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特表2022-536480プラズマチャンバ内の基板支持部に対する光ファイバを介した電力およびデータ伝送
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(54)【発明の名称】プラズマチャンバ内の基板支持部に対する光ファイバを介した電力およびデータ伝送
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220809BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573146
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2020036571
(87)【国際公開番号】W WO2020251876
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/859,344
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン・チャンギョウ
(72)【発明者】
【氏名】エグリー・フレッド
【テーマコード(参考)】
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004CA04
5F004CA06
5F131AA02
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA06
5F131CA53
5F131CA55
5F131CA70
5F131EA03
5F131EB17
(57)【要約】
【解決手段】基板支持アセンブリは、第1の光レシーバと、電力変換器と、第1の回路と、第1の光トランスミッタとを含む。これらはすべて基板支持アセンブリに埋め込まれている。第1の光レシーバは、光ファイバケーブルを介して第1の光信号および第1の光データを受信するように構成されている。電力変換器は、第1の光レシーバが受信した第1の光信号および第1の光データに基づいてDC電力を生成するように構成されている。第1の回路は、電力変換器からDC電力を受信し、かつ、基板支持アセンブリ内に配置されたセンサから第1の光データに応答して第2のデータを受信するように構成されている。第1の光トランスミッタは、光ファイバケーブルを介して第2のデータを第2の光データとして伝送するように構成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持アセンブリであって、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれ、光ファイバケーブルを介して第1の光信号および第1の光データを受信する第1の光レシーバと、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれ、前記第1の光レシーバが受信した前記第1の光信号および前記第1の光データに基づいてDC電力を生成する電力変換器と、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれた第1の回路であって、
前記電力変換器から前記DC電力を受信し、かつ、
前記基板支持アセンブリ内に配置されたセンサから前記第1の光データに応答して第2のデータを受信する、第1の回路と、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれ、前記光ファイバケーブルを介して前記第2のデータを第2の光データとして伝送する第1の光トランスミッタと、
を含む、基板支持アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の基板支持アセンブリであって、
前記第1の光レシーバおよび前記第1の光トランスミッタは、第1の光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合され、
前記第1の光レシーバは、前記第1の光スプリッタを介して、前記第1の光トランスミッタが伝送した前記第2の光データの一部を受信するように構成され、
前記電力変換器は、前記第1の光レシーバが受信した前記第2の光データの前記一部にもさらに基づいて、前記DC電力を生成するように構成されている、
基板支持アセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の基板支持アセンブリであって、
前記第1の光レシーバを流れる電流を検知する第1の電流センサをさらに含み、
前記第1の回路は、前記検知した電流に基づいて、前記第1の光レシーバ、前記第1の光トランスミッタ、前記第1の光スプリッタ、および前記第1の電流センサのうち1つ以上が故障しているかどうかを判定するように構成されている、
基板支持アセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載の基板支持アセンブリであって、
前記第1の光レシーバを流れる電流を検知する第1の電流センサをさらに含み、
前記第1の回路は、前記検知した電流に基づいて、前記第1の光トランスミッタが前記第2の光データを正しく伝送したかどうかを判定するように構成されている、
基板支持アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の基板支持アセンブリを含むシステムであって、
前記光ファイバケーブルの遠端に結合され、前記光ファイバケーブルを介して前記第1の光信号および前記第1の光データを伝送する第2の光トランスミッタと、
前記光ファイバケーブルの前記遠端に結合され、前記光ファイバケーブルを介して前記第2の光データを受信する第2の光レシーバと、
コントローラであって、
前記第2の光トランスミッタが前記第1の光信号を伝送する際に、第1の電力レベルで前記第2の光トランスミッタに電力を供給し、かつ、
前記第2の光トランスミッタが前記第1の光データを伝送する際に、前記第2の光トランスミッタに供給される前記電力を前記第1の電力レベルと第2の電力レベルとの間で切り替える、コントローラと、
をさらに含む、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、
前記基板支持アセンブリは、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれた第2の回路であって、前記第1の光トランスミッタが前記第2の光データを伝送する際に、前記第1の光トランスミッタに供給される電力をゼロと第3の電力レベルとの間で切り替える、第2の回路をさらに含み、
前記第3の電力レベルは前記第2の電力レベルよりも大きく、
前記第2の電力レベルは前記第1の電力レベルよりも大きい、
システム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムであって、
前記第2の光レシーバおよび前記第2の光トランスミッタは、第2の光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合され、
前記第2の光レシーバは、前記第2の光スプリッタを介して、前記第2の光トランスミッタが伝送した前記第1の光信号および前記第1の光データの一部を受信するように構成され、
前記システムは、前記第2の光レシーバを流れる電流を検知する第2の電流センサをさらに含み、
前記コントローラは、前記検知した電流に基づいて、前記第2の光レシーバ、前記第2の光トランスミッタ、前記第2の光スプリッタ、および前記第2の電流センサのうち1つ以上が故障しているかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項8】
請求項5に記載のシステムであって、
前記第2の光レシーバおよび前記第2の光トランスミッタは、第2の光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合され、
前記第2の光レシーバは、前記第2の光スプリッタを介して、前記第2の光トランスミッタが伝送した前記第1の光信号および前記第1の光データの一部を受信するように構成され、
前記システムは、前記第2の光レシーバを流れる電流を検知する第2の電流センサをさらに含み、
前記コントローラは、前記検知した電流に基づいて、前記第2の光トランスミッタが前記第1の光データを正しく伝送したかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項9】
請求項5に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記第1の回路が前記センサから前記第2のデータを受信する頻度を制御するための第1のデータを生成するように構成され、
前記第2の光トランスミッタは、前記第1のデータを前記第1の光データとして伝送するように構成されている、
システム。
【請求項10】
請求項5に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記第2のデータに基づいて、前記基板支持アセンブリ内に配置された1つ以上のヒータを制御するための第3のデータを生成するように構成され、
前記第2の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成され、
前記第1の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成され、
前記第1の回路は、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータに基づいて前記1つ以上のヒータを制御するように構成されている、
システム。
【請求項11】
請求項5に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記基板支持アセンブリ内のコンポーネントを識別するための第3のデータを生成するように構成され、
前記第2の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成され、
前記第1の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成され、
前記第1の回路は、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータを前記コンポーネントと関連付けるように構成されている、
システム。
【請求項12】
請求項5に記載のシステムであって、
前記第1の回路は、前記基板支持アセンブリ内のコンポーネントから、前記コンポーネントを識別する第3のデータを受信するように構成され、
前記第1の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成され、
前記第2の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成され、
前記コントローラは、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータに基づいて、前記コンポーネントを制御するための第4のデータを生成し、
前記第2の光トランスミッタは、前記第4のデータを第4の光データとして伝送するように構成され、
前記第1の光レシーバは、前記第4の光データを受信するように構成され、
前記第1の回路は、前記第4の光データから前記第4のデータを取得し、前記第4のデータに基づいて前記コンポーネントを制御するように構成されている、
システム。
【請求項13】
システムであって、
光ファイバケーブルの第1の端部に結合された第1の光トランスミッタと、
前記光ファイバケーブルの前記第1の端部に結合された第1の光レシーバと、
前記光ファイバケーブルを介して第1の光信号および第1の光データを伝送するための電力を、前記第1の光トランスミッタに供給するコントローラと、
基板支持アセンブリであって、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれるとともに前記光ファイバケーブルの第2の端部に結合され、前記第1の光信号および第1の光データを受信する第2の光レシーバと、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれ、前記第2の光レシーバが受信した前記第1の光信号および前記第1の光データに基づいてDC電力を生成する電力変換器と、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれ、前記DC電力を受信し、かつ、前記基板支持アセンブリ内に配置されたセンサから前記第1の光データに応答して第2のデータを受信する第1の回路と、
前記基板支持アセンブリに埋め込まれるとともに前記光ファイバケーブルの前記第2の端部に結合され、前記第1の回路から受信した電力に基づいて、前記光ファイバケーブルを介して前記第2のデータを第2の光データとして伝送する第2の光トランスミッタと、を含む基板支持アセンブリと、
を含む、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記コントローラは、
前記光ファイバケーブルを介して前記第1の光信号を伝送するために、第1の電力レベルで前記電力を前記第1の光トランスミッタに供給し、かつ
前記光ファイバケーブルを介して前記第1の光データを伝送するために、前記第1の光トランスミッタに供給される前記電力を前記第1の電力レベルと第2の電力レベルとの間で切り替えるように構成され、前記第2の電力レベルは前記第1の電力レベルよりも大きく、
前記第1の回路は、前記第2の光トランスミッタが前記第2の光データを伝送する際に、前記第2の光トランスミッタに供給される前記電力をゼロと第3の電力レベルとの間で切り替えるように構成され、前記第3の電力レベルは前記第2の電力レベルよりも大きい、
システム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、
前記第2の光レシーバおよび前記第2の光トランスミッタは、光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合され、
前記第2の光レシーバは、前記光スプリッタを介して、前記第2の光トランスミッタが伝送した前記第2の光データの一部を受信するように構成され、
前記電力変換器は、前記第1の光レシーバが受信した前記第2の光データの前記一部にもさらに基づいて、前記DC電力を生成するように構成されている、
システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、
前記第2の光レシーバを流れる電流を検知する電流センサをさらに含み、
前記第1の回路は、前記検知した電流に基づいて、前記第2の光レシーバ、前記第2の光トランスミッタ、前記光スプリッタ、および前記電流センサのうち1つ以上が故障しているかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、
前記第2の光レシーバを流れる電流を検知する電流センサをさらに含み、
前記第1の回路は、前記検知した電流に基づいて、前記第2の光トランスミッタが前記第2の光データを正しく伝送したかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項18】
請求項13に記載のシステムであって、
前記第1の光レシーバおよび前記第1の光トランスミッタは、光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合され、
前記第1の光レシーバは、前記光スプリッタを介して、前記第1の光トランスミッタが伝送した前記第1の光信号および前記第1の光データの一部を受信するように構成され、
前記システムは、前記第1の光レシーバを流れる電流を検知する電流センサをさらに含み、
前記コントローラは、前記検知した電流に基づいて、前記第1の光レシーバ、前記第1の光トランスミッタ、前記光スプリッタ、および前記電流センサのうち1つ以上が故障しているかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項19】
請求項13に記載のシステムであって、
前記第1の光レシーバおよび前記第1の光トランスミッタは、光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合され、
前記第1の光レシーバは、前記光スプリッタを介して、前記第1の光トランスミッタが伝送した前記第1の光信号および前記第1の光データの一部を受信するように構成され、
前記システムは、前記第1の光レシーバを流れる電流を検知する電流センサをさらに含み、
前記コントローラは、前記検知した電流に基づいて、前記第1の光トランスミッタが前記第1の光データを正しく伝送したかどうかを判定するように構成されている、
システム。
【請求項20】
請求項13に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記第1の回路が前記センサから前記第2のデータを受信する頻度を制御するための第1のデータを生成するように構成され、
前記第1の光トランスミッタは、前記第1のデータを前記第1の光データとして伝送するように構成されている、
システム。
【請求項21】
請求項13に記載のシステムであって、
前記第1の光レシーバは、前記第2の光データを受信するように構成され、
前記コントローラは、前記第2のデータに基づいて、前記基板支持アセンブリ内に配置された1つ以上のヒータを制御するための第3のデータを生成するように構成され、
前記第1の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成され、
前記第2の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成され、
前記第1の回路は、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータに基づいて前記1つ以上のヒータを制御するように構成されている、
システム。
【請求項22】
請求項13に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記基板支持アセンブリ内のコンポーネントを識別するための第3のデータを生成するように構成され、
前記第1の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成され、
前記第2の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成され、
前記第1の回路は、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータを前記コンポーネントと関連付けるように構成されている、
システム。
【請求項23】
請求項13に記載のシステムであって、
前記第1の回路は、前記基板支持アセンブリ内のコンポーネントから、前記コンポーネントを識別する第3のデータを受信するように構成され、
前記第2の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成され、
前記第1の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成され、
前記コントローラは、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータに基づいて、前記コンポーネントを制御するための第4のデータを生成するように構成され、
前記第1の光トランスミッタは、前記第4のデータを第4の光データとして伝送するように構成され、
前記第2の光レシーバは、前記第4の光データを受信するように構成され、
前記第1の回路は、前記第4の光データから前記第4のデータを取得し、前記第4のデータに基づいて前記コンポーネントを制御するように構成されている、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年6月10日出願の米国仮特許出願第62/859,344号の優先権の利益を主張する。上記の出願は、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システム全般に関し、より詳細には、プラズマチャンバ内の基板支持部に対する光ファイバを介した電力およびデータ伝送に関する。
【背景技術】
【0003】
ここに提供される背景技術は、本開示の背景を概略的に提示することを目的としている。この背景技術に記載されている範囲内での本発明者らの研究、およびその他の点で出願時に先行技術と認められない可能性がある記載の態様は、明示的にも暗示的にも、本開示に対する先行技術とは認められない。
【0004】
基板処理システムは通常、半導体ウエハなどの基板に対して堆積、エッチング、およびその他の処理を行うための複数の処理チャンバ(プロセスモジュールともいう)を備えている。基板上で実行可能なプロセスの例としては、プラズマ励起化学気相蒸着(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)プロセス、化学励起プラズマ気相蒸着(CEPVD:Chemically Enhanced Plasma Vapor Deposition)プロセス、およびスパッタリング物理気相蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)プロセスが挙げられる(ただし、これらに限定されない)。基板上で実行可能なプロセスの他の例としては、エッチング(例えば、化学エッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチングなど)、および洗浄プロセスが挙げられる(ただし、これらに限定されない)。
【0005】
基板を処理する際に、基板は、基板処理システムの処理チャンバ内に設けられた台座や静電チャック(ESC)などの基板支持部上に載置される。堆積時には、1種類以上の前駆体を含む混合ガスを処理チャンバ内に導入し、プラズマを発生させて化学反応を活性化する。エッチング時には、エッチングガスを含む混合ガスを処理チャンバ内に導入し、プラズマを発生させて化学反応を活性化する。通常、コンピュータ制御されたロボットによって、基板が処理される順に、1つの処理チャンバから別の処理チャンバへと基板を移動させる。
【発明の概要】
【0006】
基板支持アセンブリは、第1の光レシーバと、電力変換器と、第1の回路と、第1の光トランスミッタとを含む。これらはすべて基板支持アセンブリに埋め込まれている。前記第1の光レシーバは、光ファイバケーブルを介して第1の光信号および第1の光データを受信するように構成されている。前記電力変換器は、前記第1の光レシーバが受信した前記第1の光信号および前記第1の光データに基づいてDC電力を生成するように構成されている。前記第1の回路は、前記電力変換器から前記DC電力を受信し、かつ、前記基板支持アセンブリ内に配置されたセンサから前記第1の光データに応答して第2のデータを受信するように構成されている。前記第1の光トランスミッタは、前記光ファイバケーブルを介して前記第2のデータを第2の光データとして伝送するように構成されている。
【0007】
他の特徴において、前記第1の光レシーバおよび前記第1の光トランスミッタは、第1の光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合されている。前記第1の光レシーバは、前記第1の光スプリッタを介して、前記第1の光トランスミッタが伝送した前記第2の光データの一部を受信するように構成されている。前記電力変換器は、前記第1の光レシーバが受信した前記第2の光データの前記一部にもさらに基づいて、前記DC電力を生成するように構成されている。
【0008】
他の特徴において、前記基板支持アセンブリは、前記第1の光レシーバを流れる電流を検知する第1の電流センサをさらに含む。前記第1の回路は、前記検知した電流に基づいて、前記第1の光レシーバ、前記第1の光トランスミッタ、前記第1の光スプリッタ、および前記第1の電流センサのうち1つ以上が故障しているかどうかを判定するように構成されている。
【0009】
他の特徴において、前記基板支持アセンブリは、前記第1の光レシーバを流れる電流を検知する第1の電流センサをさらに含む。前記第1の回路は、前記検知した電流に基づいて、前記第1の光トランスミッタが前記第2の光データを正しく伝送したかどうかを判定するように構成されている。
【0010】
他の特徴において、前記基板支持アセンブリを含むシステムは、第2の光トランスミッタと、第2の光レシーバと、コントローラとをさらに含む。前記第2の光トランスミッタは、前記光ファイバケーブルの遠端に結合され、前記光ファイバケーブルを介して前記第1の光信号および前記第1の光データを伝送する。前記第2の光レシーバは、前記光ファイバケーブルの前記遠端に結合され、前記光ファイバケーブルを介して前記第2の光データを受信する。前記コントローラは、前記第2の光トランスミッタが前記第1の光信号を伝送する際に、第1の電力レベルで前記第2の光トランスミッタに電力を供給するように構成されている。前記コントローラは、前記第2の光トランスミッタが前記第1の光データを伝送する際に、前記第2の光トランスミッタに供給される前記電力を前記第1の電力レベルと第2の電力レベルとの間で切り替えるように構成されている。
【0011】
他の特徴において、前記基板支持アセンブリは、前記基板支持アセンブリに埋め込まれた第2の回路であって、前記第1の光トランスミッタが前記第2の光データを伝送する際に、前記第1の光トランスミッタに供給される電力をゼロと第3の電力レベルとの間で切り替える、第2の回路をさらに含む。前記第3の電力レベルは前記第2の電力レベルよりも大きい。前記第2の電力レベルは前記第1の電力レベルよりも大きい。
【0012】
他の特徴において、前記第2の光レシーバおよび前記第2の光トランスミッタは、第2の光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合されている。前記第2の光レシーバは、前記第2の光スプリッタを介して、前記第2の光トランスミッタが伝送した前記第1の光信号および前記第1の光データの一部を受信するように構成されている。前記システムは、前記第2の光レシーバを流れる電流を検知する第2の電流センサをさらに含む。前記コントローラは、前記検知した電流に基づいて、前記第2の光レシーバ、前記第2の光トランスミッタ、前記第2の光スプリッタ、および前記第2の電流センサのうち1つ以上が故障しているかどうかを判定するように構成されている。
【0013】
他の特徴において、前記第2の光レシーバおよび前記第2の光トランスミッタは、第2の光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合されている。前記第2の光レシーバは、前記第2の光スプリッタを介して、前記第2の光トランスミッタが伝送した前記第1の光信号および前記第1の光データの一部を受信するように構成されている。前記システムは、前記第2の光レシーバを流れる電流を検知する第2の電流センサをさらに含む。前記コントローラは、前記検知した電流に基づいて、前記第2の光トランスミッタが前記第1の光データを正しく伝送したかどうかを判定するように構成されている。
【0014】
他の特徴において、前記コントローラは、前記第1の回路が前記センサから前記第2のデータを受信する頻度を制御するための第1のデータを生成するように構成されている。前記第2の光トランスミッタは、前記第1のデータを前記第1の光データとして伝送するように構成されている。
【0015】
他の特徴において、前記コントローラは、前記第2のデータに基づいて、前記基板支持アセンブリ内に配置された1つ以上のヒータを制御するための第3のデータを生成するように構成されている。前記第2の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成されている。前記第1の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成されている。前記第1の回路は、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータに基づいて前記1つ以上のヒータを制御するように構成されている。
【0016】
他の特徴において、前記コントローラは、前記基板支持アセンブリ内のコンポーネントを識別するための第3のデータを生成するように構成されている。前記第2の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成されている。前記第1の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成されている。前記第1の回路は、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータを前記コンポーネントと関連付けるように構成されている。
【0017】
他の特徴において、前記第1の回路は、前記基板支持アセンブリ内のコンポーネントから、前記コンポーネントを識別する第3のデータを受信するように構成されている。前記第1の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成されている。前記第2の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成されている。前記コントローラは、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータに基づいて、前記コンポーネントを制御するための第4のデータを生成するように構成されている。前記第2の光トランスミッタは、前記第4のデータを第4の光データとして伝送するように構成されている。前記第1の光レシーバは、前記第4の光データを受信するように構成されている。前記第1の回路は、前記第4の光データから前記第4のデータを取得し、前記第4のデータに基づいて前記コンポーネントを制御するように構成されている。
【0018】
さらに他の特徴において、システムは、光ファイバケーブルの第1の端部に結合された第1の光トランスミッタと、前記光ファイバケーブルの前記第1の端部に結合された第1の光レシーバと、前記光ファイバケーブルを介して第1の光信号および第1の光データを伝送するための電力を、前記第1の光トランスミッタに供給するコントローラとを含む。前記システムはさらに、第2の光レシーバと、電力変換器と、第1の回路と、第2の光トランスミッタとを含む基板支持アセンブリを含む。これらはすべて前記基板支持アセンブリに埋め込まれている。前記第2の光レシーバは、前記光ファイバケーブルの第2の端部に結合され、前記第1の光信号および第1の光データを受信する。前記電力変換器は、前記第2の光レシーバが受信した前記第1の光信号および前記第1の光データに基づいてDC電力を生成するように構成されている。前記第1の回路は、前記DC電力を受信し、かつ、前記基板支持アセンブリ内に配置されたセンサから前記第1の光データに応答して第2のデータを受信するように構成されている。前記第2の光トランスミッタは、前記光ファイバケーブルの前記第2の端部に結合され、前記第1の回路から受信した電力に基づいて、前記光ファイバケーブルを介して前記第2のデータを第2の光データとして伝送する。
【0019】
他の特徴において、前記コントローラは、前記光ファイバケーブルを介して前記第1の光信号を伝送するために、第1の電力レベルで前記電力を前記第1の光トランスミッタに供給するように構成されている。前記コントローラは、前記光ファイバケーブルを介して前記第1の光データを伝送するために、前記第1の光トランスミッタに供給される前記電力を前記第1の電力レベルと第2の電力レベルとの間で切り替えるように構成されている。前記第2の電力レベルは前記第1の電力レベルよりも大きい。前記第1の回路は、前記第2の光トランスミッタが前記第2の光データを伝送する際に、前記第2の光トランスミッタに供給される前記電力をゼロと第3の電力レベルとの間で切り替えるように構成されている。前記第3の電力レベルは前記第2の電力レベルよりも大きい。
【0020】
他の特徴において、前記第2の光レシーバおよび前記第2の光トランスミッタは、光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合されている。前記第2の光レシーバは、前記光スプリッタを介して、前記第2の光トランスミッタが伝送した前記第2の光データの一部を受信するように構成されている。前記電力変換器は、前記第1の光レシーバが受信した前記第2の光データの前記一部にもさらに基づいて、前記DC電力を生成するように構成されている。
【0021】
他の特徴において、前記システムは、前記第2の光レシーバを流れる電流を検知する電流センサをさらに含む。前記第1の回路は、前記検知した電流に基づいて、前記第2の光レシーバ、前記第2の光トランスミッタ、前記光スプリッタ、および前記電流センサのうち1つ以上が故障しているかどうかを判定するように構成されている。
【0022】
他の特徴において、前記システムは、前記第2の光レシーバを流れる電流を検知する電流センサをさらに含む。前記第1の回路は、前記検知した電流に基づいて、前記第2の光トランスミッタが前記第2の光データを正しく伝送したかどうかを判定するように構成されている。
【0023】
他の特徴において、前記第1の光レシーバおよび前記第1の光トランスミッタは、光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合されている。前記第1の光レシーバは、前記光スプリッタを介して、前記第1の光トランスミッタが伝送した前記第1の光信号および前記第1の光データの一部を受信するように構成されている。前記システムは、前記第1の光レシーバを流れる電流を検知する電流センサをさらに含む。前記コントローラは、前記検知した電流に基づいて、前記第1の光レシーバ、前記第1の光トランスミッタ、前記光スプリッタ、および前記電流センサのうち1つ以上が故障しているかどうかを判定するように構成されている。
【0024】
他の特徴において、前記第1の光レシーバおよび前記第1の光トランスミッタは、光スプリッタを介して前記光ファイバケーブルに結合されている。前記第1の光レシーバは、前記光スプリッタを介して、前記第1の光トランスミッタが伝送した前記第1の光信号および前記第1の光データの一部を受信するように構成されている。前記システムは、前記第1の光レシーバを流れる電流を検知する電流センサをさらに含む。前記コントローラは、前記検知した電流に基づいて、前記第1の光トランスミッタが前記第1の光データを正しく伝送したかどうかを判定するように構成されている。
【0025】
他の特徴において、前記コントローラは、前記第1の回路が前記センサから前記第2のデータを受信する頻度を制御するための第1のデータを生成するように構成されている。前記第1の光トランスミッタは、前記第1のデータを前記第1の光データとして伝送するように構成されている。
【0026】
他の特徴において、前記第1の光レシーバは、前記第2の光データを受信するように構成されている。前記コントローラは、前記第2のデータに基づいて、前記基板支持アセンブリ内に配置された1つ以上のヒータを制御するための第3のデータを生成するように構成されている。前記第1の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成されている。前記第2の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成されている。前記第1の回路は、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータに基づいて前記1つ以上のヒータを制御するように構成されている。
【0027】
他の特徴において、前記コントローラは、前記基板支持アセンブリ内のコンポーネントを識別するための第3のデータを生成するように構成されている。前記第1の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成されている。前記第2の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成されている。前記第1の回路は、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータを前記コンポーネントと関連付けるように構成されている。
【0028】
他の特徴において、前記第1の回路は、前記基板支持アセンブリ内のコンポーネントから、前記コンポーネントを識別する第3のデータを受信するように構成されている。前記第2の光トランスミッタは、前記第3のデータを第3の光データとして伝送するように構成されている。前記第1の光レシーバは、前記第3の光データを受信するように構成されている。前記コントローラは、前記第3の光データから前記第3のデータを取得し、前記第3のデータに基づいて、前記コンポーネントを制御するための第4のデータを生成するように構成されている。前記第1の光トランスミッタは、前記第4のデータを第4の光データとして伝送するように構成されている。前記第2の光レシーバは、前記第4の光データを受信するように構成されている。前記第1の回路は、前記第4の光データから前記第4のデータを取得し、前記第4のデータに基づいて前記コンポーネントを制御するように構成されている。
【0029】
本開示のさらなる適用分野は、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかとなる。なお、詳細な説明および具体例は、例示を目的とするに過ぎず、本開示の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示は、以下の詳細な説明および添付の図面から、より十分に理解されるようになる。
【0031】
図1図1は、誘導結合プラズマを用いて半導体ウエハなどの基板をエッチングする処理チャンバを含む、基板処理システムの機能ブロック図である。
【0032】
図2図2は、図1の基板処理システムにおける処理チャンバおよび他のコンポーネントの模式図である。
【0033】
図3図3は、光電力伝送システムを含む基板処理システムにおける処理チャンバおよび他のコンポーネントの模式図である。
【0034】
図4図4は、光-電気エネルギー変換システムを示す図である。
【0035】
図5図5は、図1の基板処理システムに実装可能な、単一の光ファイバケーブルを介して電力伝送および双方向データ通信を行うためのシステムを示す図である。
【0036】
図6図6は、図5のシステムの第1の動作モード(モード1)を示す図である。
図7図7は、図5のシステムの第1の動作モード(モード1)を示す図である。
【0037】
図8図8は、図5のシステムの第2の動作モード(モード2)を示す図である。
図9図9は、図5のシステムの第2の動作モード(モード2)を示す図である。
【0038】
図10図10は、図5のシステムの第3の動作モード(モード3)を示す図である。
図11図11は、図5のシステムの第3の動作モード(モード3)を示す図である。
【0039】
図12図12は、図5のシステムの第4の動作モード(モード4)を示す図である。
図13図13は、図5のシステムの第4の動作モード(モード4)を示す図である。
【0040】
図14図14は、図5のシステムが実行する方法のフローチャートである。
【0041】
図15図15は、図5のシステムがモード1で動作中に実行する方法のフローチャートである。
【0042】
図16図16は、図5のシステムがモード2で動作中に実行する方法のフローチャートである。
【0043】
図17図17は、図5のシステムがモード3で動作中に実行する方法のフローチャートである。
【0044】
図18図18は、図5のシステムがモード4で動作中に実行する方法のフローチャートである。
【0045】
図面において、類似および/または同一の要素を特定するために同じ参照符号を繰り返し用いる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示は、プラズマチャンバ内に設けられた静電チャック(ESC)の電子回路を制御するためのDC電力の供給と、ESC内のセンサおよび他のコンポーネントとの双方向データ通信とを、単一の光ファイバを介して行うシステムおよび方法を提供する。光ファイバの使用により、処理チャンバ外に設置された電源やユーザインタフェース(UI)とESCとの間で使用される、大型かつ高価で保守も難しいRFフィルタや銅ケーブルが不要になる。本開示のシステムおよび方法によって解決される課題および提供される解決手段について、以下で詳細に説明する。
【0047】
本開示の構成は次の通りである。本開示のシステムおよび方法を説明する前に、本システムおよび方法を実装可能な基板処理システムおよび処理チャンバの例を図1に示し、同図を参照して説明する。本開示のシステムおよび方法によって解決される課題を、図2に示す、基板処理システムにおける処理チャンバおよび他のコンポーネントの模式図を用いて説明する。本開示のシステムおよび方法によって提供される解決手段を、図3および図4に示す、基板処理システムにおける処理チャンバおよび他のコンポーネントの模式図を用いて説明する。図1の基板処理システムに実装可能な、単一の光ファイバケーブルを介して電力伝送および双方向データ通信を行うためのシステムを図5に示し、同図を参照して説明する。図5に示すシステムの4つの異なる動作モードを図6~13に示し、同図を参照して説明する。図1の基板処理システムに実装可能な、単一の光ファイバケーブルを介して電力伝送および双方向データ通信を行うための方法を図14に示し、同図を参照して説明する。図5に示すシステムを4つの異なるモードで動作させるいくつかの方法を図15~18に示し、同図を参照して説明する。
【0048】
図1は、本開示に係る基板処理システム10の一例を示す図である。基板処理システム10は、コイル駆動回路11を含む。いくつかの例では、コイル駆動回路11は、RF源12、パルス化回路14、および同調回路(すなわち、整合回路)13を含む。パルス化回路14は、RF源12によって生成されるRF信号のトランス結合プラズマ(TCP:Transformer Coupled Plasma)エンベロープを制御し、動作中にTCPエンベロープのデューティサイクルを1%~99%の間で変動させる。理解できるとおり、パルス化回路14およびRF源12は、一体化されてもよいし、別個に設けられてもよい。
【0049】
同調回路13は、誘導コイル16に直接接続されてもよい。基板処理システム10では単一のコイルを用いるが、いくつかの基板処理システムにおいては複数のコイル(例えば、内側コイルおよび外側コイル)を用いてもよい。同調回路13は、RF源12の出力を所望の周波数および/または所望の位相に同調させ、コイル16のインピーダンスを整合する。
【0050】
処理チャンバ28の上面に沿って、誘電体窓24が配置されている。処理チャンバ28はさらに、基板34を支持する基板支持部(または台座)32を備える。基板支持部32は、静電チャック(ESC)、機械式チャック、またはその他の種類のチャックを含んでもよい。処理チャンバ28にはプロセスガスが供給され、処理チャンバ28の内部でプラズマ40が発生する。プラズマ40は、基板34の露出面をエッチングする。RF源50、パルス化回路51、およびバイアス整合回路52を含むRF電源53を用いて、動作中の基板支持部32をバイアスしてイオンエネルギーを制御してもよい。
【0051】
プロセスガス混合物を処理チャンバ28に供給するために、ガス供給システム56を用いてもよい。ガス供給システム56は、プロセスガス/不活性ガス源57、バルブやマスフローコントローラなどのガス計量システム58、およびマニホールド59を含んでもよい。ガス注入器63を、誘電体窓24の中心に配置してもよい。ガス注入器63は、ガス供給システム56から処理チャンバ28にガス混合物を注入するために用いられる。これに加えて、またはこれに代えて、ガス混合物を処理チャンバ28の側面から注入してもよい。
【0052】
基板支持部32を所定の温度に加熱/冷却するために、ヒータ/クーラ64を用いてもよい。排気システム65は、バルブ66およびポンプ67を備え、処理チャンバ内の圧力を制御し、かつ/または、パージもしくは排気によって処理チャンバ28から反応物を除去する。
【0053】
エッチングプロセスを制御するために、コントローラ54を用いてもよい。コントローラ54は、システムパラメータを監視し、ガス混合物の供給、プラズマの点火、維持および消火、反応物質の除去、冷却ガスの供給などを制御する。さらに、後述するように、コントローラ54は、コイル駆動回路10、RF源50、バイアス整合回路52などの様々な態様を制御してもよい。
【0054】
ユーザインタフェース(UI)68は、コントローラ54および基板支持部32と連携してもよい。UI68を用いて、処理チャンバ28内で実行されるプロセスを監視および制御できる。例えば、UI68は、基板支持部32に設けられたセンサからデータを受信したり、コントローラ54を介してプロセスパラメータを設定したりできる。
【0055】
図2は、基板処理システム(例えば、図1のシステム10)における処理チャンバ200(例えば、図1の処理チャンバ28)および他のコンポーネント(例えば、電源やUI)の模式図である。例えば、処理チャンバ200は、基板204を支持するESC202を備える。ESC202は、1つ以上のクランプ電極206、1つ以上のヒータ208、および1つ以上の温度センサ210を備える。処理チャンバ200はさらに、電力管理、ヒータ制御、および温度検知のための制御回路212を備える。ヒータ電源214は、RFフィルタ218を介してヒータ208に電力を供給する。電源216は、RFフィルタ218を介して制御回路212に電力を供給する。電源214、216は、それぞれ別個であって多くの場合複数のRFフィルタを用いる。ユーザインタフェース(例えば、図1のUI68)は、制御回路212と連携する。RF電源53は、プラズマ40を発生させるためのRF電力を供給する。
【0056】
RFプラズマ40は、基板204の処理に用いられる。処理を可能にするために、いわゆるRFホット環境または領域が形成される。RFホット領域においては、処理中に(振幅および周波数ともに)非常に高いRF電圧が存在する。RFホット領域には、アノード、ESC202、ESC制御回路212などのアセンブリが含まれる。RFホット領域の外側には、いわゆるRFコールド環境または領域が存在する。RFコールド領域においては、処理中のRF電圧がRFホット領域に比べて相対的に低い。RFコールド領域には、システム電源や制御部(例えば、電源214、216、およびUI68)などのアセンブリが含まれる。電源214、216が供給する電力は、銅ケーブルを介してESC202および制御回路212に伝送される。UI68は、光ファイバケーブルを介して制御回路212と通信する。光ファイバケーブルは、光がRF干渉を受けないという性質から、RFホット領域およびRFコールド領域間での直接のデータ通信に一般的に用いられる。
【0057】
RFホット領域とRFコールド領域との間の電圧は通常、振幅が数KV~数十KV、周波数が数MHz~数十MHzの範囲である。RFホット領域とRFコールド領域とにまたがる銅ケーブルは、電源214、216によるRFピックアップをブロックするために、RFフィルタ218によってフィルタリングする必要がある。
【0058】
RFフィルタ218には多くの問題が伴う。例えば、RFフィルタ218は、高価で大型(空間を占有する)、かつ高重量(保守が困難)である。RFフィルタは通常、特定のRF周波数に調整される。異なるRF周波数を用いる用途においては、異なるRFフィルタが必要となる。また、複数のRF周波数を用いる用途においては、RFフィルタの調整がより複雑になる。さらに、RFコールド領域とRFホット領域とにまたがる銅ケーブルは、電圧スタンドオフのために慎重に管理する必要があるだけでなく、RF均一性を考慮して特定の配線チャネルに制限される必要がある。
【0059】
したがって、ESC202およびESC制御回路212に電力およびデータを供給する手段として、銅ケーブルよりもRFの影響を受けにくいものを提供することが望ましい。さらに、RFフィルタの数を減らすことにより、基板処理システムをより低廉、小型、軽量にすると共に、システムの保守をより容易にすることが望ましい。
【0060】
図3および図4は、銅ケーブルよりもRFの影響を受けにくい、ESCおよびESC制御回路に電力およびデータを供給する新たな手法を示す図である。図3は、基板処理システムにおける処理チャンバ300および他のコンポーネント(例えば、電源およびUI)の模式図である。この基板処理システムは、図2の処理チャンバ200とは以下の点で異なる。
【0061】
図3では、RFコールド領域は電源216の代わりに光源302を含む。光源302は、RFコールド領域とRFホット領域とにまたがる光ファイバケーブル304に光を入射する。光源302は、電力密度の要件に応じて、一般的なLED、またはレーザダイオード(図4参照)としてもよい。RFホット領域は、光電力変換器306を含む。光電力変換器306は、光源302から光ファイバケーブル304を介して伝送された光エネルギーを電気に変換する。この電気は、典型的には数ボルトの振幅を有するDC電圧であり、ESC制御回路212に給電するのに十分な電気である。光電力変換器306は、変換効率に応じて、専用のフォトニック変換器、または一般的なフォトダイオード(図4参照)としてもよい。RFホット領域のESC制御回路212は、光電力変換器306によって給電される。
【0062】
図3および図4に示す新たな手法には多くのメリットがある。例えば、図2のRFフィルタ218と比較して、図3のRFフィルタ219はチャネル数がより少ないため、図2のRFフィルタ218よりも低廉、小型、かつ軽量である。さらに、光源302、光ファイバケーブル304、および光電力変換器306を備える図3に示す光電力伝送システムは、RF周波数やRF振幅に依存しない。したがって、RF電源53においてRF周波数/振幅の変更を行った場合でも、光電力伝送システムを再設計する必要はない。従来のRFフィルタの再設計や調整の負担も、より少なくなる。さらに、RFコールド領域からRFホット領域に光ファイバケーブルを配線する際、RF均一性への影響が全くないため、電圧スタンドオフや配線位置が重要とはならない。この新たな手法は、図2に示したシステムと比較して、ケーブル数や接続ポイントがより少なくなり、信頼性が向上する。
【0063】
いくつかの用途では、RFホット領域とRFコールド領域との間の電力およびデータ伝送の両方を単一の光ファイバケーブルで行うことが可能であるが、これはエンジニアリングとツール生産の両方にとって魅力的である。なお、ESC制御用途は例示として提供し、説明しているに過ぎず、上記の新たな手法はこの用途に限定されない。むしろ、この新たな手法は、RFホット領域における高電圧電流センサ、EフィールドプローブおよびHフィールドプローブ、ワイヤレスセンサなどの装置への給電やこれらの装置との通信に使用可能である。この新たな手法については、他にも多くの用途や使用例が考えられる。
【0064】
図5は、本開示に係る、RFコールド領域とRFホット領域との間で単一の光ファイバケーブルを介して電力伝送および双方向データ通信を行うためのシステム500の模式図である。図5には、後述するようなESCの関連部分と、基板処理システムの関連コンポーネントとが示されている。図6~13は、システム500の4つの動作モードを示す図である。なお、図6~13では、簡略化のため図5に示すシステム500のうち一部の要素を省略しているが、図5に示すシステム500のすべての要素が図6~13にも存在することが理解される。
【0065】
図5において、システム500は、RFコールド領域(A側またはマスタとも呼ばれる)、およびRFホット領域(B側またはスレーブとも呼ばれる)で構成される。A側は、光源制御回路A502を含む。光源制御回路A502は、光ドライバA-T1に結合され、光ドライバA-T1は、光スプリッタA-OSの第1ポートに結合される。光源制御回路A502は、2つの異なる電力レベルA-LP1およびA-LP2で光ドライバダイオードA-T1に電力を供給できる。光スプリッタA-OSの第2ポートは、光レシーバA-Rに結合される。電流センサまたは電流モニタA504は、データ伝送および自己診断のために光レシーバA-Rを流れる電流を監視する。これについては図6~18を参照して後述する。光スプリッタA-OSの第3ポートは、光ファイバケーブルに結合される。光ファイバケーブルは、B側の別の光スプリッタを介して、別の光ドライバおよび光レシーバに接続される。
【0066】
B側は、光源制御回路B510を含む。光源制御回路B510は、光ドライバB-Tに結合され、光ドライバB-Tは、光スプリッタB-OSの第1ポートに結合される。光源制御回路B510は、光源制御回路A502の電力レベルA-LP1またはA-LP2と異なる1つの電力レベルB-LPを有する。光スプリッタB-OSの第2ポートは、光レシーバB-R1に結合される。光レシーバB-R1を流れる電流によって、電力変換器(例えば、光電力変換装置)512を刺激する(すなわち、起動もしくは駆動する)か、または、エネルギー貯蔵装置(例えば、コンデンサ)を充電ができる。電力変換器512は、ESC制御回路212および/または1つ以上のセンサ210に電力を供給する。電力変換と並行して、電流センサまたは電流モニタB514は、データ伝送および自己診断のために光レシーバB-R1を流れる電流を監視する。これについては図6~18を参照して後述する。光スプリッタB-OSの第3ポートは、光ファイバケーブルに結合される。光ファイバケーブルは、光スプリッタA-OSを介してA側に接続される。
【0067】
A側では、電力レベル選択回路520が、光源制御回路A502の電力レベルを選択する。例えば、コントローラ54は、動作モード2および4(図8~9および図12~13を参照して後述)におけるA側からB側へのデータ伝送時に、電力レベル選択回路520を制御する。電力レベル選択回路520は、コントローラ54から受信した入力に応じて、光源制御回路A502の電力レベルを設定する。光源制御回路B510の電力レベルは、動作モード3および4(図10~13を参照して後述)においてB側からA側にデータを伝送する際に、同様にゼロまたはB-LPに設定してもよい。
【0068】
図6および図7は、システム500の第1の動作モード(モード1)を示す図である。モード1では、次のようにA側からB側に電力が伝送される。電力レベル選択回路520は、光源制御回路A502の電力レベルをA-LP1に設定する。光ドライバA-T1は、光源制御回路A502の電力レベルA-LP1に応じて光を発信する。光源制御回路B510の電力レベルB-LPは、ゼロに設定される。したがって、モード1では、光ドライバB-Tは光を発信しない。
【0069】
光スプリッタにより、光レシーバA-Rは、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信する。電流モニタA504は、光レシーバA-Rを流れる電流(AI@mode1として示す)を検知する。光ドライバA-T1のみが光を発信しているときに光レシーバA-Rを介して検知されるこの電流(AI@mode1)の値により、2つの目的が果たされる。1つ目は、AI@mode1が、データ伝送モードにおいて用いられるベースライン電流となることである。2つ目は、自己診断である。すなわち、この値が期待されるレベル(キャリブレーションによって決定可能である)にない場合、コントローラ54は、ハードウェアの故障を検出できる。故障は例えば、光源制御回路A502、光ドライバA-T1、光スプリッタA-OS、光レシーバA-R、および/または電流モニタA504自体のうち1つ以上の故障などである。
【0070】
光スプリッタにより、光レシーバB-R1は、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信する。光レシーバB-R1が受信した光に基づいて、電力変換器512は、光エネルギーを、ESC制御回路212および/または1つ以上のセンサ210に給電するための電気エネルギーに変換する。電流モニタB514は、光レシーバB-R1を流れる電流(BI@mode1として示す)を検知する。光ドライバA-T1のみが光を発信しているときに光レシーバB-R1を介して検知されるこの電流(BI@mode1)の値も、電流AI@mode1を参照して上述したものと同様の2つの目的を果たす。図7に、電力A-LP1で光ドライバA-T1のみが光を発信しているときに、光レシーバB-R1およびA-Rをそれぞれ流れる電流BI@mode1およびAI@mode1を示す。
【0071】
図8および図9は、システム500の第2の動作モード(モード2)を示す図である。モード2では、次のようにA側からB側に電力およびデータが伝送される。A側からB側に電力を伝送するために、電力レベル選択回路520は、光源制御回路A502の電力レベルをA-LP1に設定する。光ドライバA-T1は、光源制御回路A502の電力レベルA-LP1に応じて光を発信する。光源制御回路B510の電力レベルB-LPは、ゼロに設定される。したがって、モード1と同様に、モード2でも光ドライバB-Tは光を発信しない。A側からB側への電力伝送における残りの動作は、図6および図7を参照して上述したモード1と同様である。
【0072】
A側からB側にデータを伝送するために、電力レベル選択回路520は、光源制御回路A502の電力レベルの設定を、伝送するデータに応じて電力レベルA-LP1とA-LP2との間で切り替える。例えば、0を伝送する場合には電力レベルA-LP1が選択され、1を伝送する場合には電力レベルA-LP2が選択される。電力レベルA-LP2は、電力レベルA-LP1より大きくてもよい。光ドライバA-T1は、光源制御回路A502の選択された電力レベルに応じて光を発信する。光源制御回路B510の電力レベルB-LPは、ゼロに設定される。したがって、モード1と同様に、モード2でも光ドライバB-Tは光を発信しない。
【0073】
光スプリッタにより、光レシーバA-Rは、A側からB側へのデータ伝送時に光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信する。電流モニタA504は、光レシーバA-Rを流れる電流(AI@mode2として示す)を検知する。(AI@mode2が期待レベルに達しているかどうかの確認による)ハードウェア監視の他に、A側からB側に送信されるデータは、(光ドライバA-T1によるデータ伝送時にレシーバA-Rが受信する光として)A側でも受信される。A-LP2>A-LP1、かつAI@mode2≧AI@mode1なので、A側からB側に送信されるデータは、AI@mode2-AI@mode1として表すことができる。このエコーとして返されたデータを(例えば、コントローラ54が)用いることにより、A側が実際に正しいデータを送信しているかどうかを確認できる。
【0074】
光スプリッタにより、光レシーバB-R1は、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信する。光レシーバB-R1が受信した光に基づいて、電力変換器512は、光エネルギーを、ESC制御回路212および/または1つ以上のセンサ210に給電するための電気エネルギーに変換する。電流モニタB514は、光レシーバB-R1を流れる電流(BI@mode2として示す)を検知する。A側からB側に受信されるデータは、データ=BI@mode2-BI@mode1として検出される。データが所定の閾値より小さい場合、受信データは0であり、そうでない場合は1である。
【0075】
なお、電力変換器512は、B側がA側からデータを受信している間、光電力変換を継続している。そのため、電力伝送時にA側から受信した電力を蓄えておく必要はない。図9に、モード2において光レシーバB-R1およびA-Rを流れる電流を示す。
【0076】
図10および図11は、システム500の第3の動作モード(モード3)を示す図である。モード3では、次のようにA側からB側に電力が伝送され、B側からA側にデータが伝送される。A側からB側に電力を伝送するために、電力レベル選択回路520は、光源制御回路A502の電力レベルをA-LP1に設定する。光ドライバA-T1は、光源制御回路A502の電力レベルA-LP1に応じて光を発信する。
【0077】
B側からA側にデータを伝送するために、光源制御回路B510は、伝送するデータに応じて電力レベルをゼロとB-LPとの間で切り替える。例えば、0を伝送する場合の電力レベルはゼロであり、1を伝送する場合の電力レベルはB-LPである。光ドライバB-Tは、光源制御回路B510の電力レベルに応じて光を発信する。光ドライバB-Tが発信する光は2つのレベルの間で切り替わる。すなわち、1を伝送する場合は光を発信し、0を伝送する場合は光を発信しない。
【0078】
B側からデータが伝送されると、光スプリッタにより、光レシーバA-Rは光ドライバB-Tからの光と、光ドライバA-T1からの一定の反射光とを受信する。光ドライバA-T1は、B側がA側にデータを伝送するかどうかにかかわらず、A側からB側への電力伝送を継続する。電流モニタA504は、光レシーバA-Rを流れる電流(AI@mode3として示す)を検知する。AI@mode3とAI@mode2とを区別できるよう、電力レベルB-LPは、電力レベルA-LP2と異なる必要がある。ここでは、B-LP>A-LP2と仮定する。電流モニタA504が、AI@mode3>AI@mode2と検出した場合、そのデータは(A側からエコーとして返されたデータではなく)B側からのデータとなる。その差分(AI@mode3-AI@mode1)を量子化したものが、B側からの受信データと見なされる。
【0079】
光スプリッタにより、光レシーバB-R1は、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信する。さらに、B側からA側にデータが伝送されると、光レシーバB-R1は光ドライバB-Tが発信した光の一部も受信する。光レシーバB-R1が受信したすべての光に基づいて、電力変換器512は、光エネルギーを、ESC制御回路212および/または1つ以上のセンサ210に給電するための電気エネルギーに変換する。電流モニタB514は、光レシーバB-R1を流れる電流(BI@mode3として示す)を検知し、これを用いて自己診断を行うことができる。
【0080】
なお、モード1、2と同様に、電力変換器512は、モード3においてB側がA側からデータを伝送している間、光電力変換を継続している。そのため、A側から受信した電力を蓄えておく必要はない。図11に、モード3において光レシーバB-R1およびA-Rを流れる電流を示す。
【0081】
図12および図13は、システム500の第4の動作モード(モード4)を示す図である。モード4では、次のようにA側からB側への電力およびデータ伝送と、B側からA側へのデータ伝送とが同時に行われる。
【0082】
A側からB側に電力を伝送するために、電力レベル選択回路520は、光源制御回路A502の電力レベルをA-LP1に設定する。光ドライバA-T1は、光源制御回路A502の電力レベルA-LP1に応じて光を発信する。
【0083】
A側からB側にデータを伝送するために、電力レベル選択回路520は、光源制御回路A502の電力レベルの設定を、伝送するデータに応じて電力レベルA-LP1とA-LP2との間で切り替える。例えば、0を伝送する場合には電力レベルA-LP1が選択され、1を伝送する場合には電力レベルA-LP2が選択される。電力レベルA-LP2は、電力レベルA-LP1より大きくてもよい。光ドライバA-T1は、光源制御回路A502の選択された電力レベルに応じて光を発信する。
【0084】
B側からA側にデータを伝送するために、光源制御回路B510は、伝送するデータに応じて電力レベルをゼロとB-LPとの間で切り替える。例えば、0を伝送する場合の電力レベルはゼロであり、1を伝送する場合の電力レベルはB-LPである。光ドライバB-Tは、光源制御回路B510の電力レベルに応じて光を発信する。光ドライバB-Tが発信する光は2つのレベルの間で切り替わる。すなわち、1を伝送する場合は光を発信し、0を伝送する場合は光を発信しない。
【0085】
光スプリッタにより、光レシーバA-Rは光ドライバB-Tが発信した光だけでなく、光ドライバA-T1が発信した光の一部も受信する。電流モニタA504は、光レシーバA-Rを流れる電流(AI@mode4として示す)を検知する。光レシーバB-R1は、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信する。さらに、光レシーバB-R1は、光ドライバB-Tが発信した光の一部も受信する。光レシーバB-R1が受信したすべての光に基づいて、電力変換器512は、光エネルギーを、ESC制御回路212および/または1つ以上のセンサ210に給電するための電気エネルギーに変換する。電流モニタB514は、光レシーバB-R1を流れる電流(BI@mode4として示す)を検知する。
【0086】
図13に、モード4において光レシーバB-R1およびA-Rを流れる電流を示す。電流モニタA504およびB514は、A側、B側の双方から4つの異なる電力レベルA-LP1、A-LP1+B-LP、A-LP2、A-LP2+B-LPで伝送された光による電流を検知する。なお、電力変換器512は常に光を受信するとともに、常に光電力変換を継続している。そのため、A側から受信した電力を蓄えておく必要はない。
【0087】
多くの用途において、モード4で説明したようなA側とB側間の双方向通信を使用可能である。いくつかの用途では、モード2で説明したようなB側からセンサデータの受信に加えて、モード2および4で説明したようなESC制御回路212へのデータ供給が必要な場合がある。例えば、ヒータ208および/またはセンサ210からデータを収集する頻度を、用途に応じて変動させることができる。例えば、ESCにおける一部のイベントをより頻繁に監視し、他のイベントをより少ない頻度で監視してもよい。したがって、A側(マスタ)はB側(スレーブ)にコマンドを送信して、ESC制御回路212における設定、パラメータ、または構成を変更し、例えば、一部のイベントについてのデータ収集速度を変更できる。センサ210から収集したデータに基づいて、コントローラ54は、ヒータ208を制御するコマンドを送信してもよい。また、A側(マスタ)は、(例えばESCの部品交換時の)追跡のために、ESC(すなわち、B側またはスレーブ)の1つ以上のコンポーネントに識別データを書き込むことができる。さらに、コントローラ54は、ESC内のコンポーネントの識別データを照会し、B側から受信した当該コンポーネントの識別データに基づいて、当該コンポーネントを制御するための適切なデータを送信してもよい。A側とB側間の双方向通信については、他にも多くの用途が考えられる。
【0088】
図14は、基板処理システムにおいてESCの外部にある低RF領域と、ESCとの間の単一の光ファイバケーブルを介して、低RF領域からESCへの電力伝送、および両者間の双方向データ通信を行うための方法1400を示す図である。低RF領域は、基板処理システムにおける低RF電力側、A側、またはRFコールド側とも呼ばれる。A側は、ESCに電力を供給するためのDC電源を含み、さらに、ESCを備えた処理チャンバ内の処理を制御するUI(ユーザインタフェース)も含む。基板処理システムのB側は、ヒータおよびセンサを備えたESCを含む。ESCに高RF電力を供給して、処理チャンバ内にプラズマを発生させる。したがって、B側は、基板処理システムにおける高RF領域、高RF電力側、またはRFホット側とも呼ばれる。またA側およびB側はそれぞれ、マスタおよびスレーブとも呼ばれる。
【0089】
方法1400はステップ1402にて、単一の光ファイバケーブルを介してA側からB側に光を発信する。ステップ1404にて、B側に設置された光電力変換器にて光を受信する。ステップ1406にて、光電力変換器を用いて、受信した光からB側に設けられたESC内の制御電子機器に給電するためのDC電力を生成する。ステップ1408にて、ESC内に設置されたセンサからデータを選択し、このデータを単一の光ファイバケーブルを介してB側からA側に光として伝送する。ステップ1410にて、B側から光ファイバケーブルを介して光として受信したデータを、A側にて電気信号に変換する。ステップ1412にて、他のデータを単一の光ファイバケーブルを介してA側からB側に光として送信する。ステップ1414にて、A側から光ファイバケーブルを介して光として受信したこの他のデータを、B側にて電気信号に変換する。ステップ1416にて、A側とB側間でのデータ伝送中、B側にてDC電力を生成し続ける。
【0090】
図15は、A側からB側、すなわちマスタからスレーブへの電力伝送を行うための方法1500を示す図である。方法1500はステップ1502にて、A側の光源制御回路の電力レベルをA-LP1に設定する。ステップ1504にて、B側の光源制御回路の電力レベルをゼロに設定する。ステップ1506にて、A側の光源制御回路の電力レベルA-LP1に基づいてA側の光ドライバA-T1を駆動する。そして、A側の光スプリッタA-OSの第1ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたA側の光ドライバA-T1から光を発信する。
【0091】
ステップ1508にて、光ドライバA-T1が発信した光の一部を、A側の光スプリッタA-OSの第2ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたA側の光レシーバA-Rにて受信する。ステップ1510にて、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信したことによって光レシーバA-Rにおいて生成された電流を検知する。ステップ1512にて、検知した電流が期待値よりも小さいかどうかを判定する。検知した電流が期待値よりも小さい場合、ステップ1514にて、A側の光源制御回路、光ドライバA-T1、光スプリッタA-OS、またはA側の電流センサのうち1つ以上に問題があることを示す。そして、方法1500は終了する。
【0092】
検知した電流が期待値以上の場合、ステップ1516にて、光ドライバA-T1が発信した光の一部を、B側の光スプリッタB-OSの第1ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたB側の光レシーバB-R1にて受信する。ステップ1518にて、光レシーバB-R1に接続された光電力変換器を用いて、受信した光からESC内の制御電子機器に給電するためのDC電力を生成する。
【0093】
ステップ1520にて、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信したことによって光レシーバB-R1において生成された電流を検知する。ステップ1522にて、検知した電流が期待値よりも小さいかどうかを判定する。検知した電流が期待値よりも小さい場合、ステップ1524にて、A側の光源制御回路、光ドライバA-T1、光スプリッタA-OS、光ファイバケーブル、光スプリッタB-OS、光レシーバB-R1、またはB側の電流センサのうち1つ以上に問題があることを示す。検知した電流が期待値以上の場合、方法1500は終了する。
【0094】
図16は、A側(マスタ)からB側(スレーブ)へ電力およびデータ伝送を行うための方法1600を示す図である。方法1600はステップ1602にて、データを0/1としてデジタル伝送する際に、A側の光源制御回路の電力レベルをA-LP1/A-LP2に設定する。ステップ1604にて、B側の光源制御回路の電力レベルをゼロに設定する。ステップ1606にて、伝送されるデータ(すなわち、0または1のどちらが伝送されるか)に応じて、A側の光源制御回路の電力レベルA-LP1またはA-LP2に基づいてA側の光ドライバA-T1を駆動する。そして、A側の光スプリッタA-OSの第1ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたA側の光ドライバA-T1から光を発信する。
【0095】
ステップ1608にて、光ドライバA-T1が発信した光の一部を、A側の光スプリッタA-OSの第2ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたA側の光レシーバA-Rにて受信する。ステップ1610にて、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信したことによって光レシーバA-Rにおいて生成された電流を検知する。
【0096】
ステップ1612にて、検知した電流が期待値よりも小さいかどうかを判定する。検知した電流が期待値よりも小さい場合、ステップ1614にて、A側の光源制御回路、光ドライバA-T1、光スプリッタA-OS、またはA側の電流センサのうち1つ以上に問題があることを示す。そして、方法1600は終了する。検知した電流が期待値以上の場合、ステップ1616にて、検知した電流に基づいて、光ドライバA-T1から正しいデータが伝送されているかどうかを判定する。伝送されているデータが正しくないと判定した場合、方法1600はステップ1614に進む。
【0097】
ステップ1612にて検知した電流が期待値以上であると判定され、かつステップ1616にて正しいデータが伝送されていると判定された場合、ステップ1618にて、光ドライバA-T1が発信した光の一部を、B側の光スプリッタB-OSの第1ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたB側の光レシーバB-R1にて受信する。ステップ1620にて、光レシーバB-R1に接続された光電力変換器を用いて、受信した光からESC内の制御電子機器に給電するためのDC電力を生成する。
【0098】
ステップ1622にて、光ドライバA-T1が発信した光の一部を受信したことによって光レシーバB-R1において生成された電流を検知する。ステップ1624にて、検知した電流が所定の閾値よりも小さいかどうかを判定する。検知した電流が所定の閾値よりも小さい場合、ステップ1626にて、受信したデータが0であると判定する。検知した電流が所定の閾値よりも小さい場合、ステップ1628にて、受信したデータが1であると判定する。
【0099】
図17は、A側(マスタ)からB側(スレーブ)への電力伝送、およびB側(スレーブ)からA側(マスタ)へのデータ伝送を行うための方法1700を示す図である。方法1700はステップ1702にて、A側の光源制御回路の電力レベルをA-LP1に設定する。ステップ1704にて、データを0/1としてデジタル伝送する際に、B側の光源制御回路の電力レベルをゼロ/B-LPに設定する。B-LPは、A-LP2と異なっている必要があり、例えばA-LP2より大きくてもよい。
【0100】
ステップ1706にて、A側の光源制御回路の電力レベルA-LP1に基づいてA側の光ドライバA-T1を駆動する。そして、A側の光スプリッタA-OSの第1ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたA側の光ドライバA-T1から光を発信する。
【0101】
ステップ1708にて、伝送されるデータ(すなわち、0または1のどちらが伝送されるか)に応じて、B側の光源制御回路の電力レベルであるゼロまたはB-LPに基づいてB側の光ドライバB-Tを駆動する。そして、B側の光スプリッタB-OSの第2ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたB側の光ドライバB-Tから光を発信する。
【0102】
ステップ1710にて、光ドライバA-T1およびB-Tが発信した光の一部を、A側の光スプリッタA-OSの第2ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたA側の光レシーバA-Rにて受信する。ステップ1712にて、光ドライバA-T1およびB-Tが発信した光の一部を受信したことによって光レシーバA-Rにおいて生成された電流を検知する。ステップ1714にて、ステップ1712にて検知した電流と、図15のステップ1510にて検知した電流との差に基づいて、B側からの受信データを決定する。
【0103】
ステップ1716にて、光ドライバA-T1およびB-Tが発信した光の一部を、B側の光スプリッタB-OSの第1ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたB側の光レシーバB-R1にて受信する。ステップ1718にて、光レシーバB-R1に接続された光電力変換器を用いて、受信した光からESC内の制御電子機器に給電するためのDC電力を生成する。
【0104】
ステップ1720にて、光ドライバA-T1およびB-Tが発信した光の一部を受信したことによって光レシーバB-R1において生成された電流を検知する。ステップ1722にて、検知した電流が期待値よりも小さいかどうかを判定する。検知した電流が期待値よりも小さい場合、ステップ1724にて、A/B側の光源制御回路、光ドライバA-T1、光スプリッタA-OS、光ファイバケーブル、光スプリッタB-OS、光レシーバB-R1、またはB側の電流センサのうち1つ以上に問題があることを示す。検知した電流が期待値以上の場合、方法1700は終了する。
【0105】
図18は、A側(マスタ)からB側(スレーブ)への電力およびデータ伝送と、B側(スレーブ)からA側(マスタ)へのデータ伝送とを行うための方法1800を示す図である。方法1800はステップ1802にて、データを0/1としてデジタル伝送する際に、A側の光源制御回路の電力レベルをA-LP1/A-LP2に設定する。ステップ1804にて、データを0/1としてデジタル伝送する際に、B側の光源制御回路の電力レベルをゼロ/B-LPに設定する。B-LPは、A-LP2と異なっている必要があり、例えばA-LP2より大きくてもよい。
【0106】
ステップ1806にて、A側からB側に伝送されるデータ(すなわち、0または1のどちらが伝送されるか)に応じて、A側の光源制御回路の電力レベルA-LP1またはA-LP2に基づいてA側の光ドライバA-T1を駆動する。そして、A側の光スプリッタA-OSの第1ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたA側の光ドライバA-T1から光を発信する。
【0107】
ステップ1808にて、B側からA側に伝送されるデータ(すなわち、0または1のどちらが伝送されるか)に応じて、B側の光源制御回路の電力レベルであるゼロまたはB-LPに基づいてB側の光ドライバB-Tを駆動する。そして、B側の光スプリッタB-OSの第2ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたB側の光ドライバB-Tから光を発信する。
【0108】
ステップ1810にて、光ドライバA-T1およびB-Tが発信した光の一部を、B側の光スプリッタB-OSの第1ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたB側の光レシーバB-R1にて受信する。ステップ1812にて、光レシーバB-R1に接続された光電力変換器を用いて、受信した光からESC内の制御電子機器に給電するためのDC電力を生成する。
【0109】
ステップ1814にて、光ドライバA-T1およびB-Tが発信した光の一部を受信したことによって光レシーバB-R1において生成された電流を検知する。ステップ1816にて、光レシーバB-R1が検知した電流に基づいて、A側からの受信データを決定する。
【0110】
ステップ1818にて、光ドライバA-T1およびB-Tが発信した光の一部を、A側の光スプリッタA-OSの第2ポートを介して光ファイバケーブルに結合されたA側の光レシーバA-Rにて受信する。ステップ1820にて、光ドライバA-T1およびB-Tが発信した光の一部を受信したことによって光レシーバA-Rにおいて生成された電流を検知する。ステップ1822にて、光レシーバA-Rが検知した電流に基づいて、B側からの受信データを決定する。
【0111】
上述の記載は本質的に例示に過ぎず、本開示、その用途、または使用を限定することを意図していない。本開示の広範な教示内容は、種々の形態で実施可能である。したがって、本開示には特定の例が含まれているが、図面、明細書、および下記の特許請求の範囲を詳しく調べることにより、他の変更形態も明らかになるため、本開示の真の範囲はそれらに限定されるべきではない。本開示の原則を変更しない範囲で、方法における1つ以上の工程を異なる順序で(または並行して)行ってもよいことを理解されたい。さらに、各実施形態について特定の特徴を有するものとして上で説明したが、本開示のいずれかの実施形態に関連して説明したこれらの特徴の1つ以上を、他の実施形態のいずれかの特徴に含めて、かつ/または(明示されていなくとも)組み合わせて実施してもよい。すなわち、上述した実施形態は相互に排他的ではなく、1つ以上の実施形態を互いに置き換えることも本開示の範囲内である。
【0112】
要素間(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「次の」、「の上に」、「の上方に」、「の下方に」、および「配置された」を含む種々の用語を用いて説明される。「直接的に」と明示されていない限り、上記の開示において第1の要素と第2の要素との関係が説明されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係とすることもできるし、第1の要素と第2の要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係とすることもできる。本明細書において使用される場合、「A、B、およびCの少なくとも1つ」という表現は、非排他的論理和を用いて論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうち少なくとも1つ、Bのうち少なくとも1つ、およびCのうち少なくとも1つ」を意味すると解釈すべきでない。
【0113】
いくつかの実装形態において、コントローラはシステムの一部であり、システムは上述した例の一部であってもよい。かかるシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理用コンポーネント(ウエハ台座やガス流量システムなど)を含む半導体処理装置を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、処理後におけるシステムの動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。電子機器は「コントローラ」と呼ぶこともでき、1つ以上のシステムの様々なコンポーネントまたはサブ部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に記載したいずれのプロセスも制御可能なようにプログラムされてもよい。これらのプロセスには、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入出、ならびに、特定のシステムと接続または連携されたその他の移送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入出が含まれる。
【0114】
広義には、コントローラは、様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよく、命令の受信、命令の送出、動作の制御、洗浄動作の有効化、エンドポイント測定の有効化などを行う。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアとしてのチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または1つ以上のマイクロプロセッサ、もしくはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)としてコントローラに通信される命令であってもよく、半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ用に、またはシステムに対して、特定のプロセスを実施するための動作パラメータを定義する。いくつかの実施形態において、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製造において1つ以上の処理工程を達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0115】
いくつかの実装形態において、コントローラは、コンピュータの一部であってもよいし、コンピュータに結合されていてもよい。ここで、コンピュータは、システムと一体化しているか、システムに結合されているか、その他の形でシステムとネットワーク接続されているか、これらを組み合わせた形態をとる。例えば、コントローラは、「クラウド」上に存在してもよいし、工場ホストコンピュータシステムのすべてまたは一部に存在してもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能になる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを有効化して、製造工程の進捗状況の監視、過去の製造工程履歴の調査、または複数の製造工程から傾向もしくは性能指標の調査を行うことができ、現在の処理のパラメータを変更したり、現在の処理に続く処理工程を設定したり、新たなプロセスを開始したりできる。いくつかの例において、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)からシステムに対して、ネットワークを介してプロセスレシピを提供できる。ここで、ネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力やプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでもよい。これらのパラメータおよび/または設定はその後、リモートコンピュータからシステムに送信される。いくつかの例において、コントローラは、データとして命令を受信する。このデータは、1つ以上の動作において実行される各処理工程のパラメータを指定する。なお、これらのパラメータは、実行するプロセスの種類、およびコントローラが連携または制御するように構成されているツールの種類に対して固有のパラメータであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備えることなどによって分散されてもよい。これらの個別のコントローラはネットワーク化され、本明細書に記載のプロセスおよび制御といった共通の目的に向けて動作する。このような目的のための分散コントローラの一例として、(例えばプラットフォームレベルで、または遠隔コンピュータの一部として)遠隔設置された1つ以上の集積回路と通信するチャンバに搭載された1つ以上の集積回路が挙げられる。これらの集積回路は協働してチャンバにおけるプロセスを制御する。
【0116】
システムの非限定的な例として、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、PVDチャンバまたはモジュール、CVDチャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE:Atomic Layer Etch)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製造および/または生産に関連するかもしくは使用可能なその他のあらゆる半導体処理システムが挙げられる。
【0117】
上述した通り、ツールによって実行される1つ以上のプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはツールモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、付近のツール、工場内の各所に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体生産工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハコンテナの受け渡しを行う材料輸送で使用されるツールのうち、1つ以上と通信してもよい。
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【国際調査報告】