路116Cの第3のフロー要素は第3の温度にあり得、第4の流路116Dの第4のフロー要素は第4の温度にあり得る。いくつかの実施形態では、これらの温度のうちの少なくとも2つは互いに異なっていてもよく、他の温度は同じであっても異なっていてもよい。例えば、すべての温度が互いに異なる場合があり、第1および第2の温度が互いに異なる場合がある一方、第3および第4の温度が第1もしくは第2の温度と同じである場合があり、または第1、第2、および第3の温度がすべて互いに異なる場合がある一方、第4の温度が他の温度のいずれかと同じである場合がある。
【0126】
本明細書に記載の技術はまた、各流路内の複数のフロー要素の温度制御にも適用可能である。例えば、2つ以上のフロー要素は、その流路を通る所望のフローコンダクタンスを発生させるために、異なる温度に加熱され得る。例えば
図2を参照すると、ここでは各流路216A~216Dの2つ以上のフロー要素222、224、226、および228の加熱が含まれる場合がある。
【0127】
B.同じ温度での例示的な技術
上記のように、異なる流路のフロー要素は、堆積中に互いに対して同じ温度に留まることができるが、基準温度に対して堆積プロセス中に異なる温度に維持される。この概念は、マルチステーション半導体処理チャンバ内で膜堆積を実施するための第6の例示的な技術を図示する
図6に示されている。ここで、ブロック601および603は、上述のブロック301および303と同じである。ブロック605および607の場合、第1および第2のフロー要素は、第1および第2の基板上に1つまたは複数の層の材料を同時に堆積する間、両方とも同じ第1の温度に維持される。ブロック609において、第1および第2のフロー要素は両方とも同じ第2の温度に調整され、その後、ブロック611および613において、第1および第2のフロー要素は、第1および第2の基板上に1つまたは複数の層の材料を同時に堆積する間、両方とも同じ第2の温度に維持される。
【0128】
ここで、フロー要素は、堆積プロセスの間、互いに対して同じ温度のままであるが、ツールの周囲環境などの基準温度に対して異なる距離にある。これらの実施形態は、材料全体にわたって異なる値の性質を有する堆積された材料を形成することができる。例えば、第1の基板上に堆積された材料は、2つの異なるRIなど、材料内に2つの異なる性質を有する。堆積された材料内に追加の値および勾配をもたらすために、距離を追加の回数にわたって調整することができる。
【0129】
C.様々な堆積プロセスでの例示的な技術の使用
例示的な技術はすべて、CVDおよびALDなどの様々な堆積プロセスで使用することができる。例えば、
図3を参照すると、ブロック305および307の同時堆積ならびに第1および第2の温度の維持は、第1および第2の基板に対するCVDまたはALD堆積プロセス全体に対して行われ得る。この処理の後、後処理動作を実施することができ、基板をチャンバから取り除くことができる。ALDのような周期的堆積プロセスの場合、上述のブロック305および307、405および407、411および413、605および607、ならびに611および613の同時堆積および温度の維持は、これらのブロックが堆積プロセスにわたって繰り返されることができるように、堆積の1つまたは複数のサイクルに対して実施され得る。
【0130】
上記のように、典型的なALDサイクルは、(1)第1の前駆体への基板表面の曝露、(2)基板が位置する反応チャンバのパージ、(3)典型的にはプラズマおよび/または第2の前駆体を用いた、基板表面の反応の活性化、および(4)基板が位置する反応チャンバのパージを含む。
図7は、ALDプロセスを介して基板上に材料の膜を形成するための動作の例示的なシーケンスのフローチャートを図示する。
図7に見られるように、上記の項目1はブロック758に対応し、上記の項目2はブロック760に対応し、上記の項目3はブロック762に対応し、上記の項目4はブロック764に対応する。4つのブロックはNサイクルにわたって実施され、その後プロセスが停止される。
【0131】
図4および
図6の例示的な技術など、複数の同時堆積および温度維持ブロックを伴う技術では、全体的な堆積プロセスは2つ以上の部分に分割され得、各部分は特定の数の堆積サイクルを有し、各部分のサイクルについて、それぞれの部分に関連するそれらのブロックが実施される。例えば、ある部分はXサイクルを有し得、別の部分はYサイクルを有し得、そして
図4を参照すると、例えば、ブロック405および407は、Xサイクルのすべての間、第1および第2の温度が維持されて一定であるようにXサイクルに対して実施され、次に堆積の第2の部分について、Y堆積サイクルのすべての間、第3および第4の温度が維持されて一定である。他のすべての例示的な技術は、各同時堆積および温度ブロックが全体的な堆積プロセスの一部において特定の数の堆積サイクルに対して実施されるように、同様に実施され得る。
【0132】
本明細書に記載のすべての例示的な技術について、他の処理条件に応じて、基板上に同時に堆積される材料の堆積層は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、それらは同じ厚さを有する場合もあれば、異なる密度を有する場合もある。
【0133】
D.較正のための追加の技術
いくつかの実施形態では、フロー要素の温度を決定して異なる材料性質値と関連付けるために、較正堆積プロセスを実施することができる。較正堆積プロセスは、ステーションに基板の第1のセットを位置決めすることと、第1の温度に各ステーションに対する各流路内のフロー要素の温度を設定および維持することと、同時に材料を基板の第1のセット上に堆積することと、次に、測定などによって、厚さやRIなどの材料性質の結果の値を決定することとを含み得る。次に、基板の第2のセットを台座上にロードすることができ、フロー要素の温度は第2の温度に設定および維持することができ、堆積プロセスは基板の第2のセット上で繰り返され得、そして材料性質の結果の値が再び決定され得る。この堆積および決定は、N個の異なる距離にあるN個の基板のセットに対して繰り返され得る。各ステーションに対する材料性質の決定された値は、各ステーションにおいて堆積が発生したフロー要素の温度に関連付けられており、この情報は、温度を調整し、材料性質の既知の値をデポジットするために、上記の技術のいずれかで使用することができる。
【0134】
IV.実験結果
図8は、2つの基板についての材料の厚さのプロットを図示する。ここでは、2つの基板の4つのセットが2ステーションチャンバ内で処理された。セットごとに、ステーション1の流路内の1つのフロー要素、すなわち、ガスラインがセットごとに異なる温度に加熱された。合計8つの基板で測定された材料の平均厚さを、
図8に示す。横軸は、ガスラインの温度(摂氏)であり、縦軸は、基板上に堆積された材料の平均厚さである。見られるように、ステーション1に対するフロー要素の温度が上昇すると、堆積された材料の全体的な厚さが減少した。例えば、セット1の最低温度は約42.5℃であり、最高厚さは約127オングストローム(Å)である。この第1のセットはまた、2つのステーション間で厚さの不均一性が最大である。セット4では、フロー要素が約80℃の最高温度にあり、ステーション1の厚さは約117Åで最も低くなっている。この第4のセットはまた、2つのステーション間で不均一性が最小である。これらの結果によると、厚さの不均一性は、1つのステーションの流路内の1つのフロー要素の温度を上昇させることによって低減することができる。ステーション1の流路ではフロー要素は加熱されなかったが、基板の異なるセットの間で堆積物の厚さが変化するのが見られる。それにもかかわらず、この図は、各ステーション間の厚さの違いが、1つのステーションの少なくとも1つのフロー要素の温度を調整することによって調整可能であることを示している。ステーション1のこの傾向は、処理チャンバまたはプロセスパラメータにおける他の様々な条件によって引き起こされ得る。場合によっては、これは、流量または基板温度の一定のオフセットによって相殺される可能性がある。代替的または追加的に、
図10が示しているように、ステーション間の不均一性は、1つのステーションの流路内の少なくとも1つのフロー要素の温度を上昇させることによって低減することができる。
【0135】
別の同様の実験では、RIが測定され、様々なフロー要素温度と比較された。
図9は、2つの基板についての屈折率(RI)のプロットを図示する。ここでは、2つの基板の4つのセットが2ステーションチャンバ内で処理された。セットごとに、ステーション1の流路内の1つのフロー要素、すなわち、ガスラインがセットごとに異なる温度に加熱された。合計8つの基板上に堆積された材料の測定されたRIを、
図9に示す。横軸は、ガスラインの温度(摂氏)であり、縦軸は、基板上に堆積された材料の平均RIである。見られるように、
図8に見られる厚さとは対照的に、ステーション1に対するフロー要素の温度が上昇すると、RIが上昇する。例えば、セット1の最低温度は約42.5℃であり、最小RIは約1.45である。この第1のセットはまた、2つのステーション間でRIの不均一性が最小である。セット4では、フロー要素が約80℃の最高温度にあり、ステーション1のRIは約1.65で最高になる。この第4のセットは、2つのステーション間で不均一性が最大である。これらの結果によると、RIの不均一性は、1つのステーションの流路内の1つのフロー要素の温度を減少させることによって低減することができる。加えて、
図11のステーション1に堆積された材料は基板のセットの各々に対するRIおよび温度の上昇によって減少するが、この図は、各ステーション間の違いが、1つのステーションの少なくとも1つのフロー要素の温度を調整することによって調整可能であることを示している。
図11に示されるステーション1の傾向は、ステーション2から減少した各単位流量がステーション1などの残りのステーションによって取得された結果であり得、これは、総流量が単一のMFCのような単一のソースによって制御され得るためである。したがって、すべての他の条件が一定に保たれている場合、加熱によって制御されるステーション2についてのパラメータの減少は、残りのステーションよりも減少した逆方向の効果を示すことができる。
【0136】
V.追加の例示的な装置
いくつかの実施形態では、半導体処理ツールまたは装置は、本明細書で説明される例示的な技術のいずれかおよびすべてを実行するためのプログラム命令を備えた、以下でより詳細に説明されるコントローラを有し得る。例えば、
図1および
図2のツールは、例示的な技術を実施するためのコントローラなどの追加のフィーチャを有することができる。これは、制御可能に構成された温度制御ユニットを制御することを含む。コントローラは、上述の技術を実行することを含め、ステーションで材料を基板上に堆積するように装置を制御するプログラム命令を有することができる。これは、第1の基板を第1のステーション(例えば、ステーション104A)の第1の台座上に提供することと、第2の基板を第2のステーション(例えば、ステーション104B)の第2の台座上に提供することと、同時に、材料の1つまたは複数の第1の層を第1の基板上に堆積し、材料の1つまたは複数の第2の層を第2の基板上に堆積することと、同時堆積の少なくとも一部の間、第1の温度にその第1のステーションに対する第1の流路(例えば、116A)の第1のフロー要素を維持し、第1の温度とは異なる第2の温度にその第2のステーションに対する第2の流路(例えば、116B)の第2のフロー要素を維持することとを含み得る。
【0137】
ツールまたは装置の各々は、本明細書に記載の追加のフィーチャを含むことができる。
図10は、任意の数のプロセスを使用して半導体基板上に膜を堆積するためのシングルステーション基板処理装置を図示する。
図10の装置1000は、真空ポンプ1030によって真空下に維持され得る内部容積内に単一の基板ホルダ1018(例えば、台座)を備えた単一の処理チャンバ1010を有する。また、ガス送給システム1002およびシャワーヘッド1004が、(例えば)膜前駆体、キャリアおよび/またはパージおよび/またはプロセスガス、二次反応剤などを送給するためにチャンバに流体的に結合される。処理チャンバ内でプラズマを生成するための機器もまた、
図10に示されている。
図10に概略的に示されている装置は、一般にALDを実施するためのものであるが、従来のCVD、特にプラズマ強化CVDなどの他の膜堆積動作を実施するために適合させることができる。
【0138】
簡略化のため、処理装置1000は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ本体1010を有する独立型プロセスステーションとして図示されている。しかし、本明細書に記載されるように、複数のプロセスステーションが共通のプロセスツール環境に、例えば、共通の反応チャンバ内に含まれていてもよいことが理解されよう。例えば、
図11は、マルチステーション処理ツールの一実施態様を図示しており、以下でさらに詳細に説明される。さらに、いくつかの実施態様では、処理装置1000の1つまたは複数のハードウェアパラメータ(本明細書で詳細に説明されるものを含む)を、1つまたは複数のシステムコントローラによってプログラム的に調整することができることが理解されよう。
【0139】
プロセスステーション1010は、液体および/またはガスを含み得るプロセスガスを分配シャワーヘッド1004に送給するためのガス送給システム1002と流体的に連通する。ガス送給システム1002は、シャワーヘッド1004に送給するためのプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための混合容器1006を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁1008および1008Aは、混合容器1006へのプロセスガスの導入を制御することができる。
【0140】
いくつかの反応剤は、気化およびその後のプロセスチャンバ1010への送給の前は、液体の形で保存することができる。
図10の実施態様は、混合容器1006に供給される液体反応剤を気化させるための気化ポイント1012を含む。いくつかの実施態様では、気化ポイント1012は、加熱液体注入モジュールであってもよい。いくつかの他の実施態様では、気化ポイント1012は、加熱気化器であってもよい。さらに他の実施態様では、気化ポイント1012は、プロセスステーションから排除されてもよい。いくつかの実施態様では、気化されて処理チャンバ1010に送給される液体の質量流量を制御するために、液体流コントローラ(LFC)を気化ポイント1012の上流に設けることができる。
【0141】
上述のように、シャワーヘッド1004は、プロセスガスおよび/または反応剤(例えば、膜前駆体)をプロセスステーションの基板1014に向けて分配し、その流れは、シャワーヘッドの上流の1つまたは複数の弁(例えば、弁1008、1008A、および1016)によって制御される。
図10に示す実施態様では、基板1014は、シャワーヘッド1004の下に位置し、台座1018上に載置された状態で示されている。シャワーヘッド1004は、任意の適切な形状を有することができ、プロセスガスを基板1014に分配するための任意の適切な数および配置のポートを有することができる。2つ以上のステーションを備えたいくつかの実施態様では、ガス送給システム1002は、シャワーヘッドの上流にある弁または他の流れ制御構造を含み、ガスがあるステーションに流れても別のステーションには流れることができないように、各ステーションへのプロセスガスおよび/または反応剤の流れを独立して制御することができる。さらに、ガス送給システム1002は、異なるステーションに提供されるガス組成が異なるように、例えば、ガス成分の分圧がステーション間で同時に変化し得るように、マルチステーション装置内の各ステーションに送給されるプロセスガスおよび/または反応剤を独立して制御するように構成され得る。
【0142】
図10では、シャワーヘッド1004および台座1018は、プラズマに電力を供給するためのRF電源1022および整合ネットワーク1024に電気的に接続される。いくつかの実施態様では、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングの1つまたは複数を制御することによって(例えば、適切な機械可読命令および/または制御論理を有するシステムコントローラを介して)、プラズマエネルギーを制御してもよい。例えば、RF電源1022および整合ネットワーク1024は、ラジカル種の所望の組成を有するプラズマを形成するために任意の適切な電力で動作されてもよい。同様に、RF電源1022は、任意の適切な周波数および電力のRF電力を提供し得る。装置1000はまた、直流を台座に提供するように構成されたDC電源1026を含み、これは、静電クランプ力をESC1018および基板1014に生成および提供するための静電チャック(「ESC」)1018であってもよい。台座1018はまた、基板1014を加熱および/または冷却するように構成された1つまたは複数の温度制御要素1028を有し得る。台座1018はまた、台座表面とシャワーヘッドとの間で測定されるように、様々な高さまたは距離まで上昇および下降するように構成される。
【0143】
いくつかの実施態様では、装置は、一連の入力/出力制御(IOC)命令を介して制御命令を提供し得るシステムコントローラ内の適切なハードウェアおよび/または適切な機械可読命令で制御される。一例では、プラズマ点火または維持のためのプラズマ条件を設定するための命令は、プロセスレシピのプラズマ活性化レシピの形態で提供される。場合によっては、プロセスレシピが順に配置されてもよく、それによりプロセスのすべての命令がそのプロセスと同時に実行される。いくつかの実施態様では、1つまたは複数のプラズマパラメータを設定するための命令は、プラズマプロセスに先行するレシピに含まれ得る。例えば、第1のレシピは、不活性ガス(例えば、ヘリウム)および/または反応剤ガスの流量を設定するための命令、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令、ならびに第1のレシピの時間遅延命令を含み得る。続く第2のレシピは、プラズマ発生器を有効にするための命令、および第2のレシピの時間遅延命令を含み得る。第3のレシピは、プラズマ発生器を無効にするための命令、および第3のレシピの時間遅延命令を含み得る。これらのレシピは、本開示の範囲内で、任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復されてもよいことが理解されるであろう。
【0144】
上述のように、2つ以上のプロセスステーションは、マルチステーション基板処理ツールに含まれ得る。
図11は、例示的なマルチステーション基板処理装置を図示する。
図11に示すようなマルチステーション処理装置を使用することで、機器コスト、運用費用、ならびにスループットの向上に関して様々な効率を達成することができる。例えば、単一の真空ポンプを使用して、4つのプロセスステーションすべての使用済みプロセスガスなどを排気することによって、4つのプロセスステーションすべてに単一の高真空環境を形成することができる。実施態様に応じて、各プロセスステーションはガス送給専用のシャワーヘッドを有することができるが、同じガス送給システムを共有してもよい。同様に、プラズマ発生機器の特定の要素は、プロセスステーション(例えば、電源)間で共有され得るが、実施態様に応じて、特定の側面がプロセスステーション固有になる場合がある(例えば、シャワーヘッドを使用してプラズマ生成電位を適用する場合)。繰り返しになるが、処理チャンバごとにより多くのまたはより少ない数のプロセスステーション(例えば、反応チャンバごとに2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16以上のプロセスステーション)を使用することによって、そのような効率は多かれ少なかれ達成され得ることも理解されるべきである。
【0145】
図11の基板処理装置1100は、複数の基板処理ステーションを含む単一の基板処理チャンバ1110を採用し、これらの各々は、そのプロセスステーションで、ウエハホルダ、例えば、台座に保持された基板上で処理動作を実施するために使用され得る。この特定の実施態様では、4つのプロセスステーション1131、1132、1133、および1134を有するマルチステーション基板処理装置1100が示されている。他の同様のマルチステーション処理装置は、実施態様および、例えば、並列ウエハ処理の所望のレベル、サイズ/スペースの制約、コストの制約などに応じて、より多くのまたはより少ない数の処理ステーションを有してもよい。
図11には、基板ハンドラロボット1136およびコントローラ1138も示されている。
【0146】
図11に示すように、マルチステーション処理ツール1100は、基板ローディングポート1140と、ポッド1142を通してロードされたカセットから、大気圧ポート1140を介して処理チャンバ1110に、そして4つのステーション1131、1132、1133、または1134の1つに基板を移動するように構成されたロボット1136とを有する。これらの処理ステーションは、
図1および
図2の処理ステーションと同じまたは同様であり得る。
【0147】
RF電力は、RF電力システム1122で生成され、ステーション1131、1132、1133、または1134の各々に分配される。同様に、DC電源1126がステーションの各々に分配される。RF電力システムは、1つまたは複数のRF電源、例えば、高周波(HFRF)および低周波(LFRF)電源、インピーダンス整合モジュール、およびフィルタを含み得る。特定の実施態様では、電源は、高周波または低周波電源のみに制限され得る。RF電力システムの分配システムは、リアクタに対して対称であり、高いインピーダンスを有し得る。この対称性とインピーダンスにより、各ステーションにほぼ等しい量の電力が送給される。
【0148】
図11はまた、処理チャンバ1114内のプロセスステーション1131、1132、1133、および1134間で基板を搬送するための基板搬送デバイス1190の一実施態様を図示する。任意の適切な基板搬送デバイスが用いられてもよいことが理解されるであろう。非限定的な例として、ウエハカルーセルおよびウエハハンドリングロボットが挙げられる。
【0149】
図11はまた、プロセスツール1100およびそのプロセスステーションのプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ1138の一実施態様を図示する。システムコントローラ1138は、1つまたは複数のメモリデバイス1144と、1つまたは複数の大容量記憶デバイス1146と、1つまたは複数のプロセッサ1148とを含むことができる。プロセッサ1148は、1つまたは複数のCPU、ASIC、汎用コンピュータ、および/または特定目的のコンピュータ、1つまたは複数のアナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、1つまたは複数のステッピングモータコントローラボードなどを含み得る。
【0150】
システムコントローラ1138は、プロセッサ1148上で機械可読システム制御命令1150を実行することができ、システム制御命令1150は、いくつかの実施態様では、大容量記憶デバイス1146からメモリデバイス1144にロードされる。システム制御命令1150は、タイミング、気体および液体反応剤の混合物、チャンバ圧力および/またはステーション圧力、チャンバ温度および/またはステーション温度、ウエハ温度、目標電力レベル、RF電力レベル、RF曝露時間、基板、基板台座、チャック、および/またはサセプタ位置をクランプするためのDC電力および持続時間、各ステーションでのプラズマ形成、気体および液体反応剤の流れ、台座の垂直高さ、ならびにプロセスツール1100によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含み得る。これらのプロセスは、限定はしないが、基板上への膜の堆積に関連するプロセスを含む、様々なタイプのプロセスを含み得る。システム制御命令1158が、任意の適切な方法で構成されてもよい。
【0151】
いくつかの実施態様では、システム制御ソフトウェア1158は、上述の様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)命令を含み得る。例えば、1つまたは複数の堆積プロセスの各ステップは、システムコントローラ1150によって実行するための1つまたは複数の命令を含み得る。一次膜堆積プロセスについてのプロセス条件を設定するための命令は、例えば、対応する堆積レシピに含まれてもよく、同様にキャッピング膜堆積のために含まれてもよい。いくつかの実施態様では、レシピは、プロセスに対するすべての命令がそのプロセスと同時に実行されるように、順に配置されてもよい。
【0152】
システムコントローラ1150に関連する大容量記憶デバイス1154および/またはメモリデバイス1156に記憶された他のコンピュータ可読命令および/またはプログラムが、いくつかの実施態様で用いられてもよい。プログラムの例またはプログラムのセクションの例は、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムを含む。
【0153】
いくつかの実施態様では、システムコントローラ1150に関連するユーザインターフェースが存在してもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0154】
いくつかの実施態様では、システムコントローラ1150によって調整されたパラメータは、プロセス条件に関係している。非限定的な例として、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RFバイアス電力レベル、周波数、曝露時間など)などが挙げられる。加えて、コントローラは、プロセスステーション内の条件を独立して制御するように構成することができ、例えば、コントローラは、すべてではないがいくつかのステーションでプラズマを点火するための命令を提供する。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供されてもよく、ユーザインターフェースを利用して入力することができる。
【0155】
プロセスを監視するための信号は、様々なプロセスツールセンサからシステムコントローラ1150のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール1100のアナログおよび/またはデジタル出力接続で出力することができる。監視することができるプロセスツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ(MFC)、圧力センサ(圧力計など)、熱電対、負荷センサ、OESセンサ、in-situでの揺れの物理的特性を測定するための計測機器などを含む。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムをこれらのセンサからのデータと共に使用して、プロセス条件を維持することができる。
【0156】
システムコントローラ1150は、堆積プロセスを実施するための機械可読命令を提供することができる。命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、RF電力パラメータ変動などのステーション間の変動、周波数調節パラメータ、圧力、温度などのような様々なプロセスパラメータを制御することができる。命令は、本明細書に記載の様々な実施態様に従って、膜スタックのin-situ堆積を動作させるためのパラメータを制御することができる。
【0157】
システムコントローラは、典型的には、機械可読命令を実行するように構成された1つまたは複数のメモリデバイスおよび1つまたは複数のプロセッサを含み、それにより装置は、本明細書に開示されるプロセスに従って動作を実施する。本明細書に開示される基板ドーピングプロセスに従って動作を制御するための命令を含む機械可読非一時的媒体は、システムコントローラに結合され得る。
【0158】
上述のように、共通の基板処理チャンバ内の複数のプロセスステーションで複数の基板を処理すると、複数の基板上で並行して膜の堆積を進行させると同時に、様々なステーション間で共通の処理装置を利用することを可能にすることによって、スループットを向上させることができる。一部のマルチステーション基板処理ツールを利用して、ウエハを同じサイクル数で同時に処理することができる(例えば、一部のALDプロセスの場合)。プロセスステーションと基板ローディングデバイスおよび搬送デバイスのこの構成を考えると、膜堆積(例えば、ALDプロセスの場合はNサイクルの膜堆積、またはCVDプロセスの場合は等しい曝露持続時間)を複数の基板にわたって並行して(例えば、同時に)発生させることができる様々なプロセスシーケンスが可能である。
【0159】
上述のように、機器コスト、運用費用、ならびにスループットの向上に関して、マルチステーションツールを使用することで様々な効率を達成することができる。しかし、共通のチャンバで複数の基板を同時に処理すると、例えば、平均膜厚の違い、ウエハの表面全体の均一性、ウェットエッチング速度(WER)およびドライエッチング速度(DER)などの物理的性質、化学的性質、ならびに光学的性質を含む、堆積された材料のステーション間の違いが生じる可能性がある。材料性質の許容可能なステーション間の偏差には様々な閾値が存在し得るが、商業規模の製造用に均一な基板を繰り返し製造するには、これらの差を低減することが望ましい。本明細書に記載の技術は、ウェットエッチング速度、ドライエッチング速度、組成、厚さ、密度、架橋量、化学的性質、反応完了、応力、屈折率、誘電率、硬度、エッチング選択性、安定性、および気密性などのこれらの性質の1つまたは複数を調整することができる。
【0160】
上記の開示は、堆積パラメータを制御するためにフローコンダクタンスを調整することに焦点を当てているが、同じ制御を使用して、エッチングプロセスにおけるエッチング特性を制御することができる。一部の半導体製作プロセスは、導体、半導体、および誘電体を含む、様々な材料のパターニングおよびエッチングを伴う。いくつかの例には、金属または炭素などの導体、シリコンまたはゲルマニウムなどの半導体、ならびに酸化ケイ素、二酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化ハフニウム、窒化ケイ素、および窒化チタンなどの誘電体が挙げられる。原子層エッチング(「ALE」)プロセスは、連続的な自己制限反応を使用して材料の薄層を除去する。一般に、ALEサイクルは、単分子層のエッチングなど、エッチングプロセスを1回実施するために使用される動作の最小セットである。1回のALEサイクルの結果、基板表面上の膜層の少なくとも一部がエッチングされる。典型的には、ALEサイクルは、反応層を形成するための修正動作と、それに続くこの反応層のみを除去またはエッチングするための除去動作を含む。サイクルは、反応剤または副生成物の1つを除去するなどの特定の補助的な動作を含み得る。一般に、サイクルは、動作の固有のシーケンスの1つのインスタンスを含む。
【0161】
一例として、従来のALEサイクルは、以下の動作を含み得る:(i)反応剤ガスの送給、(ii)チャンバからの反応剤ガスのパージ、(iii)除去ガスおよび任意選択のプラズマの送給、ならびに(iv)チャンバのパージ。いくつかの実施形態では、エッチングは、不適合に実施され得る。修正動作は、一般に、修正されていない材料よりも薄い厚さを有する、薄い反応性表面層を形成する。例示的な修正動作において、基板は、塩素をチャンバに導入することによって塩素化され得る。塩素は、例示的なエッチング剤種またはエッチングガスとして使用されるが、異なるエッチングガスがチャンバに導入され得ることが理解されよう。エッチングガスは、エッチングされる基板のタイプおよび化学的性質に応じて選択することができる。プラズマが点火されると、塩素はエッチングプロセスのために基板と反応することができ、塩素は基板と反応するか、基板の表面上に吸着し得る。塩素プラズマから生成される種は、基板を収容するプロセスチャンバ内でプラズマを形成することによって直接生成されるか、または基板を収容しないプロセスチャンバ内で遠隔生成され得、基板を収容するプロセスチャンバに供給することができる。
【0162】
したがって、上記の技術および装置のいずれかをエッチングに使用することができる。いくつかの実施形態では、各ステーションに材料の層を堆積する代わりに、技術は、各ステーション内の材料の一部を除去することができる。これにより、エッチングまたは堆積プロセスのいずれかで、ウエハ間の均一性を向上させることができる。例えば、
図3では、ブロック305は、エッチングプロセスの第1の部分について、第1および第2の基板から材料の第1および第2の部分を除去するために、第1および第2の流路の第1および第2のフロー要素がそれぞれ第1および第2の温度に維持されている間に、第1および第2の基板上で同時エッチングを実施することができるエッチング段階であり得る。
【0163】
以下の説明では、提示された概念の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。提示された概念は、これらの具体的な詳細の一部またはすべてがなくても実践することができる。他の例では、説明された概念を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細には説明されていない。いくつかの概念が特定の実施形態に関連して説明されるが、これらの実施形態は限定することを意図していないことが理解されよう。
【0164】
本出願では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に製作された集積回路」という用語は、互換的に使用される。当業者は、「部分的に製作された集積回路」という用語が、集積回路を製作するための多くの段階のいずれかにあるシリコンウエハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス業界で使用されるウエハまたは基板は、典型的には、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。以下の詳細な説明は、本発明がそのようなウエハと共に使用するために実施されることを想定している。しかし、本発明は、そのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料のものであり得る。半導体ウエハに加えて、本発明を利用することができる他のワークピースとしては、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロメカニカルデバイスなどの様々な製品が挙げられる。
【0165】
本開示の文脈が明確に要求しない限り、説明および特許請求の範囲全体を通して、「備える」、「備えている」などの単語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち「~を含むがこれに限定されない」という意味で解釈されるべきである。単数形または複数形を使用する単語は、一般に、それぞれ複数形または単数形も含む。加えて、「ここに」、「以下に」、「上に」、「下に」という単語、および同様の意味の単語は、本出願全体を指し、本出願の特定の層を指すものではない。「または」という単語が2つ以上の項目のリストを参照して使用されている場合、その単語は、単語の以下の解釈のすべて:リスト内の項目のいずれか、リスト内のすべての項目、およびリスト内の項目の任意の組み合わせをカバーする。「実施態様」という用語は、本明細書に記載の技術および方法の実施態様、ならびに構造を具現化する、ならびに/または本明細書に記載の技術および/もしくは方法を組み込む物理的物体を指す。本明細書における「実質的に」という用語は、特に明記しない限り、参照値の5%以内を意味する。例えば、実質的に垂直とは、平行の+/-5%以内を意味する。
【0166】
本明細書における序数標識、例えば(a)、(b)、(c)、…の使用は組織的な目的のためのものに過ぎず、各序数標識に関連する項目に特定の順序または重要性を伝えることを意図していないことも理解されたい。それにもかかわらず、序数標識に関連するいくつかの項目が本質的に特定の順序、例えば、「(a)Xに関する情報を取得し、(b)Xに関する情報に基づいてYを決定し、(c)Zに関する情報を取得する」を必要とする場合があり得、この例では、(b)が(a)で取得された情報に依存しているため、(a)を(b)の前に実施する必要があるが、(c)は、(a)および/または(b)のいずれかの前または後に実施することができる。
【0167】
「1つまたは複数の<項目>の各<項目>のための」または「各<項目>の」という語句などにおける「各」という単語の使用は、本明細書で使用される場合、単一項目群と複数項目群の両方を含むと理解されるべきであり、すなわち、「各…のための」という語句は、プログラミング言語で、参照される項目の母集団の各項目を参照するために使用されるという意味で使用されることを理解されたい。例えば、参照される項目の母集団が単一項目である場合、「各」はその単一項目のみを参照し(「each」の辞書定義はしばしば「2つ以上のもののうちの1つ1つ」を指す用語を定義するという事実にもかかわらず)、それらの項目の少なくとも2つがなければならないことを意味するものではない。同様に、選択された項目が1つまたは複数のサブ項目を有し得、それらのサブ項目のうちの1つが選択されるとき、選択された項目が唯一のサブ項目を有する場合、その1つのサブ項目の選択は、項目自体の選択に固有であることが理解されよう。
【0168】
全体として様々な機能を実施するように構成された複数のコントローラへの参照は、1つのコントローラのみが開示または説明されたすべての機能を実施するように構成されている状況、ならびに様々なコントローラ各々が説明された機能性のサブ部分を実施する状況を包含することを意図していることも理解されよう。
【0169】
本開示に記載されている実施態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり得、本明細書で定義される一般原則は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施態様に適用することができる。したがって、請求項は、本明細書に示される実施態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される本開示、原理、および新規の特徴と一貫する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0170】
別々の実施態様の文脈において本明細書で説明されるある特徴はまた、単一の実施態様における組み合わせにおいて実装することが可能である。逆に、単一の実施態様の文脈において説明される様々な特徴もまた、複数の実施態様において別々に、または任意の適切な副次的組み合わせにおいて実装することが可能である。さらに、特徴がある組み合わせにおいて作用するものとして上記に説明され、さらに、そのようなものとして最初に請求され得るが、請求される組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除することができ、請求される組み合わせは、副次的組み合わせまたは副次的組み合わせの変形例を対象とし得る。
【0171】
同様に、動作は、特定の順序で図面に描写され得るが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示される特定の順序で、もしくは連続的順序で実施される、またはすべての図示される動作が実施される必要はないと理解されるべきである。さらに、図面は、フロー図の形態で1つまたは複数の例示的なプロセスを概略的に描写し得る。しかし、描写されていない他の動作も、概略的に図示される例示的なプロセスに組み込むことができる。例えば、1つまたは複数の追加の動作を、図示される動作の前、後、同時に、またはそれらの間に実施することができる。ある状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。さらに、上記に説明される実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施態様におけるそのような分離を要求するものとして理解されるべきではなく、説明されるプログラム構成要素およびシステムは、概して、単一のソフトウェア製品において共に統合するか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化することができることを理解されたい。加えて、他の実施態様も、以下の請求項の範囲内である。場合によっては、請求項に列挙されるアクションは、異なる順序で実施され、依然として望ましい結果を達成することができる。
【国際調査報告】